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  • 特開-二重容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123020
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
B65D1/02 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026836
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝典
(72)【発明者】
【氏名】尾山 響
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA21
3E033BB08
3E033DA03
3E033DB01
3E033DE05
3E033EA03
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】胴部を径方向の内側に向けて押圧した後、この押圧を解除して、外容器の胴部を復元変形させたときに、肩部において内容器が外容器から剥離しにくくなるのを抑制することができる。
【解決手段】収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器12、および内容器が内装された外容器11を備えるとともに、口部13、肩部15、胴部16、および底部14が、上方から下方に向けてこの順に配設され、口部に、前記内容物の減少に伴い、外容器と内容器との間に外気を導入する外気導入孔17が設けられ、外容器のうちの少なくとも胴部は、弾性変形可能に形成され、外容器および内容器それぞれの胴部の上部に、径方向の外側から見て下方に向けて尖るV字状を呈する一対の傾斜溝21が周方向に沿って複数設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、肩部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、
前記口部に、前記内容物の減少に伴い、前記外容器と前記内容器との間に外気を導入する外気導入孔が設けられ、
前記外容器のうちの少なくとも胴部は、弾性変形可能に形成され、
前記外容器および前記内容器それぞれの胴部の上部に、径方向の外側から見て下方に向けて尖るV字状を呈する一対の傾斜溝が周方向に沿って複数設けられている、二重容器。
【請求項2】
前記外容器および前記内容器それぞれの胴部の上部において、一対の前記傾斜溝の下端部と同じ周方向の位置に、上下方向に延びる上縦溝が設けられている、請求項1に記載の二重容器。
【請求項3】
一対の前記傾斜溝の下端部は、前記上縦溝の下端部を介して接続され、
前記上縦溝の下端部は、前記一対の前記傾斜溝の下端部を上下方向に跨いでいる、請求項2に記載の二重容器。
【請求項4】
前記外容器および前記内容器それぞれの胴部の下部に、上下方向に延びる下縦溝が、周方向に間隔をあけて複数設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の二重容器。
【請求項5】
複数の下縦溝の上端部は、前記傾斜溝の下端部に対して周方向に離れて位置するものほど上方に位置している、請求項4に記載の二重容器。
【請求項6】
前記胴部は、上方から下方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びている、請求項1から5のいずれか1項に記載の二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、肩部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、口部に、内容物の減少に伴い、外容器と内容器との間に外気を導入する外気導入孔が設けられた二重容器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-30614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の二重容器では、胴部を径方向の内側に向けて押圧した後、この押圧を解除して、外容器の胴部を復元変形させたときに、肩部において内容器が外容器から剥離しにくく、外気導入孔から胴部に至る気道を確保することが困難になるおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、胴部を径方向の内側に向けて押圧した後、この押圧を解除して、外容器の胴部を復元変形させたときに、肩部において内容器が外容器から剥離しにくくなるのを抑制することができる二重容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の二重容器は、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、肩部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、前記口部に、前記内容物の減少に伴い、前記外容器と前記内容器との間に外気を導入する外気導入孔が設けられ、前記外容器のうちの少なくとも胴部は、弾性変形可能に形成され、前記外容器および前記内容器それぞれの胴部の上部に、径方向の外側から見て下方に向けて尖るV字状を呈する一対の傾斜溝が周方向に沿って複数設けられている。
【0007】
