(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123138
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】制御アセンブリ及びユニット接続方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/00 20060101AFI20230829BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20230829BHJP
H04L 12/42 20060101ALI20230829BHJP
G06F 13/37 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
G06F3/00 Q
H04L12/28 400
H04L12/42 Z
G06F13/37 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027023
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】上野 洋
(72)【発明者】
【氏名】磯部 直希
【テーマコード(参考)】
5K031
5K033
【Fターム(参考)】
5K031AA08
5K031BA03
5K033BA06
5K033DA11
5K033DA14
(57)【要約】
【課題】制御装置及び負荷の各々に適切な電圧値の電源を供給できる制御アセンブリ及びユニット接続方法を提供する。
【解決手段】制御アセンブリ1は、外部と通信可能なマスタユニット3と、マスタユニット3に従属して作動する複数のスレーブユニット4とを備えている。マスタユニット3、及び複数のスレーブユニット4は、マスタユニット3を先頭にしてデイジーチェーン接続されている。作動対象物6は、制御装置5によって駆動が制御される負荷19を含む。複数のユニット2をデイジーチェーン接続する配線は、負荷19に電源を供給する第1電源線26と、制御装置5に電源を供給する第2電源線27とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動対象物を制御装置によって制御するユニットを複数有し、前記複数のユニットのうち、外部と通信可能なものをマスタユニットとし、前記マスタユニットに従属して作動するものをスレーブユニットとした制御アセンブリであって、
前記マスタユニット、及び前記複数のスレーブユニットは、前記マスタユニットを先頭にしてデイジーチェーン接続され、
前記作動対象物は、前記制御装置によって駆動が制御される負荷を含み、
前記複数のユニットをデイジーチェーン接続する配線は、前記負荷に電源を供給する第1電源線と、前記制御装置に電源を供給する第2電源線とを含む制御アセンブリ。
【請求項2】
前記作動対象物は、前記負荷の状態をセンシングするセンサを含み、
前記配線は、前記負荷を接地する第1グランド線と、前記センサを接地する第2グランド線とを含む
請求項1に記載の制御アセンブリ。
【請求項3】
前記配線は、前記マスタユニットから前記スレーブユニットに出力される各種指示の経路となるローカル通信線を含む
請求項1又は請求項2に記載の制御アセンブリ。
【請求項4】
前記マスタユニットは、前記制御アセンブリへの制御指令を出力する親制御装置に接続されている
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の制御アセンブリ。
【請求項5】
前記マスタユニット、及び前記複数のスレーブユニットは、デイジーチェーン接続の最後尾に位置する前記スレーブユニットを前記マスタユニットに接続することにより、全体をリング状に接続している
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の制御アセンブリ。
【請求項6】
作動対象物を制御装置によって制御する複数のユニットを接続するためのユニット接続方法であって、
前記複数のユニットは、外部と通信可能なものがマスタユニットとされ、前記マスタユニットに従属して作動するものがスレーブユニットとされ、
前記マスタユニット、及び前記複数のスレーブユニットは、前記マスタユニットを先頭にしてデイジーチェーン接続され、
前記作動対象物は、前記制御装置によって駆動が制御される負荷を含み、
