(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123153
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】力覚センサの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01L 1/24 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
G01L1/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027043
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】田名網 克周
(72)【発明者】
【氏名】林 美由希
(72)【発明者】
【氏名】金森 義明
(72)【発明者】
【氏名】岡谷 泰佑
(57)【要約】
【課題】無加重時の第一基板と第二基板との間隔が一定となるように第一基板と第二基板との間の位置関係を保持できる力覚センサを製造する。
【解決手段】力覚センサの製造方法は、電磁波を透過する材料で構成され、周期的なパターンで配列された金属アレイを表面に有する第一基板と、電磁波を反射する金属層を表面に有する第二基板とを準備する工程と、第一基板の表面において金属アレイの周囲にスペーサ部材を形成する工程と、第一基板の表面においてスペーサ部材の周囲にスペーサ部材よりも薄い第一金属層を形成する工程と、第二基板において第一金属層と対応する領域にスペーサ部材より薄い第二金属層を形成する工程と、第一金属層と第二金属層とを融着し、第一基板の表面に形成されたスペーサ部材を第二基板の表面に突き当てた状態で第一基板と第二基板とを固定する工程とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を透過する材料で構成され、周期的なパターンで配列された金属アレイを表面に有する第一基板と、電磁波を反射する金属層を表面に有する第二基板とを準備する工程と、
前記第一基板の表面において前記金属アレイの周囲にスペーサ部材を形成する工程と、
前記第一基板の表面において前記スペーサ部材の周囲に前記スペーサ部材よりも薄い第一金属層を形成する工程と、
前記第二基板において前記第一金属層と対応する領域に前記スペーサ部材より薄い第二金属層を形成する工程と、
前記第一金属層と前記第二金属層とを融着し、前記第一基板の表面に形成された前記スペーサ部材を前記第二基板の表面に突き当てた状態で前記第一基板と前記第二基板とを固定する工程と、
を含む、力覚センサの製造方法。
【請求項2】
電磁波を透過する材料で構成され、周期的なパターンで配列された金属アレイを表面に有する第一基板と、電磁波を反射する金属層を表面に有する第二基板とを準備する工程と、
前記第二基板の表面において前記金属層の周囲にスペーサ部材を形成する工程と、
前記第二基板の表面において前記スペーサ部材の周囲に前記スペーサ部材よりも薄い第一金属層を形成する工程と、
前記第一基板において前記第一金属層と対応する領域に前記スペーサ部材より薄い第二金属層を形成する工程と、
前記第一金属層と前記第二金属層とを融着し、前記第二基板の表面に形成された前記スペーサ部材を前記第一基板の表面に突き当てた状態で固定する工程と、
を含む、力覚センサの製造方法。
【請求項3】
電磁波を透過する材料で構成され、周期的なパターンで配列された金属アレイを表面に有する第一基板と、電磁波を反射する金属層を表面に有する第二基板とを準備する工程と、
前記第一基板の表面において前記金属アレイの周囲に第一スペーサ部材を形成する工程と、
前記第一基板の表面において前記第一スペーサ部材の周囲に第一金属層を形成する工程と、
前記第二基板の表面において前記金属層の周囲かつ前記第一スペーサ部材と対応する領域に第二スペーサ部材を形成する工程と、
前記第二基板の表面において前記第二スペーサ部材の周囲かつ前記第一金属層と対応する領域に第二金属層を形成する工程と、
前記第一金属層と前記第二金属層とを融着し、前記第一基板の表面に形成された前記第一スペーサ部材を前記第二基板の表面に形成された前記第二スペーサ部材に突き当てた状態で前記第一基板と前記第二基板とを固定する工程と、
を含む、力覚センサの製造方法。
【請求項4】
