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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123031
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20230829BHJP
   B05C 9/14 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C9/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026857
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊文
(72)【発明者】
【氏名】宮本 芳範
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AB01
4F041CA03
4F042AA02
4F042AB00
4F042DB28
(57)【要約】
【課題】膜厚精度の低下を抑えつつ、塗布器により塗布された直後から塗布膜を乾燥させることができる塗布装置を提供する。
【解決手段】基板を載置するステージと、ステージに載置された基板に対し相対的に移動しつつ、ノズルから塗布液を吐出して基板に塗布膜を形成する塗布器と、を備える塗布装置であって、塗布器には、塗布進行側と反対側にノズルから吐出されて形成された塗布膜を乾燥させる乾燥器が設けられており、乾燥器は、塗布膜に向かってエアを供給する送風部と、送風部から供給されたエアを吸引する吸引部とを備える構成とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載置するステージと、
前記ステージに載置された基板に対し相対的に移動しつつ、ノズルから塗布液を吐出して基板に塗布膜を形成する塗布器と、
を備える塗布装置であって、
前記塗布器には、塗布進行側と反対側にノズルから吐出されて形成された塗布膜を乾燥させる乾燥器が設けられており、
前記乾燥器は、塗布膜に向かってエアを供給する送風部と、前記送風部から供給されたエアを吸引する吸引部と、
を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記送風部と前記吸引部は、前記ノズルから吐出された塗布液が基板に着液する着液点に向かってそれぞれの開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記送風部の開口部は、前記吸引部の開口部に対して、塗布進行方向側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記送風部の開口部は、前記吸引部の開口部に対して、塗布進行方向側と反対側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記送風部から供給されるエアは、ヒータにより加熱されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に塗布液を塗布する塗布装置に関するものであり、特に、塗布液を吐出した直後から乾燥させる塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、様々な用途に基板W上に均一な薄膜が形成されたもの(塗布基板という)が使用される。例えば、基板上に一様な膜厚の塗布膜を形成する場合には、スリット状のノズルを有する塗布装置によって形成されている。この塗布装置は、図6に示すように、基板Wを載置するステージ100と、塗布液を吐出するスリット状のノズルを有する塗布器101とを有しており、ノズルのスリットから塗布液を吐出させながら、基板Wと塗布器101とを相対的に移動させることにより、所定厚さの塗布膜Cが基板W上に形成されるようになっている。
【0003】
そして、形成された塗布基板Wは、塗布装置から搬出された後、塗布装置とは別の乾燥装置102によって乾燥させられる(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-034309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記塗布装置では、形成された塗布膜Cの機能性が十分に発揮できないという問題があった。すなわち、近年では、材料の特性として、塗布膜Cとして塗布された後、すぐに乾燥させることにより安定して機能性を発揮するものがあり、例えば、ペロブスカイト太陽電池の材料には、そのような材料が使用されている。上記塗布装置では、塗布膜Cが形成された後、別の乾燥装置102に搬送される間、時間を要してしまうため、この時間が塗布膜Cの結晶状態に影響し、材料の機能性が安定して発揮されにくいという問題があった。
【0006】
