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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012359
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】カメラシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/76 20060101AFI20230118BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230118BHJP
   H04N 23/40 20230101ALI20230118BHJP
【FI】
H04N5/76
H04N5/232
H04N5/225 000
H04N5/232 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115958
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】591165252
【氏名又は名称】キング通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 勉
(72)【発明者】
【氏名】助川 昌裕
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA11
5C122EA42
5C122FH08
5C122FH09
5C122GA09
5C122GA24
5C122GC54
5C122HA07
5C122HA71
(57)【要約】
【課題】監視目的での使い勝手を向上できるカメラシステムを提供する。
【解決手段】カメラシステム10は、所定の領域の映像データD1を取得するカメラ装置12と、カメラ装置12を制御するとともに、入力された映像データD1から書込データD2を生成する制御部13と、制御部13の制御により複数の記憶媒体に交互に書込データD2を書き込む書込処理部14と、を備える。制御部13は、書込処理部14によるいずれか1つの記憶媒体への書込データD2の書き込みが出来ない書込不可状態であることの検知が可能であり、書込不可状態を検知すると、カメラ装置12に対して、出力する映像データD1のデータ量を低減させるデータ量低減処理を実行させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域の映像データを取得するカメラ装置と、
前記カメラ装置を制御するとともに、入力された前記映像データから書込データを生成する制御部と、
前記制御部の制御により複数の記憶媒体に交互に前記書込データを書き込む書込処理部と、を備え、
前記制御部は、前記書込処理部によるいずれか1つの前記記憶媒体への前記書込データの書き込みが出来ない書込不可状態であることの検知が可能であり、前記書込不可状態を検知すると、前記カメラ装置に対して、出力する前記映像データのデータ量を低減させるデータ量低減処理を実行させることを特徴とするカメラシステム。
【請求項2】
前記カメラ装置は、前記データ量低減処理において、全ての前記記憶媒体のデータ容量に対する前記書込不可状態ではない前記記憶媒体のデータ容量の割合で、出力する前記映像データのデータ量を低減させることを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記カメラ装置は、所定の領域を撮影する撮像部と、前記撮像部からの信号に基づいて前記映像データを生成して前記制御部に出力する画像処理部と、を有し、
前記画像処理部が、前記データ量低減処理において、出力する前記映像データのデータ量を低減させることを特徴とする請求項2に記載のカメラシステム。
【請求項4】
さらに、前記記憶媒体が着脱可能な装着部を備え、
前記書込不可状態は、前記装着部への前記記憶媒体の装着不良の状態であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記書込不可状態は、前記書込処理部による前記記憶媒体への書き込みを失敗した状態であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項6】
さらに、前記制御部の制御により点消灯される点灯部を備え、
前記制御部は、前記書込不可状態を検知すると前記点灯部を点灯させることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項7】
前記カメラ装置は、前記データ量低減処理において、前記制御部への通信帯域を小さくしつつ前記映像データを前記制御部へと出力することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項8】
