(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123072
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】吸込ノズル
(51)【国際特許分類】
A47L 9/02 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
A47L9/02 D
A47L9/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026931
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】井上 幹允
(72)【発明者】
【氏名】古賀 理基
(72)【発明者】
【氏名】土田 英也
(72)【発明者】
【氏名】中垣 寿泰
【テーマコード(参考)】
3B061
【Fターム(参考)】
3B061AA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】吸込ノズルの幅方向の長さを変化させて狭い隙間に差し込むことができるとともに、吸込ノズルの幅方向のほぼ全域に亘って床面の塵埃に吸引力を作用させる吸込ノズルを提供する。
【解決手段】吸込ノズル10は、掃除機本体の塵埃管路に接続可能に構成されており、下方に開口する第1吸込空間が形成された主ケース20と、主ケース20の側方に配置され下方に開口する第2吸込空間が形成された副ケース30と、主ケース20と副ケース30とを連結し弾性的に屈曲可能な連結部40と、を備える。連結部40には第1吸込空間から第2吸込空間までの区間において連続して下方に開口する第3吸込空間が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引力を発生する吸引源を内蔵した掃除機本体の塵埃管路に接続可能に構成される吸込ノズルであって、
前記塵埃管路に接続可能に構成されており、前記吸引源の吸引力により床面上の塵埃を吸い込むために下方に開口する第1吸込空間が形成された主ケースと、
前記主ケースの側方に配置され、床面上の塵埃を吸い込むために下方に開口する第2吸込空間が形成された副ケースと、
前記主ケースと前記副ケースとを連結するとともに弾性的に屈曲可能に構成された連結部と、を備え、
前記連結部は、前記第1吸込空間と前記第2吸込空間とを連通するとともに前記第1吸込空間から前記第2吸込空間までの区間において連続して下方に開口する第3吸込空間が形成されており、
前記第3吸込空間は、前記連結部が屈曲した状態において、前記第1吸込空間と前記第2吸込空間とが連通した状態を維持するように構成された、吸込ノズル。
【請求項2】
前記主ケースから側方に張り出した張出部と、
前記副ケースから前記主ケース側に延設された延設部と、
前記張出部と前記延設部とを接続する接続部と、をさらに備え、
前記接続部は、前記副ケースが前記接続部回りに回動することを許容するように構成されている、請求項1に記載の吸込ノズル。
【請求項3】
前記吸込ノズルは、前記主ケース、前記副ケース及び前記連結部のうち少なくとも1つを床面から離間させるための離間部を備えている、請求項1または請求項2に記載の吸込ノズル。
【請求項4】
前記離間部は、前記主ケースを床面から離間させる第1離間部材と、前記副ケースを床面から離間させる第2離間部材と、を含み、
前記第2離間部材により前記副ケースと床面との間に形成される隙間の高さが、前記第1離間部材により前記主ケースと床面との間に形成される隙間の高さよりも大きい、請求項3に記載の吸込ノズル。
【請求項5】
前記主ケースには、前方または後方の下端縁部において前記第1吸込空間に連通するように開口する第1切欠部が形成されており、
前記副ケースには、前方または後方の下端縁部において前記第2吸込空間に連通するように開口する第2切欠部が形成されており、
前記第2切欠部の開口は、前記第1切欠部の開口よりも大きい、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の吸込ノズル。
【請求項6】
前記副ケースは、先端に向けて細くなるように形成されている、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の吸込ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機に取り付けられる吸込ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
