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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123229
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】電源装置及び配線器具
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027182
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 周作
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730BB43
5H730CC01
5H730DD04
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD01
5H730FF09
5H730FF19
5H730FG12
(57)【要約】
【課題】小型化を図りつつ出力電圧を制御する際の応答性を向上させる。
【解決手段】電源装置3は、トランス32と、スイッチ33と、第1制御回路36と、キャパシタ35と、電圧制御回路30と、第2制御回路37と、を備える。トランス32は、一次巻線321及び二次巻線322を有する。スイッチ33は、トランス32の一次巻線321に対して直列に接続されている。第1制御回路36は、スイッチ33のオン/オフを制御する。キャパシタ35は、トランス32の二次巻線322の両端間に接続されている。電圧制御回路30は、キャパシタ35の両端電圧Voutを規定時間内に第1電圧値から第1電圧値よりも小さい第2電圧値に制御する。第2制御回路37は、電圧制御回路30を制御する。電源装置3では、両端電圧Voutが負荷に供給される負荷電圧である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次巻線及び二次巻線を有するトランスと、
前記トランスの前記一次巻線に対して直列に接続されているスイッチと、
前記スイッチのオン/オフを制御する第1制御回路と、
前記トランスの前記二次巻線の両端間に接続されているキャパシタと、
前記キャパシタの両端電圧を規定時間内に第1電圧値から前記第1電圧値よりも小さい第2電圧値に制御する電圧制御回路と、
前記電圧制御回路を制御する第2制御回路と、を備え、
前記両端電圧が負荷に供給される負荷電圧である、
電源装置。
【請求項2】
前記電圧制御回路は、前記スイッチとしての第1スイッチとは異なり、前記トランスの前記二次巻線に対して直列に接続されている第2スイッチを有し、
前記第2制御回路は、前記第2スイッチのオン/オフを制御することで前記両端電圧を前記規定時間内に前記第1電圧値から前記第2電圧値に制御する、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記トランスの前記二次巻線を流れる二次側電流を検出する二次側電流検出回路を更に備え、
前記第2制御回路は、前記二次側電流検出回路の検出結果に基づいて前記第2スイッチのオン/オフを制御する、
請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記電圧制御回路は、前記キャパシタに蓄積された電気エネルギを放電する放電回路を有する、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項5】
前記放電回路は、定電流回路を含む、
請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記放電回路は、
抵抗器と、
前記抵抗器と基準電位との間に接続されている放電用スイッチと、を含む、
請求項4又は5に記載の電源装置。
【請求項7】
前記トランスの前記一次巻線を流れる一次側電流を検出する一次側電流検出回路を更に備え、
前記第1制御回路は、前記一次側電流検出回路の検出結果に基づいて前記スイッチのオン/オフを制御する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電源装置と、
前記トランスの前記二次巻線の両端に接続されている出力端子と、を備える、
配線器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電源装置及び配線器具に関し、より詳細には、トランスを備える電源装置、及び電源装置を備える配線器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、変圧器を備える電力変換回路が記載されている。特許文献1に記載の電力変換回路では、変圧器の二次側にバックコンバータが設けられており、変圧器の二次巻線の両端間に接続されているキャパシタの電気エネルギをバックコンバータに引き込むことで、出力電圧を制御する際の応答性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-517382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の電源装置では、出力電圧を制御する際の応答性を向上させることができるものの、変圧器(トランス)の二次側にバックコンバータが必要であることから、電源装置が大型化するという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、小型化を図りつつ出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能な電源装置及び配線器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電源装置は、トランスと、スイッチと、第1制御回路と、キャパシタと、電圧制御回路と、第2制御回路と、を備える。前記トランスは、一次巻線及び二次巻線を有する。前記スイッチは、前記トランスの前記一次巻線に対して直列に接続されている。前記第1制御回路は、前記スイッチのオン/オフを制御する。前記キャパシタは、前記トランスの前記二次巻線の両端間に接続されている。前記電圧制御回路は、前記キャパシタの両端電圧を規定時間内に第1電圧値から第2電圧値に制御する。前記第2電圧値は、前記第1電圧値よりも小さい。前記第2制御回路は、前記電圧制御回路を制御する。前記電源装置では、前記両端電圧が負荷に供給される負荷電圧である。
