(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123356
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】背面接触電池の電極構造、電池、モジュール及び電池システム
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
H01L31/04 262
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005695
(22)【出願日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】202210168681.7
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517309423
【氏名又は名称】広東愛旭科技有限公司
【住所又は居所原語表記】No.3, South Qili Avenue, Leping Town, Sanshui District, Foshan, Guangdong, 528000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】王永謙
(72)【発明者】
【氏名】楊新強
(72)【発明者】
【氏名】陳剛
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151DA03
5F151DA10
5F151FA15
5F151FA16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電極構造は、信頼性を向上させ、コストを削減し、製品の歩留まりを向上させることができ、且つ、非常に優れた光電変換効率を確保することができる。
【解決手段】本発明は太陽電池の技術分野に属し、特に背面接触電池の電極構造、背面接触電池、背面接触電池モジュール及び背面接触電池システムに関する。電極構造は、第1極性領域を収集するための第1グリッド線10と、第2極性領域を収集するための第2グリッド線20と、背面接触電池の第1エッジに近い側に設置され、第1グリッド線10に接続される第1主グリッド51と、第1pad点31と、第1主グリッド10と第1pad点31とをそれぞれ接続する第1接続電極41と、を含み、第1pad点31と第1エッジとの距離は、第1主グリッドと第1エッジとの距離より大きい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1極性領域を収集するための第1グリッド線と、
第2極性領域を収集するための第2グリッド線と、
背面接触電池の第1エッジに近い側に設置され、前記第1グリッド線に接続される第1主グリッドと、
第1pad点と、
前記第1主グリッドと前記第1pad点とをそれぞれ接続する第1接続電極と、を含み、
前記第1pad点と前記第1エッジとの距離は、前記第1主グリッドと前記第1エッジとの距離より大きいことを特徴とする、背面接触電池の電極構造。
【請求項2】
前記第2グリッド線は前記第1主グリッドと前記第1pad点との間に位置する第1湾曲グリッド線を含み、前記第1湾曲グリッド線はそれぞれ前記第1主グリッド及び前記第1pad点に向かって湾曲し、且ついずれも前記第1主グリッド及び前記第1pad点と接触していないか、又は前記第1湾曲グリッド線は前記第1主グリッドに向かって湾曲し、前記第1主グリッドと接触していないか、又は前記第1湾曲グリッド線は前記第1pad点に向かって湾曲し、前記第1pad点と接触していないことを特徴とする、請求項1に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項3】
前記第1湾曲グリッド線は少なくとも1つの前記第1グリッド線を通過することを特徴とする、請求項2に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項4】
前記第1接続電極の中心線と前記第1pad点の中心線とは同一直線上にないことを特徴とする、請求項2に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項5】
前記第1主グリッドと前記第1pad点とをそれぞれ接続する第3グリッド線をさらに含み、前記第3グリッド線は前記第1接続電極に隣接して設置され、前記第3グリッド線の幅は前記第1接続電極の幅より小さいことを特徴とする、請求項2に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項6】
前記第2グリッド線は、前記第1pad点の中心線に位置する部分領域において第1絶縁材料で覆われていることを特徴とする、請求項1に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項7】
前記第1主グリッドと前記第1エッジとの距離は0.01mmから3mmであることを特徴とする、請求項1に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項8】
前記第1pad点と前記第1エッジとの距離は1mmから20mmであることを特徴とする、請求項7に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項9】
背面接触電池の前記第1エッジと相互に対向する第2エッジに近い側に設置され、前記第2グリッド線に接続される第2主グリッドと、
第2pad点と、
