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特開2023-123539鋳造部品作製のための離隔体及び/又は緩衝体を備えた複数ピース一体型コア-シェル構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123539
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】鋳造部品作製のための離隔体及び/又は緩衝体を備えた複数ピース一体型コア-シェル構造
(51)【国際特許分類】
   B22C 9/02 20060101AFI20230829BHJP
   B22C 9/24 20060101ALI20230829BHJP
   B22C 9/10 20060101ALI20230829BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALN20230829BHJP
【FI】
B22C9/02 103B
B22C9/24
B22C9/10 L
B33Y80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094420
(22)【出願日】2023-06-07
(62)【分割の表示】P 2022076785の分割
【原出願日】2017-11-06
(31)【優先権主張番号】15/377,746
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ダイネス、ジェームズ、ハーバート
(72)【発明者】
【氏名】プルゼスロースキ、ブライアン、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】マッカラン、マイケル、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、シ
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン、ブライアン、パトリック
(57)【要約】      (修正有)
【課題】完全な鋳型に組み立てることが可能な、部分的に一体化されたコア-シェルインベストメント鋳造鋳型を提供する。
【解決手段】部分鋳型の各セクションには、コアの一部分とシェルの一部分の両方が含まれ得る。各セクションは、次に金属部品を鋳造するための鋳型に組み立てることができる。部分一体化されたコア-シェルのインベストメント鋳造鋳型及び完全な鋳型には、タービン又はステータベインの表面の冷却孔パターンに対応するフィラメント構造が設けられてもよい。これが、金属を鋳込んだ後のコア部分に対する浸出通路を提供する。本発明は、例えば鋳型のコア先端部分の浸出通路を補完するために使用可能なコアフィラメントにも関する。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック鋳造部分鋳型であって、
液体セラミックフォトポリマで作られた第1のコア部分と第1のシェル部分と、
を備え、
前記第1のコア部分と前記第1のシェル部分は、液体セラミックフォトポリマで作られた第2のコア部分と第2のシェル部分とに少なくとも接合して、前記第1と第2のコア部分の間と、前記第1と第2のシェル部分との間と、に空洞を備えるセラミック鋳型を形成するように適合され、
前記空洞は、鋳込んで前記セラミック鋳型を取り外すと鋳造部品が画定されるように適合され、
前記第1のコア部分又は前記第1のシェル部分は、前記第1のコア部分と前記第1のシェル部分との間の前記空洞内に突出し、前記第1のコア部分と第1のシェル部分との間に微細間隔を提供するように適合された少なくとも1つの離隔構造を備え、
前記離隔構造は緩衝体又はピンである、セラミック鋳造部分鋳型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、段階的インベストメント鋳造コア-シェル鋳型構成要素及びこれらの構成要素を利用するプロセスに関する。コア-シェル鋳型は、第1のコア部分とシェル部分を含む部分鋳型から組み立てられる、2ピースのコア-シェル鋳型アセンブリであってよい。2ピースのコア-シェル鋳型は、第1のコアとシェル部分を少なくとも第2の部分鋳型の第2のコアとシェル部分に取り付けることにより組み立てられる。少なくとも1つのシェル部分又はコア部分は、コアとシェルの間の所要間隔の提供に役立つ離隔体態様が備えられている。本発明により作製されるコア-シェル鋳型は、これらの2ピース鋳型から作製される鋳造部品内に孔すなわち流出冷却孔を形成するために利用可能な、一体化されたセラミックフィラメントを鋳型のコアとシェルの間に含むことも可能である。蛇行するコアのための浸出通路の配置及び提供を行うために、コアとシェルの間に十分なセラミックフィラメントを使用することで、ろう付けボールの流下樋(chute)をなくすことも可能である。先端プレナムコアとシェルとの間のセラミックフィラメントはまた、浮遊している先端プレナムを支持するために提供され、伝統的な先端ピン及びその後のろう付けによる封止の必要性を排除する。一体化されたコア-シェル鋳型は、航空機ジェットエンジンや発電機タービン部品用のタービンブレード及びステータベインの作製に使用される超合金の鋳造などの鋳造作業において、有益な特性を提供する。
【背景技術】
【0002】
