(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123393
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】加工工具
(51)【国際特許分類】
B23C 5/04 20060101AFI20230829BHJP
B23C 5/02 20060101ALI20230829BHJP
B23B 29/03 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B23C5/04 A
B23C5/02
B23B29/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023024349
(22)【出願日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】22158518
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512198981
【氏名又は名称】レーダーマン ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】マルティーン ドレッスラー
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー グロッツケ
【テーマコード(参考)】
3C022
3C046
【Fターム(参考)】
3C022GG01
3C022GG05
3C046KK02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】汎用的な型の加工工具を、機械加工される被加工物の加工痕が最小限になるように、さらに発展させる。
【解決手段】それぞれ刃先を有する切削体が、カッター搬送面に配置され、複数の切削体を含むグループの刃先が、回転方向に垂直な方向に隙間の無いように重なり、全体刃先が形成される。加工工具の全ての刃先は、全体刃先の端点間に配置され、1つの端点は先頭刃先に割り当てられ、他方の端点は最終刃先に割り当てられる。仮想の螺旋線が、先頭刃先から最終刃先まで延び、グループの切削体の全ての刃先は少なくとも一部が螺旋線に配置される。グループは歯の最小数を有し、これは、全体刃先の中間領域において、加工工具の回転方向において少なくとも前後に配置されるグループの切削体の刃先の数によって定義される。グループの刃先は、歯の最小数が少なくとも2つ、特に少なくとも3つであるように回転方向に垂直な方向に関して重なり合っている。
【選択図】
図2c
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を機械加工するための加工工具であって、
前記加工工具(1)は、回転軸(50)を中心に回転駆動されるように意図され、
前記加工工具(1)は、カッター搬送面を具備する本体(2)を有し、前記回転軸(50)は、前記本体(2)を貫通し、
それぞれ刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)を有する切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)が、前記カッター搬送面に配置され、
前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、機械加工中に前記回転軸(50)の周りを回る回転方向(49)に回転し、
複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)を含むグループの前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、前記回転方向(49)に垂直な方向に関して隙間のない様に重なり合い、従って、全体刃先を形成し、
前記グループの前記複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、353)の1つの刃先(4、104、204、304)が、前記全体刃先の先頭刃先であり、
前記グループの前記複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)の1つの刃先(54、354)が、前記全体刃先の最終刃先であり、
前記全体刃先の中間領域(49)が、前記回転方向(49)に垂直な方向に関して前記先頭刃先と前記最終刃先との間に完全に位置し、
前記加工工具(1)の刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)の全ては、前記全体刃先の端点(7、8)の間に配置され、
1つの端点(7)が前記先頭刃先に割り当てられ、他方の端点(8)が前記最終刃先に割り当てられ、前記先頭刃先から前記最終刃先まで、仮想の螺旋線(6)が延び、
前記螺旋線(6)は、前記回転軸(50)に対応する中心軸を有し、
前記螺旋線(6)は、少なくとも部分的に前記中心軸の周りに延び、
前記螺旋線(6)は、前記回転方向(49)に垂直な方向の前記螺旋線(6)の進行と、前記回転軸(50)周りの回転角度に関する前記螺旋線(6)の進行との商に対応する勾配を有し、前記螺旋線(6)の前記勾配は、特に一定であり、
前記グループの前記切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)の全ての前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、前記螺旋線(6)上に少なくとも部分的に配置され、
前記グループは歯の最小数を有し、前記歯の最小数は、前記全体刃先の前記中間領域において前記加工工具(1)の前記回転方向(49)に少なくとも前後に配置される前記グループの前記切削体の刃先の数によって定義され、
前記グループの前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、前記歯の最小数が少なくとも2つ、特に少なくとも3つとなるように、前記回転方向(49)に垂直な方向に関して重なり合うことを特徴とする加工工具。
【請求項2】
前記全体刃先の前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、いずれの場合も、前記回転方向(49)に垂直な方向に関して部分的にのみ相互に重なり合うことを特徴とする、請求項1に記載の加工工具。
【請求項3】
前記グループの前記切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)のそれぞれの刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、正確に1つの基準点(5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、205、215、225、305、315、325、355)を有し、前記基準点は、特に、前記回転方向(49)に垂直な方向で前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)の中心にあり、及び
前記グループの前記切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)の前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)の前記基準点(5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、205、215、225、305、315、325、355)は、前記回転方向(49)に垂直な方向に互いに離間していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の加工工具。
【請求項4】
前記回転方向(49)に垂直な方向に直接隣接する前記グループの前記切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)の基準点(5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、205、215、225、305、315、325、355)は、それぞれ、前記回転軸(50)に関して互いに角度間隔(Φ1、Φ2)をあけて配置され、
前記角度間隔(Φ1、Φ2)は、それぞれ、角度値の整数倍であり、前記角度値は、10°から350°、特に30°から330°、特に60°から270°、好ましくは90°から180°の角度範囲内にあることを特徴とする、請求項3に記載の加工工具。
【請求項5】
前記角度値は、黄金角に関して±5°、特に±1°、好ましくは±0.5°の角度範囲にあり、黄金角と対角の合計が周角を生成し、黄金角と対角の比が対角と周角の比と等しいことを特徴とする、請求項4に記載の加工工具。
【請求項6】
前記角度間隔(Φ1、Φ2)は、角度範囲からの角度値の1倍に対応し、特に、前記角度間隔(Φ1、Φ2)はすべて等しいサイズであることを特徴とする、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の加工工具。
【請求項7】
前記基準点(5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、205、215、225、305、315、325、355)は、前記回転軸(50)の方向に、及び/又は前記回転軸(50)に関して半径方向に、互いに間隔をあけていることを特徴とする、請求項3乃至6のいずれか一項に記載の加工工具。
【請求項8】
前記本体(2)は、前記回転軸(50)に関して円周面(21)を有し、前記本体(2)は、前記回転軸(50)の方向に端面(22)によって画定され、
前記グループの前記複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)は、前記円周面(21)上、及び/又は前記端面(22)上に配置されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の加工工具。
【請求項9】
前記グループの前記複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、203、213、223)の前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224)は、前記回転軸(50)の方向に測定された軸方向幅(ab1、ab2、ab3、ab4、ab101、ab102、ab103)を有し、及び/又は前記複数の切削体(303、313、323、353)の前記刃先(304、314、324、354)は、前記回転軸(50)に関して半径方向に測定された半径方向幅(rb1)を有することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の加工工具。
【請求項10】
前記回転方向(49)に垂直な方向に直接隣接する前記グループの前記基準点(5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、205、215、225)は、前記回転軸(50)の方向に測定した、軸方向間隔(a1、a2、a3、a201、a202)で互いに配置され、及び/又は、
前記回転方向(49)に垂直な方向に隣接する前記グループの前記基準点(305、315、325、355)は、半径範囲間隔(ra1)で互いに配置され、前記半径範囲間隔(ra1)は、半径方向に隣接する基準点(305、315、325、355)のより大きい半径方向間隔(r2)と、より小さい半径方向間隔(r1)との間の差に対応することを特徴とする、請求項9に記載の加工工具。
【請求項11】
前記軸方向間隔(a1、a2、a3、a201、a202)は、最大軸方向幅(ab1、ab2、ab3、ab4、ab101、ab102、ab103)の1%から50%、特に8%から50%、特に8%から35%であり、及び/又は前記半径範囲間隔(ra1)は、最大半径方向幅(rb1)の1%から50%、特に8%から50%、特に8%から35%であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の加工工具。
【請求項12】
前記カッター搬送面は、前記回転方向(49)において、前記先頭刃先の後ろ及び/又は前記最終刃先の後ろに、周辺領域を有し、前記周辺領域は、前記先頭刃先及び/又は前記最終刃先の、軸方向幅全体(ab1)及び/又は半径方向幅全体(rb1)にわたって延び、前記回転軸(50)の周りを走ること、及び、
前記グループの前記複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)に加えて、少なくとも1つのさらなる切削体が、前記周辺領域に配置されていることを特徴とする、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の加工工具。
【請求項13】
少なくとも前記先頭刃先及び/又は少なくとも前記最終刃先の前記軸方向幅(ab1)及び/又は前記半径方向幅(rb1)は、周辺領域の外側の前記複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)の切削体(33)の刃先の幅よりも大きいか又は小さいことを特徴とする、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の加工工具。
【請求項14】
前記回転軸(50)の方向に直接隣接する前記グループの前記基準点(5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、205、215、225)のすべての前記軸方向間隔(a1、a2、a3、a201、a202)は、等しいサイズであり、及び/又は、
前記回転軸(50)に関して半径方向に直接隣接する前記グループの前記基準点(305、315、325、355)のすべての前記半径範囲間隔(rb1)は、等しいサイズであることを特徴とする、請求項9乃至13のいずれか一項に記載の加工工具。
【請求項15】
前記加工工具(1)は、切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)の単一のグループのみを含み、
それらの刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、前記全体刃先の端点間で、前記回転方向(49)に垂直な方向に関して隙間のない様に重なり合い、
