(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123005
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 30/16 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
B65D30/16 C BRH
B65D30/16 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026814
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】盧 和敬
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA24
3E064BA36
3E064BA54
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA07
3E064FA04
3E064GA01
3E064HG07
3E064HM01
3E064HN05
(57)【要約】
【課題】底テープを備え自立性を有する包装袋において、補強のための過剰な材料構成とすることなく、また自立性を損なうことなく、耐落下衝撃性を向上させることが可能な包装袋の提供を課題とする。
【解決手段】包装袋は自立可能であって、胴部は積層体を対向させて重ね、周縁部をシールして形成されており、サイドシール部の内側のエッジは未シール部との間の境界線であって、胴部の下部において、積層体のシーラント層を外側にして山折に折込んだ底テープを、胴部の2枚の積層体の間に挟み込んで、底部が形成されており、底部において、下方に湾曲した凸形のエッジは、ボトムシール部と未シール部との間の境界線であって、サイドシール線と前記ボトムシール線との交点近傍において、下方に湾曲した凸形のボトムシール線と、底テープの山折の水平方向の折り込み線とがなす角度(R)が、30度<角度(R)<40度であることを特徴とする包装袋。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体からなる、包装袋であって、
包装袋は前側胴部、後ろ側胴部から構成される胴部、および底面を形成可能な底テープを包装袋下部に有して、自立可能であって、
胴部は積層体のシーラント層同士を対向させて重ね、周縁部をシールして形成されており、
胴部の周縁部のうち、左右両サイドはサイドシール部でシールされており、このサイドシール部の内側のエッジは未シール部との間の境界線であって、
この境界線をサイドシール線と定義し、
胴部の下部において、積層体のシーラント層を外側にして山折に折込んだ底テープを、胴部の2枚の積層体の間に水平に挟み込んで、ボトムシール部でシールされて底部が形成されており、
底部において、底テープを山折に折込んだ平面の状態で、下方に湾曲した凸形のエッジは、ボトムシール部と未シール部との間の境界線であって、
この境界線をボトムシール線と定義し、
前記サイドシール線と前記ボトムシール線との交点近傍において、下方に湾曲した凸形のボトムシール線の傾きと、底テープの山折の水平方向の折り込み線とがなす角度(R)が、
30度<角度(R)<40度
であることを特徴とする、包装袋。
【請求項2】
前記ボトムシール線において、前記サイドシール線との交点からボトム部に至るまでの線の形状が曲線もしくは直線でなめらかに結ばれていることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
内容物を充填し、包装袋上方から見たときに、前記ボトムシール線がなす形状は、サイドシール部からボトム部にかけて直線、または内部にくびれた形状であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に係るものである。特に、プラスチックフィルムを基材とした積層体からなる包装袋であって、自立性を有して、一般にスタンディングパウチとも呼ばれる包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装材料の一種である包装袋は、プラスチックフィルムを基材とするフィルム単体、またはプラスチックフィルムを基材とした積層体から構成されるものが広く普及しており、さまざまな形態のものが、幅広い用途に用いられており、現代生活にとっては不可欠なものとなっている。
【0003】
例えばプラスチックフィルムの有する耐水性から、液体容器としても用いられ、飲料のほかレトルト食品などの食品分野でも広く用いられているほか、日用品やトイレタリーの分野でも、さまざまな商品がスーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。そのほかにも、液体容器を中心に様々な用途展開がなされている。
【0004】
包装袋の利点は、缶や瓶などの容器に比べて、価格が安いことや、要求品質によってきめ細かい材料設計で対応できる点、あるいは内容物充填前および流通や保管においても軽量で省スペースであることが挙げられる。また包装袋は、廃棄物を減らすという観点からは環境適応型であるといえる。
