(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122931
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/69 20200101AFI20230829BHJP
D06F 34/18 20200101ALI20230829BHJP
D06F 33/58 20200101ALI20230829BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20230829BHJP
D06F 33/34 20200101ALI20230829BHJP
【FI】
D06F33/69
D06F34/18
D06F33/58
D06F39/08 301H
D06F33/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026709
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】池水 麦平
(72)【発明者】
【氏名】高 未麗
(72)【発明者】
【氏名】脇田 克也
(72)【発明者】
【氏名】筒井 慎治
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
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3B166AA04
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3B167LA23
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3B167LG05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】弱酸性溶液を洗濯槽に供給するように構成された洗濯機において、弱酸性溶液による洗濯槽の変質又は変色を抑制する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の洗濯機100は、弱酸性溶液の噴霧動作が行われる第1運転モードと、この噴霧動作が行われない第2運転モードと、を選択的に実行して、衣類101を洗濯するように構成されている。第1運転モードが実行された後に新たな衣類101を洗濯するための洗濯動作が行われるときには、第2運転モードが実行された後に新たな衣類101を洗濯するための洗濯動作が行われるときよりも洗濯槽126内の液位は高くなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収容可能に構成された洗濯槽と、
前記洗濯槽に給水する給水部と、
前記洗濯槽を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御部と、
前記洗濯槽内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部と、
前記洗濯槽内の衣類を水中で攪拌しながら衣類を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び前記噴霧動作を行わず前記洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部と、
前記モード受付部が受け付けた運転モードが前記第1運転モードであることを条件として前記洗濯槽が駆動された場合に、前記洗濯動作及び前記噴霧動作が実行されるように前記給水部及び前記溶液供給部を制御し、前記モード受付部が受け付けた運転モードが前記第2運転モードであることを条件として前記洗濯槽が駆動された場合に、前記洗濯動作が実行されるように前記給水部を制御する給液制御部と、を備え、
前記給液制御部は、前記第1運転モードが実行された次の洗濯動作での前記洗濯槽内の液位が、前記第2運転モードが実行された次の洗濯動作での前記洗濯槽内の液位よりも高くなるように前記給水部を制御する、洗濯機。
【請求項2】
前記洗濯槽内の衣類の重量を検出する重量検出部を更に備え、
前記第2運転モードが実行された次の洗濯動作では、前記給液制御部は、前記重量検出部が検出した衣類の重量に基づいて設定された液位が得られるように、前記給水部を制御し、
前記第1運転モードが実行された次の洗濯動作では、前記給液制御部は、前記重量検出部が検出した衣類の重量に基づいて設定される液位よりも大きな値に設定された所定の液位が得られるように、前記給水部を制御する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記駆動制御部は、前記第1運転モードが実行された次の洗濯動作での前記洗濯槽の回転速度が、前記第2運転モードが実行された次の洗濯動作での前記洗濯槽内の回転速度よりも高くなるように前記駆動部を制御する、請求項1又は2に記載の洗濯機。
【請求項4】
衣類を収容可能に構成された洗濯槽と、
前記洗濯槽に給水する給水部と、
前記洗濯槽を駆動する駆動部と、
前記洗濯槽内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部と、
前記洗濯槽内の衣類を水中で攪拌しながら衣類を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び前記噴霧動作を行わず前記洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部と、
前記モード受付部が受け付けた運転モードが前記第1運転モードであることを条件として前記洗濯槽が駆動された場合に、前記洗濯動作及び前記噴霧動作が実行されるように前記給水部及び前記溶液供給部を制御し、前記モード受付部が受け付けた運転モードが前記第2運転モードであることを条件として前記洗濯槽が駆動された場合に、前記洗濯動作が実行されるように前記給水部を制御する給液制御部と、
前記第2運転モードが実行された次の洗濯動作での前記洗濯槽内の回転速度よりも、前記第1運転モードが実行された次の洗濯動作での前記洗濯槽の回転速度が高くなるように前記駆動部を制御する駆動制御部と、を備えている、洗濯機。
【請求項5】
前記給液制御部は、前記第1運転モードが実行されてから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されないことを条件として、前記洗濯槽への給水により弱酸性溶液が洗い流されるように前記給水部を制御する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項6】
衣類を収容可能に構成された洗濯槽と、
前記洗濯槽に給水する給水部と、
前記洗濯槽を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御部と、
前記洗濯槽内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部と、
前記洗濯槽内の衣類を水中で攪拌しながら衣類を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び前記噴霧動作を行わず前記洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部と、
前記モード受付部が受け付けた運転モードが前記第1運転モードであることを条件として前記洗濯槽が駆動された場合に、前記洗濯動作及び前記噴霧動作が実行されるように前記給水部及び前記溶液供給部を制御し、前記モード受付部が受け付けた運転モードが前記第2運転モードであることを条件として前記洗濯槽が駆動された場合に、前記洗濯動作が実行されるように前記給水部を制御する給液制御部と、を備え、
前記給液制御部は、前記第1運転モードが実行されてから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されないことを条件として、前記洗濯槽への給水により弱酸性溶液が洗い流されるように前記給水部を制御する、洗濯機。
【請求項7】
衣類を収容可能に構成された洗濯槽と、
前記洗濯槽に給水する給水部と、
前記洗濯槽を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御部と、
前記洗濯槽内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部と、
前記洗濯槽内の衣類を水中で攪拌しながら衣類を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び前記噴霧動作を行わず前記洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部と、
前記洗濯槽内における衣類の有無を検出する衣類検出部と、
前記モード受付部が受け付けた運転モードが前記第1運転モードであることを条件として前記洗濯槽が駆動された場合に、前記洗濯動作及び前記噴霧動作が実行されるように前記給水部及び前記溶液供給部を制御し、前記モード受付部が受け付けた運転モードが前記第2運転モードであることを条件として前記洗濯槽が駆動された場合に、前記洗濯動作が実行されるように前記給水部を制御する給液制御部と、を備え、
前記給液制御部は、前記第1運転モードの実行の後において前記洗濯槽内に衣類がなくなっていることを前記衣類検出部が検出したことを条件として、前記洗濯槽への給水がなされるように前記給水部を制御し、前記第2運転モードの実行の後に前記洗濯槽内に衣類がないことを前記衣類検出部が検出した場合には、前記洗濯槽へ給水しないように前記給水部を制御する、洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類を洗濯するとともに弱酸性溶液を供給可能に構成された洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
すすぎ工程において洗濯槽に弱酸を供給して、衣類に付着した洗剤を溶かす洗剤溶解技術が知られている(特許文献1を参照)。この洗剤溶解技術では、洗剤及び柔軟剤を投入する装置を利用して、弱酸が洗濯槽に水とともに供給される。弱酸の供給により、衣類に付着した洗剤が溶解され、衣類に付着した状態の洗剤量が少なくなる。この結果、衣類に残留した洗剤に起因する衣類の黄ばみが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の洗剤溶解技術では、弱酸は、洗剤及び柔軟剤を投入する装置を利用して洗濯槽に水とともに供給されているが、弱酸性溶液を洗濯槽内に噴霧することが好ましい場合がある。すなわち、弱酸性溶液が洗濯槽内で噴霧されれば、弱酸を水中で攪拌することなく、弱酸を洗濯槽の内部空間の広い範囲に供給することが可能になる。したがって、たとえば、洗濯槽に水が貯まっていない状態で弱酸性溶液が噴霧されれば、弱酸性溶液は、洗濯槽内の水に妨げられることなく、洗濯槽内の衣類に均一に付着し得る。この結果、衣類は、弱酸性の状態になり得る。
【0005】
しかし、弱酸性溶液を上述の如く洗濯槽内に噴霧した場合、弱酸性溶液の一部が洗濯槽に付着することが起こり得る。このため、この状態が放置されれば、弱酸性溶液の水分が蒸発し、弱酸性溶液は、洗濯槽に付着した状態で濃縮される。この濃縮の結果、洗濯槽の変色又は変質が引き起こされ得る。
【0006】
本発明は、弱酸性溶液を洗濯槽に供給するように構成された洗濯機において、弱酸性溶液による洗濯槽の変質又は変色を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示における洗濯機は、衣類を収容可能に構成された洗濯槽と、洗濯槽に給水する給水部と、洗濯槽を駆動する駆動部と、駆動部を制御する駆動制御部と、洗濯槽内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部と、洗濯槽内の衣類を水中で攪拌しながら衣類を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び噴霧動作を行わず洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部と、モード受付部が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部及び溶液供給部を制御し、モード受付部が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部を制御する給液制御部と、を備えている。給液制御部は、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽内の液位が、第2運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽内の液位よりも高くなるように給水部を制御する。
