(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123302
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】横編機の編地引下げ装置
(51)【国際特許分類】
D04B 15/88 20060101AFI20230829BHJP
D04B 15/90 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
D04B15/88 103
D04B15/90 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027316
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(72)【発明者】
【氏名】澁田 武一
(72)【発明者】
【氏名】山野 浩稔
【テーマコード(参考)】
4L054
【Fターム(参考)】
4L054AA01
4L054AB02
4L054JA02
4L054KA01
4L054LA19
4L054NA03
(57)【要約】
【課題】 引下げユニットに対する調整作業の軽減と時間短縮が可能な、横編機の編地引下げ装置を提供する。
【解決手段】 横編機1の組立て時に、治具上で針先の位置を調整した引下げユニット3を、本体フレーム4の底部から支持機構8で支持する。調整機構9は、前後の引下げユニット3の前後方向の位置を調整ねじ9cで調整可能である。調整機構9を、各引下げユニット3と横編機1で針床5を支える本体フレーム4との間に設ける。調整機構9は、本体フレーム4の底部と歯口6側頂部との間の中間部に設けるので、歯口6から編地通過経路7を垂下する編地に近い位置で、引下げユニット3の前後の間隔を調整することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の針床を、歯口を挟んで前後に対向するように備える横編機で、
針床で編成されて歯口から編地通過経路を垂下する編地を、
歯口側頂部で前後から接近させて引下げが可能な閉状態と、
歯口側頂部が前後に間隔を開けて編地通過経路から離隔する開状態と
を切換え可能な前後一対の引下げユニットを有する、
横編機の編地引下げ装置において、
前後の各引下げユニットを、横編機で針床を支える本体フレームの底部から支持する支持機構を少なくとも2以上と、
各引下げユニットを、本体フレームの底部と歯口側頂部との間の中間部で、前後方向の位置を調整可能な調整機構を少なくとも2以上とを、
前後方向に垂直な長手方向にそれぞれ間隔を開けて有する、 ことを特徴とする横編機の編地引下げ装置。
【請求項2】
前記調整機構は、
前記引下げユニットで前記編地通過経路の背面側に設けるユニット係合部と、
前記本体フレームで支持され、ユニット係合部と係合するフレーム係合部とを含み、
ユニット係合部とフレーム係合部のうち、
一方には前記長手方向に延びる係合ピンが設けられ、
他方には係合ピンを受ける凹部となる受け部が設けられ、
ユニット係合部とフレーム係合部とは、係合ピンと受け部との係合状態で、長手方向への相対移動が可能である、
ことを特徴とする請求項1記載の横編機の編地引下げ装置。
【請求項3】
前記受け部が前記フレーム係合部に設けられる場合の凹部は下側に開口し、
受け部が前記ユニット係合部に設けられる場合の凹部は上側に開口する、
ことを特徴とする請求項2記載の横編機の編地引下げ装置。
【請求項4】
前記調整機構は、調整ねじと調整ベースとを含み、
調整ベースは前記本体フレームに固定され、調整ねじを回転可能に支持し、
調整ねじは、先端を前記フレーム係合部に螺合させて、回転でフレーム係合部の前後方向の位置を調整可能である、
ことを特徴とする請求項2または3記載の横編機の編地引下げ装置。
【請求項5】
前記支持機構は、
前記引下げユニットの底部を支持するユニット支持部と、
前記本体フレームに設けるフレーム支持部とを含み、
ユニット支持部とフレーム支持部のうち、
一方には前記長手方向に延びる結合ピンが設けられ、
他方には結合ピンを受ける受け部が設けられ、
ユニット支持部とフレーム支持部とは、
