(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123107
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】有識者検索システム、有識者検索方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230829BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026987
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山下 平
(72)【発明者】
【氏名】三根 宏太
(72)【発明者】
【氏名】西村 久人
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】質問者の問い合わせに対して適切に有識者を出力する社内有識者検索システム及び有識者検索方法を提供する。
【解決手段】有識者検索システム1000は、企業や団体等の組織の内部である社内の有識者に問い合わせを行う質問者が、ネットワークNを介して有識者検索サーバ200に接続し、問い合わせや当該問い合わせに対する回答の提示を受けるための質問者端末100と、質問者端末から受け付けた問い合わせに対して、過去のメール、各種データへのアクセスログ、資格保持状況や教育受講状況等を記憶する管理情報を参照して、質問者からの問い合わせの回答に適した有識者を検索し、検索した有識者を、問い合わせに対する回答として出力する有識者検索サーバ200と、上記質問者以外の本システムのユーザ(例えば、社員)が、ネットワークNを介して有識者検索サーバ200に接続し、有識者であることを登録するための有識者端末300と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサとメモリとを有したコンピュータを用いて、問い合わせに対して回答する有識者を検索する有識者検索システムであって、
前記プロセッサは、
端末から受け付けられた問い合わせに含まれるキーワードと、ユーザのメール送信履歴または/およびユーザのウェブサイトへのアクセス履歴とを含む履歴情報とに基づいて特定された、前記ユーザについての前記キーワードを含む履歴情報を用いて、前記キーワードについての前記ユーザの評価を行う第1の処理と、
前記評価したユーザのうち、所定の基準を満たすユーザを、前記キーワードに対する有識者として有識者データベースに登録する第2の処理と、
所定のタイミングで更新された前記履歴情報を用いて、前記第1の処理と前記第2の処理とを行い、前記有識者を出力する第3の処理と、
を行うことを特徴とする有識者検索システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第2の処理において、前記キーワードと前記有識者とを対応付けてキーワードリストに追加し、
前記第1の処理において、追加された前記キーワードを含む問い合わせを受け付けた場合には、当該追加された前記キーワードについての有識者を前記有識者データベースから検索し、追加された前記キーワードを含まない問い合わせを受け付けた場合には、当該問い合わせに含まれる新たなキーワードと前記有識者とを対応付けて新たに前記キーワードリストに追加する、
ことを特徴とする請求項1に記載の有識者検索システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第1の処理において、前記端末から受け付けられた前記問い合わせに対して回答した有識者に対する評価結果と、前記履歴情報とを用いて、前記キーワードについての前記ユーザの評価を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の有識者検索システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第1の処理において、ユーザの前記キーワードを含む資格の保有状況または/および講座の受講状況と、前記履歴情報とを用いて、前記キーワードについての前記ユーザの評価を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の有識者検索システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記第2の処理において、前記所定の基準を満たす、同じ所属部署のユーザが複数存在する場合には、役職が上位のユーザを前記キーワードについての有識者とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の有識者検索システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記第2の処理において、前記所定の基準を満たす、異なる所属部署のユーザが複数存在する場合には、前記キーワードに意味的に近い所属部署のユーザを前記キーワードについての有識者とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の有識者検索システム。
【請求項7】
プロセッサとメモリとを有したコンピュータを用いて、問い合わせに対して回答する有識者を検索する有識者検索システムで行われる有識者検索方法であって、
端末から受け付けられた問い合わせに含まれるキーワードと、ユーザのメール送信履歴または/およびユーザのウェブサイトへのアクセス履歴とを含む履歴情報とに基づいて特定された、前記ユーザについての前記キーワードを含む履歴情報を用いて、前記キーワードについての前記ユーザの評価を行い、
前記評価したユーザのうち、所定の基準を満たすユーザを、前記キーワードに対する有識者として有識者データベースに登録し、
所定のタイミングで更新された前記履歴情報を用いて、前記第1の処理と前記第2の処理とを行い、前記有識者を出力する
ことを特徴とする有識者検索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有識者を検索する社内有識者検索システム、社内有識者検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業や団体などの社内において有識者を問い合わせる場合、問い合わせに関連する業務の従事者に連絡し、有識者への取り次ぎを行う等の対応が必要であった。しかし、このような対応では、問い合わせをたらい回しにしたり、あるいは担当部門が不明であることにより問い合わせに回答できないにもかかわらず、その確認に時間がかかるといった事象が散見されている。
【0003】