【0008】
本開示における他の洗濯機は、衣類を収容可能に構成された洗濯槽と、洗濯槽に給水する給水部と、洗濯槽を駆動する駆動部と、洗濯槽内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部と、洗濯槽内の衣類を水中で攪拌しながら衣類を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び噴霧動作を行わず洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部と、モード受付部が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部及び溶液供給部を制御し、モード受付部が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部を制御する給液制御部と、第2運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽内の回転速度よりも、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽の回転速度が高くなるように駆動部を制御する駆動制御部と、を備えている。
【0009】
本開示における更に他の洗濯機は、衣類を収容可能に構成された洗濯槽と、洗濯槽に給水する給水部と、洗濯槽を駆動する駆動部と、駆動部を制御する駆動制御部と、洗濯槽内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部と、洗濯槽内の衣類を水中で攪拌しながら衣類を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び前記噴霧動作を行わず前記洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部と、モード受付部が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部及び溶液供給部を制御し、モード受付部が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部を制御する給液制御部と、を備えている。給液制御部は、第1運転モードが実行されてから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されないことを条件として、洗濯槽への給水により弱酸性溶液が洗い流されるように給水部を制御する。
【0010】
本開示における更に他の洗濯機は、衣類を収容可能に構成された洗濯槽と、洗濯槽に給水する給水部と、洗濯槽を駆動する駆動部と、駆動部を制御する駆動制御部と、洗濯槽内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部と、洗濯槽内の衣類を水中で攪拌しながら衣類を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び噴霧動作を行わず洗濯動作を実行する第2運転モードのうち一方の運転モードを選択的に受け付けるモード受付部と、洗濯槽内における衣類の有無を検出する衣類検出部と、モード受付部が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部及び溶液供給部を制御し、モード受付部が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部を制御する給液制御部と、を備えている。給液制御部は、第1運転モードの実行の後において洗濯槽内に衣類がなくなっていることを衣類検出部が検出したことを条件として、洗濯槽への給水がなされるように給水部を制御し、第2運転モードの実行の後に洗濯槽内に衣類がないことを衣類検出部が検出した場合には、洗濯槽へ給水しないように給水部を制御する。
【発明の効果】
【0011】
上述の洗濯機は、弱酸性溶液による洗濯槽の変質又は変色を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】洗濯機の制御に関する機能構成を表す概略的なブロック図
【
図6】洗濯機の動作内容を設定する処理の概略的なフローチャート
【
図7】洗濯機の制御の概略的なフローチャート(第2実施形態)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、第1実施形態~第3実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は、省略する場合がある。たとえば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の洗濯機100の構成を概略的に示す縦断面図である。
図1を参照して、洗濯機100の構造を説明する。
【0015】
(洗濯機の全体的な構造)
洗濯機100は、衣類101を投入するための投入口が前壁に形成された筐体110と、この投入口を開閉するために筐体110の前壁に回動可能に取り付けられた扉部111と、を備えている。筐体110内には、衣類101を洗剤で洗う洗い工程と、衣類101をすすぐすすぎ工程と、衣類101を脱水する脱水工程と、衣類101を乾燥する乾燥工程と、を順次実行するための様々な内部装置が収容されている。なお、洗い工程及びすすぎ工程では、衣類101を水中で攪拌しながら衣類101を洗濯する洗濯動作が行われる。脱水工程では、衣類101から水を遠心分離する脱水動作が行われる。乾燥工程では、低湿度且つ高温の乾燥空気を衣類101に吹き当てる乾燥動作が行われる。また、脱水工程においては、衣類101を弱酸性の状態にするために、リンゴ酸、クエン酸、リン酸及び/又はシュウ酸といった弱酸が水に溶解した弱酸性溶液を噴霧する噴霧動作が実行される。
【0016】
筐体110内には、衣類101を収容可能に構成された洗濯槽126が設けられている。洗濯槽126は、水槽112と、水槽112内で回転可能に保持されたステンレス製のドラム120と、を有しており、衣類101は、ドラム120内に収容される。
【0017】
水槽112は、洗い工程及びすすぎ工程において水を溜めるために設けられている。水槽112は、前方に向けて上向きに傾斜した姿勢で筐体110内に設けられており、筐体110の底壁に固定されたサスペンション機構114によって弾性的に支持されている。
【0018】
水槽112は、閉状態の扉部111に向けて開口した開口部115を有しており、使用者は、扉部111を開状態にして、開口部115を通じてドラム120内に衣類101を投入することができる。水槽112の開口部115からの水の漏出を抑制するために、水槽112の開口部115には、シール部材113が設けられている。シール部材113は、扉部111が投入口を閉じているときに、扉部111によって圧縮される。
【0019】
水槽112の周壁の上部には、洗い工程及びすすぎ工程において水が流入する給水口116が設けられている。また、衣類101の洗い及びすすぎに利用された水を排水するための排水口117が、水槽112の周壁の下部に設けられている。
【0020】
加えて、開口部115の周囲の水槽112の前壁の上部には、給気口118が形成されており、前壁とは反対側の水槽112の後壁には、排気口119が形成されている。給気口118及び排気口119は、乾燥工程において、乾燥空気の循環に利用される。
【0021】
ドラム120は、前方に向けて上向きに傾斜した姿勢で水槽112内に配置されている。ドラム120は、筐体110の投入口(閉状態の扉部111)に向けて開口しており、衣類101は、水槽112の開口部115を通じてドラム120内に投入されて、ドラム120によって保持される。ドラム120の周壁及び後壁には、多数の小孔124が形成されており、洗い工程及びすすぎ工程においては、これらの小孔124を通じて、水がドラム120に対して流入出する。また、乾燥工程おいては、これらの小孔124を通じて、乾燥空気がドラム120に対して流入出する。
【0022】
ドラム120の内部には、バッフル部123が配置されている。バッフル部123は、ドラム120の後壁の中心部からドラム120の開口部に向けて突出している。また、水槽112の後壁の外面には、ドラム120及びバッフル部123を回転駆動する駆動部121が取り付けられている。駆動部121がドラム120及びバッフル部123を回転すると、ドラム120内の衣類101は、攪拌されたり、跳ね上げられたりする。
【0023】
駆動部121は、正転・逆転可能に構成されたモータ(たとえば、ブラシレス直流モータ)であってもよい。このモータの回転シャフトは、水槽112の後壁に設けられた貫通孔を通じて水槽112の内部に突出し、ドラム120及びバッフル部123に接続されている。駆動部121は、インバータ制御の下で、ドラム120及びバッフル部123の回転速度を変更可能に構成されている。
【0024】
駆動部121には、駆動部121の回転速度を検出するための回転検出部161と、ドラム120に投入された衣類101の重量を検出する重量検出部160と、が接続されている。重量検出部160は、駆動部121にかかるトルク及び/又は駆動部121を流れる電流を検出するように構成されている。また、重量検出部160は、検出されたトルク及び/又は電流の大きさに基づいて、洗濯機100に投入された衣類101の重量に関する重量情報を取得するように構成されている。回転検出部161が検出した回転速度の情報及び重量検出部160が取得した重量情報は、ドラム120及びバッフル部123の回転制御などに利用される。
【0025】
洗濯槽126の上側には、洗濯槽126に給水する給水部125が設けられている。給水部125は、洗濯槽126の上側で配管された給水経路130と、給水経路130に設けられた給水弁131と、を含んでいる。給水経路130上には、処理剤供給部127が設けられており、処理剤供給部127は、洗剤、柔軟剤及び弱酸性剤を衣類101へ供給するために設けられている。
【0026】
給水経路130の上流端は、筐体110の外面に露出し、水道の蛇口から延びるホース(図示せず)に接続可能に構成されている。給水経路130の下流端は、水槽112の給水口116に接続されている。
【0027】
給水弁131は、給水経路130を開閉可能に構成されており、給水経路130内の水の流れ方向において処理剤供給部127に対して上流側に配置されている。処理剤供給部127と給水弁131との間において、給水経路130は、
図2に示すように、2つの水路に分岐している。
【0028】
処理剤供給部127は、
図2に示すように、洗剤を含んだ水を洗濯槽126に供給する洗剤供給部191と、柔軟剤を含んだ水を洗濯槽126に供給する柔軟剤供給部192と、弱酸性溶液を洗濯槽126内に噴霧する溶液供給部200と、を有している。
【0029】
洗剤供給部191は、上述の2つの水路のうち1つに対応して設けられており、洗剤を収容した洗剤収容部134と、給水弁131が開いたときに洗剤収容部134に向けて流れる水の流路を開閉するように設けられた分配弁181と、を含んでいる。洗剤収容部134には、給水弁131及び分配弁181が開かれて洗剤収容部134に流入した水が流出する排出口137が設けられている。洗剤収容部134に収容される洗剤の種類は、特に限定されない。たとえば、アルカリ性の洗剤が洗剤収容部134に収容されてもよい。
【0030】
柔軟剤供給部192は、上述の2つの水路のうち他のもう1つに対応して設けられている。詳細には、柔軟剤供給部192は、柔軟剤を収容した柔軟剤収容部135と、給水弁131が開いたときに柔軟剤収容部135に向けて流れる水の流路を開閉するように設けられた分配弁182と、を含んでいる。柔軟剤収容部135には、給水弁131及び分配弁182が開かれて柔軟剤収容部135に流入した水が流出する排出口138が設けられている。なお、柔軟剤収容部135及び洗剤収容部134の排出口138,137には、給水経路130の下流部分が接続されている。給水経路130の下流部分は、これらの排出口138,137に接続された2つの管路が1つの管路となって、水槽112の給水口116に接続されるように構成されている。
