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特開2023-123416分割型プーリ変速装置のためのプーリアセンブリ及びこれのためのアクチュエータシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123416
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】分割型プーリ変速装置のためのプーリアセンブリ及びこれのためのアクチュエータシステム
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/10 20060101AFI20230829BHJP
   F16H 55/52 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
H02K7/10 D
F16H55/52
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023078091
(22)【出願日】2023-05-10
(62)【分割の表示】P 2020572584の分割
【原出願日】2018-11-20
(31)【優先権主張番号】62/642,979
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520355323
【氏名又は名称】インモーティブ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・ウォン
(72)【発明者】
【氏名】サラ・フォンディガ
(72)【発明者】
【氏名】ジャック・シリンガー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】分割型プーリ変速装置のためのプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムに関する。
【解決手段】無端部材を係合するためのプーリアセンブリが、第1のプーリ、第2のプーリ、及び無端部材を第1のプーリと第2のプーリとの間で移行させるように係合領域と非係合領域との間で独立して移動可能である1つ又は複数の移行セグメントを含む少なくとも1つの移行セグメントセットを含む。アクチュエータシステムが、支持構造体、支持構造体に固定されたアクチュエータサブアセンブリ、及びステータを含む。アクチュエータサブアセンブリは、従動子及びスレッドを含み、これは、ステータによってスレッドに生成される起電力に応答して、周方向において前進位置と後退位置との間で移動可能である。従動子は、スレッドが前進位置と後退位置との間で移動するとき、スレッドのカム面を係合して軸線方向において伸長位置と収縮位置との間で移動する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業システムの個別回転要素を移動させるためのアクチュエータシステムであって、
回転軸線を中心として回転可能に前記作業システムに固定可能とされる支持構造体と、
前記支持構造体に固定されているアクチュエータサブアセンブリであって、
スレッドであって、前記スレッドが、一時磁場によって起電力が前記スレッドに発生したことに応答して、前進位置と後退位置との間において前記回転軸線に関する略周方向に前記支持構造体に対して移動可能とされ、前記スレッドが、カム面を形成している、前記スレッドと、
前記スレッドが前記前進位置と前記後退位置との間で移動する場合に、伸長位置と収縮位置との間において略軸線方向に移動するように前記カム面と係合可能とされる従動子であって、前記作業システムの1つ以上の前記個別回転要素に固定可能とされる前記従動子と、
を備えている前記アクチュエータサブアセンブリと、
前記アクチュエータサブアセンブリに隣接する位置において前記作業システムに堅固に固定可能とされるステータであって、前記前進位置と前記後退位置との間において前記スレッドを移動させるために前記一時磁場を発生させるように選択的に通電可能とされる前記ステータと、
を備えている、アクチュエータシステム。
【請求項2】
前記アクチュエータサブアセンブリが、前記一時磁場が前記スレッドに発生させる前記起電力を増加させるために前記スレッドの近傍に位置決めされている補剛板を備えている、請求項1に記載のアクチュエータシステム。
【請求項3】
前記補剛板が、前記支持構造体に固定されており、且つ、略周方向に延在している、請求項2に記載のアクチュエータシステム。
【請求項4】
前記補剛板が、前記スレッドを貫通している、請求項3に記載のアクチュエータシステム。
【請求項5】
前記支持構造体は一対のガイドを含んでおり、
前記スレッドが、前記スレッドが前記前進位置と前記後退位置との間において移動する場合に、前記スレッドを前記略周方向に案内するために前記ガイド同士の間に摺動可能に固定されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のアクチュエータシステム。
【請求項6】
前記スレッドが、スレッドシャーシと前記スレッドシャーシに固定されている反応板とを備えており、
前記反応板が、前記スレッドに発生される前記起電力を増加させるために、導電性を有しているが磁気的に不活性な材料から形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のアクチュエータシステム。
【請求項7】
前記支持構造体が、略周方向における前記スレッドの移動を前記前進位置及び前記後退位置で阻止するための少なくとも1つのストッパを含んでいる、請求項1から6のいずれか一項に記載のアクチュエータシステム。
【請求項8】
前記スレッドが、略周方向における前記スレッドの移動を前記前進位置及び前記後退位置で阻止するために、前記ストッパに衝突するための少なくとも1つのバンパーを備えている、請求項7に記載のアクチュエータシステム。
【請求項9】
前記ステータが、ステータ本体と、前記一時磁場を発生させるために選択的に通電可能とされる少なくとも1つの巻線とを備えている、請求項1から8のいずれか一項に記載のアクチュエータシステム。
【請求項10】
前記従動子が、前記スレッドが前記前進位置と前記後退位置との間において移動する場合に前記伸長位置と前記収縮位置との間において前記従動子を移動させるために前記カム面と係合可能とされる突起を備えている、請求項1から9のいずれか一項に記載のアクチュエータシステム。
【請求項11】
前記作業システムの前記個別回転要素が、プーリアセンブリのセグメントとされ、
前記作業システムが、分割型プーリ変速装置である、請求項1から10のいずれか一項に記載のアクチュエータシステム。
【請求項12】
作業システムの個別回転要素を移動させる方法であって、
一時磁場を発生するために、ステータに通電するステップと、
前記一時磁場によって誘導される起電力によって、後退位置と前進位置との間においてスレッドを移動させるステップと、
伸長位置と後退位置との間において従動子を移動させるために、前記従動子を前記スレッドのカム面と係合させるステップと、
前記個別回転要素を前記従動子と共に移動させるために、前記従動子を前記作業システムの前記個別回転要素に固定するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記ステータが、前記作業システムに固定されており、
前記スレッド及び従動子が、前記作業システムの内部に回転可能に固定されており、
前記ステータに通電する前記ステップが、前記スレッドが前記ステータに近接して回転する場合に前記ステータに選択的に通電することを備えている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記スレッドが、前記後退位置と前記前進位置との間において略周方向に移動し、
前記従動子が、前記伸長位置と前記後退位置との間において軸線方向に移動する、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、前記スレッドに隣接する補剛板によって前記起電力を増加させるステップを備えている、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に配設されているプーリアセンブリであって、
回転軸線を中心として回転可能とされる第1のプーリと、
前記回転軸線を中心として回転可能とされると共に、係合領域と非係合領域との間において移動可能とされる一連の第2のプーリセグメントを備えている第2のプーリであって、前記第2のプーリセグメントが、前記係合領域にある場合に前記第1のプーリを包囲する、前記第2のプーリと、
を備えている前記プーリアセンブリと、
前記プーリアセンブリに接続されている請求項1から10のいずれか一項に記載のアクチュエータシステムであって、前記係合領域と前記非係合領域との間において前記第2のプーリセグメントを移動させるように構成されている前記アクチュエータシステムと、
前記ハウジングの内部に配設されている回転可能部材であって、前記プーリアセンブリから離隔配置されている前記回転可能部材と、
前記プーリアセンブリと前記回転可能部材とを結合している無端部材であって、前記プーリアセンブリと前記回転可能部材との間に延在している前記無端部材と、
を備えている、分割型プーリ変速装置。
【請求項17】
前記ハウジングが、略閉じたケーシング又は略開いた支持構造体を備えている、請求項16に記載の分割型プーリ変速装置。
【請求項18】
前記回転可能部材が、固定プーリを備えている、請求項16又は17に記載の分割型プーリ変速装置。
【請求項19】
前記分割型プーリ変速装置が、前記プーリアセンブリ及び前記回転可能部材から離隔配置されているアイドラープーリを備えており、
前記無端部材が、前記プーリアセンブリ、前記回転可能部材、及び前記アイドラープーリの間において延在しており、前記プーリアセンブリ、前記回転可能部材、及び前記アイドラープーリを結合している、請求項16から18のいずれか一項に記載の分割型プーリ変速装置。
【請求項20】
前記プーリアセンブリが、1つ以上の移行セグメントを具備する少なくとも1つの移行セグメントセットを備えており、前記移行セグメントが、前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間で前記無端部材を移行させるように、前記係合領域と前記非係合領域との間において移動可能とされ、
前記アクチュエータシステムが、前記係合領域と前記非係合領域との間で1つ以上の前記移行セグメントを移動させるように構成されている、請求項16から19のいずれか一項に記載の分割型プーリ変速装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、米国特許仮出願第62/642,979号の利益を主張するものであり、この特許出願の全体を参照により組み込む。
【0002】
本開示は、概して変速装置に、より具体的には、分割型プーリ変速装置のためのプーリアセンブリ及びそのためのアクチュエータシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
変速装置はよく知られており、回転要素間の比率を変更するために用いることができる。変速装置の潜在的な用途は多数あり、自動車、人力車、海上航空機、及びポンプ、タービン、ミキサ、ウィンチ、遠心分離機及びシュレッダのような重機を含む。
【0004】
クラッチレスマルチレシオ変速装置により、変速装置に負荷がかかっている間に回転要素間の比率を変更することが可能になる。幾つかの機械的な問題がクラッチレスマルチレシオ変速装置に影響する可能性があり、その広範な利用、具体的には、このような変速装置システムが実際の用途において高速で、又は大きな負荷の下で効果的かつ効率的に機能する能力を制限する。加えて、ラチェティング、滑り、及び張力の問題が、このような変速装置の信頼性を低下させ、その効率を低下させて摩耗を増大させることによって、その商業的実行可能性を制限する可能性がある。したがって、同期式セグメント交換型プーリ変速装置システム(synchronized segmentally interchanging pulley transmission systems:SSIPTS)が、これら機械的な問題のうち少なくとも幾つかの機械的な問題を低減又は軽減するために開発されてきた。
【0005】
例えば、特許文献1は、プーリアセンブリが車軸に取り付けられているSSIPTSを開示している。プーリアセンブリは、その周面上に第1のセットの嵌合特徴を有するコアプーリ、及びプーリアセンブリに摺動可能に取り付けられてコアプーリと同心のリングに配置された多数のプーリセグメントを含むプーリセグメントセットを含む。プーリセグメントは、プーリアセンブリの中及び外へ個々に作動可能である。プーリセグメントは、第1のセットの嵌合特徴に一致する周面上に第2のセットの嵌合特徴を有する。無端駆動部材が、コアプーリ及びプーリセグメントの第1及び第2のセットの嵌合特徴を係合位置において係合するための対応する嵌合特徴を内面に有する。無端駆動部材とコアプーリとの間の接触により、接触領域が画定される。プーリセグメントが接触領域の外側にあるとき、アクチュエータが、係合位置と非係合位置との間でプーリセグメントを作動させる。
【0006】
