(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123089
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/76 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
B65D83/76 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026964
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014KC04
(57)【要約】
【課題】収容した内容物が減ってきても容易に取り出すことができる蓋付き容器を提案する。
【解決手段】蓋付き容器1は、装着用ねじ部3gと上昇用ねじ部4cとを有する外容器2と、第一係合部5fを有する内容器5と、内容器5との間に内容物収容空間Sを区画形成する受皿部6aと上昇用被ねじ部6dを有し内容器5に回り止め保持される受皿体6と、装着用被ねじ部8cと第一被係合部8eを有する蓋体7とを備え、第一被係合部8eは、締め付け方向に蓋体7を回転させる際は第一係合部5fに係合して内容器5を回転させ、緩み方向に蓋体7を回転させる際は第一係合部5fに対して空転するよう構成され、上昇用被ねじ部6dは、締め付け方向に蓋体7を回転させて内容器5とともに受皿体6が回転すると上昇用ねじ部4cに対して上方に送り出されて受皿部6aを上昇させるよう構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着用ねじ部と上昇用ねじ部とを有する外容器と、
前記外容器に対して回転可能であって該外容器に収容されるとともに第一係合部を有する内容器と、
前記内容器の内周面に対して該内容器の軸線に沿って摺動可能に接触し該内容器との間に内容物収容空間を区画形成する受皿部と、前記上昇用ねじ部に螺合する上昇用被ねじ部とを有し、該内容器に回り止め保持される受皿体と、
前記装着用ねじ部に螺合する装着用被ねじ部と、前記第一係合部に係合する第一被係合部とを有する蓋体と、を備え、
前記第一被係合部は、前記装着用ねじ部と前記装着用被ねじ部とが締め付けられる締め付け方向に前記蓋体を回転させる際は前記第一係合部に係合して該内容器を回転させ、緩み方向に該蓋体を回転させる際は該第一係合部に対して空転するよう構成され、
前記上昇用被ねじ部は、前記締め付け方向に前記蓋体を回転させて前記内容器とともに前記受皿体が回転すると前記上昇用ねじ部に対して上方に送り出されて前記受皿部を上昇させるよう構成される、蓋付き容器。
【請求項2】
前記内容器は、第二係合部を有し、
前記外容器は、第二被係合部を有し、
前記第二係合部は、前記締め付け方向に前記内容器が回転する際は前記第二被係合部に対して空転する一方、前記緩み方向に前記内容器が回転する際は該第二被係合部に係合して前記外容器に対して前記内容器を回り止め保持するよう構成される、請求項1に記載の蓋付き容器。
【請求項3】
前記受皿体は、撓み変形可能であって前記受皿部の下面に連結し、側面に前記上昇用被ねじ部が設けられた撓み片を有する請求項1又は2に記載の蓋付き容器。
【請求項4】
前記外容器は、
前記内容器を収容する外容器本体と、
前記外容器本体に対して回転不能且つ着脱可能に保持され、前記上昇用ねじ部を備えるねじ部材と、を含んで構成される、請求項1~3の何れか一項に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な蓋体を備える蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
装着した蓋体を取り外して内容物を取り出すことができる蓋付き容器が既知である。例えば特許文献1には、蓋付き容器として、ゲル状やクリーム状の内容物を収容するのに好適な広口のジャー容器が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1の蓋付き容器は、収容した内容物が減ってくると、指やスパチュラ等を容器に深く差し入れて内容物を取り出さなければならない。すなわち、この種の蓋付き容器は、使用後半において使い勝手に難がある。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決することを課題とするものであって、収容した内容物が減ってきても容易に取り出すことができる蓋付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、装着用ねじ部と上昇用ねじ部とを有する外容器と、
