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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012341
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】点検支援システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230118BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230118BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20230118BHJP
【FI】
G05B23/02 T
G05B19/418 Z
G05B23/02 301N
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115935
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000220642
【氏名又は名称】東京電設サービス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
(71)【出願人】
【識別番号】501464255
【氏名又は名称】株式会社テプコシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】中島 秀之
(72)【発明者】
【氏名】清水 哲也
(72)【発明者】
【氏名】馬込 勝則
(72)【発明者】
【氏名】谷口 修平
(72)【発明者】
【氏名】濱田 浩
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 啓一
(72)【発明者】
【氏名】望月 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松本 和幸
(72)【発明者】
【氏名】青木 洸暉
(72)【発明者】
【氏名】本郷 拓人
【テーマコード(参考)】
3C100
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA62
3C100BB13
3C100BB34
3C100CC02
3C223AA02
3C223AA21
3C223AA23
3C223BA02
3C223BB02
3C223BB08
3C223EA09
3C223FF09
3C223FF42
3C223GG03
3C223HH06
3C223HH08
3C223HH17
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】作業対象に行われる点検作業の内容を自動的に判定しつつ、複数の作業対象点検作業の進行度合いを管理することができる点検支援システムを提供する。
【解決手段】複数の作業対象を点検する作業を支援する点検支援システムであって、複数の端末装置により点検される複数の前記作業対象に対する複数の作業スケジュールの進行度合いを管理する管理装置と、前記端末装置から取得した作業前の作業対象に設けられたスイッチ類の第1状態が撮像された第1画像と、作業後の前記作業対象の前記スイッチ類の第2状態が撮像された第2画像との比較結果に基づいて、前記第1状態と前記第2状態との差異を抽出し、前記作業対象に対して行われる所定の作業が完了したか否かを判定する判定部と、判定結果に応じた所定のメッセージを前記端末装置及び前記管理装置に送信する制御部と、を備える判定装置と、を備える点検支援システムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業対象を点検する作業を支援する点検支援システムであって、
複数の端末装置により点検される複数の前記作業対象に対する複数の作業スケジュールの進行度合いを管理する管理装置と、
前記端末装置から取得した作業前の作業対象に設けられたスイッチ類の第1状態が撮像された第1画像と、作業後の前記作業対象の前記スイッチ類の第2状態が撮像された第2画像との比較結果に基づいて、前記第1状態と前記第2状態との差異を抽出し、前記作業対象に対して行われる所定の作業が完了したか否かを判定する判定部と、判定結果に応じた所定のメッセージを前記端末装置及び前記管理装置に送信する制御部と、を備える判定装置と、を備える、
点検支援システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1状態と前記第2状態とが同一である場合に前記所定の作業が完了したと判定し、
