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特開2023-123141遠隔操作システム、遠隔操作方法、及び遠隔操作アプリケーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123141
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】遠隔操作システム、遠隔操作方法、及び遠隔操作アプリケーション
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20230829BHJP
   E05B 19/00 20060101ALI20230829BHJP
   E05B 41/00 20060101ALI20230829BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
E05B49/00 K
E05B19/00 J
E05B41/00 H
H04Q9/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027026
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】則竹 宏紀
【テーマコード(参考)】
2E250
5K048
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250CC26
2E250FF23
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ01
2E250LL01
2E250SS08
2E250SS09
2E250UU01
2E250VV01
5K048AA04
5K048BA42
5K048BA52
5K048DA01
5K048DB01
5K048DC01
5K048FB05
5K048FB10
5K048FB15
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】
【課題】操作忘れ回避と高い利便性とを両立できる遠隔操作システム、遠隔操作方法、及び遠隔操作アプリケーションを提供する。
【解決手段】第1判断部33は、端末3を所持したユーザが利用対象物2から規定量離れたか否かを判断する。第2判断部34は、利用対象物2で操作された操作物29が元の状態に戻されたか否かを判断する。表示処理部36は、ユーザが利用対象物2から規定量離れていると第1判断部33で判断され、かつ、操作物29を元の状態に戻す戻し操作が実行されていないと第2判断部34で判断されている場合、端末3のディスプレイ24に、戻し操作を実行するための操作画面35を表示させる。操作画面35で戻し操作が実行された場合、端末3から戻し操作要求Sbを近距離無線通信によって認証装置7に送信して、操作物29を利用前の元の状態に戻す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からデジタルキーを端末に登録することにより、利用対象物に設けられた認証装置と前記端末とを近距離無線通信によって認証可能として、前記端末を前記利用対象物のキーとして用いる遠隔操作システムであって、
前記端末を所持したユーザが前記利用対象物から規定量離れたか否かを判断する第1判断部と、
前記利用対象物で操作された操作物が元の状態に戻されたか否かを判断する第2判断部と、
ユーザが前記利用対象物から規定量離れていると前記第1判断部で判断され、かつ、前記操作物を元の状態に戻す戻し操作が実行されていないと前記第2判断部で判断されている場合、前記端末のディスプレイに、前記戻し操作を実行するための操作画面を表示させる表示処理部とを備え、
前記操作画面で前記戻し操作が実行された場合、前記端末から戻し操作要求を近距離無線通信によって前記認証装置に送信して、前記操作物を利用前の元の状態に戻す、遠隔操作システム。
【請求項2】
近距離無線通信の電波で測定された特性値に基づき、前記利用対象物と前記端末との間の位置関係を判定する位置判定部を備え、
前記第1判断部は、前記位置判定部の判定結果に基づき、ユーザが前記利用対象物から規定量離れたか否かを判断する
請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記表示処理部は、ユーザが前記利用対象物から規定量離れていると判断され、かつ、前記戻し操作の操作忘れが検出されている場合に、前記操作忘れを通知する操作忘れ通知を前記端末に送信し、