前記外容器に対して回転可能であって該外容器に収容されるとともに第一係合部を有する内容器と、
前記内容器の内周面に対して該内容器の軸線に沿って摺動可能に接触し該内容器との間に内容物収容空間を区画形成する受皿部と、前記上昇用ねじ部に螺合する上昇用被ねじ部とを有し、該内容器に回り止め保持される受皿体と、
前記装着用ねじ部に螺合する装着用被ねじ部と、前記第一係合部に係合する第一被係合部とを有する蓋体と、を備え、
前記第一被係合部は、前記装着用ねじ部と前記装着用被ねじ部とが締め付けられる締め付け方向に前記蓋体を回転させる際は前記第一係合部に係合して該内容器を回転させ、緩み方向に該蓋体を回転させる際は該第一係合部に対して空転するよう構成され、
前記上昇用被ねじ部は、前記締め付け方向に前記蓋体を回転させて前記内容器とともに前記受皿体が回転すると前記上昇用ねじ部に対して上方に送り出されて前記受皿部を上昇させるよう構成される、蓋付き容器である。
【0007】
前記内容器は、第二係合部を有し、
前記外容器は、第二被係合部を有し、
前記第二係合部は、前記締め付け方向に前記内容器が回転する際は前記第二被係合部に対して空転する一方、前記緩み方向に前記内容器が回転する際は該第二被係合部に係合して前記外容器に対して前記内容器を回り止め保持するよう構成されることが好ましい。
【0008】
前記受皿体は、撓み変形可能であって前記受皿部の下面に連結し、側面に前記上昇用被ねじ部が設けられた撓み片を有することが好ましい。
【0009】
前記外容器は、
前記内容器を収容する外容器本体と、
前記外容器本体に対して回転不能且つ着脱可能に保持され、前記上昇用ねじ部を備えるねじ部材と、を含んで構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の蓋付き容器は、外容器に対して締め付け方向に蓋体を回転させると、内容器の第一係合部に蓋体の第一被係合部が係合して内容器が回転し、緩み方向に蓋体を回転させると、第一係合部に対して第一被係合部が空転する。そして、締め付け方向に蓋体を回転させて内容器とともに受皿体が回転すると、上昇用ねじ部に対して上昇用被ねじ部が上方に送り出されるため、受皿部を上昇させることができる。すなわち、内容器と受皿部との間に区画形成される内容物収容空間に収められた内容物は、外容器に蓋体を装着する毎に上昇していくため、内容物が減ってきてもこれを容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る蓋付き容器の一実施形態に関する側面視での断面図である。
【
図2】
図1に示した蓋付き容器に関し、(a)はA-Aに沿う断面図であり、(b)はB-Bに沿う断面図である。
【
図3】
図1に示した受皿体に関し、(a)は側面視での半断面図であり、(b)は底面図である。
【
図4】内容物が減った内容器を外容器から取り外して新たな内容器を外容器に取り付ける状況を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明に係る蓋付き容器の一実施形態について説明する。なお、以下の説明において上下方向とは、図面に示した軸線Oに沿う方向である。また径方向とは、軸線Oに対して垂直な面内で軸線Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で軸線Oを中心として周回する方向である。
【0013】
図1に示すように本実施形態の蓋付き容器1は、外容器2(外容器本体3とねじ部材4により構成される)、内容器5、受皿体6、蓋体7(内側蓋体8、外側蓋体9、及びパッキン10により構成される)で構成されている。図示したようにこれらの部材は、何れも軸線Oを中心とする形状に形作られている。なお
図1において軸線Oを境として右側に示した図は、受皿体6が下方に位置する状態を示し、左側に示した図は、受皿体6が上方に位置する状態を示している。
【0014】
外容器本体3は、水平方向に延在する円板状の底壁部3aと、底壁部3aの外縁部から上方に向けて延在する円筒状の内側周壁3bを備えている。底壁部3aの中心部における上面には、上方に向けて立ち上がる円筒状の筒状壁3cが設けられている。筒状壁3cの外周面には、上下方向に沿って延在する外向き縦リブ3dが設けられている。外向き縦リブ3dは、筒状壁3cの外周面に対して周方向に間隔をあけて複数設けられている(
図2(b)参照)。そして内側周壁3bの上端部には、径方向外側に向けて突出して爪状になる爪状部3eが設けられている。
【0015】
内側周壁3bの径方向外側には、段付き円筒状になる外側周壁3fが設けられている。外側周壁3fの上部には、雄ねじ状になる装着用ねじ部3gが設けられている。装着用ねじ部3gは、蓋体7に設けた後述する装着用被ねじ部8cと螺合する。なお本実施形態における装着用ねじ部3gと装着用被ねじ部8cは右ねじであって、外容器本体3に対して蓋体7を、
