(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012345
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】光コネクタシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 6/30 20060101AFI20230118BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
G02B6/30
G02B6/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115942
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】畑 徹弥
(72)【発明者】
【氏名】中村 英弘
【テーマコード(参考)】
2H036
2H137
【Fターム(参考)】
2H036JA01
2H036JA02
2H036QA03
2H036QA12
2H036QA18
2H036QA43
2H036QA49
2H036QA57
2H036QA59
2H137AB08
2H137BA03
2H137BA04
2H137BA15
2H137BA31
2H137BA52
2H137BC02
2H137BC07
2H137CA15A
2H137CA49
2H137CA75
2H137CC27
2H137CD01
2H137CD13
2H137CD19
2H137CD33
2H137CD45
2H137EA05
(57)【要約】
【課題】光伝送路同士の高精度な位置決めを可能としつつ、光コネクタシステムにおける嵌合作業性を向上可能な光コネクタシステムを提供する。
【解決手段】本開示に係る光コネクタシステム1では、第1光コネクタモジュール2は、第1光伝送路40に取り付けられている第1光コネクタ21と、第1光コネクタ21を囲むように配置されているハウジング22と、を備える。第2光コネクタモジュール3は、第2光伝送路50に取り付けられ、第1光コネクタ21と嵌合する第2光コネクタ31と、第2光コネクタ31と離間し、基体51に取り付けられている筐体32と、を備える。嵌合方向において、ハウジング22の先端は、第1光コネクタ21の先端よりも第2光コネクタモジュール3側に位置し、筐体32の先端は、第2光コネクタ31の先端よりも第1光コネクタモジュール2側に位置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光コネクタモジュールと、前記第1光コネクタモジュールと嵌合する第2光コネクタモジュールと、を備える光コネクタシステムであって、
前記第1光コネクタモジュールは、
複数の第1光導波部を有する第1光伝送路において前記第2光コネクタモジュール側の先端に取り付けられている第1光コネクタと、
前記第1光コネクタを囲むように配置されているハウジングと、
を備え、
前記第2光コネクタモジュールは、
基体及び前記基体に積層されている第2光導波部を有する第2光伝送路に取り付けられ、前記第1光コネクタと嵌合する第2光コネクタと、
前記第2光コネクタと離間し、前記基体に取り付けられている筐体と、
を備え、
前記第1光コネクタモジュールと前記第2光コネクタモジュールとが互いに嵌合する嵌合方向において、
前記ハウジングの先端は、前記第1光コネクタの先端よりも前記第2光コネクタモジュール側に位置し、
前記筐体の先端は、前記第2光コネクタの先端よりも前記第1光コネクタモジュール側に位置する、
光コネクタシステム。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記第1光コネクタを覆う第1基部と、前記第1基部から前記嵌合方向に沿って前記第2光コネクタモジュール側に突出する突出部と、を有し、
前記嵌合方向において、前記突出部の先端は、前記第1光コネクタの先端よりも前記第2光コネクタモジュール側に位置する、
請求項1に記載の光コネクタシステム。
【請求項3】
前記筐体は、前記第2光コネクタよりも前記基体と反対側に位置し、前記ハウジングの前記突出部を前記基体と反対側に向けて支持する第1支持部を有する、
請求項2に記載の光コネクタシステム。
【請求項4】
前記筐体は、前記嵌合方向に沿って互いに離間する複数の前記第1支持部を有する、
請求項3に記載の光コネクタシステム。
【請求項5】
前記筐体は、前記第2光コネクタを覆う第2基部を有し、
前記第1支持部は、前記第2基部において前記基体と反対側で前記第2光コネクタと対向する天井部から前記基体側に向けて屈曲しながら延出する、
請求項3又は4に記載の光コネクタシステム。
【請求項6】
前記筐体は、前記第2基部の前記天井部において形成され、前記嵌合方向に沿って互いに離間する一の前記第1支持部と隣接する他の前記第1支持部との間に位置する補強部を有する、
請求項5に記載の光コネクタシステム。
【請求項7】
前記筐体は、前記補強部から前記第1光コネクタモジュール側に向けて突出し、前記第1光コネクタモジュール側の先端が前記基体と反対側に向けて斜めに延出する誘い込み部を有する、
請求項6に記載の光コネクタシステム。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記嵌合方向と直交する方向における前記突出部の外側の端縁部において前記嵌合方向に沿って形成され、前記第1支持部により支持される被支持部を有し、
前記被支持部の前記基体側の端面は、前記突出部における前記基体側の端面よりも前記基体と反対側に位置する、
請求項3乃至7のいずれか1項に記載の光コネクタシステム。
【請求項9】
前記ハウジングは、少なくとも1つの被ロック部を有し、
前記筐体は、前記被ロック部が係合する少なくとも1つのロック部を有し、
前記被ロック部及び前記ロック部を含むロック構造は、前記光コネクタシステムにおいて前記基体側を除く端部に少なくとも1つ形成されている、
請求項2乃至8のいずれか1項に記載の光コネクタシステム。
【請求項10】
前記ロック構造は、前記基体と反対側の端部に1つ形成されている、
請求項9に記載の光コネクタシステム。
【請求項11】
前記被ロック部は、前記突出部に1つのみ形成され、
前記ロック部は、前記第2光コネクタを覆う第2基部から延出するように1つのみ形成され、
前記ロック構造は、前記光コネクタシステムにおいて前記基体と反対側の端部のみに形成されている、
請求項10に記載の光コネクタシステム。
【請求項12】
前記筐体は、前記第2光コネクタよりも前記基体側に位置し、前記第1光コネクタモジュールを前記基体と反対側に向けて支持する第2支持部を有する、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光コネクタシステム。
【請求項13】
前記筐体の前記嵌合方向における先端は、前記基体と反対側の端部に形成され、
前記第2支持部は、該先端よりも前記第2光コネクタモジュール側で前記第1光コネクタモジュールを前記基体側から誘い込む、
請求項12に記載の光コネクタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光コネクタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光伝送路同士を光結合する光コネクタシステムが知られている。このような光コネクタシステムでは、光伝送路間の結合損失を抑制するために、第1光伝送路に取り付けられている第1光コネクタと、第2光伝送路に取り付けられている第2光コネクタと、を互いに高精度に位置決めする必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、光伝送路同士を好適に位置決め可能な光コネクタが開示されている。特許文献1に記載の光コネクタでは、第1光伝送路の端面を露出させるレセプタクルの露出孔に、突部の先端面において第2光伝送路の端面を露出させるプラグの当該突部が挿入されることで、光伝送路同士が位置決めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の光コネクタでは、第2光伝送路の端面がプラグの突部の先端面で露出している。したがって、プラグをレセプタクルに挿入する際に互いの位置がずれて当該先端面がレセプタクルの露出孔以外の部分に接触すると、第2光伝送路の端面が破損する可能性があった。光伝送路を含む光学部品に破損が生じると、光の伝送特性が著しく低下することになる。したがって、このような破損を避けるために互いの位置を正確に合わせながらプラグをレセプタクルに挿入する必要があり、光コネクタにおける嵌合作業性が低かった。
【0006】
このような問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、光伝送路同士の高精度な位置決めを可能としつつ、光コネクタシステムにおける嵌合作業性を向上可能な光コネクタシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る光コネクタシステムは、
第1光コネクタモジュールと、前記第1光コネクタモジュールと嵌合する第2光コネクタモジュールと、を備える光コネクタシステムであって、