前記制御部は、前記作業が終了した内容を含む前記メッセージを生成する、
請求項1に記載の点検支援システム。
【請求項3】
前記端末装置は、前記第2画像が表示された表示画面上に、透過性を有する前記第1画像を重ねて表示する、
請求項1または2に記載の点検支援システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1状態と前記第2状態とが同一でない場合に前記所定の作業が完了していないと判定し、
前記制御部は、前記作業が終了していない内容を含む前記メッセージを生成する、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の点検支援システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記所定のメッセージに含まれる前記判定結果の内容に基づいて前記端末装置から送信された作業報告に関する情報に基づいて、前記作業対象を含む複数の作業領域に応じた複数の前記作業スケジュールの進行度合いを管理する、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の点検支援システム。
【請求項6】
前記管理装置は、前記作業スケジュールの前記進行度合いに基づいて、前記複数の作業領域におけるリソース配分を再計算する、
請求項5に記載の点検支援システム。
【請求項7】
前記管理装置は、再計算後の前記リソース配分に基づいて、作業が完了した前記作業領域から作業が完了していない前記作業領域にリソースを派遣させるように前記複数の作業スケジュールを再計算する、
請求項6に記載の点検支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業対象への作業が確実に完了しているかを判定する点検支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数のスイッチ類を有する配電盤等の装置は、定期的な点検においてスイッチ類が操作され、動作確認が行われている。点検作業においては、作業が終了した際に、配電盤のスイッチ類が元の状態に復帰されている等の作業内容が確実に行われているか確認することが求められる。点検作業は、終了時に作業状態の確認を確実に行い、スイッチ類の戻し忘れ等の誤操作の発生をゼロとすることが望ましい。
【0003】
例えば、特許文献1には、作業対象を撮像し撮像画像に基づいて作業対象の状態を判定し作業対象の操作が適切に行われているか判定する作業支援システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020-179328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の作業対象を含む現場においては、操作を適切に行うだけでなく、各作業対象における点検作業の進行度合いをリアルタイムに管理し、作業時間を短縮することが求められる。特許文献1に記載された作業支援システムによれば、複数の作業対象の点検作業の進行度合いを管理することについてはまだ提案されていなかった。
【0006】
本発明は、作業対象に行われる点検作業の内容を自動的に判定しつつ、複数の作業対象点検作業の進行度合いを管理することができる点検支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、複数の作業対象を点検する作業を支援する点検支援システムであって、複数の端末装置により点検される複数の前記作業対象に対する複数の作業スケジュールの進行度合いを管理する管理装置と、前記端末装置から取得した作業前の作業対象に設けられたスイッチ類の第1状態が撮像された第1画像と、作業後の前記作業対象の前記スイッチ類の第2状態が撮像された第2画像との比較結果に基づいて、前記第1状態と前記第2状態との差異を抽出し、前記作業対象に対して行われる所定の作業が完了したか否かを判定する判定部と、判定結果に応じた所定のメッセージを前記端末装置及び前記管理装置に送信する制御部と、を備える判定装置と、を備える点検支援システムである。
【0008】
本発明によれば、点検作業を行う作業対象の作業前の第1画像と点検作業後の第2画像との差異を抽出し、作業の完了を判定するため、誤った作業の発生を未然に防止することができる。また、本発明によれば、判定装置が作業内容に応じて所定のメッセージを送信することで、管理装置は、複数の作業スケジュールの進行度合いをリアルタイムに管理することができる。
