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特開2023-123548低OD酸性度および大きいドメインサイズを有するゼオライトベータを含む中間留分水素化分解触媒
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  • 特開-低OD酸性度および大きいドメインサイズを有するゼオライトベータを含む中間留分水素化分解触媒 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123548
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】低OD酸性度および大きいドメインサイズを有するゼオライトベータを含む中間留分水素化分解触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/80 20060101AFI20230829BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20230829BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20230829BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20230829BHJP
   C10G 47/16 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B01J29/80 M
B01J37/00 D
B01J37/08
B01J37/02 101Z
C10G47/16
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023094616
(22)【出願日】2023-06-08
(62)【分割の表示】P 2021114218の分割
【原出願日】2016-08-09
(31)【優先権主張番号】14/823,791
(32)【優先日】2015-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イーファ
(72)【発明者】
【氏名】メーセン、テオドラス ルドヴィカス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハオ、ヤーリン
(72)【発明者】
【氏名】ブッシェ、ドン ラモン
(72)【発明者】
【氏名】リア、トーマス マイケル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水素化分解において、中間留分の製造の最適化に必要な活性及び選択性を備えた触媒を提供する。
【解決手段】a.36~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有する0.5~10重量%のゼオライトベータと、b.0.05~0.12の間のASDIを有する0~5重量%のゼオライトUSYであって、ゼオライトベータの重量%が、ゼオライトUSYの重量%よりも高い、ゼオライトUSYと、c.触媒担体と、d.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属とを含む、水素化分解触媒が提供される。水素化分解触媒を使用して中間留分を生成する水素化分解のためのプロセスが提供される。水素化分解触媒を製造するための方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.20~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有する0.5~10重量%のゼオライトベータと、
b.0.05~0.12の間のASDIを有する0~5重量%のゼオライトUSYであって、前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの重量%よりも高い、ゼオライトUSYと、
c.触媒担体と、
d.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属と
を含む、水素化分解触媒。
【請求項2】
前記ゼオライトベータが、50~200のSiO/Alモル比(SAR)を有する、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項3】
前記OD酸性度が30~100μmol/gである、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項4】
前記平均ドメインサイズが900~1250nmである、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項5】
200~600nmのドメインサイズを有する小さいドメインよりも多くの、1200~2000nmのドメインサイズを有する大きいドメインを、前記ゼオライトベータが有する、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項6】
前記ゼオライトベータが、700nmよりも大きいドメインサイズの標準偏差を有する、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項7】
前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの重量%よりも1~5重量%高い、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項8】
前記ゼオライトベータに対する前記ゼオライトUSYの重量比が0~0.48である、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項9】
前記ゼオライトUSYが、H/D交換後にFTIRによって求められる0.080~0.200mmol/gの全ブレンステッド酸点を有する、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項10】
少なくとも1つの第6族金属と、周期表の第8族から第10族から選択される少なくとも1つの金属とを含む、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項11】
炭化水素系供給原料を水素化分解するためのプロセスであって、水素化分解条件下、前記炭化水素系供給原料を水素化分解触媒と接触させて、中間留分を含む水素化分解排出物を生成するステップを含み、前記水素化分解触媒が、
a.20~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有する0.5~10重量%のゼオライトベータと、
b.0.05~0.12の間のASDIを有する0~5重量%のゼオライトUSYであって、前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの重量%よりも高い、ゼオライトUSYと、
c.触媒担体と、
d.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属と
を含む、上記プロセス。
【請求項12】
前記炭化水素系供給原料が、700~1200°F(371~649℃)内のTBP範囲を有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ゼオライトベータが、50~200のSiO/Alモル比(SAR)を有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記OD酸性度が30~100μmol/gである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
前記平均ドメインサイズが900~1250nmである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項16】
200~600nmのドメインサイズを有する小さいドメインよりも多くの、1200~2000nmのドメインサイズを有する大きいドメインを、前記ゼオライトベータが有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ゼオライトベータが、700nmよりも大きいドメインサイズの標準偏差を有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項18】
前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの重量%よりも1~5重量%高い、請求項11に記載のプロセス。
【請求項19】
前記ゼオライトベータに対する前記ゼオライトUSYの重量比が0~0.48である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ゼオライトUSYが、H/D交換後にFTIRによって求められる0.080~0.200mmol/gの全ブレンステッドサイトを有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項21】