特許文献2は、プーリセグメントセットにおいて最初又は最後のいずれかにあって無端部材を係合するSSIPTSのためのキープーリセグメントを開示している。無端部材を、それぞれ、係合又は係合解除する最初又は最後のキーセグメントの歯は短く、又は完全に切り落とされ、キーセグメントに隣接するプーリセグメントは、歯形の一部がキーセグメントに向かって延在するように伸長されている。短くされた歯と伸長された隣接セグメントとが一緒になって、多くのプーリセグメントをキーセグメントとして設計することを可能にしている。完全に切り落とされた歯は、キーセグメント上の無端部材のための支持面を作成するように設計することができる。伸長された隣接セグメントは、キーセグメントの支持面と摺動可能に嵌合する延長部を有し、これによってそこから径方向の支持を受けることができる。異なるプーリセグメントセットからの複数のプーリセグメントを接続又は構築して、統一スタックにおいて共に移動させることができる。統一スタックは、カム又はローラカムシステムによって移動させることができる。シャーシに取り付けられたカムは接触領域の外側でローラを係合し、ローラアームを介して、統一スタックの個々のセグメントが係合状態又は解除状態へと移動する。アレイに固定可能に取り付けられた電磁石によって、ローラをカムとの係合状態又は解除状態へと作動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第8753236号明細書
【特許文献2】米国特許第9816598号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既知の分割型プーリ変速装置の貢献は称賛に値するが、改善及び代替案が一般的に所望されている。したがって、分割型プーリ変速装置のための新規なプーリアセンブリ及びこれのための新規なアクチュエータシステムを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この概要は、以下の実施形態の詳細な説明においてさらに説明する簡略化した形式における概念の選択を紹介するために提供されることが理解されるべきである。この概要は、請求する主題の範囲を限定するために用いられるように意図されていない。
【0010】
したがって、一態様において、分割型プーリ変速装置の無端部材を係合するためのプーリアセンブリが提供され、プーリアセンブリは、回転軸線を中心に回転可能であると共に無端部材を係合するための外周面を有する第1のプーリと、第1のプーリを同心円状に包囲するように構成されると共に無端部材を係合するための外周面を有する第2のプーリであって、係合領域と非係合領域との間で独立して移動可能である第2のプーリセグメントのセットを含む、第2のプーリと、無端部材を第1のプーリと第2のプーリとの間で移行させるように係合領域と非係合領域との間で独立して移動可能である1つ又は複数の移行セグメントを含む少なくとも1つの移行セグメントセットであって、無端部材を係合して第1のプーリと第2のプーリとの間で移行させるための少なくとも1つの移行面を画定する、少なくとも1つの移行セグメントセットと、を含む。
【0011】
1つ又は複数の実施形態において、少なくとも1つの移行セグメントセットは、第1のプーリと第2のプーリとの係合領域に配置されたとき、これらの間に挟むことができる。
【0012】
1つ又は複数の実施形態において、少なくとも1つの移行セグメントセットは、無端部材を第1のプーリから第2のプーリへ移行させるように構成された第1の移行セグメントセットを含むことができ、少なくとも1つの移行面は、第1の移行セグメントセットによって画定された第1の移行面を含むことができる。第1の移行面は、第1のプーリの第1の隣接部分と概ね位置を合わせている先端部分を有することができる。第1の移行面は、第2のプーリの第1の隣接部分と概ね位置を合わせている後端部分を有することができる。第1の移行セグメントセットは単一の第1の移行セグメントのみを含むことができる。
【0013】
1つ又は複数の実施形態において、少なくとも1つの移行セグメントセットは、無端部材を第2のプーリから第1のプーリへ移行させるように構成された第2の移行セグメントセットを含むことができ、少なくとも1つの移行面は、第2の移行セグメントセットによって画定された第2の移行面を含むことができる。第2の移行面は、第2のプーリの第2の隣接部分と概ね位置を合わせている先端部分を有することができる。第2の移行面は、第1のプーリの第2の隣接部分と概ね位置を合わせている後端部分を有することができる。第2の移行セグメントセットは複数の第2の移行セグメントを含むことができる。
【0014】
1つ又は複数の実施形態において、移行面の少なくとも1つは、回転軸線を中心とする部分的な回転に亘って、第1のプーリの近傍から第2のプーリの近傍へ延在することができる。移行面の少なくとも1つは、回転軸線を中心とする円滑な略螺旋状の経路に従うことができる。
【0015】
1つ又は複数の実施形態において、プーリアセンブリは、第2のプーリセグメントのセット及び少なくとも1つの移行セグメントセットに結合されたアクチュエータシステムをさらに含むことができ、アクチュエータシステムは、第2のプーリセグメントのセット及び少なくとも1つの移行セグメントセットを係合領域と非係合領域との間で独立して移動させるように構成されている。アクチュエータシステムは、起電力を用いて第2のプーリセグメントのセット及び少なくとも1つの移行セグメントセットを係合領域と非係合領域との間で独立して移動させるように構成することができる。
【0016】
他の一態様によれば、プーリアセンブリにかかる無端部材をその回転動作中に変位させるための方法が提供され、この方法は、無端部材をプーリアセンブリの起点プーリと係合させるステップと、プーリアセンブリの移行セグメントセットを係合領域に配置するステップであって、移行セグメントセットは、プーリアセンブリの起点プーリと終点プーリとの間に延在する、ステップと、プーリアセンブリを回転させて無端部材を移行セグメントセットと係合させるステップと、その回転軸線を中心とするプーリアセンブリの部分的な回転に亘って、無端部材を起点プーリの近傍から終点プーリの近傍へ移行させるステップと、終点プーリを係合領域に配置するステップと、プーリアセンブリを回転させて無端部材を終点プーリと係合させるステップと、無端部材を起点プーリから係合解除するステップと、無端部材を移行セグメントセットから係合解除するステップと、を含む。
【0017】
1つ又は複数の実施形態において、無端部材を移行させるステップは、回転軸線を中心とするプーリアセンブリの部分的な回転に亘ってのみ起こり得る。移行セグメントセットは、無端部材を起点プーリの近傍から終点プーリの近傍へ移行させるステップの間、無端部材に支持を提供することができる。終点プーリは、起点プーリを周方向に包囲する複数のセグメントを含むことができ、終点プーリを係合領域に配置するステップは、セグメントそれぞれをプーリアセンブリの非接触領域に配置されている間に係合領域内へ順次移動させるステップを含むことができる。この方法は、無端部材を移行セグメントセットから外した後、移行セグメントセットを係合領域の外へ移動させ、後続のシフト事象に備えて異なる移行セグメントセットを係合領域内へ移動させるステップをさらに含むことができる。
【0018】
1つ又は複数の実施形態において、起点プーリは、終点プーリを周方向に包囲する複数のセグメントを含むことができ、プーリアセンブリを回転させて無端部材を移行セグメントセットと係合させるステップは、セグメントそれぞれをプーリアセンブリの非接触領域に配置されている間に係合領域の外へ順次移動させるステップを含むことができる。この方法は、プーリアセンブリの部分的な回転の後、その完全な回転の前に、移行セグメントセットを係合領域の外へ移動させるステップをさらに含むことができる。
【0019】
他の一態様によれば、作業システムの個別回転要素を移動させるためのアクチュエータシステムが提供され、アクチュエータシステムは、回転軸線を中心に作業システムに回転可能に固定可能な支持構造体と、支持構造体に固定されたアクチュエータサブアセンブリであって、スレッドであって、一時磁場によってスレッドに生成される起電力に応答して、回転軸線を中心に略周方向において前進位置と後退位置との間で支持構造体に対して移動可能であり、カム面を画定する、スレッドと、スレッドが前進位置と後退位置との間で移動するにつれて略軸線方向において伸長位置と収縮位置との間で移動するようにカム面と係合可能な従動子であって、作業システムの個別回転要素の1つ又は複数に固定可能である、従動子と、を含む、アクチュエータサブアセンブリと、アクチュエータサブアセンブリに隣接する位置において作業システムに確固として固定可能なステータであって、一時磁場を生成してスレッドを前進位置と後退位置との間で移動させるように選択的に通電可能である、ステータと、を含む。
【0020】
1つ又は複数の実施形態において、アクチュエータサブアセンブリは、スレッドの近傍に配置されて一時磁場によってスレッドに生成される起電力を増加させる補剛板をさらに含むことができる。補剛板は、支持構造体に固定することができ、略周方向に延在することができる。補剛板は、スレッドを通過することができる。
【0021】
1つ又は複数の実施形態において、支持構造体は一対のガイドを含むことができ、スレッドは、これらの間に摺動可能に固定され、スレッドが前進位置と後退位置との間で移動するときにスレッドを略周方向に案内することができる。スレッドは、スレッドシャーシ及びスレッドシャーシに固定された反応板を含むことができ、反応板は、導電性であるが磁気的に不活性な材料で形成されてスレッドに生成される起電力を増加させることができる。支持構造体は、スレッドの略周方向における移動を前進位置及び後退位置で阻止する少なくとも1つのストッパを含むことができる。スレッドは、ストッパに衝突してスレッドの略周方向における移動を前進位置及び後退位置で阻止するための少なくとも1つのバンパーを含むことができる。
【0022】
1つ又は複数の実施形態において、ステータは、ステータ本体及び一時磁場を生成するように選択的に通電可能である少なくとも1つの巻線を含むことができる。従動子は、スレッドが前進位置と後退位置との間で移動するにつれて従動子を伸長位置と収縮位置との間で移動させるようにカム面と係合可能である突起を含むことができる。
【0023】
1つ又は複数の実施形態において、作業システムの個別回転要素は、段落[0008]から[0012]([0010]から[0014])のいずれか1つに記載したようなプーリアセンブリの第2のプーリセグメントのセット及び少なくとも1つの移行セグメントセットのセグメントである。
【0024】
他の一態様によれば、作業システムの個別回転要素を移動させる方法が提供され、この方法は、ステータに通電して一時磁場を生成するステップと、一時磁場によって誘導される起電力を用いてスレッドを後退位置と前進位置との間で移動させるステップと、従動子をスレッドのカム面と係合させて従動子を伸長位置と後退位置との間で移動させるステップと、従動子を作業システムの個別回転要素に固定して個別要素を従動子と共に移動させるステップと、を含む。
【0025】
1つ又は複数の実施形態において、ステータは作業システムに固定することができ、スレッド及び従動子は作業システム内に固定されて回転可能となることができ、ステータに通電するステップは、スレッドがステータに近接して回転するときにステータに選択的に通電するステップを含むことができる。スレッドは、略周方向において後退位置と前進位置との間で移動することができ、従動子は、軸線方向において伸長位置と後退位置との間で移動することができる。この方法は、スレッドに隣接する補剛板を用いて起電力を増加させるステップをさらに含むことができる。
【0026】
他の一態様によれば、ケーシングと、ケーシング内に固定された第1の回転可能部材と、第1の回転可能部材に結合された、段落[0008]から[0012]([0010]から[0014])に記載したようなプーリアセンブリと、プーリアセンブリに接続されてプーリアセンブリの少なくとも1つのセグメントを移動させるように構成された、段落[0016]から[0020]([0019]から[0023])に記載したようなアクチュエータシステムと、ケーシング内に固定されて第1の回転可能部材から離間した第2の回転可能部材と、第1及び第2の回転可能部材を結合してこれらの間で延在する無端部材と、を含む分割型プーリ変速装置が提供される。
【0027】
1つ又は複数の実施形態において、ハウジングは、概ね閉じたケーシング又は概ね開いた支持構造体を含むことができる。
【0028】
次に添付の図面を参照して実施形態をより完全に説明する。
[付記項1]
分割型プーリ変速装置の無端部材に係合するためのプーリアセンブリであって、
回転軸線を中心として回転可能とされる第1のプーリであって、前記無端部材に係合するための外周面を有している前記第1のプーリと、
前記第1のプーリを同心円状に包囲するように構成されている第2のプーリであって、前記第2のプーリが、前記無端部材に係合するための外周面を有しており、前記第2のプーリが、係合領域と非係合領域との間において独立して移動可能とされる一連の第2のプーリセグメントを備えている、前記第2のプーリと、
1つ以上の移行セグメントから成る少なくとも1つの移行セグメントセットであって、前記移行セグメントが、前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間において前記無端部材を移行させるために前記係合領域と前記非係合領域との間において独立して移動可能とされ、前記移行セグメントセットが、前記無端部材に係合して前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間において前記無端部材を移行させるための少なくとも1つの移行面を形成している、少なくとも1つの移行セグメントセットと、
を備えている、プーリアセンブリ。
[付記項2]
少なくとも1つの前記移行セグメントセットが、前記第1のプーリ及び前記第2のプーリとの前記係合領域に配置された場合に、前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間に挿置される、付記項1に記載のプーリアセンブリ。
[付記項3]
