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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123279
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】インダクタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
H01F27/29 125
H01F27/29 H
H01F27/29 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027289
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大坪 睦泰
(72)【発明者】
【氏名】津川 凌太郎
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043EA01
5E043EB05
5E070BB03
5E070EA02
5E070EA06
(57)【要約】
【課題】インダクタの信頼性を高める。
【解決手段】インダクタ100は、底面11、天面12、側面13a~13dを有する磁心10と、磁心10に埋設されたコイル部21、及び、コイル部21の端部に繋がり、側面13cから磁心10の外部に引き出された引き出し部22を有するコイル素子と、側面13cに配置され、引き出し部22を介してコイル素子に電気的に接続された板状の電極部材30と、を備える。電極部材30は、引き出し部22が引き出されている側面13cに沿って配置される側板部32と、側面13cから離れる方向に側板部32から突出する複数の突出板部35と、を有する。側板部32は、側板部32の厚み方向に貫通する貫通開口33を有する。引き出し部22は、貫通開口33を貫通するとともに、複数の突出板部35に接触している。複数の突出板部35は、引き出し部22に溶接されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面、天面、ならびに、前記底面及び前記天面に繋がる側面を有する磁心と、
前記磁心に埋設されたコイル部、及び、前記コイル部の端部に繋がり、前記側面から前記磁心の外部に引き出された引き出し部を有するコイル素子と、
前記側面に配置され、前記引き出し部を介して前記コイル素子に電気的に接続された板状の電極部材と、を備え、
前記電極部材は、前記引き出し部が引き出されている側面に沿って配置される側板部と、前記側面から離れる方向に前記側板部から突出する複数の突出板部と、を有し、
前記側板部は、前記側板部の厚み方向に貫通する貫通開口を有し、
前記引き出し部は、前記貫通開口を貫通するとともに、前記複数の突出板部に接触し、
前記複数の突出板部は、前記引き出し部に溶接されている
インダクタ。
【請求項2】
前記複数の突出板部は、前記底面に平行であり、前記引き出し部を間に挟んで互いに対向している
請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記複数の突出板部のそれぞれは、前記側板部と前記貫通開口との境界領域の一部から立ち上がっている
請求項1または2に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記複数の突出板部は、第1の突出板部、及び、前記第1の突出板部よりも前記底面側に位置する第2の突出板部を有し、
前記引き出し部は、断面が四角形状であり、前記天面に平行な引き出し天面、及び、前記引き出し天面よりも前記底面側に位置する引き出し底面を有し、
前記第1の突出板部は、前記引き出し天面に溶接され、
前記第2の突出板部は、前記引き出し底面に溶接されている、
請求項2または3に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記第1の突出板部は、前記側板部の前記貫通開口に繋がる突出板開口を有している
請求項4に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記第1の突出板部は、前記引き出し天面に沿って配置された突出板本体と、前記突出板本体から前記引き出し部の側面に沿って配置された複数のサイド部と、を有し、
前記突出板本体は、前記引き出し天面に溶接され、
前記サイド部は、前記引き出し部の側面に溶接されている
請求項4に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記第1の突出板部は、前記側板部から離れた先端部の幅が、前記側板部に近い根元部の幅よりも狭い
請求項4に記載のインダクタ。
【請求項8】
前記複数の突出板部は、前記側板部から離れた先端部の幅が、前記引き出し部の先端部の幅よりも狭い
請求項1に記載のインダクタ。
【請求項9】
前記側板部から突出する前記突出板部の突出長さは、前記突出板部の板厚の1.5倍以上である
請求項1に記載のインダクタ。
【請求項10】
前記引き出し天面に接する前記第1の突出板部の第1の接触面、及び、前記引き出し底面に接する前記第2の突出板部の第2の接触面は、前記電極部材の同じ面で構成されている
請求項4に記載のインダクタ。
【請求項11】
前記電極部材の前記側板部は、前記引き出し部の側面の両外側において、前記磁心の前記側面から離れて盛り上がる隆起部を有している
請求項1に記載のインダクタ。
【請求項12】
前記隆起部は、前記側面を基準として80°以上の傾斜角を有している
請求項11に記載のインダクタ。
【請求項13】
前記隆起部は、前記側面から徐々に膨らむ部分を有している
請求項11に記載のインダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インダクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーを磁気エネルギーとして蓄える受動素子であるインダクタは、電源電圧の昇降圧及び直流電流の平滑化を目的として、例えばDC-DCコンバータ装置等に用いられる。インダクタは、例えば、回路基板等の表面に実装される。例えば、特許文献1には、磁性材料を含む本体部と、本体部の内部に配置されたコイル素子と、コイル素子に接続される端子金具と、を備えるインダクタが開示されている。特許文献1に記載のインダクタでは、コイル素子の先端が本体部から露出し、露出したコイル素子の先端に端子金具が溶接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-243685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のインダクタでは、端子金具である電極部材とコイル素子との接続信頼性が低いために、インダクタの信頼性が低い場合がある。本開示は、上記に鑑みて、インダクタの信頼性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るインダクタは、底面、天面、ならびに、前記底面及び前記天面に繋がる側面を有する磁心と、前記磁心に埋設されたコイル部、及び、前記コイル部の端部に繋がり、前記側面から前記磁心の外部に引き出された引き出し部を有するコイル素子と、前記側面に配置され、前記引き出し部を介して前記コイル素子に電気的に接続された板状の電極部材と、を備え、前記電極部材は、前記引き出し部が引き出されている側面に沿って配置される側板部と、前記側面から離れる方向に前記側板部から突出する複数の突出板部と、を有し、前記側板部は、前記側板部の厚み方向に貫通する貫通開口を有し、前記引き出し部は、前記貫通開口を貫通するとともに、前記複数の突出板部に接触し、前記複数の突出板部は、前記引き出し部に溶接されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、インダクタの信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態に係るインダクタの第1斜視図である。
