IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -レベル検出装置 図1
  • -レベル検出装置 図2
  • -レベル検出装置 図3
  • -レベル検出装置 図4
  • -レベル検出装置 図5
  • -レベル検出装置 図6
  • -レベル検出装置 図7
  • -レベル検出装置 図8
  • -レベル検出装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123323
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】レベル検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/00 20220101AFI20230829BHJP
【FI】
G01F23/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065578
(22)【出願日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2022026515
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】五明 智夫
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB04
2F014GA01
2F014GA05
(57)【要約】
【課題】従来のものとは異なる原理で、貯留レベルが目標レベルに到達したか否かを判別するレベル検出装置を提供する。
【解決手段】本開示のレベル検出装置10Aは、タンク91への液体の注入中にタンク91内の液体のレベルに応じて変化する音を入力音として取り込み、その入力音に基づいてタンク91内の液体の貯留レベルが目標レベルに到達したか否かを判別する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクへの液体の注入中に前記タンク内の液体のレベルに応じて変化する音を入力音として取り込むマイクと、
前記入力音に基づいて、前記タンク内の液体の貯留レベルが予め設定された目標レベルに到達したか否かを判別するレベル到達判別部と、を備えるレベル検出装置。
【請求項2】
前記入力音は、前記タンク内の反射音である請求項1に記載のレベル検出装置。
【請求項3】
前記入力音は、前記タンクの振動音である請求項1に記載のレベル検出装置。
【請求項4】
前記入力音は、前記タンクからの液体のオーバーフロー音である請求項1に記載のレベル検出装置。
【請求項5】
前記オーバーフロー音の発生前に前記マイクにて取り込まれる環境音を基準環境音として記憶する環境音記憶部を有し、
前記レベル到達判別部は、前記マイクにて取り込まれる環境音と前記基準環境音との音量又は周波数スペクトルの相違又は変化に基づき、前記貯留レベルがオーバーフローを伴う前記目標レベルに到達したか否かを判別する請求項4に記載のレベル検出装置。
【請求項6】
一定の周波数の検査音を前記タンク内に向けて断続的に発射する音発生手段を備え、
前記レベル到達判別部は、前記検査音の発射から前記タンク内の液面で反射してマイクに取り込まれる迄の到達時間が、前記検査音の発射回数を重ねても変化しないか否かに基づいて前記貯留レベルがオーバーフローを伴う前記目標レベルに到達したか否かを判別する請求項4に記載のレベル検出装置。
【請求項7】
前記レベル到達判別部は、前記入力音の周波数の変化に基づいて前記貯留レベルが前記目標レベルに到達したか否かを判別する請求項1から5の何れか1の請求項に記載のレベル検出装置。
【請求項8】
前記入力音の周波数スペクトルを求めるスペクトルアナライザと、
前記目標レベルに到達したときに生じる音の周波数スペクトルを予め基準周波数スペクトルとして記憶する基準スペクトル記憶部と、を備え、
前記レベル到達判別部は、前記入力音の周波数スペクトルと前記基準周波数スペクトルとを相関分析して得られる相関係数の絶対値が、予め定められた基準値以上であるか否かによって、前記貯留レベルが前記目標レベルに到達したか否かを判別する請求項1から6の何れか1の請求項に記載のレベル検出装置。
【請求項9】
前記目標レベルに到達したときの音と同じ周波数の音は通り易く、それ以外の周波数の音は通り難いフィルターを備え、前記フィルターを通して前記入力音が前記レベル到達判別部に付与される請求項1から6に記載のレベル検出装置。
【請求項10】
前記レベル到達判別部は、前記入力音の音量が許容誤差範囲で目標音量に到達したか否かに基づいて、前記貯留レベルが前記目標レベルに到達したか否かを判別する請求項1から6の何れか1の請求項に記載のレベル検出装置。
【請求項11】
所定の周波数の検査音を前記タンク内に向けて出力する音発生手段を備える請求項1から6の何れか1の請求項に記載のレベル検出装置。
【請求項12】
前記音発生手段は、前記タンク内の液面に向けて複数回に亘って検査音を送波し、
前記レベル到達判別部は、前記タンク内の液面で反射して前記マイクに取り込まれる前記入力音の波形同士を相関分析し、それら波形同士の相関係数の絶対値が、予め定められた基準値以上であるか否かによって、前記貯留レベルが前記目標レベルである満杯状態に到達したか否かを判別する請求項11記載のレベル検出装置。
【請求項13】
周波数を徐々に変化させながら検査音を前記タンク内に向けて出力する音発生手段を備える請求項1から6の何れか1の請求項に記載のレベル検出装置。