少なくとも1つの前記移行セグメントセットが、前記無端部材を前記第1のプーリから前記第2のプーリに移行させるように構成されている第1の移行セグメントセットを備えており、
少なくとも1つの前記移行面が、前記第1の移行セグメントセットによって形成されている第1の移行面を備えている、付記項1又は2に記載のプーリアセンブリ。
[付記項4]
前記第1の移行面が、前記第1のプーリの第1の隣接部分と位置合わせされている先端部分を有している、付記項3に記載のプーリアセンブリ。
[付記項5]
前記第1の移行面が、前記第2のプーリの第1の隣接部分と位置合わせされている後端部分を有している、付記項3又は4に記載のプーリアセンブリ。
[付記項6]
前記第1の移行セグメントセットが、単一の第1の移行セグメントのみを備えている、付記項3から5のいずれか一項に記載のプーリアセンブリ。
[付記項7]
少なくとも1つの前記移行セグメントセットが、前記無端部材を前記第2のプーリから前記第1のプーリに移行させるように構成されている第2の移行セグメントセットを備えており、
少なくとも1つの前記移行面が、前記第2の移行セグメントセットによって形成されている第2の移行面を備えている、付記項1から6のいずれか一項に記載のプーリアセンブリ。
[付記項8]
前記第2の移行面が、前記第2のプーリの第2の隣接部分と位置合わせされている先端部分を有している、付記項7に記載のプーリアセンブリ。
[付記項9]
前記第2の移行面が、前記第1のプーリの第2の隣接部分と位置合わせされている後端部分を有している、付記項7又は8に記載のプーリアセンブリ。
[付記項10]
前記第2の移行セグメントセットは複数の第2の移行セグメントを含む、付記項7から9のいずれか一項に記載のプーリアセンブリ。
[付記項11]
少なくとも1つ前記移行面が、前記回転軸線を中心とする部分的な回転に亘って、前記第1のプーリの近傍から前記第2のプーリの近傍へ延在する、付記項1から10のいずれか一項に記載のプーリアセンブリ。
[付記項12]
少なくとも1つ前記移行面が、前記回転軸線を中心とする円滑な略螺旋状の経路に追従している、付記項1から11のいずれか一項に記載のプーリアセンブリ。
[付記項13]
前記プーリアセンブリが、一連の前記第2のプーリセグメント及び少なくとも1つの前記移行セグメントセットに結合されているアクチュエータシステムを備えており、
前記アクチュエータシステムが、前記係合領域と前記非係合領域との間において一連の前記第2のプーリセグメント及び少なくとも1つの前記移行セグメントセットを独立して移動させるように構成されている、付記項1から12のいずれか一項に記載のプーリアセンブリ。
[付記項14]
前記アクチュエータシステムが、前記係合領域と前記非係合領域との間において一連の前記第2のプーリセグメント及び少なくとも1つの前記移行セグメントセットを起電力によって独立して移動させるように構成されている、付記項13に記載のプーリアセンブリ。
[付記項15]
プーリアセンブリに掛けられている無端部材を前記無端部材の回転動作中に変位させるための方法であって、
前記無端部材を前記プーリアセンブリの起点プーリと係合させるステップと、
前記プーリアセンブリの移行セグメントセットを係合領域に位置決めするステップであって、前記移行セグメントセットが、前記プーリアセンブリの前記起点プーリと終点プーリとの間に延在している、前記ステップと、
前記無端部材を前記移行セグメントセットと係合させるために、前記プーリアセンブリを回転させるステップと、
前記プーリアセンブリの回転軸線を中心とする前記プーリアセンブリの部分的な回転によって、前記無端部材を前記起点プーリの近傍から前記終点プーリの近傍へ移行させるステップと、
前記終点プーリを前記係合領域に位置決めするステップと、
前記無端部材を前記終点プーリと係合させるために、前記プーリアセンブリを回転させるステップと、
前記無端部材を前記起点プーリから係合解除するステップと、
前記無端部材を前記移行セグメントセットから係合解除するステップと、
を備えている、方法。
[付記項16]
前記無端部材を移行させるステップが、前記回転軸線を中心とする前記プーリアセンブリの部分的な回転によってのみ生じる、付記項15に記載の方法。
[付記項17]
前記移行セグメントセットが、前記無端部材を前記起点プーリの近傍から前記終点プーリの近傍へ移行させるステップの間、前記無端部材を支持する、付記項15又は16に記載の方法。
[付記項18]
前記終点プーリが、周方向において前記起点プーリを囲んでいる複数のセグメントを備えており、
前記終点プーリを前記係合領域に位置決めするステップが、前記セグメントそれぞれを前記プーリアセンブリの非接触領域に配置されている間に前記係合領域に順次移動させることを備えている、付記項15から17のいずれか一項に記載の方法。
[付記項19]
前記方法が、前記無端部材を前記移行セグメントセットから係合解除した後に、前記移行セグメントセットを前記係合領域の外部に移動させるステップと、後続のシフト事象に備えて異なる移行セグメントセットを前記係合領域の内部に移動させるステップとを備えている、付記項18に記載の方法。
[付記項20]
前記起点プーリが、前記終点プーリを周方向に包囲する複数のセグメントを備えており、
前記無端部材を前記移行セグメントセットと係合させるために前記プーリアセンブリを回転させる前記ステップが、前記セグメントそれぞれを前記プーリアセンブリの非接触領域に配置されている間に前記係合領域の外部に順次移動させることを備えている、付記項15から17のいずれか一項に記載の方法。
[付記項21]
前記方法が、前記プーリアセンブリの部分的な回転の後に前記プーリアセンブリの完全な回転の前に、前記移行セグメントセットを前記係合領域の外部に移動させるステップを備えている、付記項20に記載の方法。
[付記項22]
作業システムの個別回転要素を移動させるためのアクチュエータシステムであって、
回転軸線を中心として回転可能に前記作業システムに固定可能とされる支持構造体と、
前記支持構造体に固定されているアクチュエータサブアセンブリであって、
スレッドであって、前記スレッドが、一時磁場によって起電力が前記スレッドに発生したことに応答して、前進位置と後退位置との間において前記回転軸線に関する略周方向に前記支持構造体に対して移動可能とされ、前記スレッドが、カム面を形成している、前記スレッドと、
前記スレッドが前記前進位置と前記後退位置との間で移動する場合に、伸長位置と収縮位置との間において略軸線方向に移動するように前記カム面と係合可能とされる従動子であって、前記作業システムの1つ以上の前記個別回転要素に固定可能とされる前記従動子と、
を備えている前記アクチュエータサブアセンブリと、
前記アクチュエータサブアセンブリに隣接する位置において前記作業システムに堅固に固定可能とされるステータであって、前記前進位置と前記後退位置との間において前記スレッドを移動させるために前記一時磁場を発生させるように選択的に通電可能とされる前記ステータと、
を備えている、アクチュエータシステム。
[付記項23]
前記アクチュエータサブアセンブリが、前記一時磁場が前記スレッドに発生させる前記起電力を増加させるために前記スレッドの近傍に位置決めされている補剛板を備えている、付記項22に記載のアクチュエータシステム。
[付記項24]
前記補剛板が、前記支持構造体に固定されており、且つ、略周方向に延在している、付記項23に記載のアクチュエータシステム。
[付記項25]
前記補剛板が、前記スレッドを貫通している、付記項24に記載のアクチュエータシステム。
[付記項26]
前記支持構造体は一対のガイドを含んでおり、
前記スレッドが、前記スレッドが前記前進位置と前記後退位置との間において移動する場合に、前記スレッドを前記略周方向に案内するために前記ガイド同士の間に摺動可能に固定されている、付記項22から25のいずれか一項に記載のアクチュエータシステム。
[付記項27]
前記スレッドが、スレッドシャーシと前記スレッドシャーシに固定されている反応板とを備えており、
前記反応板が、前記スレッドに発生される前記起電力を増加させるために、導電性を有しているが磁気的に不活性な材料から形成されている、付記項22から26のいずれか一項に記載のアクチュエータシステム。
[付記項28]
前記支持構造体が、略周方向における前記スレッドの移動を前記前進位置及び前記後退位置で阻止するための少なくとも1つのストッパを含んでいる、付記項22から27のいずれか一項に記載のアクチュエータシステム。
[付記項29]
前記スレッドが、略周方向における前記スレッドの移動を前記前進位置及び前記後退位置で阻止するために、前記ストッパに衝突するための少なくとも1つのバンパーを備えている、付記項28に記載のアクチュエータシステム。
[付記項30]
前記ステータが、ステータ本体と、前記一時磁場を発生させるために選択的に通電可能とされる少なくとも1つの巻線とを備えている、付記項22から29のいずれか一項に記載のアクチュエータシステム。
[付記項31]
前記従動子が、前記スレッドが前記前進位置と前記後退位置との間において移動する場合に前記伸長位置と前記収縮位置との間において前記従動子を移動させるために前記カム面と係合可能とされる突起を備えている、付記項22から30のいずれか一項に記載のアクチュエータシステム。
[付記項32]
前記作業システムの前記個別回転要素が、付記項1から14のいずれか一項に記載のプーリアセンブリの一連の第2のプーリセグメント及び少なくとも1つの移行セグメントセットのセグメントである、付記項22から31のいずれか一項に記載のアクチュエータシステム。
[付記項33]
作業システムの個別回転要素を移動させる方法であって、
一時磁場を発生するために、ステータに通電するステップと、
前記一時磁場によって誘導される起電力によって、後退位置と前進位置との間においてスレッドを移動させるステップと、
伸長位置と後退位置との間において従動子を移動させるために、前記従動子を前記スレッドのカム面と係合させるステップと、
前記個別回転要素を前記従動子と共に移動させるために、前記従動子を前記作業システムの前記個別回転要素に固定するステップと、
を含む、方法。
[付記項34]
前記ステータが、前記作業システムに固定されており、
前記スレッド及び従動子が、前記作業システムの内部に回転可能に固定されており、
前記ステータに通電する前記ステップが、前記スレッドが前記ステータに近接して回転する場合に前記ステータに選択的に通電することを備えている、付記項33に記載の方法。
[付記項35]
前記スレッドが、前記後退位置と前記前進位置との間において略周方向に移動し、
前記従動子が、前記伸長位置と前記後退位置との間において軸線方向に移動する、付記項33又は34に記載の方法。
[付記項36]
前記方法が、前記スレッドに隣接する補剛板によって前記起電力を増加させるステップを備えている、付記項33から35のいずれか一項に記載の方法。
[付記項37]
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に固定されている第1の回転可能部材と、
前記第1の回転可能部材に結合されている付記項1から14のいずれか一項に記載のプーリアセンブリと、
前記プーリアセンブリに接続されている付記項22から31のいずれか一項に記載のアクチュエータシステムであって、前記プーリアセンブリの少なくとも1つのセグメントを移動させるように構成されている前記アクチュエータシステムと、
前記ハウジング内に固定されている第2の回転可能部材であって、前記第1の回転可能部材から離隔配置されている前記第2の回転可能部材と、
前記第1の回転可能部材と前記第2の回転可能部材とを結合している無端部材であって、前記第1の回転可能部材と前記第2の回転可能部材との間に延在している前記無端部材と、
を備えている、分割型プーリ変速装置。
[付記項38]
前記ハウジングが、略閉じたケーシング又は略開いた支持構造体を備えている、付記項37に記載の分割型プーリ変速装置。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】分割型プーリ変速装置の断面図である。
図2図1の分割型プーリ変速装置のプーリアセンブリ及びこれのためのアクチュエータシステムの正面右側面図である。
図3図2のプーリアセンブリの正面右側面図である。
図4図2のプーリアセンブリの正面図である。
図5図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、第1のプーリと係合している無端部材を示す。
図6a図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第1のプーリから第2のプーリへ移行させるための手順を示す。
図6b図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第1のプーリから第2のプーリへ移行させるための手順を示す。
図6c図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第1のプーリから第2のプーリへ移行させるための手順を示す。
図6d図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第1のプーリから第2のプーリへ移行させるための手順を示す。
図6e図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第1のプーリから第2のプーリへ移行させるための手順を示す。
図6f図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第1のプーリから第2のプーリへ移行させるための手順を示す。
図6g図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第1のプーリから第2のプーリへ移行させるための手順を示す。