前記第1光コネクタモジュールは、
複数の第1光導波部を有する第1光伝送路において前記第2光コネクタモジュール側の先端に取り付けられている第1光コネクタと、
前記第1光コネクタを囲むように配置されているハウジングと、
を備え、
前記第2光コネクタモジュールは、
基体及び前記基体に積層されている第2光導波部を有する第2光伝送路に取り付けられ、前記第1光コネクタと嵌合する第2光コネクタと、
前記第2光コネクタと離間し、前記基体に取り付けられている筐体と、
を備え、
前記第1光コネクタモジュールと前記第2光コネクタモジュールとが互いに嵌合する嵌合方向において、
前記ハウジングの先端は、前記第1光コネクタの先端よりも前記第2光コネクタモジュール側に位置し、
前記筐体の先端は、前記第2光コネクタの先端よりも前記第1光コネクタモジュール側に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態に係る光コネクタシステムによれば、光伝送路同士の高精度な位置決めを可能としつつ、光コネクタシステムにおける嵌合作業性を向上可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る光コネクタシステムの嵌合状態を上面視で示した外観斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る光コネクタシステムの非嵌合状態を上面視で示した外観斜視図である。
【
図3】
図1の第2光伝送路単体を拡大して上面視で示した外観斜視図である。
【
図4A】第1光伝送路を保持する
図1の第1光コネクタモジュール単体を上面視で示した外観斜視図である。
【
図4B】
図4Aの第1光コネクタモジュール単体の一部を上面視で示した外観斜視図である。
【
図4C】
図4Bの第1光コネクタモジュール単体の一部を上面視で示した外観斜視図である。
【
図5】第1光伝送路を保持する
図1の第1光コネクタモジュール単体を下面視で示した外観斜視図である。
【
図6】
図4Aの第1光コネクタモジュール単体を分解して上面視で示した外観斜視図である。
【
図7】
図4Aの第1光コネクタモジュール単体の正面図である。
【
図8】
図4Aの第1光コネクタモジュール単体の背面図である。
【
図9】第2ハウジング単体を上面視で示した外観斜視図である。
【
図11】第2光伝送路に取り付けられる
図1の第2光コネクタモジュール単体を上面視で示した外観斜視図である。
【
図12】
図11において筐体の図示を省略して第2光コネクタを上面視で示した外観斜視図である。
【
図13】
図1のXIII-XIII矢線に沿う断面図である。
【
図14】
図1のXIV-XIV矢線に沿う断面図である。
【
図15】
図1のXV-XV矢線に沿う断面図である。
【
図16】変形例に係る第2光コネクタモジュール単体を上面視で示した
図11に対応する外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について詳細に説明する。以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準とする。各矢印の方向は、
図1乃至
図15において、異なる図面同士で互いに整合している。
【0011】
本明細書において、「嵌合方向」は、例えば前後方向を含む。「嵌合方向と直交する方向」は、例えば左右方向を含む。「第1光コネクタモジュール側」は、例えば前側を含む。「第2光コネクタモジュール側」は、例えば後側を含む。「基体側」は、例えば下側を含む。「基体と反対側」は、例えば上側を含む。
【0012】
図1は、一実施形態に係る光コネクタシステム1の嵌合状態を上面視で示した外観斜視図である。
図2は、一実施形態に係る光コネクタシステム1の非嵌合状態を上面視で示した外観斜視図である。
図1及び
図2を参照しながら、光コネクタシステム1の構成及び機能の概略を説明する。
【0013】
光コネクタシステム1は、第1光コネクタモジュール2と、第1光コネクタモジュール2と嵌合する第2光コネクタモジュール3と、を有する。
【0014】
第1光コネクタモジュール2は、複数の第1光導波部41を有する第1光伝送路40を保持する。第1光導波部41は、一本の光ファイバにより構成される。第1光伝送路40は、複数の第1光導波部41としての複数の光ファイバが左右方向に一列に配列されて構成される。第1光導波部41は、コア及びクラッド、並びに必要に応じて被膜を有する。
【0015】
第1光導波部41の導波モードは、シングルモード及びマルチモードのいずれであってもよい。第1光導波部41は、汎用のシングルモードファイバ、分散シフトシングルモードファイバ、又はステップインデックスマルチモード光ファイバなど、任意の種類の光ファイバにより構成されてもよい。複数の第1光導波部41は、シースによって覆われるように束ねられてもよいし、束ねられていなくてもよい。第1光コネクタモジュール2により保持される複数の第1光導波部41のコアの左右方向における間隔は、後述する第2光伝送路50のコア521の左右方向における間隔と略一致する。
【0016】
第2光コネクタモジュール3は、基体51及び基体51に積層されている第2光導波部52を有する第2光伝送路50に取り付けられる。
【0017】
図3は、
図1の第2光伝送路50単体を拡大して上面視で示した外観斜視図である。
図3を参照しながら、第2光伝送路50の構成について主に説明する。
【0018】
第2光伝送路50は、リジッド式のプリント配線基板により構成されている基体51と、基体51の上面に積層されている第2光導波部52と、を有する。第2光導波部52は、基体51の上面から上方に突出するように凸字状に形成されている。第2光導波部52は、後述する第2光コネクタ31と光結合するために、前後方向の端面が基体51の前後方向の端面と一致するように形成されている。第2光導波部52の前後方向の端面は、基体51の前後方向の端面に沿って平面状に形成されている。第2光導波部52の導波モードは、シングルモード及びマルチモードのいずれであってもよい。
【0019】
第2光導波部52は、基体51と直交する積層方向において基体51に積層されているコア521及びクラッド522を有する。より具体的には、第2光導波部52は、基体51の上面に積層されている第1クラッド522aと、第1クラッド522a上に積層されているコア521と、第1クラッド522aと共にコア521を積層方向に挟み込んでコア521を囲む第2クラッド522bと、を有する。
【0020】
コア521は、左右方向に所定の間隔で互いに離間するように複数形成されている。各コア521は、前後方向に延伸する。コア521及びクラッド522は、石英系のガラスなどの適宜な材料により形成されている。コア521の屈折率は、クラッド522の屈折率よりも高い。以下では、第2光導波部52は、埋め込み型の光導波路であるとして説明するが、これに限定されない。第2光導波部52は、スラブ型及び半埋め込み型などの適宜な方式の光導波路であってもよい。
【0021】
第2光導波部52の導波モードがシングルモードである場合、コア521のコアサイズは例えば5μm以上15μm以下の範囲に含まれる。第2光導波部52の導波モードがマルチモードである場合、コア521のコアサイズは例えば35μm以上62.5μm以下の範囲に含まれる。本明細書において、「コアサイズ」は、例えばモードフィールド径ではなくコア521の実際の大きさを含む。コア521の屈折率は、例えば1.6である。
【0022】
第2光伝送路50は、フォトリソグラフィーなどを用いて製造される。第1クラッド522a、コア521、及び第2クラッド522bの順番で、製造方法が実施される。すなわち、第2光伝送路50の製造方法は、第2光導波部52を構成する第1クラッド522aを、基体51と直交する積層方向において基体51上に積層する工程を含む。続いて、第2光伝送路50の製造方法は、第2光導波部52を構成するコア521を、第1クラッド522a上に積層する工程を含む。続いて、第2光伝送路50の製造方法は、第2光導波部52を構成する第2クラッド522bを、第1クラッド522aと共にコア521を積層方向に挟み込むように積層する工程を含む。
【0023】
再度
図1及び
図2を参照すると、第1光コネクタモジュール2と第2光コネクタモジュール3とが互いに嵌合する嵌合状態で、第1光伝送路40と第2光伝送路50とは互いに光学的に結合する。
【0024】
図4Aは、第1光伝送路40を保持する
図1の第1光コネクタモジュール2単体を上面視で示した外観斜視図である。
図4Bは、
図4Aの第1光コネクタモジュール2単体の一部を上面視で示した外観斜視図である。
図4Cは、
図4Bの第1光コネクタモジュール2単体の一部を上面視で示した外観斜視図である。
図5は、第1光伝送路40を保持する
図1の第1光コネクタモジュール2単体を下面視で示した外観斜視図である。
図6は、
図4Aの第1光コネクタモジュール2単体を分解して上面視で示した外観斜視図である。
図7は、
図4Aの第1光コネクタモジュール2単体の正面図である。
図8は、
図4Aの第1光コネクタモジュール2単体の背面図である。
図9は、第2ハウジング222単体を上面視で示した外観斜視図である。
図10は、