少なくとも1つの第6族金属と、周期表の第8族から第10族から選択される少なくとも1つの金属とを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項22】
前記水素化分解排出物が、380~700°F(193~371℃)のTBPを有する、30体積%よりも高く、50体積%までの重質な中間留分を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項23】
水素化分解触媒を製造するための方法であって、
a.20~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有するゼオライトベータと、0.05~0.12の間のASDIを有する任意選択のゼオライトUSYと、触媒担体と、十分な液体とを混ぜ合わせて、押出可能なペーストを生成するステップであって、前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの第2の重量%よりも高い、上記ステップと、
b.前記押出可能なペーストを押し出して、押出ベースを生成するステップと、
c.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む金属含浸溶液を前記押出ベースに含浸させて、金属担持押出物を調製するステップと、
d.前記金属担持押出物を乾燥および焼成させることによって前記金属担持押出物を後処理するステップと、を含み、前記水素化分解触媒が、380~700°F(193~371℃)のTBPを有する水素化分解排出物を生成するための改善された選択性を有する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が本明細書に組み込まれる「ゼオライトUSY、ならびに低酸性度および大きいドメインサイズを有するゼオライトベータを含む中間留分水素化分解触媒」および「中間留分を製造する第二段階水素化分解のための改善された貴金属ゼオライト触媒」と題する2つの同時に提出した出願に関連する。
【0002】
本出願は、水素化分解触媒、炭化水素系供給原料を水素化分解するためのプロセス、および水素化分解触媒を製造するための方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
改善された水素化分解触媒、ならびにそれらを使用するためのプロセスおよびそれらを製造するためのプロセスが必要である。以前の水素化分解触媒は、中間留分の製造の最適化に必要な所望のレベルの活性および選択性を備えていなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願は、
a.20~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有する0.5~10重量%のゼオライトベータと、
b.0.05~0.12の間のASDIを有する0~5重量%のゼオライトUSYであって、ゼオライトベータの重量%が、ゼオライトUSYの重量%よりも高い、ゼオライトUSYと、
c.触媒担体と、
d.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属と
を含む、水素化分解触媒を提供する。
【0005】
本出願はまた、炭化水素系供給原料を水素化分解するためのプロセスであって、水素化分解条件下、炭化水素系供給原料を水素化分解触媒と接触させて、中間留分を含む水素化分解排出物を生成するステップを含み、水素化分解触媒は、
a.20~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有する0.5~10重量%のゼオライトベータと、
b.0.05~0.12の間のASDIを有する0~5重量%のゼオライトUSYであって、ゼオライトベータの重量%は、ゼオライトUSYの重量%よりも高い、ゼオライトUSYと、
c.触媒担体と、
d.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属と
を含む、プロセスも提供する。
【0006】
本出願はまた、水素化分解触媒を製造するための方法であって、
a.20~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有するゼオライトベータと、0.05~0.12の間のASDIを有する任意選択のゼオライトUSYと、触媒担体と、十分な液体とを混ぜ合わせて、押出可能なペーストを生成するステップであって、ゼオライトベータの重量%が、ゼオライトUSYの第2の重量%よりも高い、ステップと、
b.押出可能なペーストを押し出して、押出ベースを生成するステップと、
c.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む金属含浸溶液を押出ベースに含浸させて、金属担持(loaded)押出物を調製するステップと、
d.金属担持押出物を乾燥および焼成させることによって金属担持押出物を後処理するステップと、を含み、水素化分解触媒が、380~700°F(193~371℃)のTBPを有する水素化分解排出物を生成するための改善された選択性を有する、方法も提供する。
【0007】
本明細書に記載の通り、本発明は適切に、特許請求の範囲の要素を含んでも、それらからなっても、または実質的にそれらからなってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例において水素化分解触媒の調製に使用されるH-BEA-150ゼオライトベータの凝集結晶を示す透過型電子顕微鏡法(TEM)の画像である。
図2】ゼオライトベータの2つのサンプルに対して行ったドメイン測定のグラフである。
図3】ゼオライトベータの2つのサンプルの平均ドメインサイズのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
用語集
「水素化分解」は、水素化および脱水素化が、例えば、より重質な炭化水素をより軽質な炭化水素に変換する、あるいは芳香族化合物および/またはシクロパラフィン(ナフテン)を非環状の分岐パラフィンに変換する炭化水素の分解/切断を伴うプロセスを指す。
【0010】
「カットポイント」は、所定の分離度に達する真沸点(“TBP)曲線上の温度を指す。
【0011】
「TBP」は、ASTM D2887-13によって求められる炭化水素系フィード(供給原料)または生成物の沸点を指す。
【0012】
「炭化水素系」は、水素原子および炭素原子を含み、酸素、硫黄または窒素などのヘテロ原子を含むことができる化合物または物質を意味する。
【0013】
「留分」は、以下の生成物を含む:
【表1】
【0014】
「中間留分」は、上述のそれらの典型的なカットポイントにより定義されているように、ジェット燃料、ケロシンおよびディーゼル油生成物を含む。
【0015】
「重質な中間留分」は、380~700°F(193~371℃)のTBPを有する生成物を指す。
【0016】
「完成触媒」は、その成分をすべて含み、かつそれを製造するために用いられるすべての処理ステップおよび任意の後処理ステップの後の水素化分解触媒組成物を指す。
【0017】
「LHSV」は、時間あたりの液空間速度を意味する。
【0018】
「SCF/B」は、炭化水素系フィード1バレルあたりのガス(例えば、窒素、水素、空気など)の標準立方フィートの単位を指す。
【0019】
「ゼオライトベータ」は、真っ直ぐな12員環チャンネルと、交差した12員環チャンネルとを持つ三次元結晶構造を有し、約15.3T/1000Åの骨格密度を有するゼオライトを指す。ゼオライトベータは、Ch.BaerlocherおよびL.B.McCusker著、Database of Zeolite Structures:http://www.iza-structure.org/databases/に記載のBEA骨格を有する。
【0020】
「SiO/Alモル比(SAR)は、ICP元素分析によって決定される。無限大のSARは、ゼオライト中にアルミニウムが存在しないこと、すなわち、アルミナに対するシリカのモル比が無限大であることを意味する。その場合には、ゼオライトは、実質的にすべてシリカからなる。
【0021】
「ゼオライトUSY」は、超安定化Yゼオライトを指す。Yゼオライトは、3以上のSARを有する合成フォージャサイト(FAU)ゼオライトである。Yゼオライトは、水熱安定化、脱アルミニウムおよび同形置換のうちの1つまたは複数によって超安定化することができる。ゼオライトUSYは、出発(合成されたままの)Na-Yゼオライト前駆体よりも骨格ケイ素含有量が高い任意のFAU型ゼオライトにすることができる。
【0022】
「触媒担体」は、触媒が固定される材料、通常は高表面積を持つ固体を指す。
【0023】