図7図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、第2のプーリと係合している無端部材を示す。
図8a図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第2のプーリから第1のプーリへ移行させるための手順を示す。
図8b図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第2のプーリから第1のプーリへ移行させるための手順を示す。
図8c図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第2のプーリから第1のプーリへ移行させるための手順を示す。
図8d図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第2のプーリから第1のプーリへ移行させるための手順を示す。
図8e図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第2のプーリから第1のプーリへ移行させるための手順を示す。
図8f図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第2のプーリから第1のプーリへ移行させるための手順を示す。
図8g図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第2のプーリから第1のプーリへ移行させるための手順を示す。
図8h図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第2のプーリから第1のプーリへ移行させるための手順を示す。
図8i図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの正面右側面図であり、無端部材を第2のプーリから第1のプーリへ移行させるための手順を示す。
図9図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの逆転後面右側面図である。
図10図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの逆転後面右側面図であり、見やすくするため一対の補剛板が非表示である。
図11a図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの断面図であり、プーリアセンブリのセグメントを引き込むための手順を示すが、見やすくするため妨害要素が非表示である。
図11b図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの断面図であり、プーリアセンブリのセグメントを引き込むための手順を示すが、見やすくするため妨害要素が非表示である。
図11c図2のプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの断面図であり、プーリアセンブリのセグメントを引き込むための手順を示すが、見やすくするため妨害要素が非表示である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
前述の要旨、ならびに幾つかの実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、よりよく理解されよう。本明細書で用いられるとき、単数形で規定されて「a」又は「an」という単語によって先導される要素又は特徴は、必ずしも複数の要素又は特徴を除外するものではないとして理解されるべきである。さらに、「一例」又は「一実施形態」への言及は、その一例又は一実施形態の規定された要素又は特徴も組み込んだ追加の例又は実施形態の存在を除外するものとして解釈されるように意図されていない。また、明示的に反対に述べられていない限り、特定の特性を有する要素又は特徴又は複数の要素又は特徴を「comprising(含む)」、「having(有する)」又は「including(含む)」例又は実施形態は、その特定の特性を有さない追加の要素又は特徴をさらに含むことができる。また、「comprises(含む)」、「has(有する)」及び「includes(含む)」という用語は「含むが限定されない」を意味し、「comprising(含む)」、「having(有する)」及び「including(含む)」という用語は同等の意味を有することが理解されよう。
【0031】
本明細書で用いられるとき、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された要素又は特徴の1つ又は複数の任意のすべての組み合わせを含むことができる。
【0032】
要素又は特徴が他の要素又は特徴に「接し」、「取り付けられ」、「接続され」、「結合され」、「接触し」ているなどとして言及されるとき、その要素又は特徴は他の要素又は特徴に直接接し、取り付けられ、接続され、結合され、又は接触していることができ、又は介在する要素も存在してよいことが理解されよう。対照的に、要素又は特徴が他の要素又は特徴に、例えば、「直接接し」、「直接取り付けられ」、「直接接続され」、「直接結合され」、又は「直接接触し」ているとして言及されるとき、介在する要素又は特徴が存在しない。
【0033】
「under(下)」、「below(下方)」、「lower(下方)」、「over(上方)」、「above(上方)」、「upper(上方)」、「front(前)」、「back(後)」などのような、空間的相対的用語を、図に描いたような要素又は特徴の他の要素又は特徴に対する関係を説明しやすくするため本明細書において用いることができるということが理解されよう。しかしながら、空間的相対的用語は、図に描いた配向に加えて、使用又は動作中の異なる配向を包含することができる。
【0034】
本明細書での「例」への言及は、例に関連して説明する1つ又は複数の特徴、構造、要素、構成要素、特性及び/又は動作ステップが、本開示による主題の少なくとも1つの実施形態及び/又は実装形態に含まれることを意味する。したがって、「一例」、「他の一例」という句、及び本開示全体にわたる同様の文言は、同じ例を指すことがあるが、必ずしもそうとは限らない。さらに、任意の一例を特徴付ける主題は、任意の他の例を特徴付ける主題を含むことがあるが、必ずしもそうとは限らない。
【0035】
本明細書での「configured(構成された)」への言及は、要素又は特徴を、「configured to(ように構成された)」という句を先導する要素又は特徴の物理的特性に根本的に結び付ける実際の構成状態を指す。
【0036】
別段の指示がない限り、「第1の」、「第2の」などの用語は、単に符号として本明細書で用いられ、これらの用語が言及する物に序数的、位置的、又は階層的要件を課すように意図されていない。また、「第2の」物への言及は、より低い番号の物(例えば、「第1の」物)及び/又はより高い番号の物(例えば、「第3の」物)の存在を要求も排除もしない。
【0037】
本明細書で用いられるとき、「approximately(約)」及び「about(約)」という用語は、所望の機能を依然として実行する、又は所望の結果を達成する、記載された量に近い量を表す。例えば、「approximately(約)」及び「about(約)」という用語は、当業者であれば容易に理解するであろう工学的許容範囲内である量を指すことができる。
【0038】
ここで図1に目を向けると、分割型プーリ変速装置が示され、全体として参照符号110によって特定されている。この例における分割型プーリ変速装置110は、同期式セグメント交換型プーリ変速装置システム(SSIPTS)である。分割型プーリ変速装置110は、ハウジング112、固定プーリ114、アイドラープーリ116、無端部材118、プーリアセンブリ120及びアクチュエータシステム122を含む。分割型プーリ変速装置110は、従動軸及び駆動軸をさらに含む、又はこれに結合することができる。図1における無端部材118は、その一部のみに嵌合特徴を備えた概略図として示されているが、無端部材118は、その内面全体に亘って嵌合特徴を含む。他の実施形態において、分割型プーリ変速装置110は、歯又は穴のような、様々なタイプの嵌合特徴を備えた、チェーン又はベルトのような、様々なタイプの無端部材を含むことができるということが理解されよう。
【0039】
ハウジング112は、固定プーリ114、アイドラープーリ116、無端部材118、プーリアセンブリ120及びアクチュエータ122を少なくとも部分的に包囲している。この実施形態において、ハウジング112は概ね閉じたケーシングである。しかしながら、他の実施形態において、ハウジング112は、支持フレームのような、概ね開いた支持構造体とすることができる。固定プーリ114は、ハウジング112内に回転可能に固定され、従動軸又は駆動軸に確固として固定されるように構成されている。プーリアセンブリ120は、ハウジング112内に回転可能に固定され、従動軸及び駆動軸の他方に確固として固定されるように構成されている。したがって、プーリアセンブリ120は、分割型プーリ変速装置110において従動プーリ又は駆動プーリとして作用することができる。他の実施形態において、分割型プーリ変速装置110の従動プーリ及び駆動プーリの両方が、それぞれのアクチュエータシステム122に接続されたプーリアセンブリ120を含み、分割型プーリ変速装置110に追加の比率を提供することができる。無端部材118は、固定プーリ114及びプーリアセンブリ120を係合して固定プーリ114及びプーリアセンブリ120を回転結合している。無端部材118は、アイドラープーリ116(例えば図1のように、アイドラープーリ116の裏側)をさらに係合し、これは、無端部材118におけるたるみを吸収するように構成されている。無端部材118は、アイドラープーリ116を固定プーリ114及びプーリアセンブリ120に回転結合する。アクチュエータシステム122は、ハウジング112内に固定され、プーリアセンブリ120に結合されている。
【0040】
図2は、分割型プーリ変速装置110のプーリアセンブリ120及びアクチュエータシステム122を分離して示している。プーリアセンブリ120は、アクチュエータ122の回転可能部分に接続され、アクチュエータ122は、後に説明するように、回転動作中、プーリアセンブリ120のセグメントを、これらのセグメントが無端部材118を係合することになる領域の中及び外へ移動させるように構成されている。
【0041】
図3及び図4はプーリアセンブリ120を示している。プーリアセンブリ120は、矢印A-Aによって示す方向におけるプーリアセンブリ120の回転動作中、分割型プーリ変速装置110の無端部材118を係合するように構成されている。プーリアセンブリ120は、第1のプーリ124、第2のプーリ126、第1の移行セグメントセット128及び第2の移行セグメントセット130を含む。第1のプーリ124及び第2のプーリ126は、無端部材118との連続回転動作のために構成されている(すなわちプーリアセンブリ120のフル回転の間、第1のプーリ124又は第2のプーリ126のいずれかが無端部材118を連続的に係合することになる)。対照的に、第1の移行セグメントセット128及び第2の移行セグメントセット130は、無端部材118との一時的回転動作のために構成されている(すなわちプーリアセンブリ120のフル回転の間、第1の移行セグメントセット128又は第2の移行セグメントセット130のいずれも無端部材118を連続的に係合することにならない)。第1のプーリ124及び第2のプーリ126は、プーリアセンブリ120のこの実施形態において、これらの間に配置されたプーリがないため、直に隣接するものとして定義される。すなわち、第1の移行セグメントセット128及び第2の移行セグメントセット130のみが、第1のプーリ124と第2のプーリ126との間の接点であり、第1の移行セグメントセット128及び第2の移行セグメントセット130は、連続動作のために構成されておらず、したがってプーリではない。この実施形態における第1のプーリ124は、プーリアセンブリ120のコアプーリ、すなわちプーリアセンブリ120の最も中心又は最小の直径のプーリである。しかしながら、他の実施形態において、第1のプーリ124は、プーリアセンブリ120の他のプーリの間に配置される中間プーリのような、プーリアセンブリ120の他のプーリであってもよい。
【0042】
第1のプーリ124は、プーリアセンブリ120の回転軸線132を中心に回転可能かつこれと同心であり、分割型プーリ変速装置110の無端部材118を係合するように構成されている。第1のプーリ124は、無端部材118を係合するための外周面134を含む。外周面134は略円形であり、無端部材118上の対応する嵌合特徴を係合するための複数の嵌合特徴136、例えば歯を含むことができる。第1のプーリ124は、例えば第1のプーリ124をアクチュエータシステム122へ圧入することによって、アクチュエータシステム122に取り付けられるように構成された内周面138をさらに含む。内周面138は略円形であり、アクチュエータシステム122上の対応する嵌合特徴を係合するための複数の内部嵌合特徴140、例えばキーを含むことができる。第1のプーリ124の内周面138は、アクチュエータシステム122に取り付けられるように構成されているが、他の実施形態において、内周面138は、分割型プーリ変速装置110の車軸のような、分割型プーリ変速装置110の回転可能要素に直接取り付けるように構成することができるということが理解されよう。
【0043】
