(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123321
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】包装袋の位置決め方法および包装袋の位置決め装置
(51)【国際特許分類】
B65B 43/16 20060101AFI20230829BHJP
B65B 43/44 20060101ALI20230829BHJP
B65B 43/28 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B65B43/16
B65B43/44 A
B65B43/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058370
(22)【出願日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2022026597
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】河田 学
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030BB02
3E030BC02
3E030DA01
3E030DA02
3E030EB03
3E030FA07
3E030GA04
(57)【要約】
【課題】薄肉の包装袋において、位置決ガイドが押し当てられても変形がしにくい包装袋の位置決め方法を提供すること。
【解決手段】包装袋の位置決め方法は、位置決めにより包装袋に負荷が加わる向きに対する剛性が高くなるように、包装袋に変形を形成する第1ステップと、変形が形成される包装袋に位置決ガイドを押し当てて包装袋を位置決めする第2ステップと、を備える。第1ステップの変形の形成が、好ましくは、水平方向に沿う包装袋に湾曲を形成するか、または、鉛直方向に沿う包装袋に湾曲を形成する。第2ステップにおいて、好ましくは、水平方向に沿う包装袋を位置決めするか、または、鉛直方向に沿う包装袋を位置決めする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決めにより包装袋に負荷が加わる向きに対する剛性が高くなる変形を前記包装袋に形成する第1ステップと、
前記変形が形成される前記包装袋を位置決めする第2ステップと、を備える包装袋の位置決め方法。
【請求項2】
前記第1ステップの前記変形が、
水平方向に沿う前記包装袋に形成される湾曲か、または、
鉛直方向に沿う前記包装袋に形成される前記湾曲である、
請求項1に記載の包装袋の位置決め方法。
【請求項3】
前記第2ステップにおいて、
水平方向に沿う前記包装袋を位置決めするか、または、
鉛直方向に沿う前記包装袋を位置決めする、
請求項1または請求項2に記載の包装袋の位置決め方法。
【請求項4】
前記包装袋は、長手方向と短手方向とを有し、
前記第1ステップにおいて、
長手方向に沿う前記湾曲を形成するか、または、
短手方向に沿う前記湾曲を形成する、
請求項2に記載の包装袋の位置決め方法。
【請求項5】
前記湾曲は、
前記包装袋の長手方向または短手方向の一部に形成されるか、
もしくは、
前記包装袋の長手方向または短手方向の全部に形成される、
請求項4に記載の包装袋の位置決め方法。
【請求項6】
前記包装袋は、長手方向と短手方向とを有し、
前記第2ステップにおいて、
前記長手方向に沿って位置決めするか、または、
前記短手方向に沿って位置決めする、
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の包装袋の位置決め方法。
【請求項7】
前記長手方向における前記包装袋の一方の縁に位置決ガイドを押し当てて前記長手方向に沿って位置決めするか、または、
前記短手方向における前記包装袋の両方の側縁に前記位置決ガイドを押し当てて前記短手方向に沿って位置決めする、
請求項6に記載の包装袋の位置決め方法。
【請求項8】
前記第2ステップにおいて、
前記包装袋の前記湾曲が形成される領域に前記位置決ガイドを押し当てる、
請求項7に記載の包装袋の位置決め方法。
【請求項9】
前記第1ステップにおける前記湾曲を形成した後に、前記第2ステップにおける前記位置決めが行われるか、または、
前記第1ステップにおける前記湾曲を形成している間に、前記第2ステップにおける前記位置決めが行われる、
請求項2~請求項8のいずれか一項に記載の包装袋の位置決め方法。
【請求項10】
位置決めにより包装袋に負荷が加わる向きに対する剛性が高くなるように、前記包装袋に変形を形成する変形要素と、
前記変形が形成される前記包装袋に位置決ガイドを押し当てて前記包装袋を位置決めする位置決め要素と、を備える包装袋の位置決め装置。
【請求項11】
前記変形要素が、
水平方向に沿う前記包装袋に湾曲を形成するか、または、
鉛直方向に沿う前記包装袋に前記湾曲を形成する、
請求項10に記載の包装袋の位置決め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内容物を収容する包装袋の位置決め方法および位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物としての例えば飲料を収容する包装袋において、特許文献1は、包装袋の高さと左右位置が所定位置からずれている場合に高さおよび左右位置の一方または双方を補正した状態で包装機のグリップ対に供給することを提案する。特許文献1によれば、シールの見栄えが良く、品質の良好な包装品の多量生産に大いに寄与する、とされている。包装袋として典型的にはパウチ(pouch)がある。
