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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123143
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
H05K1/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027028
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(74)【代理人】
【識別番号】100195659
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 憲三
(72)【発明者】
【氏名】西村 充
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 康行
(72)【発明者】
【氏名】高木 桂二
(72)【発明者】
【氏名】服部 晃佳
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA02
5E338AA15
5E338AA18
5E338BB05
5E338BB12
5E338BB75
5E338CD24
5E338CD32
5E338EE02
(57)【要約】
【課題】電子部品から発生した熱を効率よく放熱できる配線基板を提供する。
【解決手段】配線基板であって、電子部品が搭載される絶縁基板と、絶縁基板のうち電子部品の側の面である第1面に配置され、電子部品と接続する第1配線と、絶縁基板のうち第1面とは反対側の面である第2面に配置された第2配線と、を備え、絶縁基板には、第2面に非貫通ビアが形成されており、非貫通ビアの少なくとも一部は、絶縁基板よりも熱伝導率の高い材料によって構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板であって、
電子部品が搭載される絶縁基板と、
前記絶縁基板のうち前記電子部品の側の面である第1面に配置され、前記電子部品と接続する第1配線と、
前記絶縁基板のうち前記第1面とは反対側の面である第2面に配置された第2配線と、を備え、
前記絶縁基板には、前記第2面に非貫通ビアが形成されており、
前記非貫通ビアの少なくとも一部は、前記絶縁基板よりも熱伝導率の高い材料によって構成されていることを特徴とする、配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記非貫通ビアは、前記第2面のうち前記第2配線が配置された部分に形成されている、配線基板。
【請求項3】
請求項2に記載の配線基板であって、
前記非貫通ビアは、前記第2配線が配置された部分のうち前記第2配線の幅方向における中央位置より前記絶縁基板の中央側に寄った位置に形成されている、配線基板。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の配線基板であって、
前記非貫通ビアの最大幅は、前記非貫通ビアの上に位置する前記第2配線の最小幅以下であることを特徴とする、配線基板。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配線基板であって、
前記第2面から前記非貫通ビアの底面までの長さは、前記非貫通ビアが形成された部分における前記第1面から前記第2面までの距離の3分の2以下の長さであることを特徴とする、配線基板。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の配線基板であって、
前記非貫通ビアの側面と接続する配線が存在しないことを特徴とする、配線基板。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の配線基板であって、
前記非貫通ビアの底面と接続する配線が存在しないことを特徴とする、配線基板。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の配線基板であって、
前記第1面に対向非貫通ビアが形成されており、
前記対向非貫通ビアの少なくとも一部は、前記絶縁基板よりも熱伝導率の高い材料によって構成されていることを特徴とする、配線基板。
【請求項9】
請求項8に記載の配線基板であって、