第2のプーリ126は、回転軸線132を中心に回転可能かつこれと同心であり、分割型プーリ変速装置110の無端部材118を係合するように構成されている。第2のプーリ126は、無端部材118を係合するための外周面142を含む。外周面142は略円形であり、無端部材118上の対応する嵌合特徴を係合するための複数の嵌合特徴144、例えば歯を含むことができる。第2のプーリ126は複数の第2のプーリセグメント146aから146eを含む。第2のプーリセグメント146aから146eそれぞれは、外周面142の一部を画定し、複数の嵌合特徴144のサブセットを含む。第2のプーリセグメント146aから146eそれぞれは、アクチュエータ122に結合されるように構成され、係合領域と非係合領域との間で独立して移動可能である。
【0044】
本開示の文脈において、「係合領域」は、プーリアセンブリ120の回転動作中、プーリアセンブリ120の要素がプーリアセンブリ120の他の要素によって保護されていない、又は妨害されていないとき、これらの要素が無端部材118を係合することになる領域である。対照的に、「非係合領域」は、プーリアセンブリ120の回転動作中、プーリアセンブリ120の要素が、その露出又はプーリアセンブリ120の他の要素の位置に関係なく、無端部材118を係合することがない領域である。したがって、本実施形態において、第1のプーリ124は軸線方向に不動であり、プーリアセンブリ120の回転動作中、他の要素によって妨害されなければ常に無端部材118を係合することになるので、第1のプーリ124は係合領域内に永続的に配置されていることが理解されよう。他の実施形態において、第1のプーリ124は、係合領域と非係合領域との間で移動可能とすることができる。
【0045】
したがって、第2のプーリセグメント146aから146eそれぞれは、係合領域内の、セグメントが無端部材118と並んでいる、それぞれの係合位置へ移動可能である。同様に、第2のプーリセグメント146aから146eそれぞれは、非係合領域内の、セグメントが無端部材118と並んでおらず、プーリアセンブリ120の回転動作中、無端部材118を回避することになる、それぞれの非係合位置へ移動可能である。第2のプーリセグメント146aから146eそれぞれは、そのそれぞれの係合位置とその非係合位置との間で独立して移動可能である。
【0046】
第1の移行セグメントセット128は、プーリアセンブリ120の回転動作中、無端部材118を第1のプーリ124との係合から第2のプーリ126との係合へ移行させるように構成されている。この移行中、第1の移行セグメントセット128は、無端部材118を係合して少なくとも部分的に支持する。第1の移行セグメントセット128は、回転軸線132を中心とする部分的な回転分のみ周方向に延在する。したがって、第1の移行セグメントセット128は、第1のプーリ124の周りの全周に延在しない。第1の移行セグメントセット128は、第1のプーリ124と第2のプーリ126との間にあり、分割型プーリ変速装置110の無端部材118を係合して無端部材118を第1のプーリ124から第2のプーリ126へ移行させるための第1の移行面148を含む。第1の移行面148は、無端部材118上の対応する嵌合特徴を係合するための複数の嵌合特徴150、例えば歯を含むことができる。第1の移行セグメントセット128は単一の第1の移行セグメント152を含む。第1の移行セグメント152は第1の移行面148を画定する。第1の移行セグメント152は、係合領域と非係合領域との間で独立して移動可能であり、第1のプーリ124と第2のプーリ126との係合領域に配置されたとき、これらの間に挟まれている。したがって、第1の移行セグメント152は、係合領域内に、第1の移行セグメント152が無端部材118と並んでいる、係合位置を有する。同様に、第1の移行セグメント152は、非係合領域内の、第1の移行セグメント152が無端部材118と並んでおらず、プーリアセンブリ120の回転動作中、無端部材118を回避することになる、その非係合位置へ移動可能である。第1の移行セグメント152は、その係合位置と非係合位置との間で独立して移動可能である。
【0047】
第1の移行面148は、回転軸線132を中心とする円滑な、概ね螺旋状の経路に従っている。本実施形態において、第1の移行面148の経路は、第1の移行面148の周方向長さに亘って連続的に増加する半径に従っている。第1の移行面148は、回転軸線132を中心とする部分的な回転のみに亘って、第1のプーリ124の近傍から第2のプーリ126の近傍へ延在し、無端部材118の第1のプーリ124から第2のプーリ126への移行を延長するように構成されている。理解されるように、この移行を延長することにより、移行中に生成される断続的な力を低減することができ、その結果、無端部材118のプーリ124、126間の移行を円滑にすることができる。第1の移行面148は、先端部分154及び後端部分156を含む。先端部分154は、無端部材118を第1のプーリ124から第2のプーリ126へ移行させるとき、最初に無端部材118を係合するように構成され、後端部分156は、無端部材118を第1のプーリ124から第2のプーリ126へ移行させるとき、最後に無端部材118を係合するように構成されている。したがって、第1の移行面148の先端部分154は、第1のプーリ124の外周面134の回転先行部分のような、第1のプーリ124の外周面134の隣接部分と概ね位置を合わせている。一方、第1の移行面148の後端部分156は、回転方向後続の第2のプーリセグメント146aによって画定された外周面142の部分のような、第2のプーリ126の外周面142の隣接部分と概ね位置を合わせている。理解されるように、回転方向後続の第2のプーリセグメント146aは、分割型プーリ変速装置110の無端部材118の第1のプーリ124から第2のプーリ126への移行中、無端部材118を係合する第2のプーリ126の最初のセグメントである。
【0048】
本開示の文脈において、「円滑な」経路は、無端部材118が指定された量を超えて曲がらないようにするものであることが理解されよう。指定された量は、無端部材が例えばチェーンであるとき、無端部材におけるリンク間の最大許容曲げ角度とすることができ、又は無端部材が例えばベルトであるとき、最小許容曲げ半径とすることができる。同様に、本開示の文脈において、表面又はその一部が、無端部材118が他のものとの間で係合されたときに無端部材118が指定された量を超えて曲がらない移行部を形成するように配置されたとき、これと「概ね位置を合わせ」していることが理解されよう。
【0049】
第2の移行セグメントセット130は、プーリアセンブリ120の回転動作中、無端部材118を第2のプーリ126との係合から第1のプーリ124との係合へと移行させるように構成されている。この移行中、第2の移行セグメントセット130は、無端部材118を係合して少なくとも部分的に支持する。第2の移行セグメントセット130は、回転軸線132を中心とする部分的な回転分のみ周方向に延在する。したがって、第2の移行セグメントセット130は、第1のプーリ124の周りの全周に延在しない。第2の移行セグメントセット130は、第1のプーリ124と第2のプーリ126との間にあり、分割型プーリ変速装置110の無端部材118を係合して無端部材118を第2のプーリ126から第1のプーリ124へ移行させるための第2の移行面158を含む。第2の移行面158は、無端部材118上の対応する嵌合特徴を係合するための複数の嵌合特徴160、例えば歯を含むことができる。第2の移行セグメントセット130は、一対の第2の移行セグメント162a、162bを含む。第2の移行セグメント162a、162bそれぞれは、第2の移行面158の一部を画定する。第2の移行セグメント162a、162bそれぞれは、係合領域と非係合領域との間で独立して移動可能である。第2の移行セグメント162a、162bは、第1のプーリ124と第2のプーリ126との係合領域に配置されたとき、これらの間に挟まれている。したがって、第2の移行セグメント162a、162bそれぞれは、係合領域内の、セグメントが無端部材118と並んでいる、それぞれの係合位置へ移動可能である。同様に、第2の移行セグメント162a、162bそれぞれは、非係合領域内の、セグメントが無端部材118と並んでおらず、プーリアセンブリ120の回転動作中、無端部材118を回避することになる、それぞれの非係合位置へ移動可能である。第2の移行セグメント162a、162bそれぞれは、そのそれぞれの係合位置とその非係合位置との間で独立して移動可能である。
【0050】
第2の移行面158は、回転軸線132を中心とする円滑な、概ね螺旋状の経路に従っている。本実施形態において、第2の移行面158の経路は、第2の移行面158の周方向長さに亘って連続的に減少する半径に従っている。第2の移行面158は、回転軸線132を中心とする部分的な回転のみに亘って、第2のプーリ126の近傍から第1のプーリ124の近傍へ延在し、無端部材118の第2のプーリ126から第1のプーリ124への移行を延長するように構成されている。理解されるように、この移行を延長することにより、移行中に生成される断続的な力を低減することができ、その結果、無端部材118のプーリ124、126間の移行を円滑にすることができる。第2の移行面158は、先端部分164及び後端部分166を含む。先端部分164は、無端部材118を第2のプーリ126から第1のプーリ124へ移行させるとき、最初に無端部材118を係合するように構成され、後端部分166は、無端部材118を第2のプーリ126から第1のプーリ124へ移行させるとき、最後に無端部材118を係合するように構成されている。したがって、第2の移行面158の先端部分164は、回転方向に先行する第2のプーリセグメント146eによって画定された外周面142の部分のような、第2のプーリ126の外周面142の隣接部分と概ね位置を合わせ、第2の移行面158の後端部分166は、第1のプーリ124の外周面134の回転後端部分のような、第1のプーリ124の外周面134の隣接部分と概ね位置を合わせている。理解されるように、回転方向に先行する第2のプーリセグメント146eは、分割型プーリ変速装置110の無端部材118の第2のプーリ126から第1のプーリ124への移行中、無端部材118を係合解除するための第2のプーリ126の最後のプーリセグメントである。
【0051】
プーリアセンブリ120の回転動作中、第2のプーリセグメント146aから146e、第1の移行セグメント152及び第2の移行セグメント162a、162bは、本明細書で説明するように、アクチュエータシステム122によって係合領域の中及び/又は外へ移動して、負荷がかかっている間の分割型プーリ変速装置110の比率を調整することができる。
【0052】
図5は、プーリアセンブリ120、アクチュエータシステム122及び無端部材118の概略図を示す。無端部材118は、プーリアセンブリ120の第1のプーリ124と係合している。無端部材118は、固定プーリ114及びアイドラープーリ116(図5には示されていない)のような、分割型プーリ変速装置110の追加の要素をさらに係合することができるということが理解されよう。無端部材118の概略図は、嵌合特徴がその一部に示されているのみであるが、無端部材118は、その内面全体に亘って嵌合特徴を含むことも理解されよう。
【0053】
プーリアセンブリ120の回転動作中、無端部材118は、接触領域として画定される角度領域内でプーリアセンブリ120と接触及び係合することになる。逆に、無端部材118は、非接触領域(NCZ)として画定される角度領域内ではプーリアセンブリ120と接触又は係合することがない。したがって、プーリアセンブリ120のプーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bは、無端部材118に干渉することなく、分割型プーリ変速装置110に負荷がかかっている間、非接触領域に配置されている間に係合領域の中又は外へ移動することができる。理解されるように、非接触領域は、プーリアセンブリ120のどのプーリ/移行セグメントが無端部材118と係合しているかに応じて変化することになる。
【0054】
非接触領域に配置されている間、プーリアセンブリ120のプーリ/移行セグメントを係合領域の中又は外へ順次移動させることによって、無端部材118は、分割型プーリ変速装置110の連続回転動作を中断することなく、そして分割型プーリ変速装置110に対する負荷を中断することなく、プーリアセンブリ120におけるプーリの1つ、「起点プーリ」との係合から、プーリアセンブリ120におけるプーリの他のもの、「終点プーリ」との係合へと移行することができる。本実施形態において、起点プーリを第1のプーリ124、終点プーリ126を第2のプーリ126とすることができ、又はその逆とすることもできる。
【0055】
無端部材118を起点プーリから終点プーリへ移行させることは一般に「シフト事象」と呼ばれる。分割型プーリ変速装置110の従動プーリと駆動プーリとの間の比率を上げるシフト事象は「アップシフト事象」として知られている。分割型プーリ変速装置110の従動プーリと駆動プーリとの間の比率を下げるシフト事象は「ダウンシフト事象」として知られている。シフト事象中、無端部材118は、起点プーリ、移行セグメントセットの1つ及び終点プーリを順次係合することになる。無端部材118が起点プーリのみとの係合から終点プーリのみとの係合へと移行する期間は移行期間として知られており、移行期間中にプーリアセンブリ120が回転する度数は移行範囲として知られている。理解されるように、移行セグメントセット128、130は、シフト事象の少なくとも一部の間、無端部材118のための支持を提供する。したがって、シフト事象に移行セグメントセットを含めることにより、そのシフト事象のための移行期間及び移行範囲を増加させることができ、これは、シフト事象によって引き起こされる力を低減するのに役立つことができると共に、無端部材118の起点プーリと終点プーリとの間の移行を円滑にするのに役立つことができる。
【0056】