仮に、塗布された直後の塗布膜Cに対し、エアを吹き付けて乾燥させることも考えられるが、エアの流れがスリットから吐出された塗布液の流れ、すなわち、スリットと基板Wを連結する塗布液(ビード103)に影響し、形成された塗布膜Cの膜厚精度が悪化する虞があるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、膜厚精度の低下を抑えつつ、塗布器により塗布された直後から塗布膜を乾燥させることができる塗布装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の塗布装置は、基板を載置するステージと、前記ステージに載置された基板に対し相対的に移動しつつ、ノズルから塗布液を吐出して基板に塗布膜を形成する塗布器と、を備える塗布装置であって、前記塗布器には、塗布進行側と反対側にノズルから吐出されて形成された塗布膜を乾燥させる乾燥器が設けられており、前記乾燥器は、塗布膜に向かってエアを供給する送風部と、前記送風部から供給されたエアを吸引する吸引部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
上記塗布装置によれば、塗布進行側と反対側に乾燥器が設けられているため、ノズルから吐出されて形成された直後から、塗布膜を乾燥させることができる。すなわち、乾燥器の送風部からエアが供給されることにより、形成された塗布膜の乾燥が促進される。そして、供給されたエアは、吸引部から吸引されることにより、供給されたエアすべてが形成された塗布膜に直撃し、風圧により塗布膜が変形するのを抑えることができる。すなわち、吸引部に吸引力が発生されることにより、供給されたエアが塗布膜に当接する前に吸引されて塗布膜に直撃するエア量が軽減されるとともに、送風部と塗布膜との間に滞留するエアが少なくなることにより、供給されたエアが吐出された塗布液の流れ、すなわち、スリットと基板を連結する塗布液(ビード)への影響、及び、形成された塗布膜の形状に影響を与えるのを抑えることができる。これにより、形成された塗布膜の膜厚精度の低下を抑えつつ、塗布器により塗布された直後から塗布膜を乾燥させることができる。
【0010】
また、前記送風部と前記吸引部は、前記ノズルから吐出された塗布液が基板に着液する着液点に向かってそれぞれの開口部が形成されている構成にしてもよい。
【0011】
この構成によれば、塗布液が基板に着液した直後から乾燥させることができる。
【0012】
また、前記送風部の開口部は、前記吸引部の開口部に対して、塗布進行方向側に配置されている構成にしてもよい。
【0013】
この構成によれば、送風部の開口部が吸引部の開口部よりノズルに近い側に配置されるため、送風部から送り出されたエアが、吸引部の吸引力の影響により、ノズルから離れる方向に流れる。そのため、送風部から送り出されたエアが、ノズルと基板との間に形成されたビードに影響するのを抑えることができる。
【0014】
また、前記送風部の開口部は、前記吸引部の開口部に対して、塗布進行方向側と反対側に配置されている構成にしてもよい。
【0015】
この構成によれば、送風部の開口部が吸引部の開口部よりノズルに遠い側に配置されるため、送風部から送り出されたエアが、吸引部の吸引力の影響により、一旦、ノズル側に流れるが、そのまま吸引部により吸引されるため、送風部から直接ビードに直撃する場合に比べて、送風部から送り出されたエアがビードに与える影響を抑えることができる。
【0016】
また、前記送風部から供給されるエアは、ヒータにより加熱されている構成にしてもよい。
【0017】
この構成によれば、加熱されたエアが供給されることにより、塗布膜の乾燥を促進させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の塗布装置によれば、膜厚精度の低下を抑えつつ、塗布器により塗布された直後から塗布膜を乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る塗布装置を示す斜視図である。
図2】塗布ユニットの脚部付近を示す概略図である。
図3】乾燥器が設けられた塗布器の断面図である。
図4】上記塗布器から塗布液を吐出した状態を示す図である。
図5】他の実施形態における塗布器から塗布液を吐出した状態を示す図である。
図6】従来の塗布装置と乾燥装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態における塗布装置を概略的に示す斜視図であり、図2は、塗布ユニットの脚部付近を示す図であり、図3は、乾燥器が設けられた塗布器を示す図である。
【0022】
図1図3に示すように、塗布装置は、基板W上に薬液やレジスト液等の液状物(以下、塗布液と称す)の塗布膜を形成するものであり、基台2と、基板Wを載置するためのステージ21と、このステージ21に対し特定方向に移動可能に構成される塗布ユニット30とを備えている。
【0023】
なお、以下の説明では、塗布ユニット30が移動する方向をX軸方向、これと水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることとする。
【0024】
前記基台2には、その中央部分にステージ21が配置されている。このステージ21は、搬入された基板Wを載置するものである。このステージ21には、基板Wを載置する基板載置面21aと、図示しない基板保持手段が設けられており、この基板保持手段により基板Wが保持されるようになっている。具体的には、ステージ21の基板載置面21aに形成された複数の吸引孔が形成されており、この吸引孔に吸引力を発生させることにより基板Wを基板載置面21aに吸着させて保持できるようになっている。