前記対向非貫通ビアには、前記第1面のうち、前記第1面から前記第2面を透過視したときに前記第2配線が配置されておらず、かつ、前記第1配線が配置された部分に形成されている前記対向非貫通ビアが含まれていることを特徴とする、配線基板。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の配線基板であって、
前記対向非貫通ビアには、前記第1面から前記第2面を透過視したときに、少なくとも一部が前記非貫通ビアと重なる位置に形成されている前記対向非貫通ビアが含まれていることを特徴とする、配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体や発光素子等の電子部品が搭載される配線基板を含む装置において、配線基板に搭載される電子部品の特性に応じた種々の構造が検討されている。例えば、特許文献1に開示されたセラミック基板を含む発光装置では、セラミック基板に搭載される発光素子による発光の輝度低下を抑制するために、入射する光を発光観測面方向に反射する光反射部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-111937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、配線基板への搭載が想定される電子部品では、その電子部品の稼働に応じて熱が発生する。そのため、配線基板においては、電子部品の特性に応じた構造の他に、放熱効率を考慮した構造についても検討されている。ここで、配線基板のうち電子部品が搭載される側の面である第1面と、第1面とは反対側の面である第2面と、の各々の面に、配線が配置された構造における放熱について考える。このような構造では、電子部品において発生した熱は、主に、第1面側の配線から配線基板を介して第2面側の配線へと伝達される。しかしながら、このような構造における放熱効率については、これまで十分に検討されておらず、電子部品から発生した熱を効率よく放熱できる配線基板の開発が望まれていた。
【0005】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、電子部品から発生した熱を効率よく放熱できる配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現できる。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、配線基板が提供される。この配線基板は、電子部品が搭載される絶縁基板と、前記絶縁基板のうち前記電子部品の側の面である第1面に配置され、前記電子部品と接続する第1配線と、前記絶縁基板のうち前記第1面とは反対側の面である第2面に配置された第2配線と、を備え、前記絶縁基板には、前記第2面に非貫通ビアが形成されており、前記非貫通ビアの少なくとも一部は、前記絶縁基板よりも熱伝導率の高い材料によって構成されている。
【0008】
この構成によれば、絶縁基板における第2面には、少なくとも一部が絶縁基板よりも熱伝導率の高い材料により構成された非貫通ビアが形成されている。このため、電子部品から発生した熱の少なくとも一部は、絶縁基板に伝達されたのち非貫通ビアを介して第2面側へと伝達されることから、電子部品から発生した熱を効率よく放熱することができる。また、第2面に形成された非貫通ビアは、絶縁基板を貫通して第1面にまで達していないため、電子部品が搭載される第1面の平坦度は、非貫通ビアの形成により損なわれないことから、第1面の平坦度を維持することができる。
【0009】
(2)上記態様の配線基板において、前記非貫通ビアは、前記第2面のうち前記第2配線が配置された部分に形成されていてもよい。
この構成によれば、電子部品から発生した熱の少なくとも一部は、非貫通ビアに伝達されたのち第2配線に伝達される。一般的に、配線は、電気伝導率が高い材料によって構成されており、そのような材料は熱伝導率も高い。したがって、この構成によれば、電子部品から発生した熱を一層効率よく放熱することができる。
【0010】
(3)上記態様の配線基板において、前記非貫通ビアは、前記第2配線が配置された部分のうち前記第2配線の幅方向における中央位置より前記絶縁基板の中央側に寄った位置に形成されていてもよい。
この構成によれば、電子部品において絶縁基板の中央と対向する位置付近に発熱が集中しやすい場合、そのような位置に寄るように非貫通ビアが配置されていることになる。したがって、そのような位置から発生した熱を効率よく放熱することができる。
【0011】
(4)上記態様の配線基板において、前記非貫通ビアの最大幅は、前記非貫通ビアの上に位置する前記第2配線の最小幅以下であってもよい。