結合ピンと受け部との結合状態で、長手方向への相対移動が可能である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の横編機の編地引下げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横編機の歯口で編成される編地を下方に引下げる、横編機の編地引下げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、少なくとも一対の針床を、歯口を挟んで前後に対向するように備える横編機は、各針床に多数の針溝を並設し、各針溝に収容される編針を歯口に進退させて編地を編成する。編地の編成では、新たに編目が形成されると、旧編目はノックオーバーされ、歯口の下方に垂下する。垂下する編地に引下げ力を加えると、ノックオーバーを確実に行うことができる。引下げ力を加えることができる引下げ装置には、歯口下方に、前後一対の案内板を設け、各案内板から出没する針先で編地を捕捉して引下げる方式のものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の編地引下げ装置は、編地の編出し時に使用する編出し装置を通過させるための開閉機構を備える。開閉機構は、カムによる駆動で、各案内板の少なくとも一部を、編地が垂下する編地通過経路から離隔させるように開くことができる。編出し装置の通過後、開閉機構は、案内板を編地通過経路に近接させて閉じる。なお、開閉機構が案内板を閉じるカムの作動位置を変えれば、案内板から突出する針先の量を調整することもできる。引下げる編地の厚みは、編糸の種類や編地の組織等に応じて変化する。針先の突出量の調整は、編地の厚みに応じて、引下げ力が適切なものとなるように変更することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の引下げ装置は、編地通過経路の前後に、案内板とともに、編地を針先で引き下げる編地の捕捉・引下げ機構、案内板の開閉機構をそれぞれ含んで、引下げユニットを形成している。横編機の編地引下げ装置を適切に作動させるためには、横編機の組立て時に、各引下げユニットの位置を調整する必要がある。引下げユニットの組立ては治具を用いて行い、治具上では針先の位置を調整しておく。横編機で針床などを支持する本体フレームの底部には、調整機構が設けられ、引下げユニットは調整機構に取付けられる。しかしながら、本体フレームの加工誤差や自重による撓みで、取付けられた引下げユニットの針先の位置は、治具上とは異なってしまう。そのため、調整機構での調整が必要となる。この調整は、歯口付近に突出する針先の量を、歯口から下方に離れた本体フレーム底部で変化させることになるので、手間と時間がかかる。
【0006】
本発明の目的は、引下げユニットに対する調整作業の軽減と時間短縮が可能な、横編機の編地引下げ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも一対の針床を、歯口を挟んで前後に対向するように備える横編機で、
針床で編成されて歯口から編地通過経路を垂下する編地を、
歯口側頂部で前後から接近させて引下げが可能な閉状態と、
歯口側頂部が前後に間隔を開けて編地通過経路から離隔する開状態と
を切換え可能な前後一対の引下げユニットを有する、
横編機の編地引下げ装置において、
前後の各引下げユニットを、横編機で針床を支える本体フレームの底部から支持する支持機構を少なくとも2以上と、
各引下げユニットを、本体フレームの底部と歯口側頂部との間の中間部で、前後方向の位置を調整可能な調整機構を少なくとも2以上とを、
前後方向に垂直な長手方向にそれぞれ間隔を開けて有する、 ことを特徴とする横編機の編地引下げ装置である。
【0008】
また本発明で、前記調整機構は、
前記引下げユニットで前記編地通過経路側の背面側に設けるユニット係合部と、
前記本体フレームで支持され、ユニット係合部と係合するフレーム係合部と
を含み、
ユニット係合部とフレーム係合部のうち、
一方には前記長手方向に延びる係合ピンが設けられ、
他方には係合ピンを受ける凹部となる受け部が設けられ、
ユニット係合部とフレーム係合部とは、係合ピンと受け部との係合状態で、長手方向へ
の相対移動が可能である、
ことを特徴とする。
【0009】