「周期表」は、2007年6月22日付けのIUPAC元素周期表の版を指し、周期表の族の番号付け体系は、Chemical And Engineering News、63(5)、27(1985)に記載の通りである。
【0024】
「OD酸性度」は、フーリエ変換赤外分光(FTIR)による、重水素化ベンゼンで80℃で交換される架橋ヒドロキシル基の量を指す。OD酸性度は、触媒におけるブレンステッド酸点密度の尺度である。Hマジック角回転核磁気共鳴(MAS NMR)分光法により校正した標準的なゼオライトベータサンプルに基づいて分析することによって、ODシグナルの吸光係数を求めた。ODおよびOHの吸光係数の相関関係が次の通り得られた:
ε(-OD)=0.62*ε(-OH)
【0025】
「ドメインサイズ」は、ゼオライトベータ触媒において観察および測定される構造単位の計算した面積(nm)である。ドメインは、2004年12月22日にウェブ上で公開されたPaul A.Wrightら著、“Direct Observation of Growth Defects in Zeolite Beta”、JACS Communicationsによって記述されている。ゼオライトベータのドメインサイズを測定するために用いられる方法は、本明細書にさらに記述される。
【0026】
「酸点分布指数(ASDI)」は、ゼオライトの超高活性サイト濃度の指標である。いくつかの実施形態において、ASDIが小さいほど、より重質な中間留分生成物の生成に対して、より高い選択性をゼオライトが有する可能性が高くなる。
【0027】
「非晶質アルミン酸シリカ(ASA)」は、核磁気共鳴画像法によって示される四面体配位中に存在するアルミナをいくらか有する合成材料を指す。ASAは、触媒または触媒担体として用いることができる。非晶質シリカアルミナは、ブレンステッド酸(またはプロトン性)点と呼ばれるサイトを、イオン性水素原子と共に含み、ルイス酸(非プロトン性)、電子受容サイトおよびこれらの様々なタイプの酸性点は、例えば、ピリジンの結合の仕方によって区別することができる。
【0028】
「擬ベーマイトアルミナは、化学組成AlO(OH)を持つアルミニウム化合物を指す。擬ベーマイトアルミナは、ベーマイトよりも水分が高い微結晶ベーマイトからなる。
【0029】
「API比重」は、ASTM D4052-11によって求められる、水に対する石油供給原料または生成物の比重を指す。
【0030】
「多環指数(PCI)」は、いくつかの芳香環を有する化合物の含有量の尺度を指す。PCIは、水素化処理のための供給原料の評価において有用である。PCIは紫外分光法を用いて測定され、次の通り計算される:
PCI={[吸光度@385nm-(0.378×吸光度@435nm)]/115×c}×1000(式中、cは、溶媒中のサンプルの元の濃度(g/cm)である)。
【0031】
理論によって制限されることなく、任意選択で定義された酸点分布指数(ASDI)を持つゼオライトUSYと組み合わせ、指定の割合で組み合わせた、ゼオライトベータと、定義されたOD酸性度および定義された平均ドメインサイズとの独特の組み合わせは、はるかに改善された水素化分解性能を有する水素化分解触媒をもたらすと考えられる。水素化分解触媒におけるこれら2つのゼオライトの独特の組み合わせは、380~700°F(193~371℃)のTBPを有する水素化分解排出物を生成するための改善された選択性を与える。水素化分解触媒はまた、本明細書に開示されているゼオライトの独特の組み合わせを持たない他の水素化分解触媒と比べて、60%の変換(conversion)で1~20°Fなど、改善された活性ももたらすことができる。
【0032】
水素化分解触媒組成物-ゼオライトベータ:
ゼオライトベータは、20~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有する。1つの実施形態では、OD酸性度は30~100μmol/gである。
【0033】
1つの実施形態では、ゼオライトベータは、有機テンプレートを使用して合成的に製造される。3つの異なるゼオライトベータの例を表1に示す。
【0034】
表1
【表2】
【0035】
酸性ヒドロキシル基をH/D交換して、FTIR分光法により全OD酸性度を求めた。全OD酸性度を求める方法は、Emiel J.M.Hensenらによる刊行物、J.Phys.Chem.、C2010、114、8363-8374に記載の方法から適応させた。FTIR測定の前に、サンプルを1×10-5Torr未満の真空下、400~450℃で1時間加熱した。次いで、サンプルにCを投入し、80℃で平衡させた。Cの投入前後に、OHおよびOD伸縮領域のスペクトルを収集した。
【0036】
以下の通り透過型電子(TEM)とデジタル画像解析を組み合わせることにより、平均ドメインサイズを測定した:
【0037】
I.ゼオライトベータサンプル調製:
少量のゼオライトベータをエポキシに包埋し、ミクロトームで切片にしてゼオライトベータサンプルを調製した。適した手順の説明は、多くの標準的な顕微鏡の教科書に記載されている。
【0038】
ステップ1.ゼオライトベータ粉末の代表的なごく一部をエポキシに包埋した。エポキシを硬化させた。
【0039】
ステップ2.ゼオライトベータ粉末の代表的な部分を含むエポキシをミクロトームで80~90nm厚に切り出した。顕微鏡の供給業者から入手できる400メッシュの3mm銅網上にミクロトーム切片を集めた。
【0040】
ステップ3.導電性カーボンの十分な層をミクロトーム切片上に真空蒸着させて、TEMにおいて電子ビーム下でゼオライトベータサンプルが帯電しないようにした。
【0041】
II.TEM画像化:
ステップ1.上述の調製したゼオライトベータサンプルを低倍率、例えば、250,000~1,000,000倍で調査して、ゼオライトベータのチャンネルが見える結晶を選定した。
【0042】
ステップ2.選択したゼオライトベータの結晶を、それらの晶帯軸上に対して傾け、シェルツァーの焦点外れ近くに焦点を合わせて2,000,000倍以上で画像を記録した。
【0043】
III.平均ドメインサイズ(nm)を求めるための画像解析:
ステップ1.市販の画像解析ソフトウェアパッケージを用いて、先述の記録したTEMデジタル画像を解析した。
【0044】
ステップ2.個々のドメインを切り離して、ドメインサイズをnmの単位で測定した。投影が明らかにチャンネルビューの下でないドメインは測定値に含めなかった。
【0045】
ステップ3.統計的に適切な数のドメインを測定した。生データをコンピュータのスプレッドシートプログラムに保存した。
【0046】
ステップ4.記述統計量および度数を求めた-算術平均(dav)、すなわち平均ドメインサイズ、および標準偏差(s)を次式を用いて計算した:
平均ドメインサイズ、dav=(an)/(an
標準偏差、s=(a(d-dav/(an))1/2
【0047】
1つの実施形態では、平均ドメインサイズは、1000~1150nmなど、900~1250nmである。
【0048】
水素化分解触媒組成物-ゼオライトUSY:
水素化分解触媒組成物中に含まれるとき、ゼオライトUSYは、0.05~0.12の間の酸点分布指数(ASDI)を有する。1つの実施形態では、ゼオライトUSYは、重質な中間留分の製造に有利なASDIを有する。
【0049】
ASDIは、先述の通り、酸性ヒドロキシル基をH/D交換して、FTIR分光法により求められる。第1の高振動数OD(HF)として2676cm-1の、第2の高振動数OD(HF’)として2653cm-1の、第1の低振動数OD(LF)として2632cm-1および2620cm-1の、第2の低振動数OD(LF’)として2600cm-1のピークの積分面積を用いてブレンステッド酸点密度を求めた。酸点分布指数ファクターを次式により求めた:ASDI=(HF’+LF’)/(HF+LF)(これは、ゼオライトサンプル中の超高活性酸点含有量を反映する)。1つの実施形態では、ゼオライトUSYは、H/D交換後にFTIRによって求められる0.080~0.200mmol/gの全ブレンステッド酸点を有する。
【0050】
1つの実施形態では、ゼオライトベータの重量%は、水素化分解触媒中のゼオライトUSYの重量%よりも高い。例えば、ゼオライトベータの重量%は、ゼオライトUSYの重量%よりも0.45~9.95重量%高くすることができる。1つの実施形態では、ゼオライトベータの重量%は、ゼオライトUSYの重量%よりも1~5重量%高い。1つの実施形態では、水素化分解触媒は、0.01~0.80または0.02~0.48など、0.90未満である、ゼオライトベータに対するゼオライトUSYの重量比を有する。
【0051】
水素化分解触媒組成物-触媒担体:
水素化分解触媒は触媒担体を含む。触媒担体は不活性であってもよく、または、水素化分解触媒によって実施される触媒反応に関与してもよい。典型的な触媒担体には、様々な種類の炭素、アルミナおよびシリカが含まれる。1つの実施形態では、触媒担体は非晶質アルミン酸シリカを含む。1つの実施形態では、触媒担体は、非晶質アルミン酸シリカおよび第2の担体材料を含む。
【0052】