この構成によれば、第2配線の最小幅は、他の部材との絶縁性が確保されるように設計されていることから、この最小幅より小さい最大幅を有する非貫通ビアについても他の部材との絶縁性を確保することができる。
【0012】
(5)上記態様の配線基板において、前記第2面から前記非貫通ビアの底面までの長さは、前記非貫通ビアが形成された部分における前記第1面から前記第2面までの長さの3分の2以下の長さであってもよい。
この構成によれば、絶縁基板の剛性を維持しつつ、第2面から前記非貫通ビアの底面までの長さについて、ある程度の長さを確保することができる。
【0013】
(6)上記態様の配線基板において、前記非貫通ビアの側面と接続する配線が存在しなくてもよい。
この構成によれば、非貫通ビアの側面と接続する配線が存在しないため、配線から生じた熱が非貫通ビアに集中してしまうことを抑制できる。したがって、局所的な発熱を避けながら、非貫通ビアにおいて絶縁基板から伝達された熱を第2面の側に向かって効率よく伝達することができる。
【0014】
(7)上記態様の配線基板において、前記非貫通ビアの底面と接続する配線が存在しなくてもよい。
この構成によれば、非貫通ビアと第2配線との間での絶縁性を確保しやすくすることができる。非貫通ビアの底面と接続する配線が存在する場合、配線は第1面もしくは第2面と略平行に引き回される傾向にある。そのため、非貫通ビアの底面と接続する配線と第2配線との距離が小さいため絶縁性が確保できない可能性がある。また、非貫通ビアの側面と接続する配線及び底面と接続する配線のいずれもが存在しない場合には、非貫通ビアは導電機能を担っていないことから、非貫通ビアを構成する材料に関して電気伝導率を考慮せずに熱伝導率のみを考慮した材料を選択することができる。
【0015】
(8)上記態様の配線基板において、前記第1面に対向非貫通ビアが形成されており、前記対向非貫通ビアの少なくとも一部は、前記絶縁基板よりも熱伝導率の高い材料によって構成されていてもよい。
この構成によれば、電子部品から発生した熱の少なくとも一部は、対向非貫通ビアを介して絶縁基板に伝達されたのち第2面側へと伝達されることから、電子部品から発生した熱を効率よく放熱することができる。
【0016】
(9)上記態様の配線基板において、前記対向非貫通ビアには、前記第1面のうち、前記第1面から前記第2面を透過視したときに前記第2配線が配置されておらず、かつ、前記第1配線が配置された部分に形成されている前記対向非貫通ビアが含まれていてもよい。
この構成によれば、加工ばらつきにより対向非貫通ビアの深さ(第1面から対向非貫通ビアの底面までの長さ)が変動して予め設定された深さよりも深くなってしまったとしても、対向非貫通ビアの底面に対向する第2面の部分には第2配線が配置されていないことから、対向非貫通ビアと第2配線との間での絶縁性を確保することができる。
【0017】
(10)上記態様の配線基板において、前記対向非貫通ビアには、前記第1面から前記第2面を透過視したときに、少なくとも一部が前記非貫通ビアと重なる位置に形成されている前記対向非貫通ビアが含まれていてもよい。
この構成によれば、電子部品から発生した熱の少なくとも一部は、対向非貫通ビアを介して絶縁基板に伝達されたのち非貫通ビアに伝達されやすいことから、電子部品から発生した熱を効率よく放熱することができる。
【0018】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、絶縁基板、配線基板、半導体用配線基板、およびこれらを備える部品、絶縁基板の製造方法、配線基板の製造方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態の配線基板の断面構成を模式的に示す説明図である。
図2】配線基板の平面図である。
図3】配線基板の製造方法のフローチャートである。
図4】配線基板の製造工程を示した説明図である。
図5】第2実施形態の配線基板の断面構成を模式的に示す説明図である。
図6】第3実施形態の配線基板の断面構成を模式的に示す説明図である。
図7】第4実施形態の配線基板の断面構成を模式的に示す説明図である。