【0009】
また、本発明の前記判定部は、前記第1状態と前記第2状態とが同一である場合に前記所定の作業が完了したと判定し、前記制御部は、前記作業が終了した内容を含む前記メッセージを生成してもよい。
【0010】
本発明によれば、配電盤などのスイッチ類を点検して現状復帰する際にスイッチ類の戻し忘れなどのヒューマンエラーを未然に防止することができる。
【0011】
また、本発明の前記端末装置は、前記第2画像が表示された表示画面上に、透過性を有する前記第1画像を重ねて表示してもよい。
【0012】
本発明によれば、作業終了時の第2画像に透過性を有する第1画像を重ねて表示することにより、スイッチ類の戻し忘れ等の誤った作業内容を容易に発見することができる。
【0013】
また、本発明の前記判定部は、前記第1状態と前記第2状態とが同一でない場合に前記所定の作業が完了していないと判定し、前記制御部は、前記作業が終了していない内容を含む前記メッセージを生成してもよい。
【0014】
本発明によれば、作業対象のスイッチ類を現状復帰させる点検作業の内容において作業前の第1状態と作業後の第2状態とが同一でない場合に、作業が終了していない内容を含むメッセージを生成することにより、作業者はリアルタイムに復帰忘れを認識することができる。
【0015】
また、本発明の前記管理装置は、前記所定のメッセージに含まれる前記判定結果の内容に基づいて前記端末装置から送信された作業報告に関する情報に基づいて、前記作業対象を含む複数の作業領域に応じた複数の前記作業スケジュールの進行度合いを管理してもよい。
【0016】
本発明によれば、管理装置が複数の作業対象の作業スケジュールの進行度合いを管理することにより、点検作業の状況をリアルタイムに確認することができる。
【0017】
また、本発明の前記管理装置は、前記作業スケジュールの前記進行度合いに基づいて、前記複数の作業領域におけるリソース配分を再計算してもよい。
【0018】
本発明によれば、複数の作業領域において同時に点検作業を行っている場合に、作業スケジュールの進行度合いに基づいて人員等のリソースの配分を調整することができ、点検作業を効率化することができる。
【0019】
また、本発明の前記管理装置は、再計算後の前記リソース配分に基づいて、作業が完了した前記作業領域から作業が完了していない前記作業領域にリソースを派遣させるように前記複数の作業スケジュールを再計算してもよい。
【0020】
本発明によれば、作業が終了した作業領域から作業が終了していない作業領域に人員等のリソースを配分することができ、点検作業に要する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、作業対象に行われる点検作業の内容を自動的に判定しつつ、複数の作業対象点検作業の進行度合いを管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る点検支援システムの構成を概略的に示す図である。
図2】点検支援システムの構成を示すブロック図である。
図3】判定装置における判定結果を示す図である。
図4】判定装置における他の判定結果を示す図である。
図5】作業スケジュールの進行状況を示す図である。
図6】点検支援システムにおける処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る点検支援システムの実施形態について説明する。
【0024】
図1に示されるように、点検支援システム1は、施設Cにおける複数の現場n(nは任意の自然数)における点検作業を支援するように構成されている。複数の現場nのそれぞれには、例えば、複数の作業対象2nm(mは任意の自然数)が設置されている。点検支援システム1は、複数の作業対象2nmを複数の端末装置3を用いて点検する際に作業内容が確実に行われるように支援する。複数の端末装置3からは、点検作業に関する情報がネットワークWを介して判定装置10に送信される。ネットワークWは、公衆通信網、構内LAN(Local Area Network)等の汎用通信設備である。
【0025】
判定装置10は、情報に基づいて、作業対象に対して行われる所定の作業が完了したか否かを判定する。判定装置10は、判定結果を管理装置20に送信する。管理装置20は、判定結果に基づいて、複数の端末装置3により点検される複数の作業対象2nmに対する複数の作業スケジュールの進行度合いを管理する。
【0026】
