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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123167
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】車両処理装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
B60S3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027072
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】天野 義樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 遥
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026AA02
3D026AA13
3D026AA19
3D026AA25
3D026AA29
3D026AA34
3D026AA40
3D026AA72
3D026AA76
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両から突起する突起物の取付位置を検出する車両処理装置を提供する。
【解決手段】車両と相対移動しながら車両処理を施す車両処理装置であって、本体部と、鉛直方向に延在し前記車両の側面からの形状を検出する輪郭検出装置と、車両の正面を2次元画像として撮影するカメラ装置とを備え、輪郭検出装置は、車両の幅方向に突起する突起物と本体部までの距離を測定する第1測定を行う第1測定手段と、カメラ装置の検出により撮影する画像の焦点距離と敷設面から突起物までの距離とを測定する第2測定を行う第2測定手段と、第1測定手段と第2測定手段とから2次元画像を3次元画像へ変換し突起物の取付位置を測定する第3測定を行う第3測定手段とを具備する、ことを特徴とする車両処理装置。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と相対移動しながら車両処理を施す車両処理装置であって、
本体部と、
鉛直方向に延在し前記車両の側面からの形状を検出する輪郭検出装置と、
前記車両の正面を2次元画像として撮影するカメラ装置とを備え、
前記輪郭検出装置は、前記車両の幅方向に突起する突起物と本体部までの距離を測定する第1測定を行う第1測定手段と、
前記カメラ装置の検出により撮影する画像の焦点距離と敷設面から前記突起物までの距離とを測定する第2測定を行う第2測定手段と、
前記第1測定手段と前記第2測定手段とから前記2次元画像を3次元画像へ変換し前記突起物の取付位置を測定する第3測定を行う第3測定手段とを具備する、
ことを特徴とする車両処理装置。
【請求項2】
前記車両処理装置は人工知能を備え、
前記人工知能は、前記第1測定手段から得られる第1測定データと前記第2測定手段から得られる第2測定データを蓄積するデータベース部と、
前記データベース部に蓄積された前記第1測定データと前記第2測定データから前記第1測定手段で行う車両の幅方向に突起する突起物と本体部までの距離と前記第2測定手段で行う画像の焦点距離と敷設面から突起物までの距離を推定する推論部とを具備し、
前記人工知能は、予め複数の第1測定データと複数の第2測定データを学習し、
前記人工知能は、予め学習した前記第1測定データと前記第2測定データとから、前記第1測定手段で行う車両の幅方向に突起する突起物と本体部までの距離と、
前記第2測定手段で行う画像の焦点距離と敷設面から突起物までの距離を特定し、
前記第3測定手段は、前記車両から幅方向に突起する突起物の取付位置を測定する、
ことを特徴とする請求項1記載の車両処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004-243840号(以下、特許文献1という)の車両処理装置は、車両を上方から複数枚カメラ装置で撮影し、テンプレートマッチング手法を用いてドアミラーなどの突起物を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-243840号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような車両処理装置は、カメラ装置により車両から突起する突起物が存在するかを検知しているが、突起物の取付位置、例えば敷設面から突起物までの高さ方向の距離の検出は困難だった。
