(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123397
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 41/675 20180101AFI20230829BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20230829BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20230829BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230829BHJP
【FI】
F21S41/675
F21S41/143
F21W102:155
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024916
(22)【出願日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2022026529
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼須 良平
(57)【要約】
【課題】複数の灯具ユニットを備えた車両用灯具において、上記複数の灯具ユニットが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されている場合であっても、その光軸調整によって灯具の意匠性が損なわれないようにし、かつ、これを簡易な構成によって実現可能とする。
【解決手段】ユニット支持部材52に支持された3つの灯具ユニット20A、20B、20Cを、互いに隣接する2つの灯具ユニット20A、20Bおよび灯具ユニット20B、20C毎に、2つの連結部材54、56によって上下方向に回動可能な態様で連結された構成とする。そして灯具ユニット20Cが上下方向に回動することにより、これと連動して残り2つの灯具ユニット20A、20Bも上下方向に回動する構成とする。これにより3つの灯具ユニット20A~20Cに対する光軸調整を一括して行うための構成を簡易なものとする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の灯具ユニットと、上記複数の灯具ユニットを所要方向に回動可能に支持するための回動支持機構と、を備えた車両用灯具において、
上記複数の灯具ユニットは、灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されており、
上記回動支持機構は、上記複数の灯具ユニットの各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上記所要方向に回動可能に支持するように構成されたユニット支持部材と、上記ユニット支持部材に支持された上記複数の灯具ユニットを互いに隣接する2つの灯具ユニット毎に連結するように配置された少なくとも1つの連結部材と、上記複数の灯具ユニットのうちの1つである第1灯具ユニットと係合した状態で上記第1灯具ユニットを上記所要方向に回動させ得るように構成されたユニット駆動部材とを備えており、
上記少なくとも1つの連結部材の各々は、上記互いに隣接する2つの灯具ユニットの各々に対して上記所要方向に回動可能な態様で連結されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記複数の灯具ユニットと上記ユニット支持部材との連結点が第1の平面上に位置しており、
上記複数の灯具ユニットと上記少なくとも1つの連結部材との連結点が上記第1の平面と平行な第2の平面上に位置している、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記第2の平面は、上記少なくとも1つの連結部材相互間において同一の平面上に位置している、ことを特徴とする請求項2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記少なくとも1つの連結部材の各々と上記互いに隣接する2つの灯具ユニットの各々との連結点は、上記互いに隣接する2つの灯具ユニットの各々と上記ユニット支持部材との連結点に対して、灯具前後方向に関して同じ位置に設定されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記少なくとも1つの連結部材の各々は、上記互いに隣接する2つの灯具ユニットとの連結点相互間の長さを調整し得るように構成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項6】
上記複数の灯具ユニットとして3つの灯具ユニットを備えており、
上記第1灯具ユニットは、上記3つの灯具ユニットの中央に位置するように配置されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項7】
複数の灯具ユニットと、上記複数の灯具ユニットを所要方向に回動可能に支持するための回動支持機構と、を備えた車両用灯具において、
上記複数の灯具ユニットは、灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されており、
上記回動支持機構は、上記複数の灯具ユニットの各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上記所要方向に回動可能に支持するように構成されたユニット支持部材と、上記ユニット支持部材に支持された上記複数の灯具ユニットを互いに隣接する2つの灯具ユニット毎に連結するように配置された少なくとも1つの連結部材と、上記複数の灯具ユニットのうちの1つである第1灯具ユニットと係合した状態で上記第1灯具ユニットを上記所要方向に回動させ得るように構成されたユニット駆動部材とを備えており、
上記複数の灯具ユニットの各々に第1歯車が固定されるとともに、上記ユニット支持部材に第2歯車が固定されており、
上記少なくとも1つの連結部材の各々は、上記第1および第2歯車が互いに噛合した状態で配置されることによって構成されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項8】
上記ユニット駆動部材は、上記第1歯車または上記第2歯車と噛合するスクリュウを備えている、ことを特徴とする請求項7記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、複数の灯具ユニットを備えた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用灯具の構成として、複数の灯具ユニットを所要方向(例えば上下方向)に回動可能に支持するための回動支持機構を備えたものが知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような車両用灯具において、複数の灯具ユニットが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記「特許文献1」に記載された車両用灯具においては、複数の灯具ユニットが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されているので、回動支持機構によって上記所要方向の光軸調整を行うと、上記所要方向の回動軸線から灯具前後方向に離れた位置にある灯具ユニットは元の位置から上記所要方向に大きく変位してしまい、これにより灯具の意匠性が損なわれてしまうおそれがある。
【0006】
したがって、複数の灯具ユニットに対する光軸調整を一括して行った場合にも灯具の意匠性が損なわれないようすることが望まれ、かつ、これをできるだけ簡易な構成によって実現することが望まれる。
【0007】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、複数の灯具ユニットを備えた車両用灯具において、上記複数の灯具ユニットが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されている場合であっても、その光軸調整によって灯具の意匠性が損なわれないようにすることができ、かつ、これを簡易な構成によって実現することができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、回動支持機構の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0009】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
複数の灯具ユニットと、上記複数の灯具ユニットを所要方向に回動可能に支持するための回動支持機構と、を備えた車両用灯具において、
上記複数の灯具ユニットは、灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されており、