現場nは、例えば、工場やビルディング等の大規模な施設内に設けられた複数の変電設備を含む管理対象として区切られた作業領域である。変電設備は、発電所から送電された電力の高電圧を施設内で用いられる低圧の電圧に変換する設備である。各変電設備は、施設内の複数の領域毎に電力を分配する複数の配電盤(以下、適宜作業対象2nmと呼ぶ)が設けられている。配電盤は、例えば、施設内の所定領域に電力を配分するための操作用の機器である。作業対象2nmは、定期的に点検され、機能維持確認が行われる。
【0027】
作業対象2nmは、電力を配分する操作を行うための複数のスイッチやボタン等を含むスイッチ類が設けられている(図3及び図4参照)。スイッチは、例えば、ツマミ状に形成され、オン状態又はオフ状態を切り替えるように操作される。スイッチは、例えば、切り替え操作を行うと位置の変化に応じて色が変化するように形成されている。スイッチ類は、ボタン状に形成されていてもよい。ボタンは、例えば、オン状態又はオフ状態を切り替えるように操作され、切り替え操作を行うとLED等のインジケーターの発光が変化するように形成されていてもよい。
【0028】
複数の現場nには、複数の作業者がそれぞれ割り当てられ、点検作業が行われる。各現場nには、例えば、3人の作業者が配分される。各作業者は、点検作業においてスイッチ類を操作し、機能維持確認を行った後、スイッチ類を作業前の状態に復帰し、点検作業を終了する。各作業者は、それぞれ端末装置3を携帯している。作業者は、端末装置3を用いて作業対象2nmの点検作業が確実に行われているか否かを確認する。
【0029】
図2に示されるように、端末装置3は、例えば、タブレット型端末、スマートフォン等の汎用の携帯型の情報処理端末により構成されている。端末装置3は、例えば、撮像用にスマートフォンが使用され、作業スケジュールの進捗管理においてはタブレット型端末が使用される等、現場nにおいて目的に応じて使い分けられていてもよい。端末装置3は、画像を表示可能な表示部5を有する。表示部5は、タッチパネル式の液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置である。表示部5は、入力部としても機能する。表示部5には、作業者による操作を入力するためのキーボード画像などの入力インタフェースが表示される。入力インタフェースは、音声入力であってもよい。
【0030】
端末装置3は、入力インタフェースから受け付けられた操作に基づいて点検作業の支援を開始する。制御部6は、作業スケジュールに基づく点検作業の手順を示す表示画像を表示部5に表示する。点検作業の手順は、作業対象2nmのIDに基づいて、作業対象2nmの種類、スイッチ類の現在の状態に応じて個別に設定されている。
【0031】
作業者は、表示画像に表示される手順に従って点検作業を進行する。作業者は、経験が不足していても、端末装置3の表示部5に表示される手順に従って点検作業を進行すれば、確実に点検作業を完了することができる。端末装置3は、入力インタフェースから受け付けられた操作に基づいて作業対象2nmのIDを特定する。作業対象2nmのIDは、例えば、施設内における部屋番号、作業対象2nmの配列位置、作業対象2nmに付されている管理番号などの情報を入力することにより特定される。
【0032】
作業対象2nmのIDは、作業対象2nmに付された二次元コードに基づいて管理されていてもよい。端末装置3は、入力インタフェースから受け付けられた操作に基づいて撮像画像を取得する撮像部4を備える。撮像部4は、例えば、カメラセンサ等の撮像素子により構成されている。端末装置3における撮像、その他の動作は、制御部6により総合的に制御される。
【0033】
撮像部4により撮像された撮像画像は、記憶部8に記憶される。記憶部8は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)フラッシュメモリ等の記憶媒体により構成されている。作業者は、例えば、スイッチ類の第1状態を撮像し第1画像を取得する。第1画像は、作業前の作業対象に設けられたスイッチ類の第1状態を撮像した画像である。第1画像は、記憶部8に記憶される。作業者は、例えば、スイッチ類の操作を行って点検を行い、スイッチ類を作業前の状態に復帰させ点検作業を終了した際に、第2状態を撮像し第2画像を取得する。第2画像は、作業後の作業対象のスイッチ類の第2状態を撮像した画像である。第2画像は、記憶部8に記憶される。
【0034】
制御部6は、例えば、作業終了後、第2画像を撮像するための操作を促す画像を表示部に表示させる。制御部6は、例えば、撮像された第2画像を表示画面に表示させた際に、第2画像が表示された表示画面上に透過性を有する第1画像を重ねて表示する。作業者は、透過性を有する第1画像が重畳された第2画像を視認し、スイッチ類が第一画像と同一描写画像であることを視覚的に確認することができる。制御部6は、第2画像の撮像後、第1画像及び第2画像のデータに端末装置3のID情報や作業対象2nmのID情報を付加した点検情報を生成し、通信部7を介してネットワークWに送信する。