前記第一金属層と前記第二金属層とは同一材料からなる、請求項1~3の何れか一項に記載の力覚センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、力覚センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、金属アレイと金属薄膜とのギャップを外力によって変化させることができるエアギャップ構造を有する変位センサの製造方法を開示する。この製造方法は、第一基板に金属アレイを形成する工程と、第二基板に金属薄膜とスペーサ部材とを形成する工程と、第一基板と第二基板とを重ね合わせ、ポリイミドテープによって第一基板と第二基板とを固定する工程とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、力覚センサは複数の方向から荷重が加えられることが想定される。特許文献1に記載の製造方法のようなポリイミドテープによる固定は、試作に用いられる簡易な方法であり、固定が不十分になるおそれがある。このため、使用に応じて初期状態(無加重時)の第一基板と第二基板との間隔が変化する場合がある。本開示は、無加重時の第一基板と第二基板との間隔が一定となるように第一基板と第二基板との間の位置関係を保持できる力覚センサの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る力覚センサの製造方法は、以下の(1)~(5)の工程を備える。
(1)電磁波を透過する材料で構成され、周期的なパターンで配列された金属アレイを表面に有する第一基板と、電磁波を反射する金属層を表面に有する第二基板とを準備する工程。
(2)第一基板の表面において金属アレイの周囲にスペーサ部材を形成する工程。
(3)第一基板の表面においてスペーサ部材の周囲にスペーサ部材よりも薄い第一金属層を形成する工程。
(4)第二基板において第一金属層と対応する領域にスペーサ部材より薄い第二金属層を形成する工程。
(5)第一金属層と第二金属層とを融着し、第一基板の表面に形成されたスペーサ部材を第二基板の表面に突き当てた状態で第一基板と第二基板とを固定する工程。
【0006】
この力覚センサの製造方法では、第一基板の第一金属層と第二基板の第二金属層とが融着され、第一基板のスペーサ部材が第二基板の表面に突き当てられた状態で第一基板と第二基板とが固定される。第一金属層と第二金属層とが融着されることで、第一基板と第二基板とはポリイミドテープによる固定よりも確実に固定される。そして、第一基板のスペーサ部材が第二基板の表面に突き当てられることで、第一金属層と第二金属層との厚さが融着によって変動した場合であっても第一基板と第二基板との間隔が一定に保持される。よって、この力覚センサの製造方法は、無加重時の第一基板と第二基板との間隔が一定となるように第一基板と第二基板との間の位置関係を保持できる。
【0007】
本開示の他の側面に係る力覚センサの製造方法は、以下の(1)~(5)の工程を備える。
(1)電磁波を透過する材料で構成され、周期的なパターンで配列された金属アレイを表面に有する第一基板と、電磁波を反射する金属層を表面に有する第二基板とを準備する工程。
(2)第二基板の表面において金属層の周囲にスペーサ部材を形成する工程。
(3)第二基板の表面においてスペーサ部材の周囲にスペーサ部材よりも薄い第一金属層を形成する工程。
(4)第一基板において第一金属層と対応する領域にスペーサ部材より薄い第二金属層を形成する工程。
(5)第一金属層と第二金属層とを融着し、第二基板の表面に形成されたスペーサ部材を第一基板の表面に突き当てた状態で固定する工程。
【0008】
この力覚センサの製造方法では、第一基板の第一金属層と第二基板の第二金属層とが融着され、第二基板のスペーサ部材が第一基板の表面に突き当てられた状態で第一基板と第二基板とが固定される。第一金属層と第二金属層とが融着されることで、第一基板と第二基板とはポリイミドテープによる固定よりも確実に固定される。そして、第二基板のスペーサ部材が第一基板の表面に突き当てられることで、第一金属層と第二金属層との厚さが融着によって変動した場合であっても第一基板と第二基板との間隔が一定に保持される。よって、この力覚センサの製造方法は、無加重時の第一基板と第二基板との間隔が一定となるように第一基板と第二基板との間の位置関係を保持できる。
【0009】
本開示のさらに他の側面に係る力覚センサの製造方法は、以下の(1)~(5)の工程を備える。
(1)電磁波を透過する材料で構成され、周期的なパターンで配列された金属アレイを表面に有する第一基板と、電磁波を反射する金属層を表面に有する第二基板とを準備する工程。
(2)第一基板の表面において金属アレイの周囲に第一スペーサ部材を形成する工程。