前記カメラ装置は、前記データ量低減処理において、前記書込不可状態の検知前よりもデータ量を減らした前記書込データを生成することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のカメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の場所に設置されるカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、所定の場所に設置されるカメラシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このカメラシステムは、設置の自由度を高めることにより、様々な場所における監視を可能としている。また、このカメラシステムは、撮影した映像をSDカード挿入口に挿入されたSDカード(記憶媒体)に録画することができ、そのSDカードを取り出して録画された映像を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-19667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のカメラシステムは、SDカードが取り出されていたりSDカードへの書き込みが失敗する状況が生じたりすると、撮影した映像をSDカードに録画できなくなってしまい、事後的な映像の確認ができなくなってしまう。このため、上記のカメラシステムは、監視目的の使い勝手の観点から改良の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、監視目的での使い勝手を向上できるカメラシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のカメラシステムは、所定の領域の映像データを取得するカメラ装置と、前記カメラ装置を制御するとともに、入力された前記映像データから書込データを生成する制御部と、前記制御部の制御により複数の記憶媒体に交互に前記書込データを書き込む書込処理部と、を備え、前記制御部は、前記書込処理部によるいずれか1つの前記記憶媒体への前記書込データの書き込みが出来ない書込不可状態であることの検知が可能であり、前記書込不可状態を検知すると、前記カメラ装置に対して、出力する前記映像データのデータ量を低減させるデータ量低減処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のカメラシステムは、監視目的での使い勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のカメラシステムの一実施形態に係る実施例1のカメラシステムが設置された様子を示す説明図である。
図2】カメラシステムの構成を示すブロック図である。
図3】カメラシステムによるデータ量低減処理の設定7の一例として画像の一部を切り取る様子を示す説明図である。
図4】カメラシステムの動作の説明のための説明図であり、通常の動作の様子を示す。
図5】カメラシステムの動作の説明のための説明図であり、書込不可状態を検知した様子を示す。
図6】カメラシステムの動作の説明のための説明図であり、データ量低減処理時の動作の様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願発明に係るカメラシステムの実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例0010】
本発明に係るカメラシステムの一実施例としてのカメラシステム10の概略的な構成を、図1から図6を用いて説明する。なお、図4から図6は、カメラシステム10の構成を簡略化したブロックで示すとともに、ブロック間において各種の信号やデータが送られる様子を示している。また、図4から図6は、点灯部17における点灯するランプの色の見分けを解り易くするために、電球の図柄を用いるとともに点灯部17において点灯する位置を左右で変化させている。
【0011】
カメラシステム10は、図1および図2に示すように、筐体11に、カメラ装置12と制御部13と書込処理部14とが収容されて構成されている。筐体11は、取付部材15を介して所望の設置箇所に取り付けられるもので、図1の例では取付部材15による締付けにより電柱16の上部に取り付けられている。なお、カメラシステム10は、取り付け方(取付部材15の構成)や取り付けられる場所を適宜設定することができ、実施例1の構成に限定されない。
【0012】
筐体11は、その底面11aに露出させて、カメラ装置12の撮像部23と点灯部17と蓋部18とが設けられている。撮像部23は、後述するようにカメラ装置12において所定の領域を撮影するもので、底面11aに設けられた半球状の透明のカバー19で覆われつつ下方に向けられており、そのカバー19を介して所定の領域を撮影する。
【0013】
点灯部17は、カメラシステム10が正常な状態であるか否かを制御部13の制御により報知するもので、実施例1では正常であれば緑色のランプが、異常であれば赤色のランプが、それぞれ点灯される。これにより、点灯部17は、上記のように筐体11が設置箇所に取り付けられた状態のままで、カメラシステム10の状態を確認できるものとする。実施例1のカメラシステム10は、後述する2つのSDカード22がカード装着部21に適切に装着されているとともに、書込処理部14による各SDカード22への書込データD2(図4図6参照)の書き込みが可能であると、正常な状態として点灯部17の緑色のランプを点灯させる。また、実施例1のカメラシステム10は、いずれか1つのSDカード22がカード装着部21に対して装着不良である、または書込処理部14による各SDカード22への書込データD2への書き込みが失敗すると、異常な状態として点灯部17の赤色のランプを点灯させる。なお、点灯部17は、他にも、電源からの電力の供給状態や、動作の状態等に応じて、点灯させる色や態様(点滅等)を切り換えるものとしてもよい。