前記複数のユニットをデイジーチェーン接続する配線は、前記負荷に電源を供給する第1電源線と、前記制御装置に電源を供給する第2電源線とを含むユニット接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御アセンブリ及びユニット接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、コンピュータ内部でデバイス同士を接続するパスの一種として、シリアルペリフェラルインタフェースが開示されている。このインタフェースの場合、1つのマスタに対して複数のデバイスがパラレルに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各々のデバイスには、モータ等の負荷と、この負荷を制御するICとが搭載される。ところで、負荷やICの各々は、必要とする電源の電圧が異なることが多い。よって、負荷やICに適切な電圧値を供給する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する制御アセンブリは、作動対象物を制御装置によって制御するユニットを複数有し、前記複数のユニットのうち、外部と通信可能なものをマスタユニットとし、前記マスタユニットに従属して作動するものをスレーブユニットとした構成であって、前記マスタユニット、及び前記複数のスレーブユニットは、前記マスタユニットを先頭にしてデイジーチェーン接続され、前記作動対象物は、前記制御装置によって駆動が制御される負荷を含み、前記複数のユニットをデイジーチェーン接続する配線は、前記負荷に電源を供給する第1電源線と、前記制御装置に電源を供給する第2電源線とを含む。
【0006】
前記課題を解決するユニット接続方法は、作動対象物を制御装置によって制御する複数のユニットを接続するための方法であって、前記複数のユニットは、外部と通信可能なものがマスタユニットとされ、前記マスタユニットに従属して作動するものがスレーブユニットとされ、前記マスタユニット、及び前記複数のスレーブユニットは、前記マスタユニットを先頭にしてデイジーチェーン接続され、前記作動対象物は、前記制御装置によって駆動が制御される負荷を含み、前記複数のユニットをデイジーチェーン接続する配線は、前記負荷に電源を供給する第1電源線と、前記制御装置に電源を供給する第2電源線とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、制御装置及び負荷の各々に適切な電圧値の電源を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態の制御アセンブリの構成図である。
【
図2】制御アセンブリに機能追加するときの作用図である。
【
図4】制御アセンブリの動作の一例を示す作用図である。
【
図5】制御アセンブリの動作の一例を示す作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態を説明する。
[制御アセンブリ1の概要]
図1に示すように、制御アセンブリ1は、制御する機能ごとに設けられた複数のユニット2を備えている。複数のユニット2は、1つのマスタユニット3と、複数のスレーブユニット4とを有する。
図1の場合は、スレーブユニット4を3つとする。ユニット2の各々は、ユニット2の作動を統括する制御装置5と、制御装置5によって制御される作動対象物6とを備えている。制御アセンブリ1は、例えば車載用の場合、車外ドアミラー、シート、チルト/テレスコピックステアリング(テレスコ:登録商標)などに使用される。
【0010】
マスタユニット3は、外部(本例は、親制御装置7)と通信可能なユニット2である。マスタユニット3は、接続線8を介して親制御装置7と接続されている。マスタユニット3は、親制御装置7から接続線8を介して入力する制御指令Skに基づき、制御アセンブリ1を統括制御する。スレーブユニット4は、マスタユニット3に従属して作動するユニット2である。すなわち、スレーブユニット4は、マスタユニット3によって動作が管理される。
【0011】
マスタユニット3及びスレーブユニット4は、マスタユニット3を先頭にしてデイジーチェーン接続されている。すなわち、複数のユニット2を接続する配線10は、デイジーチェーンを構築するように繋がれる。具体的には、マスタユニット3が第1配線11を介して第1スレーブユニット4aに接続される。第1スレーブユニット4aが第2配線12を介して第2スレーブユニット4bに接続される。第2スレーブユニット4bが第3配線13を介して第3スレーブユニット4cに接続される。
【0012】
[親制御装置7]
親制御装置7は、例えば車載用の場合、車両に設けられた統合ECU(Electronic Control Unit)である。統合ECUは、車載機器を統括制御する。車載機器は、例えば、車両ドアの施解錠を制御するドアロック制御装置、車両に前後進の推進力を発生させる駆動力発生装置、ハンドルの回転操作をロックするステアリングロック制御装置などである。車両は、例えば、電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、ガソリン車、燃料電池車、水素自動車のいずれでもよい。
【0013】
統合ECUは、例えば、車両の電子キーの正否を確認する照合機能を有する。照合機能は、例えば、車両キーを無線通信によって照合する機能である。照合方式は、スマート照合、ワイヤレス照合、イモビライザー照合などがある。車両キーは、例えば、主としてキー機能を有する電子キー、外部(サーバ等)からデジタルキーを登録することによってキーとして使用可能となるモバイル端末などがある。