【請求項14】
複数種類の各タンクと、それらタンクが空状態で検査音を付与されたときの反射音又はタンクが空状態で殴打されたときの振動を特定するための複数の比較データを記憶する比較データ記憶部と、
前記空状態のタンクに検査音を付与するか殴打する波付与手段と、
前記波付与手段から検査音又は殴打を受けた前記空状態のタンクの応答がどの比較データに対応したものであるかを選定し、前記検査音を付与されるか殴打されたタンクの種類を識別するタンク識別部と、を備える請求項1から6の何れか1の請求項に記載のレベル検出装置。
【請求項15】
複数種類の各タンクの空状態で共鳴する検査音を記憶する検査音記憶部と、
前記複数種類の検査音を前記タンクに付与する音発生手段と、
前記複数種類の各検査音に対する前記空状態のタンクの共鳴音の大きさを比較して共鳴音が大きな検査音の種類から前記タンクの種類を識別するタンク識別部と、を備える請求項1から6の何れか1の請求項に記載のレベル検出装置。
【請求項16】
複数種類の各タンクの空状態で共鳴する音の周波数を記憶する検査音記憶部と、
周波数を変化させながら検査音を前記タンクに付与する音発生手段と、
前記空状態のタンクの共鳴音が大きくなる検査音の周波数から前記タンクの種類を識別するタンク識別部と、を備える請求項1から6の何れか1の請求項に記載のレベル検出装置。
【請求項17】
複数種類の各タンクの空状態の共振振動数を記憶する検査音記憶部と、
振動数を変化させながら振動を前記タンクに付与する音発生手段と、
前記空状態のタンクの共振が大きくなる振動数から前記タンクの種類を識別するタンク識別部と、を備える請求項1から6の何れか1の請求項に記載のレベル検出装置。
【請求項18】
前記タンク識別部により識別されたタンクの種類に基づいて、前記空状態のタンクに対する液体の目標注入量を決定する決定部と、
前記タンクに注入された液体の注入量を計測する計測部と、
前記注入量が前記目標注入量に到達したら注入を停止させるバルブと、を備える請求項12に記載のレベル検出装置。
【請求項19】
前記液体が通過可能な流路部材と、
前記流路部材に設けられ、前記液体が送給されて来るホースを接続するためのホース接続部と、
前記流路部材を遮断状態と開通状態とに切り替えるバルブと、
前記レベル到達判別部が前記貯留レベルが前記目標レベルに到達したと判断したときに前記バルブを閉じるバルブ駆動部と、を備える請求項1から6の何れか1の請求項にレベル検出装置。
【請求項20】
前記流路部材を遮断状態と開通状態とに切り替えるバルブと、
前記オーバーフロー音が検出されると前記バルブを閉じるバルブ駆動部と、を備え
前記レベル到達判別部は、前記オーバーフロー音が検出されなくなったことを以て、前記貯留レベルが前記目標レベルに到達したと判断する請求項4から6の何れか1の請求項に記載のレベル検出装置。
【請求項21】
前記流路部材を遮断状態と開通状態とに切り替えるバルブと、
前記オーバーフロー音が検出されると前記バルブを閉じると共に、その後、前記オーバーフロー音が検出されなくなると前記バルブを開くバルブ駆動部と、を備え、
前記レベル到達判別部は、前記バルブ駆動部が前記バルブを閉じた後に開いてから前記オーバーフロー音が検出されたことを以て、前記貯留レベルが前記目標レベルに到達したと判断する請求項4から6の何れか1の請求項に記載のレベル検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タンク内の液体の貯留レベルが目標レベルに到達したか否かを判別するレベル検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のレベル検出装置として、1対の電極をタンク内に配置し、貯留レベルが目標レベルに到達すると1対の電極の間が液体に浸ってそれらの間が導通して、目標レベルに到達したと判断するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、圧力センサにて検出される水圧に基づいて貯留レベルが目標レベルに到達したと判断するものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-024291号公報(請求項7)
【0004】
【特許文献2】特開2021-110654号公報(図1図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のものとは異なる原理で、貯留レベルが目標レベルに到達したか否かを判別するレベル検出装置の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、タンクへの液体の注入中に前記タンク内の液体のレベルに応じて変化する音を入力音として取り込むマイクと、前記入力音に基づいて、前記タンク内の液体の貯留レベルが予め設定された目標レベルに到達したか否かを判別するレベル到達判別部と、を備えるレベル検出装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るレベル検出装置は、タンク内の液体のレベルに応じて変化する音を利用するという従来とは異なる原理で、貯留レベルが目標レベルに到達したか否かを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るレベル検出装置の側断面図
図2】レベル検出装置がセットせれたタンクの側断面図