図4AのX-X矢線に沿う断面図である。
図4A乃至
図10を参照しながら、第1光コネクタモジュール2の構成の一例について主に説明する。
【0025】
第1光コネクタモジュール2は、複数の第1光導波部41を有する第1光伝送路40において第2光コネクタモジュール3側の先端に取り付けられている第1光コネクタ21と、第1光コネクタ21を囲むように配置されているハウジング22と、を有する。第1光コネクタモジュール2は、第1光コネクタ21に対して下方から配置されている第1金具23を有する。第1光コネクタモジュール2は、第1光コネクタ21に対して上方から配置されている第2金具24を有する。第1光コネクタモジュール2は、第1金具23の前端部と第2金具24の前端部との間に挟まれるように位置するコイルばね25を有する。第1光コネクタモジュール2は、第1金具23とコイルばね25とによって挟まれるように位置する第3金具26を有する。
【0026】
第1光コネクタ21は、例えば透光性の樹脂材料により矩形状に形成されている。第1光コネクタ21は、第1光導波部41のコアの屈折率に近似する屈折率を有する材料により形成されている。
【0027】
図4C及び
図6に示すとおり、第1光コネクタ21は、矩形状に形成され、第1光コネクタ21の外形部の半分以上を構成する基部211を有する。基部211は、その前端部において基部211における他の部分と比較して左右方向の両側に幅広となる幅広部211aを有する。基部211は、幅広部211aから後方に延在し、幅広部211aよりも左右方向の両側に幅狭となる幅狭部211bを有する。第1光コネクタ21は、基部211の前端面の中央部から前方に向けて矩形状に突出する保持部212を有する。
【0028】
第1光コネクタ21は、基部211の後端面の全体に取り付けられている第1レンズ部213を有する。第1レンズ部213は、左右方向に一列に配列されている複数の第1レンズ213aを有する。複数の第1レンズ213aの左右方向における間隔は、第1光コネクタモジュール2により保持される複数の第1光導波部41のコアの左右方向における間隔と略一致する。第1レンズ部213は、透光性の樹脂材料により形成されている。
【0029】
第1光コネクタ21は、第1光コネクタ21の左右方向の両側に位置し、基部211及び第1レンズ部213を前後方向に沿って貫通する貫通孔214を有する。第1光コネクタ21は、貫通孔214に挿入され、貫通孔214から前後両側に露出するピン215を有する。一対のピン215は、左右方向に一列に配列されている複数の第1レンズ213aを左右方向の両側から挟むように位置する。ピン215は、後端部を除いて、断面が円となるように円柱状に形成されている。ピン215は、後端部において、下側半分を切り欠いた状態で断面が半円となるように形成されている。
【0030】
図6に示すとおり、ハウジング22は、絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂材料によって形成されている。ハウジング22は、第1光伝送路40を保持する第1光コネクタ21を上方、及び左右方向の両側から覆う第1ハウジング221と、第1ハウジング221よりも外側に配置され、当該第1ハウジング221と共に第1光コネクタ21を上方、及び左右方向の両側からさらに覆う第2ハウジング222と、を有する。
【0031】
第1ハウジング221は、第1光伝送路40を保持する第1光コネクタ21を上方、及び左右方向の両側から覆う基部221aを有する。基部221aは、上方から第1光コネクタ21を覆う天井部221a1と、当該天井部221a1よりも第2光コネクタモジュール3側に突出する左右方向の側壁部221a2と、を有する。
【0032】
第1ハウジング221は、基部221aから嵌合方向に沿って第2光コネクタモジュール3側に突出する突出部221bを有する。突出部221bは、基部221aの天井部221a1の後面において左右方向の中央部から後方に向けて直線状に突出する。突出部221bは、基部221aの側壁部221a2よりも第2光コネクタモジュール3側に突出する。すなわち、突出部221bの後端は、側壁部221a2の後端よりもさらに後側に位置する。突出部221bは、その中央部全体が切り欠かれており、全体としてU字状となる。
【0033】
第1ハウジング221は、突出部221bにおいて切り欠かれている部分により構成される被ロック部221cを有する。第1ハウジング221は、被ロック部221cの一部を構成し、突出部221bにおいて切り欠かれている部分の前面を含む被ロック面221dを有する。第1ハウジング221は、突出部221bの後方の先端においてR形状として形成されている先端面221eを有する。
【0034】
第1ハウジング221は、側壁部221a2の外面の中央部から左右方向の外側に向けて斜め前方に傾斜しながら突出する部分を含む係止部221fを有する。第1ハウジング221は、側壁部221a2の外面において前方かつ下方の角部に形成されている第1突壁221gを有する。第1突壁221gは、前後方向に沿って直線状に延在しながら左右方向の外側に突出するように形成されている。第1ハウジング221は、天井部221a1の内面の左右方向の中央部において左右方向に所定の幅で前後方向の略全体に凹設されている凹部221hを有する。
【0035】
図8に示すとおり、第1ハウジング221は、天井部221a1の内面の前端部から下方に向けて逆L字状に突出する張出部221iを有する。一対の張出部221iは、左右方向に所定の間隔で互いに離間した状態で天井部221a1の内面に形成されている。
図6に示すとおり、第1ハウジング221は、天井部221a1の外面の後端において左右方向に延在しながら上方に突出する第2突壁221jを有する。
【0036】
第2ハウジング222は、第1光伝送路40を保持する第1光コネクタ21を第1ハウジング221の基部221aと共に上方、及び左右方向の両側から覆う基部222aを有する。基部222aは、基部221aよりも外側に位置し、基部221a及び第1光コネクタ21を外側から覆う。基部222aは、上方から天井部221a1及び第1光コネクタ21を覆う天井部222a1と、当該天井部222a1から下方に向けて屈曲しながら延出する左右方向の側壁部222a2と、を有する。
【0037】
第2ハウジング222は、基部222aから嵌合方向に沿って第2光コネクタモジュール3側に突出する突出部222bを有する。突出部222bは、基部222aの天井部222a1の後面において左右方向の中央部から後方に向けて直線状に突出する。突出部222bは、その中央部全体が切り欠かれており、全体として二股状となる。
【0038】
図9に示すとおり、第2ハウジング222は、突出部222bの後方の先端において、後方に向けて斜め下方に傾斜する誘い込み面222cを有する。第2ハウジング222は、嵌合方向と直交する方向における突出部222bの内側の端縁部において、S字状に滑らかに屈曲する曲面222dを有する。第2ハウジング222は、嵌合方向と直交する方向における突出部222bの外側の端縁部において嵌合方向に沿って形成されている被支持部222eを有する。被支持部222eの基体51側の端面は、突出部222bにおける基体51側の端面よりも基体51と反対側に位置する。
【0039】
第2ハウジング222は、側壁部222a2の内面において前端から後端まで嵌合方向に沿って直線状に延在する溝部222fを有する。第2ハウジング222は、溝部222fの中央部において溝部222fを埋めるように形成されている係止部222gを有する。第2ハウジング222は、天井部222a1の内面の後端において左右方向に延在しながら下方に突出する突壁222hを有する。
【0040】
第1金具23は、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて
図6に示す形状に成形加工したものである。第1金具23の加工方法は、抜き加工を行った後に板厚方向に屈曲させる工程を含む。これに限定されず、第1金具23の加工方法は、抜き加工に基づく工程のみを含んでもよい。
【0041】
第1金具23は、その下端部を構成する底板部231を有する。第1金具23は、底板部231の後部における左右方向の両縁部から上方に向けて延出する係止部232を有する。係止部232は、第1金具23の板厚部分を矩形状に切り欠いた切欠部232aと、係止部232の上端において屈曲しながら左右方向の内側に延出する第1屈曲部232bと、を有する。
【0042】
第1金具23は、その後端部において底板部231から左右方向の内側に向けてJ字状に屈曲しながら上方に延出する第1延出部233を有する。第1金具23は、底板部231の前部における左右方向の両縁部から上方に向けて延出する第2延出部234を有する。左右方向において、一対の第2延出部234の間隔は、一対の係止部232の間隔よりも小さい。第1金具23は、第2延出部234の中央部から左右方向の内側に向けてL字状に延出する支持部235を有する。第1金具23は、底板部231の前端において左右方向の両端から上方に向けて延出する受け部236を有する。第1金具23は、底板部231の前端において左右方向の中央部から上方に向けて屈曲しながら延出する第2屈曲部237を有する。
【0043】