それらの刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、螺旋線(6)上に少なくとも部分的に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の加工工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる、材料、特に木材又は木材に類似した材料を加工するための加工工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、そのような加工工具の複数の切削体の刃先は、一般に共に切削線を形成し、この切削線は、少なくとも、加工工具の回転方向に対して垂直な方向にも延び、特に回転軸の方向及び/又は本体の全範囲にわたる回転軸に対する半径方向、特に、回転軸の方向及び/又は回転軸に対して半径方向にも延在する。ここで、異なる複数の切削体の刃先の基準点は、回転方向と直交する方向に互いに間隔をあけて配置されている。基準点は、例えば、回転軸の方向に関して、刃先の角として定義されてもよいし、刃先の中心として定義されてもよい。それぞれの刃先は、回転軸の方向及び/又は回転軸に関する半径方向で重なっている。複数の切削体の刃先の基準点は、回転軸に関して互いに角度間隔を空けて配置されている。従来技術では、複数の切削体の刃先は、典型的には、多結晶ダイヤモンドのような極めて硬い切削材料からなる。この材料は、限られた寸法でしか加工することができない。このことが、本体の切削線が複数の切削体の刃先で構成される理由の1つとして考えられる。複数の切削体の刃先の基準点は、回転軸に関して互いに角度間隔を有している。刃先の互いに対するこの角度間隔は、刃先が互いに分離して浸食又は研削できるようにするために必要である。刃先の浸食又は研削加工中、回転軸方向に隣接する切削体の刃先は、角度間隔のために悪影響を受けない。このためには、一般に、基準点間の角度間隔が5°から10°で十分である。
【0003】
複数の切削体の刃先から形成される切削線に隙間がないように、刃先は、回転方向に垂直な方向、特に回転軸の方向及び/又は回転軸に対する半径方向に関して重なり合う。加工工具の回転方向において、切削線の重なり合う刃先は、係合方向に短い距離で被加工物と係合する。一般に、複数の切削線が、加工工具の本体上で回転方向に互いに前後に配置され、その結果、多歯工具が形成される。異なる刃先全体の重なり合う領域は、回転方向に前後に並んでいる。重なり合う領域の歯の数が2倍であることが言及されている。歯の数は、加工工具が一回転する間に、加工工具の回転方向において被加工物に連続して係合する異なる切削体の異なる刃先の数である。従来技術による加工工具の場合、複数の切削体の刃先が重なり合う領域は、被加工物に跡(マーク)として目立つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の基礎となる目的は、汎用的な型の加工工具を、その加工工具を用いて機械加工される被加工物の加工痕が最小限になるように、さらに発展させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する加工工具によって達成される。
【0006】
本発明によれば、グループの複数の切削体の刃先は、回転方向に垂直な方向に関して隙間なく重なり合うので、全体的な刃先(全体刃先)を形成することができる。なお、複数の切削体のグループを複数の切削体とも呼ぶ。複数の切削体のうちの1つの刃先は、全体刃先の先頭刃先である。複数の切削体のうちの1つの刃先は、最終刃先である。先頭(最初の)刃先は、回転方向に垂直な方向に関して、全体刃先の始点を形成する。最終刃先は、回転方向に垂直な方向に関して、全体刃先の終端を形成する。全体刃先は、中間領域を有する。中間領域は、回転方向に垂直な方向に関して、先頭刃先と最終刃先との間に完全に位置する。中間領域は特に、回転方向に垂直な方向に関して、先頭刃先と最終刃先との間に途切れることなく延在している。
【0007】
一例として、実質的に円筒形本体を有する加工工具の場合、中間領域は、回転軸に垂直な平面の間にあり、平面のうちの一方は、最終刃先に面したその端部において先頭刃先に接し、平面のうちの他方は、先頭刃先に面したその端部において最終刃先に接している。
【0008】
加工工具のすべての刃先は、全体刃先の端点間に配置される。一方の端点は、先頭刃先に割り当てられている。他方の端点は、最終刃先に割り当てられている。特に、加工工具の全ての刃先は、回転方向に垂直な方向に関して、全体刃先の端点間に配置される。
【0009】
仮想の螺旋線は、先頭刃先から最終刃先まで続いている。特に、仮想の螺旋線は、先頭刃先から最終刃先まで途切れることなく続いている。螺旋線は、回転軸に対応する中心軸を有する。螺旋線は、少なくとも部分的に、好都合には完全に、特に複数回、中心軸の周りを走る。螺旋線は勾配を有する。勾配は、回転方向に垂直な方向における螺旋線の進行と、回転軸を中心とする回転角度に関する螺旋線の進行との商に対応する。好都合なことに、螺旋線の勾配は、特に螺旋線の各点について、ゼロよりも大きい。特に、螺旋線の勾配は一定である。特に、回転方向に垂直な方向における螺旋線の進行は、回転軸を中心とする回転角度に関する螺旋線の進行に比例する。特に、仮想の螺旋線は、螺旋の形状を有する。特に、仮想の螺旋線は、平面螺旋の形態を有する。しかし、螺旋線が平面螺旋と螺旋とで構成されるようにすることも可能である。例えば、円筒形本体の場合であり、その場合、螺旋線が端面において平面螺旋の形態で、及び/又は円周面において螺旋の形態で走っている。また、仮想の螺旋線が、回転軸に対して可変の間隔を有する螺旋の形態を有するようにすることもできる。これは、例えば、輪郭を有するカッター搬送面の場合である。特に、カッター搬送面に対する螺旋線は、カッター搬送面に垂直に測定された間隔を有する。特に、この間隔は一定である。複数の切削体のすべての刃先は、好ましくは、少なくとも部分的に螺旋線上に配置される。特に、複数の切削体の各刃先は、螺旋線と交差する点を有する。また、複数の切削体の刃先の内の1つの全体刃先が、カッター搬送面に垂直な方向に関して、螺旋線上に配置されるようにすることもできる。
【0010】
複数の切削体は、歯の最小数を有する。歯の最小数は、刃先全体の中間領域において加工工具の回転方向に少なくとも前後に位置する複数の切削体の切削体の刃先の数によって定義される。複数の切削体の最小歯数を決定する際に、回転方向において先頭刃先全体の後方及び最終刃先全体の後方にある領域は考慮されない。複数の切削体の刃先のみが、歯の最小数を決定する際に考慮される。複数の切削体に属さない切削体の刃先は考慮されない。
【0011】
本発明によれば、複数の切削体の刃先は、複数の切削体の歯の最小数が回転方向に垂直な方向、特に回転軸の方向に関して重なり合うように、歯の最小数が少なくとも2つ、特に少なくとも3つ、特に少なくとも4つとなるように、重なり合っている。
【0012】
これにより、複数の切削線を回転方向に前後に配置することなく、加工工具全体に対して多数の歯を実現することができる。複数の切削体の単一のグループのみで、任意の所望の歯数を実現することができる。また、複数の刃先からそれぞれ構成される複数の刃先全体を、回転方向に関して互いに前後に配置する必要もない。特に、これにより、複数の刃先の端点が回転方向に前後に位置する状況を回避することができる。その結果、加工痕が被加工物で目立たなくできる。加工工具を用いて加工された被加工物の加工痕を最小限に抑えることができる。
【0013】
有利には、加工工具は、単一の切削体グループのみを含み、その刃先は刃先全体の端点間で、回転方向に垂直な方向に関して隙間なく重なり、その刃先は少なくとも部分的に螺旋線上に配置される。
【0014】
本発明の特定の構成では、回転軸が本体を軸方向に貫通し、複数の切削体の刃先が軸方向に対して隙間なく重なり、その結果、全体刃先(the overall cutting edge)が形成されるように規定されている。特に、回転方向に垂直な方向は、専ら回転軸の方向に延びている。特に、全体刃先の中間領域は、軸方向に関して、先頭刃先と最終刃先との間に完全に存在する。特に、加工工具の全ての刃先は、全体刃先の領域において軸方向に関して配置されている。特に、仮想の螺旋面が回転軸の周りを走る。原点が回転軸(z軸)上にあり、回転軸に垂直に延びる極軸(x軸)を有し、回転軸に垂直に延びるxy平面において角度αが測定される座標系に関して、螺旋面は以下のようにパラメータ化される。
【0015】
x=rcos(α)
y=rsin(α)
z=f(α)
【0016】
ここで、rとαはすべての実数値であり、すなわち-∞から+∞の範囲をとり、f(α)はf’(α)>0の関数である。特に、f(α)は連続関数である。特に、f(α)=cαが適用され、定数はc>0である。
【0017】
好都合なことに、複数の切削体のすべての刃先は、少なくとも部分的に螺旋面上に配置される。特に、複数の切削体の各刃先は、螺旋面と交差している。また、複数の切削体の刃先の1つ、複数、又は全てが、螺旋面内に完全に存在するように規定されてもよい。複数の切削体の刃先の螺旋面上の少なくとも部分的な配置は、螺旋線上の部分的な配置に代えて、又はそれに加えて設けられてもよい。特に、複数の切削体の刃先は、歯の最小数が少なくとも2つ、特に少なくとも3つ、特に少なくとも4つとなるように、軸方向に関して重なり合う。
【0018】
有利には、全体刃先を形成する複数の切削体の刃先は、それぞれの場合、回転方向に垂直な方向に関して相互に部分的にのみ重なる。その結果、多数の歯を実現すると同時に、複数の切削体の刃先を、その端部が回転方向に垂直な方向に関して確実に重ならないように配置することができる。その場合、回転方向において、複数の切削体の刃先の端点は、複数の切削体の刃先の端点の後ろに位置しない。これにより、隣接する連続した跡が全く確認できない工具の断面が生成される。
【0019】
特に、複数の切削体の各刃先は、正確に1つの基準点を有する。特に、基準点は、回転方向に垂直な方向において、刃先の中心に位置する。好都合には、複数の切削体の刃先の基準点は、回転方向に垂直な方向において互いに間隔をあけて配置される。特に、複数の切削体の刃先の、回転方向に垂直な方向において直接隣接する基準点は、それぞれ、回転軸に対して互いに角度間隔を空けて配置されている。
【0020】
特に、本発明によれば、回転軸に対して回転方向に垂直な方向に直接隣接する複数の切削体の刃先のそれらの基準点の角度間隔は、それぞれの場合、角度範囲からの角度値の整数倍であるように規定される。
【0021】
また、整数倍の集合は、特異倍も含む。また、角度間隔は、角度範囲から角度値を1倍したものに対応してもよい。
【0022】
好ましくは、複数の切削体の刃先の基準点は、いずれも、その位置に関して共通の同一の性質を有する。特に、刃先の基準点は、回転方向に垂直な方向に関して、刃先の中心にある。好ましくは、基準点は、回転軸の方向に関して、及び/又は回転軸に対する半径方向に関して、刃先の中心に位置する。回転方向は、円周方向とも呼ばれる。回転方向は、回転軸の周囲を回る。回転方向に回転するとき、加工工具は、切り屑の排出を意図した方向に回転する。
【0023】
複数の切削体は、本体に配置された全ての切削体に関するものであってもよい。しかし、全ての切削体の単なる部分集合(サブセット)を表す切削体のグループに関するものであってもよい。また、複数の切削体に対して「グループ」という用語を使用する場合、これは加工工具の全ての切削体に関するものであってもよい。複数の切削体は、少なくとも3つ、特に少なくとも4つ、特に少なくとも5つの切削体を含む。複数の切削体は、グループとも称される。
【0024】
角度値は、好ましくは、角度範囲にある。特に、角度値は、10°から350°、特に30°から330°、特に60°から270°、好ましくは90°から180°の角度範囲にある。回転方向と直交する方向に直接隣接する複数の切削体の基準点間の合成の角度間隔により、関連する2つの刃先は、送り速度で同時に前進する加工された被加工物の表面に間隔を空けて係合する。回転方向に垂直方向に直接隣接する基準点を有するこれら2つの刃先が回転方向に垂直な方向に重なる場合、これらの重なりの領域は、本発明による加工工具を用いて加工された被加工物の表面に連続した跡(マーク)として目立つことはない。直接隣接する基準点を有する複数の切削体の刃先が被加工物に残す跡は、基準点の角度間隔によってもたらされる角度オフセットによって、被加工物の送り方向において互いに間隔をあけて配置される。
【0025】
被加工物上の回転方向に垂直な方向に直接隣接する基準点を有する複数の切削体の刃先の係合位置の間隔は、従来技術よりも実質的に大きくなっている。その結果、被加工物上で直接隣接する基準点との刃先の係合位置は、連続した跡(マーク)として認識されなくなる。
【0026】
便宜上、角度間隔はすべて同じサイズである。
【0027】
特に、角度範囲は、第1限界値から第2限界値まで広がっている。特に、第1限界値は、黄金角の大きさと5°との間の差に対応する。第2限界値は、特に、黄金角の大きさと5°の合計に対応する。黄金角は、角度範囲内にあり、そこに含まれる。したがって、角度値は、特に黄金角に対して±5°の角度範囲内にある。境界値は、角度範囲の一部である。黄金角は、黄金角と対角との和が周角を生成し、黄金角と対角との比率が対角と周角との比率に等しくなるように定義される。周角は360°に相当する。つまり、黄金角の大きさと対角の大きさの和は360°となり、黄金角と対角の比は対角と360°の比に等しい。対角の大きさは、360°と黄金角の大きさの差に相当する。黄金角は360°より小さい。黄金角は、周角を黄金比に従って分割したときにできる。得られた2つの角のうち、小さい方の角度を黄金角と呼ぶ。周角を黄金比で割ると、360°は黄金数Φで割られる。黄金数Φは、次の式で計算できる。
【0028】
Φ=(1+√5)/2≒1.6180339887.
【0029】
黄金数Φは、フィボナッチ数列の連続する2つの数列要素fn+1とfnの比率に対応し、n→∞となる。フィボナッチ数列f1、f2、f3…は再帰的形成法則によって定義される。
【0030】
f1=f2=1を初期値として、
fn=fn-1+fn-2 (n≧3)
【0031】
黄金数Φの場合は、式1のようになる。
【0032】
【0033】
黄金角は、
360°-360°/Φ≒137.507764°≒137.5°.