【0014】
蓋部18は、開閉可能とされており、開けるとカード装着部21(図2等参照)を露出させる。そのカード装着部21は、記録媒体の一例としてのSDカード22の装着と取り出しとを可能とするものであり、適切に装着されたSDカード22への書込処理部14による書込データD2の書き込みやSDカード22に記憶された書込データD2の読み取りを可能とする。実施例1のカード装着部21は、同時に2つのSDカード22の装着を可能としており、それぞれ個別に抜き出すことが可能とされている。そして、実施例1のカード装着部21は、各SDカード22が装着されると、それぞれ個別に装着されていることを示す装着信号を書込処理部14に出力する。
【0015】
また、実施例1の筐体11は、蓋部18により覆われた個所に外部出力端子を設けている。この外部出力端子は、各SDカード22に記憶された書込データD2の出力を可能とするもので、接続コードの接続が可能とされている。そして、外部出力端子は、接続コードが接続されると、その接続コードと各SDカード22とを書込処理部14を介して接続し、各SDカード22に書き込まれた書込データD2の読み取りを可能とする。なお、書込処理部14を介する各SDカード22との接続は、無線通信によるものでもよく、他の構成でも良く、実施例1の構成に限定されない。
【0016】
カメラ装置12は、撮像部23と画像処理部24とを有する。撮像部23は、所定の領域を撮影するもので、底面11aのカバー19を通して撮影領域が設定されている。撮像部23は、カメラシステム10が動作状態とされている間、設定された領域を常時撮影しており、その撮影した映像の信号を画像処理部24に出力する。画像処理部24は、撮像部23から入力された映像の信号に基づいて映像データD1(図4図6参照)を生成し、その映像データD1を制御部13に出力する。画像処理部24は、映像データD1を制御部13へと出力する際のデータ量の設定が可能とされている。このデータ量の設定(設定1から設定7)については後述する。このカメラ装置12は、実施例1ではIPアドレスが設定された所謂ネットワークカメラを用いており、上記の設定の機能が搭載されている。なお、カメラ装置12は、撮像部23と画像処理部24とを有するものであればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0017】
制御部13は、筐体11に収容された内部メモリにプログラムを記憶させたコンピュータで形成されており、カメラシステム10の動作すなわちカメラ装置12および書込処理部14の動作を統括的に制御する。制御部13は、データ処理部31と状態検知部32とデータ量設定部33と点灯制御部34とを有する。
【0018】
データ処理部31は、カメラ装置12の画像処理部24から映像データD1が入力されると、その映像データD1を所定の時間毎に区切って書込データD2(図4図6参照)を生成し、その書込データD2を書込処理部14に出力する。その所定の時間は、適宜設定すればよく、実施例1では一例として10分としている。また、データ処理部31は、生成した書込データD2の元となる映像データD1を取得した日付や時刻等のデータを生成し、対応する書込データD2に関連付けている。この書込データD2は、映像データD1を所定の時間毎に区切るとともに日付や時刻等のデータを関連付けたものであるので、元の映像データD1と略等しいデータ量となる。
【0019】
状態検知部32は、書込処理部14によるどちらか1つのSDカード22への書き込みができない書込不可状態であるか否かを検知する。その書込不可状態は、カード装着部21への各SDカード22の装着不良の場合と、書込処理部14による各SDカード22への書込データD2の書き込みが失敗する場合と、がある。前者の場合、カード装着部21から各SDカード22が取り出された場合(装着されていない)と、カード装着部21に装着されているように見えるものの、その装着が適切ではない場合と、があり、いずれであってもカード装着部21から装着信号が出力されていないこととなる。その場合、後述するように、書込処理部14の書込先設定部41は、装着信号の有無に基づく装着不良の信号の出力もしくはフラグの設定をする。状態検知部32は、その信号もしくはフラグを検知した場合には書込不可状態と判断し、検知できない場合には書込不可状態ではないと判断する。また、状態検知部32は、後述するように書込処理部14の書込部42からの、各SDカード22への書込データD2の書き込みを失敗したことを示す信号を出力もしくはその旨を示すフラグを検知した場合には書込不可状態と判断し、検知できない場合には書込不可状態ではないと判断する。なお、状態検知部32は、書込不可状態と判断するものであれば、他の方法を用いてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0020】