【0031】
溶液供給部200は、
図2に示す溶液収容部136と、
図1に示す溶液流路201、ポンプ202及び供給機203と、により構成されている。
【0032】
溶液収容部136は、洗剤収容部134及び柔軟剤収容部135とともに1つのケース体を構成している。溶液収容部136には、弱酸性溶液が収容される。弱酸性溶液は、リンゴ酸、クエン酸、リン酸及び/又はシュウ酸といった弱酸を含む水溶液であってもよい。溶液収容部136には、弱酸性溶液を排出するための排出口139が設けられており、排出口139には、溶液流路201の上流端が接続されている。
【0033】
溶液流路201は、溶液収容部136の排出口139から水槽112の開口部115の内面において、水槽112の給気口118の近傍となる位置まで延設されている。溶液流路201の下流端には、供給機203が取り付けられている。供給機203は、水槽112の開口部115の内面に固定されている。供給機203は、弱酸性溶液を霧状にして、洗濯槽126内に供給するように構成されている。供給機203は、たとえば、弱酸性溶液に圧力を付加することによって弱酸性溶液を霧状にするように構成されてもよい。あるいは、供給機203は、弱酸性溶液とともに気体を噴出するように構成され、この気体に圧力を付加することによって弱酸性溶液を霧状にしてもよい。
【0034】
ポンプ202は、溶液流路201上に設けられている。ポンプ202は、溶液収容部136内の弱酸性溶液を吸い出すとともに、吸い出した弱酸性溶液を供給機203へ吐出するように構成されている。
【0035】
水槽112の下側には、洗濯槽126からの排水に利用される排水部143が設けられている。排水部143は、洗濯槽126の水槽112の排水口117から筐体110の外部に延設された排水経路140と、排水経路140上に設けられて、排水経路140を開閉可能に構成された排水弁142と、を含んでいる。
【0036】
排水弁142の上流側において、水槽112から排水された水中に含まれる繊維(リント)を除去するフィルタ部141が設けられている。また、フィルタ部141の上流側には、水槽112内の水量を検出する水量検出部162が設けられている。水量検出部162が検出した水量は、給水弁131及び排水弁142の制御に利用される。
【0037】
水槽112の外側には、水槽112の給気口118及び排気口119に接続された風路150が設けられている。風路150内には、気流生成部151と、除湿部152と、加熱部153と、が配置されている。
【0038】
気流生成部151は、排気口119を通じて、水槽112内の空気を吸い出すとともに給気口118に向けて空気を送り出すことによって、風路150内で気流を生じさせるように構成されている。風路150が水槽112の給気口118に接続されているので、風路150内の気流は、水槽112中のドラム120によって保持された衣類101に向かう。気流生成部151によって生成された気流は、乾燥工程において、ドラム120内の衣類101を乾燥するために用いられる。気流生成部151は、たとえば、送風機により構成され得る。
【0039】
除湿部152は、風路150中の空気の流れ方向において気流生成部151の下流側に配置されている。除湿部152は、気流生成部151により送り出された空気を冷却することにより、結露を生じさせて空気を除湿するように構成されている。たとえば、除湿部152は、冷媒が流れる流路、冷媒を流路に送り出すポンプ及び冷媒を冷却するための冷却装置を有していてもよい(図示せず)。
【0040】
加熱部153は、風路150中の空気の流れ方向において気流生成部151及び除湿部152の下流側に配置されている。加熱部153は、除湿部152により除湿された空気を加熱して乾燥空気を作り出すように構成されている。たとえば、加熱部153は、多数のフィンとこれらのフィンを加熱するヒータとを有していてもよい(図示せず)。
【0041】
筐体110の前壁の上部には、使用者が洗濯機100の運転モードを選択し、選択された運転モードでの運転を開始するために操作する操作パネル180が設けられている。操作パネル180は、
図3に示すように、ディスプレイ264と、操作部267と、内部回路164と、を有している。
【0042】
ディスプレイ264は、使用者が洗濯機100の運転モードを選択するのに必要な情報を表示可能に構成されており、
図3では、2つの運転モードがディスプレイ264上に表示されている。これらの運転モードのうち一方は、第1運転モードであり、第1運転モードが選択された場合には、洗濯動作、脱水動作、乾燥動作及び弱酸性溶液の噴霧動作が実行される。他方の運転モードは、第2運転モードであり、第2運転モードが選択された場合には、洗濯動作、脱水動作及び乾燥動作が実行される一方で、噴霧動作は実行されない。
【0043】
ディスプレイ264には、第1運転モード及び第2運転モードのうちいずれが選択されているかを指し示すためのカーソル266が表示されている。カーソル266の表示位置は、操作部267に対する操作によって変更可能である。なお、
図3では、カーソル266は、第1運転モードを指し示している。
【0044】
操作部267は、使用者によって操作される複数の操作ボタン261~263,265から構成されている。操作ボタン261,262は、カーソル266の表示位置を変更するために操作される。
図3に示すように、カーソル266が第1運転モードを指し示しているときに、操作ボタン262が操作されると、カーソル266は、第2運転モードを指し示す位置に移動する。逆に、カーソル266が第2運転モードを指し示しているときに、操作ボタン261が操作されると、カーソル266は、第1運転モードを指し示す位置に移動する。
【0045】
操作ボタン263は、洗濯機100の運転モードを決定するために操作される。カーソル266が第1運転モードを指し示しているときに、操作ボタン263が操作されると、洗濯機100が第1運転モードで動作することが決定される。すなわち、第1運転モードが選択される。一方、カーソル266が第2運転モードを指し示しているときに、操作ボタン263が操作されると、洗濯機100が第2運転モードで動作することが決定される。すなわち、第2運転モードが選択される。
【0046】
操作ボタン265は、洗濯機100の運転を開始するために操作される。操作ボタン263に対する操作によって第1運転モードが選択されていれば、洗濯機100は、操作ボタン265に対する操作に応じて第1運転モードで動作する。一方、操作ボタン263に対する操作によって第2運転モードが選択されていれば、洗濯機100は、操作ボタン265に対する操作に応じて第2運転モードで動作する。
【0047】
内部回路164は、ディスプレイ264を制御する表示制御部165と、操作ボタン261~263に対する操作によって設定された運転モードを受け付けるモード受付部166と、を有している。表示制御部165は、たとえば、操作ボタン261,262に対する操作に応じて、カーソル266の表示位置を変更するように構成されている。モード受付部166は、受け付けた運転モードでの運転を指示する信号を生成するように構成されている。すなわち、操作ボタン261~263の操作によって第1運転モードが選択された状態で操作ボタン265が操作されれば、モード受付部166は、使用者が第1運転モードでの動作の開始を要求していることを表す信号を生成するように構成されている。一方、操作ボタン261~263の操作によって第2運転モードが選択された状態で操作ボタン265が操作されれば、モード受付部166は、使用者が第2運転モードでの動作の開始を要求していることを表す信号を生成するように構成されている。
【0048】
操作パネル180に対する操作結果に基づいて洗濯機100の動作を制御する制御器170が筐体110の前壁の下部の近傍に配置されている。制御器170は、
図4に示すように、モード受付部166、回転検出部161、水量検出部162及び重量検出部160に電気的に接続されており、これらが生成した信号を受信するように構成されている。また、制御器170は、これらの信号の受信に応じて制御信号を生成する給液制御部171、駆動制御部173及び乾燥制御部174と、洗濯機100が実行した運転モードの履歴を記憶する記憶部172と、を有している。
【0049】
駆動制御部173は、駆動部121を制御するように構成されている。乾燥制御部174は、気流生成部151、除湿部152及び加熱部153を制御するように構成されている。
【0050】
給液制御部171は、給水弁131、排水弁142、分配弁181,182及びポンプ202を制御するように構成されている。また、給液制御部171は、洗濯機100が実行した運転モード(第1運転モード又は第2運転モード)を記憶部172に書き込むように構成されている。一の運転モードが実行された後に次の運転モードが実行される場合には、給液制御部171は、直前に実行された運転モード(すなわち、一の運転モード)に関する履歴情報を記憶部172から取得する。この履歴情報は、次の運転モードの実行時における給水弁131に対する制御に利用される。
【0051】
制御器170は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリが搭載された制御基板によって構成されてもよい。この場合、給液制御部171、駆動制御部173及び乾燥制御部174は、CPUによって構成され得る。また、記憶部172は、メモリによって構成され得る。なお、このメモリには、制御プログラムが格納されていてもよい。この制御プログラムは、CPUによって実行されてもよい。代替的に、制御器170は、処理速度を向上させるために、ハードロジック回路で構成されてもよい。ハードロジック回路は、1又は複数の半導体チップで構成され得る。ハードロジック回路と組み合わせて、マイクロコンピュータ及び周辺回路が用いられてもよい。
【0052】
(動作の説明)
洗濯機100の動作を、
図5及び
図6を参照して以下に説明する。
【0053】
図5に示すように、使用者が、洗濯機100の衣類101を投入した後に、操作パネル180を操作すると、制御器170は、モード受付部166から信号(使用者が選択した運転モードでの運転開始を要求する信号)を受信する(ステップS100:Yes)。給液制御部171は、この信号の受信に応じて、
図6に示す手順に従って洗濯機100の動作内容を設定する(ステップS200)。
【0054】
すなわち、上述の信号の受信に応じて、制御器170は、洗濯槽126内に投入された衣類101の重量に関する重量情報を取得する(ステップS210)。詳細には、制御器170の駆動制御部173は、駆動部121を作動させる。このとき、重量検出部160は、駆動部121にかかるトルク及び/又は駆動部121に流れる電流の大きさを検出し、検出した情報に基づき、洗濯槽126に投入された衣類101の重量を表す重量情報を生成する。この重量情報は、重量検出部160から制御器170に出力される。
【0055】
制御器170が重量情報を取得すると、制御器170の給液制御部171は、記憶部172に格納されている履歴情報を読み出し、履歴情報が第1運転モードを表しているか否かの判定処理を実行する(ステップS220)。履歴情報が第2運転モードを表している場合(ステップS220:No)、制御器170(給液制御部171、駆動制御部173及び乾燥制御部174)は、この重量情報に基づいて、たとえば、以下の設定事項を決定する(ステップS230)。なお、このステップS230における処理は、記憶部172に履歴情報が格納されていない場合(すなわち、洗濯機100が最初に運転される場合)にも同様に行われる。
・洗い工程及びすすぎ工程における給水量(衣類101の重量によって吸水状態が変化するため給水量が変化するが、
図1に示す第1給水水位まで給水される)。
・洗い工程、すすぎ工程、脱水工程及び乾燥工程の時間長。
・洗い工程、すすぎ工程、脱水工程及び乾燥工程における駆動部121の動作パターン。
・洗い工程及びすすぎ工程における給水弁131及び排水弁142の開閉タイミング。
・分配弁181,182の開閉タイミング。
【0056】
