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特開2023-123625検出装置、検出方法、検出プログラム及び記録媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123625
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】検出装置、検出方法、検出プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230829BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20230829BHJP
【FI】
G06T7/00 650A
G06T7/60 180B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101511
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2021195884の分割
【原出願日】2013-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002332
【氏名又は名称】弁理士法人綾船国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正浩
(72)【発明者】
【氏名】北野 和俊
(57)【要約】
【課題】
移動体重量の変化や車輪の空気圧の変化により、撮像部と路面との間の距離が変化しても、当該変化に応じた較正を行う。
【解決手段】
移動体MVの走行方向に沿って既知の長さを有する路面上特徴部である停止線に関する撮像部210による撮像画像に基づいて、移動量検出部321Aが、ピクセル移動量を検出する。また、特定部322Aが、撮像画像中における白線領域を特定する。そして、較正部323Aが、ピクセル移動量及び撮像画像内における白線領域の特定結果に加えて、停止線の移動体MVの走行方向に沿った既知の長さに基づいて、移動体MVが平坦な路面を等速直進走行していると判断できる場合に、撮像部210と路面との間の距離に関連する、1ピクセルに対応する路面上の距離を較正する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載された撮像部により撮像された路面上特徴部の画像を取得する取得部と;
前記取得部により取得された前記路面上特徴部の画像に基づいて、前記撮像部の搭載位置と路面との間の距離に関連する距離関連情報を出力する出力部と;を備え、
前記撮像部は、前記撮像部が前記移動体に固定されている固定位置の真下の路面を撮像する、
ことを特徴とする検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置、検出方法及び検出プログラム、並びに、当該検出プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の移動体の車輪速度と移動体速度との差を正規化したスリップ率λと、車輪と路面間とのグリップ力を正規化した摩擦係数μは、図1及び図2に示されるような関係(以下、「μ―λ特性」という)となっている。ここで、図1には駆動時のμ―λ特性が示され、図2には制動時のμ―λ特性との関係が示されている。
【0003】
なお、図1及び図2においては、乾燥路面におけるμ―λ特性が実線にて示され、湿潤路面におけるμ―λ特性が一点鎖線にて示されるとともに、凍結路面におけるμ―λ特性が二点鎖線にて示されている。
【0004】
図1に示される駆動時のスリップ率λの増加に伴う摩擦係数μの変化において、摩擦係数μが最大となるスリップ率よりも小さな状態が、移動体が安定して走行できる安定領域となっている。一方、摩擦係数μが最大となるスリップ率よりも大きな状態では、グリップ力が低下して最悪な場合は空転やロック現象が生じる不安定領域となっている。
【0005】
図2に示される制動時のスリップ率λの増加に伴う摩擦係数μの変化において、摩擦係数μが最小となるスリップ率よりも大きな状態が、安定領域となっている。一方、摩擦係数μが最小となるスリップ率よりも小さな状態では、不安定領域となっている。
【0006】
そして、摩擦係数μの絶対値が最大値となるスリップ率の絶対値以下の範囲にスリップ率λを制御すれば、移動体は安定走行を維持することができる。一方、不安定状態が継続してタイヤの空転やロックが生じると、車両の駆動・制動・操舵のコントロールが不能になる。
【0007】
このため、事故の危険を回避するため、内燃機関自動車では主にブレーキ油圧制御とエンジン制御とを用いたABS(Antilock Brake System)等が採用されている。こうしたABS等では、スリップ状態を判断し、エンジンの駆動トルクとブレーキ油圧の制動トルクとを制御して、安定領域に近づける制御を行う。また、電気自動車においても、スリップ率λを推定して、モータのトルクを適切に制御することで、安定領域内に維持するようなアンチスリップ制御が提案されている。このように、スリップ率λを検知することは、走行状態を把握する上で非常に重要となっている。
【0008】
さて、スリップ率λは次の(1)式により算出するため、車輪半径rと、回転角速度ωと、移動体速度vとが必要となる。
λ=(r・ω-v)/Max(r・ω,v) …(1)
【0009】
ここで、Max(r・ω,v)は、(r・ω)とvとの数値の大きな方を示す。駆動時には、(r・ω)がvよりも大きいため、Max(r・ω,v)=r・ωである。一方、制動時には、vが(r・ω)よりも大きいため、Max(r・ω,v)=vである。
【0010】
なお、例えば、移動体が自動車の場合には、車輪の空気圧が十分であれば車輪半径rは一定と考えられる。また、回転角速度ωは車輪に搭載したエンコーダのパルス出力や、電気自動車であればモータに接続してあるレゾルバの信号出力から検出が可能である。
【0011】
一方,移動体速度vを検知する方法としては、以下の(a)~(c)が一般的に挙げられる。
(a)非駆動輪の回転速度から算出
(b)加速度センサにより検出された加速度値を積分して算出
(c)光学的なセンサによる検出結果に基づく算出
【0012】
ここで、(a)の方法は、ブレーキは全ての車輪にかかるので、制動時の移動体速度vを検知することができない。また、4輪駆動の場合には、非駆動輪が存在しないので、移動体速度vを検知することができない。
【0013】
また、(b)の方法では、加速度センサの出力を積分するため、加速度センサの出力に存在するオフセットが蓄積されてしまう。この結果、移動体速度vを正確に検知することができない。
【0014】
これらの(a)及び(b)の方法の欠点が原理的に存在しない(c)の方法が期待されている。かかる(c)の方法を採用した技術として、特許文献1に記載の技術が提案されている(以下、「従来例」と呼ぶ)。この従来例の技術では、自車両の近傍の光景を撮像した画像信号から、車両の走行状態または停止状態を判定する。また、画像における道路標示の寸法と、道路上における道路標示の寸法に基づいて、自車両の車体速度(すなわち、移動体速度)を検出するようになっている。なお、従来例の技術では、道路標示が画像内に存在する場合のみ車体速度の検知を行い、道路標示が画像内にない場合は走行/停止の判定のみを行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009-205642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した従来例の技術では、撮像画像内に道路標示が存在しない場合には、車体速度を検出しない。この結果、撮像画像内に道路標示が存在しない状態の継続中に車体速度が変化しても、最後に撮像画像内に道路標示が存在していた時点に検出された車体速度をそのまま現時点の車体速度と推定することになる。このため、各時点における車体速度を精度良く検知できるとはいい難かった。
【0017】
また、従来例の技術では、撮像装置を車体に装着するため、乗車人数や積載荷物の違い、また、車輪の空気圧の違いによって,撮像装置と路面との間の距離が変わる。この結果、撮像倍率が変化するため、撮像画像中における道路標示のサイズが変化することになる。
【0018】
例えば、図3(A)に示されるように、撮像部210が、結像レンズ系211(焦点距離:f)と、正方形の撮像面212(一辺の長さ:D)とを備え、結像レンズ系211から撮像面212までの距離を「d」とする。この場合、直下の路面LDを撮像する場合、結像レンズ系211から路面LDまでの距離(以下、「撮像部210から路面LDまでの距離」ともいう)を「h」とすると、撮像部210による撮像の光学倍率mは、次の(2)式で表される。
m=1/((h/f)-1) …(2)
なお、撮像面212におけるピクセル構成は、NU個×NU個(例えば、30個×30個)となっている。
【0019】
この結果、路面LD上において撮像対象となる正方形領域の一辺の長さHは、次の(3)式の通りとなる。
H=D/m=D・((h/f)-1) …(3)
【0020】
例えば、f=8[mm]、D=1.7[mm]、h=495[mm]とすると、H=103.5[mm]となる。
【0021】
さて、図3(B)に示されるように、図3(A)の状態から、車重が重くなり、距離hが短くなって距離h*となると、撮像部210による撮像の光学倍率が、図3(A)の状態における「m」から、次の(4)式で表される「m*」に変化する。
*=1/((h*/f)-1) …(4)
【0022】
この結果、撮像対象となる正方形領域の一辺の長さが、図3(A)の状態における「H」から、次の(5)式で表される「H*」に変化する。
*=D/m*=D・((h*/f)-1) …(5)
【0023】
例えば、h*=445[mm]となると、H*=92.9[mm]となり、上述した図3(A)の状態におけるH=103.5[mm]から10%程度変化する。この結果、1ピクセルの大きさに対応する路面上の領域の大きさも、上述した図3(A)の状態から10%程度変化することになる。
【0024】
ところで、単位時間ごとの撮像画像間の相関によって画像の移動距離を求め、前後方向及び横方向の車体速度を算出するようにした場合、撮像画像における1ピクセルの大きさに対応する路面上の領域の大きさが変化すると、算出される車体速度も変化する。すなわち、1ピクセルの大きさに対応する路面上の領域の大きさが10%程度変化すると、速度算出値も10%程度変化して、誤差が生じることになる。
【0025】
路面変動に対する動的な誤差は、平均化処理によって誤差による影響を少なくできる。しかしながら、車両重量の変化や車輪の空気圧の変化はオフセットとなるため、平均化処理では誤差の影響を抑制することができない。
【0026】
このため、車両重量の変化や車輪の空気圧の変化が生じても、車体速度を精度良く検出することができる技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0027】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、車両重量の変化や車輪の空気圧の変化により、路面と撮像部との距離が変化しても、当該変化に応じた較正を行うことができる検出装置及び検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
