(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123212
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】階段脚部固定構造
(51)【国際特許分類】
E04G 23/02 20060101AFI20230829BHJP
E04F 11/025 20060101ALI20230829BHJP
E04B 1/18 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
E04G23/02 D
E04F11/025
E04B1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027152
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森谷 遼介
【テーマコード(参考)】
2E176
2E301
【Fターム(参考)】
2E176AA03
2E176AA04
2E176BB27
2E301CC32
2E301CD01
(57)【要約】
【課題】スラブ40の破損を抑制しつつ、階段の施工性を向上することを目的とする。
【解決手段】階段脚部固定構造は、コンクリート梁30と、コンクリート梁30に支持されるスラブ40と、ササラ桁52と、ササラ桁52の脚部に設けられ、コンクリート梁30の上に載置されるとともに、両端部がコンクリート梁30の梁幅方向両側のスラブ40上へ延出するベース部材60と、を有する階段50と、ベース部材60に設けられ、コンクリート梁30の梁幅方向両側のスラブ40にせん断力をそれぞれ伝達するスタッド70と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート梁と、
前記コンクリート梁に支持されるスラブと、
ササラ桁と、前記ササラ桁の脚部に設けられ、前記コンクリート梁の上に載置されるとともに、両端部が前記コンクリート梁の梁幅方向両側の前記スラブ上へ延出するベース部材と、を有する階段と、
前記ベース部材に設けられ、前記コンクリート梁の梁幅方向両側の前記スラブにせん断力をそれぞれ伝達するせん断力伝達部材と、
を備える階段脚部固定構造。
【請求項2】
前記ベース部材は、前記スラブから浮いた状態で、前記コンクリート梁に支持される、
請求項1に記載の階段脚部固定構造。
【請求項3】
前記スラブの上面には、穴が形成され、
前記せん断力伝達部材は、前記ベース部材から下方へ延出し、前記穴に充填されたセメント系充填材に埋設される、
請求項1又は請求項2に記載の階段脚部固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段脚部固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ササラ桁階段が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-095989号公報
【特許文献2】特開2005-315033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、階段をスラブで支持する場合、スラブの耐荷重が低いと、スラブを補強筋等で補強しなければならず、施工に手間がかかる。
【0005】
本発明は、上記の事実を考慮し、スラブの破損を抑制しつつ、階段の施工性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の階段脚部固定構造は、コンクリート梁と、前記コンクリート梁に支持されるスラブと、ササラ桁と、前記ササラ桁の脚部に設けられ、前記コンクリート梁の上に載置されるとともに、両端部が前記コンクリート梁の梁幅方向両側の前記スラブ上へ延出するベース部材と、を有する階段と、前記ベース部材に設けられ、前記コンクリート梁の梁幅方向両側の前記スラブにせん断力をそれぞれ伝達するせん断力伝達部材と、を備える。
【0007】
請求項1に係る階段脚部固定構造によれば、スラブは、コンクリート梁に支持される。また、階段は、ササラ桁と、ベース部材とを有する。ベース部材は、ササラ桁の脚部に設けられ、コンクリート梁の上に載置される。これにより、階段の鉛直荷重が、主として、ササラ桁及びベース部材を介してコンクリート梁に伝達される。
【0008】