図3】第2実施形態に係るレベル検出装置の側断面図
図4】レベル検出装置がセットせれたタンクの側断面図
図5】第3実施形態に係るレベル検出装置の側断面図
図6】レベル検出装置がセットせれたタンクの側断面図
図7】第4実施形態に係るレベル検出装置の側断面図
図8】レベル検出装置の斜視図
図9】レベル検出装置がセットせれたタンクの側断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、図1及び図2に示された第1実施形態のレベル検出装置10Aについて説明する。このレベル検出装置10Aは、ホース90の末端に接続されて、タンク91に給水する際に使用される。そして、タンク91内の貯留レベルが目標レベルに到達したか否かを判別し、目標レベルに到達した場合に給水を停止させる。そのために、レベル検出装置10Aは、バルブ13にて開閉される流路部材11を有する。
【0010】
流路部材11は、例えば直線状に延び、両端部を除く全体をハウジング20で包囲されている。ハウジング20は、例えば、両端円筒体の外周面の一部に平坦部20Hを備えた形状をなしている。流路部材11は、ハウジング20の中心部を貫通し、その一端部はハウジング20の外部でホース90に接続されるホース接続部11Sになっている。なお、ハウジング20は、円筒状に限定されるものではなく、直方体状や任意の凹凸を有する異形状であってもよい。また、流路部材11は、直線状でなくてもよく、例えば「く」の字状に屈曲した形状であってもよい。なお、流路部材11とホース90との接続は、ホース90の内側に流路部材11を圧入することで行われてもよいし、2体に分かれるワンタッチ式のジョイント構造にて行われてもよい。
【0011】
バルブ13は、流路部材11の中間部に配置され、モータやソレノイド等を駆動源とするバルブ駆動部14によりバルブ13が駆動されて流路部材11が開閉されるようになっている。また、流路部材11の外部には、バルブ13を手動で動かして流路部材11を開閉するための操作部13Sも備えられている。
【0012】
流路部材11のうちハウジング20内におけるバルブ13より上流側部分には、流量計15が組み付けられている。この流量計15は、例えば電磁流量計であって、1対の検知電極16A(図1には、一方の計測部16Aのみが示されている)と磁界生成部16Bとを備える。1対の検知電極16Aは、流路部材11を水密状態に貫通して先端面が流路部材11の内面に露出し、例えば、流路部材11の軸方向と直交する方向で流路部材11の中心部を挟んで対向している。また、磁界生成部16Bは、例えば、C形のヨーク16Cの中間部にはコイル16Dを巻回した構造をなし、ヨーク16Cの先端部の間に流路部材11が挟まれている。そして、流量計制御部17にてコイル16Dが励磁され、1対の検知電極16Aの対向方向と交差する方向で流路部材11内に磁界を発生させる。これにより、流路部材11を通過する液体の流量に応じた電圧が1対の検知電極16Aに間に誘起されて流量が検出され、その検出結果が流量計制御部17から出力される。
【0013】
ハウジング20の前面には、1対の凹部20Aが形成されて、それらの奥面に1対の音波送受波器21が取り付けられている。また、1対の音波送受波器21は、ハウジング20内の送受波回路22に接続されている。
【0014】
前述したハウジング20の平坦部20Hには、操作部としてのタッチパネル23が内側から重ねて取り付けられている。また、平坦部20Hには、図示しない電源ボタンも備えられている。
【0015】
バルブ駆動部14、流量計制御部17、送受波回路22及びタッチパネル23は、ハウジング20内に備えられたメイン制御部30に接続されている。また、送受波回路22には、二次電池等の電源24が備えられ、各部位が電源24から受電して動作する。
【0016】
メイン制御部30には、マイコン31、メモリ32、A/Dコンバータ33、スペクトルアナライザ34が含まれている。メイン制御部30の電源がオンされると、マイコン31はメモリ32に記憶されている複数のプログラムの1つである起動プログラムを実行し、例えば、タッチパネル23にモード選択ボタンを表示する。
【0017】
第1モードを選択すると、タンク91内の水面の目標レベルが、例えば水面から天井面までの距離として入力することが求められる。また、その初期値は、例えば30[cm]に設定されている。これに対し、モニタの表示されたOKボタンをオン操作するか、任意の数値を入力してOKボタンをオン操作すると、初期値又は任意の数値が目標距離として設定される。
【0018】
そして、バルブ13が開かれると、送受波回路22は、目標距離だけ離れた壁の間で共鳴する共鳴周波数(例えば、半波長が目標レベルの距離となる周波数)の検査音を一方の音波送受波器21から出力させて、他方の音波送受波器21がマイクとして集音する音のレベルをメイン制御部30へと出力する。メイン制御部30では、マイコン31がA/Dコンバータ33を通して送受波回路22の出力を取り込み、一定の閾値を超えて大きくなったらバルブ13を閉じる。タンク91内の水面から天井面までの距離が目標距離と一致すると、検査音がタンク91内で共鳴して検査音の音量が大きくなる。そして、マイクとしての音波送受波器21が集音される検査音の音量が大きくなると、送受波回路22の出力が大きくなり、一定の閾値を超えてメイン制御部30からバルブ駆動部14にバルブ13を閉じる指令が付与され、バルブ13が閉じられる。
【0019】