請求項1に記載の発明は、移動体に搭載された撮像部により所定時間隔てて進行方向に沿って撮像された、既知の長さを有する路面上特徴部を含む複数の画像を取得する取得部と;前記取得部により取得された複数の画像に基づいて、前記既知の長さに対応する、所定幅の画像領域の数を算出し、当該算出された数と前記既知の長さとに基づいて前記所定幅に対応する前記路面上の距離に関連する距離情報を出力する出力部と;を備えることを特徴とする検出装置である。
請求項4に記載の発明は、移動体に搭載された撮像部により所定時間隔てて進行方向に沿って撮像された路面上特徴部を含む複数の画像を取得する取得部と;前記取得部により取得された複数の画像に基づいて得られた前記画像における所定画像領域の幅に対応する路面上の距離を示す情報を、過去に出力された距離情報に基づいて較正し、較正結果を新たな距離情報として出力する第1出力部と;前記新たな距離情報を利用して、前記移動体の速度を出力する第2出力部と;を備えることを特徴とする検出装置である。
【0029】
請求項5に記載の発明は、取得部と、出力部とを備える検出装置において使用される検出方法であって、前記取得部が、移動体に搭載された撮像部により所定時間隔てて進行方向に沿って撮像された、既知の長さを有する路面上特徴部を含む複数の画像を取得する取得工程と;前記出力部が、前記取得工程において取得された複数の画像に基づいて、前記既知の長さに対応する、所定幅の画像領域の数を算出し、当該算出された数と前記既知の長さとに基づいて前記所定幅に対応する前記路面上の距離に関連する距離情報を出力する距離情報出力工程と;を備えることを特徴とする検出方法である。
【0030】
請求項6に記載の発明は、検出装置が有するコンピュータに、請求項5に記載の検出方法を実行させる、ことを特徴とする検出プログラムである。
【0031】
請求項7に記載の発明は、検出装置が有するコンピュータにより読み取り可能に、請求項6に記載の検出プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】駆動時のスリップ率と摩擦係数との関係を示す図である。
図2】制動時のスリップ率と摩擦係数との関係を示す図である。
図3】車両重量などの変化による速度算出値の変化を説明するための図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る検出装置の構成を示す図である。
図5図4の移動量検出部の動作を説明するための図である。
図6】第1実施形態における較正環境を説明するための図である。
図7図4の特定部の動作を説明するための図である。
図8図4の較正部による較正動作を説明するための図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る検出装置の構成を示す図である。
図10図9の2個の撮像部の配置位置の関係を説明するための図である。
図11】第2実施形態における較正環境を説明するための図である。
図12図9の特定部の動作を説明するための図である。
図13図9の較正部による較正動作を説明するための図である。
図14】本発明の第1実施例に係る検出装置の構成を示す図である。
図15図14の制御ユニットにより実行されるピクセル移動量の検出処理を説明するためのフローチャートである。
図16図14の制御ユニットにより実行される車体速度の出力処理を説明するためのフローチャートである。
図17図14の制御ユニットにより実行される白線領域の特定処理を説明するためのフローチャートである。
図18図14の制御ユニットにより実行される較正条件のモニタ処理を説明するためのフローチャートである。
図19図14の制御ユニットにより実行されるピクセル距離の較正処理を説明するためのフローチャートである。
図20】本発明の第2実施例に係る検出装置の構成を示す図である。
図21図20の制御ユニットにより実行されるピクセル移動量の検出処理を説明するためのフローチャートである。
図22図20の制御ユニットにより実行される白線領域の特定処理を説明するためのフローチャートである。
図23図20の制御ユニットにより実行されるピクセル距離の較正処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を、図4図13を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、図4図8を参照して説明する。
【0035】
<構成>
図4には、第1実施形態に係る検出装置300Aの構成が、ブロック図にて示されている。図4に示されるように、検出装置300Aは、撮像部210、ナビゲーション装置220及びECU(Electronic Control Unit)230と接続されている。そして、検出装置300A、撮像部210、ナビゲーション装置220及びECU230は、移動体MVに搭載されている。
【0036】
上記の撮像部210は、移動体MVの固定的な位置に搭載され、上述の図3を参照して説明したように、固定位置の直下の路面を撮像する。この撮像部210は、周期時間TPで路面の撮像を周期的に行う。こうして撮像された画像のデータ(以下、「撮像画像データ」という)は、検出装置300Aへ送られる。
【0037】
なお、「周期時間TP」は、移動体MVが高速で走行していても、周期時間TPを隔てて撮像された2つの画像には共通の路面上領域が含まれるようにするとの観点から、実験、シミュレーション等に基づいて、予め定められる。
【0038】
上記のナビゲーション装置220は、地図情報と現在位置情報とに基づいて、利用者に対して、移動体MVの走行操作支援を行う。このナビゲーション装置220は、移動体MVが、走行方向に存在する交差点から所定距離以内となると、その旨を検出装置300Aへ送る。
【0039】
なお、「所定距離」は、第1実施形態において路面上特徴部として採用する交差点手前の停止線に関する走行方向に沿った始めから終わりまでの撮像のための適切な事前通知の観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0040】
上記のECU230は、車輪の回転速度センサ、加速度センサ、操舵角センサ、傾きセンサ等の各種センサから取得したセンサ検出情報に基づいて、移動体MVの走行を制御したり、利用者に走行情報を提供したりする。このECU230は、加速度情報、操舵角情報及び傾き情報を検出装置300Aへ送る。
【0041】
なお、ECU230は、検出装置300Aから送られた移動体速度(走行速度情報)を更に取得し、取得された移動体速度を移動体MVの走行制御に役立てるようになっている。
【0042】
上記の検出装置300Aは、図4に示されるように、取得部310Aと、第1出力部320Aとを備えている。また、検出装置300Aは、第2出力部330を備えている。
【0043】
上記の取得部310Aは、撮像部210から送られた撮像画像データを受ける。そして、取得部310Aは、当該撮像画像データを第1出力部320Aへ送る。
【0044】
上記の第1出力部320Aは、取得部310Aから送られた撮像画像データを受ける。そして、第1出力部320Aは、周期時間TPを隔てて撮像された2つの画像間における同一の路面位置のピクセルの移動量の個数(以下、「ピクセル移動量」という)を検出するとともに、後述する較正条件を満たした場合には、1ピクセルに対応する路面上の距離(以下、「ピクセル距離」という)を較正する。検出されたピクセル移動量及び較正されたピクセル距離は、第2出力部330へ出力される。かかる機能を有する第1出力部320Aの構成の詳細については、後述する。
【0045】
上記の第2出力部330は、第1出力部320Aから送られたピクセル移動量を受けるたびに、最新の較正されたピクセル距離及び周期時間TPに基づいて、移動体MVの走行情報として移動体速度を算出する。そして、第2出力部330は、算出された移動体速度をECU230へ出力する。
【0046】
《第1出力部320Aの構成》
次に、上述した第1出力部320Aの構成について説明する。
【0047】
第1出力部320Aは、図4に示されるように、移動量検出部321Aと、特定部322Aとを備えている。また、第1出力部320Aは、較正部323Aを備えている。
【0048】
上記の移動量検出部321Aは、取得部310Aから送られた撮像画像データを受ける。そして、移動量検出部321Aは、当該撮像画像データに基づいて、いわゆる変位量探索法によりピクセル移動量を検出する。こうして検出されたピクセル移動量は、較正部323A及び第2出力部330へ送られる。
【0049】
なお、移動量検出部321Aの動作の詳細については、後述する。
【0050】
上記の特定部322Aは、取得部310Aから送られた撮像画像データを受ける。そして、特定部322Aは、撮像画像データから得られる画像中における白線領域を特定する。こうして特定された白線領域の情報(以下、「白線領域情報」という)は、較正部323Aへ送られる。
【0051】
なお、特定部322Aの動作の詳細については、後述する。
【0052】
上記の較正部323Aは、移動量検出部321Aから送られたピクセル移動量、及び、特定部322Aから送られた白線領域情報を受ける。そして、較正部323Aは、ECU230から送られた加速度情報、操舵角情報及び傾き情報により、移動体MVが平坦な路面を等速直進走行していると判断できる場合に、当該ピクセル移動量及び当該白線領域情報に加えて、路上に描かれた停止線の進行方向の長さがほぼ45[cm]であることに基づいて、ピクセル距離を較正する。こうして較正されたピクセル距離は、第2出力部330へ送られる。
【0053】
なお、較正部323Aの動作の詳細については、後述する。
【0054】
<動作>
次に、上記のように較正された検出装置300Aの動作について、検出装置300Aの各要素で行われる処理に着目して説明する。
【0055】
なお、撮像部210は、既に動作を開始しており、周期時間TPで撮像した路面画像の撮像画像データを、逐次、検出装置300Aへ送っているものとする。また、ナビゲーション装置220は、既に動作を開始しており、移動体MVが、走行方向に存在する交差点から所定距離以内となると、その旨を検出装置300Aへ送るようになっているものとする。また、ECU230は、既に動作を開始しており、加速度情報、操舵角情報及び傾き情報を検出装置300Aへ送っているものとする(図4参照)。
【0056】
さらに、検出装置300Aでは、既に、複数回のピクセル距離の較正が行われており、較正部323Aには、最近の所定回数分の較正時刻及び後述する暫定ピクセル距離を含む較正履歴が保持されているものとする。また、第2出力部330には、最新に較正されたピクセル距離が保持されているものとする。ここで、ピクセル距離の最初の較正が行われるまでの期間においては、第2出力部330には、平均的なピクセル距離が保持されるようになっている。
【0057】
