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特開2023-123021セクションインシュレータのクサビ抜き取り装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123021
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】セクションインシュレータのクサビ抜き取り装置
(51)【国際特許分類】
   B60M 1/13 20060101AFI20230829BHJP
   B60M 1/28 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B60M1/13 Z
B60M1/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026837
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】390031934
【氏名又は名称】日本リーテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】菅原 貴之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 修平
(57)【要約】
【課題】作業者の力量に左右されず、誰でも容易に同じ作業ができ、しかも金具を損傷させるおそれのないクサビの抜き取り装置を提供する。
【解決手段】クサビ抜き取り装置1は、セクションインシュレータ11の接続部12の上端面12aに下面が当接するように環状に配置される当接部材2と、接続部12からのクサビ14の突出部14cを把持するように相対向して当接部材2の上に重ねて配置される一対の締め付け部材3と、クサビ14の突出部14cを把持するように一対の締め付け部材3間をクサビ14の軸線直交方向に締め付ける締め付けボルト4と、一対の締め付け部材3をそれぞれクサビ14の軸線方向に貫通し、先端が当接部材2の上面に当接し、締め込みにより、クサビ14を把持した締め付け部材3を当接部材2から引き離す押しボルト5とを具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
概略筒状の接続部に挿通されたトロリ線の端部を一対の把持片を有するコーンチャック型のクサビで把持して抜け止めすることにより当該トロリ線と接続されているセクションインシュレータから当該クサビを抜き取る装置であって、
前記クサビの端部が突出する前記接続部の上端面に下面が当接するように環状に配置される当接部材と、
前記クサビの前記接続部からの突出部の外周を把持するように相対向して前記当接部材の上面に重ねて配置される一対の締め付け部材と、
前記クサビの前記突出部を把持するように前記一対の締め付け部材間を前記クサビの軸線直交方向に締め付ける締め付けボルトと、
前記一対の締め付け部材をそれぞれ前記クサビの軸線方向に貫通し、先端が前記当接部材の外側面に当接し、締め込みにより前記クサビを把持した前記締め付け部材を前記当接部材から引き離す押しボルトとを具備することを特徴とするセクションインシュレータのクサビ抜き取り装置。
【請求項2】
前記当接部材は、相対向して環状に配置される一対の部材で構成されることを特徴とする請求項1に記載のセクションインシュレータのクサビ抜き取り装置。
【請求項3】
前記一対の締め付け部材は、前記クサビの外周に沿う把持凹部と、前記クサビの半割溝に係合するように前記把持凹部の内周に突設された係合凸部とを具備することを特徴とする請求項1に記載のセクションインシュレータのクサビ抜き取り装置。
【請求項4】
前記当接部材は、相対向して環状に配置される一対の構成部材からなり、それぞれ垂直に起立するガイドピンを具備し、
前記一対の締め付け部材は、それぞれ前記当接部材の各構成部材に対向し、前記ガイドピンを挿通させるガイド孔を具備することを特徴とする請求項1に記載のセクションインシュレータのクサビ抜き取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
異種電源に接続されるトロリ線は、電源区分箇所においてセクションインシュレータを介して電気的に絶縁して接続される。本発明は、このセクションインシュレータとトロリ線との接続部に、抜け止めのために用いられるコーンチャック型のクサビをセクションインシュレータから抜き取るための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セクションインシュレータからトロリ線を抜き取る装置として、特許文献1に開示されたものが知られている。この装置は、一端下面にセクションインシュレータの上面に当接される当接部を有する角棒状の下部材と、一端にセクションインシュレータから突出したトロリ線の端部を把持する固定部を有する角棒状の上部材と、下部材に対して上部材を傾動自在に連結する連結部材と、下部材の他端と上記上部材の他端とを互いに接近させるボルトのような接近手段とよりなり、ボルトを締めて下部材と上部材の他端部間を接近させると、トロリ線の端部を把持する上部材の一端が下部材の一端に対して上昇し、トロリ線をセクションインシュレータから引き抜くものである。