【0005】
また包装袋の表面から見える層への高精細の印刷によって、商品のイメージアップを図ることができ、内容物に関する必要な情報を表示することが可能であり、バーコードの印刷などは、商品の流通やマーケティング情報の源泉ともなっている。
【0006】
包装袋の中には、自立性を持たせたものも商品化されており、一般にスタンディングパウチと呼ばれている。自立性を持たせることにより、商品として陳列がしやすいなどの利点を有するほか、電子レンジなどで内容物を調理する場合や、内容物の取り出しにおいて一層の利便性を有するものである。
【0007】
このような自立性を有する包装袋は、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体をシーラント層同士を対向させて重ねて対向させて胴部を形成し、表裏の胴部の間に、底テープをシーラント層を外側にして山折りにして挿入し、シールして底部を形成して包装袋としているが、内容物を充填した包装袋に、落下衝撃が加わった場合に、底テープのシール部分などで破袋する恐れがあった。
【0008】
特に積層体の材料構成がオールポリエチレン、あるいはオールポリオレフィンである場合には、落下衝撃によって、底テープの山折り部分が割れて破壊され、破袋する恐れがあった。これは特に包装袋の温度が低温である場合に顕著に表れるものであった。
【0009】
一方で、プラスチック材料に起因する環境問題は深刻さを増しており、モノマテリアル包装材料として、リサイクルの徹底が可能な材料構成は歓迎されるべきものであり、オールポリエチレン、あるいはオールポリオレフィンの材料構成の場合にもその性能の向上が強く求められているところである。
【0010】
特許文献1及び特許文献2に記載されたスタンディングパウチは、積層体の材料構成や
厚さを選択することによって、問題解決を図ろうとするものであるが、破袋強度を上げることによって、他の特性に影響する場合もあり、一方で過剰品質とならざるを得なかった。
【0011】
あるいは、特許文献3には、底テープに起因する破袋に対策を講じようとするものであるが、破袋の箇所がサイドシール部とボトムシール線との交差する点である場合に限った対策であって、きわめて限定的な破袋対策であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平7-237281号公報
【特許文献2】特開平7-241967号公報
【特許文献3】特許第6079091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであって、底テープを備え自立性を有する包装袋において、補強のための過剰な材料構成とすることなく、また自立性を損なうことなく、耐落下衝撃性を向上させることが可能な包装袋の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体からなる、包装袋であって、
包装袋は前側胴部、後ろ側胴部から構成される胴部、および底面を形成可能な底テープを包装袋下部に有して、自立可能であって、
胴部は積層体のシーラント層同士を対向させて重ね、周縁部をシールして形成されており、
胴部の周縁部のうち、左右両サイドはサイドシール部でシールされており、このサイドシール部の内側のエッジは未シール部との間の境界線であって、
この境界線をサイドシール線と定義し、
胴部の下部において、積層体のシーラント層を外側にして山折に折込んだ底テープを、胴部の2枚の積層体の間に水平に挟み込んで、ボトムシール部でシールされて底部が形成されており、
底部において、底テープを山折に折込んだ平面の状態で、下方に湾曲した凸形のエッジは、ボトムシール部と未シール部との間の境界線であって、
この境界線をボトムシール線と定義し、
前記サイドシール線と前記ボトムシール線との交点近傍において、下方に湾曲した凸形のボトムシール線の傾きと、底テープの山折の水平方向の折り込み線とがなす角度(R)が、
30度<角度(R)<40度
であることを特徴とする、包装袋
である。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、
前記ボトムシール線において、前記サイドシール線との交点からボトム部に至るまでの線の形状が曲線もしくは直線でなめらかに結ばれていることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋
である。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、
内容物を充填し、包装袋上方から見たときに、前記ボトムシール線がなす形状は、サイドシール部からボトム部にかけて直線、または内部にくびれた形状であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の包装袋
である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、底テープを備え自立性を有する包装袋において、補強のための過剰な材料構成とすることなく、また自立性を損なうことなく、耐落下衝撃性を向上させることが可能な包装袋の提供が可能である。
