(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123346
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】画像形成方法及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20230829BHJP
B41J 2/32 20060101ALI20230829BHJP
B41J 3/01 20060101ALN20230829BHJP
B41J 5/30 20060101ALN20230829BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 201
B41J2/01 501
B41J2/32 Z
B41J3/01
B41J5/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188228
(22)【出願日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】63/313,438
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】三好 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】野村 護
(72)【発明者】
【氏名】八木 規文
(72)【発明者】
【氏名】麻生 伸一
(72)【発明者】
【氏名】新津 一巳
(72)【発明者】
【氏名】日吉 唯
(72)【発明者】
【氏名】原 誉史
(72)【発明者】
【氏名】深沢 大志
【テーマコード(参考)】
2C055
2C056
2C065
2C187
【Fターム(参考)】
2C055JJ00
2C055JJ07
2C056EC69
2C056FC02
2C056HA44
2C065AA01
2C065AF01
2C065CZ13
2C065CZ14
2C187AC05
2C187AC08
2C187CC09
2C187CD08
(57)【要約】
【課題】熱変色性インクを用いて基材に記録したオブジェクトを消去した後のオブジェクトの視認性を低くしつつ、オブジェクトに関する情報を取得可能にする。
【解決手段】実施形態の画像形成方法は、第1の温度以上の温度で第1の色から第2の色に遷移する第1の熱変色性インクを用いて、第1の画像を基材に形成することを備える。画像形成方法は、第2の温度以上の温度で第3の色から第4の色に遷移する第2の熱変色性インクを用いて、第2の画像を前記基材に形成することを備える。画像形成方法は、前記第1の画像に前記第1の温度以上の温度の熱を加えることで、オブジェクトを示す第3の画像を前記基材に形成することを備える。画像形成方法は、前記第2の画像に前記第2の温度以上の温度の熱を加えることで、前記オブジェクトに関する情報を記録したコードシンボルを示す第4の画像を前記基材に形成することを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像形成部により、第1の温度以上の温度で第1の色から第2の色に遷移する第1の熱変色性インクを用いて、前記第1の色の第1の画像を基材に形成することと、
第2の画像形成部により、前記第1の温度よりも高い第2の温度以上の温度で第3の色から第4の色に遷移する第2の熱変色性インクを用いて、前記第3の色の第2の画像を前記基材のうち前記第1の画像を形成された領域とは異なる領域に形成することと、
第3の画像形成部により、前記第1の画像に前記第1の温度以上の温度の熱を加えることで、オブジェクトを示す第3の画像を前記基材に形成することと、
前記第3の画像形成部により、前記第2の画像に前記第2の温度以上の温度の熱を加えることで、前記オブジェクトに関する情報を記録したコードシンボルを示す第4の画像を前記基材に形成することと、
を備える画像形成方法。
【請求項2】
前記第3の画像を前記基材に形成することは、前記第1の画像に前記第1の温度よりも高い前記第2の温度以上の熱を加えることを含む、請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
第1の画像形成部により、所定温度以上の温度で第1の色から第2の色に遷移する第1の熱変色性インクを用いて、前記第1の色の第1の画像を基材に形成することと、
第2の画像形成部により、非熱変色性インクを用いて、情報を記録したコードシンボルを示す第2の画像を前記基材のうち前記第1の画像を形成された領域とは異なる領域に形成することと、
第3の画像形成部により、前記第1の画像に前記所定温度以上の温度の熱を加えることで、前記情報に関するオブジェクトを示す第3の画像を前記基材に形成することと、
を備える画像形成方法。
【請求項4】
第1の温度以上の温度で第1の色から第2の色に遷移する第1の熱変色性インクを用いて、前記第1の色の第1の画像を基材に形成する第1の画像形成部と、
前記第1の温度よりも高い第2の温度以上の温度で第3の色から第4の色に遷移する第2の熱変色性インクを用いて、前記第3の色の第2の画像を前記基材のうち前記第1の画像を形成された領域とは異なる領域に形成する第2の画像形成部と、
前記第1の画像に前記第1の温度以上の温度の熱を加えることで、オブジェクトを示す第3の画像を前記基材に形成し、前記第2の画像に前記第2の温度以上の温度の熱を加えることで、前記オブジェクトに関する情報を記録したコードシンボルを示す第4の画像を前記基材に形成する第3の画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【請求項5】
所定温度以上の温度で第1の色から第2の色に遷移する第1の熱変色性インクを用いて、前記第1の色の第1の画像を基材に形成する第1の画像形成部と、
非熱変色性インクを用いて、情報を記録したコードシンボルを示す第2の画像を前記基材のうち前記第1の画像を形成された領域とは異なる領域に形成する第2の画像形成部と、
前記第1の画像に前記所定温度以上の温度の熱を加えることで、前記情報に関するオブジェクトを示す第3の画像を前記基材に形成する第3の画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、個人情報等のセキュリティ情報を含む印刷物の廃棄にはシュレッダーを用いることが一般的であった。しかしながら、印刷物は完全に裁断されず、セキュリティ情報は再構築させることも可能である。
【0003】
かき消し可能な可逆性感熱メディアも存在する。しかしながら、書き込み消去に可能な温度が高く情報を消去する際に専用の装置が必要となるだけでなく、特殊メディア又はラベルが必要となる。
【0004】
印字物を消色する技術として熱変色性インクが知られている。しかしながら、熱変色性インクは消え跡がわずかに残る。そのため、光の反射具合で文字が読めたり、冷却して再発色させることで文字が再度読めたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、熱変色性インクを用いて基材に記録したオブジェクトを消去した後のオブジェクトの視認性を低くしつつ、オブジェクトに関する情報を取得可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の画像形成方法は、第1の画像形成部により、第1の温度以上の温度で第1の色から第2の色に遷移する第1の熱変色性インクを用いて、前記第1の色の第1の画像を基材に形成することを備える。画像形成方法は、第2の画像形成部により、前記第1の温度よりも高い第2の温度以上の温度で第3の色から第4の色に遷移する第2の熱変色性インクを用いて、前記第3の色の第2の画像を前記基材のうち前記第1の画像を形成された領域とは異なる領域に形成することを備える。画像形成方法は、第3の画像形成部により、前記第1の画像に前記第1の温度以上の温度の熱を加えることで、オブジェクトを示す第3の画像を前記基材に形成することを備える。画像形成方法は、前記第3の画像形成部により、前記第2の画像に前記第2の温度以上の温度の熱を加えることで、前記オブジェクトに関する情報を記録したコードシンボルを示す第4の画像を前記基材に形成することを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る印刷装置の構成例について説明するための斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る印刷装置による画像形成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る印刷装置による画像の形成例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る印刷装置により形成されたオブジェクトの消去例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る印刷装置の構成例について説明するための斜視図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る印刷装置による画像形成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る印刷装置による画像の形成例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係る印刷装置により形成されたオブジェクトの消去例を示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係る印刷装置により形成されたオブジェクトの別の消去例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る印刷装置について図面を用いて説明する。なお、以下の第1の実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、以下の第1の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。
第1の実施形態は、熱変色性インク及び非熱変色性インクを用いる実施形態である。
【0010】
(構成例)
図1は、印刷装置10の構成例について説明するための斜視図である。
印刷装置10は、熱変色性インク及び非熱変色性インクを用いる装置である。印刷装置10は、画像形成装置の一例である。
【0011】
熱変色性インクは、温度に応じて、第1の色と第2の色との間で変化する性質を有するインクである。第2の色は、第1の色とは異なる色である。第1の色は、ある程度の濃度範囲に含まれる色を指してもよい。第2の色は、ある程度の濃度範囲に含まれる色を指してもよい。ここでは、第1の色が非消色状態の色であり、第2の色が消色状態の色である例について説明するが、これに限定されない。第1の色及び第2の色は、非消色状態の色であってもよい。非消色状態は、着色状態を含む。着色状態は、呈色している状態である。消色状態は、非着色状態を含む。非着色状態は、呈色していない状態である。熱変色性インクは、第1の色から第2の色に遷移する温度以上の温度で第1の色から第2の色に遷移する性質を有するものとする。以下では、第1の色から第2の色に遷移する温度は、所定温度というものとする。熱変色性インクは、第2の色から第1の色に遷移する温度以下の温度で第2の色から第1の色に遷移する性質を有するものとする。
【0012】
