(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123223
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】ラジオコントロールカー用のメインシャーシ及びキット、並びにラジオコントロールカー
(51)【国際特許分類】
A63H 17/267 20060101AFI20230829BHJP
A63H 17/26 20060101ALI20230829BHJP
A63H 17/39 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
A63H17/267
A63H17/26 A
A63H17/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027171
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】521445524
【氏名又は名称】株式会社ヒコテック
(74)【代理人】
【識別番号】100181582
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 直斗
(72)【発明者】
【氏名】大澤 哲彦
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA07
2C150CA08
2C150DA06
2C150DK02
2C150EB01
2C150EC03
(57)【要約】
【課題】駆動モータからその駆動モータにより駆動する車輪への振動伝達を抑制し、車輪のグリップ力を高め、操縦性を向上させることができるラジオコントロールカー用のメインシャーシ及びキット、並びにラジオコントロールカーを提供すること。
【解決手段】ラジオコントロールカー用のメインシャーシ2は、駆動モータを備える駆動ユニットを固定するための複数の第1固定部21A~21Dと、駆動モータにより駆動する車輪に連結されるサスペンション機構を固定するための複数の第2固定部22A~22Dとを有する。第1固定部21A~21Dと第2固定部22A~22Dとの間には、第1固定部21A~21Dから第2固定部22A~22Dへの駆動モータの振動伝達を抑制する振動伝達抑制部231、232が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジオコントロールカー用のメインシャーシであって、
駆動モータを備える駆動ユニットを固定するための複数の第1固定部と、
前記駆動モータにより駆動する車輪に連結されるサスペンション機構を固定するための複数の第2固定部と、を有し、
前記複数の第1固定部のうち少なくとも1つの第1固定部と、前記複数の第2固定部のうち少なくとも1つの第2固定部との間には、前記第1固定部から前記第2固定部への前記駆動モータの振動伝達を抑制する振動伝達抑制部が設けられている、ラジオコントロールカー用のメインシャーシ。
【請求項2】
前記振動伝達抑制部は、前記メインシャーシを厚み方向に貫通する貫通孔である、請求項1に記載のラジオコントロールカー用のメインシャーシ。
【請求項3】
前記振動伝達抑制部は、前記第1固定部と前記第2固定部との間を横切るように設けられている、請求項1又は2に記載のラジオコントロールカー用のメインシャーシ。
【請求項4】
前記駆動ユニットは、前記駆動モータを搭載するための駆動モータ搭載部を備え、前記複数の第1固定部の少なくとも一部には、前記駆動モータ搭載部が固定される、請求項1~3のいずれか1項に記載のラジオコントロールカー用のメインシャーシ。
【請求項5】
前記サスペンション機構は、前記サスペンション機構を前記メインシャーシに取り付けるためのサスペンション取付部を備え、前記複数の第2固定部には、前記サスペンション取付部が固定される、請求項1~4のいずれか1項に記載のラジオコントロールカー用のメインシャーシ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のラジオコントロールカー用のメインシャーシを備える、ラジオコントローラー用のキット。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載のラジオコントロールカー用のメインシャーシを備える、ラジオコントロールカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオコントロールカー用のメインシャーシ及びキット、並びにラジオコントロールカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動ユニットやサスペンション機構がメインシャーシに固定されているラジオコントロールカー(無線操縦自動車玩具)が知られている(例えば、特許文献1参照)。駆動ユニットは、車輪を駆動する駆動モータを備えている。サスペンション機構は、メインシャーシと車輪とを連結するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のラジオコントロールカーでは、メインシャーシにおける駆動ユニットの固定箇所とサスペンション機構の固定箇所とが近接していると、駆動モータの振動が駆動ユニットの固定箇所からサスペンション機構の固定箇所に伝達され、さらにサスペンション機構を介して車輪に伝達される。そのため、走行時の車輪のグリップ力が低下し、操縦性が損なわれるという問題があった。
