(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123275
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】フェンス取付構造
(51)【国際特許分類】
E04H 17/14 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
E04H17/14 103Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027281
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 太一
(72)【発明者】
【氏名】亀澤 剛史
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142KK01
(57)【要約】
【課題】既設フェンスを設置したままで、新設フェンスを取り付け可能なフェンス取付構造を提供すること。
【解決手段】フェンス取付構造1は、縦筋22と横筋23が格子状に組まれた既設フェンス2に新設フェンス3を取り付けて構成され、既設フェンス固定部41と、新設フェンス固定部42と、これらを連結する連結部43と、を有し、既設フェンス固定部41は、縦筋22の一方側に当接される固定部411と、固定部411に対向して配置され、縦筋22の他方側に当接して配置される副板412と、固定部411及び副板412の間に縦筋22を挟んだ状態で固定する複数の縦筋固定部材413と、前記複数の縦筋固定部材413のうちの一方側の縦筋固定部材413により、固定部411及び副板412を固定可能な固定孔414と、複数の縦筋固定部材413のうちの他方側の縦筋固定部材413の固定位置を変更可能な固定位置変更部と、を有する。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦筋と横筋が格子状に組まれた既設フェンスに新設フェンスを取り付けて構成されるフェンスのフェンス取付構造であって、
前記既設フェンスに固定される既設フェンス固定部と、
前記新設フェンスに固定される新設フェンス固定部と、
前記既設フェンス固定部及び前記新設フェンス固定部を連結するとともに前記フェンスの厚さ方向に延びる連結部と、を有し、
前記既設フェンス固定部は、
前記縦筋における前記フェンスの厚さ方向の一方側に当接される固定部と、
前記固定部に対向して配置され、前記縦筋における前記フェンスの厚さ方向の他方側に当接して配置される副板と、
前記固定部及び前記副板の間に前記縦筋を挟んだ状態で固定する複数の縦筋固定部材と、
前記複数の縦筋固定部材のうちの一方側の縦筋固定部材により、前記固定部及び前記副板を固定可能な固定孔と、
前記複数の縦筋固定部材のうちの他方側の前記縦筋固定部材の固定位置を変更可能な固定位置変更部と、を有する、フェンス取付構造。
【請求項2】
前記複数の縦筋固定部材は、ネジであり、
前記固定位置変更部は、前記固定孔から前記フェンスの左右方向に間を空けて配置され、互いに間を空けて配置される複数の貫通孔である、請求項1に記載のフェンス取付構造。
【請求項3】
前記固定部は、正面視で略コの字状に形成され、
前記既設フェンスに固定された状態で、上部で左右方向に延びる板状の第1固定面と、下部で左右方向に延びる板状の第2固定面と、前記第1固定面及び前記第2固定面を上下方向に接続する縦方向固定面と、を有し、
前記縦方向固定面は、前記横筋を回避可能に一部が切り欠かれた切り欠き部を有する、請求項1又は2に記載のフェンス取付構造。
【請求項4】
前記縦方向固定面に配置され、前記縦筋を囲うように前記フェンスの厚さ方向の他方側に向かって突出する爪部を有する、請求項3に記載のフェンス取付構造。
【請求項5】
前記新設フェンス固定部及び前記連結部は、それぞれ上下方向に長く延びるスリット孔を有し、