1つの実施形態では、非晶質アルミン酸シリカ(ASA)は、高純度アルミナよりも高い熱安定性を有する。適した非晶質アルミン酸シリカの例は、以下で説明するSIRAL(登録商標)ASAである:
【0053】
表2
【表3】

*550℃で3時間活性化した後。
【0054】
SIRAL(登録商標)は、SASOLの登録商標である。
【0055】
使用されるとき、第2の担体材料の例には、珪藻土、アルミナ、シリカおよびシリカアルミナを含むことができる。第2の担体材料の他の例には、アルミナ-ボリア、シリカアルミナ-マグネシア、シリカアルミナ-チタニア、およびゼオライトと他の複合酸化物をそれに加えて得られる材料が含まれる。1つの実施形態では、第2の担体材料は多孔質であり、天然粘土または合成酸化物を含む。第2の担体材料は、水素化分解触媒が使用される反応条件で十分な機械的強度および化学的安定性を備えるよう選択することができる。
【0056】
1つの実施形態では、第2の担体材料は擬ベーマイトアルミナを含む。擬ベーマイトアルミナの例は、CATAPAL(登録商標)高純度アルミナである。CATAPAL(登録商標)は、SASOLの登録商標である。CATAPAL高純度アルミナの典型的な特性を以下にまとめる:
【0057】
表3
【表4】

*表面積および細孔容積は、550℃で3時間活性化した後に測定した。
【0058】
水素化分解触媒組成物-金属:
水素化分解触媒は、周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む。1つの実施形態では、水素化分解触媒は、少なくとも1つの第6族金属と、周期表の第8族から第10族から選択される少なくとも1つの金属とを含む。1つの実施形態では、各金属は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)およびこれらの混合物からなる群から選択される。金属の例示的な混合物には、Ni/Mo/W、Ni/Mo、Ni/W、Co/Mo、Co/W、Co/W/Mo、Ni/Co/W/MoおよびPt/Pdが含まれる。別の実施形態では、水素化分解触媒は、少なくとも1つの第6族金属と、周期表の第8族から第10族から選択される少なくとも1つの金属とを含む。例示的な金属の組み合わせには、Ni/Mo/W、Ni/Mo、Ni/W、Co/Mo、Co/W、Co/W/MoおよびNi/Co/W/Moが含まれる。
【0059】
1つの実施形態では、少なくとも1つの金属は金属酸化物である。1つの実施形態では、水素化分解触媒中の金属酸化物の総量は、完成した水素化分解触媒のバルク乾燥重量に基づいて、0.1重量%~90重量%である。1つの実施形態では、水素化分解触媒は、完成した水素化分解触媒のバルク乾燥重量に基づいて、2重量%~10重量%の酸化ニッケルおよび8重量%~40重量%の酸化タングステンを含む。
【0060】
1つの実施形態では、完成した水素化分解触媒は、以下の組成を有することになる:
20~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有する0.5~10重量%のゼオライトベータ、0.05~0.12の間のASDIを有する0~5重量%のゼオライトUSY(ゼオライトベータの重量%は、ゼオライトUSYの重量%よりも高い。)、3~6重量%の酸化ニッケル、ならびに15~35重量%の酸化タングステン。さらに、1つの実施形態では、完成した水素化分解触媒は、有機酸/Niモル比が0~2である量の有機酸を含むことができる。
【0061】
水素化分解触媒は、リン(P)、ホウ素(B)、フッ素(F)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)およびこれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の促進剤をさらに含んでもよい。水素化分解触媒中の促進剤の量は、完成した水素化分解触媒のバルク乾燥重量に基づいて、0重量%~10重量%にすることができる。1つの実施形態では、水素化分解触媒中の促進剤の量は、完成した水素化分解触媒のバルク乾燥重量に基づいて、0.1重量%~5重量%である。
【0062】
1つの実施形態では、水素化分解触媒は、1.0~5.0mmなど、10mm以下の押出ペレット直径を有する押出ペレット(押出物)の形態である。1つの実施形態では、押出ペレットは、10~1の直径に対する長さの比を有する。水素化分解触媒に使用される他のタイプおよびサイズのペレットの例は、直径1~10mmの球、4~1の直径に対する長さの比を持つ直径1~10mmの円柱、1~10mmの非対称形(四葉を含む。)、および最大直径10mmの中空円柱または環である。
【0063】
水素化分解触媒の調製
水素化分解触媒は、a)ゼオライトベータと、ゼオライトUSY(使用されるとき。)と、触媒担体と、十分な液体とを混合して、押出ベースを生成する押出可能なペーストを生成するステップと、b)少なくとも1つの金属を含む金属含浸溶液を押出ベースに含浸させて、金属担持押出物を調製するステップと、c)金属担持押出物を乾燥および焼成させることによって金属担持押出物を後処理するステップとによって調製することができる。
【0064】
1つの実施形態では、水素化分解触媒を製造するための方法は、
a.20~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有するゼオライトベータと、0.05~0.12の間のASDIを有するゼオライトUSYと、触媒担体と、十分な液体とを混ぜ合わせて、押出可能なペーストを生成するステップであって、ゼオライトベータの重量%が、ゼオライトYの第2の重量%よりも高い、ステップと、
b.押出可能なペーストを押し出して、押出ベースを生成するステップと、
c.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む金属含浸溶液を押出ベースに含浸させて、金属担持押出物を調製するステップと、
d.金属担持押出物を乾燥および焼成させることによって金属担持押出物を後処理するステップと、を含み、水素化分解触媒が、380~700°F(193~371℃)のTBPを有する水素化分解排出物を生成するための改善された選択性を有する。
【0065】
ステップa)において使用される液体は、水または穏やかな酸にすることができる。1つの実施形態では、ステップa)において使用される液体は、0.5~5重量%HNOの希薄なHNO酸水溶液である。
【0066】
含浸前に、押出ベースを、90℃(194°F)~150℃(302°F)の間の温度で30分間~3時間乾燥することができる。次いで、乾燥した押出ベースを、350℃(662°F)~700℃(1292°F)の間の1つまたは複数の温度で焼成することができる。
【0067】
1つの実施形態では、金属含浸溶液は、金属前駆体を溶媒に溶解させることによって調製される。適した溶媒には、水、C-Cアルコール、エーテルおよびアミンが含まれる。1つの実施形態では、溶媒は脱イオン水である。含浸溶液の濃度は、触媒担体の細孔容積および選択された金属添加量によって決めることができる。1つの実施形態では、押出ベースは、含浸溶液に0.1~10時間さらされる。水素化分解触媒が2つ以上の金属を含む場合、これらの金属は、順次または同時に含浸させることができる。
【0068】
1つの実施形態では、金属のうちの少なくとも1つの含浸は、以下の構造(1)から(4)によって表される化合物(これらの縮合形を含む。)からなる群から選択することができる改質剤の存在下で実現される:
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

(式中、
(1)R1、R2およびR3は、水素、ヒドロキシル、メチル、アミン、ならびに直鎖または分岐鎖の、置換または非置換のC1-C3アルキル基、C1-C3アルケニル基、C1-C3ヒドロキシアルキル基、C1-C3アルコキシアルキル基、C1-C3アミノアルキル基、C1-C3オキソアルキル基、C1-C3カルボキシアルキル基、C1-C3アミノカルボキシアルキル基およびC1-C3ヒドロキシカルボキシアルキル基からなる群から無関係に選択され、
(2)R4からR10は、水素、ヒドロキシル、ならびに直鎖または分岐鎖の、置換または非置換のC2-C3カルボキシアルキル基からなる群から無関係に選択され、
(3)R11は、直鎖または分岐鎖の、飽和および不飽和の、置換または非置換のC1-C3アルキル基、C1-C3ヒドロキシアルキル基ならびにC1-C3オキソアルキル基からなる群から選択される。)
【0069】
この実施形態において有用な改質剤の代表例には、2,3-ジヒドロキシコハク酸、エタン二酸、2-ヒドロキシ酢酸、2-ヒドロキシプロパン酸、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、メトキシ酢酸、cis-1,2-エチレンジカルボン酸、hydroethane-1,2-dicarboxyic acid、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2,3-トリオール、プロパン二酸およびα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)が含まれる。