【0035】
判定装置10は、通信部13を介してネットワークWから点検情報を受信する。判定装置10は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置により構成されたサーバ装置である。点検情報は、記憶部14に記憶される。記憶部14は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)フラッシュメモリ等の記憶媒体により構成されている。点検情報は、判定部11により解析される。判定部11は、例えば、記憶部14に記憶された点検情報に基づいて、第1画像と、第2画像とを比較する。判定部11は、例えば、第1画像から抽出したスイッチ類の第1領域と、第2画像から抽出したスイッチ類の第2領域と、を比較し第1状態と第2状態との差異を抽出する。
【0036】
判定部11は、例えば、畳み込みニューラルネットワークを用いた機械学習に基づいて第1画像と、第2画像との差異を判定可能に設定されている。判定部11は、配電盤に設けられたスイッチ類が撮像された多数の画像を教師データとして読み込み機械学習を事前に行う。教師データに使用される画像には、スイッチがオン状態である画像と、スイッチがオフ状態である画像とが含まれている。画像には、複数のスイッチが含まれており、複数のスイッチのそれぞれがオン状態或いはオフ状態にされた場合の様々なパターンが記録されている。
【0037】
判定部11は、経時的に行われた点検作業により蓄積された第1画像及び第2画像を教師データとして追加し、定期的に機械学習を行い、判定精度を向上させてもよい。判定部11は、例えば、作業対象2nmのID、スイッチの配置関係、スイッチの切り替え位置、スイッチに表示される色等の情報に基づいて第1状態と第2状態との差異を抽出する。
【0038】
図3に示されるように、判定部11は、例えば、第1画像M1に記録された第1状態におけるスイッチ類Fと、第2画像M2に記録された第2状態におけるスイッチ類Fとが同一の位置、同一の色である場合に第1状態と第2状態とが同一と判定し、点検作業における所定の作業が完了したと判定する。制御部12は、第1状態と第2状態とが同一であると判定された場合、作業が終了した内容を含むメッセージを作業対象2nmのID及び端末装置3のIDと関連づけて生成し、通信部13を介して端末装置3及び管理装置20に送信する。
【0039】
図4に示されるように、判定部11は、第1画像M1に記録された第1状態におけるスイッチ類Fと、第2画像M2に記録された第2状態におけるスイッチ類Fとが同一の位置、同一の色でない場合に第1状態と第2状態とが同一でないと判定し、点検作業における所定の作業が完了していないと判定する。制御部12は、第1状態と第2状態とが同一でないと判定された場合、作業が終了していない内容を含むメッセージを作業対象2nmのID及び端末装置3のIDと関連づけて生成し、通信部13を介して端末装置3及び管理装置20に送信する。制御部12は、メッセージと共に、第2画像において第1状態と異なる状態のスイッチを色付きの枠内に強調表示した再点検用画像を生成し通信部13を介して端末装置3に送信してもよい。
【0040】
端末装置3は、自体のIDに基づくメッセージを受信した場合、表示部5にメッセージの内容を表示する。制御部6は、作業が終了した内容を含むメッセージを受信した場合、作業完了の報告を入力する操作用画像を表示部5に表示させる。作業者は、操作用画像に基づいて、作業完了の報告を入力する。制御部6は、入力に基づいて作業完了報告の情報を、通信部7を介して管理装置20に送信する。制御部6は、作業が終了していない内容を含むメッセージを受信した場合、作業対象2nmを再点検する旨を表示する再点検用メッセージを表示部5に表示させる。制御部6は、再点検用画像を表示部5に表示させてもよい。
【0041】
制御部6は、再点検用の開始手順を表示部5に表示する。作業者は、再点検用メッセージ、再点検用画像に基づいて、スイッチ類を確認し再点検を行い、第2状態において第1状態と異なった状態のスイッチの状態を変更するように操作し、スイッチ類を第1状態と同一の状態に復帰させる。作業者は、再度、第2画像を撮像する。その後の制御部6における処理は、上述した第2画像撮像後の処理と同様である。再点検が終了した場合、作業者は、操作用画像に基づいて、作業完了の報告を入力し、制御部6は、入力に基づいて作業完了報告の情報を、通信部7を介して管理装置20に送信する。