前記端末は、前記操作忘れ通知を受信すると、前記操作画面を前記ディスプレイに表示可能になるとともに、振動又は音の少なくとも一方を出力することによって、前記操作忘れがあったことをユーザに通知する
請求項1又は請求項2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記利用対象物は、室内外を有し、
前記操作物は、ドアであり、
前記戻し操作のし忘れは、前記ドアの施錠操作のし忘れであり、
前記戻し操作要求は、前記ドアを施錠に切り替えることを要求するドア施錠要求である
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
外部からデジタルキーを端末に登録することにより、利用対象物に設けられた認証装置と前記端末とを近距離無線通信によって認証可能として、前記端末を前記利用対象物のキーとして用い、前記利用対象物を遠隔操作するときに実行される遠隔操作方法であって、
前記端末を所持したユーザが前記利用対象物から規定量離れたか否かを判断することと、
前記利用対象物で操作された操作物が元の状態に戻されたか否かを判断することと、
ユーザが前記利用対象物から規定量離れていると判断され、かつ、前記操作物を元の状態に戻す戻し操作が実行されていないと判断されている場合、前記端末のディスプレイに、前記戻し操作を実行するための操作画面を表示させることと、
前記操作画面で前記戻し操作が実行された場合、前記端末から戻し操作要求を近距離無線通信によって前記認証装置に送信して、前記操作物を利用前の元の状態に戻すこととを
前記遠隔操作を制御する遠隔操作システムに実行させる遠隔操作方法。
【請求項6】
外部からデジタルキーを端末に登録することにより、利用対象物に設けられた認証装置と前記端末とを近距離無線通信によって認証可能として、前記端末を前記利用対象物のキーとして用いる遠隔操作システムに用いられるとともに、外部から前記端末にダウンロードされて使用される遠隔操作アプリケーションであって、
前記端末を所持したユーザが前記利用対象物から規定量離れていると判断されていること、及び、前記利用対象物で操作された操作物が元の状態に戻されていないと判断されていること、を認識する前記利用対象物から、前記操作物の戻し操作のし忘れを通知する操作忘れ通知が送信された場合に、前記操作忘れ通知を前記端末で受信することと、
前記操作忘れ通知を前記端末で受信した場合に、前記端末のディスプレイに、前記戻し操作を実行するための操作画面を表示することと、
前記操作画面で前記戻し操作が実行された場合、前記端末から戻し操作要求を近距離無線通信によって前記認証装置に送信することとを
前記端末のコンピュータに実行させる遠隔操作アプリケーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作システム、遠隔操作方法、及び遠隔操作アプリケーションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されるように、車両においてドアのロック操作忘れを防止する機能を備えた車両用キーレスシステムが周知である。特許文献1は、ロック操作忘れと判断された場合に、携帯機で警告を発したり、ドアロック機構によってドアをロック状態に切り替えたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-106548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯機で警告を発して操作忘れを通知する対策の場合、周囲の騒音等によってユーザが警告に気付かないことが想定される。また、操作忘れがあったときにドアをロック状態に切り替える対策の場合、ユーザが車両から一時的に降車したときでもドアが強制的にロックされてしまう。このため、ユーザの意図に沿わないロック作動が実行されるため、利便性が悪くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する遠隔操作システムは、外部からデジタルキーを端末に登録することにより、利用対象物に設けられた認証装置と前記端末とを近距離無線通信によって認証可能として、前記端末を前記利用対象物のキーとして用いる。前記遠隔操作システムは、前記端末を所持したユーザが前記利用対象物から規定量離れたか否かを判断する第1判断部と、前記利用対象物で操作された操作物が元の状態に戻されたか否かを判断する第2判断部と、ユーザが前記利用対象物から規定量離れていると前記第1判断部で判断され、かつ、前記操作物を元の状態に戻す戻し操作が実行されていないと前記第2判断部で判断されている場合、前記端末のディスプレイに、前記戻し操作を実行するための操作画面を表示させる表示処理部とを備え、前記操作画面で前記戻し操作が実行された場合、前記端末から戻し操作要求を近距離無線通信によって前記認証装置に送信して、前記操作物を利用前の元の状態に戻す。