第1モードを選択してレベル検出装置10Aを使用して、図2に示すように、タンク91に給水を行うと、タンク91に貯留された水とタンク91の天井面までの距離が目標距離になったところで自動的にバルブ13が閉じ、容易に給水作業を行うことができる。
【0020】
なお、一方の音波送受波器21から出力される音は、目標距離で共鳴する周波数の音を含んでいれば、それ以外の周波数の音を含んでいてもよい。具体的には、様々な周波数の音を含んだ検査音(供給される水とタンク91内の水面との衝突音でも可)の反射音から、スペクトルアナライザ34で周波数スペクトルを抽出し、共鳴周波数のスペクトルの強度が閾値を超えて大きくなったか否かに基づいて、タンク91内の水面が目標レベルに到達したか否かを判別してもよい。
【0021】
また、タンク91内の水面が目標レベルに到達した際の反射音の周波数スペクトルをマスターデータとしてメモリ32に記憶しておき、タンク91内の反射音の実測データの周波数スペクトルとマスターデータの周波数スペクトルとの相関分析を行って、相関係数の絶対値が基準値以上であるか否かによってタンク91内の水面が目標レベルに到達したか否かを判別してもよい。
【0022】
さらには、周波数スペクトルを抽出せず、タンク91内に供給すれる水がタンク内の水面に衝突する音が、水面の上昇に伴ってレベル検出装置10Aのマイク(音波送受波器21)に近づき、音量が大きくなることを利用して、その音量が一定の閾値を超えたらバルブ13が閉じるようにしても良い。
【0023】
第2モードを選択すると、例えば、タンク91に対して50~100[%]の範囲で目標レベルの入力が求められる。また、その初期値は、例えば100[%]に設定されている。これに対し、モニタの表示されたOKボタンをオン操作するか、任意の数値を入力してOKボタンをオン操作すると、初期値又は任意の値が目標レベルとして設定される。そして、空状態のタンク91内にバルブ13を閉じた状態のレベル検出装置10Aが受容されるようにセットされると、送受波回路22が一方の音波送受波器21から検査音を出力する。このとき、送受波回路22は、周波数が異なる第1~第3の検査音を一方の音波送受波器21から出力させる。そして、第1~第3の各検査音に対するタンク91内の反射音を他方の音波送受波器21で集音してメイン制御部30に付与する。
【0024】
メイン制御部30では、第1~第3の各検査音に対する反射音がスペクトルアナライザ34に取り込まれ、それぞれの周波数スペクトルが第1~第3の実測データとしてメモリ32に一次記憶される。また、メモリ32には、予め複数種類のタンク91に第1~第3の検査音を付与して得られた反射音の周波数スペクトルがマスターデータとして記憶されている。そして、マイコン31は、第1~第3の実測データの周波数スペクトルと、マスターデータとを相関分析とを行い、最も相関性が高いマスターデータからタンク91の種類を特定し、その種類からタンク91の容量を特定し、さらには、目標レベルに到達させるために必要な目標供給量を演算する。そして、マイコン31は、バルブ13を開くと共に流量計15にてレベル検出装置10Aを通過する水の流量を計測し、その計測結果が目標供給量になったらバルブ13を閉じる。これにより、容易に給水作業を行うことができる。
【0025】
なお、各種のタンク91につき、周波数が異なる第1~第3の検査音に対する反射音がマスターデータとしてメモリ32に記憶され、それら第1~第3の検査音に対する反射音の実測データとの相関性に基づいてタンク91を特定していたが、所定の周波数の1つの検査音に対する反射音がマスターデータとしてメモリ32に記憶され、その検査音に対する反射音の実測データとの相関性に基づいてタンク91を特定してもよい。
【0026】
また、各種のタンク91に対して、それらが空状態で共鳴する検査音をメモリ32に記憶しておき、複数種類の検査音を空状態のタンク91内に付与して、それら複数種類の各検査音に対する共鳴音の大きさを比較して共鳴音が大きな検査音の種類からタンク91の種類を特定してもよい。また、複数種類の検査音を付与するのではなく、検査音の周波数を連続して変化させながらタンク91内に付与しても同様の処理を行ってもよい。
【0027】
第3モードを選択すると、例えば、タンク91に対して50~100[%]の範囲で目標レベルの入力が求められると共に、タンク91の最大容量の入力が求められる。タンク91の最大容量が既知である場合は、この第3モードを利用することで第2モードで行って居たようなタンク91の種類を特定するための測定を行わずに、目標レベルに到達させるために必要な目標供給量が決定される。そして、バルブ13してレベル検出装置10Aをタンク91に受容された状態にセットすれば、流量計15による計測結果が目標供給量になったらバルブ13が閉じられる。
【0028】
[第2実施形態]
本実施形態のレベル検出装置10Bは、図3及び図4に示されており、前記第1実施形態のレベル検出装置10Aから前述の音波送受波器21及び送受波回路22が廃止されると共に、ハウジング20の後端面からケーブル29Cが延ばされて、その先端にマイク29が備えた構造をなしている。また、ケーブル29Cの先端寄り位置には、パイプ等を側方から挟んで保持することが可能なクリップ28が固定されている。さらに、ハウジング20内には、マイク29にて集音した音を増幅してメイン制御部30に付与する増幅回路27が備えられている。また、増幅回路27には、液体が流れたり、溢れた、ぶつかったりする音は通過するが、それら以外の音、例えば、金属同士がぶつかる音や超音波のような水とは無関係な高周波の音の通過を規制するフィルター27Fが備えられている。そして、メイン制御部30のマイコン31がA/Dコンバータ33を通して増幅回路27が出力する音のデータを取り込み、その音量が予め設定された基準値以上である場合にバルブ13が閉じられるように指令を出す。