第2金具24は、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて
図6に示す形状に成形加工したものである。第2金具24の加工方法は、抜き加工を行った後に板厚方向に屈曲させる工程を含む。これに限定されず、第2金具24の加工方法は、抜き加工に基づく工程のみを含んでもよい。
【0044】
第2金具24は、左右方向の側面視においてU字状に形成されている基部241を有する。第2金具24は、基部241の上端部において前後両側で左右方向に沿って直線状に延在する連結部242を有する。連結部242は、基部241の左右方向の両端部を左右方向に沿って互いに連結する。
【0045】
第2金具24は、基部241の後部において左右方向の両側で半円状に切り欠かれている切欠部243を有する。第2金具24は、基部241の後方の連結部242において左右方向の中央部から後方に向けて延出する支持部244を有する。第2金具24は、基部241の前部において左右方向の両端に平板状に形成されている受け部245を有する。
【0046】
第3金具26は、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて
図6に示す形状に成形加工したものである。第3金具26の加工方法は、抜き加工を行った後に板厚方向に屈曲させる工程を含む。これに限定されず、第3金具26の加工方法は、抜き加工に基づく工程のみを含んでもよい。
【0047】
第3金具26は、その上端部を構成する天井部261を有する。第3金具26は、天井部261の後縁部における左右方向の中央部から下方にL字状に屈曲する屈曲部262を有する。第3金具26は、天井部261から左右方向の両外側に向けてU字状に屈曲しながら延出する囲み部263を有する。
【0048】
第1光コネクタモジュール2と第2光コネクタモジュール3とが互いに嵌合していない非嵌合状態における第1光コネクタモジュール2の機能について主に説明する。
【0049】
図4C及び
図6に示すとおり、第2金具24は、第1光伝送路40を保持する第1光コネクタ21に対して上方から配置される。このとき、
図10に示すとおり、第2金具24の基部241の底面は、第1金具23の底板部231により支持される。第2金具24の連結部242は、第1光コネクタ21の保持部212の直上に位置する。
図4Cに示すとおり、第2金具24の切欠部243は、第1光コネクタ21のピン215において貫通孔214から前方に露出する部分の直上に位置する。第2金具24は、その一部が第1光コネクタ21の直上に位置した状態で第1金具23の底板部231により全体として下方から支持される。
【0050】
図10に示すとおり、第2金具24の受け部245は、弾性変形していない自由状態から縮んだ状態で第1金具23の受け部236と第2金具24の受け部245との間に取り付けられているコイルばね25の後端部を受け止める。第2金具24の基部241の後面は、受け部245が受けるコイルばね25の復元力によって第1光コネクタ21の幅広部211aの前面に突き当てられる。一方で、第2金具24の支持部244の後方の先端は、第1ハウジング221の凹部221hの後端部に突き当てられる。第1ハウジング221と第1金具23とは互いに固定された状態で取り付けられているので、基部241の後面が幅広部211aの前面に突き当てられる一方で、支持部244の後方の先端が凹部221hの後端部に突き当てられることで第1ハウジング221及び第1金具23に対する第1光コネクタ21の前後位置が維持される。
【0051】
図4C及び
図6に示すとおり、第1金具23は、第1光伝送路40を保持する第1光コネクタ21に対して下方から配置される。このとき、
図10に示すとおり、第1金具23の底板部231は、第2金具24の基部241を下方から支持する。第1金具23の受け部236は、弾性変形していない自由状態から縮んだ状態で第1金具23の受け部236と第2金具24の受け部245との間に取り付けられているコイルばね25の前端部を受け止める。第1金具23の支持部235は、第3金具26の囲み部263を下方から支持する。
【0052】
第1金具23の第1延出部233は、第2金具24を介してコイルばね25の復元力により後方に押圧される第1光コネクタ21の幅広部211aの後面を受け止める。上述したとおり、第2金具24の基部241の後面が幅広部211aの前面に突き当てられる一方で、支持部244の後方の先端が凹部221hの後端部に突き当てられることに加えて、幅広部211aの後面が第1金具23の第1延出部233に突き当てられることで、第1ハウジング221及び第1金具23に対する第1光コネクタ21の前後位置が維持される。
【0053】
図4C及び
図6に示すとおり、第3金具26は、第1光伝送路40を保持する第1光コネクタ21に対して上方から配置される。このとき、第3金具26の天井部261は、第1光コネクタ21の保持部212を上方から覆う。第3金具26の囲み部263は、その上方から配置されているコイルばね25を下側、及び左右方向の両側から囲む。
図10に示すとおり、第3金具26の囲み部263は、第1金具23の支持部235により下方から支持される。第3金具26の屈曲部262は、第2金具24の連結部242によって下方から支持される。
【0054】
図4B及び
図6に示すとおり、第1ハウジング221は、第1光コネクタ21、第1金具23、第2金具24、及び第3金具26に対して上方から配置される。このとき、第1金具23は、係止部232が第1ハウジング221の係止部221fに係止することで、第1ハウジング221に対して固定されている。より具体的には、係止部232の切欠部232aは、係止部221fにおいて側壁部221a2の外面から突出する部分と係合する。係止部232の第1屈曲部232bは、係止部221fの一部を構成する側壁部221a2の上縁部を押さえる。一方で、
図10に示すとおり、凹部221hが第2金具24の支持部244によって下方から支持されることで、第1金具23及び第2金具24に対する第1ハウジング221の上下位置が維持される。
【0055】
図4B及び
図4Cに示すとおり、第1ハウジング221の側壁部221a2は、左右方向の外側に位置する係止部232及び左右方向の内側に位置する第2延出部234によって左右方向の両側から挟まれるように位置する。第1金具23の第2延出部234及び第3金具26の囲み部263は、第1ハウジング221の側壁部221a2とコイルばね25とを左右方向に隔てる。
【0056】
図8に示すとおり、第1金具23が第1ハウジング221に対して固定されると、第1金具23の第2屈曲部237は、第1光コネクタ21によって保持されている第1光伝送路40の直下に位置する。第1ハウジング221の張出部221iは、第1光コネクタ21によって保持されている第1光伝送路40の直上及び左右方向の外側に位置する。
【0057】
第1ハウジング221が第1金具23に取り付けられると、
図5に示すとおり、第1ハウジング221の突出部221bの後方の先端は、第1光コネクタ21の後方の先端、すなわち貫通孔214から後方に露出するピン215の後方の先端よりも第2光コネクタモジュール3側に位置する。
図10に示すとおり、突出部221bの上下方向の厚さは、突出部222bの上下方向の厚さよりも小さい。突出部221bは、ばね弾性を有し、上下方向に沿って弾性変形する。
【0058】
図4Aに示すとおり、第2ハウジング222は、第1光コネクタ21、第1ハウジング221、第1金具23、第2金具24、コイルばね25、及び第3金具26が互いに取り付けられた状態で、これらを第2ハウジング222の前方から後方に向けて挿入することで、第1ハウジング221に対して取り付けられている。このとき、第1ハウジング221の係止部221fにおいて側壁部221a2の外面から突出する部分が
図9に示す第2ハウジング222の溝部222fに沿って嵌合方向にスライドする。その結果、当該突出する部分が第2ハウジング222の係止部222gを乗り越えて係止部222gと係合する。これにより、
図4Aに示すとおり、第1ハウジング221に対して第2ハウジング222が取り付けられる。第2ハウジング222は、第1ハウジング221に対して相対的に前方に移動可能に取り付けられている。
【0059】
第1ハウジング221に対して第2ハウジング222が取り付けられると、
図5に示すとおり、嵌合方向において、第2ハウジング222の突出部222bの先端は、第1ハウジング221の突出部221bの先端よりも第2光コネクタモジュール3側に位置する。第2ハウジング222の側壁部222a2の前端が第1ハウジング221の第1突壁221gの直上に位置する。第2ハウジング222の突出部222bの後方の先端は、第1光コネクタ21の後方の先端、すなわち貫通孔214から後方に露出するピン215の後方の先端よりも第2光コネクタモジュール3側に位置する。すなわち、嵌合方向において、ハウジング22の先端は、第1光コネクタ21の先端よりも第2光コネクタモジュール3側に位置する。
【0060】
第1ハウジング221に対して第2ハウジング222が取り付けられると、
図10に示すとおり、第2ハウジング222の曲面222dが第1ハウジング221の先端面221eの後方に位置し、上下方向に沿って互いに重なる。第2ハウジング222の突壁222hが第1ハウジング221の第2突壁221jの後方に位置し、上下方向に沿って互いに重なる。