外容器および内容器それぞれの胴部の上部に、径方向の外側から見て下方に向けて尖るV字状を呈する一対の傾斜溝が周方向に沿って複数設けられているので、胴部のうち、上部より下方に位置する部分を押圧して径方向の内側に向けて弾性変形したときに、胴部のうち、一対の傾斜溝の下端部が位置する部分(以下、谷部分という)に応力が集中しやすくなる。したがって、胴部に対する押圧を解除して、外容器の胴部を復元変形させたときに、胴部の前記谷部分を起点に、内容器を外容器から剥離させることにより、この剥離を肩部側の上方に向けて進展させやすくすることができる。これにより、胴部を径方向の内側に向けて押圧した後、この押圧を解除して、外容器の胴部を復元変形させたときに、外気導入孔から肩部を通して胴部に至る気道を容易に確保することができる。
【0008】
前記外容器および前記内容器それぞれの胴部の上部において、一対の前記傾斜溝の下端部と同じ周方向の位置に、上下方向に延びる上縦溝が設けられてもよい。
【0009】
外容器および内容器それぞれの胴部の上部において、一対の傾斜溝の下端部と同じ周方向の位置に、上下方向に延びる上縦溝が設けられているので、胴部の前記谷部分を起点に生じた前述の剥離を、上縦溝に沿わせることで肩部側の上方に向けて進展させやすくすることが可能になり、外容器の胴部を復元変形させたときに、前述の気道を容易に確保することができる。
【0010】
一対の前記傾斜溝の下端部は、前記上縦溝の下端部を介して接続され、前記上縦溝の下端部は、前記一対の前記傾斜溝の下端部を上下方向に跨いでもよい。
【0011】
一対の傾斜溝の下端部が、上縦溝の下端部を介して接続され、上縦溝の下端部が、一対の傾斜溝の下端部を上下方向に跨いでいるので、胴部の前記谷部分を起点に生じた前述の剥離を、例えば周方向等に拡がらせず、確実に肩部側の上方に向けて進展させやすくすることができる。
【0012】
前記外容器および前記内容器それぞれの胴部の下部に、上下方向に延びる下縦溝が、周方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。
【0013】
外容器および内容器それぞれの胴部の下部に、上下方向に延びる下縦溝が、周方向に間隔をあけて複数設けられているので、胴部のうち、上部より下方に位置する部分を径方向の内側に向けて押圧した後、この押圧を解除したときに、外容器の胴部を円滑に復元変形させることができる。
【0014】
複数の下縦溝の上端部は、前記傾斜溝の下端部に対して周方向に離れて位置するものほど上方に位置してもよい。
【0015】
複数の下縦溝の上端部が、傾斜溝の下端部に対して周方向に離れて位置するものほど上方に位置しているので、前述した押圧の解除後に、外容器の胴部のうち、傾斜溝より下方に位置する部分を全域にわたって円滑に復元変形させやすくすることができる。
【0016】
前記胴部は、上方から下方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びてもよい。
【0017】
胴部が上方から下方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びていて、肩部の最大径が、胴部のうち、上端部より下方に位置する部分の直径より小さくなっているので、二重容器のブロー成形時に肩部が延伸しにくくなっている。したがって、胴部を径方向の内側に向けて押圧した後、この押圧を解除して、外容器の胴部を復元変形させたときに、小径の肩部において内容器が外容器から特に剥離しにくくなっている。これにより、前述した、外容器の胴部を復元変形させたときに、肩部において内容器が外容器から剥離しにくくなるのを抑制することができる、といった作用効果が顕著に奏功される。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、胴部を径方向の内側に向けて押圧した後、この押圧を解除して、外容器の胴部を復元変形させたときに、肩部において内容器が外容器から剥離しにくくなるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態として示した二重容器を径方向の外側から見た一部縦断面を含む側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、一実施形態に係る二重容器を説明する。
二重容器1は、図1に示されるように、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器12、および内容器12が内装された外容器11を備えている。外容器11の内面に、内容器12の外面が離間可能に設けられている。図示の例では、内容器12は、可撓性に富み、外容器11の内面に剥離可能に積層されている。
なお、外容器11の内面と内容器12の外面との間に隙間が設けられてもよい。
【0021】
二重容器1は、外容器11を形成するための外側プリフォーム内に、内容器12を形成するための内側プリフォームを嵌合した状態で、外側プリフォームおよび内側プリフォームを一体にブロー成形することで形成されている。つまり、二重容器1は、二軸延伸ブロー容器となっている。
【0022】
内容器12および外容器11の材質は合成樹脂材料とされ、互いに同材質でも構わないし異材質でも構わない。合成樹脂材料の一例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ナイロン(ポリアミド)、およびEVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)等が挙げられる。
【0023】
二重容器1は、口部13、肩部15、胴部16および底部14を備えている。口部13、肩部15、胴部16および底部14は、共通軸と同軸に配設されるとともに、共通軸に沿ってこの順に配設されている。
以下、この共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸O方向に沿う口部13側を上側、ボトル軸O方向に沿う底部14側を下側といい、ボトル軸O方向を上下方向という。上下方向から見て、ボトル軸Oに交差する方向を径方向といい、ボトル軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0024】