図8】第5実施形態の配線基板の断面構成を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1は、本発明の一実施形態の配線基板1の断面構成を模式的に示す説明図である。図1には、方向を特定するために、互いに直交するXYZ軸が示されている。図2は、配線基板1の平面図である。図2におけるF1-F1線における断面図が図1にあたる。配線基板1は、電子部品として、半導体チップSCが搭載される配線基板である。配線基板1は、第1絶縁基板10を備える。また、配線基板1は、第1絶縁基板10から見て半導体チップSCが搭載される側(図1では+Z軸方向側)に、第1配線12と、拡散防止層14と、導電性被膜16と、バンプ18と、を備える。また、配線基板1は、第1絶縁基板10から見て半導体チップSCが搭載される側とは反対側(図1では-Z軸方向側)に、第2配線22と、拡散防止層24と、導電性被膜26と、半田29と、第2絶縁基板30と、を備える。
【0021】
第1絶縁基板10は、Al23を含む絶縁材料によって形成されたセラミック基板である。また、第1絶縁基板10は、絶縁性を有する限り、金属板の表面に絶縁膜が塗布された基板であってもよい。第1絶縁基板10のうち半導体チップSC側(図1では+Z軸方向側)の面である第1面10Fには、第1配線12が配置されている。配線基板1において、第1配線12を構成する材料は、Cuである。第1配線12には、半導体チップSCのX軸方向における各々の端部と電気的に接続する第1配線12Pと、半導体チップSCのX軸方向における中央部分と電気的に接続する第1配線12Nと、がある。図2において第1配線12は、導電性被膜16に覆われていることにより本来視認できないため、破線にて示されている。
【0022】
拡散防止層14は、第1配線12と後述する導電性被膜16との間に配置され、第1配線12と導電性被膜16との間において金属原子が拡散により相互移動するのを防止する。拡散防止層14を構成する材料としては、例えば、Ni、Pd、Tiやこれら金属の化合物が挙げられる。導電性被膜16は、拡散防止層14を覆う導電性の膜である。配線基板1において、導電性被膜16を構成する材料は、Auである。バンプ18は、導電性被膜16と半導体チップSCとを接続している。図1では、バンプ18のうち半導体チップSCと接触している側の部分は、半導体チップSCの表面に沿って広がっている。配線基板1において、バンプ18を構成する材料は、導電性被膜16と同様に、Auである。
【0023】
一方、第1絶縁基板10のうち第1面10Fとは反対側(図1では-Z軸方向側)の面である第2面10Bには、第2配線22が配置されている。配線基板1において、第2配線22を構成する材料は、第1配線12と同様に、Cuである。図1において、-X軸方向側に配置された第2配線22を第2配線22Lと呼び、+X軸方向側に配置された第2配線22を第2配線22Rと呼ぶ。
【0024】
拡散防止層24は、第2配線22と後述する導電性被膜26との間に配置されている点を除いて、上述した拡散防止層14と同様である。導電性被膜26は、上述した導電性被膜16と同様に、拡散防止層24を覆う導電性の膜である。半田29は、導電性被膜26と後述する第2絶縁基板30とを接続している。第2絶縁基板30は、第1絶縁基板10と同様の基板である。
【0025】
図2に図示された白抜き矢印は、通電経路を示している。図2に示されるように、第1絶縁基板10には、貫通ビアPV1,PV2が形成されている。貫通ビアPV1は、第2配線22L(図1に図示)と第1配線12Pとを接続している。貫通ビアPV2は、第2配線22R(図1に図示)と第1配線12Nとを接続している。通電時には、第2配線22Lから貫通ビアPV1を介して第1配線12Pに流れた電流は、半導体チップSCを通ったのち、第1配線12Nから貫通ビアPV2を経由して第2配線22Rに流れる。
【0026】
図1に示されるように、第1絶縁基板10には、第2面10Bに非貫通ビアNVが形成されている。非貫通ビアNVは、第1絶縁基板10よりも熱伝導性の高い材料によって構成されている。また、非貫通ビアNVは、第2面10Bのうち第2配線22が配置された部分に形成されている。詳細には、非貫通ビアNVは、第2配線22が配置された部分のうち第2配線22の幅方向(図1ではX軸方向)における中央位置より第1絶縁基板10の中央側に寄った位置に形成されている。非貫通ビアNVは、第1絶縁基板10上に窪み部を形成したのち、その窪み部を熱伝導性の高い材料で埋めることによって形成されている(詳細は図3,4にて説明)。配線基板1においては、非貫通ビアNVは、Cuによって構成されていることから、第2配線22を構成する材料と、非貫通ビアNVを構成する材料は同じである。図1,2において、-X軸方向側に配置された非貫通ビアNVを非貫通ビアNVLと呼び、+X軸方向側に配置された非貫通ビアNVを非貫通ビアNVRと呼ぶ。図2において本来視認できない非貫通ビアNVL,NVRは破線にて示されている。