掃除機本体に取り付けられるとともに掃除機本体からの吸引力により床面上の塵埃を吸い上げる吸込ノズルが知られている。特許文献1には、
図11及び
図12に示すように、掃除機本体に接続される吸引管502と、吸引管502の下端に接続された基台501と、基台501の下面に当接するように左右に並んで配置された一対の可動吸込口体503と、を備えた吸込ノズル510が開示されている。一対の可動吸込口体503は、基台501に対して前後方向に回動可能に接続されている。基台501は、吸引管502に連通する連通空間501aが形成されている。一対の可動吸込口体503にはそれぞれ、下方に開口し床面から塵埃を吸い上げるための吸込通路503bと、連通空間501aと吸込通路503bとを繋ぐ連通口503cとが形成されている。特許文献1の吸込ノズル510によれば、吸込通路503bに作用する吸引力を維持しながら、可動吸込口体503を基台501に対して回動させることにより吸込ノズル510の幅を短くして、狭い隙間に差し込んで清掃を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吸込ノズル510では、一対の可動吸込口体503が基台501の下面に接続される構成のため、一対の可動吸込口体503の幅方向において、床面上の塵埃を吸い上げるための吸込空間が形成されていない区間が生じている。このため、掃除機の清掃範囲において、床面の塵埃の一部に吸込空間からの吸引力が作用せず、床面上の塵埃の一部が吸込ノズル510に吸い上げられないという課題がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、吸込ノズルの幅方向の長さを変化させて狭い隙間に差し込むことができるとともに、吸込ノズルの幅方向のほぼ全域に亘って床面の塵埃に吸引力を作用させる吸込ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明に係る吸込ノズルは、吸引力を発生する吸引源を内蔵した掃除機本体の塵埃管路に接続可能に構成される吸込ノズルであって、前記塵埃管路に接続可能に構成されており、前記吸引源の吸引力により床面上の塵埃を吸い込むために下方に開口する第1吸込空間が形成された主ケースと、前記主ケースの側方に配置され、床面上の塵埃を吸い込むために下方に開口する第2吸込空間が形成された副ケースと、前記主ケースと前記副ケースとを連結するとともに弾性的に屈曲可能に構成された連結部と、を備えている。前記連結部は、前記第1吸込空間と前記第2吸込空間とを連通するとともに前記第1吸込空間から前記第2吸込空間までの区間において連続して下方に開口する第3吸込空間が形成されており、前記第3吸込空間は、前記連結部が屈曲した状態において、前記第1吸込空間と前記第2吸込空間とが連通した状態を維持するように構成されている。
【0007】
上述の構成によれば、主ケースに形成された第1吸込空間と、副ケースに形成された第2吸込空間と、連結部に形成された第3吸込空間とにより、吸込ノズルの幅方向のほぼ全域に亘り、床面から塵埃を吸い上げるための吸込空間が形成されている。しかも、主ケースと副ケースとを連結する連結部を屈曲させることにより、第1吸込空間と第2吸込空間との連通状態を維持したまま、副ケースが主ケースに対して側方に位置している状態から、副ケースが主ケースに対して前方または後方に位置している状態に切り替えることができる。これにより、吸込ノズルの幅方向のほぼ全域に亘り吸込空間が形成された状態を維持したまま、吸込ノズルの幅方向の長さを短くすることができる。したがって、この吸込ノズルによれば、吸込ノズルの幅方向の長さを変化させて狭い隙間に差し込むことができるとともに、吸込ノズルの幅方向のほぼ全域に亘って床面の塵埃に吸引力を作用させることができる。
【0008】
前記吸込ノズルは、前記主ケースから側方に張り出した張出部と、前記副ケースから前記主ケース側に延設された延設部と、前記張出部と前記延設部とを接続する接続部と、をさらに備えていてもよく、前記接続部は、前記副ケースが前記接続部回りに回動することを許容するように構成されていてもよい。
【0009】
この態様では、張出部、延設部及び接続部により、連結部が屈曲するときの主ケースに対する副ケースの移動の軌跡が一定になるように構成されている。これにより、副ケースの移動により連結部に過度な負担がかかることが抑制できる。
【0010】
前記吸込ノズルは、前記主ケース、前記副ケース及び前記連結部のうち少なくとも1つを床面から離間させるための離間部を備えていてもよい。
【0011】