熱変色性インクは、ロイコ染料を内包したカプセル状樹脂の他に種々の添加剤、有機溶剤及び水を含有する。熱変色性インクは、保湿剤、ぬれ剤、防腐剤、pH調整剤又は粘度調整剤等を必要に応じて添加剤として添加すればよい。熱変色性インクの粒子径は500nm以上でもよいが、これに限定されない。
【0013】
非熱変色性インクは、温度に応じて色が変化しない性質を有するインクである。非熱変色性インクの色は、着色状態の色である。非熱変色性インクは、シアンインクを含んでもよい。非熱変色性インクは、マゼンタインクを含んでもよい。非熱変色性インクは、イエローインクを含んでもよい。非熱変色性インクは、ブラックインクを含んでもよい。
【0014】
印刷装置10は、印刷対象物OBが載置される搬送ベルトBEを備える。例えば、搬送ベルトBEは一定速度で移動動作し、載置された印刷対象物OBを、
図1に白抜き矢印で示すように印刷対象物OBの印刷領域ARに画像を形成するための複数の工程位置へ搬送させていく。搬送ベルトBEは、載置された印刷対象物OBを、白抜き矢印の方向だけでなく、白抜き矢印の方向とは反対の方向に搬送させることもできる。白抜き矢印の方向は、第1の方向ともいう。第1の方向とは反対の方向は、第2の方向ともいう。第1の方向及び第2の方向は、印刷対象物OBの搬送方向である。印刷対象物OBを搬送することは、印刷領域ARを搬送することの一例である。印刷領域ARは、印刷対象物OBにおける仮想的な領域である。印刷領域ARは、印刷対象物OBの一例である。
【0015】
搬送ベルトBEは、印刷対象物OBを搬送する搬送機を構成する。なお、
図1では、搬送ベルトBEを4個示しているが、複数の工程の全工程位置をカバーする1個の搬送ベルトとして構成してもよいし、4個以外の複数個の搬送ベルトによって全工程位置をカバーするようにしてもよい。
【0016】
複数の工程は、第1の画像形成工程、第2の画像形成工程及び第3の画像形成工程を含む。第1の画像形成工程は、熱変色性インクを用いて、第1の画像を印刷領域ARに形成する工程である。第1の画像を印刷領域ARに形成することは、第1の画像を印刷領域ARに印刷することを含む。第1の画像は、印刷領域ARに収まるサイズの画像である。例えば、第1の画像は、ベタ塗の画像である。第1の画像は、印字率50%以上の画像でもよい。ここでは、第1の画像の色は、第1の色であるものとする。
【0017】
第2の画像形成工程は、第1の画像形成工程よりも後の工程である。第2の画像形成工程は、非熱変色性インクを用いて、第2の画像を印刷領域ARのうち第1の画像を形成された領域とは異なる領域に形成する工程である。第2の画像を印刷領域ARに形成することは、第2の画像を印刷領域ARに印刷することを含む。第2の画像は、第1の画像と隣接していてもよいし、第1の画像から離れていてもよい。
【0018】
第2の画像は、情報を記録したコードシンボルを示す画像である。コードシンボルは、バーコードシンボルのような一次元のコードシンボルでもよいし、QRコード(登録商標)のような二次元のコードシンボルでもよい。コードシンボルを構成する暗色部分は、非熱変色性インクにより印刷領域ARに形成される部分である。コードシンボルを構成する暗色部分の色は、非熱変色性インクの色である。コードシンボルを構成する明色部分は、非熱変色性インクにより印刷領域ARに形成されない部分である。コードシンボルを構成する明色部分の色は、印刷領域ARの色である。
【0019】
コードシンボルに記録した情報は、コードリーダにより取得可能な情報である。コードリーダは、コードシンボルを読み取るカメラ等を有し、コードシンボルに記録された情報を取得可能な電子機器の一例である。電子機器は、コードシンボルに記録された情報を取得する機能を備えるスマートフォン等の機器であってもよい。
【0020】
コードシンボルに記録した情報は、後述する第3の画像に示されるオブジェクトに関する情報である。例えば、コードシンボルに記録した情報は、オブジェクトで示される情報にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)の情報である。コードシンボルに記録した情報は、オブジェクトで示される情報の内容そのものでもよい。コードシンボルに記録した情報は、オブジェクトで示される情報に関連していればよい。
【0021】
第3の画像形成工程は、第2の画像形成工程よりも後の工程である。第3の画像形成工程は、第1の画像に所定温度以上の温度の熱を加えることで、オブジェクトを示す第3の画像を印刷領域ARに形成する工程である。オブジェクトは、コードシンボルに記録した情報に関するものである。オブジェクトは、1つの記号でもよいし、複数の記号を含む記号群でもよい。記号は、文字、数字及び図形等を含む。記号又は記号群は、企業等のロゴを示すものでもよい。オブジェクトは、意匠の画像でもよい。例えば、オブジェクトは、個人情報等のセキュリティ情報であるが、これに限定されない。例えば、個人情報は、宛名等である。
【0022】
第3の画像は、第1の画像の一部の領域にオブジェクトを記録した画像である。第3の画像の一部の領域は、第1の画像の外縁内における一部の領域である。第1の画像の一部の領域にオブジェクトを記録することは、第1の画像の一部の領域にオブジェクトを形成することを含む。例えば、第3の画像形成工程は、第1の画像においてオブジェクトを記録する領域に熱を加える。この例では、第3の画像は、第1の画像の外縁内において、第1の領域及び第1の領域以外の第2の領域を含む。第1の領域は、オブジェクトを示す領域である。第1の領域は、第1の画像においてオブジェクトを記録する領域に対応する領域である。第1の領域の色は、第2の領域の色とは異なる色である。第1の領域の色は、第2の色である。第2の領域は、第1の領域と隣接する。第2の領域は、第1の画像においてオブジェクトを記録する領域以外の領域に対応する領域である。例えば、第2の領域は、第1の画像と同様に、ベタ塗の領域である。第2の領域の色は、第1の色である。第2の領域は、第1の画像と同様に、印字率50%以上の領域でもよい。オブジェクトは、第3の画像において、浮かび上がるように見える。
【0023】
複数の工程は、消去工程を含むことができる。消去工程は、第1の画像形成工程よりも前の工程である。消去工程は、第1の画像の形成前の印刷領域ARに所定温度以上の温度の熱を加えることで、熱変色性インクを用いて印刷領域ARに形成された画像を消去する工程である。印刷領域ARに形成された画像の色は、消去工程により、第1の色から第2の色に変わる。そのため、印刷領域ARへの繰り返しの画像形成が可能である。画像を消去することは、画像の色を第1の色から第2の色に変えることの一例である。例えば、熱変色性インクを用いて印刷領域ARに形成された画像は、過去に印刷領域ARに形成された別の第3の画像である。
【0024】
印刷対象物OBは、段ボールや通い箱等の直方体形状を有し、印刷を行うべき一つの印刷面を有する。印刷面は、印刷領域ARを含む。印刷対象物OBは、画像を形成する対象となる基材の一例である。例えば、基材は、白色等又は有彩色の無地の媒体である。物品が収納された印刷対象物OBは、作業員または適切なピックアップ機構によりピックアップされ、印刷面が搬送ベルトBEの側方つまり搬送方向と直交する方向に向けて搬送ベルトBE上に載置される。
【0025】
なお、印刷対象物OBは、印刷面に、画像を印刷するラベルが貼付されていることもある。この例では、ラベルは、印刷領域ARを含む。ラベルは、画像を形成する対象となる基材の一例である。
【0026】
印刷装置10は、ラベルを貼付していない印刷対象物OBとラベルを貼付した印刷対象物OBとの両方を混在使用するものとしてもよい。
【0027】
印刷装置10は、さらに、制御部100、ユーザインタフェース101、タイミングセンサ102、画像センサ103、ヒータ104、第1のインクジェットヘッド105、第2のインクジェットヘッド106、サーマルヘッド107及び及び3個のモータ108を備える。タイミングセンサ102、画像センサ103、消去工程位置に配置されるヒータ104、第1の画像形成工程位置に配置される第1のインクジェットヘッド105、第2の画像形成工程位置に配置される第2のインクジェットヘッド106、第3の画像形成工程位置に配置されるサーマルヘッド107及びユーザインタフェース101は、第1の方向に沿って、この順番に配置されている。言い換えれば、消去工程位置、第1の画像形成工程位置、第2の画像形成工程及び第3の画像形成工程位置は、第1の方向に沿って、この順番に配置される。
【0028】
制御部100は、当該印刷装置10の各構成部の動作を制御するコンピュータである。
【0029】
ユーザインタフェース101は、制御部100から各種情報を表示するためのシステムモニタである。また、ユーザインタフェース101は、制御部100に各種指示を入力するためのキーやボタンを備えることができる。ユーザインタフェース101は、液晶等のモニタ画面上にタッチキーを配置したタッチパネルを備えてもよい。
【0030】
タイミングセンサ102は、例えば光電センサで構成され、印刷対象物OBがこのタイミングセンサ102の位置に到達したことを検出する。このタイミングセンサ102が印刷対象物OBの到達を検出した時点を基準として、制御部100は、搬送ベルトBEによる印刷対象物OBの移動速度に基づいて、画像センサ103、ヒータ104、第1のインクジェットヘッド105、第2のインクジェットヘッド106及びサーマルヘッド107の動作タイミングを制御することができる。
【0031】
画像センサ103は、例えばカメラ等のセンサで構成され、印刷対象物OBを撮影する。制御部100は、撮影された印刷対象物OBの画像から、周知の画像処理によって、印刷対象物OBのサイズを検出することができる。すなわち、制御部100は、印刷対象物OBの縦横サイズを検出する。そして、制御部100は、この検出した印刷対象物OBのサイズに基づいて、印刷対象物OBの印刷領域ARを特定する。例えば、制御部100は、印刷対象物OBの印刷領域ARのサイズと位置を特定することができる。なお、制御部100は、撮影された印刷対象物OBの画像から、周知の画像処理によって、印刷対象物OBにおけるラベルの有無を検出することができる。すなわち、制御部100は、ラベルについて、印刷対象物OBの印刷面における搬送方向前端部からの距離、印刷面の上端部からの距離(載置面と対向する面からの距離)及び縦横サイズを検出する。そして、制御部100は、この検出したラベルのサイズに基づいて、ラベルの印刷領域ARを特定する。例えば、制御部100は、ラベルの印刷領域ARのサイズと位置を特定することができる。
【0032】
ヒータ104は、熱変色性インクを用いて印刷領域ARに形成された画像を消去し得る熱を印刷領域ARに照射する熱変色性インク消去用熱源である。ヒータ104は、
図1に実線の矢印で示すようにモータ108によって高さ方向に移動可能な状態で、支柱POに支持されている。第1の実施形態では、このモータ108の回転力をヒータ104の直線方向の移動力に変換する機構は特に限定しない。支柱POへの支持機構は、この駆動力の変換機構に合わせたものとすれば良い。ヒータ104の支持方向が、印刷対象物OBの搬送方向と垂直な方向から、つまり搬送方向側面側から、印刷領域ARに熱を加えられる方向となるように支持できれば、どのような支持機構であっても良い。制御部100は、画像センサ103を用いて判定した印刷位置、つまり印刷領域ARが印刷対象物OBのどの高さに貼付されているのかに基づいて、モータ108を制御して、ヒータ104の高さ位置を印刷位置に合致するよう調整することができる。また、制御部100は、タイミングセンサ102による検出時点を基準として算出した、ヒータ104と対向する位置を印刷領域ARが通過するタイミングでヒータ104を動作させることで、熱変色性インクを用いて印刷領域ARに形成された画像を消去することができる。ヒータ104は、印刷領域ARに熱を加える加熱部の一例である。