データ量設定部33は、状態検知部32が書込不可状態を検知すると、カメラ装置12の画像処理部24にデータ量低減処理を実行させるためのデータ量低減信号S1(図5参照)を出力する。データ量低減信号S1は、データ量低減処理の内容を示すもので、画像処理部24がデータ量低減信号S1に従ってデータ量低減処理を実行する。そのデータ量低減処理については後述する。なお、データ量低減信号S1は、予め画像処理部24で設定されたデータ量低減処理を実行させるための合図であってもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0021】
点灯制御部34は、筐体11の点灯部17の点消灯を制御する。点灯制御部34は、状態検知部32が書込不可状態を検知すると、筐体11の点灯部17において赤色のランプを点灯させる。また、点灯制御部34は、点灯部17が上記のように設定されているので、状態検知部32が書込不可状態を検知していない状態では、点灯部17に緑色のランプを点灯させる。このため、実施例1の点灯制御部34は、書込不可状態となると、点灯部17の点灯を緑色から赤色に変更することとなる。
【0022】
書込処理部14は、制御部13のデータ処理部31から出力された書込データD2を、カード装着部21に適切に装着された2つのSDカード22に書き込む。書込処理部14は、書込先設定部41と書込部42とを有する。書込先設定部41は、書込部42が書き込むSDカード22を設定するもので、実施例1では、先ず一方のSDカード221を書き込み先に設定し、そのSDカード221の空き容量がなくなると他方のSDカード222を書き込み先に設定する。そして、書込先設定部41は、そのSDカード222の空き容量がなくなると上書きさせるためにSDカード221を書き込み先に設定し、それ以降は上記の設定を交互に繰り返す。
【0023】
書込先設定部41は、カード装着部21からの各装着信号を検出できない場合、その装着信号を検出できない側のSDカード22が装着不良であると判断する。そして、書込先設定部41は、装着不良の旨を示す信号を出力もしくはその旨を示すフラグを設定して状態検知部32が検知できるものとするとともに、装着信号が出されている側のみを書き込み先に設定する。なお、書込先設定部41は、装着不良と判断したSDカード22(カード装着部21)に対する装着信号を検出すると、装着不良の信号の出力もしくはフラグの設定を止めて、上記のような交互の設定に戻す。
【0024】
また、書込先設定部41は、設定したSDカード22への書込部42による書き込みが失敗すると、書き込み先の設定を変更し、その後は変更した書き込み先のままで固定する。そのとき、書込先設定部41は、書き込みを失敗した旨を示す信号を出力もしくはその旨を示すフラグを設定して、状態検知部32が検知できるものとする。なお、この書き込み先の固定は、書込部42による書き込みの失敗の原因が解消されると解除されて、上記のように交互に設定する状態に戻すとともに、上記の信号の出力もしくはフラグの設定を止める。この失敗の原因は、例えば、該当するSDカード22をカード装着部21から取り出し、そこに新たに正常なSDカード22を装着することにより、解消できる。
【0025】
書込部42は、書込先設定部41で書き込み先に設定されたSDカード22に対して、データ処理部31からの書込データD2を書き込む。このとき、書込部42は、設定されたSDカード22に書込データD2が存在する場合には、その上に新たな書込データD2を上書きしていく。このため、書込部42は、データ処理部31からの書込データD2が入力されると、書込先設定部41の設定に応じて書き込み先のSDカード22を変更しつつ各SDカード22への書込データD2の書き込み動作をし続けることとなる。これにより、書込処理部14は、データ処理部31からの書込データD2を切れ目なく各SDカード22に書き込むことができる。そして、書込処理部14は、書込部42による設定されたSDカード22への書き込みが失敗する(書込エラー)と、その旨を示す信号を出力もしくはその旨を示すフラグを設定することにより、状態検知部32が検知できるものとする。
【0026】
また、実施例1の書込部42は、筐体11の外部出力端子に接続コードが接続されると、その接続コードからの信号(指示)に応じて、各SDカード22に書き込まれた書込データD2を出力する。なお、この接続は、無線通信によるものでもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0027】
次に、カメラ装置12の画像処理部24における映像データD1を制御部13へと出力する際のデータ量の設定について説明する。実施例1の画像処理部24は、以下の7つの設定(以下では設定1から設定7とする)により、データ量の設定が可能とされている。
【0028】