この態様では、離間部により、主ケース、副ケース及び連結部のうち少なくとも1つを床面から離間させることにより、第1吸込空間、第2吸込空間及び第3吸込空間のうち少なくとも1つの吸込空間の周囲にある塵埃を、前記少なくとも1つの吸込空間内に吸い込むための吸込隙間が形成される。これにより、吸込ノズルの下面の開口からだけでなく吸込隙間からも、第1吸込空間、第2吸込空間及び第3吸込空間に塵埃を吸い込むことができるため、吸込ノズルの清掃範囲を広げることができる。
【0012】
前記離間部は、前記主ケースを床面から離間させる第1離間部材と、前記副ケースを床面から離間させる第2離間部材と、を含んでいてもよく、前記第2離間部材により前記副ケースと床面との間に形成される隙間の高さが、前記第1離間部材により前記主ケースと床面との間に形成される隙間の高さよりも大きくてもよい。
【0013】
この吸込ノズルでは、掃除機本体の塵埃管路に接続されている主ケースの第1吸込空間に比較的大きな吸引力が作用し、副ケースの第2吸込空間に比較的小さな吸引力が作用する。一方で、第1離間部材及び第2離間部材により、主ケースと床面との間の隙間の高さが比較的小さくなり、副ケースと床面との間の隙間の高さを比較的大きくなる。このため、主ケースにおいて、隙間の高さを比較的小さくしたとしても、第1吸込空間に比較的大きな吸引力が作用するため、塵埃が主ケースと床面との間の隙間に詰まることが抑制される。そして、副ケースにおいて、第2吸込空間に作用する吸引力が比較的小さいとしても、隙間の高さを大きくすることにより、塵埃が副ケースと床面との間の隙間に詰まることが抑制される。したがって、主ケースと副ケースどちらにおいても、塵埃が床面との間の隙間に詰まることを抑制できる。
【0014】
前記主ケースには、前方または後方の下端縁部において前記第1吸込空間に連通するように開口する第1切欠部が形成されていてもよく、前記副ケースには、前方または後方の下端縁部において前記第2吸込空間に連通するように開口する第2切欠部が形成されていてもよく、前記第2切欠部の開口は、前記第1切欠部の開口よりも大きくてもよい。
【0015】
この態様では、副ケースの周囲の塵埃を第2吸込空間に吸い込むために副ケースに形成された第2切欠部の開口が、主ケースの周囲の塵埃を第1吸込空間に吸い込むために主ケースに形成された第1切欠部の開口よりも大きい。このとき、第1吸込空間に比較的大きな吸引力が作用する主ケースでは、第1切欠部の開口を比較的小さくしたとしても、塵埃が第1切欠部の開口に詰まることを抑制できる。そして、第2吸込空間に比較的小さい吸引力が作用する副ケースでは、第2切欠部の開口を比較的大きくすることにより、塵埃が第2切欠部の開口に詰まることを抑制できる。したがって、主ケースと副ケースどちらにおいても、塵埃が第1切欠部及び第2切欠部に詰まることを抑制できる。
【0016】
前記副ケースは、先端に向けて細くなるように形成されていてもよい。これにより、吸込ノズルを用いて狭い隙間を清掃するときに、狭い隙間への副ケースの抜き差しをより容易にできる。
【発明の効果】
【0017】
本開示における吸込ノズルによれば、吸込ノズルの幅方向の長さを変化させて狭い隙間に差し込むことができるとともに、吸込ノズルの幅方向のほぼ全域に亘って床面の塵埃に吸引力を作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】実施形態に係る吸込ノズルを示す上方から見た斜視図
【
図3】実施形態に係る吸込ノズルを示す下方から見た斜視図
【
図6】実施形態において通常状態の吸込ノズルを示す下から見た平面図
【
図7】実施形態において屈曲状態の吸込ノズルを示す下から見た平面図
【
図8】実施形態において屈曲状態の吸込ノズルを示す下から見た平面図
【
図9】実施形態の変形例の第1離間部材及び第2離間部材を説明するための概略図
【
図10】実施形態の変形例の第1切欠部及び第2切欠部を説明するための概略図
【
図11】特許文献1の吸込ノズルを示す下から見た平面図(可動部が初期の状態)
【
図12】特許文献1の吸込ノズルを示す下から見た平面図(可動部が回動した状態)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明するが、当業者の理解を容易にするために、例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0020】
(掃除機の構造)
掃除機100は、