前記第2主グリッドと前記第2pad点とをそれぞれ接続する第2接続電極とをさらに含み、
前記第2pad点と前記第2エッジとの距離は、前記第2主グリッドと前記第2エッジとの距離より大きいことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項10】
前記第1グリッド線は前記第2主グリッドと前記第2pad点との間に位置する第2湾曲グリッド線を含み、前記第2湾曲グリッド線はそれぞれ前記第2主グリッド及び前記第2pad点に向かって湾曲し、且ついずれも前記第2主グリッド及び前記第2pad点と接触していないか、又は前記第2湾曲グリッド線は前記第2主グリッドに向かって湾曲し、前記第2主グリッドと接触していないか、又は前記第2湾曲グリッド線は前記第2pad点に向かって湾曲し、前記第2pad点と接触していないことを特徴とする、請求項9に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項11】
前記第2湾曲グリッド線は少なくとも1つの前記第2グリッド線を通過することを特徴とする、請求項10に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項12】
前記第2接続電極の中心線と前記第2pad点の中心線とは同一直線上にあることを特徴とする、請求項10に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項13】
前記第2主グリッドと前記第2pad点とをそれぞれ接続する第4グリッド線をさらに含み、前記第4グリッド線は前記第2接続電極に隣接して設置され、前記第4グリッド線の幅は前記第2接続電極の幅より小さいことを特徴とする、請求項10に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項14】
前記第1グリッド線は、前記第2pad点の中心線に位置する部分領域において第2絶縁材料で覆われていることを特徴とする、請求項9に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項15】
前記第2主グリッドと前記第2エッジとの距離は0.01mmから3mmであることを特徴とする、請求項9に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項16】
前記第2pad点と前記第2エッジとの距離は1mmから20mmであることを特徴とする、請求項15に記載の背面接触電池の電極構造。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の電極構造を含み、前記電極構造は背面接触電池のバックライト面に設置されることを特徴とする、背面接触電池。
【請求項18】
請求項17に記載の背面接触電池を含むことを特徴とする、背面接触電池モジュール。
【請求項19】
請求項18に記載の背面接触電池モジュールを含むことを特徴とする、背面接触電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池の技術分野に属し、特に背面接触電池の電極構造、背面接触電池、背面接触電池モジュール及び背面接触電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は光エネルギーを電気エネルギーに変換する半導体デバイスであり、より低い製造コスト及びより高いエネルギー変換効率は常に太陽電池産業で求められる目標である。現在の通常太陽電池は、エミッタ接触電極及びベース接触電極が、それぞれ電池シートの正面と背面にある。電池の正面は受光面であり、正面の金属エミッタ接触電極の被覆により、必然的に入射された太陽光の一部が金属電極によって反射されて遮蔽され、一部の光損失が引き起こされる。一般的な結晶シリコン太陽電池の正面金属電極の被覆面積は7%程度であり、金属電極の正面被覆を減少させることにより、電池のエネルギー変換効率を直接向上させることができる。
【0003】
上記のことに対して、業界では背面接触太陽電池が提案されている。背面接触太陽電池は、エミッタ接触電極とベース接触電極の両方とも電池の背面(非受光面)に配置される電池であり、該電池の受光面には金属電極による遮蔽が全くないため、電池シートの短絡電流が効果的に増加し、また、背面において、より幅の広い金属グリッド線で直列抵抗を減らして曲線因子を向上させることが可能であり、且つ、このような正面に遮蔽がない電池は、変換効率が高いだけでなく、見た目もより美しく、また、全裏面電極のモジュールの組み立てもより容易である。
【0004】
背面接触太陽電池は、電極パターン設計がコア技術である。従来の背面接触太陽電池の電極パターン設計は以下の3つがある。
【0005】
1.
図1を参照し、異性電極に絶縁接着剤3を印刷して絶縁を形成させるが、同性電極を露出させ、続いてpad点1及びバスバー2を印刷して同性電極を接触させる。しかしながら、絶縁接着剤3は高温に耐えることができず、pad点1及びバスバー2は後印刷によって形成されるものであり、そのためpad点1及びバスバー2は低温ペーストしか選択できず、コストが向上し、且つ、低温ペーストの使用には信頼性の問題がある。絶縁接着剤3は、良好な絶縁性を形成するために、高さが約30umであり、pad点1及びバスバー2は断線を回避するために、高さが30umを超える必要があり、これによりペースト消費量が多くなり、コストがさらに向上する。また、絶縁接着剤3及び一部のペーストには接着性が低い等の問題があり、量産化は多大な課題を抱えることになる。
【0006】
2.