上記回動支持機構は、上記複数の灯具ユニットの各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上記所要方向に回動可能に支持するように構成されたユニット支持部材と、上記ユニット支持部材に支持された上記複数の灯具ユニットを互いに隣接する2つの灯具ユニット毎に連結するように配置された少なくとも1つの連結部材と、上記複数の灯具ユニットのうちの1つである第1灯具ユニットと係合した状態で上記第1灯具ユニットを上記所要方向に回動させ得るように構成されたユニット駆動部材とを備えており、
上記少なくとも1つの連結部材の各々は、上記互いに隣接する2つの灯具ユニットの各々に対して上記所要方向に回動可能な態様で連結されている、ことを特徴とするものである。
【0010】
上記「複数の灯具ユニット」は、灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されていれば、その具体的な配置や配置個数は特に限定されるものではない。
【0011】
上記「所要方向」の具体的な方向は特に限定されるものではなく、例えば上下方向や左右方向等が採用可能である。
【0012】
上記「回動支持機構」は、複数の灯具ユニットを上記所要方向に回動可能に支持するための機能のみを備えた構成となっていてもよいし、これに加えて複数の灯具ユニットを上記所要方向と直交する方向に回動可能に支持するための機能をも備えた構成となっていてもよい。
【0013】
上記「ユニット支持部材」は、複数の灯具ユニットの各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上記所要方向に回動可能に支持するように構成されていれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0014】
上記「少なくとも1つの連結部材」の各々は、互いに隣接する2つの灯具ユニットの各々に対して上記所要方向に回動可能な態様で連結されていれば、その具体的な構成や互いに隣接する2つの灯具ユニットの各々との具体的な連結構造は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
本願発明に係る車両用灯具は、複数の灯具ユニットが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置された構成となっているが、これらを所要方向に一括して回動可能に支持するための回動支持機構として、複数の灯具ユニットの各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上記所要方向に回動可能に支持するユニット支持部材を備えた構成となっているので、複数の灯具ユニットの各々が回動する際の回動軸線を、灯具前後方向に関して複数の灯具ユニットの各々の近くに配置することができる。
【0016】
したがって、複数の灯具ユニットに対する上記所要方向の光軸調整を一括して行ったときに、その各々が元の位置から上記所要方向に大きく変位してしまわないようにすることができ、これにより灯具の意匠性が損なわれてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0017】
その上で、上記回動支持機構は、ユニット支持部材に支持された複数の灯具ユニットを互いに隣接する2つの灯具ユニット毎に連結するように配置された少なくとも1つの連結部材を備えており、かつ、これら少なくとも1つの連結部材の各々は、互いに隣接する2つの灯具ユニットの各々に対して上記所要方向に回動可能な態様で連結されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0018】
すなわち、第1灯具ユニットを上記所要方向に回動させることにより、これと連動させて残りの灯具ユニットも上記所要方向に回動させることができる。したがって、複数の灯具ユニットに対する光軸調整を一括して行うための構成を簡易なものとすることができる。
【0019】
このように本願発明によれば、複数の灯具ユニットを備えた車両用灯具において、上記複数の灯具ユニットが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されている場合であっても、その光軸調整によって灯具の意匠性が損なわれないようにすることができ、かつ、これを簡易な構成によって実現することができる。
【0020】
しかも本願発明の構成を採用することにより、回動支持機構をコンパクトな構成とすることができ、これにより灯具の小型化を図ることができる。
【0021】
また本願発明においては、上記少なくとも1つの連結部材の各々の構成を共通化することも容易に可能である。
【0022】
上記構成において、さらに、複数の灯具ユニットとユニット支持部材との連結点が第1の平面上に位置するとともに、複数の灯具ユニットと上記少なくとも1つの連結部材との連結点が第1の平面と平行な第2の平面上に位置する構成とすれば、回動支持機構として平行クランク機構を備えた構成とすることができる。したがって、複数の灯具ユニットを同一の挙動で回動させることができ、これにより複数の灯具ユニットに対する上記所要方向の光軸調整が精度良く行われるようにすることができる。
【0023】
その際、第2の平面が上記少なくとも1つの連結部材相互間において同一の平面上に位置する構成とすれば、複数の灯具ユニットを全く同一の条件で回動させることができる。そしてこれにより複数の灯具ユニットに対する上記所要方向の光軸調整がさらに精度良く行われるようにすることができる。
【0024】
上記構成において、さらに、上記少なくとも1つの連結部材の各々と互いに隣接する2つの灯具ユニットの各々との連結点が、互いに隣接する2つの灯具ユニットの各々とユニット支持部材との連結点に対して、灯具前後方向に関して同じ位置に設定された構成とすれば、上記少なくとも1つの連結部材の各々を、互いに隣接する2つの灯具ユニットの各々に対する光軸調整が最も精度良く行われる状態で配置することができる。
【0025】
上記構成において、さらに、上記少なくとも1つの連結部材の各々の構成として、互いに隣接する2つの灯具ユニットとの連結点相互間の長さを調整し得るように構成されたものとすれば、複数の灯具ユニット相互間における上記所要方向の光軸ズレを解消するための微調整を行うことが可能となる。
【0026】
上記構成において、さらに、複数の灯具ユニットとして3つの灯具ユニットを備えている場合において、第1灯具ユニット(すなわちユニット駆動部材と連結される灯具ユニット)が3つの灯具ユニットの中央に位置するように配置された構成とすれば、第1灯具ユニットの回動と直接連動させて残り2つの灯具ユニットを回動させることができる。そしてこれにより3つの灯具ユニットに対する光軸調整の精度を一層高めることができる。
【0027】
上記構成において、回動支持機構の構成として、上記少なくとも1つの連結部材の各々が互いに隣接する2つの灯具ユニットの各々に対して上記所要方向に回動可能な態様で連結された構成とする代わりに、複数の灯具ユニットの各々に第1歯車が固定されるとともにユニット支持部材に第2歯車が固定された構成とした上で、第1および第2歯車が互いに噛合した状態で配置されることによって上記少なくとも1つの連結部材の各々が構成されるようにすることも可能である。
【0028】
そして、このような構成を採用した場合には、次のような作用効果を得ることができる。
【0029】
すなわち、第1灯具ユニットを上記所要方向に回動させることにより、第1および第2歯車の噛合によって構成される歯車機構を介して残りの灯具ユニットも上記所要方向に回動させることができる。したがって、複数の灯具ユニットに対する光軸調整を一括して行うための構成を簡易なものとすることができる。
【0030】
このような構成を採用した上で、ユニット駆動部材の構成として、第1歯車または第2歯車と噛合するスクリュウを備えたものとすれば、ユニット駆動部材の配置スペースを確保することが容易に可能となり、これにより車両用灯具をコンパクトな構成とすることが一層容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本願発明の第1実施形態に係る車両用灯具を示す正面図
【
図5】上記車両用灯具からの照射光によって形成されるロービーム用配光パターンを透視的に示す図
【
図6】上記第1実施形態の作用を比較例と共に示す、
図3と同様の図
【
図7】上記第1実施形態の第1変形例を示す、
図2と同様の図
【
図9】上記第1実施形態の第2変形例を示す、
図2と同様の図
【
図10】上記第1実施形態の第3変形例を示す、
図3と同様の図
【
図11】本願発明の第2実施形態に係る車両用灯具を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0033】
まず、本願発明の第1実施形態について説明する。
