(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123176
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム、情報処理装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20230829BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027083
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】514105011
【氏名又は名称】株式会社東光高岳
(71)【出願人】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000142425
【氏名又は名称】アズビル金門株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】新野 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】竹村 正央
(72)【発明者】
【氏名】西岡 優
(72)【発明者】
【氏名】平山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】田中 巧
(72)【発明者】
【氏名】菊地 和彦
(72)【発明者】
【氏名】関口 純平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 法子
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】ガス、電気及び水道の使用量に基づき、需要者の健康対策に関する情報を効率的に出力する情報処理方法等を提供する。
【解決手段】情報処理方法は、需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得し、取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の宅内行動に関する情報を導出し、導出した前記宅内行動に関する情報に基づき、前記需要者の健康対策に関するアドバイス情報を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の宅内行動に関する情報を導出し、
導出した前記宅内行動に関する情報に基づき、前記需要者の健康対策に関するアドバイス情報を出力する
情報処理方法。
【請求項2】
前記健康対策に関するアドバイス情報は、フレイル対策に関するアドバイス情報を含む
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記需要者の健康対策に関するアドバイス情報は、前記需要者又は前記需要者が指定する者に対し出力する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記宅内行動は、前記需要者の宅内における入浴、炊事及びトイレ使用に関する行動を含む
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
使用量データを入力した場合に宅内行動を出力するよう学習された学習モデルを用いて、取得した前記使用量データから前記宅内行動に関する情報を導出する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
所定期間内に取得した複数の前記使用量データに基づき、前記需要者の前記宅内行動に関する情報を複数導出し、
導出した複数の前記宅内行動に関する情報に基づき、前記宅内行動の変化に関する変化情報を導出し、
導出した前記変化情報に基づき、前記需要者の健康対策に関するアドバイス情報を出力する
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記需要者が用いる健康機器からの健康機器情報を取得し、
取得した前記健康機器情報、及び前記宅内行動に関する情報に基づき、前記需要者の健康対策に関するアドバイス情報を出力する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記需要者の宅内行動に関する情報、及び前記健康機器情報を含む画面データを生成し、
生成した前記画面データを出力する
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記需要者の宅内行動は、前記需要者が入居する高齢者向け住居における行動であり、
前記高齢者向け住居の管理者に対し、前記需要者の健康対策に関するアドバイス情報を出力する
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得し、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の宅内行動に関する情報を導出し、
導出した前記宅内行動に関する情報に基づき、前記需要者の健康対策に関するアドバイス情報を出力する
処理を実行させるプログラム。
【請求項11】
需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得する取得部と、
取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の宅内行動に関する情報を導出する導出部と、
導出した前記宅内行動に関する情報に基づき、前記需要者の健康対策に関するアドバイス情報を出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【請求項12】
需要者による電力使用量を出力する電力スマートメータと、
前記需要者によるガス使用量を出力するガススマートメータと、
前記需要者による水道水使用量を出力する水道水スマートメータと、
前記電力スマートメータ、前記ガススマートメータ及び前記水道水スマートメータと通信可能に接続される情報処理装置と
を含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記電力スマートメータから、前記電力使用量を取得し、
前記ガススマートメータから、前記ガス使用量を取得し、
前記水道水スマートメータから、前記水道水使用量を取得し、
取得した前記電力使用量、前記ガス使用量及び前記水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを、自装置からアクセス可能な記憶領域に記憶し、
前記記憶領域に記憶した使用量データに基づき、前記需要者の宅内行動に関する情報を導出し、
導出した前記宅内行動に関する情報に基づき、前記需要者の健康対策に関するアドバイス情報を出力する