【0029】
本実施形態のレベル検出装置10Bは以下のようにして使用される。即ち、図4に示したタンク91のようにオーバーフロー管92を備えたタンク91に対しては、本実施形態のレベル検出装置10Bは、オーバーフロー管92のうち排出口の近傍部分にクリップ28を取り付ければよい。そして、バルブ13を開き、レベル検出装置10Bをタンク91内に受容された状態にセットすればよい。
【0030】
すると、タンク91内の貯留レベルが満水状態になり、過剰に供給された水がオーバーフロー管92を通って排出される。そのオーバーフロー管92からの水の排出音がオーバーフロー管92に集音され、増幅回路27からメイン制御部30に取り込まれる音の音量が基準値以上となってバルブ13が閉じられる。
【0031】
なお、本実施形態では、オーバーフロー管92から排出される水の音をオーバーフロー管92で検出していたが、オーバーフロー管92に流れ込む水の音をオーバーフロー管92で検出してもよい。また、オーバーフロー管92を有していないタンク91において、レベル検出装置10Bが受容されてタンク91の給水口91Kからオーバーフローする水の音をマイク29にて集音してもよい。
【0032】
また、オーバーフローが生じる前と後との音の種類の相違を利用し、マイク29にて集音される音の周波数スペクトルをスペクトルアナライザ34にて求め、その周波数スペクトルの変化があった場合に、それをオーバーフローと捉えてバルブ13を閉じるようにしてもよい。詳細には、周波数スペクトルのうち任意の周波数のスペクトル値が急激に大きくなったことに基づいてオーバーフローの発生を検出してもよいし、オーバーフローが発生する前にマイク29にてとりこまれた環境音を基準環境音としてメモリ32に記憶しておき、実測した音の周波数スペクトルと基準環境音の周波数スペクトルとの相関係数が基準値を超えて小さくなったか否かに基づいて、オーバーフローが発生したか否かを検出してもよい。また、環境音の音量をメモリ32に記憶しておき、実測した音の音量が環境音の音量より基準値を超えて大きくなった否かに基づいてオーバーフローが発生したか否かを検出してもよい。
【0033】
[第3実施形態]
本実施形態のレベル検出装置10Cは、図5及び図6に示されており、前記第2実施形態のレベル検出装置10Bと同様にハウジング20の後端面から延びるケーブル29Cを備える。そのケーブル29Cの末端は二股に別れ、一方の先端部にはバイブレータ25Aが備えられ、他方の先端部には、加速度センサ25Bが備えられている。また、バイブレータ25A及び加速度センサ25Bの外面の一部は粘着部材で覆われていて、それぞれタンク91の外面に付着させることができるようになっている。さらには、これらバイブレータ25A及び加速度センサ25Bは、ケーブル29Cを介してハウジング20内の振動制御部26に接続されている。そして、振動制御部26は、バイブレータ25Aを任意の振動数で発振させると共に、加速度センサ25Bが受けた振動を電気信号にしてメイン制御部30に出力する。また、メモリ32には、複数種類のタンク91に対して振動を付与したときにタンク91の振動が大きくなる振動数(つまり、共振振動数(固有振動数ともいう))が記憶されている。
【0034】
本実施形態のレベル検出装置10Cは以下のようにして使用される。即ち、図6に示したタンク91の外面にバイブレータ25Aと加速度センサ25Bとを付着させる。そして、レベル検出装置10Cを起動すると、第1実施形態のレベル検出装置10Aの第2モードと同様に、例えば、タンク91に対して50~100[%]の範囲で目標レベルの入力が求められる。これに対し、モニタの表示されたOKボタンをオン操作するか、任意の数値を入力してOKボタンをオン操作すると、初期値又は任意の値が目標レベルとして設定される。そして、空状態のタンク91内にバルブ13を閉じた状態のレベル検出装置10Cが受容されるようにセットされると、バイブレータ25Aがタンク91に振動を振動数を変化させながら付与し、タンク91の振動が加速度センサ25Bによって検出される。そして、タンク91の振動の振幅が最も大きくなる振動数が共振振動数としてスペクトルアナライザ34及びマイコン31によって求められる。そして、マイコン31は、メモリ32に記憶されている複数種類のタンク91の共振振動数からタンク91の種類を特定し、その種類からタンク91の容量を特定して、目標レベルに到達させるために必要な目標供給量を演算する。そして、マイコン31は、バルブ13を開くと共に流量計15にてレベル検出装置10Aを通過する水の流量を計測し、その計測結果が目標供給量になったらバルブ13を閉じる。これにより、容易に給水作業を行うことができる。
【0035】
なお、タンク91の外面のうち目標レベルとする高さとなる位置に加速度センサ25Bを付着させると共に、それより情報にバイブレータ25Aを付着させておき、水面より情報に加速度センサ25Bが位置しているときに検出される振動と、水面以下に加速度センサ25Bが位置したときに加速度センサ25Bにて検出される振動との相違に基づいてタンク91内の貯留レベルが目標レベルに到達したか否かを検出してもよい。