設定1は、通信帯域(帯域幅)の設定である。画像処理部24は、映像データD1を制御部13へと出力する際の通信帯域(帯域幅)の設定が可能とされている。この通信帯域は、通信に利用する周波数の幅であり、1秒間に何ビット転送できるかを表す「bps」の単位で示すことができる。ここで、カメラ装置12は、撮像部23からリアルタイムで映像の信号を出力し続けるので、画像処理部24が形成した映像データD1を制御部13に出力し続けることとなる。そして、画像処理部24は、生成した映像データD1に対して設定した通信帯域が十分ではない(狭い)場合には、映像データD1のうち通信帯域で送信可能なデータ量だけを制御部13へと出力することとなり、自動的に映像データD1の一部を送信しないこととなる。このため、画像処理部24は、制御部13への出力の通信帯域を設定することで、制御部13に出力する映像データD1のデータ量の上限を定めている。なお、通信帯域の設定は、以下の設定2から設定7との併用が可能であり、各設定が為された場合であっても出力する映像データD1のデータ量の上限を定めることとなる。この通信帯域は、以下の設定2から設定7の設定とともに、制御部13および書込処理部14の処理速度や両SDカード22に保存する映像の長さ(時間)の設定に応じて適宜設定される。
【0029】
設定2は、解像度の設定である。画像処理部24は、制御部13へと出力する映像データD1の解像度の設定が可能とされている。この解像度は、一般に画素密度やピクセル密度と呼ばれるもので、1080P(横1920ピクセル×縦1080ピクセル)や720P(横1280ピクセル×縦720ピクセル)等で示される。解像度は、カメラシステム10としての監視の用途に求められる映像データD1の解像度(粗密の度合い)に応じて設定される。
【0030】
設定3は、フレーム数の設定である。画像処理部24は、制御部13へと出力する映像データD1におけるフレーム数の設定が可能とされている。このフレーム数は、動画におけるフレームレートであり、1秒あたりのフレーム数を表す「fps」のの単位で示すことができる。フレーム数は、カメラシステム10としての監視の用途に求められる映像データD1のフレーム数(動きの滑らかさ)に応じて設定される。
【0031】
設定4は、圧縮率の設定である。画像処理部24は、制御部13へと出力する映像データD1における圧縮率の設定が可能とされている。この圧縮率は、動画の各フレームのデータの圧縮率であり、各フレームの大きさを変更するものではない。圧縮率は、カメラシステム10としての監視の用途に求められる映像の画質や長さ(時間)に応じて設定される。
【0032】
設定5は、Iフレームの間隔の設定である。画像処理部24は、制御部13へと出力する映像データD1において、Iフレームと複数のPフレームとが繰り返される構成のうちのIフレームの間隔の設定が可能とされている。このIフレームの間隔は、あるIフレームを取得できなかった場合、その次にIフレームを取得するまでは映像データD1に基づく映像が途切れることとなるので、そのような途切れがカメラシステム10としての監視の用途において問題とならないように設定される。
【0033】
設定6は、コーデックの設定である。画像処理部24は、制御部13へと出力する映像データD1のコーデックの設定が可能とされている。このコーデックは、映像データD1の圧縮と伸長とをする規格であり、カメラシステム10としての監視の用途に応じて設定される。なお、設定されたコーデックは、設定2から設定5および設定7の設定が為された映像データD1に対して適用されるものであり、カメラシステム10としての監視の用途および事後の映像データD1の確認の際の対応規格に応じて設定される。
【0034】
設定7は、画像サイズの設定である。画像処理部24は、制御部13へと出力する映像データD1の画像サイズの設定が可能とされている。この画像サイズは、動画の各フレームの大きさを示すもので、実施例1では後述する基本設定での映像データD1(映像データD1B(図4等参照))において、カメラシステム10としての監視のために重要な箇所を部分的に切り出すことで、元の映像データD1よりも小さな画像サイズの映像データD1(後述する低減設定での映像データD1R)とする。この一例を図3に示す。この図3の例では、ATM(現金自動預け払い機)において利用者側を撮影するためにカメラシステム10を設けた場合の映像データD1(映像データD1B)を示しており、ATMの利用者Mが左側に偏って映っている様子を示す。この利用者Mの位置は、ATMにおける操作パネルの設置位置との関係で定まるので、その操作パネルとカメラシステム10の設置位置との関係により映像データD1Bにおける操作時の利用者Mの映る位置が定まる。そして、設定7は、映像データD1Bのデータ量の低減が求められる際に、映像データD1において利用者Mが映る可能性が高い箇所(図3の左側の破線で示す箇所)を部分的に切り出して映像データD1Rを生成する。なお、この部分的な切り出しの箇所は、カメラシステム10の設置位置や監視の用途に応じて重要度の高い部分を適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。例えば、カメラシステム10が、図1に示すように電柱16に設けられて街角の監視に用いられる場合には、塀や設置物が映っていない人の往来がある箇所を切り取ったり、植栽が映っていない人が存在し得る箇所を切り取ったりすることがあげられる。