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム、情報処理装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス・電気・水道等のユーティリティ供給会社とは異なる管理システム運用会社が個人情報を扱うことなくメータ監視を行うことを可能とするエネルギーデータベースシステムが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムは、ガス、電気及び水道の使用量に基づき、これらガス、電気及び水道を使用する需要者の健康対策に関する情報を導出する点については、考慮されていない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ガス、電気及び水道の使用量に基づき、需要者の健康対策に関する情報を効率的に出力する情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得し、取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の宅内行動に関する情報を導出し、導出した前記宅内行動に関する情報に基づき、前記需要者の健康対策に関するアドバイス情報を出力する。
【0007】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得し、取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の宅内行動に関する情報を導出し、導出した前記宅内行動に関する情報に基づき、前記需要者の健康対策に関するアドバイス情報を出力する処理を実行させる。
【0008】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、需要者による電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを取得する取得部と、取得した前記使用量データに基づき、前記需要者の宅内行動に関する情報を導出する導出部と、導出した前記宅内行動に関する情報に基づき、前記需要者の健康対策に関するアドバイス情報を出力する出力部とを備える。
【0009】
本開示の一態様に係る情報処理システムは、需要者による電力使用量を出力する電力スマートメータと、前記需要者によるガス使用量を出力するガススマートメータと、前記需要者による水道水使用量を出力する水道水スマートメータと、前記電力スマートメータ、前記ガススマートメータ及び前記水道水スマートメータと通信可能に接続される情報処理装置とを含む情報処理システムであって、前記情報処理装置は、前記電力スマートメータから、前記電力使用量を取得し、前記ガススマートメータから、前記ガス使用量を取得し、前記水道水スマートメータから、前記水道水使用量を取得し、取得した前記電力使用量、前記ガス使用量及び前記水道水使用量に、使用時間帯に関する情報及び、前記需要者を識別する需要者識別情報を関連付けた使用量データを、自装置からアクセス可能な記憶領域に記憶し、前記記憶領域に記憶した使用量データに基づき、前記需要者の宅内行動に関する情報を導出し、導出した前記宅内行動に関する情報に基づき、前記需要者の健康対策に関するアドバイス情報を出力する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、ガス、電気及び水道の使用量に基づき、需要者の健康対策に関する情報を効率的に出力する情報処理方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る情報処理システムの概要を示す説明図である。
【
図2】情報処理装置等の構成例を示すブロック図である。
【
図3】需要者マスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図4】使用量テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図5】情報処理装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
【
図6】学習モデル(宅内行動モデル)の生成処理に関する説明図である。
【
図7】情報処理装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態2(健康機器情報)に係る情報処理システムの概要を示す説明図である。
【
図9】情報処理装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
【
図10】アドバイステーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図11】情報処理装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】アドバイス情報等を含むアドバイス画面の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る情報処理装置1等を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0013】
(実施形態1)
以下、本開示に関し、実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
図1は、実施形態1に係る情報処理システムSの概要を示す説明図である。
図2は、情報処理装置1等の構成例を示すブロック図である。情報処理システムSは、需要者の建物Hに設けられる電力スマートメータH1(Eスマートメータ)、ガススマートメータH2(Gスマートメータ)及び水道水スマートメータH3(Aスマートメータ)と、これらスマートメータから出力される電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を含む使用量データを取得し、記憶する情報処理装置1とを含む。
【0014】
情報処理装置1は、例えばインターネット等の外部ネットワークNを介して、例えば、需要者の建物Hを管理する施設管理者(管理会社)の端末装置(施設管理者側端末装置T2)及び、需要者の端末装置(需要者側端末装置T1)と通信可能に接続されており、情報処理装置1から出力された情報は、これら端末装置の表示部(図示せず)に表示される。使用量データ(電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量)を提供する各エネルギー事業者に対しては、それぞれの需要者によって、当該需要者の使用量データの利用許諾の有無が、設定されている。
【0015】
複数の需要者毎に、建物Hに設けられる電力スマートメータH1、ガススマートメータH2及び水道水スマートメータH3から出力される使用量データには、当該需要者を識別するための識別情報(需要者ID)が含まれ又は、関連付けられている。従って、情報処理装置1は、これらスマートメータから出力された電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を含む使用量データを、当該使用量データに関連付けされている需要者IDに基づき、自装置の記憶部3に記憶されるデータベース(使用量テーブル32)に登録することができる。
【0016】
情報処理装置1は、取得した使用量データに基づき需要者の宅内行動に関する情報(宅内行動情報)を導出し、導出した宅内行動情報に応じて、当該需要者のフレイル対策を含め健康対策を行うためのアドバイス情報を生成する。情報処理装置1は、これら宅内行動情報及びアドバイス情報を、施設管理者側端末装置T2、需要者側端末装置T1又は、両端末装置に出力する。詳細は後述するが、当該宅内行動情報は、需要者が居住又は入居する建物又は施設において、当該需要者の在宅、睡眠、入浴、自炊、及びトイレ使用に関する情報のうち、少なくとも1つ以上を含む。