給液制御部171は、上述の設定事項を決定した後、モード受付部166から受信した信号が第1運転モードでの運転を要求しているか否かを判定する(ステップS250)。モード受付部166から受信した信号が第1運転モードでの運転を要求している場合(ステップS250:Yes)、給液制御部171は、脱水工程において、弱酸性溶液を噴霧することを決定する。このとき、給液制御部171は、上述の重量情報に基づいて、弱酸性溶液の噴霧量を決定する(ステップS270)。弱酸性溶液の噴霧量は、衣類101の重量が大きければ大きいほど、大きな値に設定されることが好ましい。一方、モード受付部166から受信した信号が第2運転モードでの運転を要求している場合(ステップS250:No)、給液制御部171は、弱酸性溶液を噴霧しないことを決定する(ステップS260)。
【0057】
上述の如く、制御器170(給液制御部171、駆動制御部173及び乾燥制御部174)は、履歴情報が第1運転モードを表していない場合には(ステップS220:No)、重量情報に基づいて、すすぎ工程における給水量等を設定する(ステップS230)。すなわち、第2運転モードが実行された次の洗濯機100の動作時においては、すすぎ工程における給水量は、衣類101の重量が大きければ大きいほど多くなるように設定されている(ステップS230)。一方、履歴情報が第1運転モードを表していれば(ステップS220:Yes)、給液制御部171は、すすぎ工程において、洗濯槽126を洗浄することを決定する(ステップS240)。すなわち、第1運転モードが実行された次の洗濯機100の動作時においては、給液制御部171は、洗濯槽126の洗浄に必要な給水量をすすぎ工程用に設定する。この場合における給水量の設定については、後述する。なお、他の設定事項は、ステップS230における処理と同様に、重量情報に基づいて設定されてもよい。
【0058】
洗濯機100の動作内容が決定されると(ステップS200)、洗濯機100は、洗い工程を実行する(ステップS300)。すなわち、駆動制御部173及び給液制御部171は、洗濯機100が洗い工程を実行するように、駆動部121、給水弁131、分配弁181及び排水弁142を制御する。詳細には、給液制御部171は、分配弁182及び排水弁142を閉じた状態で、給水弁131及び分配弁181を開く。給水弁131及び分配弁181が開くことにより、洗剤を含んだ水が、洗濯槽126の水槽112に給水され、水が水槽112内に貯留される。
【0059】
水槽112内の水量は、水量検出部162によってモニタされている。水量検出部162は、水槽112内の水の量を表す信号を給液制御部171に出力する。この信号によって表される水量が、上述の如く設定された給水量に達すると、給液制御部171は、給水経路130が閉じられるように、給水弁131を制御する。
【0060】
その後、駆動制御部173は、洗い工程用に設定された動作パターンにしたがって駆動部121を制御する。たとえば、駆動制御部173は、ドラム120の回転に伴い衣類101が上方に移動し、その後、上方に移動した衣類101が落下するような回転速度でドラム120が回転するように駆動部121を制御する。このような回転速度でドラム120が回転されれば、衣類101を水中で攪拌しつつ、ドラム120の内周面に叩きつける叩き洗いが実行可能になる。なお、駆動制御部173は、このような回転速度でドラム120が所定期間ごとに正転及び逆転を繰り返すように、駆動部121を制御してもよい。
【0061】
衣類101の叩き洗いにより、衣類101の汚れが洗濯槽126内の水に落とされる。衣類101の叩き洗いが所定期間実行されると、給液制御部171は、排水弁142を開く。この結果、汚れ及び洗剤を含んだ水は、洗濯槽126から排水される。
【0062】
なお、洗い工程の期間中に、叩き洗いを実行する叩き洗い期間が時間間隔を空けて複数設けられ、これらの叩き洗い期間の間において、中間すすぎ処理が実行されてもよい。この中間すすぎ処理では、水中で衣類101が揺れ動くことを許容する量の水が洗濯槽126に貯留され、ドラム120を回転することにより衣類101が水中で攪拌される。
【0063】
上述の叩き洗いの後、給液制御部171及び駆動制御部173は、中間脱水処理(洗い工程において実行される脱水処理)を実行してもよい。このとき、給液制御部171は、排水経路140が開かれるように、排水弁142を制御する。また、駆動制御部173は、上述の叩き洗い時の回転速度よりもドラム120が高い回転速度で所定期間だけ回転するように駆動部121を制御し、衣類101に含まれる水分を遠心分離する。中間脱水処理の終了後、駆動制御部173及び給液制御部171は、洗濯機100がすすぎ工程を実行するように、駆動部121、給水弁131、分配弁181,182及び排水弁142を制御する(ステップS400)。
【0064】
給液制御部171が、ステップS200において、洗濯槽126を洗浄することを決定しているか否かにかかわらず、すすぎ工程では、水槽112への給水及び水槽112からの排水が複数回繰り返される。なお、すすぎ工程では、衣類101をドラム120に叩きつけることは必要とされず、衣類101から洗剤をすすぎ落とすように水中で衣類101を攪拌することが行われる。このため、すすぎ工程における水槽112への給水量は、洗濯槽126における貯水量が洗い工程における貯水量よりも大きくなるように設定されており、衣類101が洗濯槽126内の水の中で揺れ動くことが許容される量の水が洗濯槽126に供給される。つまり、第1給水水位は、洗い工程とすすぎ工程とにおいて異なっていてもよい。
【0065】
なお、すすぎ工程における洗濯槽126の洗浄が行われない場合には(すなわち、ステップS230が実行される場合)、重量検出部160が検出した衣類101の重量に応じて、洗濯槽126への給水量が設定されている。
図1では、すすぎ工程において、第1給水水位で給水された水が攪拌されたときにドラム120の後壁に届く高さが、「第1液位」として示されている。
【0066】
すすぎ工程の序盤及び中盤では、給液制御部171は、洗剤供給用の分配弁181を開き、柔軟剤供給用の分配弁182を閉じた状態で給水弁131を開いたり閉じたりする。すすぎ工程の開始時においては、洗剤収容部134は、空になっているので、洗剤供給用の分配弁181を開いても、洗剤をほとんど又は全く含まない水が洗濯槽126に流入する。この水が洗濯槽126に貯留された状態で、駆動制御部173は、駆動部121を作動させ、ドラム120及びバッフル部123を回転させる。この結果、衣類101は、ドラム120内で攪拌され、洗剤及び汚れが衣類101からすすぎ落とされる。ドラム120内での衣類101の攪拌を所定期間続けた後、給液制御部171は、排水弁142を開いて、洗剤及び汚れを含む水を洗濯槽126から排出する。その後、給液制御部171は、排水弁142を閉じるとともに、給水弁131を開く。この結果、洗剤をほとんど又は全く含まない水が洗濯槽126に再度供給される。このように、洗濯槽126への給水及び洗濯槽126からの排水を繰り返しつつ、ドラム120内で衣類101を攪拌することにより、衣類101から洗剤及び汚れがすすぎ落とされる。
【0067】
すすぎ工程の終盤では、給液制御部171は、排水弁142と、洗剤供給用の分配弁181と、を閉じる。一方、給液制御部171は、給水弁131と、柔軟剤供給用の分配弁182と、を開く。この結果、水は、柔軟剤収容部135を通過して、洗濯槽126に流入し、柔軟剤を含んだ水が洗濯槽126内に貯留される。この状態で、駆動制御部173は、駆動部121を作動させ、ドラム120及びバッフル部123を回転させる。ドラム120及びバッフル部123の回転により、衣類101は、ドラム120内で攪拌され、衣類101の様々な部分に柔軟剤が付着する。ドラム120内で衣類101が所定の期間攪拌された後、給液制御部171は、排水弁142を開き、洗濯槽126から排水する。
【0068】
すすぎ工程の後、駆動制御部173は、洗濯機100が脱水工程を実行するように、駆動部121を制御する(ステップS500)。脱水工程では、ドラム120は、駆動部121によって回転駆動されて、洗い工程及びすすぎ工程における回転速度よりも高い回転速度で正転する。この結果、衣類101中の水が遠心分離され、遠心分離された水は、洗濯槽126から排出される。
【0069】
なお、上述のステップS200において、弱酸性溶液の噴霧量が決定されている場合には(ステップS270)、給液制御部171は、脱水工程において弱酸性溶液が洗濯槽126内に噴霧されるように、溶液供給部200を制御する。詳細には、給液制御部171は、ポンプ202を所定期間だけ作動させて、ステップS270で設定された噴霧量の弱酸性溶液を供給する。ポンプ202は、溶液収容部136内の弱酸性溶液を吸い込み、吸い込んだ弱酸性溶液を供給機203に吐出する。供給機203は、弱酸性溶液を霧状にして、洗濯槽126内に供給する。弱酸性溶液は、供給機203から霧状になって後方に噴射され、洗濯槽126内で拡散する。この結果、弱酸性溶液は、ドラム120の後壁の上部に付着し得る。ドラム120の後壁において弱酸性溶液が付着することが想定される領域が、
図1の楕円領域として示されている。
図1に示すように、弱酸性溶液は、第1液位よりも高い位置において、ドラム120の後壁に付着し得る。
【0070】
脱水工程が終了すると、乾燥工程が実行される(ステップS600)。乾燥工程では、駆動制御部173は、脱水工程における回転速度よりも低い回転速度でドラム120が所定期間ごとに正転及び逆転を繰り返しながら、ドラム120内の衣類101を攪拌するように、駆動部121を制御する。
【0071】
乾燥制御部174は、駆動部121に対する上述の制御の開始に同期して、気流生成部151、除湿部152及び加熱部153に対する制御を開始する。詳細には、乾燥制御部174は、気流生成部151が所定の強さの気流を生成するように(すなわち、所定の送風量が得られるように)、気流生成部151を制御する。この間、乾燥制御部174は、冷媒が流れるように除湿部152を制御し、除湿部152で結露を生じさせる。この結果、気流生成部151によって生成された気流から水分が除去される。また、乾燥制御部174は、ヒータに電流が流れるように加熱部153を制御し、気流を加熱する。気流の加熱により得られた乾燥空気は、風路150を通じて水槽112及びドラム120に供給され、ドラム120内の衣類101を乾燥する。
【0072】
乾燥工程の開始から所定の時間長が経過すると、乾燥工程は、終了する。このとき、給液制御部171は、洗濯機100が実行した運転モードを記憶部172に書き込む(ステップS700)。すなわち、脱水工程において弱酸性溶液が噴霧されていれば、制御器170は、洗濯機100が第1運転モードで運転したことを記憶部172に書き込む。一方、弱酸性溶液の噴霧が行われることなく脱水工程が実行されていれば、制御器170は、洗濯機100が第2運転モードで運転したことを記憶部172に書き込む。記憶部172への運転モードの書き込みの後、制御器170は、モード受付部166からの次の信号(使用者が選択した運転モードでの運転開始を要求する信号)を待つ(ステップS100:No)。
【0073】
(第1運転モードが実行された次の洗濯動作における給水量の設定)
洗濯機100が第1運転モードで動作した場合、弱酸性溶液は、
図1に示すように、第1液位よりも高い位置においてドラム120の後壁に付着し得る。しかし、洗い工程及びすすぎ工程において、第1給水水位で供給された水が届く第1液位では、後壁に付着した弱酸性溶液を完全に洗い流すことができない可能性がある。弱酸性溶液がドラム120に付着し続ければ、ドラム120の変色又は変質が生じ得る。このため、第1運転モードが実行された次の洗濯機100の運転時において、洗濯槽126の洗浄を行うことが決定される(ステップS240)。ステップS240では、第1液位よりも高い位置においてドラム120の後壁に付着した弱酸性溶液が洗い流されるように、給液制御部171は、すすぎ工程における洗濯槽126内の液位を設定する。たとえば、給液制御部171は、
図1に示すように、第1給水水位よりも高い第2給水水位が得られるように給水する。これにより、第2給水水位で給水された水がすすぎ工程において攪拌されれば、
図1において「第2液位」で示す高さまでドラム120の後壁に到達し得る。第2液位が、弱酸性溶液の付着領域以上の高さであれば、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液は、洗濯槽126に供給された水によって洗い流され得る。なお、第2液位は、洗濯槽126に投入された衣類101の重量とは無関係に設定され得る。すなわち、第2液位は、弱酸性溶液が付着することが想定される領域よりも高くなるように設定されればよい。
【0074】
すすぎ工程では、上述の如く、貯水動作が複数回行われるが、ステップS240が実行された場合には、給液制御部171は、これらの貯水動作のうち少なくとも1つにおいて第2液位が得られるように給水弁131及び排水弁142を制御する。