なお、「所定回数」は、停止線の進行方向の長さの変動等のピクセル距離の較正結果への影響を抑制するための平均化処理を行うとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて予め定められる。また、「平均的なピクセル距離」は、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、移動体MVに対応して予め定められる。
【0058】
《画像データの取得処理》
検出装置300Aでは、取得部310Aが、撮像部210から送られた撮像画像データを受ける。そして、取得部310Aは、当該撮像画像データを、第1出力部320Aの移動量検出部321A及び特定部322Aへ送る(図4参照)。
【0059】
《ピクセル移動量の検出処理》
次に、移動量検出部321Aによるピクセル移動量の検出処理について説明する。
【0060】
取得部310Aから送られた撮像画像データを受けると、移動量検出部321Aは、今回の撮像画像データから得られる今回画像と前回の撮像画像データから得られる前回画像とにおける共通の特徴領域の位置の変位量を、ピクセル移動量として検出する。そして、移動量検出部321Aは、検出されたピクセル移動量を較正部323A及び第2出力部330へ送る(図4参照)。
【0061】
なお、共通する特徴領域が複数ある場合には、移動量検出部321Aは、複数の特徴領域のそれぞれの変位量の平均値を、ピクセル移動量として採用する。
【0062】
図5には、移動量検出部321Aによる移動量検出の例が示されている。この図5の例は、移動体MVがX方向に沿って直進しており、時刻TjにおけるX方向位置がXjであり、時刻Tj+1(=Tj+TP)おけるX方向位置がXj+1である場合の例となっている。また、図5の例は、時刻Tjにおける撮像画像と時刻Tj+1における撮像画像とにおける共通の特徴領域が、特徴領域Aと特徴領域Bの2種類である例が示されている。この図5の例では、特徴領域Aの変位量が「ΔXjA」であり、特徴領域Bの変位量が「ΔXjB」であるので、ピクセル移動量ΔXjは、次の(6)式により算出される。
ΔXj=(ΔXjA+ΔXjB)/2 …(6)
【0063】
《移動体速度vの出力処理》
次いで、第2出力部330による移動体速度vの出力処理について説明する。
【0064】
移動量検出部321Aから送られたピクセル移動量を受けると、第2出力部330は、ピクセル移動量、保持しているピクセル距離(すなわち、最新に較正されたピクセル距離)及び周期時間TPに基づいて移動体速度vを算出する。そして、第2出力部330は、算出された移動体速度vをECU230へ出力する。
【0065】
ここで、第2出力部330は、ピクセル移動量を「PN」とし、ピクセル距離を「PD」とした場合に、移動体速度vを、次の(7)式により算出する。
v=PN・PD/TP …(7)
【0066】
《白線領域の特定処理》
次に、特定部322Aによる白線領域の特定処理について説明する。
【0067】
かかる白線領域の特定処理は、後述する較正部323Aによるピクセル距離の較正のために行われる。かかるピクセル距離の較正に際しての環境(以下、「較正環境」という)が、図6に示されている。この図6に示されるように、ピクセル距離の較正は、移動体MVが、平坦な路面の等速直線走行で、進行方向の長さW(≒45[cm])の路面上の白線である停止線SPLを、停止線SPLの長手方向に対して直角に横切る際に行われる。
【0068】
なお、以下の説明においては、新たなピクセル距離の較正に利用される停止線SPLは、走行方向位置(すなわち、X方向位置)XRから走行方向位置XPまでが白線領域になっているものとする。
【0069】
さて、取得部310Aから送られた撮像画像データを受けると、特定部322Aは、撮像画像データから得られる画像における白線領域を、当該画像における各ピクセルの明るさに基づいて特定し、特定結果を、白線領域情報として、較正部323Aへ送る(図4参照)。かかる白線領域の特定結果には、図7(A)に示される前方一部白線、及び、図7(B)に示される後方一部白線の2種類が含まれている。
【0070】
なお、特定部322Aは、特定結果が前方一部白線の場合には、画像中の白線領域のX方向の長さのピクセル数a(以下、「前方長a」ともいう)を特定する。また、特定部322Aは、特定結果が後方一部白線の場合には、画像中の非白線領域のX方向の長さのピクセル数b(以下、「前方長b」ともいう)を特定する。
【0071】
そして、特定部322Aは、前方一部白線の場合には、図7(A)に示される白線領域情報[白線フラグ:ON,前方長:a]を較正部323Aへ送る(図4参照)。また、特定部322Aは、後方一部白線の場合には、図7(B)に示される白線領域情報[白線フラグ:ON,前方長:b]を較正部323Aへ送る(図4参照)。
【0072】
《ピクセル距離の較正処理》
次いで、較正部323Aによる較正処理について説明する。
【0073】
較正処理に際しては、較正部323Aは、ナビゲーション装置220から、移動体MVが走行方向に存在する交差点から所定距離以内となった旨を受けたか否かの交差点判定を行う。この交差点判定の結果が肯定的となると、較正部323Aは、ECU230から送られた加速度情報、操舵角情報及び傾き情報により、移動体MVが平坦な路面を等速直進走行していると判断できるか否の等速直進判定を行う。
【0074】
等速直進判定の結果が肯定的である場合には、較正部323Aは、特定部322Aから送られた白線領域情報が「前方一部白線」となったか否かの白線開始判定を行う。この白線開始判定の結果が肯定的となると、等速直進判定の結果が肯定的である状態が維持されることを条件として、較正部323Aは、特定部322Aから送られた白線領域情報が「後方一部白線」となった否かの白線終了判定の結果が肯定的となるまで、移動量検出部321Aから送られたピクセル移動量を収集する。
【0075】
そして、白線終了判定の結果が肯定的となると、較正部323Aは、「前方一部白線」となった時点における白線領域情報に含まれる前方長a、収集されたピクセル移動量ΔX1,…,ΔXM、及び、「後方一部白線」となった時点における白線領域情報に含まれる前方長bに基づいて、暫定ピクセル距離PT[cm]を、次の(8)式により算出する。
PT=45/(a+ΔX1+…+ΔXM-b) …(8)
【0076】
次に、較正部323Aは、算出された今回の暫定ピクセル距離と、内部に保持している過去における所定回数の較正時に算出された暫定ピクセル距離との重み付け平均を算出して、今回較正されたピクセル距離を算出する。この後、較正部323Aは、それまで内部に保持していた暫定ピクセル距離のうちで最も古いものに代えて、今回の暫定ピクセル距離を内部に保持する。
【0077】
なお、重み付け平均では、現在までの経過時間が長いものほど重みが少なくするようになっている。
【0078】
較正部323Aは、算出されたピクセル距離を第2出力部330へ送る。この結果、第2出力部330は、新たなピクセル距離を利用した移動体速度vの算出を行うようになる。
【0079】
なお、図8には、時刻T1で前方一部白線の撮像画像が得られ、時刻T5で後方一部白線の撮像画像が得られた場合の例が示されている。この図8の例では、次の(9)式により、暫定ピクセル距離PT[cm]が算出される。
PT=45/(a+ΔX1+ΔX2+ΔX3+ΔX4-b) …(9)
【0080】
以上説明したように、第1実施形態では、移動体MVの走行方向に沿って既知の長さを有する路面上特徴部である停止線に関する撮像部210による撮像画像に基づいて、移動量検出部321Aが、ピクセル移動量を検出する。また、特定部322Aが、撮像画像中における白線領域を特定する。そして、較正部323Aが、ピクセル移動量及び撮像画像内における白線領域の特定結果に加えて、移動体MVの走行方向に沿った停止線の既知の長さに基づいて、移動体MVが平坦な路面を等速直進走行していると判断できる場合に、撮像部210と路面との間の距離に関連する、1ピクセルに対応する路面上の距離を較正する。
【0081】
したがって、第1実施形態によれば、移動体重量の変化や車輪の空気圧の変化により、路面と撮像部210との距離が変化しても、1ピクセルに対応する路面上の距離を当該変化に応じて較正することができる。
【0082】
また、第1実施形態では、較正結果及びピクセル移動量に基づいて、第2出力部330が、移動体速度を算出する。このため、走行情報として精度の良い移動体速度を出力することができる。
【0083】
また、第1実施形態では、路面上特徴部として停止線を採用する。このため、撮像画像の各ピクセルの明るさを調べることにより、停止線領域(すなわち、白線領域)を容易に特定することができる。
【0084】
また、第1実施形態では、交差点に近付いた旨の情報を取得し、停止線を通過することを予め推測する。このため、効率的な較正を行うことができる。
【0085】
また、第1実施形態では、今回の暫定ピクセル距離と、過去における所定回数の較正時に算出された暫定ピクセル距離との重み付け平均を算出して、最終的な較正結果を得る。
これは、停止線が欠けていたり、塗装がはみ出ていたりして、想定長が45[cm]からずれている場合もあるためである。このため、停止線の進行方向の長さの変動等のピクセル距離の較正結果への影響を抑制した較正を行うことができる。
【0086】
また、第1実施形態では、直進走行中、定速走行中、かつ、路面傾きのない状況であるときに較正を実施する。これは、横方向の移動があると停止線の通過が斜めになり、45[cm]以上の長さに基づいて較正を行ってしまうこと、及び、加速度や減速度が大きいときや路面傾きがある場合は、サスペンション等の伸縮が生じるため、撮像時の光学倍率が変化している最中であることによる。このため、精度の良いピクセル距離の較正を行うことができる。
【0087】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図9図13を主に参照して説明する。
【0088】
<構成>
図9には、第2実施形態に係る検出装置300Bの構成が、ブロック図にて示されている。図9に示されるように、検出装置300Bは、撮像部210F,210R及びECU230と接続されている。そして、検出装置300B、撮像部210F,210R及びECU230は、移動体MVに搭載されている。
【0089】
上記の撮像部210F,210Rのそれぞれは、上述した撮像部210と同様に構成される。そして、撮像部210Fは、移動体MVの前側に配置され、撮像部210Rは、撮像部210Fから距離Dを隔てた移動体MVの後側に配置される(図10参照)。なお、撮像部210F,210Rは、同一タイミングで撮像を行うようになっている。
【0090】
撮像部210Fにより撮像された画像(以下、「前側撮像画像」という)のデータは、検出装置300Bへ送られる。また、撮像部210Rにより撮像された画像(以下、「後側撮像画像」という)のデータも検出装置300Bへ送られる。
【0091】
なお、ECU230からは、上述した第1実施形態の場合と同様に、加速度情報、操舵角情報及び傾き情報を検出装置300Bへ送られる。また、ECU230は、検出装置300Bから送られた移動体速度を更に取得し、取得された移動体速度を移動体MVの走行制御に役立てるようになっている。
【0092】
上記の検出装置300Bは、図9に示されるように、取得部310Bと、第1出力部320Bとを備えている。また、検出装置300Bは、第2出力部330を備えている。