【0014】
親制御装置7は、前述の照合機能の照合結果や、車載されたセンサやスイッチから入力する信号に基づき、制御指令Skを制御アセンブリ1に出力する。制御アセンブリ1は、制御指令Skをマスタユニット3で入力する。マスタユニット3は、この制御指令Skを解読する。マスタユニット3は、その解読結果に基づき、自身の動作を実行したり、解読結果に応じた各種指示をデイジーチェーン接続の上流から下流へ順に転送したりする。そして、各スレーブユニット4は、受け取った各種指示に基づき作動する。
【0015】
[マスタユニット3及びスレーブユニット4の構成]
図3に示すように、マスタユニット3の制御装置5は、例えばCPU(Central Processing Unit)16である。マスタユニット3の作動対象物6は、CPU16によって制御される負荷19と、負荷19の状態をセンシングするセンサ20とを含む。マスタユニット3は、親制御装置7から入力する制御指令Skや、図示しないスイッチから入力するスイッチ信号Sw(図示略)に基づき、負荷19を制御する。
【0016】
スレーブユニット4の制御装置5は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)17と、作動対象物6を駆動する駆動回路18とを含む。スレーブユニット4の作動対象物6は、ASIC17によって制御される負荷19と、負荷19の状態をセンシングするセンサ20とを含む。スレーブユニット4は、マスタユニット3から出力される各種指示に基づき、負荷19を制御する。
【0017】
負荷19は、例えば、モータ、LED、リレー接点などである。センサ20は、例えば、負荷19がモータ等のアクチュエータの場合、アクチュエータの状態を直接監視する。また、センサ20は、アクチュエータの作動対象(アクチュエータによって動かしたい部材)を監視してもよい。この場合、センサ20は、例えば、アクチュエータが一定の位置に到達しているか否かをセンシングする。
【0018】
制御アセンブリ1が車外ドアミラーに使用される場合、車外ドアミラーの各々の機能に対してユニット2(マスタユニット3及び複数のスレーブユニット4)が割り当てられる。具体的には、車外ドアミラーの機能として、車外ドアミラーの開閉機能、ミラーの上下方向の角度調整機能、ミラーの左右方向の角度調整機能などがある場合、これらの機能の各々にユニット2が割り当てられる。
【0019】
[デイジーチェーン接続]
図3に示す通り、マスタユニット3は、主電源からの電圧を入力する主電源線23と、負荷19をGNDに接地するための主GND線24とに接続されている。車載用の場合、主電源は、例えば車載バッテリである。車載バッテリの電圧は、例えば約10Vや約12Vなどの高電圧である。
【0020】
配線10は、負荷19に電源を供給する第1電源線26を有する。第1電源線26は、主電源線23と繋がる電気配線であって、負荷19に必要な高い電圧(12V等)を各ユニット2の負荷19に供給する。第1電源線26は、マスタユニット3及び第1スレーブユニット4aの間に繋がれた「26a」と、第1スレーブユニット4a及び第2スレーブユニット4bの間に繋がれた「26b」と、第2スレーブユニット4b及び第3スレーブユニット4cの間に繋がれた「26c」とを含む。
【0021】
配線10は、制御装置5に電源を供給する第2電源線27を有する。第2電源線27は、制御装置5(例えば、CPU16やASIC17のIC)に必要な低い電圧(ローカル電源)を各ユニット2の制御装置5に供給する。ローカル電源は、マスタユニット3で生成される。ローカル電源の値は、例えば主電源の電圧よりも低い値であって、約3.3Vや約5Vの低電圧に設定されている。第2電源線27は、マスタユニット3及び第1スレーブユニット4aの間に繋がれた「27a」と、第1スレーブユニット4a及び第2スレーブユニット4bの間に繋がれた「27b」と、第2スレーブユニット4b及び第3スレーブユニット4cの間に繋がれた「27c」とを含む。
【0022】
配線10は、負荷19を接地する第1グランド線28を有する。第1グランド線28は、主GND線24と繋がる電気配線である。第1グランド線28は、マスタユニット3及び第1スレーブユニット4aの間に繋がれた「28a」と、第1スレーブユニット4a及び第2スレーブユニット4bの間に繋がれた「28b」と、第2スレーブユニット4b及び第3スレーブユニット4cの間に繋がれた「28c」とを含む。
【0023】
配線10は、センサ20を接地する第2グランド線29を有する。第2グランド線29は、制御アセンブリ1においてローカルGNDを設定する電気配線である。第1グランド線28とは別にセンサ20用の第2グランド線29を設けるのは、センサ出力が負荷19のグランド状態に影響を受けて変動してしまう状況を生じ難くするためである。第2グランド線29は、マスタユニット3及び第1スレーブユニット4aの間に繋がれた「29a」と、第1スレーブユニット4a及び第2スレーブユニット4bの間に繋がれた「29b」と、第2スレーブユニット4b及び第3スレーブユニット4cの間に繋がれた「29c」とを含む。