前記新設フェンスは、前記スリット孔を挿通して前記新設フェンスの端部に係合する結束バンドにより前記新設フェンス固定部及び前記連結部に接続され、前記連結部を介して前記既設フェンスに取り付けられる、請求項1~4のいずれか1項に記載のフェンス取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フェンス取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既設のフェンスの支柱に金具を取り付けて、新設フェンスを固定する構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既設フェンス自体に問題がなくても、目隠しのために板状のパネルを設置したり、既設フェンスよりも背の高いフェンスを設置したりする等、既設フェンス自体をそのままに、新設フェンスを取り付けたいという要望があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、縦筋と横筋が格子状に組まれた既設フェンスに新設フェンスを取り付けて構成されるフェンスのフェンス取付構造であって、前記既設フェンスに固定される既設フェンス固定部と、前記新設フェンスに固定される新設フェンス固定部と、前記既設フェンス固定部及び前記新設フェンス固定部を連結するとともに前記フェンスの厚さ方向に延びる連結部と、を有し、前記既設フェンス固定部は、前記縦筋における前記フェンスの厚さ方向の一方側に当接される固定部と、前記固定部に対向して配置され、前記縦筋における前記フェンスの厚さ方向の他方側に当接して配置される副板と、前記固定部及び前記副板の間に前記縦筋を挟んだ状態で固定する複数の縦筋固定部材と、前記複数の縦筋固定部材のうちの一方側の縦筋固定部材により、前記固定部及び前記副板を固定可能な固定孔と、前記複数の縦筋固定部材のうちの他方側の前記縦筋固定部材の固定位置を変更可能な固定位置変更部と、を有する、フェンス取付構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態のフェンス取付構造を、敷地の外側から視た正面図である。
【
図2】第1実施形態のフェンス取付構造の平面図である。
【
図3】第1実施形態のフェンス取付構造の側面図である。
【
図4A】第1実施形態のフェンス取付構造を、敷地の内側から視た部分斜視図である。
【
図5】第2実施形態のフェンス取付構造を、敷地の外側から視た正面図である。
【
図6】第2実施形態のフェンス取付構造の平面図である。
【
図7】第2実施形態のフェンス取付構造の側面図である。
【
図8】変形例に係るフェンス取付構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、第1実施形態のフェンス取付構造1では、新設フェンス3が、既設フェンス2の設置される敷地の外側に配置されている。既設フェンス2に新設フェンスが取り付けられて、フェンス10が構成される。
図1の手前側が、敷地の外、奥側が敷地内を示している。本明細書において、フェンス10によって区切られる敷地と敷地外の境界を挟んで、敷地側を内側、敷地と反対側を外側と言う。敷地の外には、例えば路面や他の所有者の敷地等が配置される。フェンス10の厚さ方向とは、敷地の内外方向を意味する。フェンス取付構造1は、既設フェンス2と、新設フェンス3と、接続部4と、結束バンド6と、を有する。
【0008】
既設フェンス2は、屋外の領域を区切るように設置され、支柱21と、縦筋22と、横筋23と、を有する。支柱21は、設置面24に固定されて上方へ延びる方形筒状の長尺の部材である。設置面24とは、支柱21を固定するフェンスの基礎の上面である。設置面24は、本実施形態では、地面より上部に形成されている。縦筋22及び横筋23は、それぞれ支柱21よりも細い外径寸法を有する筋状の金属である。縦筋22は上下方向に、横筋23はフェンス10の正面視における左右方向に延び、互いが交差して配置される。縦筋22及び横筋23は、格子状に組まれて構成され、支柱21に支持される。
【0009】
新設フェンス3は、既設フェンス2とは別体の部材である。新設フェンス3は、枠部31と、パネル部32と、を有する。枠部31は、新設フェンス3の正面視における左右方向の両端で上下方向に延びる一対の縦枠311と、一対の縦枠の上端及び下端において、一対の縦枠311同士を結ぶ横枠312とを有し、全体で略長方形状の縁を形成する。下方の横枠312は、新設フェンス3の下端を構成し、新設フェンス3の下端は、既設フェンス2の設置面24に支持される。パネル部32は、長手方向が左右方向に延びる長方形の薄い板321を、上下方向に並べて配置することで形成される。板321と板321との間には、隙間322が形成されている。パネル部32が板321を並べて形成されるので、格子状の既設フェンス2に新設フェンス3を取り付けると、外部から敷地内が見えにくくなる。