(3)第一基板の表面において第一スペーサ部材の周囲に第一金属層を形成する工程。
(4)第二基板の表面において金属層の周囲かつ第一スペーサ部材と対応する領域に第二スペーサ部材を形成する工程。
(5)第二基板の表面において第二スペーサ部材の周囲かつ第一金属層と対応する領域に第二金属層を形成する工程。
(6)第一金属層と第二金属層とを融着し、第一基板の表面に形成された第一スペーサ部材を第二基板の表面に形成された第二スペーサ部材に突き当てた状態で第一基板と第二基板とを固定する工程。
【0010】
この力覚センサの製造方法では、第一基板の第一金属層と第二基板の第二金属層とが融着され、第一基板の第一スペーサ部材が第二基板の第二スペーサ部材に突き当てられた状態で第一基板と第二基板とが固定される。第一金属層と第二金属層とが融着されることで、第一基板と第二基板とはポリイミドテープによる固定よりも確実に固定される。そして、第一基板の第一スペーサ部材が第二基板の第二スペーサ部材に突き当てられることで、第一金属層と第二金属層との厚さが融着によって変動した場合であっても第一基板と第二基板との間隔が一定に保持される。よって、この力覚センサの製造方法は、無加重時の第一基板と第二基板との間隔が一定となるように第一基板と第二基板との間の位置関係を保持できる。
【0011】
一実施形態においては、第一金属層と第二金属層とは同一材料からなってもよい。この場合、第一金属層と第二金属層とが同一材料からなるため、第一金属層と第二金属層とは強固に融着される。よって、この力覚センサの製造方法は、第一基板と第二基板とをより確実に固定できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、無加重時の第一基板と第二基板との間隔が一定となるように第一基板と第二基板との間の位置関係を保持できる力覚センサを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】一実施形態に係る製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】一実施形態に係る製造方法の工程を説明する断面図である。
【
図5】一実施形態に係る製造方法の工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一または相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0015】
[力覚センサ]
本実施形態に係る製造方法により製造される力覚センサは、電磁波を用いた力覚センサである。電磁波は、可視光、赤外光、テラヘルツ波、又はマイクロ波である。力覚センサは、金属アレイと金属層との間にギャップが形成されたエアギャップ構造を有する。エアギャップ構造には、電磁波が入射され反射波が測定される。入射波及び反射波に基づいて共振波長が得られる。共振波長はギャップの大きさに応じて変化する。ギャップは外力によって変化する。つまり、電磁波を用いた力覚センサは、共振波長の変化に基づいて外力を測定するセンサである。
【0016】
図1は、一実施形態に係る力覚センサの一例を示す断面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。
図1に示されるように、力覚センサ1は、下基板10(第一基板の一例)及び上基板20(第二基板の一例)を備える。下基板10は、光(電磁波の一例)を透過する材料で構成される。下基板10は、一例としてガラス基板である。下基板10は、周期的なパターンで配列された金属アレイ11を上面(表面の一例)に有する。金属アレイ11は、一例としてロッドアレイ又はドットアレイである。金属アレイ11は、一辺が350nmの略正方形状のアレイが400nm間隔で周期的に配置されたパターンによって構成されてもよい。金属アレイ11の材料は、一例としてAu(金)又はAl(アルミニウム)である。上基板20は、光を透過する材料で構成される必要はなく、ガラス基板でもよいし、シリコン基板などでもよい。上基板20は、光を反射する金属層21を下面(表面の一例)に有する。金属層21の材料は、一例としてAu又はAlである。下基板10及び上基板20は、アルカリ成分を含まない無アルカリガラス又は石英から形成されていてもよい。
【0017】
図1及び
図2に示されるように、下基板10及び上基板20は、金属アレイ11及び金属層21の周囲に設けられたスペーサ部材30、第一金属層31及び第二金属層32によって、間隔を空けて互いに固定される。これにより、金属アレイ11と金属層21との間にギャップが形成される。スペーサ部材30は、酸化し難く、かつ、高融点の金属で形成される。スペーサ部材30は、一例としてMo(モリブデン)/Al/Moの三層構造からなる。スペーサ部材30は、Al、Mo、Ag(銀)、Ti(チタニウム)、又はCr(クロム)の単層であってもよい。