このように、必要な情報を誰が把握しているかがわからないといった問題を解決するものとして、例えば、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1では、利用者がデータ送信手段を用いて送信した送信データから所定の項目のキーデータを抽出した通信履歴データを保持して蓄積する手段と、利用者から問合せデータの入力を受け付ける手段と、蓄積されている内容に基づいて、それぞれの利用者と問合せデータとの適合度と、利用者間の通信の活性度を求める手段と、問合せデータに対する適合度に応じた利用者を抽出し、抽出した利用者へのコンタクトを支援するためのコミュニケーション支援情報を生成して出力する手段とを有するコミュニケーション支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、問合せデータに含まれるキーワードとの適合度や、利用者間の通信の活性度を求め、これらの算出結果を利用して、上記問合せデータに対する適合度に応じた利用者を抽出し、上記問合せデータを入力した利用者に対して、抽出した利用者へのコンタクトを支援するためのコミュニケーション支援情報を生成、出力している。そして、その際に、各利用者のプレゼンス情報を取得して、各利用者の状態を把握している。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1におけるプレゼンス情報は、現在の当該利用者の状態(「オンライン中」、「取り込み中」、「会議中」等)、及び、現在の当該利用者へコンタクト可能な手段及びコンタクトに必要なID(電話番号やメールアドレス等)を表わす情報であるため、必ずしも問い合わせに対する有識者を適切に質問者に回答することができない場合があった。すなわち、プレゼンス情報を把握することによって、例えば、「取り込み中」という理由で有識者として出力すべき利用者が出力されないことが生じていた。
【0007】
また、プレゼンス情報を把握しないであっても、コンタクトされる側の利用者がどの程度の知識を有した有識者であるのかが最新の状態ではないことによって、質問者が質問した時点において適切な有識者が出力されない場合があった。このように、従来の技術では、これらの場面などにおいて必ずしも意図した有識者を出力できておらず、質問者の問い合わせに対して適切に有識者を出力する技術が求められていた。
【0008】
本発明は、質問者の問い合わせに対して適切に有識者を出力することが可能な有識者検索システム、有識者検索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる有識者検索システムは、プロセッサとメモリとを有したコンピュータを用いて、問い合わせに対して回答する有識者を検索する有識者検索システムであって、前記プロセッサは、端末から受け付けられた問い合わせに含まれるキーワードと、ユーザのメール送信履歴または/およびユーザのウェブサイトへのアクセス履歴とを含む履歴情報とに基づいて特定された、前記ユーザについての前記キーワードを含む履歴情報を用いて、前記キーワードについての前記ユーザの評価を行う第1の処理と、前記評価したユーザのうち、所定の基準を満たすユーザを、前記キーワードに対する有識者として有識者データベースに登録する第2の処理と、所定のタイミングで更新された前記履歴情報を用いて、前記第1の処理と前記第2の処理とを行い、前記有識者を出力する第3の処理と、を行うことを特徴とする有識者検索システムとして構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、質問者の問い合わせに対して適切に有識者を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態における有識者検索システムの構成例を示す図である。
【
図3】有識者を検索するにあたり各種データベースを構築するための初期処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】検索キーワードリストの一例を示す図である。
【
図6】資格・教育受講管理情報の一例を示す図である。
【
図9】
図3に示した初期処理により構築されたデータベースを用いて有識者を検索し、回答するための検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図9に示した検索処理において、ユーザを選別した上で有識者として登録する場合の検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】有識者採点DBや有識者DBをリフレッシュするための更新処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0013】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0014】
以下の説明では、「データベース」、「テーブル」、「リスト」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。データ構造に依存しないことを示すために「XXテーブル」、「XXリスト」等を「XX情報」と呼ぶことがある。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いた場合、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0015】
同一あるいは同様な機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0016】
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit))によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)および/またはインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit))を含んでいてもよい。
【0017】
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0018】
図1は、本実施の形態における有識者検索システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、有識者検索システム1000は、企業や団体等の組織の内部である社内の有識者に問い合わせを行う質問者が、ネットワークNを介して有識者検索サーバ200に接続し、問い合わせや当該問い合わせに対する回答の提示を受けるための質問者端末100と、質問者端末100から受け付けた問い合わせに対して、過去のメール、各種データへのアクセスログ、資格保持状況や教育受講状況等を記憶する管理情報を参照して、質問者からの問い合わせの回答に適した有識者を検索し、検索した有識者を、問い合わせに対する回答として出力する有識者検索サーバ200と、上記質問者以外の本システムのユーザ(例えば、社員)が、ネットワークNを介して有識者検索サーバ200に接続し、有識者であることを登録するための有識者端末300とを有し、これらが互いにネットワークNを介して接続されている。以下では、上記質問者以外の本システムのユーザが有識者として本システムに登録する場合について説明するが、上記質問者自身を有識者として本システムに登録してもよい。
【0019】
図1に示した質問者端末100、有識者検索サーバ200、有識者端末300は、例えば、