【0005】
そこで本発明は、車両から突起する突起物の取付位置を検出する車両処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一解決手段に係る車両処理装置は、車両と相対移動しながら車両処理を施す本体部と、鉛直方向に延在し車両の側面からの形状を検出する輪郭検出装置と、車両の正面を2次元画像として撮影するカメラ装置とを備え、輪郭検出装置は、車両の幅方向に突起する突起物と本体部までの距離を測定する第1測定を行う第1測定手段と、カメラ装置の検出により撮影する画像の焦点距離と敷設面から突起物までの距離とを測定する第2測定を行う第2測定手段と、第1測定データと第2測定データとから2次元画像を3次元画像へ変換し車両から突起する突起物の取付位置を測定する第3測定を行う第3測定手段とを具備する。
【0007】
本発明の一解決手段に係る車両処理装置は、人工知能を備え、前記人工知能は、第1測定手段から得られる第1測定データと第2測定手段から得られる第2測定データを蓄積するデータベース部と、データベース部に蓄積された第1測定データと、第2測定データから第1測定手段で行う車両の幅方向に突起する突起物と本体部までの距離と、第2測定手段で行う画像の焦点距離と敷設面から突起物までの距離を推定する推論部とを具備し、人工知能は、予め複数の第1測定データと複数の第2測定データを学習し、人工知能は、輪郭検出装置またはカメラ装置で検出する結果に不備があると、予め学習した第1測定データと第2測定データとから、第1測定手段で行う車両の幅方向に突起する突起物と本体部までの距離と、第2測定手段で行う画像の焦点距離と敷設面から突起物までの距離を特定し、第3測定手段は、車両から幅方向に突起する突起物の取付位置を測定する。
【発明の効果】
【0008】
一解決手段によれば、車両から突起する突起物の寸法や取付位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る車両処理装置10を模式的に表す側面図である。
図2】車両処理装置10の制御系を表すブロック図である。
図3】車両Cの基準点の検出に係る説明図である。
図4】ドアミラー前端検出のフローチャート図である。
図5】画像Aの説明図である。
図6】カメラ画像作成処理のフローチャート図である。
図7】画像Aを三次元座標に変換する説明図である。
図8】ドアミラー高さ検出部53の検出を示す説明図である。
図9】ドアミラー高さ検出処理のフローチャート図である。
図10】車両処理装置10Aの制御系を表すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0012】
(実施例1)
本発明の一実施形態に係る車両処理装置について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る車両処理装置10を模式的に表す側面図である。尚、部材の位置関係の理解を容易にするため一部を破線で示している。
【0013】
門型の形状をした車両処理装置10の本体部11は、敷設面G(地面)に起立した左右の脚12と左右の脚12に支えられた梁13を有している。本体部11は、敷設面Gに敷かれた2本で一対のレール14上を走行するよう底面に車輪を有し、停車する車両Cへの洗浄液の吹き付け、ワックスの塗布、乾燥などを行っている。
尚、位置関係として、本体部11の前方が図1中の右方向、本体部11の後方が図1中の左方向となる。さらに、車両Cは、本体部11の前方から進入し、本体部11の後方へと退出(退場)する。
【0014】
車両処理装置10は、本体部11に走行モータ19を備えている。走行モータ19は、本体部11の車輪を介して本体部11を走行させる機能を有している。また、本体部11は、走行エンコーダ18を備えている。走行エンコーダ18は、本体部11が単位距離走行する毎にパルス信号を出力する機能を有している。このため、車両処理装置10は、レール14上を走行する本体部11の位置を把握することができる。なお、本体部11が図1中のレール14左端を定位置(本体部待機位置)とした場合、レール14右端に移動するまでの過程が往行、左端に移動する(戻る)までの過程が復行となる。