図2】実施の形態に係るインダクタの第2斜視図である。
図3】実施の形態に係るインダクタの引き出し部、及び、突出板部が溶接される前の状態を示す図である。
図4図3に示す引き出し部及び突出板部を正面及び側面から見た図である。
図5】実施の形態に係るインダクタの突出板部の製造工程の一例を示す図である。
図6A】実施の形態の変形例1に係るインダクタの引き出し部、及び、突出板部の斜視図である。
図6B】実施の形態の変形例1に係るインダクタの引き出し部、及び、突出板部が溶接される前の状態を示す図である。
図7】実施の形態の変形例1に係るインダクタの突出板部の製造工程の一例を示す図である。
図8A】実施の形態の変形例2に係るインダクタの引き出し部、及び、突出板部の斜視図である。
図8B】実施の形態の変形例2に係るインダクタの引き出し部、及び、突出板部が溶接される前の状態を示す図である。
図9A】実施の形態の変形例3に係るインダクタの引き出し部、及び、突出板部の斜視図である。
図9B】実施の形態の変形例3に係るインダクタの引き出し部、及び、突出板部が溶接される前の状態を示す図である。
図10A】実施の形態の変形例4に係るインダクタの引き出し部、及び、突出板部の斜視図である。
図10B】実施の形態の変形例4に係るインダクタの引き出し部、及び、突出板部が溶接される前の状態を示す図である。
図11A】実施の形態の変形例5に係るインダクタの引き出し部、及び、突出板部の斜視図である。
図11B】実施の形態の変形例5に係るインダクタの引き出し部、及び、突出板部が溶接される前の状態を示す図である。
図12】実施の形態の変形例5に係るインダクタの突出板部の製造工程の一例を示す図である。
図13A】実施の形態の変形例6に係るインダクタの引き出し部、及び、突出板部の斜視図である。
図13B】実施の形態の変形例6に係るインダクタの引き出し部、及び、突出板部が溶接される前の状態を示す図である。
図14】実施の形態の変形例6に係るインダクタの側板部を横から見た図である。
図15】実施の形態の変形例6に係るインダクタの側板部の製造工程の一例を示す図である。
図16】実施の形態の変形例6の側板部の他の例を示す図である。
図17】実施の形態の変形例6の側板部の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示に至る経緯)
前述した特許文献1のように、コイル素子の先端に電極部材を溶接する構造では、コイル素子と電極部材とを接続する接続部の断面積が小さくなり、コイル素子と電極部材との接続に関する信頼性が低下する場合がある。また、コイル素子の先端に電極部材を溶接する構造では、溶接箇所における電流経路の断面積を大きくすることができず、直流抵抗が大きくなってインダクタの信頼性が低下するという問題がある。また、溶接箇所における電流経路の断面積を大きくすることができないと、インダクタを通電した時に温度上昇が起き、インダクタの信頼性が低下するという問題がある。
【0009】
本開示は、インダクタの信頼性を高めるため、以下に示す構成を有している。以下、実施の形態について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
【0010】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、接続形態、ステップ及びステップの順序等は一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、及び、直方体などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0012】
また、各図は、本開示を示すために適宜強調、省略、又は比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係及び比率とは異なる場合がある。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡素化される場合がある。
【0013】
また、各図には、互いに直交する3方向を意味するX軸、Y軸及びZ軸を示し、必要に応じてこれらの軸及び当該軸に沿う軸方向を説明のために用いる。なお、各軸は、説明のために付されたものであり、インダクタが使用される方向及び姿勢を限定するものではない。
【0014】
また、本明細書において、インダクタの構成における「天面」及び「底面」という用語は、絶対的な空間認識における天面(鉛直上方側の面)及び底面(鉛直下方側の面)を指すものではなく、インダクタの構成要素の相対的な位置関係により規定される用語として用いる。
【0015】
(実施の形態)
[インダクタの構成]
実施の形態に係るインダクタの構成について説明する。インダクタは、コイル素子に流れる電気エネルギーを磁気エネルギーとして蓄える受動素子である。
【0016】
図1は、実施の形態に係るインダクタ100の第1斜視図である。図2は、インダクタ100の第2斜視図である。なお、図1内の上側の図にはインダクタ100の全体図が示され、下側の図には、インダクタ100の引き出し部22及び突出板部35を拡大した斜視図が示されている。
【0017】
図1及び図2に示されるように、インダクタ100は、磁心10と、コイル部21及び複数の引き出し部22を有するコイル素子と、外部端子である複数の電極部材30と、引き出し部22及び電極部材30を接続する接続部と、を備える。
【0018】
以下の説明では、主に、インダクタ100におけるX軸のプラス側の半分について説明するが、インダクタ100におけるX軸のマイナス側の半分についても、インダクタ100におけるX軸のプラス側の半分と同様の構造を有し、同様の説明が適用される。
【0019】
インダクタ100は、例えば、直方体状の圧粉磁心である磁心10の形状によって、およその外形が決定されている。なお、磁心10は、成型によって任意の形状に成型できる。つまり、磁心10の成型時における形状によって、任意の形状のインダクタ100を実現できる。本実施の形態の磁心10では、例えば、X軸方向の寸法が17mm以上、Y軸方向の寸法が17mm以上、Z軸方向の寸法が7mm以上である。
【0020】
磁心10は、インダクタ100の外殻部分であり、コイル素子の一部(コイル部21)を覆っている。磁心10は、磁性材料を含み、例えば、金属磁性体粉末及び樹脂材料等からなる圧粉磁心である。なお、磁心10は、磁性材料を用いて形成されていればよい。磁性材料には、フェライトが用いられてもよく、その他の磁性材料が用いられてもよい。金属磁性体粉末には、Fe-Si-Al系、Fe-Si系、Fe-Si-Cr系、又はFe-Si-Cr-B系等、所定の元素組成を有する粒子状材料が用いられる。また、樹脂材料には、シリコーン系樹脂等、金属磁性体粉末の粒子間を絶縁しつつ、金属磁性体粉末の粒子を結着することで一定の形状を保持可能な材料が選択される。
【0021】
磁心10は、例えば、直方体状である。磁心10は、底面11、底面11に背向する天面12、及び、底面11と天面12とに繋がる4つの側面13a、13b、13c、13dとを有する。側面13aと側面13bとは、X軸方向に並び、互いに背向する。側面13cと側面13dとは、Y軸方向に並び、互いに背向する。底面11、天面12、及び、側面13a、13b、13c、13dは、それぞれ、略平坦な平面である。底面11及び天面12の組、側面13a及び側面13bの組、並びに、側面13c及び側面13dの組は、それぞれ平行な位置関係になる面の組である。底面11及び天面12と、側面13a、13b、13c、13dとは、交差する方向、具体的には直交する方向に延びている。また、側面13a及び側面13bと、側面13c及び側面13dとは交差する方向、具体的には直交する方向に延びている。