【0042】
管理装置20は、複数の作業対象に対する複数の作業スケジュールの進行度合いを管理する。管理装置20は、点検作業を統括する点検管理者によって操作される。管理装置20は、パーソナルコンピュータ等により構成された情報処理端末である。管理装置20は、例えば、施設Cから離れた遠隔地に設置されていてもよい。管理装置20には、施設Cに対する点検計画が予め入力されている。点検計画は、施設Cの点検日時、現場数、作業対象2nmの数、作業対象2nmの種類、各現場に配分する人員等のリソース配分、各現場に設定された点検作業の作業スケジュール等を管理する。作業スケジュールには、各現場の人員毎に作業対象2nmを配分し、作業開始から作業終了までの時間、作業内容等が時間内で終了するように設定されている。
【0043】
図5に示されるように、管理装置20は、表示画像Kに基づいて複数の端末装置3から送信される作業報告の情報内容及び判定装置10から送信されるメッセージの内容に基づいて、複数の端末装置3により点検される複数の作業対象に対する複数の作業スケジュールの進行度合いをリアルタイムに生成し、表示部21に表示する。点検管理者は、表示画像Kに基づいて、複数の作業対象に対する複数の作業スケジュールの進行度合いをリアルタイムに管理する。
【0044】
制御部22は、判定装置10から送信される所定のメッセージに作業が終了した旨の内容を含む場合、IDと対応付けて作業対象2nmの作業スケジュールに点検作業が誤り無く行われているという進行状況を記録する。
【0045】
制御部22は、端末装置3から作業完了報告を受信した場合、IDと対応付けて作業対象2nmの作業スケジュールに点検作業が終了したという進行状況を記録する。制御部22は、所定のメッセージに作業が終了していない内容を含む場合、IDと対応付けて作業対象2nmの作業スケジュールに点検作業に誤りがあり、再点検中であるという進行状況を記録する。制御部22は、端末装置3から再点検を開始した旨の報告を受信した場合、IDと対応付けて作業対象2nmの作業スケジュールに再点検を開始したという進行状況を記録する。
【0046】
制御部22は、再点検後に受信したメッセージに作業が終了した旨の内容を含む場合、IDと対応付けて作業対象2nmの作業スケジュールに再点検作業が誤り無く行われているという進行状況を記録する。制御部22は、端末装置3から再点検の作業完了報告を受信した場合、IDと対応付けて作業対象2nmの作業スケジュールに再点検作業が終了したという進行状況を記録する。
【0047】
点検管理者は、管理装置20を操作して、作業スケジュールの進行度合いに基づいて、複数の作業領域におけるリソース配分を再計算させる。制御部22は、作業スケジュールの進行度合いに基づいて、複数の作業領域におけるリソース配分を再計算する。制御部22は、再計算後のリソース配分に基づいて、作業が完了した作業領域から作業が完了していない作業領域にリソースを派遣させるように複数の作業スケジュールを再計算する。
【0048】
制御部22は、作業領域(現場n)毎の作業スケジュールの進行度合いを比較し、作業が終了した現場nと終了していない現場nとを抽出する。制御部22は、作業が終了していない現場nの作業スケジュールの進行度合いに基づいて、この現場nに必要な作業者の数等のリソースを算出する。点検管理者は、管理装置20を操作して作業が終了していない現場nへの応援を要請する。
【0049】
制御部22は、作業が終了していない現場nへの応援を要請するメッセージを生成し、作業が終了した現場nにおける端末装置3に送信する。制御部22は、例えば、作業が終了していない現場nの近傍の現場nに位置する複数の端末装置3の中から順に応援を要請するメッセージを送信する。作業者は、端末装置3に表示された応援に関するメッセージに基づいて、応援が必要な現場nに参加する旨の返信メッセージを管理装置20に送信する。制御部22は、返信メッセージの受信に基づいて、複数の作業スケジュールの進行度合いを管理する処理を継続する。制御部22は、全ての現場nにおける点検が終了した場合、作業スケジュールに点検が終了した旨の表示内容を表示部に表示させる。
【0050】
図6には、点検支援システム1における点検作業の流れが示されている。作業者は、現場nにおいて端末装置3を操作し、表示部5に表示される操作手順に従って作業対象2nmの点検を行う。作業者は、端末装置3を用いて作業前の作業対象2nmの第1状態であるスイッチ類の第1画像を撮像する(ステップS100)。作業者は、端末装置3に表示される手順に従って作業対象2nmの点検作業を行う(ステップS102)。作業者は、点検作業の終了後、作業対象2nmの第2状態であるスイッチ類の第2画像を撮像する(ステップS104)。