【0075】
上述の実施形態では、第1運転モードで洗濯機100が動作した後に新たな衣類101を洗濯する場合において、すすぎ工程における洗濯槽126内の液位が第2液位に到達するように、洗濯槽126への給水量が設定される。第2液位は、第1運転モードでの洗濯機100の動作において洗濯槽126内で噴霧された弱酸性溶液が付着し得る領域以上の高さであるので、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液は、新たな衣類101をすすぐすすぎ工程において洗い流される。この結果、弱酸性溶液が洗濯槽126に付着した状態が長時間に亘って続くことが防止される。このため、洗濯槽126の変色又は変質が抑制される。
【0076】
なお、第2運転モードで洗濯機100が動作した場合には、弱酸性溶液の噴霧はなされないので、新たな衣類101を洗濯する際に弱酸性溶液を洗い落とす必要はない。このため、第2運転モードで洗濯機100が動作した後に新たな衣類101を洗濯する場合において、すすぎ工程における洗濯槽126への給水量を増加させる処理はなされない。すなわち、このすすぎ工程では、衣類101をすすぐのに必要な量だけ洗濯槽126への給水がなされる。この結果、水の浪費が抑制される。
【0077】
上述の実施形態では、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液を洗い流すために、洗濯機100が洗い工程及びすすぎ工程を実行するために備えている設備が利用される。このため、弱酸性溶液を洗い流すための専用の設備は必要とされない。
【0078】
上述の実施形態では、洗濯槽126のドラム120は、弱酸性溶液によって変色又は変質を生じ得るステンレス製である。代替的に、ドラム120は、弱酸性溶液によって変色又は変質を生じ得る他の材料から形成されていてもよい。この場合においても、第1運転モードでの洗濯機100の運転後に新たな衣類101が洗濯されるときに、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液が洗い流され、ドラム120の変色又は変質が抑制される。
【0079】
上述の実施形態では、第1運転モードで洗濯機100が動作した後に新たな衣類101を洗濯する場合において、すすぎ工程における洗濯槽126への給水量が増やされている。代替的に、洗い工程における洗濯槽126への給水量が増やされてもよい。たとえば、洗い工程中に実行される中間すすぎ処理において洗濯槽126内の液位が第2液位になるように、給水弁131及び排水弁142が制御されてもよい。
【0080】
上述の実施形態では、弱酸性溶液は、脱水工程において噴霧されている。代替的に、弱酸性溶液は、乾燥工程において洗濯槽126内で噴霧されてもよい。この場合、乾燥工程では衣類101を乾燥するための乾燥空気が供給されているので、噴霧された弱酸性溶液がより広い範囲に拡散し得る。このため、新たな衣類101を洗濯する際に、
図1に示す第2液位よりも高い液位が得られるように洗濯槽126への給水が制御されてもよい。
【0081】
上述の実施形態では、弱酸性溶液は、衣類101を弱酸性の状態にするために噴霧されている。代替的に、衣類101に付着したアルカリ性の洗剤を溶解するために、弱酸性溶液が噴霧されてもよい。この場合、弱酸性溶液は、洗い工程又はすすぎ工程において噴霧されてもよい。
【0082】
上述の実施形態では、第1運転モードで洗濯機100が動作した後に新たな衣類101を洗濯する場合において、すすぎ工程における洗濯槽126への給水量が増やされている。これに加えて、又は、代替的に、すすぎ工程におけるドラム120の回転速度を増やす制御が実行されてもよい。すなわち、洗濯槽126を洗浄することを決定するステップS240の処理が実行された場合には、この処理が行われない場合(すなわち、ステップS230が実行される場合)よりも、駆動制御部173は、高い回転速度をドラム120用に設定してもよい。言い換えると、駆動制御部173は、洗濯槽126を洗浄することを決定するステップS240の処理が実行される場合に、ドラム120の回転速度が比較的高くなるように駆動部121を制御してもよい。例えば、洗濯槽126を洗浄しない場合のドラム120の回転速度が40r/minであれば、洗濯槽126を洗浄する場合のドラム120の回転速度は、80r/min~100r/minの範囲に設定されてもよい。ドラム120の回転速度が高くなれば、洗濯槽126内の水は、より高い位置に到達し得る。ドラム120の回転速度が高くなれば、洗濯槽126内の水は、より高い位置に到達し得る。このため、ドラム120の回転速度を増加させる処理が行われる場合には、
図1に示す第2液位よりも低い液位が得られるように洗濯槽126への給水量が設定されてもよい。すなわち、ドラム120の回転速度を増加させる処理により、水の消費量が抑制され得る。
【0083】
上述の実施形態では、第1運転モードの終了時において、記憶部172への書き込み処理が実行されている(ステップS700)。代替的に、記憶部172への書き込み処理(ステップS700)は、弱酸性溶液の噴霧の開始時刻以後であればいずれのタイミングであってもよい。たとえば、書き込み処理が、弱酸性溶液の噴霧の開始と同時に実行されれば、弱酸性溶液の噴霧の開始以後に第1運転モードでの運転が中断されても、第1運転モードでの運転が実行に伴って弱酸性溶液の噴霧が行われたことの記録が記憶部172に残る。これにより、次の洗濯動作において、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液を洗い流すことができる。また、弱酸性溶液の噴霧前に第1運転モードでの運転が中断された場合には、記憶部172に第1運転モードでの運転が実行されたことの履歴情報は書き込まれない。このため、次の洗濯動作において、弱酸性溶液を洗い流すための処理は実行されず、水の浪費が抑制される。
【0084】
上述の実施形態では、洗濯機100の運転モードを選択し、選択された運転モードで洗濯機100の運転を開始するために、洗濯機100の筐体110に搭載された操作パネル180の操作部267(操作ボタン261~263,265)が操作される。代替的に又は追加的に、洗濯機100が通信機能を有していれば、この洗濯機100と通信可能に構成された携帯端末(たとえば、スマートホン)が操作部267を構成してもよい。
【0085】
上述の実施形態に係る一の局面に係る洗濯機100は、衣類101を収容可能に構成された洗濯槽126と、洗濯槽126に給水する給水部125と、洗濯槽126を駆動する駆動部121と、駆動部121を制御する駆動制御部173と、洗濯槽126内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部200と、洗濯槽126内の衣類101を水中で攪拌しながら衣類101を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び噴霧動作を行わず洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部166と、モード受付部166が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽126が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部125及び溶液供給部200を制御し、モード受付部166が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽126が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部125を制御する給液制御部171と、を備えている。給液制御部171は、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126内の液位が、第2運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126内の液位よりも高くなるように給水部125を制御する。
【0086】
上述の構成によれば、モード受付部166が受け付けた運転モードが第1運転モードである場合、洗濯動作だけでなく弱酸性溶液の噴霧が行われる。この場合、衣類101に弱酸性溶液を付着させ、衣類101を弱酸性の状態にしたり、衣類101に付着した洗剤を溶解したりすることができる。しかしながら、弱酸性溶液は、霧状になって洗濯槽126内の空間を漂い得るので、洗濯槽126の様々な部分に付着し得る。洗濯槽126に付着した弱酸性溶液を新たな洗濯動作において洗い流しやすくするために、給液制御部171は、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽内の液位が比較的高くなるように給水部125を制御する。この制御により、弱酸性溶液が付着した部分に、次の洗濯動作に用いられる水が届きやすくなり、弱酸性溶液は、次の洗濯動作中に洗い流され得る。この結果、弱酸性溶液に起因した洗濯槽126の変色又は変質が抑制される。一方、モード受付部166が受け付けた運転モードが第2運転モードである場合には、弱酸性溶液の噴霧動作はなされないので、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液を洗い流す必要はない。このため、給液制御部171は、第2運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126内の液位が比較的低くなるように給水部125を制御する。この結果、水の浪費が抑制される。
【0087】
上述の構成において、洗濯機100は、洗濯槽126内の衣類101の重量を検出する重量検出部160を更に備えていてもよい。第2運転モードが実行された次の洗濯動作では、給液制御部171は、重量検出部160が検出した衣類101の重量に基づいて設定された液位が得られるように、給水部125を制御してもよい。第1運転モードが実行された次の洗濯動作では、給液制御部171は、重量検出部160が検出した衣類101の重量に基づいて設定される液位よりも大きな値に設定された所定の液位が得られるように、給水部125を制御してもよい。
【0088】
上述の構成によれば、衣類101の重量が大きければ大きいほど、衣類101を洗濯するために必要とされる液位は高くなる。このため、給液制御部171は、第2運転モードが実行された次の洗濯動作では、重量検出部160が検出した衣類101の重量に基づいて設定された液位が得られるように、給水部125を制御する。一方、第1運転モードが実行された次の洗濯動作では、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液を洗い流すために、衣類101の洗濯に必要とされる液位よりも高い液位が必要とされる。このため、給液制御部171は、衣類101の重量に基づいて設定される液位よりも大きな値に設定された所定の液位が得られるように、給水部125を制御する。
【0089】
上述の構成において、駆動制御部173は、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126の回転速度が、第2運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126内の回転速度よりも高くなるように駆動部121を制御してもよい。
【0090】
上述の構成によれば、駆動制御部173は、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126の回転速度が比較的高くなるように駆動部121を制御する。洗濯槽126の回転速度が高くなれば、洗濯槽126内の水は、より高い位置に到達し得る。この結果、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液を洗い流しやすくなる。
【0091】