現代の多くのエンジン及び次世代のタービンエンジンは、入り組んだ複雑な幾何学形状を有する構成要素及び部品を必要とし、それには新規な材料及び製造技術が必要とされる。エンジン部品及び構成要素を製造する従来の技術には、インベストメント鋳造又はロストワックス鋳造という労力のかかるプロセスが含まれる。インベストメント鋳造の一例としては、ガスタービンエンジンに使用される典型的なロータブレードがある。タービンブレードは、典型的には中空のエアフォイルを含み、そこには、エンジンの動作中に圧縮された冷却空気を受けるための少なくとも1以上の入口を有する、ブレードの全長にわたって延在する径方向の流路がある。ブレード内の様々な冷却流路として典型的には、エアフォイルの前縁と後縁の間の中間に配置された蛇行形状のチャネルが含まれる。典型的にはエアフォイルは、加圧された冷却空気を受けるための、ブレードを貫通する入口を含み、そこには、エアフォイルの加熱された側壁と、内部の冷却空気との間の熱伝達を向上させるための短いタービュレータリブやピンなど、局所的な構造が含まれる。
【0003】
典型的には高強度の超合金材料から作られるこれらのタービンブレードの製造には、図1に示す多くのステップが含まれる。最初に、精密なセラミックコアが、タービンブレード内部に所望される入り組んだ冷却通路に一致するように製造される。また、エアフォイル、プラットフォーム及び一体型ダブテールを含む、タービンブレードの精密な3D外面を画定する、精密なダイ又は鋳型が生成される。そのような鋳型構造の模式図を図2に示す。間に空間又は空隙を形成する2つのダイ半体の内部に、セラミックコア200が組み立てられる。これが結果としてブレードの金属部分を画定する。組み立てられたダイの中にワックスが注入されて空洞を充填し、その中に封入されたセラミックコアを取り囲む。2つのダイ半体が分離されて、鋳込まれたワックスから外される。鋳込まれたワックスは所望のブレードの精密な構造を有し、セラミック材料で被覆されて周囲を囲むセラミックシェルが形成される。次いで、ワックスが溶融されてシェル202から取り除かれ、セラミックシェル202と、内部セラミックコア200、先端プレナム204の間に対応する空洞又は空間201が残る。次に、溶融超合金金属がシェル内に注入されて、そこの空洞を充填し、再びシェル202内のセラミックコア200及び先端プレナム204を封入する。溶融金属が冷却されて凝固し、次いで外側シェル202と内側コア200、先端プレナム204が適切に取り外されて、内部冷却通路のある、所望の金属タービンブレードが残る。浸出プロセスによりセラミックコア材料を除去する通路を提供するために、ボールシュート203及び先端ピン205が設けられる。これは浸出後にタービンブレード内にボールシュート及び先端孔を形成し、後でろう付けで閉鎖しなければならない。
【0004】
次に、鋳造タービンブレードは、これに限らないが例えば、エアフォイルの側壁を貫通する適切な列のフィルム冷却孔の穿孔などの鋳造後の追加の修正を受けてもよい。これは内部を流れた冷却空気の出口を提供するために所望されるものであり、この冷却空気はその後保護冷却空気フィルム又はブランケットを形成して、ガスタービンエンジンの動作中にエアフォイルの外表面を覆う。タービンブレードがセラミック鋳型から取り外された後、セラミックコア200のボールシュート203が、後でろう付け閉鎖される通路を形成して、鋳造タービンブレードの内部空洞を貫通する空気の所望の通路を提供する。ただし、これらの鋳造後の修正は限定的であり、タービンエンジンの複雑さとタービンブレード内の特定の冷却回路の認識される効率が更に増せば、より複雑で入り組んだ内部幾何形状が必要とされる。インベストメント鋳造はこれらの部品を製造可能ではあるが、これらの従来型の製造プロセスを使用して製造するには、位置精度及び入り組んだ内部幾何形状がより複雑である。したがって、入り組んだ内部空洞を有する三次元部品のための改良された鋳造方法の提供が望まれる。
【0005】
セラミックコア-シェル鋳型を作製するために3-D印刷を使用する方法は、ロールスロイス社(Rolls-Royce Corporation)に譲渡された米国特許第8851151号明細書に記載されている。この鋳型の作製方法には、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)に譲渡された米国特許第5,387,380号明細書に開示されているような粉末床セラミックプロセスや、3Dシステムズ社(3D Systems,Inc.)に譲渡された米国特許第5,256,340号明細書に開示されているような選択的レーザ作動(SLA)が含まれる。’151特許によるセラミックコア-シェル鋳型は、これらのプロセスの印刷解像度の能力により制限される。図3に示すように、一体型コア-シェル鋳型のコア部分301とシェル部分302は、鋳型の底端部に設けられた一連の結合構造303により一体に保持される。’151特許では冷却通路が提案され、直径とほぼ同じ長さの短い円筒で結合された、互い違いになった垂直空洞が含まれる。次に超合金タービンブレードが、’151特許に開示の公知の手法を用いてコア-シェル鋳型内に形成される。これを参照により本明細書に援用する。タービンブレードがこれらのコア-シェル鋳型の1つに鋳込まれた後、鋳型が取り外されて、鋳造超合金タービンブレードが現れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それでも依然として、鋳造プロセスの最終製品に微細な鋳造構造を付与可能な、解像度のより高い方法を用いて、セラミックのコア-シェル鋳型を作製する必要性が残る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のシェル部分と所望により第1のコア部分から構成される第1のセラミック鋳型部分、及び第2のシェル部分と所望により第2のコア部分から構成される第2のセラミック鋳型部分との2ピースコア-シェル鋳型として形成可能な、新規の鋳造鋳型に関する。第1のセラミック鋳型部分は、第2のセラミック鋳型部分と接合して、第1及び/又は第2のコア部分と、第1及び第2のシェル部分との間の空洞を備える2ピースのセラミック鋳型を形成するように適合され、その空洞は、鋳込んでセラミック鋳型を取り外したのちに鋳造部品を画定するように適合されている。第1のコア部分、第1のシェル部分、第2のコア部分、及び第2のシェル部分の内の任意の1つ以上はまた、スペーサとして機能する離隔態様を備えていてもよい。離隔態様は、非限定的な例として、シェル部分及び/又はコア部分に設けられた緩衝体又はピンであってもよい。