【0022】
コイル素子は、磁心10に埋設された1本の素線からなるコイル部21と、素線の両端に対応し、磁心10の外側に露出している複数の引き出し部22と、を有する。つまり、実施の形態に係るコイル素子は、1つのコイル部21と、2つの引き出し部22とから構成されている。なお、図1では、埋設されたコイル部21を破線で示している。
【0023】
コイル素子は、例えば、導線で構成される。導線は、例えば、アルミニウム、銅、銀、及び金等の金属、これらの金属のうち1つ以上を含む合金、並びに、金属又は合金と他の物質とからなる材料等から選択された金属材料で構成される金属線と、金属線を被覆する絶縁皮膜とで構成される。具体的に、導線は、例えば、絶縁皮膜で被覆された銅線である。コイル部21及び引き出し部22は、例えば、同じ材料からなる1つの部材を加工して形成された、各々の部位に対して付された呼称である。
【0024】
コイル部21は、磁心10によって覆われる部位である。コイル部21は、巻回形成された導線で構成され、コイルとして機能する。コイル部21の巻回数には特に限定はなく、例えば、0.5ターンから10ターン等、インダクタ100に要求される性能、及び、磁心10の大きさなどの制約に合わせ、適宜選択される。コイル部21を構成する導線の横断面は、例えば、各辺が3.5mm×2.5mmの平角線である。そして、コイル部21は、導線の横断面の長辺を含む面を重ねて縦方向に巻回されている。このコイル部21は、コイル部21の巻回軸が底面11と天面12とを結ぶ方向(Z軸方向)に沿うように磁心10に埋設されている。
【0025】
コイル部21は、巻回形成された部分から磁心10の側面13cに繋がる端部(不図示)を有している。コイル部21の端部のうち、一方の端部は、側面13cに垂直な方向から見て、巻回軸よりも右外寄りであるX軸のプラス側に配置され、他方の端部は、巻回軸よりも左外寄りであるX軸のマイナス側に配置されている。また、コイル部21の端部は、側面13cに垂直な方向から見て、側面13cの中心よりも底面11側の高さに位置し、底面11からの高さが同じ高さとなっている。
【0026】
引き出し部22は、コイル部21の端部に繋がり、磁心10の側面13cから外に引き出されて延伸している。具体的には、引き出し部22は、側面13cの中心よりも底面11側の高さから側面13cに垂直な方向に引き出されている。引き出し部22は、4つの側面13a~13dのうちの1つの側面13cから引き出されている。
【0027】
図3は、インダクタ100の引き出し部22、及び、突出板部35が溶接される前の状態を示す図である。図4は、図3に示す引き出し部22及び突出板部35を正面及び側面から見た図である。この例において、正面から見るとは側面13cに垂直なY軸方向から見ることであり、側面から見るとは側面13aに垂直なX軸方向から見ることである。図4の(a)には、引き出し部22及び突出板部35を正面から見た図が示され、図4の(b)には、図4(a)の中心線における断面図が示されている。
【0028】
図3及び図4に示される引き出し部22は、断面が四角形状である。引き出し部22は、天面12に平行な引き出し天面22a、引き出し天面22aよりも底面11側に位置する引き出し底面22b、及び、引き出し天面22aと引き出し底面22bとを繋ぐ2つの引き出し側面22cを有している。引き出し天面22a及び引き出し底面22bは、互いに平行である。引き出し天面22a、引き出し底面22b及び引き出し側面22cは、電極部材30と導通可能なように、絶縁皮膜が除去されている。引き出し部22は、後述する電極部材30の側板部32の貫通開口33を貫通するとともに、複数の突出板部35に接触している。
【0029】
図1に示されるように、電極部材30は、磁心10の外部(例えば底面11側ならびに、側面13c側及び他の側面13d側)に配置され、接続部を介して引き出し部22に電気的に接続されている。電極部材30は、2つの引き出し部22のそれぞれに対応して設けられる。電極部材30は、導電性材料を含み、例えば、金属材料板で構成される。金属材料板は、アルミニウム、銅、銀、及び金等の金属、これらの金属のうち1つ以上を含む合金、並びに、金属又は合金と他の物質とからなる材料等から選択された金属材料で構成される。
【0030】
電極部材30は、磁心10の底面11側に配置される底板部31、底板部31に繋がり、磁心10の側面13c側に配置される側板部32、側板部32から外側に突出する複数の突出板部35を有している。
【0031】
また、電極部材30は、底板部31に繋がり、磁心10の他の側面13d側に配置される係止部38を有している。底板部31、側板部32、係止部38及び複数の突出板部35は、例えば、同じ材料からなる1つの部材を加工して形成された、各々の部位に対して付された呼称である。
【0032】
底板部31は、底面11に沿って延びるように磁心10の底面11側に配置されている。底板部31は、接着剤を介して磁心10に固定されてもよい。底板部31は、インダクタ100が回路基板へ実装される際に、はんだによって回路基板に接合される。なお、底板部31は、天面12側から見た(Z軸方向における平面視)ときに、磁心10の外側に張り出した部分を設けてもよく、リフロー炉ではんだ付けするときに、リフロー炉の予熱により張り出した部分を温まりやすくでき、はんだ付け性が向上するので好ましい。
【0033】
側板部32は、磁心10の4つの側面13a~13dのうち1つの側面13cに対応して配置されている。側板部32は、底板部31に繋がり、磁心10の側面13cに沿って配置され、底板部31から天面12側に延びている。また、側板部32は、厚み方向に貫通する貫通開口33を有している。
【0034】
貫通開口33は、例えば四角形状であり、貫通開口33には、前述した引き出し部22が挿入される。側板部32は、X軸方向から見たときに、磁心10の側面13cに接しているが、それに限られず、側面13cに対して隙間を空けて配置されていてもよい。側板部32は、接着剤を介して磁心10に固定されていてもよい。
【0035】
突出板部35は、側板部32から外側に突出する部位である。複数の突出板部35は、第1の突出板部36、及び、第1の突出板部36よりも底面11側に位置する第2の突出板部37を有している。言い換えると、第1の突出板部36は、第2の突出板部37よりも天面側に位置している。第1の突出板部36及び第2の突出板部37は、磁心10の底面11または天面12に平行であり、引き出し部22を間に挟んで互いに対向している。側板部32に垂直なY軸方向から見て、第1の突出板部36の幅は、第2の突出板部37の幅よりも広くなっている。
【0036】
各突出板部35は、側板部32と貫通開口33との境界領域の一部から立ち上がり、磁心10の側面13cから離れる方向に突出している。例えば、第1の突出板部36は、貫通開口33の天面12側の内壁33aに沿う境界領域から立ち上がり、第2の突出板部37は、貫通開口33の底面11側の内壁33bに沿う境界領域から立ち上がっている。各突出板部35は、側板部32に対して垂直に、又は、引き出し部22が延びる方向に沿って配置されている。例えば、側板部32から突出する突出板部35の突出長さは、突出板部35の板厚の1.5倍以上である。各突出板部35は、突出板部35及び引き出し部22が溶接される前において、引き出し部22の先端部22eよりも突出していてもよい。
【0037】