【0027】
図1,2において、幅L1は、非貫通ビアNVの任意のXZ断面における幅(X軸方向に沿った長さ)を示している。幅L2は、非貫通ビアNVの上に配置された第2配線22の任意の位置における幅(X軸方向に沿った長さ)を示している。図1,2では、幅L1の最大幅と、幅L2の最大幅をそれぞれ図示している。ここで、非貫通ビアNVの幅L1の最大幅は、非貫通ビアNVの上に位置する第2配線22の幅L2の最小幅以下である。配線基板1においては、非貫通ビアNVの幅は一定であるとともに、非貫通ビアNVの上に位置する第2配線22の幅も一定であることから(図2参照)、幅L1は幅L2以下であるともいえる。
【0028】
配線基板1において、第2面10Bから非貫通ビアNVの底面BMまでの長さ(図1ではZ軸方向に沿った長さ)は、非貫通ビアNVが形成された部分における第1面10Fから第2面10Bまでの長さの3分の2以下の長さである。本実施形態においては、第2面10Bから非貫通ビアNVの底面BMまでの長さは、非貫通ビアNVが形成された部分における第1面10Fから第2面10Bまでの長さの3分の1の長さである。
【0029】
また、配線基板1において、非貫通ビアNVの側面SDと接続する配線は存在しない。また、非貫通ビアNVの底面BMと接続する配線も存在しない。すなわち、非貫通ビアNVの側面SD及び底面BMから引き回される配線は存在せず、非貫通ビアNVには第2配線22及び第1絶縁基板10のみが接触している。
【0030】
図3は、配線基板1の製造方法のフローチャートである。図4(A)~(F)は、配線基板1の製造工程を示した説明図である。配線基板1の製造においては、図4(A)に示すように、まず初めに、絶縁基板10pが準備される(ステップS10)。絶縁基板10pは、第1絶縁基板10(図1,2)の基となる部材である。次に、図4(B)に示すように、絶縁基板10pに窪み部NVpが形成されたのち(ステップS20)、図4(C)に示すように、その窪み部NVpにCuペーストPsが充填される(ステップS30)。窪み部NVpは、非貫通ビアNV(図1,2)の基となる部材である。次に、図4(D)に示すように、固まったCuペーストPsのうち窪み部NVpからはみ出した部分を研磨により取り除いて非貫通ビアNVを形成したのち(ステップS40)、図4(E)に示すように、絶縁基板10pの第1面10F及び第2面10Bに、それぞれ第1配線12及び第2配線22を印刷する(ステップS50)。次に、図4(F)に示すように、第1配線12及び第2配線22の各々を、拡散防止層14,16、導電性被膜16,26で被覆する(ステップS60)。その後、第1面10Fでは、バンプ18を介して導電性被膜16と半導体チップSCとを接続し、第2面10Bでは、半田29を介して導電性被膜26と第2絶縁基板30とを接続することによって、配線基板1の製造方法は終了する。なお、上述した製造方法では、非貫通ビアNVの形成の際、窪み部NVpにCuペーストが充填されていたが、第2面10Bに対するめっき処理によって窪み部NVp内がCuで埋められてもよい。そのような場合、第2面10Bのうち窪み部NVp内を除いた部分からCuを除去したのち、ステップS50以降の工程を実行することにより、配線基板1を製造する。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の配線基板1によれば、第2面10Bには、第1絶縁基板10よりも熱伝導率の高い材料により構成された非貫通ビアNVが形成されている。このため、電子部品である半導体チップSCから発生した熱の少なくとも一部は、第1絶縁基板10に伝達されたのち非貫通ビアNVを介して第2面10B側へと伝達されることから、半導体チップSCから発生した熱を効率よく放熱することができる。このように、非貫通ビアNVが形成された第1絶縁基板10では、第1絶縁基板10の厚さを薄くしても、放熱効率を確保することもできる。また、第2面10Bに形成された非貫通ビアNVは、第1絶縁基板10を貫通して第1面10Fにまで達していないため、半導体チップSCが搭載される第1面10Fの平坦度は、非貫通ビアNVの形成により損なわれないことから、第1面10Fの平坦度を維持することができる。
【0032】
また、本実施形態の配線基板1では、非貫通ビアNVは、第2面10Bのうち第2配線22が配置された部分に形成されている。このため、配線基板1では、半導体チップSCから発生した熱の一部は、非貫通ビアNVに伝達されたのち第2配線22に伝達される。一般的に、配線は、電気伝導率が高い材料によって構成されており、そのような材料は熱伝導率も高い。したがって、配線基板1では、電子部品から発生した熱を一層効率よく放熱することができる。