【0024】
配線10は、マスタユニット3からスレーブユニット4に出力される各種指示の経路となるローカル通信線30を有する。ローカル通信線30は、マスタユニット3及び第1スレーブユニット4aの間に繋がれた「30a」と、第1スレーブユニット4a及び第2スレーブユニット4bの間に繋がれた「30b」と、第2スレーブユニット4b及び第3スレーブユニット4cの間に繋がれた「30c」とを含む。
【0025】
なお、第1配線11は、第1電源線26a、第2電源線27a、第1グランド線28a、第2グランド線29a、及びローカル通信線30aを含む。第2配線12は、第1電源線26b、第2電源線27b、第1グランド線28b、第2グランド線29b、及びローカル通信線30bを含む。第3配線13は、第1電源線26c、第2電源線27c、第1グランド線28c、第2グランド線29c、及びローカル通信線30cを含む。
【0026】
次に、本実施形態の制御アセンブリ1(ユニット接続方法)の作用について説明する。
[マスタユニット3の負荷19を制御する場合]
図4に、親制御装置7から制御アセンブリ1に対し、マスタユニット3への制御指令Sk1が出力された例を挙げる。制御指令Sk1は、制御アセンブリ1の具体的な制御内容を示すデータを含む。制御内容は、例えば、車外ドアミラーの場合、ミラー角度を所定角度傾けるなどの簡易な指示であって、複数のユニット2のどれを作動させるかの詳細な指示までは含んでいない。
【0027】
マスタユニット3は、親制御装置7から制御指令Sk1を入力したとき、制御指令Sk1を解読することにより、制御指令Sk1の動作を担うのはどのユニット2であるのかを判断する。すなわち、制御指令Sk1の動作をどのユニット2でどのように実行すべきなのかは、マスタユニット3で判断される。マスタユニット3は、制御指令Sk1の動作を担うのが自身と判断したとき、この制御指令Sk1を取得する。
【0028】
マスタユニット3は、制御指令Sk1を取得すると、この制御指令Sk1に基づき負荷19を制御する。具体的には、マスタユニット3のCPU16は、制御指令Sk1に含まれる制御データに基づいて、負荷19を制御する。
【0029】
CPU16は、負荷19の状態をセンサ20によって検知する。CPU16は、センサ20の出力により得た検知情報St1を、親制御装置7に出力する。検知情報St1は、例えば、センサ20の出力自体でもよいし、センサ20の出力を用いて実行した処理結果のいずれでもよい。センサ20の出力を用いた処理は、例えば、負荷19の作動の診断結果であるダイアグ、負荷19の作動モードの状態、負荷19が異常と検知されたときの異常状態などがある。親制御装置7は、マスタユニット3から入力した検知情報St1に基づき、マスタユニット3の負荷19の状態に応じた作動を適宜実行する。
【0030】
[第3スレーブユニット4cの負荷19を制御する場合]
図5に、親制御装置7から制御アセンブリ1に対し、第3スレーブユニット4cが動作を担う制御指令Sk2が出力された例を挙げる。マスタユニット3は、親制御装置7から制御指令Sk2を入力したとき、制御指令Sk2を解読することにより、制御指令Sk2の動作をどのユニット2でどのように担うのかを識別する。ここでは、マスタユニット3は、制御指令Sk2の動作を担うのは第3スレーブユニット4cであると判断する。
【0031】
マスタユニット3は、動作の担い手と内容とを判断し終えると、それを作動指示Sk2’として、デイジーチェーン接続の下流側に送信する。具体的には、宛先を第3スレーブユニット4cとする作動指示Sk2’がデイジーチェーン接続の下流側に送信される。すなわち、マスタユニット3は、生成した作動指示Sk2’を、ローカル通信線30aを介して第1スレーブユニット4aに送信する。本例の作動指示Sk2’は、例えば、宛先が第3スレーブユニット4cであるアドレスと、負荷19をどのように作動させるのかの具体的指示とを含む。
【0032】
第1スレーブユニット4aは、マスタユニット3から作動指示Sk2’を入力すると、作動指示Sk2’に含まれるアドレスを確認する。第1スレーブユニット4aは、作動指示Sk2’のアドレスに第3スレーブユニット4cが指定されていることを認識することにより、この作動指示Sk2’をデイジーチェーン接続の下流側に転送する。すなわち、第1スレーブユニット4aは、入力した作動指示Sk2’を、ローカル通信線30bを介して第2スレーブユニット4bに転送する。同様に第2スレーブユニット4bもローカル通信線30cを介して、作動指示Sk2’を第3スレーブユニット4cに転送する。
【0033】