図1に示すように、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源102を内蔵した掃除機本体110と、掃除機本体110から延設された塵埃管路103と、塵埃管路103の先端に取り付けられた吸込ノズル10と、を備えている。清掃作業時、吸引源102の吸引力は、塵埃管路103を通じて吸込ノズル10に作用し、吸引源102の吸引力により吸込ノズル10に吸い込まれた塵埃が、塵埃管路103を通じて掃除機本体110に吸引される。塵埃管路103は、掃除機本体110に接続された可撓性のホース105と、一方向に延びる延長管106と、ホース105と延長管106とを接続し使用者により把持可能に形成された把持部107と、を含んでいる。把持部107には、掃除機本体110及び吸込ノズル10を作動させるための操作部108が設けられている。
【0021】
(吸込ノズルの構造)
吸込ノズル10は、塵埃管路103により形成される流路よりも左右方向に幅広の吸込空間を形成するためのものであり、延長管106に取り付けられている。吸込ノズル10は、
図2及び
図3に示すように、左右方向に幅広のノズルケース12と、ノズルケース12から後方に延設された連結管14と、を備えている。連結管14は、塵埃管路103の延長管106に接続可能に構成されている。ノズルケース12は、連結管14に接続された主ケース20と、主ケース20の側方に配置された一対の副ケース30と、主ケース20と一対の副ケース30との間に位置する一対の連結部40と、を備えている。
【0022】
主ケース20は、連結管14に連結されるケース基部21と、ケース基部21の前側端部に繋がり下方に開口したケース前部22と、を含む。ケース基部21は、上面部53、左右の側面部52及び下面部54を有しており、ケース基部21内には、連結管14内の空間に連通する連通路26が形成されている。
【0023】
ケース前部22は、ケース基部21と一体的に形成されており、ケース前部22には、ケース基部21の連通路26に繋がるとともに塵埃を吸い込むために下方に開口した第1吸込空間25が形成されている。すなわち、ケース前部22は、連通路26と第1吸込空間25とを連通する開口が形成された後壁部56と、第1吸込空間25の前面及び上面を区画する前壁部55及び上壁部57と、第1吸込空間の左壁及び右側を区画する左側壁部58及び右側壁部59と、を有する。第1吸込空間25に吸い込まれた塵埃は、連通路26、連結管14及び塵埃管路103を通じて掃除機本体110に吸い込まれる。
【0024】
左側壁部58及び右側壁部59には、第1吸込空間25と後述する連結部40の第3吸込空間45とを連通させる連通口27が形成されている。
【0025】
一対の副ケース30のうち左側の副ケース30は、主ケース20の左側方に配置されており、塵埃を吸い込むために下方に開口した第2吸込空間35が形成されている。すなわち、左側の副ケース30は、上壁部81、前壁部82、後壁部83、外壁部84及び内壁部85を含んでいる。上壁部81、前壁部82及び後壁部83はそれぞれ、第2吸込空間35の上側の壁、前側の壁及び後側の壁を区画する。外壁部84及び内壁部85は、第2吸込空間35における幅方向外側の壁及び幅方向内側の壁を区画する。内壁部85には、第2吸込空間35と後述する連結部40の第3吸込空間45とを連通させる連通口37が形成されている。
【0026】
左側の副ケース30は、
図4及び
図5に示すように、主ケース20側の内壁部85から、主ケース20と反対側の外壁部84に向けて細くなるようなテーパ形状を有している。すなわち、左側の副ケース30は、主ケース20側の内壁部85から、主ケース20と反対側の外壁部84に向けて、幅(前後方向の長さ)及び高さ(上下方向の長さ)が小さくなるように形成されている。
【0027】
なお、一対の副ケース30は左右対称に形成されており、一対の副ケース30のうち右側の副ケース30は、主ケース20の右側方に配置されている点以外は、左側の副ケース30と同様に構成されている。
【0028】
一対の連結部40のうち左側の連結部40は、
図6に示すように、主ケース20側の端部である内端部42がケース前部22の左側壁部58に接続されており、左側の副ケース30側の端部である外端部43が左側の副ケース30の内壁部85に接続されている。左側の連結部40は、下方に開口するハーフパイプ形状を有しており、塵埃を吸い込むために下方に開口する第3吸込空間45が形成されている。
【0029】
左側の連結部40は、やや弾力のある材料(たとえば、軟質の樹脂や硬質のゴム等)により形成されているとともに、長手方向に伸縮可能な蛇腹構造を有している。このため、左側の連結部40は、左側の連結部40の一部が伸びるように変形し且つ連結部40の他部が縮むように変形することにより、弾性的に屈曲変形が可能に構成されている。
【0030】