第1の突出板部36及び第2の突出板部37のそれぞれは、引き出し部22に接触している。言い換えると、引き出し部22は、第1の突出板部36及び第2の突出板部37のそれぞれに接触している。第1の突出板部36は、引き出し部22の引き出し天面22aに接する第1の接触面36aを有し、第2の突出板部37は、引き出し部22の引き出し底面22bに接する第2の接触面37bを有している。第1の接触面36a及び第2の接触面37bは、引き出し部22を間に挟んで対向している。
【0038】
第1の接触面36aと第2の接触面37bとは、電極部材30の異なる面で構成されている。例えば、板状の電極部材30が、板状部材の両主面の一方である第1面及び他方である第2面を有し、第1面が磁心10の側面13cに接している場合、第1の接触面36aは第2面の一部で構成され、第2の接触面37bは第1面の一部で構成される。
【0039】
各突出板部35は、側板部32側に位置する根元部35fを有し、この根元部35fとは反対側に位置する先端部35eを有している。突出板部35の先端部35eは、引き出し部22の先端部22eに接触または近接している。溶接前における突出板部35の先端部35eは、引き出し部22の先端部22eから少し離れていてもよい。
【0040】
本実施の形態では、少なくとも、引き出し部22の先端部22eと突出板部35の先端部35eとが接触または近接する箇所に、接続部が形成される(図1参照)。この接続部は、引き出し部22と各突出板部35とが溶接されることで形成される。例えば接続部は、レーザシーム溶接によって形成された複数の溶接痕wsによって構成されている。複数の溶接痕wsは、Y軸方向から見た場合に、引き出し天面22aである引き出し部22の上辺、及び、引き出し底面22bである引き出し部22の下辺のそれぞれの辺が延びる方向に沿って繋がっている。複数の溶接痕wsは、全ての溶接痕wsが連続的に繋がっていてもよいし、一部の溶接痕wsが連続的に繋がっていてもよい。また、隣接する溶接痕wsが重なるように連続的に繋がっていてもよい。第1の突出板部36が引き出し天面22aに溶接され、第2の突出板部37が引き出し底面22bに溶接されることで、突出板部35及び引き出し部22が接続部を介して導通される。
【0041】
このように本実施の形態では、コイル素子の引き出し部22が、側板部32の貫通開口33を貫通するとともに、複数の突出板部35に接触し、複数の突出板部35は、引き出し部22に溶接されている。
【0042】
これによれば、各突出板部35と引き出し部22との溶接によって形成される接続部の長さを長くすることが可能である。これにより、コイル素子と電極部材30とを接続する接続部の断面積を大きくすることができ、コイル素子と電極部材30との接続に関する信頼性を高めることができる。また、接続部における電流経路の断面積を大きくできるので、直流抵抗を小さくすることができ、インダクタの信頼性を高めることができる。また、接続部における電流経路の断面積を大きくできるので、インダクタを通電した時に温度上昇が起きることを抑制し、インダクタの信頼性を高めることができる。
【0043】
次に、電極部材30の係止部38について説明する。
【0044】
以下の説明では、主に、インダクタ100におけるX軸のマイナス側の半分について説明するが、インダクタ100におけるX軸のプラス側の半分についても、インダクタ100におけるX軸のマイナス側の半分と同様の構造を有し、同様の説明が適用される。
【0045】
図2に示されるように、電極部材30は、側面13dに沿う部分に、係止部38を有する。より具体的には、係止部38は、底板部31に繋がり、磁心10の側面13dに沿って配置されている。係止部38は、底板部31から天面12側に延び、X軸方向から見て磁心10の側面13dのうちの最も外側に当たる凸部131dの先端の部分と、側面13dのうちの最も内側の部分との間に配置されている。なお、係止部38は、4つの側面のうち1つの側面13dに対応して配置されている。係止部38には、開口38aが形成されている。開口38aは、電極部材30を厚み方向(ここではY軸方向)に貫通して設けられた四角形状の貫通孔である。開口38aは、側面13dに形成された凸部131dに対応しており、凸部131dが開口38aを貫通するように、係止部38が配置されている。係止部38は、接着剤を介して磁心10に固定されていてもよい。このような係止部38は、凸部131dの天面12側の側面と開口38aの天面12側の(底面11側に対向している)内側面とが係止しあうことで、磁心10と電極部材30との固定に利用される。つまり、電極部材30は、係止部38による凸部131dへの係止と、接続部における溶接と、(場合により、底板部31、側板部32、及び係止部38の接着と)によって、磁心10に固定されている。このような凸部131dは、例えば、図中に示すように、磁心10の中心よりも底面11側に形成されている。このように、磁心10が凸部131dを有し、電極部材30が係止部38を有することで、電極部材30と磁心10とを強固に固定することができる。
【0046】
[インダクタの製造方法]
次に、上記したインダクタ100の製造方法について説明する。実施の形態に係るインダクタの製造は、以下のようにして行われる。なお、インダクタ100の製造方法は以下の例に限られない。
【0047】
インダクタ100の製造方法では、はじめに、コイル素子とともに磁心10を加圧成型する工程が行われる。上記の工程は、コイル部21を有するコイル素子を成型金型に入れ、圧粉磁心を加圧成型することで実行される。加圧成型時の加圧力は、例えば5ton/cmであり、熱硬化温度は、例えば185℃である。加圧成型後において、磁心10に覆われず露出した引き出し部22は、例えば、磁心10の側面13cに対して垂直に突出している。引き出し部22には、例えばレーザビームが照射され、絶縁皮膜が除去される。
【0048】
次に、金属材料板を打ち抜き加工及び折り曲げ加工することで、底板部31、側板部32、突出板部35及び係止部38を有する電極部材30を準備する工程が行われる。この工程では、予め、側板部32の第1の突出板部36及び第2の突出板部37を磁心10の側面13cから離れる方向に折り曲げる。
【0049】
図5は、インダクタ100の突出板部35の製造工程の一例を示す図である。
【0050】
まず、図5の(a)に示すように、金属材料板に対して打ち抜き加工が行われる。このとき、後工程で第2の突出板部37となる領域T2が残るように、例えば逆U字状の形状の打ち抜き加工が行われる。
【0051】
次に図5の(b)に示すように、上記の領域T2を、後工程で側板部32が側面13cに当接する面とは反対側に折り曲げることで、側板部32から立設した第2の突出板部37が形成される。また、折り曲げ加工によって空いた空間に、貫通開口33が形成される。第2の突出板部37の折り曲げ線(折り目)L2は、貫通開口33の底面11側の内壁33bに略一致している。
【0052】
次に、図5の(c)に示すように、将来的に第1の突出板部36となる領域T1を、第2の突出板部37と同じ方向に折り曲げることで、第1の突出板部36が形成される。第1の突出板部36は、側板部32よりも天面12側に位置する領域T1を利用して形成される。第1の突出板部36の折り曲げ線(折り目)L1は、貫通開口33の天面12側の内壁33aに略一致している。なお、図5の(c)に示す工程は、図5の(b)の工程の前に実行されてもよい。
【0053】
次に、磁心10に電極部材30を図1に示すように配置する工程が行われる。まず側板部32の貫通開口33に引き出し部22を挿入させて側板部32を磁心10の側面13cに沿うように配置する。そして、底板部31が磁心10の底面11に沿うように折り曲げる。そして、係止部38が磁心10の他の側面13dに沿うように折り曲げる。このとき、側板部32の貫通開口33に引き出し部22が挿入され、引き出し部22と第1の突出板部36及び第2の突出板部37とが接触する。また、係止部38の開口38aに凸部131dが挿入される。また、電極部材30の底板部31、側板部32及び係止部38のいずれか又は全てを磁心10と接着する場合には、この工程において、未硬化時に粘性を有する熱硬化性接着剤を、電極部材30と磁心10が接触する部分に塗布しておく。接着剤の硬化はこの工程では行わず、後述する後の工程で接着剤の硬化を行う。