【0007】
本開示の一態様に係る配線器具は、前記電源装置と、出力端子と、を備える。前記出力端子は、前記トランスの前記二次巻線の両端に接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る電源装置及び配線器具によれば、小型化を図りつつ出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る電源装置の回路図である。
図2図2は、実施形態1に係る配線器具の適用例を示す概略構成図である。
図3図3は、同上の電源装置の第1動作を説明するための要部の回路図である。
図4図4は、同上の電源装置の第2動作を説明するための要部の回路図である。
図5図5は、同上の電源装置の第2動作を説明するための波形図である。
図6図6は、実施形態2に係る電源装置の回路図である。
図7図7は、同上の電源装置の動作を説明するための波形図である。
図8図8は、実施形態2の変形例に係る電源装置の要部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態1,2に係る電源装置及び配線器具について、図面を参照して説明する。下記の実施形態1,2において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の実施形態1,2で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、下記の実施形態1,2に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(実施形態1)
(1)概要
まず、実施形態1に係る電源装置3及び配線器具1の概要について、図1及び図2を参照して説明する。
【0012】
実施形態1に係る配線器具1は、図2に示すように、例えば、USBケーブル4の先端に設けられたUSBプラグ41を接続するためのUSBコンセントに適用される。すなわち、実施形態1に係る配線器具1は、USBコンセントである。配線器具1は、USBケーブル4を介して電気的に接続される外部機器2に対して電力供給、又は外部機器2が備えるバッテリの充電を行う。外部機器2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、ディスプレイ、スマートフォン及びプリンタを含む。図2に示すように、配線器具1は、例えば、建物の壁面W1に取り付けられる屋内用の配線器具である。配線器具1が設置される建物は、例えば、戸建住宅又は集合住宅の各住戸のような住宅、或いは、事務所、店舗、工場又は介護施設のような非住宅である。
【0013】
配線器具1は、配線器具1に対して電線を電気的に接続した状態で、施工面W1に取り付けられる。施工面W1は、上述したように、建物の壁面W1である。配線器具1においては、図2に示すように、筐体100の前面に形成された挿通孔110にUSBケーブル4のUSBプラグ41を差し込むことによってUSBプラグ41が電気的に接続され、配線器具1から外部機器2への電力供給等が可能になる。ここで、配線器具1は、埋込型の配線器具であって、取付枠を用いて施工面W1に取り付けられる。より具体的には、配線器具1が取り付けられた取付枠を、例えば、埋込ボックスに対して固定することにより、配線器具1が施工面W1に取り付けられる。ここでいう埋込ボックスは、前面が開放された箱状の部材であって、施工面W1に形成された施工孔から前面を前方に露出させるように、壁内に設置される。また、配線器具1では、図2に示すように、配線器具1の機能面(挿通孔110が形成されている筐体100の前面)を露出させた状態で、化粧プレート5が取り付けられている。
【0014】
実施形態1に係る配線器具1は、上述したように、USBケーブル4を介して外部機器2への電力供給等を行う機能を有する。すなわち、配線器具1は、図1に示すように、電源装置3を備える。電源装置3は、図1に示すように、トランス32と、スイッチ33と、第1制御回路36と、キャパシタ35と、電圧制御回路30と、第2制御回路37と、を備える。
【0015】
トランス32は、一次巻線321及び二次巻線322を有する。スイッチ33は、トランス32の一次巻線321に対して直列に接続されている。第1制御回路36は、スイッチ33のオン/オフを制御する。キャパシタ35は、トランス32の二次巻線322の両端間に接続されている。電圧制御回路30は、キャパシタ35の両端電圧Voutを規定時間T1(図5参照)内に第1電圧値から第2電圧値に制御する。第1電圧値は、例えば、20Vである。第2電圧値は、第1電圧値よりも小さく、例えば、5Vである。第2制御回路37は、電圧制御回路30を制御する。電源装置3では、キャパシタ35の両端電圧Voutが負荷(例えば、外部機器2)に供給される負荷電圧である。
【0016】
また、配線器具1は、図1に示すように、上述の電源装置3と、出力端子T21,T22と、を備える。出力端子T21,T22は、トランス32の二次巻線322の両端に接続されている。
【0017】
実施形態1に係る電源装置3では、上述したように、電圧制御回路30により、キャパシタ35の両端電圧Voutを規定時間T1(図5参照)内に第1電圧値から第2電圧値に制御することが可能となる。また、実施形態1に係る電源装置3では、従来例のように、バックコンバータを設けなくてもよく、電源装置3の小型化を図ることも可能となる。すなわち、実施形態1に係る電源装置3及び配線器具1によれば、電源装置3の小型化を図りつつ出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能となる。
【0018】
(2)詳細
次に、実施形態1に係る電源装置3、配線器具1、及び配線器具1に接続される複数の外部機器2の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0019】
(2.1)配線器具
実施形態1に係る配線器具1は、図1に示すように、電源装置3と、一対の入力端子T11,T12と、一対の出力端子T21,T22と、を備える。また、配線器具1は、電源装置3を収納する筐体100(図2参照)を更に備える。