図2(コンピュータ概略図)に示すような、CPU1601と、メモリ1602と、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置1603と、CD(Compact Disk)やUSBメモリ等の可搬性を有する記憶媒体1608に対して情報を読み書きする読書装置1607と、キーボードやマウス等の入力装置1606と、ディスプレイ等の出力装置1605と、通信ネットワークに接続するためのNIC(Network Interface Card)等の通信装置1604と、これらを連結するシステムバス等の内部通信線(システムバスという)1609と、を備えた一般的なコンピュータ1600により実現できる。質問者端末100や有識者端末300には読書装置1607が接続されていなくてもよい。ネットワークNは、一般的な公衆回線網、インターネットにより構成することができる。
【0020】
各サーバ、端末(例えば、後述する記憶部204)に記憶され、あるいは処理に用いられる様々なデータは、CPU1601がメモリ1602または外部記憶装置1603から読み出して利用することにより実現可能である。また、各サーバや端末が有する各機能部(例えば、有識者検索部201、採点部202)は、CPU1601が外部記憶装置1603に記憶されている所定のプログラムをメモリ1602にロードして実行することにより実現可能である。
【0021】
上述した所定のプログラムは、読書装置1607を介して記憶媒体1608から、あるいは、通信装置1604を介してネットワークから、外部記憶装置1603に記憶(ダウンロード)され、それから、メモリ1602上にロードされて、CPU1601により実行されるようにしてもよい。また、読書装置1607を介して、記憶媒体1608から、あるいは通信装置1604を介してネットワークから、メモリ1602上に直接ロードされ、CPU1601により実行されるようにしてもよい。
【0022】
以下では、有識者検索サーバ200が、ある1つのコンピュータにより構成される場合を例示するが、これらの機能の全部または一部が、クラウドのような1または複数のコンピュータに分散して設けられ、ネットワークを介して互いに通信することにより同様の機能を実現してもよい。続いて、質問者端末100について説明する。
【0023】
質問者端末100は、社内の有識者に問い合わせを行う質問者が本システムを利用するための端末である。質問者端末100は、ハードウェアとしては、上述したPC(Personal Computer)等のコンピュータや、スマートフォンやタブレット端末をはじめとする一般的な情報処理装置を用いてよい。質問者端末100は、機能的には、入力部101と、表示部102と、制御部103とを有して構成される。
【0024】
入力部101は、例えば、キーボードやタッチパネルから構成され、本システムのユーザである上記質問者から各種情報の入力を受け付ける。表示部102は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やタッチパネルから構成され、本システムで用いられる各種情報を表示する。制御部103は、例えば、CPUから構成され、入力部101に対する入力制御や表示部102に対する出力制御をはじめ、本システムで用いられる様々な情報を用いて質問者端末100の動作を制御する。続いて、有識者検索サーバ200について説明する。
【0025】
有識者検索サーバ200は、質問者端末100から受け付けた問い合わせに対して、過去のメール、各種データへのアクセスログ、資格保持状況や教育受講状況等を記憶する管理情報を用いて、上記問い合わせに対して適切に回答ができる有識者を検索、回答するサーバである。有識者検索サーバ200は、例えば、ハードウェアとして、上述したコンピュータをはじめとする一般的な情報処理装置を用いてよい。有識者検索サーバ200は、機能的には、質問者端末100から問い合わせを受け付け、当該問い合わせに含まれるキーワードに基づいて有識者を検索、回答し、回答された有識者に対する評価結果に基づいて有識者の候補となる順位を更新する有識者検索部201と、有識者から得られた問い合わせに対する回答に基づいて、質問者が検索した当該有識者を採点して評価する採点部202と、これらをはじめとする有識者検索サーバ200の各部の動作を制御するシステム制御部203と、本システムで用いられる各種データを記憶する記憶部204とを有している。
【0026】
さらに、有識者検索部201は、質問者端末100から問い合わせを受け付ける質問受付部2011と、受け付けられた問い合わせに含まれる項目や内容に基づいて、当該問い合わせに対して適切に回答ができる有識者を検索、回答し、回答された有識者に対する評価結果に基づいて有識者の候補となる順位を更新する検索部2012と、当該検索、回答を行うために用いる各種データを設定する設定部2013とを有する。
【0027】
また、採点部202は、質問者端末100から、有識者検索部201により回答された有識者に対する評価結果を受け付ける評価結果受付部2021と、当該評価結果を参照し、有識者を所定の基準で評価して採点する評価計算部2022と、を有する。
【0028】
記憶部204は、質問者や有識者を含む本システムのユーザの属性を記憶する人員DB(データベース)2041と、後述する各種データを用いて採点した有識者に関する情報を記憶する有識者採点DB2042と、有識者採点DB2042に格納された有識者のうち、ランキングが一定の基準以上の有識者を記憶する有識者DB2043とを記憶する。具体的には後述するが、記憶部204には、質問者や有識者を含む本システムのユーザが送信したメールのメールログ2051と、会社内部や外部のウェブサイトにアクセスしたときのアクセスログ2052と、本システムのユーザが保持する資格や教育プログラムの受講状況を示す資格・教育受講管理情報2053と、質問者端末100から入力され、上記問い合わせに含まれる有識者を検索した履歴を示すキーワードのリストを記憶する検索キーワードリスト2054と、質問者端末100から入力され、上記問い合わせに対して検索された有識者に対する評価結果を履歴で記憶する有識者評価履歴2055とを含む情報である。
【0029】
なお、メールログ2051についての具体的な例示は省略するが、メールログ2051は、例えば、社内のメールサーバに記録され、リアルタイムあるいは所定のタイミングで本システムに蓄積されている一般的なログ情報を用いてよい。また、アクセスログ2052についての具体的な例示は省略するが、アクセスログ2052は、社内のプロキシサーバに記録され、リアルタイムあるいは所定のタイミングで本システムに蓄積されている一般的なログ情報を用いてよい。また、資格・教育受講管理情報2053は、築盛されているデータの形式を問わず、社内で資格や教育受講に関する業務を司る部門のサーバに記憶されたデータを、リアルタイムあるいは所定のタイミングで蓄積されたデータを用いてよい。検索キーワードリスト2054、有識者評価履歴2055の具体的な例については後述する。
【0030】
有識者端末300は、ハードウェアとしては、質問者端末100と同様の構成を有した一般的な情報処理装置を用いてよい。すなわち、機能的には、入力部301、表示部302、制御部303は、それぞれ、入力部101、表示部102、制御部103と同様の機能を有して構成される。有識者端末300の具体的な構成については、質問者端末100において説明済みのため、ここではその説明を省略する。
【0031】