【0010】
接続部4は、既設フェンス2と新設フェンス3とを接続して固定する金具である。接続部4は、既設フェンス2側と新設フェンス3側に当接して固定され、
図2に示すように、平面視略コの字状に形成される。接続部4は、既設フェンス固定部41と、新設フェンス固定部42と、連結部43と、角部44と、を有する。
【0011】
既設フェンス固定部41は、既設フェンス2の縦筋22に固定される平板状の部材である。既設フェンス固定部41は、固定部411と、副板412と、縦筋固定部材としての複数のネジ413と、固定孔414と、固定位置変更部415と、を有する。
【0012】
図4A及び
図4Bに示すように、固定部411は、既設フェンス2に取り付けられた状態の正面視で略コの字状に形成される。固定部411は、
図4Aに示すように、縦筋22におけるフェンス10の厚さ方向の一方側に当接するように配置される。第1実施形態では、固定部411は、縦筋22の敷地の内側の面に当接される。固定部411は、第1固定面4111と、第2固定面4112と、縦方向固定面4113と、を有する。第1固定面4111、第2固定面4112、及び縦方向固定面4113は、連続する一枚の板状の部材で構成されている。
【0013】
第1固定面4111は、既設フェンス固定部41が既設フェンス2に固定された状態で、固定部411の上部で左右方向に延びる横長の板である。第2固定面4112は、固定部411の下部で左右方向に延びる横長の板である。第2固定面4112は、第1固定面4111から下方に間を空けて配置される。第1固定面4111及び第2固定面4112は、後述する副板412との間に複数の縦筋22を挟むように配置される。例えば、第1固定面4111及び第2固定面4112は、間を空けて配置される2本の縦筋22に跨ることが可能な程度の長さを有する。
【0014】
縦方向固定面4113は、第1固定面4111及び第2固定面4112における長手方向の一方側の端部に配置され、第1固定面4111及び第2固定面4112を上下方向に接続する部分である。縦方向固定面4113は、切り欠き部4114と、爪部4115と、を有する。
【0015】
切り欠き部4114は、縦方向固定面4113における上下方向の中央部が切り欠かれて形成される。切り欠き部4114は、縦方向固定面4113を上下に分断するように配置されるとともに、後述する連結部43に連続して形成される。縦方向固定面4113の上部と下部、及び第1固定面4111及び第2固定面4112は、連結部43の切り欠き部4114の周囲の面によって接続されている。切り欠き部4114は、横筋23が邪魔な位置に配置されていた場合に、横筋23を回避可能に形成されている。切り欠き部4114に必ず横筋23を配置しなければならないものではないが、接続部4を取り付けたい位置に横筋23があった場合に活用される。切り欠き部4114に横筋23を配置した方が、既設フェンス固定部41の既設フェンス2に対する固定強度は高くなる。
【0016】
爪部4115は、縦方向固定面4113の上下方向の中央部で、切り欠き部4114の上部と下部に配置される。爪部4115は、縦方向固定面4113からフェンス10の厚さ方向の他方側、すなわち接続部4の略コの形状の内側に向かって突出するように形成される。爪部4115は、第1固定面4111及び第2固定面4112の裏面には形成されていない。爪部4115が、縦方向固定面4113の裏側、すなわち接続部4のコの字の内側に向かって突出することで、固定部411と爪部4115とが縦筋22を囲うように配置される。爪部4115は、固定部411の裏側で、縦筋22に対する固定部411の位置を左右方向の位置を規制し、固定部411の左右方向に関する位置を決めることができる。
【0017】
副板412は、第1固定面4111及び第2固定面4112よりも長手方向及び短手方向の寸法が小さい横長の板である。副板412は、縦筋22におけるフェンス10の厚さ方向の他方側に当接するように配置される。副板412は、固定部411の裏側、すなわち接続部4における平面視略コの字形状で形成される凹部の内側に、固定部411に対向して配置される。副板412は、後述する複数のネジ413により、固定部411に固定される。副板412は、第1固定面4111又は第2固定面4112のいずれかのうち、任意に選択された一方の裏面側に固定される。本実施形態では、第1固定面4111の裏側に副板412が配置されている。