【0033】
第1のインクジェットヘッド105は、熱変色性インクを吐出することで印刷領域ARに第1の画像を形成するヘッドである。第1のインクジェットヘッド105は、熱変色性インクを用いて第1の画像を印刷領域ARに形成する第1の画像形成部の一例である。
【0034】
第1のインクジェットヘッド105は、
図1に実線の矢印で示すようにモータ108によって高さ方向に移動可能な状態で、支柱POに支持されている。第1のインクジェットヘッド105は、印刷対象物OBの搬送方向と垂直な方向つまり搬送方向側面側から、第1の画像を印刷領域ARに形成できるように、支柱POに支持される。制御部100は、画像センサ103を用いて特定した印刷領域ARのサイズ及び位置に基づいて、モータ108を制御して、第1のインクジェットヘッド105の高さ位置を印刷領域ARに合致するよう調整することができる。また、制御部100は、タイミングセンサ102による検出時点を基準として算出した、第1のインクジェットヘッド105と対向する位置を印刷領域ARが通過するタイミングで第1のインクジェットヘッド105を動作させることで、第1の画像を印刷領域ARに形成することができる。なお、第1のインクジェットヘッド105を支持する支柱POは、第1方向に移動可能であってもよい。第1のインクジェットヘッド105を支持する支柱POは、第2方向に移動可能であってもよい。第1のインクジェットヘッド105を支持する支柱POは、モータ108によって第1方向又は第2方向に移動可能であってもよい。制御部100は、モータ108を制御して、第1のインクジェットヘッド105を支持する支柱POを第1方向又は第2の方向に移動するように制御することができる。
【0035】
第2のインクジェットヘッド106は、非熱変色性インクを吐出することで印刷領域ARに第2の画像を形成するヘッドである。第2のインクジェットヘッド106は、非熱変色性インクを用いて第2の画像を印刷領域ARに形成する第2の画像形成部の一例である。
【0036】
第2のインクジェットヘッド106は、
図1に実線の矢印で示すようにモータ108によって高さ方向に移動可能な状態で、支柱POに支持されている。第2のインクジェットヘッド106は、印刷対象物OBの搬送方向と垂直な方向つまり搬送方向側面側から、第2の画像を印刷領域ARに形成できるように、支柱POに支持される。制御部100は、画像センサ103を用いて特定した印刷領域ARのサイズ及び位置に基づいて、モータ108を制御して、第2のインクジェットヘッド106の高さ位置を印刷領域ARに合致するよう調整することができる。また、制御部100は、タイミングセンサ102による検出時点を基準として算出した、第2のインクジェットヘッド106と対向する位置を印刷領域ARが通過するタイミングで第2のインクジェットヘッド106を動作させることで、第2の画像を印刷領域ARに形成することができる。なお、第2のインクジェットヘッド106を支持する支柱POは、第1方向に移動可能であってもよい。第2のインクジェットヘッド106を支持する支柱POは、第2方向に移動可能であってもよい。第2のインクジェットヘッド106を支持する支柱POは、モータ108によって第1方向又は第2方向に移動可能であってもよい。制御部100は、モータ108を制御して、第2のインクジェットヘッド106を支持する支柱POを第1方向又は第2の方向に移動するように制御することができる。
【0037】
サーマルヘッド107は、第1の画像の一部の領域に所定温度以上の温度の熱を加えることで、第3の画像を印刷領域ARに形成するヘッドである。サーマルヘッド107は、第1の画像に熱を加えることで、第3の画像を印刷領域ARに形成する第3の画像形成部の一例である。
【0038】
サーマルヘッド107は、
図1に実線の矢印で示すようにモータ108によって高さ方向に移動可能な状態で、支柱POに支持されている。サーマルヘッド107は、印刷対象物OBの搬送方向と垂直な方向つまり搬送方向側面側から、第3の画像を印刷領域ARに形成できるように、支柱POに支持される。制御部100は、画像センサ103を用いて特定した印刷領域ARのサイズ及び位置に基づいて、モータ108を制御して、サーマルヘッド107の高さ位置を印刷領域ARに合致するよう調整することができる。また、制御部100は、タイミングセンサ102による検出時点を基準として算出した、サーマルヘッド107と対向する位置を印刷領域ARが通過するタイミングでサーマルヘッド107を動作させることで、第3の画像を印刷領域ARに形成することができる。
【0039】
第1の画像形成工程、第2の画像形成工程及び第3の画像形成工程において、正確な動作を求めるのであれば、第1のインクジェットヘッド105、第2のインクジェットヘッド106及びサーマルヘッド107に対して印刷領域ARが正対していることを必要とする。
【0040】
そこで、第1の実施形態の印刷装置10は、搬送方向両側に搬送ベルトBEを挟んで、突き当て板BPと押圧板PPとを備える。突き当て板BPは、搬送ベルトBEに沿って延設される。押圧板PPは、
図1に一点鎖線の矢印で示すように、突き当て板BPに向けて移動する。この移動動作時に、搬送ベルトBEにより搬送されてくる印刷対象物OBに当接して、印刷対象物OBを突き当て板BPに向けて押圧し、印刷対象物OBの印刷面を突き当て板BPに突き当てさせる。これにより、印刷対象物OBの印刷面は、搬送方向と平行に揃えられ、この状態で搬送されていくこととなる。突き当て板BPの印刷対象物OBと当接する当接面は、この印刷対象物OBの搬送に影響を及ぼさないように、低摩擦の材質で形成される。印刷対象物OBの印刷面が突き当て板BPに突き当たったならば、押圧板PPは初期位置に待避される。印刷対象物OBの印刷面が突き当て板BPに突き当たったか否かは、例えば、反発力の変化として検出したり、カメラで撮影した画像から判断したりすることができる。
【0041】
なお、押圧板PPの動作タイミングは、例えば印刷対象物OBを搬送ベルトBE上に作業員が載置するのであれば、その作業員による動作指示に応じたタイミングとなる。また、ピックアップ機構により印刷対象物OBが載置される場合には、ピックアップ機構の載置動作を基準にして、制御部100がタイミング制御を行うことも可能である。
【0042】
図1の例では、突き当て板BPは、1枚板として構成しているが、連続する複数枚の板によって構成してもよい。突き当て板BPは、少なくとも、この押圧板PPの配置位置から第3の画像形成工程位置までに配置されればよい。
【0043】
図2は、印刷装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)111と、このCPU111にバス121を介して接続されたROM(Read-Only Memory)112、RAM(Random-Access Memory)113、ストレージ114、インタフェース115、センサ回路116、第1のヘッド駆動回路117、第2のヘッド駆動回路118、第3のヘッド駆動回路119及びモータ駆動回路120を備えている。なお、
図2では、「インタフェース」を「I/F」と略記している。
【0044】
CPU111は、印刷装置10全体の動作を制御する機能を有するプロセッサである。CPU111は、ROM112又はストレージ114が予め記憶するプログラムをRAM113に展開する。プログラムは、CPU111に種々の処理を実行させるためのプログラムである。CPU111は、RAM113に展開されたプログラムを実行することで、後述する各部を実現し、種々の処理を実行する。CPU111は、マルチコア及びマルチスレッドのものを用いることで、同時に複数の情報処理を実行することができる。なお、CPU111がプログラムを実行することにより実現する各部のうちの一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(field-Programmable Gate Array)及びGPU(Graphics Processing Unit)、等のハードウエア回路により実現されるものであっても良い。この場合、CPU111は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。CPU111は、処理回路の一例である。
【0045】
ROM112は、プログラム及び制御データ等が予め記憶された不揮発性のメモリである。
【0046】
RAM113は、揮発性のメモリである。RAM113は、CPU111の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM113は、プログラムの実行に必要なデータ及びプログラムの実行結果などを格納してもよい。例えば、RAM113は、第1の画像のデータ、第2の画像のデータ及び第3の画像のデータを一時的に格納する。
【0047】
ストレージ114は、EEPROM(登録商標)(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、等の補助記憶デバイスである。ストレージ114は、CPU111が各種の処理を行う上で使用するデータ及びCPU111での処理によって生成されるデータを不揮発に記憶する。例えば、ストレージ114は、第1の画像のデータ、第2の画像のデータ及び第3の画像のデータを記憶する。
【0048】
インタフェース115は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して外部装置とデータを送受信するためのインタフェースである。また、インタフェース115は、USBメモリやメモリカード等の取り外し可能なメモリ媒体との間でデータを読み書きするためのインタフェースであっても良い。
【0049】
センサ回路116は、タイミングセンサ102及び画像センサ103と接続され、それらからの信号またはデータを受信して、CPU111に伝達する。
【0050】
第1のヘッド駆動回路117は、CPU111から入力される、RAM113に一時的に格納された第1の画像のデータに基づいて、第1のインクジェットヘッド105を駆動する。
【0051】
第2のヘッド駆動回路118は、CPU111から入力される、RAM113に一時的に格納された第2の画像のデータに基づいて、第2のインクジェットヘッド106を駆動する。
【0052】
第3のヘッド駆動回路119は、CPU111から入力される、RAM113に一時的に格納された第3の画像のデータに基づいて、サーマルヘッド107を駆動する。
【0053】
モータ駆動回路120は、CPU111からの信号に従って、モータ108、ベルトモータ109及び押圧モータ110の駆動を制御する。モータ駆動回路120は、ヒータ104用のモータ108、第1のインクジェットヘッド105用のモータ108、第2のインクジェットヘッド106用のモータ108及びサーマルヘッド107用のモータ108を独立して制御することができる。モータ108は、駆動部の一例である。ベルトモータ109は、搬送ベルトBEを駆動するためのモータである。ベルトモータ109についても代表して一つのみを示しており、複数有ってよい。ベルトモータ109は、駆動部の一例である。押圧モータ110は、押圧板PPを移動動作させるモータである。