【0008】
一実施形態において、本発明は、コアとシェル、並びに固定機構を有する第1の部分セラミック鋳型の作製方法に関する。この方法には、(a)ワークピースの硬化部分に液体セラミックフォトポリマを接触させ、(b)硬化部分に隣接する液体セラミックフォトポリマの一部を液体セラミックフォトポリマに接する窓を通して照射し、(c)ワークピースを未硬化の液体セラミックフォトポリマから取り外し、(d)第1の部分セラミック鋳型が形成されるまで、ステップ(a)~ステップ(c)を繰り返す、ステップが含まれる。第1の部分セラミック鋳型は、コア部分と、コア部分とシェル部分の間に少なくとも1つの空洞を有するシェル部分と、から成り、空洞は、鋳込んでから、第1の部分セラミック鋳型と少なくとも1つの離隔態様と、少なくとも1つの固定機構を取り外すと、鋳造部品の片側の形状を画定するように適合されている。ステップ(d)の後に、プロセスはさらに、鋳造部品を作製するためのステップを含んでもよく、例えば、(e)ステップ(a)から(d)までを反復して、シェルと、所望により離隔態様と少なくとも1つの固定機構とを有する第2の部分セラミック鋳型を作製し、(f)第1の部分セラミック鋳型をロック機構を介して第2の部分セラミック鋳型に接合することにより、コアとシェルを有する2ピースのセラミック鋳型を形成し、(g)2ピースセラミック鋳造鋳型に液体金属を注入して液体金属を凝固させ、鋳造部品を形成する。ステップ(g)の後、プロセスには、鋳造部品から鋳型を取り外すステップ(h)が更に含まれる。このステップは好ましくは第1のセラミック鋳型部分を第2のセラミック鋳型部分から機械的又は物理的に、かつ所望によってはアルカリ浴内で化学的に浸出することによって、切り離すことが含まれる。鋳型を鋳造部品から取り外すこのステップは、フィラメントによって提供された鋳造部品内の孔を介する、セラミックコアの少なくとも一部の浸出を含むことができる。
【0009】
別の実施形態では、本発明はコアとシェルを有する2ピースのセラミック鋳型を作製する方法に関する。2ピースのセラミック鋳型は、第1のセラミック鋳型部分と第2のセラミック鋳型部分とから形成される。この方法は、次のステップを有する。(a)第1のワークピースの硬化部分を液体セラミックフォトポリマに接触させる。(b)液体セラミックフォトポリマに接している窓を通して硬化部分に隣接する液体セラミックフォトポリマの一部を照射する。(c)ワークピースを未硬化の液体セラミックフォトポリマから取り外し、(d)第1のセラミック鋳型部分が形成されるまで、ステップ(a)~ステップ(c)を繰り返す。ここで、第1のセラミック鋳型は、第1のシェル部分、所望によっては第1のコア部分、及び所望により離隔態様を含む。(e)第2のワークピースで第2のセラミック鋳型部分が形成されるまで、ステップ(a)~ステップ(d)を繰り返す。ここで第2のセラミック鋳型部分は第2のシェル部分、所望によっては第2のコア部分と、所望により離隔態様とを含み、第2のセラミック鋳型部分が第2のコア部分で形成されている場合には、第2のシェル部分はコア部分とシェル部分の間に少なくとも1つの空洞を有し、空洞は、鋳込んで2ピースセラミック鋳型を取り外すと、鋳造部品の第2の側の形状を画定するように適合されている。(f)固定機構を介して第1のセラミック鋳型部分を第2のセラミック鋳型部分に取り付け、コアとシェルを有する2ピースのセラミック鋳型を形成する。ステップ(f)の後に、液体金属を2ピース鋳造鋳型内に注入して液体金属を凝固させ、鋳造部品を形成するステップ(g)を更に含んでもよい。ステップ(g)の後に、プロセスには鋳造部品から2ピース鋳型を取り外すステップ(h)が更に含まれる。このステップは好ましくは第1のセラミック鋳型部分を第2のセラミック鋳型部分から機械的又は物理的に、かつ所望によってはアルカリ浴内で化学的浸出によって、切り離すことが含まれる。鋳型を鋳造部品から取り外すこのステップは、フィラメントによって提供された鋳造部品内の孔を介する、セラミックコアの少なくとも一部の浸出を含むことができる。
【0010】
別の態様では、本発明は鋳造部品を作製する方法に関する。この方法は、液体金属を2ピースセラミック鋳造鋳型内に注入して液体金属を凝固させ、鋳造部品を形成するステップを含み、2ピースセラミック鋳造鋳型は、第1のセラミック鋳型部分、第2のセラミック鋳型部分、コア部分、及びコア部分とシェル部分の間に少なくとも1つの空洞を有する少なくとも1つのシェル部分とを含み、空洞は、鋳込んで2ピースセラミック鋳型を取り外すと鋳造部品の形状を画定するように適合され、1又は両方のセラミック鋳造鋳型部分はさらに、コア部分とシェル部分を結合する複数のフィラメントを含み、各フィラメントはコアとシェルの間にまたがり、フィラメントは2ピース鋳型を取り外すと鋳造部品内に複数の孔を画定するように適合され、各セラミック鋳型部分はさらに、少なくとも1つの接続点を備える。また、この方法は、第1のセラミック鋳型部分を第2のセラミック鋳型部分からそれらの接続点を介して取り外すことにより、鋳造部品から2ピースのセラミック鋳造鋳型を取り外すステップも含む。