【0093】
上記の取得部310Bは、撮像部210Fから送られた前側撮像画像のデータ、及び、撮像部210Rから送られた後側撮像画像のデータを受ける。そして、取得部310Bは、前側撮像画像のデータ及び後側撮像画像のデータを第1出力部320Bへ送る。
【0094】
上記の第1出力部320Bは、取得部310Bから送られた前側撮像画像のデータ及び後側撮像画像のデータを受ける。そして、第1出力部320Bは、ピクセル移動量を検出するとともに、上述した第1実施形態の場合と同様の較正条件を満たした場合には、ピクセル距離を較正する。検出されたピクセル移動量及び較正されたピクセル距離は、第2出力部330へ出力する。かかる機能を有する第1出力部320Bの構成の詳細については、後述する。
【0095】
なお、上記の第2出力部330は、第1出力部320Bから送られたピクセル移動量を受けるたびに、上述した第1実施形態の場合と同様に、最新の較正されたピクセル距離及び周期時間TPに基づいて、移動体MVの走行情報として移動体速度を算出する。そして、第2出力部330は、算出された移動体MVの移動体速度をECU230へ出力する。
【0096】
《第1出力部320Bの構成》
次に、上述した第1出力部320Bの構成について説明する。
【0097】
第1出力部320Bは、図9に示されるように、移動量検出部321Bと、特定部322Bとを備えている。また、第1出力部320Bは、較正部323Bを備えている。
【0098】
上記の移動量検出部321Bは、取得部310Bから送られた前側撮像画像のデータ及び後側撮像画像のデータを受ける。そして、移動量検出部321Bは、前側撮像画像のデータ及び後側撮像画像のデータに基づいて、いわゆる変位量探索法によりピクセル移動量を検出する。こうして検出されたピクセル移動量は、較正部323B及び第2出力部330へ送られる。
【0099】
なお、移動量検出部321Bの動作の詳細については、後述する。
【0100】
上記の特定部322Bは、取得部310Bから送られた前側撮像画像のデータ及び後側撮像画像のデータを受ける。そして、特定部322Bは、前側撮像画像のデータ及び後側撮像画像のデータから得られる画像中における白線領域を特定する。こうして特定された白線領域の情報(以下、「白線領域情報」という)は、較正部323Bへ送られる。
【0101】
なお、特定部322Bの動作の詳細については、後述する。
【0102】
上記の較正部323Bは、移動量検出部321Bから送られたピクセル移動量、及び、特定部322Bから送られた白線領域情報を受ける。そして、較正部323Bは、ECU230から送られた加速度情報、操舵角情報及び傾き情報により、移動体MVが平坦な路面を等速直進走行していると判断できる場合に、当該ピクセル移動量及び当該白線領域情報に加えて、上述した撮像部210Fと撮像部210Rとの間の距離Dに基づいて、ピクセル距離を較正する。こうして較正されたピクセル距離は、第2出力部330へ送られる。
【0103】
なお、較正部323Bの動作の詳細については、後述する。
【0104】
<動作>
次に、上記のように較正された検出装置300Bの動作について、検出装置300Bの各要素で行われる処理に着目して説明する。
【0105】
なお、撮像部210F,210Rは、既に動作を開始しており、周期時間TPで撮像した路面画像の前側撮像画像のデータ及び後側撮像画像のデータを、逐次、検出装置300Bへ送っているものとする。また、ECU230は、既に動作を開始しており、加速度情報、操舵角情報及び傾き情報を検出装置300Bへ送っているものとする(図9参照)。
【0106】
さらに、検出装置300Bでは、既に、複数回のピクセル距離の較正が行われており、較正部323Bには、最近の所定回数分の較正時刻及び後述する暫定ピクセル距離を含む較正履歴が保持されているとともに、第2出力部330には、最新に較正されたピクセル距離が保持されているのものとする。ここで、ピクセル距離の最初の較正が行われるまでの期間においては、上述した第1実施形態の場合と同様に、第2出力部330には、平均的なピクセル距離が保持されるようになっている。
【0107】
《画像データの取得処理》
検出装置300Bでは、取得部310Bが、撮像部210F,210Rから送られた前側撮像画像のデータ及び後側撮像画像のデータを受ける。そして、取得部310Bは、前側撮像画像のデータ及び後側撮像画像のデータを、第1出力部320Bの移動量検出部321B及び特定部322Bへ送る(図9参照)。
【0108】
《ピクセル移動量の検出処理》
次に、移動量検出部321Bによるピクセル移動量の検出処理について説明する。
【0109】
取得部310Bから送られた前側撮像画像のデータを受けると、移動量検出部321Bは、上述した第1実施形態のピクセル移動量の検出と同様にして、今回の前側撮像画像のデータから得られる今回前側撮像画像と前回の前側撮像画像のデータから得られる前回前側撮像画像とにおける共通の特徴領域の位置の変位量を、前側ピクセル移動量として検出する。また、取得部310Bから送られた後側撮像画像のデータを受けると、移動量検出部321Bは、第1実施形態のピクセル移動量の検出と同様にして、今回の後側撮像画像のデータから得られる今回後側撮像画像と前回の後側撮像画像のデータから得られる前回後側撮像画像とにおける共通の特徴領域の位置の変位量を、後側ピクセル移動量として検出する。
【0110】
なお、今回前側撮像画像と前回前側撮像画像とに共通する特徴領域が複数ある場合には、移動量検出部321Bは、複数の特徴領域のそれぞれの変位量の平均値を、前側ピクセル移動量として採用する。また、今回後側撮像画像と前回後側撮像画像とに共通する特徴領域が複数ある場合には、移動量検出部321Bは、複数の特徴領域のそれぞれの変位量の平均値を、後側ピクセル移動量として採用する。
【0111】
引き続き、移動量検出部321Bは、前側ピクセル移動量と後側ピクセル移動量との平均を、ピクセル移動量として算出する。そして、移動量検出部321Bは、算出されたピクセル移動量を較正部323B及び第2出力部330へ送る(図9参照)。
【0112】
《移動体速度vの出力処理》
次いで、第2出力部330による移動体速度vの出力処理について説明する。
【0113】
移動量検出部321Bから送られたピクセル移動量を受けると、第2出力部330は、第1実施形態の場合と同様にして、ピクセル移動量、保持しているピクセル距離(すなわち、最新に較正されたピクセル距離)及び周期時間TPに基づいて移動体速度vを算出する。そして、第2出力部330は、算出された移動体速度vをECU230へ出力する。
【0114】
《白線領域の特定処理》
次に、特定部322Bによる白線領域の特定処理について説明する。
【0115】
かかる白線領域の特定処理は、後述する較正部323Bによるピクセル距離の較正のために行われる。かかるピクセル距離の較正環境が、図11に示されている。この図11に示されるように、ピクセル距離の較正は、移動体MVが、平坦な路面にある例えば横断歩道標示のような白線領域LCPを等速直線走行で横切る際に行われる。
【0116】
なお、以下の説明においては、新たなピクセル距離の較正に利用される白線領域LCPは、走行方向位置(すなわち、X方向位置)XRから走行方向位置XPまでが白線領域になっているものとする。
【0117】
さて、取得部310Bから送られた前側撮像画像のデータ及び後側撮像画像のデータを受けると、特定部322Bは、前側撮像画像及び後側撮像画像における白線領域を、当該画像における各ピクセルの明るさに基づいて特定し、特定結果を、白線領域情報として、較正部323Bへ送る(図9参照)。かかる白線領域の特定結果には、図12(A)に示される「第1後方一部白線」、及び、図12(B)に示される「第2後方一部白線」の2種類が含まれる。ここで、「第1後方一部白線」は、前側設置の撮像部210Fによる撮像で得られた前側撮像画像における後方一部白線の状態である。また、「第2後方一部白線」は、後側設置の撮像部210Rによる撮像で得られた後側撮像画像における後方一部白線の状態である。
【0118】
なお、第2実施形態では、特定部322Bは、前側撮像画像において、白線を通過する際に「第1後方一部白線」となるまでの白線が明確に特定できる状態が継続したことを条件として、白線領域情報を生成するようになっている。このため、タイヤ痕等により白線が明確に特定できなかった場合には、特定部322Bは、白線領域情報を生成しない。すなわち、第2実施形態では、タイヤ痕等により白線が明確に特定できなかった場合には、ピクセル距離の較正を行わない。
【0119】
また、第2実施形態において前側撮像画像における第1後方一部白線及び後側撮像画像における第2後方一部白線に着目して白線領域の特定を行うのは、細い白線の場合は撮像画像内に複数の白線が入っていると計測に間違いを生じやすいことにもよる。かかる工夫を行うことにより、無駄な較正を行わずに済むので、無駄をなくせる。
【0120】
なお、特定部322Bは、特定結果が前側撮像画像における第1後方一部白線の場合には、画像中の非白線領域のX方向の長さa(以下、「前方長a」ともいう)を特定する。また、特定部322Bは、特定結果が後側撮像画像における第2後方一部白線の場合には、画像中の非白線領域のX方向の長さb(以下、「前方長b」ともいう)を特定する。
【0121】
そして、特定部322Bは、前側撮像画像における第1後方一部白線の場合には、図12(A)に示される白線領域情報[第1後方一部白線フラグ:ON,前方長:a]を較正部323Bへ送る(図9参照)。また、特定部322Bは、第2後方一部白線の場合には、図12(B)に示される白線領域情報[第2後方一部白線フラグ:ON,前方長:b]を較正部323Bへ送る(図9参照)。
【0122】
《ピクセル距離の較正処理》
次いで、較正部323Bによる較正処理について説明する。
【0123】
較正処理に際しては、較正部323Bは、ECU230から送られた加速度情報、操舵角情報及び傾き情報により、移動体MVが平坦な路面での等速直進走行をしていると判断できるか否の等速直進判定を行う。
【0124】
等速直進判定の結果が肯定的である場合には、較正部323Bは、特定部322Bから送られた前側撮像画像における白線領域情報が「第1後方一部白線」となったか否かの前側白線終了判定を行う。この前側白線終了判定の結果が肯定的となると、平坦な路面での等速直進判定の結果が肯定的である状態が維持されることを条件として、較正部323Bは、特定部322Bから送られた後側撮像画像における白線領域情報が「第2後方一部白線」となった否かの後側白線終了判定の結果が肯定的となるまで、移動量検出部321Bから送られたピクセル移動量ΔX1,…,ΔXNを収集する(図13参照)。
【0125】
そして、後側白線終了判定の結果が肯定的となると、較正部323Bは、前側撮像画像における白線領域情報が「第1後方一部白線」となった時点における白線領域情報に含まれる前方長a、収集されたピクセル移動量ΔX1,…,ΔXN、及び、後側撮像画像における白線領域情報が「第2後方一部白線」となった時点における白線領域情報に含まれる前方長b、並びに、撮像部210Fと撮像部210Rとの間の距離Dに基づいて、暫定ピクセル距離PT[cm]を、次の(10)式により算出する。
PT=D/(a+ΔX1+…+ΔXN-b) …(10)