二重容器1の口部13は、内容器12の口部と外容器11の口部とが積層されることで構成され、二重容器1の肩部15は、内容器12の肩部と外容器11の肩部とが積層されることで構成され、二重容器1の胴部16は、内容器12の胴部と外容器11の胴部とが積層されることで構成され、二重容器1の底部14は、内容器12の底部と外容器11の底部とが積層されることで構成されている。
以下の説明において、特に断りのない限り、内容器12および外容器11の双方が同様の形態となっているものとする。
【0025】
二重容器1の上下方向の大きさは、例えば、115mm以上220mm以下となっている。二重容器1の内容量は、例えば、150ml以上600ml以下となっている。図示の例では、二重容器1の上下方向の大きさは、約150mmとされ、二重容器1は、内容量が200ml用となっている。
二重容器1は、上下方向の全長にわたって、ボトル軸Oに直交する横断面視で円形状を呈する。
【0026】
内容器12の口部の上端部に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びるフランジ部12aが形成されている。フランジ部12aは、外容器11の口部の上端開口縁に載置されている。
外容器11の口部の外周面に、図示されないキャップが螺着される雄ねじ部18と、図示されないキャップの周壁部が外嵌される被シール突部19と、ネックリング20と、が上方から下方に向けてこの順に形成されている。
【0027】
被シール突部19、およびネックリング20は、外容器11の口部から径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びている。
被シール突部19の外周面と、図示されないキャップの周壁部の内周面と、の間は、気密にシールされる。ネックリング20の外径は、被シール突部19の外径より大きくなっている。ネックリング20は、キャップの周壁部より下方に位置する。
なお、キャップは、外容器11の口部にアンダーカット嵌合されてもよい。
【0028】
口部13に、内容物の減少に伴い、外容器11と内容器12との間に外気を導入する外気導入孔17が設けられている。図示の例では、外気導入孔17は、外容器11の口部に形成されている。外気導入孔17は、被シール突部19のうち、最も径方向の外側に位置して、周方向の全長にわたって連続して延びるシール面より上方に位置している。
なお、外気導入孔17の形成位置は、外容器11の口部の上端開口縁と、内容器12のフランジ部12aの下面と、の間等であってもよい。
【0029】
口部13のうち、ネックリング20より下方に位置する下端部13aは、上下方向に真直ぐ延びている。
肩部15は、口部13の下端部13aから下方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びている。
底部14は、有底筒状に形成されている。底部14の周壁部14bは、下方に向かうに従い径方向の内側に向けて延びている。
【0030】
胴部16は、上方から下方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びている。胴部16は、ボトル軸Oに沿う縦断面視で径方向の内側に向けて窪む曲線状を呈する。なお、胴部16は、前記縦断面視で直線状を呈してもよい。
胴部16と、底部14の周壁部14bと、の接続部分における外周面は、二重容器1において、最も外径の大きい最大外径部分となっている。この最大外径部分の外径は、例えば、58mm以上74mm以下となっている。図示の例では、二重容器1の最大外径部分の外径は、約63mmとなっている。二重容器1の最大外径部分の外径は、肩部15の最大外径である、肩部15の下端部の外径の1.5倍以上2倍未満となっている。
【0031】
外容器11のうちの少なくとも胴部が、スクイズ変形(弾性変形)可能とされ、外容器11のスクイズ変形に伴って内容器12がしぼみ変形する。胴部16と、肩部15および底部14と、が上下方向に段差なく連なっている。
【0032】
そして、本実施形態では、胴部16の上部に、径方向の外側から見て下方に向けて尖るV字状を呈する一対の傾斜溝21が周方向に沿って複数設けられている。
傾斜溝21は、胴部16のうち、上下方向の中央部より上方に位置する部分に設けられている。周方向で互いに隣り合う一対の傾斜溝21は、複数組の一対の傾斜溝21が、胴部16における周方向の全長にわたってジグザグ状に連続して延びるように、傾斜溝21の上端部同士が連結されている。
なお、周方向で互いに隣り合う一対の傾斜溝21同士の間に、周方向の間隔を設けてもよい。
【0033】
胴部16の上部において、一対の傾斜溝21の下端部と同じ周方向の位置に、上下方向に延びる第1上縦溝(上縦溝)22が設けられている。
第1上縦溝22は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。一対の傾斜溝21の下端部は、第1上縦溝22の下端部を介して接続されている。第1上縦溝22の下端部は、一対の傾斜溝21の下端部を上下方向に跨いでいる。第1上縦溝22の上端部は、傾斜溝21の上端部より上方に位置している。第1上縦溝22の上端部は、肩部15の上端部に位置している。第1上縦溝22の幅は、傾斜溝21の幅より広くなっている。第1上縦溝22の深さは、傾斜溝21の深さより深くなっている。
なお、第1上縦溝22は、傾斜溝21の下端部から上方に離れてもよく、また、第1上縦溝22、および傾斜溝21それぞれの下端部は、同じ上下方向の位置に位置してもよい。
【0034】
胴部16の下部に、上下方向に延びる下縦溝23が、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