【0033】
また、本実施形態の配線基板1では、非貫通ビアNVは、第2配線22が配置された部分のうち第2配線22の幅方向(図1ではX軸方向)における中央位置より第1絶縁基板10の(図1ではX軸方向における)中央側に寄った位置に形成されている。このため、半導体チップSCにおいて第1絶縁基板10の中央と対向する位置付近に発熱が集中しやすい場合、そのような位置に寄るように非貫通ビアNVが配置されていることになる。したがって、そのような位置から発生した熱を効率よく放熱することができる。
【0034】
また、本実施形態の配線基板1では、非貫通ビアNVの最大幅は、前記非貫通ビアの上に位置する前記第2配線の最小幅以下である。このため、第2配線22の最小幅は、他の部材との絶縁性が確保されるように設計されていることから、この最小幅より小さい最大幅を有する非貫通ビアNVについても他の部材との絶縁性を確保することができる。
【0035】
また、本実施形態の配線基板1では、第1面10Fから非貫通ビアNVの底面BMまでの長さは、非貫通ビアNVが形成された部分における第1面10Fから第2面10Bまでの長さの3分の2以下の長さである。このため、第1絶縁基板10の剛性を維持しつつ、第2面10Bから非貫通ビアNVの底面BMまでの長さについて、ある程度の長さを確保することができる。
【0036】
また、本実施形態の配線基板1では、非貫通ビアNVの側面SDと接続する配線が存在しない。このため、非貫通ビアNVの側面SDと接続する配線が存在しないため、配線から生じた熱が非貫通ビアNVに集中してしまうことを抑制できる。したがって、局所的な熱を避けながら、非貫通ビアNVにおいて第1絶縁基板10から伝達された熱を第2面10Bの側に向かって効率よく伝達することができる。
【0037】
また、本実施形態の配線基板1では、非貫通ビアNVの底面と接続する配線が存在しない。このため、非貫通ビアNVと第2配線22との絶縁性を確保することができる。非貫通ビアNVの底面BMと接続する配線が存在する場合、配線は第1面10Fもしくは第2面10Bと略平行に引き回される傾向にある。そのため、そのような配線が存在する場合、非貫通ビアNVの底面BMと接続する配線と第2配線22との距離が小さいため絶縁性が確保できない可能性が高い。また、非貫通ビアNVの側面SDと接続する配線及び底面BMと接続する配線のいずれもが存在しない場合には、非貫通ビアNVは導電機能を担っていないことから、非貫通ビアNVを構成する材料に関して電気伝導率を考慮せずに熱伝導率のみを考慮した材料を選択することができる。
【0038】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態の配線基板1aの断面構成を模式的に示す説明図である。第2実施形態の配線基板1aは、第1実施形態の配線基板1の構成に対して、さらに第1面10Fに対向非貫通ビアFVが形成されている点が、第1実施形態の配線基板1と異なる。
【0039】
第2実施形態において、対向非貫通ビアFVは、第1面10Fのうち、第1面10Fから第2面10Bを透過視したときに第2配線22が配置されておらず、かつ、第1配線12(12N)が配置された部分に形成されている。対向非貫通ビアFVは、非貫通ビアNVと同様、第1絶縁基板10上に窪み部を形成したのち、その窪み部を熱伝導性の高い材料で埋めることによって形成されている。対向非貫通ビアFVは、第1絶縁基板10よりも熱伝導率の高い材料によって構成されている。第2実施形態においては、対向非貫通ビアFVは、Cuによって構成されていることから、第1配線12を構成する材料と、対向非貫通ビアFVを構成する材料は同じである。
【0040】
以上のような第2実施形態の配線基板1aによれば、半導体チップSCから発生した熱の少なくとも一部は、対向非貫通ビアFVを介して第1絶縁基板10に伝達されたのち第2面10B側へと伝達されることから、半導体チップSCから発生した熱を効率よく放熱することができる。図5に示されるように、第2実施形態においては、第1絶縁基板10は、第1面10Fに対向非貫通ビアFVが形成されているとともに第2面10Bに非貫通ビアNVが形成されていることから、いずれか一方の非貫通ビアしか形成されていない形態と比べて、半導体チップSCから発生した熱を一層効率よく放熱することができる。
【0041】