である。
【0034】
したがって、角度値は、好ましくは、約132.5°から約142.5°の角度範囲にある。
【0035】
代替として、角度値が132.5°から142.5°の角度範囲にあるようにもできる。
【0036】
回転方向は、回転軸を中心とした円形に走っている。回転方向に垂直な方向とは、回転軸を含む平面に存在する方向である。回転方向に垂直な方向において互いに間隔をあけて配置される基準点の間隔方向は、関連する刃先が加工工具の本体又は本体の表面に配置されることに起因している。切削体が配置されている本体の表面は、カッター搬送面とも呼ばれる。回転方向に垂直な方向は、本体の表面輪郭に沿って走ることもでき、当該表面輪郭は、回転軸を含む関連平面において湾曲した輪郭を有する。この場合、回転方向に垂直な方向は、この湾曲した輪郭に沿い、そして、それに対応して、本体の表面の異なる位置で異なる方向を指す。回転方向に垂直な方向は、カッター搬送面と回転軸が存在する平面との間の切断線に従う。特に、回転方向に垂直な方向は、回転軸の方向である。特に、回転方向に垂直な方向は、回転軸に対する半径方向である。特に、回転方向に垂直な方向は、回転軸の方向の割合と、回転軸に対する半径方向の割合とで構成される。特に、回転方向に垂直な方向は、カッター搬送面に沿って走る。特に、回転方向に垂直な方向は、カッター搬送面に沿って変化する。
【0037】
特に、回転方向に垂直な方向に互いに間隔をあけて配置される基準点は、回転軸の方向及び/又は回転軸に対する半径方向に互いに間隔をあけて配置される。この場合、回転方向に垂直な方向に直接隣接する基準点は、回転軸の方向及び/又は回転軸に対する半径方向に直接間隔をあけて配置される。
【0038】
示された角度値から決定される基準点の互いの角度間隔は、加工工具の回転軸を中心とする周方向に関して、本体上の複数の切削体の理想的な分布をもたらす。言い換えれば、加工工具の回転方向における複数の切削体の理想的な分布が作り出される。
【0039】
回転方向に垂直な方向、特に回転軸の方向及び/又は回転軸に対する半径方向における複数の切削体の刃先の基準点の間隔と、それぞれの場合に黄金角の周りの角度範囲からの角度値の整数倍に対応する角度間隔での基準点の配置の組み合わせは、複数の切削体の刃先の基準点の理想的な分布を生成し、したがって本体の外面上の複数の切削体自体の理想的な分布を生成する。この規則的な分布により、従来技術よりも多くの刃先を有する切削体を円周面に配置することが可能である。これにより、切削性能を向上させ、加工時間を短縮することが可能となる。
【0040】
回転方向に垂直な方向、特に回転軸の方向及び/又は回転軸に対する半径方向における複数の切削体の刃先の基準点の間隔と、黄金角の周りの角度範囲からの角度値の整数倍にそれぞれの場合に対応する角度間隔での基準点の配置との組み合わせは、さらなる好ましい効果をもたらす。従来技術による加工工具で被加工物を加工する場合、複数の切削体の刃先の基準点は、例えば、互いに5°の角度間隔をおいて配置される。さらに、複数の切削線は、回転方向において互いに前後に設けられる。一例として、4本の切削線がそれぞれ互いに90°の角度間隔で配置されることが可能である。従来の加工工具で被加工物を加工する場合、切削線が互いに角度的にずれているため、時間的及び空間的に一定の間隔で係合ショックが発生する。この規則的な係合ショック(噛み合わせの衝撃)は、加工工具と加工された被加工物の両方に振動を誘発する。
【0041】
複数の切削体の刃先の基準点を角度値の倍数だけ便宜的にオフセットすることで、2つの基準点が同じ角度位置にある状況を回避することが可能となる。黄金数Φは無理数である。2つの整数の分数として表すことはできない。黄金数Φは、有理数で近似することが特に不十分なため、すべての数の中で「最も不合理な数」とも呼ばれている。
【0042】
複数の切削体の刃先の基準点は、黄金角付近の範囲からの角度間隔と、回転方向と垂直な方向における基準点の互いの間隔との有利な組み合わせにより、加工工具の本体の表面上に特に均一に分布している。これは、特に、本発明による加工工具で被加工物を加工する場合に、被加工物への回転方向に直接隣接する基準点への複数の切削体の刃先の2つの連続した係合の間に、被加工物に大きな休止や間隔が存在しない、という結果をもたらしている。従来技術による加工工具の場合、加工工具の円周面において、複数の刃先によって形成される切削線の間に、刃先のない大きな角度範囲や基準点のない大きな角度範囲が発生する。このような刃先のない、あるいは基準点のない大きな角度領域は、振動の発生に関して不利である。本発明による基準点及び刃先の周方向の均一な分布により、刃先なし及び基準点なしの比較的大きな角度部分が回避される。その結果、振動の発生が大きく抑制される。このため、本発明による加工工具で被加工物を加工する場合、被加工物に振動に起因する加工痕がごく僅かにしか現れないという効果がある。
【0043】
従来技術による加工工具の場合、切削線の基準点が直接隣接する刃先が、加工工具の回転方向に規則的に短い間隔で配置されている。従来の加工工具で被加工物を加工する場合、これは比較的高い周波数を有する音の発生を生じさせ、これは支配的であると認識される。本発明による加工工具の場合、回転方向に垂直な方向に直接隣接する基準点の角度間隔が、従来技術よりも著しく大きい。特に角度間隔が黄金角の領域にあることに起因して、被加工物を加工する際に加工工具によって発生する周波数が低減される。低い周波数の音は、高い周波数の音よりも人間の耳によって柔らかく知覚される。したがって、加工工具は、従来技術による加工工具よりもソフトに知覚される。
【0044】
同じ程度の切り屑排出量であれば、本発明による加工工具は、先行技術による同等の加工工具よりも少ないエネルギーを消費することが示されている。
【0045】
整数倍が角度間隔に対応する角度値は、有利には、黄金角に対して±1°の角度範囲にある。これは、角度範囲が広がる第1限界値が、黄金角の大きさと1°との差に対応し、角度範囲が広がる第2限界値が、黄金角の大きさと1°との和に対応することを意味する。この角度範囲によって、黄金角そのものが構成される。限界値は、角度範囲に含まれる。
【0046】
角度値は、好ましくは、黄金角に対して±0.5°の角度範囲にある。角度範囲は、第1限界値(すなわち黄金角の大きさと0.5°の差)から、第2限界値(すなわち黄金角の大きさと0.5°の和)まで延びる。この角度範囲は黄金角も含む。限界値は角度範囲に含まれる。
【0047】
有利には、複数の切削体の刃先の、回転方向に垂直な方向に直接隣接する基準点間の全ての角度間隔の角度値は、等しいサイズである。角度範囲からの単一の角度値のみが、角度間隔を決定するために使用される。
【0048】
特に、複数の切削体の刃先の、回転方向に垂直な方向に直接隣接する基準点間の角度間隔は、角度範囲からの角度値の1倍に対応する。
【0049】
特に、複数の切削体は、交換可能な方法で本体に固定される。代替案として、複数の切削体は、交換不可能な方法で本体に固定されてもよい。一例として、複数の切削体は、はんだ接続によって本体に固定されてもよい。しかし、切削体が本体と一体的に形成されるように設けてもよい。特に、切削体は、本体と実質的に一体的に形成される。有利には、刃先は、切削体と一体的に形成される。
【0050】
加工工具の本体は、回転軸に対して円周面を有する。円周面は、回転軸の周囲を走行する。円周面は、加工工具の意図する回転方向に延びている。円周面は、回転軸を取り囲む。本体は、回転軸の方向の端面によって区画されている。複数の切削体は、加工工具の円周面に好都合に配置される。複数の切削体が、専ら加工工具の本体の円周面上に配置されるように規定されてもよい。特に、複数の切削体は、加工工具の本体の端面に配置される。複数の切削体が、加工工具本体の端面上にのみ配置されるように規定してもよい。しかし、複数の切削体が、加工工具本体の円周面と加工工具本体の端面との両方に配置されるようにしてもよい。
【0051】
特に、複数の切削体の基準点のうち、回転方向と直交する方向に直接隣接するものは、回転軸の方向で測定した軸方向の間隔を互いに空けて配置される。特に、回転軸方向に隣接する刃先の基準点は、その基準点に関連する切削体が本体の円周面に配置されている場合に、互いに軸方向の間隔をあけて配置される。
【0052】
特に、回転方向に垂直な方向に直接隣接する基準点は、互いに半径範囲間隔をあけて配置されている。半径範囲間隔は、半径方向に直接隣接する基準点の半径方向間隔のうち、大きい方の半径方向間隔と小さい方の半径方向間隔との差に対応する。
【0053】
半径方向間隔は、基準点と回転軸との間の間隔である。複数の切削体は、円環状領域(その中心は回転軸上にある)が、それらの基準点の間に配置できるように配置され得る。円環状領域は、回転軸に対して半径方向に測定された半径方向幅を有する。互いに半径方向に直接隣接する複数の切削体の刃先の基準点は、考慮される基準点に関して最小の半径方向幅を有する円環状領域がその間に位置する基準点である。
【0054】
半径方向幅が最も小さい円環状領域を求める際、値がゼロである半径方向幅は除外される。複数の切削体の複数のグループを本体上に配置してもよく、これらはそれぞれ個別に複数の切削体に関連して説明される特性を有する。
【0055】
特に、複数の切削体の割り当てられた刃先が加工工具の本体の端面に配置されるとき、半径方向に隣接する基準点は、互いに半径範囲間隔をあけて配置される。好ましくは、複数の切削体の全ての直接隣接する基準点間の軸方向間隔及び/又は全ての直接隣接する基準点間の半径範囲間隔は、等しいサイズである。
【0056】
回転軸の方向に隣接する刃先の基準点が互いに軸方向間隔をあけて配置されることと、半径方向に隣接する基準点が互いに半径範囲間隔をあけて配置されることの両方が規定されてもよい。本発明の特定の構成では、基準点は、回転軸の方向と回転軸に対する半径方向の両方に直接隣接していてもよい。これは例えば、本体の円周面が少なくとも部分的に円錐の表面に実質的に対応する場合である。この別の例としては、輪郭カッターであり、その円周面は不規則な輪郭を有してもよい。
【0057】
特に、複数の切削体の刃先は、回転軸の方向に測定された軸方向幅を有する。また、複数の切削体の刃先が、回転軸の方向に測定された技術的に関連する軸方向幅を有さないように規定されてもよい。
【0058】
特に、複数の切削体の刃先は、回転軸に対して半径方向に測定された半径方向幅を有する。また、複数の切削体の刃先が、回転軸に対して半径方向に測定された技術的に関連する半径方向幅を有さないように規定されてもよい。
【0059】
複数の切削体の刃先が、回転軸の方向に測定される軸方向幅と、回転軸に対して半径方向に測定される半径方向幅の両方を有するように規定されてもよい。特に、複数の切削体の一部分は、専ら半径方向幅を有する刃先を有し、複数の切削体の別の部分は、専ら軸方向幅を有する刃先を有している。これは特に、複数の切削体の一部分が本体の端面に配置され、複数の切削体の他の一部分が本体の円周面に配置されている場合に当てはまる。
【0060】
本発明の特定の構成では、同じ刃先が軸方向幅と半径方向幅の両方を有するように規定してもよい。これは特に、加工工具の本体の円周面が少なくとも部分的に円錐の側面の形状に対応する場合に当てはまる。これの別の例としては、輪郭カッターであり、その円周面は不規則な輪郭を有していてもよい。
【0061】
本発明の有利な構成では、軸方向間隔が、複数の切削体の刃先の最大の軸方向幅の、特に複数の切削体の刃先のすべての軸方向幅の平均値の、1%から50%、特に8%から50%、特に8%から35%、特に10%から35%、特に10%から30%、であるように規定される。好都合には、半径範囲間隔は、複数の切削体の刃先の最大の半径方向幅の、特に複数の切削体の刃先の全ての半径方向幅の平均値の、1%から50%、特に8%から50%、特に8%から35%、特に10%から35%、特に10%から30%である。複数の切削体が、互いに軸方向間隔を有する基準点を有する切削体と、互いに半径範囲間隔を有する基準点を有する切削体とを含み、少なくとも1つの軸方向間隔が、最大軸方向幅に関して、特に複数の切削体の全ての軸方向幅の平均値に関して、上記に示された比率の1つにあり、少なくとも1つの半径範囲間隔は、最大の半径方向幅に関して、特に複数の切削体の全ての半径方向幅の平均値に関して、上記に示された比率の1つであるように規定されてもよい。軸方向間隔及び/又は半径範囲間隔の対応する選択により、回転方向に垂直な方向で直接隣接する刃先の重なりの程度を決定することが可能になる。この選択は、歯の数、すなわち回転方向に関して前後に位置する刃先の数にも影響を与える可能性がある。
【0062】
複数の切削体の全ての刃先の軸方向幅は、好ましくは等しいサイズである。加工工具本体の円周面に配置される複数の切削体の全ての刃先の軸方向幅は、好ましくは、等しいサイズである。複数の切削体の全ての刃先の半径方向幅は、好ましくは等しい大きさである。加工工具の本体の端面に配置される全ての切削体の刃先の半径方向幅は、好ましくは等しいサイズである。
【0063】
本発明の有利な改良点では、複数の切削体の刃先の軸方向幅は、異なるサイズである。特に、複数の切削体の刃先の半径方向幅は、異なるサイズである。複数の切削体の刃先の一部の軸方向幅が異なるサイズであり、複数の切削体の刃先の他の部分の半径方向幅が異なるサイズであるように、規定がなされてもよい。一定の軸方向間隔及び/又は一定の半径範囲間隔と組み合わせて、軸方向幅の異なる大きさ及び/又は半径方向幅の異なる大きさによって、所望の歯数を狙い通りに局所的に設定することが可能になる。この組み合わせにより、回転軸の回転方向に直接隣接する基準点との刃先の重なり合う領域の幅を設定することが可能となる。軸方向間隔が一定で軸方向幅が一定の加工工具の場合、歯数は、軸方向幅と軸方向間隔の商に対応する。軸方向幅を変化させることで、軸方向間隔が一定のまま、局所的に歯数を変化させることが可能である。これに対応して、半径方向幅が一定で半径方向間隔が一定の加工工具の場合、半径方向幅と径方向間隔の商から歯数を算出することが可能である。ここで、半径方向幅を変化させることで、半径方向間隔が一定のまま歯数を局所的に変化させることも可能である。このようにして、加工工具本体の選択された位置において、有効なカッターの数を増加させることができる。これは、例えば、歯数を増やすことが望まれるカバー層の加工に有利である。同様に、加工工具の本体の選択された位置で、有効なカッターの数を減らすこともできる。