質問者端末100、有識者検索サーバ200、有識者端末300が行う具体的な処理や、各処理で用いられる各種データについては、シーケンスやその他図面を用いて後述する。以下では、本システムを用いた有識者の検索を、(1)メールの送信履歴、(2)ウェブサイトへのアクセス履歴、(3)資格や受講した教育内容の数などに応じて、ユーザごとおよびキーワードごとに評価点を算出しているが、これらの(1)~(3)の少なくとも1つを用いた評価点に基づいて有識者を登録してもよい。
【0032】
続いて、本システムで行われる処理について説明する。
図3は、有識者を検索するにあたり各種データベースを構築するための初期処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0033】
図3に示すように、まず、本システムに接続された図示しない管理者端末が、本システムの管理者から人員DB2041の作成作業を受け付け、設定部2013は、人員DB2041を作成する(S301)。以下では、初期処理における各ステップを、図示しない管理者端末を操作して行う前提で説明するが、有識者端末300のユーザがこれらのステップと同様の処理を行ってもよい。これにより、有識者となるユーザ所望のタイミングで登録を行うことができる。
【0034】
図4は、人員DB2041の一例を示す図である。人員DB2041は、本システムのユーザの属性を記憶するデータベースである。
図4に示すように、人員DB2041は、登録されているユーザを識別するための連番(#)と、当該ユーザの所属組織と、当該所属組織の分類を示す所属組織フラグと、当該ユーザのメールアドレスと、当該ユーザについての所属部署、当該所属部署における役職、当該所属部署における当該役職での所属年数を含むその他属性データと、当該ユーザが本システムで使用するPCやタブレット等の端末のIPアドレスとが対応付けて記憶されている。上記その他属性データには、当該ユーザが異動などで経験した過去の履歴(例えば、どの部署においてどの役職でどれくらいの期間所属していたのかといった情報)を含むものとする。
【0035】
例えば、連番1として蓄積されているユーザは、氏名が「山田一郎」であり、所属組織は「サーバ設計部」、当該所属組織は「技術部門」に分類されていることを示している。また、「山田一郎」は端末IPアドレス「α」の端末を使用し、「山田一郎」のメールアドレスは「ichiro.yamada@xyz.com」、当該部門に10年所属する専門課長であることを示している。「鈴木二郎」、「佐藤三郎」をはじめとするユーザの属性についても同様に記憶されている。このように、設定部2013は、それぞれのユーザについて、属性を記憶した人員DB2041を作成する。各項目の内容については、他のシステム等で保持されている情報を読み出して設定すればよい。
【0036】
続いて、
図3に戻り、上記管理者端末が、本システムの管理者から検索キーワードリスト2054の作成作業を受け付け、設定部2013は、検索キーワードリスト2054を作成する(S302)。
【0037】
図5は、検索キーワードリスト2054の一例を示す図である。検索キーワードリスト2054は、質問者端末100から送信された過去の問い合わせに含まれる検索キーワードの履歴を記憶するデータベースである。
図5に示すように、検索キーワードリスト2054は、登録されている検索キーワードを識別するための連番(#)と、当該検索キーワードにより有識者として検索されたユーザの氏名と、当該キーワードと、当該キーワードを用いた問い合わせのタイトルと、当該問い合わせに用いられたメールアドレスとが対応付けて記憶されている。検索キーワードリスト2054には、1または複数のユーザと1または複数のキーワードとが対応付けて記憶されているため、あるユーザに対して複数のキーワードが設定される場合、あるキーワードに対して複数のユーザが設定されることもある。なお、本例では、上記問い合わせに用いられたメールアドレスが記憶されているが、人員DB2041を参照する場合には、必ずしも項目として記憶されていなくてもよい。
【0038】
例えば、連番1として蓄積されているユーザである「山田一郎」が有識者として検索された「技術問い合わせ」に含まれている検索キーワードは「サーバ」であることを示している。同様に、「鈴木二郎」、「佐藤三郎」をはじめとするユーザについても、検索キーワード「サーバ」を含む「技術問い合わせ」により検索されたことを示している。このように、設定部2013は、質問者端末100から送信された問い合わせから検索キーワードを抽出し、抽出した検索キーワードと当該検索キーワードを含む問い合わせのタイトルと、当該問い合わせにより検索された有識者となるユーザおよび当該ユーザのメールアドレスとを対応づけて検索キーワードリスト2054を作成する。なお、検索キーワードリスト2054は、後述する検索処理で蓄積されるが、
図3に示した初期処理では、当該初期処理時点のメールログ2051を解析するなどして、あらかじめ上述した各項目を定めておけばよい。
【0039】
続いて、
図3に戻り、上記管理者端末が、本システムの管理者から資格・教育受講管理情報2053の作成作業を受け付け、設定部2013は、資格・教育受講管理情報2053を作成する(S303)。
【0040】
図6は、資格・教育受講管理情報2053の一例を示す図である。資格・教育受講管理情報2053は、質問者端末100から問い合わせを受けるユーザが保持する資格や教育プログラムの受講状況を示す情報である。
図6に示すように、資格・教育受講管理情報2053は、登録されているユーザを識別するための連番(#)と、当該ユーザが保持している資格を取得した取得日と、取得資格と、当該ユーザがこれまでに受講した教育内容とが対応付けて記憶されている。
【0041】
例えば、連番1として蓄積されているユーザである「山田一郎」は、過去に、「サーバ初級設計資格」、「サーバ上級設計資格」を、それぞれ、「2015年12月1日」、「2016年12月1日」に取得しており、教育プログラムとして定められた講座「サーバ初級講座受講」、「サーバ中級講座受講」、「サーバ上級講座受講」を受講していることを示している。また、連番2として蓄積されているユーザである「鈴木二郎」は、過去に取得した資格はないが、教育プログラムとして定められた講座「サーバ初級講座受講」を受講していることを示している。連番3として蓄積されているユーザである「佐藤三郎」は、営業社員のため、これらの技術的な資格や講座を受講していないことを示している。このように、設定部2013は、社内で資格や教育受講に関する業務を司る部門のサーバからこれらの情報を抽出し、抽出したこれらの情報を対応付けた資格・教育受講管理情報2053を作成する。
【0042】
続いて、
図3に戻り、設定部2013は、S302で作成した検索キーワードリスト2054と、メールログ2051とを参照して、それぞれのユーザについて、キーワードごとに、メールの送信履歴に基づくユーザの評価点を算出する(S304)。
【0043】