【0036】
[第4実施形態]
本実施形態のレベル検出装置10Dは、図7図9に示されており、第1実施形態のレベル検出装置10Aの1対の音波送受波器21を、ハウジング20の後端面から延びるケーブル29Cの先端部に備えた構造をなしている。また、図8に示すように、1対の音波送受波器21は、第1ブラケット40に支持され、レベル検出装置10Dには第2ブラケット41が固定されている。これら第1と第2のブラケット40,41は、タンク91の開口に掛止可能な構造をなしている。
【0037】
具体的には、図9に示すように、本実施形態のタンク91は、オーバーフロー管92を有すると共に、上面に受水口95を有する。その受水口95の開口縁からは、例えば円筒壁96が突出し、さらには、円筒壁96の上端から側方にフランジ96Fが張り出している。
【0038】
これに対し、図8に示すように、第1と第2のブラケット40,41は、例えば、円筒壁96の内側面に重ねることが可能な円弧壁42の上端から扇形の上面壁43が外側に張り出し、その上面壁43の円弧状が外縁部から円弧形の係止壁44が垂下した構造をなしている。そして、1対の音波送受波器21は、送受波面を下方に向けた状態で、第1ブラケット40における円弧壁42の内面に横並びにして固定されている。また、第2ブラケット41には、レベル検出装置10Dが排水口を有する先端面を下方に向けた状態にされ、側面を円弧壁42の内面に重ねた状態にして固定されている。
【0039】
本実施形態のレベル検出装置10Dは以下のようにして使用される。即ち、図9に示したタンク91の受水口95の円筒壁96に第1及び第2のブラケット40,41を掛け、バルブ13を開いた状態にセットすればよい。
【0040】
すると、一方の音波送受波器21から一定の周波数の検査音が、所定の間隔をあけて下方に向けて送波され、それら検査音がタンク91内の水面で反射して他方の音波送受波器21に受波される。そして、各検査音が送波されてから受波される迄の到達時間がマイコン31によって求められる。そして、到達時間が求められる度に徐々に短くなっている間は水面が上昇していると判断されて給水が続けられる。一方、到達時間が一定の誤差範囲で変化しなくなったら、タンク91が満水状態になってオーバーフローしていると判断され、タンク91の貯留レベルが目標レベルに到達したと判断されてバルブ13が閉じられる。これにより、容易に給水作業を行うことができる。
【0041】
なお、本実施形態のレベル検出装置10Dでは、水面に対して上方から検査音を送波していたが、水面に対して下方から検査音を送波して、その反射音を水面の下方で受波する構成としてもよい。具体的には、例えば、上記した第2ブラケット41から下方に延びるシャフトの下端に1対の音波送受波器21が固定された構造としてもよいし、レベル検出装置10Dのハウジング20の後面に1対の音波送受波器21が固定され、ハウジング20の後面を上に向けた状態でレベル検出装置10Dが目標となる水面より下に配置されるようにしてもよい。
【0042】
また、タンクに液体が供給されて液面が上昇している間は、その上昇に伴って液面における反射音の波形は変化するが、タンクが液体で満杯になってオーバーフローすることで液面が一定の位置に留まっている間は、反射音の波形は一定になる。このことを利用した構成として、一方の音波送受波器21からタンク91内の液面に向けて複数回に亘って検査音を送波し、それらが他方の音波送受波器21に取り込まれたときの入力音の波形同士を相関分析し、それら波形同士の相関係数の絶対値が基準値以上であるか否かによって、貯留レベルが目標レベルである満杯状態に到達したか否かを判別してもよい。
【0043】
[第5実施形態]
本実施形態のレベル検出装置は、図示しないが、第2実施形態のレベル検出装置10B(図3及び図4参照)とハード的な構成は同じになっている。そして、マイコン31は、取り込まれる音のデータの音量が基準値以上である場合にバルブ13を閉じ、その後に、マイコン31に取り込まれる音が基準値より小さくなった場合、即ち、オーバーフロー音が検出されなくなったときに、タンク91が満水状態になったと判断し、例えば、そのことを外部に報知する。
【0044】
このように本実施形態のレベル検出装置は、オーバーフロー音の検出に応じてバルブが閉じられた後、オーバーフロー音が検出されなくなったことを以て満水と判断するので、満水か否かの誤判断の発生が抑えられる。また、満水後にタンクの蓋を閉める等の終了処理が必要である場合には、終了処理をスムーズに行うことができる。
【0045】
[第6実施形態]
本実施形態のレベル検出装置は、図示しないが、第5実施形態のレベル検出装置とハード的な構成は同じになっている。そして、オーバーフロー音の検出に応じてバルブが閉じられた後に、オーバーフロー音の消失に応じてバルブを開き、その後、オーバーフロー音が再検出されたことを以て貯留レベルが目標レベルに到達したと判断し、例えば、そのことを外部に報知する。本実施形態のレベル検出装置は、満水か否かの誤判断の発生が抑えられる。
【0046】
<付記>
以下、前述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、前記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0047】
[特徴1]
タンクへの液体の注入中に前記タンク内の液体のレベルに応じて変化する音を入力音として取り込むマイクと、前記入力音に基づいて、前記タンク内の液体の貯留レベルが予め設定された目標レベルに到達したか否かを判別するレベル到達判別部と、を備えるレベル検出装置。