【0011】
一態様において、鋳造部品はタービンブレード又はステータベーンである。好ましくは、タービンブレード又はステータベーンは、例えば航空機エンジン又は発電機のガスタービンエンジンに使用される。タービンブレード又はステータベーンは好ましくは、上記のセラミックフィラメントによって画定される冷却孔パターンを有する、単結晶タービンブレード又はステータベーンである。好ましくは、フィラメントがコア部分とシェル部分とを結合し、各フィラメントはコアとシェルの間にまたがる。フィラメントは0.01から2mmまでの範囲の断面積を有している。
【0012】
冷却孔パターンの形成に使用される多数のフィラメントは、先端コアを支えるのに十分な強度を提供し得る。先端フィラメントが先端プレナムコアを支持するように作られている場合、より大きく、すなわち2mm超の断面積であり、かつフィラメント数ははるかに小さいか、又は1本のフィラメントが使用されることもあり得る。ただし、これらのより大きなフィラメントは2~4個が望ましい数である。鋳造後、フィラメントの結果として先端プレナムの側壁に残るすべての孔又はノッチは、ろう付けで閉鎖されるか、タービンブレード又はステータベーンの設計に組み込まれる。あるいは、フィラメントが部品の機械仕上げ形状の外側に配置されてそのような必要をなくす。
【0013】
別の態様では、本発明は、第1のセラミック鋳造鋳型部分と第2のセラミック鋳造鋳型部分から成る2ピースのセラミック鋳造鋳型に関する。各セラミック鋳造鋳型部分にはコア部分とシェル部分があって、コア部分とシェル部分の間には少なくとも1つの空洞がある。この空洞は、鋳造して2ピースのセラミック鋳型を取り外すと、鋳造部品の片側を画定するようになっている。複数のフィラメントがコアとシェルの間にまたがってコア部分とシェル部分を結合させる。フィラメントは、2ピース鋳型を取り外すと、コア部分で画定される鋳造部品内の空洞と鋳造部品の外表面との間を流体連通する、複数の孔を画定するようになっている。好ましくは、鋳造部品はタービンブレード又はステータベーンであり、コア部分とシェル部分を結合する複数のフィラメントが、2ピース鋳型を取り外すと、タービンブレード又はステータベーン内の複数の冷却孔を画定する。好ましくは、コア部分とシェル部分を結合する複数のフィラメントは、0.01~2mmの範囲の断面積を有する。セラミックは、光重合セラミック又は硬化光重合セラミックである。
【0014】
一態様において、少なくとも1つの離隔態様は緩衝体である。好ましくは、緩衝体は凸面を有する。別の態様において、少なくとも離隔態様はピンである。好ましくは、緩衝体又はピンは付加製造される。好ましくは、緩衝体又はピンは、第1のコア部分、第1のシェル部分、第2のコア部分、及び/又は第2のシェル部分と一体的にかつ当接して形成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来のインベストメント鋳造のフロー図である。
図2】従来プロセスで作製されたボールシュートを有するコア-シェル鋳型の従来方式の例を示す概略図である。
図3】コア部分とシェル部分を接続する接続材を有する、従来式の一体型コア-シェル鋳型の斜視図である。
図4】直接光処理(DLP)の方法シーケンスを連続した段階で実行するための装置の概略側断面図である。
図5】直接光処理(DLP)の方法シーケンスを連続した段階で実行するための装置の概略側断面図である。
図6】直接光処理(DLP)の方法シーケンスを連続した段階で実行するための装置の概略側断面図である。
図7】直接光処理(DLP)の方法シーケンスを連続した段階で実行するための装置の概略側断面図である。
図8図7の線A-Aに沿う概略断面図である。
図9】本発明の実施形態による、2つのコア-シェルサブアセンブリと取り付け方向の平面図である。
図10図9に示す2つのコア-シェルサブアセンブリの組立後の平面図である。
図11】機械的に相互固定される接続点を有する2部品一体型のコア-シェル鋳型の側面図である。
図12】本発明の実施形態による、2つのコア-シェルサブアセンブリの接続に使用可能な、相互固定用の舌部と溝の図である。
図13】本発明の実施形態による、2つのコア-シェルサブアセンブリの接続に使用可能な、相互固定用のダブテールの図である。
図14】本発明の実施形態による、2つのコア-シェルサブアセンブリの接続に使用可能な、一体相互固定ペグを有する実矧ぎ接合の図である。
図15】本発明の実施形態による、タービンブレードの表面に冷却孔を設ける目的でコアからシェルへ延在するフィラメントを含んだ、2部品一体型のコア-シェル鋳型の図である。
図16】本発明の実施形態による、タービンブレードの表面に冷却孔を設ける目的でコアからシェルへ延在するフィラメントを含んだ、2部品一体型のコア-シェル鋳型の図である。
図17】本発明の実施形態による、ブレード先端の横から外に出るコア印刷フィラメントを有する一体型コア-シェル鋳型の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図面に関連して以下で述べる詳細な説明は、様々な構成の説明を意図するものであり、本明細書に記載の概念が実行され得る唯一の構成を表すことを意図するものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供する目的ための特定の詳細が含まれる。ただし、これらの概念はこれらの特定の詳細なしで実行可能であることが当業者には理解されるであろう。例えば、本発明は鋳造金属部品を製造するための好適な方法を提供し、かつ好ましくはこれらの鋳造金属部品はジェット航空機エンジンの製造に使用される。具体的には、タービンブレード、ベーン及びシュラウド部品などの、単結晶のニッケル基超合金鋳造部品の製造が、本発明によって有利に製造可能である。ただし、他の鋳造金属部品も本発明の技術及び一体型セラミック鋳型を用いて作製され得る。