図2に示すように平面視で右回り(締め付け方向)に回転させると、装着用ねじ部3gに対して装着用被ねじ部8cが締め付けられ、左回り(緩み方向)に回転させると、装着用ねじ部3gに対して装着用被ねじ部8cが緩められる。
【0016】
ねじ部材4は、有蓋筒状をなしていて筒状壁3cに挿入される基部4aを備えている。基部4aの内周面には、上下方向に沿って延在する内向き縦リブ4bが設けられている。内向き縦リブ4bは、基部4aの内周面に対して周方向に間隔をあけて複数設けられている。内向き縦リブ4bは、基部4aを筒状壁3cに挿入した際に外向き縦リブ3dに係合するものである(
図2(b)参照)。すなわちねじ部材4は、筒状壁3cや基部4a等によって、外容器本体3に対して軸線O回りに回転不能且つ上下方向に着脱可能に保持される。基部4aの外周面には、雄ねじ状になる上昇用ねじ部4cが設けられている。
【0017】
基部4aの外周面には、径方向外側に向かうにつれて湾曲しながら下方に向けて延在した後、水平方向に延在する下部壁4dが設けられている。下部壁4dの外縁部には、
図2(b)に示すように径方向外側に向けて突出する突起(第二被係合部4e)が設けられている。第二被係合部4eは、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0018】
内容器5は、下部壁4dの上方に位置するとともに下部壁4dとの間に空間を有する中間壁5aを備えている。中間壁5aは、基部4aの径方向外側に位置する部位から径方向外側に向かうにつれて湾曲しながら下方に向けて延在し、その後水平方向に延在する形状で形作られている。
図2(b)に示すように中間壁5aにおける内縁部(基部4aの径方向外側に位置する部位)には、凹部5bが設けられている。本実施形態の凹部5bは、平面視で矩形状であって、周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では6個)設けられている。また中間壁5aの外縁部には、一端部が中間壁5aの外縁部に連結していて径方向に弾性変形可能であって、他端部は径方向内側に向かって突出するように形成された爪状部(第二係合部5c)が設けられている。
図2(b)に示すように本実施形態の第二係合部5cは、周方向に間隔をあけて合計3個設けられている。また第二係合部5cは、
図2(b)に示すように内容器5がねじ部材4に対して緩み方向に回転する場合は、第二被係合部4eに係合し、内容器5がねじ部材4に対して締め付け方向に回転する場合は、第二被係合部4eに差し掛かった際に径方向外側に向けて弾性変形して第二被係合部4eを乗り越え、第二被係合部4eに対して空転する。
【0019】
また内容器5は、中間壁5aに連結するとともに、
図1に示すように内側周壁3bの内周面に沿って上方に向けて延在した後、内側周壁3bの上端部を覆うように径方向外側に向けて延在し、その後、内側周壁3bの外周面に沿って下方に向けて延在する周壁部5eを備えている。周壁部5eにおける内側周壁3bの外周面に沿って下方に向けて延在する部位は、爪状部3eに係合していて、これにより内容器5は、外容器本体3に対して回転可能に保持されている。
【0020】
周壁部5eは、内側周壁3bの外周面に沿って下方に向けて延在する部位における外周面において、
図2(a)に示すように径方向外側に向けて突出する突起(第一係合部5f)を備えている。第一係合部5fは、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0021】
受皿体6は、
図1に示すように中間壁5aの上方に位置する受皿部6aを備えている。本実施形態の受皿部6aは、軸線Oから径方向外側に向けて水平に延在した後、下方に向かって円弧状に延在している。そして受皿部6aの外縁部には、上方及び下方に向けてそれぞれ延在し、径方向内側に向けて撓み変形可能であって、周壁部5eの内周面に接触する当接部6bを備えている。後述するように受皿部6aは、上方に向けて移動可能であって、このとき当接部6bは、周壁部5eの内周面に接触した状態で周壁部5eに対して摺動する。ここで、受皿部6a、当接部6b、及び周壁部5eで取り囲まれる空間を内容物収容空間Sと称する。内容物収容空間Sには、例えばゲル状やクリーム状の内容物が収容される。
【0022】
受皿部6aの下面には、
図3に示すように帯状をなしていて下方に向けて延在する撓み片6cが設けられている。撓み片6cは、径方向外側に向けて撓み変形可能である。本実施形態の撓み片6cは、軸線Oを中心として周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では6個)設けられている。