【0018】
固定孔414は、固定部411と副板412の両方に形成される。固定孔414は、後述する複数のネジ413が貫通して、固定部411及び副板412を固定可能な孔である。固定孔414は、固定部固定孔4141と、副板固定孔4142と、を有する。固定部固定孔4141は、第1固定面4111及び第2固定面4112の縦方向固定面4113側の端部に形成される。固定部固定孔4141の内周には、雌ネジが形成されている。副板固定孔4142は、副板412の長手方向の一方側の端部に形成される。固定部固定孔4141と、副板固定孔4142とは、同一の内径を有する。
【0019】
複数のネジ413は、それぞれが軸部413aと、軸部413aよりも外径の大きい軸頭413bと、を有する。複数のネジ413のうち、一方側のネジ413は、固定部411と副板412の間に縦筋22を挟んだ状態で、軸部413aが敷地の内外方向に沿うように配置されてネジ留めされる。一方側のネジ413は、後述する連結部43と、ネジ413の軸部413aとの間に縦筋22を挟んだ状態で留められる。すなわち、一方側のネジ413は、ネジ413の軸部413aと、後述する連結部43と、固定部411と、副板412とで囲まれる空間内に縦筋22を配置した状態で留められる。一方側のネジ413は、副板412側から挿通され、固定孔414を貫通して固定される。
【0020】
固定位置変更部415は、固定部411の長手方向に沿って、互いに間を空けて配置される2つの貫通孔415a、415b、及び、副板412の長手方向に沿って、互いに間を空けて配置される2つの貫通孔415c、415dにより構成される。固定部411に形成される貫通孔415a、415bの内周には、雌ネジが形成されている。固定位置変更部415は、固定孔414と同じ大きさで形成され、固定孔414からフェンス10の左右方向に間を空けて配置される。2つの貫通孔415a、415b同士、及び貫通孔415c、415d同士の間の距離は、固定孔414と固定位置変更部415の固定孔414側の貫通孔415b、415dとの間の距離よりも短い。固定位置変更部415には、複数のネジ413のうち、固定孔414から左右方向に離れた位置に留められる他方側のネジ413が固定される。
【0021】
図4Aに示すように、固定部411と副板412は、間に縦筋22を挟んだ状態で固定される。このとき、固定孔414から左右方向に離れた位置に、固定孔414を挿通する一方側のネジ413で留められた縦筋22に隣接して、上下方向に延びる別の縦筋22が配置される。固定孔414と固定位置変更部415の貫通孔は、予め既設フェンス固定部41に形成されている。縦筋22は、フェンス10によって様々な間隔で配置されている。このため、もし仮に固定位置変更部415の貫通孔が1つであった場合、この1つの固定位置変更部415の貫通孔が隣接する別の縦筋22と位置が重なってしまうと、固定位置変更部415側の貫通孔にネジ413を留めることができなくなる。すると、固定部411と副板412を2点で固定することができなくなる。仮に固定部411と副板412を1点でしか固定できない場合には、接続部4を構成する部材が縦筋22の周囲で回転してしまい、固定が不安定になる。固定位置変更部415が2つの貫通孔により構成されることで、他方側のネジ413の固定位置を変更することができる。隣接する別の縦筋22の位置が、固定位置変更部415の1つの貫通孔に重なったとしても、他の貫通孔にネジ413を挿通させることで、固定部411及び副板412を2点で固定することが可能になる。
図2では、固定位置変更部415の貫通孔415a、415b(及び貫通孔415a、415bの裏に位置する貫通孔415c、415d)は、いずれも縦筋22に重なっていない。このような場合は、貫通孔415a、415b(及び貫通孔415a、415b)のどちらをネジ413で留めてもよい。2点で固定することにより、左右方向に隣接する縦筋22を固定部411と副板412で安定して挟むことができる。
【0022】