前記受け部が前記フレーム係合部に設けられる場合の凹部は下側に開口し、
受け部が前記ユニット係合部に設けられる場合の凹部は上側に開口する、
ことを特徴とする。
【0010】
また本発明で、前記調整機構は、調整ねじと調整ベースとを含み、
調整ベースは前記本体フレームに固定され、調整ねじを回転可能に支持し、
調整ねじは、先端を前記フレーム係合部に螺合させて、回転でフレーム係合部の前後方向の位置を調整可能である、
ことを特徴とする。
【0011】
また本発明で、前記支持機構は、
前記引下げユニットの底部を支持するユニット支持部と、
前記本体フレームに設けるフレーム支持部と
を含み、
ユニット支持部とフレーム支持部のうち、
一方には前記長手方向に延びる結合ピンが設けられ、
他方には結合ピンを受ける受け部が設けられ、
ユニット支持部とフレーム支持部とは、
結合ピンと受け部との結合状態で、長手方向への相対移動が可能である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、前後の引下げユニットの前後方向の位置を調整可能な調整機構を、各引下げユニットと横編機で針床を支える本体フレームとの間に設ける。調整機構は、本体フレームの底部と歯口側頂部との間の中間部に設けるので、歯口から垂下する編地が通る編地通過経路の上部に近い位置で、引下げユニットの前後の間隔を調整することができる。編地を引き下げる針先の位置の調整を、編地を捕捉する位置の近くで行うことができるので、調整作業の軽減と時間短縮を図ることができる。調整機構は、長手方向に間隔を開けて少なくとも2以上設けられるので、長手方向に関しても適切な調整が可能となる。各引下げユニットは、長手方向に間隔を開けて少なくとも2以上設けられる支持機構で本体フレームの底部から支持されるので、引下げユニットの荷重を負担し、調整機構にかかる荷重を軽減して、調整を容易にすることができる。
【0013】
また本発明によれば、調整機構の引下げユニットと本体フレームとの間に、熱膨張の差に起因する長手方向のずれが生じても、係合ピンと受け部との係合でずれによる変位を相対移動で逃がし、調整する位置に対するずれの影響を抑えることができる。
【0014】
また本発明によれば、調整ねじの回転で、引下げユニットの前後方向の位置を容易に調整することができる。
【0015】
また本発明によれば、ユニット係合部をフレーム係合部に、下方から容易に係合させることができる。
【0016】
また本発明によれば、支持機構の引下げユニットと本体フレームとの間に、熱膨張の差に起因する長手方向のずれが生じても、係合ピンと受け部との係合でずれによる変位を相対移動で逃がし、支持する位置に対するずれの影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例である横編機1の編地引下げ装置2の構成を、簡略化して示す部分的な右側面断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の引下げユニット3に対する支持機構8としての正面図、平面図および右側面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す支持機構8に使用する主要部品として、(a)でフレーム支持部81,(b)でユニット支持部82、および(c)で連結部材83の構成をそれぞれ示す、正面図、平面図および右側面図である。
【
図4】
図4は、
図1の引下げユニット3に対する調整機構9としての正面図、平面図および右側面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す調整機構9に使用する主要部品として、(a)でフレーム係合部91,(b)でユニット係合部92の構成をそれぞれ示す、正面図、平面図および右側面図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す調整機構9に使用する主要部品として、(a)で調整ベース93,(b)で保持板94の構成をそれぞれ示す、正面図、平面図および右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1は、本発明の一実施例である横編機1の編地引下げ装置2の構成を、簡略化して示す。
図2から