【0017】
情報処理装置1は、建物Hの住居人である需要者の需要者側端末装置T1から、又は当該建物Hの管理者の施設管理者側端末装置T2から、当該需要者により使用量データの利用許諾に関する情報(利用許諾データ)を取得し、自装置の記憶部3に記憶されるデータベース(需要者マスタテーブル31)に登録する。需要者マスタテーブル31の詳細は後述するが、各需要者からの利用許諾の有無に基づき、各需要者の建物Hの各スマートメータから取得した使用量データの取り扱いにおいて、利用許諾有の需要者の使用量データと、利用許諾無の需要者の使用量データとを区別又は差別化して処理するものであってもよい。
【0018】
情報処理装置1は、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を、例えば基地局Kを介して電力スマートメータH1、ガススマートメータH2及び水道水スマートメータH3から直接、取得する場合に限定されず、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量のうち1つ以上を、電力、ガス及び水道水の供給を行うそれぞれの事業者におけるデータサーバを経由して取得するものであってもよい。
【0019】
建物Hは、例えば需要者の戸建又は集合住宅による住居等の建造物である。又は、建物Hは、老人ホーム、ケアハウス、アクティブシニア向けの住宅等、又は施設等の管理者(施設管理会社)によって管理される施設であってもよい。電力スマートメータH1は、電力使用量を計測し、無線又は有線通信機能を備えた電力メータであり、需要者の建物Hにおける電力使用量を検出し、出力する。ガススマートメータH2は、ガス使用量を計測し、無線又は有線通信機能を備えたガスメータであり、需要者の建物Hにおけるガス使用量を検出し、出力する。水道水スマートメータH3は、水道水使用量を計測し、無線又は有線通信機能を備えた水道水メータであり、需要者の建物Hにおける水道水使用量を検出し、出力する。
【0020】
電力スマートメータH1、ガススマートメータH2及び水道水スマートメータH3は、別個の装置として構成されている場合に限定されない。電力スマートメータH1と、ガスメータ等のガス使用量検出装置、水道メータ等の水道水使用量検出装置とは、有線又は無線により通信可能に接続されており、電力スマートメータH1が、ガス使用量検出装置及び水道水使用量検出装置から出力されたガス使用量、水道水使用量を取得し、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量と、需要者ID等の識別子と関連付けて、出力(送信)するものであってもよい。電力スマートメータH1、ガススマートメータH2及び水道水スマートメータH3は、電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を出力するにあたり、各使用量と、使用した時間帯を関連付けて、出力するものであってもよい。
【0021】
需要者側端末装置T1は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレットPC又はスマートホン等の携帯端末装置によって構成される。需要者側端末装置T1は、情報処理装置1と同様に制御部、記憶部及び通信部を備え、更にディスプレイ等の表示部T14を備える。需要者側端末装置T1は、通信部を介して、情報処理装置1と通信可能に構成されている。需要者側端末装置T1の表示部T14には、情報処理装置1から出力された宅内行動情報が表示される。
【0022】
施設管理者側端末装置T2は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレットPC又はスマートホン等の携帯端末装置によって構成される。施設管理者側端末装置T2は、需要者側端末装置T1と同様に制御部、記憶部、通信部及び表示部を備える。施設管理者側端末装置T2は、通信部を介して、情報処理装置1と通信可能に構成されている。施設管理者側端末装置T2の表示部には、情報処理装置1から出力された宅内行動情報が表示される。
【0023】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能なコンピュータであり、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータ等である。サーバ装置は、単体のサーバ装置のみならず、複数台のコンピュータによって構成されるクラウドサーバ装置、又は仮想サーバ装置を含む。情報処理装置1は、制御部2、通信部4及び記憶部3を含む。
【0024】
制御部2は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の計時機能を備えた演算処理装置を有し、記憶部3に記憶されたプログラムP(プログラム製品)を読み出して実行することにより、情報処理装置1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0025】
記憶部3は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の揮発性記憶領域及び、EEPROM又はハードディスク等の不揮発性記憶領域を含む。記憶部3には、プログラムP(プログラム製品)及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。記憶部3に記憶されたプログラムP(プログラム製品)は、情報処理装置1が読み取り可能な記録媒体300から読み出されたプログラムP(プログラム製品)を記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラムP(プログラム製品)をダウンロードし、記憶部3に記憶させたものであってもよい。記憶部3には、使用量データ等を保存及び管理するデータベース(需要者マスタテーブル31、使用量テーブル32)が記憶されている。記憶部3には、学習済みモデルを構成する実体ファイルが保存されている。当該実体ファイルは、プログラムP(プログラム製品)の一部位として構成されるものであってもよい。
【0026】
通信部4は、有線又は無線により、各スマートメータ、需要者側端末装置T1又は施設管理者側端末装置T2と通信するための通信モジュール又は通信インターフェイスであり、例えばWi-Fi(登録商標)、 Bluetooth(登録商標)等の狭域無線通信モジュール、又は4G、5G等の広域無線通信モジュールである。制御部2は、通信部4を介し、例えばインターネット等の外部ネットワークNを通じて、各スマートメータ、需要者側端末装置T1及び施設管理者側端末装置T2と通信する。
【0027】