【0064】
本発明の有利な改良点では、カッター搬送面は、回転軸に垂直な方向に関して、先頭刃先の全体にわたって正確に、及び/又は最終刃先の全体にわたって正確に延び、回転軸の周りを回転方向で完全に走る周辺領域を有する。この周辺領域は、回転方向において先頭刃先の後方及び/又は最終刃先の後方に位置するとも称される。特に、複数の切削体に加えて、複数の切削体に属さない少なくとも1つの更なる切削体が、周辺領域に配置される。加工工具の本体が、回転軸の方向及び/又は回転軸に対する半径方向に周辺領域を有し、複数の切削体に加えて、少なくとも1つの更なる切削体が周辺領域の本体に配置され、及び/又は周辺領域の複数の切削体の刃先の少なくとも1つの軸方向幅及び/又は半径方向幅が周辺領域外の複数の切削体の刃先のそれよりも大きいか小さいことが提供されても良い。特に、少なくとも先頭刃先の軸方向幅及び/又は半径方向幅及び/又は少なくとも最終刃先の軸方向幅及び/又は半径方向幅は、周辺領域の外側の複数の切削体の刃先のそれよりも大きいか又は小さい。
【0065】
これにより、回転方向に垂直な方向の本体の全範囲にわたって、可能な限り均一な歯数を実現することができる。
【0066】
有利には、複数の切削体の刃先の、回転軸の方向に直接隣接する全ての基準点の軸方向間隔は、等しいサイズである。有利には、複数の切削体の刃先の、回転軸の方向に直接隣接する全ての基準点の半径範囲間隔は、等しいサイズである。複数の切削体の刃先の、回転軸方向に直接隣接する全ての基準点の軸方向間隔が等しいサイズであることと、複数の切削体の刃先の、回転軸方向に直接隣接する全ての基準点の半径範囲間隔が等しいサイズであることの両方について規定することもできる。
【0067】
特に、複数の切削体の、回転方向に垂直な方向に直接隣接する基準点間の、回転方向に垂直な方向に測定される間隔は、異なるサイズである。好都合には、複数の切削体の、回転軸方向に直接隣接する基準点間の軸方向間隔は、異なるサイズである。特に、複数の切削体の、回転軸線に関して半径方向に直接隣接する基準点間の半径範囲間隔は、異なるサイズである。特に、複数の切削体の、回転軸方向に直接隣接する基準点の間の軸方向間隔が異なるサイズであることと、複数の切削体の、回転軸に関して半径方向に直接隣接する基準点の間の半径範囲間隔が異なるサイズであることの両方について規定することも可能である。また、一定の軸方向幅及び/又は一定の半径方向幅を組み合わせて、このように歯数を局所的に変化させることも可能である。
【0068】
本発明の有利な改良点では、複数の切削体から任意の方法で選択された基準刃先の基準点は、複数の切削体の他のすべてのものの刃先の基準点に対して、特に加工工具のすべての切削体の刃先の基準点に対して、角度間隔を有し、その角度間隔はそれぞれ角度範囲から単一の角度値の整数倍に対応している。言い換えれば、複数の切削体の全ての基準点間、又は加工装置の全ての切削体の全ての基準点間の全ての角度間隔は、角度範囲からの単一の角度値の整数倍に対応する。特に、加工工具は、単一の角度値の倍数に対応しない角度間隔で加工工具の別の切削体に対して配置された刃先及び基準点を有する切削体を有しない。その結果、全ての刃先の基準点は、加工工具の回転方向に関してフィボナッチ黄金比に従って分布している。これにより、本体の表面全体に理想的な分布が生成される。特に均一な断面が生成される。加工工具による機械加工は、特に低振動で、特に静かに、特に高速に行われる。
【0069】
特に、本体の円周面は、実質的に円柱側面の形状を有する。これは、その上に配置された切削体のない本体の周囲に包絡面(エンベロープ)を配置することができ、その包絡面は、円柱側面の形状を有することを意味する。この包絡面は、切削体を受け入れるための任意の切り欠きを覆うことができる。切り欠きの結果、円周面の実際の形状は、円柱側面の形状からずれる。それでも、円周面は、円柱側面の形状に実質的に対応する。
【0070】
本発明の有利な改良点では、複数の切削体の刃先がそれぞれ、回転軸と刃先の基準点の半径方向から見て、回転軸に対して軸角で傾いていることが規定される。非直線状の刃先の場合、傾斜は、基準点を通るそれぞれの刃先の接線に基づいて測定される。特に、接線は、回転軸に対して半径方向に直交する方向に延びる。軸角は、-90°から+90°の間にある。軸角は、刃先と、基準点を通る回転方向に垂直な平面との間の2つの角度のうち小さい方である。正の軸角は、カッター搬送面の外側に対して反時計回りに測定される。負の軸角は、カッター搬送面の外側に対して時計回りに測定される。複数の切削体の刃先の一部分が0°より大きい軸角を有し、他の部分が0°より小さい軸角を有するように規定してもよい。
【0071】
少なくとも複数の切削体の第1グループと複数の切削体の第2グループとが、加工工具の本体に配置されるように規定してもよい。グループに割り当てられた複数の切削体は、それぞれ個別に、複数の切削体の上述した特性の全て又は一部のみを有してもよい。しかし、グループに割り当てられた複数の切削体は、本発明による複数の切削体の特性を少なくとも有している。特に、第1グループに割り当てられた仮想の第1螺旋線は、第2グループに割り当てられた第2螺旋線に対して、回転軸の周りを反対の回転方向に走る。
【0072】
複数の切削体の刃先は、回転方向に垂直な方向において好都合に重なり合う。特に、複数の切削体の刃先のうち、回転方向に垂直な方向において直接隣接する基準点を有する刃先が重なり合う。特に、複数の切削体の刃先のうち、回転方向と直交する方向に直接隣接する基準点を有する刃先は、全て重なっている。その結果、複数の切削体の刃先によって、回転方向に垂直な方向に関する隙間のない切り屑排出が行われる。これにより、刃先の(回転方向と直交する方向に関する)周辺領域が被加工物に残した痕跡を、この周辺領域と回転方向に関して重なり、回転方向に関して追従する刃先によって消去することが可能になる。
【0073】
上記の任意付加として説明した特徴は、任意の方法で互いに組み合わせることができ、その結果、本発明のさらに有利な構成が得られる。
【0074】
以下、本発明の例示的な実施形態を図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1a】回転軸を中心に回転可能であり、回転軸を囲む円周側面を有する加工工具の斜視図である。
【
図1b】回転軸に関する半径方向における
図1aの加工工具の円周側面の側面図である。
【
図2a】
図1a、1bからの加工工具の円周側面の概略展開図であって、この展開図は、回転軸を中心に展開され、外側を向く図面平面に広げられた外側を示している。
【
図2b】
図1a、1bからの加工工具の円周側面の概略展開図であって、この展開図は、回転軸を中心に展開され、外側を向く図面平面に広げられた外側を示している。
【
図2c】仮想の螺旋線上の
図1a及び1bからの加工工具の刃先の配置を示す概略斜視図である。
【
図2d】仮想の螺旋線上の
図1a及び
図1bからの加工工具の刃先の配置を示す概略側面図である。
【
図3】加工工具の概略側面図であって、複数の切削体が平面螺旋の形態の仮想螺旋線上に配置されている。
【
図4】異なる軸方向幅の刃先を有する加工工具の代替実施形態の概略展開図である。
【
図5】回転軸の方向に直接隣接する刃先の基準点の異なる軸方向間隔を有する加工工具のさらなる実施形態を示す概略展開図である。
【
図6】加工工具の概略正面図であって、複数の刃先が平面螺旋の形態の仮想螺旋線上に配置され、複数の切削体に属さない更なる切削体が周辺領域に配置されている。
【
図7】加工工具の円周側面の概略展開図であって、複数の切削体に属さない更なる切削体が周辺領域に配置されている。
【
図8】加工工具の円周側面の概略展開図であって、複数の切削体の2つのグループが加工工具の本体に配置されており、これらグループは、互いに反対方向に延びる仮想の螺旋線上に配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1aは、加工工具1を示す。加工工具1は、材料を機械加工するためのものである。例示的な実施形態では、加工工具1は、フライス工具、特に中ぐり工具である。しかし、エンドミル、カッターブロック、プロファイルミラーなどであってもよい。加工工具1は、回転軸50を有する。加工工具1は、回転軸50を中心に回転駆動されるようになっている。加工工具1は、本体2を有する。回転軸50は、本体2を貫通している。本体2は、駆動軸(図示せず)を受け入れるための切り欠き部10を有する。加工工具1は、駆動軸に取り付けるように設計されている。
図1aによる例示的な実施形態では、切り欠き部10は、本体2を完全に貫通する開口部である。回転軸50は、切り欠き部10によって形成された開口部を通っている。しかし、切り欠き部10が本体2を完全に通過しないようにすることもできる。
【0077】
本体2上に配置されているのは、複数の切削体であり、
図1aにおいて参照符号3、13、23で例示的にラベル付されている。これらの切削体は、以下、複数の切削体と称する。特に、複数の切削体は、2つ以上、好ましくは3つ以上の切削体から構成される。例示的な実施形態において、複数の切削体は、20から30の切削体を含む。それにもかかわらず、明確化にするために、複数の切削体は、3つの参照符号によって示される。本体2は、カッター搬送面を有する。複数の切削体3、13、23は、カッター搬送面上に配置されている。複数の切削体3、13、23が、加工工具の全ての切削体の単なるサブセットを形成するように、規定されてもよい。例示的な実施形態では、加工工具1の全ての切削体は、複数の切削体3、13、23に属する。複数の切削体3、13、23は、グループとも称される。
【0078】
本体2は、円周面21を有する。
図1a、1b、2a、2b、2c、2d、2e、4及び5による例示的な実施形態では、円周面21は、カッター搬送面である。円周面21は、回転軸50を完全に囲んでいる。本体2は、端面22を有する。端面22は、回転軸50の方向に円周面21を画定している。
図1aによる例示的な実施形態では、複数の切削体3、13、23は、本体2の円周面21上に配置される。本体2の円周面21は、実質的に円筒の側面の形状を有する。円筒の側面の形状からの逸脱として、円周面21は、凹部11を有する。凹部11は、切削体3、13、23を受け入れるために設けられている。切削体が、凹部内ではなく最外円周面上に配置されるようにすることもできる。また、切削体が円周面の高さに配置されるように、規定されてもよい。
図1aによる例示的な実施形態では、複数の切削体3、13、23は、円周面21にのみ配置される。
【0079】
切削体3、13、23は、別個の構成要素として本体2に固定される。切削体3、13、23は、本体にはんだ付けされる。切削体が本体から解放可能に固定されるように規定されてもよい。しかし、切削体が本体と一体的に、かつ物質的に一体的に形成されるように規定されてもよい。
【0080】
動作中、加工工具1は、回転軸50を中心に、回転方向49に回転する。回転方向49は、回転軸50の周りを円周状に走行する。回転方向49は、加工工具1の円周方向とも称される。加工工具1を用いた加工中、複数の切削体3、13、23に割り当てられた刃先4、14、24は、回転方向49に回転する。
【0081】
図1bは、回転軸50に対して半径方向における
図1aの加工工具1の側面図を示す。
【0082】
図2aは、
図1a及び
図1bの円周面21の模式展開図を示す。円周面21は、図面の平面において、回転軸50を中心に展開されている。
図2aは、円周面21の外周側を見た展開図である。複数の切削体3、13、23が模式的に図示されている。複数の切削体3、13、23のそれぞれは、それぞれの刃先4、14、24を有する。第1切削体3は、第1刃先4を有する。第2切削体13は、第2刃先14を有する。第3切削体23は、第3刃先24を有する。刃先4、14、24は、回転方向49に関して、それに割り当てられた切削体3、13、23の前部に配置されている。
【0083】
複数の切削体3、13、23の各刃先4、14、24は、基準点5、15、25を有している。第1刃先4は、第1基準点5を有する。第2刃先14は、第2基準点15を有する。第3刃先24は、第3基準点25を有する。基準点5、15、25は、割り当てられた刃先4、14、24上の定義された点である。様々な基準点5、15、25は、それぞれ割り当てられた刃先4、14、24上にそれぞれ同じように配置される。例として、基準点は、いずれの場合も、先行刃先コーナーであってもよい。例示的な実施形態では、基準点5、15、25は、回転方向49に垂直な方向に関して、特に回転軸50の方向及び/又は回転軸50に対する半径方向に関して、割り当てられた刃先4、14、24の中心である。基準点は、各刃先上の同じ、区別された位置に配置される。基準点が配置される位置は、複数の切削体3、13、23の各刃先について同じ特性を有する。
【0084】
基準点5、15、25は、回転方向49に垂直な方向に互いに間隔をあけて配置されている。