【0020】
筐体100は、例えば、上下方向に長い直方体状に形成されている。筐体100の一面(前面)には、上述したように、複数(図示例では2つ)の挿通孔110が形成されている。複数の挿通孔110の各々における正面視の形状は矩形状である。
【0021】
一対の入力端子(受電端子)T11,T12は、商用電源からの交流電力を電源装置3に入力するための端子である。一対の入力端子T11,T12は、例えば、筐体100の他面(後面)側に設けられている。一対の入力端子T11,T12は、例えば、いわゆる速結端子である。
【0022】
一対の出力端子(給電端子)T21,T22は、電源装置3で生成された直流電力を外部機器2に出力するための端子である。一対の出力端子T21,T22は、後述のトランス32の二次巻線322の両端にそれぞれ接続されている。一対の出力端子T21,T22は、例えば、外部機器2からのUSBケーブル4のUSBプラグ41(図2参照)が接続されるUSBソケットを構成する。すなわち、USBソケットは、一対の出力端子T21,T22を有する。USBソケットは、例えば、USB Type-Cのソケットである。また、USBソケットは、一対の出力端子T21,T22に加えて、少なくとも1つの信号端子を有する。信号端子は、例えば、USBケーブル4を介して接続された外部機器2と通信するための端子である。信号端子は、例えば、第2制御回路37に接続されている。
【0023】
(2.2)電源装置
電源装置3は、図1に示すように、電圧制御回路30と、整流回路31と、トランス32と、スイッチ33と、キャパシタ35と、第1制御回路36と、第2制御回路37と、を備える。また、電源装置3は、複数(図示例では2つ)の電流検出回路38,39を更に備える。また、電源装置3は、スナバ回路44と、フィードバック回路45と、を更に備える。電源装置3は、例えば、絶縁型のDC/DCコンバータを含む。
【0024】
整流回路31は、例えば、4つのダイオードがブリッジ接続された全波整流回路である。整流回路31は、一対の入力端子T11,T12を介して入力される交流電圧を直流電圧に整流(変換)する。第1端子101と基準電位との間に接続されているキャパシタ40は、整流回路31で整流された直流電圧による電気エネルギが蓄積される。第1端子101は、例えば、整流回路31で生成された直流電圧のうち高圧側の電位に対応する端子である。また、基準電位は、例えば、グランド電位である。
【0025】
トランス32は、一次巻線321及び二次巻線322を有する。一次巻線321の第1端(巻き始め)は、第1端子101に接続されている。一次巻線321の第2端(巻き終わり)は、後述のスイッチ33のドレインに接続されている。一次巻線321と二次巻線322との巻き数比は、例えば、1:1である。
【0026】
二次巻線322の第1端(巻き始め)は、後述の電圧制御回路30としてのスイッチ34のドレインに接続されている。二次巻線322の第2端(巻き終わり)は、スイッチ46を介して出力端子T21に接続されている。スイッチ46は、外部機器2に対して直流電力を供給する際にオンになる。出力端子T22は、後述の電流検出回路39を介してスイッチ34のソースに接続されている。また、二次巻線322の両端(第1端及び第2端)間には、後述のキャパシタ35が接続されている。
【0027】
スイッチ33は、例えば、FET(Field Effect Transistor)である。スイッチ33のドレインは、上述したように、一次巻線321の第2端に接続されている。スイッチ33のソースは、後述の電流検出回路38を介して第2端子102に接続されている。第2端子102は、整流回路31で生成された直流電圧のうち低圧側の電位(ここではグランド電位)に対応する端子である。また、スイッチ33のゲートは、第1制御回路36に接続されている。すなわち、スイッチ33は、第1端子101と第2端子102とを結ぶ経路において、トランス32の一次巻線321に対して直列に接続されている。本実施形態では、スイッチ33が第1スイッチを構成する。
【0028】
電圧制御回路30は、図1に示すように、スイッチ34を有する。スイッチ34は、キャパシタ35の両端間において、トランス32の二次巻線322に対して直列に接続されている。すなわち、電圧制御回路30は、スイッチ33としての第1スイッチとは異なり、トランス32の二次巻線322に対して直列に接続されている第2スイッチ(スイッチ34)を有する。このように、本実施形態では、電圧制御回路30(スイッチ34)は、トランス32の二次巻線322に接続されている。
【0029】
スイッチ34は、スイッチ33と同様、例えば、FETである。本実施形態では、スイッチ34のオン/オフを制御することにより、キャパシタ35に蓄積された電気エネルギを、トランス32を介してキャパシタ40に回生することが可能となる。これにより、キャパシタ35の両端電圧Voutを規定時間T1内に第1電圧値から第2電圧値に制御することが可能となる。第1電圧値は、例えば、20Vである。第2電圧値は、例えば、5Vである。すなわち、第2電圧値は、第1電圧値よりも小さい。
【0030】
スイッチ34のドレインは、上述したように、トランス32の二次巻線322の第1端に接続されている。スイッチ34の第2端は、電流検出回路39の抵抗器391を介して出力端子T22に接続されている。また、スイッチ34のゲートは、第2制御回路37に接続されている。すなわち、スイッチ34は、第2制御回路37によってオン/オフが制御される。
【0031】
キャパシタ35は、例えば、アルミ電解キャパシタである。キャパシタ35は、上述したように、トランス32の二次巻線322の両端間に接続されている。より詳細には、キャパシタ35のプラス側の端子が二次巻線322の第2端に接続され、キャパシタ35のマイナス側の端子が二次巻線322の第1端に接続されている。言い換えると、キャパシタ35は、トランス32の二次巻線322に対して並列に接続されている。
【0032】
第1制御回路36は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、第1制御回路36として機能する。プログラムは、ここでは第1制御回路36のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。第1制御回路36は、例えば、IC(Integrated Circuit)からなる。