【0061】
以上のように第1光コネクタモジュール2が組み立てられると、
図7及び
図8に示すとおり、第1光コネクタ21は、ハウジング22と接触することなく第1金具23及び第2金具24のみによって支持されている。より具体的には、第1光コネクタ21は、第2金具24の基部241の後面及び第1金具23の第1延出部233によって嵌合方向に挟まれた状態で保持されている。第1光コネクタ21の上面と第1ハウジング221において当該上面と対向する内面とは互いに離間する。第1光コネクタ21の左右方向の両側面と第1ハウジング221において当該両側面と対向する内面とは互いに離間する。第1光コネクタ21の下面と第1金具23の底板部231とは互いに離間する。
【0062】
図11は、第2光伝送路50に取り付けられる
図1の第2光コネクタモジュール3単体を上面視で示した外観斜視図である。
図12は、
図11において筐体32の図示を省略して第2光コネクタ31を上面視で示した外観斜視図である。
図11及び
図12を参照しながら、第2光コネクタモジュール3の構成の一例について主に説明する。
【0063】
第2光コネクタモジュール3は、基体51及び基体51に積層されている第2光導波部52を有する第2光伝送路50に取り付けられ、第1光コネクタ21と嵌合する第2光コネクタ31を有する。第2光コネクタモジュール3は、第2光コネクタ31と離間し、基体51に取り付けられている筐体32を有する。
【0064】
第2光コネクタ31は、例えば透光性の樹脂材料によりL字状に形成されている。第2光コネクタ31は、第2光導波部52のコア521の屈折率に近似する屈折率を有する材料により形成されている。
【0065】
第2光コネクタ31は、前後方向に延在する第1基部311を有する。第2光コネクタ31は、第1基部311から前方に張り出した第2基部312を有する。第2基部312は、第1基部311の前方に突出し、第1基部311と連続するように形成されている。第2基部312は、第1基部311から下方に張り出すように形成されている。第2光伝送路50に第2光コネクタ31が取り付けられると、第2基部312は、第2光伝送路50の基体51と嵌合方向に対向する。
【0066】
第2光コネクタ31は、第2基部312の外面、すなわち前面を第1側面A1まで切り欠いた切欠部313を有する。切欠部313は、凹形状として形成されている。
【0067】
第2光コネクタ31は、切欠部313の一部を構成する第1側面A1に形成されている第2レンズ部314を有する。第2レンズ部314は、左右方向に一列に配列されている複数の第2レンズ314aを有する。複数の第2レンズ314aの左右方向における間隔は、第2光コネクタモジュール3が取り付けられている第2光伝送路50の第2光導波部52のコア521の左右方向における間隔と略一致する。第2レンズ部314は、透光性の樹脂材料により形成されている。
【0068】
第2光コネクタ31は、第2基部312の左右方向の両側に位置し、第2基部312を前後方向に沿って貫通する貫通孔315を有する。一対の貫通孔315は、左右方向に一列に配列されている複数の第2レンズ314aを左右方向の両側から挟むように位置する。貫通孔315は、断面が円となるように円柱状に形成されている。
【0069】
筐体32は、例えば金具として形成されている。筐体32は、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて
図11に示す形状に成形加工したものである。筐体32の加工方法は、抜き加工を行った後に板厚方向に屈曲させる工程を含む。これに限定されず、筐体32の加工方法は、抜き加工に基づく工程のみを含んでもよい。
【0070】
筐体32は、第2光コネクタ31を覆う基部321を有する。基部321は、第2光伝送路50に取り付けられている第2光コネクタ31を上方、及び左右方向の両側から覆う。基部321は、上方から第2光コネクタ31を覆う天井部321aと、当該天井部321aから下方に延出する左右方向の側壁部321bと、を有する。側壁部321bは、左右方向の側面視でL字状に形成されている。側壁部321bは、基体51上で第2光コネクタ31の第1基部311を左右方向の外側から覆う第1側壁部321b1を有する。側壁部321bは、第1側壁部321b1の前方に突出し、第1側壁部321b1と連続するように形成されている第2側壁部321b2を有する。第2側壁部321b2は、第1側壁部321b1から下方に張り出すように形成されている。第2側壁部321b2は、基体51の端面よりも前方で第2光コネクタ31の第2基部312を左右方向の外側から覆う。第2光伝送路50に第2光コネクタ31が取り付けられると、第2側壁部321b2は、第2光伝送路50の基体51と嵌合方向に対向する。
【0071】
天井部321aの嵌合方向の先端は、第2光コネクタ31の嵌合方向の先端よりも第1光コネクタモジュール2側に位置する。同様に、側壁部321bの嵌合方向の先端は、第2光コネクタ31の嵌合方向の先端よりも第1光コネクタモジュール2側に位置する。
【0072】
筐体32は、第2光コネクタ31よりも基体51と反対側に位置する第1支持部322を有する。第1支持部322は、基部321において基体51と反対側で第2光コネクタ31と対向する天井部321aから基体51側に向けて屈曲しながら延出する。第1支持部322は、天井部321aからクランク状に屈曲しながら下方に向けて延出する。第1支持部322は、天井部321aから屈曲しながら下方に延出する第1部分322aと、第1部分322aからさらに屈曲しながら左右方向の内側に延出する第2部分322bと、を有する。第1支持部322は、嵌合方向に沿って互いに離間した状態で複数形成されている。第1支持部322は、嵌合方向と直交する方向に沿って互いに離間した状態で複数形成されている。筐体32は、前後左右方向に互いに離間する4つの第1支持部322を有する。
【0073】
筐体32は、基部321の天井部321aにおいて形成され、嵌合方向に沿って互いに離間する一の第1支持部322と隣接する他の第1支持部322との間に位置する補強部323を有する。補強部323は、天井部321aにおいて左右方向の全体に延在するように形成されている。筐体32は、補強部323から第1光コネクタモジュール2側に向けて突出し、第1光コネクタモジュール2側の先端が基体51と反対側に向けて斜めに延出する誘い込み部324を有する。誘い込み部324の先端は、前方に向けて斜め上方に延出する。
【0074】
筐体32は、天井部321aの中央部において、下方に向けて直線状に延出するロック部325を有する。筐体32は、第2光コネクタ31よりも基体51側に位置し、第1光コネクタモジュール2を基体51と反対側に向けて支持する第2支持部326を有する。第2支持部326は、第2側壁部321b2の下端から前方に突出するように形成されている。第2支持部326は、筐体32において左右方向の全体にわたり延在する。第2支持部326は、左右方向に互いに離間する一の第2側壁部321b2と他の第2側壁部321b2とを連結する。第2支持部326の嵌合方向の先端は、基部321の嵌合方向の先端よりもさらに第1光コネクタモジュール2側に位置する。
【0075】
以上のように、嵌合方向において、筐体32の先端は、第2光コネクタ31の先端よりも第1光コネクタモジュール2側に位置する。
【0076】
筐体32は、第1側壁部321b1の下端から左右方向の外側に延出する実装部327を有する。実装部327は、嵌合方向に沿って互いに離間した状態で複数形成されている。実装部327は、嵌合方向と直交する方向に沿って互いに離間した状態で複数形成されている。筐体32は、前後左右方向に互いに離間する4つの実装部327を有する。
【0077】
以上のような構造の筐体32では、基体51の実装面に形成された回路パターンCに対して、実装部327がはんだ付けされる。以上により、実装部327が基体51に実装されることで、筐体32は、基体51に実装される。基体51の実装面には、例えば、半導体チップ及びヒートシンクなどの第2光コネクタ31及び筐体32とは別の部品が実装される。
【0078】
筐体32は、例えば実装部327の前後幅の半分ほど前方に位置をずらした状態で、回路パターンC上のはんだペーストに載置される。このとき、回路パターンCに対する実装部327の前後方向の位置は、中心から実装部327の前後幅の半分ほど前方にずれる。基体51の前端面に対する第2側壁部321b2の前後方向の位置は、互いに完全に接触する位置から実装部327の前後幅の半分ほど前方にずれる。このような状態でリフローによりはんだを溶融させると、筐体32は、はんだペーストに載置された実装部327が、はんだの表面張力によって力の釣り合う位置へと自然に動かされることで、基体51に対する決められた相対位置に正確に移動する。このとき、実装部327は、回路パターンCの前後方向の中心に移動する。第2側壁部321b2は、基体51の前端面に完全に接触する位置に移動する。
【0079】
以上のように、筐体32は、基体51上の回路パターンCに塗布されるはんだの量及び配置などの条件が同一であれば、基体51上で所望する同一の配置を再現できる。筐体32は、第2側壁部321b2を基体51の前端面に完全に接触させるように高精度に位置決め及び固定可能である。
