(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122985
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】コンクリート損傷部判定システム及びコンクリート損傷部判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230829BHJP
【FI】
G06T7/00 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026777
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100198214
【弁理士】
【氏名又は名称】眞榮城 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】西村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】正司 明夫
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA03
5L096DA02
5L096FA59
5L096FA66
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】損傷部が2以上の面に亘って続く場合でも損傷部を展開図に高精度に反映させることが可能なコンクリート損傷部判定システム及びコンクリート損傷部判定プログラムを提供する。
【解決手段】コンクリート損傷部判定システムは、構造物の2以上の面と前記2以上の面のそれぞれの損傷部とを含む展開図を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された展開図の前記面が異なる2以上の損傷部間の距離に基づいて、損傷部を新たに判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の2以上の面と前記2以上の面のそれぞれの損傷部とを含む展開図を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された展開図の前記面が異なる2以上の損傷部間の距離に基づいて、損傷部を新たに判定する判定手段とを備えること
を特徴とするコンクリート損傷部判定システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記取得手段により取得された展開図の前記面が異なる2以上の損傷部を結ぶ損傷線に基づいて、損傷部を新たに判定すること
を特徴とする請求項1に記載のコンクリート損傷部判定システム。
【請求項3】
前記判定手段は、前記展開図の2以上の面の境界と交わる前記損傷線の長さに基づいて、損傷部を新たに判定すること
を特徴とする請求項2に記載のコンクリート損傷部判定システム。
【請求項4】
前記判定手段により新たに損傷部が判定された展開図の前記損傷部を構成するピクセルの位置に基づいて、前記損傷部を分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された各損傷部の面積を算出する面積算出手段とをさらに備えること
を特徴とする請求項1~3記載の何れか1項記載のコンクリート損傷部判定システム。
【請求項5】
構造物の2以上の面と前記2以上の面のそれぞれの損傷部とを含む展開図を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得した展開図の前記面が異なる2以上の損傷部間の距離に基づいて、損傷部を新たに判定する判定ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とするコンクリート損傷部判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の損傷部を判定するためのコンクリート損傷部判定システム及びコンクリート損傷部判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば構造物の各面を1つの平面上に反映した展開図を用いることで、構造物のはつり等の損傷部の体積等を容易に求めることができる。このことから、例えば特許文献1に示すような複数の面を1つの平面上に反映する技術が注目されている。
【0003】
特許文献1には、撮像装置により、点検対象である構造物を分割して撮影された複数の分割画像に基づいて、構造物の広域の点検範囲に対応する第1の広域画像を合成するための合成付帯情報を取得し、分割画像の画像サイズを縮小し、縮小分割画像を合成付帯情報に基づいて合成し、第2の広域画像を生成し、合成付帯情報が付加された複数の分割画像を出力する合成処理装置が開示されている。これにより、特許文献1には、効率的な分割画像の合成を行うことが可能な合成処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の開示技術では、構造物の損傷部が複数の面に亘って続いている場合、損傷部を含む面を撮像した画像をセマンティックセグメンテーション等により解析したときに損傷部を展開図へと反映する際に、面と面との境界部付近の損傷部が正しく解析されない可能性がある。これにより、展開図に本来ならば損傷部が反映されるはずの部分に損傷部が反映されない可能性がある。このため、特許文献1の開示技術では、損傷部が2以上の面に亘って続く場合、損傷部を展開図に高精度に反映させることが難しいという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、損傷部が2以上の面に亘って続く場合でも損傷部を展開図に高精度に反映させることが可能なコンクリート損傷部判定システム及びコンクリート損傷部判定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係るコンクリート損傷部判定システムは、構造物の2以上の面と前記2以上の面のそれぞれの損傷部とを含む展開図を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された展開図の前記面が異なる2以上の損傷部間の距離に基づいて、損傷部を新たに判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係るコンクリート損傷部判定システムは、第1発明において、前記判定手段は、前記取得手段により取得された展開図の前記面が異なる2以上の損傷部を結ぶ損傷線に基づいて、損傷部を新たに判定することを特徴とする。