【0015】
本体部11はトップノズル15、サイドノズル16を備えている。トップノズル15は、梁13に設けられ車両Cの上面に向かって洗浄液を吹きつけるものであり、サイドノズル16は、両脚12に設けられ車両Cの側面に向かって洗浄液を吹き付けるものである。
【0016】
また、本体部11は、車両Cに向かって風を吹き付けるトップブロア24とサイドブロア25を備えている。トップブロア24は本体部11の梁13に設けられており、主に車体Cに付着する水滴を上から吹き飛ばすものであり、サイドブロア25は、本体部11両脚12に設けられており、主に車体Cの側面に付着する水滴を吹き飛ばすものである。
【0017】
本体部11は、トップブラシ20、サイドブラシ21を備えている。トップブラシ20は、本体部11の梁13に設けられ、昇降作動することで主に車両Cの上面を洗浄するものである。サイドブラシ21は、本体部11の両脚12に設けられ、2本のブラシが近づいたり離れたりすることで主に車両Cの前面、側面、後面を洗浄するものである。
【0018】
車両処理装置10は、受付装置37を備えている。受付装置37は、料金受付とキー入力(例えば、コース選択、スタート、取り消し)と音声案内が可能な受付部32を有し、車両Cのドライバーからの指示を受け付ける機能を有している。
【0019】
また、車両処理装置10は、ゲート33を備えている。ゲート33は、図1に示すように、本体部11の前方の、レール14と受付部32との間において、本体部11とは別個に敷設面Gに設けられている。ゲート33は、遮断桿を備えており、車両Cに対して本体部11への進入の許可を与える機能を有している。
【0020】
車両処理装置10は、車両Cのタイヤを検出するタイヤ検出部17を備えている。車両Cのドライバーは、受付部32にて洗車メニューを選択後、洗車処理を受けるため本体部11の前に近づけて停車する。この洗車処理を受けるための最適な位置を車両停止位置としている。タイヤ検出部17は、車両Cの前輪が車両停止位置で停止するようレール14間に設けられている。タイヤ検出部17は、車両Cのタイヤを車幅方向に挟むよう左右一対で設けられている。左右一対のタイヤ検出部17は、センサ部を有し、一方に発光素子を発光させる発光部と他方に発光部からの発光を受光する受光部を備えている。タイヤ検出部17間にタイヤが進入すると、発光部から発光する発光センサが、タイヤによって遮光される。つまり、車両Cが車両停止位置に進入したと検出することができる。
【0021】
車両処理装置10は本体部11の後方に案内表示34を備えている。車両Cのドライバーが受付部32で洗車メニューを選択し、ゲート33が開かれると、案内表示34は車両Cのドライバーに対して「前進」と表示する。タイヤ検出部17で車両Cのタイヤが検出されると案内表示34は「停止」と表示する。案内表示34は本体部11が車両Cを洗浄する間は「停止」と表示し、洗浄が完了すると「前進」と表示し、車両Cに対して本体部11から退出するように促す。
【0022】
車両処理装置10は、本体部11の両脚12の前方にカメラ装置31を設けている。カメラ装置31は、車両Cが車両停止位置に停止した際に、敷設面Gと車両Cの正面が写るよう撮影する。ここでカメラ装置31は、撮影した画像がデジタル画像として解析できるものが好ましく、静止画のみ撮影可能なデジタルカメラや動画を撮影するビデオカメラでもよい。
【0023】
車両Cが車両停止位置に停車すると、本体部11は、車両Cを洗浄するため車両Cを跨ぎながら走行する。本体部11の両脚12の内側には、車両Cの車形(輪郭)を検出する輪郭検出装置30が設けられている。両脚12に設けられた輪郭検出装置30は、一方の脚部12に発光部、他方の脚部12に受光部が設けられた、例えば、複数の発光素子から構成される透過型の光電センサである。輪郭検出装置30は、本体部11が車両Cを跨ぎながら走行する際に発光部と受光部との間の通光(透光および遮光)を検出している。なお、輪郭検出装置30により検出した車両Cの輪郭に基づきトップブラシ20などを駆動するため、輪郭検出装置30は本体部11の前方へ設けることが好ましい。
【0024】