また、ベース部材の両端部は、コンクリート梁の梁幅方向両側のスラブ上へ延出する。このベース部材には、せん断力伝達部材が設けられる。せん断力伝達部材は、コンクリート梁の梁幅方向両側のスラブにせん断力をそれぞれ伝達する。つまり、地震時に、階段に作用した水平力が、主として、せん断力伝達部材を介してスラブにせん断力として伝達される。
【0009】
このように本発明では、階段の鉛直荷重をコンクリート梁で負担し、地震時に階段に作用する水平力(せん断力)をスラブで負担する。そのため、階段の鉛直荷重をコンクリート梁で負担する分、スラブの補強が不要となり、又はスラブの補強が軽減される。したがって、階段の施工性が向上する。
【0010】
また、例えば、コンクリート梁の配筋が混み合っている等の理由により、コンクリート梁に、せん断力を伝達するアンカーを打てない場合でも、地震時に、階段に作用する水平力をスラブで処理することができる。
【0011】
請求項2に記載の階段脚部固定構造は、請求項1に記載の階段脚部固定構造において、前記ベース部材は、前記スラブから浮いた状態で、前記コンクリート梁に支持される。
【0012】
請求項2に係る階段脚部固定構造によれば、ベース部材は、スラブから浮いた状態で、コンクリート梁に支持される。これにより、階段の鉛直荷重が、ベース部材を介してスラブに伝達されることがより確実に抑制される。そのため、スラブの補強が不要となり、又はスラブの補強がさらに軽減される。したがって、階段の施工性が向上する。
【0013】
請求項3に記載の階段脚部固定構造は、請求項1又は請求項2に記載の階段脚部固定構造において、前記スラブの上面には、穴が形成され、前記せん断力伝達部材は、前記ベース部材から下方へ延出し、前記穴に充填されたセメント系充填材に埋設される。
【0014】
請求項3に係る階段脚部固定構造によれば、スラブの上面には、穴が形成される。また、せん断力伝達部材は、ベース部材から下方へ延出し、穴に充填されたセメント系充填材に埋設される。これにより、地震時に、階段に作用した水平力が、ベース部材からせん断力伝達部材及びセメント系充填材を介してスラブに伝達される。
【0015】
また、本発明では、スラブに穴を形成すれば良く、スラブの所定範囲を斫る必要がない。したがって、スラブのスラブ筋の破損等が抑制されるとともに、施工性がさらに向上する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、スラブの破損を抑制しつつ、階段の施工性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る階段脚部固定構造が適用されたコンクリート梁及びスラブを示す平面図である。
【
図4】一実施形態に係る階段脚部固定構造の施工過程を示す
図3に対応する断面図である。
【
図5】一実施形態に係る階段脚部固定構造の施工過程を示す
図3に対応する断面図である。
【
図6】一実施形態に係る階段脚部固定構造の施工過程を示す
図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る階段脚部固定構造について説明する。
【0019】
(階段脚部固定構造)
図1には、本実施形態に係る階段脚部固定構造が適用されたコンクリート梁30、スラブ40、及び階段50が示されている。なお、以下では、既存のコンクリート梁30及びスラブ40に対して階段50を新設する例について説明するが、本実施形態は、新設のコンクリート梁30及びスラブ40にも適用可能である。
【0020】
(コンクリート梁)
図2に示されるように、コンクリート梁30は、一例として、地盤10に埋設された基礎梁とされている。また、コンクリート梁30は、鉄筋コンクリート造とされている。このコンクリート梁30の内部には、複数の梁主筋32及び複数のせん断補強筋34が埋設されている。
【0021】
図1に示されるように、コンクリート梁30は、隣り合う柱20に、フーチング22を介して架設されている。また、コンクリート梁30の端部には、フーチング22に応じて拡幅する水平ハンチ部30Aが設けられている。このコンクリート梁30の上には、スラブ40が設けられている。
【0022】
なお、コンクリート梁30は、鉄筋コンクリート造に限らず、鉄骨鉄筋コンクリート造でも良い。また、水平ハンチ部30Aは、適宜省略可能である。
【0023】
(スラブ)
図2に示されるように、スラブ40は、鉄筋コンクリート造とされている。また、スラブ40は、地盤10上に敷設された構造スラブとされており、構造物の最下階の床を形成している。このスラブ40は、コンクリート梁30から梁幅方向(矢印W方向)両側へ張り出している。また、スラブ40の上面は、コンクリート梁30の上面と面一とされている。このスラブ40上に、階段50が設けられている。