図2を参照し、細グリッド4は異性pad点5及びバスバー6で切断され、また、エッジでのpad点5及びバスバー6はシリコンウェハのベリーエッジに位置する。pad点5及びバスバー6はシリコンウェハのエッジにあり、モジュール製作プロセスにおいて、リボンもシリコンウェハのエッジを覆う必要があり、シリコンウェハのエッジには大量の微小クラックが存在し、リボンの溶接プロセスにおいて応力集中によりシリコンウェハの破断が発生するという問題を引き起こすことがあり、モジュールの歩留まりが低下し、モジュールの信頼性が低下する。
【0007】
3.
図3を参照し、細グリッド7は異性pad点8及びバスバー9で切断され、外側のpad点8及びバスバー9はシリコンウェハのベリーエッジから一定の距離離れ、且つ外側のpad点8及びバスバー9の周辺は同一極性に設定される。第3の設計は、上述した第1の設計及び第2の設計に存在する問題を解決したが、光生成された電子正孔は、効率的な収集を形成するために、異性領域に拡散する必要があり、第3の設計では、外側の光生成された電子正孔は、異性領域に到達するために、mmひいてはcmオーダの距離に跨る必要があり、長距離拡散中の再結合損失により、短絡電流が低下し、且つ直列抵抗が増加することにより、曲線因子の損失が引き起こされ、さらに光電変換性能が非常に低くなる。
【0008】
従って、上記問題を解決するために、背面接触電池の電極構造、背面接触電池、背面接触電池モジュール及び背面接触電池システムを設計することは、当業者にとって常に重要な課題として研究すべき問題の1つである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の背面接触太陽電池のコストが高く、信頼性が低く、光電変換性能が低いという技術的問題を解決するよう、背面接触電池の電極構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこのような課題を実現するため、背面接触電池の電極構造は、次を含むものである。
【0011】
第1極性領域を収集するための第1グリッド線と、第2極性領域を収集するための第2グリッド線と、背面接触電池の第1エッジに近い側に設置され、前記第1グリッド線に接続される第1主グリッドと、第1pad点と、前記第1主グリッドと前記第1pad点とをそれぞれ接続する第1接続電極と、を含み、前記第1pad点と前記第1エッジとの距離は、前記第1主グリッドと前記第1エッジとの距離より大きい、背面接触電池の電極構造を提供する。
【0012】
さらに、前記第2グリッド線は前記第1主グリッドと前記第1pad点との間に位置する第1湾曲グリッド線を含み、前記第1湾曲グリッド線はそれぞれ前記第1主グリッド及び前記第1pad点に向かって湾曲し、且ついずれも前記第1主グリッド及び前記第1pad点と接触していないか、又は前記第1湾曲グリッド線は前記第1主グリッドに向かって湾曲し、前記第1主グリッドと接触していないか、又は前記第1湾曲グリッド線は前記第1pad点に向かって湾曲し、前記第1pad点と接触していない。
【0013】
さらに、前記第1湾曲グリッド線は少なくとも1つの前記第1グリッド線を通過する。
【0014】
さらに、前記第1接続電極の中心線と前記第1pad点の中心線とは同一直線上にない。
【0015】
さらに、前記電極構造は前記第1主グリッドと前記第1pad点とをそれぞれ接続する第3グリッド線をさらに含み、前記第3グリッド線は前記第1接続電極に隣接して設置され、前記第3グリッド線の幅は前記第1接続電極の幅より小さい。
【0016】
さらに、前記第2グリッド線は、前記第1pad点の中心線に位置する部分領域において第1絶縁材料で覆われている。
【0017】
さらに、前記第1主グリッドと前記第1エッジとの距離は0.01mmから3mmである。
【0018】
さらに、前記第1pad点と前記第1エッジとの距離は1mmから20mmである。
【0019】
さらに、前記電極構造は次を含む。
【0020】
背面接触電池の前記第1エッジと相互に対向する第2エッジに近い側に設置され、前記第2グリッド線に接続される第2主グリッドと、第2pad点と、前記第2主グリッドと前記第2pad点とをそれぞれ接続する第2接続電極と、をさらに含み、前記第2pad点と前記第2エッジとの距離は、前記第2主グリッドと前記第2エッジとの距離より大きい。