【0009】
第3発明に係るコンクリート損傷部判定システムは、第2発明において、前記判定手段は、前記展開図の2以上の面の境界と交わる前記損傷線の長さに基づいて、損傷部を新たに判定することを特徴とする。
【0010】
第4発明に係るコンクリート損傷部判定システムは、第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記判定手段により新たに損傷部が判定された展開図の前記損傷部を構成するピクセルの位置に基づいて、前記損傷部を分割する分割手段と、前記分割手段により分割された各損傷部の面積を算出する面積算出手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0011】
第5発明に係るコンクリート損傷部判定プログラムは、構造物の2以上の面と前記2以上の面のそれぞれの損傷部とを含む展開図を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得した展開図の前記面が異なる2以上の損傷部間の距離に基づいて、損傷部を新たに判定する判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明~第5発明によれば、展開図の面が異なる2以上の損傷部間の距離に基づいて、損傷部を新たに判定する。これにより、損傷部が2以上の面に亘って続く場合でも損傷部を展開図に高精度に反映することが可能となる。
【0013】
特に、第2発明によれば、展開図の面が異なる2以上の損傷部を結ぶ損傷線に基づいて、損傷部を新たに判定する。これにより、損傷線の長さから2以上の損傷部間の距離を算出することができるため、損傷部を展開図により高精度に反映することが可能となる。
【0014】
特に、第3発明によれば、展開図の2以上の面の境界と交わる損傷線の長さに基づいて、損傷部を新たに判定する。これにより、例えば展開図の2以上の面の境界と交わる損傷線は、それぞれ面が異なる損傷部を結ぶ線であることから、この損傷線の長さから、面が異なる損傷部間の距離を算出することが可能となる。
【0015】
特に、第4発明によれば、分割された各損傷部の面積を算出する。これにより、自動的に損傷部の面積を算出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本実施形態におけるコンクリート損傷部判定システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2(a)は、本実施形態におけるコンクリート損傷部判定システムの構成の一例を示す模式図であり、
図2(b)は、本実施形態におけるコンクリート損傷部判定システムの機能の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本実施形態におけるコンクリート損傷部判定システムの処理動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4(a)は、本実施形態における構造物の一例を示す模式図であり、
図4(b)は、本実施形態における展開図の一例である。
【
図5】
図5は、損傷線を反映した展開図の一例である。
【
図6】
図6は、損傷部の分割を反映した展開図の一例である。
【
図7】
図7は、グリッドに切り分けた展開図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用したコンクリート損傷部判定システムついて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0018】
図1は、本発明を適用したコンクリート損傷部判定システム100の全体構成を示すブロック図である。コンクリート損傷部判定システム100は、構造物20の損傷部21を判定する。コンクリート損傷部判定システム100は、撮像装置2と、撮像装置2に接続された判定装置1とを備えている。
【0019】
構造物20は、例えばコンクリートで構成された橋梁や高架橋、建築物等又はこれらの一部分である。構造物20は、2以上の面を有する立体構造である。構造物20は、例えば面20a、20b、20cを有する立体構造である。また、構造物20は、2以上の面に連なるはつり等の損傷を示す損傷部21を含んでもよい。構造物20は、例えば面20aから面20cに連なる損傷部21を含む。
【0020】
撮像装置2は、構造物20の面を撮像する装置である。撮像装置2は、撮像した画像データを判定装置1に出力する。また、撮像装置2は、図示しないインターネット等の無線通信網を介して、判定装置1と接続されてもよい。
【0021】
判定装置1は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)やスマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等の電子機器で構成されている。この判定装置1は、撮像装置2から出力された画像データに基づいて、構造物20の損傷部21を判定する。
【0022】
判定装置1は、例えば
図2(a)に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。CPU101と、ROM102と、RAM103と、保存部104と、I/F105~107とは、内部バス110により接続される。
【0023】
CPU101は、判定装置1全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104は、画像データや展開図等の各種情報が保存される。保存部104は、例えばHDD(Hard Disk Drive)の他、SSD(Solid State Drive)やSDカード、miniSDカード等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば判定装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。