【0051】
第1画像及び第2画像は、判定装置10に送信される。判定装置10は、第1画像と第2画像との比較結果に基づいて所定の作業が完了したか否かを判定する(ステップS106)。判定装置10は、第1状態と第2状態とが同一であると判定した場合(ステップS106:Yes)、所定の点検作業が終了したと判定し、処理を終了する。判定装置10は、第1状態と第2状態とが同一でないと判定した場合(ステップS106:No)、再点検を促す旨の内容を含むメッセージを端末装置3及び管理装置20に送信する(ステップS108)。
【0052】
作業者は、再点検のメッセージ及び強調表示された第2画像に基づいてスイッチ類の状態を確認し、スイッチ類を元の状態に戻す作業を行った後、スイッチ類の第2画像を撮像する(ステップS110)。判定装置10は、再点検後の第2画像を取得した場合、処理をステップS106に戻し、第1状態と第2状態とが同一であるか否かを判定する。
【0053】
作業者は、点検作業が終了した場合、端末装置3に作業終了した旨の情報を入力し作業報告する(ステップS112)。管理装置20は、作業終了の情報に基づいて作業スケジュールに作業終了を記録する。管理装置20は、複数の現場の作業報告に関する情報に基づいて、複数の作業スケジュールの進行度合いに基づいて、複数の作業領域におけるリソース配分を再計算する(ステップS114)。管理装置20は、再計算後のリソース配分に基づいて、複数の作業スケジュールを再計算し、作業が完了した作業領域から作業が完了していない作業領域にリソースを派遣させる(ステップS116)。
【0054】
上述したように、点検支援システム1によれば、作業対象2nmに対する点検作業において、端末装置3に表示される手順に従って作業することにより、点検を円滑に行うことができる。点検支援システム1によれば、作業対象2nmの点検作業前の第1状態を撮像した第1画像と点検作業後の第2状態を撮像した第2画像との差異を判定し、点検作業の復旧忘れを抽出することができ、点検作業におけるヒューマンエラーを未然に防止することができる。点検支援システム1によれば、例えば、配電盤における点検作業において、スイッチ類の復旧忘れを防止することができる。
【0055】
点検支援システム1によれば、一つの現場における複数の人員における点検完了の確認作業を不要とし、リソースを低減することができる。点検支援システム1によれば、作業者は、端末装置3に表示される手順に従って点検作業を行うことにより、確実に点検作業を完了させることができる。点検支援システム1によれば、複数の作業領域におけるリソース配分を調整することで、点検作業にかかる作業時間を短縮することができる。
【0056】
上述した制御部6,12,22、及び判定部11の一部又は全部は、例えば、CPUなどのプロセッサが、記憶部に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。制御部6,12,22、及び判定部11における演算処理の各工程は、インストールされたプログラムを実行することにより処理される。また、これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部:circuitryを含む)によって実現されていてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されていてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0057】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上記実施形態においては、判定装置10は、第1状態と第2状態とが同一であるか否かを判定する場合を例示した。判定装置10はこれに限らず、第2状態を第1状態と異なる状態にする作業について、第2画像に基づいて、第2状態の作業内容が行われているか否かを判定してもよい。点検支援システム1は、配電盤だけでなく、スイッチ類を有する他の機器の点検作業に適用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 点検支援システム
2nm 作業対象
3 端末装置
6 制御部
10 判定装置
11 判定部
12 制御部
20 管理装置
22 制御部
F スイッチ類
M1 第1画像
M2 第2画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6