なお、一対の連結部40は左右対称に形成されており、一対の連結部40のうち右側の連結部40は、内端部42がケース前部22の右側壁部59に接続されており、右側の副ケース30側の端部である外端部43が右側の副ケース30の内壁部85に接続されている点以外は、左側の連結部40と同様に形成されている。
【0031】
吸込ノズル10は、
図6に示すように、主ケース20の第1吸込空間25と副ケース30の第2吸込空間35とが、連通口27、連通口37及び連結部40の第3吸込空間45を通じて連通している。このため、吸込ノズル10には、主ケース20の第1吸込空間25と、副ケース30の第2吸込空間35と、連結部40の第3吸込空間45とにより、吸込ノズル10の幅方向のほぼ全域に亘り連続する吸込空間が形成される。したがって、第1吸込空間25だけでなく、第2吸込空間35及び第3吸込空間45に吸い込まれた塵埃も、連通路26、連結管14及び塵埃管路103を通じて掃除機本体110に吸い込まれる。
【0032】
吸込ノズル10は、
図7及び
図8に示すように、連結部40が前方または後方に屈曲変形することにより、連結部40が左右方向に延びている通常状態から、連結部40が屈曲変形している屈曲状態に、状態が切り換わるように構成されている。吸込ノズル10は、通常状態から屈曲状態に状態が切り換わった場合でも、第1吸込空間25と第2吸込空間35とが第3吸込空間45を通じて連通する状態が維持される。
【0033】
具体的に、吸込ノズル10を広い空間で使用する場合には、
図6に示すように、吸込ノズル10は、連結部40が左右方向に延びている通常状態となる。このとき、吸込ノズル10は、主ケース20から、連結部40、副ケース30までが左右方向(吸込ノズル10の幅方向)に延びており、ノズルケース12には、幅方向のほぼ全域に亘り連続する吸込空間が形成される。
【0034】
一方で、吸込ノズル10を狭い隙間に差し込んで使用する場合には、
図7に示すように、ノズルケース12の両端部が障害物に接触して、副ケース30に後向きの外力が作用することがある。この場合、副ケース30を介して連結部40の外端部43に後向きの外力が作用し、外端部43が略90度後方に回動するようにして連結部40が後方に屈曲変形し、吸込ノズル10の状態が通常状態から屈曲状態に切り替わる。屈曲状態の吸込ノズル10は、副ケース30が回動することにより、通常状態に比べて、幅方向の長さが小さくなるため、狭い隙間に差し込むことができる。吸込ノズル10が狭い隙間から引き抜かれると、連結部40の復元力により連結部40が左右方向に延びるように弾性的に変形して、吸込ノズル10の状態が屈曲状態から通常状態に切り替わる。
【0035】
また、
図8に示すように、副ケース30に前向きの外力が作用する場合も同様に、副ケース30を介して連結部40の外端部43に前向きの外力が作用し、外端部43が回動するようにして連結部40が前方に屈曲変形し、吸込ノズル10が屈曲状態に切り替わる。
【0036】
吸込ノズル10は、
図4に示すように、主ケース20の左右の側面から側方に張り出すように形成された一対の張出部60と、左右の副ケース30における幅方向の内側面から主ケース20側に向けてそれぞれ延設された一対の延設部63と、一対の張出部60と一対の延設部63とを接続する一対の接続部61と、を備える。
【0037】
一対の張出部60のうち左側の張出部60は、ケース前部22の左側壁部58の上部から左方向(左の副ケース30側)に延びるとともに下面が平面となるようにケース前部22と一体に形成されている。右側の張出部60は、左側の張出部60と左右対称に形成されている。
【0038】
一対の延設部63のうち左側の延設部63は、左側の副ケース30の内壁部85から右方向(主ケース20側)に張り出すとともに上面が平面となるように左側の副ケース30と一体に形成されている。左側の延設部63の上面の一部は、左側の張出部60の下面の一部に当接する。右側の延設部63は、左側の延設部63と左右対称に形成されている。
【0039】
一対の接続部61のうち左側の接続部61は、上下方向に延びる軸部として形成されており、左側の張出部60に対して左側の延設部63が回動可能に接続するように構成されている。右側の接続部61は、左側の接続部61と左右対称に形成されている。つまり、連結部40が屈曲した場合に、副ケース30は主ケース20に対して接続部61を中心にして一定の軌跡に沿って回動する。このような構成により、連結部40に外力が作用して連結部40が変形する場合に、連結部40の変形が規制されるため、連結部40に過度の負荷がかからないようになっている。
【0040】