【0034】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具10を示す正面図である。また、
図2は
図1のII-II線断面図であり、
図3は
図2のIII-III線断面図である。
【0035】
図1~3において、Xで示す方向が「灯具前方」であり、Yで示す方向が「灯具前方」と直交する「左方向」(灯具正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。
図1~3以外の図においても同様である。
【0036】
図1~3に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両の右前端部に装着されるロービーム照射用のヘッドランプであって、ランプボディ12とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、3つの灯具ユニット20A、20B、20Cが左右方向(すなわち車幅方向)に並んだ状態で収容された構成となっている。
【0037】
透光カバー14は、透明の樹脂製部材で構成されており、その左側(すなわち車幅方向内側)から右側に向かって灯具後方側に傾斜して延びるように形成されている。この透光カバー14は、3つの灯具ユニット20A、20B、20Cからの照射光が透過する3つの照射光透過領域14a、14b、14c以外の領域に遮光処理が施された構成となっている。この遮光処理は、透光カバー14の内面に有色塗装膜(例えば黒色塗装膜)16を形成することによって行われている。3つの照射光透過領域14a~14cは、3つの灯具ユニット20A~20Cの灯具前方に位置した状態で横長矩形状に形成されている。
【0038】
3つの灯具ユニット20A~20Cは、いずれもプロジェクタ型の灯具ユニットであって、透光カバー14の後傾形状に応じて灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されている。すなわち、左側に位置する灯具ユニット20Aに対して中央に位置する灯具ユニット20Bが灯具後方側に変位しており、中央に位置する灯具ユニット20Bに対して右側に位置する灯具ユニット20Cが灯具後方側に変位している。3つの灯具ユニット20A~20Cは同一水平面上に配置されている。
【0039】
車両用灯具10は、3つの灯具ユニット20A~20Cをランプボディ12に対して回動可能に支持するための回動支持機構50を備えている。この回動支持機構50は、3つの灯具ユニット20A~20Cを上下方向に関して回動可能に支持するとともに左右方向に関しても回動可能に支持する構成となっている。
【0040】
回動支持機構50は、3つの灯具ユニット20A~20Cの各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上下方向に回動可能に支持するユニット支持部材52と、互いに隣接する2つの灯具ユニット20A、20Bを連結する連結部材54と、互いに隣接する2つの灯具ユニット20B、20Cを連結する連結部材56と、右側に位置する灯具ユニット20Cと係合した状態で灯具ユニット20Cを上下方向に回動させ得るように構成されたユニット駆動部材60とを備えている。
【0041】
ユニット支持部材52は、ランプボディ12の下壁部12aに載置された状態で、ランプボディ12の後壁部12bに対して2本のアジャスティングスクリュウ62、64を介して連結されている。
【0042】
2本のアジャスティングスクリュウ62、64は、ランプボディ12の後壁部12bにおける下部領域の左右2箇所から灯具前方へ向けて延びるように配置されており、その後端部においてランプボディ12に対して回転可能に支持されている。アジャスティングスクリュウ62は、灯具ユニット20Aの略真後ろに位置するように配置されており、アジャスティングスクリュウ64は、2つの灯具ユニット20B、20Cの間に位置するように配置されている。
【0043】
各アジャスティングスクリュウ62、64は、その前半部がネジ部として形成されている。一方、ユニット支持部材52には、各アジャスティングスクリュウ62、64のネジ部と螺合するアジャスティングナット72、74が装着されている。各アジャスティングナット72、74は、水平面内におけるユニット支持部材52の回動変位を許容し得る態様でユニット支持部材52に装着されている。
【0044】
ユニット駆動部材60は、ランプボディ12の後壁部12bに装着されたレベリングアクチュエータ66と、このレベリングアクチュエータ66から灯具前方へ向けて延びるように配置されたアジャスティングスクリュウ68とを備えている。
【0045】
レベリングアクチュエータ66は、アジャスティングスクリュウ68が右側のアジャスティングスクリュウ64の真上に位置するように配置された状態で、後壁部12bの上部領域に装着されている。
【0046】
アジャスティングスクリュウ68は、その前半部がネジ部として形成されている。一方、右側に位置する灯具ユニット20Cにはブラケット70が固定されており、このブラケット70にはアジャスティングスクリュウ68のネジ部と螺合するアジャスティングナット76が装着されている。アジャスティングナット76は、水平面内および鉛直面内における灯具ユニット20Cの回動変位を許容し得る態様で灯具ユニット20Cに装着されている。
【0047】
3つの灯具ユニット20A、20B、20Cは、ユニット支持部材52に対して、左右方向に延びる回動軸線Ax1a、Ax1b、Ax1cまわりにそれぞれ回動可能に支持されている。3つの回動軸線Ax1a、Ax1b、Ax1cは、同一水平面上に配置されており、かつ、灯具前後方向に等間隔をおいて配置されている。
【0048】
【0049】
図4にも示すように、2つの連結部材54、56は、同一形状を有する板状部材で構成されている。これら2つの連結部材54、56は、いずれも鉛直面に沿って灯具前後方向に延びるように配置されている。
【0050】
連結部材54は、その前端部において灯具ユニット20Aに対して左右方向に延びる回動軸線Ax2aまわりに回動可能な態様で連結されるとともに、その後端部において灯具ユニット20Bに対して左右方向に延びる回動軸線Ax2bまわりに回動可能な態様で連結されている。
【0051】
連結部材56は、その前端部において灯具ユニット20Bに対して上記回動軸線Ax2bまわりに回動可能な態様で連結されるとともに、その後端部において灯具ユニット20Cに対して左右方向に延びる回動軸線Ax2cまわりに上下方向に回動可能な態様で連結されている。
【0052】
3つの回動軸線Ax2a、Ax2b、Ax2cは、同一水平面上に配置されており、かつ、灯具前後方向に等間隔をおいて配置されている。さらに、3つの回動軸線Ax2a、Ax2b、Ax2cは、3つの回動軸線Ax1a、Ax1b、Ax1cの真上に位置するように配置されている。
【0053】
次に、3つの灯具ユニット20A、20B、20Cの具体的な構成について説明する。
【0054】
図1~4に示すように、3つの灯具ユニット20A~20Cは、灯具前後方向に延びる光軸Axを有する投影レンズ22と、この投影レンズ22の後側焦点Fよりも灯具後方側に配置された光源としての発光素子24と、この発光素子24を上方側から覆うように配置され、この発光素子24からの光を投影レンズ22へ向けて反射させるリフレクタ26A~26Cとを備えた構成となっている。
【0055】
投影レンズ22は、前面が凸面状に形成された平凸非球面レンズとして構成されており、灯具正面視において横長矩形状の外形形状を有している。
【0056】
発光素子24は、横長矩形状の発光面を有する白色発光ダイオードで構成されている。
【0057】
リフレクタ26A~26Cは、いずれも発光素子24の発光中心を第1焦点とする略楕円面状の反射面を有しており、この反射面において発光素子24からの出射光を灯具前方へ向けて収束光として反射させるように構成されている。その際、灯具ユニット20Aのリフレクタ26Aが最も大きい左右幅の反射面形状を有しており、灯具ユニット20Bのリフレクタ26Bが次に大きい左右幅の反射面形状を有しており、灯具ユニット20Cのリフレクタ26Cが最も小さい左右幅の反射面形状を有している。
【0058】
発光素子24およびリフレクタ26A~26Cは、アルミダイカスト製のベース部材30の上面に支持されており、投影レンズ22もベース部材30に支持されている。
【0059】
ベース部材30には、ロービーム用配光パターンのカットオフラインを形成するためにリフレクタ26A~26Cからの反射光の一部を投影レンズ22へ向けて上向きに反射させる上向き反射面30aが形成されている。この上向き反射面30aの前端縁30a1は、後側焦点Fから左右両側へ向けて灯具前方側に湾曲して延びるように形成されている。
【0060】
ベース部材30は、複数の放熱フィン30bを備えており、これにより発光素子24で発生した熱を効率良く放散させるヒートシンクとして機能するようになっている。複数の放熱フィン30bは、左右方向に等間隔をおいて配置された状態で鉛直下方へ向けて延びるように形成されている。