【0033】
第1制御回路36は、上述のスイッチ33のオン/オフを制御する。この場合、第1制御回路36は、トランス32の一次巻線321を流れる一次側電流I11(図3参照)、すなわち電流検出回路38の検出結果に基づいてスイッチ33のオン/オフを制御する。
【0034】
第2制御回路37は、上述の第1制御回路36と同様、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、第2制御回路37として機能する。プログラムは、ここでは第2制御回路37のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。第2制御回路37は、例えば、ICからなる。
【0035】
第2制御回路37は、上述のスイッチ34のオン/オフを制御する。すなわち、第2制御回路37は、電圧制御回路30を制御する。この場合において、第2制御回路37は、トランス32の二次巻線322を流れる二次側電流I2(図4参照)、すなわち電流検出回路39の検出結果に基づいて、スイッチ34のオン/オフを制御する。このように、第2制御回路37は、スイッチ34のオン/オフを制御することで、キャパシタ35の両端電圧Voutを規定時間T1(図5参照)内に第1電圧値から第2電圧値に制御する。また、第2制御回路37は、スイッチ46のオン/オフ、及び可変抵抗器VR1の抵抗値を制御する。さらに、第2制御回路37は、上述の外部機器2との通信機能を有する。規定時間T1は、例えば、USB PDで規定されている時間(例えば、280ms)である。
【0036】
ところで、本実施形態では、第1制御回路36と第2制御回路37とは同期している。そして、第1制御回路36と第2制御回路37とは、外部機器2への直流電力の生成時には、スイッチ33とスイッチ34とが同時にオンにならないように、スイッチ33のオフタイミングとスイッチ34のオンタイミングとを制御する。また、第1制御回路36と第2制御回路37とは、キャパシタ40への電力回生時には、スイッチ33とスイッチ34とが同時にオンにならないように、スイッチ33のオンタイミングとスイッチ34のオフタイミングとを制御する。
【0037】
電流検出回路38は、トランス32の一次巻線321を流れる一次側電流I1(図3及び図4参照)を検出する。電流検出回路38は、図1に示すように、抵抗器381を有する。抵抗器381は、スイッチ33のソースと第2端子102との間に接続されている。電流検出回路38は、抵抗器381を流れる一次側電流I1に対応する電圧信号を第1制御回路36に出力する。本実施形態では、電流検出回路38が一次側電流検出回路を構成する。
【0038】
電流検出回路39は、トランス32の二次巻線322を流れる二次側電流I2(図3及び図4参照)を検出する。電流検出回路39は、図1に示すように、抵抗器391を有する。抵抗器391は、スイッチ34のソースとキャパシタ35のマイナス側の端子との間に接続されている。電流検出回路39は、抵抗器391を流れる二次側電流I2に対応する電圧信号を第2制御回路37に出力する。本実施形態では、電流検出回路39が二次側電流検出回路を構成する。
【0039】
スナバ回路44は、図1に示すように、抵抗器R1と、キャパシタC1と、ダイオードD1と、を含む。スナバ回路44は、トランス32の一次巻線321の両端(第1端及び第2端)間に接続されている。具体的には、トランス32の一次巻線321の両端間には、キャパシタC1とダイオードD1との直列回路が接続されている。より詳細には、キャパシタC1の第1端がトランス32の一次巻線321の第1端に接続され、キャパシタC1の第2端がダイオードD1のカソードに接続されている。また、ダイオードD1のアノードは、トランス32の一次巻線321の第2端に接続されている。さらに、抵抗器R1の第1端は、トランス32の一次巻線321の第1端に接続され、抵抗器R1の第2端は、キャパシタC1とダイオードD1との接続点に接続されている。スナバ回路44は、スイッチ33のオフ時に生じる過渡的な高電圧がスイッチ33のソースに印加されることを抑制する。
【0040】
フィードバック回路45は、図1に示すように、複数(図示例では3つ)の抵抗器R2~R4と、可変抵抗器VR1と、フォトカプラPC1と、シャントレギュレータSR1と、を含む。2つの抵抗器R2,R3は、トランス32の二次巻線322の第2端(巻き終わり)と基準電位(グランド電位)との間に直列に接続されている。より詳細には、2つの抵抗器R2,R3は、二次巻線322の第2端側が抵抗器R2、グランド側が抵抗器R3となるように、互いに直列に接続されている。可変抵抗器VR1は、抵抗器R2と抵抗器R3との接続点と基準電位(グランド電位)との間に接続されている。
【0041】
抵抗器R4とフォトカプラPC1の発光素子とシャントレギュレータSR1とは、トランス32の二次巻線322の第2端と基準電位(グランド電位)との間に直列に接続されている。より詳細には、抵抗器R4とフォトカプラPC1の発光素子とシャントレギュレータSR1とは、二次巻線322の第2端側から、抵抗器R4、フォトカプラPC1の発光素子、シャントレギュレータSR1に順番に互いに直列に接続されている。言い換えると、抵抗器R4とフォトカプラPC1の発光素子とシャントレギュレータSR1とは、2つの抵抗器R2,R3と並列に接続されている。また、シャントレギュレータSR1の制御端子は、抵抗器R2と抵抗器R3との接続点に接続されている。
【0042】
フォトカプラPC1の受光素子は、第1制御回路36と基準電位(グランド電位)との間に接続されている。これにより、フォトカプラPC1を介して後述のフィードバック信号が第1制御回路36に入力される。
【0043】
フィードバック回路45は、一対の出力端子T21,T22を介して電源装置3に接続されている外部機器2への印加電圧、つまりキャパシタ35の両端電圧Voutが閾値電圧を超えている場合に、第1制御回路36に対してフィードバック信号(電圧信号)を出力する。閾値電圧は、可変抵抗器VR1の抵抗値を調整することにより任意の電圧値に調整することが可能となる。すなわち、可変抵抗器VR1の抵抗値を調整することにより、外部機器2に印加する直流電圧を目標電圧に設定することが可能となる。第2制御回路37は、目標電圧が外部機器2からの要求電圧となるように可変抵抗器VR1の抵抗値を調整(制御)する。