【0070】
代替の実施形態では、金属のうちの少なくとも1つの付着は、N,N’-ビス(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミン、2-アミノ-3-(1H-インドール-3-イル)プロパン酸、ベンズアルデヒド、[[(カルボキシメチル)イミノ]ビス(エチレンニトリロ)]四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン、2-ヒドロキシ安息香酸、チオシアネート、チオサルフェート、チオ尿素、ピリジンおよびキノリンからなる群から選択される改質剤の存在下で実現される。
【0071】
使用されるとき、改質剤は金属凝集を妨げることができて、それによって、触媒の活性および選択性を高める。
【0072】
本明細書に記載の各実施形態について、予備焼成した水素化分解触媒中の改質剤の量は、水素化分解触媒のバルク乾燥重量に基づいて、0重量%~18重量%にすることができる。
【0073】
1つの実施形態では、金属含浸溶液は、解膠剤をさらに含むことができる。解膠剤の例は、ピルビン酸、レブリン酸、酢酸、2-ケトグルコン酸、ケトグルコン酸、チオグリコール酸、4-アセチル酪酸、1,3-アセトンジカルボン酸、3-オキソプロパン酸、4-オキソブタン酸、2,3-ジホルミルコハク酸、クエン酸、5-オキソペンタン酸、4-オキソペンタン酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、enantic acid、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、安息香酸、サリチル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、phtalic acid、isophtalic acid、乳酸、グリオキシル酸エチル、グリコール酸、グルコース、グリシン、オキサミン酸、グリオキシル酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸、N-メチルアミノ二酢酸、イミノ二酢酸、ジグリコール酸、リンゴ酸、グルコン酸、アセチルアセトン、酒石酸、アコニット酸、スベリン酸、トリカルバリル酸、マロン酸、コハク酸およびグリコール酸などの有機酸である。
【0074】
1つの実施形態では、38℃(100°F)~149℃(300°F)の範囲内の1つまたは複数の温度で金属担持押出物を0.1~10時間乾燥させる。乾燥した金属担持押出物は、316℃(600°F)~649℃(1200°F)の1つまたは複数の温度で、過剰の乾燥空気をパージしながら0.1~10時間、さらに焼成することができる。
【0075】
水素化分解の概要
水素化分解触媒は、多種多様な炭化水素系供給原料から380~700°F(193~371℃)のTBPを有する水素化分解排出物を生成するための改善された選択性を有する。炭化水素系供給原料の例には、従来の一段階または二段階水素化分解プロセスを用いる、380~700°F(193~371℃)のTBPを有する水素化分解排出物の生成には通常は役に立たないであろう不利な供給原料と見なされ得るものが含まれる。使用することができる適した炭化水素系供給原料は、ビスブロークン軽油、重質コーカー軽油、水素化分解残渣もしくは脱硫残渣由来の軽油、他の熱分解油、脱アスファルト油、フィッシャー-トロプシュ由来の供給原料、FCCユニットからのサイクル油、石炭由来の重質留分、石炭ガス化副生タール、頁岩由来の重質油、パルプもしくは製紙工場または廃バイオマス熱分解ユニットからのものなどの有機廃油を含むことができる。
【0076】
表4に、使用することができる炭化水素系供給原料の典型的な物理特性をいくつか挙げた。
【0077】
表4
【表5】
【0078】
表5に、用いることができる典型的な水素化分解プロセス条件をいくつか挙げた。
【0079】
表5
【表6】
【0080】
供給原料、目標生成物の候補および利用可能な水素の量に応じて、本明細書に記載の触媒は、単独で、または他の従来の水素化分解触媒と組み合わせて使用することができる。
【0081】
1つの実施形態では、炭化水素系供給原料を水素化分解するためのプロセスは、一段階または二段階水素化処理構成のいずれかにおいて、水素化分解条件下、炭化水素系供給原料を水素化分解触媒と接触させて、中間留分を含む水素化分解排出物を生成するステップを含む。1つの実施形態では、触媒は、再循環あり、または再循環なし(単流)の一段階水素化分解ユニット内の1つまたは複数の固定床内に配置される。任意選択で、一段階水素化分解ユニットは、並行して運転される複数の一段階ユニットを使用してもよい。
【0082】
1つの実施形態では、触媒は、中間段階分離ありとなし、再循環あり、または再循環なしの二段階水素化分解ユニット内の1つもしくは複数の床またはユニット内に配置される。二段階水素化分解ユニットは、完全な変換構成を用いて運転することができる(水素化処理および水素化分解のすべてが、再循環を経て水素化分解ループ内で実現されることを意味する)。この実施形態では、第二段階水素化分解ステップの前、あるいは蒸留残油を再循環して第一および/または第二段階に戻す前に生成物を除去する目的で、水素化分解ループ内の1つまたは複数の蒸留ユニットを使用してもよい。
【0083】
二段階水素化分解ユニットはまた、部分的な変換構成で運転することもできる(さらに水素化処理するために通過する1つまたは複数の流れをストリッピングする目的で、1つまたは複数の蒸留ユニットが水素化分解ループ内に配置されることを意味する)。水素化分解ユニットのこのような運転は、(水素化分解触媒を失活させ得る)多核芳香族化合物、窒素化学種および硫黄化学種などの望ましくないフィード成分を、これらの成分の処理により適している装置、例えば、FCCユニットによる処理のために水素化分解ループから出すことによって、非常に不利な供給原料の精製装置による水素化処理を可能にする。
【0084】
1つの実施形態では、以下による、第一段階において、任意選択で、少なくとも1つの中間留分および重質減圧ガス流動接触分解供給原料(HVGO FCC)の製造に適切な二段階水素化分解構成である部分的な変換の第二段階において触媒が使用される:
(a)第一段階水素化分解排出物を生成するための炭化水素系供給原料の水素化分解、
(b)少なくとも1つの中間蒸留留分と、常圧残油留分とを生成するための水素化分解された供給原料の常圧蒸留による蒸留、
(c)サイドカット減圧軽油留分と、重質減圧軽油FCC供給原料とを生成するための常圧残油留分の真空蒸留によるさらなる蒸留、
(d)第二段階水素化分解排出物を生成するためのサイドカット減圧軽油留分の水素化分解、および
(e)第二段階水素化分解排出物と第一段階水素化分解排出物との組み合わせ。
【0085】
上述の精製装置構成は、従来の二段階水素化分解スキームと比べて、いくつかの利点を有する。第1に、この構成において、第一段階の触媒および運転条件は、確立された商業規格を満たすFCC生成物を生成するのに必要な最低限のフィード品質のみを有するHVGO FCC流を得るために選択されている。これは、留分収率を最大にするのに必要な厳しさで第一段階水素化分解ユニットが運転され、(より多くの水素を必要とし、触媒の寿命を縮める)さらに厳しい条件でユニットを運転する必要がある従来の二段階水素化分解スキームとは対照的である。
【0086】
第2に、この任意選択の構成において、第二段階水素化分解装置ユニットに送られるサイドカットVGOは、従来の第二段階水素化分解装置フィードよりも清浄で、水素化分解がより容易である。したがって、より高品質の中間留分生成物は、より小さい体積の第二段階水素化分解触媒を使用して得ることができて、これは、より小さい水素化分解装置反応器の構成、および、より少ない水素の消費を可能にする。第二段階水素化分解ユニット構成は、建設コストを削減し、触媒充填コストおよび運転コストを低減する。
【0087】
水素化分解によって生成される生成物
水素化分解触媒は、中間留分の収率を著しく増大させることができる。1つの実施形態では、水素化分解触媒はまた、380°F未満のカットポイントを有する生成物の収率を低下させることもできる。1つの実施形態では、水素化分解排出物は、380~700°F(193~371℃)のTBPを有する、30体積%よりも高く、50体積%までの重質な中間留分を含む。1つの実施形態では、水素化分解排出物は、700°F(371℃)未満のTBPを有する、少なくとも35体積%~50体積%の炭化水素を含む。
【0088】
1つの実施形態では、水素化分解触媒は軽質ナフサと重質ナフサを生成するが、20~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有するゼオライトベータを含まない以前の水素化分解触媒と比べて、軽質ナフサと重質ナフサの収率を低下させることができる。
【実施例0089】