【0061】
複数の放熱フィン30bのうち左右両側部に位置する1対の放熱フィン30bは太幅で形成されており、その外側面には左右両方向へ向けて円柱状に突出する1対の水平ピン30dが形成されている。ベース部材30は、これら左右1対の水平ピン30dがユニット支持部材52に形成された左右1対の係合穴52aと係合することによって回動軸線Ax1a、Ax1b、Ax1cまわりに回動し得る構成となっている。
【0062】
ベース部材30の前端部には、光軸Axと直交する鉛直面に沿って横長矩形状に延びるフレーム部30cが形成されている。投影レンズ22は、その後面の周縁部においてフレーム部30cに支持されている。
【0063】
次に、連結部材54と灯具ユニット20A、20Bとの連結構造および連結部材56と灯具ユニット20B、20Cとの連結構造について説明する。
【0064】
左側に位置する灯具ユニット20Aには、ベース部材30の右側面の上部領域から右方向へ向けて円筒状に突出するボス30eが形成されている。一方、連結部材54には、その前端部にネジ挿通孔54aが形成されている。そして、このネジ挿通孔54aにネジ58が挿入されてボス30eに締め付けられることによりネジ58の軸部とネジ挿通孔54aとが係合し、これにより灯具ユニット20Aと連結部材54とが回動軸線Ax2aまわりに回動可能な態様で連結されるようになっている。
【0065】
中央に位置する灯具ユニット20Bには、ベース部材30の左右両側面の上部領域から左右両方向へ向けて円筒状に突出する左右1対のボス30eが形成されている。一方、連結部材54には、その後端部にネジ挿通孔54bが形成されている。そして、このネジ挿通孔54bにネジ58が挿入されて左側のボス30eに締め付けられることによりネジ58の軸部とネジ挿通孔54bとが係合し、これにより灯具ユニット20Bと連結部材54とが回動軸線Ax2bまわりに回動可能な態様で連結されるようになっている。また、連結部材56には、その前端部にネジ挿通孔56aが形成されている。そして、このネジ挿通孔56aにネジ58が挿入されて右側のボス30eに締め付けられることによりネジ58の軸部とネジ挿通孔56aとが係合し、これにより灯具ユニット20Bと連結部材56とが回動軸線Ax2bまわりに回動可能な態様で連結されるようになっている。
【0066】
右側に位置する灯具ユニット20Cには、ベース部材30の左側面の上部領域から左方向へ向けて円筒状に突出するボス30eが形成されている。一方、連結部材56には、その後端部にネジ挿通孔56bが形成されている。そして、このネジ挿通孔56bにネジ58が挿入されてボス30eに締め付けられることによりネジ58の軸部とネジ挿通孔56bとが係合し、これにより灯具ユニット20Cと連結部材56とが回動軸線Ax2cまわりに回動可能な態様で連結されるようになっている。
【0067】
右側に位置する灯具ユニット20Cに固定されたブラケット70は、ベース部材30の上面左端部から上方へ向けて延びるとともにその上端部において左方向へ向けて延びるように形成されている。そして、このブラケット70の上端部から左方向に突出している部分においてアジャスティングナット76がブラケット70に装着されている。
【0068】
本実施形態に係る車両用灯具10において、回動支持機構50による3つの灯具ユニット20A~20Cの上下方向の回動は次のようにして行われる。
【0069】
すなわち、
図3、4に示すように、ユニット駆動部材60においてレベリングアクチュエータ66の駆動によりアジャスティングスクリュウ68が回転すると、そのネジ部と螺合するアジャスティングナット76が灯具前後方向に移動し(矢印Ac参照)、このアジャスティングナット76が装着されたブラケット70と共に灯具ユニット20Cが回動軸線Ax1cまわりに回動する(矢印Bc参照)。これと連動して、連結部材56も灯具前後方向に移動し(矢印Ab参照)、この連結部材56を介して灯具ユニット20Cと連結された灯具ユニット20Bが回動軸線Ax1bまわりに回動する(矢印Bb参照)。さらにこれと連動して、連結部材54も灯具前後方向に移動し(矢印Aa参照)、この連結部材54を介して灯具ユニット20Bと連結された灯具ユニット20Aも回動軸線Ax1aまわりに回動する(矢印Ba参照)。
【0070】
本実施形態に係る車両用灯具10において、回動支持機構50による3つの灯具ユニット20A~20Cの左右方向の回動は次のようにして行われる。
【0071】
すなわち、左側に位置するアジャスティングスクリュウ62の回転操作によって、これと係合するアジャスティングナット72が灯具前後方向に移動し、このアジャスティングナット72が装着されたユニット支持部材52が、右側に位置するアジャスティングナット74の装着位置を中心にして水平面内において回動する。これにより、ユニット支持部材52に支持された3つの灯具ユニット20A~20Cが一括して左右方向に回動する。
【0072】
その際、ユニット支持部材52はランプボディ12の下壁部12aに載置されたままの状態に維持されるので、回動支持機構50による3つの灯具ユニット20A~20Cの上下方向の回動とは独立して左右方向の回動が行われる。
【0073】
また、各アジャスティングナット72、74は、水平面内におけるユニット支持部材52の回動変位を許容し得る態様でユニット支持部材52に装着されており、かつ、ユニット駆動部材60のアジャスティングナット76は、右側のアジャスティングスクリュウ64の真上に位置において、水平面内における灯具ユニット20Cの回動変位を許容し得る態様で灯具ユニット20Cに装着されているので、左右方向の回動動作が円滑に行われる。
【0074】
図5は、車両用灯具10からの照射光によって車両前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンPLを透視的に示す図である。
【0075】
ロービーム用配光パターンPLは、左配光のロービーム用配光パターンであって、その上端縁に左右段違いのカットオフラインCL1、CL2を有している。このカットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH-Vを鉛直方向に通るV-V線を境にして左右段違いで水平方向に延びており、V-V線よりも右側の対向車線側部分が下段カットオフラインCL1として形成されるとともに、V-V線よりも左側の自車線側部分が、この下段カットオフラインCL1から傾斜部を介して段上がりになった上段カットオフラインCL2として形成されている。
【0076】
ロービーム用配光パターンPLにおいて、下段カットオフラインCL1とV-V線との交点であるエルボ点Eは、H-Vの0.5~0.6°程度下方に位置している。
【0077】
ロービーム用配光パターンPLは、3つの灯具ユニット20A、20B、20Cからの照射光によって形成される3つの配光パターンPLA、PLB、PLCの合成配光パターンとして形成されている。
【0078】
3つの配光パターンPLA、PLB、PLCは、いずれもその上端縁がカットオフラインCL1、CL2を構成するように形成されている。このカットオフラインCL1、CL2は、3つの灯具ユニット20A~20Cのベース部材30における上向き反射面30aの前端縁30a1の反転投影像として形成されるものである。
【0079】
配光パターンPLAは左右拡散角が大きい拡散配光パターンとして形成され、配光パターンPLCは左右拡散角が小さいが明るい配光パターンとして形成され、配光パターンPLBは配光パターンPLAと配光パターンPLCとの中間的な配光パターンとして形成されている。これは、灯具ユニット20Aのリフレクタ26Aが最も大きい左右幅の反射面形状を有しており、灯具ユニット20Bのリフレクタ26Bが次に大きい左右幅の反射面形状を有しており、灯具ユニット20Cのリフレクタ26Cが最も小さい左右幅の反射面形状を有していることによるものである。
【0080】
図6(a)は、本実施形態の作用を示す、
図3と同様の図であって、車両用灯具10において3つの灯具ユニット20A~20Cの上下方向の光軸調整を行ったときの様子を示す図である。
【0081】
図6(a)においては、3つの灯具ユニット20A~20Cが基準位置にある状態(すなわち光軸Axが灯具前後方向に水平に延びている状態(正確には灯具前方へ向けて0.5~0.6°程度下向きに延びている状態))を実線で示しており、3つの灯具ユニット20A~20Cが基準位置から上向きに最大角度まで回動したときの状態を2点鎖線で示しており、3つの灯具ユニット20A~20Cが基準位置から下向きに最大角度まで回動したときの状態を破線で示している。なお、
図6(a)においては最大角度が±4°に設定されている場合の状態を示している。
【0082】