【0054】
次に、各突出板部35と引き出し部22とをレーザシーム溶接等によって溶接する工程が行われる。具体的には、引き出し部22の引き出し天面22a及び引き出し底面22bのそれぞれの面に沿って接続部が形成される。接続部に形成される溶接痕wsは、円形状であり、例えば、レーザビームのスポットを所定半径で回転移動させることで形成される。
【0055】
次に、電極部材30の係止部38が磁心10の凸部131dに係止するように、電極部材30の曲げ加工が行われる。この工程では、図1に示されるように、磁心10を加圧成型するときに、予め底面11の底板部31と重なる位置に磁心10の内部に向かって凹となる底面凹部11aを形成しておき、この底面凹部11aに底板部31が入り込むように曲げる工程にしてもよい。これにより、底板部31に底面カシメ部31aが形成され電極部材30の狭小化が行われる。このように電極部材30の狭小化を行うことで、電極部材30全体が磁心10に締め付けられて、電極部材30の係止部38が磁心10の凸部131dに強固に係止され電極部材30と磁心10とを強固に固定できる。また、電極部材30と磁心10を接着する場合、この工程の後に、加熱処理して接着剤を硬化する工程を行う。このようにして、インダクタ100が製造される。
【0056】
[実施の形態の変形例1]
実施の形態の変形例1に係るインダクタ100Aについて説明する。この例では、第1の突出板部36が、貫通開口33に繋がる開口(突出板開口36h)を有している例について説明する。
【0057】
図6Aは、実施の形態の変形例1に係るインダクタ100Aの引き出し部22、及び、突出板部35の斜視図である。図6Bは、インダクタ100Aの引き出し部22、及び、突出板部35が溶接される前の状態を示す図である。
【0058】
変形例1のインダクタ100Aは、実施の形態1と同様に、磁心10と、コイル部21及び引き出し部22を有するコイル素子と、外部端子である電極部材30と、を備える(図示省略)。電極部材30は、底板部31、側板部32、及び、複数の突出板部35を有している。側板部32は、厚み方向に貫通する貫通開口33を有している。引き出し部22は、貫通開口33を貫通するとともに複数の突出板部35に接触している。複数の突出板部35は、引き出し部22に溶接されている。
【0059】
変形例1のインダクタ100Aの第1の突出板部36は、厚み方向に貫通する突出板開口36hを有している。突出板開口36hは、第1の突出板部36の中心から見て側板部32側に位置し、貫通開口33に繋がっている。突出板開口36hがあるため、インダクタ100AをZ軸方向の天面12側から見た場合、引き出し部22の引き出し天面22aの一部は、露出している。Z軸方向から見たときの突出板開口36hの幅は、貫通開口33の幅と同じである。Y軸方向における突出板開口36hの開口長さは、引き出し部22の引き出し長さよりも短い。
【0060】
図7は、インダクタ100Aの突出板部35の製造工程の一例を示す図である。
【0061】
まず、図7の(a)に示すように、金属材料板に対して打ち抜き加工が行われる。このとき、後工程で第2の突出板部37となる領域T2が残るように、所定の形状の打ち抜き加工が行われる。
【0062】
次に図7の(b)に示すように、領域T2を折り曲げることで、側板部32から立設した第2の突出板部37が形成される。折り曲げ加工によって空いた空間には、開口33iが形成される。この開口33iは、次の工程で示す貫通開口33及び突出板開口36hによって構成されている。
【0063】
次に、図7の(c)に示すように、後工程で第1の突出板部36となる領域T1aを、第2の突出板部37と同じ方向に折り曲げることで、第1の突出板部36が形成される。開口33iの天面12側の内壁は、図5の(b)に示した内壁33aよりも天面12側に設けられる。そのため、折り曲げ線L1aは、開口33iの天面側の内壁と底面側の内壁とを繋ぐ2つの側壁に対して交差する位置に設けられる。この折り曲げ線L1aにて領域T1aを折り曲げることで、側板部32に貫通開口33が形成され、また、第1の突出板部36に突出板開口36hが形成される。このような位置に折り曲げ線L1aを設けることで、金属材料板の折り曲げる際の折り目の長さを短くすることができる。これにより、第1の突出板部36の折り曲げ加工を簡易に精度よく行うことができる。
【0064】
変形例1のインダクタ100Aにおいても、コイル素子の引き出し部22が、側板部32の貫通開口33を貫通するとともに、複数の突出板部35に接触し、複数の突出板部35は、引き出し部22に溶接されている。これにより、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0065】
[実施の形態の変形例2]
実施の形態の変形例2に係るインダクタ100Bについて説明する。この例では、第1の突出板部36の一部が、引き出し部22の側面(引き出し側面22c)に沿うように折れ曲げられて配置されている例について説明する。
【0066】
図8Aは、実施の形態の変形例2に係るインダクタ100Bの引き出し部22、及び、突出板部35の斜視図である。図8Bは、インダクタ100Bの引き出し部22、及び、突出板部35が溶接される前の状態を示す図である。
【0067】
変形例2のインダクタ100Bは、実施の形態1と同様に、磁心10と、コイル部21及び引き出し部22を有するコイル素子と、外部端子である電極部材30と、を備える(図示省略)。電極部材30は、底板部31、側板部32、及び、複数の突出板部35を有している。側板部32は、厚み方向に貫通する貫通開口33を有している。引き出し部22は、貫通開口33を貫通するとともに複数の突出板部35に接触している。複数の突出板部35は、引き出し部22に溶接されている。
【0068】
変形例2の第1の突出板部36は、引き出し天面22aに沿って配置された突出板本体36mと、突出板本体36mから引き出し部22の引き出し側面22cに沿って配置された複数のサイド部36nと、を有している。複数のサイド部36nのそれぞれは、第1の突出板部36の先端部35e側に設けられている。例えば、複数のサイド部36nは、突出板本体36mをベースとして引き出し側面22cに沿うように曲げ加工されることで形成される。突出板本体36mは、引き出し天面22aに溶接され、サイド部36nは、引き出し部22の引き出し側面22cに溶接されている。
【0069】
上記のサイド部36nを設けることで、各突出板部35と引き出し部22との溶接によって形成される接続部の長さをさらに長くすることができる。これにより、コイル素子と電極部材30とを接続する接続部の断面積をさらに大きくすることができ、コイル素子と電極部材30との接続に関する信頼性を高めることができる。また、接続部における電流経路の断面積を大きくできるので、直流抵抗を小さくすることができ、インダクタの信頼性を高めることができる。また、接続部における電流経路の断面積を大きくできるので、インダクタを通電した時に温度上昇が起きることを抑制し、インダクタの信頼性を高めることができる。
【0070】
[実施の形態の変形例3]
実施の形態の変形例3に係るインダクタ100Cについて説明する。この例では、Y軸方向から見たときの第1の突出板部36の先端部35eの幅が、根元部35fの幅よりも狭くなっている例について説明する。
【0071】
図9Aは、実施の形態の変形例3に係るインダクタ100Cの引き出し部22、及び、突出板部35の斜視図である。図9Bは、インダクタ100Cの引き出し部22、及び、突出板部35が溶接される前の状態を示す図である。