【0025】
また、ステージ21には、基板Wを昇降動作させる基板昇降機構が設けられている。具体的には、ステージ21の表面には複数のピン孔が形成されており、このピン孔にはZ軸方向に昇降動作可能なリフトピン(不図示)が埋設されている。すなわち、ステージ21の表面からリフトピンを突出させた状態で基板Wが搬入されるとリフトピンの先端部分が基板Wに当接して基板Wを保持することができる。そして、その状態からリフトピンを下降させてピン孔に収容させることにより、基板Wを基板載置面21aに載置することができるようになっている。
【0026】
また、塗布ユニット30は、基板W上に塗布液を吐出して塗布膜Cを形成するものである。この塗布ユニット30は、図1図2に示すように、基台2と連結される脚部31とY軸方向に延びる塗布器34とを有しており、基台2上をY軸方向に跨いだ状態でX軸方向に移動可能に取り付けられている。具体的には、基台2のY軸方向両端部分にはそれぞれX軸方向に延びるレール22が設置されており、脚部31がこのレール22にスライド自在に取り付けられている。そして、脚部31にはリニアモータが取り付けられており、このリニアモータを駆動制御することにより、塗布ユニット30がX軸方向に移動し、任意の位置で停止できるようになっている。
【0027】
また、塗布ユニット30の脚部31には、図2に示すように、塗布液を塗布する塗布器34が取り付けられている。具体的には、この脚部31にはZ軸方向に延びるレール37と、このレール37に沿ってスライドするスライダ35が設けられており、これらのスライダ35と塗布器34とが連結されている。そして、スライダ35にはサーボモータにより駆動されるボールねじ機構が取り付けられており、このサーボモータを駆動制御することにより、スライダ35がZ軸方向に移動するとともに、任意の位置で停止できるようになっている。すなわち、塗布器34が、ステージ21に保持された基板Wに対して接離可能に支持されている。
【0028】
また、図1~3に示すように、塗布器34は、塗布液を吐出して基板W上に塗布膜Cを形成するものである。この塗布器34は、一方向に延びる形状を有する柱状部材であり、塗布ユニット30の走行方向とほぼ直交するように設けられている。この塗布器34は、鉛直方向に延びる側面部34bを有しており、この側面部34bから傾斜状に形成される斜面部34cを経て基板Wと対向する基板対向面34dを有している。そして、基板対向面34dには、スリットノズル34aが形成されており、スリットノズル34aから塗布液が吐出されるようになっている。すなわち、塗布器34の基板対向面34dには、スリットノズル34aが長手方向に延びるように形成されており、塗布器34に供給された塗布液がスリットノズル34aから長手方向に亘って一様に吐出されるようになっている。したがって、このスリットノズル34aから塗布液を吐出させた状態で塗布ユニット30をX軸方向に走行させることにより、スリットノズル34aの長手方向に亘って基板W上に一定厚さの塗布膜Cが形成されるようになっている。なお、塗布液を塗布するために、スリットノズル34aから塗布液を吐出させた状態で塗布ユニット30を移動させる方向を本実施形態では塗布方向と呼び、塗布方向側を塗布進行側と呼ぶことにする。
【0029】
また、塗布器34には、乾燥器40が設けられている。この乾燥器40は、基板W上に形成された塗布膜Cを乾燥させるものである。ここで、乾燥とは、完全乾燥の意味だけでなく、半乾き状態の乾燥、及び、大気に放置して乾燥させる場合よりも材料の結晶化が促進される程度の乾燥も含まれるものとする。
【0030】
乾燥器40は、本実施形態では、塗布器34において、塗布進行側と反対側に一体的に取り付けられている。すなわち、塗布器34が塗布液を吐出しつつ塗布進行方向に移動すると、乾燥器40が塗布器34と一体的に移動しつつ、基板上に塗布膜Cが形成された直後から、乾燥器40により塗布膜Cが乾燥されるようになっている。
【0031】
乾燥器40は、塗布器34の長手方向に沿って設けられており、エアを供給する送風部41と、吸引力を発生させる吸引部42を有している。本実施形態では、塗布器34に隣接するように送風部41が配置され、この送風部41に隣接するように吸引部42が配置されて構成されている。すなわち、送風部41の開口部41cは、吸引部42の開口部42cに対して、塗布器34側(塗布進行方向側)に配置されている。
【0032】
送風部41は、基板W上に形成された塗布膜Cにエアを供給するものである。本実施形態では、送風本体部411と、送風ノズル部412とを有しており、送風本体部411で貯留されたエアが送風ノズル部412を通じてエアが吹き出されるようになっている。
【0033】