上述の実施形態に係る他の局面に係る洗濯機100は、衣類101を収容可能に構成された洗濯槽126と、洗濯槽126に給水する給水部125と、洗濯槽126を駆動する駆動部121と、洗濯槽126内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部200と、洗濯槽126内の衣類101を水中で攪拌しながら衣類101を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び噴霧動作を行わず洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部166と、モード受付部166が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽126が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部125及び溶液供給部200を制御し、モード受付部166が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽126が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部125を制御する給液制御部171と、第2運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126内の回転速度よりも、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126の回転速度が高くなるように駆動部121を制御する駆動制御部173と、を備えている。
【0092】
上述の構成によれば、駆動制御部173は、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126の回転速度が比較的高くなるように駆動部121を制御する。洗濯槽126の回転速度が高くなる結果、洗濯槽126内の水は、より高い位置に到達し得る。この結果、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液が洗い流され、洗濯槽126の変色又は変質が抑制される。一方、第2運転モードでの運転が行われた場合には、弱酸性溶液の噴霧は実行されないので、弱酸性溶液を洗濯槽126から洗い流す動作は必要ない。このため、洗濯槽126の回転速度は、弱酸性溶液を洗い流すときのような高い値に設定される必要はなく、衣類101の洗濯に必要とされる値に設定されればよい。洗濯槽126の回転速度は、比較的低く設定されるので、洗濯槽126を駆動する駆動部121の負荷は軽減される。
【0093】
(第2実施形態)
第1運転モードでの洗濯機100の動作が終了してから次の洗濯動作が開始されるまでの時間長が長くなることが想定される。この場合、第1運転モードでの洗濯機100の動作中に噴霧された弱酸性溶液は、洗濯槽126に付着した状態を長時間に亘って維持する。このような事態を回避すべく、
図7に示す制御が実行されていてもよい。
【0094】
図7に示す制御では、第1運転モードでの洗濯機100の動作の終了時において、給液制御部171は、
図5に示す制御と同様に、第1運転モードでの運転が実行されたことを記憶部172に書き込む(ステップS700)。給液制御部171は、その後、計時を開始する(ステップS710)。
【0095】
計時の開始から所定の時間長(たとえば、1日)が経過する前に、制御器170がモード受付部166から信号(使用者が選択した運転モードでの運転開始を要求する信号)を受信すると(ステップS720:Yes)、
図5の制御と同様の処理が実行される。すなわち、モード受付部166からの信号と記憶部172に格納された履歴情報とに基づいて、第1運転モード又は第2運転モードで洗濯機100が運転される(ステップS730)。
【0096】
上述のステップS720において、所定の時間長が経過する前に制御器170がモード受付部166からの信号を受信しなければ(ステップS720:No)、洗濯槽126の洗浄がなされる(ステップS740)。すなわち、第1運転モードが終了してから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されないことを条件として、給液制御部171は、給水部125及び排水部143を制御する。詳細には、所定の時間長が経過すると、洗濯槽126への給水及び貯水がなされ、その後、洗濯槽126から排水がなされるように、給液制御部171は、給水弁131及び排水弁142を制御する。この結果、直前の第1運転モードでの運転時に噴霧された弱酸性溶液が洗い流される。なお、このときの貯水量は、
図1に示す第2液位まで水が満たされるように設定されている。
【0097】
図7に示す制御では、所定の時間長が経過する前に制御器170がモード受付部166からの信号を受信しなくても(ステップS720:No)、所定の時間長の経過を条件として、洗濯槽126への給水がなされる(ステップS740)。この結果、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液が洗い流される。したがって、衣類101の洗濯が頻繁に行われなくても、弱酸性溶液が洗濯槽126に付着した状態が長時間に亘って維持されることはない。この結果、洗濯槽126が弱酸性溶液によって変色したり、変質したりすることが抑制される。
【0098】
図7に示す制御が実行された場合、新たな衣類101の洗濯時において、洗濯槽126を洗浄する処理は必要とされない。このため、
図7に示す制御が実行された場合、記憶部172内の履歴情報が第1運転モードであっても、すすぎ工程における洗濯槽126内の液位は、洗濯槽126に投入された衣類101の重量に基づいて設定される。この結果、水の浪費が抑制される。
【0099】
図7に示す制御の実行において、ステップS720での判定処理において用いられる時間長が次の洗濯動作までに洗濯槽の洗浄を開始する程度に小さな値に設定されていれば、記憶部172内の履歴情報が第1運転モードを表しているか否かの判定処理(ステップS220)は、実行されなくてもよい。すなわち、洗濯機100が第1運転モードを実行した後のすすぎ工程における洗濯槽126内の液位は、衣類101の重量に基づいて設定されてもよい(ステップS230)。
【0100】
図7に示す制御のステップS740(洗濯槽126の洗浄)の実行中、駆動制御部173は、ドラム120が回転するように駆動部121を制御してもよい。この場合、ドラム120の回転によって洗濯槽126内の水は、より高い位置に到達し得るので、ドラム120を静止した状態で弱酸性溶液を洗い流す場合と比べて、少量の水が洗濯槽126に供給されてもよい。
【0101】
図7に示す制御は、第1運転モードで洗濯機100が動作した後に新たな衣類101を洗濯する場合において、洗濯動作時における洗濯槽126の回転速度を増やす制御を実行する制御器170に適用されてもよい。この場合においても、第1運転モードで洗濯機100が動作してから所定の時間長以内に新たな洗濯動作が開始されなければ、洗濯槽126への給水がなされ、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液が洗い流される。
【0102】
第2実施形態に係る一の局面に係る洗濯機100は、第1実施形態と同様に、衣類101を収容可能に構成された洗濯槽126と、洗濯槽126に給水する給水部125と、洗濯槽126を駆動する駆動部121と、駆動部121を制御する駆動制御部173と、洗濯槽126内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部200と、洗濯槽126内の衣類101を水中で攪拌しながら衣類101を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び噴霧動作を行わず洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部166と、モード受付部166が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽126が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部125及び溶液供給部200を制御し、モード受付部166が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽126が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部125を制御する給液制御部171と、を備えている。給液制御部171は、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126内の液位が、第2運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126内の液位よりも高くなるように給水部125を制御する。
【0103】
上述の構成において、給液制御部171は、第1運転モードが実行されてから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されないことを条件として、洗濯槽126への給水により弱酸性溶液が洗い流されるように給水部125を制御してもよい。
【0104】
上述の構成によれば、第1運転モードが実行されてから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されなくても、洗濯槽126への給水がなされるので、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液が洗い流され得る。
【0105】
上述の構成において、洗濯機100は、第1実施形態と同様に、洗濯槽126内の衣類101の重量を検出する重量検出部160を更に備えていてもよい。第2運転モードが実行された次の洗濯動作では、給液制御部171は、重量検出部160が検出した衣類101の重量に基づいて設定された液位が得られるように、給水部125を制御してもよい。第1運転モードが実行された次の洗濯動作では、給液制御部171は、重量検出部160が検出した衣類101の重量に基づいて設定される液位よりも大きな値に設定された所定の液位が得られるように、給水部125を制御してもよい。
【0106】
上述の構成において、駆動制御部173は、第1実施形態と同様に、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126の回転速度が、第2運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126内の回転速度よりも高くなるように駆動部121を制御してもよい。
【0107】
第2実施形態に係る他の局面に係る洗濯機100は、第1実施形態と同様に、衣類101を収容可能に構成された洗濯槽126と、洗濯槽126に給水する給水部125と、洗濯槽126を駆動する駆動部121と、洗濯槽126内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部200と、洗濯槽126内の衣類101を水中で攪拌しながら衣類101を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び噴霧動作を行わず洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部166と、モード受付部166が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽126が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部125及び溶液供給部200を制御し、モード受付部166が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽126が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部125を制御する給液制御部171と、第2運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126内の回転速度よりも、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽126の回転速度が高くなるように駆動部121を制御する駆動制御部173と、を備えている。
【0108】
上述の構成において、給液制御部171は、第1運転モードが実行されてから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されないことを条件として、洗濯槽126への給水により弱酸性溶液が洗い流されるように給水部125を制御してもよい。