図6は、編地引下げ装置2の部分的構成および使用部品を示す。各図で対応する部分は,同一の参照符を付して示し、重複する説明を省略する場合がある。また説明の便宜上、図示を省略する部分がある。
【実施例0019】
図1に示す横編機1の編地引下げ装置2は、引下げユニット3で編地を引き下げる。横編機1は、本体フレーム4で支持する針床5に多数の編針を並設し、編針を歯口6に進退させ、歯口6で供給する編糸で編地を編成する。編成された編地は、歯口6の下方に垂下する。横編機1では、少なくとも一対の針床5を前後に対向させて備える。
図1では、後側の針床5のみを示し、前側の針床5は図示を省略する。編地引下げ装置2も、後側のみ示すけれども、前側にも同等の構成を有する。引下げユニット3は、特許文献1と同様に、編地通過経路7の前後に、案内板3aおよび引下げベース3bとともに、編地を針先で引き下げる編地の捕捉・引下げ機構3c、案内板3aの開閉機構3dを含む。開閉機構3dは、偏心したカム3eで案内板3aが変位するように駆動する。すなわち、編地引下げ装置2は、少なくとも一対の針床5を、歯口6を挟んで前後に対向するように備える横編機1で、針床5で編成されて歯口6から編地通過経路7を垂下する編地を引き下げる。編地引下げ装置2の引下げユニット3は、歯口6側の頂部付近で,案内板3aとともに捕捉・引下げ機構3cの針先を前後から接近させると、針先の作用で編地の引下げが可能な閉状態となる。引下げユニット3は、捕捉・引下げ機構3cが、閉状態から前後に間隔を開けて、編地通過経路7から離隔する開状態へ切換え可能である。
【0020】
本実施例の編地引下げ装置2は、前後の各引下げユニット3を、横編機1で針床5を支える本体フレーム4の底部から支持する支持機構8を少なくとも2以上有する。また、各引下げユニット3を、本体フレーム4の底部と歯口6側頂部との間の中間部で、前後方向の位置を調整ねじ9cで調整可能な調整機構9を少なくとも2以上有する。調整ねじ9cでの調整は、針床5を本体フレーム4に取付ける前に行う。調整ねじ9cは前後方向を向いているので、引下げユニット3の前後方向の位置を作業性良く調整することができる。支持機構8と調整機構9とは、前後方向に垂直な長手方向にそれぞれ間隔を開けて配置される。
【0021】
横編機1の組立て時に、引下げユニット3は、組立てを従来と同様に治具を用いて行い、治具上で針先の位置を調整しておき、本体フレーム4の底部から支持機構8で支持する。調整機構9は、前後の引下げユニット3の前後方向の位置を調整可能であり、各引下げユニット3と横編機1で針床5を支える本体フレーム4との間に設けられる。調整機構9は、捕捉・引下げ機構3cが編地を引き下げる針先に近い位置で調整を行うので、調整作業の軽減と時間短縮を図ることができる。調整機構9は、長手方向に間隔を開けて少なくとも2以上設けられるので、長手方向に関しても適切な調整が可能となる。各引下げユニット3は、長手方向に間隔を開けて少なくとも2以上設けられる支持機構8で本体フレーム4の底部から支持されるので、引下げユニット3の荷重を負担し、調整機構9にかかる荷重を軽減して、調整を容易にすることができる。また、調整機構9は、上下方向の中間で引下げユニット3を前後方向に支持するので、引下げユニット3の倒れ防止の効果も奏する。
【0022】
図2は、
図1の引下げユニット3に対する支持機構8の構成を示す。また
図3は、支持機構8の主要部品の構成を示す。支持機構8は、フレーム支持部81と、ユニット支持部82と、連結部材83とを含む。フレーム支持部81は、本体フレーム4に設けられ、その構成を
図3(a)に示す。ユニット支持部82は、引下げユニット3の底部を支持し、その構成を
図3(b)に示す。連結部材83は、引下げユニット3の底部とユニット支持部82との間に設けられ、その構成を
図3(c)に示す。ユニット支持部82と連結部材83とは、一体化することもできる。本実施例のフレーム支持部81およびユニット支持部82には、結合ピン8aおよび受け部8bをそれぞれ設ける。フレーム支持部81に受け部、ユニット支持部82に結合ピンを設けてもよい。すなわち、フレーム支持部81とユニット支持部82のうち、一方には長手方向に延びる結合ピン8aが設けられ、他方には結合ピン8aを受ける受け部8bが設けられ、フレーム支持部81とユニット支持部82とは、結合ピン8aと受け部8bとの結合状態で、長手方向への相対移動が可能である。