また、特許文献2は、パルス数とセンサの検出タイミングまでの基準パルスからのカウント数とを比較し、その比較量に応じて包装袋の受け取り機構を上下動させる上下動駆動機構の上下の移動量を制御し、包装袋供給位置に於ける包装袋の高さ位置のずれを補正することを提案する。特許文献2によれば、掴着機構に掴着される包装袋の高さ位置を略一定に揃えることができる。
以上のように、特許文献1および特許文献2に記載されるように、従来は包装袋の高さ方向および水平方向の位置ずれに対する提案がなされてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5740582号公報
【特許文献2】特開2006-36325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
省資源化の流れから包装袋を構成するフィルム素材の薄肉化が進んでいる。したがって、フィルム素材が薄肉化された包装袋は、例えば位置ずれを矯正するためのガイドとしての位置決ガイドが押し当てられると、その負荷によって包装袋に不必要な変形が生じてしまう。そうすると、正確な位置決めができなくなってしまう。例えば、包装袋の幅方向の両側から位置決ガイドを押し当てて幅寄せすると、包装袋は幅方向の中央がへこむことがある。
【0005】
以上より、本開示は、薄肉の包装袋において、ガイドが押し当てられても変形がしにくい包装袋の位置決め方法を提供することを目的とする。また本開示は、そのような処理方法を実行する包装袋の位置決め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る包装袋の位置決め方法は、位置決めにより包装袋に負荷が加わる向きに対する剛性が高くなるように、包装袋に変形を形成する第1ステップと、変形が形成される包装袋に位置決ガイドを押し当てて包装袋を位置決めする第2ステップと、を備える。
【0007】
本開示に係る包装袋の位置決め装置は、位置決めにより包装袋に負荷が加わる向きに対する剛性が高くなるように、包装袋に変形を形成する変形要素と、変形が形成される包装袋に位置決ガイドを押し当てて包装袋を位置決めする位置決め要素と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の包装袋の位置決め方法によれば、薄肉の包装袋に位置決めのための位置決ガイドが押し当てられても変形がしにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1A実施形態に係る位置決め装置を示す正面図である。
【
図2】第1A実施形態に係る位置決め装置の一部を示す平面図である。
【
図3】第1A実施形態に係る位置決め装置の一部を示す側面図である。
【
図4】第1A実施形態に係る位置決め装置の動作の中の包装袋供給STEPS1および湾曲機上昇STEP2を示す図である。
【
図5】
図4に続いて、包装袋の湾曲STEP3および位置決めSTEP4を示す図である。
【
図6】
図5に続いて、吸盤下降STEP5および湾曲解放STEP6を示す図である。
【
図7】
図6に続いて、包装袋移送STEP7示す図である。
【
図8】
図7に続いて、包装袋受渡STEP8示す図である。
【
図9】本開示の第1B実施形態に係る位置決め装置を示す側面図(SV)および正面図(FV)である。
【
図10】第1B実施形態に係る位置決め装置による包装袋の湾曲動作を示し、左側が包装袋を湾曲させる前(STEP1,側面図(SV))を示し、また、右側が包装袋を湾曲させる後(STEP2,側面図(SV),正面図(FV))を示している。
【
図11】第2A実施形態に係る位置決め装置を示す側面図(SV)および正面図(FV)である。
【
図12】第2A実施形態に係る位置決め装置の動作を示し、左側が包装袋の湾曲動作を終えた後(STEP1,正面図(FV),下面図(UV))を示し、右側が包装袋をグリッパに受け渡したとき(STEP2,正面図(FV),下面図(UV))を示している。
【
図13】第2B実施形態に係る位置決め装置を示し、左側が包装袋の湾曲動作を終えた後(STEP1,正面図(FV),下面図(UV))を示し、右側が包装袋をグリッパに受け渡したとき(STEP2,正面図(FV),下面図(UV))を示している。
【
図14】本開示の位置決め装置が適用される処理装置の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る位置決め装置について説明する。以下で説明する位置決め装置は、包装袋Pを湾曲させて変形しにくくしてから位置決めを行う。この位置決めは、次工程に設けられる飲料の充填装置に対して行われる。包装袋Pを湾曲させる向きは二つあり、一つは包装袋Pの長手方向Lに沿って湾曲させ、もう一つは包装袋Pの短手方向Sに沿って湾曲させる。長手方向Lに沿って包装袋Pを湾曲させる例を第1実施形態で説明し、短手方向Sに沿って包装袋Pを湾曲させる例を第2実施形態で説明する。また、湾曲される包装袋Pの姿勢が二つあり、一つは水平方向Hに沿う姿勢の包装袋Pを湾曲し、もう一つは鉛直方向Vに沿う姿勢の包装袋Pを湾曲させる。第1実施形態と第2実施形態のそれぞれにおいて、水平方向Hに沿う姿勢で湾曲される例と、鉛直方向Vに沿う姿勢で湾曲される例を含む。なお、以下では一例として長手方向Lと短手方向Sを有する長方形の包装袋Pについて説明するが、本開示は縦方向と横方向の寸法が同じ正方形の包装袋Pについても適用され得る。
【0011】
〔第1実施形態〕