【0005】
本発明は、駆動モータからその駆動モータにより駆動する車輪への振動伝達を抑制し、車輪のグリップ力を高め、操縦性を向上させることができるラジオコントロールカー用のメインシャーシ及びキット、並びにラジオコントロールカーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様であるラジオコントロールカー用のメインシャーシは、駆動モータを備える駆動ユニットを固定するための複数の第1固定部と、駆動モータにより駆動する車輪に連結されるサスペンション機構を固定するための複数の第2固定部とを有する。複数の第1固定部のうち少なくとも1つの第1固定部と、複数の第2固定部のうち少なくとも1つの第2固定部との間には、第1固定部から第2固定部への駆動モータの振動伝達を抑制する振動伝達抑制部が設けられている。
【0007】
上記ラジオコントロールカー用のメインシャーシによれば、駆動ユニットを固定するための第1固定部と、サスペンション機構を固定するための第2固定部との間に、振動伝達抑制部が設けられている。そのため、駆動モータの振動が第1固定部から第2固定部に伝達されることを抑制できる。
【0008】
すなわち、ラジオコントロールカーに上述したメインシャーシを用いることで、駆動モータの振動が、駆動ユニット、メインシャーシ、サスペンション機構を介して、駆動モータにより駆動する車輪に伝達されることを抑制できる。これにより、走行時の車輪のグリップ力を高め、操縦性を向上させることができる。
【0009】
上記ラジオコントロールカー用のメインシャーシにおいて、振動伝達抑制部は、メインシャーシを厚み方向に貫通する貫通孔であってもよい。この場合には、振動伝達抑制部によって第1固定部から第2固定部への駆動モータの振動伝達をより効果的に抑制できる。
【0010】
また、振動伝達抑制部は、第1固定部と第2固定部との間を横切るように設けられていてもよい。この場合には、振動伝達抑制部によって第1固定部から第2固定部への駆動モータの振動伝達をより一層抑制できる。
【0011】
また、駆動ユニットは、駆動モータを搭載する駆動モータ搭載部を備え、複数の第1固定部の少なくとも一部には、駆動モータ搭載部が固定されるようにしてもよい。この場合には、振動伝達抑制部によって第1固定部から第2固定部への駆動モータの振動伝達を抑制するという効果をより有効に発揮できる。
【0012】
また、サスペンション機構は、サスペンション機構をメインシャーシに取り付けるためのサスペンション取付部を備え、複数の第2固定部には、サスペンション取付部が固定されるようにしてもよい。この場合には、振動伝達抑制部によって第1固定部から第2固定部への駆動モータの振動伝達を抑制するという効果をより有効に発揮できる。
【0013】
本発明の他の態様であるラジオコントロールカー用のキットは、上記ラジオコントロールカー用のメインシャーシを備える。
本発明のさらに他の態様であるラジオコントロールカーは、上記ラジオコントロールカー用のメインシャーシを備える。
【0014】
上記ラジオコントロールカー用のキット及び上記ラジオコントロールカーによれば、上述したように、駆動モータからその駆動モータにより駆動する車輪への振動伝達を抑制し、車輪のグリップ力を高め、操縦性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態のラジオコントロールカーを示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態のメインシャーシを示す平面図である。
【
図3】第1実施形態のラジオコントロールカーを示す背面図である。
【
図4】第1実施形態のラジオコントロールカーを示す平面図である。
【
図6】第2実施形態のメインシャーシを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明のラジオコントロールカー用のメインシャーシ及びそれを用いたラジオコントロールカーの例である。なお、ラジオコントロールカーは、シャーシ部分とボディ部分とにより構成されるが、本実施形態では、主にシャーシ部分を図示し、ボディ部分の図示を省略している。
【0017】