[実施例1]
触媒サンプルDJ-4の調製
2.9重量%のH-BEA-150ゼオライト、1.1重量%のUSYゼオライト、74.5重量%の非晶質シリカアルミナ(ASA)粉末および21.5重量%の擬ベーマイトアルミナを合わせ、これらをよく混合して、触媒サンプルDJ-4を調製した。H-BEA-150ゼオライトは、SUD CHEMIEから入手したゼオライトベータであった。USYゼオライトはZeolystから入手した。USYゼオライトは、0.086の酸点分布指数(ASDI)を有していた。USYゼオライトの別の特性を表6にまとめた。
【0090】
表6
【表7】
【0091】
ASA粉末は、Sasolから入手したSIRAL-40であった。擬ベーマイトアルミナは、Sasol製のCATAPAL Bであった。
【0092】
上述のこの混合物に、希薄なHNO酸水溶液(2重量%)を加えて、押出可能なペーストを生成した。押出可能なペーストを1/16”(1.59mm)の非対称の四葉形に押し出して、248°F(120℃)で1時間乾燥した。過剰の乾燥空気をパージしながら、乾燥した押出物を1100°F(593℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。
【0093】
完成触媒のバルク乾燥重量に基づいて、4.1重量%のNiOおよび25.2重量%のWOの目標金属添加量を達成する濃度のメタタングステン酸アンモニウムおよび硝酸ニッケルを含む溶液を使用して、乾燥した押出触媒にNiおよびWを含浸させた。金属含浸押出触媒を270°F(132℃)で1時間乾燥した。次いで、乾燥した触媒を、過剰の乾燥空気をパージしながら950°F(510℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。この完成触媒サンプルDJ-4の組成を表7に示した。
【0094】
[実施例2]
触媒サンプルDJ-5の調製
実施例1に記載のプロセスと同様、触媒サンプルDJ-5を調製した。5.7重量%のH-BEA-150ゼオライト、2.1重量%のUSYゼオライト、70.7重量%のASA粉末および21.5重量%の擬ベーマイトアルミナ粉末を合わせ、よく混合した。この混合物に、希薄なHNO酸水溶液(2重量%)を加えて、押出可能なペーストを生成した。押出可能なペーストを1/16”の非対称の四葉形に押し出して、248°F(120℃)で1時間乾燥した。過剰の乾燥空気をパージしながら、乾燥した押出物を1100°F(593℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。
【0095】
完成触媒のバルク乾燥重量に基づいて、4.1重量%のNiOおよび25.2重量%のWOの目標金属添加量を達成する濃度のメタタングステン酸アンモニウムおよび硝酸ニッケルを含む溶液を使用して、乾燥した押出触媒にNiおよびWを含浸させた。金属含浸押出触媒を270°F(132℃)で1時間乾燥した。次いで、乾燥した触媒を、過剰の乾燥空気をパージしながら950°F(510℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。この完成触媒サンプルDJ-5の組成を表7に示した。
【0096】
[実施例3]
触媒サンプルYY-8の調製
1.6重量%のH-BEA-150ゼオライト、58.4重量%の非晶質シリカアルミナ(ASA)粉末および40重量%の擬ベーマイトアルミナを合わせ、これらをよく混合して、触媒サンプルYY-8を調製した。この混合物に、希薄なHNO酸水溶液(2重量%)を加えて、押出可能なペーストを生成した。押出可能なペーストを1/16”の非対称の四葉形に押し出して、248°F(120℃)で1時間乾燥した。過剰の乾燥空気をパージしながら、乾燥した押出物を1100°F(593℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。
【0097】
完成触媒のバルク乾燥重量に基づいて、5重量%のNiOおよび29重量%のWOの目標金属添加量を達成する濃度のメタタングステン酸アンモニウムおよび炭酸ニッケルを含む溶液を使用して、乾燥した押出触媒にNiおよびWを含浸させた。この溶液はさらに、キレート剤として12.7グラムのクエン酸を含んでいた。金属含浸押出触媒を212°F(100℃)で2時間乾燥した。次いで、乾燥した触媒を、過剰の乾燥空気をパージしながら500°F(260℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。この完成した比較例の触媒サンプルYY-8の組成を表7に示した。
【0098】
[実施例4]
触媒サンプルYY-9の調製
実施例1に記載のプロセスと同様、触媒サンプルYY-9を調製した。7.1重量%のH-BEA-150ゼオライト、0.7重量%のUSYゼオライト、70.7重量%のASA粉末および21.5重量%の擬ベーマイトアルミナ粉末を合わせ、よく混合した。この混合物に、希薄なHNO酸水溶液(2重量%)を加えて、押出可能なペーストを生成した。押出可能なペーストを1/16”の非対称の四葉形に押し出して、248°F(120℃)で1時間乾燥した。過剰の乾燥空気をパージしながら、乾燥した押出物を1100°F(593℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。
【0099】
完成触媒のバルク乾燥重量に基づいて、4.1重量%のNiOおよび25.2重量%のWOの目標金属添加量を達成する濃度のメタタングステン酸アンモニウムおよび硝酸ニッケルを含む溶液を使用して、乾燥した押出触媒にNiおよびWを含浸させた。金属含浸押出触媒を270°F(132℃)で1時間乾燥した。次いで、乾燥した触媒を、過剰の乾燥空気をパージしながら950°F(510℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。この完成触媒サンプルYY-9の組成を表7に示した。
【0100】
[実施例5]
比較例の触媒サンプルの調製
5.7重量%のUSYゼオライト、71.3重量%の非晶質シリカアルミナ(ASA)粉末および23重量%の擬ベーマイトアルミナを合わせ、これらをよく混合して、比較例の触媒サンプルを調製した。
【0101】
上述のこの混合物に、希薄なHNO酸水溶液(2重量%)を加えて、押出可能なペーストを生成した。押出可能なペーストを1/16”の非対称の四葉形に押し出して、248°F(120℃)で1時間乾燥した。過剰の乾燥空気をパージしながら、乾燥した押出物を1100°F(593℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。
【0102】
完成触媒のバルク乾燥重量に基づいて、3.8重量%のNiOおよび25.3重量%のWOの目標金属添加量を達成する濃度のメタタングステン酸アンモニウムおよび硝酸ニッケルを含む溶液を使用して、乾燥した押出触媒にNiおよびWを含浸させた。金属含浸押出触媒を270°F(132℃)で1/2時間乾燥した。次いで、乾燥した触媒を、過剰の乾燥空気をパージしながら950°F(510℃)で1時間焼成し、室温まで冷却した。この比較例の触媒サンプルの組成を表7に示した。
【0103】
表7
触媒組成
【表8】
【0104】
[実施例6]
触媒性能の比較
上述の例の触媒を使用して、典型的な中東のVGO供給原料を処理した。例の触媒は予備硫化していなかった。
【0105】
中東のVGO供給原料の特性を表8に示す。
【0106】
表8
【表9】
【0107】
パイロットプラントユニット内で、全圧2300psig(18,858kPa)、LHSV1.0~2.0および単流の水素ガス5000SCF/Bで水素化分解試験を実施した。試験結果を以下の表9にまとめた。
【0108】
表9
【表10】
【0109】
触媒サンプルDJ-4、DJ-5、YY-8およびYY-9は、市販の比較例の触媒サンプルと比べて中間留分の収率を著しく増大させ、380°F未満のカットポイントを有する生成物の収率を低下させた。同様の4.0~5.5重量%の全ゼオライト量を含む触媒の実施例は、市販の比較例の触媒サンプルよりも8~12°F高活性であった。
【0110】
ドメインサイズがより大きい(したがって、欠陥がより少ない)独特の分布を持つ、H-BEA-150を含む水素化分解触媒サンプルが、より多くのガスを生成する非選択的分解を減少させたと考えられる。最小限の超高活性サイトを有する(すなわち、0.05~0.12の間のASDIを有する)ゼオライトUSYとの組み合わせも活性を向上させた。
【0111】
[実施例7]
2つの異なるベータゼオライトのドメインサイズ分析
市販のゼオライトベータの2つのサンプルに対してドメインサイズ測定を実施した。一方のサンプルは、先の実施例において使用した同じH-BEA-150ゼオライトベータ(ZE0090)であった。他方のサンプルは、H-BEA-150よりも高いSARを有するZeolyst International製の比較ゼオライトベータ(CP811C-300、ZE0106)であった。ドメインサイズ分析の生データおよびデータの統計解析を以下の表10にまとめた。