【0080】
以上のように第2光コネクタモジュール3が組み立てられると、第2光コネクタ31は、筐体32と接触することなく第2光伝送路50上に配置される。より具体的には、第2光コネクタ31の上面と、筐体32の天井部321a、第1支持部322、及びロック部325と、は互いに離間する。第2光コネクタ31の左右方向の両側面と筐体32の側壁部321bとは互いに離間する。
【0081】
図13は、
図1のXIII-XIII矢線に沿う断面図である。
図14は、
図1のXIV-XIV矢線に沿う断面図である。
図15は、
図1のXV-XV矢線に沿う断面図である。
図13乃至
図15を参照しながら、嵌合状態にある光コネクタシステム1の構成及び機能について主に説明する。
【0082】
第2光コネクタモジュール3に対して第1光コネクタモジュール2を嵌合させるとき、
図2に示すとおり、第1光コネクタモジュール2において最も第2光コネクタモジュール3側に位置するハウジング22の突出部222bが筐体32の内部へと最初に挿入される。これにより、第2光コネクタ31に対する第1光コネクタ21の相対位置が大まかに定められる。
【0083】
このとき、筐体32の誘い込み部324は、水平又は斜め上方から挿入される突出部222bを筐体32の内部へと誘い込む。例えば、誘い込み部324において斜め上方に延出する先端が突出部222bの後方の先端に形成されている誘い込み面222cと接触することで突出部222bが筐体32の内部へと誘い込まれる。筐体32の誘い込み部324及び天井部321aは、挿入途中における突出部222bの筐体32からの上方への抜けを抑制する。
【0084】
一方で、筐体32の第1支持部322は、ハウジング22の突出部222bにおける被支持部222eを基体51と反対側に向けて支持する。より具体的には、筐体32の第1支持部322は、水平又は斜め上方から挿入される突出部222bの被支持部222eを第2部分322bで受け止める。第1支持部322は、第1支持部322よりも下方に位置する第2光コネクタ31及び基体51に対する突出部222bの接触を第2部分322bにより抑制する。加えて、第1支持部322は、第1部分322a及び第2部分322bの両方により、突出部222bの後方へのさらなる移動をガイドする。
【0085】
第1光コネクタモジュール2は、誘い込み部324及び天井部321aによって突出部222bの上方への移動が規制され、かつ第1支持部322によって突出部222bの下方への移動が規制されることで、第2光コネクタモジュール3に対して略水平となるように姿勢制御される。第1光コネクタモジュール2は、左右両側に位置する一対の第1支持部322、より具体的には第1部分322aの左右方向の側面によって突出部222bの左右方向の外側への移動が規制されることで、第2光コネクタモジュール3に対する左右方向の角度ずれを抑制しながら姿勢制御される。
【0086】
図15に示すとおり、突出部222bがさらに後方へと移動すると、第1ハウジング221の突出部221bの先端面221eが筐体32のロック部325と接触する。先端面221eがR形状として形成されていることで、突出部221bの後方へのさらなる移動に伴って突出部221bが下方へと弾性変形する。これにより、突出部221bがロック部325を乗り越えて突出部221bに形成されている被ロック部221cがロック部325と係合する。このとき、被ロック部221cの被ロック面221dは、ロック部325の後面と後方から接触する。以上により、第2光コネクタモジュール3に対する第1光コネクタモジュール2の嵌合が完了する。被ロック部221c及びロック部325を含むロック構造は、光コネクタシステム1において基体51と反対側の端部のみに形成されている。
【0087】
第1光コネクタモジュール2と第2光コネクタモジュール3とが互いに嵌合する嵌合状態では、
図14に示すとおり、第1光コネクタ21と第2光コネクタ31とが互いに嵌合する。より具体的には、第1光コネクタ21のピン215が第2光コネクタ31の貫通孔315に挿入される。これにより、第2光コネクタ31に対する第1光コネクタ21の相対位置が高精度に定められる。
図15に示すとおり、第1光コネクタ21の第1レンズ部213が第2光コネクタ31の第2基部312に突き当てられる。これにより、一の第1レンズ213aと一の第2レンズ314aとが嵌合方向に沿って互いに対向する。
【0088】
図10を参照すると、非嵌合状態にある第1光コネクタモジュール2において、第1金具23の第1延出部233と第1光コネクタ21の幅広部211aとは前後方向に沿って互いに接触している。一方で、
図15を参照すると、嵌合状態にある第1光コネクタモジュール2において、第1金具23の第1延出部233と第1光コネクタ21の幅広部211aとは前後方向に沿って互いに離間している。より具体的には、嵌合状態では、第1金具23が第1光コネクタ21に対して相対的に後方に移動し、コイルばね25がさらに縮む。これに伴って生じる強い復元力によって、第1光コネクタ21が第2光コネクタ31に突き当てられ、安定した状態で固定される。加えて、筐体32の第2支持部326は、第1光コネクタ21を下方から支持し、第1光コネクタモジュール2の自重を支える。
【0089】
以上のような嵌合状態において、第1光コネクタモジュール2を第2光コネクタモジュール3から抜去するとき、初めに第1光コネクタモジュール2の第2ハウジング222が前方へと引き抜かれる。第2ハウジング222が前方へと移動すると、突出部222bに形成されている曲面222dと突出部221bの先端面221eとの接触により曲面222dに沿って先端面221eが下方へと移動し、突出部221bが下方へと弾性変形する。したがって、被ロック部221cがロック部325に対して係合しなくなり、第1ハウジング221の前方への移動が許容される。
【0090】
第2ハウジング222が前方へとさらに移動すると、第2ハウジング222の突壁222hが第1ハウジング221の第2突壁221jと接触する。第2ハウジング222は、このような突壁同士の接触によって第1ハウジング221を第2ハウジング222と共に前方に移動させる。これにより、第2光コネクタモジュール3に対する第1光コネクタモジュール2の抜去が完了する。
【0091】
以上のような一実施形態に係る光コネクタシステム1によれば、光伝送路同士の高精度な位置決めを可能としつつ、光コネクタシステム1における嵌合作業性を向上可能である。光コネクタシステム1では、嵌合方向において、ハウジング22の先端は、第1光コネクタ21の先端よりも第2光コネクタモジュール3側に位置する。同様に、筐体32の先端は、第2光コネクタ31の先端よりも第1光コネクタモジュール2側に位置する。これにより、第2光コネクタモジュール3に対して第1光コネクタモジュール2を嵌合させるとき、ハウジング22と筐体32とが最初に接触しやすくなる。
【0092】
したがって、第1レンズ部213及び第2レンズ部314の一方は、他方が形成されている光コネクタモジュールと接触しにくくなる。第1光コネクタ21及び第2光コネクタ31の一方は、他方を有する光コネクタモジュールと接触しにくくなる。結果として、光学部品の破損が抑制され、光コネクタシステム1における光の伝送特性が維持される。光コネクタシステム1では、第1光コネクタモジュール2と第2光コネクタモジュール3との相対位置が嵌合の際に正確に合っていなくても、ハウジング22と筐体32との接触により光学部品を破損させることなく容易に嵌合状態が実現される。以上により、第2光コネクタモジュール3に対する第1光コネクタモジュール2の位置ずれの許容度が上がり、光コネクタシステム1における嵌合作業性が向上する。
【0093】
第1光コネクタモジュール2において、ハウジング22と第1光コネクタ21とは互いに接触しておらず離間する。これにより、第1光コネクタモジュール2において、仮にハウジング22に何らかの外力が作用したとしても、その影響が第1光コネクタ21に伝わりにくくなる。同様に、第2光コネクタモジュール3において、筐体32と第2光コネクタ31とは互いに接触しておらず離間する。これにより、第2光コネクタモジュール3において、仮に筐体32に何らかの外力が作用したとしても、その影響が第2光コネクタ31に伝わりにくくなる。光コネクタシステム1は、第1光コネクタ21及び第2光コネクタ31の両方に対して外力の影響を抑制可能である。したがって、光コネクタシステム1は、これらの光コネクタの破損を抑制して、光の伝送特性を維持可能である。
【0094】
ハウジング22が突出部222bを有し、嵌合方向において、突出部222bの先端が第1光コネクタ21の先端よりも第2光コネクタモジュール3側に位置する。これにより、第2光コネクタモジュール3に対して第1光コネクタモジュール2を嵌合させるとき、ハウジング22の突出部222bと筐体32とが最初に接触しやすくなる。結果として、光学部品の破損が抑制され、光コネクタシステム1における光の伝送特性が維持される。光コネクタシステム1では、第1光コネクタモジュール2と第2光コネクタモジュール3との相対位置が嵌合の際に正確に合っていなくても、ハウジング22の突出部222bと筐体32との接触により光学部品を破損させることなく容易に嵌合状態が実現される。以上により、第2光コネクタモジュール3に対する第1光コネクタモジュール2の位置ずれの許容度が上がり、光コネクタシステム1における嵌合作業性が向上する。