【0017】
本発明者らは、一体型コア-シェル鋳型を作製するための公知の従来のプロセスでは、鋳型のコア部分とシェル部分の間に延在して、完成したタービンブレードにおいて流出冷却孔となる、十分に小さい寸法と量のフィラメントを印刷するのに必要な、微細な解像能力が欠けていることを認識した。マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)に譲渡された、米国特許第5,387,380号などの初期の粉末床プロセスの場合には、鋳造部品に流出冷却孔パターンを与える、コアとシェルの間に延在する十分に微細なフィラメントの形成は、粉末床再塗布アームの動作には含まれない。3Dシステムズ(3D Systems,Inc.)に譲渡された、米国特許第5,256,340号に開示されているような、トップダウン方式の照射技術を使用する、選択的レーザ作動(SLA)などの他の公知の技術が、本発明による一体型のコア-シェル鋳型の製造に使用され得る。ただし、これらのシステムで使用可能な印刷解像度では、鋳造最終製品における効果的な冷却孔として役立つだけの十分に小さい寸法のフィラメント作製能力が大幅に制限される。
【0018】
本発明者らは、本発明の一体型コア-シェル鋳型は、直接光処理(DLP)を用いて製造可能であることを見出した。DLPは、ポリマの光硬化が樹脂タンクの底部にある窓を通して行われ、プロセスの遂行に伴って持ち上げられる造形プラットフォーム上に光が投射される点において、上記で議論した粉末床やSLAプロセスとは異なる。DLPでは、硬化ポリマの全層が同時に製造され、レーザを用いてパターンを走査することが省略される。さらに、下にある窓と造形中の物体の最終硬化層との間で重合が生じる。下にある窓は、材料の薄いフィラメントが別の支持構造を必要とせずに製造可能となる支持を提供する。言い換えれば、造形物体の2つの部分を橋渡しする材料の薄いフィラメントを作製することは、困難なことであり、従来技術では一般的に回避された。例えば、本出願の発明の背景で議論した’151特許では、直径と同じ程度の長さの短い円筒を接続した垂直プレート構造を使用した。’151特許で開示された粉末床及びSLA技術では、垂直に支持されたセラミック構造を必要とし、かつこれらの技術ではフィラメントを信頼性良く製造することができないという事実から、互い違いの垂直空洞が必要とされる。さらに、粉末床内で得られる解像度は、1/8”程度であり、これは伝統的な冷却孔の製造を非現実的とする。例えば、丸い冷却孔は通常2mm未満の直径を有し、これは3.2mm未満の冷却孔面積に対応する。そのような寸法の孔を製造することは、数ボクセル(voxel)から孔を製造する必要があることから、実際の孔の寸法よりもはるかに小さい解像度を必要とする。この解像度は単純に粉末床プロセスでは手に入らない。同様に、ステレオリソグラフィは、支持体がなく、かつレーザの散乱に関連する分解能の問題のために、そのようなフィラメントを製造する能力には限界がある。ただし、DLPはフィラメントの全長を露光し、かつ窓と造形プレートの間でフィラメントを支持するという事実から、コアとシェルの間の全長にまたがる、十分に薄いフィラメントを製造して、所望の冷却孔パターンを有するセラミック物体を形成することが可能である。粉末床とSLAはフィラメント製造に使用可能ではあるが、上で議論したように、十分に微細なフィラメントを製造する能力には限界がある。
【0019】
好適なDLPプロセスの1つが、イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト(Ivoclar Vivadent AG)とテクニッシュ ユニベルシュタット ウィーン(Technische Universitat Wien)に譲渡された米国特許第9,079,357号明細書、並びに国際特許出願第2010/045950(A1)号パンフレットと米国特許出願第2011310370号明細書に開示されている。これらのそれぞれは参照により本明細書に援用し、図4図8を参照して以下で議論する。装置には、露光ユニット410の少なくとも一部を覆う、少なくとも1つの半透明の底部406を有するタンク404が含まれる。露光ユニット410は光源と変調器を備え、その時形成されようとしている層に所望の形状の露光フィールドをタンク底部に生成するために、変調器が制御ユニットの制御のもとに強度を位置選択的に調節することが可能である。代替として、露光ユニットにレーザを使用して、その光ビームを制御ユニットで制御された可動ミラーによって、所望の強度パターンで露光フィールドに連続的に走査してもよい。
【0020】
露光ユニット410に対向して、製造プラットフォーム412がタンク404の上方に設けられる。これはリフト機構(図示せず)に支持されてタンク底部406の、露光ユニット410の上方領域に、高さを調節可能な方法で保持される。製造プラットフォーム412は同様に透明又は半透明であって、製造プラットフォームの上方にある、更なる露光ユニットによって照射されて、製造プラットフォーム412の下側に第1層を形成するときに上方からも露光されて製造プラットフォーム上で最初に硬化される層がそこにさらに確実に接着できるようになっていてもよい。
【0021】