また、第2実施形態の配線基板1aでは、第1面10Fから第2面10Bを透過視したときに第2配線22が配置されていない第1面10Fの部分に、対向非貫通ビアFVが形成されている。加工ばらつきにより対向非貫通ビアFVの深さ(第1面10Fから対向非貫通ビアFVの底面BTまでの長さ)が変動して予め設定された深さよりも深くなってしまったとしても、対向非貫通ビアFVの底面BTに対向する第2面10Bの部分には第2配線22が配置されていないことから、対向非貫通ビアFVと第2配線22との間での絶縁性を確保することができる。
【0042】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態の配線基板1bの断面構成を模式的に示す説明図である。第3実施形態の配線基板1bは、第1実施形態の配線基板1の構成に対して、さらに第1面10Fに対向非貫通ビアFL,FVRが形成されている点が、第1実施形態の配線基板1と異なる。
【0043】
対向非貫通ビアFVLは、第1配線12(12P)が配置された部分であって、かつ、第1面10Fから第2面10Bを透過視したときに、少なくとも一部が非貫通ビアNVLと重なる位置に形成されている。また、対向非貫通ビアFVRは、対向非貫通ビアFVLと同様に、第1配線12(12P)が配置された部分であって、かつ、第1面10Fから第2面10Bを透過視したときに、少なくとも一部が非貫通ビアNVRと重なる位置に形成されている。第3実施形態においては、対向非貫通ビアFVL,FVRは、それぞれ全体が非貫通ビアNVL,NVRと重なる位置に形成されている。また、第3実施形態においては、第1面10Fからの対向非貫通ビアFVLの深さと、第2面10Bからの非貫通ビアNVLの深さと、は略同じであるとともに、対向非貫通ビアFVLの幅と、非貫通ビアNVLの幅と、は略同じである。換言すれば、対向非貫通ビアFVLと非貫通ビアNVLとは、Z軸方向における長さ及びX軸方向における長さが略同じである。同様に、対向非貫通ビアFVRと非貫通ビアNVRとは、Z軸方向における長さ及びX軸方向における長さが略同じである。対向非貫通ビアFVL,FVRは、第2実施形態の対向非貫通ビアFVと同様に、第1絶縁基板10よりも熱伝導率の高い材料によって構成されている。
【0044】
以上のような第3実施形態の配線基板1bによっても、第2実施形態と同様に、半導体チップSCから発生した熱の少なくとも一部は、対向非貫通ビアFVL,FVRを介して第1絶縁基板10に伝達されたのち第2面10B側へと伝達されることから、半導体チップSCから発生した熱を効率よく放熱することができる。また、図6に示されるように、第3実施形態においては、対向非貫通ビアFVL,FVRは、それぞれ全体が非貫通ビアNVL,NVRと重なる位置に形成されている。このため、半導体チップSCから発生した熱の一部は、対向非貫通ビアFVL,FVRを介して第1絶縁基板10に伝達されたのち非貫通ビアNVL,NVRに伝達されやすいことから、半導体チップSCから発生した熱を効率よく放熱することができる。
【0045】
<第4実施形態>
図7は、第4実施形態の配線基板1cの断面構成を模式的に示す説明図である。第4実施形態の配線基板1cは、第3実施形態の配線基板1bと比べて、形成位置が異なる非貫通ビアNvL,NvRを備える点が異なる。
【0046】
第4実施形態においても、非貫通ビアNvL,NvRと対向非貫通ビアFVL,FVRとは、Z軸方向における長さ及びX軸方向における長さが略同じである。一方、第4実施形態においては、対向非貫通ビアFVL,FVRは、それぞれ一部が非貫通ビアNvL,NvRと重なる位置に形成されている。詳細には、第3実施形態(図6)の非貫通ビアNVL,NVRと比べて、第4実施形態では、非貫通ビアNvL,NvRが第1絶縁基板10の(X軸方向における)中央から離れた位置に形成されている。
【0047】
以上のような第4実施形態の配線基板1cによっても、第3実施形態と同様に、半導体チップSCから発生した熱を効率よく放熱することができる。また、非貫通ビアNvL,NvRが第1絶縁基板10の中央から離れた位置に形成されていることから、半導体チップSCから発生した熱を第1絶縁基板10の中央から離れた方向へ伝達しやすくすることができる。
【0048】
<第5実施形態>
図8は、第5実施形態の配線基板1dの断面構成を模式的に示す説明図である。第5実施形態の配線基板1dは、第3実施形態の配線基板1bと比べて、対向非貫通ビアFVL,FVRとは大きさの異なる対向非貫通ビアFvl,Fvrを備える点と、非貫通ビアNVL,NVRとは大きさの異なる非貫通ビアNvl,Nvrを備える点と、が異なる。
【0049】