【0021】
さらに、前記第1グリッド線は前記第2主グリッドと前記第2pad点との間に位置する第2湾曲グリッド線を含み、前記第2湾曲グリッド線はそれぞれ前記第2主グリッド及び前記第2pad点に向かって湾曲し、且ついずれも前記第2主グリッド及び前記第2pad点と接触していないか、又は前記第2湾曲グリッド線は前記第2主グリッドに向かって湾曲し、前記第2主グリッドと接触していないか、又は前記第2湾曲グリッド線は前記第2pad点に向かって湾曲し、前記第2pad点と接触していない。
【0022】
さらに、前記第2湾曲グリッド線は少なくとも1つの前記第2グリッド線を通過する。
【0023】
さらに、前記第2接続電極の中心線と前記第2pad点の中心線とは同一直線上にある。
【0024】
さらに、前記電極構造は前記第2主グリッドと前記第2pad点とをそれぞれ接続する第4グリッド線をさらに含み、前記第4グリッド線は前記第2接続電極に隣接して設置され、前記第4グリッド線の幅は前記第2接続電極の幅より小さい。
【0025】
さらに、前記第1グリッド線は、前記第2pad点の中心線に位置する部分領域において第2絶縁材料で覆われている。
【0026】
さらに、前記第2主グリッドと前記第2エッジとの距離は0.01mmから3mmである。
【0027】
さらに、前記第2pad点と前記第2エッジとの距離は1mmから20mmである。
【0028】
本発明は、上記に記載の電極構造を含み、前記電極構造は背面接触電池のバックライト面に設置される背面接触電池をさらに提供する。
【0029】
本発明は、上記に記載の背面接触電池を含む背面接触電池モジュールをさらに提供する。
【0030】
本発明は、上記に記載の背面接触電池モジュールを含む背面接触電池システムをさらに提供する。
【0031】
本発明の有益な効果は、電極構造が第1グリッド線、第2グリッド線、第1主グリッド、第1pad点、及び第1主グリッドと第1pad点とをそれぞれ接続する第1接続電極を含み、電流の収集を実現することである。電極構造は絶縁接着剤を大面積に印刷する必要がなく、第1pad点は第1主グリッドと共に背面接触電池の第1エッジに設置されるものではなく、光生成された電子正孔は、異性領域に到達するために、長距離に跨る必要がなく、それにより電極構造は信頼性を向上させ、コストを削減し、製品の歩留まりを向上させることができ、且つ、非常に優れた光電変換効率を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】従来技術に係る第1の電極パターン設計の模式図である。
【
図2】従来技術に係る第2の電極パターン設計の模式図である。
【
図3】従来技術に係る第3の電極パターン設計の模式図である。
【
図4】本発明の実施例で提供される電極構造の模式図である。
【
図5】本発明の実施例で提供されるそれぞれpad点及び主グリッドに向かって延在する湾曲グリッド線が設けられる電極構造の模式図である。
【
図6】本発明の実施例で提供される主グリッドに向かって延在する湾曲グリッド線が設けられる電極構造の模式図である。
【
図7】本発明の実施例で提供されるpad点に向かって延在する湾曲グリッド線が設けられる電極構造の模式図である。
【
図8】本発明の実施例で提供される背面接触電池の両端のエッジに異なるグリッド線設計を有する電極構造の模式図である。
【
図9】本発明の実施例で提供される第3グリッド線及び第4グリッド線が設けられる電極構造の模式図である。
【
図10】本発明の実施例で提供される第1絶縁材料及び第2絶縁材料が設けられる電極構造の模式図である
【
図11】従来技術に係る第2の電極パターン設計のエッジモデル図である。
【
図12】従来技術に係る第3の電極パターン設計のエッジモデル図である。
【
図13】
図4の電極構造に基づくエッジモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下において、図面と実施例を関連付けて、本発明をさらに詳細に説明する。ここで記載される具体例は本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するためのものではないことを理解すべきである。
【0034】