タンク404は、高粘性の光重合可能材料420の充填物を含む。充填物の材料の高さは、位置選択露光のために画定が意図される層の厚さよりもはるかに高い。光重合可能材料の層を画定するために、次の手順が採用される。製造プラットフォーム412が、制御された方法でリフト機構により下げられて、(最初の露光ステップの前に)その下側が光重合可能材料420の充填物内に浸漬される。そして製造プラットフォーム412の下側とタンク底部406の間に所望の層厚さΔ(図5参照)が正確に残るようにしてタンク底部406に近づく。この浸漬プロセスの間に、光重合可能材料は製造プラットフォーム412の下側とタンク底部406の間の隙間から追い出される。層厚さΔが設定された後に、この層を所望形状に硬化させるために、所望の位置選択性の層露光が遂行される。特に第1層を形成するときには、透明又は半透明の製造プラットフォーム412を通して上方からの露光も行われ、特に製造プラットフォーム412の下側と光重合可能材料の間の接触領域で信頼性のある完全な硬化が起きるようにされる。そうして、製造プラットフォーム412への第1層の良好な接着が確保される。この層が形成された後、製造プラットフォームはリフト機構によって再び上昇させられる。
【0022】
これらのステップが引き続いて数回にわたり繰り返されて、最後に形成された層422の下側からタンク底部406までの距離がそれぞれ所望の層厚さΔに設定され、その上に次の層が所望の方法で位置選択されて硬化される。
【0023】
露光ステップに続いて製造プラットフォーム412が引き上げられると、図6に示すように露光領域に材料の欠乏が生じる。これは厚さΔに設定された層が硬化された後、この層の材料は硬化されて製造プラットフォーム及び既にそこに形成されている成形体と共に引き上げられるからである。従って既に形成された成形体部分の下側とタンク底部406の間の失われた光重合可能材料が、露光領域の周りの領域の光重合可能材料420の充填物から充填されなければならない。しかし材料の高粘性のために、形成体部分の下側とタンク底部の間の露光領域にそれ自体では流動しないので、材料の窪み又は「穴」がそこに残り得る。
【0024】
露光領域に光重合可能材料を補充するために、細長い混合要素432がタンク内の光重合可能材料420の充填物中で動かされる。図4図8に示す例示的実施形態では、混合要素432は、タンク404の側壁に移動可能に取り付けられた2つの支持アーム430の間に張られた細長いワイヤを含む。支持アーム430はタンク404の側壁のガイドスロット434に移動可能に取り付けられて、支持アーム430をガイドスロット434内で移動させることにより、支持アーム430の間に張られたワイヤ432が、タンク404に対してタンク底部406に平行に移動できるようになっていてもよい。細長い混合要素432は、細長い混合要素432の上端がタンクの露光領域外の光重合可能材料420の充填物の材料高さより下にとどまるような寸法であり、かつタンク底部に対してそのように動くように案内される。図8の断面図で分かるように、混合要素432はワイヤの全長にわたってタンク内の材料高さより下にあり、支持アーム430のみがタンク内の材料高さの上に突出する。細長い混合要素をタンク404内の材料高さより下に配置することの効果は、細長い混合要素432が露光領域を通ってタンクに対して移動するときその前方に材料を実質的に移動させるのではなく、むしろ混合要素を軽く上方へ動かすときにこの材料が混合要素432を超えて流動することである。混合要素432の、図6に示す位置から、例えば矢印Aで示す方向の新しい位置への移動が、図7に示されている。タンク内の光重合可能材料へのこの種の動作によって、材料は、効果的に刺激されて、製造プラットフォーム412と露光ユニット410との間の、材料が欠乏した露光領域へ流動して戻る。
【0025】
タンクに対する細長い混合要素432の移動は、タンク404が静止した状態で、製造プラットフォーム412と露光ユニット410との間の露光領域を貫通する細長い混合要素432の所望の移動を達成するために、ガイドスロット434に沿って支持アーム430を移動させる、直線駆動によってまず遂行されてもよい。図8に示すように、タンク底部406は両側に凹部406’を有する。支持アーム430は、その下端がこれらの凹部406’の中にある状態で突き出ている。これにより、細長い混合要素432が、タンク底部406を通る支持アーム430の下端の動きに干渉されることなく、タンク底部406の高さに保持可能となる。
【0026】
DLPの他の代替方法が、本発明の一体化した2ピースコア-シェル鋳型の作製に使用されてもよい。例えば、タンクが回転プラットフォーム上に配置されてもよい。連続する造形ステップの間でワークピースが粘性プラットフォームから引き抜かれると、タンクがプラットフォームと光源に対して回転して粘性ポリマの新鮮な層が提供され、そこに次の層の造形のために造形プラットフォームが浸漬されてもよい。
【0027】
図9は、本発明の一態様による、2ピースの一体型コア-シェル鋳型900の概略側面図である。第1のピースが部分コア901と部分シェル902を含み、第2のピースが部分コア903と部分シェル904を含む。部分コア901と部分シェル902は、1つの一体ピースであってもよいし、別々のアセンブリであってもよい。部分コア-シェル構造には、図10に示すような完全なコア-シェル鋳型への組み立てを容易にする、接続点905、906、907、908が設けられる。本発明の2ピース鋳型は、組み立てて鋳造する前に検査が可能であるという利点を有する。過去の一体型ワンピース鋳型は、鋳型の3D印刷の本質により、鋳造前の鋳型の検査が困難であるという欠点があった。
【0028】