第1実施形態において、包装袋Pを長手方向Lに沿って湾曲させる例を説明するが、先に水平方向Hに沿う姿勢で湾曲させる例を第1A実施形態として説明し、次に鉛直方向Vに沿う姿勢で湾曲させる例を第1B実施形態として説明する。
【0012】
[第1A実施形態:
図1~
図8]
図1~
図3を参照して、第1A実施形態に係る包装袋Pの位置決め装置1Aの構成を説明し、その後に、
図4~
図8を参照して、位置決め装置1Aの動作を説明する。
【0013】
[位置決め装置1Aの構成:
図1~
図3]
位置決め装置1Aは、水平方向Hに沿って配置される包装袋Pを長手方向Lに沿って湾曲を形成してから短手方向Sにおける位置決めを行う。
位置決め装置1Aは、
図1および
図2に示すように、搬送される包装袋Pを受け取った後に、包装袋Pに湾曲を形成するとともに、包装袋Pの位置決めを行う本体部10と、充填機を構成するグリッパ120に向けて本体部10で位置決めがなされた包装袋Pを搬送する搬送部30と、を備える。ここでは一例として、三対のグリッパ120のそれぞれに対して三袋の包装袋Pを同時に処理する例を示しているが、本開示は二袋以下または四袋以上の包装袋Pを同時に処理することもできる。
【0014】
[本体部10:
図1,
図2,
図3]
本体部10は、
図1~
図3に示すように、湾曲および位置決めがなされる包装袋Pを支持する支持プレート11と、支持プレート11に向けて包装袋Pを搬送する上下で一対の供給ローラ13と、を備える。
支持プレート11は、三つの包装袋Pを水平方向Hに沿って載せる平坦なプレート本体11Aと、プレート本体11Aから立ち上がり位置決めされる包装袋Pの一端である前縁FEが突き当たる支持鍔11Bと、を備える。
プレート本体11Aは、プレート本体11Aに載せられる包装袋Pを支持鍔11Bに向けて押して湾曲させる湾曲片15Aが進退移動する湾曲用空隙11Cと、プレート本体11Aに載せられる包装袋Pを水平方向Hに位置決めする位置決片21Aが移動する位置決用空隙11Dと、を備える。湾曲用空隙11Cおよび位置決用空隙11Dは、プレート本体11Aの表裏を貫通する。
なお、本体部10において、
図1および
図2に示すように、前方Fおよび後方Bが定義されるものとする。
【0015】
[湾曲要素:
図1,
図2,
図3]
本体部10は、
図1~
図3に示すように、プレート本体11Aに載せられる包装袋Pを支持鍔11Bに向けて押し当てられることにより湾曲を形成する湾曲ガイド15と、湾曲ガイド15を包装袋Pの長手方向Lに往復移動させる湾曲用駆動源17と、を備える。湾曲ガイド15と湾曲用駆動源17が包装袋Pを湾曲させる要素に該当する。
湾曲ガイド15は、包装袋Pの後縁BEに押し当てられて包装袋Pを支持鍔11Bに向けて押す湾曲片15Aと、湾曲片15Aと直交して連なる連結片15Bと、を備え、連結片15Bが湾曲用駆動源17のピストンロッド17Aに接続される。
湾曲用駆動源17は一例としてピストン・シリンダ機構から構成され、ピストンロッド17Aが伸縮動作することにより、連結片15Bを介して湾曲片15Aは湾曲用空隙11Cを進退移動する。
【0016】
図2において、包装袋Pの後縁BEから離れる実線で示される湾曲片15Aは待機位置にあり、湾曲用空隙11Cに入り込み包装袋Pの後縁BEに接する想像線で示される湾曲片15Aは包装袋Pを湾曲させる湾曲位置にある。湾曲片15Aは待機位置と湾曲位置との間を往復移動する。
【0017】
[位置決め要素:
図3,
図2]
本体部10は、
図3および
図2に示すように、プレート本体11Aに載せられる包装袋Pをその短手方向Sに移動させて位置決めする一対の位置決ガイド21,21と、位置決ガイド21,21を短手方向Sに往復移動させる位置決用駆動源23と、を備える。位置決ガイド21と位置決用駆動源23が包装袋Pを位置決めする要素に該当する。位置決用駆動源23は、支持体19を介して湾曲用駆動源17を支持する。
位置決ガイド21は、包装袋Pの短手方向Sの側縁SEに押し当てられて包装袋Pを短手方向Sの中央に向けて押す位置決片21Aと、位置決片21Aと連なる連結片21Bと、を備え、連結片21Bが位置決用駆動源23のピストンロッド23Aに接続される。
位置決用駆動源23は、一例としてピストン・シリンダ機構から構成され、包装袋Pの短手方向Sの両側にピストンロッド23A,23Aが設けられる。ピストンロッド23A,23Aのそれぞれに位置決ガイド21,21が連結される。ピストンロッド23A,23Aが伸縮動作することにより、連結片21B,21Bを介して位置決片21A,21Aは位置決用空隙11Dを往復移動する。
【0018】
図2において、包装袋Pの側縁SEから離れる実線で示される位置決片21Aは待機位置にあり、包装袋Pの側縁SEに接する想像線で示される位置決片21Aは包装袋Pを位置決めする位置決め位置にある。位置決片21Aは待機位置と位置決め位置との間を往復移動する。
【0019】
[昇降要素:
図1,
図3]
本体部10は、
図1および
図3に示すように、湾曲要素(湾曲ガイド15,湾曲用駆動源17)および位置決め要素(位置決ガイド21,位置決用駆動源23)を昇降させる昇降駆動源25を備える。昇降駆動源25は、一例してピストン・シリンダ機構から構成され、位置決用駆動源23を支持するピストンロッド25Aを備える。ピストンロッド25Aが伸縮動作をすることにより、湾曲要素および位置決め要素が昇降移動する。
【0020】
[搬送部30:
図1]
次に、
図1を参照して搬送部30について説明する。