送風本体部411は、ボックス形状を有しており、塗布器34の側面部34bに沿って長手方向に延びる形状に形成されている。本実施形態では、スリットノズル34aの長手方向寸法よりも長い寸法を有するように形成されている。また、送風本体部411には、塗布膜Cに供給するためのエアを溜めるキャビティ41bが設けられており、図示しないエア供給源から供給されたエアがキャビティ41bで一時的に貯留できるようになっている。キャビティ41bは、長手方向に延びる形状に形成されており、送風ノズル部412と連通して接続されている。したがって、エアがキャビティ41bに供給されるとキャビティ41b全体に広がって一時的に貯留されることにより、送風ノズル部412に対して長手方向に渡って一様にエアを供給できるようになっている。
【0034】
送風ノズル部412は、送風本体部411に供給されたエアを塗布膜Cに導くためのものである。具体的には、送風ノズル部412は、塗布器34の斜面部34cに沿って形成されており、スリットノズル34a付近まで延びて形成されている。図3の例では、スリットノズル34aの高さ位置よりもわずかに高い位置、すなわち、基板Wに形成される塗布膜Cに当接しない高さ位置まで延びて形成されている。そして、送風ノズル部412は、エアを導く流路41aが形成されており、その流路41aにより、送風本体部411のキャビティ41bと、スリットノズル34a付近に形成される開口部41cとが連通して接続されている。すなわち、送風ノズル部412は、エア供給源を作動させると、流路41bを通じてキャビティ41bのエアを開口部41cまで導くことができるようになっている。
【0035】
送風ノズル部412の流路41aは、スリット状に形成されており、塗布器34の長手方向に延びるように形成されている。本実施形態では、流路41bの長手方向寸法は、塗布器34のスリットノズル34aの長手寸法とほぼ同じ寸法に形成されている。また、送風ノズル部412の開口部41cは、スリットノズル34aから吐出された塗布液が基板Wに着液する着液点Pに向かう方向に形成されている。これにより、送風本体部411のキャビティ41bに供給されたエアは、送風ノズル部412の流路41aから開口部41cを通じて着液点Pに向かって供給されるようになっている。そして、エア供給源が調節されることにより、送風ノズル部412から送り出されるエアの供給量が調節されるようになっている。
【0036】
吸引部42は、送風部41から供給されたエアを吸引するためのものである。本実施形態では、吸引本体部421と、吸引ノズル部422とを有しており、吸引ノズル部422から吸引されたエアを吸引本体部421に取り込んで排出されるようになっている。
【0037】
吸引本体部421は、ボックス形状を有しており、送風本体部411に沿って長手方向延びる形状に形成されている。吸引本体部421には、エアの流れを抑制するチャンバ部42bが設けられており、チャンバ部42bが長手方向に延びる形状に形成されている。そして、チャンバ部42bには、図示しない吸引源が接続されており、吸引源を作動させるとチャンバ部42b全体が減圧され、後述の吸引ノズル部422に吸引力を発生させる。すなわち、チャンバ部42bを設けることにより、長手方向に延びる吸引ノズル部422全体に一様な吸引力を発生させることができるようになっている。
【0038】
吸引ノズル部422は、吸引本体部421にエアを導くためのものである。具体的には、吸引ノズル部422は、送風ノズル部412に併設して設けられており、送風ノズル部412の開口部42cまで延びる形状に形成されている。図3の例では、送風ノズル部412の開口部42cの高さ位置と同じになるように設けられている。そして、吸引ノズル部422は、エアを導く流路42aが形成されており、その流路42aにより、吸引本体部421のチャンバ部42bと、開口部42cとが連通して接続されている。すなわち、吸引源を作動させると、吸引ノズル部422の流路42aを通じて、開口部42c付近のエアがチャンバ部42bまで吸引されるになっている。
【0039】
吸引ノズル部422の流路42aは、スリット状に形成されており、送風ノズル部412の流路41aと同様に長手方向に延びるように形成されている。本実施形態では、吸引ノズル部422の流路42aの長手方向寸法は、送風ノズル部412の流路41aの長手寸法とほぼ同じ寸法に形成されている。すなわち、吸引ノズル部422の開口部42cと、送風ノズル部412の開口部41cは、ほぼ同じ寸法に形成されており、塗布進行方向と所定間隔で並んで配置されている。また、吸引ノズル部422の開口部42cは、スリットノズル34aの着液点Pに向かう方向に形成されている。これにより、着液点P付近のエアは、吸引ノズル部422を通じて長手方向に渡って一様に吸引されるようになっている。そして、吸引源が調節することにより、吸引ノズル部422が吸引するエアの吸引量が調節できるようになっている。
【0040】