【0126】
次に、較正部323Bは、算出された今回の暫定ピクセル距離と、内部に保持している過去における所定回数の較正時に算出された暫定ピクセル距離との重み付け平均を算出して、今回較正されたピクセル距離を算出する。この後、較正部323Bは、それまで内部に保持していた暫定ピクセル距離のうちで最も古いものに代えて、今回の暫定ピクセル距離を内部に保持する。
【0127】
なお、重み付け平均では、第1実施形態の場合と同様に、現在までの経過時間が長いものほど重みが少なくするようになっている。
【0128】
較正部323Bは、算出されたピクセル距離を第2出力部330へ送る。この結果、第2出力部330は、新たなピクセル距離を利用した移動体速度vの算出を行うようになる。
【0129】
以上説明したように、第2実施形態では、移動体MVの走行方向に沿って既知の距離Dで移動体MVに配置された撮像部210F,210Rによる路面上特徴部である白線の撮像画像に基づいて、移動量検出部321Bが、ピクセル移動量を検出する。また、特定部322Bが、撮像画像中における白線領域を特定する。そして、較正部323Bが、ピクセル移動量及び撮像画像内における白線領域の特定結果に加えて、既知の距離Dに基づいて、移動体MVが平坦な路面を等速直進走行していると判断できる場合に、撮像部210F,210Rと路面との間の距離に関連する、1ピクセルに対応する路面上の距離を較正する。
【0130】
したがって、第2実施形態によれば、路面上特徴部である白線が移動体の走行方向に沿った長さが既知であるか未知であるかにかかわらず、移動体重量の変化や車輪の空気圧の変化により、路面と撮像部との距離が変化しても、1ピクセルに対応する路面上の距離を当該変化に応じて較正することができる。
【0131】
また、第2実施形態では、較正結果及びピクセル移動量に基づいて、第2出力部が、移動体速度を算出する。このため、走行情報として精度の良い移動体速度を出力することができる。
【0132】
また、第2実施形態では、路面上特徴部として白線を採用する。このため、撮像画像の各ピクセルの明るさを調べることにより、白線領域を容易に特定することができる。
【0133】
また、第2実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、今回の暫定ピクセル距離と、過去における最近における所定回数の較正時に算出された暫定ピクセル距離との重み付け平均を算出して、最終的な較正結果を得る。このため、白線の進行方向の長さの変動等のピクセル距離の較正結果への影響を抑制した較正を行うことができる。
【0134】
また、第2実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、直進走行中、定速走行中、かつ、路面傾きのない状況であるときに較正を実施する。このため、精度の良いピクセル距離の較正を行うことができる。
【0135】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0136】
例えば、上記の第1実施形態では、路面上特徴部として交差点の手前の停止線を採用するようにしたが、移動体の走行方向に沿って既知の長さを有する道路標示であれば、他の種類の道路標示を路面上特徴部として採用してもよい。
【0137】
また、上記の第2実施形態では、路面上特徴部として横断歩道等の白線を採用するようにしたが、白線以外の道路標示を路面上特徴部として採用してもよい。
【0138】
また、上記の第2実施形態では、前側画像の時間変化から得られる前側ピクセル移動量と、後側画像の時間変化から得られる後側ピクセル移動量との平均をピクセル移動量として検出するようにした。これに対し、前側ピクセル移動量及び後側ピクセル移動量のいずれか一方をピクセル移動量として検出するようにしてもよい。
【0139】
また、上記の第2実施形態では、前側撮像画像が第1後方一部白線となった時点から後側撮像画像が第2後方一部白線となった時点までの撮像画像の変化に基づいて、ピクセル距離を較正するようにした。これに対し、前側撮像画像が第1前方一部白線となった時点から後側撮像画像が第2前方一部白線となった時点までの撮像画像の変化に基づいて、ピクセル距離を較正するようにしてもよい。
【0140】
また、上記の第1及び第2実施形態では、いわゆる変位量探索法によりピクセル移動量を検出するようにしたが、画像相関法又は空間フィルタ法によりピクセル移動量を検出するようにしてもよい。
【0141】
また、上記の第1及び第2実施形態では、撮像部と路面との距離に関連する距離関連情報として、1ピクセルに対応する路面上の距離であるピクセル距離を較正するようにした。これに対し、複数ピクセルの集合である所定の画像要素の走行方向の長さ対応する路面上の距離である画像要素距離を較正するようにしてもよい。
【0142】
また、上記の第1及び第2実施形態では、第2出力部が走行情報として移動体速度(走行速度)を出力するようにしたが、移動体速度に代えて、又は、移動体速度に加えて、走行距離を出力するようにしてもよい。
【0143】
また、上記の第1及び第2実施形態では、今回の暫定ピクセル距離と、過去の所定数の暫定ピクセル距離との重み付け平均を算出してピクセル距離を較正するようにした。これに対し、今回の暫定ピクセル距離をそのまま、較正されたピクセル距離としてもよい。
【0144】
また、上記の第1及び第2実施形態では、撮像部が検出装置の外部に用意されることを前提としたが、検出装置が撮像部を備えるようにしてもよい。
【0145】
また、上記の第1及び第2実施形態では、検出装置が移動体に搭載されるようにした。これに対し、検出装置を移動体外に設置し、車両搭載の撮像部やECUと無線通信網を介して接続するようにしてもよい。
【0146】
なお、上記の第1及び第2実施形態の検出装置を、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の第1及び第2実施形態の検出装置の機能の一部又は全部を実行するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD-ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体からロードされて実行される。また、このプログラムは、CD-ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【実施例0147】
次に、本発明の実施例を、図14図23を主に参照して説明する。なお、以下の説明においては、上述した実施形態を含めて、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を極力省略する。
【0148】
[第1実施例]
まず、本発明の第1実施例を、図14図19を主に参照して説明する。
【0149】
<構成>
図14には、第1実施例に係る検出装置100Aの構成が概略的に示されている。この検出装置100Aは、上述した第1実施形態に係る検出装置300Aの一態様となっている。
【0150】
図14に示されるように、検出装置100Aは、撮像部210、ナビゲーション装置220及びECU230と接続されている。そして、検出装置100A、撮像部210、ナビゲーション装置220及びECU230は、車両CRに搭載されている。
【0151】
上記の検出装置100Aは、制御ユニット110Aを備えている。また、検出装置100Aは、記憶ユニット120を備えている。
【0152】
上記の制御ユニット110Aは、演算手段としての中央処理装置(CPU)を備えて構成される。この制御ユニット110Aは、プログラムを実行することにより、上述した第1実施形態における検出装置300Aとしての機能、すなわち、取得部310A、第1出力部320A及び第2出力部330としての機能を果たすようになっている。
【0153】
制御ユニット110Aが実行するプログラムは、記憶ユニット120に記憶され、記録ユニットからロードされて実行される。このプログラムは、CD-ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【0154】
なお、制御ユニット110Aが実行する処理については、後述する。
【0155】
上記の記憶ユニット120には、制御ユニット110Aは利用する様々な情報データが記憶される。こうした情報データには、制御ユニット110Aが実行するプログラム、最新のピクセル移動量、最新のピクセル距離を含む較正履歴等が含まれている。この記憶ユニット120には、制御ユニット110Aがアクセスできるようになっている。
【0156】
<動作>
次に、上記のように構成された検出装置100Aによる検出動作について、制御ユニット110Aによる処理に着目して説明する。
【0157】
なお、撮像部210は、既に動作を開始しており、周期時間TPで撮像した路面画像の撮像画像データを、逐次、検出装置100Aへ送っているものとする。また、ナビゲーション装置220は、既に動作を開始しており、車両CRが、走行方向に存在する交差点から所定距離以内となると、その旨を検出装置100Aへ送るようになっているものとする。また、ECU230は、既に動作を開始しており、加速度情報、操舵角情報及び傾き情報を検出装置100Aへ送っているものとする(図14参照)。
【0158】
さらに、検出装置100Aでは、既に、複数回のピクセル距離の較正が行われており、記憶ユニット120には、最近の所定回数分の較正時刻、前回の撮像画像から抽出された特徴領域の特性及び画像内位置、並びに、後述する暫定ピクセル距離を含む較正履歴等が記憶されているものとする。ここで、ピクセル距離の最初の較正が行われるまでの期間においては、記憶ユニット120には、平均的なピクセル距離が記憶されるようになっている。
【0159】
《ピクセル移動量の検出処理》
まず、制御ユニット110Aによるピクセル移動量の検出処理について説明する。
【0160】
ピクセル移動量の検出処理に際しては、図15に示されるように、まず、ステップS11において、制御ユニット110Aが、新たな撮像画像データを受けたか否かを判定する。ステップS11における判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、ステップS11の処理が繰り返される。
【0161】
新たな撮像画像データを受け、ステップS11における判定の結果が肯定的となると(ステップS11:Y)、処理はステップS12へ進む。このステップS12では、制御ユニット110Aが、新たな撮像画像データから得られる撮像画像(今回の撮像画像)における特徴領域を抽出し、当該特徴領域の特性及び画像内位置を特定する。
【0162】
次に、ステップS13において、制御ユニット110Aが、ピクセル移動量を検出する。かかるピクセル移動量の検出に際して、制御ユニット110Aは、記憶ユニット120内の前回の撮像画像から抽出された特徴領域の特性及び画像内位置を参照して、今回の撮像画像と前回の撮像画像とにおける共通の特徴領域の画像内位置の変位量を、新たなピクセル移動量として検出する。
【0163】
なお、共通する特徴領域が複数ある場合には、制御ユニット110Aは、複数の特徴領域のそれぞれの変位量の平均値を、ピクセル移動量として採用する。
【0164】