【0072】
変形例3のインダクタ100Cは、実施の形態1と同様に、磁心10と、コイル部21及び引き出し部22を有するコイル素子と、外部端子である電極部材30と、を備える(図示省略)。電極部材30は、底板部31、側板部32、及び、複数の突出板部35を有している。側板部32は、厚み方向に貫通する貫通開口33を有している。引き出し部22は、貫通開口33を貫通するとともに複数の突出板部35に接触している。複数の突出板部35は、引き出し部22に溶接されている。
【0073】
変形例3の第1の突出板部36は、側板部32に近い根元部35fの幅よりも、側板部32から離れた先端部35eの幅が狭くなっている。例えば、先端部35eの幅は、根元部35fの幅の0.5倍以上0.8倍以下である。また、第1の突出板部36は、根元部35fから先端部35eに向かって徐々に幅が狭くなっている。なお、第1の突出板部36の根元部35fの幅は、第2の突出板部37の幅よりも広い。第1の突出板部36の先端部35eの幅は、第2の突出板部37の先端部35eの幅と同じである。
【0074】
上記のように、第1の突出板部36の先端部35eの幅を狭くすることで、第1の突出板部36を引き出し部22に溶接する際に、第1の突出板部36の先端部35eを溶けやすくすることができる。そのため、過剰な熱を第1の突出板部36に与えずに溶接することができ、磁心10側へ熱が伝わることを抑制できる。これにより、インダクタ100Cが熱劣化することを抑制できる。
【0075】
[実施の形態の変形例4]
実施の形態の変形例4に係るインダクタ100Dについて説明する。この例では、Y軸方向から見たときの突出板部35の先端部35eの幅が、引き出し部22の先端部22eの幅よりも狭くなっている例について説明する。
【0076】
図10Aは、実施の形態の変形例4に係るインダクタ100Dの引き出し部22、及び、突出板部35の斜視図である。図10Bは、インダクタ100Dの引き出し部22、及び、突出板部35が溶接される前の状態を示す図である。
【0077】
変形例4のインダクタ100Dは、実施の形態1と同様に、磁心10と、コイル部21及び引き出し部22を有するコイル素子と、外部端子である電極部材30と、を備える(図示省略)。電極部材30は、底板部31、側板部32、及び、複数の突出板部35を有している。側板部32は、厚み方向に貫通する貫通開口33を有している。引き出し部22は、貫通開口33を貫通するとともに複数の突出板部35に接触している。複数の突出板部35は、引き出し部22に溶接されている。
【0078】
変形例4の2つの突出板部35は、側板部32から離れた先端部35eの幅が、引き出し部22の先端部22eの幅よりも狭くなっている。例えば、先端部35eの幅は、先端部22eの幅の0.8倍以上1倍未満である。また、各突出板部35は、根元部35fから先端部35eに向かって徐々に幅が狭くなっている。なお、第2の突出板部37は、第2の突出板部37の根元部35fの幅が第1の突出板部36の根元部35fの幅よりも狭いが、それでも根元部35fから先端部35eに向かって徐々に幅が狭くなっている。第1の突出板部36の先端部35eの幅は、第2の突出板部37の先端部35eの幅と同じである。
【0079】
上記のように、突出板部35の先端部35eの幅を狭くすることで、第1の突出板部36を引き出し部22に溶接する際に、突出板部35の先端部35eを溶けやすくすることができる。そのため、過剰な熱を突出板部35に与えずに溶接することができ、磁心10側へ熱が伝わることを抑制できる。これにより、インダクタ100Dが熱劣化することを抑制できる。
【0080】
[実施の形態の変形例5]
実施の形態の変形例5に係るインダクタ100Eについて説明する。この例では、第1の突出板部36の第1の接触面36a、及び、第2の突出板部37の第2の接触面37bが、電極部材30の同じ面で構成されている例について説明する。
【0081】
図11Aは、実施の形態の変形例5に係るインダクタ100Eの引き出し部22、及び、突出板部35の斜視図である。図11Bは、インダクタ100Eの引き出し部22、及び、突出板部35が溶接される前の状態を示す図である。
【0082】
変形例5のインダクタ100Eは、実施の形態1と同様に、磁心10と、コイル部21及び引き出し部22を有するコイル素子と、外部端子である電極部材30と、を備える(図示省略)。電極部材30は、底板部31、側板部32、及び、複数の突出板部35を有している。側板部32は、厚み方向に貫通する貫通開口33を有している。引き出し部22は、貫通開口33を貫通するとともに複数の突出板部35に接触している。複数の突出板部35は、引き出し部22に溶接されている。
【0083】
変形例5では、引き出し天面22aに接する第1の突出板部36の第1の接触面36a、及び、引き出し底面22bに接する第2の突出板部37の第2の接触面37bが、電極部材30の同じ面で構成されている。例えば、板状の電極部材30が、板状部材の両主面の一方である第1面及び他方である第2面を有し、第1面が磁心10の側面13cに接している場合、第1の接触面36aは、第1面の一部で構成され、第2の接触面37bは、第1面の他の一部で構成される。すなわち、第1の接触面36a及び第2の接触面37bが、電極部材30の同じ第1面で構成されている。
【0084】
図12は、インダクタ100Eの突出板部の製造工程の一例を示す図である。
【0085】
まず、図12の(a)に示すように、金属材料板に対して打ち抜き加工が行われる。このとき、後工程で第1の突出板部36となる領域T1b及び第2の突出板部37となる領域T2が残るように、例えばH字状の形状の打ち抜き加工が行われる。
【0086】
次に図12の(b)に示すように、上記の領域T1bおよび領域T2を、後工程で側板部32が側面13cに当接する面とは反対側に折り曲げることで、側板部32から立設した第1の突出板部36及び第2の突出板部37が形成される。また、折り曲げ加工によって空いた空間に、貫通開口33が形成される。第1の突出板部36の折り曲げ線L1bは、貫通開口33の天面12側の内壁33aに略一致し、第2の突出板部37の折り曲げ線L2は、貫通開口33の底面11側の内壁33bに略一致している。
【0087】
このように第1の接触面36a及び第2の接触面37bを、電極部材30の同じ面で構成することで、第1の突出板部36及び第2の突出板部37の折り曲げ加工を簡易に精度よく行うことができる。また、例えば、第1の突出板部36及び第2の突出板部37の折り曲げ加工を、ポンチ等を使って同時に行うことができ、製造工程を簡略化することができる。
【0088】
[実施の形態の変形例6]
実施の形態の変形例6に係るインダクタ100Fについて説明する。この例では、突出板部35が変形例5と同様の構成を有し、かつ、側板部32の一部が、磁心10の側面13cから離れて盛り上がっている例について説明する。
【0089】
図13Aは、実施の形態の変形例6に係るインダクタ100Fの引き出し部22、及び、突出板部35の斜視図である。図13Bは、インダクタ100Fの引き出し部22、及び、突出板部35が溶接される前の状態を示す図である。
【0090】
変形例6のインダクタ100Fは、変形例5と同様に、磁心10と、コイル部21及び引き出し部22を有するコイル素子と、外部端子である電極部材30と、を備える(図示省略)。電極部材30は、底板部31、側板部32、及び、複数の突出板部35を有している。側板部32は、厚み方向に貫通する貫通開口33を有している。引き出し部22は、貫通開口33を貫通するとともに複数の突出板部35に接触している。複数の突出板部35は、引き出し部22に溶接されている。
【0091】
図14は、インダクタ100Fの側板部32を横から見た図である。図14には、側板部32をX軸方向から見た図が示されている。
【0092】