【0054】
なお、ユーザインタフェース101及びヒータ104も、バス121に接続され、CPU111により制御されることができる。なお、
図2では、「ユーザインタフェース」を「UI」と略記している。
【0055】
印刷装置10は、熱変色性インクカートリッジ122を備えている。熱変色性インクカートリッジ122は、第1のインクジェットヘッド105に供給する熱変色性インクを収容する。
【0056】
印刷装置10は、非熱変色性インクカートリッジ123を備えている。非熱変色性インクカートリッジ123は、第2のインクジェットヘッド106に供給する非熱変色性インクを収容する。非熱変色性インクカートリッジ123は、シアンインクを収容するインクカートリッジを含んでもよい。非熱変色性インクカートリッジ123は、マゼンタインクを収容するインクカートリッジを含んでもよい。非熱変色性インクカートリッジ123は、イエローインクを収容するインクカートリッジを含んでもよい。非熱変色性インクカートリッジ123は、ブラックインクを収容するインクカートリッジを含んでもよい。
【0057】
(動作例)
図3は、印刷装置10による画像形成処理の一例を示すフローチャートである。
ここでは、任意の一つの印刷対象物OBの印刷領域ARに対する画像形成処理について説明する。
なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
なお、印刷装置10が印刷領域ARを含む基材を再利用する場合、過去に印刷領域ARに形成された別の第2の画像は、シートで覆われているものとする。
【0058】
CPU111は、印刷領域ARを特定する(ACT1)。ACT1では、例えば、CPU111は、画像センサ103により撮影された印刷対象物OBの画像から印刷対象物OBのサイズを検出する。CPU111は、印刷対象物OBのサイズに基づいて、印刷対象物OBの印刷領域ARを特定する。なお、印刷対象物OBにラベルがある場合、CPU111は、画像センサ103により撮影された印刷対象物OBの画像からラベルのサイズを検出してもよい。CPU111は、ラベルのサイズに基づいて、ラベルの印刷領域ARを特定してもよい。
【0059】
CPU111は、第1の画像の形成前の印刷領域ARに所定温度以上の温度の熱を加えることで、印刷領域ARに形成された画像を消去するようにヒータ104を制御する(ACT2)。ACT2では、例えば、CPU111は、印刷対象物OBを第1の方向に搬送し、ヒータ104と対向する位置に印刷対象物OBを搬送するように搬送ベルトBEを制御する。CPU111は、ヒータ104と対向する位置を印刷領域ARが通過するタイミングでヒータ104を動作させるように制御する。ヒータ104は、CPU111の制御に基づいて、第1の画像の形成前の印刷領域ARに所定温度以上の温度の熱を加えることで、印刷領域ARに形成された別の第3の画像を消去する。印刷領域ARは、視認可能な画像を含まない状態である。ACT2の処理は、消去工程に対応する。
【0060】
CPU111は、熱変色性インクを用いて、第1の画像を印刷領域ARに形成するように第1のインクジェットヘッド105を制御する(ACT3)。ACT3では、例えば、CPU111は、印刷対象物OBを第1の方向に搬送し、ヒータ104と対向する位置から第1のインクジェットヘッド105と対向する位置に印刷対象物OBを搬送するように搬送ベルトBEを制御する。CPU111は、第1のインクジェットヘッド105と対向する位置を印刷領域ARが通過するタイミングで第1のインクジェットヘッド105を動作させるように制御する。第1のインクジェットヘッド105は、CPU111の制御に基づいて、熱変色性インクを用いて、第1の画像を印刷領域ARに形成する。例えば、第1のインクジェットヘッド105は、ヒータ104が印刷領域ARに所定温度以上の温度の熱を加えることで画像を消去した後の印刷領域ARに第1の画像を形成する。画像を消去した後は、画像の色を第1の色から第2の色に変えた後の一例である。なお、第1のインクジェットヘッド105は、熱変色性インクの吐出を複数回実行することで、第1の画像を複数回重ねて印刷領域ARに形成してもよい。ACT3の処理は、第1の画像形成工程に対応する。
【0061】
CPU111は、非熱変色性インクを用いて、第2の画像を印刷領域ARに形成するように第2のインクジェットヘッド106を制御する(ACT4)。ACT4では、例えば、CPU111は、印刷対象物OBを第1の方向に搬送し、第1のインクジェットヘッド105と対向する位置から第2のインクジェットヘッド106と対向する位置に印刷対象物OBを搬送するように搬送ベルトBEを制御する。CPU111は、第2のインクジェットヘッド106と対向する位置を印刷領域ARが通過するタイミングで第2のインクジェットヘッド106を動作させるように制御する。第2のインクジェットヘッド106は、CPU111の制御に基づいて、非熱変色性インクを用いて、第2の画像を印刷領域ARに形成する。なお、第2のインクジェットヘッド106は、非熱変色性インクの吐出を複数回実行することで、第2の画像を複数回重ねて印刷領域ARに形成してもよい。ACT4の処理は、第2の画像形成工程に対応する。
【0062】
CPU111は、第1の画像に所定温度以上の温度の熱を加えることで、第3の画像を印刷領域ARに形成するようにサーマルヘッド107を制御する(ACT5)。ACT5では、例えば、CPU111は、印刷対象物OBを第1の方向に搬送し、第2のインクジェットヘッド106と対向する位置からサーマルヘッド107と対向する位置に印刷対象物OBを搬送するように搬送ベルトBEを制御する。CPU111は、サーマルヘッド107と対向する位置を印刷領域ARが通過するタイミングでサーマルヘッド107を動作させるように制御する。サーマルヘッド107は、CPU111の制御に基づいて、第1の画像に所定温度以上の温度の熱を加えることで、第1の画像の一部の領域にオブジェクトを記録する。サーマルヘッド107は、第1の画像の一部の領域におけるオブジェクトの記録に基づいて、第3の画像を印刷領域ARに形成する。ACT5の処理は、第3の画像形成工程に対応する。第2の画像及び第3の画像を形成された印刷領域ARを含む印刷対象物OBは、印刷物ともいう。
【0063】
なお、印刷装置10が印刷領域ARを含む基材を再利用しない場合、ACT2の処理は、省略され得る。
【0064】
なお、ACT3の処理に対応する第1の画像形成工程、ACT4の処理に対応する第2の画像形成工程及びACT5の処理に対応する第3の画像形成工程の順番は、この順番に限定されない。印刷装置10は、ACT3の処理に対応する第1の画像形成工程、ACT5の処理に対応する第3の画像形成工程、ACT4の処理に対応する第2の画像形成工程の順番に処理してもよい。この例では、印刷装置10は、第1の方向に沿って、第1のインクジェットヘッド105、サーマルヘッド107及び第2のインクジェットヘッド106をこの順番で備える。印刷装置10は、ACT4の処理に対応する第2の画像形成工程、ACT3の処理に対応する第1の画像形成工程、ACT5の処理に対応する第3の画像形成工程の順番に処理してもよい。この例では、印刷装置10は、第1の方向に沿って、第2のインクジェットヘッド106、第1のインクジェットヘッド105及びサーマルヘッド107をこの順番で備える。
【0065】
図4は、印刷装置10による画像の形成例を示す図である。
図4の(a)は、第1の画像形成工程の前の印刷領域ARを示す。例えば、印刷領域ARは、基材に含まれる白色で無地の領域である。
【0066】
図4の(b)は、第1の画像形成工程の後の印刷領域ARを示す。第1の画像形成工程の後の印刷領域ARは、第1の画像形成工程において第1のインクジェットヘッド105により形成された第1の画像Iaを含む。第1の画像Iaは、第1の色の矩形の画像である。
【0067】
図4の(c)は、第2の画像形成工程の後の印刷領域ARを示す。第2の画像形成工程の後の印刷領域ARは、第1の画像Ia及び第2の画像形成工程において第2のインクジェットヘッド106により形成された第2の画像Ibを含む。第2の画像Ibは、コードシンボルを示す非熱変色性インクの色の画像である。
【0068】
図4の(d)は、第3の画像形成工程の後の印刷領域ARを示す。第3の画像形成工程の後の印刷領域ARは、第2の画像Ib及び第3の画像形成工程においてサーマルヘッド107により形成された第3の画像Icを含む。第3の画像Icは、第1の領域Ica及び第2の領域Icbを含む矩形の画像である。第1の領域Icaは、オブジェクトを示す第2の色の領域である。第2の領域Icbは、第1の画像Iaにおいてオブジェクトを記録する領域以外の領域に対応する領域である。そのため、第2の領域Icbは、第1の画像Iaと同様に、第1の色の領域である。第3の画像Icは、第1の領域Icaと第2の領域Icbの関係により、ネガ画像のように構成される。第1の領域Icaに示されるオブジェクトは、第3の画像Icにおいて、第2の領域Icbに対して浮かび上がるように見える。そのため、オブジェクトの視認性は高い。
【0069】
図5は、印刷装置10により形成されたオブジェクトの消去例を示す図である。
図5(a)は、第3の画像形成工程の後の印刷領域ARを示す。
図5(a)に示される印刷領域ARは、第2の画像Ib及び第3の画像Icを含む。
【0070】
図5(b)は、第2の画像Ib及び第3の画像Icを形成された印刷領域ARに所定温度以上の温度の熱を加えた後の印刷領域ARを示す。この場合、第3の画像Icにおける第1の領域Icaの熱変色性インクの色は、第2の色のままである。第3の画像Icにおける第2の領域Icbの熱変色性インクの色は、第1の色から第2の色に変わる。第3の画像Icの全体は、所定温度以上の温度の熱により、第2の色になる。
図5(b)に示される印刷領域ARでは、第3の画像Icは、消える。そのため、オブジェクトは、消去されるので、視認できなくなる。第2の画像Ibの色は、第2の画像Ibに所定温度以上の温度の熱を加えられても変化しない。
図5(b)に示される印刷領域ARでは、第2の画像Ibは、視認可能である。
【0071】
第1のインクジェットヘッド105は、画像を消去した後の印刷領域ARに対して、熱変色性インクを用いて新たな第1の画像を形成することができる。この例では、第1のインクジェットヘッド105は、第2の画像Ibを残した状態で、印刷領域ARに対して、熱変色性インクを用いて新たな第1の画像を形成することができる。そのため、印刷領域ARを含む基材は、コードシンボルを残した状態でオブジェクトを書き換えながら再利用可能である。なお、印刷領域ARを含む基材を再利用する場合、第2の画像Ibは、印刷領域ARにおいて、シートで覆われてもよい。この例では、第1のインクジェットヘッド105は、画像を消去した後の印刷領域ARに対して、熱変色性インクを用いて新たな第1の画像を形成することができる。第2のインクジェットヘッド106は、画像を消去した後の印刷領域ARに対して、非熱変色性インクを用いて新たな第2の画像を形成することができる。そのため、印刷領域ARを含む基材は、オブジェクト及びコードシンボルの両方を書き換えながら再利用可能である。
【0072】
図5(c)は、
図5(b)に示される印刷領域ARを熱変色性インクが第2の色から第1の色に遷移する温度以下で冷却した後の印刷領域ARを示す。