【0018】
下基板10及び金属アレイ11を透過した光の一部は、金属層21によって反射されると共に、金属アレイ11と金属層21との間で共振することで吸収される。吸収される光の波長は、金属アレイ11と金属層21との間の間隔によって変化する。力覚センサ1は、外部からの荷重に応じて下基板10に対する上基板20の姿勢が変更されるように構成される。よって、力覚センサ1に加えられる荷重は、力覚センサ1が吸収する光の波長の変化によって示される。
【0019】
[力覚センサの製造方法]
図3は、一実施形態に係る製造方法の一例を示すフローチャートである。製造方法M1では、最初に、金属アレイ11を有する下基板10及び金属層21を有する上基板20が準備される(ステップS10)。
【0020】
次に、下基板10の上面にスペーサ部材30が形成される(ステップS20)。
図4は、一実施形態に係る製造方法の工程を説明する断面図である。
図4に示されるように、下基板10の上面において金属アレイ11の周囲にスペーサ部材30が形成される。スペーサ部材30は、金属アレイ11が形成された領域を囲むように設けられ、金属アレイ11と離間する(
図2参照)。スペーサ部材30は、金属アレイ11よりも厚く形成される。一例として、金属アレイ11の厚さは25nmであり、スペーサ部材30の厚さは30nmである。スペーサ部材30は、スパッタリングによって成膜された後に、フォトリソグラフィによって形成される。スペーサ部材30は、熱蒸着法または電子ビーム蒸着法によって成膜されてもよい。
【0021】
次に、下基板10の上面に第一金属層31が形成される(ステップS30)。
図4に示されるように、下基板10の上面においてスペーサ部材30の周囲に第一金属層31が形成される。第一金属層31は、スペーサ部材30を囲むように設けられ、スペーサ部材30と離間する(
図2参照)。第一金属層31は、スペーサ部材30よりも薄く形成される。第一金属層31の厚さは、後述する第二金属層32の厚さとの合計がスペーサ部材30の厚さと略同一となるように設定される。略同一とは、数nmの誤差を許容するという意味である。スペーサ部材30の厚さが30nmである場合、第一金属層31は、例えば1nm~29nmの範囲で任意に設定される。一例として、第一金属層31は、スペーサ部材30の厚さの半分の15nmに設定される。第一金属層31は、スパッタリングによって成膜された後に、フォトリソグラフィによって形成される。第一金属層31は、熱蒸着法または電子ビーム蒸着法によって成膜されてもよい。
【0022】
次に、上基板20の下面に第二金属層32が形成される(ステップS40)。
図5は、一実施形態に係る製造方法の工程を説明する断面図である。
図5に示されるように、上基板20の下面において第一金属層31と対応する領域に、金属層21の周囲を囲むように第二金属層32が形成される。第二金属層32は、金属層21が形成された領域を囲むように設けられ、金属層21と離間する。第二金属層32は、スペーサ部材30よりも薄く形成される。第二金属層32の厚さは、上述した第一金属層31の厚さとの合計がスペーサ部材30の厚さと略同一となるように設定される。第一金属層31がスペーサ部材30の厚さの半分の15nmに設定された場合、第二金属層32は、15nmに設定される。第二金属層32は、スパッタリングによって成膜された後に、フォトリソグラフィによって形成される。第二金属層32は、熱蒸着法または電子ビーム蒸着法によって成膜されてもよい。
【0023】
次に、下基板10の第一金属層31と上基板20の第二金属層32とが融着される(ステップS50)。最初に、下基板10の上面と上基板20の下面とが向かい合うように配置され、重ねられる。これにより、下基板10の第一金属層31と上基板20の第二金属層32とが接触するとともに、下基板10のスペーサ部材30の先端が上基板20の下面に突き当てられる。スペーサ部材30によって、下基板10と上基板20とは、スペーサ部材30の厚さの間隔が保持される。この状態で、第一金属層31と第二金属層32とが融着される。第一金属層31及び第二金属層32は、例えばレーザ溶接によって融着される。第一金属層31及び第二金属層32は、常温接合又は直接接合によって融着されてもよい。以上のように、力覚センサ1が製造される。なお、製造方法M1は、ステップS50の工程よりも前に、金属アレイ11を洗浄する洗浄工程を含んでもよい。