【0044】
ここで、第1制御回路36は、フィードバック回路45からのフィードバック信号に基づいて、スイッチ33のオンデューティを制御する。また、第1制御回路36は、トランス32を介して外部機器2に直流電力を供給する際に、電流検出回路38の検出結果(一次側電流I1)に基づいてスイッチ33のオフタイミングを制御する。また、第2制御回路37は、トランス32を介してキャパシタ40に電力を回生する際に、電流検出回路39の検出結果(二次側電流I2)に基づいてスイッチ34のオフタイミングを制御する。
【0045】
(2.3)外部機器
複数の外部機器2は、上述したように、USBケーブル4を介して配線器具1に接続可能である。そして、複数の外部機器2の各々は、USBケーブル4を介して配線器具1の電源装置3からの給電が可能であると共に、電源装置3の第2制御回路37と通信が可能である。複数の外部機器2は、上述したように、例えば、パーソナルコンピュータ、ディスプレイ、スマートフォン及びプリンタを含む。複数の外部機器2の各々は、一対の受電端子と、少なくとも1つの信号端子と、を備える。一対の受電端子は、配線器具1から供給される直流電力を受けるための端子である。一対の受電端子は、USBケーブル4を介して配線器具1の一対の出力端子T21,T22に接続される。信号端子は、電源装置3の第2制御回路37と通信するための端子である。信号端子は、USBケーブル4を介して配線器具1の信号端子に接続される。
【0046】
(2.4)USBケーブル
複数のUSBケーブル4の各々は、配線器具1に対して外部機器2を接続するためのケーブルである。複数のUSBケーブル4の各々は、2つのUSBプラグ41,42と、ケーブル43と、を備える。
【0047】
USBプラグ41は、例えば、配線器具1のUSBソケットに接続可能である。USBプラグ41は、第1端子と、第2端子と、を有する。第1端子は、配線器具1の出力端子T21,T22に対応する端子である。すなわち、USBプラグ41は、一対の第1端子を有する。第2端子は、配線器具1の信号端子に対応する端子である。
【0048】
USBプラグ42は、例えば、外部機器2のUSBソケットに接続可能である。USBプラグ42は、第1端子と、第2端子と、を有する。第1端子は、外部機器2の受電端子に対応する端子である。すなわち、USBプラグ42は、一対の第1端子を有する。第2端子は、外部機器2の信号端子に対応する端子である。
【0049】
ケーブル43は、USBプラグ41とUSBプラグ42とを接続するケーブルである。すなわち、2つのUSBプラグ41,42は、ケーブル43の両端に設けられている。ケーブル43は、第1芯線と、第2芯線と、第3芯線と、を含む。第1芯線は、配線器具1の出力端子T21と外部機器2の一方の受電端子とを接続する。第2芯線は、配線器具1の出力端子T22と外部機器2の他方の受電端子とを接続する。第3芯線は、配線器具1の信号端子と外部機器2の信号端子とを接続する。
【0050】
USBケーブル4のUSBプラグ41を配線器具1のUSBソケットに接続し、USBケーブル4のUSBプラグ42を外部機器2のUSBソケットに接続することによって、配線器具1から外部機器2への給電が可能となる。また、USBケーブル4のUSBプラグ41を配線器具1のUSBソケットに接続し、USBケーブル4のUSBプラグ42を外部機器2のUSBソケットに接続することによって、配線器具1と外部機器2との間で通信が可能となる。
【0051】
(3)動作
次に、電源装置3の動作について、図3図5を参照して説明する。図3及び図4では、図示を簡略化するために、整流回路31、スイッチ46、スナバ回路44及びフィードバック回路45の図示を省略している。
【0052】
(3.1)第1動作
まず、電源装置3の第1動作について、図3を参照して説明する。第1動作は、外部機器2に供給する直流電力を生成する動作である。
【0053】
第1制御回路36は、スイッチ33をオンにする。このとき、キャパシタ40に蓄積されている電気エネルギによって、キャパシタ40→トランス32の一次巻線321→スイッチ33→電流検出回路38の経路で一次側電流I11が流れる。これにより、トランス32の一次巻線321に電気エネルギが蓄積される。第1制御回路36は、電流検出回路38の検出結果に基づいて、一次側電流I11が第1電流値に達するタイミングでスイッチ33をオフにする。スイッチ33がオフになると、トランス32の一次巻線321に蓄積された電気エネルギが二次巻線322に伝達される。すなわち、第1制御回路36は、電流検出回路38の検出結果に基づいて、トランス32の一次巻線321を流れる一次側電流I11が所望の電流値(第1電流値)となるようにスイッチ33のオン/オフを制御する。この場合において、第1制御回路36は、外部機器2への出力電圧の大きさに応じて、スイッチ33のオンデューティを制御する。例えば、出力電圧が20Vの場合には、第1制御回路36は、スイッチ33のオンデューティを相対的に大きくする。また、出力電圧が5Vの場合には、第1制御回路36は、スイッチ33のオンデューティを相対的に小さくする。
【0054】
第2制御回路37は、スイッチ33がオフになっているタイミングでスイッチ34をオンにする。このとき、トランス32の二次巻線322に伝達された電気エネルギによって、二次巻線322→キャパシタ35→電流検出回路39→スイッチ34の経路で二次側電流I21が流れる。これにより、キャパシタ35に電気エネルギが蓄積される。第2制御回路37は、電流検出回路39の検出結果に基づいて、二次側電流I21がゼロになるタイミングでスイッチ34をオフにする。キャパシタ35に蓄積された電気エネルギは、スイッチ34がオフで、かつスイッチ46(図1参照)がオンになっているタイミングで、一対の出力端子T21,T22から出力される。
【0055】
電源装置3では、第1動作において、スイッチ33をオン/オフする上述の動作と、スイッチ34をオン/オフする上述の動作とを交互に繰り返す。
【0056】
(3.2)第2動作
次に、電源装置3の第2動作について、図4及び図5を参照して説明する。第2動作は、キャパシタ35の両端電圧Voutを第1電圧値(20V)から第2電圧値(5V)に制御するために、キャパシタ35に蓄積させた電気エネルギを、トランス32を介してキャパシタ40に回生させる動作である。