図6(a)において、3つの灯具ユニット20A~20Cが基準位置にある状態から、レベリングアクチュエータ66の駆動によりアジャスティングナット76が灯具後方側に移動すると、ブラケット70と共に灯具ユニット20Cがユニット支持部材52に対して回動軸線Ax1cまわりに上向きに回動する。これに伴い、灯具ユニット20Cと連結部材56を介して連結された灯具ユニット20Bもユニット支持部材52に対して回動軸線Ax1bまわりに上向きに回動し、かつ、灯具ユニット20Bと連結部材54を介して連結された灯具ユニット20Aもユニット支持部材52に対して回動軸線Ax1aまわりに上向きに回動する。
【0083】
一方、
図6(a)において、3つの灯具ユニット20A~20Cが基準位置にある状態から、レベリングアクチュエータ66の駆動によりアジャスティングナット76が灯具前方側に移動すると、灯具ユニット20Cが回動軸線Ax1cまわりに下向きに回動し、これに伴い、灯具ユニット20Bも回動軸線Ax1bまわりに下向きに回動し、かつ、灯具ユニット20Aも回動軸線Ax1aまわりに上向きに回動する。
【0084】
図6(a)においては、灯具ユニット20Aが基準位置にある状態で、その投影レンズ22からの出射光が透光カバー14を透過し得る最大範囲をハッチングで示している。また、灯具ユニット20Aが基準位置から上向きおよび下向きに最大角度まで回動したときに投影レンズ22からの出射光が透光カバー14を透過し得る最大範囲を2点鎖線および破線でそれぞれ示しており、その最大上下幅をHで示している。
【0085】
図2に示すように、3つの灯具ユニット20A~20Cは透光カバー14との間隔が互いに略同じ値となるように配置されているので、最大上下幅Hも3つの灯具ユニット20A~20Cの各々において略同じ値となる。
【0086】
なお、透光カバー14における3つの照射光透過領域14a、14b、14cの上下幅は、最大上下幅Hよりも僅かに大きい値となるように設定されている。
【0087】
一方、
図6(b)は、本実施形態の比較例を示す、
図6(a)と同様の図である。
【0088】
図6(b)に示すように、本比較例に係る車両用灯具10´も、ランプボディ12´と透光カバー14´とで形成される灯室内に、3つの灯具ユニット20A´、20B´、20C´が上下方向に回動可能に収容された構成となっているが、これらを上下方向に回動させるための回動支持機構50´の構成が本実施形態の場合と異なっている。
【0089】
すなわち、本比較例の回動支持機構50´は、3つの灯具ユニット20A´~20C´を固定支持しているユニット支持部材52´を、レベリングアクチュエータ66´の駆動によって上下方向に回動させる構成となっている。
【0090】
図6(b)においても、灯具ユニット20A´~20C´が基準位置にある状態を実線で示しており、灯具ユニット20A´~20C´が基準位置から上向きに最大角度まで回動したときの状態を2点鎖線で示しており、灯具ユニット20A´~20C´が基準位置から下向きに最大角度まで回動したときの状態を破線で示している。なお、
図6(b)においても最大角度が±4°に設定されている場合の状態を示している。
【0091】
本比較例においては、レベリングアクチュエータ66´の駆動により、灯具ユニット20A´~20C´はユニット支持部材52´と共に水平方向に延びる回動軸線Ax1´まわりに回動する。なお、この回動軸線Ax1´は、本実施形態のアジャスティングスクリュウ62、64とアジャスティングナット72、74との連結点を結ぶ水平軸線と同じ位置に設定されている。
【0092】
本比較例において、回動軸線Ax1´から最も離れた位置にある灯具ユニット20A´が基準位置から上向きおよび下向きに最大角度まで回動したときに投影レンズ22´からの出射光が透光カバー14´を透過し得る最大上下幅H´は、
図6(a)に示す最大上下幅Hよりもかなり大きなものとなる。このため、透光カバー14´の照射光透過領域14a´の上下幅も、
図6(a)に示す透光カバー14の照射光透過領域14aの上下幅よりもかなり大きなものとなる。
【0093】
しかも本比較例においては、3つの灯具ユニット20A´~20C´と共にユニット支持部材52´も回動軸線Ax1´まわりに上下方向に回動するので、ランプボディ12´の構成として、これらとの干渉を未然に防止するために、その上下幅を本実施形態のランプボディ12の上下幅よりもかなり大きなものとすることが必要となる。
【0094】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0095】
本実施形態に係る車両用灯具10は、3つの灯具ユニット20A、20B、20Cが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置された構成となっているが、これらを上下方向(所要方向)に一括して回動可能に支持するための回動支持機構50として、3つの灯具ユニット20A~20Cの各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上下方向に回動可能に支持するユニット支持部材52を備えた構成となっているので、3つの灯具ユニット20A~20Cの各々が回動する際の回動軸線Ax1a、Ax1b、Ax1cを、灯具前後方向に関して3つの灯具ユニット20A~20Cの各々の近くに配置することができる。
【0096】
したがって、3つの灯具ユニット20A~20Cに対する上下方向の光軸調整を一括して行ったときに、その各々が元の位置から上下方向に大きく変位してしまわないようにすることができ、これにより車両用灯具10の意匠性が損なわれてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0097】
その上で、回動支持機構50は、ユニット支持部材52に支持された3つの灯具ユニット20A~20Cを、互いに隣接する2つの灯具ユニット20A、20Bおよび灯具ユニット20B、20C毎に連結するように配置された2つの連結部材54、56を備えており、かつ、これら2つの連結部材54、56の各々は、互いに隣接する2つの灯具ユニット20A、20Bおよび灯具ユニット20B、20Cの各々に対して上下方向に回動可能な態様で連結されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0098】
すなわち、灯具ユニット20C(第1灯具ユニット)を上下方向に回動させることにより、これと連動させて残り2つの灯具ユニット20A、20Bも上下方向に回動させることができる。したがって、3つの灯具ユニット20A~20Cに対する光軸調整を一括して行うための構成を簡易なものとすることができる。
【0099】
このように本実施形態によれば、3つの灯具ユニット20A、20B、20Cを備えた車両用灯具10において、3つの灯具ユニット20A~20Cが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されている場合であっても、その光軸調整によって車両用灯具10の意匠性が損なわれないようにすることができ、かつ、これを簡易な構成によって実現することができる。
【0100】
しかも本実施形態の構成を採用することにより、回動支持機構50をコンパクトな構成とすることができ、これにより車両用灯具10の小型化を図ることができる。
【0101】
また本実施形態においては、2つの連結部材54、56が同一形状を有しているので、これにより車両用灯具10を安価に構成することができる。
【0102】
さらに本実施形態においては、3つの灯具ユニット20A~20Cとユニット支持部材52との連結点が同一水平面上(第1の平面上)に位置しており、その上で、連結部材54と灯具ユニット20A、20Bとの連結点が同一水平面上(第2の平面上)に位置するとともに連結部材56と灯具ユニット20B、20Cとの連結点も同一水平面上(第2の平面上)に位置しているので、回動支持機構50として2連式の平行クランク機構を備えた構成とすることができる。したがって、3つの灯具ユニット20A~20Cを同一の挙動で回動させることができ、これにより3つの灯具ユニット20A~20Cに対する上下方向の光軸調整が精度良く行われるようにすることができる。
【0103】
しかも本実施形態においては、ユニット支持部材52と連結部材54と灯具ユニット20A、20Bとの連結構造として構成される平行クランク機構と、ユニット支持部材52と連結部材56と灯具ユニット20B、20Cとの連結構造として構成される平行クランク機構とが全く同一のリンク形状に設定されているので、3つの灯具ユニット20A~20Cを全く同一の条件で回動させることができる。そしてこれにより3つの灯具ユニット20A~20Cに対する上下方向の光軸調整がさらに精度良く行われるようにすることができる。
【0104】
さらに本実施形態においては、灯具ユニット20A、20Bと連結部材54との前後2箇所の連結点が、灯具ユニット20A、20Bとユニット支持部材52との前後2箇所の連結点に対して真上の位置(すなわち灯具前後方向に関して同じ位置)に設定されているので、灯具ユニット20A、20Bの各々に対する光軸調整が最も精度良く行われる状態で連結部材54を配置することができる。同様に、灯具ユニット20B、20Cと連結部材56との前後2箇所の連結点が、灯具ユニット20B、20Cとユニット支持部材52との前後2箇所の連結点に対して真上の位置に設定されているので、灯具ユニット20B、20Cの各々に対する光軸調整が最も精度良く行われる状態で連結部材56を配置することができる。