【0024】
[実施形態のまとめ]
本開示に係る力覚センサ1の製造方法M1では、下基板10の第一金属層31と上基板20の第二金属層32とが融着され、下基板10のスペーサ部材30が上基板20の下面に突き当てられた状態で下基板10と上基板20とが固定される。第一金属層31と第二金属層32とが融着されることで、下基板10と上基板20とはポリイミドテープによる固定よりも確実に固定される。そして、下基板10のスペーサ部材30が上基板の下面に突き当てられることで、第一金属層31と第二金属層32との厚さが融着によって変動した場合であっても下基板10と上基板20との間隔が一定に保持される。よって、製造方法M1は、無加重時の下基板10と上基板20との間隔が一定となるように下基板10と上基板20との間の位置関係を保持できる。
【0025】
また、力覚センサ1においては、第一金属層31と第二金属層32とが同一材料からなるため、互いに強固に融着できる。よって、製造方法M1は、下基板10と上基板20とをより確実に固定できる。
【0026】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上記実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。
【0027】
[変形例1]
上述した実施形態においては、下基板10の上面にスペーサ部材30が形成されたが、スペーサ部材30は、上基板20の下面に形成されてもよい。この場合、
図3のステップS20においては、上基板20の下面において金属層21の周囲にスペーサ部材30が形成される。そして、ステップS50において、上基板20のスペーサ部材30の下端が下基板10の上面に突き当てられる。その他の製造方法の工程は同一である。
【0028】
[変形例2]
上述した実施形態においては、下基板10の上面にスペーサ部材30が形成されたが、スペーサ部材30は、上基板20の下面にも形成されてもよい。つまり、下基板10の上面に第一スペーサ部材が形成され、上基板20の下面に第二スペーサ部材が形成される。この場合、
図3のステップS20においては、下基板10の下面において金属アレイ11の周囲に第一スペーサ部材が形成される。上基板20の上面において金属層21の周囲に第二スペーサ部材が形成される。そして、ステップS50において、上基板20の第二スペーサ部材の下端が下基板10の第一スペーサ部材の上端に突き当てられる。その他の製造方法の工程は同一である。
【0029】
変形例1及び2のように製造した場合であっても、無加重時の下基板10と上基板20との間隔が一定となるように下基板10と上基板20との間の位置関係を保持できる力覚センサ1を製造できる。
【0030】
力覚センサ1は、圧力センサ、フォースゲージ、接触センサなどに用いられてもよい。上記実施形態においては、スペーサ部材30は金属アレイ11が形成された領域を連続的に囲むように設けられ、第一金属層31はスペーサ部材30を連続的に囲むように設けられ、第二金属層32は金属層21が形成された領域を連続的に囲むように設けられるが、連続的であることに限定されず、不連続であってもよい。
【0031】
力覚センサ1は、金属アレイ11の表面を覆う保護層を備えてもよい。保護層を備えることで、力覚センサ1の製造工程において、上述した洗浄工程を省略することができる。保護層は、例えば、石英から形成される。保護層は、損傷又は酸化などから金属アレイ11を保護する。保護層は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)から形成されていてもよい。この場合、保護層は、金属層21と金属アレイ11との間のギャップに充填されていてもよい。ポリジメチルシロキサンから形成された保護層は、外力によって変化する。
【0032】
スペーサ部材30の厚さは、190nmであってもよい。金属層21の厚さは、100nmであってもよい。金属アレイ11の厚さは、30nmであってもよい。石英から形成された保護層の厚さは、35nmであってもよい。金属層21と保護層との間のギャップは30nmであってもよい。金属層21と金属アレイ11との間の距離は65nmであってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…力覚センサ、10…下基板(第一基板の一例)、11…金属アレイ、20…上基板(第二基板の一例)、21…金属層、30…スペーサ部材、31…第一金属層、32…第二金属層。