搬送部30は、本体部10において湾曲を経て位置決めされた包装袋Pを本体部10から受け取るとともに、充填機を構成するグリッパ120に受け渡す。搬送部30は、本体部10から受け取った包装袋Pを90度だけ姿勢を変えてグリッパ120に受け渡す。本実施形態においては、一例として、三台の本体部10から三袋の包装袋Pを同時に受け取り、受け取った三袋の包装袋Pを三対のグリッパ120に同時に受け渡す。
【0021】
搬送部30は、
図1に示すように、位置決めされた包装袋Pを吸着して保持する複数の吸盤31と、吸盤31を支持する支持柱33と、支持柱33を往復移動させる昇降用駆動源35と、を備える。昇降用駆動源35は、一例としてサーボモータにより駆動される一軸アクチュエータが適用される。搬送部30は、昇降用駆動源35の先端側に回転軸37が設けられており、図示を省略する電動機の動作により、回転軸37を中心にしておよそ90度の範囲で時計回りおよび反時計回りに回転する。
【0022】
図1に示すように、搬送部30が鉛直方向Vに沿う姿勢において、吸盤31が包装袋Pを受け取る。そこから反時計回りにおよそ90度だけ回転すると、
図7および
図8に示すように、搬送部30は水平方向Hに沿う姿勢において吸盤31による吸着を解除するとともにグリッパ120に包装袋Pを受け渡す。なお、搬送部30において、吸盤31が設けられる側が先端と称され、その反対側が後端と称される。
【0023】
[グリッパ:120]
搬送部30で搬送される包装袋Pは、二対で一組のグリッパ120に受け渡される。グリッパ120は、例えば
図14に示される充填機を構成することのできる処理装置100の要素を構成する。
【0024】
[位置決め装置1Aの動作:
図4~
図8]
次に、
図4~
図8を参照して、位置決め装置1Aの動作を説明する。位置決め装置1Aは、以下のSTEP1~STEP8の手順を経て、包装袋Pを湾曲、位置決めした後に、グリッパ120に向けて搬送し、受け渡す。
【0025】
[
図4 STEP1:包装袋Pの供給]
供給ローラ13,13(
図1,
図2)で搬送される包装袋Pはその前縁FEが支持プレート11の支持鍔11Bに接する処理位置まで供給される。この時点において、
図4のSTEP1に示すように、本体部10の湾曲片15Aおよび位置決片21Aは包装袋Pの搬送、供給の妨げにならないように、支持プレート11よりも下がった待機位置で待ち受けている。
【0026】
[
図4 STEP2:本体部10の上昇]
包装袋Pが支持プレート11の所定位置まで供給されると、
図4のSTEP2に示すように、昇降駆動源25を動作させることにより、本体部10は湾曲および位置決めを行える位置まで上昇される。そうすると、湾曲片15Aおよび位置決片21Aのそれぞれの上端はプレート本体11Aに支持される包装袋Pを越える位置に達する。この位置は、湾曲片15Aおよび位置決片21Aの動作位置と称される。
【0027】
[
図5 STEP3:包装袋Pの湾曲]
包装袋Pが処理位置にあり、かつ、湾曲片15Aが動作位置にある状態から、
図5のSTEP3に示すように、湾曲用駆動源17を駆動することにより、湾曲片15Aを後方Bに向けて移動させる。湾曲片15Aは包装袋Pの後縁BEに押し当てられた後に、後縁BEを支持鍔11Bに向けて押す。包装袋Pの前縁FEは支持鍔11Bに突き当てられているため、包装袋Pはプレート本体11Aの上を移動することができない。したがって、包装袋Pには、前縁FEと後縁BEの間で上に凸となる湾曲CLが形成される。包装袋Pは、前縁FEと後縁BEの間、つまり包装袋Pの長手方向Lに沿って、平坦な部分、上に凸となる湾曲CL、平坦な部分が連なっている。本実施形態においてこの湾曲CLは、包装袋Pの長手方向Lに沿って形成されるものと称される。長手方向Lに沿って湾曲CLが形成された包装袋Pは、全体が平坦な包装袋Pに比べて、短手方向Sにおける剛性、具体的には断面二次モーメントが大きくなる。本実施形態はこの断面二次モーメントが大きくなった湾曲CLが形成される領域において位置決めの動作を行う。
【0028】
[
図5 STEP4:包装袋Pの位置決め]
湾曲CLが形成されたままで、
図5のSTEP4に示すように、位置決用駆動源23を駆動させることにより、一対の位置決片21A,21Aの間隔を所定距離まで狭くして、それぞれの位置決片21A,21Aを包装袋Pの側縁SE,SEに押し当てて短手方向Sの位置決めを行う。位置決片21A,21Aが接するのは、湾曲CLが形成されている側縁SE,SEである。この湾曲CLが形成されている領域は、包装袋Pの平坦な部分に比べて剛性が高くなっている。したがって、位置決片21A,21Aが側縁SE,SEに押し当てられて短手方向Sに負荷が加わったとしても、包装袋Pに折れ曲がることなく、そのままの形状を維持したままで位置決めがなされる。
【0029】
[
図6 STEP5,STEP6:包装袋Pの吸着、持ち上げ]
湾曲CLの形成を経て包装袋Pが位置決めされた状態において、
図6のSTEP5に示すように、昇降用駆動源35を動作させて吸盤31を包装袋Pまで下降させ、かつ、吸盤31で包装袋Pを吸着する。
今度は、
図6のSTEP6に示すように、昇降用駆動源35を動作させて吸盤31を上昇させる。吸盤31に吸着により保持される包装袋Pはプレート本体11Aから上側に持ち上げられる。こうして包装袋Pはプレート本体11Aから離れることにより、湾曲片15Aと支持鍔11Bとの間の機械的な拘束が解かれる。したがって、それまで形成されていた湾曲CLは解かれ、包装袋Pは長手方向Lに沿って平坦になる。
【0030】
[
図7,
図8 STEP7,STEP8:包装袋Pの搬送、受け渡し]
包装袋Pを持ち上げた後に、それまで鉛直方向Vに沿っていた搬送部30を、