そして、制御ユニット110Aは、今回の撮像画像における特徴領域の特性及び画像内位置を、前回の撮像画像から抽出された特徴領域の特性及び画像内位置として記憶ユニット120内に登録する。また、制御ユニット110Aは、新たなピクセル移動量を、最新のピクセル移動量として記憶ユニット120内に登録する。
【0165】
こうしてステップS13の処理が終了すると、処理はステップS11へ戻る。以後、ステップS11~S13が繰り返され、新たな撮像画像のデータを受けるたびに、ピクセル移動量が検出される。
【0166】
《車体速度vの出力処理》
次いで、制御ユニット110Aによる車体速度vの出力処理について説明する。
【0167】
車体速度vの出力処理に際しては、図16に示されるように、まず、ステップS21において、制御ユニット110Aが、新たなピクセル移動量が検出されたか否かを判定する。ステップS21における判定の結果が否定的であった場合(ステップS21:N)には、ステップS21の処理が繰り返される。
【0168】
新たなピクセル移動量が検出され、ステップS21における判定の結果が肯定的となると(ステップS21:Y)、処理はステップS22へ進む。このステップS22では、記憶ユニット120内に登録されている最新のピクセル移動量(PN)及び最新のピクセル距離(PL)に基づいて、上述した(7)式により、車体速度vを算出する。そして、制御ユニット110Aは、算出された車体速度vをECU230へ出力する。
【0169】
こうしてステップS22の処理が終了すると、処理はステップS21へ戻る。以後、ステップS21,S22の処理が繰り返され、新たなピクセル移動量が検出されるたびに、すなわち、新たな撮像データを受けるたびに、新たな車体速度vが算出され、算出された車体速度vがECU230へ出力される。
【0170】
《白線領域の特定処理》
次に、制御ユニット110Aによる白線領域の特定処理について説明する。なお、当該白線領域の特定処理は、上述したピクセル移動量の検出処理及び車体速度vの出力処理と並行して実行される。
【0171】
かかる白線領域の特定処理は、後述するピクセル距離の較正のために行われる。このピクセル距離の較正に際しての較正環境は、上述した図6に示される場合と同様となっている。
【0172】
さて、白線領域の特定処理に際しては、図17に示されるように、まず、ステップS31において、制御ユニット110Aが、新たな撮像画像データを受けたか否かを判定する。ステップS31における判定の結果が否定的であった場合(ステップS31:N)には、ステップS31の処理が繰り返される。
【0173】
新たな撮像画像データを受け、ステップS31における判定の結果が肯定的となると(ステップS31:Y)、処理はステップS32へ進む。このステップS32では、制御ユニット110Aが、新たな撮像画像データから得られる撮像画像における白線領域を、当該撮像画像における各ピクセルの明るさに基づいて特定する。
【0174】
次に、ステップS33において、制御ユニット110Aが、白線領域の特定結果が「前方一部白線(図7(A)参照)」であるか否かを判定する。ステップS33の判定の結果が否定的であった場合(ステップS33:N)には、処理はステップS31へ戻る。そして、ステップS33の判定の結果が肯定的となるまで、ステップS31~S33の処理が繰り返される。
【0175】
白線領域の特定結果が「前方一部白線」となり、ステップS33における判定の結果が肯定的となると(ステップS33:Y)、処理はステップS34へ進む。このステップS34では、制御ユニット110Aが、前方長a(図7(A)参照)を算出する。そして、処理はステップS35へ進む。
【0176】
次いで、ステップS35において、制御ユニット110Aが、新たな撮像画像データを受けたか否かを判定する。ステップS35における判定の結果が否定的であった場合(ステップS35:N)には、ステップS35の処理が繰り返される。
【0177】
新たな撮像画像データを受け、ステップS35における判定の結果が肯定的となると(ステップS35:Y)、処理はステップS36へ進む。このステップS36では、制御ユニット110Aが、新たな撮像画像データから得られる撮像画像における白線領域を、当該撮像画像における各ピクセルの明るさに基づいて特定する。
【0178】
次に、ステップS37において、制御ユニット110Aが、白線領域の特定結果が「後方一部白線(図7(B)参照)」であるか否かを判定する。ステップS37の判定の結果が否定的であった場合(ステップS37:N)には、処理はステップS35へ戻る。そして、ステップS37の判定の結果が肯定的となるまで、ステップS35~S37の処理が繰り返される。
【0179】
白線領域の特定結果が「後方一部白線」となり、ステップS37における判定の結果が肯定的となると(ステップS37:Y)、処理はステップS38へ進む。このステップS38では、制御ユニット110Aが、前方長b(図7(B)参照)を算出する。そして、処理はステップS31へ戻る。
【0180】
以後、ステップS31~S38が繰り返される。この結果、車両CRが白線を横切るたびに、白線領域の特定が行われる。
【0181】
《較正条件のモニタ処理》
次に、制御ユニット110Aによる較正条件のモニタ処理について説明する。なお、当該較正条件のモニタ処理は、上述したピクセル移動量の検出処理、車体速度vの出力処理及び白線領域の特定処理と並行して実行される。
【0182】
較正条件のモニタ処理に際しては、図18に示されるように、まず、ステップS41において、ECU230から送られた最新の操舵角情報に基づいて、車両CRが直進中か否かを判定する。ステップS41における判定の結果が否定的であった場合(ステップS41:N)には、処理は、後述するステップS44へ進む。
【0183】
ステップS41における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS41:Y)には、処理はステップS42へ進む。このステップS42では、制御ユニット110Aが、ECU230から送られた最新の加速度情報に基づいて、車両CRが加速中又は減速中か否かを判定する。ステップS42における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS42:Y)には、処理はステップS44へ進む。
【0184】
ステップS42における判定の結果が否定的であった場合(ステップS42:N)には、処理はステップS43へ進む。このステップS43では、制御ユニット110Aが、ECU230から送られた最新の傾き情報に基づいて、車両CRの車体傾きが有るか否かを判定する。
【0185】
ステップS43における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS43:Y)には、処理はステップS44へ進む。このステップS44では、制御ユニット110Aが、較正条件フラグを「OFF」に設定する。そして、処理はステップS41へ戻る。
【0186】
一方、ステップS43における判定の結果が否定的であった場合(ステップS43:N)には、処理はステップS45へ進む。このステップS45では、制御ユニット110Aが、較正条件フラグを「ON」に設定する。そして、処理はステップS41へ戻る。
【0187】
以後、ステップS41~S44の処理が繰り返される。この結果、車両CRが平坦な路面を等速直進走行しているという較正条件が満たされていると判断される場合には、較正条件フラグが「ON」となる。一方、当該較正条件が満たされていないと判断される場合には、較正条件フラグが「OFF」となる。
【0188】
《ピクセル距離の較正処理》
次いで、制御ユニット110Aによるピクセル距離の較正処理について説明する。なお、当該ピクセル距離の較正処理は、上述したピクセル移動量の検出処理、車体速度vの出力処理、白線領域の特定処理及び較正条件のモニタ処理と並行して実行される。
【0189】
ピクセル距離の較正処理に際しては、図19に示されるように、まず、ステップS50において、制御ユニット110Aが、ナビゲーション装置220から走行方向に存在する交差点から所定距離以内となった旨を受けたか否かを判定することにより、交差点に接近したか否かを判定する。ステップS50における判定の結果が否定的であった場合(ステップS50:N)には、ステップS50の処理が繰り返される。
【0190】
交差点に接近し、ステップS50における判定の結果が肯定的となると(ステップS50:Y)、処理はステップS51へ進む。このステップS51では、制御ユニット110Aが、較正条件フラグが「ON」であるか否かを判定することにより、車両CRが平坦な路面を等速直進走行しているか否かを判定する。
【0191】
ステップS51における判定の結果が否定的であった場合(ステップS51:N)には、処理はステップS50へ戻る。そして、ステップS50,S51の処理が繰り返される。
【0192】
ステップS51における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS51:Y)には、処理はステップS52へ進む。このステップS52では、制御ユニット110Aが、上述した白線領域の特定処理により「前方一部白線」となっていることが特定され、前方長aが求められたかを判定する。
【0193】
ステップS51における判定の結果が否定的であった場合(ステップS52:N)には、処理はステップS51へ戻る。そして、ステップS51における判定の結果が否定的とならないことを条件として、ステップS51,S52の処理が繰り返される。
【0194】
ステップS52における判定の結果が肯定的となると(ステップS52:Y)、処理はステップS53へ進む。このステップS53では、距離パラメータLを前方長aに設定する。
【0195】
次に、ステップS54において、制御ユニット110Aが、較正条件フラグが「ON」であるか否かを判定することにより、車両CRが平坦な路面を等速直進走行しているか否かを判定する。ステップS54における判定の結果が否定的であった場合(ステップS54:N)には、処理はステップS50へ戻る。
【0196】
ステップS54における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS54:Y)には、処理はステップS55へ進む。このステップS55では、制御ユニット110Aが、上述したピクセル移動量の検出処理により新たなピクセル移動量(ΔXj)が検出されたか否かを判定する。
【0197】
ステップS55における判定の結果が否定的であった場合(ステップS55:N)には、処理はステップS54へ戻る。そして、ステップS54における判定の結果が否定的とならないことを条件として、ステップS54,S55の処理が繰り返される。
【0198】
ステップS55における判定の結果が肯定的となると(ステップS55:Y)、処理はステップS56へ進む。このステップS56では、制御ユニット110Aが、それまでの距離パラメータLの値に新たなピクセル移動量(ΔXj)を加算して、距離パラメータLの値を更新する。
【0199】