【0105】
また、本実施形態の透光カバー14は、3つの灯具ユニット20A~20Cからの照射光が透過する照射光透過領域14a~14cを囲む領域に遮光処理が施されることによって、照射光透過領域14a~14cの各々が横長矩形状の開口形状に設定されているので、これにより車両用灯具10の意匠性を高めることができる。その際、本実施形態においては、上下方向の光軸調整を行っても各灯具ユニット20A~20Cの上下方向の変位量が大きくならないので、照射光透過領域14a~14cの上下方向の幅を最小限に抑えることができ、これにより車両用灯具10の意匠性を一層高めることができる。
【0106】
上記第1実施形態においては、3つの灯具ユニット20A~20Cが、同一水平面上において左右方向に並んだ状態で配置されているものとして説明したが、これ以外の状態で配置された構成とすることも可能である。
【0107】
上記第1実施形態においては、3つの灯具ユニット20A~20Cが、いずれもロービーム用配光パターンPLの一部を構成する配光パターンを形成する構成となっているものとして説明したが、これ以外の配光パターンを形成する構成とすることも可能である。
【0108】
上記第1実施形態においては、3つの灯具ユニット20A~20Cが、いずれもプロジェクタ型の灯具ユニットであるものとして説明したが、これ以外の灯具ユニット(例えばパラボラ型の灯具ユニット等)を採用することも可能である。
【0109】
上記第1実施形態においては、車両用灯具10が3つの灯具ユニット20A~20Cを備えているものとして説明したが、2つまたは4つ以上の灯具ユニットを備えた構成とすることも可能である。
【0110】
次に、上記第1実施形態の変形例について説明する。
【0111】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0112】
図7は、本変形例に係る車両用灯具110を示す、
図2と同様の図である。また、
図8は、
図7のVIII-VIII線断面図である。
【0113】
図7、8に示すように、本変形例の基本的な構成は上記第1実施形態の場合と同様であるが、回動支持機構150の構成が上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
【0114】
すなわち本変形例においては、2つの連結部材154、156がいずれもアジャスティングスクリュウで構成されている点で上記第1実施形態の場合と異なっており、これに伴い、3つの灯具ユニット120A、120B、120Cの構成も上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
【0115】
具体的には、互いに隣接する2つの灯具ユニット120A、120Bを連結する連結部材154は、上記第1実施形態の連結部材54と同様、灯具前後方向に延びるように配置されているが、その前半部にネジ部が形成されるとともにその後端部にネジ溝154a1を有する球状部154aが形成された軸状部材として構成されている。
【0116】
一方、灯具ユニット120Aのベース部材130には、右方向へ突出するタブ130fが形成されており、このタブ130fには、連結部材154のネジ部と螺合するアジャスティングナット142が装着されている。
【0117】
また、灯具ユニット120Bのベース部材130には、左方向へ突出するタブ130gが形成されており、このタブ130gには、連結部材154の球状部154aが嵌め込まれる凹面部130g1が形成されている。
【0118】
これにより連結部材154は、灯具ユニット120Aに対して、アジャスティングナット142との螺合位置を通る回動軸線Ax2aまわりに回動可能に連結されており、また、灯具ユニット120Bに対して、タブ130gとの嵌合位置を通る回動軸線Ax2bまわりに回動可能に連結されている。
【0119】
回動軸線Ax2a、Ax2bは、回動軸線Ax1a、Ax1bの真上に位置しているが、連結部材154の球状部154aに形成されたネジ溝154a1にドライバーを係合させて連結部材154を回転させることにより、回動軸線Ax2a、Ax2b間の距離を変化させ得るようになっている。
【0120】
同様に、互いに隣接する2つの灯具ユニット120B、120Cを連結する連結部材156は、上記第1実施形態の連結部材56と同様、灯具前後方向に延びるように配置されているが、その前半部にネジ部が形成されるとともにその後端部にネジ溝156a1を有する球状部156aが形成された軸状部材として構成されている。
【0121】
一方、灯具ユニット120Bのベース部材130には、右方向へ突出するタブ130fが形成されており、このタブ130fには、連結部材156のネジ部と螺合するアジャスティングナット142が装着されている。
【0122】
また、灯具ユニット120Cのベース部材130には、左方向へ突出するタブ130gが形成されており、このタブ130gには、連結部材156の球状部156aが嵌め込まれる凹面部130g1が形成されている。
【0123】
これにより連結部材156は、灯具ユニット120Bに対して、アジャスティングナット142との螺合位置を通る回動軸線Ax2bまわりに回動可能に連結されており、また、灯具ユニット120Cに対して、タブ130gとの嵌合位置を通る回動軸線Ax2cまわりに回動可能に連結されている。
【0124】
回動軸線Ax2b、Ax2cは、回動軸線Ax1b、Ax1cの真上に位置しているが、連結部材156の球状部156aに形成されたネジ溝156a1にドライバーを係合させて連結部材156を回転させることにより、回動軸線Ax2b、Ax2c間の距離を変化させ得るようになっている。
【0125】
本変形例においても、ユニット駆動部材60においてレベリングアクチュエータ66の駆動によりアジャスティングスクリュウ68が回転すると、そのネジ部と螺合するアジャスティングナット76が灯具前後方向に移動し(矢印Ac参照)、このアジャスティングナット76が装着されたブラケット70と共に灯具ユニット120Cが回動軸線Ax1cまわりに回動する(矢印Bc参照)。これと連動して、連結部材156も灯具前後方向に移動し(矢印Ab参照)、この連結部材156を介して灯具ユニット120Cと連結された灯具ユニット120Bが回動軸線Ax1bまわりに回動する(矢印Bb参照)。さらにこれと連動して、連結部材154も灯具前後方向に移動し(矢印Aa参照)、この連結部材154を介して灯具ユニット120Bと連結された灯具ユニット120Aも回動軸線Ax1aまわりに回動する(矢印Ba参照)。
【0126】
したがって、本変形例の構成を採用した場合においても、上記第1実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0127】
その上で、本変形例においては、連結部材154は、互いに隣接する2つの灯具ユニット120A、120Bとの連結点相互間の長さを調整し得るように構成されており、また、連結部材156は、互いに隣接する2つの灯具ユニット120B、120Cとの連結点相互間の長さを調整し得るように構成されているので、3つの灯具ユニット20A~20C相互間における上下方向の光軸ズレを解消するための微調整を行うことが可能となる。
【0128】
したがって、
図5に示すロービーム用配光パターンPLにおいて、3つの灯具ユニット120A、120B、120Cからの照射光によって形成される3つの配光パターンPLA、PLB、PLCの上端縁の高さ位置を揃えることができ、これによりカットオフラインCL1、CL2の鮮明度を高めることができる。
【0129】
次に、上記第1実施形態の第2変形例について説明する。
【0130】
図9は、本変形例に係る車両用灯具210を示す、
図2と同様の図である。
【0131】
図9に示すように、本変形例の基本的な構成は上記第1実施形態の場合と同様であるが、回動支持機構250の構成が上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
【0132】
すなわち、上記第1実施形態においては、右側に位置する灯具ユニット20Cが第1灯具ユニット(すなわちユニット駆動部材60と連結される灯具ユニット)として構成されているものとして説明したが、本変形例においては、中央に位置する灯具ユニット20Bが第1灯具ユニットとして構成されている。
【0133】
具体的には、本変形例においても、ユニット駆動部材60は、そのアジャスティングスクリュウ68のネジ部においてアジャスティングナット76と螺合しているが、本変形例においては、このアジャスティングナット76が装着されたブラケット270が、灯具ユニット20Cではなく灯具ユニット20Bに固定された構成となっている。
【0134】