その他、ペンチ構造の工具でクサビの突出部を把持して引き抜く方法や、マイナスドライバのような工具とハンマを用いて打撃を加えてクサビを抜き取る方法などが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-158224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものは、現場によりトロリ線の突出代がまちまちであり、トロリ線を把持するための十分な掴み代がない現場では使用することができない。
その他のいずれの方法も、作業者の熟練度や力量に負うところが大きい上、作業により金具に損傷を与える可能性がある。
従って、本発明は、作業者の力量に左右されることなく、誰でも容易に同じ作業ができ、しかも金具を損傷させるおそれのないクサビの抜き取り装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の説明において添付図面の符号を参照するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明のクサビ抜き取り装置1は、セクションインシュレータ11におけるコーンチャック型クサビ14の端部が突出する接続部12の上端面12aに下面が当接するように環状に配置される当接部材2と、接続部12からのクサビ14の突出部14cの外周を把持するように相対向して当接部材2の上に重ねて配置される一対の締め付け部材3と、クサビ14の突出部14cを把持するように一対の締め付け部材3間をクサビ14の軸線直交方向に締め付ける締め付けボルト4と、一対の締め付け部材3をそれぞれクサビ14の軸線方向に貫通し、先端が当接部材2の上面に当接し、締め込みによりクサビ14を把持した締め付け部材3を当接部材2から引き離す押しボルト5とを具備する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一対の締め付け部材でクサビの突出部を把持するから、セクションインシュレータからのトロリ線の突出寸法の長短にかかわらず、セクションインシュレータに装着することができ、また、熟練や大きな力を要しない押しボルトの締め付け作業のみでクサビの抜き取りができる。打撃や衝撃を加えることなく作業ができるので、部材の損傷を生じることもない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のクサビ抜き取り装置をセクションインシュレータに装着した状態の正面図である。
図2図1の状態の平面図である。
図3図1のIII-III断面図である。
図4図2のIV-IV断面図である。
図5】クサビを抜き取った状態の正面図である。
図6】クサビを抜き取った状態の図3と同位置の断面図である。
図7】クサビを抜き取った状態の図4と同位置の断面図である。
図8】クサビ抜き取り装置の分解斜視図である。
図9】クサビを抜き取り装置の正面図である。
図10】クサビ抜き取り装置の平面図である。
図11】クサビの抜き取り前のセクションインシュレータにおけるトロリ線接続部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のクサビ抜き取り装置を用いてクサビの抜き取りを行おうとするセクションインシュレータ11の一端部を図11に示す。セクションインシュレータ11は、トロリ線13の端部を引き留めるための概略筒状の接続部12を具備する。この接続部12に、トロリ線13の端部が挿通される。トロリ線13は、接続部12内において、コーンチャック型のクサビ14の一対の把持片14aで把持され、接続部12から抜け止めされる。
【0009】
クサビ14は、一対の把持片14aを形成するための対向一対の割溝14bを具備する。一方の割溝14bは全長にわたるが、他方の割溝14bは基端部14c側において連続部14dを残して終結する。クサビ14の円筒状の基端部14cと、トロリ線13の上端部は接続部12の上端面12aから突出している。
【0010】
クサビ14は、セクションインシュレータ11の設置時のトロリ線13の張力を受けて接続部12内に引き込まれ、一対の把持片14aでトロリ線13を強く把持しているため、接続部12から容易に抜き取ることができない。
【0011】
以上のようなセクションインシュレータ11からクサビ14を抜き取るための本発明のクサビ抜き取り装置1は、図8によく示すように、一対の当接部材2と、一対の締め付け部材3と、一対の締め付けボルト4と、一対の押しボルト5とを具備する。