【0024】
なお、スラブ40の上面とコンクリート梁30の上面とは、面一に限らず、スラブ40の上面とコンクリート梁30の上面との間に段差があっても良い。
【0025】
(階段)
図1に示されるように、階段50は、鉄骨のササラ桁階段とされている。また、階段50は、既存のコンクリート梁30及びスラブ40上に新設(後施工)されている。この階段50は、一対のササラ桁52と、複数の段板54と、一対のベース部材60とを有している。
【0026】
一対のササラ桁52は、鋼板等によって形成されている。また、一対のササラ桁52は、階段50の横幅方向に互いに対向するとともに、スラブ40と、その上階の図示しないスラブ等の躯体に斜めに架け渡されている。この一対のササラ桁52には、複数の段板54が架設されている。
【0027】
複数の段板54は、鋼板等によって形成されている。これらの段板54は、一対のササラ桁52の間に階段状に配列されている。なお、一対のササラ桁52には、蹴込み板等が設けられても良い。
【0028】
(ベース部材)
一対のササラ桁52の脚部(下端部)は、コンクリート梁30の水平ハンチ部30Aから外れた本体部(一般部)30B上に配置されている。この一対のササラ桁52の脚部には、ベース部材60がそれぞれ設けられている。
【0029】
図2及び
図3に示されるように、ベース部材60は、H形鋼によって形成されている。このベース部材60は、上下方向に互いに対向する上側フランジ部62及び下側フランジ部64と、上側フランジ部62及び下側フランジ部64を接続するウェブ部66とを有している。また、ベース部材60には、複数のスチフナ68が適宜設けられている。なお、下側フランジ部64は、ベースプレートの一例である。
【0030】
図2に示されるように、ベース部材60は、コンクリート梁30と交差する方向に沿って配置されており、平面視にて、コンクリート梁30の本体部30Bを横切っている。このベース部材60の長手方向(矢印W方向)の中間部60Mは、モルタルやグラウト等の嵩上げ台42を介してコンクリート梁30の上面に載置されている。これにより、ササラ桁52の鉛直荷重Nが、ベース部材60の中間部60M及び嵩上げ台42を介してコンクリート梁30の本体部30Bに伝達される。
【0031】
ベース部材60の長手方向の両端部60Eは、コンクリート梁30の本体部30Bから梁幅方向両側のスラブ40上に延出している。また、ベース部材60の両端部60Eの下面と、スラブ40の上面との間には、隙間が形成されている。つまり、ベース部材60は、その両端部60Eがスラブ40から浮いた状態で、その中間部60Mが嵩上げ台42を介してコンクリート梁30の本体部30Bに支持されている。
【0032】
ベース部材60の長手方向の両端側には、スタッド70がそれぞれ設けられている。スタッド70は、ベース部材60の下側フランジ部64の下面から下方へ突出している。このスタッド70は、スラブ40の上面に形成された穴44に挿入されている。なお、スタッド70は、せん断力伝達部材の一例である。
【0033】
穴44は、スラブ40を厚み方向に貫通する円形状の貫通孔とされている。また、穴44の下の地盤10は、穴44を介して部分的に掘削されている。これにより、穴44の下に施工空間12が形成されている。この施工空間12には、スラブ40の下面が露出している。また、施工空間12には、型枠器具80の底型枠86(
図3参照)が配置されている。
【0034】
図3に示されるように、型枠器具80は、スラブ40の上から、穴44を介してスラブ40の下面に底型枠86を設置する器具である。この型枠器具80は、シャフト82と、複数の開閉フレーム84と、底型枠86と、シール材88と、複数のリンク90と、スライダ92とを有している。
【0035】
シャフト82は、穴44に挿入可能とされている。このシャフト82の周囲には、複数の開閉フレーム84が配置されている。複数の開閉フレーム84の一端部は、シャフト82の先端側に回転可能に連結されている。これらの開閉フレーム84には、スラブ40の下側から穴44を覆うシート状の底型枠86が取り付けられている。
【0036】
底型枠86の外周部には、スラブ40の下面と底型枠86との隙間を塞ぐシール材88が設けられている。シール材88は、底型枠86の外周部に沿った環状に形成されており、穴44を取り囲んだ状態で、スラブ40の下面に密着可能とされている。
【0037】