このように構成された情報処理装置1には、電力スマートメータH1、ガススマートメータH2及び、水道水スマートメータH3から出力(送信)された電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量と、需要者ID等の識別子とが、関連付けられて、記憶される。すなわち、情報処理装置1は、これら使用量データを保存及び管理するデータベースサーバとして機能を有することにより、当該データベースサーバを核としたエネルギーマネージメント分野における情報銀行等の設立又は、情報銀行等の一部の機能を担うことができる。情報処理装置1は、BI(ビジネスインテリジェンス)サーバとしての機能を有し、当該機能に含まれるドリルダウン、スライシング、ダイシング等によって、取得した使用量データを分析するものであってもよい。本実施形態においては、情報処理装置1は、使用量データを保持する情報銀行を含むものとしているがこれに限定されない。使用量データを保持する情報銀行は他のサーバ装置によって担われ、情報処理装置1は、当該他のサーバ装置から、需要者の利用許諾を得た使用量データを取得するものであってもよい。
【0028】
図3は、需要者マスタテーブル31のデータレイアウトを例示する説明図である。
図4は、使用量テーブル32のデータレイアウトを例示する説明図である。需要者マスタテーブル31及び使用量テーブル32は、情報処理装置1の記憶部3に記憶されており、情報処理装置1に実装されているRDBMS(Relational DataBase Management System)等のデータベース管理ソフトウェアにより構成される。
【0029】
需要者マスタテーブル31にて管理される項目の種類(メタデータ)は、例えば、需要者ID、氏名、住所、家族構成、建物区分、電力契約番号、ガス契約番号、水道契約番号、及び施設等の管理者(施設管理者)を含む。
【0030】
需要者IDの項目(フィールド)には、需要者を識別するための識別番号が、格納される。氏名の項目(フィールド)には、需要者の氏名が格納される。住所の項目(フィールド)には、需要者の建物Hの所在地が格納される。家族構成の項目(フィールド)には、家族の人数が格納される。更に、家族構成の項目(フィールド)には、年齢構成、男女比率、国籍、要介護状態等区分及び障害支援区分等が、格納されるものであってもよい。
【0031】
建物区分の項目(フィールド)には、需要者の建物区分が格納される。当該建物区分は、例えば、戸建、集合住宅、二世代住宅、鉄筋、木造、分譲、賃貸等の建物Hの種類を示す情報を含む。又は、需要者が居住又は入居する建物Hが、アクティブシニア向けの住宅又は施設、老人ホーム又はケアハウス等の施設である場合、当該施設の種類を示す情報を含む。
【0032】
電力契約番号の項目(フィールド)には、需要者が契約している電力小売り事業者との契約番号が格納される。ガス契約番号の項目(フィールド)には、需要者が契約しているガス小売り事業者との契約番号が格納される。水道契約番号の項目(フィールド)には、需要者が契約している水道事業者との契約番号が格納される。これら契約番号と、需要者IDとを関連付けて管理することにより、各スマートメータから出力された電力、ガス及び水道水の使用量を効率的に関連付けて、使用量データを保存することができる。
【0033】
施設等の管理者(施設管理者)の項目(フィールド)には、需要者が入居している施設の管理者(施設管理者)を示す情報が格納される。当該情報は、例えば、施設管理者の名称、住所、メールアドレス、又は施設管理者が保有又は運用するサーバのURL等を含むものであってもよい。
【0034】
使用量テーブル32にて管理される項目の種類(メタデータ)は、例えば、需要者ID、使用期間、電力使用量、ガス使用量、及び水道使用量を含む。需要者IDの項目(フィールド)には、需要者マスタテーブル31と同様に、需要者を識別するための識別番号が格納され、当該需要者IDによって使用量テーブル32は、正規化される。
【0035】
使用期間の項目(フィールド)には、電力、ガス及び水道水の使用量を測定する上で定められる単位時間の時間帯を示す時刻情報が格納される。当該単位時間は、例えば30分単位に設定することにより、1日において、48の時間帯に区分された各時間帯が、定義される。本実施形態の図示のとおり、使用期間の項目は、年月日のサブ項目と、時間帯のサブ項目とを含むものであってもよい。
【0036】
電力使用量の項目(フィールド)には、各使用期間において使用された電力量の合計値が格納される。ガス使用量の項目(フィールド)には、各使用期間において使用されたガスの使用量の合計値が格納される。水道使用量の項目(フィールド)には、各使用期間において使用された水道水の使用量の合計値が格納される。このように単位時間毎の使用期間における電力、ガス及び水道水のそれぞれの使用量を関連付けて保存することにより、各需要者における所定期間におけるこれら使用量を、当該所定期間に含まれる単位時間毎時間帯によって、マトリックス形式(縦軸:時間帯、横軸:各使用量)のデータにて保存、検索及び抽出することができる。
【0037】
図5は、情報処理装置1の制御部2に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶されているプログラムPを実行することにより、需要者マスタテーブル31又は使用量テーブル32にデータを登録する登録系機能部として機能する。登録系機能部は、使用量データ取得部201、及び利用許諾データ取得部202を含む。
【0038】
使用量データ取得部201は、需要者の建物Hに設けられた電力スマートメータH1、ガススマートメータH2及び水道水スマートメータH3から出力された使用量データを取得し、使用量データに含まれ、又は関連付けられている需要者IDに基づき、取得した使用量データを、記憶部3に記憶されている使用量テーブル32の各フィールドに格納する。当該需要者の建物Hは、例えば、需要者が入居しているアクティブシニア向けの住宅又は施設、老人ホーム又はケアハウス等の施設、マンション等の集合住宅、又は戸建の家屋等であり、個々の需要者の使用量データそれぞれを取得できるように電力スマートメータH1、ガススマートメータH2及び水道水スマートメータH3が設けられている。
【0039】
利用許諾データ取得部202は、例えば需要者側端末装置T1又は施設管理者側端末装置T2から送信された利用許諾データを取得し、当該利用許諾データに含まれ、又は関連付けられている需要者IDに基づき、需要者マスタテーブル31に格納されている需要者IDそれぞれにおける利用許諾に関する情報(利用許諾データ)を保存及び管理する。
【0040】
情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶されているプログラムPを実行することにより、需要者側端末装置T1又は施設管理者側端末装置T2にアドバイス情報等を出力する出力系機能部として機能する。出力系機能部は、対象需要者特定部203、使用量データ抽出部204、アドバイス生成部206を含み、更に使用量データに基づき宅内行動を導出する学習モデル205(宅内行動モデル)として機能する。
【0041】
対象需要者特定部203は、出力する宅内行動情報の対象となる需要者を特定するための情報(対象需要者情報)を、例えば施設管理者側端末装置T2から送信された要求内容に基づき、生成し出力する。宅内行動情報の対象となる需要者を特定するための情報とは、例えば、当該需要者をピンポイントで特定するための需要者ID、アクティブシニア向けの施設、老人ホーム又はケアハウス等、特定の施設を示す建物区分を含む。更に、当該需要者を特定するにあたり、対象となる期間を対象需要者情報に付随させて、特定するものであってもよい。
【0042】