次いで、ステップS57において、制御ユニット110Aが、上述した白線領域の特定処理により「後方一部白線」となっていることが特定され、前方長bが求められているかを判定する。ステップS57における判定の結果が否定的であった場合(ステップS57:N)には、処理はステップS54へ戻る。そして、ステップS54における判定の結果が否定的とならないことを条件として、ステップS54~S57の処理が繰り返される。
【0200】
ステップS57における判定の結果が肯定的となると(ステップS57:Y)、処理はステップS58へ進む。このステップS58では、制御ユニット110Aが、それまでの距離パラメータLの値から前方長bを減算して、距離パラメータLの値を更新する。
【0201】
次に、ステップS59において、制御ユニット110Aが、その時点における距離パラメータLの値に基づき、次の(11)式により、暫定ピクセル距離PT[cm]を算出する。
PT=45/L …(11)
なお、(11)式は、上述した(8)式と等価な式となっている。
【0202】
引き続き、制御ユニット110Aは、算出された今回の暫定ピクセル距離と、記憶ユニット120内に記憶されている過去における所定回数の較正時に算出された暫定ピクセル距離との重み付け平均を算出して、新たに較正されたピクセル距離を算出する。この後、制御ユニット110Aは、記憶ユニット120内の最新のピクセル距離を当該新たに較正されたピクセル距離に更新するとともに、それまで記憶ユニット120内に記憶されていた暫定ピクセル距離のうちで最も古いものに代えて、今回の暫定ピクセル距離を現在時刻とともに記憶ユニット120に格納する。この結果、上述した車体速度vの出力処理に際して、制御ユニット110Aは、新たなピクセル距離を利用した車体速度vの算出を行うようになる。
【0203】
こうしてステップS59の処理が終了すると、処理はステップS50へ戻る。そして、ステップS50~S59の処理が繰り返される。この結果、車両CRが、平坦な路面を等速直進走行して、交差点の手前の停止線(白線)を横切るたびに、ピクセル距離が較正される。
【0204】
以上説明したように、第1実施例では、車両CRの撮像部210による撮像画像に基づいて、制御ユニット110Aが、ピクセル移動量を検出する。また、制御ユニット110Aが、撮像画像中における白線領域を特定する。そして、制御ユニット110Aが、ピクセル移動量及び撮像画像内における白線領域の特定結果に加えて、車両CRの走行方向に沿った停止線の既知の長さに基づいて、車両CRが平坦な路面を等速直進走行していると判断できる場合に、撮像部210と路面との間の距離に関連する、1ピクセルに対応する路面上の距離を較正する。
【0205】
したがって、第1実施例によれば、車両重量の変化や車輪の空気圧の変化により、路面と撮像部との距離が変化しても、1ピクセルに対応する路面上の距離を当該変化に応じて較正することができる。
【0206】
また、第1実施例では、較正結果及びピクセル移動量に基づいて、制御ユニット110Aが、車体速度を算出する。このため、走行情報として精度の良い車体速度を出力することができる。
【0207】
また、第1実施例では、路面上特徴部として停止線を採用する。このため、撮像画像の各ピクセルの明るさを調べることにより、停止線領域(すなわち、白線領域)を容易に特定することができる。
【0208】
また、第1実施例では、交差点に近付いた旨の情報を取得し、停止線を通過することを予め推測する。このため、効率的な較正を行うことができる。
【0209】
また、第1実施例では、今回の暫定ピクセル距離と、過去における所定回数の較正時に算出された暫定ピクセル距離との重み付け平均を算出して、最終的な較正結果を得る。このため、停止線の進行方向の長さの変動等のピクセル距離の較正結果への影響を抑制した較正を行うことができる。
【0210】
また、第1実施例では、直進走行中、定速走行中、かつ、路面傾きのない状況であるときに較正を実施する。このため、精度の良いピクセル距離の較正を行うことができる。
【0211】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例を、図20図23を主に参照して説明する。
【0212】
<構成>
図20には、第1実施例に係る検出装置100Bの構成が概略的に示されている。この検出装置100Bは、上述した第2実施形態に係る検出装置300Bの一態様となっている。
【0213】
図20に示されるように、検出装置100Bは、撮像部210F,210R及びECU230と接続されている。そして、検出装置100B、撮像部210F,210R及びECU230は、車両CRに搭載されている。
【0214】
上記の検出装置100Bは、制御ユニット110Bを備えている。また、検出装置100Bは、記憶ユニット120を備えている。
【0215】
上記の制御ユニット110Bは、演算手段としての中央処理装置(CPU)を備えて構成される。この制御ユニット110Bは、プログラムを実行することにより、上述した第2実施形態における検出装置300Bとしての機能、すなわち、取得部310B、第1出力部320B及び第2出力部330としての機能を果たすようになっている。
【0216】
制御ユニット110Bが実行するプログラムは、記憶ユニット120に記憶され、記録ユニットからロードされて実行される。このプログラムは、CD-ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【0217】
なお、制御ユニット110Bが実行する処理については、後述する。
【0218】
上記の記憶ユニット120には、制御ユニット110Bが利用する様々な情報データが記憶される。こうした情報データには、制御ユニット110Bが実行するプログラム、最新のピクセル移動量、最新のピクセル距離を含む較正履歴等が含まれている。この記憶ユニット120には、制御ユニット110Bがアクセスできるようになっている。
【0219】
<動作>
次に、上記のように構成された検出装置100Bによる検出動作について、制御ユニット110Bによる処理に着目して説明する。
【0220】
なお、撮像部210F,210Rは、既に動作を開始しており、周期時間TPで撮像した路面画像の前側撮像画像のデータ及び後側撮像画像のデータを、逐次、検出装置100Bへ送っているものとする。また、ECU230は、既に動作を開始しており、加速度情報、操舵角情報及び傾き情報を検出装置100Bへ送っているものとする(図20参照)。
【0221】
さらに、検出装置100Bでは、既に、複数回のピクセル距離の較正が行われており、記憶ユニット120には、最近の所定回数分の較正時刻、前回の撮像画像から抽出された特徴領域の特性及び画像内位置、並びに、後述する暫定ピクセル距離を含む較正履歴等が記憶されているものとする。ここで、ピクセル距離の最初の較正が行われるまでの期間においては、記憶ユニット120には、平均的なピクセル距離が記憶されるようになっている。
【0222】
《ピクセル移動量の検出処理》
まず、制御ユニット110Bによるピクセル移動量の検出処理について説明する。
【0223】
ピクセル移動量の検出処理に際しては、図21に示されるように、まず、ステップS61において、制御ユニット110Bが、新たな前側撮像画像のデータ及び新たな後側撮像画像のデータを受けたか否かを判定する。ステップS61における判定の結果が否定的であった場合(ステップS61:N)には、ステップS61の処理が繰り返される。
【0224】
新たな前側撮像画像のデータを受け、ステップS61における判定の結果が肯定的となると(ステップS61:Y)、処理はステップS62へ進む。このステップS62では、制御ユニット110Bが、新たな前側撮像画像のデータから得られる前側撮像画像における特徴領域を抽出し、当該特徴領域の特性及び画像内位置を特定する。
【0225】
次に、ステップS63において、制御ユニット110Bが、前側ピクセル移動量を検出する。かかる前側ピクセル移動量の検出に際して、制御ユニット110Bは、記憶ユニット120内の前回の前側撮像画像から抽出された特徴領域の特性及び画像内位置を参照して、今回の前側撮像画像と前回の前側撮像画像とにおける共通の特徴領域の画像内位置の変位量を、新たな前側ピクセル移動量として検出する。
【0226】
なお、共通する特徴領域が複数ある場合には、制御ユニット110Bは、複数の特徴領域のそれぞれの変位量の平均値を、新たな前側ピクセル移動量として採用する。
【0227】
そして、制御ユニット110Bは、今回の撮像画像における特徴領域の特性及び画像内位置を、前回の撮像画像から抽出された特徴領域の特性及び画像内位置として記憶ユニット120内に登録する。また、制御ユニット110Bは、新たなピクセル移動量を、最新のピクセル移動量として記憶ユニット120内に登録する。
【0228】
次いで、ステップS64において、制御ユニット110Bが、新たな後側撮像画像のデータから得られる後側撮像画像における特徴領域を抽出し、当該特徴領域の特性及び画像内位置を特定する。
【0229】
次に、ステップS65において、制御ユニット110Bが、後側ピクセル移動量を検出する。かかる後側ピクセル移動量の検出に際して、制御ユニット110Bは、記憶ユニット120内の前回の後側撮像画像から抽出された特徴領域の特性及び画像内位置を参照して、今回の後側撮像画像と前回の後側撮像画像とにおける共通の特徴領域の画像内位置の変位量を、新たな後側ピクセル移動量として検出する。
【0230】
なお、共通する特徴領域が複数ある場合には、前側ピクセル移動量の検出の場合と同様に、制御ユニット110Bは、複数の特徴領域のそれぞれの変位量の平均値を、新たな後側ピクセル移動量として採用する。
【0231】
次に、ステップS66において、制御ユニット110Bが、新たなピクセル移動量を検出する。かかるピクセル移動量の検出に際して、制御ユニット110Bは、前側ピクセル移動量と後側ピクセル移動量との平均を算出することにより、新たなピクセル移動量を検出する。
【0232】
そして、制御ユニット110Bは、今回の前側撮像画像における特徴領域の特性及び画像内位置、及び、今回の後側撮像画像における特徴領域の特性及び画像内位置を、前回の前側撮像画像における特徴領域の特性及び画像内位置、及び、前回の後側撮像画像における特徴領域の特性及び画像内位置として記憶ユニット120内に登録する。また、制御ユニット110Bは、新たなピクセル移動量を、最新のピクセル移動量として記憶ユニット120内に登録する。
【0233】
こうしてステップS66の処理が終了すると、処理はステップS61へ戻る。以後、ステップS61~S66が繰り返され、新たな前側撮像画像のデータ及び新たな後側撮像画像のデータを受けるたびに、ピクセル移動量が検出される。
【0234】
《車体速度vの出力処理》
制御ユニット110Bによる車体速度vの出力処理は、上述した制御ユニット110Aによる車体速度vの出力処理と同様となっている(図16参照)。
【0235】
《白線領域の特定処理》
次に、制御ユニット110Bによる白線領域の特定処理について説明する。なお、当該白線領域の特定処理は、上述したピクセル移動量の検出処理及び車体速度vの出力処理と並行して実行される。
【0236】
かかる白線領域の特定処理は、後述するピクセル距離の較正のために行われる。このピクセル距離の較正に際しての較正環境は、上述した図11に示される場合と同様となっている。
【0237】