具体的には、設定部2013は、検索キーワードリスト2054に記憶されたそれぞれのユーザについてのメールアドレスを読み取り、読み取った当該メールアドレスのメールを、メールログ2051に蓄積されている過去のメールの中から検索する。設定部2013は、検索した当該ユーザについての過去のメールの中から、検索キーワード「サーバ」を含むメールを抽出し、抽出したメールの件数をカウントし、評価点を算出する。例えば、設定部2013は、ユーザ「山田一郎」のメールログ2051に蓄積されている過去1か月間のメール送信履歴データのうち、キーワード「サーバ」が含まれるメールの件数(例えば、50件)をカウントする。設定部2013は、あらかじめキーワード「サーバ」が1回出現するごとに応じて定められた評価点(例えば、0.3点)に、当該件数を乗じた値(例えば、50件×0.3点=15点)を、メールの送信履歴を根拠とした、当該キーワードについての当該ユーザの評価点として算出する。このように、設定部2013は、それぞれのユーザおよびそれぞれのキーワードごとに、メールの送信履歴に基づくユーザの評価点を算出する。
【0044】
続いて、設定部2013は、S302で作成した検索キーワードリスト2054と、アクセスログ2052とを参照して、それぞれのユーザについて、キーワードごとに、会社内部や外部のウェブサイトへのアクセス履歴に基づくユーザの評価点を計算する(S305)。
【0045】
具体的には、設定部2013は、人員DB2041から、検索キーワードリスト2054に記憶されたそれぞれのユーザについての端末IPアドレスを読み取り、読み取った当該端末IPアドレスが記録された端末(例えば、質問者端末100)のブラウザ検索履歴を読み取る。設定部2013は、読み取った当該ユーザについての過去のブラウザ検索履歴の中から、検索キーワード「サーバ」を含むブラウザ検索履歴を抽出し、抽出したブラウザ検索履歴の回数をカウントし、評価点を計算する。例えば、設定部2013は、ユーザ「山田一郎」の端末のブラウザ検索履歴に記憶されている過去1か月間のブラウザ検索履歴データのうち、キーワード「サーバ」が含まれるブラウザ検索履歴の回数(例えば、30回)をカウントする。設定部2013は、あらかじめキーワード「サーバ」が1回出現するごとに応じて定められた評価点(例えば、0.2点)に、当該回数を乗じた値(例えば、30回×0.2点=6点)を、ブラウザ検索履歴を根拠とした、当該キーワードについての当該ユーザの評価点として算出する。このように、設定部2013は、それぞれのユーザおよびそれぞれのキーワードごとに、ウェブサイトへのアクセス履歴に基づくユーザの評価点を算出する。
【0046】
続いて、設定部2013は、S302で作成した検索キーワードリスト2054と、資格・教育受講管理情報2053とを参照して、それぞれのユーザについて、キーワードごとに、取得した資格や受講した教育内容に基づくユーザの評価点を計算する(S306)。
【0047】
具体的には、設定部2013は、資格・教育受講管理情報2053から、検索キーワードリスト2054に記憶されたそれぞれのユーザについて、検索キーワード「サーバ」を含む取得資格および受講教育内容を読み取る。設定部2013は、読み取った当該ユーザについての過去の取得資格および受講教育内容として記憶されている資格や講座の数をカウントし、評価点を計算する。例えば、設定部2013は、ユーザ「山田一郎」の端末のブラウザ検索履歴に記憶されている保有資格のうち、検索キーワード「サーバ」を含む保有資格の数は2つ(「サーバ初級設計資格」、「サーバ上級設計資格」)であり、検索キーワード「サーバ」を含む受講した講座の数は3つ(「サーバ初級講座受講」、「サーバ中級講座受講」、「サーバ上級講座受講」)であるため、これらの数の合計値「5」をカウントする。設定部2013は、あらかじめ資格や講座に応じて定められた評価点(例えば、5点)に、当該合計値を乗じた値(例えば、5件×5点=25点)を、取得した資格や受講した教育内容を根拠とした、当該キーワードについての当該ユーザの評価点として算出する。なお、本例では、上限値を20点として設定しているため、ユーザ「山田一郎」の上記評価点は「20点」として示されている。このように、設定部2013は、それぞれのユーザおよびそれぞれのキーワードごとに、資格や教育内容に基づくユーザの評価点を算出する。
【0048】
続いて、設定部2013は、S304~S306で算出した評価点を合算し、当該ユーザ、当該キーワードについての合計点を算出し、S304~S306で算出した各評価点、S307で算出した合計点を、当該ユーザ、当該キーワードに対応付けて有識者採点DB2042に記録する(S307)。例えば、設定部2013は、上記評価点のそれぞれ「15」、「6」、「20」を合算した合計値「41」を算出し、当該合計点を当該ユーザ、当該キーワードに対応付けて有識者採点DB2042に記録する。
【0049】
図7は、有識者採点DB2042の一例を示す図である。有識者採点DB2042は、採点された有識者に関する情報を記憶するデータベースである。
図6に示すように、有識者採点DB2042は、登録されているユーザを識別するための連番(#)と、当該ユーザの氏名と、当該ユーザが有識者であるとした根拠を示すキーワードと、メールの送信履歴に基づくユーザの評価点と、アクセス履歴に基づくユーザの評価点と、教育内容に基づくユーザの評価点と、有識者評価結果に基づく評価点と、これらの合計点とが対応付けて記憶されている。なお、以下では、有識者評価結果に基づく評価点が「50」として記憶されているが、当該項目は、
図3に示す初期処理では設定されず、後述する
図9に示す検索処理において設定される項目である。
【0050】
例えば、連番1として蓄積されているユーザである「山田一郎」は、キーワード「サーバ」を含むメールの送信履歴に基づくユーザの評価点「15」と、アクセス履歴に基づくユーザの評価点「6」と、教育内容に基づくユーザの評価点「20」と、有識者評価結果に基づく評価点「50」とが記憶され、その合計点が「91」(初期処理の段階では「41」)であったことを示している。このように、設定部2013は、これまでの処理で算出した評価点から合計点を算出し、算出したこれらの情報を対応付けた有識者採点DB2042を作成する。
【0051】
続いて、
図3に戻り、設定部2013は、S307で記録した有識者採点DB2042に記録された有識者(いわば有識者の候補)のうち、合計点のランキングが上位となっている有識者の候補を、最終的な有識者として有識者DB2043に登録する(S308)。
【0052】
図8は、有識者DB2043の一例を示す図である。有識者DB2043は、有識者採点DB2042に記録されている有識者の候補のうち、評価点の合計点が一定の値以上(例えば、90点以上)の有識者を登録したデータベースである。
図8に示すように、有識者DB2043は、有識者採点DB2042と同様の項目が対応付けて記憶されている。
【0053】
例えば、連番1として蓄積されているユーザである「山田一郎」は、キーワード「サーバ」を含むメールの送信履歴に基づくユーザの評価点「15」と、アクセス履歴に基づくユーザの評価点「6」と、教育内容に基づくユーザの評価点「20」と、有識者評価結果に基づく評価点「50」とが記憶され、その合計点が「91」であり、最終的な有識者として登録されたことを示している。このように、設定部2013は、有識者採点DB2042に記録されている有識者の候補のうち、評価点の合計点が一定の値以上の有識者を有識者DB2043に登録する。これらの各項目については有識者採点DB2042と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0054】
図9は、