使用量データ抽出部204は、対象需要者特定部203から出力された対象需要者情報に基づき、需要者マスタテーブル31及び使用量テーブル32を検索し、当該対象需要者情報に対応する使用量データを抽出する。使用量データ抽出部204は、抽出した使用量データを学習モデル205に出力する。
【0043】
学習モデル205は、使用量データ抽出部204が抽出した使用量データに基づき、対象需要者の宅内行動に関する情報(宅内行動情報)を出力する宅内行動モデルとして機能する。学習モデル205(宅内行動モデル)が出力する、又は学習するための回答データである宅内行動に関する情報(宅内行動情報)は、例えば、在宅・外出に関する情報、睡眠に関する情報、トイレに関する情報、入浴に関する情報、及び自炊に関する情報を含む。
【0044】
在宅・外出に関する情報は、例えば、日々における需要者の在宅した時間帯、又は外出した時間帯を含む。睡眠に関する情報は、例えば、日々における需要者の就寝時刻、起床時刻、又は睡眠時間帯を含む。トイレに関する情報は、例えば、日々における需要者のトイレ回数、トイレ所要時間、又はトイレ使用時間帯を含む。入浴に関する情報は、例えば、日々における需要者の入浴回数、入浴所要時間、又は入浴時間帯を含む。自炊に関する情報は、例えば、日々における需要者の自炊回数、自炊所要時間、又は自炊時間帯を含む。
【0045】
図6は、学習モデル205(宅内行動モデル)の生成処理に関する説明図である。情報処理装置1は、取得した使用量データ、すなわち電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を問題データとし、宅内行動情報を回答データとする教師データに基づき、ニューラルネットワークを学習することで、使用量データを入力とし、宅内行動情報を出力とする学習モデル205(宅内行動モデル)を生成する。このような教師データは、多数の需要者による電力、ガス及び水道水の使用量データと、当該需要者の宅内行動情報とを組み合わせることにより、作成することができる。学習モデル205を学習するための訓練データに含まれる問題データ及び回答データのデータセットと、当該学習モデル205を用いた際の入力データ及び出力データのデータセットとは同義であり、いずれかのデータセットにて定義されていれば、他方のデータセットにおいても、当然に適用される。
【0046】
教師データを用いて学習されたニューラルネットワーク(学習モデル205)は、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとして利用が想定される。学習モデル205は、上述のごとく制御部2(CPU等)及び記憶部3を備える情報処理装置1にて用いられるものであり、このように演算処理能力を有する情報処理装置1にて実行されることにより、ニューラルネットワークシステムが構成される。すなわち、情報処理装置1の制御部2が、記憶部3に記憶された学習モデル205からの指令に従って入力層に入力された使用量データの特徴量を抽出する演算を行い、出力層から宅内行動情報を出力するように動作する。
【0047】
入力層に入力された使用量データは、例えば、縦軸を時刻、すなわち電力、ガス及び水道水が使用された時間帯を示す複数の時刻又は時点とし、横軸をこれら電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量としたマトリックス形式のデータとするものであってもよい。このように使用量データを、複数の時点を含む例えば、1日分の所定期間の電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量によるマトリックス形式のデータとすることにより、ニューラルネットワークとして、例えばCNN(Convolution Neural Network)を用いることができる。例えばCNNを用いたニューラルネットワークは、マトリックス形式の使用量データの入力を受け付ける入力層と、宅内行動情報を出力とする出力層と、当該使用量データの特徴量を抽出する中間層とを有する。
【0048】
入力層は、使用量データに含まれるそれぞれの使用量の値の入力を受け付ける複数のニューロンを有し、入力された値を中間層に受け渡す。中間層は、例えばコンボリューション層及びプーリング層を含み、それぞれの使用量の特徴量を抽出する複数のニューロンを有し、抽出した特徴量を出力層に受け渡す。出力層は、例えば全結合層により構成され、中間層から出力された特徴量に基づいて宅内行動情報を出力する。
【0049】
なお、本実施形態では学習モデル205がCNNであるものとして説明するが、学習モデル205はCNNに限定されず、CNN以外のニューラルネットワーク、DNN(Deep Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network),LSTM(Long-short term model)、SVM(Support Vector Machine)、ベイジアンネットワーク、回帰木など、他の学習アルゴリズムで構築された学習モデル205であってよい。学習モデル205は、教師なし学習又は強化学習によって学習されるものであってもよい。
【0050】
本実施形態において、学習モデル205は、使用量データに基づき、需要者の宅内行動情報を出力するとしたが、これに限定されず、学習モデル205は、使用量データに基づき、需要者がフレイルに該当するか否かの判定結果を出力するものであってもよい。当該判定結果は、需要者に対するフレイルの評価基準に則した判定結果を含むものであってもよい。フレイルの評価基準は、例えば、体重減少、主観的な疲労感、日常生活活動量の減少、歩行速度等の身体能力の減弱、及び握力等の筋力の低下に関する基準を含むものであり、フレイル判定モデルとして機能する学習モデル205は、これら各基準に対する判定値を出力するものであってもよい。この際、フレイル判定モデル(学習モデル205)は、上述した宅内行動モデルと同様に、使用量データ(電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量)を問題データとし、フレイルの評価基準の各項目における判定値を回答データとする教師データに基づき学習される。又は、学習モデル205は、使用量データに基づき、需要者の行動タイプを出力するものであってもよい、当該行動タイプは、需要者の時系列となる宅内行動それぞれの組み合わせによる分類したタイプであり、例えば、夜型行動タイプ、非自炊型タイプ、入浴レスタイプ等を含み、これらタイプが複数組み合わされた複合タイプであってもよい。このように行動タイプ分類モデルとして機能する学習モデル205は、上述した宅内行動モデルと同様に、使用量データ(電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量)を問題データとし、需要者の行動タイプを回答データとする教師データに基づき学習される。
【0051】