図5(c)に示される印刷領域ARには、熱変色性インクが第1の色で発色することで、第1の画像Iaが現れる。第1の画像Iaは、オブジェクトを含まない。オブジェクトは、消去されたままなので、視認できない。第2の画像Ibの色は、熱変色性インクが第2の色から第1の色に遷移する温度以下で冷却されても変化しない。そのため、
図5(c)に示される印刷領域ARには、第2の画像Ibも存在する。サーマルヘッド107は、
図5(c)に示される印刷領域ARに含まれる第1の画像Iaに所定温度以上の温度の熱を加えることで、新たな第3の画像を印刷領域ARに形成することができる。そのため、印刷領域ARを含む基材は、、コードシンボルを残した状態でオブジェクトを書き換えながら再利用可能である。
【0073】
なお、
図5(a)に示される第2の画像Ib及び第3の画像Icを含む印刷領域ARは、熱変色性インクが第2の色から第1の色に遷移する温度以下で冷却されてもよい。この場合、第3の画像Icにおける第1の領域Icaの熱変色性インクの色は、第2の色から第1の色に変わる。第3の画像Icにおける第2の領域Icbの熱変色性インクの色は、第1の色のままである。第2の画像Ibの色は、熱変色性インクが第2の色から第1の色に遷移する温度以下で冷却されても変化しない。そのため、印刷領域ARに含まれる画像は、
図5(a)に示す第2の画像Ib及び第3の画像Icから
図5(c)に示す第2の画像Ib及び第1の画像Iaに遷移する。
【0074】
(効果)
第1の実施形態に係る画像形成方法は、第1の画像形成部により、所定温度以上の温度で第1の色から第2の色に遷移する第1の熱変色性インクを用いて、前記第1の色の第1の画像を基材に形成することを含む。画像形成方法は、第2の画像形成部により、非熱変色性インクを用いて、情報を記録したコードシンボルを示す第2の画像を前記基材のうち前記第1の画像を形成された領域とは異なる領域に形成することを含む。画像形成方法は、第3の画像形成部により、前記第1の画像に前記所定温度以上の温度の熱を加えることで、前記情報に関するオブジェクトを示す第3の画像を前記基材に形成することを含む。
これにより、画像形成方法は、熱変色性インクを用いて視認可能に記したオブジェクトを変色させた場合にオブジェクトの視認性を低くすることが可能な第3の画像を基材に形成することができる。例えば、基材にオブジェクトのみを熱変色性インクで形成する場合、熱変色性インクはオブジェクトの領域のみに存在する。そのため、オブジェクトを消色させて消去したとしても、オブジェクトは、熱変色性インクの樹脂の光沢等で読み取られる可能性がある。これに対して、第3の画像では、熱変色性インクは、オブジェクトの領域以外の領域にも存在する。そのため、第3の画像の全体を消色させる場合、オブジェクトを消色させて消去したとしても、オブジェクトは、熱変色性インクの樹脂の光沢等で読み取られる可能性が低い。さらに、上述のようにオブジェクトが不要になった際に完全にオブジェクトを消去したとしても、コードシンボルは消えることなく残る。そのため、画像形成方法は、熱変色性インクを用いて基材に記録したオブジェクトを消去した後であっても、オブジェクトに関する情報を取得可能な画像を提供することができる。
【0075】
上述の第1の実施形態は、以下のように表されてもよい。
[1]第1の画像形成部により、所定温度以上の温度で第1の色から第2の色に遷移する第1の熱変色性インクを用いて、前記第1の色の第1の画像を基材に形成することと、
第2の画像形成部により、非熱変色性インクを用いて、情報を記録したコードシンボルを示す第2の画像を前記基材のうち前記第1の画像を形成された領域とは異なる領域に形成することと、
第3の画像形成部により、前記第1の画像に前記所定温度以上の温度の熱を加えることで、前記情報に関するオブジェクトを示す第3の画像を前記基材に形成することと、
を備える画像形成方法。
[2]所定温度以上の温度で第1の色から第2の色に遷移する第1の熱変色性インクを用いて、前記第1の色の第1の画像を基材に形成する第1の画像形成部と、
非熱変色性インクを用いて、情報を記録したコードシンボルを示す第2の画像を前記基材のうち前記第1の画像を形成された領域とは異なる領域に形成する第2の画像形成部と、
前記第1の画像に前記所定温度以上の温度の熱を加えることで、前記情報に関するオブジェクトを示す第3の画像を前記基材に形成する第3の画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【0076】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る印刷装置について図面を用いて説明する。なお、以下の第2の実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、以下の第2の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。第2の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
第2の実施形態は、性質の異なる第1の熱変色性インク及び第2の熱変色性インクを用いる実施形態である。
【0077】
(構成例)
図6は、印刷装置10の構成例について説明するための斜視図である。
印刷装置10は、第1の熱変色性インク及び第2の熱変色性インクを用いる装置である。第2の実施形態では、印刷装置10は、第1の実施形態の第1のインクジェットヘッド105及び第2のインクジェットヘッド106に代えて、第1のインクジェットヘッド124及び第2のインクジェットヘッド125を備える。
【0078】
第1の熱変色性インクは、第1の実施形態で説明した熱変色性インクはと同様に、温度に応じて、第1の色と第2の色との間で変化する性質を有するインクである。ここでは、第1の色が非消色状態の色であり、第2の色が消色状態の色である例について説明するが、これに限定されない。第1の色及び第2の色は、非消色状態の色であってもよい。第1の熱変色性インクは、第1の色から第2の色に遷移する温度以上の温度で第1の色から第2の色に遷移する性質を有するものとする。以下では、第1の色から第2の色に遷移する温度は、第1の温度というものとする。第1の熱変色性インクは、第2の色から第1の色に遷移する温度以下の温度で第2の色から第1の色に遷移する性質を有するものとする。
【0079】
第1の熱変色性インクは、ロイコ染料を内包したカプセル状樹脂の他に種々の添加剤、有機溶剤及び水を含有する。第1の熱変色性インクは、保湿剤、ぬれ剤、防腐剤、pH調整剤又は粘度調整剤等を必要に応じて添加剤として添加すればよい。第1の熱変色性インクの粒子径は500nm以上でもよいが、これに限定されない。
【0080】
第2の熱変色性インクは、温度に応じて、第3の色と第4の色との間で変化する性質を有するインクである。第4の色は、第3の色とは異なる色である。第3の色は、ある程度の濃度範囲に含まれる色を指してもよい。第4の色は、ある程度の濃度範囲に含まれる色を指してもよい。ここでは、第3の色が非消色状態の色であり、第4の色が消色状態の色である例について説明するが、これに限定されない。第3の色及び第4の色は、非消色状態の色であってもよい。この場合、第3の色は、第4の色よりも暗い色でもよい。第2の熱変色性インクは、第3の色から第4の色に遷移する温度以上の温度で第3の色から第4の色に遷移する性質を有するものとする。以下では、第3の色から第4の色に遷移する温度は、第2の温度というものとする。第2の熱変色性インクは、第4の色から第3の色に遷移する温度以下の温度で第4の色から第3の色に遷移する性質を有するものとする。
【0081】
第2の熱変色性インクは、ロイコ染料を内包したカプセル状樹脂の他に種々の添加剤、有機溶剤及び水を含有する。第2の熱変色性インクは、保湿剤、ぬれ剤、防腐剤、pH調整剤又は粘度調整剤等を必要に応じて添加剤として添加すればよい。第2の熱変色性インクの粒子径は500nm以上でもよいが、これに限定されない。
【0082】
印刷装置10は、印刷対象物OBが載置される搬送ベルトBEを備える。例えば、搬送ベルトBEは一定速度で移動動作し、載置された印刷対象物OBを、
図6に白抜き矢印で示すように印刷対象物OBの印刷領域ARに画像を形成するための複数の工程位置へ搬送させていく。
【0083】
複数の工程は、第1の画像形成工程、第2の画像形成工程及び第3の画像形成工程を含む。第1の画像形成工程は、第1の熱変色性インクを用いて、第1の画像を印刷領域ARに形成する工程である。第1の画像を印刷領域ARに形成することは、第1の画像を印刷領域ARに印刷することを含む。第1の画像は、印刷領域ARに収まるサイズの画像である。例えば、第1の画像は、ベタ塗の画像である。第1の画像は、印字率50%以上の画像でもよい。ここでは、第1の画像の色は、第1の色であるものとする。
【0084】
第2の画像形成工程は、第1の画像形成工程よりも後の工程である。第2の画像形成工程は、第2の熱変色性インクを用いて、第2の画像を印刷領域ARのうち第1の画像を形成された領域とは異なる領域に形成する工程である。第2の画像を印刷領域ARに形成することは、第2の画像を印刷領域ARに印刷することを含む。例えば、第2の画像は、ベタ塗の画像である。ここでは、第2の画像の色は、第3の色であるものとする。第2の画像は、第1の画像と隣接していてもよいし、第1の画像から離れていてもよい。
【0085】
第3の画像形成工程は、第2の画像形成工程よりも後の工程である。第3の画像形成工程は、第1の画像に第1の温度以上の温度の熱を加えることで、オブジェクトを示す第3の画像を印刷領域ARに形成する工程を含む。オブジェクトは、コードシンボルに記録した情報に関するものである。オブジェクトは、1つの記号でもよいし、複数の記号を含む記号群でもよい。記号は、文字、数字及び図形等を含む。記号又は記号群は、企業等のロゴを示すものでもよい。オブジェクトは、意匠の画像でもよい。例えば、オブジェクトは、個人情報等のセキュリティ情報であるが、これに限定されない。例えば、個人情報は、宛名等である。
【0086】
第3の画像は、第1の画像の一部の領域にオブジェクトを記録した画像である。第3の画像の一部の領域は、第1の画像の外縁内における一部の領域である。第1の画像の一部の領域にオブジェクトを記録することは、第1の画像の一部の領域にオブジェクトを形成することを含む。例えば、第3の画像形成工程は、第1の画像においてオブジェクトを記録する領域に第1の温度以上の温度の熱を加える。この例では、第3の画像は、第1の画像の外縁内において、第1の領域及び第1の領域以外の第2の領域を含む。第1の領域は、オブジェクトを示す領域である。第1の領域は、第1の画像においてオブジェクトを記録する領域に対応する領域である。第1の領域の色は、第2の領域の色とは異なる色である。第1の領域の色は、第2の色である。第2の領域は、第1の領域と隣接する。第2の領域は、第1の画像においてオブジェクトを記録する領域以外の領域に対応する領域である。例えば、第2の領域は、第1の画像と同様に、ベタ塗の領域である。第2の領域の色は、第1の色である。第2の領域は、第1の画像と同様に、印字率50%以上の領域でもよい。オブジェクトは、第3の画像において、浮かび上がるように見える。
【0087】