図1に示すように、ラジオコントロールカー1は、ドリフト走行を目的とするドリフト用のラジオコントロールカーであり、4つの車輪(左右の前輪11A、11B、左右の後輪12A、12B)のうち、後輪12A、12Bを駆動させる後輪駆動タイプである。ラジオコントロールカー1は、平板状に形成されたメインシャーシ2を備えている。
【0018】
図2に示すように、メインシャーシ2の後端部202には、後述する駆動ユニット3(
図1)を固定するための4つの第1固定部21A~21Dが設けられている。第1固定部21A~21Dは、駆動ユニット3の固定箇所であり、ビス等で固定する固定用の孔である。
【0019】
メインシャーシ2の左側部分に配置された左前側の第1固定部21Aと左後側の第1固定部21Bとは、前後方向に並んで配置されている。メインシャーシ2の右側部分に配置された右前側の第1固定部21Cと右後側の第1固定部21Dとは、前後方向に並んで配置されている。第1固定部21A、21Cは、左右方向に並んで配置されている。第1固定部21B、21Dは、左右方向に並んで配置されている。
【0020】
メインシャーシ2の後端部202には、後述するサスペンション機構5(
図1)を固定するための4つの第2固定部22A~22Dが設けられている。第2固定部22A~22Dは、サスペンション機構5の固定箇所であり、ビス等で固定する固定用の孔である。4つの第2固定部22A~22Dは、4つの第1固定部21A~21Dの外側に配置されている。
【0021】
メインシャーシ2の左側部分に配置された左前側の第2固定部22Aと左後側の第2固定部22Bとは、前後方向に並んで配置されている。メインシャーシ2の右側部分に配置された右前側の第2固定部22Cと右後側の第2固定部22Dとは、前後方向に並んで配置されている。第2固定部22A、22Cは、左右方向に並んで配置されている。第2固定部22B、22Dは、左右方向に並んで配置されている。
【0022】
メインシャーシ2の後端部202の左側部分において、第1固定部21Aと、複数の第2固定部22A~22Dのうち第1固定部21Aに最も近接する第2固定部22Aとの間には、振動伝達抑制部231が設けられている。第1固定部21Bと、複数の第2固定部22A~22Dのうち第1固定部21Bに最も近接する第2固定部22Bとの間には、同じく振動伝達抑制部231が設けられている。
【0023】
振動伝達抑制部231は、メインシャーシ2を厚み方向に貫通するスリット状の貫通孔である。振動伝達抑制部231は、第1固定部21A、21Bと第2固定部22A、22Bとを左右に分断するように前後方向に延びるように設けられている。振動伝達抑制部231は、第1固定部21A、21Bと第2固定部22A、22Bとの間において、両者の間を斜めに横切るように、具体的には両者を結ぶ直線に直交する方向に設けられている。したがって、振動伝達抑制部231は、第1固定部21Aと第2固定部22Bとの間及び第1固定部21Bと第2固定部22Aとの間にも設けられていることになる。
【0024】
振動伝達抑制部231の前端部は、第2固定部22Aの前方側に回り込むように、外側(左側)に折れ曲がって設けられている。振動伝達抑制部231の後端部は、第2固定部22Bの後方側に回り込むように、外側(左側)に折れ曲がって設けられている。
【0025】
メインシャーシ2の後端部202の右側部分において、第1固定部21Cと、複数の第2固定部22A~22Dのうち第1固定部21Cに最も近接する第2固定部22Cとの間には、振動伝達抑制部232が設けられている。第1固定部21Dと、複数の第2固定部22A~22Dのうち第1固定部21Dに最も近接する第2固定部22Dとの間には、同じく振動伝達抑制部232が設けられている。
【0026】
振動伝達抑制部232は、メインシャーシ2を厚み方向に貫通するスリット状の貫通孔である。振動伝達抑制部232は、第1固定部21C、21Dと第2固定部22C、22Dとを左右に分断するように前後方向に延びるように設けられている。振動伝達抑制部232は、第1固定部21C、21Dと第2固定部22C、22Dとの間において、両者の間を斜めに横切るように、具体的には両者を結ぶ直線に直交する方向に設けられている。したがって、振動伝達抑制部232は、第1固定部21Cと第2固定部22Dとの間及び第1固定部21Dと第2固定部22Cとの間にも設けられていることになる。
【0027】
振動伝達抑制部232の前端部は、第2固定部22Cの前方側に回り込むように、外側(右側)に折れ曲がって設けられている。振動伝達抑制部232の後端部は、第2固定部22Dの後方側に回り込むように、外側(右側)に折れ曲がって設けられている。
【0028】
図1、
図3、
図4に示すように、メインシャーシ2の後端部202には、駆動ユニット3が搭載されている。駆動ユニット3は、駆動源からの駆動力を車輪(本実施形態では後輪12A、12B)に伝達するための部材、それらを搭載・収容する部材等で構成され、駆動源となる駆動モータ31、駆動モータ31を搭載する一対のギアケース32、33(駆動モータ搭載部)等を備えている。駆動モータ31は、リング状のモータ保持部材34に取り付けられている。モータ保持部材34は、左右に配置された一対のギアケース32、33の前端部に固定されている。駆動モータ31は、モータ保持部材34を介してギアケース32、33に搭載されている。