【0023】
引下げユニット3では、引下げベース3bをアルミニウム引抜き材などで形成すると、鉄鋳物などで形成される本体フレーム4よりも熱で膨張しやすくなる。捕捉・引下げ機構3cは、電気的駆動で発熱し、引下げベース3bは熱伝導で加熱されるので、支持機構8で支持する引下げユニット3と本体フレーム4との間に、熱膨張の差に起因する長手方向のずれが生じるおそれがある。支持機構8は、結合ピン8aと受け部8bとの係合でずれによる変位を相対移動で逃がし、支持する位置に対するずれの影響を抑えることができる。なお、2以上の支持機構8のうち、一つには、たとえばユニット支持部82に固定ねじ85を設ける。固定ねじ85が設けられるユニット支持部82は、フレーム支持部81を長手方向の両側から挟み込んで固定して、ずれて移動できないようにし、長手方向の位置の基準とする。
【0024】
図4は、
図1の引下げユニット3に対する調整機構9の構成を示す。また
図5および
図6は、調整機構9の主要部品の構成を示す。調整機構9は、フレーム係合部91と、ユニット係合部92とを含む。フレーム係合部91は、本体フレーム4で支持され、その構成を
図5(a)に示す。ユニット係合部92は、引下げユニット3で編地通過経路7の背面側に設けられ、その構成を
図5(b)に示す。ユニット係合部92とフレーム係合部91とは係合する。ユニット係合部92には係合ピン9aが設けられ、フレーム係合部91には係合ピン9aを受ける受け部9bが設けられる。フレーム係合部91に係合ピン、ユニット係合部92に受け部を設けてもよい。ユニット係合部92とフレーム係合部91のうち、一方には長手方向に延びる係合ピン9aが設けられ、他方には係合ピン9aを受ける受け部9bが設けられることで、ユニット係合部92とフレーム係合部91とは、係合ピン9aと受け部9bとの係合状態で、長手方向への相対移動が可能である。
【0025】
図5(a)に示すように、本実施例の受け部9bは下側に開口する凹部である。受け部がユニット係合部92に設けられる場合の凹部は上側に開口するようにする。このような方向に凹部を開口させれば、引下げユニット3は下から上向きに取付けるので、ユニット係合部92とフレーム係合部91とは取付けと同方向で容易に係合させることができる。なお、凹部が開口する方向が異なるような場合、たとえば上下が逆方向になると、引下げユニット3は、下から上昇させてから下向きに係合させる必要がある。
【0026】
さらに調整機構9は、調整ベース93と、保持板94とを含む。調整ベース93は、
図6(a)に示すように、調整ねじ9cと螺合するナット9dを収容する孔93aを有する。調整ベース93と調整ねじ9cの頭部との間には、保持板94が挿入される。保持板94の中央付近には孔94aが設けられ、厚みが保持板94よりもわずかに厚いカラー9eを挿入する。カラー9eと調整ねじ9cの頭部との間には、座金9fを挟む。カラー9eとナット9dとの間には、座金9gを挟む。調整ベース93は本体フレーム4に固定され、調整ねじ9cを回転可能に支持し、回転しても調整ねじ9cの前後方向の位置は保持する。調整ねじ9cの先端側は、フレーム係合部91の先端ブロック91aに設けるねじ穴に螺合する。調整ねじ9cの回転の方向に応じて、先端ブロック91aは調整ベース93に接近するか離反するかして、フレーム係合部91の前後方向の位置を調整することができる。
【0027】
図6(a)に示すように、調整ベース93は、長手方向に間隔を開けて本体フレーム4への取付け部93bを有する。先端ブロック91aは、取付け部93b間の間隔に嵌合し、前後方向の位置調整の際には、ずれないように案内することができる。調整機構9の引下げユニット3と本体フレーム4との間に、熱膨張の差に起因する長手方向のずれが生じても、係合ピン9aと受け部9bとの係合でずれによる変位を相対移動で逃がし、調整する位置に対するずれの影響を抑えることができる。調整ベース93や調整ねじ9cを設けずに、フレーム係合部91を本体フレーム4に直接取付けることも可能であるけれども、受け部9bの位置は、組立前に治具を用いて予め調整しておくので、調整の際に調整ねじ9cがあれば作用性を良くすることができる。