【0057】
第2制御回路37は、時刻t1のときに、スイッチ34をオンにする。このとき、キャパシタ35→トランス32の二次巻線322→スイッチ34→電流検出回路39の経路で二次側電流I22が流れる。これにより、トランス32の二次巻線322に電気エネルギが蓄積される。第2制御回路37は、電流検出回路39の検出結果に基づいて、二次側電流I22が第2電流値となるタイミングでスイッチ34をオフにする。スイッチ34がオフになると、トランス32の二次巻線322に蓄積された電気エネルギが一次巻線321に伝達される。
【0058】
第1制御回路36は、スイッチ34がオフになっているタイミング、すなわち時刻t2のときに、スイッチ33をオンにする。このとき、トランス32の一次巻線321→キャパシタ40→電流検出回路38→スイッチ33の経路で一次側電流I12が流れる。これにより、キャパシタ40に電気エネルギが蓄積される。第1制御回路36は、電流検出回路38の検出結果に基づいて、一次側電流I12がゼロになるタイミング、すなわち時刻t3のときに、スイッチ33をオフにする。
【0059】
時刻t3以降においても、スイッチ34をオン/オフする上述の動作と、スイッチ33をオン/オフする上述の動作とを交互に繰り返す。その結果、時刻t1からの規定時間T1内で、キャパシタ35の両端電圧Vout、すなわち外部機器2への出力電圧を、第1電圧値(20V)から第2電圧値(5V)に制御することが可能となる。
【0060】
ここで、負荷電流、すなわち外部機器2で消費される電流が相対的に大きい場合、キャパシタ35に蓄積された電気エネルギをトランス32の一次側に回生させなくても、キャパシタ35の両端電圧Voutを、規定時間T1内に第1電圧値から第2電圧値に制御することが可能となる。一方、負荷電流が相対的に小さい場合、キャパシタ35に蓄積された電気エネルギをトランス32の一次側に回生させなければ、キャパシタ35の両端電圧Voutを、規定時間T1内に第1電圧値から第2電圧値に制御することができない。したがって、少なくとも負荷電流が相対的に小さい場合に、キャパシタ35に蓄積された電気エネルギをトランス32の一次側に回生させればよい。
【0061】
(4)効果
実施形態1に係る電源装置3では、電圧制御回路30(スイッチ34)により、キャパシタ35の両端電圧Voutを規定時間T1内に第1電圧値(20V)から第2電圧値(5V)に制御することが可能となる。また、実施形態1に係る電源装置3では、電圧制御回路30としてのスイッチ34を設けるだけでよく、バックコンバータを設ける場合に比べて電源装置3の小型化を図ることが可能となる。すなわち、実施形態1に係る電源装置3によれば、小型化を図りつつ出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能となる。また、実施形態1に係る電源装置3では、キャパシタ35に蓄積された電気エネルギをトランス32の一次側に回生することによりキャパシタ35の両端電圧Voutを第1電圧値から第2電圧値に制御しており、発熱を抑えることも可能となる。
【0062】
実施形態1に係る電源装置3では、第2制御回路37は、電流検出回路39の検出結果(二次側電流I2)に基づいて、スイッチ34(第2スイッチ)のオン/オフを制御する。これにより、キャパシタ35の両端電圧Voutを、第1電圧値から第2電圧値に精度よく制御することが可能となる。
【0063】
実施形態1に係る電源装置3では、第1制御回路36は、電流検出回路38の検出結果(一次側電流I1)に基づいて、一次側電流I1が所望の電流値となるように、スイッチ33のオン/オフを制御する。これにより、キャパシタ35の両端電圧Vout、すなわち外部機器2への出力電圧を所望の電圧値(例えば、第1電圧値)に制御することが可能となる。
【0064】
実施形態1に係る配線器具1は、上述の電源装置3を備えているので、小型化を図りつつ出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能となる。
【0065】
(5)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0066】
実施形態1では、配線器具1がUSBコンセントであるが、配線器具1は、例えば、コンセントタップ、壁コンセント、什器用コンセント、OAタップ(電源タップ)及び充電アダプタ(ACアダプタ)のいずれかであってもよい。
【0067】
実施形態1では、配線器具1が備えるソケットがUSB Type-Cのソケットであるが、例えば、USB Type-Aのソケットであってもよいし、USB Type-Bのソケットであってもよい。また、実施形態1では、外部機器2が備えるソケットがUSB Type-Cのソケットであるが、例えば、USB Type-Aのソケットであってもよいし、USB Type-Bのソケットであってもよい。
【0068】
実施形態1では、キャパシタ35がアルミ電解キャパシタであるが、キャパシタ35は、アルミ電解キャパシタに限らず、例えば、電気二重層キャパシタ(EDLC;Electric Double-Layer Capacitor)であってもよい。
【0069】
実施形態1では、第1電圧値が20Vであり、第2電圧値が5Vである。これに対して、第2電圧値が5Vである場合、第1電圧値は、例えば、9Vであってもよいし、15Vであってもよい。また、第2電圧値が9Vである場合、第1電圧値は、例えば、15Vであってもよいし、20Vであってもよい。
【0070】
実施形態1では、トランス32の一次側に設けられたスイッチ33を第1制御回路36で制御し、トランス32の二次側に設けられたスイッチ34を第2制御回路37で制御している。これに対して、スイッチ33,34を1つの制御回路で制御するように構成されていてもよい。
【0071】
負荷電流、すなわち外部機器2への出力電流を検出するように構成されていてもよい。これにより、外部機器2への出力電圧、すなわちキャパシタ35の両端電圧Voutの変化を予測することが可能となる。
【0072】
(実施形態2)