本発明は第1グリッド線、第2グリッド線、第1主グリッド、第1pad点、及び第1主グリッドと第1pad点とをそれぞれ接続する第1接続電極を含む背面接触電池の電極構造を提供し、第1グリッド線は第1極性領域の電流を収集するためのものであり、第1pad点及び第1接続電極を通して第1主グリッドに合流することで、電流の収集を実現する。電極構造は絶縁接着剤を大面積に印刷する必要がなく、第1pad点は第1主グリッドと共に背面接触電池の第1エッジに設置されるものではなく、光生成された電子正孔は、異性領域に到達するために、長距離に跨る必要がなく、それにより電極構造は信頼性を向上させ、コストを削減し、製品の歩留まりを向上させることができ、且つ、非常に優れた光電変換効率を確保することができる。
【実施例0035】
図4を参照し、本実施例1は、背面接触電池の電極構造は次の電極構造を含む。
【0036】
第1極性領域を収集するための第1グリッド線10と、第2極性領域を収集するための第2グリッド線20と、背面接触電池の第1エッジに近い側に設置され、前記第1グリッド線10に接続される第1主グリッド51と、第1pad点31と、前記第1主グリッド51と前記第1pad点31とをそれぞれ接続する第1接続電極41と、を含み、前記第1pad点31と前記第1エッジとの距離は、前記第1主グリッド51と前記第1エッジとの距離より大きい背面接触電池の電極構造を提供する。
【0037】
本発明の実施例において、第1グリッド線10は第1極性領域の電流を収集するために用いられ、第2グリッド線20は第2極性領域の電流を収集するために用いられ、第1グリッド線10と第2グリッド線20の極性が逆であるため、第1極性領域と第2極性領域の極性も逆である。例えば、第1グッド線10が正極領域の正極電流を収集するための正極グリッド線である場合、第2グリッド線20は負極領域の負極電流を収集するための負極グリッド線であるか、又は第1グリッド線10が負極領域の負極電流を収集するための負極グリッド線である場合、第2グリッド線20は正極領域の正極電流を収集するための正極グリッド線である。ここで、正極グリッド線は背面接触電池のP型ドープ領域に設けられ、負極グリッド線は背面接触電池のN型ドープ領域に設けられる。
【0038】
図4から
図10を参照し、判別の便宜上、黒塗り部分の第1グリッド線10は極性が同じであり、黒塗りされていない部分の第2グリッド線20は極性が同じであり、第1グリッド線10と第2グリッド線20の極性が逆である。黒塗り部分の第1pad点31、第1接続電極41及び第1主グリッド51は、第1グリッド線10と同じ極性を有する。
【0039】
第1グリッド線10と第2グリッド線20は交互に設置され、且つ第1グリッド線10と第2グリッド線20はいずれも背面接触電池のエッジ線に対して水平である。例えば、
図4を参照し、第1グリッド線10と第2グリッド線20は垂直方向に交互に設置され、且つ第1グリッド線10と第2グリッド線20はいずれも背面接触電池の上エッジ線と下エッジ線に対して水平である。背面接触電池は実質的に矩形であり、実質的に矩形の背面接触電池は、例えば、正方形であってもよく、別の長方形であってもよく、且つ標準的な角、切り落とされた角又は丸みを帯びた角を有することができ、それは実際の製造要件に応じて設定され、ここでは具体的に限定しない。また、第1グリッド線10及び第2グリッド線20の数は、実際の背面接触電池の面積サイズ、第1グリッド線10と第2グリッド線20の幅及び距離に応じて決定されるものであり、ここでは具体的に限定しない。
【0040】
さらに、第1グリッド線10又は第2グリッド線20は、アルミニウムグリッド線、銀グリッド線、銅グリッド線、又は銀被覆銅グリッド線である。本発明の実施例において、第1グリッド線10及び第2グリッド線20が同じ又は異なる金属タイプのグリッド線を選択してもよいことが理解可能であり、例えば、第1グリッド線10及び第2グリッド線20は両方ともアルミニウムグリッド線を選択するか、又は第1グリッド線10はアルミニウムグリッド線を選択し、第2グリッド線20は銀グリッド線を選択する。第1グリッド線10又は第2グリッド線20がアルミニウムグリッド線又は銀グリッド線である場合、アルミニウムグリッド線又は銀グリッド線は、スクリーン印刷によって背面接触電池のドープ領域に印刷され、第1グリッド線10又は第2グリッド線20が銅グリッド線である場合、電気メッキ又は蒸着等によって背面接触電池のドープ領域にメッキされる。