図7のSTEP7に示されるように反時計回りに90度だけ回転させ、包装袋Pを一対のグリッパ120に正対させる。
次いで、
図8のSTEP8に示すように、包装袋Pをグリッパ120,120の所定位置に至るように昇降用駆動源35を伸長させる。グリッパ120,120に保持される包装袋Pは鉛直方向Vに沿う姿勢を有しており、グリッパ120,120で保持された状態で、包装袋Pの内部に飲料などの内容物が充填される。
【0031】
[位置決め装置1Aの効果]
位置決め装置1Aは、包装袋Pを短手方向Sに沿って位置決めするのに先立って、長手方向Lに沿って包装袋Pに湾曲CLを形成する。そして、位置決片21Aが位置決めのために押し当てられるのを湾曲CLが形成された領域とする。湾曲CLが形成された領域は位置決片21Aにより負荷が加わる短手方向Sにおける剛性が高くなっており、位置決片21Aが押し当てられたとしても、容易には変形することがないので、位置決め装置1Aによれば包装袋Pの位置決めが正確に行える。
【0032】
[第1B実施形態:
図9~
図10]
図9を参照して、第1B実施形態に係る包装袋Pの位置決め装置1Bの構成を説明し、その後に、
図10を参照して、位置決め装置1Bの動作を説明する。
【0033】
[位置決め装置1Bの構成:
図9]
位置決め装置1Bは、鉛直方向Vに沿って配置される包装袋Pを長手方向Lに沿って湾曲させてから短手方向Sにおける位置決めを行う。
図9に示される位置決め装置1Bは、位置決め装置1Aの本体部10に相当する部分のみが記載されており、搬送部30、グリッパ120などの記載は省略されている。
【0034】
位置決め装置1Bは、鉛直方向Vに沿う包装袋Pの長手方向Lの一方端に設けられる把持筒PHを掴み、包装袋Pを吊り下げる把持機41を備える。把持機41は、包装袋Pがその短手方向Sに移動が自在なように、包装袋Pを把持する。
位置決め装置1Bは、把持機41で吊り下げられる包装袋Pを湾曲した後に位置決めをする。把持機41は、包装袋Pか湾曲される際に鉛直方向Vの上方に向けて移動しないように支持する機能をも有する。
【0035】
[湾曲要素:
図9]
位置決め装置1Bは、
図9に示すように、吊り下げられている包装袋Pの下方に位置し包装袋Pを把持機41に向けて押して湾曲させる湾曲ガイド43と、湾曲ガイド43を包装袋Pの長手方向Lに往復移動させる湾曲用駆動源45と、を備える。湾曲ガイド43と湾曲用駆動源45が包装袋Pを湾曲させる要素に該当する。
【0036】
位置決め装置1Bにおいては、一例として、一つの包装袋Pに対して一対の湾曲ガイド43,43が設けられる。一対の湾曲ガイド43,43は、包装袋Pの短手方向Sの両端に分かれて設けられる。こうすることにより、包装袋Pの湾曲を確実に行うことができる。ただし、本開示においては、必要な湾曲を形成できる限り、包装袋Pの短手方向Sの中央に、短手方向Sの寸法が長い湾曲ガイド43を一つだけ設けるなど、湾曲ガイド43を設ける位置、数は任意である。
【0037】
それぞれの湾曲ガイド43は、包装袋Pの後縁BEに押し当てられて包装袋Pを把持機41に向けて押す湾曲ブロック43Aと、湾曲ブロック43Aを支持するピストンロッド45Aを有する湾曲用駆動源45と、を備える。湾曲ブロック43Aには、湾曲動作の際に後縁BEの位置を固定するためのV溝43Vが形成されている。
湾曲用駆動源45は一例としてピストン・シリンダ機構から構成され、ピストンロッド45Aが鉛直方向Vに沿って昇降動作することにより、湾曲ブロック43Aは鉛直方向Vに昇降移動する。
【0038】
[位置決め要素:
図9]
位置決め装置1Bは、
図9に示すように、把持機41に吊り下げられる包装袋Pをその短手方向Sに位置決めをする一対の位置決ガイド47,47と、位置決ガイド47,47を短手方向Sに往復移動させる位置決用駆動源49と、を備える。位置決ガイド47と位置決用駆動源49が包装袋Pを位置決めする要素に該当する。
位置決ガイド47は、包装袋Pの短手方向Sの側縁SEに押し当てられて包装袋Pを短手方向Sの中央に向けて押す。位置決用駆動源49は、位置決ガイド47を短手方向Sの所定範囲で往復移動できる駆動源、例えばエアシリンダ、電動機などが採用される。
【0039】
図9において、実線で示される位置決ガイド47は待機位置にあり、包装袋Pの側縁SEに接する破線で示される位置決ガイド47は包装袋Pを位置決めする位置決め位置にある。位置決ガイド47は待機位置と位置決め位置との間を往復回転する。
【0040】
[位置決め装置1Bの動作:
図10]
次に、
図10を参照して、位置決め装置1Bの動作を説明する。ここでは、包装袋Pが把持機41にすでに吊り下げられていることを前提として、包装袋Pを湾曲させ、かつ、位置決めをする動作を説明する。
【0041】
包装袋Pが吊り下げられている
図10のSTEP1において、湾曲ガイド43は包装袋Pの後縁BEから離れる待機位置におり、図示は省略されるが位置決ガイド47もまた包装袋Pの側縁SEから離れる待機位置にいる。
この湾曲ガイド43および位置決ガイド47の双方が待機位置にいる状態から、
図10のSTEP2に示すように、湾曲ガイド43を動作位置まで上昇させる。そうすると、湾曲ガイド43が包装袋Pを把持機41に向けて押し当てられるが、包装袋Pは把持機41に支持されているために鉛直方向Vの上方に移動することができない。したがって、包装袋Pは、前縁FEと後縁BEの間で水平方向Hに凸となり、長手方向Lに沿う湾曲CLが形成される。包装袋Pは、前縁FEと後縁BEの間、つまり包装袋Pの長手方向Lに沿って、湾曲CLが形成される領域と平坦な部分が連なっており、長手方向Lの一部の領域に湾曲CLが形成される。長手方向Lに沿って湾曲CLが形成された包装袋Pは、全体が平坦な包装袋Pに比べて、短手方向Sにおける断面二次モーメントが大きくなる。
