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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123667
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】端末装置及び車載システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
B60R11/02 W
B60R11/02 T
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103304
(22)【出願日】2023-06-23
(62)【分割の表示】P 2019187128の分割
【原出願日】2019-10-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】渡部 崇史
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 周平
(57)【要約】
【課題】端末装置の装着により車載機上の操作部が隠されてしまう場合であっても、端末装置から上記操作部を操作することが可能な端末装置等を提供する。
【解決手段】車両スピーカSPから出力させる音の出力態様を調整する際に操作される音量調整部Vを備える車載機Mに装着可能な端末装置Tであって、端末装置Tが車載機Mに装着された状態においてユーザ側に面し、且つ音量調整部Vへの操作が可能となる位置に図形Gが配置された前面部Fを備え、図形Gは、音量調整部Vに対応して車載機Mに備えられたランプLにより、車載機M側から照らされることで視認可能となるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音出力部から出力させる音の出力態様を調整する際に操作される調整部を備える被装着装置に装着可能な端末装置であって、
前記端末装置が前記被装着装置に装着された状態においてユーザ側に面し、且つ前記調整部への操作が可能となる位置に図形が配置された前面部を備え、
前記図形は、前記調整部に対応して前記被装着装置に備えられた照明手段により、前記被装着装置側から照らされることで視認可能となることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の端末装置において、
前記図形に対応する位置に設けられ、且つ前記端末装置が前記被装着装置に装着された状態において、前記被装着装置に向けて押圧されることで前記調整部を操作可能な操作子を備え、
前記操作子は、前記照明手段からの光を透過させることを特徴とする端末装置。
【請求項3】
端末装置が装着され、且つ音出力部から出力させる音の出力態様を調整する際に操作される調整部を備える装着部を有する被装着装置に装着される前記端末装置であって、
前記端末装置が前記装着部に装着された状態で、前記被装着装置と反対側の前記端末装置の前面部から前記被装着装置に向けて操作されることで前記調整部を操作可能な操作子を備え、
前記調整部に対応して備えられた照明手段により前記被装着装置側から照らされることで、前記操作子の前記前面部側にある図形が前記前面部側から視認可能となることを特徴とする端末装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の端末装置において、
前記端末装置は、
コンテンツを再生する再生手段と、
前記再生されるコンテンツに対応する音信号を前記被装着装置に送信する送信手段と、
前記再生されたコンテンツの映像を表示する表示手段と、
を更に備えることを特徴とする端末装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の端末装置において、
前記図形が音量制御に関する図形であることを特徴とする端末装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の端末装置において、
前記被装着装置に前記端末装置が装着されていない状態における前記図形の前記前面部側からの視認性が、前記端末装置が前記被装着装置に装着されて前記照明手段により照らされている場合よりも低下するように構成されていることを特徴とする端末装置。
【請求項7】
請求項6に記載の端末装置において、
前記被装着装置に前記端末装置が装着されていない状態における前記図形が前記前面部側からは視認不可となるように構成されていることを特徴とする端末装置。
【請求項8】
車両に搭載されている請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の前記被装着装置と、
当該被装着装置に装着される請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の前記端末装置と、
を備えることを特徴とする車載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、端末装置及び車載システムの技術分野に属する。より詳細には、被装着装置に対して装着可能な端末装置、及び当該端末装置を含む車載システムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるスマートフォンやタブレット型PC(Personal Computer)等のいわゆる携帯端末を、例えば車両に据え付けられている車載機と連携させることで、携帯端末が備えるディスプレイを用いた表示機能や、ナビゲーション機能又はコンテンツの再生機能等を利用して、車載型AV(Audio Visual)システムを安価に構成することが行われている。このような従来技術を開示している先行技術文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。
【0003】
この特許文献1には、車両等の内装部分に固定された車載機と、その車載機に対して着脱自在に装着された状態での当該車載機との近距離無線通信により当該車載機に音声信号を送信しつつ画像表示を行う端末機器と、を備える車載システムが開示されている。そして、特許文献1に開示されている車載システムでは、近距離無線通信による音声信号の送受信における遅延状態を取得して、表示画像と出力音声との間のタイムラグの抑制処理を行う構成とされている。
【0004】