【0048】
特徴1のレベル検出装置は、タンク内の液体のレベルに応じて変化する音を利用するという従来とは異なる原理で、貯留レベルが目標レベルに到達したか否かを判別することができる。ここで、入力音は、タンク内の反射音であってもよいし(特徴2)、タンクの振動音であってもよいし(特徴3)、タンクからの液体のオーバーフロー音であてもよい(特徴4)。
【0049】
[特徴5]
前記オーバーフロー音の発生前に前記マイクにて取り込まれる環境音を基準環境音として記憶する環境音記憶部を有し、前記レベル到達判別部は、前記マイクにて取り込まれる環境音と前記基準環境音との音量又は周波数スペクトルの相違又は変化に基づき、前記貯留レベルがオーバーフローを伴う前記目標レベルに到達したか否かを判別する特徴4に記載のレベル検出装置。
【0050】
特徴5にレベル検出装置は、オーバーフロー音の発生前にマイクにて取り込まれる環境音を基準環境音として記憶しておき、その基準環境音とマイクにて取り込まれる環境音との音量又は周波数スペクトルの相違に変化に基づき、貯留レベルがオーバーフローを伴う目標レベルに到達したか否かを判別するので、雑音の影響を抑えた判別が可能になる。
【0051】
[特徴6]
一定の周波数の検査音を前記タンク内に向けて断続的に発射する音発生手段を備え、
前記レベル到達判別部は、前記検査音の発射から前記タンク内の液面で反射してマイクに取り込まれる迄の到達時間が、前記検査音の発射回数を重ねても変化しないか否かに基づいて前記貯留レベルがオーバーフローを伴う前記目標レベルに到達したか否かを判別する特徴4に記載のレベル検出装置。
【0052】
特徴6のレベル検出装置では、タンクへの液体の注入に対し、タンク内の貯留レベルが変化するか否かに基づいて貯留レベルがオーバーフローを伴う目標レベルに到達したか否かを判別することができる。なお、上記特徴5,6以外に、例えば、貯留レベルが目標レベルに到達したか否かの判別を、入力音の周波数の変化に基づいて行ってもよいし(特徴7)、音量の変化で基づいて行ってもよい。入力音の周波数の変化に基づく判別としては、入力音の周波数スペクトルを随時求め、閾値以上の変化が有ったか以下かに基づいて、貯留レベルがオーバーフローを伴う目標レベルに到達したか否かを判別してもよいし、下記特徴8の構成としてもよい。
【0053】
[特徴8]
前記入力音の周波数スペクトルを求めるスペクトルアナライザと、前記目標レベルに到達したときに生じる音の周波数スペクトルを予め基準周波数スペクトルとして記憶する基準スペクトル記憶部と、を備え、前記レベル到達判別部は、前記入力音の周波数スペクトルと前記基準周波数スペクトルとを相関分析して得られる相関係数の絶対値が、予め定められた基準値以上であるか否かによって、前記貯留レベルが前記目標レベルに到達したか否かを判別する特徴1から7の何れか1の特徴に記載のレベル検出装置。
【0054】
[特徴9]
前記目標レベルに到達したときの音と同じ周波数の音は通り易く、それ以外の周波数の音は通り難いフィルターを備え、前記フィルターを通して前記入力音が前記レベル到達判別部に付与される請求項1から8に記載のレベル検出装置。
【0055】
特徴9によれば、目標レベルに到達したときの音と異なる周波数の音はフィルターによって排除されるので、タンク内の貯留レベルが目標レベルに到達したか否かの音に基づいた判別の精度が向上する。
【0056】
[特徴10]
前記レベル到達判別部は、前記入力音の音量が許容誤差範囲で目標音量に到達したか否かに基づいて、前記貯留レベルが前記目標レベルに到達したか否かを判別する特徴1から9の何れか1の特徴に記載のレベル検出装置。
【0057】
特徴10の構成によれば、音の周波数の解析等を必要とせず、簡素な構成でタンク内の貯留レベルが目標レベルに到達したか否かを判別することができる。
【0058】
[特徴11]
所定の周波数の検査音を前記タンク内に向けて出力する音発生手段を備える特徴1から10の何れか1の特徴に記載のレベル検出装置。
【0059】
特徴11の構成によれば、自然の環境下で発生する音と検査音とを周波数の相違から容易に区別することでき、タンク内の貯留レベルが目標レベルに到達したか否かの判別の精度が向上する。
【0060】
[特徴12]
前記音発生手段は、前記タンク内の液面に向けて複数回に亘って検査音を送波し、前記レベル到達判別部は、前記タンク内の液面で反射して前記マイクに取り込まれる前記入力音の波形同士を相関分析し、それら波形同士の相関係数の絶対値が、予め定められた基準値以上であるか否かによって、前記貯留レベルが前記目標レベルである満杯状態に到達したか否かを判別する請求項11記載のレベル検出装置。
【0061】
タンクに液体が供給されて液面が上昇している間は、その上昇に伴って液面における反射音の波形は変化するが、タンクが液体で満杯になってオーバーフローすることで液面が一定の位置に留まっている間は、反射音の波形は一定になる。特徴12の構成では、このことを利用して、貯留レベルが目標レベルである満杯状態に到達したか否かを判別することができる。
【0062】
[特徴13]
周波数を徐々に変化させながら検査音を前記タンク内に向けて出力する音発生手段を備える特徴1から12の何れか1の特徴に記載のレベル検出装置。
【0063】
音発生手段は、一定の周波数の検査音を出力するものであってもよいし、特徴13のレベル検出装置のように、周波数を徐々に変化させながら検査音を出力するものであってもよい。