【0095】
筐体32が第1支持部322を有することで、第2光コネクタモジュール3に対して例えば斜め上方から第1光コネクタモジュール2が挿入されるときであっても、ハウジング22の嵌合方向の先端が第1支持部322に接触しやすくなる。近年、光コネクタシステム1が搭載される電子機器は他の部品点数も増えていることからスペースを確保するために光コネクタシステム1の低背化が求められている。
【0096】
例えば、第2光コネクタ31及び第2光コネクタモジュール3全体が低背化され、基体51を基準としたそれぞれの高さが低くなると、嵌合の際に第1光コネクタモジュール2と基体51との間の上下間隔も狭まる。すなわち、基体51の上方で嵌合作業を行うことができるスペースが狭くなる。場合によっては、第2光コネクタモジュール3に対して第1光コネクタモジュール2を水平に維持しながら嵌合させることが困難となる。
【0097】
光コネクタシステム1は、第2光コネクタモジュール3に対して例えば斜め上方から第1光コネクタモジュール2が挿入されるときであっても、第1支持部322よりも下方に位置する第2光コネクタ31及び基体51に対するハウジング22の接触を抑制可能である。これにより、光学部品の破損が抑制され、光コネクタシステム1における光の伝送特性が維持される。加えて、第1支持部322によって、ハウジング22の後方へのさらなる移動が容易となり、第1光コネクタモジュール2を後方へとガイドするときの嵌合作業性が向上する。
【0098】
筐体32が嵌合方向に沿って互いに離間する複数の第1支持部322を有することで、筐体32の前端部のみに第1支持部322が形成されている場合と比較して、ハウジング22の後方への移動がさらに容易となる。したがって、第1光コネクタモジュール2を後方へとガイドするときの嵌合作業性がさらに向上する。
【0099】
第1支持部322が、天井部321aから基体51側に向けて屈曲しながら延出することで、嵌合の際にハウジング22が第1支持部322に接触するときの衝撃を、第1支持部322を介して天井部321aで受け止めることができる。これにより、筐体32に天井部321a側で外力が作用したとしても、その影響が第2光コネクタ31により伝わりにくくなる。光コネクタシステム1は、第2光コネクタ31などの光学部品をより安定して保護することができる。
【0100】
第1支持部322が、天井部321aからクランク状に屈曲しながら下方に向けて延出することで、ハウジング22を後方へとガイドするときに、ハウジング22及び第1光コネクタモジュール2全体を水平に維持することが可能となる。光コネクタシステム1では、第1光コネクタモジュール2に対する嵌合の際の姿勢制御が容易となる。
【0101】
筐体32が補強部323を有することで、筐体32の天井部321aの強度が向上する。したがって、筐体32全体の強度も向上する。これにより、嵌合の際にハウジング22が第1支持部322に接触するときの衝撃を、第1支持部322を介して天井部321aでより安定して受け止めることができる。これにより、筐体32に天井部321a側で外力が作用したとしても、その影響が第2光コネクタ31により伝わりにくくなる。光コネクタシステム1は、第2光コネクタ31などの光学部品をより安定して保護することができる。
【0102】
筐体32が誘い込み部324を有することで、第2光コネクタモジュール3に対して斜め上方から第1光コネクタモジュール2が挿入されるときであっても、筐体32に対してハウジング22が容易に誘い込まれる。したがって、第2光コネクタモジュール3に対して第1光コネクタモジュール2を嵌合させるときの嵌合作業性が向上する。
【0103】
ハウジング22が、段差が形成された状態で被支持部222eを有することで、被支持部222eの基体51側の端面と、突出部222bにおける基体51側の端面との間に第1支持部322が収容可能となる。
図13に示すとおり、第1支持部322の上下方向の板厚が、被支持部222eの基体51側の端面と、突出部222bにおける基体51側の端面との間の間隔内に収まる。したがって、筐体32の板厚分だけ筐体32を低背化可能であり、第2光コネクタモジュール3全体としても低背化可能となる。
【0104】
被ロック部221c及びロック部325を含むロック構造が光コネクタシステム1において基体51と反対側の端部のみに形成されていることで、光コネクタシステム1全体としても低背化可能となる。
【0105】
筐体32が第2支持部326を有することで、第2光コネクタ31に嵌合した第1光コネクタ21を上方に向けて安定して支持することが可能となる。第2支持部326は、例えば、第1光コネクタモジュール2及び第1光伝送路40の自重により第1光コネクタモジュール2が前方に向けて斜め下方に傾斜しないように、第1光コネクタモジュール2を水平に維持可能である。したがって、第1光コネクタモジュール2と第2光コネクタモジュール3との間の嵌合状態が安定して維持される。したがって、光コネクタシステム1の製品としての信頼性が向上する。
【0106】
光コネクタシステム1では、第1光コネクタモジュール2の第2ハウジング222を前方へと引き抜くだけで、第2光コネクタモジュール3に対して第1光コネクタモジュール2を容易に抜去することが可能となる。これにより、嵌合作業性に加えて抜去作業性も向上する。一方で、嵌合状態で第1光伝送路40が前方へと引っ張られても被ロック部221cとロック部325との係合によって、第1光コネクタ21と第2光コネクタ31との間の嵌合状態は維持される。したがって、第1光伝送路40に外力が加わったときの、嵌合状態にある第1光コネクタ21及び第2光コネクタ31への影響が抑制される。
【0107】
筐体32は、はんだペーストに載置された実装部327がはんだの表面張力によって力の釣り合う位置へと自然に動かされることで、基体51に対する決められた相対位置に正確に移動する。第2側壁部321b2が基体51の前端面に完全に接触することで、基体51に対する第2光コネクタ31の位置ずれ及び角度ずれが抑制可能である。
【0108】
第1光コネクタモジュール2が第1光伝送路40に取り付けられると、第1ハウジング221の張出部221iは、第1光コネクタ21によって保持されている第1光伝送路40の直上及び左右方向の外側に位置する。同様に、第1金具23の第2屈曲部237は、第1光コネクタ21によって保持されている第1光伝送路40の直下に位置する。このように、第1光伝送路40は、張出部221i及び第2屈曲部237によって上下左右方向から挟まれる。これにより、第1光伝送路40に外力が加わり光ファイバとしての第1光伝送路40が上下左右方向に波打ったとしてもその衝撃はハウジング22によって受け止められる。したがって、光コネクタシステム1は、光ファイバとしての第1光伝送路40が波打ったときに第1光コネクタ21に負荷がかかることを抑制可能である。
【0109】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0110】
例えば、上述した各構成部の形状、配置、向き、及び個数は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、配置、向き、及び個数は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0111】
上記実施形態では、ハウジング22は、第1ハウジング221及び第2ハウジング222を有すると説明したが、これに限定されない。ハウジング22は、一のハウジングのみによって構成されてもよいし、3つ以上のハウジングによって構成されてもよい。
【0112】
上記実施形態では、嵌合方向において、突出部222bの先端が第1光コネクタ21の先端よりも第2光コネクタモジュール3側に位置すると説明したが、これに限定されない。第1光コネクタ21の先端よりも第2光コネクタモジュール3側に位置するハウジング22の先端は、突出部222bのような突出構造によるものではなく任意の他の構造の一部であってもよい。
【0113】
上記実施形態では、筐体32は、金具として形成されていると説明したが、これに限定されない。筐体32は、金属材料に代えて、任意の樹脂材料により形成されていてもよい。
【0114】
上記実施形態では、筐体32は第1支持部322を有すると説明したが、これに限定されない。筐体32は、第1支持部322のような支持構造を有さなくてもよい。
【0115】
上記実施形態では、筐体32は、嵌合方向に沿って互いに離間する複数の第1支持部322を有すると説明したが、これに限定されない。第1支持部322は、筐体32の前端部のみに形成されていてもよいし、筐体32の前後方向の全体にわたり直線状に連続して延在してもよい。
【0116】
上記実施形態では、第1支持部322は、天井部321aから基体51側に向けて屈曲しながら延出すると説明したが、これに限定されない。第1支持部322は、側壁部321bから延出してもよい。このとき、筐体32は、天井部321aを有さずに、左右方向に離間した一対の側壁部321bにより構成されてもよい。
【0117】