図6a~図6gは、プーリアセンブリ120の回転動作中、無端部材118を第1のプーリ124との係合から第2のプーリ126との係合へと移行させるシフト事象のための手順を示す。理解されるように、無端部材118は、見やすくするためこれらの図において非表示である。シフト事象の前、無端部材118は、図5に示すように、第1のプーリ124と係合している。したがって、第2のプーリセグメント146aから146e、第1の移行セグメント152及び第2の移行セグメント162a、162bは、すべて非係合領域にある。
【0057】
図6aに示すステップで、第1の移行セグメント152は、プーリアセンブリ120の非接触領域に配置されている間に係合領域内へ移動する。プーリアセンブリ120が回転するにつれて、第1の移行セグメント152は接触領域内へ入ることになり、第1の移行面148で無端部材118を係合することになる。第1の移行面148の先端部分154は、最初に無端部材118を係合して、無端部材118を第1のプーリ124から第1の移行セグメントセット128へ円滑に移行させることになる。プーリアセンブリ120がさらに回転するにつれて、第1の移行面148の残りは、無端部材118を係合して、無端部材118を第1のプーリ124の近傍から第2のプーリ126の近傍へ円滑に移行させることになる。
【0058】
図6bに示すステップで、第2のプーリセグメント146aは、プーリアセンブリ120の非接触領域に配置されている間に係合領域内へ移動する。プーリアセンブリ120が回転するにつれて、第2のプーリセグメント146aは、第1の移行セグメント152に従って回転して接触領域内へ入ることになり、無端部材118を係合することになる。第2のプーリセグメント146aによって画定された外周面142は、第1の移行セグメント152の後端部分156に続いて無端部材118を係合して、無端部材118を第1の移行セグメントセット128から第2のプーリ126の第2のプーリセグメントl46aへ円滑に移行させることになる。
【0059】
図6c~図6fに示すステップで、残りの第2のプーリセグメント146bからl46eは、プーリアセンブリ120の非接触領域に個々に配置されている間に係合領域内へ順次移動する。プーリアセンブリ120が回転するにつれて、残りの第2のプーリセグメント146bからl46eは、第2のプーリセグメント146aに従って回転して接触領域内へ入ることになり、無端部材118を係合することになる。第2のプーリセグメント146aから146eのすべてが係合領域にくると、プーリアセンブリ120は、無端部材118が第2のプーリ126のみを係合している状態で連続的に動作することができ、第1のプーリ124から第2のプーリ126へのシフト事象は完了する。シフト事象に続いて、無端部材118は、図7に示すように、第2のプーリ126と係合することになる。任意選択で、シフト事象は、次のシフト事象に備えたステップのような、さらなるステップを含むことができる。
【0060】
図6gに示すステップで、第1の移行セグメント152は係合領域の外へ移動する。このステップは、後続のシフト事象に備えて行っても、前述のシフト事象の一部として行ってもよい。本実施形態において、第1の移行セグメント152は、非接触領域に配置されている間に係合領域の外に移動する。他の実施形態において、第1の移行セグメント152は、接触領域にある間、第2のプーリ126によって保護又は妨害されて無端部材118と係合又は干渉することがないため、第1の移行セグメント152は、接触領域に配置されている間、又は接触領域と非接触領域とにかかっている間に、係合領域の外へ移動することができる。理解されるように、このステップは、第1の移行セグメント152が回転して無端部材118との係合から外れるとすぐに起こり得る。したがって、このステップは、図6c~図6fに示すステップが完了する前に起こっても、その後に起こってもよい。
【0061】
理解されるように、シフト事象中、無端部材118は、第1のプーリ124、第2のプーリ126及び第1の移行セグメントセット128の3つすべてを同時に係合することができ、又は無端部材118は、第1の移行セグメントセット128と第1のプーリ124及び第2のプーリ126の1つとをのみ同時に係合することができる。また理解されるように、図6a~図6gに示すシフト事象のステップは、いかなる重複もなく完全に連続して起こることもあれば、時間的に部分的に重複することもある。
【0062】
図7は、プーリアセンブリ120、アクチュエータシステム122及び図5からの無端部材118の概略図を示す。無端部材118は、プーリアセンブリ120の第2のプーリ126と係合している。
【0063】
図8a~図8iは、プーリアセンブリ120の回転動作中、無端部材118を第2のプーリ126の係合から第1のプーリ124の係合へと移行させるシフト事象のための手順を示す。理解されるように、無端部材118は、見やすくするためにこれらの図において非表示である。シフト事象の前、無端部材118は、図7に示すように、第2のプーリ126と係合している。シフト事象に続いて、無端部材118は、図5に示すように、第1のプーリ124と係合することになる。シフト事象中、無端部材118は、第1のプーリ124、第2のプーリ126及び第2の移行セグメントセット130の3つすべてを同時に係合することができ、又は無端部材118は、第2の移行セグメントセット130と第1のプーリ124及び第2のプーリ126の1つとのみを同時に係合することができる。理解されるように、図8a~図8iに示すシフト事象のステップは、いかなる重複もなく完全に連続して起こることもあれば、時間的に部分的に重複することもある。
【0064】
図8a及び図8bに示すステップで、第2の移行セグメント162a、162bは、係合領域内へ順次移動する。理解されるように、他の実施形態において、第2の移行セグメント162a、162bは、同時に係合領域内へ移動させることができる。図8a及び図8bに示すステップは、本明細書で説明するように、第2のプーリ126から第1のプーリ124へのシフト事象の一部として行っても、又はそのシフト事象に備えて前に行ってもよい。本実施形態において、第2の移行セグメント162a、162bは、接触領域にある間、第2のプーリ126によって保護又は妨害されて無端部材118と係合又は干渉することがないため、第2の移行セグメント162a、162bは、接触領域に配置されている間、又は接触領域と非接触領域とにかかっている間に、係合領域内へ移動する。
【0065】
図8c~図8gに示すステップで、第2のプーリセグメント146aから146eは、プーリアセンブリ120の非接触領域に個々に配置されている間に係合領域の外へ順次移動する。したがって、プーリアセンブリ120が回転するにつれて、第2のプーリセグメント146aから146eは無端部材118を回避することになって係合することがない。代わりに、第2の移行セグメントセット130の第2の移行セグメント162a、162bが接触領域内へ入ることになって無端部材118を係合することになる。第2の移行面158の先端部分164は、第2のプーリセグメント146eによって画定された外周面142の部分に続いて最初に無端部材118を係合して、無端部材118を第2のプーリ126から第2の移行セグメントセット130へ円滑に移行させることになる。プーリアセンブリ120がさらに回転するにつれて、第2の移行面158の残りは、無端部材118を係合して、無端部材118を第2のプーリ126の近傍から第1のプーリ124の近傍へ円滑に移行させることになる。プーリアセンブリ120がまたさらに回転するにつれて、第1のプーリ124は無端部材118を係合することになる。第1のプーリ124の外周面134の第2の移行セグメントセット130に回転方向に続く部分は、第2の移行面158の後端部分166に続いて最初に無端部材118を係合して、無端部材118を第2の移行セグメントセット130から第1のプーリ124へ円滑に移行させることになる。
【0066】
図8h及び図8iに示すステップで、第2の移行セグメント162a、162bは、プーリアセンブリ120の非接触領域に個々に配置されている間に係合領域の外へ順次移動する。したがって、プーリアセンブリ120が回転するにつれて、第2の移行セグメント162a、162bは無端部材118を回避することになって係合することがない。第2の移行セグメント162a、162bが係合領域の外へ移動すると、プーリアセンブリ120は、無端部材118が第1のプーリ124を係合した状態で連続的に動作することができ、第2のプーリ126から第1のプーリ124へのシフト事象は完了する。
【0067】
図9及び図10は、アクチュエータシステム122及びプーリアセンブリ120を示す。プーリアセンブリ120は、アクチュエータシステム122に固定され、アクチュエータシステム122は、プーリアセンブリ120のプーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bを係合領域と非係合領域との間で移動させるように構成されている。アクチュエータシステム122は、支持構造体220、第1のアクチュエータサブアセンブリ222、第1のステータ224、第2のアクチュエータサブアセンブリ226及び第2のステータ228を含む。本明細書で説明するように、アクチュエータシステム122及びプーリアセンブリ120は、分割型プーリ変速装置110内に固定することができる。
【0068】
支持構造体220は回転可能であり、第1のアクチュエータサブアセンブリ222及び第2のアクチュエータサブアセンブリ226を支持し、従動軸又は駆動軸(図示せず)のような、分割型プーリ変速装置110における回転可能要素に結合するように構成されている。本実施形態において、支持構造体220は、プーリアセンブリ120を支持し、分割型プーリ変速装置110の回転可能要素に結合するようにさらに構成されている。他の実施形態において、プーリアセンブリ120又はその一部(第1のプーリ124のような)は、分割型プーリ変速装置110の回転可能要素に直接結合することができる。支持構造体220は、ハブ230、一対の保持リング232、及びハブ230と保持リング232との間に固定された複数の支持ロッド234を含む。
【0069】
ハブ230は、分割型プーリ変速装置110の車軸に固定されるように構成され、第1のアクチュエータサブアセンブリ222及び第2のアクチュエータサブアセンブリ226を支持する。ハブ230は、アクチュエータ側236及び対向するプーリ側238を有する円形ディスクを含む。中央通路240がハブ230内に画定され、アクチュエータ側236からプーリ側238まで延在する。中央通路240は、分割型プーリ変速装置110の車軸を確実に受容するように構成され、回転軸線132と同心である。ハブ230は、プーリアセンブリ120の第1のプーリ124を分割型プーリ変速装置110の車軸に固定するようにさらに構成されている。したがって、ハブ230は、ハブ230のプーリ側238から延在する軸線方向突起242を含み、図8iに示すように、第1のプーリ124を固定するように構成されている。幾つかの実施形態において、第1のプーリ124はハブ230へ圧入することができる。ハブ230は、そのアクチュエータ側236に一対のガイド244を含む。ガイド244は、以下に説明するように、第1のアクチュエータサブアセンブリ222及び第2のアクチュエータサブアセンブリ226のスレッドを摺動可能に固定し、スレッドを略周方向に案内するように構成されている。ガイド244は、図11aに示すように、ハブ230のアクチュエータ側236に画定されたレースウェイを含むことができ、又はレール又はリッジのような他の適切な案内特徴を含むことができる。
【0070】
保持リング232は、第1のアクチュエータサブアセンブリ222及び第2のアクチュエータサブアセンブリ226を支持し、支持ロッド234によってハブ230に固定されている。保持リング232は、アクチュエータサブアセンブリ222、226のハブ230から反対側に配置されている。保持リングそれぞれは、ハブ230におけるガイド244の対応する1つと位置を合わせているガイド246を含む。ガイド246は、以下に説明するように、第1のアクチュエータサブアセンブリ222及び第2のアクチュエータサブアセンブリ226のスレッドを摺動可能に固定し、スレッドを略周方向に案内するように構成されている。ガイド246は、図11aに示すように、ハブ230のアクチュエータ側236に画定されたレースウェイを含むことができ、又はレール又はリッジのような他の適切な案内特徴を含むことができる。複数の保持リングが示されているが、他の実施形態において、支持構造体220は、第1のアクチュエータサブアセンブリ222及び第2のアクチュエータサブアセンブリ226の両方に亘って延在して固定する単一の保持部材を含むことができる。単一の保持部材は、両方のアクチュエータサブアセンブリ222、226に亘って延在する単一の保持リングとすることができ、又は単一の保持板とすることができる。このような実施形態において、単一の保持部材は、ガイド246の両方を含むことができる。
【0071】
支持ロッド234は、保持リング232をハブ230に固定しているが、ハブ230のアクチュエータ側236から保持リング232まで延在し、締結具などによってこれらの間に固定されている。支持ロッド234は、ハブ230を通ってさらに延在することができ、図11aの底部で示すように、プーリアセンブリ120のプーリ/移行セグメントと摺動可能に係合することができる。したがって、支持ロッド234は、プーリアセンブリ120のプーリ/移行セグメントが係合領域と非係合領域との間を移動するときにこれらを案内するように構成することができる。個々の支持ロッド234が図11aに保持リング232からハブ230を通ってプーリアセンブリ120のプーリ/移行セグメントまで延在して示されているが、他の実施形態において、別個の支持ロッド234が保持リング232からハブ230まで、及びハブ230からプーリアセンブリ120のプーリ/移行セグメントまで延在することができる。支持ロッド234が示されて説明されているが、他の実施形態において、支持ビーム又はバーのような、異なる適切な形状の支持部材を用いて保持リング232をハブ230に固定することができる。さらに他の実施形態において、保持リング232は、一体に形成された支持部材によって直接ハブ230に固定することができる。