図1、
図2(b)に示すように撓み片6cは、凹部5bに挿入可能である。撓み片6cを凹部5bに挿入した際、撓み片6cは凹部5bによって周方向に位置決めされるため、受皿体6は内容器5に対して回り止め保持される。また受皿部6aが、
図1における軸線Oを境として右側に示した図のように下方に位置する際、撓み片6cは径方向外側に向けて撓み変形して、下部壁4dと中間壁5aの間に区画形成される空間に収められる。すなわち、撓み片6cが撓み変形することによって下部壁4dと中間壁5aの間に位置する空間の高さが抑えられるため、蓋付き容器1の上下方向のサイズを小さくすることができる。そして撓み片6cの内周面には、撓み片6cの幅方向中央部に位置していて、雄ねじ状になる上昇用ねじ部4cに螺合するように雌ねじ状に形成されている上昇用被ねじ部6dが設けられている。上昇用ねじ部4cと上昇用被ねじ部6dは、上昇用ねじ部4cに対して上昇用被ねじ部6dが
図2に示した締め付け方向に回転する際、上昇用ねじ部4cに対して上昇用被ねじ部6dが上方に送り出されるように構成されている。
【0023】
内側蓋体8は、水平方向に延在する円板状の天壁8aを備えている。天壁8aの外縁部には、下方に向けて延在する内周壁8bが設けられている。そして内周壁8bの内周面には、雌ねじ状をなし、上述した装着用ねじ部3gと螺合する装着用被ねじ部8cが設けられている。また内周壁8bの外周面には、上下方向に沿って延在する外向き縦リブ8dが設けられている。外向き縦リブ8dは、内周壁8bの外周面に対して周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0024】
また内側蓋体8は、装着用被ねじ部8cの上方において、
図2(a)に示すように一端部が内周壁8bに連結していて径方向に弾性変形可能であって、他端部は径方向内側に向かって突出するように形成された爪状部(第一被係合部8e)を備えている。
図2(a)に示すように本実施形態の第一被係合部8eは、周方向に間隔をあけて合計2個設けられている。また第一被係合部8eは、
図2(a)に示すように内側蓋体8が内容器5に対して締め付け方向に回転する場合は、第一係合部5fに係合し、内側蓋体8が内容器5に対して緩み方向に回転する場合は、第一係合部5fに差し掛かった際に径方向外側に向けて弾性変形して第一係合部5fを乗り越え、第一係合部5fに対して空転する。
【0025】
外側蓋体9は、天壁8aの上方において水平方向に延在する円板状の頂壁9aを備えている。頂壁9aの外縁部には、内周壁8bを取り囲んで下方に向けて延在する外周壁9bが設けられている。外周壁9bの内周面には、上下方向に沿って延在する内向き縦リブ9cが設けられている。内向き縦リブ9cは、基部4aの内周面に対して周方向に間隔をあけて複数設けられている。内向き縦リブ9cは、外側蓋体9の内側に内側蓋体8を挿入した際に外向き縦リブ8dに係合するものであり、これにより内側蓋体8は、外側蓋体9に回り止め保持される。また外周壁9bの内周面において内向き縦リブ9cの下方には、径方向内側に向けて突出する係合凸部9dが設けられている。係合凸部9dは、外側蓋体9の内側に内側蓋体8を挿入した際に内周壁8bの下端部に係合するものであり、これにより内側蓋体8は、外側蓋体9に抜け止め保持される。
【0026】
パッキン10は、弾性を有する素材で円板状に形作られていて、天壁8aの下面に設けられている。パッキン10は、外容器2に対して蓋体7を締め付け方向の最後まで回転させた際に、周壁部5eの上端面と天壁8aの下面との間で挟持され、内容物収容空間Sを閉鎖するものである。
【0027】
このような構成になる蓋付き容器1から内容物を取り出すにあたっては、外容器2に対して蓋体7を、
図2に示した緩み方向に回転させる。すなわち、一方の手で外容器本体3を保持して他方の手で外側蓋体9を掴んだ状態で、外側蓋体9を緩み方向に回転させる。上述したように外側蓋体9は内側蓋体8を回り止め保持している。また
図2(a)に示すように内側蓋体8が緩み方向に回転する際、第一被係合部8eは第一係合部5fに対して空転するため、内容器5は回転せず、外側蓋体9と内側蓋体8が緩み方向に回転する。そして装着用ねじ部3gと装着用被ねじ部8cとの螺合が解除されると、外容器2に対して蓋体7を取り外すことができるため、内容物収容空間Sに収容した内容物を手やスパチュラ等で取り出すことができる。
【0028】