上記実施形態では、筐体32は、嵌合方向に沿って互いに離間する一の第1支持部322と隣接する他の第1支持部322との間に位置する補強部323を有すると説明したが、これに限定されない。筐体32は、補強部323を有さなくてもよい。逆に、筐体32は、天井部321aが1つの連続した平板となるように形成されていてもよい。
【0118】
上記実施形態では、筐体32は、第1光コネクタモジュール2側の先端が基体51と反対側に向けて斜めに延出する誘い込み部324を有すると説明したが、これに限定されない。誘い込み部324の先端は、基体51と反対側に向けて斜めに延出せずに水平に延出してもよい。筐体32は、誘い込み部324をそもそも有さなくてもよい。
【0119】
上記実施形態では、ハウジング22の被支持部222eの基体51側の端面は、突出部222bにおける基体51側の端面よりも基体51と反対側に位置すると説明したが、これに限定されない。突出部222bは、このように下面が段差になるような構造ではなく、下面が面一となるような構造を有してもよい。
【0120】
上記実施形態では、筐体32は、第2光コネクタ31よりも基体51側に位置し、第1光コネクタモジュール2を基体51と反対側に向けて支持する第2支持部326を有すると説明したが、これに限定されない。筐体32は、このような第2支持部326を有さなくてもよい。
【0121】
上記実施形態では、第2支持部326の嵌合方向の先端は、基部321の嵌合方向の先端よりもさらに第1光コネクタモジュール2側に位置すると説明したが、これに限定されない。筐体32の嵌合方向における先端は、第2支持部326ではなく、基体51と反対側の端部に形成されていてもよい。すなわち、筐体32の嵌合方向における先端は、基部321の天井部321aに形成されていてもよい。
【0122】
このとき、第2支持部326は、天井部321aの嵌合方向における先端よりも第2光コネクタモジュール3側で第1光コネクタモジュール2を基体51側から誘い込む。すなわち、第2支持部326は、第2光コネクタモジュール3に対して第1光コネクタモジュール2を嵌合させるときに、天井部321aの前端よりも後側で第1光コネクタモジュール2を下側から筐体32の内部へと誘い込む。
【0123】
図16は、変形例に係る第2光コネクタモジュール3単体を上面視で示した
図11に対応する外観斜視図である。上記実施形態では、
図11に示すとおり、第2支持部326は、筐体32において左右方向の全体にわたり延在すると説明したが、これに限定されない。
図16に示すとおり、第2支持部326は、筐体32の左右方向の両端部のみから、嵌合方向に突出するように形成されていてもよい。
【0124】
上記実施形態では、筐体32は、4つの実装部327を有すると説明したが、これに限定されない。筐体32に形成されている実装部327の数は、4つでなくてもよい。
【0125】
上記実施形態では、被ロック部221c及びロック部325を含むロック構造は、光コネクタシステム1において基体51と反対側の端部のみに形成されていると説明したが、これに限定されない。ハウジング22は、少なくとも1つの被ロック部221cを有してもよい。筐体32は、被ロック部221cが係合する少なくとも1つのロック部325を有してもよい。被ロック部221c及びロック部325を含むロック構造は、光コネクタシステム1において基体51側を除く端部に少なくとも1つ形成されていればよい。
【0126】
例えば、被ロック部221c及びロック部325を含むロック構造は、
図15に示すとおり、光コネクタシステム1において基体51と反対側の端部に1つのみ形成されている構成に限定されない。ロック構造は、光コネクタシステム1において、基体51と反対側の端部に形成されておらず、左右方向の端部にのみ少なくとも1つ形成されていてもよい。
【0127】
例えば、ロック部325は、筐体32の天井部321aに形成されておらず、側壁部321bから左右方向の内側に向けて延出するように少なくとも1つ形成されていてもよい。ロック部325は、天井部321aに形成されておらず、左右方向の両側の側壁部321bのそれぞれに少なくとも1つずつ形成されていてもよい。ロック部325は、天井部321aに形成されておらず、左右方向の両側の側壁部321bのいずれか一方に少なくとも1つ形成されていてもよい。側壁部321bにおけるロック部325の形成位置は、第1側壁部321b1及び第2側壁部321b2の少なくとも一方に含まれてもよい。
【0128】
被ロック部221cは、嵌合状態でロック部325と係合するように、ハウジング22の対応する位置に形成されていてもよい。例えば、被ロック部221cは、第1ハウジング221の突出部221bに1つ形成されていることに代えて、第2ハウジング222の側壁部222a2に少なくとも1つ形成されていてもよい。被ロック部221cは、左右方向の両側の側壁部222a2のそれぞれに少なくとも1つずつ形成されていてもよい。被ロック部221cは、左右方向の両側の側壁部222a2のいずれか一方に少なくとも1つ形成されていてもよい。
【0129】
ロック構造は、光コネクタシステム1において、基体51と反対側の端部に1つ形成され、かつ左右方向の端部に少なくとも1つ形成されていてもよい。
【0130】
例えば、ロック部325は、筐体32の天井部321aに1つ形成されていることに加えて、側壁部321bから左右方向の内側に向けて延出するように少なくとも1つ形成されていてもよい。ロック部325は、天井部321aに加えて、左右方向の両側の側壁部321bのそれぞれに少なくとも1つずつ形成されていてもよい。ロック部325は、天井部321aに加えて、左右方向の両側の側壁部321bのいずれか一方に少なくとも1つ形成されていてもよい。側壁部321bにおけるロック部325の形成位置は、第1側壁部321b1及び第2側壁部321b2の少なくとも一方に含まれてもよい。
【0131】
被ロック部221cは、嵌合状態でロック部325と係合するように、ハウジング22の対応する位置に形成されていてもよい。例えば、被ロック部221cは、第1ハウジング221の突出部221bに1つ形成されていることに加えて、第2ハウジング222の側壁部222a2に少なくとも1つ形成されていてもよい。被ロック部221cは、突出部221bに加えて、左右方向の両側の側壁部222a2のそれぞれに少なくとも1つずつ形成されていてもよい。被ロック部221cは、突出部221bに加えて、左右方向の両側の側壁部222a2のいずれか一方に少なくとも1つ形成されていてもよい。
【0132】
上記実施形態では、1つの筐体32に対して1つの第1光コネクタモジュール2が嵌合すると説明したが、これに限定されない。光コネクタシステム1は、1つの筐体32が複数の第1光コネクタモジュール2と嵌合するように構成されていてもよい。例えば、筐体32は、左右方向に沿って配列されている複数の第1光コネクタモジュール2と嵌合してもよい。
【0133】
上記実施形態では、第2光導波部52は、基体51の上面に形成されていると説明したが、これに限定されない。例えば、第2光導波部52は、基体51の内部に埋め込まれていてもよい。この場合、第2光導波部52の端面は、基体51の端面と一致し、コア521の端面が基体51から露出するように形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0134】
1 光コネクタシステム
2 第1光コネクタモジュール
3 第2光コネクタモジュール
21 第1光コネクタ
211 基部
211a 幅広部
211b 幅狭部
212 保持部
213 第1レンズ部
213a 第1レンズ
214 貫通孔
215 ピン
22 ハウジング
221 第1ハウジング
221a 基部
221a1 天井部
221a2 側壁部
221b 突出部
221c 被ロック部
221d 被ロック面
221e 先端面
221f 係止部
221g 第1突壁
221h 凹部
221i 張出部
221j 第2突壁
222 第2ハウジング
222a 基部(第1基部)
222a1 天井部
222a2 側壁部
222b 突出部
222c 誘い込み面
222d 曲面
222e 被支持部
222f 溝部
222g 係止部
222h 突壁
23 第1金具
231 底板部
232 係止部
232a 切欠部
232b 第1屈曲部
233 第1延出部
234 第2延出部
235 支持部
236 受け部
237 第2屈曲部
24 第2金具
241 基部
242 連結部
243 切欠部
244 支持部
245 受け部
25 コイルばね
26 第3金具
261 天井部
262 屈曲部
263 囲み部
31 第2光コネクタ
311 第1基部
312 第2基部
313 切欠部
314 第2レンズ部
314a 第2レンズ
315 貫通孔
32 筐体
321 基部(第2基部)
321a 天井部
321b 側壁部
321b1 第1側壁部
321b2 第2側壁部
322 第1支持部
322a 第1部分
322b 第2部分
323 補強部
324 誘い込み部
325 ロック部
326 第2支持部
327 実装部
40 第1光伝送路
41 第1光導波部
50 第2光伝送路
51 基体
52 第2光導波部
521 コア
522 クラッド
522a 第1クラッド
522b 第2クラッド
A1 第1側面
C 回路パターン