【0018】
包装袋は前側胴部、後ろ側胴部から構成される胴部、および底面を形成可能な底テープを包装袋下部に有して、内容物が充填された際には、その自重で底テープが舟形に開いて底面を形成し、包装袋は自立可能となる。
【0019】
胴部の周縁部のうち、左右両サイドはサイドシール部でシールされており、このサイドシール部の内側のエッジは未シール部との間の境界線であって、胴部の下部において、積層体のシーラント層を外側にして山折に折込んだ底テープを、胴部の2枚の積層体の間に水平に挟み込んで、ボトムシール部でシールされて底部が形成されていることによって、前側胴部と後ろ側胴部との間に、密封された空間を設けることができ、内容物の充填が可能である。
【0020】
サイドシール線とボトムシール線との交点近傍において、下方に湾曲した凸形のボトムシール線の傾きと、底テープの山折の水平方向の折り込み線とがなす角度(R)が、30度<角度(R)<40度であることによって、補強のための過剰な材料構成とすることなく、また自立性を損なうことなく、耐落下衝撃性を向上させることが可能な包装袋の提供が可能となる。
【0021】
あるいは、ポリエチレン単体、あるいはポリオレフィン単体からなる、モノマテリアル包材のように比較的耐落下衝撃性が低い包装袋からなる自立性を有する包装袋(100)においても、課題とするところの補強のための過剰な材料構成とすることなく、また自立性を損なうことなく、耐落下衝撃性を向上させることが可能な包装袋(100)とすることが可能である。この場合にはリサイクルの徹底を図るなどの目的に対しても、有効である。
【0022】
また、特に請求項2に記載の発明によれば、ボトムシール線において、サイドシール線との交点からボトム部に至るまでの線の形状が曲線もしくは直線でなめらかに結ばれていることによって、落下衝撃など外部からの衝撃が加わった場合において、特手の部分に応力集中が起こることを回避できるために、耐落下衝撃性を向上させることが可能な包装袋とすることが可能である。
【0023】
また、特に請求項3に記載の発明によれば、内容物を充填し、包装袋上方から見たときに、前記ボトムシール線がなす形状は、サイドシール部からボトム部にかけて直線、または内部にくびれた形状であることによって、耐落下衝撃性を向上させることが可能な包装袋とすることが可能であって、これは本発明によって舟形の底面の、両端部の底開き角度を調整することが可能になったことによってもたらされるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明に係る包装袋の一実施態様を説明するための、サイドシール部およびボトムシール部の平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を
図1を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例によってのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0026】
図1は、本発明に係る包装袋の一実施態様を説明するための、サイドシール部およびボトムシール部の平面模式図である。
【0027】
本発明は、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体からなる、包装袋(100)に関するものである。
【0028】
プラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて一種もしくは複数種を適宜選択し、積層体として用いることができる。また積層体は、必要に応じて印刷層やガスバリア層などを含んで構成することができる。
【0029】
特にポリエチレン、ポリプロピレンをプラスチックフィルムとする場合は、その汎用性と価格においてより好ましく選択される用途もある。
【0030】
例えば、プラスチック材料に起因する環境問題の解決のひとつとして、モノマテリアル包装材料などは、リサイクルの徹底が可能な材料構成として有効であり、オールポリエチレン、あるいはオールポリオレフィンの材料構成の場合にもその性能の向上が強く求められているところである。
【0031】
シーラント層は、2枚の積層体をシーラント層同士が対向するように重ねて、加熱、加圧してヒートシールすることによって互いを接着させ、包装袋(100)に製袋することを可能にする。
【0032】
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0033】
シーラント層の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、積層体上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、積層体の表面にシーラント層を形成することも可能である。
【0034】