【0006】
前記課題を解決する遠隔操作方法は、外部からデジタルキーを端末に登録することにより、利用対象物に設けられた認証装置と前記端末とを近距離無線通信によって認証可能として、前記端末を前記利用対象物のキーとして用い、前記利用対象物を遠隔操作するときに実行される。前記遠隔操作方法は、前記端末を所持したユーザが前記利用対象物から規定量離れたか否かを判断することと、前記利用対象物で操作された操作物が元の状態に戻されたか否かを判断することと、ユーザが前記利用対象物から規定量離れていると判断され、かつ、前記操作物を元の状態に戻す戻し操作が実行されていないと判断されている場合、前記端末のディスプレイに、前記戻し操作を実行するための操作画面を表示させることと、前記操作画面で前記戻し操作が実行された場合、前記端末から戻し操作要求を近距離無線通信によって前記認証装置に送信して、前記操作物を利用前の元の状態に戻すこととを、前記遠隔操作を制御する遠隔操作システムに実行させる。
【0007】
前記課題を解決する遠隔操作アプリケーションは、外部からデジタルキーを端末に登録することにより、利用対象物に設けられた認証装置と前記端末とを近距離無線通信によって認証可能として、前記端末を前記利用対象物のキーとして用いる遠隔操作システムに用いられるとともに、外部から前記端末にダウンロードされて使用される。前記遠隔操作アプリケーションは、前記端末を所持したユーザが前記利用対象物から規定量離れていると判断されていること、及び、前記利用対象物で操作された操作物が元の状態に戻されていないと判断されていること、を認識する前記利用対象物から、前記操作物の戻し操作のし忘れを通知する操作忘れ通知が送信された場合に、前記操作忘れ通知を前記端末で受信することと、前記操作忘れ通知を前記端末で受信した場合に、前記端末のディスプレイに、前記戻し操作を実行するための操作画面を表示することと、前記操作画面で前記戻し操作が実行された場合、前記端末から戻し操作要求を近距離無線通信によって前記認証装置に送信することとを、前記端末のコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、操作忘れ回避と高い利便性とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態の遠隔操作システム(デジタルキーシステム)の構成図である。
図2】端末の認証の手順図である。
図3】ディスプレイの操作画面を示す画面図である。
図4】ディスプレイの操作画面を示す画面図である。
図5】ドアを施錠し忘れてユーザが車両から離れる様子を示す説明図である。
図6】認証装置から操作忘れ通知が端末に送信されるときの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態を説明する。
[デジタルキーシステム1の全体構成]
図1に示すように、ユーザの利用対象物2は、ユーザが所持する端末3を無線通信によって認証するデジタルキーシステム1を備えている。デジタルキーシステム1は、例えば、端末3に外部(例えば、サーバなど)からデジタルキーDkを登録することにより、端末3を利用対象物2のキーとして使用する。端末3は、例えば、高機能携帯電話等のモバイル端末であることが好ましい。
【0011】
利用対象物2は、例えば、車両4である。車両4は、電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、ガソリン車、燃料電池車、水素自動車のいずれでもよい。車両4は、ユーザが所持する個人車両、又は、複数人の間で共用されるシェアリングカーのいずれでもよい。
【0012】
デジタルキーDkは、例えば、使用が1度のみ、或いは、一定期間のみ許可されたワンタイムキーである。デジタルキーDkは、例えば、サーバからのダウンロード、マスターキーからの無線による取得、コード情報の画像読み取りなどの各種方式によって、端末3にダウンロードされる。デジタルキーDkは、市場において外部から端末3にダウンロードされてもよいし、出荷時に予め書き込まれていてもよい。
【0013】