新設フェンス固定部42は、新設フェンス3に固定される板状の部材である。新設フェンス固定部42は、新設フェンス当接面421と、枠部係合面422と、切り欠き溝423と、第1スリット孔51と、を有する。新設フェンス当接面421は、略長方形の薄い板面であり、新設フェンス3の縦枠311における敷地の内側の面に当接される。新設フェンス当接面421は、固定部411に対向して配置される。枠部係合面422は、新設フェンス当接面421における左右方向一方側の自由端から、固定部411の反対側に向かって屈曲する面である。枠部係合面422は、縦枠311におけるフェンス10の厚さ方向の面に沿って延び、縦枠311の厚さ方向の面に係合することが可能な位置に配置されている。切り欠き溝423は、固定部411に形成された固定孔414に対向する位置に形成されている。切り欠き溝423は、新設フェンス当接面421が略U字状に切り欠かれている。切り欠き溝423は、固定孔414にネジ413を留める際に、ドライバーの軸部が干渉しないように形成されている。
【0023】
連結部43は、既設フェンス固定部41及び新設フェンス固定部42を接続する面である。連結部43は、フェンス10の厚さ方向に沿って延びる。連結部43では、既設フェンス固定部41に連続する側の一部が、縦方向固定面4113に形成された切り欠き部4114から連続して切り欠かれており、上下方向の中央部に略コの字状に開口している。連結部43は、第2スリット孔52を有する。
【0024】
角部44は、新設フェンス固定部42と、連結部43とが、平面視略L字型に接続される部分である。角部44は、新設フェンス固定部42と連結部43とが、例えば略90度で接続される。
【0025】
スリット孔5は、新設フェンス固定部42に形成される第1スリット孔51と、連結部43に形成される第2スリット孔52の総称である。スリット孔5は、接続部4を新設フェンス3及び既設フェンス2に取り付けた状態で上下方向に延びる細い貫通孔である。
図4Bに示すように、第1スリット孔51は、新設フェンス固定部42における角部44が配置される縁44aに対向する縁42aに沿って上下方向に延びる。第2スリット孔52は、連結部43における角部44が配置される縁44aに沿って上下方向に延びる。
【0026】
結束バンド6は、第1スリット孔51及び第2スリット孔52を挿通して新設フェンス3の端部に係合可能な長さを有する。結束バンド6は、第1スリット孔51及び第2スリット孔52を挿通することで、新設フェンス固定部42及び連結部43に接続される。結束バンド6は、紐又は帯状で、変形しやすい素材で構成される。結束バンド6は、連結部43を介して新設フェンス3を既設フェンス2に接続し、固定するものである。このため、結束バンド6は、剛性及び強度の高い素材で構成されることが好ましい。例として金属製が挙げられる。
【0027】
フェンス取付方法について説明する。最初に、接続部4の既設フェンス固定部41を既設フェンス2に固定する(既設フェンス固定工程S1)。具体的には、連結部43に縦筋22を当てるように配置し、かつ爪部4115の内側に縦筋22を配置する。同時に第1固定面4111と、第2固定面4112を縦筋22の敷地内側に配置する。次に、副板412を、第1固定面4111及び第2固定面4112いずれかの裏側に配置する。そして、副板412側からネジ413を固定孔414に挿通させて、締結する。このとき、縦筋22を、連結部43、固定部411、副板412及び爪部4115に囲まれるように既設フェンス固定部41に対して配置し、固定孔414を貫通するネジ413によって固定する。また、縦筋22の位置が、固定位置変更部415の貫通孔415a、415b、及び415c、415dのいずれかと重なる場合には、貫通孔415a、415b、415c、415dが縦筋22を避けるようにずらす。また、横筋23が接続部4に重なる場合は、横筋23を、縦方向固定面4113に形成されている切り欠き部4114を通るように配置するとよい。
【0028】
次に、新設フェンス固定部42を、新設フェンス3における敷地の内側の面に当接させる(当接工程S2)。そして、第1スリット孔51と第2スリット孔52に結束バンド6を挿通させる(結束バンド挿通工程S3)。結束バンド6は、新設フェンス固定部42を、新設フェンス3に当接させた状態でスリット孔5に挿通させてもよい。又は、予め、結束バンド6をスリット孔5に挿通させておいてもよい。次に、結束バンド6を新設フェンス3の端部、具体的には、縦枠311の周囲に巻き付けて係合させる。板321と板321の間の隙間322に結束バンド6を通して、縦枠311と新設フェンス固定部42とを固定する。これにより、新設フェンス3が接続部4の新設フェンス固定部42ともに連結部43に接続され、連結部43を介して、新設フェンス3が既設フェンス2に固定される(固定工程S4)。