図3に示した初期処理により構築されたデータベースを用いて有識者を検索し、回答するための検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0055】
図9に示すように、まず、質問受付部2011は、質問者端末100が質問者から受け付けた、有識者を検索するためのキーワードを、当該質問者端末100から受信する(S901)。
【0056】
続いて、検索部2012は、質問受付部2011が受け付けたキーワードが、
図5に示した検索キーワードリスト2054に含まれているか否かを判定する(S902)。
【0057】
検索部2012は、質問受付部2011が受け付けたキーワードが、
図5に示した検索キーワードリスト2054に含まれていると判定した場合(S902;Yes)、
図8に示した有識者DB2043を参照し、当該キーワードに一致するキーワード名に対応付けて記憶されている氏名のユーザを検索し、合計点が一定以上高い上位のユーザを有識者として出力する(S903)。
【0058】
一方、検索部2012は、質問受付部2011が受け付けたキーワードが、
図5に示した検索キーワードリスト2054に含まれていないと判定した場合(S902;No)、現時点でのメールログ2051を参照して、当該キーワードを用いて、メールの送信履歴に基づくユーザの評価点を算出する(S904)。S903の処理における評価点の算出については
図3に示したS304と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0059】
さらに、検索部2012は、現時点でのアクセスログ2052を参照して、当該キーワードを用いて、会社内部や外部のウェブサイトへのアクセス履歴に基づくユーザの評価点を計算する(S905)。S905の処理における評価点の算出については
図3に示したS305と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0060】
さらに、検索部2012は、現時点での資格・教育受講管理情報2053を参照して、当該キーワードを用いて、取得した資格や受講した教育内容に基づくユーザの評価点を計算する(S906)。S906の処理における評価点の算出については
図3に示したS305と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0061】
そして、検索部2012は、当該キーワードについて、それぞれのユーザについてS904、S905、S906で算出した各評価点を合算した合計点を算出し、算出したこれらの情報を対応付けて有識者採点DB2042に登録する(S907)。有識者採点DB2042については
図7を用いて説明したが、S904~S906の処理が行われると、S902で検索キーワードリスト2054に含まれていないと判定したキーワードを含むメールのユーザ、会社内部や外部のウェブサイトへアクセスしたユーザ、資格を取得したユーザあるいは教育内容を受講したユーザが特定される。そして、特定されたユーザの氏名、上記キーワード、各評価点や合計点が有識者採点DB2042に格納されることとなる。上記メールの送信履歴や上記アクセス履歴からユーザを特定する方法については、既に説明した場合と同様、例えば、人員DB2041のメールアドレスやIPアドレスなどを参照して行えばよい。
【0062】
そして、検索部2012は、この時点で有識者採点DB2042に登録されているユーザのうち、ランキングが一定の基準以上(例えば、合計点が一定以上)のユーザを有識者として有識者DB2043に格納する(S908)。
【0063】
さらに、検索部2012は、S902で検索キーワードリスト2054に含まれていないと判定したキーワードと、有識者DB2043に登録したユーザと、S901で受け付けた問い合わせのタイトルと、S904で用いたメールアドレスとを対応付けて、
図5に示した検索キーワードリスト2054に格納する(S909)。そして、S903に進み、検索部2012は、S908で格納したユーザを含む現時点の有識者DB2043を参照し、S903と同様に、有識者を出力する(S903)。
【0064】
その後、検索部2012は、所定のタイミング(例えば、1カ月後のタイミング)で、質問者端末100から問い合わせを行ったユーザに対して、検索した有識者についての評価を依頼する(S910)。当該依頼は、例えば、人員DB2041を参照し、当該ユーザに対応付けられているメールアドレスにアンケートを送信する等して行えばよい。
【0065】
そして、評価結果受付部2021が、上位アンケートに対する回答として有識者の評価結果(例えば、有識者の得点)を質問者端末100から受け取ると、評価計算部2022が、有識者採点DB2042に格納されているユーザのうち、上記検索した有識者の氏名に対応する有識者評価結果を更新するとともに、後述する有識者評価履歴2055に、今回の受け取った評価結果を評価内容として記録する(S911)。なお、上記アンケートとしては、例えば、質問者がキーワードを含む問い合わせをしたときに検索された有識者が、100点満点のうちどのくらいの点数を獲得できているか(例えば、60点を獲得できているか)といった旨のメールを質問者端末100に送信すればよい。そして、問い合わせをしたユーザが、アンケートに対する回答として質問者端末100から上記点数、問い合わせしたときの有識者、キーワードを入力し、評価結果受付部2021が当該回答を受け取って、評価計算部2022が有識者採点DB2042の有識者評価結果を更新すればよい。なお、既に過去の評価結果が有識者評価履歴2055に格納されている場合には、有識者評価履歴2055を読み出して今回の評価結果と過去の評価結果に基づいて算出した統計値(例えば、平均値)を、最新の評価結果として格納すればよい。
【0066】
図10は、有識者評価履歴2055の一例を示す図である。有識者評価履歴2055は、問い合わせに対して検索された有識者に対する評価結果を蓄積したデータベースである。
図10に示すように、有識者評価履歴2055は、有識者を識別するための連番(#)と、当該有識者であるユーザの氏名と、問い合わせに用いたキーワードと、有識者評価結果に基づく評価点や評価日時を含む過去の評価内容とが対応付けて記憶されている。
【0067】
例えば、キーワード「サーバ」を含む問い合わせに対する有識者として回答した、連番1として蓄積されている「山田一郎」は、過去に、質問者から「2021年12月1日AM10:00」に行われた問い合わせに対する評価は「70点」、「2021年12月10日AM11:00」に行われた問い合わせに対する評価は「80点」として評価されたことを示している。
【0068】
図9に示した検索処理では、S904~S907において各評価点およびこれらの合計点を算出し、算出したユーザを有識者採点DB2042に登録したうえで、ランキングが上位のユーザを有識者であるとして有識者DB2043に登録することとした。しかし、有識者として登録されるユーザの中には、メールの送信履歴の数、アクセス履歴の数、資格・教育受講の数が少ないユーザであっても、所属部署の経験が長いなどの理由により、メールの送信履歴の数、アクセス履歴の数、資格・教育受講の数が多いユーザよりも高い経験値を有している場合もある。また、「サーバ」といったコンピュータやネットワークに関するキーワードを含む問い合わせでは、技術的な内容が多く、営業部門のユーザが多くのメールの送信履歴やアクセス履歴があったとしても、質問者からの問い合わせに関連する内容ではない場合がある。そのような場合に備え、以下に示すように、ユーザを選別したうえで有識者DB2043に有識者として登録することとしてもよい。