図2aによる例示的な実施形態では、第1基準点5は、第2基準点15に対して第1軸方向間隔a1を有する。第2基準点15は、第3基準点25に対して第2軸方向間隔a2を有する。例示的な実施形態において、基準点5、15、25は、回転軸50に関して互いに間隔を空けて配置されている。これに対応して、軸方向間隔a1、a2は、回転軸50の方向で測定される。
【0085】
回転軸50の方向に関して、第1切削体3に割り当てられる第1基準点5は、第2切削体13に割り当てられる第2基準点15と直接的に間隔をあけて配置されている。複数の切削体3、13、23の基準点は、回転軸50に垂直で、関連する基準点5、15、25を通る仮想平面が直接隣接する場合、直接隣接する。これは、複数の切削体の刃先の直接隣接する2つの基準点の間にある、複数の切削体に属さない(すなわち、複数の切削体の特性を有さない)刃先の基準点の可能性を排除するものではない。回転軸50の方向に関して、第2基準点15は、第3切削体23に割り当てられた第3基準点25に直接隣接している。
【0086】
回転軸50の方向に関して直接隣接する、複数の切削体3、13、23の基準点5、15、25は、互いに軸方向間隔a1、a2で配置されている。
【0087】
例示的な実施形態(例えば
図2a)において、複数の切削体3、13、23の刃先4、14、24は、回転方向49に垂直な方向に関して、特に回転軸50の方向に関して重なり合っている。重なり合う刃先に対して、回転方向49の方向に垂直な仮想平面、例示的な実施形態では回転軸50に垂直な仮想平面が存在し、この仮想平面で2つの重なり合う刃先が交差する。
【0088】
複数の切削体5、15、25の刃先4、14、24は、回転方向49に垂直な方向、特に回転軸の方向に関して隙間なく重なり、したがって、全体刃先(overall cutting edge)を形成している。全体刃先は、第1端点7と第2端点8とを有する。第1端点7及び第2端点8は、それらの対向する長手方向端部において全体刃先を画定している。例示的な実施形態において、加工工具1の切削体の全ては、複数の切削体5、15、25に属する。しかし、例えば、他の切削体に対して対応する角度間隔で配置されていないため、複数の切削体に属さない切削体を設けてもよい。いずれの場合も、加工工具1の全ての切削体の刃先は、全体刃先の第1端点7と第2端点8との間に配置される。
図2a及び2bによる例示的な実施形態では、第1仮想上の区切り面が第1端点7を貫き、第2仮想上の区切り面が第2端点8を貫く。第1区切り面及び第2区切り面はそれぞれ、回転軸50に対して垂直に走る。加工工具1の全ての切削体の刃先は、第1区切り面と第2区切り面との間に配置されている。
【0089】
先頭(最初)の切削体は、第1端点7に割り当てられる。
図2a及び2bによる例示的な実施形態では、先頭の切削体は、第1切削体3である。最終の切削体53は、第2端点8に割り当てられる。
【0090】
刃先全体の内、複数の切削体3、13、23の刃先4、14、24は、それぞれの場合、回転方向49に垂直な方向に関して、例示的な実施形態では回転軸50の方向に関して(
図1a、1b、2a、2b、2c、2d、2e、4、5)、又は回転軸50に関する半径方向に関して(
図3)、部分的にのみ重なり合っている。刃先全体の内、複数の切削体3、13、23の刃先4、14、24が、それぞれの場合、回転軸50の方向に関して、及び回転軸50に関する半径方向に関して、部分的にのみ重なり合うように規定されてもよい。
【0091】
刃先4、14、24は、回転方向49に垂直に測定された幅を有する。
図2aによる例示的な実施形態では、複数の刃先4、14、24の全ての幅は、等しい大きさである。それら幅は、回転軸50の方向に延び、軸方向幅ab1、ab2、ab3と称される。軸方向幅ab1、ab2、ab3は、回転軸50の方向で測定される。第1軸方向幅ab1は、第1刃先4の幅である。第2軸方向幅ab2は、第2刃先14の幅である。第3軸方向幅ab3は、第3刃先24の幅である。
【0092】
第1基準点5と第2基準点15との間の第1軸方向間隔a1は、複数の切削体3、13、23の刃先4、14、24の最大軸方向幅ab3、又はab1若しくはab2の、1%から100%、特に8%から100%、特に8%から55%、特に8%から35%、特に10%から35%、例示的な実施形態において10%から30%となっている。
【0093】
第1基準点5と第2基準点15との間の第1軸方向間隔a1は、複数の切削体3、13、23の全ての刃先4、14、24の軸方向幅ab1、ab2、ab3の平均値の、1%から100%、特に8%から100%、特に8%から55%、特に10%から35%、例示的な実施形態において10%から30%となっている。
【0094】
図2aによる例示的な実施形態において、複数の切削体3、13、23の全ての刃先4、14、24の軸方向幅ab1、ab2、ab3は、等しい大きさである。回転方向49に垂直な方向で、例示的な実施形態では、回転軸50の方向に直接隣接する複数の切削体3、13、23の基準点5、15、25の全ての間の軸方向間隔a1、a2は、等しい大きさである。これに対応して、記載された比率は、第2軸方向間隔a2(及び残りの軸方向間隔の全て)についても、最大の軸方向幅ab3、又はab1若しくはab2、又はそれぞれ、複数の切削体3、13、23の刃先4、14、24の全ての軸方向幅ab1、ab2、ab3の平均値に対して適用される。
【0095】
回転方向49に垂直な方向に関して、
図2aによる例示的な実施形態において回転軸50の方向に関して、直接隣接する基準点5、15、25を有する複数の切削体3、13、23のすべての刃先4、14、24は、回転方向49に垂直な方向に関して、
図2aによる例示的な実施形態において、回転軸50の方向に関して重なり合う。
【0096】
図2aに示されるように、基準点5、15、25は、互いに角度間隔Φ1、Φ2を有する。第1基準点5は、第2基準点15に対して第1角度間隔Φ1を有して配置されている。第2基準点15は、第3基準点25に対して第2角度間隔Φ2を有して配置されている。第1角度間隔Φ1は、回転軸50に関して測定される。大きさに関して、第1基準点5は、第2基準点15から第3基準点25までと同じ角度間隔を、第2基準点15まで有する。第1角度間隔Φ1は、回転軸50に垂直な平面で回転軸50周りに測定される。第2角度間隔Φ2は、回転軸50に関して測定される。第2角度間隔Φ2は、回転軸50に垂直な平面で回転軸50周りに測定される。第2角度間隔Φ2は、第1角度間隔Φ1と同じ大きさである。第1角度間隔Φ1は、回転方向49に垂直な方向に直接隣接する基準点5と15との間で測定される。第2角度間隔Φ2は、回転方向49に垂直な方向に直接隣接する基準点15と25との間で測定される。
【0097】
角度間隔Φ1、Φ2は、それぞれ角度値の整数倍である。角度値は、角度範囲内にある。
【0098】
角度範囲は、10°から350°、特に30°から330°、特に60°から270°、好ましくは90°から180°に及ぶ。
【0099】
例示的な実施形態では、角度範囲は、黄金角を中心に±5°に及ぶ。角度範囲は、第1限界値から第2限界値までである。第1限界値は、黄金角の大きさと5°との差に対応する。第2限界値は、黄金角の大きさと5°との和に対応する。黄金角は、角度範囲内にあり、そこに含まれる。
【0100】
例示的な実施形態において、角度間隔Φ1、Φ2はそれぞれ、固定角度値の整数倍である。この文脈での「固定角度値」という用語は、角度範囲から単一の角度値が選択され、角度間隔Φ1、Φ2が当該角度値に基づいて決定されることを意味する。しかし、異なる角度間隔に対して角度範囲から異なる角度値を選択することもできる。
【0101】
また、整数倍数の集合は、特異倍数も含む。角度間隔Φ1、Φ2はまた、角度値の1倍に相当してもよい。これは、例示的な実施形態の場合である。角度値は、黄金角に対して±5°の角度範囲にある。黄金角は、黄金角と対向角の和が周角を生成すること、及び黄金角と対向角の比が周角と対向角の比に等しいという点で定義される。周角は360°である。黄金角は約137.5°である。角度値が存在する角度範囲は、黄金角を構成する。角度値が132.5°から142.5°の角度範囲にあるように規定することもできる。例示的な実施形態では、角度値は、黄金角に対して±1°の角度範囲にある。例示的な実施形態では、角度値は、136.5°から138.5°の角度範囲にある。例示的な実施形態では、角度値は、黄金角に関して±0.5°の角度範囲にある。例示的な実施形態では、角度値は、137°から138°の角度範囲にある。
【0102】
カッター搬送面の上方には、
図2bに破線で図示されている仮想の螺旋線6が、先頭の切削体(
図2aによる例示的な実施形態では、第1切削体3)から最終の切削体53に至るまで延びている。仮想の螺旋線6は、先頭刃先から最終刃先まで途切れることなく続いている。先頭刃先は、切削体3の刃先4である。最終刃先は、切削体53の刃先54である。螺旋線6は、
図2c及び
図2dにも図示されている。螺旋線6は、中心軸の周りを走る。中心軸は回転軸に対応する。螺旋線6は、少なくとも部分的に、特に完全に、例示的な実施形態では複数回、中心軸の周りを走行する。螺旋線6は、回転方向49に垂直な方向に進行度faを有する。螺旋線6は、回転軸50(
図2b)周りの回転角度に関して進行度fbを有する。螺旋線6の進行度faと螺旋線6の進行度fbの商fa/fbは、螺旋線6の勾配、特にゼロに向かうfbに対する商fa/fbの限界に対応する。商fa/fb、又はその限界は、螺旋線6の各点における勾配を示す。好都合なことに、螺旋線6の勾配は、特に螺旋線6の各点について、ゼロよりも大きい。特に、進行度faは、進行度fbに比例する。進行度faと進行度fbとの間のこの関係は、特に、螺旋線6の任意の所望の点に当てはまる。例示的な実施形態では、螺旋線6は一定の勾配を有する。しかし、螺旋線が回転方向49に垂直な方向に関して異なる勾配を有するようにすることもできる。また、螺旋線6が勾配のジャンプを有するようにすることもできる。
図2aから
図2dによる例示的な実施形態では、回転軸50の方向における螺旋線6の進行度faは、回転軸50の周りの回転角に関して螺旋線6の進行度fbに比例する。
図2a、2b、2c、2d、2eによる例示的な実施形態では、螺旋線は、螺旋の形態を有する。螺旋線は、スクリュー線又は円筒螺旋とも呼ばれる。しかし、カッター搬送面の形状に応じて、螺旋線の他の形状も提供され得る。一例として、螺旋線は、(
図3による例示的な実施形態の螺旋線6のように)平面螺旋の形態を有していてもよい。カッター搬送面が円錐形の場合、螺旋線は円錐螺旋の形状を有する。回転方向に垂直な方向に関してカッター搬送面の波形輪郭の場合、螺旋線の形状は、半径に関して異なっていてもよい。
【0103】
螺旋線6は、実質的に一定の間隔でカッター搬送面まで延びている。加工工具1のすべての刃先は、加工工具1の回転中に包絡面を通過する。螺旋線6は、この包絡面内を走行する。
図2cによる例示的な実施形態では、包絡面は、円柱側面である。しかし、包絡面が他の任意の回転面であるようにしてもよい。これは、例えば、輪郭カッターの場合である。この場合、回転軸の方向に対する螺旋線の回転軸までの間隔は変化する。次に、回転軸50を含む平面内の包絡面に沿って、回転方向に垂直な方向の螺旋線の進行が測定される。ここで、この平面と包絡面との間の切断線の経路積分は、螺旋線上の開始点から進行点までで決定される。進行点と平面と螺旋線との交点との間の角度間隔(当該角度間隔は、回転軸に垂直な平面において、進行点を通って測定される)は、回転角に関する螺旋線の進行度を規定する。包絡面は、実質的に一定の間隔でカッター搬送面まで延びている。
【0104】
螺旋線6は、それ自身が周りを走る中心軸を有する。中心軸は、回転軸50(
図2c)に対応する。螺旋線が部分的にのみ、すなわち回転軸の周りを360°未満にわたって走行するようにしてもよい。例示的な実施形態では、螺旋線6は、回転軸50の周りを複数回走行する。
【0105】
複数の切削体3、13、23の全ての刃先4、14、24は、少なくとも部分的に螺旋線6上に配置される(
図2c)。複数の切削体3、13、23のうち、回転方向49に垂直な方向に直接隣接する基準点5、15、25の刃先4、14、24は、螺旋線6上で直接隣接する。
【0106】
図2a、2b、2c、2d、2eによる例示的な実施形態では、複数の切削体3、13、23のすべての刃先4、14、24の基準点5、15、25は、螺旋線6の両側で回転方向49に垂直な方向に延びる螺旋領域(図示せず)に配置されている。回転方向49に垂直な方向、特に回転軸50の方向に、螺旋領域は、複数の切削体3、13、23の刃先4、14、24の軸方向幅のすべての平均値の100%、特に75%、特に50%、特に25%、特に10%の螺旋幅にわたって延在している。螺旋線6は、螺旋領域を等しい大きさの2つの半分に分割する。
【0107】
加工工具1は、複数の切削体3、13、23の単一のグループのみを含み、その刃先4、14、24は、刃先全体の端点7、8の間で、回転方向49に垂直な方向に関して隙間なく重なり、その刃先4、14、24は、螺旋線6上に少なくとも部分的に配置されている。
【0108】
図2a、2b、2c、2d、2eによる例示的な実施形態では、複数の切削体3、13、23の全ての刃先4、14、24の基準点5、15、25は、回転軸50の周りを走る仮想の螺旋線6上に配置されている。
【0109】
特に、刃先4、14、24が仮想の螺旋線6上に少なくとも部分的に配置されている複数の切削体3、13、23以外に、それ以上の切削体は本体2上に配置されていない。しかし、刃先4、14、24が仮想の螺旋線6上に少なくとも部分的に配置されている複数の切削体3、13、23以外に、さらなる切削体が本体2上に配置されることが規定されてもよい。
【0110】