【0035】
画像処理部24は、2つのSDカード22に一週間分(時間)の書込データD2を書き込むことができるように、両SDカード22の容量を勘案して上記の設定1から設定7を総合的に設定した基本設定としている。また、画像処理部24は、データ量設定部33からデータ量低減信号S1(図5参照)が入力されると、そのデータ量低減信号S1に応じて設定1から設定7のうちの1つ以上の設定を変更(以下では、低減設定ともいう)する。その低減設定は、基本設定のデータ量よりもデータ量を減らすように、設定1から設定7が定められている。そして、画像処理部24は、低減設定に応じて制御部13へと出力する映像データD1のデータ量を低減する(以下では区別する際には映像データD1Rとする)。このため、データ量低減信号S1が入力された以降に出力される映像データD1Rは、基本設定の下で出力される映像データD1(以下では区別する際には映像データD1Bとする)と比較して、データ量が小さくされている。これにより、画像処理部24は、データ量低減信号S1が入力された後の動作が、データ量低減処理となる。実施例1のデータ量低減処理は、1つのSDカード22であっても一週間分の書込データD2を書き込むことができるように、すなわち基本設定と比較してデータ量が略半分となるように、設定1から設定7のうちの1つ以上を設定している。
【0036】
次に、このカメラシステム10の動作について、図4から図6を用いて説明する。以下では、映像データD1Bに基づくものを書込データD2Bとし、映像データD1Rに基づくものを書込データD2Rとする。また、カメラシステム10は、動作が開始された際には、画像処理部24が基本設定とされ、書込先設定部41がSDカード221を書き込み先に設定しているものとする。
【0037】
先ず、カメラシステム10は、電源が投入されて動作を開始すると、カメラ装置12において、撮像部23が所定の領域を撮影して、その映像の信号を画像処理部24に出力する。画像処理部24は、図4に示すように、その映像の信号に基づいて映像データD1Bを生成し、その映像データD1Bを制御部13に出力する。制御部13は、データ処理部31が、入力された映像データD1Bに基づいて書込データD2Bを生成し、その書込データD2Bを書込処理部14に出力する。その書込処理部14は、書込先設定部41で設定されたSDカード221に対して、書込部42が入力された書込データD2Bを書き込む。そして、カメラシステム10は、書込先設定部41がSDカード221の空き容量がなくなるとSDカード222を書き込み先に設定し、書込部42が書込データD2BをSDカード222に書き込み、SDカード222の空き容量がなくなるとSDカード221に上書きし、以降は交互の上書きを繰り返す(矢印A参照)。これにより、カメラシステム10は、動作を開始してから一週間が経過すると、2つのSDカード22を合わせることで、常に過去一週間分の書込データD2Bを保存していることとなる。このとき、カメラシステム10は、状態検知部32が書込不可状態を検知していないので、点灯制御部34が点灯部17の緑色のランプを点灯させている(図4では点灯部17の左側のランプを点灯)。
【0038】
次に、カメラシステム10は、図5に示すように、SDカード221がカード装着部21から取り出されることにより、SDカード221が書込不可状態となったものとする。なお、以下の動作は、カード装着部21へのSDカード221の装着が適切ではない場合や、カード装着部21(カメラシステム10)への衝撃等によるカード装着部21内でのSDカード221の接続不良や、書込部42によるSDカード221への書き込み不良により、書込不可状態となった場合であっても同様である。すると、書込処理部14は、書込先設定部41がSDカード222を書き込み先に設定して固定するとともに、書込不可状態である旨の状態検知部32による検出を可能とする。すると、制御部13は、その書込不可状態を状態検知部32が検知し、データ量設定部33がデータ量低減信号S1をカメラ装置12の画像処理部24に出力するとともに、点灯制御部34が筐体11の点灯部17において赤色のランプを点灯させる(図5では点灯部17の右側のランプを点灯)。そして、カメラ装置12の画像処理部24は、データ量低減信号S1を入力されると、そのデータ量低減信号S1に応じた低減設定として、データ量低減処理を開始する。
【0039】
これにより、カメラシステム10では、図6に示すように、カメラ装置12の画像処理部24が低減設定に応じてデータ量を低減させた映像データD1Rを制御部13へ出力し、それに基づいて制御部13のデータ処理部31が書込データD2Rを生成して書込処理部14に出力する。その書込処理部14では、書込部42が、入力された書込データD2Rを、書込先設定部41で設定されたSDカード222に書き込む。そして、カメラシステム10では、書込先設定部41がSDカード222を書き込み先に固定的に設定しているので、SDカード222の空き容量がなくなると、書込部42が書込データD2RをSDカード222に上書きし、上記の動作を繰り返す。ここで、カメラシステム10では、SDカード222に書き込む書込データD2Rが、上記のようにデータ量が低減された映像データD1Rに基づくものなので、単一のSDカード222であっても常に過去一週間分の書込データD2Rを保存できることとなる。