複数の下縦溝23は、周方向に同じ間隔をあけて設けられている。下縦溝23は、周方向において、傾斜溝21の下端部、傾斜溝21の上端部、および傾斜溝21の中央部それぞれと同じ位置に各別に設けられている。なお、下縦溝23は、傾斜溝21の下端部、傾斜溝21の上端部、および傾斜溝21の中央部それぞれに対して周方向に離れた位置に設けられてもよい。下縦溝23は、傾斜溝21および第1上縦溝22に対して接続されておらず下方に離れている。
【0035】
複数の下縦溝23の上端部は、傾斜溝21の下端部に対して周方向に離れて位置するものほど上方に位置している。複数の下縦溝23の上端部は、胴部16の上下方向の中央部より上方に位置している。複数の下縦溝23のうち、傾斜溝21の上端部と同じ周方向の位置に位置する下縦溝23の上端部は、傾斜溝21の下端部より上方に位置し、他の下縦溝23の上端部は、傾斜溝21の下端部より下方に位置している。
【0036】
複数の下縦溝23の下端部は、全て同じ上下方向の位置に位置している。傾斜溝21の下端部と同じ周方向の位置に位置する下縦溝23の長さは、複数の下縦溝23のなかで最短となっている。傾斜溝21の上端部と同じ周方向の位置に位置する下縦溝23の長さは、複数の下縦溝23のなかで最長となっている。下縦溝23の幅は、傾斜溝21の幅より広くなっている。下縦溝23の深さは、傾斜溝21の深さより深くなっている。胴部16に、下縦溝23よりも深さが浅い複数の縦溝が設けられているが、これらの縦溝は設けなくともよい。
【0037】
胴部16の上部において、一対の傾斜溝21の上端部と同じ周方向の位置に、上下方向に延びる第2上縦溝24が設けられている。
第2上縦溝24は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。第2上縦溝24は、傾斜溝21の上端部から上方に向けて延びている。第2上縦溝24の上端部は、肩部15の上端部に位置している。第2上縦溝24の幅は、傾斜溝21の幅より広くなっている。第2上縦溝24の深さは、傾斜溝21の深さより深くなっている。
なお、第2上縦溝24は、傾斜溝21の上端部に対して上方に離れてもよいし、下方に突出してもよい。
【0038】
以上説明したように、本実施形態による二重容器1によれば、胴部16の上部に、径方向の外側から見て下方に向けて尖るV字状を呈する一対の傾斜溝21が周方向に沿って複数設けられているので、胴部16のうち、上部より下方に位置する部分を押圧して径方向の内側に向けて弾性変形したときに、胴部16のうち、一対の傾斜溝21の下端部が位置する部分(以下、谷部分という)に応力が集中しやすくなる。
【0039】
したがって、胴部16に対する押圧を解除して、外容器11の胴部を復元変形させたときに、胴部16の前記谷部分を起点に、内容器12を外容器11から剥離させることにより、この剥離を肩部15側の上方に向けて進展させやすくすることができる。これにより、胴部16を径方向の内側に向けて押圧した後、この押圧を解除して、外容器11の胴部を復元変形させたときに、外気導入孔17から肩部15を通して胴部16に至る気道を容易に確保することができる。
【0040】
胴部16の上部において、一対の傾斜溝21の下端部と同じ周方向の位置に、上下方向に延びる上縦溝22が設けられているので、胴部16の前記谷部分を起点に生じた前述の剥離を、上縦溝22に沿わせることで肩部15側の上方に向けて進展させやすくすることが可能になり、外容器11の胴部を復元変形させたときに、前述の気道を容易に確保することができる。
【0041】
一対の傾斜溝21の下端部が、上縦溝22の下端部を介して接続され、上縦溝22の下端部が、一対の傾斜溝21の下端部を上下方向に跨いでいるので、胴部16の前記谷部分を起点に生じた前述の剥離を、例えば周方向等に拡がらせず、確実に肩部15側の上方に向けて進展させやすくすることができる。
【0042】
胴部16の下部に、上下方向に延びる下縦溝23が、周方向に間隔をあけて複数設けられているので、胴部16のうち、上部より下方に位置する部分を径方向の内側に向けて押圧した後、この押圧を解除したときに、外容器11の胴部を円滑に復元変形させることができる。
【0043】
複数の下縦溝23の上端部が、傾斜溝21の下端部に対して周方向に離れて位置するものほど上方に位置しているので、前述した押圧の解除後に、外容器11の胴部のうち、傾斜溝21より下方に位置する部分を全域にわたって円滑に復元変形させやすくすることができる。
【0044】
胴部16が上方から下方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びていて、肩部15の最大径が、胴部16のうち、上端部より下方に位置する部分の直径より小さくなっているので、二重容器1のブロー成形時に肩部15が延伸しにくくなっている。したがって、胴部16を径方向の内側に向けて押圧した後、この押圧を解除して、外容器11の胴部を復元変形させたときに、小径の肩部15において内容器12が外容器11から特に剥離しにくくなっている。これにより、前述した、外容器11の胴部を復元変形させたときに、肩部15において内容器12が外容器11から剥離しにくくなるのを抑制することができる、といった作用効果が顕著に奏功される。
【0045】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0046】
例えば、胴部16は、上下方向に真直ぐ延びてもよい。
第1上縦溝22、下縦溝23、および第2上縦溝24は設けなくてもよい。
【0047】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 二重容器
11 外容器
12 内容器
13 口部
14 底部
15 肩部
16 胴部
17 外気導入孔
21 傾斜溝
22 第1上縦溝(上縦溝)
23 下縦溝
O ボトル軸
図1