ケース前部22の前壁部55には、
図4及び
図6に示すように、下端縁において、第1吸込空間25と前壁部55の前方の空間とを連通するとともに前壁部55の下端縁から上方向に切り欠くように形成された第1切欠部87が設けられている。第1切欠部87は、前壁部55の前方の床面上の塵埃を、第1吸込空間25に吸い込むためのものである。
【0041】
副ケース30の前壁部82及び外壁部84にはそれぞれ、
図4及び
図5に示すように、下端縁において、第2吸込空間35と前壁部82の前方の空間及び外壁部84の側方の空間とを連通するとともに前壁部82及び外壁部84の下端縁から上方に切り欠くように連続して形成された第2切欠部88が設けられている。第2切欠部88は、前壁部82の前方及び外壁部84の側方の床面上の塵埃を第2吸込空間35に吸い込むためのものである。
【0042】
なお、第1切欠部87は、ケース前部22の後壁部56において、下端縁から上方に切り欠くように形成されていてもよい。また、第2切欠部88は、副ケース30の後壁部83において、下端縁から上方に切り欠くように形成されていてもよい。
【0043】
ケース前部22には、
図5及び
図6に示すように、後壁部56の下部に接続されており、ローラー71及び第1起毛部材72を所定の位置に配置するための移動補助部23が取り付けられている。移動補助部23の底面の高さは、ケース前部22の底面の高さと略同じである。
【0044】
移動補助部23の底部には、吸込ノズル10が床面上を前後方向に移動することを補助するためのローラー71と、下方(床面方向)に向けて突出するように形成された第1起毛部材72とが配置されている。ローラー71と、第1起毛部材72とは、主ケース20を床面から離間させるための第1離間部材として機能する。
【0045】
副ケース30の後壁部83の底部には、下方(床面方向)に突出するように形成された第2起毛部材73が配置されている。第2起毛部材73は、副ケース30を床面から離間させるための第2離間部材として機能する。吸込ノズル10において、ローラー71、第1起毛部材72及び第2起毛部材73は、ノズルケース12の底部を床面から離間させる離間部70として機能する。
【0046】
ローラー71は、左右方向に延びる軸部材75と、軸部材75を中心軸として回転可能に形成された車輪76と、により構成されている。車輪76は、一部が移動補助部23の底面から下方(床面方向)に突出し、他部が移動補助部23内に収容されるように形成されている。なお、ローラー71の構成はこれに限られない。たとえば、ローラー71は、吸込ノズル10が床面上を前後左右方向に移動することを補助可能な球状のボールローラーでもよい。第1起毛部材72及び第2起毛部材73は、床面との接触による摩擦が生じ難いように、たとえば、布面に毛羽が立てられた起毛布により構成されている。
【0047】
(動作の説明)
吸込ノズル10の清掃時の動作について以下に説明する。
【0048】
吸込ノズル10は、
図1に示すように、
図2の連結管14が延長管106に接続されるとともにノズルケース12の底面が床面に対して略平行に保たれた状態で、清掃に用いられる。
【0049】
使用者が把持部107に設けられた操作部108に清掃開始の操作を行うと、吸引源102が作動し、掃除機本体110は吸引力を発生させる。この吸引力により、主ケース20の第1吸込空間25に吸引力が作用し、第1吸込空間25内の空気が、連結管14及び塵埃管路103を通じて掃除機本体110内に吸引される。このとき、床面上の塵埃が第1吸込空間25内に吸い上げられて、空気の流れに乗って掃除機本体110内に吸い込まれ、掃除機本体110内に集塵される。
【0050】
掃除機本体110の吸引力は、さらに、第1吸込空間25を介して第2吸込空間35と第3吸込空間45に作用し、床面上の塵埃が第2吸込空間35内及び第3吸込空間45内に吸い上げられて、掃除機本体110内に集塵される。ノズルケース12には、幅方向のほぼ全域に亘り連続して吸込空間が形成されているため、ノズルケース12の幅方向の長さが吸込ノズル10の清掃範囲となる。
【0051】
ノズルケース12の底面と床面との間には、離間部70(ローラー71、第1起毛部材72及び第2起毛部材73)により、塵埃を吸い込むための隙間が形成されている。ノズルケース12内(第1吸込空間25内、第2吸込空間35内及び第3吸込空間45内)に作用する吸引力は、この隙間を通じてノズルケース12の周囲(前後及び左右方向の外側)にも作用する。ノズルケース12内に作用する吸引力はさらに、主ケース20に設けられた第1切欠部87を通じて前壁部55の前方と、副ケース30に設けられた第2切欠部88を通じて前壁部82の前方及び外壁部84の側方と、に作用する。