図2は、本発明の車両処理装置10の制御系を表すブロック図である。本体部11に内蔵される制御部40は、輪郭検出装置30、走行エンコーダ18、カメラ装置31からの信号に基づき、あらかじめプログラムされたシーケンスに従って、洗車駆動部35へ信号を送る。制御部40から信号を受けた洗車駆動部35は、車両Cの洗浄を行うブラシ20・21と、ノズル15・16と、ブロア24・25と、走行モータ19とを駆動する。
【0025】
受付装置37は、受付部32によって受け付けた洗車メニューを制御部40に送信する受付制御部36を有している。受付制御部36は、車両Cの本体部11への進入を許可するゲート33の開閉を行っている。
【0026】
制御部40は、走行検出部41、輪郭検出部42、輪郭作成部43、基準点検出部44、ドアミラー前端検出部45を備えている。
走行検出部41は、走行エンコーダ18からのパルス信号を受け、レール14上を走行する本体部11の位置を検出している。輪郭検出部42は、輪郭検出装置30が複数の発光素子を受発光して透光、遮光を検知した結果を受信している。輪郭作成部43は、輪郭検出部42が出力した結果を受信し、車両Cの輪郭を抽出している。基準点検出部44は、車両Cの特徴となる基準点を検出する。その検出結果からドアミラー前端検出部45は図1の側面視において輪郭検出装置30から車両CのドアミラーMの前端までの距離を検出する。
【0027】
また、制御部40は、カメラ画像検出部50とカメラ画像作成部51を備えている。
カメラ画像検出部50は、カメラ装置31が撮影する画像を受信し、カメラ画像作成部51へ出力する。カメラ画像作成部51では、正面から撮影される車両Cと車両Cのタイヤが敷設面Gと接地する接地面を抽出している。
【0028】
さらに、制御部40は三次元座標変換部52とドアミラーの高さ検出部53を備えている。
三次元座標変換部52は、カメラ装置31が撮影する画像を二次元座標から三次元座標に変換する。ドアミラー高さ検出部53では、三次元座標変換した画像とドアミラー前端検出部45からの測定値とを基に、車両Cのドアミラー下端と接地面までの距離を測定する。
【0029】
制御部40は車形データ作成部47と、車形データ記憶部48と、動作制御部49とを備えている。車形データ作成部47は、基準点検出部44とドアミラー前端検出45とドアミラー高さ検出部53の検出結果から車形データを作成する。車形デ-タ記憶部48は、作成した車両Cの形状や、ドアミラーの寸法や、取付位置などを記憶している。動作制御部49は、車形デ-タ記憶部48が記憶した車両Cの形状や、ドアミラーの寸法や、取付位置などに沿って洗車駆動部35を駆動させるよう制御する。
【0030】
以下、車両処理装置10が車両Cの形状を検出する方法を説明する。車両Cのドライバーが、受付部32でお好みの洗車コースを選択すると、受付制御部36は、制御部40へ洗車コースを出力し、ゲート33の遮断稈を開ける。ゲート33が開くと、制御部40は案内表示34に「前進」と表示し、車両Cを前進させる。車両Cの前輪が一対のタイヤ検出部17間に進み、タイヤ検出部17の発光部の投光を遮ると、制御部40は、車両Cが車両停止位置まで前進したと判断し、案内表示34に「停止」と表示させ、車両Cを停止させる。この時カメラ装置31は、敷設面Gと車両Cの前正面が写るよう撮影する。
【0031】
車両Cが車両停止位置に停止すると本体部11は車両Cを跨ぐように前進する。すると制御部40は、走行エンコーダ18からパルス信号を出力しレール14上を走行する本体部11の位置を把握する。また、パルス信号が出力される毎に、本体部11の両脚に設けられている輪郭検出装置30は、発光部から受光部に向かって投光し、各発光素子の遮光、通光を検出する。
【0032】
(第1測定)
図3は、車両Cの基準点の検出に係る説明図であり、図4はドアミラー前端検出処理のフローチャート図である。
輪郭検出部42は、本体部11の走行位置と、走行エンコーダ18からパルス信号が発信される毎に輪郭検出装置30が通光した結果を取り込む。取り込まれた通光結果をテーブル化し(1)、側方から見た車両Cの輪郭(エッジ)を検出する(2)。
輪郭検出部42から車両Cの側面視における輪郭が検出されると、基準点検出部44は、公知技術(特許第5839965号)により輪郭から車体の特徴である車体の前端cs、ボンネットとフロントガラスの境界bf、ルーフ前端rs、ルーフ後端、車体の後端(以下、これらを基準点という)を抽出する(3)。