各開閉フレーム84の中間部には、リンク90の一端部が回転可能に連結されている。リンク90の他端部は、スライダ92に回転可能に連結されている。スライダ92は、シャフト82にスライド可能に取り付けられている。このスライダ92をシャフト82に沿ってスライドさせることにより、底型枠86が傘のように開閉可能とされている。この底型枠86によって、スラブ40に形成された穴44が、スラブ40の下面側から塞がれている。
【0038】
スラブ40の穴44には、スタッド70の先端側が挿入された状態で、モルタルやグラウト等のセメント系充填材46が充填されている。これにより、スタッド70の先端側(下端側)が、セメント系充填材46に埋設されている。このスタッド70を介して、ベース部材60とスラブ40とがせん断力を伝達可能に接合されている。
【0039】
なお、ベース部材60の両端側の下面から、セメント系充填材46を介してスラブ40に鉛直荷重Nが伝達されないように、ベース部材60の下面とセメント系充填材46の上端部との間には、隙間を形成することが好ましい。
【0040】
(階段脚部固定構造の施工方法)
次に、本実施形態に係る階段脚部固定構造の施工方法の一例について説明する。
【0041】
図4には、穴44が形成された既存のスラブ40が示されている。先ず、スラブ40に穴44を形成する前に、既存のコンクリート梁30(
図2参照)の梁幅方向両側において、図示しないレントゲン撮影装置によってスラブ40をレントゲン撮影し、図示しないスラブ筋の配置を確認する。
【0042】
次に、図示しないコア抜き装置によって、スラブ筋を避けながらスラブ40に穴44を形成する。次に、スラブ40の上から穴44に図示しない掘削具を挿入し、スラブ40の下の地盤10を掘削して施工空間12を形成する。
【0043】
次に、
図5に示されるように、スラブ40の上から、底型枠86を閉じた状態の型枠器具80を穴44に挿入する。次に、
図6に示されるように、スライダ92をシャフト82に沿って上方へスライドさせ、施工空間12内で底型枠86を開く。この状態で、シャフト82を上方へ引き上げ、底型枠86に設けられたシール材88をスラブ40の下面に密着させる。これにより、底型枠86によって、スラブ40の下面側から穴44が塞がれる。
【0044】
次に、
図2に示されるように、スラブ40の上に、図示しない仮設架台を介してベース部材60を載置する。この際、平面視にて、ベース部材60がコンクリート梁30の本体部30Bを横切るように、コンクリート梁30に対してベース部材60を位置決めするとともに、ベース部材60の両端側に設けられたスタッド70をスラブ40の穴44にそれぞれ挿入する。
【0045】
次に、ベース部材60の中間部60Mの下面と、コンクリート梁30の本体部30Bの上面との隙間にモルタル等を充填して硬化させ、嵩上げ台42を形成する。これにより、ベース部材60の中間部60Mが、嵩上げ台42を介してコンクリート梁30の本体部30Bに支持される。
【0046】
また、スタッド70が挿入されたスラブ40の穴44に、セメント系充填材46を充填して硬化させる。これにより、スタッド70がセメント系充填材46に埋設される。この結果、ベース部材60の両端側が、スタッド70を介してスラブ40にせん断力を伝達可能に接合される。その後、仮設架台を適宜撤去する。
【0047】
なお、本実施形態に係る階段脚部固定構造の施工方法は、上記に限らない。例えば、セメント系充填材46の施工は、嵩上げ台42の施工に前後して、又は嵩上げ台42の施工と並行して行っても良い。
【0048】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0049】
一般に、階段50をスラブ40で支持する場合、スラブ40の耐荷重が低いと、スラブ40が破損する可能性がある。この対策として、例えば、スラブ40の所定範囲を斫り、スラブ40に新たな補強筋等を埋設することが考えられる。しかしながら、この場合、施工に手間がかかる。また、スラブ40を斫る際に、既存のスラブ筋等が破損する可能性がある。
【0050】
これに対して本実施形態では、
図2に示されるように、階段50の一対のササラ桁52の脚部に、一対のベース部材60が設けられている。一対のベース部材60は、平面視にて、コンクリート梁30の本体部30Bを横切るように配置され、その長手方向の中間部60Mが嵩上げ台42を介してコンクリート梁30の本体部30Bに載置されている。
【0051】
これにより、階段50の鉛直荷重Nが、主として、一対のササラ桁52及び一対のベース部材60を介してコンクリート梁30の本体部30Bに伝達される。
【0052】