【0042】
次に、短手方向Sの剛性が高くなった湾曲CLの部分の側縁SEに位置決ガイド47を押し当てる動作位置に移動させることにより、包装袋Pの短手方向Sにおける位置決めを行う。
図10のSTEP1には、動作位置にいる位置決ガイド47を示しているが、位置決ガイド47は湾曲CLが形成された領域に押し当てられる。
【0043】
[位置決め装置1Bの効果]
以下、位置決め装置1Bにより得られる効果を説明する。
位置決め装置1Aは、包装袋Pを短手方向Sに沿って位置決めするのに先立って、長手方向Lに沿って包装袋Pに湾曲CLを形成する。そして、位置決ガイド47が位置決めのために押し当てられるのを湾曲CLが形成された領域とする。湾曲CLが形成された領域は短手方向Sにおける剛性が高くなっており、位置決ガイド47が押し当てられて負荷が加わったとしても、容易には変形することがないので、位置決め装置1Bによれば包装袋Pの位置決めが正確に行える。
【0044】
〔第2実施形態〕
第2実施形態において、包装袋Pを短手方向Sに沿って湾曲させることにより、包装袋Pの長手方向Lにおける位置決めの精度を確保する。以下では、先に鉛直方向Vに沿う姿勢で湾曲させる例を第2A実施形態として説明し、次に水平方向Hに沿う姿勢で湾曲させる例を第2B実施形態として説明する。なお、以下では湾曲および位置決めに必要な最小限の要素に絞って、第2実施形態を説明する。
[第2A実施形態:
図11,
図12]
図11を参照して、第2A実施形態に係る包装袋Pの位置決め装置2Aの構成を説明し、その後に、
図12を参照して、位置決め装置2Aの動作を説明する。
【0045】
[位置決め装置2Aの構成:
図11]
位置決め装置2Aは、鉛直方向Vに沿って配置される包装袋Pを短手方向Sに沿って湾曲させることにより、鉛直方向Vにおける位置決めを正確に行う。位置決め装置2Aは、位置決ガイド53に載せられる包装袋Pに短手方向Sに沿う湾曲CSが形成される。
湾曲CSを形成するために、
図11に示すように、位置決ガイド53に載せられる包装袋Pを短手方向Sの中央に向けて押し当てることにより湾曲を形成する一対の湾曲ガイド51,51を備える。それぞれの湾曲ガイド51は、図示を省略する湾曲用駆動源により、水平方向Hに往復移動が可能とされる。位置決ガイド53は、表面が平坦な部材からなり、水平方向Hに沿って配置されるとともに、鉛直方向Vに往復移動が可能とされている。
【0046】
位置決め装置2Aに付随して、グリッパ120が設けられる。ここではグリッパ120は、一つの包装袋Pに対応して、一対のグリッパ120,120が示されている。グリッパ120,120は、例えば、それぞれがリニアモータからなる搬送路110によって水平方向Hに独立して移動が可能とされる。
【0047】
さて、
図12に示されるように、STEP1において、位置決ガイド53に載せられる包装袋Pの側縁SE,SEに一対の湾曲ガイド51,51のそれぞれが押し当てられ、かつ、湾曲ガイド51,51の水平方向Hの間隔が狭くなるように動作する。湾曲ガイド51,51のそれぞれのV溝51V,51Vの底に包装袋Pの側縁SE,SEのそれぞれが押し当てられるが、湾曲ガイド51,51の間隔が包装袋Pの短手方向Sの寸法よりも狭くなると、一方の側縁SEと他方のSEの間で包装袋Pの厚さ方向に凸となり、短手方向Sに沿う湾曲CSが形成される。この湾曲CSは短手方向Sの全部の領域に形成される。
【0048】
ここで、薄肉化されている包装袋Pは、位置決ガイド53に載せられると、自重によって長手方向Lに沿う変形、つまり腰折れが生じるおそれがある。そうすると、位置決ガイド53から包装袋Pの前縁FEまでの鉛直方向Vの距離が、腰折れが生じていない包装袋Pよりも短くなる。そうすると、変形が生じた包装袋Pの前縁FEからグリッパ120までの距離が長くなるため、グリッパ120の鉛直方向Vに必要な位置まで包装袋Pが達しないおそれがある。このままでは、グリッパ120,120で保持される包装袋Pは、鉛直方向Vの位置がずれた状態で搬送されてしまうので、以後の処理、例えば飲料などの内容物の包装袋Pへの充填が不調に終わるおそれがある。
【0049】
ところが、位置決め装置2Aにおいては、包装袋Pはその後縁BEが位置決ガイド53に載せられているので、鉛直方向Vの下向きの移動が拘束されている。したがって、位置決ガイド53に載せられる包装袋Pが湾曲ガイド51,51により短手方向Sに湾曲されると、仮に包装袋Pが腰折れしていたとしても、短手方向Sの湾曲により腰折れが矯正される。こうして平坦とされる包装袋Pは、鉛直方向Vの正規の位置にその前縁FEが至る。つまり、位置決め装置2Aにおいては、位置決ガイド53から負荷を受ける包装袋の短手方向Sに湾曲CSを形成すると同時に長手方向Lの位置決めがなされる。
その後、湾曲ガイド51,51の位置を固定する一方で、位置決ガイド53を鉛直方向Vの上向きに所定距離だけ移動させると、
図12のSTEP2に示すように、包装袋Pはグリッパ120,120に対する適切な位置に搬送されてグリッパ120,120に把持されるとともに、搬送路110に沿って搬送される。グリッパ120,120に向けた包装袋Pの移動を位置決ガイド53が担う例を説明したが、これに限らない。湾曲ガイド51,51による湾曲CSの状態を維持したままで、湾曲ガイド51,51を鉛直方向Vの上向きに移動して包装袋Pをグリッパ120,120に向けて搬送することもできる。
【0050】
[位置決め装置2Aの効果]