第3スレーブユニット4cは、アドレスが自身に付された作動指示Sk2’を入力するため、この作動指示Sk2’を取得する。第3スレーブユニット4cは、作動指示Sk2’を取得すると、この作動指示Sk2’に基づいて負荷19を制御する。具体的には、ASIC17は、作動指示Sk2’に含まれる負荷19の具体的指示に基づき、駆動回路18を介して、負荷19を制御する。第3スレーブユニット4cのASIC17は、負荷19の状態をセンサ20によって監視する。
【0034】
第3スレーブユニット4cのASIC17は、センサ20により得た検知情報St2を、ローカル通信線30を介して親制御装置7に出力する。ここでは、第3スレーブユニット4cは、通知する検知情報St2を、ローカル通信線30cを介して第2スレーブユニット4bに出力する。そして、この検知情報St2は、ローカル通信線30bを介して第1スレーブユニット4aへ転送されるとともに、ローカル通信線30aを介してマスタユニット3へ転送される。
【0035】
マスタユニット3は、スレーブユニット4のユニット群から転送された検知情報St2を、接続線8を介して親制御装置7に出力する。親制御装置7は、入力した検知情報St2に基づき、第3スレーブユニット4cの負荷19の状態を認識するとともに、第3スレーブユニット4cの負荷19の状態に応じた作動を適宜実行する。
【0036】
[本開示の特徴的な有利点]
図2に示すように、制御アセンブリ1に機能追加(機能拡張)をしたい場合には、最後尾のスレーブユニット4(
図2の場合、第3スレーブユニット4c)に対し、追加したいスレーブユニット4をデイジーチェーン接続するだけで済む。よって、最後尾のスレーブユニット4に別のスレーブユニット4を適宜接続するだけという簡易な構成によって、簡便に機能追加を実現することが可能となる。
【0037】
また、親制御装置7に複数のユニット2を接続する場合、ユニット2のそれぞれを親制御装置7に直接接続するのではなく、親制御装置7に対してユニット2をデイジーチェーン接続するようにしている。このため、親制御装置7に必要となる配線数が少なく済む。また、親制御装置7にはマスタユニット3のみ接続すればよいので、親制御装置7においてユニット接続のために必要となるポート(コネクタ極数)が少なく済む。このため、親制御装置7のサイズ小型化やコスト削減などが可能となる。
【0038】
スレーブユニット4を増やす場合であっても、ユニット2をデイジーチェーン接続する構造を用いれば、マスタユニット3及び親制御装置7の接続線8に変更を加える必要がない。すなわち、スレーブユニット4を増やす場合に、マスタユニット3及び親制御装置7の配線数を増やす必要に迫られることもない。よって、マスタユニット3及び親制御装置7の配策スペースや配策経路の確保に苦慮することもない。
【0039】
ところで、各ユニット2(マスタユニット3及びスレーブユニット4)は、負荷19に必要な電源の電圧値が高く、そして、制御装置5に必要な電源の電圧値が低い。そこで、複数のユニット2をデイジーチェーン接続する配線10に、負荷19に電源を供給する第1電源線26と、制御装置5に電源を供給する第2電源線27とを設けた。このため、制御装置5及び負荷19の各々に適切な電圧値の電源を供給可能となる。
【0040】
[実施形態の効果]
上記実施形態の制御アセンブリ1(ユニット接続方法)によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0041】
(1)制御アセンブリ1は、作動対象物6を制御装置5によって制御するユニット2を複数有する。複数のユニット2は、外部と通信可能なものをマスタユニット3とし、マスタユニット3に従属して作動するものをスレーブユニット4とする。マスタユニット3、及び複数のスレーブユニット4は、マスタユニット3を先頭にしてデイジーチェーン接続されている。作動対象物6は、制御装置5によって駆動が制御される負荷19を含む。複数のユニット2をデイジーチェーン接続する配線10は、負荷19に電源を供給する第1電源線26と、制御装置5に電源を供給する第2電源線27とを含む。
【0042】
本例の構成によれば、制御アセンブリ1に機能追加する場合には、デイジーチェーン接続の最後尾のスレーブユニット4に別のスレーブユニット4を接続することで対応する。このため、マスタユニット3を外部に繋ぐ接続線8を変更することなく、制御アセンブリ1への機能追加を実現できる。また、デイジーチェーン接続する配線10に、負荷19用の第1電源線26と制御装置5用の第2電源線27とを設けた。よって、制御装置5及び負荷19の各々に適切な電圧値の電源を供給することもできる。
【0043】
(2)作動対象物6は、負荷19の状態をセンシングするセンサ20を含む。配線10は、負荷19を接地する第1グランド線28と、センサ20を接地する第2グランド線29とを含む。この構成によれば、負荷19及びセンサ20の各々を個別にグランドに接地するので、センサ20の出力が負荷19に影響を受けずに済む。よって、センサ20から安定した検知情報St1、St2を出力できる。