少なくとも複数の切削体の第1グループと複数の切削体の第2グループとが、加工工具の本体上に配置されてもよい。グループに割り当てられた複数の切削体はそれぞれ、複数の切削体の上述した特性の全て又は一部のみを個別に有してもよい。特に、第1グループに割り当てられた仮想の第1螺旋線は、第2グループに割り当てられた第2螺旋線と反対の回転方向で、回転軸の周りを走る。第1螺旋線及び第2螺旋線は、螺旋線6の上述した特性を有する。第1螺旋線に割り当てられた第1グループの複数の切削体の刃先と、第2螺旋線に割り当てられた第2グループの複数の切削体の刃先とは、それぞれの螺旋線に関して、
図2a、2b、2cに関連して前述したように位置決めされている。
【0111】
図2eは、
図2aの図を示している。切削体3の刃先4は、複数の切削体3、13、23から形成される刃先全体の先頭刃先である。切削体53の刃先54は、刃先全体の最終刃先である。回転方向49に垂直な方向に関して、
図2eによる例示的な実施形態では回転軸50の方向で、先頭刃先と最終刃先の間に完全に位置する刃先全体の領域は、刃先全体の中間領域を形成する。中間領域は、先頭刃先の端点と最終刃先の端点との間に延び、それら端点は、回転方向49に垂直な方向に関して、例示的な実施形態では、回転軸50の方向に関して互いに向かい合っている。
図2eにおいて、破線の区切り面B1及びB2が描かれており、これらはそれぞれ、回転方向49に垂直な方向に垂直に延在し、
図2において回転軸50に垂直に延在している。
図2eでは、区切り面B1及びB2は平面である。しかし、区切り面の別の形態も提供され得る。
図3による例示的な実施形態では、区切り面B3及びB4の形状は、円筒の側面の形状に対応する。
図2eにおいて、刃先全体の中間領域は、幅zにわたって延びている。回転方向49における先頭刃先(刃先4)の後方にあり、回転方向49で最後の刃先(刃先54)の後方にある領域は、刃先全体の中間領域に属さない。刃先全体は、先頭刃先と最終刃先との間に完全に位置する刃先を含む。回転方向49に垂直な方向に関して、さらなる刃先は、部分的にのみ中間領域にある。
図2eでは、例として、刃先24及び34は、中間領域に部分的にしか存在しない。刃先64、74、84及び94は、完全に中間領域にある。
【0112】
全体の切れ刃を形成し、同じ螺旋線6上に配置された複数の切削体3、13、23のグループは、最小数の歯を有する。歯の最小数は、刃先全体の中間領域において少なくとも回転方向49に前後して配置される刃先24、34、64、74、84、94の数である。刃全体を形成する複数の切削体3、13、23のグループ。歯の最小数を確認するとき、回転軸50に関して360°を完全に1回転することが考慮される。各刃先は1回だけカウントされます。数えるとき、刃先全体の中間領域にのみ突出する刃先も考慮される。数えるとき、全刃先の中間領域に部分的にしか配置されていない刃先も考慮される。複数の切削体に属さない切削エッジは、歯の最小数を確認する際に考慮されない。全体刃先を形成し、同じ螺旋線6上に配置された複数の切削体3、13、23のグループは、最小数の歯を有する。歯の最小数は、全体刃先を形成する複数の切削体3、13、23のグループのうち、全体刃先の中間領域において、少なくとも回転方向49に互いに前後して配置される刃先24、34、64、74、84、94の個数である。歯の最小数を確認する際には、回転軸50に関して360°を完全に1回転することが考慮される。各刃先は一度だけカウントされる。数えるとき、全体刃先の中間領域にのみ突出する刃先も考慮される。数えるとき、全体刃先の中間領域に部分的にしか配置されていない刃先も考慮される。複数の切削体に属さない刃先は、歯の最小数を決定する際に考慮されない。
【0113】
図2eによる例示的な実施形態において、歯の最小数は、区切り面B1、B2の間に任意の方法で配置され、回転軸50に垂直に走る断面平面Uと少なくとも交差する、複数の切削体3、13、23の複数の刃先24、34、64、74、84、94の個数に対応する。
【0114】
すなわち、歯の最小数は、回転方向に垂直な方向に関して、全体刃先の先頭刃先と最終刃先の間に完全に任意な方法で配置された円と少なくとも交差する、複数の切削体3、13、23の刃先64、74、84、94の個数に対応する。ここで、その円は、回転軸5回転軸50を中心とする回転方向49で、回転軸50に垂直な平面内を走る。この円は、加工工具の全ての刃先の包絡面上を走行する。特に、円の半径は、円の高さにおける、複数の切削体の刃先の回転軸に対する間隔に対応する。
【0115】
複数の切削体3、13、23のグループの刃先は、歯の最小数が少なくとも2つ、特に少なくとも3つとなるように、回転方向49に垂直な方向に関して重なり合う。例示的な実施形態では、歯の最小数は4個である。最小の歯の数が2から16、特に2から8、とりわけ4から8であるように規定することもできる。
【0116】
複数の切削体の他に、機械加工工具は、さらなる切削体も備え、それらの刃先は、互いに角度間隔を有する基準点を有し、複数の切削体の刃先の基準点の角度間隔とは異なっていることが提供されてもよい。これは、例示的な実施形態には当てはまらない。
【0117】
図2a及び
図2bにおいて、複数の切削体3、13、23の全てから任意の所望の刃先4、14、24を基準刃先として選択してもよい。この任意に選択された基準刃先の基準点5、15、25は、加工工具1の残りの全ての切削体3、13、23の刃先の基準点に対して角度間隔Φ1、Φ2を有しており、当該角度間隔は、固定角度値の整数倍に対応する。
【0118】
図2a及び2bによる例示的な実施形態では、複数の切削体3、13、23の全ての、回転方向49に垂直な方向で、例示的な実施形態では回転軸50の方向で互いに直接隣接する基準点5、15、25の全てが、大きさに関して等角度間隔で配置される。複数の切削体3、13、23を除いて、本体2にさらなる切削体は配置されていない。
【0119】
複数の切削体3、13、23に属する切削体は、以下の特性のうち少なくとも1つを有する。
-その刃先の基準点から、回転方向に垂直な方向に離間した、更なる刃先の基準点までの角度間隔は、角度値の倍数であり、又は
-仮想の螺旋線上に配置され、その刃先は、螺旋線上に配置された更なる刃先と共に、回転方向に垂直な方向に関して隙間なく重なり、歯の最小数が2個の全体刃先を形成する必要がある。
【0120】
第1切削体3の第1刃先4の第1基準点5から進んで、第2切削体13の第2刃先14の、回転方向49に垂直な方向に直接隣接する第2基準点15は、角度間隔Φ1及び軸方向間隔a1の大きさだけオフセットするように本体2上に配置される。
図2aによる例示的な実施形態において、第1基準点5と回転方向49に垂直な方向に直接隣接する第2基準点15との間の角度間隔Φ1の大きさと、第2基準点15と回転方向49に垂直な方向に直接隣接する第3基準点25との間の角度間隔Φ2の大きさは、同じサイズである。
図2aによる例示的な実施形態では、第1基準点5と回転方向49に垂直な方向に直接隣接する第2基準点15との間の軸方向間隔a1の大きさと、第2基準点15と回転方向49に垂直な方向に直接隣接する第3基準点25との間の軸方向間隔a2の大きさは、同じサイズである。回転方向49に垂直な方向において第2基準点15に直接隣接する第3基準点25は、第2基準点25に対して、角度間隔Φ1の大きさ又は角度間隔Φ2の大きさ、及び軸方向間隔a1の大きさ又は軸方向間隔a2の大きさだけ、それぞれオフセットするように本体2上に配置される。
図2a及び2bによる例示的な実施形態では、連続的に配置された切削体の全てが、このパターンに従って本体2上に配置されている。回転方向に垂直な方向に直接隣接する基準点の角度間隔のすべての大きさは、例示的な実施形態において、同じサイズである。回転方向に垂直な方向に直接隣接する基準点の軸方向間隔の全ての大きさは、例示的な実施形態において、同じサイズである。
【0121】
図2aに模式的に示されているように、複数の切削体3、13、23の刃先4、14、24は、それぞれ直線的に延びていてもよい。また、刃先の輪郭が湾曲している場合、刃先の接線を基準点に配置してもよい。
図2aでは、模式的に図示された刃先24、34に接線が作成されている。接線26及び36は、それぞれ基準点を通過している。回転軸50及び複数の切削体3の基準点5、15、25に関する半径方向の図において、それぞれの刃先4、14、24又はその接線26、36は、回転軸50に対して軸角λ1、λ2だけ傾いている。特に、接線26、36は、回転軸50に関して半径方向に垂直な方向に延びる。軸角λ1、λ2は、-90°と+90°の間にある。軸角λ1、λ2は、刃先4、14、24と、基準点5、15、25を通り回転方向49に垂直な平面との間の2つの角度のうち小さい方である。正の軸角λ2は、カッター搬送面の外側に対して反時計回りに測定される。負の軸角λ1は、カッター搬送面の外側に対して時計回りに測定される。例示的な実施形態では、複数の切削体3、13、23の刃先4、14、24の一部分は、0°より大きい軸角λ2を有し、他の部分は、0°より小さい軸角λ1を有する。
【0122】
軸角λ1、λ2は、-90°から+90°の値をとることができる。
【0123】
回転軸50に関して半径方向に見た場合、及び、傾斜したそれぞれの刃先4、14、24のそれぞれの基準点5、15、25を見て、回転軸50は、基準点5、15、25を含む平面上にある。軸角λ1、λ2は、刃先4、14、24とこの平面との間の角度である。
【0124】
第1軸角λ1は、0°よりも大きく90°までであり、例示的な実施形態では、10°から80°までである。第2軸角λ2は、-90°から0°よりも小さく、例示的な実施形態では、-80°から-10°である。例示的な実施形態において、第1軸角λ1及び第2軸角λ2は、大きさに関して同じサイズである。
【0125】
複数の切削体3、13、23、33の一部分は、第1軸角λ1を具備する刃先4、14、24を有する。複数の切削体3、13、23、33の別の部分は、第2軸角λ2を具備する刃先34を有する。また、複数の切削体の全ての刃先が同じ軸角、例えば、軸角λ1で配置されるようにすることもできる。複数の切削体の全ての刃先の軸角が、大きさに関して異なるサイズであるようにすることもできる。
【0126】
図2aでは、刃先34及び基準点35を有する切削体33が、例として図示されている。刃先34は、回転軸に対して第2軸角λ2で配向される。本体2は、分離面Tを有する。分離面Tは、回転軸50に関して垂直に延びている。分離面Tは、本体2を第1領域と第2領域とに分割する。刃先4、14、24を有する切削体3、13、23は、その基準点5、15、25が第1領域に配置され、回転軸50に対して第1軸角λ1で配向される。刃先34を有する切削体33は、その基準点35が第2領域に配置され、回転軸50に対して第2軸角λ2で配向される。割り当てられた軸角の符号の変更は、第1領域と第2領域との間で行われる。軸角は、複数の切削体の刃先が、回転軸50の方向に関して本体2の内部に向かってくし形になるように選択される。
【0127】
図3は、別の実施形態を示す模式図である。本体2も、円筒形状を有する。本体2は、回転軸50の方向に端面22によって区切られている。複数の切削体303、313、323(再度同様に、例として、多数の切削体のうちの3つだけに番号が付けられている)は、端面22に配置されている。複数の切削体303、313、323は、刃先304、314、324を有する。複数の切削体303、304、314の各刃先304、314、324は、正確に1つの基準点305、315、325を有する。
【0128】
基準点305、315、325は、回転方向49に垂直な方向に関して、刃先304、314、324の中心に位置する。
図3による例示的な実施形態では、基準点305、315、325は、回転軸50に対する半径方向に関して、刃先304、314、324の中心に位置する。
図3による例示的な実施形態では、回転方向49に垂直な方向は、回転軸50に関して半径方向に延びる。複数の切削体303、313、323の刃先304、314、324の、回転方向に垂直な方向に直接隣接する基準点305、315、325は、それぞれ回転軸50に対して互いに角度間隔Φ1、Φ2で配置されている。角度間隔については、
図2aから
図2eによる例示的な実施形態に関して説明したのと同じことが適用される。
【0129】
基準点305、315、325は、回転軸50に関して半径方向に互いに間隔をあけて配置されている。回転方向49に垂直な方向、すなわち回転軸50に関して半径方向に直接隣接する基準点305、315、325の刃先304、314、315は、回転方向49に垂直な方向に重なる。
【0130】
複数の切削体303、313、323の刃先304、314、324は、回転軸50に関して半径方向に測定された半径方向幅rb1を有する。回転方向49に直交する方向に隣接する基準点305、315、325は、互いに半径範囲間隔ra1で配置される。半径範囲間隔ra1は、半径方向に隣接する基準点315及び305のより大きい半径方向間隔r2とより小さい半径方向間隔r1との差に対応する。半径方向間隔r1、r2は、基準点305、315から回転軸50までの間隔である。半径範囲間隔の位置は、
図3で複数の破線の円で視覚化されており、それぞれ基準点を通る。
【0131】
図3による例示的な実施形態では、回転方向49に垂直な方向に直接隣接する基準点305、315、325のすべての間の半径範囲間隔ra1は、等しいサイズである。しかし、半径範囲間隔が異なるサイズであるように規定してもよい。複数の切削体303、313、323の全ての刃先304、314、324の半径方向幅rb1も、等しいサイズである。しかし、半径方向幅が異なるサイズであるように規定してもよい。
【0132】
第1基準点305と第2基準点315との間の半径範囲間隔ra1は、複数の切削体303、313、323の刃先304、314、324の最大半径方向幅rb1の、1%から100%、特に8%から100%、特に8%から55%、特に8%から35%、特に10%から35%、例示的な実施形態では10%から30%、である。