また、ベース部材60の長手方向の両端部60Eは、コンクリート梁30における本体部30Bの梁幅方向両側のスラブ40上へ延出している。このベース部材60の長手方向の両端側には、スタッド70がそれぞれ設けられている。スタッド70は、ベース部材60の下側フランジ部64の下面から下方へ延出し、スラブ40の穴44に充填されたセメント系充填材46に埋設されている。
【0053】
これにより、地震時に、階段50に作用した水平力Fが、主として、ベース部材60からスタッド70及びセメント系充填材46を介して、スラブ40にせん断力として伝達される。つまり、本実施形態では、階段50の鉛直荷重Nをコンクリート梁30で負担し、地震時に階段50に作用する水平力(せん断力)Fをスラブ40で負担する。
【0054】
このように本実施形態では、階段50の鉛直荷重Nをコンクリート梁30で負担するため、スラブ40の補強が不要となり、又はスラブ40の補強が軽減される。したがって、階段50の施工性が向上する。
【0055】
また、例えば、水平ハンチ部30Aのように、コンクリート梁30の配筋が混み合っている等の理由により、コンクリート梁30に、せん断力を伝達するアンカーを打てない場合でも、地震時に、階段50に作用する水平力Fをスラブ40で処理することができる。
【0056】
さらに、本実施形態では、スラブ40に穴44を形成すれば良く、スラブ40の所定範囲を斫る必要がない。したがって、スラブ40のスラブ筋の破損等が抑制されるとともに、施工性がさらに向上する。
【0057】
また、一対のベース部材60は、その両端部60Eがスラブ40の上面から浮いた状態で、その中間部60Mが嵩上げ台42を介してコンクリート梁30の本体部30Bに支持されている。
【0058】
これにより、階段50の鉛直荷重Nが、ベース部材60の両端部60Eからスラブ40に伝達されることがより確実に抑制される。そのため、スラブ40の補強を不要とし、又はスラブ40の補強をさらに軽減することができる。したがって、階段50の施工性がさらに向上する。
【0059】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0060】
上記実施形態では、スラブ40の穴44の型枠が、型枠器具80とされている。しかし、スラブ40の穴44の型枠は、型枠器具80に限らず、適宜変更可能である。また、例えば、スラブ40の下に設備室や居室等の作業スペースがある場合、スラブ40の下から在来型枠等によって穴44を塞ぐことも可能である。
【0061】
また、上記実施形態では、穴44がスラブ40を貫通しているが、穴44は、スラブ40を貫通しなくても良い。この場合、底型枠が不要となる。
【0062】
また、上記実施形態では、ベース部材60が、スラブ40から浮いた状態で、コンクリート梁30に支持されている。しかし、階段50からコンクリート梁30に伝達される鉛直荷重Nが、階段50からスラブ40に伝達される鉛直荷重Nよりも相対的に大きくなれば良く、例えば、ベース部材60をスラブ40に接触させても良いし、ベース部材60とスラブ40との間に緩衝材等を設けても良い。また、嵩上げ台42は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
【0063】
また、上記実施形態では、ベース部材60が、コンクリート梁30の本体部30B上に設けられている。しかし、ベース部材60は、コンクリート梁30の本体部30B上に限らず、水平ハンチ部30A上に設けられても良い。
【0064】
また、上記実施形態では、せん断力伝達部材が、スタッド70とされている。しかし、せん断力伝達部材は、スタッド70に限らず、例えば、スラブ40の上面から突出するアンカー等をベース部材60に取り付けても良い。
【0065】
また、上記実施形態では、ベース部材60がH形鋼によって形成されている。しかし、ベース部材は、H形鋼に限らず、例えば、I形鋼やT形鋼、角形鋼管等によって形成されても良い。また、ベース部材は、鉄骨造に限らず、例えば、鉄筋コンクリート造でも良い。
【0066】
また、上記実施形態では、コンクリート梁30が基礎梁とされている。しかし、コンクリート梁は、基礎梁に限らず、例えば、地上階等の梁でも良い。
【0067】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
30 コンクリート梁
40 スラブ
44 穴
46 セメント系充填材
50 階段
52 ササラ桁
60 ベース部材
60E 両端部(ベース部材の両端部)
70 スタッド(せん断力伝達部材)