【0109】
上述の構成によれば、第1運転モードが実行されてから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されなくても、洗濯槽126への給水がなされるので、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液が洗い流され得る。
【0110】
第2実施形態に係る他の局面に係る洗濯機100は、衣類101を収容可能に構成された洗濯槽126と、洗濯槽126に給水する給水部125と、洗濯槽126を駆動する駆動部121と、駆動部121を制御する駆動制御部173と、洗濯槽126内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部200と、洗濯槽126内の衣類101を水中で攪拌しながら衣類101を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び噴霧動作を行わず洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部166と、モード受付部166が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽126が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部125及び溶液供給部200を制御し、モード受付部166が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽126が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部125を制御する給液制御部171と、を備えている。給液制御部171は、第1運転モードが実行されてから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されないことを条件として、洗濯槽126への給水により弱酸性溶液が洗い流されるように給水部125を制御する。
【0111】
上述の構成によれば、第1運転モードが実行されてから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されなくても、洗濯槽126への給水がなされるので、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液が洗い流され得る。
【0112】
(第3実施形態)
洗濯槽126に付着した弱酸性溶液の洗浄は、第1運転モードでの運転が終了して衣類101が洗濯槽126から取り出されたことを条件として実行されてもよい。この場合、洗濯機100は、
図8に示すように、洗濯槽126内の衣類101の有無を検出する衣類検出部167と、扉部111の開状態及び閉状態を検出可能に筐体110に取り付けられた扉検出部211を備えてもよい。扉検出部211は、たとえば、閉状態の扉部111に光を出射するとともに扉部111からの反射光を受光する光学センサであってもよい。なお、衣類検出部167は、重量検出部160と同様の構成を有しており、洗濯槽126内に投入された衣類101の重量に基づいて、洗濯槽126内の衣類101の有無を検出するように構成されている。また、洗濯機100の他の構成は、第1実施形態及び第2実施形態と同じであり、これらの実施形態に係る説明は、第3実施形態の洗濯機100に援用される。
【0113】
扉検出部211は、操作パネル180の内部回路164に電気的に接続されており、内部回路164は、扉部111が開状態になっているか否かを表す信号を扉検出部211から受信する。内部回路164の表示制御部165は、扉部111が開状態になっていることを扉検出部211が検出しているときに操作パネル180の操作部267が操作されると、ディスプレイ264にエラーメッセージを表示させるように構成されている。このため、モード受付部166は、扉部111が閉状態になっているときにのみ、使用者が選択した運転モードを表す信号を生成し、扉部111が開状態になっているときには、この信号は、生成されない。
【0114】
扉検出部211は、操作パネル180の内部回路164だけでなく、制御器170にも電気的に接続されている。このため、扉部111が開状態になっているか否かを表す信号は、制御器170にも出力される。この信号は、制御器170が洗濯槽126内に衣類101が残っているか否かの判定処理を行うときに利用される。
【0115】
制御器170は、洗濯槽126内に衣類101が残っていることを使用者に通知するためのエラーメッセージを、操作パネル180のディスプレイ264に表示させるための指令を出力可能に構成されている。この指令は、操作パネル180の内部回路164の表示制御部165によって受け取られる。表示制御部165は、この指令の受信に応じて、上述のエラーメッセージを表示するようにディスプレイ264を制御するように構成されている。
【0116】
(第1運転モードの実行後における洗濯機の動作)
第1運転モードで洗濯機100が動作した後、制御器170は、洗濯槽126を洗浄するために、
図9に示す手順にしたがって洗濯機100を制御する。なお、第2運転モードで洗濯機100が動作した場合には、洗濯槽126を洗浄するための制御は実行されない。この場合、洗濯機100は、使用者によって選択された運転モード(第1運転モード又は第2運転モード)で動作する。
【0117】
洗濯機100の運転が終了すると、給液制御部171は、扉検出部211からの信号に基づいて、扉部111の状態に関する判定処理を実行する(ステップS810,S820)。具体的には、給液制御部171は、扉部111が閉状態から開状態になり、その後、閉状態に戻るのを待つ(ステップS810:No及び/又はステップS820:No)。扉部111の状態が上述の如く変化すれば(ステップS810:Yes且つステップS820:Yes)、洗濯槽126内の衣類101の重量に関する重量情報を取得するために、駆動制御部173は、駆動部121を制御する(ステップS830)。これにより、洗濯槽126のドラム120が駆動部121によって回転され、駆動部121に衣類101の重量に応じた負荷がかかる。このとき、衣類検出部167は、駆動部121のトルク等に基づいて、洗濯槽126内に衣類101があるか否かを検出することができる。
【0118】
衣類検出部167が洗濯槽126内に衣類101がないことを検出していれば(ステップS840:Yes)、給液制御部171は、洗濯槽126から衣類101が取り出されたと判定する(ステップS850)。この場合、給液制御部171は、洗濯槽126を洗浄するための制御を実行する(ステップS870)。すなわち、給液制御部171は、洗濯槽126において貯水及び排水がなされるように、給水弁131及び排水弁142を制御する。なお、このときの貯水量は、
図8に示す第2液位まで水が満たされるように設定されている。
【0119】
逆に、衣類検出部167が洗濯槽126内に衣類101があることを検出していれば(ステップS840:No)、給液制御部171は、洗濯槽126内に衣類101が残っていると判定する(ステップS860)。この場合、給液制御部171は、ディスプレイ264にエラーメッセージを表示させるための指令を、操作パネル180の内部回路164に出力する。この指令に基づいて、内部回路164の表示制御部165は、ディスプレイ264にエラーメッセージを表示させ、洗濯槽126に残った衣類101を取り出すことを使用者に促す。このエラーメッセージに応じて使用者が洗濯槽126に残った衣類101を取り出せば、ステップS810~S850の処理が順次実行される。
【0120】
なお、第2運転モードで洗濯機100が動作した場合においても、洗濯槽126から衣類101が取り出されたか否かの判定処理及び洗濯槽126内に衣類101が残っている場合におけるエラーメッセージの表示処理が実行されてもよい。
【0121】
図9に示す制御では、第1運転モードでの運転が終了し、その後、衣類101が洗濯槽126内にないことを条件として、洗濯槽126への給水が行われ、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液が洗い流される。このため、弱酸性溶液が洗濯槽126に付着した状態は、短時間に解消され得る。なお、衣類101が洗濯槽126内に残っている状態では、弱酸性溶液の洗浄のための洗濯槽126への給水は行われない。このため、第1運転モードの乾燥工程において乾燥処理を受けた衣類101が再度濡れた状態になることが防止される。
【0122】
第2運転モードでは弱酸性溶液の噴霧は行われないので、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液を洗い流す必要はない。このため、第2運転モードでの運転が実行された場合には、弱酸性溶液を洗い流すための処理は実行されない。すなわち、給水部125は、第2運転モードでの運転が終了した後に衣類101が洗濯槽126からなくなっていても、洗濯槽126へ給水しない。この結果、水の浪費が抑制される。
【0123】
図9に示す制御のステップS870(洗濯槽126の洗浄)の実行中、駆動制御部173は、ドラム120が回転するように駆動部121を制御してもよい。この場合、ドラム120の回転によって洗濯槽126内の水は、より高い位置に到達し得るので、ドラム120を静止した状態で弱酸性溶液を洗い流す場合と比べて、少量の水が洗濯槽126に供給されてもよい。
【0124】
図8に示す洗濯機100では、衣類検出部167は、洗濯槽126内の衣類101の重量に基づいて、洗濯槽126内の衣類101の有無を検出している。代替的に、衣類検出部167として、ドラム120の内部を撮像するカメラが用いられてもよい。カメラが取得した画像データに基づいて、洗濯槽126内の衣類101の有無を検出することも可能である。
【0125】
第1実施形態乃至第3実施形態では、第1運転モードが選択されると、洗濯機100は、洗濯動作、脱水動作、乾燥動作及び噴霧動作を実行する。代替的に、洗濯機100は、第1運転モードが選択された場合に、洗濯動作、脱水動作及び噴霧動作を実行する一方で、乾燥動作を実行しなくてもよい。この場合、洗濯機100は、風路150、気流生成部151、除湿部152及び加熱部153を有さなくてもよい。
【0126】
第1実施形態乃至第3実施形態では、水槽112及びドラム120は、前方に向けて上向きに傾斜した姿勢で筐体110内に収容されている。代替的に、水槽112及びドラム120は、略水平な姿勢で筐体110内に収容されていてもよい。
【0127】
第1実施形態乃至第3実施形態では、洗濯機100は、回転ドラム式の洗濯機として構成されている。代替的に、洗濯機100は、縦型洗濯機として構成されてもよい。
【0128】
第3実施形態に係る一の局面に係る洗濯機100は、衣類101を収容可能に構成された洗濯槽126と、洗濯槽126に給水する給水部125と、洗濯槽126を駆動する駆動部121と、駆動部121を制御する駆動制御部173と、洗濯槽126内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部200と、洗濯槽126内の衣類101を水中で攪拌しながら衣類101を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び噴霧動作を行わず洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部166と、洗濯槽126内における衣類101の有無を検出する衣類検出部167と、モード受付部166が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽126が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部125及び溶液供給部200を制御し、モード受付部166が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽126が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部125を制御する給液制御部171と、を備えている。給液制御部171は、第1運転モードの実行の後において洗濯槽126内に衣類101がなくなっていることを衣類検出部167が検出したことを条件として、洗濯槽126への給水がなされるように給水部125を制御し、第2運転モードの実行の後に洗濯槽126内に衣類101がないことを衣類検出部167が検出した場合には、洗濯槽126へ給水しないように給水部125を制御する。