位置決め装置2Aは、位置決ガイド53により鉛直方向Vの下向きに移動が拘束されている包装袋Pに対し、短手方向Sに沿って湾曲CSを形成するのと同時に包装袋Pの長手方向Lの位置決めを行うことができる。したがって、鉛直方向Vの上向きに所定距離だけ移動される包装袋Pは、長手方向Lの位置決めが正確にかつ迅速に行える。
【0051】
[第2B実施形態:
図13]
図13を参照して第2B実施形態に係る包装袋Pの位置決め装置2Bを説明する。
位置決め装置2Bは、位置決めされる包装袋Pが水平方向Hに沿って配置されていることを除けば、その構成、動作は位置決め装置2Aと同様である。つまり、位置が固定される支持板59に載せられることで水平方向Hに沿って配置される包装袋Pは、水平方向Hに沿って設けられる位置決ガイド57に後縁BEが突き当てられており、後方Bへの移動が拘束されている。位置決ガイド57は、グリッパ120,120に向けて移動可能とされている。
【0052】
さて、
図13に示されるように、STEP1において、支持板59に載せられる包装袋Pの側縁SE,SEに一対の湾曲ガイド55,55のそれぞれが押し当てられ、かつ、湾曲ガイド55,55の水平方向Hの間隔が狭くなるように近づく。湾曲ガイド55,55のそれぞれのV溝55V,55Vの底に包装袋Pの側縁SE,SEのそれぞれが押し当てられるが、湾曲ガイド55,55の間隔が包装袋Pの短手方向Sの寸法よりも狭くなると、一方の側縁SEと他方のSEの間で包装袋Pの厚さ方向に凸となり短手方向Sに沿う湾曲CSが形成される。このとき、位置決ガイド57は当初の位置のままとされるが、グリッパ120,120に向けて包装袋Pを搬送する際に、位置決ガイド57がグリッパ120,120に向けて移動する。このとき、位置決ガイド57が包装袋Pの後縁BEをグリッパ120,120に向けて押す。
【0053】
ここで、薄肉化されている包装袋Pは、グリッパ120,120に向けて搬送される過程で、位置決ガイド57により押されることで鉛直方向Vの上向きに変形する折れ曲がりが生じるおそれがある。そうすると、所定距離だけ搬送された包装袋Pの前縁FEがグリッパ120の所定位置まで届かなくなるため、グリッパ120,120の必要な位置まで包装袋Pが達しないおそれがある。このままでは、グリッパ120,120で保持される包装袋Pは、水平方向Hの位置がずれた状態で搬送されてしまうので、以後の処理、例えば飲料などの内容物の包装袋Pへの印刷が不調に終わるおそれがある。
【0054】
ところが、位置決め装置2Bにおいては、包装袋Pの短手方向Sに湾曲ガイド55,55により湾曲されているため、位置決ガイド57に押されて負荷を受けても包装袋Pには鉛直方向Vの上向きに変形するおそれがない。しかも、後縁BEに位置決ガイド57に押し当てられているので、水平方向Hの正規の位置にその前縁FEが至る。つまり、位置決め装置2Bにおいては、包装袋Pを短手方向Sに湾曲CSを形成すると同時に長手方向Lの位置決めがなされる。
その後、湾曲ガイド55,55に加えて位置決ガイド57をグリッパ120,120に向けて所定距離だけ移動させると、
図13のSTEP2に示すように、包装袋Pはグリッパ120,120に対する適切な位置に至ってグリッパ120,120に把持される。
【0055】
[位置決め装置2Bの効果]
位置決め装置2Bは、位置決ガイド57により水平方向Hの後方Bに移動が拘束されている包装袋Pに対し、短手方向Sに沿って湾曲CSを形成するのと同時に包装袋Pの長手方向Lの位置決めを行うことができる。したがって、グリッパ120,120に所定距離だけ移動される包装袋Pは、長手方向Lの位置決めが正確にかつ迅速に行える。
【0056】
以上、本開示における好ましい実施形態を説明したが、以上で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
本開示に係る位置決め装置により位置決めされる包装袋Pは、例えば
図14に示される処理装置100に受け渡される。処理装置100は、楕円形の周回軌道を有する搬送路110と、搬送路110に沿って移動する複数のグリッパ120と、グリッパ120の走行を制御するコントローラ(図示省略)、を備える。処理装置100は、グリッパ120の一対の把持爪121,121で物品としての袋状の包装袋Pの幅方向の両端を掴みながら搬送路110に沿って搬送するものであり、一対の把持爪121,121で包装袋Pを把持したままで直線路111から反転路115へ、反転路115から直線路113へと搬送できる。
搬送路110は、直線路111で受け取った包装袋Pを、直線路111、反転路115、直線路113の順で搬送し、直線路111の処理領域αおよび直線路113の処理領域βでそれぞれ所定の処理、例えば包装袋Pへの装飾を処理領域αにて行い、包装袋Pへの飲料の充填を処理領域βで行うことができる。処理領域βで処理を終えた包装袋Pは、反転路117に到る前に直線路113から下流側に受け渡される。
【0057】
また、位置決め装置1Aおよび次に説明する位置決め装置1Bによる湾曲CLは、包装袋Pの長手方向Lの一部に形成される例を示している。これは長柱に生ずる座屈現象に基づいている。一方、後述する位置決め装置1Aおよび位置決め装置1Bによる湾曲CSは、包装袋Pの短手方向Sの全部に形成される例を示している。これは短手方向Sにおける包装袋Pの寸法が短く座屈が生じにくいであろうことに基づいている。実際には、長手方向Lおよび短手方向Sの寸法、包装袋Pを構成する材料の強度などの条件によって、湾曲が一部または全部に生じる。つまり、長手方向Lにおいてもその全部に湾曲CLが生じることもあれば、短手方向Sにおいてもその一部に湾曲CSが生じることもある。