【0041】
第1pad点31と第1エッジとの距離は、第1主グリッド51と第1エッジとの距離より大きい。例えば、
図4を参照し、第1pad点31の最も左側と背面接触電池の最も左側のエッジとの距離は、第1主グリッド51の最も左側と背面接触電池の最も左側のエッジとの距離より大きい。
【0042】
本実施例において、前記第1主グリッド51と前記第1エッジとの距離は0.01mmから3mmであり、ここでは第1主グリッド51の第1エッジに近いエッジと第1エッジとの距離をいう。例えば、第1主グリッド51と第1エッジとの距離は、0.05mm、1mm、2mm、3mm、又は0.01mmから3mmの他のパラメータ値である。前記第1pad点31と前記第1エッジとの距離は1mmから20mmであり、ここでは第1pad点31の第1エッジに近いエッジと第1エッジとの距離をいう。例えば、第1pad点31と第1エッジとの距離は、1mm、5mm、10mm、20mm、又は1mmから20mmの他のパラメータ値であるが、第1pad点31と第1エッジとの距離は第1主グリッド51と第1エッジとの距離より大きい。
【0043】
本発明の実施例において、第1pad点31は第1主グリッド51から離れて設置され、第1pad点31と第1主グリッド51との接続は、第1接続電極41の接続作用により実現され、第1主グリッド51が背面接触電池の第1エッジに設置されるため、第1pad点31は背面接触電池の第1エッジから遠く離れている。電流の収集プロセスにおいて、第1グリッド線10は第1極性領域の電流を収集し、第1グリッド線10はさらに、収集された電流を第1pad点31に伝送し、さらに第1pad点31から第1接続電極41を介して第1主グリッド51に伝送し、電流の収集を完了する。本発明の電極構造は、背景技術の第1の電極パターン設計と比較して、絶縁接着剤を大面積に印刷する必要がないため、第1pad点31及び第1主グリッド51は高温ペーストを選択することができ、コストが低下し、信頼性が確保され、また、第1pad点31及び第1主グリッド51が過剰な高さを必要としないため、ペーストの消費量が低減され、且つ絶縁接着剤を大面積に印刷する必要がないため、一部のペーストとの接着性が低いという問題がなく、量産化の難易度が低下する。背景技術の第2の電極パターン設計と比較して、第1主グリッド51が背面接触電池の第1エッジに位置し、第1pad点31が背面接触電池の第1エッジから遠く離れているため、溶接プロセスにおける応力集中の問題を回避でき、モジュールの歩留まりが向上し、モジュールの信頼性が向上する。背景技術の第3の電極パターン設計と比較して、光生成された電子正孔は長距離に跨ることなく異性領域に到達して電流の収集を実現することができるため、より高い光電変換効率が十分に確保される。
実施例1を基に、本実施例2に記載の第2グリッド線20は、前記第1主グリッド51と前記第1pad点31との間に位置する第1湾曲グリッド線を含み、前記第1湾曲グリッド線はそれぞれ前記第1主グリッド51及び前記第1pad点31に向かって湾曲し、且ついずれも前記第1主グリッド51及び前記第1pad点31と接触していないか、又は前記第1湾曲グリッド線は前記第1主グリッド51に向かって湾曲し、前記第1主グリッド51と接触していないか、又は前記第1湾曲グリッド線は前記第1pad点31に向かって湾曲し、前記第1pad点31と接触していない。
本発明の実施例において、第1湾曲グリッド線の長さは配置可能な領域のサイズに応じて決定でき、第1湾曲グリッド線は発散的に延在するように形成され、電流収集可能な領域を十分に利用して、電流収集能力をさらに高めることが可能である。
さらに、上記の実施形態を基に、前記第1湾曲グリッド線は少なくとも1つの前記第1グリッド線10を通過する。第1pad点31と第1主グリッド51との間の領域又は近傍領域に複数の第1グリッド線10を配置してもよく、第1グリッド線10の配置によって複数の隙間が形成される場合、第1湾曲グリッド線は隙間を順番に通過することができ、且つ隙間を通過したたびに、さらに発散的に延在するように形成され、それにより電流収集能力をさらに高める。