デジタルキーシステム1は、利用対象物2及び端末3の間の通信に近距離無線通信が使用される。近距離無線通信は、PAN(Personal Area Network:パーソナルエリアネットワーク)通信、又は、短距離無線通信のいずれでもよい。パーソナルエリアネットワーク通信には、例えばブルートゥース(Bluetooth:登録商標)通信、UWB(Ultra Wide Band)通信、Wi-Fi(登録商標)通信などがある。また、ブルートゥース通信は、BLE(Bluetooth Low Energy)である。短距離無線通信は、RFID(Radio Frequency Identification)、NFC(Near Field Communication)などがある。
【0014】
デジタルキーシステム1は、近距離無線通信による端末3の認証を実行する認証装置7を備えている。認証装置7は、近距離無線通信を実行する近距離無線モジュール8と、端末3を認証する認証部9と、端末3の位置を判定する位置判定部10とを有する。認証部9は、端末3に登録されたデジタルキーDkの認証を、近距離無線通信によって実行する。本例の場合、認証部9は、近距離無線モジュール8を介して端末3と近距離無線通信を実行することにより、端末3に登録されたデジタルキーDkを認証する。
【0015】
位置判定部10は、近距離無線通信の電波で測定された特性値Ktに基づき、利用対象物2と端末3との間の位置関係を判定する。特性値Ktは、例えば、近距離無線で通信される電波の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)である。受信信号強度を測定する電波は、端末3で受信する電波、認証装置7で受信する電波のいずれでもよい。例えば、位置判定部10は、測定した受信信号強度と閾値とを比較することにより、利用対象物2に対する端末3の位置(車内/車外)を判定する。
【0016】
利用対象物2は、搭載装置13の作動を制御する制御装置14を備えている。制御装置14は、利用対象物2に設けられた通信線15を介して、複数の搭載装置13と接続されている。制御装置14は、例えば、認証装置7の認証結果に基づき、搭載装置13を制御する。利用対象物2が車両4の場合、搭載装置13は、例えば、ドア16の施解錠を切り替えるドアロック装置17、車両4に前後進の推進力を発生させる駆動力発生装置18、ハンドルの回転操作をロックするステアリングロック装置(図示略)などがある。
【0017】
ドア16は、ユーザによるドア16の施解錠操作を検出する操作検出部19を備えている。操作検出部19は、例えば、ドア16の車外ドアハンドルへのロック操作を検出するロック操作検出部と、ドア16の車外ドアハンドルへのアンロック操作を検出するアンロック操作検出部とを含む。操作検出部19は、例えば、タッチセンサである。操作検出部19は、検出した操作検出信号S1を制御装置14に出力する。制御装置14は、操作検出信号S1に基づき、ドアロック装置17を制御する。
【0018】
ドアロック装置17は、制御装置14からロック開始指示を入力すると、ロック動作を実行する。ドアロック装置17は、制御装置14からアンロック開始指示を入力すると、アンロック動作を実行する。ドアロック装置17は、ドア16が施錠及び解錠のいずれの状態にあるのかをドア施解錠検知部20によって判断する。ドア施解錠検知部20は、例えば、ドア16が施錠状態にあることを検知するロック状態検知部と、ドア16が解錠状態にあることを検知するアンロック状態検知部とを含む。これら検知部は、例えば、磁気式や光学式のセンサである。
【0019】
[端末3の構成]
図1に示す通り、端末3は、端末3の作動を制御する端末制御部21と、ネットワーク通信を実行するネットワーク通信モジュール22と、近距離無線通信を実行する近距離無線モジュール23と、情報表示を行うディスプレイ24と、データを記憶するメモリ25とを備えている。端末3は、デジタルキーDkをメモリ25に記憶する。ネットワーク通信は、例えば、インターネット通信であって、端末3をサーバ(図示略)と接続する通信である。ディスプレイ24は、例えば、タッチパネルである。
【0020】
[端末3の認証手順]
図2に示すように、ステップ101において、認証装置7は、自機の通信に係る情報を知らせるアドバタイズを、近距離無線モジュール8から周期的に繰り返し送信する。なお、アドバタイズは、例えば、パケットデータの一種であって、認証装置7から常時、定期的に送信されている。
【0021】
ステップ102において、端末3は、認証装置7から送信されるアドバタイズを受信すると、スキャン処理を実行する。なお、端末3は、例えば、アドバタイズを受信したときの受信信号強度が規定値以上となった場合に、スキャン処理を開始する。端末3は、スキャン処理後、近距離無線通信の詳細に係る提供の要求として、接続要求を認証装置7に送信する。
【0022】