【0129】
上述の構成によれば、第1運転モードの実行の後に衣類101が洗濯槽126からなくなると、洗濯槽126への給水がなされ得る。この場合、次の洗濯動作を待たずに、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液が洗い流され得る。なお、第2運転モードが実行された場合には、弱酸性溶液は、噴霧されないので、洗濯槽126に付着した弱酸性溶液を洗い流す必要はない。このため、第2運転モードの実行の後に衣類101が洗濯槽126からなくなっても、洗濯槽126への給水は、行われない。この結果、水の浪費が抑制される。
【0130】
(効果等)
上述の実施形態に係る洗濯機100は、以下の特徴を有しているとともに、以下の効果を奏する。
【0131】
上述の実施形態に係る一の局面に係る洗濯機は、衣類を収容可能に構成された洗濯槽と、洗濯槽に給水する給水部と、洗濯槽を駆動する駆動部と、駆動部を制御する駆動制御部と、洗濯槽内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部と、洗濯槽内の衣類を水中で攪拌しながら衣類を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び噴霧動作を行わず洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部と、モード受付部が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部及び溶液供給部を制御し、モード受付部が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部を制御する給液制御部と、を備えている。給液制御部は、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽内の液位が、第2運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽内の液位よりも高くなるように給水部を制御する。
【0132】
上述の構成によれば、モード受付部が受け付けた運転モードが第1運転モードである場合、洗濯動作だけでなく弱酸性溶液の噴霧が行われる。この場合、衣類に弱酸性溶液を付着させ、衣類を弱酸性の状態にしたり、衣類に付着した洗剤を溶解したりすることができる。しかしながら、弱酸性溶液は、霧状になって洗濯槽内の空間を漂い得るので、洗濯槽の様々な部分に付着し得る。洗濯槽に付着した弱酸性溶液を新たな洗濯動作において洗い流しやすくするために、給液制御部は、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽内の液位が比較的高くなるように給水部を制御する。この制御により、弱酸性溶液が付着した部分に、次の洗濯動作に用いられる水が届きやすくなり、弱酸性溶液は、次の洗濯動作中に洗い流され得る。この結果、弱酸性溶液に起因した洗濯槽の変色又は変質が抑制される。一方、モード受付部が受け付けた運転モードが第2運転モードである場合には、弱酸性溶液の噴霧動作はなされないので、洗濯槽に付着した弱酸性溶液を洗い流す必要はない。このため、給液制御部は、第2運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽内の液位が比較的低くなるように給水部を制御する。この結果、水の浪費が抑制される。
【0133】
上述の構成において、洗濯機は、洗濯槽内の衣類の重量を検出する重量検出部を更に備えていてもよい。第2運転モードが実行された次の洗濯動作では、給液制御部は、重量検出部が検出した衣類の重量に基づいて設定された液位が得られるように、給水部を制御してもよい。第1運転モードが実行された次の洗濯動作では、給液制御部は、重量検出部が検出した衣類の重量に基づいて設定される液位よりも大きな値に設定された所定の液位が得られるように、給水部を制御してもよい。
【0134】
上述の構成によれば、衣類の重量が大きければ大きいほど、衣類を洗濯するために必要とされる液位は高くなる。このため、給液制御部は、第2運転モードが実行された次の洗濯動作では、重量検出部が検出した衣類の重量に基づいて設定された液位が得られるように、給水部を制御する。一方、第1運転モードが実行された次の洗濯動作では、洗濯槽に付着した弱酸性溶液を洗い流すために、衣類の洗濯に必要とされる液位よりも高い液位が必要とされる。このため、給液制御部は、衣類の重量に基づいて設定される液位よりも大きな値に設定された所定の液位が得られるように、給水部を制御する。
【0135】
上述の構成において、駆動制御部は、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽の回転速度が、第2運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽内の回転速度よりも高くなるように駆動部を制御してもよい。
【0136】
上述の構成によれば、駆動制御部は、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽の回転速度が比較的高くなるように駆動部を制御する。洗濯槽の回転速度が高くなれば、洗濯槽内の水は、より高い位置に到達し得る。この結果、洗濯槽に付着した弱酸性溶液を洗い流しやすくなる。
【0137】
上述の実施形態に係る他の局面に係る洗濯機は、衣類を収容可能に構成された洗濯槽と、洗濯槽に給水する給水部と、洗濯槽を駆動する駆動部と、洗濯槽内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部と、洗濯槽内の衣類を水中で攪拌しながら衣類を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び噴霧動作を行わず洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部と、モード受付部が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部及び溶液供給部を制御し、モード受付部が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部を制御する給液制御部と、第2運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽内の回転速度よりも、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽の回転速度が高くなるように駆動部を制御する駆動制御部と、を備えている。
【0138】
上述の構成によれば、駆動制御部は、第1運転モードが実行された次の洗濯動作での洗濯槽の回転速度が比較的高くなるように駆動部を制御する。洗濯槽の回転速度が高くなる結果、洗濯槽内の水は、より高い位置に到達し得る。この結果、洗濯槽に付着した弱酸性溶液が洗い流され、洗濯槽の変色又は変質が抑制される。一方、第2運転モードでの運転が行われた場合には、弱酸性溶液の噴霧は実行されないので、弱酸性溶液を洗濯槽から洗い流す動作は必要ない。このため、洗濯槽の回転速度は、弱酸性溶液を洗い流すときのような高い値に設定される必要はなく、衣類の洗濯に必要とされる値に設定されればよい。洗濯槽の回転速度は、比較的低く設定されるので、洗濯槽を駆動する駆動部の負荷は軽減される。
【0139】
上述の構成において、給液制御部は、第1運転モードが実行されてから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されないことを条件として、洗濯槽への給水により弱酸性溶液が洗い流されるように給水部を制御してもよい。
【0140】
上述の構成によれば、第1運転モードが実行されてから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されなくても、洗濯槽への給水がなされるので、洗濯槽に付着した弱酸性溶液が洗い流され得る。
【0141】
上述の実施形態に係る他の局面に係る洗濯機は、衣類を収容可能に構成された洗濯槽と、洗濯槽に給水する給水部と、洗濯槽を駆動する駆動部と、駆動部を制御する駆動制御部と、洗濯槽内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部と、洗濯槽内の衣類を水中で攪拌しながら衣類を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び前記噴霧動作を行わず前記洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部と、モード受付部が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部及び溶液供給部を制御し、モード受付部が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部を制御する給液制御部と、を備えている。給液制御部は、第1運転モードが実行されてから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されないことを条件として、洗濯槽への給水により弱酸性溶液が洗い流されるように給水部を制御する。
【0142】
上述の構成によれば、第1運転モードが実行されてから所定の時間長内に次の洗濯動作が開始されなくても、洗濯槽への給水がなされるので、洗濯槽に付着した弱酸性溶液が洗い流され得る。
【0143】
上述の実施形態に係る他の局面に係る洗濯機は、衣類を収容可能に構成された洗濯槽と、洗濯槽に給水する給水部と、洗濯槽を駆動する駆動部と、駆動部を制御する駆動制御部と、洗濯槽内に弱酸性溶液を噴霧する溶液供給部と、洗濯槽内の衣類を水中で攪拌しながら衣類を洗濯する洗濯動作と弱酸性溶液の噴霧動作とを実行する第1運転モード及び噴霧動作を行わず洗濯動作を実行する第2運転モードを選択的に受け付けるモード受付部と、洗濯槽内における衣類の有無を検出する衣類検出部と、モード受付部が受け付けた運転モードが第1運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作及び噴霧動作が実行されるように給水部及び溶液供給部を制御し、モード受付部が受け付けた運転モードが第2運転モードであることを条件として洗濯槽が駆動された場合に、洗濯動作が実行されるように給水部を制御する給液制御部と、を備えている。給液制御部は、第1運転モードの実行の後において洗濯槽内に衣類がなくなっていることを衣類検出部が検出したことを条件として、洗濯槽への給水がなされるように給水部を制御し、第2運転モードの実行の後に洗濯槽内に衣類がないことを衣類検出部が検出した場合には、洗濯槽へ給水しないように給水部を制御する。
【0144】
上述の構成によれば、第1運転モードの実行の後に衣類が洗濯槽からなくなると、洗濯槽への給水がなされ得る。この場合、次の洗濯動作を待たずに、洗濯槽に付着した弱酸性溶液が洗い流され得る。なお、第2運転モードが実行された場合には、弱酸性溶液は、噴霧されないので、洗濯槽に付着した弱酸性溶液を洗い流す必要はない。このため、第2運転モードの実行の後に衣類が洗濯槽からなくなっても、洗濯槽への給水は、行われない。この結果、水の浪費が抑制される。
【0145】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、第1実施形態乃至第3実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上述の第1実施形態乃至第3実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【0146】
また、以上の実施形態で説明した構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本開示は、衣類の洗浄に好適に利用される。
【符号の説明】
【0148】
100・・・・・洗濯機
101・・・・・衣類
121・・・・・駆動部
125・・・・・給水部
126・・・・・洗濯槽
160・・・・・重量検出部
166・・・・・モード受付部
167・・・・・衣類検出部
171・・・・・給液制御部
173・・・・・駆動制御部
200・・・・・溶液供給部