図10に示すように、コア-シェル鋳型1000には、コア部分1001又はシェル1002部分に一体形成された構造が含まれてもよい。例えば、コア緩衝体1003が設けられ、あるいはシェル緩衝体1004が設けられてもよい。2部品鋳型を組み立てると、緩衝体1003/1004がコア1001とシェル1002の間の必要な間隔を提供する役目をする。ピン支持体1005がシェルと一体に設けられて、2部品のコア-シェルの組み立て時に、コア部分に当接してもよい。図示はしていないが、ピン構造がコアと一体に設けられてもよい。
【0029】
図11は、第1のコア/シェル部分1101/1102と第2のコア/シェル部分1103/1104を有する2部品コアシェル鋳型1100を示す。この実施形態では、第1の接続点1105はコアアセンブリの先端部分内に設けられ、第2の接続点1106はコアの先端領域から遠位のシェル領域の部分に設けられる。図12図14は、セラミックコア/シェルアセンブリに設けられた接続機構の、いくつかの非限定的な実施例を示す。図12は、第1の外側部分1201、第1の内側部分1202、第2の外側部分1203、第2の内側部分1204を有する、舌と溝型の相互固定接続機構を示す。図13は、第1の外側部分1301、第1の内側部分1302、第2の外側部分1303、第2の内側部分1304を有する、ダブテール型の相互固定接続機構を示す。図14は、第1の外側部分1401、第1の内側部分1402、第2の外側部分1403、第2の内側部分1404を有する、相互固定ペグを持つ実矧ぎ接合を示す。
【0030】
図15は、接続機構1507,1508を有する第1のコア部分1501、接続機構1511を有する第1のシェル部分1502、接続機構1509,1510を有する第2のコア部分1503、及び接続機構1512を有する第2のシェル部分1504を備える、2部品コア-シェルアセンブリ1500の例を示す。第1のコア部分1501と第1のシェル部分1502はフィラメント1505でつながっている。第2のコア部分1503と第2のシェル部分1504はフィラメント1506でつながっている。コア-シェル鋳型内に金属を鋳込んで、フィラメントを浸出すれば、フィラメントが鋳造タービンブレード内に冷却孔パターンを画定する。同時継続中の出願、GE Docket #285020に記載されているように、これらの構造は好ましくは、上記の図4図11に関連して説明したDLPプロセスを用いて形成される。上記のDLP印刷プロセスを用いてセラミック鋳型を印刷することで、コアとシェルの間の接続部がフィラメント1505及び/又は1506により提供できるようにして作製可能である。コア-シェル鋳型が印刷されると、後熱処理ステップで印刷されたポリマ材料が硬化させられてもよい。硬化されたセラミック鋳型は、次いで、超合金タービンブレードとステータベーンの製造に使用される伝統的な鋳造プロセスと同様に使用されてもよい。特に、タービンブレード又はステータベーンの表面には、フィラメント1505及び1506が流出冷却孔のパターン形成と一致して大量に提供されるために、図2に示すようなボールシュート構造の必要性は排除され得る。
【0031】
フィラメント1505及び1506は好ましくは、円筒形又は楕円形である。ただし湾曲しても非線形であってもよい。その正確な寸法は、特定の鋳造金属部品に対する所望のフィルム冷却方式によって変化し得る。例えば、冷却孔は0.01~2mmの範囲の断面積を有してもよい。タービンブレードでは断面積は、0.01~0.15mmの範囲、より好ましくは0.05~0.1mmの範囲、そして最も好ましくは約0.07mmであってよい。ベーンの場合には、冷却孔が0.05~0.2mmの範囲、より好ましくは0.1~0.18mmの範囲、そして最も好ましくは約0.16mmの断面積を有してもよい。冷却孔の間隔は典型的には冷却孔の直径の倍数であって、冷却孔の直径の2倍~10倍の範囲、最も好ましくは冷却孔の直径の4倍~7倍である。
【0032】
フィラメント1505及び/又は1506の長さは、鋳造部品の厚さ、例えばタービンブレード又はステータベーンの壁厚、及び鋳造部品の表面に対して冷却孔が配置される角度により規定される。典型的な長さは、0.5~5mmの範囲、より好ましくは0.7~1mmの範囲、そして最も好ましくは、約0.9mmである。冷却孔が配置される角度は、表面に対して約5~35°であり、より好ましくは10~20°であり、最も好ましくは約12°である。本発明による鋳造方法は、従来の機械加工手法を使って現行で得られるものよりも、鋳造部品の表面に対してより小さい角度を有する冷却孔の形成が可能であることに留意されたい。
【0033】
図16は、本発明の一実施形態による、一体型コア-シェル鋳型1600の側面図である。図15に示す概略図のように、第1のコア部分1601はいくつかのフィラメント1605を介して第1のシェル部分1602に接続されている。同様に、第2のコア部分1603はいくつかのフィラメント1606を介して第2のシェル部分1604に接続されている。第1のコア部分1601と第1のシェル部分1602は、第2のコア部分1603と第2のシェル部分1604に、接続機構1608、1609、1610、1611を介して接続されて、完全なコア-シェル鋳型アセンブリ1600を形成する。組み立てられたコア-シェル鋳型1600は、タービンブレードをインベストメント鋳造するための空洞1607を画定する。図17は、ニッケル基合金、すなわちインコネルなどの金属1700で充填された空洞1607を示す。セラミックコア-シェルを浸出すると、得られる鋳造物体は、タービンブレード又はステータベーンであって、ブレード又はベーンの表面に冷却孔パターンを有している。図16図17では、タービンブレードの前縁端と後縁端に冷却孔を示す断面図が与えられているが、タービンブレードの側面又は他の任意の所望位置を含む、所望の位置に追加の冷却孔が設けられてもよいことに留意されたい。特に、本発明は、任意の特定の設計で、鋳造プロセス内に冷却孔を形成するために使用され得る。つまり、以前は冷却孔形成に穿孔が使用されていたあらゆるパターンにおいて、従来型の冷却孔を製造することが可能となる。ただし、鋳造部品内に冷却孔を生成するための従来技術、すなわち穿孔での限界のために、従来達成不能であった冷却孔パターンも、本発明では可能となる。