【0112】
表10
【表11】
【0113】
また、これらのドメインサイズ分析のデータをグラフにして図2および図3に示した。図2は、2つのゼオライトベータ間のドメインサイズの度数の差を示す。図3は、H-BEA-150のドメインサイズが、比較ゼオライトベータに見られるものよりも大きく、より広く分布していたことを示す。H-BEA-150のドメインサイズの標準偏差は700nmよりも大きく、比較ゼオライトベータのドメインサイズの標準偏差は500nm未満であった。また、H-BEA-150ゼオライトベータは、200~600nmのドメインサイズを有していた小さいドメインよりも多くの、1200~2000nmのドメインサイズを有していた大きいドメインを有していた。これは、比較ゼオライトベータにおけるドメインサイズの分布とは著しく異なる。H-BEA-150は、1500~3200nmのドメインサイズを有する特大のドメイン対200~600nmのドメインサイズを有する小さいドメインの同様の分布(9対8)を有していた。この文脈において、同様の分布は、2つの異なるドメインサイズの範囲におけるドメインの数の比が0.8:1~1.2:1であることを意味する。
【0114】
移行語「を含む(comprising)」は、「を含む(including)」、「を含む(containing)」または「を特徴とする(characterized by)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであって、記載されていない別の要素または方法ステップを排除しない。移行句「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲に規定されていない任意の要素、ステップまたは原料を排除する。移行句「実質的に~からなる(consisting essentially of)」は、特定の材料またはステップ、および特許請求の範囲に記載の発明の「(1つまたは複数の)基本かつ新規の特性に実質的に影響を与えない材料またはステップ」に特許請求の範囲を限定する。
【0115】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、特に記載のない限り、量、パーセントまたは割合を表すすべての数字、ならびに本明細書および特許請求の範囲において使用される他の数値は、用語「約」で修飾されていると理解されるべきである。さらに、本明細書に開示されているすべての範囲は、その端点を含み、独立して結合可能である。下限および上限を有する数値範囲が開示されている場合は常に、その範囲内に入る任意の数も具体的に開示されている。別段の指定がない限り、パーセントはすべて重量パーセントである。
【0116】
定義されない任意の用語、略語または略記は、本出願が提出された時点の当業者によって使用される通常の意味を有すると理解される。単数形「a」、「an」および「the」は、明確かつ明白に1つの例に限定されない限り、複数の指示対象を含む。
【0117】
本出願で引用したすべての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許出願または特許の開示の全体が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示される場合と同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0118】
本明細書は、実施例を用いて最良の形態を含む本発明を開示し、当業者が本発明を製造および使用することも可能にする。上に開示されている本発明の例示的な実施形態の多くの修正を当業者なら容易に思いつくであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての構造および方法を含むものと解釈されるべきである。別段の指定がない限り、個々の成分または成分の混合物をそこから選択することができる元素、材料または他の成分の属の記載は、列挙された成分およびそれらの混合物の可能な亜属の組み合わせすべてを含むことを意図している。
【0119】
本明細書に適切に例示的に開示されている本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素がない状態で実施されてもよい。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.36~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有する0.5~10重量%のゼオライトベータと、
b.0.05~0.12の間のASDIを有する0~5重量%のゼオライトUSYであって、前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの重量%よりも高い、ゼオライトUSYと、
c.触媒担体と、
d.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属と
を含む、水素化分解触媒。
【請求項2】
前記ゼオライトベータが、50~200のSiO/Alモル比(SAR)を有する、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項3】
前記OD酸性度が36~100μmol/gである、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項4】
前記平均ドメインサイズが900~1250nmである、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項5】
200~600nmのドメインサイズを有する小さいドメインよりも多くの、1200~2000nmのドメインサイズを有する大きいドメインを、前記ゼオライトベータが有する、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項6】
前記ゼオライトベータが、700nmよりも大きいドメインサイズの標準偏差を有する、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項7】
前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの重量%よりも1~5重量%高い、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項8】
前記ゼオライトベータに対する前記ゼオライトUSYの重量比が0~0.48である、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項9】
前記ゼオライトUSYが、H/D交換後にFTIRによって求められる0.080~0.200mmol/gの全ブレンステッド酸点を有する、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項10】
少なくとも1つの第6族金属と、周期表の第8族から第10族から選択される少なくとも1つの金属とを含む、請求項1に記載の水素化分解触媒。
【請求項11】
炭化水素系供給原料を水素化分解するためのプロセスであって、水素化分解条件下、前記炭化水素系供給原料を水素化分解触媒と接触させて、中間留分を含む水素化分解排出物を生成するステップを含み、前記水素化分解触媒が、
a.36~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有する0.5~10重量%のゼオライトベータと、
b.0.05~0.12の間のASDIを有する0~5重量%のゼオライトUSYであって、前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの重量%よりも高い、ゼオライトUSYと、
c.触媒担体と、
d.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属と
を含む、上記プロセス。
【請求項12】
前記炭化水素系供給原料が、700~1200°F(371~649℃)内のTBP範囲を有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ゼオライトベータが、50~200のSiO/Alモル比(SAR)を有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記OD酸性度が36~100μmol/gである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
前記平均ドメインサイズが900~1250nmである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項16】