ステップ103において、端末3及び認証装置7は、以上のやり取りを遂行すると、近距離無線通信が接続された状態、すなわち通信接続の状態に移行する。
ステップ104において、端末3及び認証装置7は、近距離無線通信が通信接続の状態に移行すると、端末3の認証を実行する。本例の場合、例えば、端末3は、認証装置7からの要求に応答して、自身に登録されているデジタルキーDkを、近距離無線通信によって認証装置7に送信する。
【0023】
認証装置7は、端末3からデジタルキーDkを受信すると、認証部9でデジタルキーDkの認証を実行する。本例の場合、認証部9は、デジタルキーDkを正しく復号できるなどして、デジタルキーDkの認証が成立に移行した場合、例えば、デジタルキーDkの有効期間、以降の近距離無線通信で使用するセッション鍵、端末3の固有のIDである端末IDなどを取得することができる。一方、認証部9は、デジタルキーDkが正しくない、或いは、デジタルキーDkの有効期間が正しくなければ、処理を強制終了することにより、利用対象物2の使用を許可しない。
【0024】
ステップ105において、端末3及び認証装置7は、デジタルキーDkが認証された場合、認証成立を認識した認証完了状態となる。認証完了状態とは、端末3及び認証装置7の双方が互いに共通のセッション鍵や端末IDを知る状態をいう。これにより、利用対象物2の利用、具体的には、車両4のドア16の施解錠操作、ステアリングロック装置の解錠、車両電源の遷移操作などが可能となる。
【0025】
ステップ106において、端末3及び認証装置7は、認証完了状態に移行後、近距離無線通信の確立が維持されているか否かの確認の通信を実行する。本例の場合、端末3及び認証装置7の各々は、所定の周期の間隔(コネクションインターバル)で周期電波Stを送信し、その後、この周期電波Stに対する応答を受信できるか否かを確認することにより、通信確立が維持されているか否かを監視する。すなわち、端末3が所定の周期間隔で周期電波Stを送信し、その後、この周期電波Stに対する応答を受信できれば、通信確立が維持されていると判断する。そして、同様の処理を認証装置7も実行する。
【0026】
端末3は、自身が送信する周期電波Stに対する応答を認証装置7から受信できなくなると、通信を切断する。また、認証装置7は、自身が送信する周期電波Stに対する応答を端末3から受信できなくなると、通信を切断する。
【0027】
位置判定部10は、端末3及び認証装置7が近距離無線通信している際、端末3の位置判定を実行する。本例の場合、位置判定は、例えば、コネクションインターバルの周期通信の際に実行される。具体的には、コネクションインターバル間隔で通信された電波の受信信号強度が端末3及び認証装置7の一方で測定され、測定された受信信号強度が位置判定部10に通知される。位置判定部10は、取得した受信信号強度に基づき、端末3の位置を判定する。
【0028】
なお、位置判定は、例えば、電波が複数回送信されるのであれば、複数の受信信号強度から所定の演算値を求め、この演算値を基に位置判定を実行してもよい。この演算値は、例えば、平均値、加重平均、算術平均、相乗平均、調和平均など、種々のパラメータを用いてもよい。さらに、位置判定に用いる電波は、端末3及び認証装置7の間でやり取りされる電波であれば、どのタイミングで送信される電波を使用してもよい。また、利用対象物2に近距離無線モジュール8を複数設けることにより、近距離無線モジュール8ごとに測定される受信信号強度を用いて位置判定を実施してもよい。
【0029】
認証装置7は、認証完了状態となった端末3が室外に位置すると位置判定部10によって判定されている場合、室外認証を成立とし、ドア16の施解錠を許可する。よって、ロック操作やアンロック操作が実行された場合には、ドア16の施解錠が切り替わる。なお、ロック操作は、車外ドアハンドルに対してロック操作を実行すること、端末3でロック操作を実行することのいずれでもよい。また、アンロック操作は、車外ドアハンドルに対してアンロック操作を実行すること、端末3でアンロック操作を実行することのいずれでもよい。
【0030】
一方、認証装置7は、認証完了状態となった端末3が室内に位置すると位置判定部10によって判定されている場合、室内認証を成立とし、電源遷移操作を許可する。よって、室内の電源遷移操作用のスイッチ部26を操作することにより、利用対象物2(車両4)の電源状態の切り替えが可能となる。また、ブレーキペダルを踏み込みながらスイッチ部26が操作されると、駆動力発生装置18が駆動する。
【0031】
[操作忘れ防止機能の構成]