第3の画像形成工程は、第2の画像に第2の温度以上の温度の熱を加えることで、オブジェクトに関する情報を記録したコードシンボルを示す第4の画像を印刷領域ARに形成する工程を含む。例えば、第3の画像形成工程は、第2の画像の一部の領域に第2の温度以上の温度の熱を加える。コードシンボルは、バーコードシンボルのような一次元のコードシンボルでもよいし、QRコードのような二次元のコードシンボルでもよい。コードシンボルを構成する暗色部分は、第3の画像において第2の温度以上の温度の熱を加えられていない部分である。そのため、コードシンボルを構成する暗色部分の色は、第3の色である。コードシンボルを構成する明色部分は、第3の画像において第2の温度以上の温度の熱を加えられた部分である。そのため、コードシンボルを構成する明色部分の色は、第4の色である。
【0088】
複数の工程は、消去工程を含むことができる。消去工程は、第1の画像形成工程よりも前の工程である。消去工程は、第1の画像の形成前の印刷領域ARに第2の温度以上の温度の熱を加えることで、第1の熱変色性インクを用いて印刷領域ARに形成された画像及び第2の熱変色性インクを用いて印刷領域ARに形成された画像を消去する工程である。第1の熱変色性インクを用いて印刷領域ARに形成された画像の色は、消去工程により、第1の色から第2の色に変わる。第2の熱変色性インクを用いて印刷領域ARに形成された画像の色は、消去工程により、第3の色から第4の色に変わる。そのため、印刷領域ARへの繰り返しの画像形成が可能である。第1の熱変色性インクを用いて印刷領域ARに形成された画像を消去することは、第1の熱変色性インクを用いて形成された画像の色を第1の色から第2の色に変えることの一例である。例えば、第1の熱変色性インクを用いて印刷領域ARに形成された画像は、過去に印刷領域ARに形成された別の第3の画像である。第2の熱変色性インクを用いて印刷領域ARに形成された画像を消去することは、第2の熱変色性インクを用いて形成された画像の色を第3の色から第4の色に変えることの一例である。例えば、第2の熱変色性インクを用いて印刷領域ARに形成された画像は、過去に印刷領域ARに形成された別の第4の画像である。
【0089】
タイミングセンサ102、画像センサ103、消去工程位置に配置されるヒータ104、第1の画像形成工程位置に配置される第1のインクジェットヘッド124、第2の画像形成工程位置に配置される第2のインクジェットヘッド125、第3の画像形成工程位置に配置されるサーマルヘッド107及びユーザインタフェース101は、第1の方向に沿って、この順番に配置されている。言い換えれば、消去工程位置、第1の画像形成工程位置、第2の画像形成工程及び第3の画像形成工程位置は、第1の方向に沿って、この順番に配置される。
【0090】
ヒータ104は、熱変色性インクを用いて印刷領域ARに形成された画像を消去し得る熱を印刷領域ARに照射する熱変色性インク消去用熱源である。ヒータ104は、第1の実施形態と同様に、
図6に実線の矢印で示すようにモータ108によって高さ方向に移動可能な状態で、支柱POに支持されている。
【0091】
第1のインクジェットヘッド124は、第1の熱変色性インクを吐出することで印刷領域ARに第1の画像を形成するヘッドである。第1のインクジェットヘッド124は、第1の熱変色性インクを用いて第1の画像を印刷領域ARに形成する第1の画像形成部の一例である。
【0092】
第1のインクジェットヘッド124は、第1の実施形態の第1のインクジェットヘッド105と同様に、
図6に実線の矢印で示すようにモータ108によって高さ方向に移動可能な状態で、支柱POに支持されている。なお、第1のインクジェットヘッド124を支持する支柱POは、第1方向に移動可能であってもよい。第1のインクジェットヘッド124を支持する支柱POは、第2方向に移動可能であってもよい。
【0093】
第2のインクジェットヘッド125は、第2の熱変色性インクを吐出することで印刷領域ARに第2の画像を形成するヘッドである。第2のインクジェットヘッド125は、第2の熱変色性インクを用いて第2の画像を印刷領域ARに形成する第2の画像形成部の一例である。
【0094】
第2のインクジェットヘッド125は、第1の実施形態の第2のインクジェットヘッド106と同様に、
図6に実線の矢印で示すようにモータ108によって高さ方向に移動可能な状態で、支柱POに支持されている。なお、第2のインクジェットヘッド125を支持する支柱POは、第1方向に移動可能であってもよい。第2のインクジェットヘッド125を支持する支柱POは、第2方向に移動可能であってもよい。
【0095】
サーマルヘッド107は、第1の画像の一部の領域に第1の温度以上の温度の熱を加えることで、第3の画像を印刷領域ARに形成するヘッドである。サーマルヘッド107は、第2の画像の一部の領域に第2の温度以上の温度の熱を加えることで、第4の画像を印刷領域ARに形成するヘッドである。サーマルヘッド107は、第3の画像及び第4の画像を印刷領域ARに形成する第3の画像形成部の一例である。
【0096】
サーマルヘッド107は、第1の実施形態と同様に、
図6に実線の矢印で示すようにモータ108によって高さ方向に移動可能な状態で、支柱POに支持されている。
【0097】
図2は、印刷装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
例えば、RAM113は、第1の画像のデータ、第2の画像のデータ、第3の画像のデータ及び第4の画像のデータを一時的に格納する。
【0098】
例えば、ストレージ114は、第1の画像のデータ、第2の画像のデータ、第3の画像のデータ及び第4の画像のデータを記憶する。
【0099】
第1のヘッド駆動回路117は、CPU111から入力される、RAM113に一時的に格納された第1の画像のデータに基づいて、第1のインクジェットヘッド124を駆動する。
【0100】
第2のヘッド駆動回路118は、CPU111から入力される、RAM113に一時的に格納された第2の画像のデータに基づいて、第2のインクジェットヘッド125を駆動する。
【0101】
第3のヘッド駆動回路119は、CPU111から入力される、RAM113に一時的に格納された第3の画像のデータに基づいて、サーマルヘッド107を駆動する。第3のヘッド駆動回路119は、CPU111から入力される、RAM113に一時的に格納された第4の画像のデータに基づいて、サーマルヘッド107を駆動する。
【0102】
モータ駆動回路120は、ヒータ104用のモータ108、第1のインクジェットヘッド124用のモータ108、第2のインクジェットヘッド125用のモータ108及びサーマルヘッド107用のモータ108を独立して制御することができる。
【0103】
印刷装置10は、第1の熱変色性インクカートリッジ126を備えている。第1の熱変色性インクカートリッジ126は、第1のインクジェットヘッド124に供給する第1の熱変色性インクを収容する。
【0104】
印刷装置10は、第2の熱変色性インクカートリッジ127を備えている。第2の熱変色性インクカートリッジ127は、第2のインクジェットヘッド125に供給する第2の熱変色性インクを収容する。
【0105】
(動作例)
図8は、印刷装置10による画像形成処理の一例を示すフローチャートである。
ここでは、任意の一つの印刷対象物OBの印刷領域ARに対する画像形成処理について説明する。
なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0106】
CPU111は、印刷領域ARを特定する(ACT11)。ACT11では、例えば、CPU111は、画像センサ103により撮影された印刷対象物OBの画像から印刷対象物OBのサイズを検出する。CPU111は、印刷対象物OBのサイズに基づいて、印刷対象物OBの印刷領域ARを特定する。なお、印刷対象物OBにラベルがある場合、CPU111は、画像センサ103により撮影された印刷対象物OBの画像からラベルのサイズを検出してもよい。CPU111は、ラベルのサイズに基づいて、ラベルの印刷領域ARを特定してもよい。
【0107】
CPU111は、第1の画像の形成前の印刷領域ARに第2の温度以上の温度の熱を加えることで、印刷領域ARに形成された画像を消去するようにヒータ104を制御する(ACT12)。ACT12では、例えば、CPU111は、印刷対象物OBを第1の方向に搬送し、ヒータ104と対向する位置に印刷対象物OBを搬送するように搬送ベルトBEを制御する。CPU111は、ヒータ104と対向する位置を印刷領域ARが通過するタイミングでヒータ104を動作させるように制御する。ヒータ104は、CPU111の制御に基づいて、第1の画像の形成前の印刷領域ARに第2の温度以上の温度の熱を加えることで、印刷領域ARに形成された別の第3の画像及び別の第4の画像を消去する。印刷領域ARは、視認可能な画像を含まない状態である。ACT12の処理は、消去工程に対応する。
【0108】
CPU111は、第1の熱変色性インクを用いて、第1の画像を印刷領域ARに形成するように第1のインクジェットヘッド124を制御する(ACT13)。ACT13では、例えば、CPU111は、印刷対象物OBを第1の方向に搬送し、ヒータ104と対向する位置から第1のインクジェットヘッド105と対向する位置に印刷対象物OBを搬送するように搬送ベルトBEを制御する。CPU111は、第1のインクジェットヘッド124と対向する位置を印刷領域ARが通過するタイミングで第1のインクジェットヘッド124を動作させるように制御する。第1のインクジェットヘッド124は、CPU111の制御に基づいて、第1の熱変色性インクを用いて、第1の画像を印刷領域ARに形成する。例えば、第1のインクジェットヘッド124は、ヒータ104が印刷領域ARに第2の温度以上の温度の熱を加えることで別の第3の画像を消去した後の印刷領域ARに第1の画像を形成する。別の第3の画像を消去した後は、別の第3の画像の色を第1の色から第2の色に変えた後の一例である。なお、第1のインクジェットヘッド124は、第1の熱変色性インクの吐出を複数回実行することで、第1の画像を複数回重ねて印刷領域ARに形成してもよい。ACT13の処理は、第1の画像形成工程に対応する。
【0109】
CPU111は、第2の熱変色性インクを用いて、第2の画像を印刷領域ARに形成するように第2のインクジェットヘッド125を制御する(ACT14)。ACT14では、例えば、CPU111は、印刷対象物OBを第1の方向に搬送し、第1のインクジェットヘッド124と対向する位置から第2のインクジェットヘッド125と対向する位置に印刷対象物OBを搬送するように搬送ベルトBEを制御する。CPU111は、第2のインクジェットヘッド125と対向する位置を印刷領域ARが通過するタイミングで第2のインクジェットヘッド125を動作させるように制御する。第2のインクジェットヘッド125は、CPU111の制御に基づいて、第2の熱変色性インクを用いて、第2の画像を印刷領域ARに形成する。例えば、第2のインクジェットヘッド125は、ヒータ104が印刷領域ARに第2の温度以上の温度の熱を加えることで別の第4の画像を消去した後の印刷領域ARに第2の画像を形成する。別の第4の画像を消去した後は、別の第4の画像の色を第1の色から第2の色に変えた後の一例である。なお、第2のインクジェットヘッド125は、第2の熱変色性インクの吐出を複数回実行することで、第2の画像を複数回重ねて印刷領域ARに形成してもよい。ACT14の処理は、第2の画像形成工程に対応する。
【0110】