【0069】
図11は、
図9に示した検索処理において、ユーザを選別した上で有識者として登録する場合の検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
図11では、S1101、S1102、S1103の各処理を行う点で、
図9に示した検索処理とは異なるため、以下では主としてこれらの処理について説明する。
【0070】
S907において、有識者採点DB2042の各項目が登録されると、人員DB2041を参照し、当該有識者採点DB2042に登録されたユーザに対応するその他属性データとして記憶されている所属部署および役職を読み取る(S1101)。さらに、検索部2012は、S1101で読み取った所属部署および役職のなかで、所属部署が同じであって、役職が上位であるユーザを有識者の候補として選別する(S1102)。
【0071】
例えば、
図7に示した有識者採点DB2042に記憶されているユーザ「山田一郎」、「鈴木二郎」は、
図4に示した人員DB2041を参照すると、いずれも「技術部門」であり、前者の役職「技術専門課長」は、後者の役職「技術係長」よりも上位の役職である。したがって、検索部2012は、メールの送信履歴の数、アクセス履歴の数、資格・教育受講の数が「鈴木二郎」より少ない場合であっても、同じ技術部門に一定年数以上所属していることによる経験値が「鈴木二郎」よりも高いと判断し、「山田一郎」を有識者として選別する。
【0072】
さらに、検索部2012は、選別した上記有識者の候補のうち、S1101で読み取った所属部署が「営業部門」である場合、当該ユーザ(例えば、
図7に示した有識者採点DB2042に記憶されているユーザ「佐藤三郎」)を、有識者の候補から除去する(S1103)。当該除去の方法は、例えば、問い合わせに含まれるキーワードと、上記有識者の候補の所属部署の名称と意味的に一定以上乖離があるユーザを特定し、特定したユーザを、有識者の候補から削除する。意味的に一定以上乖離があるか否かの判定は、シソーラス(類義語集)などの従来から知られている自然言語によるデータベースを用いて行えばよい。
【0073】
これらの処理により、質問者から受け付けた問い合わせに対して適切な回答が可能な有識者を精度よく抽出でき、また、有識者DB2043をコンパクトに保持することができる。
【0074】
図12は、有識者採点DB2042や有識者DB2053をリフレッシュするための更新処理の処理手順を示すフローチャートである。当該更新処理は、毎月1回など、所定のタイミングでバッチ処理により行われる。
図9や
図11で示した検索処理においても、検索を受け付けた時点でのメールログ2051、アクセス履歴2052、資格・教育受講管理情報2053を参照して、有識者採点DB2042や有識者DB2043を更新できる。しかし、問い合わせを受けて検索されるタイミングはユーザの意図に基づくものであるため、一定期間、検索が行われずにこれらのDBのデータの鮮度が落ちてしまう場合もある。そこで、以下では、問い合わせの有無にかかわらず、所定のタイミングで上述した更新処理を行う場合について説明する。所定のタイミングで上述した更新処理を行うことで、新たに行われたメール送信履歴やアクセス履歴、新たに取得あるいは受講した資格や講座に基づいて、キーワードについて最新の有識者を検索可能な環境を構築することができる。
【0075】
図12に示すように、評価計算部2022は、更新処理を行う以前の一定期間のメールログ2051を参照して、メールの送信履歴に基づくユーザの評価点を算出する(S1201)。S1201の処理における評価点の算出については、
図3に示したS304と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0076】
さらに、評価計算部2022は、更新処理を行う以前の一定期間のアクセスログ2052を参照して、会社内部や外部のウェブサイトへのアクセス履歴に基づくユーザの評価点を計算する(S1202)。S1202の処理における評価点の算出については、
図3に示したS305と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0077】
さらに、評価計算部2022は、更新処理を行う以前の一定期間の資格・教育受講管理情報2053を参照して、取得した資格や受講した教育内容に基づくユーザの評価点を計算する(S1203)。S1203の処理における評価点の算出については、
図3に示したS305と同様であるが、ここでは当該更新処理を行う時点と過去に行った更新処理で評価点を算出したときとの差分として得られた資格や講座(すなわち、その間に新たに取得された資格や受講した講座)について、上記評価点を算出する。
【0078】
さらに、評価計算部2022は、有識者評価履歴2055を読み出し、更新処理を行う以前の一定期間の有識者評価結果を参照して、評価結果の統計値(例えば、平均値)を算出する(S1204)。当該統計値の算出は、
図9に示した検索処理のS911と同様の方法を用いてよい。
【0079】
そして、評価計算部2022は、
図3に示したS307、S308の場合と同様に、有識者採点DB2042、有識者DB2043にデータを格納、更新する(S1205、S1206)。
【0080】
本実施例では、
図9や
図11に示した検索処理と、
図12に示した更新処理とを分けて異なる処理主体がそれぞれの処理を行うこととしたが、例えば、
図12に示した更新処理を、
図9や
図11に示した検索処理の最後のステップ(S911)が終了したタイミングで続けて処理を実行してもよい。
【0081】
以上説明したように、本実施例における有識者検索システム1000は、プロセッサとメモリとを有したコンピュータを用いて、問い合わせに対して回答する有識者を検索する有識者検索システムであって、上記プロセッサは、端末(例えば、質問者端末100)から受け付けられた問い合わせに含まれるキーワード(例えば、「サーバ」)と、ユーザのメール送信履歴または/およびユーザのウェブサイトへのアクセス履歴(例えば、メールログ2051、アクセスログ2052)とを含む履歴情報とに基づいて特定された、上記ユーザについての上記キーワードを含む履歴情報(例えば、検索キーワードリスト2054)を用いて、上記キーワードについての上記ユーザの評価を行う第1の処理(例えば、
図9に示した検索処理のS904、S905)と、上記評価したユーザのうち、所定の基準を満たすユーザを、上記キーワードに対する有識者として有識者データベース(例えば、有識者DB2043)に登録する第2の処理(例えば、
図9に示した検索処理のS908)と、所定のタイミングで更新された上記履歴情報を用いて、上記第1の処理と上記第2の処理とを行い、上記有識者を出力する第3の処理(例えば、
図12に示した更新処理のS1206)と、を行う。したがって、従来に比べ、質問者の問い合わせに対して更新された新しい有識者の中から、当該質問者の問い合わせに適した有識者を高い精度で出力することができる。
【0082】