図1に示す通り、利用対象物2は、利用対象物2において操作された操作物29の元の状態への戻し忘れを防止する操作忘れ防止機能(遠隔操作システム30)を備えている。本例の場合、操作物29は、例えば、室内外を有する利用対象物2に設けられたドア16である。また、戻し操作のし忘れは、例えば、ドア16の施錠操作のし忘れである。
【0032】
端末3のメモリ25には、端末3で操作物29を遠隔操作するための遠隔操作アプリケーション31が記憶されている。遠隔操作アプリケーション31は、例えば、サーバからダウンロードされる。また、遠隔操作アプリケーション31は、デジタルキーDkをダウンロードするときに、デジタルキーDkとともに端末3に登録されてもよい。
【0033】
遠隔操作システム30は、端末3を所持したユーザが利用対象物2から規定量離れたか否かを判断する第1判断部33を備えている。第1判断部33は、例えば、認証装置7に設けられている。第1判断部33は、例えば、位置判定部10の判定結果に基づき、ユーザが利用対象物2から規定量離れたか否かを判断する。具体的には、利用対象物2に対する端末3の位置を電波の受信信号強度から判定する。そして、端末3の位置をユーザの位置とみなすことにより、ユーザが利用対象物2から規定量離れたか否かが判断される。
【0034】
遠隔操作システム30は、利用対象物2で操作された操作物29が元の状態に戻されたか否かを判断する第2判断部34を備えている。第2判断部34は、例えば、認証装置7に設けられている。第2判断部34は、例えば、解錠操作されたドア16の施錠操作忘れの有無を判断する。この場合、第2判断部34は、ドア16の施解錠状態を検知するドア施解錠検知部20から入力する検知信号S2に基づき、ドア16の施錠忘れを監視する。
【0035】
遠隔操作システム30は、操作物29で操作忘れがあった場合に、戻し操作を実行するための操作画面35を端末3に表示させる表示処理部36を備えている。表示処理部36は、例えば、認証装置7に設けられている。表示処理部36は、ユーザが利用対象物2から規定量離れていると判断され、かつ、操作物29の戻し操作の操作忘れが検出されている場合に、端末3のディスプレイ24に操作画面35を表示させる。
【0036】
表示処理部36は、端末3に操作画面35を表示させる場合、戻し操作の操作忘れを通知する操作忘れ通知Saを端末3に送信する。操作忘れ通知Saは、例えば、操作画面35の表示を要求するコマンドと、送信先の端末3の端末IDとを含む。操作忘れ通知Saは、例えば、近距離無線通信を介して、近距離無線モジュール8から端末3に送信される。端末3が操作忘れ通知Saを受信した場合、遠隔操作アプリケーション31は、ディスプレイ24への操作画面35の表示を実行する。
【0037】
図3及び図4に、端末3に表示される操作画面35の画面図を図示する。図3に示す通り、操作画面35は、ドア16の施解錠を切り替えるときに操作するタッチ操作式の操作ボタン39を有する。操作ボタン39は、ドア16の施錠が忘れられているとき、「解錠表示」で表示される。
【0038】
図4に示す通り、画面上の操作ボタン39がタッチ操作されると、端末3は、操作物29の戻し操作の実行を要求する戻し操作要求Sbを、近距離無線通信によって認証装置7に送信する。すなわち、端末3は、操作画面35で戻し操作が実行された場合、戻し操作要求Sbを近距離無線通信によって認証装置7に送信する。戻し操作要求Sbは、例えば、ドア16を施錠に切り替えることを要求するドア施錠要求Sb1である。端末3から戻し操作要求Sbが送信された場合、操作画面35の操作ボタン39は、「施錠表示」に切り替えられる。
【0039】
図1に示す通り、認証装置7が戻し操作要求Sbを受信すると、制御装置14は、戻し操作要求Sbに基づき、操作物29を利用前の元の状態に戻す。具体的には、制御装置14は、戻し操作要求Sbがドア施錠要求Sb1の場合、ドア16を施錠に切り替える指令をドアロック装置17に出力することにより、ドア16を施錠状態にする。
【0040】
[作用]
次に、本実施形態の遠隔操作システム30(遠隔操作方法、遠隔操作アプリケーション31)の作用について説明する。
【0041】
図5に示すように、ユーザが車両4から降車した後、ドア16を解錠状態としたまま車両4から離れたとする。ところで、位置判定部10は、端末3及び認証装置7の近距離無線通信を通じて、端末3の位置を常時監視する。すなわち、位置判定部10は、端末3及び認証装置7の近距離無線通信が通信接続の状態にあれば、端末3の位置を監視する動作を常時実行する。
【0042】