【0133】
第1基準点305と第2基準点315との間の半径範囲間隔ra1は、複数の切削体303、313、323の刃先304、314、324の全ての半径方向幅rb1の平均値の、1%から100%、特に8%から100%、特に8から55%、特に8%から35%、特に10から35%、例示的な実施形態では10%から30%、である。
【0134】
図3による例示的な実施形態では、複数の切削体303、313、323の刃先304、314、324は、回転方向49に垂直な方向に関しても隙間なく重なり、したがって全体刃先を形成している。第1刃先304は、全体刃先の先頭刃先である。刃先354は、全体刃先の最終刃先である。全体刃先は、中間領域を有する。中間領域は、回転方向49に垂直な方向に関して、
図3では回転軸50に関する半径方向において、先頭刃先と最終刃先の間に完全に位置する。
図3において、中間領域は、破線で図示された区切り面B3及びB4によって区切られている。区切り面B3、B4はそれぞれ、円筒の側面の形状を有している。加工工具1の全ての刃先は、回転方向49に垂直な方向に関して、全体刃先のうち、先頭刃先に割り当てられた端点と、最終刃先に割り当てられた端点との間に配置されている。
【0135】
端面22上では、仮想の螺旋線6が、先頭刃先から最終刃先に至るまで延びている。
図2a、2b、2c、2d、2eによる例示的な実施形態に関して説明した螺旋線とは対照的に、
図3による螺旋線6は、平面螺旋の形態を有する。それ以外は、そこに記載されている特性の全てを有する。回転方向49に垂直な方向は、軸方向ではなく、半径方向に延びている。これに対応して、回転軸50に関する螺旋線6の半径方向への進行は、回転軸50の周りの回転角度に関する螺旋線6の進行に比例する。しかし、螺旋線6の変化する勾配も提案され得る。
【0136】
歯の最小数は、
図2a、2b、2c、2d、2eに類似した方法で定義される。回転軸50の周りを走る任意の所望の円上(例えば、
図3の中間領域の破線の1つ)の全体刃先の中間領域にある刃先の最小数は、歯の最小数に対応する。複数の切削体303、313、323の刃先304、314、324は、回転方向49に垂直な方向に関して、すなわち回転軸50に関する半径方向に関して、歯の最小数が少なくとも2つ、特に少なくとも3つ、例示的な実施形態では少なくとも4つとなるように重なり合っている。複数の切削体303、313、323の刃先304、314、324は、それぞれ、回転方向49に垂直な方向に関して、
図3では回転軸50に関する半径方向に関してのみ部分的に相互に重なり合っている。
【0137】
図2a、2b、2c、2d、2e及び3による例示的な実施形態は、互いに組み合わせることも可能である。そして、複数の切削体の刃先は、円筒形本体の端面上に配置された先頭刃先から始まり、まず端面上で平面螺旋の形態で展開し、次に円周面上に配置された螺旋の形態で、最終刃先まで継続する螺旋線上に配置される。この連続性は、特に継ぎ目のない形で実現されている。
【0138】
図4は、加工工具1の代替の例示的な実施形態の概略展開図を示す。
図4による加工工具1の基本構造は、
図1a、1b、2a、及び2bによる加工工具1の基本構造と同一である。同一の構成要素又は同一の方法で配置された構成要素及び同一の変数は、同一の参照符号で示される。基本的な構造及び
図1a、1b、2a及び2bによる例示的な実施形態に関して変更されていない任意の設計に関しては、
図1a、1b、2a及び2bによる例示的な実施形態に関する記述が参照される。以下の文章では、
図4による例示的な実施形態と
図1a、1b、2a、及び2bによる例示的な実施形態との間の相違点のみが説明される。
【0139】
図4による加工工具1は、
図1a、1b、2a、及び2bによる例示的な実施形態とは、黒色で示された切削体の設計によって異なる。
【0140】
複数の切削体は、
図4に例示的に番号を付した黒塗りの切削体103、113、123を含む。本体2上の切削体33の位置及び切削体33の構成は、
図1a、1b、2a及び2bによる例示的な実施形態に関して変更されていない。さらに、切削体33も、複数の切削体の一部である。切削体33の刃先34は、
図2a及び2bと
図4の両方において、軸方向幅ab4を有する。
【0141】
図2a、2bの切削体3、13、23は、
図4では切削体103、113、123に置き換わっている。切削体103、113、123は、基準点105、115、125を有する刃先104、114、124を有する。基準点105、115、125は、それぞれ、切削体103、113、123によって置き換えられた切削体3、13、23の基準点5、15、25と、同じ本体2上の位置に配置されている。切削体103、113、及び123の基準点105、115、及び125は、それぞれ、回転方向49に垂直な方向、例示的な実施形態では回転軸50の方向に、互いに直接隣接して配置されている。基準点105、115、125は、
図2による例示的な実施形態における基準点5、15、25と同じ軸方向間隔a1、a2、a3を互いに有している。
【0142】
図4による例示的な実施形態では、切削体103、113、123の刃先104、114、124は、回転方向49に垂直に測定された幅を有する。それら幅は、回転軸50の方向に延び、軸方向幅ab101、ab102、ab103と称される。軸方向幅ab101、ab102、ab103は、回転軸50の方向で測定される。軸方向幅ab101は、刃先104に割り当てられている。軸方向幅ab102は、刃先114に割り当てられている。軸方向幅ab103は、刃先124に割り当てられている。軸方向幅ab101、ab102、ab103は、同じサイズである。
【0143】
複数の切削体33、103、113、123の刃先の、回転方向49に垂直に測定した幅は、異なるサイズである。切削体103、113、123の刃先104、114、124の軸方向幅ab101、ab102、ab103と、切削体33の刃先34の軸方向幅ab4は、異なるサイズである。
【0144】
切削体103、113、123の刃先104、114、124の軸方向幅ab101、ab102、ab103がより大きく、同時に、本体2上の基準点105、115、125の配置が、
図2a及び2bによる例示的な実施形態における基準点5、15、25の配置に関して変化しないことにより、刃先104、114、124は、回転方向49に垂直な方向、例示的な実施形態では回転軸50の方向に、
図2a及び2bよりも
図4でより大きく重なっている。
図4による例示的な実施形態では、複数の切削体33、103、113、123の一部分は、他の部分よりも大きな範囲で重なっている。
【0145】
図5は、加工工具1のさらなる代替の例示的な実施形態の概略展開図である。
図5による加工工具1の基本構造は、
図1a、1b、2a及び2bによる加工工具1の基本構造と同一である。同一の構成要素又は同一の方法で配置された構成要素及び同一の変数は、同一の参照符号で示される。基本的な構造及び
図1a、1b、2a及び2bによる例示的な実施形態に関して変更されていない任意の設計に関しては、
図1a、1b、2a及び2bによる例示的な実施形態に関する記述を参照されたい。以下の文章では、
図5による例示的な実施形態と
図1a、1b、2a、及び2bによる例示的な実施形態との間の相違点のみが説明される。
【0146】
図5による加工工具1は、
図1a、1b、2a、2bによる例示的な実施形態と、本体2上の黒色で示された切削体の配置によって異なる。
【0147】
複数の切削体は、
図5に例示的に番号を付した黒塗りの切削体203、213及び223を含む。また、さらなる切削体が、参照指定43で示される。切削体43もまた、複数の切削体の一部である。また、さらなる切削体が、参照指定133によって示される。切削体133もまた、複数の切削体の一部である。
【0148】
図2aからの切削体3、13、23は、
図5において切削体203、213、223に置き換えられている。切削体203、213、223は、基準点205、215、225を有する刃先204、214、224を有している。刃先204、214、224は、
図2aによる例示的な実施形態における刃先4、14、24と同じ軸方向幅ab1、ab2、ab3を有している。切削体43は、基準点45を有する刃先44を有する。切削体133は、基準点135を有する刃先134を有している。
【0149】
基準点205、215、225は、それぞれ、切削体203、213、223によって置き換えられた切削体3、13、23の基準点5、15、25に対して本体2上の異なる位置に配置されている。切削体203、213、223の基準点205、215、225は、それぞれ、回転方向49に垂直な方向、例示的な実施形態では回転軸50の方向に互いに直接隣接して配置されている。基準点205、215、225は、
図2aによる例示的な実施形態における基準点5、15、25とは異なる相互の軸方向間隔a201、a202、a203を有している。基準点205は、基準点215に対する軸方向間隔a201を有する。基準点215は、基準点225に対して軸方向の間隔a202を有する。
図5による例示的な実施形態では、基準点205、215、225はまた、回転軸50に関して互いに間隔を空けて配置されている。これに対応して、軸方向間隔a201、a202は、回転軸50の方向で測定される。
【0150】
基準点135は、基準点45に対して軸方向間隔a3を有している。基準点135と45との間の軸方向間隔a3は、
図2aからの軸方向間隔a1及びa2に大きさの点で対応する。基準点135及び45は、回転方向49に垂直な方向、例示的な実施形態では回転軸50の方向に互いに離間しており、これらの方向において互いに直接隣接している。
【0151】
複数の切削体203、213、223、133、及び43の刃先204、214、224、34、及び44の、回転軸50方向に直接隣接する基準点205、215、225、35、及び45間の軸方向間隔a3、a201、a202は異なるサイズである。基準点205、215、225の互いの軸方向間隔a201、a202は、
図2aによる例示的な実施形態における基準点5、15、25の軸方向間隔a1、a2よりも小さい。その結果、回転方向に垂直な方向に関して本体2上に連続的に配置される基準点の位置も、
図2aと比較して変化している。基準点205、215、225の互いの軸方向間隔a201、a202は、基準点35、45の互いの軸方向間隔a3よりも小さい。軸方向間隔a201、a202は、軸方向間隔a3の1%から99%、特に30%から99%、特に50%から99%、特に50%から90%、特に30%から70%である。
【0152】
切削体133の刃先134は、
図2aからの軸方向幅ab4に大きさが対応する、軸方向幅ab4を有する。
図5における残りの、黒塗りされていない切削体の刃先の軸方向幅は、
図2aにおける対応する切削体の刃先の軸方向幅と同じサイズである。
図5からの切削体133は、
図2aからの切削体33に対応する。切削体133の基準点135だけが、切削体33の基準点35に対して以前とは異なるカッター搬送面上の位置に配置されている。
【0153】
図5による例示的な実施形態における切削体203、213、223、及び133の刃先204、214、224、及び134の軸方向幅ab1、ab2、ab3、及びab4が、
図2aによる例示的な実施形態と比較して同じサイズであると同時に、本体2上の基準点205、215、225の配置は、
図5による例示的な実施形態における基準点205、215、225の互いに対する軸方向間隔a201、a202が、
図2aによる例示的な実施形態における基準点5、15、25の軸方向間隔a1、a2よりも小さいように変更されるという事実により、刃先204、214、224は、回転方向49に垂直な方向、例示的な実施形態では回転軸50の方向で、
図2aよりも
図5においてより大きく重なり合う。
図5による例示的な実施形態では、複数の切削体133、43、203、213、223の一部分は、他の部分よりも大きく重なっている。
【0154】
図3による例示的な実施形態の説明は、
図6による例示的な実施形態にも適用される。
図6による例示的な実施形態は、さらに、さらなる切削体333、343、353、363、373、及び383を有する。
【0155】
カッター搬送面は、回転軸50に対する半径方向に関して、先頭刃先の全体にわたって、及び/又は最終刃先の全体にわたって正確に延在し、回転軸50を回転方向49に完全に周回する周辺領域9を有する。この周辺領域9は、回転方向49において、先頭刃先の後ろ及び/又は最終刃先の後ろにあるとも呼ばれる。特に、複数の切削体303、313、323に加えて、複数の切削体303、313、323に属さない少なくとも1つのさらなる切削体333、343、353、363、373及び/又は383が、周辺領域9に配置される。少なくとも1つの更なる切削体333、343、353、363、373及び/又は383は、
図6にハッチングされた形(斜線)で描かれている。
【0156】
図2aによる例示的な実施形態の説明は、
図7による例示的な実施形態にも適用される。
図7による例示的な実施形態は、さらに、追加の切削体433、443、453、463、473及び483を有する。
【0157】
カッター搬送面は、回転軸50の方向に関して、先頭刃先の全体にわたって正確に、及び/又は最終刃先の全体にわたって正確に延在し、回転軸50を回転方向49に完全に周回する周辺領域99を有する。この周辺領域99は、回転方向49において先頭刃先の後方及び/又は最終刃先の後ろにあるとも呼ばれる。特に、複数の切削体3、13、23に加えて、複数の切削体3、13、23に属さない少なくとも1つのさらなる切削体433、443、453、463、473及び/又は483が、周辺領域99に配置される。少なくとも1つの追加の切削体433、443、453、463、473及び/又は483は、