【0058】
[付記]
本開示に係る包装袋の位置決め方法は、位置決めにより包装袋(P)に負荷が加わる向きに対する剛性が高くなる変形を包装袋(P)に形成する第1ステップと、変形が形成される包装袋(P)に位置決ガイド(21)を押し当てて包装袋(P)を位置決めする第2ステップと、を備える。
この位置決め方法によれば、薄肉の包装袋に位置決めのための位置決ガイドが押し当てられても変形がしにくい。なお、本開示に係る変形としては、湾曲の他に包装袋Pにねじりを加えることが含まれる。このねじりは、例えば包装袋Pの長手方向Lの中心軸をねじりの中心として変形させることにより形成できる。
【0059】
本開示における第1ステップの変形が、水平方向(H)に沿う包装袋(P)に形成される湾曲(CL,CS)か、または、鉛直方向(V)に沿う包装袋(P)に形成される湾曲(CL,CS)にすることができる。
この位置決め方法によれば、その姿勢に限定されずに変形としての湾曲を包装袋(P)に形成することができる。
【0060】
本開示における第2ステップにおいて、水平方向(H)に沿う包装袋(P)を位置決めするか、または、鉛直方向(V)に沿う包装袋(P)を位置決めすることができる。
この位置決め方法によれば、その姿勢に限定されずに包装袋(P)の位置決めを行うことができる。
【0061】
本開示における包装袋(P)が長手方向(L)と短手方向(S)とを有する場合に、第1ステップにおいて、長手方向(L)に沿う湾曲(CL,CS)を形成するか、または、短手方向(S)に沿う湾曲(CL,CS)を形成することができる。
この位置決め方法によれば、包装袋(P)における方向に限定されずに変形としての湾曲を包装袋Pに形成することができる。
【0062】
本開示において、湾曲は、包装袋(P)の長手方向(L)または短手方向(S)の一部に形成するか、もしくは、包装袋(P)の長手方向(L)または短手方向(S)の全部に形成することができる。
この位置決め方法によれば、包装袋(P)に湾曲を形成する領域を選択できる。
【0063】
本開示における包装袋(P)が長手方向(L)と短手方向(S)とを有する場合に、第2ステップにおいて、長手方向(L)に沿って位置決めするか、または、短手方向(S)に沿って位置決めすることができる。
この位置決め方法によれば、包装袋(P)おける方向に限定されずに包装袋(P)の位置決めを行うことができる。
【0064】
本開示における包装袋(P)が長手方向(L)と短手方向(S)とを有する場合に、長手方向(L)における包装袋(P)の一方の縁に位置決ガイド(21)を押し当てて長手方向(L)に沿って位置決めするか、または、短手方向(S)における包装袋(P)の両方の側縁に位置決ガイド(21)を押し当てて短手方向(S)に沿って位置決めすることができる。
この位置決め方法によれば、包装袋(P)における方向に限定されずに位置決ガイド(21)を押し当てる位置を選択できる。
【0065】
本開示における第2ステップにおいて、包装袋(P)の湾曲(CL,CS)が形成される領域に位置決ガイド(21)を押し当てることができる。
この位置決め方法によれば、位置決ガイド(21)を押し当てても包装袋(P)に不必要な変形が生じるのを避けることができる。
【0066】
本開示において、第1ステップにおける湾曲を形成した後に、第2ステップにおける位置決めを行うか、または、第1ステップにおける湾曲を形成している間に、第2ステップにおける位置決めを行うことができる。
この位置決め方法によれば、位置決めを行う方向に応じて、位置決めを行うタイミングを選択できる。
【0067】
本開示に係る包装袋の位置決め装置は、位置決めにより包装袋(P)に負荷が加わる向きに対する剛性が高くなるように、包装袋(P)に変形を形成する変形要素と、
変形(CL,CS)が形成される包装袋(P)に位置決ガイド(21)を押し当てて包装袋(P)を位置決めする位置決め要素と、を備える。
この位置決め装置によれば、薄肉の包装袋に位置決めのための位置決ガイド(21)が押し当てられても変形がしにくい。
【0068】
本開示に係る位置決め装置の変形要素は、水平方向(H)に沿う包装袋(P)に湾曲(CL,CS)を形成するか、または、鉛直方向(V)に沿う包装袋(P)に湾曲(CL,CS)を形成することができる。
この位置決め装置によれば、その姿勢に限定されずに変形としての湾曲を包装袋(P)に形成することができる。
【符号の説明】
【0069】
1A,1B,2A,2B 位置決め装置
10 本体部
11 支持プレート
11A プレート本体
11B 支持鍔
11C 湾曲用空隙
11D 位置決用空隙
13 供給ローラ
15 湾曲ガイド
15A 湾曲片
15B 連結片
17 湾曲用駆動源
17A ピストンロッド
19 支持体
21 位置決ガイド
21A 位置決片
21B 連結片
23 位置決用駆動源
23A ピストンロッド
25 昇降駆動源
25A ピストンロッド
30 搬送部
31 吸盤
33 支持柱
35 昇降用駆動源
37 回転軸
41 把持機
43 湾曲ガイド
43A 湾曲ブロック
43B 連結片
45 湾曲用駆動源
45A ピストンロッド
47 位置決ガイド
49 位置決用駆動源
51 湾曲ガイド
51V V溝
53 位置決ガイド
55 湾曲ガイド
55V V溝
57 位置決ガイド
59 支持板
100 処理装置
110 搬送路
120 グリッパ
121 把持爪
α 処理領域
β 処理領域
F 前方
B 後方
P 包装袋
FE 前縁
BE 後縁
SE 側縁
CL,CS 湾曲
L 長手方向
S 短手方向
PH 把持筒
T 厚さ方向
V 鉛直方向
H 水平方向