【0012】
一対の当接部材2は、半割ドーナツ状の金属板からなる当接板21と、この当接板21から垂直に起立する円柱状の一対のガイドピン22とを具備する。
【0013】
図1に示すように、当接部材2は、使用時に、セクションインシュレータ11の接続部12の上端面12aに下面が当接するように環状に配置され、ガイドピン22の軸心はクサビ14の軸心と平行に配置される。
【0014】
図1,8によく示すように、一対の締め付け部材3は、半割ドーナツ状の金属ブロックからなり、使用時には、接続部12から突出したクサビ14の基端部14cの外周を把持するように相対向して、当接部材2の上に重ねて配置される。
【0015】
図8ないし10によく示すように、締め付け部材3は、把持凹部31、ガイド孔32、押しボルト螺合孔33、締め付けボルト挿通孔34及び螺合孔35を具備する。
【0016】
把持凹部31は、クサビ14の基端部14cの外周に沿う横断面概略半円弧状で、その内周には、クサビ14の割溝14bに係合する係合凸部36が形成される。締め付け部材3を当接部材2の上に重ねて配置するときに、図3に示すように、係合凸部36が割溝14bに対向するように位置決めされる。
【0017】
ガイド孔32は、締め付け部材3を当接部材2に重ねて装着する際に、ガイドピン22を挿通させる貫通孔であり、当接部材2に対する締め付け部材3の垂直上下動を案内する。
【0018】
押しボルト螺合孔33は、ガイド孔32と平行に複数設けられるねじ孔であり、上下に貫通しており、これに締め付け部材3を当接部材2から押し上げるための押しボルト5が螺合される。押しボルト5は、クサビ14の装着方向の相違等に応じ、適宜螺合孔33を選択して螺合される。
【0019】
締め付けボルト挿通孔34と締め付けボルト螺合孔35は、それぞれ把持凹部31を挟んだ両側の相対向位置に、ガイド孔32と直交する方向に設けられ、一対の締め付け部材3間にクサビ14を把持するための締め付けボルト4が挿通、螺合される。
【0020】
セクションインシュレータ11の接続部12からクサビ14を抜き取る作業について説明する。図1ないし4に示すように、あらかじめ当接部材2と、押しボルト5を装着した締め付け部材3とを組み合わせてなる一対のものを、接続部12から突出しているクサビ14の基端部14cを挟むように、上端面12a上に相対向させて配置する。この際、締め付け部材3の係合凸部36をクサビ14の割溝14bに突き合わせる。接続部12に対する割溝14bの軸周りの位置は現場ごとに相違する。このため、押しボルト5の螺合位置は、その都度、ねじ込み操作しやすい位置に相対向する押しボルト螺合孔33を適宜選択して決定する。
【0021】
次いで、締め付けボルト挿通孔34を通して締め付けボルト螺合孔35に締め付けボルト4を螺合して一対の締め付け部材3間を締め付け、両者間にクサビ14の突出部である基端部14cを把持する。このとき、係合凸部36が狭まっているクサビ14の割溝14bに圧入され割溝14bを開くように作用する。
【0022】
次いで、押しボルト5を均等に下方へ送り、その先端を締め付け部材3の下面から突出させることで、図5ないし7に示すように、締め付け部材3をクサビ14と一体に当接部材2上に押し上げる。このとき、係合凸部36が一方の割溝14bの末端に当接して締め付け部材3とクサビ14と滑りを阻止する。これでクサビ14がセクションインシュレータ11の接続部12から抜き取られる。
【0023】
なお、締め付け部材3によるクサビの把持力が十分に大きく相互間に滑りが生じなければ、係合凸部36を省略することができる。
【0024】
以上の実施形態において、当接部材2を半割ドーナツ状の一対で構成したが、これを円環状の一体のものとして構成することができ、またガイドピンを省略することもできる。
【0025】
以上の抜き取り作業において、一対の締め付け部材3でクサビ14の突出部14cを把持するから、セクションインシュレータ11からのトロリ線13の突出寸法の長短にかかわらず、クサビ抜き取り装置1をセクションインシュレータ11の接続部12に容易に装着することができ、また、作業に熟練や大きな力を要しないし、打撃や衝撃による部材の損傷を生じることもない。
【符号の説明】
【0026】
1 クサビ抜き取り装置
2 当接部材
21 当接板
22 ガイドピン
3 締め付け部材
31 把持凹部
32 ガイド孔
33 押しボルト螺合孔
34 締め付けボルト挿通孔
35 締め付けボルト螺合孔
36 係合凸部
4 締め付けボルト
5 押しボルト
11 セクションインシュレータ
12 接続部
12a 上端面
13 トロリ線
14 クサビ
14a 把持片
14b 割溝
14c 基端部
14d 連続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11