第1判断部33は、位置判定部10の判定結果に基づき、端末3を所持したユーザが利用対象物2から規定量離れたか否かを判断する。本例の第1判断部33は、端末3が室内に存在しないこと、及び、近距離無線通信の電波で測定される受信信号強度が所定値以下となることを検出した場合に、端末3を所持したユーザが利用対象物2から規定量離れたと判断する。
【0043】
また、第2判断部34は、車両4で操作物29が操作された後、この操作物29が元の状態に戻されたか否かを判断する。操作物29がドア16の場合、第2判断部34は、解錠操作されたドア16が施錠状態に戻されたか否かを判断する。第2判断部34は、例えば、ドア施解錠検知部20から入力する検知信号S2に基づき、ドア16が施錠状態に戻されたか否かを監視する。
【0044】
図6に示すように、表示処理部36は、端末3が車両4から規定量離れ、かつ、操作物29を元の状態へ戻し忘れていると判断されている場合、近距離無線通信によって操作忘れ通知Saを端末3に送信する。すなわち、表示処理部36は、ユーザが車両4から離れたと推定され、かつ、ドア16がアンロック状態と判定されているとき、操作忘れ通知Saを近距離無線モジュール8から端末3に送信する。
【0045】
図3に示す通り、端末3は、操作忘れ通知Saを受信すると、戻し操作を行うための操作画面35を表示する。操作画面35は、例えば、端末3のディスプレイ24に自動で立ち上がる。操作画面35に表示された操作ボタン39は、現状のドア16の施解錠の状態を示す絵柄で表示される。図3の場合、現状のドア16が施錠状態であるので、操作ボタン39は、「解錠表示」で表示される。
【0046】
なお、端末3は、操作忘れ通知Saを受信してディスプレイ24に操作画面35を表示するとき、例えば、振動又は音の少なくとも一方を出力することによって、操作忘れがあったことをユーザに通知してもよい。すなわち、端末3が操作忘れ通知Saを受信したとき、振動や音で操作忘れを通知しつつ、ディスプレイ24に操作画面35を表示するようにしてもよい。
【0047】
図4に示す通り、端末3は、操作画面35において解錠表示の操作ボタン39がタッチ操作されると、戻し操作要求Sbとしてドア施錠要求Sb1を、近距離無線通信によって認証装置7に送信する。認証装置7は、受信したドア施錠要求Sb1を、制御装置14に転送する。制御装置14は、取得したドア施錠要求Sb1に基づき、ドアロック装置17に施錠動作を実行させる。よって、降車時には施錠し忘れたドア16を、施錠状態に戻しておくことが可能となる。
【0048】
[実施形態の効果]
上記実施形態の遠隔操作システム30(遠隔操作方法、遠隔操作アプリケーション31)によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0049】
(1)遠隔操作システム30は、外部からデジタルキーDkを端末3に登録することにより、利用対象物2に設けられた認証装置7と端末3とを近距離無線通信によって認証可能として、端末3を利用対象物2のキーとして用いる。遠隔操作システム30は、第1判断部33、第2判断部34、及び表示処理部36を備えている。第1判断部33は、端末3を所持したユーザが利用対象物2から規定量離れたか否かを判断する。第2判断部34は、利用対象物2で操作された操作物29が元の状態に戻されたか否かを判断する。表示処理部36は、ユーザが利用対象物2から規定量離れていると第1判断部33で判断され、かつ、操作物29を元の状態に戻す戻し操作が実行されていないと第2判断部34で判断されている場合、端末3のディスプレイ24に、戻し操作を実行するための操作画面35を表示させる。操作画面35で戻し操作が実行された場合、端末3から戻し操作要求Sbを近距離無線通信によって認証装置7に送信して、操作物29を利用前の元の状態に戻す。
【0050】
本例の構成によれば、ユーザが利用対象物2から規定量離れ、かつ、利用対象物2の操作物29が操作忘れの状態にあると判断された場合に、操作物29を戻し操作するための操作画面35を端末3のディスプレイ24に表示する。そして、操作画面35において戻し操作が実行された場合、端末3からの遠隔操作によって操作物29が利用前の元の状態に戻される。このため、操作物29の操作忘れがあった場合、端末3の操作画面35の表示によって、操作忘れをユーザに気付かせることが可能となる。また、操作物29を利用前の元の状態に戻すには、操作画面35を操作する必要があるため、戻し操作がユーザの意思に沿ったものとなる。以上により、操作忘れ回避と高い利便性とを両立できる。
【0051】