さて、白線領域の特定処理に際しては、図22に示されるように、まず、ステップS71において、制御ユニット110Bが、新たな前側撮像画像のデータを受けたか否かを判定する。ステップS71における判定の結果が否定的であった場合(ステップS71:N)には、ステップS71の処理が繰り返される。
【0238】
新たな前側撮像画像データを受け、ステップS71における判定の結果が肯定的となると(ステップS71:Y)、処理はステップS72へ進む。このステップS72では、制御ユニット110Bが、新たな前側撮像画像のデータから得られる前側撮像画像における白線領域を、当該前側撮像画像における各ピクセルの明るさに基づいて特定する。
【0239】
次に、ステップS73において、制御ユニット110Bが、白線領域の特定結果が「第1後方一部白線(図12(A)参照)」であるか否かを判定する。ステップS73の判定の結果が否定的であった場合(ステップS73:N)には、処理はステップS71へ戻る。そして、ステップS73の判定の結果が肯定的となるまで、ステップS71~S73の処理が繰り返される。
【0240】
前側撮像画像における白線領域の特定結果が「第1後方一部白線」となり、ステップS73における判定の結果が肯定的となると(ステップS73:Y)、処理はステップS74へ進む。このステップS74では、制御ユニット110Bが、前方長a(図12(A)参照)を求める。
【0241】
なお、第2実施例では、制御ユニット110Bは、前側撮像画像において「第1後方一部白線」となるまでの白線が明確に特定できる状態が継続したことを条件として、「第1後方一部白線」を特定するようになっている。
【0242】
次いで、ステップS75では、制御ユニット110Bが、新たな後側撮像画像のデータを受けたか否かを判定する。ステップS75における判定の結果が否定的であった場合(ステップS75:N)には、ステップS75の処理が繰り返される。
【0243】
新たな後側撮像画像のデータを受け、ステップS75における判定の結果が肯定的となると(ステップS75:Y)、処理はステップS76へ進む。このステップS76では、制御ユニット110Bが、新たな後側撮像画像のデータから得られる後側撮像画像における白線領域を、当該撮像画像における各ピクセルの明るさに基づいて特定する。
【0244】
次に、ステップS77において、制御ユニット110Bが、白線領域の特定結果が「第2後方一部白線(図12(B)参照)」であるか否かを判定する。ステップS77の判定の結果が否定的であった場合(ステップS77:N)には、処理はステップS75へ戻る。そして、ステップS77の判定の結果が肯定的となるまで、ステップS75~S77の処理が繰り返される。
【0245】
後側撮像画像における白線領域の特定結果が「第2後方一部白線」となり、ステップS77における判定の結果が肯定的となると(ステップS77:Y)、処理はステップS78へ進む。このステップS78では、制御ユニット110Bが、前方長b(図12(B)参照)を求める。そして、処理はステップS71へ戻る。
【0246】
以後、ステップS71~S78が繰り返される。この結果、車両CRが白線を横切るたびに、白線領域の特定が行われる。
【0247】
《較正条件のモニタ処理》
制御ユニット110Bによる較正条件のモニタ処理は、上述した制御ユニット110Aによる較正条件のモニタ処理と同様となっている(図18参照)。
【0248】
《ピクセル距離の較正処理》
次いで、制御ユニット110Bによるピクセル距離の較正処理について説明する。なお、当該ピクセル距離の較正処理は、上述したピクセル移動量の検出処理、車体速度vの出力処理、白線領域の特定処理及び較正条件のモニタ処理と並行して実行される。
【0249】
ピクセル距離の較正処理に際しては、図23に示されるように、まず、ステップS81において、制御ユニット110Bが、較正条件フラグが「ON」であるか否かを判定することにより、車両CRが平坦な路面を等速直進走行しているか否かを判定する。ステップS81における判定の結果が否定的であった場合(ステップS81:N)には、ステップS81の処理が繰り返される。
【0250】
ステップS81における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS81:Y)には、処理はステップS82へ進む。このステップS82では、制御ユニット110Bが、上述した白線領域の特定処理により前側撮像画像が「第1後方一部白線」となっていることが特定され、前方長aが求められたかを判定する。
【0251】
ステップS82における判定の結果が否定的であった場合(ステップS82:N)には、処理はステップS81へ戻る。そして、ステップS81,S82の処理が繰り返される。
【0252】
ステップS82における判定の結果が肯定的となると(ステップS82:Y)、処理はステップS83へ進む。このステップS83では、距離パラメータLを前方長aに設定する。
【0253】
次に、ステップS84において、制御ユニット110Bが、較正条件フラグが「ON」であるか否かを判定することにより、車両CRが平坦な路面を等速直進走行しているか否かを判定する。ステップS84における判定の結果が否定的であった場合(ステップS84:N)には、処理はステップS81へ戻る。
【0254】
ステップS84における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS84:Y)には、処理はステップS85へ進む。このステップS85では、制御ユニット110Bが、上述したピクセル移動量の検出処理により新たなピクセル移動量(ΔXj)が検出されたか否かを判定する。
【0255】
ステップS85における判定の結果が否定的であった場合(ステップS85:N)には、処理はステップS84へ戻る。そして、ステップS84における判定の結果が否定的とならないことを条件として、ステップS84,S85の処理が繰り返される。
【0256】
ステップS85における判定の結果が肯定的となると(ステップS85:Y)、処理はステップS86へ進む。このステップS86では、制御ユニット110Bが、それまでの距離パラメータLの値に新たなピクセル移動量(ΔXj)を加算して、距離パラメータLの値を更新する。
【0257】
次いで、ステップS87において、制御ユニット110Bが、上述した白線領域の特定処理により後側撮像画像が「第2後方一部白線」となっていることが特定され、前方長bが求められているかを判定する。ステップS87における判定の結果が否定的であった場合(ステップS87:N)には、処理はステップS84へ戻る。そして、ステップS84における判定の結果が否定的とならないことを条件として、ステップS84~S87の処理が繰り返される。
【0258】
ステップS87における判定の結果が肯定的となると(ステップS87:Y)、処理はステップS88へ進む。このステップS88では、制御ユニット110Bが、それまでの距離パラメータLの値から前方長bを減算して、距離パラメータLの値を更新する。
【0259】
次に、ステップS89において、制御ユニット110Bが、その時点における距離パラメータLの値に基づき、次の(12)式により、暫定ピクセル距離PT[cm]を算出する。
PT=D/L …(12)
なお、(12)式は、上述した(10)式と等価な式となっている。
【0260】
引き続き、制御ユニット110Bは、算出された今回の暫定ピクセル距離と、記憶ユニット120内に記憶されている過去における所定回数の較正時に算出された暫定ピクセル距離との重み付け平均を算出して、新たに較正されたピクセル距離を算出する。この後、制御ユニット110Bは、記憶ユニット120内の最新のピクセル距離を当該新たに較正されたピクセル距離に更新するとともに、それまで記憶ユニット120内に記憶されていた暫定ピクセル距離のうちで最も古いものに代えて、今回の暫定ピクセル距離を現在時刻とともに記憶ユニット120に格納する。この結果、上述した車体速度vの出力処理に際して、制御ユニット110Bは、新たなピクセル距離を利用した車体速度vの算出を行うようになる。
【0261】
こうしてステップS89の処理が終了すると、処理はステップS81へ戻る。そして、ステップS81~S89の処理が繰り返される。この結果、車両CRが、平坦な路面を等速直進走行して、交差点の手前の白線を横切るたびに、ピクセル距離が較正される。
【0262】
以上説明したように、第2実施例では、車両CRの走行方向に沿って既知の距離Dで車両CRに配置された撮像部210F,210Rによる撮像画像に基づいて、制御ユニット110Bが、ピクセル移動量を検出する。また、制御ユニット110Bが、撮像画像中における白線領域を特定する。そして、制御ユニット110Bが、ピクセル移動量及び撮像画像内における白線領域の特定結果に加えて、既知の距離Dに基づいて、車両CRが平坦な路面を等速直進走行していると判断できる場合に、撮像部210F,210Rと路面との間の距離に関連する、1ピクセルに対応する路面上の距離を較正する。
【0263】
したがって、第2実施例によれば、路面上特徴部である白線の移動体の走行方向に沿った長さが既知である未知であるか否かにかかわらず、移動体重量の変化や車輪の空気圧の変化により、路面と撮像部との距離が変化しても、1ピクセルに対応する路面上の距離を当該変化に応じて較正することができる。
【0264】
また、第2実施例では、較正結果及びピクセル移動量に基づいて、制御ユニット110Bが、車体速度を出力する。このため、走行情報として精度の良い車体速度を出力することができる。
【0265】
また、第2実施例では、路面上特徴部として白線を採用する。このため、撮像画像の各ピクセルの明るさを調べることにより、白線領域を容易に特定することができる。
【0266】
また、第2実施例では、第1実施例の場合と同様に、今回の暫定ピクセル距離と、過去における所定回数の較正時に算出された暫定ピクセル距離との重み付け平均を算出して、最終的な較正結果を得る。このため、白線の進行方向の長さの変動等のピクセル距離の較正結果への影響を抑制した較正を行うことができる。
【0267】
また、第2実施例では、第1実施例の場合と同様に、直進走行中、定速走行中、かつ、路面傾きのない状況であるときに較正を実施する。このため、精度の良いピクセル距離の較正を行うことができる。
【0268】
[実施例の変形]
本発明は、上記の第1及び第2実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0269】
例えば、第1実施例に対しては、上述した第1実施形態に対する変形と同様の変形を行うことができる。また、第2実施例に対しては、上述した第2実施形態に対する変形と同様の変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0270】
100A,100B … 検出装置
110A,110B … 制御ユニット(取得部、第1出力部、第2出力部)
300A,300B … 検出装置
310A,310B … 取得部
320A,320B … 第1出力部
321A,321B … 移動量検出部
322A,322B … 特定部
323A,323B … 較正部
330 … 第2出力部
図1
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