【0064】
また、以下の特徴14~17では、タンク全体が地中に埋設されていたり、カバーに覆われていたり、車両等に組み込まれているような場合でも、タンクの種類を識別することができる。
【0065】
[特徴14]
複数種類の各タンクと、それらタンクが空状態で検査音を付与されたときの反射音又はタンクが空状態で殴打されたときの振動を特定するための複数の比較データを記憶する比較データ記憶部と、前記空状態のタンクに検査音を付与するか殴打する波付与手段と、前記波付与手段から検査音又は殴打を受けた前記空状態のタンクの応答がどの比較データに対応したものであるかを選定し、前記検査音を付与されるか殴打されたタンクの種類を識別するタンク識別部と、を備える特徴1から13の何れか1の特徴に記載のレベル検出装置。
【0066】
[特徴15]
複数種類の各タンクの空状態で共鳴する検査音を記憶する検査音記憶部と、前記複数種類の検査音を前記タンクに付与する音発生手段と、前記複数種類の各検査音に対する前記空状態のタンクの共鳴音の大きさを比較して共鳴音が大きな検査音の種類から前記タンクの種類を識別するタンク識別部と、を備える請求項1から13の何れか1の請求項に記載のレベル検出装置。
【0067】
[特徴16]
複数種類の各タンクの空状態で共鳴する音の周波数を記憶する検査音記憶部と、周波数を変化させながら検査音を前記タンクに付与する音発生手段と、前記空状態のタンクの共鳴音が大きくなる検査音の周波数から前記タンクの種類を識別するタンク識別部と、を備える特徴1から13の何れか1の特徴に記載のレベル検出装置。
【0068】
[特徴17]
複数種類の各タンクの空状態の共振振動数を記憶する検査音記憶部と、振動数を変化させながら振動を前記タンクに付与する音発生手段と、前記空状態のタンクの共振が大きくなる振動数から前記タンクの種類を識別するタンク識別部と、を備える請求項1から13の何れか1の請求項に記載のレベル検出装置。
【0069】
[特徴18]
前記タンク識別部により識別されたタンクの種類に基づいて、前記空状態のタンクに対する液体の目標注入量を決定する決定部と、前記タンクに注入された液体の注入量を計測する計測部と、前記注入量が前記目標注入量に到達したら注入を停止させるバルブと、を備える特徴12から17の何れか1の特徴に記載のレベル検出装置。
【0070】
特徴18によれば、タンクの貯留レベルが目標レベルに到達したときには自動的に液体の供給が止められるので作業効率が向上する。
【0071】
[特徴19]
前記液体が通過可能な流路部材と、前記流路部材に設けられ、前記液体が送給されて来るホースを接続するためのホース接続部と、前記流路部材を遮断状態と開通状態とに切り替えるバルブと、前記レベル到達判別部が前記貯留レベルが前記目標レベルに到達したと判断したときに前記バルブを閉じるバルブ駆動部と、を備える特徴1から17の何れか1の特徴にレベル検出装置。
【0072】
特徴19のレベル検出装置は、タンクに液体を供給するホースに取り付け移動することができるので機動性に優れる。また、タンクの貯留レベルが目標レベルに到達したときには自動的に液体の供給が止められるので作業効率が向上する。
【0073】
[特徴20]
前記流路部材を遮断状態と開通状態とに切り替えるバルブと、前記オーバーフロー音が検出されると前記バルブを閉じるバルブ駆動部と、を備え前記レベル到達判別部は、前記オーバーフロー音が検出されなくなったことを以て、前記貯留レベルが前記目標レベルに到達したと判断する特徴4から6の何れか1の特徴に記載のレベル検出装置。
【0074】
特徴20のレベル検出装置は、オーバーフロー音の検出に応じてバルブが閉じられた後、オーバーフロー音が検出されなくなったことを以て、貯留レベルが目標レベルに到達したと判断するので、誤判断の発生が抑えられる。また、貯留レベルが目標レベルに到達したという判断後に、タンクの蓋を閉める等の終了処理が必要である場合には、終了処理をスムーズに行うことができる。
【0075】
[特徴21]
前記流路部材を遮断状態と開通状態とに切り替えるバルブと、前記オーバーフロー音が検出されると前記バルブを閉じると共に、その後、前記オーバーフロー音が検出されなくなると前記バルブを開くバルブ駆動部と、を備え、前記レベル到達判別部は、前記バルブ駆動部が前記バルブを閉じた後に開いてから前記オーバーフロー音が検出されたことを以て、前記貯留レベルが前記目標レベルに到達したと判断する特徴4から6の何れか1の特徴に記載のレベル検出装置。
【0076】
特徴21のレベル検出装置は、オーバーフロー音の検出に応じてバルブが閉じられた後に、オーバーフロー音の消失に応じてバルブが開き、その後、オーバーフロー音が再検出されたことを以て貯留レベルが目標レベルに到達したと判断するので、誤判断の発生が抑えられる。
【0077】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0078】
10A~10D レベル検出装置
11 流路部材
13 バルブ
14 バルブ駆動部
15 流量計
20 ハウジング
21 音波送受波器
25A バイブレータ
25B 加速度センサ
26 振動制御部
27F フィルタ
29 マイク
31 マイコン
32 メモリ
34 スペクトルアナライザ
90 ホース
91 タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9