アドバイス生成部206は、学習モデル205(宅内行動モデル)が出力した需要者の宅内行動に関する情報(宅内行動情報)に基づき、当該需要者に対するフレイル対策に関するアドバイス情報を生成する。アドバイス生成部206は、学習モデル205(宅内行動モデル)から例えば、1週間又は1か月等の所定の期間における日々の宅内行動情報を取得するものであってもよい。アドバイス生成部206は、取得した日単位での宅内行動情報に基づき、これら複数日における宅内行動情報における変化率又は変化傾向を導出し、当該変化率等に基づきアドバイス情報を生成するものであってもよい。この際、アドバイス生成部206は、今週のトイレ回数が、昨週と比較して所定値以上増加した場合、診療所への行くことを推奨するアドバイス情報を生成するものであってもよい。又は、アドバイス生成部206は、複数日における宅内行動情報において、継続性を有する行動情報に基づき、アドバイス情報を生成するものであってもよい。この際、アドバイス生成部206は、連続して3日以上、外出が無い場合、外出することを推奨するアドバイス情報を生成するものであってもよい。更に、アドバイス生成部206は、連続して3日以上、自炊が無い場合、自炊することを推奨するアドバイス情報を生成するものであってもよい。更に、アドバイス生成部206は、連続して3日以上、入浴が無い場合、入浴することを推奨するアドバイス情報を生成するものであってもよい。これらアドバイス情報は、フレイル対策のみならず、需要者の健康促進に寄与する健康対策としても用いられる。
【0052】
このようにアドバイス生成部206は、学習モデル205(宅内行動モデル)が出力した宅内行動情報の各項目毎に、アドバイス情報を生成するものであってもよい。上述のとおり、宅内行動情報は、例えば、在宅・外出、睡眠、トイレ、入浴、及び自炊に関する情報(項目)を含み、個々の項目それぞれに対応して、アドバイス情報を生成するものであってもよい。
【0053】
アドバイス生成部206は、例えば、宅内行動情報とアドバイス情報との対応を示すアドバイステーブル33(
図10参照)を参照することにより、個々の項目に対するアドバイス情報を生成するものであってもよい。アドバイス生成部206は、生成したアドバイス情報等を含む画面データを生成し、当該画面データを需要者側端末装置T1又は施設管理者側端末装置T2に出力する。当該アドバイステーブル33及び画面データについては、後述する。学習モデル205がフレイル判定モデルとして機能する場合、アドバイス生成部206は、当該フレイル判定モデルが出力したフレイルの評価基準に則した判定結果に基づき、フレイル対策に関するアドバイス情報を生成するものであってもよい。学習モデル205が行動タイプ分類モデルとして機能する場合、アドバイス生成部206は、当該行動タイプ分類モデルが出力した需要者の行動タイプに基づき、フレイル対策に関するアドバイス情報を生成するものであってもよい。
【0054】
図7は、情報処理装置1の制御部2による処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、例えば、情報処理装置1と通信可能に接続された需要者側端末装置T1又は施設管理者側端末装置T2から送信された要求内容に基づき、当該フローチャートの処理を開始する。
【0055】
情報処理装置1の制御部2は、対象需要者情報を取得する(S101)。情報処理装置1の制御部2は、需要者側端末装置T1又は施設管理者側端末装置T2から、例えば需要者を特定する氏名、又は需要者が入居している施設等の建物区分等の対象需要者情報を取得する。
【0056】
情報処理装置1の制御部2は、対象需要者の使用量データを取得する(S102)。情報処理装置1の制御部2は、対象需要者情報に基づき、記憶部3に記憶されている需要者マスタテーブル31及び使用量テーブル32を検索し、当該対象需要者情報の使用量データを取得する。対象需要者情報に使用期間に関する情報が含まれている場合、情報処理装置1の制御部2は、当該使用期間における使用量データを取得するものであってもよい。需要者マスタテーブル31及び使用量テーブル32は、自装置である情報処理装置1の記憶部3に記憶されている場合に限定されず、需要者マスタテーブル31及び使用量テーブル32は、情報処理装置1からアクセス可能なストレージサーバ等に記憶されており、情報処理装置1は、当該ストレージサーバにアクセスして需要者マスタテーブル31及び使用量テーブル32を参照するものであってもよい。
【0057】
情報処理装置1の制御部2は、対象需要者の宅内行動に関する情報を導出する(S103)。情報処理装置1の制御部2は、取得した対象需要者の使用量データを、例えば、学習モデル205(宅内行動モデル)に入力することにより、当該対象需要者の宅内行動に関する情報(宅内行動情報)を導出(取得)する。情報処理装置1の制御部2は、例えば日単位での使用量データを複数個、学習モデル205(宅内行動モデル)に入力することにより、日単位での宅内行動情報を複数個、導出(取得)するものであってもよい。
【0058】
情報処理装置1の制御部2は、宅内行動に基づき、フレイル対策のアドバイス情報を出力する(S104)。情報処理装置1の制御部2は、導出した日単位での対象需要者の宅内行動情報に基づき、例えば、在宅等(外出無)の所定の宅内行動が所定期間以上継続したか、トイレ使用、自炊又は入浴等の宅内行動の回数の変化率が閾値以上となったか等の判定結果に応じて、フレイル対策のアドバイス情報を出力する。この際、情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶されているアドバイステーブル33(
図10参照)を参照して、アドバイス情報を出力するものであってもよい。又は、情報処理装置1の制御部2は、導出した日単位での対象需要者の宅内行動情報に基づき行ったフレイルの評価基準に則した判定結果に応じて、フレイル対策のアドバイス情報を出力するものであってもよい。当該アドバイス情報の出力先は、需要者側端末装置T1、又は施設管理者側端末装置T2に限定されず、需要者が指定する者が用いる端末装置を出力先とするものであってもよい。当該需要者が指定する者とは、例えば、需要者の家族等の親族、知人又は友人等、需要者の健康状態を見守り又は管理する者であって、予めアドバイス表示(通知)先として需要者マスタテーブル31等に登録された者を指すものであってもよい。
【0059】
本実施形態によれば、情報処理装置1の記憶部3には、需要者が居住する住宅(自宅)又は施設等の建物Hにおける、当該需要者の使用量データ(電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量)が蓄積されており、情報処理装置1の制御部2は、使用量データの宅内行動に関する情報を導出する。当該宅内行動に関する情報は、例えば1日単位(日々)にて、自宅等の建物H内における需要者の入浴、炊事及びトイレ使用の回数、時間帯を含む。更に宅内行動に関する情報は、例えば1日単位(日々)にて、自宅等の建物Hに居る時間帯(在宅時間帯)を含むものであってもよい。更に宅内行動に関する情報は、需要者の睡眠時間帯を含むものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、これら宅内行動に関する情報に基づき、需要者がフレイル(健康と要介護の中間の状態)に該当するか否かの判定結果に応じて、当該フレイル対策に関するアドバイス情報を出力する。需要者の宅内における日々の生活行動(日常生活動作)に応じて使用される電力、ガス及び水道水の使用量を使用時間帯にて関連付けた使用量データを用いることにより、当該需要者に対し過度の負担を強いることなく、宅内行動に関する情報を導出することができる。このように導出した宅内行動に関する情報を用いることにより、情報処理装置1の制御部2は、需要者のフレイル対策に関するアドバイス情報を効率的に出力し、需要者又は当該需要者の関連者に対し、有益な情報を提供することができる。