200~600nmのドメインサイズを有する小さいドメインよりも多くの、1200~2000nmのドメインサイズを有する大きいドメインを、前記ゼオライトベータが有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ゼオライトベータが、700nmよりも大きいドメインサイズの標準偏差を有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項18】
前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの重量%よりも1~5重量%高い、請求項11に記載のプロセス。
【請求項19】
前記ゼオライトベータに対する前記ゼオライトUSYの重量比が0~0.48である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ゼオライトUSYが、H/D交換後にFTIRによって求められる0.080~0.200mmol/gの全ブレンステッドサイトを有する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項21】
少なくとも1つの第6族金属と、周期表の第8族から第10族から選択される少なくとも1つの金属とを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項22】
前記水素化分解排出物が、380~700°F(193~371℃)のTBPを有する、30体積%よりも高く、50体積%までの重質な中間留分を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項23】
水素化分解触媒を製造するための方法であって、
a.36~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nmの平均ドメインサイズを有するゼオライトベータと、0.05~0.12の間のASDIを有する任意選択のゼオライトUSYと、触媒担体と、十分な液体とを混ぜ合わせて、押出可能なペーストを生成するステップであって、前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの第2の重量%よりも高い、上記ステップと、
b.前記押出可能なペーストを押し出して、押出ベースを生成するステップと、
c.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む金属含浸溶液を前記押出ベースに含浸させて、金属担持押出物を調製するステップと、
d.前記金属担持押出物を乾燥および焼成させることによって前記金属担持押出物を後処理するステップと、を含み、前記水素化分解触媒が、380~700°F(193~371℃)のTBPを有する水素化分解排出物を生成するための改善された選択性を有する、
方法。
【請求項24】
前記ゼオライトベータのOD酸性度が36~100μmol/gである、請求項11に記載の水素化分解触媒を製造するための方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本明細書に記載の通り、本発明は適切に、特許請求の範囲の要素を含んでも、それらからなっても、または実質的にそれらからなってもよい。
なお、下記[1]から[23]は、いずれも本発明の一形態又は一態様である。
[1]
a.20~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nm の平均ドメインサイズを有する0.5~10重量%のゼオライトベータと、
b.0.05~0.12の間のASDIを有する0~5重量%のゼオライトUSYであって、前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの重量%よりも高い、ゼオライトUSYと、
c.触媒担体と、
d.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属と
を含む、水素化分解触媒。
[2]
前記ゼオライトベータが、50~200のSiO /Al モル比(SAR)を有する、[1]に記載の水素化分解触媒。
[3]
前記OD酸性度が30~100μmol/gである、[1]に記載の水素化分解触媒。
[4]
前記平均ドメインサイズが900~1250nm である、[1]に記載の水素化分解触媒。
[5]
200~600nm のドメインサイズを有する小さいドメインよりも多くの、1200~2000nm のドメインサイズを有する大きいドメインを、前記ゼオライトベータが有する、[1]に記載の水素化分解触媒。
[6]
前記ゼオライトベータが、700nm よりも大きいドメインサイズの標準偏差を有する、[1]に記載の水素化分解触媒。
[7]
前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの重量%よりも1~5重量%高い、[1]に記載の水素化分解触媒。
[8]
前記ゼオライトベータに対する前記ゼオライトUSYの重量比が0~0.48である、[1]に記載の水素化分解触媒。
[9]
前記ゼオライトUSYが、H/D交換後にFTIRによって求められる0.080~0.200mmol/gの全ブレンステッド酸点を有する、[1]に記載の水素化分解触媒。
[10]
少なくとも1つの第6族金属と、周期表の第8族から第10族から選択される少なくとも1つの金属とを含む、[1]に記載の水素化分解触媒。
[11]
炭化水素系供給原料を水素化分解するためのプロセスであって、水素化分解条件下、前記炭化水素系供給原料を水素化分解触媒と接触させて、中間留分を含む水素化分解排出物を生成するステップを含み、前記水素化分解触媒が、
a.20~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nm の平均ドメインサイズを有する0.5~10重量%のゼオライトベータと、
b.0.05~0.12の間のASDIを有する0~5重量%のゼオライトUSYであって、前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの重量%よりも高い、ゼオライトUSYと、
c.触媒担体と、
d.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属と
を含む、上記プロセス。
[12]
前記炭化水素系供給原料が、700~1200°F(371~649℃)内のTBP範囲を有する、[11]に記載のプロセス。
[13]
前記ゼオライトベータが、50~200のSiO /Al モル比(SAR)を有する、[11に記載のプロセス。
[14]
前記OD酸性度が30~100μmol/gである、[11]に記載のプロセス。
[15]
前記平均ドメインサイズが900~1250nm である、[11]に記載のプロセス。
[16]
200~600nm のドメインサイズを有する小さいドメインよりも多くの、1200~2000nm のドメインサイズを有する大きいドメインを、前記ゼオライトベータが有する、[11]に記載のプロセス。
[17]
前記ゼオライトベータが、700nm よりも大きいドメインサイズの標準偏差を有する、[11]に記載のプロセス。
[18]
前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの重量%よりも1~5重量%高い、[11]に記載のプロセス。
[19]
前記ゼオライトベータに対する前記ゼオライトUSYの重量比が0~0.48である、[11に記載のプロセス。
[20]
前記ゼオライトUSYが、H/D交換後にFTIRによって求められる0.080~0.200mmol/gの全ブレンステッドサイトを有する、[11]に記載のプロセス。
[21]
少なくとも1つの第6族金属と、周期表の第8族から第10族から選択される少なくとも1つの金属とを含む、[11]に記載のプロセス。
[22]
前記水素化分解排出物が、380~700°F(193~371℃)のTBPを有する、30体積%よりも高く、50体積%までの重質な中間留分を含む、[11]に記載のプロセス。
[23]
水素化分解触媒を製造するための方法であって、
a.20~400μmol/gのOD酸性度および800~1500nm の平均ドメインサイズを有するゼオライトベータと、0.05~0.12の間のASDIを有する任意選択のゼオライトUSYと、触媒担体と、十分な液体とを混ぜ合わせて、押出可能なペーストを生成するステップであって、前記ゼオライトベータの重量%が、前記ゼオライトUSYの第2の重量%よりも高い、上記ステップと、
b.前記押出可能なペーストを押し出して、押出ベースを生成するステップと、
c.周期表の第6族および第8族から第10族の元素からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む金属含浸溶液を前記押出ベースに含浸させて、金属担持押出物を調製するステップと、
d.前記金属担持押出物を乾燥および焼成させることによって前記金属担持押出物を後処理するステップと、を含み、前記水素化分解触媒が、380~700°F(193~371℃)のTBPを有する水素化分解排出物を生成するための改善された選択性を有する、
方法。
【外国語明細書】