【0024】
I/F105は、撮像装置2等と各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードが用いられ、判定装置1を利用するユーザ等は、入力部108を介して、各種情報又は判定装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、表示部109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。表示部109は、保存部104に保存された判定結果等の各種情報、または判定装置1の処理状況等を出力する。表示部109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式でもよい。
【0025】
保存部104は、例えば撮像装置2から取得した画像データ及び展開図が記憶されるほか、損傷の判定に用いられるアルゴリズム等が記憶される。
【0026】
表示部109は、各種情報を表示する。表示部109は、例えば判定結果等を表示する。
【0027】
図2(b)は、判定装置1の機能の一例を示す模式図である。判定装置1は、取得部11と、展開部12と、分割部13と、記憶部14と、出力部15と、算出部16と、反映部17とを備える。なお、
図2(b)に示した取得部11と、展開部12と、分類部13と、記憶部14と、出力部15と、算出部16と、反映部17とは、CPU101が、RAM103を作業領域として、保存部104等に保存されたプログラムを実行することにより実現され、例えば人工知能により制御されてもよい。
【0028】
取得部11は、損傷の判定の対象となる構造物20のそれぞれの面を含む複数の画像データを取得する。取得部11は、撮像装置2等から画像データを取得するほか、例えば判定装置1に内蔵された撮像装置2から、画像データを取得するようにしてもよい。なお、取得部11が各種情報を取得する頻度、及び周期は、任意である。
【0029】
展開部12は、取得部11により取得された画像データに基づいて、構造物の2以上の面が1の平面に反映された展開図を生成する。展開部12は、例えば取得部11により取得された構造物の各面を含む複数の画像データから展開図を生成する。
【0030】
反映部17は、展開部12により生成された展開図に、損傷部を反映する。反映部17は、例えば展開部12により生成された展開図に、取得部11により取得された画像データに基づいて、損傷部を反映する。
【0031】
分割部13は、反映部17により損傷部が反映された展開図の損傷部をクラスタリングし、分割する。
【0032】
算出部16は、分割部13により分割された展開図上の各損傷部の面積を算出する。
【0033】
記憶部14は、保存部104に保存された各種情報を必要に応じて取り出す。記憶部14は、取得部11と、展開部12と、分割部13と、算出部16と、反映部17とにより取得又は出力された各種情報を、保存部104に保存する。
【0034】
出力部15は、各種情報を出力する。出力部15は、I/F107を介して表示部109に各種情報を送信する。
【0035】
上述した構成からなるコンクリート損傷部判定システム100における動作について説明をする。
【0036】
コンクリート損傷部判定システム100では、構造物の2以上の面が1の平面に反映された展開図に、2以上の面のそれぞれの損傷部を反映し、反映されたそれぞれの損傷部を結ぶ損傷線を展開図に反映し、反映された損傷線に基づいて、展開図に新に損傷部を反映する。このグラウト充填状況評価システム1の処理動作フローを
図3に示す。以下、
図3の各ステップでの詳細な処理を説明する。
【0037】
図4(a)は、本実施形態における構造物20の一例を示す模式図であり、
図4(b)は、本実施形態における展開
図30の一例である。まず、ステップS11において、コンクリート損傷部判定システム100は展開
図30を取得する。かかる場合、例えば撮像装置2により撮像された画像データを取得部11が取得し、取得部11が取得した画像データに基づいて、展開部12が展開
図30を生成することで展開
図30を取得してもよい。撮像装置2により撮像される構造物20の画像データは、例えば構造物20の各面(20a、20b、20c)の垂線方向から撮像した複数の画像データを用いることが好ましいが、この限りではない。展開部12は、取得部11が取得した各面を含む画像から展開
図30を生成する。
【0038】
展開
図30は、構造物20の2以上の面(20a、20b、20c)と2以上の面(20a、20b、20c)のそれぞれの損傷部21とを含む平面図である。展開
図30は、構造物20の2以上の面(20a、20b、20c)が繋がり、1の平面に展開された図である。かかる場合、展開
図30の面30aは、構造物20の面20aを示し、展開
図30の面30bは、構造物20の面20bを示し、展開
図30の面30cは、構造物20の面20cを示す。展開
図30は、建築物20の面(20a、20b、20c)の各垂線方向から撮像された画像データが反映されることが好ましいがこの限りではない。
【0039】
また、ステップS11において、コンクリート損傷部判定システム100は、例えば予め撮像され、サーバに保存された画像データ及び予め保存された展開
図30を、インターネット等を介して取得してもよい。
【0040】
次に、ステップS12において、ステップS11により取得した展開
図30に損傷部21を反映する。かかる場合、反映部17は、例えば取得部11により取得された画像データを、セマンティックセグメンテーション等を用いて画像解析を行い、画像データから構造物20の各面(20a、20c)の損傷部21を抽出し、展開
図30に損傷部31を反映してもよい。
【0041】