輪郭検出部42から車体の基準点が抽出されると、ドアミラー前端検出部45は、輪郭検出装置30から車体のボンネットとフロントガラスの境界bfまでの距離d1を測定する。距離d1の測定方法を具体的に説明すると、走行エンコーダ18は、単位距離走行する毎にパルス信号を出力するため、本体部11が待機位置からボンネットとフロントガラスの境界bfまでの間に出力したパルス信号数をカウントすればよい。
また、ドアミラー前端検出部45は、ドアミラーの前端がボンネットとフロントガラスの境界bfから車両後方へ所定距離d2間離れたDM-sに位置すると推測し、さらにドアミラーの後端(厚み)が前端DM-sから所定距離d3間離れたDM-eに位置すると推測する。ここで、所定距離d2とd3は市場に流通する車両の平均によるものである。
ドアミラーの前端DM-sと後端DM-eを推測すると、輪郭検出装置30からドアミラー前端DM-sまでの距離d4を測定する。また、カメラ装置31のレンズ中心からドアミラー前端DM-sまでの距離d5を算出する。距離d5は、輪郭検出装置30とカメラ装置31のレンズ中心までの距離を距離d4から差し引いて算出すればよい。(4)
【0033】
本実施例において車両Cの車種は、セダンタイプで説明しているが、車種が1BOXタイプのように、境界点bfが検出できない車種の場合は、車体の前端csとルーフ前端rsの中間付近にドアミラーがあると推定する。そして、その中点をボンネットとフロントガラスの境界bfとし、前述したとおりの方法でカメラ装置31のレンズ中心からドアミラー前端DM-sまでの距離d5を測定する。
【0034】
(第2測定)
図5は、画像Aの説明図であり、図6はカメラ画像作成処理のフローチャート図である。尚、図5のX軸は車両Cの幅方向、Z軸は高さ方向を示す。
本体部11の両脚12に設けられたカメラ装置31は、車両Cが車両停止位置に停車すると、車両Cの正面全体が写るように撮影する。撮影された画像は、両脚12から撮影するため車両Cの右斜め前と左斜め前から撮影した画像となる。そのため、カメラ画像検出部50は、カメラ装置31が撮影した画像を検出すると、二枚の画像を合成し車両Cの真正面から撮影されたような画像に変換する。(5)
そして、カメラ画像検出部50は、画像処理アルゴリズムを用いて画像を二値化し敷設面Gと車両Cの輪郭からドアミラーを抽出する。より具体的には、ドアミラーの抽出は、画像Aからパターンマッチングの手法を用いて行い、敷設面Gの抽出は、車両Cのタイヤが接地する接地面を敷設面Gとして行う(6)。
また、カメラ画像検出部50は、車両Cの幅を検出し中心線を設定する。その中心線がz軸と重なるよう画像Aを補正する(7)。カメラ画像検出部50は、画像Aを補正した後に、z軸方向の敷設面Gからドアミラー下端までの距離Z’を測定する(8)。
距離Z’は、敷設面Gとドアミラー下端の輪郭との間のピクセル数を数え測定すればよい。
また、カメラ画像検出部50が、車両Cの中心線を検出する際に、その中心線と画像AのZ軸とが所定の範囲以上ずれている場合、制御部40は、車両Cが片寄って停車していると判断することもできる。
【0035】
(第3測定)
図7は画像Aを三次元座標に変換する説明図であり、図8はドアミラー高さ検出部53の検出を示す説明図、図9はドアミラー高さ検出処理のフローチャート図である。
カメラ画像検出部50が車両Cの輪郭を抽出し、敷設面Gとドアミラー下端までの距離Z’を測定したら、カメラ画像作成部51は、二次元座標で出力された画像Aを三次元座標(空間座標)に変換する(9)。カメラ画像検出部50により画像Aの中心線(z軸)は補正されているため、補正された画像Aのz軸とx軸を、三次元座標のz軸(鉛直方向)と、x軸(幅方向)と、y軸(本体部11の走行方向)へと変換する。この時、X=0は車両C幅方向における中心、Y=0は、本体部11が待機する時のカメラ装置31のレンズ中心、Z=0は、敷設面Gからカメラ装置31のレンズ中心までの高さとする。また、三次元座標変換部52によって三次元座標へと変換される画像は、レンズの結像作用により車両Cと相似する。
また、カメラ装置31で撮影された画像Aの撮像面はレンズの焦点の位置となるため、レンズから撮像面までの距離(すなわち焦点距離)はd’となる。
ドアミラー高さ検出部53により、車両Cの敷設面GからドアミラーM下端までの距離Zは、三角法を用いて算出することが出来る。具体的には、ドアミラー前端検出部45より測定されたカメラ装置31のレンズからドアミラーの前端までの距離d5と、カメラ装置31の焦点距離d’と、カメラ画像作成部51で測定した距離Z’とから算出することができる(10)。