【0029】
第1実施形態によれば、以下の効果が奏される。フェンス取付構造1を、縦筋22と横筋23が格子状に組まれた既設フェンス2に新設フェンス3を取り付けて構成されるフェンス10の取付構造とした。フェンス取付構造1を、既設フェンス2に固定される既設フェンス固定部41と、新設フェンス3に固定される新設フェンス固定部42と、既設フェンス固定部41及び新設フェンス固定部42を連結するとともにフェンス10の厚さ方向に延びる連結部43と、を含んで構成した。既設フェンス固定部41を、縦筋22におけるフェンス10の厚さ方向の一方側に当接される固定部411と、固定部411に対向して配置され、縦筋22におけるフェンス10の厚さ方向の他方側に当接して配置される副板412と、固定部411及び副板412の間に縦筋22を挟んだ状態で固定する複数のネジ413と、複数のネジ413のうちの一方側のネジ413により、固定部411及び副板412を固定可能な固定孔414と、前記複数のネジのうちの他方側のネジ413の固定位置を変更可能な固定位置変更部415と、を含んで構成した。既設フェンス固定部41と、新設フェンス固定部42と、連結部43と、により既設フェンス2及び新設フェンス3を連結できるので、既設フェンス2を取り外したり、部分的に取り替えたりすることなく、既設フェンス2と新設フェンス3を接続し、フェンス10を設置することができる。また、既設フェンス固定部41が固定位置変更部415を有することにより、縦筋22のピッチがどのような間隔の既設フェンス2であっても、既設フェンス固定部41を既設フェンス2に取り付けることが可能である。したがって、既設フェンス2の縦筋22の間隔に関わらず、既設フェンス2を設置したまま新設フェンス3を取り付けることができる。
【0030】
第1実施形態によれば、縦筋固定部材を複数のネジ413により構成し、固定位置変更部415を、固定孔414からフェンス10の左右方向に間を空けて配置され、互いに間を空けて配置される複数の貫通孔415a、415b、415c、415dにより構成した。複数の貫通孔415a、415b、415c、415dを配置することにより、ネジ413を留める位置に縦筋22が位置してしまった場合に、ネジ413を留める貫通孔415a、415b、及びその裏の貫通孔415c、415dをずらせばよいだけなので、容易に縦筋22を避けることが可能になる。
【0031】
第1実施形態によれば、固定部411を、正面視で略コの字状に形成し、既設フェンス2に固定された状態で、上部で左右方向に延びる板状の第1固定面4111と、下部で左右方向に延びる板状の第2固定面4112と、第1固定面4111及び第2固定面4112を上下方向に接続する縦方向固定面4113と、を含んで構成した。縦方向固定面4113に、横筋23を回避可能に一部が切り欠かれた切り欠き部4114を含んで構成した。切り欠き部4114が形成されていることにより、横筋23を避けて接続部4を固定することが可能になる。これにより、横筋23のピッチにかかわらず、接続部4を固定したい位置に固定しやすくなる。また、縦方向固定面4113に形成した切り欠き部4114に横筋23を配置することで、横筋23が縦方向固定面4113に係合するので、固定部411がずれにくくなり、固定部411の固定強度が向上する。
【0032】
第1実施形態によれば、縦方向固定面4113に配置され、縦筋22を囲うようにフェンス10の厚さ方向の他方側に向かって突出する爪部4115を含んで構成した。爪部4115により、縦方向固定面4113の裏面(厚さ方向の他方側の面)で、縦筋22の左右方向の位置が規定される。よって、ネジ413で留める間に接続部4が縦筋22に対して動きにくくなるので、固定作業がしやすく、施工性が向上する。
【0033】
第1実施形態によれば、新設フェンス固定部42及び連結部43は、それぞれ上下方向に長く延びるスリット孔5を含んで構成した。新設フェンス3を、スリット孔5を挿通して新設フェンス3の端部に係合する結束バンド6により新設フェンス固定部42及び連結部43に接続し、連結部43を介して既設フェンス2に取り付けた。スリット孔5に結束バンド6を通すことで、既設フェンス2と接続部4を接続することができ、接続部4を介して新設フェンス3に既設フェンス2を取り付けることができる。このため、既設フェンス2に電動ドリルで孔を開けたり、大掛かりな工具を用いて施工をしたりする必要がなくなる。このため、施工性が向上する。