実施形態2に係る電源装置3A及び配線器具1Aについて、図6図8を参照して説明する。実施形態2に係る電源装置3A及び配線器具1Aに関し、上述の実施形態1に係る電源装置3及び配線器具1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
実施形態2に係る電源装置3Aでは、図6に示すように、電圧制御回路30Aが放電回路42を有している点で、実施形態1に係る電源装置3と相違する。また、実施形態2に係る電源装置3Aでは、図6に示すように、逆流防止用のダイオードD2が設けられている点で、実施形態1に係る電源装置3と相違する。
【0074】
(1)構成
実施形態2に係る配線器具1Aは、図6に示すように、電源装置3Aと、一対の入力端子T11,T12と、一対の出力端子T21,T22と、を備える。
【0075】
実施形態2に係る電源装置3Aは、図6に示すように、電圧制御回路30と、整流回路31と、トランス32と、スイッチ33と、キャパシタ35と、第1制御回路36と、第2制御回路37と、を備える。また、電源装置3Aは、複数(図示例では2つ)の電流検出回路38,39を更に備える。また、電源装置3Aは、スナバ回路44と、フィードバック回路45と、を更に備える。
【0076】
電圧制御回路30は、図6に示すように、放電回路42を有する。放電回路42は、キャパシタ35に蓄積された電気エネルギを放電するための回路である。放電回路42は、抵抗器421と、スイッチ422と、を含む。スイッチ422は、抵抗器421と基準電位(グランド電位)との間に接続されている。すなわち、実施形態2に係る電源装置3Aでは、スイッチ422が放電用スイッチを構成する。
【0077】
(2)動作
次に、実施形態2に係る電源装置3Aにおいて、キャパシタ35の両端電圧Voutを、第1電圧値(20V)から第2電圧値(5V)に制御する動作について、図7を参照して説明する。
【0078】
時刻t1以前において、キャパシタ35の両端電圧Voutは第1電圧値(20V)である。
【0079】
第2制御回路37は、時刻t1のときに、スイッチ422をオンにする。このとき、抵抗器421に放電電流Id(図6参照)が流れることで、キャパシタ35の両端電圧Voutが低下する。そして、第2制御回路37は、キャパシタ35の両端電圧Voutが第2電圧値(5V)になるタイミングでスイッチ422をオフにする。
【0080】
このように、実施形態2に係る電源装置3Aによれば、キャパシタ35の両端電圧Voutを、時刻t1からの規定時間T1内に第1電圧値(20V)から第2電圧値(5V)に制御することが可能となる。また、実施形態2に係る電源装置3Aによれば、抵抗器421及びスイッチ422からなる放電回路42を設けるだけでよく、バックコンバータを設ける場合に比べて小型化を図ることが可能となる。すなわち、実施形態2に係る電源装置3Aによれば、小型化を図りつつ出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能となる。
【0081】
また、実施形態2に係る電源装置3Aによれば、簡単な回路構成で放電回路42を実現することが可能となる。
【0082】
(3)変形例
上述の実施形態2では、放電回路42が抵抗器421とスイッチ422とを含む構成であるが、放電回路42は、図8に示すように、定電流回路420を含んでいてもよい。以下、変形例に係る電源装置3Aについて、図8を参照して説明する。
【0083】
変形例3に係る電源装置3Aでは、放電回路42は、定電流回路420を含む。定電流回路420は、複数(図示例では2つ)トランジスタ423,424と、複数(図示例では2つ)抵抗器425,426と、を含む。また、電源装置3Aは、スイッチ47を更に備える。
【0084】
スイッチ47は、例えば、トランジスタである。スイッチ47のエミッタは、図示を省略しているが、キャパシタ35のプラス側の端子、すなわちトランス32の二次巻線322の第2端(巻き終わり)に接続されている。スイッチ47のベースは、第2制御回路37に接続されている。スイッチ47のコレクタは、第1直列回路及び第2直列回路に接続されている。第1直列回路は、トランジスタ423と抵抗器426との直列回路である。第2直列回路は、抵抗器425とトランジスタ424との直列回路である。第1直列回路と第2直列回路とは、スイッチ47のコレクタと基準電位(グランド電位)との間において互いに並列に接続されている。
【0085】
このように構成された定電流回路420によれば、スイッチ47をオンにすることで放電電流が流れて、キャパシタ35の両端電圧Voutを、規定時間T1(図7参照)内に第1電圧値(20V)から第2電圧値(5V)に制御することが可能となる。より詳細には、定電流回路420は、キャパシタ35の両端電圧Voutの電圧値と目標電圧値(例えば、第2電圧値)との電圧差に応じて電流値を変化させる。このように電流値を変化させることで、発熱を抑えることが可能となる。
【0086】
変形例に係る電源装置3Aによれば、スイッチ47をオンにして定電流回路420にて放電することにより、キャパシタ35の両端電圧Voutを、規定時間T1内に第1電圧値(20V)から第2電圧値(5V)に制御することが可能となる。また、変形例3に係る電源装置3Aによれば、バックコンバータを設ける場合に比べて小型化を図ることが可能となる。すなわち、変形例に係る電源装置3Aによれば、小型化を図りつつ出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能となる。
【0087】
また、変形例に係る電源装置3Aによれば、上述の実施形態2に係る電源装置3Aのように抵抗器421により放電する場合に比べて、発熱を抑えることが可能となる。
【0088】
定電流回路420の構成は一例であって、定電流を流すことが可能であれば他の構成であってもよい。
【0089】
(態様)
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
【0090】