【0029】
図5に示すように、左側のギアケース32は、メインシャーシ2の2つの第1固定部21A、21B(
図2)において、2つのビス321を用いて固定されている。右側のギアケース33は、メインシャーシ2の2つの第1固定部21C、21D(
図2)において、2つのビス331を用いて固定されている。
【0030】
図1、
図3、
図4に示すように、駆動モータ31のシャフトには、ピニオンギア35が装着され、ピニオンギア35には、スパーギア36が噛み合うように設けられている。ピニオンギア35及びスパーギア36は、ギアケース32の外側に配置されている。ギアケース32、33の間には、3つの伝達ギア37、38、39が互いに噛み合うように収容されている。伝達ギア37は、シャフトを介してスパーギア36に連結されている。
【0031】
ギアケース32、33の後端部同士の間には、差動装置40(デファレンシャルギア)が設けられている。差動装置40は、伝達ギア39に噛み合うように設けられている。ギアケース32、33の中間部には、後述するアーム支持部材322、332が設けられている。ギアケース32、33の後端部には、後述するダンパー支持部材41が設けられている。
【0032】
差動装置40は、左右のドライブシャフト42A、42Bを介して左右の回転軸(図示略)に連結されている。左右の回転軸は、左右の回転軸保持部材43A、43Bに保持されている。左右の回転軸には、左右の後輪12A、12Bが装着されている。なお、本実施形態の差動装置40は、左右のドライブシャフト42A、42Bを直結させ、通常の差動装置としての機能を発揮させない態様(いわゆるデファレンシャルロック)としている。差動装置40は、通常の差動装置としての機能を発揮する態様としてもよい。
【0033】
駆動モータ31の駆動力は、ピニオンギア35、スパーギア36、3つの伝達ギア37~39を介して、差動装置40に伝達され、差動装置40からドライブシャフト42A、42Bを介して左右の回転軸に伝達される。このように伝達される駆動モータ31の駆動力により、左右の回転軸に装着された後輪12A、12Bが駆動(回転)するように構成されている。
【0034】
図1、
図3、
図4に示すように、メインシャーシ2の後端部202には、サスペンション機構5が設けられている。サスペンション機構5は、メインシャーシ2と後輪12A、12Bとを連結するように設けられ、サスペンション取付部(サスマウント51、52)、サスペンションアーム(ロアアーム54A、54B、アッパーアーム55A、55B)、ダンパー56A、56B、スプリング57A、57B等を備えている。
【0035】
サスペンション取付部は、サスペンション機構5をメインシャーシ2に取り付けるための部材であり、前後に配置される一対のサスマウント51、52により構成されている。サスマウント51、52は、左右方向に延びるように配置されている。サスマウント51、52は、前後方向に間隔を設けて互いに平行となるように配置されている。サスマウント51、52の両端部は、一対の連結シャフト531、532を介して連結されている。
【0036】
図5に示すように、前側のサスマウント51は、メインシャーシ2の2つの第2固定部22A、22C(
図2)において、2つのビス511を用いて固定されている。後側のサスマウント52は、メインシャーシ2の2つの第2固定部22B、22D(
図2)において、2つのビス521を用いて固定されている。
【0037】
図1、
図3、
図4に示すように、サスペンションアームは、左右一対のロアアーム54A、54Bと、左右一対のアッパーアーム55A、55Bとにより構成されている。ロアアーム54A、54Bの一方(内側)の端部は、連結シャフト531、532に連結されている。ロアアーム54A、54Bの他方(外側)の端部は、後輪12A、12Bが装着された左右の回転軸を保持する回転軸保持部材43A、43Bの下端部に連結されている。
【0038】
アッパーアーム55A、55Bは、ロアアーム54A、54Bの上側に配置され、ギアケース32、33のアーム支持部材322、332に取り付けられている。アッパーアーム55A、55Bの一方(内側)の端部は、アーム支持部材322、332に連結されている。アッパーアーム55A、55Bの他方(外側)の端部は、回転軸保持部材43A、43Bの上端部に連結されている。
【0039】
ダンパー56A、56Bは、ダンパー支持部材41の両端部に取り付けられている。ダンパー56A、56Bには、スプリング57A、57Bが取り付けられている。ダンパー56A、56Bの上端部は、ダンパー支持部材41の両端部に連結されている。ダンパー56A、56Bの下端部は、回転軸保持部材43A、43Bに連結されている。