ブラケット270は、灯具ユニット20Bのベース部材30の上面右端部から上方および灯具後方へ向けて延びるとともにその後端部が右方向へ向けて延びるように形成されている。そして、このブラケット270の上部後端部から左方向に突出している部分において、アジャスティングナット76がブラケット270に装着されている。
【0135】
本変形例においては、ユニット駆動部材60においてレベリングアクチュエータ66の駆動によりアジャスティングスクリュウ68が回転すると、そのネジ部と螺合するアジャスティングナット76が灯具前後方向に移動し、このアジャスティングナット76が装着されたブラケット270と共に灯具ユニット20Bが回動軸線Ax1bまわりに回動する。これと連動して、2つの連結部材54、56が灯具前後方向に移動し、これら2つの連結部材54、56を介して灯具ユニット20Bと連結された灯具ユニット20A、20Bが回動軸線Ax1a、Ax1bまわりにそれぞれ回動する。
【0136】
したがって、本変形例の構成を採用した場合においても、上記第1実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0137】
しかも本変形例においては、灯具ユニット20Bの回動と直接連動させて残り2つの灯具ユニット20A、20Bを回動させることができるので、これにより3つの灯具ユニット20A~20Cに対する光軸調整の精度を一層高めることができる。
【0138】
次に、上記第1実施形態の第3変形例について説明する。
【0139】
図10は、本変形例に係る車両用灯具310を示す、
図3と同様の図である。
【0140】
図10に示すように、本変形例の基本的な構成は上記第1実施形態の場合と同様であるが、回動支持機構350の構成が上記第1実施形態の場合と一部異なっており、これに伴い、ランプボディ312および透光カバー314の構成も上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
【0141】
すなわち、本変形例の回動支持機構350は、3つの灯具ユニット20A~20Cを上下方向に関してのみ回動可能に支持する構成となっている。
【0142】
そして本変形例においては、ランプボディ312が、3つの灯具ユニット20A~20Cの各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上下方向に回動可能に支持するユニット支持部材としての機能を果たすように構成されている。
【0143】
このため、ランプボディ312は上記第1実施形態のランプボディ12よりも上下幅が狭くなっており、また、透光カバー314も上記第1実施形態の透光カバー14よりも上下幅が狭くなっている。なお、透光カバー314の照射光透過領域314aの上下幅に関しては、上記第1実施形態の場合と同じ値に設定されている。
【0144】
本変形例においても、灯具ユニット20C(第1灯具ユニット)を上下方向に回動させることにより、これと連動させて残り2つの灯具ユニット20A、20Bも上下方向に回動させることができ、これにより3つの灯具ユニット20A~20Cに対する光軸調整を一括して行うための構成を簡易なものとすることができる。
【0145】
本変形例の構成を採用することにより、左右方向の光軸調整を必要としないフォグランプ等において、より簡易な灯具構成により上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0146】
また、本変形例の構成を採用することにより、ランプボディ312および透光カバー314の上下幅を上記第1実施形態の場合よりもさらに狭くすることができるので、これにより車両用灯具310のさらなる薄型化を図ることができる。
【0147】
次に、本願発明の第2実施形態について説明する。
【0148】
図11は、本実施形態に係る車両用灯具510を示す正面図である。また、
図12は
図11のXII-XII線断面図であり、
図13は
図12のXIII-XIII線断面図である。
【0149】
図11~13に示すように、本実施形態の基本的な構成は上記第1実施形態の場合と同様であるが、回動支持機構550の構成が上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
【0150】
すなわち、本実施形態の回動支持機構550は、2つの灯具ユニット20A、20Bを連結する連結部材554および2つの灯具ユニット20B、20Cを連結する連結部材556が、いずれも歯車機構によって構成されている。
【0151】
具体的には、連結部材554は、2つの灯具ユニット20A、20Bの各々に固定された第1歯車554A、554Bとユニット支持部材552に固定された第2歯車554Dとが互いに噛合した状態で配置されることによって構成されている。また、連結部材556は、2つの灯具ユニット20B、20Cの各々に固定された第1歯車556B、556Cとユニット支持部材552に固定された第2歯車556Dとが互いに噛合した状態で配置されることによって構成されている。
【0152】
本実施形態においても、灯具ユニット20A、20B、20Cは、ユニット支持部材552に対して回動軸線Ax1a、Ax1b、Ax1cまわりに回動し得る構成となっている。
【0153】
その上で、第1歯車554Aは、灯具ユニット20Aから左方向へ突出するボス30hに嵌め込まれた状態でネジ58が締め付けられることにより、回動軸線Ax1a上において灯具ユニット20Aに固定されている。また、第1歯車554Bは、灯具ユニット20Bから右方向へ突出するボス30hに嵌め込まれた状態でネジ58が締め付けられることによりに回動軸線Ax1b上において灯具ユニット20Bに固定されている。
【0154】
一方、第2歯車556Dは、ユニット支持部材552から右方向へ突出するボス552hに嵌め込まれた状態でネジ58が締め付けられることにより、回動軸線Ax3a上においてユニット支持部材552に対して回動軸線Ax3aまわりに回動可能に支持されている。この回動軸線Ax3aは、回動軸線Ax1a、Ax1bに対して灯具前後方向の中点に位置するとともに回動軸線Ax1a、Ax1bよりも上方側に位置している。
【0155】
同様に、第1歯車556Bは、回動軸線Ax1b上において灯具ユニット20Bに固定されており、第1歯車556Cは、回動軸線Ax1c上において灯具ユニット20Cに固定されている。一方、第2歯車556Dは、回動軸線Ax3b上においてユニット支持部材552に対して回動軸線Ax3bまわりに回動可能に支持されている。そして、この回動軸線Ax3bは、回動軸線Ax1b、Ax1bに対して灯具前後方向の中点に位置するとともに回動軸線Ax1b、Ax1bよりも上方側に位置している。
【0156】
第1歯車554A、554B、556B、556Cは、同一サイズの平歯車で構成されている。また、第2歯車554D、556Dも同一サイズの平歯車で構成されているが、第1歯車554A~556Cよりも大径の歯車として構成されている。
【0157】
本実施形態に係る車両用灯具510において、回動支持機構550による3つの灯具ユニット20A~20Cの上下方向の回動は次のようにして行われる。
【0158】
すなわち、
図13に示すように、ユニット駆動部材60においてレベリングアクチュエータ66の駆動によりアジャスティングスクリュウ68が回転すると、そのネジ部と螺合するアジャスティングナット76が灯具前後方向に移動し(矢印Ac参照)、このアジャスティングナット76が装着されたブラケット70と共に灯具ユニット20Cが回動軸線Ax1cまわりに回動する(矢印Bc参照)。これと連動して連結部材556が歯車機構として作動し、これにより灯具ユニット20Bが回動軸線Ax1bまわりに回動し(矢印Bb参照)、さらにこれと連動して連結部材554が歯車機構として作動し、これにより灯具ユニット20Aも回動軸線Ax1aまわりに回動する(矢印Ba参照)。
【0159】
なお、
図13においては、回動支持機構550の機能を分かりやすく説明するため、レベリングアクチュエータ66の駆動によりアジャスティングナット76が灯具前方側へ移動する場合の挙動を矢印で示している。
【0160】
連結部材556が歯車機構として作動する際には、灯具ユニット20Cが回動軸線Ax1cまわりに回動する(矢印Bc参照)ことによって、第1歯車556Cも回動軸線Ax1cまわりに同一方向に回動し(矢印Cc参照)、この第1歯車556Cと噛合する第2歯車556Dが回動軸線Ax3bまわりに反対方向に回動し(矢印Db参照)、この第2歯車556Dと噛合する第1歯車556Bが回動軸線Ax1bまわりに第1歯車556Cと同一方向に回動(矢印Cb参照)し、これにより灯具ユニット20Bが回動軸線Ax1bまわりに回動する(矢印Bb参照)。
【0161】
また、連結部材554が歯車機構として作動する際には、第1歯車556Bと共に第1歯車554Bも回動軸線Ax1bまわりに同一方向に回動し(矢印Cb参照)、この第1歯車554Bと噛合する第2歯車554Dが回動軸線Ax3aまわりに反対方向に回動(矢印Da参照)し、この第2歯車554Dと噛合する第1歯車554Aが回動軸線Ax1aまわりに第1歯車554Bと同一方向に回動(矢印Ca参照)し、これにより灯具ユニット20Aが回動軸線Ax1aまわりに回動する(矢印Ba参照)。