なお、外容器2に対して蓋体7が締め付けられている状態において、パッキン10は、周壁部5eの上端面と天壁8aの下面との間で挟持されている。このため、外側蓋体9を緩み方向に回転させた際、第一被係合部8eが第一係合部5fに対して空転するにもかかわらず、パッキン10から周壁部5eに対して(すなわち内容器5に対して)緩み方向への回転力が伝達されることがある。これに対して本実施形態では、
図2(b)に示すようにねじ部材4に第二被係合部4eを設け、内容器5に第二係合部5cを設けている。またねじ部材4は、上述したように外容器本体3に回り止め保持されている。従って、外側蓋体9を緩み方向に回転させた際に、内容器5に対して緩み方向への回転力が伝達されても、第二係合部5cが第二被係合部4eに係合して内容器5は外容器本体3に回り止め保持されるため、内容器5が回転することがない。ここで受皿体6は、上述したように内容器5に回り止め保持されていて、また
図1に示すように受皿体6に設けた上昇用被ねじ部6dは、ねじ部材4に設けた上昇用ねじ部4cに螺合している。すなわち、外側蓋体9を緩み方向に回転させても、内容器5と受皿体6は回転しないため、上昇用ねじ部4cに対して上昇用被ねじ部6dが回転することもなく、受皿体6はその高さの状態で維持される。
【0029】
一方、外容器2に対して蓋体7を、
図2に示した締め付け方向に回転させると、外側蓋体9とともに内側蓋体8が締め付け方向に回転する。この状態においては、
図2(a)に示すように第一被係合部8eは第一係合部5fに係合するため、内側蓋体8とともに内容器5も締め付け方向に回転する。そして内容器5に回り止め保持されている受皿体6も、締め付け方向に回転する。上述したように上昇用ねじ部4cと上昇用被ねじ部6dは、この方向への回転によって、上昇用ねじ部4cに対して上昇用被ねじ部6dが上方に送り出されるように構成されている。従って上昇用被ねじ部6dが上方に送り出されることにより、受皿体6は内容器5に対して上昇する。なお、外容器2に対する蓋体7の回転量と内容器5に対する受皿体6の上昇量は、例えば上昇用ねじ部4cと上昇用被ねじ部6dのピッチを調整する等して適宜変更可能である。本実施形態においては、外容器2に対して蓋体7を20°~30°程度回転させた際に、内容器5に対して受皿体6が0.2mm程度上昇するように設定している。
【0030】
なお、外容器2に対して蓋体7を締め付け方向に回転させた際、
図2(b)に示すように第二係合部5cは第二被係合部4eに対して空転するため、内容器5の締め付け方向への回転が阻害されることはない。
【0031】
このように外容器2に対して蓋体7を締め付け方向に回転させると、受皿体6は内容器5に対して徐々に上昇する(
図1の軸線Oを境として左側に示した図を参照)。すなわち受皿体6は、内容物収容空間Sに収容した内容物を取り出した後、蓋体7を外容器2に装着する毎に上昇するため、内容物が少なくなっても指やスパチュラ等を内容器5に深く差し入れる必要がなく、内容物を容易に取り出すことができる。
【0032】
また本実施形態のねじ部材4は、外容器本体3に対して上下方向に着脱可能に保持されている。従って、収容した内容物が少なくなった場合は、
図4に示すように使用していた内容器5を外容器本体3から取り外して(図示したように、内容器5とともにねじ部材4と受皿体6も一緒に取り外すことができる)、新たな内容器5を外容器2に付け替えることができる。すなわち本実施形態の蓋付き容器1によれば、内容物が少なくなって新たな内容器5を使用する場合でも、外容器本体3を再利用することができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0034】
例えば本実施形態では、外容器2を外容器本体3とねじ部材4で構成し、これにより内容器5の交換ができるようにしたが、この機能を省略する場合は外容器本体3とねじ部材4を一体的に構成してもよい。また蓋体7は、内側蓋体8と外側蓋体9で構成するものに限られず、内側蓋体8と外側蓋体9を一体的に結合させた部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1:蓋付き容器
2:外容器
3:外容器本体
3a:底壁部
3b:内側周壁
3c:筒状壁
3d:外向き縦リブ
3e:爪状部
3f:外側周壁
3g:装着用ねじ部
4:ねじ部材
4a:基部
4b:内向き縦リブ
4c:上昇用ねじ部
4d:下部壁
4e:第二被係合部
5:内容器
5a:中間壁
5b:凹部
5c:第二係合部
5e:周壁部
5f:第一係合部
6:受皿体
6a:受皿部
6b:当接部
6c:撓み片
6d:上昇用被ねじ部
7:蓋体
8:内側蓋体
8a:天壁
8b:内周壁
8c:装着用被ねじ部
8d:外向き縦リブ
8e:第一被係合部
9:外側蓋体
9a:頂壁
9b:外周壁
9c:内向き縦リブ
9d:係合凸部
10:パッキン
O:軸線
S:内容物収容空間