本発明によれば、ポリエチレン単体、あるいはポリオレフィン単体からなる、モノマテリアル包材のように比較的耐落下衝撃性が低い包装袋からなる自立性を有する包装袋(100)においても、課題とするところの補強のための過剰な材料構成とすることなく、また自立性を損なうことなく、耐落下衝撃性を向上させることが可能な包装袋(100)とすることが可能である。
【0035】
包装袋(100)は前側胴部(4)、後ろ側胴部(5)から構成される胴部(10)、および底面を形成可能な底テープ(3)を包装袋下部(20)に有して、自立可能である。但し後ろ側胴部(5)は、前側胴部(4)と重なっているために、
図1においては不可視である。
【0036】
また、底テープは
図1に示す状態は、折りたたまれて平たい状態であるが、内容物が充填された場合には、その重さで折り込み線(24)が開いて、舟形形状となって拡張し、包装袋(100)の下部に底面を形成することができるため、包装袋(100)は自立することが可能となる。
【0037】
胴部(10)は積層体のシーラント層同士を対向させて重ね、周縁部をシールして形成されており、胴部(10)の周縁部のうち、左右両サイドはサイドシール部(1)でシールされており、このサイドシール部(1)の内側のエッジは未シール部との間の境界線であって、本発明においてこの境界線をサイドシール線(11)と定義する。
【0038】
また、胴部(10)の下部において、積層体のシーラント層を外側にして山折に折込んだ底テープ(3)を、胴部(10)の2枚の積層体の間に水平に挟み込んで、ボトムシール部(2)でシールされて底部が形成されており、底部において、底テープ(3)を山折に折込んだ平面の状態で、下方に湾曲した凸形のエッジは、ボトムシール部と未シール部との間の境界線であって、本発明においてこの境界線をボトムシール線(21)と定義する。
【0039】
本発明はサイドシール線(11)とボトムシール線(21)との交点(22)近傍において、下方に湾曲した凸形のボトムシール線(21)の傾きと、底テープ(3)の山折の水平方向の折り込み線(24)とがなす角度(R)が、
30度<角度(R)<40度
であることを特徴とする。
【0040】
我々は、本発明を鋭意検討する過程で実験を重ね、角度(R)は、折り込み線(24)とボトムシール線(21)の交点(22)近傍の傾き(30)とに挟まれた角度(R)が、この範囲であることによって、底テープ(3)を備え自立性を有する包装袋(100)を、補強のための過剰な材料構成とすることなく、また自立性を損なうことなく、耐落下衝撃性を向上させることが可能な包装袋(100)とすることに有効であることを見出したのである。
【0041】
すなわち、本発明によるこの包装袋(100)が内容物を充填され、底テープ(3)が開いて底面は舟形の形状になって自立可能な状態で、仮に包装袋(100)の構成材料が、引っ張り破断強度が低い材料においても、衝撃を受けた際に、衝撃を吸収、緩和して破袋しにくくする効果が得られる。
【0042】
また、ボトムシール線(21)において、サイドシール線(11)との交点(22)からボトム部に至るまでの線の形状を曲線もしくは直線でなめらかに結ばれた形状とすることができる。
【0043】
これは、ボトムシール線(21)がなめらかに連続した形状であることによって、外部からの衝撃を受けた際にも、角部がある場合に比べて、局部的な応力集中が起こることを回避することが可能になるために、包装袋(100)の耐落下衝撃性を向上させることに有効であることによる。
【0044】
また、内容物を充填し、包装袋上方から見たときに、ボトムシール線(21)がなす形状は、サイドシール部(1)から底部にかけての直線、または内部にくびれた形状とすることができる。
【0045】
これは、本発明によって、包装袋(100)の底面が舟形に開いた時の、底開き角度が調整され、交点(22)近傍のボトムシール線(21)の傾き(30)と、底テープ(3)の山折の水平方向の折り込み線(24)とがなす角度(R)の範囲が、
30度<角度(R)<40度
であることによって可能になる。
【0046】
このようにして本発明によれば、底テープを備え自立性を有する包装袋において、補強のための過剰な材料構成とすることなく、また自立性を損なうことなく、耐落下衝撃性を向上させることが可能な包装袋の提供が可能である。
【実施例0047】
以下本発明を、実施例によって更に具体的な説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例によってのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0048】
評価用の自立可能な包装袋のサンプルを製作して、内容物を充填し、落下試験を実施して評価した。なお以下の説明においても、
図1において記した符号を用いる。
【0049】
包装袋本体の積層体の構成は、下記のとおりである。
サイズ:幅145mm×高さ220mm×底折込40mm
シール幅:5mm
層構成:包装袋外側から
HDPE(厚さ35μm)/LLDPE(厚さ100μm)
とした。
また底テープ(3)のボトムシール部(2)の底部(6)の曲率は半径65mmとした。
【0050】
内容物として、下記の液体の充填を行なって評価した。