【0060】
本実施形態によれば、情報処理装置1の制御部2は、使用時間帯にて関連付けられた電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量を入力した場合、宅内行動を出力するよう学習された学習モデル205(宅内行動モデル)に、取得した使用量データを入力することにより、当該使用量データの対象者である需要者の宅内行動に関する情報を導出する。このように、情報処理装置1の制御部2は、学習モデル205(宅内行動モデル)を用いることにより、使用量データに含まれる需要者毎の電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量に基づき、当該需要者の宅内行動に関する情報を効率的に取得することができる。
【0061】
本実施形態によれば、情報処理装置1の記憶部3には、それぞれの需要者毎に、日々の生活データ及び当該生活データに基づき導出された宅内行動に関する情報が蓄積されている。例えば、宅内行動に関する情報の導出頻度を1日単位とした場合、1日における生活データ、すなわち電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量の日単位での総計値及び使用時間帯に基づき、当該宅内行動に関する情報が導出される。これにより、情報処理装置1の記憶部3には、日々の生活データの集計結果に基づく宅内行動に関する情報が、日々の履歴としてとして保存(蓄積)されるものとなる。情報処理装置1の制御部2は、例えば、1週間又は1か月等の所定期間における宅内行動に関する情報の変化率又は変化傾向等を含む変化情報を導出し、当該変化情報に基づき、需要者のフレイル対策に関するアドバイス情報を出力する。このように需要者の宅内行動の変化(変化情報)を用いることにより、個々の需要者において経時的要素に基づく相対的な評価に基づき、適切なアドバイス情報を効率的に出力することができる。
【0062】
(実施形態2)
図8は、実施形態2(健康機器情報)に係る情報処理システムSの概要を示す説明図である。情報処理システムSを構成する主たる装置である情報処理装置1は、更に、需要者によって使用される健康機器KKと直接又は間接的に通信可能に接続され、当該健康機器KKによって測定された需要者の身体情報(バイタル情報)を、健康機器情報として取得する。
【0063】
健康機器KKは、需要者の身体情報(バイタル情報)を計測する装置であり、例えば、体重計、体脂肪率計、BMI計測器、基礎代謝率計測器、筋肉量測定器、骨量推定器、体水分率測定器、血圧計、歩数計、及び心拍計等を含む。健康機器KKは、フレイル予防対象者となる需要者に装着され、当該健康機器KKによって測定されたデータ(バイタル情報)は、例えば需要者側端末装置T1を介して情報処理装置1に送信されるものであってもよい。又は、健康機器KK自体が通信機能を有し、継続したデータ(バイタル情報)を直接的に情報処理装置1に送信するものであってもよい。又は、これら健康機器KKは、需要者側端末装置T1にインストールされた血圧計アプリ、歩数計アプリ等、需要者側端末装置T1に含まれる機能部であってもよい。
【0064】
情報処理装置1は、健康機器KKによって測定された需要者のバイタル情報(健康機器情報)を取得し、取得したバイタル情報に、当該バイタル情報の計測日時及び需要者IDを関連付けて、記憶部3に記憶する。これにより、需要者それぞれにおけるバイタル情報(健康機器情報)と使用量データとを連関して、保存管理することができる。
【0065】
図9は、情報処理装置1の制御部2に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1と同様に、対象需要者特定部203、使用量データ抽出部204、学習モデル205(宅内行動モデル)、アドバイス生成部206として機能し、更に健康機器情報取得部207として機能する。
【0066】
健康機器情報取得部207は、健康機器KKによって測定された対象需要者のバイタル情報(健康機器情報)を取得し、取得したバイタル情報に、当該バイタル情報の計測日時及び需要者IDを関連付けて、記憶部3に記憶する。
【0067】
アドバイス生成部206は、実施形態1と同様に学習モデル205(宅内行動モデル)から出力される宅内行動情報を取得し、更に健康機器情報取得部207から、需要者それぞれにおけるバイタル情報(健康機器情報)を取得する。アドバイス生成部206は、取得した宅内行動情報及びバイタル情報(健康機器情報に基づき、フレイル対策に関するアドバイス情報を生成する。アドバイス生成部206は、アドバイス情報を生成するにあたり、記憶部3に記憶されているアドバイステーブル33を参照するものであってもよい。
【0068】
図10は、アドバイステーブル33のデータレイアウトを例示する説明図である。情報処理装置1の記憶部3には、宅内行動情報とアドバイス情報との対応を示す情報が、例えばテーブル形式(アドバイステーブル33)にて記憶されている。アドバイステーブル33にて管理される項目(フィールド)は、行動種類、行動内容、健康機器情報、及びアドバイス情報等を含む。
【0069】
行動種類の項目には、例えば、在宅・外出、睡眠、トイレ、入浴、又は自炊等、宅内行動の種類を示す事項が含まれる。行動内容の項目には、対応する個々の行動種類において、使用量データ(電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量)に基づき学習モデル205(宅内行動モデル)が出力した値又は情報が、格納される。行動内容は、例えば、需要者の在宅時間帯、就寝時刻、起床時刻、トイレ回数、入浴回数、及び自炊回数等を含む。このように、行動内容の項目には、学習モデル205(宅内行動モデル)を用いることによる当該使用量データの分析又は分類結果が格納される。
【0070】
健康機器情報の項目には、健康機器KKにて計測された需要者の身体情報(バイタル情報)が格納される。当該バイタル情報は、例えば、体重計、体脂肪率計、BMI計測器、基礎代謝率計測器、筋肉量測定器、骨量推定器、体水分率測定器、血圧計、歩数計、及び心拍計等を含み、対応する行動種類に応じて定められる。
【0071】
アドバイス情報の項目には、それぞれの行動種類において、行動内容と、健康機器情報の内容(心拍数、血圧等のバイタル値)との組み合わせに応じたアドバイス情報が格納される。本実施形態におけるアドバイス情報は一例であり、アドバイス情報は、宅内行動情報及び健康機器情報(バイタル情報)のそれぞれの内容の組み合わせ数に応じた複数のアドバイス情報を含む。
【0072】
アドバイス生成部206は、アドバイステーブル33を参照することにより、学習モデル205(宅内行動モデル)が出力した宅内行動情報と、健康機器KKが計測した健康機器情報(バイタル情報)との組み合わせに基づき、アドバイス情報を生成する。アドバイス生成部206は、アドバイス情報を含むアドバイス画面を表示するための画面データを生成し、当該画面データを需要者側端末装置T1又は施設管理者側端末装置T2に出力するものであってもよい。
【0073】