【0040】
ここで、カメラシステム10は、上記のデータ量低減処理の設定の有無に拘らず、カード装着部21に装着された2つのSDカード22の一方が書込不可状態となっても、問題のない他方のSDカード22に通常時の書込データD2Bを書き込むことができる。しかしながら、カメラシステム10は、データ量低減処理が設定されていないと、保存先のデータ容量がSDカード22一枚分となるので、事後的に書込データD2Bの映像を確認できる時間が半減してしまう。
【0041】
これに対して、カメラシステム10は、カード装着部21に2つのSDカード22を装着できるようにするとともに、その一方が書込不可状態となると、問題のない他方のSDカード22に対して、データ量低減処理によりデータ量が低減された書込データD2Rを書き込む。すなわち、カメラシステム10は、一方が書込不可状態となると、単位時間当たりの映像によるメモリの使用率を低減した状態で、問題のない他方のSDカード22に保存させる。このため、カメラシステム10は、一方が書込不可状態となった場合であっても、事後的に書込データD2Rの映像を確認できる時間の低減を抑えることができ、データ量低減処理が設定されていない場合と比較して、監視の機能を維持できる。
【0042】
特に、実施例1のカメラシステム10は、データ量低減処理において、1つのSDカード22であっても一週間分の書込データD2Rを書き込むことができるように、すなわち基本設定と比較してデータ量が略半分となるように低減設定を定めている。このため、カメラシステム10は、一方が書込不可状態となった場合であっても、通常の場合と同様に、事後的に一週間分の映像を確認することができ、監視における時間的な機能を損なうことがない。加えて、実施例1のカメラシステム10は、低減設定のデータ量を基本設定のデータ量の略半分としているので、低減設定におけるデータ量を基本設定のデータ量の略半分よりも小さくする場合と比較して、事後的に確認できる映像の質の低下を抑制できる。換言すると、カメラシステム10は、低減設定において、求められる事後的に映像を確認できる時間を維持しつつ、そのために求められる最低限の映像の質の低下に留めることができ、監視の機能の低下を抑制できる。
【0043】
また、カメラシステム10は、一方が書込不可状態となりデータ量低減処理を開始すると、筐体11の点灯部17において赤色のランプを点灯させる。このため、カメラシステム10は、一方が書込不可状態である旨を外から見て判らせることができる。これにより、利用者は、カメラシステム10において一方が書込不可状態であるか否かを外から判るとともに、そこに保存されているのが書込データD2Rである旨も外から判る。
【0044】
さらに、カメラシステム10は、データ量低減処理において、カメラ装置12の機能を利用してデータ量を低減させた映像データD1Rとして制御部13へと出力している。このため、カメラシステム10は、特別な構成を用いることなく、問題のない他方のSDカード22にデータ量が低減された書込データD2Rを書き込むことができる。
【0045】
本開示に係るカメラシステムの実施例1のカメラシステム10は、以下の各作用効果を得ることができる。
【0046】
カメラシステム10は、制御部13が、いずれか1つの記憶媒体(SDカード22)が書込不可状態であることを検知すると、カメラ装置12に対して、出力する映像データD1のデータ量を低減させるデータ量低減処理を実行させる。このため、カメラシステム10は、一方のSDカード22が書込不可状態となった場合であっても、問題のない他方のSDカード22に対してデータ量が低減された書込データD2Rを書き込むことができ、事後的に書込データD2Rの映像を確認できる時間の低減を抑えることができる。
【0047】
カメラシステム10は、データ量低減処理において、カメラ装置12が、全ての記憶媒体(SDカード22)のデータ容量に対する書込不可状態ではない記憶媒体(SDカード22)のデータ容量の割合で、出力する映像データD1のデータ量を低減させる。このため、カメラシステム10は、一方のSDカード22が書込不可状態となった場合であっても、事後的に確認できる書込データD2Rの映像の時間を書込不可状態ではない場合と等しくできるとともに、そのために求められる最低限の映像の質の低下に留めることができ、監視の機能の低下を抑制できる。
【0048】
カメラシステム10は、カメラ装置12における撮像部23から映像の信号に基づいて映像データD1を生成して制御部13に出力する画像処理部24が、データ量低減処理において、出力する映像データD1のデータ量を低減させる。このため、カメラシステム10は、画像処理部24における基本的な機能を用いて出力する映像データD1のデータ量を低減させることができ、特別な構成を用いることなく実現できる。
【0049】
カメラシステム10は、装着部(カード装着部21)への記憶媒体(SDカード22)の装着不良の状態を書込不可状態としている。このため、カメラシステム10は、事後的な映像の確認ために記憶媒体が取り出された場合や、装着部への記憶媒体の装着が適切ではない場合や、装着部(カメラシステム10)への衝撃等により装着部内での記憶媒体の接続不良が生じた場合であっても、事後的に映像を確認できる時間の低減を抑えることができる。