【0034】
浸出後に、コア印刷フィラメントから得られるタービンブレード又はステータベーンの孔は、必要があればろう付け閉鎖してもよい。そうでなければ、コア印刷フィラメントによってもたらされた孔は、内部冷却通路の設計に組み込まれてもよい。あるいはまた、冷却孔フィラメントを先端プレナムコアをシェルに接続するために十分な量で提供して、金属鋳造ステップ時に先端プレナムコアを一定位置に保持してもよい。
【0035】
本発明に従ってコア-シェル鋳型構造を印刷したのち、セラミック光重合材料の要件に応じて、コア-シェル鋳型は硬化、及び/又は焼成されてもよい。溶融金属が鋳型に注入されて、一体型コア-シェル鋳型により与えられる形状及び造作を有する鋳造物体が形成され得る。タービンブレード又はステータベーンの場合には、溶融金属は好ましくは超合金金属であって、それが従来のインベストメント鋳造鋳型と共に使用される公知の技術を使用して、単結晶の超合金タービンブレード又はステータベーンに形成される。
【0036】
一態様において、本発明は類似の方法で製造される他のコア-シェル鋳型の特徴を組み込んだ又はそれと組み合わせた、本発明のコア-シェル鋳型構造に関する。以下の特許出願は、これらの様々な態様及びその使用法の開示を含む。
【0037】
米国特許出願第[ ]号、名称“INTEGRATED CASTING CORE-SHELL STRUCTURE”、代理人整理番号037216.00036/284976、出願日2016年12月13日。
【0038】
米国特許出願第[ ]号、名称“INTEGRATED CASTING CORE-SHELL STRUCTURE WITH FLOATING TIP PLENUM”、代理人整理番号037216.00037/284997、出願日2016年12月13日。
【0039】
米国特許出願第[ ]号、名称“MULTI-PIECE INTEGRATED CORE-SHELL STRUCTURE FOR MAKING CAST COMPONENT”、代理人整理番号037216.00033/284909、出願日2016年12月13日。
【0040】
米国特許出願第[ ]号、名称“INTEGRATED CASTING CORE SHELL STRUCTURE WITH PRINTED TUBES FOR MAKING CAST COMPONENT”、代理人整理番号037216.00032/284917、出願日2016年12月13日。
【0041】
米国特許出願第[ ]号、名称“INTEGRATED CASTING CORE-SHELL STRUCTURE AND FILTER FOR MAKING CAST COMPONENT”、代理人整理番号037216.00039/285021、出願日2016年12月13日。
【0042】
米国特許出願第[ ]号、名称“INTEGRATED CASTING CORE SHELL STRUCTURE FOR MAKING CAST COMPONENT WITH NON-LINEAR HOLES”、代理人整理番号037216.00041/285064、出願日2016年12月13日。
【0043】
米国特許出願第[ ]号、名称“INTEGRATED CASTING CORE SHELL STRUCTURE FOR MAKING CAST COMPONENT WITH COOLING HOLES IN INACCESSIBLE LOCATIONS”、代理人整理番号037216.00055/285064A、出願日2016年12月13日。
【0044】
米国特許出願第[ ]号、名称“INTEGRATED CASTING CORE SHELL STRUCTURE FOR MAKING CAST COMPONENT HAVING THIN ROOT COMPONENTS”、代理人整理番号037216.00053/285064B、出願日2016年12月13日。
【0045】
これらの各出願の開示は、本明細書に開示のコア-シェル鋳型と共に使用可能な、コア-シェル鋳型及びその作製方法の更なる態様を開示する限りにおいて、その全体が本明細書に援用される。
【0046】
ここに記載の説明は、好適な形態を含む本発明を開示するための、また当業者に、任意のデバイスまたはシステムの作製と使用、および組み込まれた任意の方法の遂行を含む、本発明の実行を可能とさせるための、実施例を使用する。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思いつく他の実施例も含むことができる。そのような他の実施例は、もしそれらが特許請求の範囲の文言と違わない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言とは実質的な差異のない、均等な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあることを意図するものである。記載された様々な実施形態からの態様、並びにそのような各態様に対する他の公知の均等物は、当業者によって融合、整合されて、本出願の原理に従う更なる実施形態及び技術を構築することが可能である。
図1
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