【0072】
第1のアクチュエータサブアセンブリ222及び第2のアクチュエータサブアセンブリ226は、プーリアセンブリ120のプーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bを係合領域の中及び外へ移動させるように構成されている。具体的には、第1のアクチュエータサブアセンブリ222は、移行セグメントセット128、130の移行セグメント152、162a、162bを移動させるように構成されている。第2のアクチュエータサブアセンブリ226は、第2のプーリ126のプーリセグメント146aから146eを移動させるように構成されている。第1のアクチュエータサブアセンブリ222及び第2のアクチュエータサブアセンブリ226は支持構造体220に固定され、アクチュエータサブアセンブリ222、226それぞれは、複数のスレッド248、複数の従動子250、複数の接続ロッド252及び補剛板254を含む。第1のアクチュエータサブアセンブリ222及び第2のアクチュエータサブアセンブリ226は機能的に同じである。しかしながら、第2のアクチュエータサブアセンブリ226は、第1のアクチュエータサブアセンブリ222より周が大きく、第1のアクチュエータサブアセンブリ222を包囲する。したがって、第2のアクチュエータサブアセンブリ226は、第1のアクチュエータサブアセンブリ222より多数のスレッド248、従動子250及び接続ロッド252を含む。
【0073】
スレッド248それぞれは、回転軸線132を中心にそれぞれの後退位置(図11aに示す)とそれぞれの前進位置(図11cに示す)との間で略周方向に移動可能である。理解されるように、略周方向は、完全に周方向に延在することもあり、又は部分的に周方向に延在して径方向成分を含むこともある。スレッド248それぞれは、プーリアセンブリ120のプーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bの1つに結合され、スレッド248の後退位置と前進位置との間の移動により、結合されたプーリ/移行セグメントが係合領域と非係合領域との間で、又はその逆に移動するようになっている。スレッド248それぞれは、スレッド248がステータ224、228の1つに隣接して回転して通過するとき、スレッド248に生成される起電力に応答して、前進位置と後退位置との間で移動するように構成されている。起電力は、以下に説明するように、ステータ224、228によって生成される一時磁場によって誘導することができる。本実施形態において、スレッド248それぞれは、スレッド248を通過する補剛板254の一部を包囲する。他の実施形態において、補剛板254は、スレッド248と並んで通過することができ、又は完全に省略することができる。
【0074】
スレッド248それぞれは、スレッドシャーシ256、反応板258及び複数のバンパー260を含む。スレッドシャーシ256は、スレッド248が前進位置と後退位置との間を移動するとき、反応板258及びバンパー260を支持及び案内するように構成されている。したがって、スレッドシャーシ256は、ガイド244、246間に延在し、スレッド248が移動するとガイド244、246を係合する。スレッドシャーシ256は、スレッド248が後退位置と前進位置との間を移動するときに従動子250それぞれの1つを係合するための少なくとも1つのカム面262を含む。カム面262の従動子250との係合により、スレッド248の略周方向移動が従動子250の軸線方向移動へ変換される。スレッドシャーシ256は、バンパー260をその上に固定するための複数の支柱264をさらに含む。スレッドシャーシ256は、アルミニウム又はプラスチックのような、磁気的に非反応性の材料で形成され、スレッド248に生成される起電力との潜在的な磁気干渉を低減する。しかしながら、他の実施形態において、スレッドシャーシ256は、透磁性材料で形成してスレッド248に対する電磁力を増加させることができる。
【0075】
バンパー260は、スレッド248が前進位置又は後退位置に到達するとき、支持ロッド234に衝突してこれの略周方向移動を阻止するように構成されている。このように、支持構造体220の支持ロッド234は、スレッド248のためのストッパとして作用することができる。他の実施形態において、支持構造体220は、前進位置及び後退位置それぞれに隣接して配置されてスレッドの略周方向における移動を阻止する他の適切なストッパを含むことができる。バンパー260は、支持ロッド234との衝撃を減衰させるゴム又は他の適切な材料で形成され、Oリング又は他の適切な形状として形成することができる。理解されるように、幾つかの実施形態においてバンパー260は省略することができ、スレッド248は、支持ロッド234に直接衝突してスレッド248の略周方向における移動を阻止することができる。
【0076】
反応板258は、隣接する第1又は第2のステータ224、228の一時磁場によって生成されるスレッド248に対する起電力を増加させるように構成されている。反応板258は、銅、金又はアルミニウムのような、導電性であるが磁気的に不活性である材料で形成されている。反応板258は、スレッドシャーシ256に固定され、スレッド248の外周面に配置されている。したがって、反応板258は、アクチュエータサブアセンブリ222、226が回転軸線132を中心にプーリアセンブリ120の非接触領域を通って回転するにつれて、隣接するステータ224、228に近接することになる。他の実施形態において、反応板258は、スレッド248の内周面、又はアクチュエータサブアセンブリ222、226の回転動作中に隣接するステータ224、228に近接することになるスレッド248の他の適切な表面を形成することができる。さらに他の実施形態において反応板258は完全に省略することができ、スレッドシャーシ256は、隣接する第1又は第2のステータ224、228の一時磁場にさらされたときにスレッド248を移動させるのに十分な起電力を生成するように構成することができる。
【0077】
従動子250それぞれは、スレッド248それぞれの1つの略周方向移動をプーリアセンブリ120のプーリ/移行セグメントそれぞれの1つの軸線方向移動へと伝達するように構成されている。したがって、従動子250それぞれは、スレッド248それぞれの1つのカム面262と係合可能であり、プーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bそれぞれの1つに固定可能である。従動子250それぞれは、それぞれのスレッド248のカム面262と係合可能である突起266を含む。スレッド248が前進位置と後退位置との間で移動すると、カム面262は突起266を係合し、従動子250を収縮位置(図11cに示す)と伸長位置(図11aに示す)との間で摺動させる。本実施形態において、従動子250それぞれは、1つ又は複数の接続ロッド252によってプーリアセンブリ120のプーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bそれぞれの1つに固定されている。したがって、従動子250が伸長位置と収縮位置との間で移動すると、プーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bそれぞれの1つは、係合領域と非係合領域との間で移動することになる。他の実施形態において、従動子250それぞれは、例えば従動子250又はそれぞれのセグメントのいずれかから延在してこの間に延在する一体に形成された接続ロッドによって、プーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bそれぞれの1つに直接固定することができる。
【0078】
複数の接続ロッド252により、従動子250がプーリアセンブリ120のプーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bに固定され、このためプーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bそれぞれが従動子250の1つに結合され、結合された従動子250が伸長位置と収縮位置との間を移動するにつれて係合領域と非係合領域との間を移動するようになる。したがって、接続ロッド252それぞれは、プーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bの1つ及び従動子250の対応する1つに固定されている。接続ロッド252それぞれは、ハブ230のアクチュエータ側236上の結合された従動子250の1つから、ハブ230を通ってハブ230のプーリ側238上の結合されたセグメント146aから146e、152、162a、162bまで延在する。本実施形態において、複数の接続ロッド252は、従動子250それぞれとプーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bの対応する1つとの間に結合されている。他の実施形態において、単一の接続ロッド252を、従動子250それぞれとプーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bの対応する1つとの間に結合することができる。さらに他の実施形態において、接続ロッド252は完全に省略することができ、従動子250それぞれは、例えば従動子250又はそれぞれのセグメントのいずれかから延在してこの間に延在する一体に形成された接続ロッドによって、プーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bそれぞれの1つに直接固定することができる。
【0079】
補剛板254は、ステータ224、228の一時磁場によって生成されるスレッド248に対する起電力を増加させるように構成されている。補剛板254は、銅、金又はアルミニウムのような透磁性材料で形成されている。しかしながら、他の実施形態において、補剛板254は、軟鋼、ケイ素鋼、モータ鋼、セラミック及び/又は粉末金属のような、他の適切な材料で形成することができる。補剛板254は、ハブ230と支持構造体220の保持リング232それぞれの1つとの間に固定されてこれらと共に回転する。幾つかの実施形態において、補剛板254とスレッド248との間には小さなギャップがあり、スレッド248の略周方向移動中のこれとの干渉を回避することができる。他の実施形態において、スレッド248は、補剛板254と接触してスレッド248に生成される起電力を増加させることができる。さらに他の実施形態において、補剛板254は完全に省略することができ、スレッド248は、第1又は第2のステータ224、228の一時磁場にさらされたとき、補剛板254による増幅なしで、その前進位置と後退位置との間を移動するのに十分な起電力を生成するように設計することができる。
【0080】
第1のステータ224及び第2のステータ228は、一時磁場を生成して第1のアクチュエータサブアセンブリ222及び第2のアクチュエータサブアセンブリ226のスレッド248をそれらの個々の前進位置と後退位置との間で移動させるように通電可能である。理解されるように、第1のステータ224は、一時磁場を生成して第1のアクチュエータアセンブリ222のスレッド248を移動させるように構成され、第2のステータ228は、一時磁場を生成して第2のアクチュエータサブアセンブリ226のスレッド248を移動させるように構成されている。ステータ224、228それぞれは、プーリアセンブリ120の非接触領域の少なくとも一部に亘って周方向に延在し、そこから径方向に延在する複数の歯270を含むステータコア268を含む。ステータ224、228それぞれは、歯270を包囲する複数の巻線(図示せず)をさらに含む。ステータ224、228それぞれの巻線は、ステータ224、228の一部に亘って、又はステータ224、228の全スパンに亘って一時磁場を生成するように選択的に通電可能である。ステータ224、228の巻線は、スレッド248がステータ224、228に隣接してプーリアセンブリ120の非接触領域を通って通過するにつれて、アクチュエータサブアセンブリ222、226のスレッド248を移動させるように通電することができる。したがって、第1のステータ224は、非接触領域において第1のアクチュエータアセンブリ222の一部に隣接し、第2のステータ228は、非接触領域において第2のアクチュエータサブアセンブリ226の一部に隣接する。第1のステータ224及び第2のステータ228は、分割型プーリ変速装置110のハウジング112に固定され、第1及び第2のアクチュエータサブアセンブリ222、226と共に回転しない。
【0081】
図11a~図11cは、プーリアセンブリ120及びアクチュエータシステム122の回転動作中に第2のプーリ126のプーリセグメントの1つを係合領域から非係合領域へ移動させるための手順を示す。理解されるように、この手順は逆にしてプーリセグメントを非係合領域から係合領域へ移動させることができる。図11a~図11cにおいて移動しているプーリセグメントは、参照文字146によって総称的に特定されている。理解されるように、プーリセグメント146は、第2のプーリ126のプーリセグメント146aから146eのいずれか1つであり得る。図11a~図11cにおいて第2のアクチュエータサブアセンブリ226及び第2のプーリ126を視覚的に妨害する要素は非表示になっており、例えば、第1のアクチュエータサブアセンブリ222、第1のステータ224、第1のプーリ124及びハブ230の軸線方向突起242はすべて非表示になっている。
【0082】