第5実施形態においては、第1面10Fからの対向非貫通ビアFvlの深さは、第2面10Bからの非貫通ビアNvlの深さより浅いとともに、対向非貫通ビアFvlの幅は、非貫通ビアNvlの幅より小さい。換言すれば、対向非貫通ビアFvlは、非貫通ビアNVLと比べて、Z軸方向及びX軸方向におけるサイズが小さい。同様に、対向非貫通ビアFvrは、非貫通ビアNvrと比べて、Z軸方向及びX軸方向におけるサイズが小さい。以上のような第5実施形態の配線基板1dによっても、第3,4実施形態と同様に、半導体チップSCから発生した熱を効率よく放熱することができる。
【0050】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0051】
上記実施形態は、配線基板の一例であり、配線基板が備える構成については種々変形可能である。例えば、配線基板に搭載される電子部品は、半導体チップに限られず、LEDチップ等の発光素子であってもよいし、他の電子部品であってもよい。また、第1配線及び第2配線の配置は、図1,2に図示されたような配置でなくてもよい。また、第1絶縁基板及び第2絶縁基板を構成する材料は、Al23に限られず、AlN、SiN、SiCのうちいずれかを含んでいてもよい。また、第1絶縁基板を構成する材料と、第2絶縁基板を構成する材料とは、異なる材料であってもよい。
【0052】
上記実施形態では、非貫通ビアは、第2面のうち第2配線が配置された部分に形成されていたが、第2配線が配置されていない部分に形成されていてもよい。また、非貫通ビアを構成する材料は第2配線を構成する材料と同じであったが、第2配線を構成する材料とは異なる材料であってもよい。また、非貫通ビアは、第1絶縁基板よりも熱伝導性の高い材料によって構成されていたが、これに限られず、非貫通ビアの一部が第1絶縁基板よりも熱伝導性の高い材料によって構成されていてもよく、第1絶縁基板よりも熱伝導性の高い材料とは異なる材料が非貫通ビアに含まれていてもよい。また、非貫通ビアを構成する熱伝導性の高い材料は、Agであってもよいし、CuとAgとの両方を含んでいてもよいし、Cu及びAgとは異なる材料(例えば、W、Au、Mo等)を含んでいてもよいし、さらには、熱伝導性が高ければ金属材料でなくてもよく、固形にできる材料である限り、どのような種類の材料であってもよい。対向非貫通ビアを構成する材料についても、非貫通ビアと同様である。また、上記実施形態は、非貫通ビアの側面と接続する配線及び底面と接続する配線のいずれもが存在しない形態であったが、非貫通ビアの側面と底面とのうち少なくとも一方と接続する配線が存在してもよい。
【0053】
図5~8に図示されているように、対向非貫通ビアの最大幅は、対向非貫通ビアの上に位置する第1配線の最小幅以下である限り、任意の長さであってもよい。また、第1面から対向非貫通ビアの底面までの長さについては、対向非貫通ビアが形成された部分における第1面から第2面までの長さ(深さ)の3分の2以下の長さである限り、任意の長さであってもよいが、図6~8に図示されているように、対向非貫通ビアの少なくとも一部が非貫通ビアと重なる位置に形成されている場合には、絶縁基板の剛性を維持する観点から、非貫通ビアの深さを考慮して対向非貫通ビアの深さを設定すべきである。また、電子部品から発生した熱を効率よく放熱する観点からは、対向非貫通ビアの側面と接続する配線及び底面と接続する配線のいずれもが存在しない方が好ましいが、対向非貫通ビアの側面と底面とのうち少なくとも一方と接続する配線が存在してもよい。
【0054】
上記第1~5実施形態の配線基板1,1a~1dの構成及び上記変形例の各構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、上述の第3~5実施形態の配線基板1b~dにおいて、第1絶縁基板10に対向非貫通ビアFVが形成されていてもよい。
【0055】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0056】
1,1a~1d…配線基板
10…第1絶縁基板
10F…第1面
10B…第2面
12,12P,12N…第1配線
14…拡散防止層
16…導電性被膜
18…バンプ
22,22L,22R…第2配線
24…拡散防止層
26…導電性被膜
29…半田
30…第2絶縁基板
FV,FVL,FVR,Fvl,Fvr…対向非貫通ビア
NV,NVL,NVR,NvL,NvR,Nvl,Nvr…非貫通ビア
PV1,PV2…貫通ビア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8