【0162】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0163】
本実施形態に係る車両用灯具510は、3つの灯具ユニット20A、20B、20Cが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置された構成となっているが、これらを上下方向(所要方向)に一括して回動可能に支持するための回動支持機構550として、3つの灯具ユニット20A~20Cの各々を灯具前後方向に関して互いに異なる位置において上下方向に回動可能に支持するユニット支持部材552を備えた構成となっているので、3つの灯具ユニット20A~20Cの各々が回動する際の回動軸線Ax1a、Ax1b、Ax1cを、灯具前後方向に関して3つの灯具ユニット20A~20Cの各々の近くに配置することができる。
【0164】
したがって、3つの灯具ユニット20A~20Cに対する上下方向の光軸調整を一括して行ったときに、その各々が元の位置から上下方向に大きく変位してしまわないようにすることができ、これにより車両用灯具510の意匠性が損なわれてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0165】
その際、回動支持機構550は、ユニット支持部材552に支持された3つの灯具ユニット20A~20Cを、互いに隣接する2つの灯具ユニット20A、20Bおよび灯具ユニット20B、20C毎に連結するように配置された2つの連結部材554、556を備えた構成となっており、その上で、連結部材554は、灯具ユニット20A、20Bに固定された第1歯車554A、554Bとユニット支持部材552に固定された第2歯車554Dとが噛合した状態で配置されることによって構成されており、また、連結部材556は、灯具ユニット20B、20Cに固定された第1歯車556B、556Cとユニット支持部材552に固定された第2歯車556Dとが噛合した状態で配置されることによって構成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0166】
すなわち、灯具ユニット20C(第1灯具ユニット)を上下方向に回動させることにより、これと連動させて残り2つの灯具ユニット20A、20Bも上下方向に回動させることができる。したがって、3つの灯具ユニット20A~20Cに対する光軸調整を一括して行うための構成を簡易なものとすることができる。
【0167】
このように本実施形態によれば、3つの灯具ユニット20A、20B、20Cを備えた車両用灯具510において、3つの灯具ユニット20A~20Cが灯具前後方向に関して互いに異なる位置に配置されている場合であっても、その光軸調整によって車両用灯具510の意匠性が損なわれないようにすることができ、かつ、これを簡易な構成によって実現することができる。
【0168】
しかも本実施形態の構成を採用することにより、回動支持機構550をコンパクトな構成とすることができ、これにより車両用灯具510の小型化を図ることができる。
【0169】
また本実施形態においては、2つの連結部材554、556が同一の構造を有する歯車機構で構成されているので、車両用灯具510を安価に構成することができる。
【0170】
上記第2実施形態においては、第2歯車554D、556Dが第1歯車554A、554B、556B、556Cに対してその上方側に配置されているものとして説明したが、その下方側に配置された構成とすることも可能であり、また、同一平面上に配置された構成とすることも可能である。
【0171】
次に、上記第2実施形態の変形例について説明する。
【0172】
図14は、本変形例に係る車両用灯具610を示す、
図13と同様の図である。
【0173】
図14に示すように、本変形例の基本的な構成は上記第2実施形態の場合と同様であるが、回動支持機構650の構成が上記第2実施形態の場合と一部異なっている。
【0174】
すなわち、本変形例の回動支持機構650においては、ユニット駆動部材660の配置が上記第2実施形態の場合と異なっており、これに伴ってユニット支持部材652等の構成も上記第2実施形態の場合と一部異なっている。
【0175】
具体的には、本変形例のユニット駆動部材660は、そのレベリングアクチュエータ666から灯具前方へ向けて延びるアジャスティングスクリュウ668のネジ部668aが、連結部材556を構成している第2歯車556Dの上端部と直接噛合した状態で配置されている。
【0176】
このため、本変形例のユニット駆動部材660は、上記第2実施形態のユニット駆動部材60に対して下方に変位した状態で配置されている。そして、このユニット駆動部材60には、上記第2実施形態のユニット駆動部材60ようにアジャスティングスクリュウ68のネジ部と螺合するアジャスティングナット76およびこれを装着するためのブラケット70は設けられていない。
【0177】
一方、本変形例においては、ユニット支持部材652に、アジャスティングスクリュウ668の軸部を挿通させるための挿通孔652b1を有するフランジ部652bが形成されている。これにより、アジャスティングスクリュウ668が長尺で形成されていても、その軸部をフランジ部652bにおいて支持することにより、そのネジ部668aと第2歯車556Dとの噛合が確実に行われるようにすることができる。
【0178】
本変形例においては、ユニット駆動部材660が上記第2実施形態の場合よりも下方に変位しており、かつ、このユニット駆動部材660にはブラケット70が存在しないので、ランプボディ612および透光カバー614は、その上面壁が上記第2実施形態の場合よりも下方に変位した状態で形成されている。
【0179】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0180】
その上で、本変形例のように、ユニット駆動部材660の構成として、連結部材556を構成している第2歯車556Dと噛合するアジャスティングスクリュウ668(スクリュウ)を備えたものとすることにより、車両用灯具610の上下幅を上記第2実施形態の場合よりも狭くすることができる。
【0181】
すなわち、本変形例の構成を採用することにより、ユニット駆動部材660の配置スペースを確保することが容易に可能となり、これにより車両用灯具610をコンパクトな構成とすることが一層容易に可能となる。
【0182】
上記変形例においては、アジャスティングスクリュウ668のネジ部668aが、連結部材556を構成している第2歯車556Dと噛合しているものとして説明したが、この第2歯車556Dの灯具後方側に位置する第1歯車556Cと噛合する構成とすることも可能である。このような構成を採用することにより、アジャスティングスクリュウの長さを短くすることが可能となる。
【0183】
なお、上記第1および第2実施形態ならびにその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0184】
また、本願発明は、上記第1および第2実施形態ならびにその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0185】
10、110、210、310、510、610 車両用灯具
12、312、612 ランプボディ
12a 下壁部
12b 後壁部
14、314、614 透光カバー
14a、14b、14c、314a 照射光透過領域
16 有色塗装膜
20A、20B、20C、120A、120B、120C 灯具ユニット
22 投影レンズ
24 発光素子
26A、26B、26C リフレクタ
30、130 ベース部材
30a 上向き反射面
30a1 前端縁
30b 放熱フィン
30c フレーム部
30d 水平ピン
30e、30h、552h ボス
50、150、250、350、550、650 回動支持機構
52、552、652 ユニット支持部材
52a 係合穴
54、56、154、156、554、556 連結部材
54a、54b、56a、56b ネジ挿通孔
58 ネジ
60、660 ユニット駆動部材
62、64、68、668 アジャスティングスクリュウ(スクリュウ)
66、666 レベリングアクチュエータ
70、270 ブラケット
72、74、76、142 アジャスティングナット
130f、130g タブ
130g1 凹面部
154a、156a 球状部
154a1、156a1 ネジ溝
554A、554B、556B、556C 第1歯車
554D、556D 第2歯車
652b フランジ部
652b1 挿通孔
668a ネジ部
Ax 光軸
Ax1a、Ax1b、Ax1c、Ax2a、Ax2b、Ax2c、Ax3a、Ax3b 回動軸線
CL1 下段カットオフライン
CL2 上段カットオフライン
E エルボ点
F 後側焦点
PL ロービーム用配光パターン
PLA、PLB、PLC 配光パターン