図14に示すように、電極部材30の側板部32は、磁心10の側面13cから離れて盛り上がる複数の隆起部32gを有している。複数の隆起部32gは、引き出し部22の側面(引き出し側面22c)の両外側に設けられている。隆起部32gと側面13cとの間には、空間が形成されている。例えば、隆起部32gは、側面13cを基準として45°以上80°未満の傾斜角α1を有している。隆起部32gの盛り上がり高さは、突出板部35の突出高さよりも低い。
【0093】
図15は、インダクタ100Fの側板部32の製造工程の一例を示す図である。
【0094】
まず、図15の(a)に示すように、金属材料板に対して打ち抜き加工が行われる。このとき、変形例5と同様に、後工程で第1の突出板部36となる領域T1b及び第2の突出板部37となる領域T2が残るように、所定の形状の打ち抜き加工が行われる。なお、この変形例6では、底面11から天面12に向かう方向であるZ軸方向において、領域T1bおよび領域T2の長さが、変形例5よりも長くなっている。
【0095】
次に図15の(b)に示すように、上記の領域T1bおよび領域T2を、後工程で側板部32が側面13cに当接する面とは反対側に折り曲げることで、側板部32から立設した第1の突出板部36及び第2の突出板部37が形成される。また、折り曲げ加工によって空いた空間に、開口33jが形成される。この時点における変形例6の開口33jは、変形例5の貫通開口33よりも、Z軸方向の長さが長くなっている。また、開口33jの長さが長いぶん、第1の突出板部36及び第2の突出板部37の突出長さが、変形例5に比べて長くなっている。
【0096】
次に図15の(c)に示すように、開口33jの天面側の内壁と底面側の内壁とを繋ぐ側壁の両外側に位置する側板部32を曲面状の金型99で成形するとともに、側板部32を面方向に沿って(Z軸方向に沿って)スライドさせる。これにより、金型99で成形された側板部32が盛り上がり、引き出し部22の引き出し側面22cの両外側に隆起部32gが形成される。
【0097】
変形例6のように、側板部32に隆起部32gを設けることで、第1の突出板部36および第2の突出板部37のそれぞれの突出長さを、長くすることができる。これによれば、引き出し部22に溶接される突出板部35の面積が小さくなることを抑制できる。これにより、引き出し部22と突出板部35との接続に関する信頼性が低下することを抑制できる。
【0098】
図16は、実施の形態の変形例6の側板部32の他の例を示す図である。
【0099】
図16に示す例では、隆起部32gが、磁心10の側面13cを基準として80°以上の傾斜角α2を有している。なお、傾斜角α2は、80°以上90°以下であることが望ましい。このように側板部32に隆起部32gを設けることで、第1の突出板部36および第2の突出板部37のそれぞれの突出長さを、さらに長くすることができる。そのため、引き出し部22に溶接される突出板部35の面積が小さくなることを抑制できる。これにより、引き出し部22と突出板部35との接続に関する信頼性が低下することを抑制できる。
【0100】
図17は、実施の形態の変形例6の側板部32の他の例を示す図である。
【0101】
図17に示す例では、隆起部32gが、磁心10の側面13cから徐々に膨らむ部分を有している。例えば、隆起部32gを断面視した場合、隆起部32gは、湾曲したギリシャ文字のオメガ(Ω)状の形状を有している。隆起部32gの根元と先端の間では、根元から離れるにつれて徐々に膨らみ、根元と先端の中間部分から先端に近づくにつれて徐々にしぼんでいる。隆起部32gの根元は、磁心10の側面13cを基準として90°以上の傾斜角α3を有している。このように側板部32に隆起部32gを設けることで、第1の突出板部36および第2の突出板部37のそれぞれの突出長さを、さらに長くすることができる。そのため、引き出し部22に溶接される突出板部35の面積が小さくなることを抑制できる。これにより、引き出し部22と突出板部35との接続に関する信頼性が低下することを抑制できる。
【0102】
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態に係るインダクタ100は、底面11、天面12、ならびに、底面11及び天面12に繋がる側面13a、13b、13c、13dを有する磁心10と、磁心10に埋設されたコイル部21、及び、コイル部21の端部に繋がり、側面(例えば側面13c)から磁心10の外部に引き出された引き出し部22を有するコイル素子と、側面13cに配置され、引き出し部22を介してコイル素子に電気的に接続された板状の電極部材30と、を備える。電極部材30は、引き出し部22が引き出されている側面13cに沿って配置される側板部32と、側面13cから離れる方向に側板部32から突出する複数の突出板部35と、を有する。側板部32は、側板部32の厚み方向に貫通する貫通開口33を有する。引き出し部22は、貫通開口33を貫通するとともに、複数の突出板部35に接触している。複数の突出板部35は、引き出し部22に溶接されている。
【0103】
これによれば、各突出板部35と引き出し部22との溶接によって形成される接続部の長さを長くすることが可能である。これにより、コイル素子と電極部材30とを接続する接続部の断面積を大きくすることができ、コイル素子と電極部材30との接続に関する信頼性を高めることができる。また、接続部における電流経路の断面積を大きくできるので、直流抵抗を小さくすることができ、インダクタの信頼性を高めることができる。また、接続部における電流経路の断面積を大きくできるので、インダクタを通電した時に温度上昇が起きることを抑制し、インダクタの信頼性を高めることができる。
【0104】
また、複数の突出板部35は、底面11に平行であり、引き出し部22を間に挟んで互いに対向していてもよい。
【0105】
これによれば、複数の突出板部35のそれぞれを引き出し部22に確実に接触させることができる。これにより、コイル素子と電極部材30との接続に関する信頼性を高めることができる。
【0106】
また、複数の突出板部35のそれぞれは、側板部32と貫通開口33との境界領域の一部から立ち上がっていてもよい。
【0107】
これによれば、複数の突出板部35を、貫通開口33を貫通する引き出し部22の近くに配置させ、引き出し部22に確実に接触させることができる。これにより、コイル素子と電極部材30との接続に関する信頼性を高めることができる。
【0108】
また、複数の突出板部35は、第1の突出板部36、及び、第1の突出板部36よりも底面11側に位置する第2の突出板部37を有する。引き出し部22は、断面が四角形状であり、天面12に平行な引き出し天面22a、及び、引き出し天面22aよりも底面11側に位置する引き出し底面22bを有している。第1の突出板部36は、引き出し天面22aに溶接され、第2の突出板部37は、引き出し底面22bに溶接されていてもよい。
【0109】
この構造によれば、第1の突出板部36及び第2の突出板部37のそれぞれを確実に引き出し部22に溶接することができる。これにより、コイル素子と電極部材30との接続に関する信頼性を高めることができる。
【0110】
また、第1の突出板部36は、側板部32の貫通開口33に繋がる突出板開口36hを有していてもよい。
【0111】
これによれば、例えば、第1の突出板部36の折り曲げ加工を簡易に精度よく行うことができる。そのため、第1の突出板部36を確実に引き出し部22に接触させることができる。これにより、コイル素子と電極部材30との接続に関する信頼性を高めることができる。
【0112】
また、第1の突出板部36は、引き出し天面22aに沿って配置された突出板本体36mと、突出板本体36mから引き出し部22の側面(引き出し側面22c)に沿って配置された複数のサイド部36nと、を有する。突出板本体36mは、引き出し天面22aに溶接され、サイド部36nは、引き出し部22の側面(引き出し側面22c)に溶接されてもよい。