【0052】
このようにして、この吸込ノズル10では、ノズルケース12の下方の床面上の塵埃だけでなく、ノズルケース12の周囲における床面上の塵埃が、ノズルケース12内に吸い込まれる。離間部70、第1切欠部87及び第2切欠部88は、吸込ノズル10の清掃範囲を広げるように機能する。
【0053】
吸込ノズル10が広い空間で使用される場合には、吸込ノズル10は連結部40が伸びている通常状態となり、幅方向のほぼ全域に吸込空間が形成された吸込ノズル10により、床面から塵埃を吸い込んで清掃が行われる。一方で、吸込ノズル10が狭い隙間に差し込まれた場合には、吸込ノズル10は通常状態から、連結部40が屈曲変形した屈曲状態に切り替わり、吸込空間が幅方向に小さくなった吸込ノズル10により清掃が行われる。
【0054】
使用者が操作部108に対して清掃完了の操作を行うと、吸引源102は作動を停止する。
【0055】
なお、上述の実施形態に係る吸込ノズル10に対して、様々な変更又は改良がなされてもよい。たとえば、吸込ノズル10は、
図9に示すように、第2起毛部材73により副ケース30と床面との間に形成される隙間の高さH2が、ローラー71及び第1起毛部材72により主ケース20と床面との間に形成される隙間の高さH1よりも大きくなるように構成されていてもよい。この場合、主ケース20を床面から離間させる第1離間部材として機能するローラー71及び第1起毛部材72により、主ケース20の底面と床面との間には、高さH1の隙間が形成されている。そして、副ケース30を床面から離間させる第2離部材として機能する第2起毛部材73により、副ケース30の底面と床面との間には、高さH1よりも大きな高さH2の隙間が形成されている。このとき、連結部40は、外端部43側がわずかに上に曲がるように変形してもよい。
【0056】
また、第1切欠部87と第2切欠部88とは、
図10に示すように、副ケース30における第2切欠部88による開口の高さH4が、ケース前部22における第1切欠部87による開口の高さH3よりも大きくなるように形成されていてもよい。
【0057】
また、一対の張出部60と、一対の延設部63と、一対の接続部61とは省略可能である。この場合、主ケース20と副ケース30とを連結する連結部40は、張出部60、延設部63及び接続部61に拘束されることなく屈曲変形する。
【0058】
また、離間部70であるローラー71、第1起毛部材72及び第2起毛部材73は省略可能である。この場合、ノズルケース12の底面が床面に接触する。
【0059】
また、第1切欠部87と、第2切欠部88とは、省略可能である。
【0060】
(効果等)
上述の実施形態に係る吸込ノズルは、以下の特徴を有しているとともに、以下の効果を奏する。
【0061】
上述の実施形態に係る一の局面に係る吸込ノズルは、吸引力を発生する吸引源を内蔵した掃除機本体の塵埃管路に接続可能に構成される吸込ノズルである。吸込ノズルは、塵埃管路に接続可能に構成されており、吸引源の吸引力により床面上の塵埃を吸い込むために下方に開口する第1吸込空間が形成された主ケースと、主ケースの側方に配置され、床面上の塵埃を吸い込むために下方に開口する第2吸込空間が形成された副ケースと、主ケースと副ケースとを連結するとともに弾性的に屈曲可能に構成された連結部と、を備えている。連結部は、第1吸込空間と第2吸込空間とを連通するとともに第1吸込空間から第2吸込空間までの区間において連続して下方に開口する第3吸込空間が形成されており、第3吸込空間は、連結部が屈曲した状態において、第1吸込空間と第2吸込空間とが連通した状態を維持するように構成されている。
【0062】
上述の構成によれば、主ケースに形成された第1吸込空間と、副ケースに形成された第2吸込空間と、連結部に形成された第3吸込空間とにより、吸込ノズルの幅方向のほぼ全域に亘り、床面から塵埃を吸い上げるための吸込空間が形成されている。しかも、主ケースと副ケースとを連結する連結部を屈曲させることにより、第1吸込空間と第2吸込空間との連通状態を維持したまま、副ケースが主ケースに対して側方に位置している状態から、副ケースが主ケースに対して前方または後方に位置している状態に切り替えることができる。これにより、吸込ノズルの幅方向のほぼ全域に亘り吸込空間が形成された状態を維持したまま、吸込ノズルの幅方向の長さを短くすることができる。したがって、この吸込ノズルによれば、吸込ノズルの幅方向の長さを変化させて狭い隙間に差し込むことができるとともに、吸込ノズルの幅方向のほぼ全域に亘って床面の塵埃に吸引力を作用させることができる。
【0063】