【0040】
メインシャーシ2の前端部201には、前側構造体61が搭載されている。前側構造体61は、前輪11A、11Bとメインシャーシ2とを連結するサスペンション機構、前輪11A、11Bの角度を調整するステアリング機構等を含んで構成されている。前側構造体61と駆動ユニット3とは、一対のアッパーシャーシ621、622を介して連結されている。
【0041】
メインシャーシ2の中間部203には、前輪11A、11Bの角度を調整するステアリングサーボ63が設けられている。ステアリングサーボ63と前側構造体61とは、ステアリングアーム64を介して連結されている。
【0042】
メインシャーシ2には、バッテリーを保持するための一対のバッテリー保持部651、652が設けられている。その他、メインシャーシ2には、図示を省略したが、無線操縦信号を受信するための受信装置、駆動モータ31の回転を制御するスピードコントローラー(ESC)等が搭載される。
【0043】
次に、本実施形態のメインシャーシ2及びそれを用いたラジオコントロールカー1における作用効果について説明する。
本実施形態のメインシャーシ2によれば、駆動ユニット3を固定するための第1固定部21A~21Dと、サスペンション機構5を固定するための第2固定部22A~22Dとの間に、振動伝達抑制部231、232が設けられている。そのため、駆動モータ31の振動が、第1固定部21A~21Dから第2固定部22A~22D(特に、近接する第1固定部21Aから第2固定部22A、第1固定部21Bから第2固定部22B、第1固定部21Cから第2固定部22C、第1固定部21Dから第2固定部22D)に伝達されることを抑制できる。
【0044】
すなわち、ラジオコントロールカー1にメインシャーシ2を用いることで、駆動モータ31の振動が、駆動ユニット3、メインシャーシ2、サスペンション機構5を介して、駆動モータ31により駆動する後輪12A、12Bに伝達されることを抑制できる。これにより、走行時の後輪12A、12Bのグリップ力を高め、操縦性を向上させることができる。
【0045】
特に、ドリフト用のラジオコントロールカー1では、ドリフト走行のために敢えて滑るように固い材質(プラスチック等)のタイヤを使用し、他車と並走して技術を競い合うことから、他車との車速差が出過ぎないように皆同じタイヤを履くようにする。その中で少しでもアドバンテージを得るために車速が出るようなセッティングを行う。よって、駆動モータ31による振動が駆動輪である後輪12A、12Bに伝達されることを抑制し、走行時の後輪12A、12Bのグリップ力を高め、操縦性を向上させるという効果が非常に有効である。
【0046】
また、メインシャーシ2において、振動伝達抑制部231は、第1固定部21A(21B)と、複数の第2固定部22A~22Dのうち第1固定部21A(21B)に最も近接する第2固定部22A(22B)との間に設けられている。振動伝達抑制部232は、第1固定部21C(21D)と、複数の第2固定部22A~22Dのうち第1固定部21C(21D)に最も近接する第2固定部22C(22D)との間に設けられている。そのため、第1固定部21A~21Dから第2固定部22A~22Dへの駆動モータ31の振動伝達を抑制するという効果をより有効に発揮できる。
【0047】
また、振動伝達抑制部231、232は、メインシャーシ2を厚み方向に貫通する貫通孔である。さらに、振動伝達抑制部231、232は、第1固定部21A~21Dと第2固定部22A~22Dとの間を横切るように設けられている。そのため、第1固定部21A~21Dから第2固定部22A~22Dに振動が伝達されるためには貫通孔(振動伝達抑制部231、232)を迂回しなければならず、第1固定部21A~21Dと第2固定部22A~22Dとの間の振動伝達経路(メインシャーシ2を介して振動が伝達する距離)をより長くすることができる。これにより、振動伝達抑制部231、232によって第1固定部21A~21Dから第2固定部22A~22Dへの駆動モータ31の振動伝達をより一層、より効果的に抑制できる。
【0048】
また、駆動ユニット3は、駆動モータ31を搭載するギアケース32、33(モータ搭載部)を備え、第1固定部21A~21Dには、ギアケース32、33が固定される。そのため、振動伝達抑制部231、232によって第1固定部21A~21Dから第2固定部22A~22Dへの駆動モータ31の振動伝達を抑制するという効果をより有効に発揮できる。
【0049】
また、サスペンション機構5は、サスペンション機構5をメインシャーシ2に取り付けるためのサスマウント51、52(サスペンション取付部)を備え、第2固定部22A~22Dには、サスマウント51、52が固定される。そのため、振動伝達抑制部231、232によって第1固定部21A~21Dから第2固定部22A~22Dへの駆動モータ31の振動伝達を抑制するという効果をより有効に発揮できる。