これにより、車両Cの敷設面Gからドアミラー下端までの距離Zを測定することができる。
【0036】
車形データ作成部47は、基準点検出部44により検出した側面視における車両Cの輪郭とドアミラー高さ検出部53から算出したデータを基に車両Cの車形データを作成し、車形データ記憶部48へ出力する。車形データ記憶部48は作成された車両Cの形状を記憶し、動作制御部49により記憶されたデータに基づいて洗車駆動部35を制御する。
【0037】
洗車駆動部35は動作制御部49の指示により駆動し車両Cの洗浄を行う。その際、動作制御部49は、本発明によりドアミラーの車長方向における位置と高さ方向における位置つまりドアミラー(突起物)の取付位置を把握しているため、ブラシ20,21やブロアノズル24,25などをドアミラーの近くまで作動させ洗浄することができる。例えば、サイドブラシ21を傾斜させドアミラー下端の車体面を洗浄したり、本体部11の洗浄ノズル16とサイドブラシ21との間に新たに縦回転しながら洗浄するブラシを設けてもよい。そのようにすることで車両Cを効果的に洗浄できる。
【0038】
(実施例2)
車両処理装置10Aは実施例1で説明した制御部40に人工知能60を備えた制御部40Aを具備している。人口知能60は、複数の第1測定と複数の第2測定とで測定される測定結果を蓄積するデータベース部61を備えている。より具体的に言うと、データベース部61は、輪郭検出装置30が投光して得る車両Cの側面視における輪郭と、基準点検出部44により抽出する車体の基準点と、ドアミラー前端検出部45により測定または算出する距離d1から距離d5までのデータを蓄積する。また、データベース部61は、カメラ装置31が撮影する画像Aと、カメラ画像検出部50により車両Cのドアミラー下端と敷設面Gまでの距離Z’を蓄積している。
【0039】
人工知能60は、輪郭検出装置30やカメラ装置31で検出する車両Cのデータに異常があると、データベース部61が蓄積した複数の第1測定のデータと複数の第2測定のデータから、車両Cの輪郭や基準点、距離d1からd5などを推定する推論部62を有している。また、人工知能60は、あらかじめ複数の車両の輪郭や画像をデータベース部61に蓄積し、蓄積しているデータの中から輪郭検出装置30またはカメラ装置31とが検出する輪郭または画像が同一もしくは類似する輪郭または画像を選出し推論出来るよう学習している。
【0040】
車両処理装置10Aは、輪郭検出装置30により車両Cの側面視による輪郭とカメラ装置31が撮影する車両Cの正面の画像から車両Cのドアミラー下端と敷設面Gまでの距離(高さ)を測定している。しかし、強風時にノズル15、16から噴出する洗浄液が輪郭検出装置30やカメラ装置31にかかると検出データに異常が発生してしまう。このような時でも車両処理装置10Aの人工知能60は、データベース部61に蓄積されたデータから同一もしくは、類似する車両Cの側面視による輪郭やカメラ画像を推論部62より推定し、特定する。その推定結果より車両処理装置10Aは、第3測定を行い、ドアミラー下端から敷設面Gまでの距離を測定し、車形データ作成部47は、車両Cの車形データを作成することができる。
【0041】
本発明の車両処理装置10、10Aのカメラ装置31は、車両Cの前方から撮影できるよう本体部11の脚12に設けたが、車両Cの前方を撮影することができればカメラの台数や位置にこだわらない。
【0042】
以上のように本発明の構成を実施形態に基づき説明してきたが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【符号の説明】
【0043】
10、10A 車両処理装置
11 本体部
19 走行モータ
30 輪郭検出装置
31 カメラ装置
40、40A 制御部
42 輪郭検出部
43 輪郭作成部
44 基準点検出部
45 ドアミラー前端検出部
47 車形データ作成部
48 車形データ記憶部
50 カメラ画像検出部
51 カメラ画像作成部
52 三次元座標変換部
53 ドアミラー高さ検出部
60 人工知能
61 データベース部
62 推論部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10