上述の構成において、吸込ノズルは、主ケースから側方に張り出した張出部と、副ケースから主ケース側に延設された延設部と、張出部と延設部とを接続する接続部と、をさらに備えている。接続部は、副ケースが接続部回りに回動することを許容するように構成されている。
【0064】
上述の構成によれば、張出部、延設部及び接続部により、連結部が屈曲するときの主ケースに対する副ケースの移動の軌跡が一定になるように構成されている。これにより、副ケースの移動により連結部に過度な負担がかかることが抑制できる。
【0065】
上述の構成において、吸込ノズルは、主ケース、副ケース及び連結部のうち少なくとも1つを床面から離間させるための離間部を備えている。
【0066】
上述の構成によれば、離間部により、主ケース、副ケース及び連結部のうち少なくとも1つを床面から離間させることにより、第1吸込空間、第2吸込空間及び第3吸込空間のうち少なくとも1つの吸込空間の周囲にある塵埃を、前記少なくとも1つの吸込空間内に吸い込むための吸込隙間が形成される。これにより、吸込ノズルの下面の開口からだけでなく吸込隙間からも、第1吸込空間、第2吸込空間及び第3吸込空間に塵埃を吸い込むことができるため、吸込ノズルの清掃範囲を広げることができる。
【0067】
上述の構成において、離間部は、主ケースを床面から離間させる第1離間部材と、副ケースを床面から離間させる第2離間部材と、を含んでいる。吸込ノズルは、第2離間部材により副ケースと床面との間に形成される隙間の高さが、第1離間部材により主ケースと床面との間に形成される隙間の高さよりも大きくなるように構成されている。
【0068】
上述の構成によれば、掃除機本体の塵埃管路に接続されている主ケースの第1吸込空間に比較的大きな吸引力が作用し、副ケースの第2吸込空間に比較的小さな吸引力が作用する。一方で、第1離間部材及び第2離間部材により、主ケースと床面との間の隙間の高さが比較的小さくなり、副ケースと床面との間の隙間の高さを比較的大きくなる。このため、主ケースにおいて、隙間の高さを比較的小さくしたとしても、第1吸込空間に比較的大きな吸引力が作用するため、塵埃が主ケースと床面との間の隙間に詰まることが抑制される。そして、副ケースにおいて、第2吸込空間に作用する吸引力が比較的小さいとしても、隙間の高さを大きくすることにより、塵埃が副ケースと床面との間の隙間に詰まることが抑制される。したがって、主ケースと副ケースどちらにおいても、塵埃が床面との間の隙間に詰まることを抑制できる。
【0069】
上述の構成において、主ケースには、前方または後方の下端縁部において第1吸込空間に連通するように開口する第1切欠部が形成されており、副ケースには、前方または後方の下端縁部において第2吸込空間に連通するように開口する第2切欠部が形成されている。第2切欠部の開口は、第1切欠部の開口よりも大きくなるように構成されている。
【0070】
上述の構成によれば、副ケースの周囲の塵埃を第2吸込空間に吸い込むために副ケースに形成された第2切欠部の開口が、主ケースの周囲の塵埃を第1吸込空間に吸い込むために主ケースに形成された第1切欠部の開口よりも大きい。このとき、第1吸込空間に比較的大きな吸引力が作用する主ケースでは、第1切欠部の開口を比較的小さくしたとしても、塵埃が第1切欠部の開口に詰まることを抑制できる。そして、第2吸込空間に比較的小さい吸引力が作用する副ケースでは、第2切欠部の開口を比較的大きくすることにより、塵埃が第2切欠部の開口に詰まることを抑制できる。したがって、主ケースと副ケースどちらにおいても、塵埃が第1切欠部及び第2切欠部に詰まることを抑制できる。
【0071】
上述の構成において、副ケースは、先端に向けて細くなるように形成されている。
【0072】
上述の構成によれば、副ケースが先端に向かって細くなるように形成されており、狭い隙間を清掃するときに、狭い隙間への副ケースの抜き差しをより容易にできる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本実施形態の原理は、清掃作業に用いられる装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0074】
10 吸込ノズル
20 主ケース
25 第1吸込空間
30 副ケース
35 第2吸込空間
40 連結部
45 第3吸込空間
60 張出部
61 接続部
63 延設部
70 離間部
71 ローラー(第1離間部材)
72 第1起毛部材(第1離間部材)
73 第2起毛部材(第2離間部材)
87 第1切欠部
88 第2切欠部
100 掃除機
103 塵埃管路
110 掃除機本体