CPU111は、印刷領域ARに熱を加えることで、第3の画像及び第4の画像を印刷領域ARに形成するようにサーマルヘッド107を制御する(ACT15)。ACT15では、例えば、CPU111は、印刷対象物OBを第1の方向に搬送し、第2のインクジェットヘッド125と対向する位置からサーマルヘッド107と対向する位置に印刷対象物OBを搬送するように搬送ベルトBEを制御する。CPU111は、サーマルヘッド107と対向する位置を印刷領域ARが通過するタイミングでサーマルヘッド107を動作させるように制御する。サーマルヘッド107は、CPU111の制御に基づいて、第1の画像に第1の温度以上の温度の熱を加えることで、第1の画像の一部の領域にオブジェクトを記録する。サーマルヘッド107は、第1の温度以上の温度として、第1の画像に第2の温度以上の温度の熱を加えることができる。サーマルヘッド107は、第1の画像の一部の領域におけるオブジェクトの記録に基づいて、第3の画像を印刷領域ARに形成する。サーマルヘッド107は、CPU111の制御に基づいて、第2の画像に第2の温度以上の温度の熱を加えることで、第2の画像にバーコードシンボルを記録する。サーマルヘッド107は、第2の画像におけるバーコードシンボルの記録に基づいて、第4の画像を印刷領域ARに形成する。ACT15の処理は、第3の画像形成工程に対応する。第3の画像及び第4の画像を形成された印刷領域ARを含む印刷対象物OBは、印刷物ともいう。
【0111】
なお、印刷装置10が印刷領域ARを含む基材を再利用しない場合、ACT12の処理は、省略され得る。
【0112】
なお、ACT13の処理に対応する第1の画像形成工程、ACT14の処理に対応する第2の画像形成工程及びACT15の処理に対応する第3の画像形成工程の順番は、この順番に限定されない。印刷装置10は、ACT14の処理に対応する第2の画像形成工程、ACT13の処理に対応する第1の画像形成工程、ACT15の処理に対応する第3の画像形成工程の順番に処理してもよい。この例では、印刷装置10は、第1の方向に沿って、第2のインクジェットヘッド125、第1のインクジェットヘッド124及びサーマルヘッド107をこの順番で備える。
【0113】
図9は、印刷装置10による画像の形成例を示す図である。
図9の(a)は、第1の画像形成工程の前の印刷領域ARを示す。例えば、印刷領域ARは、基材に含まれる白色で無地の領域である。
【0114】
図9の(b)は、第1の画像形成工程の後の印刷領域ARを示す。第1の画像形成工程の後の印刷領域ARは、第1の画像形成工程において第1のインクジェットヘッド124により形成された第1の画像Idを含む。第1の画像Idは、第1の色の矩形の画像である。
【0115】
図9の(c)は、第2の画像形成工程の後の印刷領域ARを示す。第2の画像形成工程の後の印刷領域ARは、第1の画像Id及び第2の画像形成工程において第2のインクジェットヘッド125により形成された第2の画像Ieを含む。第2の画像Ieは、印刷領域ARのうち第1の画像Idを形成された領域とは異なる領域に形成された画像である。第2の画像Ieは、第3の色の矩形の画像である。
【0116】
図9の(d)は、第3の画像形成工程の後の印刷領域ARを示す。第3の画像形成工程の後の印刷領域ARは、第3の画像形成工程においてサーマルヘッド107により形成された第3の画像If及び第4の画像Igを含む。第3の画像Ifは、第1の領域Ifa及び第2の領域Ifbを含む矩形の画像である。第1の領域Ifaは、オブジェクトを示す第2の色の領域である。第2の領域Ifbは、第1の画像Idにおいてオブジェクトを記録する領域以外の領域に対応する領域である。そのため、第2の領域Ifbは、第1の画像Idと同様に、第1の色の領域である。第3の画像Ifは、第1の領域Ifaと第2の領域Ifbの関係により、ネガ画像のように構成される。第1の領域Ifaに示されるオブジェクトは、第3の画像Ifにおいて、第2の領域Ifbに対して浮かび上がるように見える。そのため、オブジェクトの視認性は高い。第4の画像Igは、オブジェクトに関する情報を記録したコードシンボルを示す画像である。コードシンボルを構成する暗色部分の色は、第3の色である。コードシンボルを構成する明色部分の色は、第4の色である。
【0117】
図10は、印刷装置10により形成されたオブジェクトの消去例を示す図である。
図10(a)は、第3の画像形成工程の後の印刷領域ARを示す。
図10(a)に示される印刷領域ARは、第3の画像If及び第4の画像Igを含む。
【0118】
図10(b)は、第3の画像If及び第4の画像Igを形成された印刷領域ARに第2の温度以上の温度の熱を加えた後の印刷領域ARを示す。この場合、第3の画像Ifにおける第1の領域Ifaの熱変色性インクの色は、第2の色のままである。第3の画像Ifにおける第2の領域Ifbの熱変色性インクの色は、第1の色から第2の色に変わる。第3の画像Ifの全体は、第1の温度よりも高い第2の温度以上の温度の熱により、第2の色になる。
図10(b)に示される印刷領域ARでは、第3の画像Ifは、消える。そのため、オブジェクトは、消去されるので、視認できなくなる。第4の画像Igにおいてコードシンボルを構成する明色部分の色は、第4の色のままである。第4の画像Igにおいてコードシンボルを構成する暗色部分の色は、第3の色から第4の色に変わる。そのため、第4の画像Igの全体は、第2の温度以上の温度の熱により、第4の色になる。
図10(b)に示される印刷領域ARでは、第4の画像Igは、消える。そのため、コードシンボルは、消去されるので、視認できなくなる。
【0119】
第1のインクジェットヘッド124は、第3の画像Ifを消去した後の印刷領域ARに対して、第1の熱変色性インクを用いて新たな第1の画像を形成することができる。第2のインクジェットヘッド125は、第4の画像Igを消去した後の印刷領域ARに対して、第2の熱変色性インクを用いて新たな第2の画像を形成することができる。そのため、印刷領域ARを含む基材は、オブジェクト及びコードシンボルの両方を書き換えながら再利用可能である。
【0120】
図10(c)は、
図10(b)に示される印刷領域ARを冷却した後の印刷領域ARを示す。冷却温度は、第1の熱変色性インクが第2の色から第1の色に遷移する温度以下、かつ、第2の熱変色性インクが第4の色から第3の色に遷移する温度以下の温度である。
図10(c)に示される印刷領域ARには、第1の熱変色性インクが第1の色で発色することで、第1の画像Idが現れる。第1の画像Idは、オブジェクトを含まない。オブジェクトは、消去されたままなので、視認できない。
図10(c)に示される印刷領域ARには、第2の熱変色性インクが第3の色で発色することで、第2の画像Ieが現れる。第2の画像Ieは、コードシンボルを含まない。コードシンボルは、消去されたままなので、視認できない。サーマルヘッド107は、
図10(c)に示される印刷領域ARに含まれる第1の画像Idに第1の温度以上の温度の熱を加えることで、新たな第3の画像を印刷領域ARに形成することができる。サーマルヘッド107は、
図10(c)に示される印刷領域ARに含まれる第2の画像Ieに第2の温度以上の温度の熱を加えることで、新たな第4の画像を印刷領域ARに形成することができる。そのため、印刷領域ARを含む基材は、オブジェクト及びコードシンボルの両方を書き換えながら再利用可能である。
【0121】
なお、
図10(a)に示される第3の画像If及び第4の画像Igを含む印刷領域ARは、第1の熱変色性インクが第2の色から第1の色に遷移する温度以下、かつ、第2の熱変色性インクが第4の色から第3の色に遷移する温度以下の温度で冷却されてもよい。この場合、第3の画像Ifにおける第1の領域Ifaの熱変色性インクの色は、第2の色から第1の色に変わる。第3の画像Ifにおける第2の領域Ifbの熱変色性インクの色は、第1の色のままである。第4の画像Igにおいてコードシンボルを構成する明色部分の色は、第4の色から第3の色に変わる。第4の画像Igにおいてコードシンボルを構成する暗色部分の色は、第3の色のままである。そのため、印刷領域ARに含まれる画像は、
図10(a)に示す第3の画像If及び第4の画像Igから
図10(c)に示す第1の画像Id及び第2の画像Ieに遷移する。
【0122】
図11は、印刷装置10により形成されたオブジェクトの消去例を示す図である。
図11(a)は、第3の画像形成工程の後の印刷領域ARを示す。
図11(a)に示される印刷領域ARは、第3の画像If及び第4の画像Igを含む。
【0123】
図11(b)は、第3の画像If及び第4の画像Igを形成された印刷領域ARに第1の温度以上かつ第2の温度未満の温度の熱を加えた後の印刷領域ARを示す。この場合、第3の画像Ifにおける第1の領域Ifaの熱変色性インクの色は、第2の色のままである。第3の画像Ifにおける第2の領域Ifbの熱変色性インクの色は、第1の色から第2の色に変わる。第3の画像Ifの全体は、第1の温度以上の温度の熱により、第2の色になる。
図11(b)に示される印刷領域ARでは、第3の画像Ifは、消える。そのため、オブジェクトは、消去されるので、視認できなくなる。第4の画像Igの色は、第4の画像Igに第1の温度以上かつ第2の温度未満の温度の熱を加えられても変化しない。第4の画像Igにおいてコードシンボルを構成する明色部分の色は、第4の色のままである。第4の画像Igにおいてコードシンボルを構成する暗色部分の色は、第3の色のままである。
図11(b)に示される印刷領域ARでは、第4の画像Igは、視認可能である。このように、印刷領域ARは、オブジェクトを消去しつつ、コードシンボルのみを残すことが可能である。
【0124】
第1のインクジェットヘッド124は、第3の画像Ifを消去した後の印刷領域ARに対して、第1の熱変色性インクを用いて新たな第1の画像を形成することができる。この例では、第1のインクジェットヘッド124は、第2の画像Igを残した状態で、印刷領域ARに対して、第1の熱変色性インクを用いて新たな第1の画像を形成することができる。そのため、印刷領域ARを含む基材は、コードシンボルを残した状態でオブジェクトを書き換えながら再利用可能である。
【0125】
図11(c)は、
図11(b)に示される印刷領域ARを冷却した後の印刷領域ARを示す。冷却温度は、第1の熱変色性インクが第2の色から第1の色に遷移する温度以下、かつ、第2の熱変色性インクが第4の色から第3の色に遷移する温度以下の温度である。
図11(c)に示される印刷領域ARには、第1の熱変色性インクが第1の色で発色することで、第1の画像Idが現れる。第1の画像Idは、オブジェクトを含まない。オブジェクトは、消去されたままなので、視認できない。第4の画像Igにおいてコードシンボルを構成する明色部分の色は、第4の色から第3の色に変わる。第4の画像Igにおいてコードシンボルを構成する暗色部分の色は、第3の色のままである。
図11(c)に示される印刷領域ARには、第2の熱変色性インクが第3の色で発色することで、第2の画像Ieが現れる。第2の画像Ieは、コードシンボルを含まない。コードシンボルは、消去されたままなので、視認できない。サーマルヘッド107は、
図11(c)に示される印刷領域ARに含まれる第1の画像Idに第1の温度以上の温度の熱を加えることで、新たな第3の画像を印刷領域ARに形成することができる。サーマルヘッド107は、
図11(c)に示される印刷領域ARに含まれる第2の画像Ieに第2の温度以上の温度の熱を加えることで、新たな第4の画像を印刷領域ARに形成することができる。そのため、印刷領域ARを含む基材は、オブジェクト及びコードシンボルの両方を書き換えながら再利用可能である。