【0050】
カメラシステム10は、書込処理部14による記憶媒体(SDカード22)への書き込みを失敗した状態を書込不可状態としている。このため、カメラシステム10は、一方の装着部(カード装着部21)や記憶媒体に不測の不具合が生じた場合であっても、事後的に映像を確認できる時間の低減を抑えることができる。
【0051】
カメラシステム10は、制御部13が、書込不可状態を検知すると点灯部17を点灯させる。このため、カメラシステム10は、カメラシステム10が書込不可状態であるか否かを外から判らせることができるとともに、そこに保存されているのが書込データD2Rである旨も外から判らせることができる。
【0052】
カメラシステム10は、カメラ装置12が、データ量低減処理において、制御部13への通信帯域を小さくしつつ映像データD1を制御部13へと出力する。このため、カメラシステム10は、カメラ装置12が生成する映像データD1のデータ量に拘らず、書込処理部14へと出力する書込データD2Rのデータ量を適切に低減することができ、事後的に映像を確認できる時間の低減を抑えることができる。
【0053】
カメラシステム10は、カメラ装置12が、データ量低減処理において、書込不可状態の検知前よりもデータ量を減らした映像データD1を生成する。このため、カメラシステム10は、カメラ装置12により生成される映像データD1自体のデータ量を低減できるので、書込処理部14へと出力する書込データD2Rのデータ量を適切に低減することができ、事後的に映像を確認できる時間の低減を抑えることができる。
【0054】
したがって、本発明に係るカメラシステム10は、記憶媒体としてのSDカード22の一方が取り出されたり一方のSDカード22への書き込みが出来ない状況となったりした場合であっても、事後的に映像を確認することができ、監視目的での使い勝手を向上できる。
【0055】
以上、本開示のカメラシステムを各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については各実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0056】
例えば、実施例1では、カメラシステム10が電柱16の上部に取り付けられて街角の防犯のための監視に用いている。しかしながら、カメラシステム10は、事後的な映像の確認のために所定の時間の映像を保存するものであって、その確認のために記憶媒体(SDカード22)の取り出しを可能とするものであれば、様々な用途や場所に用いることができ、実施例1に限定されない。
【0057】
また、実施例1では、図2等に示すように、制御部13と書込処理部14とを別のブロックとして構成している。しかしながら、制御部13と書込処理部14とは、一体的な構成としてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0058】
さらに、実施例1では、記憶媒体として2つのSDカード22を用いている。しかしながら、記憶媒体は、通常時(基本設定)の書込データD2Bや書込不可状態時(低減設定)の書込データD2Rの書き込みを可能としつつ装着部(カード装着部21)に着脱可能とされて事後的な映像の確認を可能とするものであれば、数や種類(構成)は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。ここで、3つ以上の記憶媒体(SDカード22)を用いた場合、少なくとも1つの記憶媒体が正常(書込不可状態ではない)であって残りが書込不可状態の場合に、上記のようにデータ量低減処理を実行するものとすればよい。この場合であっても、カメラシステム10は、データ量低減処理において、カメラ装置12が、全ての記憶媒体(SDカード22)のデータ容量に対する書込不可状態ではない記憶媒体(SDカード22)のデータ容量の割合で、出力する映像データD1のデータ量を低減させることが望ましい。
【0059】
実施例1では、書込処理部14による2つのSDカード22(記憶媒体)への書き込みを、一方のSDカード22の空き容量がなくなると、他方のSDカード22に切り替えるものとしている。しかしながら、書込処理部14は、複数のSDカード22(記憶媒体)への書き込みを交互に切り替えるものであれば、SDカード22の空き容量に拘らず、所定の時間で切り替えたり日付毎に切り替えたりしてもよく、他のタイミングで切り替えてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【符号の説明】
【0060】
10 カメラシステム 12 カメラ装置 13 制御部 14 書込処理部 17 点灯部 21 (装着部の一例としての)カード装着部 22 (記憶媒体の一例としての)SDカード 23 撮像部 24 画像処理部 D1 映像データ D2 書込データ
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