(2)遠隔操作システム30は、近距離無線通信の電波で測定された特性値Ktに基づき利用対象物2と端末3との間の位置関係を判定する位置判定部10を備えている。第1判断部33は、位置判定部10の判定結果に基づき、ユーザが利用対象物2から規定量離れたか否かを判断する。この構成によれば、近距離無線通信の電波から測定される特性値Ktを用いることにより、利用対象物2及び端末3の位置関係を精度よく判定することができる。
【0052】
(3)表示処理部36は、ユーザが利用対象物2から規定量離れていると判断され、かつ、戻し操作の操作忘れが検出されている場合に、操作忘れを通知する操作忘れ通知Saを端末3に送信する。端末3は、操作忘れ通知Saを受信すると、操作画面35をディスプレイ24に表示可能になるとともに、振動又は音の少なくとも一方を出力することによって、操作忘れがあったことをユーザに通知する。この構成によれば、操作忘れがあったことを、端末3の振動や音によってユーザに通知する。よって、操作忘れがあったことをユーザが気付き易くなる。
【0053】
(4)利用対象物2は、室内外を有する。操作物29は、ドア16である。戻し操作のし忘れは、ドア16の施錠操作のし忘れである。戻し操作要求Sbは、ドア16を施錠に切り替えることを要求するドア施錠要求Sb1である。この構成によれば、ドア16の施錠忘れを生じ難くできる。また、ドア16を解錠状態のまま放置させずに済むので、防犯性もよくなる。
【0054】
[他の実施形態]
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0055】
・特性値Ktは、受信信号強度に限定されず、例えば、GPSで測定したデータなど、他の値を使用してもよい。
・ユーザ(端末3)が利用対象物2から規定量離れたか否かを判定する方式は、電波の受信信号強度を用いた方式に限定されない。例えば、カメラでユーザを撮影し、そして、その撮影データに基づき位置判定を実行してもよい。
【0056】
・操作画面35は、例えば、施錠用と解錠用とで各々操作ボタン39が表示されてもよい。
・操作画面35は、ディスプレイ24に自動表示されることに限定されない。例えば、端末3が操作忘れ通知Saを受信したとき、「受信有り」の簡易メッセージのみを表示してもよい。そして、遠隔操作アプリケーション31の立ち上げにより、操作画面35がディスプレイ24に表示されてもよい。
【0057】
・操作画面35は、表示機能のみを有する液晶画面などでもよい。この場合、端末3に設けられた所定のメカスイッチを操作することにより、戻し操作要求Sbの送信を実行することが好ましい。
【0058】
・ドア施錠要求Sb1は、デジタルキーシステム1で端末3からドア施錠するときに使用される電波と同じものを用いることが好ましい。
・ドア16の操作忘れは、施錠忘れに限らず、例えば、半ドアでもよい。
【0059】
・操作物29は、ドア16に限定されず、例えば、車両4の窓、ルームライト、ハザードでもよい。
・デジタルキーシステム1は、利用対象物2に対し、後付けの機能としてもよい。
【0060】
・利用対象物2は、車両4に限定されず、他の機器や装置に変更してもよい。
・認証部9、位置判定部10、第1判断部33、第2判断部34、及び表示処理部36は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、[2]そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード、又は指令を格納している。メモリ(コンピュータ可読媒体)は、汎用、又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。或いは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
【0061】
・認証部9、位置判定部10、第1判断部33、第2判断部34、及び表示処理部36は、独立したプロセッサから構成されてもよいし、機能の一部分が共用のプロセッサから構築されてもよい。このように、認証部9、位置判定部10、第1判断部33、第2判断部34、及び表示処理部36は、独立した機能ブロックに限らず、1つの機能ブロックから構成されてもよいし、一部分が共用された機能ブロックから構成されてもよい。
【0062】
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0063】
2…利用対象物、3…端末、7…認証装置、10…位置判定部、16…ドア、24…ディスプレイ、30…遠隔操作システム、31…遠隔操作アプリケーション、33…第1判断部、34…第2判断部、35…操作画面、36…表示処理部、Dk…デジタルキー、Kt…特性値、Sa…操作忘れ通知、Sb…戻し操作要求、Sb1…ドア施錠要求。
図1
図2
図3
図4
図5
図6