図7において黒色で描かれている。
【0158】
図8は、加工工具の実施形態を示し、この実施形態には、
図2bによる例示的な実施形態に関連する説明が適用される。複数の切削体の第1グループに加えて、複数の切削体の第2グループが提供される。複数の切削体の第1グループと複数の切削体の第2グループは、加工工具の本体に配置される。グループに割り当てられた複数の切削体は、それぞれ個々に、複数の切削体の上述した特性の全て又は一部のみを有していてもよい。しかし、1グループに割り当てられた複数の切削体は、少なくとも本発明に係る複数の切削体の特性を有する。第1グループに割り当てられた仮想の第1螺旋線は、第2グループに割り当てられた第2螺旋線と反対の回転方向で回転軸50の周りを走行する。
【符号の説明】
【0159】
1 加工工具
2 本体
3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353 切削体
4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354 刃先
5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、205、215、225、305、315、325、355 基準点
6 螺旋線
7、8 端点
9 周辺領域
10 切り欠き部
11 凹部
21 円周面
22 端面
26、36 接線
49 回転方向
50 回転軸
99 周辺領域
B1、B2、B3、B4 区切り面
T 分離面
U 断面平面
a1、a2、a3 軸方向間隔
a201、a202、a203 軸方向間隔
ab1、ab2、ab3、ab4 軸方向幅
ab101、ab102、ab103 軸方向幅
fa、fb 進行度
r1、r2 半径方向間隔
ra1 半径範囲間隔
rb1 半径方向幅
Φ 黄金数
Φ1、Φ2 角度間隔
α 角度
λ1、λ2 軸角
【手続補正書】
【提出日】2023-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を機械加工するための加工工具であって、
前記加工工具(1)は、回転軸(50)を中心に回転駆動されるように意図され、
前記加工工具(1)は、カッター搬送面を具備する本体(2)を有し、前記回転軸(50)は、前記本体(2)を貫通し、
それぞれ刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)を有する切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)が、前記カッター搬送面に配置され、
前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、機械加工中に前記回転軸(50)の周りを回る回転方向(49)に回転し、
複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)を含むグループの前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、前記回転方向(49)に垂直な方向に関して隙間のない様に重なり合い、従って、全体刃先を形成し、
前記グループの前記複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、353)の1つの刃先(4、104、204、304)が、前記全体刃先の先頭刃先であり、
前記グループの前記複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)の1つの刃先(54、354)が、前記全体刃先の最終刃先であり、
前記全体刃先の中間領域(49)が、前記回転方向(49)に垂直な方向に関して前記先頭刃先と前記最終刃先との間に完全に位置し、
前記加工工具(1)の刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)の全ては、前記全体刃先の端点(7、8)の間に配置され、
1つの端点(7)が前記先頭刃先に割り当てられ、他方の端点(8)が前記最終刃先に割り当てられ、前記先頭刃先から前記最終刃先まで、仮想の螺旋線(6)が延び、
前記螺旋線(6)は、前記回転軸(50)に対応する中心軸を有し、
前記螺旋線(6)は、少なくとも部分的に前記中心軸の周りに延び、
前記螺旋線(6)は、前記回転方向(49)に垂直な方向の前記螺旋線(6)の進行と、前記回転軸(50)周りの回転角度に関する前記螺旋線(6)の進行との商に対応する勾配を有し、前記螺旋線(6)の前記勾配は、特に一定であり、
前記グループの前記切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)の全ての前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、前記螺旋線(6)上に少なくとも部分的に配置され、
前記グループは歯の最小数を有し、前記歯の最小数は、前記全体刃先の前記中間領域において前記加工工具(1)の前記回転方向(49)に少なくとも前後に配置される前記グループの前記切削体の刃先の数によって定義され、
前記グループの前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、前記歯の最小数が少なくとも2つ、特に少なくとも3つとなるように、前記回転方向(49)に垂直な方向に関して重なり合うことを特徴とする加工工具。
【請求項2】
前記全体刃先の前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、いずれの場合も、前記回転方向(49)に垂直な方向に関して部分的にのみ相互に重なり合うことを特徴とする、請求項1に記載の加工工具。
【請求項3】
前記グループの前記切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)のそれぞれの刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、正確に1つの基準点(5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、205、215、225、305、315、325、355)を有し、前記基準点は、特に、前記回転方向(49)に垂直な方向で前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)の中心にあり、及び
前記グループの前記切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)の前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)の前記基準点(5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、205、215、225、305、315、325、355)は、前記回転方向(49)に垂直な方向に互いに離間していることを特徴とする、請求項1に記載の加工工具。
【請求項4】
前記回転方向(49)に垂直な方向に直接隣接する前記グループの前記切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)の基準点(5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、205、215、225、305、315、325、355)は、それぞれ、前記回転軸(50)に関して互いに角度間隔(Φ1、Φ2)をあけて配置され、
前記角度間隔(Φ1、Φ2)は、それぞれ、角度値の整数倍であり、前記角度値は、10°から350°、特に30°から330°、特に60°から270°、好ましくは90°から180°の角度範囲内にあることを特徴とする、請求項3に記載の加工工具。
【請求項5】
前記角度値は、黄金角に関して±5°、特に±1°、好ましくは±0.5°の角度範囲にあり、黄金角と対角の合計が周角を生成し、黄金角と対角の比が対角と周角の比と等しいことを特徴とする、請求項4に記載の加工工具。
【請求項6】
前記角度間隔(Φ1、Φ2)は、角度範囲からの角度値の1倍に対応し、特に、前記角度間隔(Φ1、Φ2)はすべて等しいサイズであることを特徴とする、請求項3に記載の加工工具。
【請求項7】
前記基準点(5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、205、215、225、305、315、325、355)は、前記回転軸(50)の方向に、及び/又は前記回転軸(50)に関して半径方向に、互いに間隔をあけていることを特徴とする、請求項3に記載の加工工具。
【請求項8】
前記本体(2)は、前記回転軸(50)に関して円周面(21)を有し、前記本体(2)は、前記回転軸(50)の方向に端面(22)によって画定され、
前記グループの前記複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)は、前記円周面(21)上、及び/又は前記端面(22)上に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の加工工具。
【請求項9】
前記グループの前記複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、203、213、223)の前記刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224)は、前記回転軸(50)の方向に測定された軸方向幅(ab1、ab2、ab3、ab4、ab101、ab102、ab103)を有し、及び/又は前記複数の切削体(303、313、323、353)の前記刃先(304、314、324、354)は、前記回転軸(50)に関して半径方向に測定された半径方向幅(rb1)を有することを特徴とする、請求項1に記載の加工工具。
【請求項10】
前記回転方向(49)に垂直な方向に直接隣接する前記グループの前記基準点(5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、205、215、225)は、前記回転軸(50)の方向に測定した、軸方向間隔(a1、a2、a3、a201、a202)で互いに配置され、及び/又は、
前記回転方向(49)に垂直な方向に隣接する前記グループの前記基準点(305、315、325、355)は、半径範囲間隔(ra1)で互いに配置され、前記半径範囲間隔(ra1)は、半径方向に隣接する基準点(305、315、325、355)のより大きい半径方向間隔(r2)と、より小さい半径方向間隔(r1)との間の差に対応することを特徴とする、請求項9に記載の加工工具。
【請求項11】
前記軸方向間隔(a1、a2、a3、a201、a202)は、最大軸方向幅(ab1、ab2、ab3、ab4、ab101、ab102、ab103)の1%から50%、特に8%から50%、特に8%から35%であり、及び/又は前記半径範囲間隔(ra1)は、最大半径方向幅(rb1)の1%から50%、特に8%から50%、特に8%から35%であることを特徴とする、請求項10に記載の加工工具。
【請求項12】
前記カッター搬送面は、前記回転方向(49)において、前記先頭刃先の後ろ及び/又は前記最終刃先の後ろに、周辺領域を有し、前記周辺領域は、前記先頭刃先及び/又は前記最終刃先の、軸方向幅全体(ab1)及び/又は半径方向幅全体(rb1)にわたって延び、前記回転軸(50)の周りを走ること、及び、
前記グループの前記複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)に加えて、少なくとも1つのさらなる切削体が、前記周辺領域に配置されていることを特徴とする、請求項9に記載の加工工具。
【請求項13】
少なくとも前記先頭刃先及び/又は少なくとも前記最終刃先の前記軸方向幅(ab1)及び/又は前記半径方向幅(rb1)は、周辺領域の外側の前記複数の切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)の切削体(33)の刃先の幅よりも大きいか又は小さいことを特徴とする、請求項9に記載の加工工具。
【請求項14】
前記回転軸(50)の方向に直接隣接する前記グループの前記基準点(5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、125、135、205、215、225)のすべての前記軸方向間隔(a1、a2、a3、a201、a202)は、等しいサイズであり、及び/又は、
前記回転軸(50)に関して半径方向に直接隣接する前記グループの前記基準点(305、315、325、355)のすべての前記半径範囲間隔(rb1)は、等しいサイズであることを特徴とする、請求項9に記載の加工工具。
【請求項15】
前記加工工具(1)は、切削体(3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、203、213、223、303、313、323、353)の単一のグループのみを含み、
それらの刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、前記全体刃先の端点間で、前記回転方向(49)に垂直な方向に関して隙間のない様に重なり合い、
それらの刃先(4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、204、214、224、304、314、324、354)は、螺旋線(6)上に少なくとも部分的に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の加工工具。
【外国語明細書】