【0034】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
図5に示す第2実施形態のフェンス取付構造1Aでは、フェンス10Aは、既設フェンス2の設置される敷地の内側に新設フェンス3が配置されることで構成される。
図5の手前側が、敷地の外、奥側が敷地内を示している。
図6及び
図7に示すように、既設フェンス固定部41は、既設フェンス2の敷地の内側の面に配置される。縦筋22は、連結部43、固定部411、副板412及び爪部4115に囲まれるように既設フェンス固定部41に対して配置され、固定孔414を貫通するネジ413によって固定される。また、固定位置変更部415の貫通孔415a、415b、及び415c、415dで、ネジ413を固定する。このとき、ネジ413は、第1実施形態と異なり、軸頭413bが敷地の内側、軸部413aの端部が敷地の外側を向くように留められる。新設フェンス3は、新設フェンス固定部42における外側面に当接されて、結束バンド6により固定される。
【0035】
第2実施形態によれば、敷地内の建物から敷地外を見た場合に、新設フェンス3が見えるため、敷地内にいる人から見た景観を向上させることができる。また、既設フェンス2と新設フェンス3の間に既設フェンス2の支柱21が配置されている。支柱21を避けて、新設フェンス3を設置すると、新設フェンス3が既設フェンス2よりも内側に離れて配置される。しかし、新設フェンス3が敷地内にあることから、敷地外へ構造物がはみ出る懸念がない。
【0036】
図4Aに示すように、接続部4は、切り欠き部4114の上部と下部とで対称な形状を有している。このため、新設フェンス3を既設フェンス2の敷地の内側に配置する場合でも、外側に配置する場合でも、上下を逆さまにすることで、同じ接続部4を用いることが可能である。
【0037】
また、接続部4の固定部411は、第1固定面4111及び第2固定面4112を有している。新設フェンス3の左右方向の両端に接続部4を配置する際に、左側に固定する接続部4と右側に固定する接続部4は180度反転して固定されることとなる。左右の接続部4の固定部411の一方側で第1固定面4111の裏側に、他方側で第2固定面4112の裏側に副板412を配置してネジ413で留めることで、接続部4を既設フェンス2に固定する高さを左右で揃えることができる。
【0038】
さらに、また、
図1及び
図5では、説明の便宜のため、新設フェンス3を一枚だけ取り付けた状態を示しているが、
図8に示すように、実際には新設フェンス3を左右方向に複数繋げて配置する場合が考えられる。この場合、接続部4を隣り合う新設フェンス3同士で反対側を向くように配置すればよい。接続部4の連結部43は、薄い板状であるため、連結部43を隣接して当接させても、隣接する新設フェンス3同士のあいだに大きな隙間が形成されにくい。
【0039】
固定位置変更部415は、上記の実施形態では、固定部411及び副板412のそれぞれに二つ並んだ貫通孔415a、415b及び415c、415dにより構成されている。しかし、固定位置変更部は、固定孔414からの左右方向に離れた位置で、縦筋を避けて固定可能に位置を変更することができれば、2つの貫通孔に限られない。貫通孔は、3つ以上であってもよい。貫通孔は、左右方向に長い長孔により形成し、縦筋が配置されない場所でネジにナットを用いて固定してもよい。
【0040】
上記実施形態では、複数のネジ413は、固定部411及び副板412を貫通して留められているが、これに限られない。例えば、固定位置変更部415を、雌ネジを形成した凹部によって構成し、この凹部にネジを留めるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 フェンス取付構造、 2 既設フェンス2 新設フェンス、 5 スリット孔、 6 結束バンド、 10 フェンス、 22 縦筋、 23 横筋、 41 既設フェンス固定部、 42 新設フェンス固定部、 43 連結部、 411 固定部、 412 副板、 413 複数のネジ、 414 固定孔、 415 固定位置変更部、 415a、415b、415c、415d 複数の貫通孔、 4111 第1固定面、 4112 第2固定面、 4113 縦方向固定面、 4114 切り欠き部、 4115 爪部