この乾燥器40を作動させると、図4に示すように、送風部41からエアが吹き出されるとともに、吸引部42からエアが吸引される。これにより、送風部41と吸引部42がスリットノズル34a近くに設けられているため、スリットノズル34aから吐出されて基板Wに着液された直後の塗布膜Cに対して乾燥させることができる。すなわち、送風部41からエアが吹き出されると、エアが着液点Pに向かって流れることにより、スリットノズル34aと基板Wとの間に形成されたビードB、及び、基板W上に形成された塗布膜Cにエアが当たることにより塗布液の乾燥が開始される。一方で、吸引部42が着液点P付近のエアを吸引することにより、送風部41から供給されたエアの一部が吸引部42により吸引され、送風部41から吹き出されたエアがビードBに当たるのを抑えることができる。そして、吸引量を調節することにより、ビードBに当たるエア量を調節することができるため、送風部41から吹き出されたエアによるビードBへの影響を抑えるように調節することができる。すなわち、送風部41から吹き出されたエアは、ビードBよりも塗布進行側と反対側に流れやすくなるため、主に、着液点Pから塗布進行側と反対側に形成される塗布膜Cを乾燥させることができる。これにより、供給されるエアによるビードBへの影響が抑えられることにより、形成される塗布膜Cの膜厚精度への影響を抑えつつ、塗布膜Cの乾燥を促進させることができる。
【0041】
このように、上記実施形態における塗布装置によれば、塗布進行側と反対側に乾燥器40が設けられているため、スリットノズル34aから吐出されて形成された直後から、塗布膜Cを乾燥させることができる。すなわち、乾燥器40の送風部41からエアが供給されることにより、形成された塗布膜Cの乾燥が促進される。そして、供給されたエアは、吸引部42から吸引されることにより、供給されたエアが直接、形成された塗布膜Cに当たるのを抑えることができる。すなわち、吸引部42に吸引力が発生されることにより、供給されたエアが塗布膜Cに当接する前に吸引されて塗布膜Cに直撃するエア量が軽減されるとともに、送風部41と塗布膜Cとの間に滞留するエアが少なくなることにより、供給されたエアが吐出された塗布液の流れ、すなわち、スリットノズル34aと基板Wを連結するビードBへの影響、及び、形成された塗布膜Cの形状に影響を与えるのを抑えることができる。これにより、形成された塗布膜Cの膜厚精度の低下を抑えつつ、塗布器34により塗布された直後から塗布膜Cを乾燥させることができる。
【0042】
また、上記実施形態では、乾燥器40の送風部41、吸引部42が塗布進行側からこの順に配置されている例について説明したが、塗布進行側から吸引部42、送風部41の順に配置するものであってもよい。
【0043】
ここで、図5は、乾燥器40の送風部41、吸引部42が塗布進行側から吸引部42、送風部41の順に配置させた例である。この例では、送風部41、吸引部42は、上記実施形態で説明したものと同じ構成を有している。これにより、吸引部42から吹き出されたエアは、着液点Pから形成された塗布膜Cに当たるように流れることにより、その塗布膜Cの乾燥が開始される。一方、吸引部42から吸引力が発生することにより、送風部41から吹き出されたエアの一部が吸引部42に吸引されるため、塗布膜Cに直接的に当たるエア量を調節することができる。すなわち、送風部41から吹き出されたエアの一部が吸引部42で吸引され、塗布膜Cにはエアの流れによる風圧が緩和された状態で当てることができるため、形成された塗布膜Cにエアの流れが塗布ムラとなって形成されるのを抑えることができる。また、送風部41から吹き出されたエアが直接、又は塗布膜Cに当たった後、ビードBに向かって流れるエアが発生した場合でも、吸引部42の吸引力が作用することにより、ビードBに当たるエアを抑えることができる。これにより、供給されるエアによるビードBへの影響が抑えられることにより、形成される塗布膜Cの膜厚精度への影響を抑えつつ、塗布膜Cの乾燥を促進させることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、送風ノズル部412の開口部41c、吸引ノズル部422の開口部41cが着液点Pに向くように設定された例について説明したが、着液点Pよりも塗布進行側と反対側に離れるように設定されていてもよい。これにより、吸引部42から吹き出されたエアは、着液点Pよりも塗布進行側と反対側に流れることにより、エアが直接ビードBに当たるのが抑えられる。そして、エアが着液点Pから塗布進行側と反対側に形成された塗布膜Cに当たるように流れるが、そのエアが吸引部42で吸引されることにより、エアの流れによる風圧が緩和された状態で当てることができるため、塗布ムラを抑えて形成された塗布膜Cを乾燥させることができる。
【0045】
また、上記実施形態では、送風部41から供給されるエアは、エア供給源の温度(塗布装置が設置される空間の温度)である例について説明したが、エア供給源と送風部41との間にヒータを設け、ヒータにより加熱されたエアを供給するものであってもよい。例えば、塗布装置が設置される空間の温度よりも少し高い35℃~45℃程度に設定することにより、エア供給源のエアをそのまま使用する場合に比べて塗布膜Cの乾燥を促進させることができる。
【0046】
また、上記実施形態では、塗布器34がスリットノズル34aを有する例について説明したが、一方向に移動し、塗布膜Cを形成した直後から乾燥が必要な塗布器(例えば、インクジェット)であればよく、吐出方式は特に限定されない。
【符号の説明】
【0047】
21 ステージ
30 塗布ユニット
34 塗布器
34a スリットノズル
40 乾燥器
41 送風部
41C 開口部
42 吸引部
42C 開口部
B ビード
P 着液点
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6