第1の態様に係る電源装置(3;3A)は、トランス(32)と、スイッチ(33)と、第1制御回路(36)と、キャパシタ(35)と、電圧制御回路(30;30A)と、第2制御回路(37)と、を備える。トランス(32)は、一次巻線(321)及び二次巻線(322)を有する。スイッチ(33)は、トランス(32)の一次巻線(321)に対して直列に接続されている。第1制御回路(36)は、スイッチ(33)のオン/オフを制御する。キャパシタ(35)は、トランス(32)の二次巻線(322)の両端間に接続されている。電圧制御回路(30;30A)は、キャパシタ(35)の両端電圧(Vout)を規定時間(T1)内に第1電圧値(例えば、20V)から第2電圧値(例えば、5B)に制御する。第2電圧値は、第1電圧値よりも小さい。第2制御回路(37)は、電圧制御回路(30;30A)を制御する。電源装置(3;3A)では、両端電圧(Vout)が負荷(例えば、外部機器2)に供給される負荷電圧である。
【0091】
この態様によれば、キャパシタ(35)の両端電圧(Vout)を規定時間(T1)内に第1電圧値から第2電圧値に制御することができ、出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能となる。また、従来例のように、バックコンバータを設けなくてもよく、電源装置(3;3A)の小型化を図ることも可能となる。すなわち、この態様によれば、小型化を図りつつ出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能となる。
【0092】
第2の態様に係る電源装置(3)では、第1の態様において、電圧制御回路(30)は、第2スイッチ(34)を有する。第2スイッチ(34)は、スイッチ(33)としての第1スイッチ(33)とは異なり、トランス(32)の二次巻線(322)に対して直列に接続されている。第2制御回路(37)は、第2スイッチ(34)のオン/オフを制御することで両端電圧(Vout)を規定時間(T1)内に第1電圧値から第2電圧値に制御する。
【0093】
この態様によれば、キャパシタ(35)の両端電圧(Vout)を規定時間(T1)内に第1電圧値から第2電圧値に制御することができ、出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能となる。また、従来例のように、バックコンバータを設けなくてもよく、電源装置(3)の小型化を図ることも可能となる。すなわち、この態様によれば、小型化を図りつつ出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能となる。
【0094】
第3の態様に係る電源装置(3)は、第2の態様において、二次側電流検出回路(39)を更に備える。二次側電流検出回路(39)は、トランス(32)の二次巻線(322)を流れる二次側電流(I2)を検出する。第2制御回路(37)は、二次側電流検出回路(39)の検出結果に基づいて第2スイッチ(34)のオン/オフを制御する。
【0095】
この態様によれば、二次側電流(I2)の大きさに基づいて第2スイッチ(34)のオン/オフを制御するので、キャパシタ(35)の両端電圧(Vout)を、第1電圧値から第2電圧値に精度よく制御することが可能となる。
【0096】
第4の態様に係る電源装置(3A)では、第1の態様において、電圧制御回路(30A)は、放電回路(42)を有する。放電回路(42)は、キャパシタ(35)に蓄積された電気エネルギを放電する。
【0097】
この態様によれば、キャパシタ(35)の両端電圧(Vout)を規定時間(T1)内に第1電圧値から第2電圧値に制御することができ、出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能となる。また、従来例のように、バックコンバータを設けなくてもよく、電源装置(3A)の小型化を図ることも可能となる。すなわち、この態様によれば、小型化を図りつつ出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能となる。
【0098】
第5の態様に係る電源装置(3A)では、第4の態様において、放電回路(42)は、定電流回路(420)を含む。
【0099】
この態様によれば、抵抗器を用いてキャパシタ(35)の電気エネルギを放電させる場合に比べて、出力電圧を制御する際の発熱を抑えることが可能となる。
【0100】
第6の態様に係る電源装置(3A)では、第4又は第5の態様において、放電回路(42)は、抵抗器(421)と、放電用スイッチ(422)と、を含む。放電用スイッチ(422)は、抵抗器(421)と基準電位との間に接続されている。
【0101】
この態様によれば、簡単な回路構成で放電回路(42)を実現することが可能となる。
【0102】
第7の態様に係る電源装置(3;3A)は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、一次側電流検出回路(38)を更に備える。一次側電流検出回路(38)は、トランス(32)の一次巻線(321)を流れる一次側電流(I1)を検出する。第1制御回路(36)は、一次側電流検出回路(38)の検出結果に基づいてスイッチ(33)のオン/オフを制御する。
【0103】
この態様によれば、キャパシタ(35)の両端電圧(Vout)を所望の電圧値(例えば、第1電圧値)に制御することが可能となる。
【0104】
第8の態様に係る配線器具(1)は、第1~第7の態様のいずれか1つの電源装置(3;3A)と、出力端子(T21,T22)と、を備える。出力端子(T21,T22)は、トランス(32)の二次巻線(322)の両端に接続されている。
【0105】
この態様によれば、電源装置(3;3A)を備えているので、小型化を図りつつ出力電圧を制御する際の応答性を向上させることが可能となる。
【0106】
第2~第7の態様に係る構成については、電源装置(3;3A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 配線器具
3,3A 電源装置
30,30A 電圧制御回路
32 トランス
33 スイッチ(第1スイッチ)
34 スイッチ(第2スイッチ)
35 キャパシタ
36 第1制御回路
37 第2制御回路
38 電流検出回路(一次側電流検出回路)
39 電流検出回路(二次側電流検出回路)
42 放電回路
321 一次巻線
322 二次巻線
421 抵抗器
422 スイッチ(放電用スイッチ)
I1 一次側電流
I2 二次側電流
T1 規定時間
T21,T22 出力端子
Vout 両端電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8