セマンティックセグメンテーションは、画像に含まれる異なる対象を区別し、各対象が属するカテゴリ及びクラスを識別する技術である。セマンティックセグメンテーションは、画像の各ピクセルに、物体や人物などを指し得るカテゴリ、及びクラスが割り当てられる画像の処理を行う。また、セマンティックセグメンテーションは、例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が適用されてもよい。かかる場合、損傷部21を撮像した画像を予め取得し、学習データとしてもよい。
【0042】
また、このとき、
図4(a)の面20aと面20cとによる角部22の損傷が、展開
図30の損傷部31に反映されず、抜け部32が生成される。
【0043】
次に、ステップS13において、
図5に示すように、反映部17は、例えば展開
図30に損傷線33を反映する。損傷線33は、ステップS12において生成された抜け部32を判定するために展開
図30に反映される線である。損傷線33は、例えば損傷部31から、展開
図30上の任意の方向に伸びる直線である。損傷線33は、例えば損傷部31を始点として、展開
図30上で垂直に交わるx方向、y方向にそれぞれ1ピクセル毎に平行に並ぶように反映された直線であることが好ましいが、この限りではない。損傷線33は、例えば面が異なる2以上の損傷部31を結ぶ線である。損傷線33は、例えば面30aの損傷部31aと、面30cの損傷部31cとを結ぶ線33aであってもよい。
【0044】
次に、ステップS13において、反映部17は、展開
図30の面が異なる2以上の損傷部31間の距離に基づいて、損傷部31を新たに判定する。反映部17は、例えばステップS13により反映された損傷線33に基づいて、展開
図30にさらに損傷部31を反映する。かかる場合、反映部17は、展開
図30上の2以上の損傷部31を損傷線33の長さと、損傷線33と交わる展開
図30に反映された面の数とに基づいて、展開
図30にさらに損傷部31を反映する。例えば反映部17は、展開
図30に反映された2以上の面と交わると共に基準値以下の長さの損傷線33に基づいて、展開
図30にさらに損傷部31を反映する。具体的には、展開
図30の面30aの損傷部31aと、展開
図30の面30cの損傷部31cとを結ぶ損傷線33aの長さが基準値よりも短い場合、損傷線33aが反映された展開
図30の部分は、抜け部32であるとみなし、損傷線33aが反映された展開
図30の部分に損傷部31をさらに反映する。基準値は、例えば損傷部21のはつりの深さの2倍であってもよい。これにより、例えば損傷線33に損傷部31を反映することで、はつり部分が側面に続く場合でも損傷部31を展開
図30に高精度に反映することが可能となる。
【0045】
また、ステップS13において、反映部17は、展開
図30の2以上の面の境界34と交わる損傷線33の長さに基づいて、損傷部31を新たに反映してもよい。かかる場合、反映部17は、例えば展開
図30の面30aと面30cとの境界34と交わる損傷線33aに基づいて損傷部31を新たに判定してもよい。反映部17は、例えば基準値以下の長さの損傷線33が、クラス分けされた面毎(30a、30b、30c)のうちの二つのクラスと交わる場合、この損傷線33を損傷部31として新たに判定してもよい。
【0046】
次にステップS14において、
図6に示すように、分割部13は、ステップS13により新たに損傷部31が反映された展開
図30の損傷部31を構成するピクセルの位置に応じて、損傷部31を異なる損傷部31に分割する。例えば
図6に示すように、損傷部31を異なる損傷部31aと31bとに分割する。かかる場合、分割部13は、例えばk平均法を用いて、分割された各損傷部31について、損傷部31の重心位置と損傷部31を構成するピクセル位置との距離の二乗和が最小となるように損傷部31を分割する。
【0047】
k平均法は、まず、対象領域内における複数のピクセルの第1の特徴値からK(Kは1より大きい整数)個のオブジェクト(第1の特徴値)を最初のクラスタ中心としてランダムに選択する。また、選択するクラスタ中心の個数は、予め設定されたクラスタの数と同じであってもよい。次に、各オブジェクトと複数の最初のクラスタ中心との距離を計算し、各オブジェクトをそれに最も近いクラスタ中心に割り当てる。クラスタ中心及びそれに割り当てられたオブジェクトは、1つのクラスタを表す。すべてのオブジェクトが割り当てられた後、各クラスタのクラスタ中心は、クラスタにおける現存のオブジェクトに基づいて再計算される。このプロセスは、ある終了条件を満たすまで繰り返す。終了条件は、異なるクラスタに再割り当てされるオブジェクトがなく(または最小数である)、再変更されるクラスタ中心がない(または最小数である)ことであってもよい。上記方法により、複数のピクセルのクラスタリングを完了し、設定されたクラスタ数となる複数のクラスタを取得することができる。また、k平均法でクラスタリング処理を行った後、複数のクラスタを取得するとともに、クラスタのクラスタ中心を決定してもよい。
【0048】
次にステップS15において、算出部16は、ステップS14において分割されたそれぞれの損傷部31の面積を算出する。かかる場合、算出部16は、例えば
図7に示すようなグリッドを展開
図30に反映し、損傷部31を示すグリッドの数に応じて、面積を算出してもよい。グリッドは、例えばx方向、y方向の各方向に伸びる直線あってもよい。また、1つのグリッドあたりの面積は任意の値となるように設定してもよい。
【0049】
上述した各ステップを行うことにより、コンクリート損傷部判定システム100の動作が終了する。これにより、自動的に損傷部31の面積を算出することが可能となり、断面修復材料の使用量算出等に利用することが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 :判定装置
2 :撮像装置
10 :筐体
11 :取得部
12 :展開部
13 :分割部
14 :記憶部
15 :出力部
16 :算出部
17 :反映部
20 :構造物
21 :損傷部
22 :角部
30 :展開図
31 :損傷部
32 :抜け部
33 :損傷線
34 :境界
100 :コンクリート損傷部判定システム
101 :CPU
102 :ROM
103 :RAM
104 :保存部
105 :I/F
106 :I/F
107 :I/F
108 :入力部
109 :表示部
110 :内部バス