【0113】
上記のサイド部36nを設けることで、各突出板部35と引き出し部22との溶接によって形成される接続部の長さをさらに長くすることができる。これにより、コイル素子と電極部材30とを接続する接続部の断面積をさらに大きくすることができ、コイル素子と電極部材30との接続に関する信頼性を高めることができる。
【0114】
また、第1の突出板部36は、側板部32から離れた先端部35eの幅が、側板部32に近い根元部35fの幅よりも狭くてもよい。
【0115】
このように、第1の突出板部36の先端部35eの幅を狭くすることで、例えば、第1の突出板部36を引き出し部22に溶接する際に、第1の突出板部36の先端部35eを溶けやすくすることができる。そのため、過剰な熱を第1の突出板部36に与えずに溶接することができ、磁心10側へ熱が伝わることを抑制できる。これにより、インダクタ100Cが熱劣化することを抑制できる。
【0116】
また、複数の突出板部35は、側板部32から離れた先端部35eの幅が、引き出し部22の先端部22eの幅よりも狭くてもよい。
【0117】
このように、突出板部35の先端部35eの幅を狭くすることで、第1の突出板部36を引き出し部22に溶接する際に、突出板部35の先端部35eを溶けやすくすることができる。そのため、過剰な熱を突出板部35に与えずに溶接することができ、磁心10側へ熱が伝わることを抑制できる。これにより、インダクタ100Dが熱劣化することを抑制できる。
【0118】
また、側板部32から突出する突出板部35の突出長さは、突出板部35の板厚の1.5倍以上であってもよい。
【0119】
これによれば、複数の突出板部35と引き出し部22とを溶接したときの溶融部を大きくして接続面積を増やすことができる。また、接続部における電流経路の断面積を大きくできるので、直流抵抗を小さくすることができ、インダクタの信頼性を高めることができる。また、接続部における電流経路の断面積を大きくできるので、インダクタを通電した時に温度上昇が起きることを抑制し、インダクタの信頼性を高めることができる。
【0120】
また、引き出し天面22aに接する第1の突出板部36の第1の接触面36a、及び、引き出し底面22bに接する第2の突出板部37の第2の接触面37bは、電極部材30の同じ面で構成されていてもよい。
【0121】
このように第1の接触面36a及び第2の接触面37bを電極部材30の同じ面で構成することで、例えば、第1の突出板部36及び第2の突出板部37の折り曲げ加工を簡易に精度よく行うことができる。そのため、第1の突出板部36を確実に引き出し部22に接触させることができる。これにより、コイル素子と電極部材30との接続に関する信頼性を高めることができる。また、第1の突出板部36及び第2の突出板部37の折り曲げ加工を同時に行うことができ、製造工程を簡略化することができる。
【0122】
また、電極部材30の側板部32は、引き出し部22の側面(引き出し側面22c)の両外側において、磁心10の側面13cから離れて盛り上がる隆起部32gを有していてもよい。
【0123】
このように、側板部32に隆起部32gを設けることで、第1の突出板部36および第2の突出板部37のそれぞれの突出長さを長くすることができる。これによれば、引き出し部22に溶接される突出板部35の面積が小さくなることを抑制できる。これにより、コイル素子と電極部材30との接続に関する信頼性が低下することを抑制できる。
【0124】
また、隆起部32gは、側面13cを基準として80°以上の傾斜角を有していてもよい。
【0125】
このように、80°以上の傾斜角α1を有する隆起部32gを設けることで、第1の突出板部36および第2の突出板部37のそれぞれの突出長さを長くすることができる。これによれば、引き出し部22に溶接される突出板部35の面積が小さくなることを抑制できる。これにより、コイル素子と電極部材30との接続に関する信頼性が低下することを抑制できる。
【0126】
また、隆起部32gは、側面13cから徐々に膨らむ部分を有していてもよい。
【0127】
このような膨らむ部分を有する隆起部32gを設けることで、第1の突出板部36および第2の突出板部37のそれぞれの突出長さを長くすることができる。これによれば、引き出し部22に溶接される突出板部35の面積が小さくなることを抑制できる。これにより、コイル素子と電極部材30との接続に関する信頼性が低下することを抑制できる。
【0128】
(その他の実施の形態等)
以上、本開示の実施の形態及び各変形例に係るインダクタ等について説明したが、本開示は、上記実施の形態及び各変形例に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態及び各変形例に施したもの、並びに、実施の形態及び各変形例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。
【0129】
上記の実施の形態では、電極部材30の底板部31、側板部32及び第1の突出板部36及び第2の突出板部37、ならびに係止部38が、同じ材料からなる1つの部材を加工して形成されている例を示したが、それに限られない。例えば、電極部材30は、別の部材で構成された底板部31と側板部32と第1の突出板部36及び第2の突出板部37、ならびに係止部38、とを接続することで形成されていてもよい。
【0130】
上記の実施の形態では、コイル素子のコイル部21及び引き出し部22が、同じ材料からなる1つの部材を加工して形成されている例を示したが、それに限られない。コイル素子は、別の部材で構成されたコイル部21と引き出し部22とを接続することで形成されていてもよい。
【0131】
上記実施の形態では、導線は横断面が矩形である例を示したが、それに限定されない。導線は横断面が円形状のものであってもよく、引き出し部22の部分は、電極部材30と接続しやすくするために、少なくとも一部が平板状に展伸されたものであってもよい。
【0132】
上記実施形態では、引き出し部22は、側面13cの中心よりも底面11側の高さから引き出されている例を示したが、それに限定されない。引き出し部22は、側面13cの中心よりも天面12側の高さから引き出されてもよい。
【0133】
また、例えば、上記したインダクタを用いた電気製品又は電気回路についても、本開示に含まれる。電気製品としては、上述したインダクタを備えた電源装置や、当該電源装置を備える各種機器等が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本開示に係るインダクタは、各種装置及び機器等に用いられるインダクタとして有用である。
【符号の説明】
【0135】
10 磁心
11 底面
11a 底面凹部
12 天面
13a、13b、13c、13d 側面
21 コイル部
22 引き出し部
22a 引き出し天面
22b 引き出し底面
22c 引き出し側面
22e 先端部
30 電極部材
31 底板部
31a 底面カシメ部
32 側板部
32g 隆起部
33 貫通開口
33a、33b 内壁
33i、33j 開口
35 突出板部
35e 先端部
35f 根元部
36 第1の突出板部
36a 第1の接触面
36h 突出板開口
36m 突出板本体
36n サイド部
37 第2の突出板部
37b 第2の接触面
38 係止部
38a 開口
99 金型
100、100A、100B、100C、100D、100E、100F インダクタ
131d 凸部
L1、L1a、L1b、L2 折り曲げ線
ws 溶接痕
T1、T1a、T1b、T2 領域
α1、α2、α3 傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17