【0050】
(第2実施形態)
本実施形態は、
図6に示すように、メインシャーシ2の構成を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0051】
メインシャーシ2の後端部202の左側部分において、第1固定部21Aと第1固定部21Aに最も近接する第2固定部22Aとの間には、振動伝達抑制部233が設けられている。第1固定部21Bと第1固定部21Bに最も近接する第2固定部22Bとの間には、振動伝達抑制部234が設けられている。
【0052】
メインシャーシ2の後端部202の右側部分において、第1固定部21Cと第1固定部21Cに最も近接する第2固定部22Cとの間には、振動伝達抑制部235が設けられている。第1固定部21Dと第1固定部21Dに最も近接する第2固定部22Dとの間には、振動伝達抑制部236が設けられている。
【0053】
振動伝達抑制部233~236は、メインシャーシ2を厚み方向に貫通するスリット状の貫通孔である。振動伝達抑制部233~236は、第1固定部21A~21Dと第2固定部22A~22Dとの間において、両者の間を斜めに横切るように、具体的には両者を結ぶ直線に直交する方向に設けられている。
【0054】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0055】
(1)上記実施形態において、ドリフト用のラジオコントロールカーの例を示したが、ツーリング用、バギー用等であってもよい。また、後輪駆動の例を示したが、前輪駆動であってもよいし、四輪駆動であってもよい。
【0056】
(2)上記実施形態において、ラジオコントロールカー用のメインシャーシ及びそれを用いたラジオコントロールカーの例を示したが、メインシャーシを備えたラジオコントロールカー用のキットであってもよい。ラジオコントロールカー用のキットとは、メインシャーシを含む、ラジオコントロールカーの一部を構成する組立部品一式のことである。
【0057】
(3)上記実施形態において、メインシャーシ2の第1固定部21A~21D及び第2固定部22A~22Dは、駆動ユニット3及びサスペンション機構5をビス321、331及びビス511、521で固定するための固定用の孔であったが、駆動ユニット及びサスペンション機構の固定が可能であればどのような態様であってもよい。
【0058】
(4)上記実施形態において、メインシャーシ2の第1固定部21A~21Dと第2固定部22A~22Dとの間に2つの振動伝達抑制部231、232を設けたり、4つの振動伝達抑制部233~236を設けたりしているが、振動伝達抑制部は、1つ以上設けられていればよい。また、複数の第1固定部すべてに対して第2固定部との間に振動伝達抑制部を設けてもよいし、一部の第1固定部に対して第2固定部との間に振動伝達抑制部を設けてもよい。また、第1固定部と第2固定部との間に設ける振動伝達抑制部の数は1つであってもよいし、複数であってもよい。また、振動伝達抑制部は、その効果を発揮するために、第1固定部とその第1固定部に近接する位置にある第2固定部との間に設けられていることが好ましく、第1固定部とその第1固定部に最も近接する位置にある第2固定部との間に設けられていることがより好ましい。
【0059】
(5)上記実施形態において、駆動モータ搭載部は、モータ保持部材34を介して駆動モータ31を搭載する一対のギアケース32、33で構成されている。すなわち、駆動モータ搭載部は、他の部材を介して間接的に駆動モータを搭載する部材で構成されているが、駆動モータを直接搭載する部材で構成されていてもよい。また、駆動モータ搭載部は、1つの部材で構成されていてもよいし、複数の部材で構成されていてもよい。
【0060】
(6)上記実施形態において、サスペンション取付部は、2つの部材(サスマウント51、52)で構成されているが、1つの部材で構成されていてもよいし、3つ以上の部材で構成されていてもよい。
【0061】
(7)上記実施形態において、振動伝達抑制部231~236は、メインシャーシ2を厚み方向に貫通する貫通孔であるが、例えば、メインシャーシの厚みを極端に薄くした部分であってもよいし、振動を抑制する弾性体等の材料で構成してもよい。また、メインシャーシに凹部を設け、その凹部内に振動を抑制する弾性体等の材料を配置してもよい。すなわち、駆動モータの振動伝達を抑制できればどのような手段を用いてもよい。
【0062】
(8)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【符号の説明】
【0063】
1…ラジオコントロールカー、2…メインシャーシ、3…駆動ユニット、5…サスペンション機構、11A、11B…前輪、12A、12B…後輪、21A~21D…第1固定部、22A~22D…第2固定部、31…駆動モータ、231~236…振動伝達抑制部