学習モデル205がフレイル判定モデルとして機能する場合は、アドバイス生成部206は、当該フレイル判定モデルが出力したフレイルの評価基準に則した判定結果と、健康機器KKが計測した健康機器情報(バイタル情報)との組み合わせに基づき、に基づき、フレイル対策に関するアドバイス情報を生成するものであってもよい。学習モデル205が行動タイプ分類モデルとして機能する場合は、アドバイス生成部206は、当該行動タイプ分類モデルが出力した需要者の行動タイプと、健康機器KKが計測した健康機器情報(バイタル情報)との組み合わせに基づき、フレイル対策に関するアドバイス情報を生成するものであってもよい。
【0074】
図11は、情報処理装置1の制御部2による処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1と同様に、例えば、情報処理装置1と通信可能に接続された需要者側端末装置T1又は施設管理者側端末装置T2から送信された要求内容に基づき、当該フローチャートの処理を開始する。
【0075】
情報処理装置1の制御部2は、対象需要者情報を取得する(S201)。情報処理装置1の制御部2は、対象需要者の使用量データを取得する(S202)。情報処理装置1の制御部2は、対象需要者の宅内行動に関する情報を導出する(S203)。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1のS101からS103までの処理と同様に、S201からS203までの処理を行う。
【0076】
情報処理装置1の制御部2は、対象需要者の健康機器情報を取得する(S204)。情報処理装置1の制御部2は、健康機器KKによって測定された対象需要者のバイタル情報(健康機器情報)を取得し、取得したバイタル情報に、当該バイタル情報の計測日時及び需要者IDを関連付けて、記憶部3に記憶する。当該バイタル情報(健康機器情報)は、例えば、対象需要者の体重計、体脂肪率計、BMI計測器、基礎代謝率計測器、筋肉量測定器、骨量推定器、体水分率測定器、血圧計、歩数計、及び心拍計等を含む。
【0077】
情報処理装置1の制御部2は、宅内行動及び健康機器情報に基づき、フレイル対策のアドバイス情報を出力する(S205)。情報処理装置1の制御部2は、宅内行動及び健康機器情報に基づき、例えば、記憶部3に記憶されているアドバイステーブル33を参照することにより、フレイル対策のアドバイス情報を出力する。情報処理装置1の制御部2は、アドバイステーブル33を参照することにより、宅内行動情報にて示される行動内容と、健康機器情報の内容(値)との組み合わせに応じたアドバイス情報を特定することにより、フレイル対策のアドバイス情報を生成するものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、アドバイス情報を含むアドバイス画面(画面データ)を生成し、当該画面データを需要者側端末装置T1、施設管理者側端末装置T2、又は需要者が指定する者(家族等)が用いる端末装置に出力することにより、アドバイス画面を需要者側端末装置T1、施設管理者側端末装置T2、又は需要者が指定する者(家族等)が用いる端末装置に表示させる。アドバイス情報の出力先は、これら全ての端末装置であってもよい。
【0078】
図12は、アドバイス情報等を含むアドバイス画面の一例を説明する図である。情報処理装置1の制御部2は、アドバイス情報を含むアドバイス画面を表示するための画面データを生成し、当該画面データを需要者側端末装置T1又は施設管理者側端末装置T2に出力する。画面データを取得した需要者側端末装置T1又は施設管理者側端末装置T2は、自装置が接続又は備える表示部にアドバイス画面を表示する。これにより、需要者に対するフレイル対策に関するアドバイス、及び当該アドバイスの根拠となる使用量データ(電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量)等を、フレイル予防対象者となる需要者自身、又は当該需要者が入居するアクティブシニア向け住宅又は施設等の施設管理者に対し、効率的に報知することができる。
【0079】
アドバイス画面は、需要者情報表示エリア、使用量データ表示エリア、宅内行動情報表示エリア、健康機器情報表示エリア、及びアドバイス表示エリア等を含む。
【0080】
需要者情報表示エリアには、需要者に関する書誌事項として、需要者ID、氏名、住所、及び建物区分等の項目の情報が表示される。表示されている需要者ID及び氏名等は、需要者側端末装置T1から情報処理装置1にログインした需要者自身の需要者ID及び氏名等に相当する。又は、施設管理者側端末装置T2を用いて、アクティブシニア向け施設等の施設管理者が情報処理装置1にログインした場合、当該アクティブシニア向け施設に入居している需要者ID等が表示されるものであってもよい。
【0081】
使用量データ表示エリアには、需要者が居住する建物Hにおける電気、ガス及び水道水の使用量データが表示される。本実施形態の図示による例示としては、現時点を基準に、所定期間として1週間における日々の使用量データ(電力使用量、ガス使用量及び水道水使用量)の小計値、及び1週間での平均値が表示される。更に、変化率として、例えば前週と対比による変化率が表示される。
【0082】
宅内行動情報表示エリアには、日々の使用量データに基づき、学習モデル205(宅内行動モデル)によって出力された宅内行動情報が、表示される。宅内行動情報は、例えば、在宅・外出、睡眠、トイレ、入浴、及び自炊等のそれぞれの種類毎の値(内容)がリスト形式にて表示される。1週間での平均値においては、これら値(内容)が平均化された情報が表示される。又は、1週間における日々の値(内容)を集約することにより、例えば、所定の行動が複数日にて継続された場合、当該行動の継続日数が表示されるものであってもよい。更に、変化率として、例えば前週と対比による変化率が表示される。
【0083】
健康機器情報表示エリアには、日々の需要者の身体情報(バイタル情報)それぞれが、リスト形式にて表示される。1週間での平均値においては、これら値(内容)が平均化された情報が表示される。更に、変化率として、例えば前週と対比による変化率が表示される。
【0084】
アドバイス表示エリアには、上述のとおり、アドバイス生成部206(制御部2)によって生成されたフレイル対策に関するアドバイス情報が表示される。
【0085】
本実施形態によれば、情報処理装置1の制御部2は、需要者が用いる健康機器KKから取得した健康機器情報、及び宅内行動に関する情報に基づき、需要者のフレイル対策に関するアドバイス情報を出力するため、当該アドバイス情報の精度又は適格性を向上させることができる。
【0086】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0087】
S 情報処理システム
H 建物
H1 電力スマートメータ
H2 ガススマートメータ
H3 水道水スマートメータ
N 外部ネットワーク
K 基地局
KK 健康機器
T1 需要者側端末装置
T2 施設管理者側端末装置
1 情報処理装置
2 制御部
201 使用量データ取得部
202 利用許諾データ取得部
203 対象需要者特定部
204 使用量データ抽出部
205 学習モデル(宅内行動モデル)
206 アドバイス生成部
207 健康機器情報取得部
3 記憶部
31 需要者マスタテーブル
32 使用量テーブル
33 アドバイステーブル
P プログラム(プログラム製品)
300 記録媒体
4 通信部