(効果)
第2の実施形態に係る画像形成方法は、第1の画像形成部により、第1の温度以上の温度で第1の色から第2の色に遷移する第1の熱変色性インクを用いて、第1の色の第1の画像を基材に形成することを含む。画像形成方法は、第2の画像形成部により、第1の温度よりも高い第2の温度以上の温度で第3の色から第4の色に遷移する第2の熱変色性インクを用いて、第3の色の第2の画像を基材のうち第1の画像を形成された領域とは異なる領域に形成することを含む。画像形成方法は、第3の画像形成部により、第1の画像に第1の温度以上の温度の熱を加えることで、オブジェクトを示す第3の画像を基材に形成することを含む。画像形成方法は、第3の画像形成部により、第2の画像に第2の温度以上の温度の熱を加えることで、オブジェクトに関する情報を記録したコードシンボルを示す第4の画像を基材に形成することを含む。
これにより、画像形成方法は、第1の熱変色性インクを用いて視認可能に記したオブジェクトを変色させた場合にオブジェクトの視認性を低くすることが可能な第3の画像を基材に形成することができる。例えば、基材にオブジェクトのみを第1の熱変色性インクで形成する場合、第1の熱変色性インクはオブジェクトの領域のみに存在する。そのため、オブジェクトを消色させて消去したとしても、オブジェクトは、第1の熱変色性インクの樹脂の光沢等で読み取られる可能性がある。これに対して、第3の画像では、第1の熱変色性インクは、オブジェクトの領域以外の領域にも存在する。そのため、第3の画像の全体を消色させる場合、オブジェクトを消色させて消去したとしても、オブジェクトは、第1の熱変色性インクの樹脂の光沢等で読み取られる可能性が低い。さらに、印刷領域に第1の温度以上かつ第2の温度未満の温度の熱を加えることで、上述のようにオブジェクトが不要になった際に完全にオブジェクトを消去したとしても、コードシンボルは消えることなく残る。そのため、画像形成方法は、熱変色性インクを用いて基材に記録したオブジェクトを消去した後であっても、オブジェクトに関する情報を取得可能な画像を提供することができる。
【0126】
画像形成方法は、第1の画像に第1の温度よりも高い第2の温度以上の熱を加えることを含む。
これにより、画像形成方法は、第3の画像を形成するために第1の画像に加える熱の温度と、第4の画像を形成するために第2の画像に加えるための温度を共通化することができる。そのため、画像形成方法は、印刷領域を異なる温度の熱を加える設備を用いる必要がなく、印刷領域に異なる温度の熱を加える複数の工程を行う必要もない。したがって、画像形成方法は、印刷領域に第3の画像及び第4の画像を形成するための処理を簡略化することができる。
【0127】
上述の第2の実施形態は、以下のように表されてもよい。
[1]第1の画像形成部により、第1の温度以上の温度で第1の色から第2の色に遷移する第1の熱変色性インクを用いて、前記第1の色の第1の画像を基材に形成することと、
第2の画像形成部により、前記第1の温度よりも高い第2の温度以上の温度で第3の色から第4の色に遷移する第2の熱変色性インクを用いて、前記第3の色の第2の画像を前記基材のうち前記第1の画像を形成された領域とは異なる領域に形成することと、
第3の画像形成部により、前記第1の画像に前記第1の温度以上の温度の熱を加えることで、オブジェクトを示す第3の画像を前記基材に形成することと、
前記第3の画像形成部により、前記第2の画像に前記第2の温度以上の温度の熱を加えることで、前記オブジェクトに関する情報を記録したコードシンボルを示す第4の画像を前記基材に形成することと、
を備える画像形成方法。
【0128】
[2]前記第3の画像を前記基材に形成することは、前記第1の画像に前記第1の温度よりも高い前記第2の温度以上の熱を加えることを含む、[1]に記載の画像形成方法。
【0129】
(他の実施形態)
上述の第1の実施形態では、第3の画像形成工程が第1の画像においてオブジェクトを記録する領域に所定温度以上の温度の熱を加える例について説明したが、これに限定されない。第3の画像形成工程は、第1の画像においてオブジェクトを記録する領域以外の領域に所定温度以上の温度の熱を加えてもよい。この例では、第3の画像は、第1の画像の外縁内において、オブジェクトを示す領域及びオブジェクト以外の領域を含む。オブジェクトを示す領域の色は、第1の色である。オブジェクト以外の領域の色は、第2の色である。
【0130】
上述の第2の実施形態では、第3の画像形成工程が第1の画像においてオブジェクトを記録する領域に第1の温度以上の温度の熱を加える例について説明したが、これに限定されない。第3の画像形成工程は、第1の画像においてオブジェクトを記録する領域以外の領域に第1の温度以上の温度の熱を加えてもよい。この例では、第3の画像は、第1の画像の外縁内において、オブジェクトを示す領域及びオブジェクト以外の領域を含む。オブジェクトを示す領域の色は、第1の色である。オブジェクト以外の領域の色は、第2の色である。
【0131】
上述の第1の実施形態では、第1のインクジェットヘッド105を第1の画像形成部の一例として説明したが、これに限定されない。第1の画像形成部は、熱変色性インクを用いて第1の画像を印刷領域ARに形成するコーター又はスクリーン印刷等で構成されてもよい。第1の画像を印刷領域ARに形成することは、インクの吐出により第1の画像を印刷領域ARに形成することだけでなく、塗布により第1の画像を印刷領域ARに形成することを含む。上述の第1の実施形態では、第2のインクジェットヘッド106を第2の画像形成部の一例として説明したが、これに限定されない。第2の画像形成部は、非熱変色性インクを用いて第2の画像を印刷領域ARに形成するコーター又はスクリーン印刷等で構成されてもよい。第2の画像を印刷領域ARに形成することは、インクの吐出により第2の画像を印刷領域ARに形成することだけでなく、塗布により第1の画像を印刷領域ARに形成することを含む。
【0132】
上述の第2の実施形態では、第1のインクジェットヘッド124を第1の画像形成部の一例として説明したが、これに限定されない。第1の画像形成部は、第1の熱変色性インクを用いて第1の画像を印刷領域ARに形成するコーター又はスクリーン印刷等で構成されてもよい。第1の画像を印刷領域ARに形成することは、インクの吐出により第1の画像を印刷領域ARに形成することだけでなく、塗布により第1の画像を印刷領域ARに形成することを含む。上述の第2の実施形態では、第2のインクジェットヘッド125を第2の画像形成部の一例として説明したが、これに限定されない。第2の画像形成部は、第2の熱変色性インクを用いて第2の画像を印刷領域ARに形成するコーター又はスクリーン印刷等で構成されてもよい。第2の画像を印刷領域ARに形成することは、インクの吐出により第2の画像を印刷領域ARに形成することだけでなく、塗布により第1の画像を印刷領域ARに形成することを含む。
【0133】
上述の第1の実施形態では、第2の画像がコードシンボルを示す例について説明したが、これに限定されない。第2の画像は、オブジェクトを示してもよい。この例では、第3の画像が示すオブジェクトを第1のオブジェクトとし、第2の画像が示すオブジェクトを第2のオブジェクトとしてもよい。第2の画像は、第2のオブジェクトを示す領域及び第2のオブジェクトを示す領域以外の領域を含む。第2のオブジェクトを示す領域が非熱変色性インクで形成されてもよいし、第2のオブジェクトを示す領域以外の領域が非熱変色性インクで形成されてもよい。
【0134】
上述の第2の実施形態では、第4の画像がコードシンボルを示す例について説明したが、これに限定されない。第4の画像は、オブジェクトを示してもよい。この例では、第3の画像が示すオブジェクトを第1のオブジェクトとし、第4の画像が示すオブジェクトを第2のオブジェクトとしてもよい。第4の画像は、第2のオブジェクトを示す領域及び第2のオブジェクトを示す領域以外の領域を含む。第2のオブジェクトを示す領域が第2の色である場合、第2のオブジェクトを示す領域以外の領域の色は第1の色である。第2のオブジェクトを示す領域が第1の色である場合、第2のオブジェクトを示す領域以外の領域の色は第2の色である。
【0135】
上述の第2の実施形態では、印刷装置が1つのサーマルヘッドを用いる例について説明したが、これに限定されない。印刷装置は、2つのサーマルヘッドを用いてもよい。一方のサーマルヘッドは、第1の画像に第1の温度以上の温度の熱を加えてもよい。他方のサーマルヘッドは、第2の画像に第2の温度以上の温度の熱を加えてもよい。
【0136】
上述の実施形態では、コードシンボルに記録した情報は、オブジェクトで示される情報に関連している例について説明したが、これに限定されない。コードシンボルに記録した情報は、オブジェクトで示される情報と関連性がなくてもよい。
【0137】
上述の実施形態では、インクを例にして説明したが、これに限定されない。インクに代えて、トナーといったインクとは異なる色材を用いてもよい。
【0138】
上述の実施形態では、段ボール等の箱又は箱に貼付されているラベルを基材の一例として説明したが、これに限定されない。基材は、紙等のシートでもよい。この例では、画像形成装置は、筐体に収容された1つの装置で構成されていてもよい。
【0139】
画像形成装置は、各機能を実現する1つの装置でもよいし、各機能を分散させた複数の装置で構成されてもよい。後者の場合、画像形成装置は、画像形成システムの意図を含む。
【0140】
上述の実施形態は、装置だけでなく、装置が実行する方法に適用されてもよい。上述の実施形態は、装置のコンピュータに各機能を実行させることが可能なプログラムに適用されてもよい。
【0141】
プログラムは、実施形態に係る電子機器に記憶された状態で譲渡されてよいし、電子機器に記憶されていない状態で譲渡されてもよい。後者の場合は、プログラムは、ネットワークを介して譲渡されてよいし、記録媒体に記録された状態で譲渡されてもよい。記録媒体は、非一時的な有形の媒体である。記録媒体は、コンピュータ可読媒体である。記録媒体は、CD-ROM、メモリカード等のプログラムを記憶可能かつコンピュータで読取可能な媒体であればよく、その形態は問わない。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0143】
10…印刷装置、100…制御部、101…ユーザインタフェース、102…タイミングセンサ、103…画像センサ、104…ヒータ、105…第1のインクジェットヘッド、106…第2のインクジェットヘッド、107…サーマルヘッド、108…モータ、109…ベルトモータ、110…押圧モータ、111…CPU、112…ROM、113…RAM、114…ストレージ、115…インタフェース、116…センサ回路、117…第1のヘッド駆動回路、118…第2のヘッド駆動回路、119…第3のヘッド駆動回路、120…モータ駆動回路、121…バス、122…熱変色性インクカートリッジ、123…非熱変色性インクカートリッジ、124…第1のインクジェットヘッド、125…第2のインクジェットヘッド、126…第1の熱変色性インクカートリッジ、127…第2の熱変色性インクカートリッジ、AR…印刷領域、BE…搬送ベルト、BP…突き当て板、Ia…第1の画像、Ib…第2の画像、Ic…第3の画像、Ica…第1の領域、Icb…第2の領域、Id…第1の画像、Ie…第2の画像、If…第3の画像、Ifa…第1の領域、Ifb…第2の領域、Ig…第4の画像、OB…印刷対象物、PO…支柱、PP…押圧板。