また、上記プロセッサは、上記第2の処理において、上記キーワードと上記有識者とを対応付けてキーワードリスト(例えば、検索キーワードリスト2054)に追加し、上記第1の処理において、追加された上記キーワードを含む問い合わせを受け付けた場合には、当該追加された上記キーワードについての有識者を上記有識者データベースから検索し、追加された上記キーワードを含まない問い合わせを受け付けた場合には、当該問い合わせに含まれる新たなキーワードと上記有識者とを対応付けて新たに上記キーワードリストに追加する。これにより、新たなキーワードを含む問い合わせを受ける都度、有識者とキーワードとの対応関係がリストに追加される結果、リストにないキーワードについては新たな有識者を登録しつつ、リストにあるキーワードについては既にある有識者DBを用いて有識者を検索できる。つまり、質問者から新たなキーワードを含む問い合わせを受け付けた場合でも、当該新たなキーワードを含む有識者を検索可能としつつ、当該有識者をキーワードリストに追加登録するので、有識者として検索される対象となるユーザの範囲を広げることができる。また、質問者からの問い合わせに新たなキーワードを含まない場合には、当該時点で登録されている有識者を速やかに検索し、アンケートによる評価依頼に結び付けることができる。
【0083】
また、上記プロセッサは、上記第1の処理において、上記端末から受け付けられた上記問い合わせに対して回答した有識者に対する評価結果と、上記履歴情報とを用いて、上記キーワードについての上記ユーザの評価を行う。これにより、質問者の意図を適切に汲み取った回答をしたユーザを有識者として登録することができる。
【0084】
また、上記プロセッサは、上記第1の処理において、ユーザの上記キーワードを含む資格の保有状況または/および講座の受講状況(例えば、資格・教育受講管理情報2053)と、上記履歴情報とを用いて、上記キーワードについての上記ユーザの評価を行う。これにより、有識者が有識者としての適性を維持するために取得した資格や受講した講座に変動が生じた場合でも、精度よく適切な有識者を検索することができる。
【0085】
また、上記プロセッサは、上記第2の処理において、上記所定の基準を満たす、同じ所属部署のユーザが複数存在する場合には、役職が上位のユーザを上記キーワードについての有識者とする。これにより、経験値や役職に基づいた有識者を速やかに検索することができる。
【0086】
また、上記プロセッサは、上記第2の処理において、上記所定の基準を満たす、異なる所属部署のユーザが複数存在する場合には、上記キーワードに意味的に近い所属部署のユーザを上記キーワードについての有識者とする。これにより、問い合わせに含まれるキーワードを関連する業務を日々行っているユーザを有識者として検索することができる。
【0087】
従来、社内などで有識者の問い合わせを行う場合、関連業務従事者へ連絡し、取り次ぎが必要となる場合があったが、上記対応ではたらい回しやそもそも担当部門が不明であるといった事象が散見されていた。しかし、上述のように、問い合わせに含まれるキーワードに関連するメールの送信履歴、ウェブサイトへのアクセス履歴、さらには、取得した資格や受講した教育内容を用いて最新の有識者を検索することができるため、上述した事象を解消することができるとともに、問い合わせ時間の短縮による業務効率の上昇を導くことができる。
【0088】
以上、本発明の一実施例について図面を用いて詳細に説明したが、さらなる変形も可能である。
【0089】
例えば、異動などで所属部署を離れ、畑違いの業務に一定期間携わった後、当該ユーザが再度同じ職場に戻ってきたような場合を考える。この場合、過去の技術や環境に携わっていた時のスキルレベルに戻るまでに時間がかかり、過去に有識者であったとしても現時点では必ずしも有識者というほど技術レベルが高いとは限らない。したがって、このような場合には、検索部2012は、人員DB2041のその他属性データを参照して、役職や所属部署の異動状況を確認し、過去に有識者として登録されたときの所属部署にいた時期から一定期間他の部署に異動し、再び当該登録された時の所属部署に戻ってきたと判断できるユーザについては、一定期間のあいだを除斥期間として、有識者DB2043に登録する対象から除いてもよい。
【0090】
例えば、
図4に示した人員DB2041では、連番2として蓄積されているユーザである「鈴木二郎」は、「ネットワーク設計部」の係長として7年の経験があるものの、異動情報として2年の間は異動のため別の部署に所属していたことが記録されている。当該2年は、あらかじめ定められた期間(例えば1年間)を超えているため、除斥期間(例えば、6カ月)は、S908で登録するユーザから削除する。これにより、異動が多く有識者として登録されているユーザが入れ替わることが想定される企業などの場合でも、問い合わせに適した有識者を検索することができる。
【0091】
また、
図11に示したS1101、S1102、S1103の各処理は、S904の前に行ってもよい。この場合、有識者DB2043に登録する有識者を事前に削除しておくことができるため、有識者DB2043をコンパクトに保持することができる。
【0092】
このほか、有識者DB2043に登録されたユーザに対しては、当該ユーザのメールアドレスに登録の可否を確認するためのメールを送信し、当該ユーザから了承の旨の返信メールを受信した場合にのみ登録してもよい。
【0093】
さらに、検索時間を削減するため、質問者端末100の表示部に、検索条件として、既に登録済みのキーワードと、既に登録済みでないフリーワードの2つを両方指定させる画面を表示し、登録済みのキーワードでのランキング上位の者のみを対象として、フリーワードで有識者を計算・採点させる仕組みとしてもよい。例えば、
図9に示したS901において、上記2種類のキーワードの入力を受け付けたのち、S902、S903の処理を行ったうえで、この時点でランキング上位として検索された有識者に対して、S904~S909の処理を行ってもよい。これにより、登録されているキーワードで検索された有識者に対して、さらに新たなキーワードで有識者を絞り込むことができる。
【0094】
また、データベース容量の一方的な増加を防ぐため、検索履歴にて一定期間のあいだ一定の基準よりも検索頻度の低くなっているキーワードについては、検索キーワードリスト2054から削除するようにしてもよい。
【0095】
以上、図面を用いて詳細に説明したが、本発明は上述の種々の例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、さらに種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0096】
1000 有識者検索システム
100 質問者端末
101 入力部
102 表示部
103 制御部
200 有識者検索サーバ
201 有識者検索部
202 採点部202
203 システム制御部203
204 記憶部
2011 質問受付部
2012 検索部
2013 設定部
2021 評価結果受付部
2022 評価計算部
2041 人員DB(データベース)
2042 有識者採点DB
2043 有識者DB
2051 メールログ
2052 アクセスログ
2053 資格・教育受講管理情報
2054 検索キーワードリスト
2055 有識者評価履歴