5℃の冷水 400cc
とした。
【0051】
落下試験は2回行い、内容は下記のとおりである。
【0052】
・(1回目評価)
まず1回目評価を下記の方法で行った。
評価用サンプルを、高さ1mから10回繰り返して落下試験を行ない評価した。
評価は破袋の状態の目視確認とした。
【0053】
<実施例1>
ボトムシール線(21)の傾き(30)と、底テープ(3)の山折の水平方向の折り込み線(24)とがなす角度(R)を36度とした。これは本発明に規定する範囲内である。
【0054】
<比較例1>
ボトムシール線(21)の傾(30)きと、底テープ(3)の山折の水平方向の折り込み線(24)とがなす角度(R)を40度とした。これは本発明に規定する範囲を逸脱するものである。
【0055】
・(2回目評価)
追加確認として、2回目評価を下記の方法で行った。
ボトムシール線(21)の傾き(30)と、底テープ(3)の山折の水平方向の折り込み線(24)とがなす角度(R)を変化させてサンプルを作成した。
(1)5サンプルに10回繰り返しの落下試験を行ない評価した。
(2)つづいて50回までの繰り返し落下試験を実施して、平均破袋回数を評価した。
評価は破袋の状態の目視確認とした。
【0056】
<実施例2>
ボトムシール線(21)の傾きと、底テープ(3)の山折の水平方向の折り込み線(24)とがなす角度(R)を38度とした。これは本発明に規定する範囲内である。
【0057】
<実施例3>
ボトムシール線(21)の傾き(30)と、底テープ(3)の山折の水平方向の折り込み線(24)とがなす角度(R)を36度とした。これは本発明に規定する範囲内である。
【0058】
<実施例4>
ボトムシール線(21)の傾き(30)と、底テープ(3)の山折の水平方向の折り込み線(24)とがなす角度(R)を34度とした。これは本発明に規定する範囲内である。
【0059】
<実施例5>
ボトムシール線(21)の傾き(30)と、底テープ(3)の山折の水平方向の折り込み線(24)とがなす角度(R)を32度とした。これは本発明に規定する範囲内である。
【0060】
<比較例2>
ボトムシール線(21)の傾き(30)と、底テープ(3)の山折の水平方向の折り込み線(24)とがなす角度(R)を40度とした。これは本発明に規定する範囲を逸脱するものである。
【0061】
<比較例3>
ボトムシール線(21)の傾き(30)と、底テープ(3)の山折の水平方向の折り込み線(24)とがなす角度(R)を30度とした。これは本発明に規定する範囲を逸脱するものである。
【0062】
1回目評価の評価結果を表1に示す。
【0063】
【0064】
表1に示す結果から、本発明による実施例1は、10回の繰り返しの落下試験において10個すべてのサンプルが破袋することなく形状を保持できたことがわかる。
【0065】
これに対して、本発明に規定する範囲を逸脱する比較例1は、10個すべてのサンプルが破袋し、形状を保持することができなかった。
【0066】
これは、本発明によって、包装袋の底面が舟形に開いた時の、底開き角度が、調整され、ボトムシール線と、底テープの山折の水平方向の折り込み線とがなす角度(R)の範囲が、実施例1のサンプルでは36度であって、
30度<角度(R)<40度
の範囲内であることによって、その効果が検証されたものである。
【0067】
2回目評価の評価結果を表2に示す。
【0068】
【0069】
表2に示す結果は、1回目評価に基づく追加確認であって、ここにおいても本発明による実施例2~実施例5は、本発明に規定する範囲を逸脱する比較例2および比較例3に比べて、明らかに優位な結果であることが見て取れる。
【0070】
まず、5サンプルに10回繰り返しの落下試験を行ない評価した結果、本発明による実施例2~実施例5は、それぞれ5個すべてのサンプルが破袋することなく形状を保持できたことがわかる。これは、1回目評価とも合致する。
【0071】
これに対して、本発明に規定する範囲を逸脱する比較例2は、5個のサンプルすべてが破袋し、また比較例3は、5個のサンプルのうち1個が破袋し、形状を保持することができなかった。これらは、1回目評価とも合致するものであって、いずれの比較例も実用上に問題があることは明らかである。
【0072】
次に、50回までの繰り返し落下試験を実施して、平均破袋回数を評価した結果、本発明による実施例2では28回、実施例3では50回で破袋なし、実施例4では41.2回、実施例5では50回で破袋なしとなっており、いずれも高水準であって、比較例とは差があり実用範囲内である。
【0073】
これに対して、本発明に規定する範囲を逸脱する比較例2は、平均破袋回数は6.2回で明らかに破袋しやすいことがわかる、また、比較例3は29.2回となってはいるが、前述のように10回までの繰り返しで5個のサンプルのうち1個が破袋しており、これを踏まえると実用上に問題がある結果である。
【0074】
このようにして、本発明によれば、底テープを備え自立性を有する包装袋において、補強のための過剰な材料構成とすることなく、また自立性を損なうことなく、耐落下衝撃性を向上させることが可能な包装袋の提供が可能であることを検証することができた。