【0044】
(3)配線10は、マスタユニット3からスレーブユニット4に出力される各種指示(作動指示Sk2’)の経路となるローカル通信線30を含む。この構成によれば、前後のユニット2同士で接続されたローカル通信線30を介して、安定した信号のやり取りを実行できる。
【0045】
(4)マスタユニット3は、制御アセンブリ1への制御指令Skを出力する親制御装置7に接続されている。この構成によれば、制御アセンブリ1に機能追加する場合であっても、マスタユニット3及び親制御装置7を繋ぐ接続線8に変更の必要はない。よって、親制御装置7の装置大型化を抑制できる。また、親制御装置7の装置コストも抑制できる。
【0046】
(5)親制御装置7は、制御アセンブリ1への指示である制御指令Sk1(Sk2)をマスタユニット3に出力する。マスタユニット3は、制御指令Sk1(Sk2)を解読するとともに、どのユニット2をどのように作動させるのかの作動指示Sk2’を生成する。そして、マスタユニット3は、この作動指示Sk2’を、デイジーチェーン接続されたスレーブユニット4に出力することにより、スレーブユニット4を作動指示Sk2’に基づき作動させる。
【0047】
この構成の場合、マスタユニット3は、親制御装置7からの制御指令Sk1(Sk2)を、マスタユニット3より下流のスレーブユニット4に対応する作動指示Sk2’に変換し、そして、この作動指示Sk2’をスレーブユニット4に付与する。このため、親制御装置7は、マスタユニット3より下流の構成を意識することなく、制御指令Sk1(Sk2)を単にマスタユニット3に出力するだけでよい。よって、マスタユニット3より下流の構成を変更する場合であっても対応し易い。
【0048】
[他の実施形態]
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0049】
・
図6に示すように、マスタユニット3、及び複数のスレーブユニット4は、デイジーチェーン接続の最後尾に位置するスレーブユニット4をマスタユニット3に接続することにより、全体をリング状に接続してもよい。具体的には、マスタユニット3と第3スレーブユニット4cとを、第1電源線26の「26d」と、第2電源線27の「27d」と、第1グランド線28の「28d」と、第2グランド線29の「29d」と、ローカル通信線30の「30d」とで接続する。
【0050】
この構成によれば、デイジーチェーン接続する配線10の1箇所が切断されたとしても、各スレーブユニット4をマスタユニット3に配線接続される状態を維持することが可能となる。よって、配線10の切断が生じた場合でも、制御アセンブリ1の作動を継続できる。
【0051】
・制御指令Sk1は、制御指令Sk1の送り先を示すアドレスと、具体的な制御内容を示す制御データとを含む指令でもよい。そして、複数のユニット2(マスタユニット3及び複数のスレーブユニット4)のうち、アドレスで指定されたユニット2に制御指令Sk1(Sk2)自体が転送される構成としてもよい。この構成によれば、親制御装置7によって細かな指令を各ユニット2に与えることができる。
【0052】
・マスタユニット3からスレーブユニット4に出力される各種指示は、マスタユニット3によって生成された作動指示Sk2’、或いは、親制御装置7から受け付けた制御指令Skのいずれでもよい。
【0053】
・複数のスレーブユニット4は、1列に直列接続されることに限らず、配線10の途中で分岐してもよい。
・第1電源線26は、1本に限定されず、複数設けてもよい。これは、第2電源線27でも同様である。
【0054】
・検知情報St1、St2は、オン又はオフの信号、又は、2値符号を組み合わせたデータ列のいずれでもよい。
・マスタユニット3は、1つの制御アセンブリ1において複数設けられてもよい。
【0055】
・1つのユニット2において、負荷19やセンサ20を複数設けてもよい。
・スレーブユニット4のASIC17をCPUに変更してもよい。
・負荷19は、高電圧の電源が必要な部材であればよい。
【0056】
・制御装置5は、CPU16、ASIC17などの制御用ICであればよい。また、制御装置5は、ECUでもよい。
・制御アセンブリ1は、1つの筐体内に配置されることが好ましい。
【0057】
・親制御装置7は、統合ECU以外の他のECUとしてもよい。
・親制御装置7に複数の制御アセンブリ1が接続されてもよい。
・制御アセンブリ1は、車載用に限定されず、車両以外の機器や装置に使用してもよい。
【0058】
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0059】
1…制御アセンブリ、2…ユニット、3…マスタユニット、4…スレーブユニット、5…制御装置、6…作動対象物、7…親制御装置、10…配線、19…負荷、20…センサ、26…第1電源線、27…第2電源線、28…第1グランド線、29…第2グランド線、30…ローカル通信線、Sk…制御指令、Sk2’…作動指令。