図11aに示すステップで、プーリセグメント146は係合領域にあり、プーリセグメント146に結合された従動子250は伸長位置にあり、従動子250に結合されたスレッド248は後退位置にある。プーリセグメント146を非係合領域に移動させるため、第2のステータ228は、スレッド248が第2のステータ228の近傍を回転してプーリアセンブリ120の非接触領域を通過するとき、一時磁場を生成するように選択的に通電される。上述のように、第2のステータ228の巻線は、一時磁場を生成するように選択的に通電することができる。第2のステータ228によって生成される一時磁場は、スレッド248に(例えば反応板258に、及び/又はスレッドシャーシ256に)電流を誘導し、誘導された電流は一時磁場と相互作用して、スレッド248を後退位置から前進位置へ推進するスレッド248に対する起電力を生成する。理解されるように、一時磁場の方向及び場所は、第2のステータ228のどの巻線が通電されるか、及び巻線を通過する電流の方向を変化させることによって変更することができる。
【0083】
図11bに示すステップで、起電力により、スレッド248が後退位置から前進位置に向かって移動される。スレッド248は、移動するときにガイド244、246を係合し、ガイド244、246によって略周方向に案内される。スレッド248が後退位置から前進位置に向かって略周方向に移動すると、スレッド248上のカム面262は、従動子250上の突起266を係合し、従動子250を伸長位置から収縮位置に向かって軸線方向に移動させる。従動子250のこの軸線方向移動は、接続ロッド252を通して、結合されたプーリセグメント146へ伝達され、プーリセグメント146を係合領域から非係合領域に向かって移動させる。
【0084】
図11cに示すステップで、バンパー260の1つが、支持ロッド234の回転方向に先行する1つに衝突し、スレッド248の移動を前進位置で阻止する。加えて、又はあるいは、バンパー260の1つは、接続ロッド252の回転方向に先行する1つに衝突してスレッド248の周方向移動を阻止することができる。このように、支持ロッド234及び/又は接続ロッド252は、前進位置でスレッド248の移動を阻止するストッパとして作用することができる。スレッド248のカム面262は、スレッド248が前進位置にあるとき、結合された従動子250が収縮位置にあり、結合されたプーリセグメント146が係合領域から外れて非係合領域にくるように構成されている。
【0085】
上の手順は、第2のステータ228に関して説明し、第2のプーリ126のプーリセグメント146の1つを移動させるためのものであるが、移行セグメントセット128、130の移行セグメント152、162それぞれが、同様の手順で第1のステータ224に通電することによって係合領域と非係合領域との間で移動することが理解されよう。
【0086】
アクチュエータシステム122は、分割型プーリ変速装置110におけるプーリアセンブリ120のプーリ/移行セグメント146aから146e、152、162a、162bを移動させるものとして本明細書に示されて説明されてきたが、他の実施形態において、アクチュエータシステム122を用いて、ダウンホール掘削システムにおけるシールセグメントのような、他の作業システムの個別回転要素を双方向に移動させることができるということが理解されよう。
【0087】
プーリシステム120は、2つの同心プーリ、第1のプーリ124及び第2のプーリ126を含むものとして本明細書に示されて説明されてきたが、他の実施形態において、分割型プーリ変速装置110のためのさらなる比率が所望されるとき、プーリシステムはより多くの複数の同心プーリを含むことができるということが理解されよう。
【0088】
プーリシステム120は、2つの移行セグメントセット、第1の移行セグメントセット128及び第2の移行セグメントセット130を含むものとして本明細書に示されて説明されてきたが、他の実施形態において、プーリアセンブリは、直に隣接するプーリ間に挟まれた1つの移行セグメントセットのみを含むことができるということが理解されよう。例えばアップシフト事象中、又はダウンシフト事象中にのみ円滑な移行が要求され、両方の間には要求されないとき、直に隣接するプーリ間に単一の移行セグメントセットを挟むことができる。
【0089】
分割型プーリ変速装置のためのプーリアセンブリ及びアクチュエータシステムの実施形態を説明してきたが、その他の態様が以下の項に従って考慮されてきた。
【0090】
項1.分割型プーリ変速装置の無端部材を係合するためのプーリアセンブリであって、
無端部材を係合するための外周面を有する第1のプーリと、
第1のプーリを同心円状に包囲するように構成されると共に無端部材を係合するための外周面を有する第2のプーリであって、第2のプーリは第2のプーリセグメントのセットを含み、各第2のプーリセグメントは、第2のプーリセグメントが無端部材の経路にある係合領域と、第2のプーリセグメントが無端部材の経路から外れている非係合領域との間で独立して移動可能である、第2のプーリと、
少なくとも1つの移行面を画定する、無端部材を係合して第1のプーリと第2のプーリとの間で移行させるように係合領域へ独立して移動可能である、1つ又は複数の移行セグメントを含む少なくとも1つの移行セグメントセットと、
を含む、プーリアセンブリ。
【0091】
項2.少なくとも1つの移行セグメントセットは、第1のプーリと第2のプーリとの係合領域に配置されたとき、これらの間に挟まれている、項1のプーリアセンブリ。
【0092】
項3.少なくとも1つの移行セグメントセットは、無端部材を第1のプーリから第2のプーリへ移行させるように構成された第1の移行セグメントセットを含み、少なくとも1つの移行面は、第1の移行セグメントセットによって画定された第1の移行面を含む、項1又は2のプーリアセンブリ。
【0093】
項4.第1の移行面は、第1のプーリの第1の隣接部分と概ね位置を合わせている先端部分を有する、項3のプーリアセンブリ。
【0094】
項5.第1の移行面は、第2のプーリの第1の隣接部分と概ね位置を合わせている後端部分を有する、項3又は4のプーリアセンブリ。
【0095】
項6.第1の移行セグメントセットは単一の第1の移行セグメントのみを含む、項3から5のいずれか1つのプーリアセンブリ。
【0096】
項7.少なくとも1つの移行セグメントセットは、無端部材を第2のプーリから第1のプーリへ移行させるように構成された第2の移行セグメントセットを含み、少なくとも1つの移行面は、第2の移行セグメントセットによって画定された第2の移行面を含む、項1から6のいずれか1つのプーリアセンブリ。
【0097】
項8.第2の移行面は、第2のプーリの第2の隣接部分と概ね位置を合わせている先端部分を有する、項7のプーリアセンブリ。
【0098】
項9.第2の移行面は、第1のプーリの第2の隣接部分と概ね位置を合わせている後端部分を有する、項7又は8のプーリアセンブリ。
【0099】
項10.第2の移行セグメントセットは複数の第2の移行セグメントを含む、項7から9のいずれか1つのプーリアセンブリ。
【0100】
項11.移行面の少なくとも1つは、回転軸線を中心とする部分的な回転に亘って、第1のプーリの近傍から第2のプーリの近傍へ延在する、項1から10のいずれか1つのプーリアセンブリ。
【0101】
項12.移行面の少なくとも1つは、回転軸線を中心とする円滑な略螺旋状の経路に従っている、項1から11のいずれか1つのプーリアセンブリ。
【0102】
項13.第2のプーリセグメントのセット及び少なくとも1つの移行セグメントセットに結合されたアクチュエータシステムをさらに含み、アクチュエータシステムは、第2のプーリセグメントのセット及び少なくとも1つの移行セグメントセットを係合領域と非係合領域との間で独立して移動させるように構成されている、項1から12のいずれか1つのプーリアセンブリ。
【0103】
項14.アクチュエータシステムは、起電力を用いて第2のプーリセグメントのセット及び少なくとも1つの移行セグメントセットを係合領域と非係合領域との間で独立して移動させるように構成されている、項13のプーリアセンブリ。
【0104】
項15.作業システムの個別回転要素を移動させるためのアクチュエータシステムであって、
回転軸線を中心に作業システムに回転可能に固定可能な支持構造体と、
支持構造体に固定された少なくとも1つのアクチュエータサブアセンブリであって、
少なくとも1つのスレッドであって、一時磁場によってスレッドに生成される起電力に応答して、それぞれの前進位置とそれぞれの後退位置との間で支持構造体に対して移動可能なスレッドと、
少なくとも1つのスレッドがそれぞれの前進位置とそれぞれの後退位置との間で移動するにつれてそれぞれの伸長位置とそれぞれの収縮位置との間で移動するように少なくとも1つのスレッドと係合可能な少なくとも1つの従動子であって、作業システムの個別回転要素の1つ又は複数に固定可能である、従動子と、
を含む、アクチュエータサブアセンブリと、
少なくとも1つのアクチュエータサブアセンブリに隣接する位置において作業システムに確固として固定可能な少なくとも1つのステータであって、一時磁場を生成するように選択的に通電可能である、ステータと、
を含む、アクチュエータシステム。
【0105】
項16.少なくとも1つのアクチュエータサブアセンブリは、少なくとも1つのスレッドの近傍に配置されて一時磁場によってスレッドに生成される起電力を増加させる補剛板をさらに含む、項15のアクチュエータシステム。
【0106】
項17.補剛板は、支持構造体に固定されて略周方向に延在する、項16のアクチュエータシステム。
【0107】
項18.補剛板は少なくとも1つのスレッドを通過している、項17のアクチュエータシステム。
【0108】
項19.支持構造体は一対のガイドを含み、少なくとも1つのスレッドは、スレッドがそれぞれの前進位置とそれぞれの後退位置との間で移動するとき、これらの間に摺動可能に固定されて少なくとも1つのスレッドを案内する、項15から18のいずれか1つのアクチュエータシステム。
【0109】
項20.少なくとも1つのスレッドそれぞれは、スレッドシャーシ及びスレッドシャーシに固定された反応板を含み、反応板は、導電性であるが磁気的に不活性な材料で形成されてスレッドに生成される起電力を増加させる、項15から19のいずれか1つのアクチュエータシステム。
【0110】
項21.支持構造体は、少なくとも1つのスレッドの移動をそれぞれの前進位置及び後退位置で阻止する少なくとも1つのストッパを含む、項15から20のいずれか1つのアクチュエータシステム。
【0111】
項22.少なくとも1つのスレッドは、ストッパに衝突して少なくとも1つのスレッドの移動をそれぞれの前進位置及び後退位置で阻止するための少なくとも1つのバンパーを含む、項21のアクチュエータシステム。
【0112】
項23.少なくとも1つのステータそれぞれは、ステータ本体及び一時磁場を生成するように選択的に通電可能である少なくとも1つの巻線を含む、項15から22のいずれか1つのアクチュエータシステム。
【0113】
項24.少なくとも1つの従動子は、少なくとも1つのスレッドがそれぞれの前進位置とそれぞれの後退位置との間で移動するにつれて従動子をそれぞれの伸長位置とそれぞれの収縮位置との間で移動させるように少なくとも1つのスレッドのカム面と係合可能である突起を含む、項15から23のいずれか1つのアクチュエータシステム。
【0114】
項25.作業システムの個別回転要素は、項1から14のいずれか1つに定義されたようなプーリアセンブリの第2のプーリセグメントのセット及び少なくとも1つの移行セグメントセットのセグメントである、項15から24のいずれか1つのアクチュエータシステム。
【0115】
実施形態を上述して添付の図面に示しているが、添付の請求項によって定義されたような範囲から逸脱することなく変形及び修正を行うことができ、全体として明細書と一致する最も広い解釈が特許請求の範囲に与えられるべきであるということが当業者によって理解されよう。
【符号の説明】
【0116】
110 分割型プーリ変速装置
112 ハウジング
114 固定プーリ
116 アイドラープーリ
118 無端部材
120 プーリアセンブリ
122 アクチュエータシステム
124 第1のプーリ
126 第2のプーリ
128 第1の移行セグメントセット
130 第2の移行セグメントセット
132 回転軸線
134 外周面
136 嵌合特徴
138 内周面
140 内部嵌合特徴
142 外周面
144 嵌合特徴
146a 第2のプーリセグメント
146b 第2のプーリセグメント
146c 第2のプーリセグメント
146d 第2のプーリセグメント
146e 第2のプーリセグメント
148 第1の移行面
150 嵌合特徴
152 第1の移行セグメント
154 先端部分
156 後端部分
158 第2の移行面
160 嵌合特徴
162a 第2の移行セグメント
162b 第2の移行セグメント
164 先端部分
166 後端部分
220 支持構造体
222 第1のアクチュエータサブアセンブリ
224 第1のステータ
226 第2のアクチュエータサブアセンブリ
228 第2のステータ
230 ハブ
232 保持リング
234 支持ロッド
236 アクチュエータ側
238 プーリ側
240 中央通路
242 軸線方向突起
244 ガイド
246 ガイド
248 スレッド
250 従動子
252 接続ロッド
254 補剛板
256 スレッドシャーシ
258 反応板
260 バンパー
262 カム面
264 支柱
266 突起
268 ステータコア
270 歯
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
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図8g
図8h
図8i
図9
図10
図11a
図11b
図11c
【外国語明細書】