ここで、携帯端末が備える上記表示機能や、上記ナビゲーション機能又は上記コンテンツの再生機能等を利用して車載型AVシステムを構成する場合、車載機は、最低限それが備えるべき機能としては、携帯端末の音声信号を無線通信で受信する受信機能と、受信した音声信号を車両に備えられたスピーカから出力するための再生機能と、を備えれば足りる。この場合、コンテンツの再生等に必要な携帯端末の操作は、当該携帯端末自身が備えるタッチパネルや操作キーを用いて行えばいいのであって、車載機には、そのための操作部は一切必要とならない。
【0005】
一方、例えば車両の後席に搭乗している搭乗者が携帯端末で例えば動画を含むコンテンツを視聴し、その音声は車両に備えられたスピーカから出力されるといった使い方も考えられるが、このような場合には、車両に備えられたスピーカから出力される音声の音量の制御だけは車載機側において可能とすべく、車載機には音量調整のための操作部を備えるようにすることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-58894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている車載機には、上記のような音量調整のための操作部は備えられていない。また、仮に当該車載機が当該操作部を備えていたとしても、大型の(例えば、搭載されているディスプレイの大きさが概ね7インチ以上の)携帯端末を車載機に装着すると、音量調整のための操作部がその携帯端末の背面に隠れてしまうこととなる。そしてこれにより、携帯端末の装着時には車載機の操作部を操作できなくなり、よって、携帯端末の非装着時とは異なる方法で車載機としての音量調整を行わなければならないため、不便であるという課題がある。
【0008】
そこで本願は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、携帯端末の装着により車載機上の操作部が隠されてしまう場合であっても、携帯端末から当該操作部を操作することが可能な端末装置、並びに当該端末装置を含む車載システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、音出力部から出力させる音の出力態様を調整する際に操作される調整部を備える被装着装置に装着可能な端末装置であって、前記端末装置が前記被装着装置に装着された状態においてユーザ側に面し、且つ前記調整部への操作が可能となる位置に図形が配置された前面部を備え、前記図形は、前記調整部に対応して前記被装着装置に備えられた照明手段により、前記被装着装置側から照らされることで視認可能となるように構成される。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、端末装置が装着され、且つ音出力部から出力させる音の出力態様を調整する際に操作される調整部を備える装着部を有する被装着装置に装着される前記端末装置であって、前記端末装置が前記装着部に装着された状態で、前記被装着装置と反対側の前記端末装置の前面部から前記被装着装置に向けて操作されることで前記調整部を操作可能な操作子を備え、前記調整部に対応して備えられた照明手段により前記被装着装置側から照らされることで、前記操作子の前記前面部側にある図形が前記前面部側から視認可能となるように構成される。
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、車両に搭載されている請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の前記被装着装置と、当該被装着装置に装着される請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の前記端末装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の端末装置の概要構成を示す正面図である。
図2】実施例の車載機の外観図であり、(a)は外観正面図であり、(b)は外観右側面図である。
図3】実施例の車載機の概要構成を示すブロック図である。
図4】実施例の端末装置の外観図であり、(a)は外観正面図であり、(b)は外観平面図であり、(c)は外観右側面図であり、(d)は外観裏面図である。
図5】実施例の端末装置の概要構成を示すブロック図である。
図6】実施例の操作子の構造を示す図であり、(a)は当該操作子の位置を含む端末装置の外観正面図であり、(b)は(a)のA-A部断面図であって、当該操作子の構造を示す断面図であり、(c)は当該操作子の構造を示す内部構造正面図であり、(d)は(b)における破線部の部分断面図(I)であり、(e)は当該破線部の部分断面図(II)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本願を実施するための形態について、図1を用いて説明する。なお図1は、実施形態の端末装置の概要構成を示す正面図である。
【0014】
図1に示すように、実施形態の端末装置Tは、音出力部SPから出力させる音の出力態様を調整する際に操作される調整部Vを備える被装着装置Mに装着可能な端末装置Tである。
【0015】
そして端末装置Tは、当該端末装置Tが被装着装置Mに装着された状態においてユーザ側に面し、且つ調整部Vへの操作が可能となる位置に図形Gが配置された前面部Fを備え、当該図形Gは、調整部Vに対応して被装着装置Mに備えられた照明手段Lにより、被装着装置側Mから照らされることで視認可能となるように構成される。ここで、実施形態の図形Gは、例えば音出力部SPから出力される音の音量を上げる際の操作を示す「+」マークや、例えば音出力部SPから出力される音の音量を下げる際の操作を示す「-」マークなどである。
【0016】
以上説明したように、実施形態の端末装置Tの構成によれば、ユーザ側に面した前面部Fから操作されることで被装着装置M上の調整部Vを操作可能であると共に、調整部Vに対応して備えられた照明手段Lにより照らされることで、当該前面部F側にある図形Gが視認可能となる。よって、例えば端末装置Tの装着により被装着装置M上の調整部Vが隠されてしまうような図1に例示する場合であっても、調整部Vの位置を認識しつつ端末装置Tから当該調整部Vを操作することができる。
【実施例0017】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図2乃至図6を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、端末装置及び車載機を含む車載システムにおいて、端末装置において再生されたコンテンツの音を、車両に据え付けられ且つ車載機に接続された車両スピーカら出力する(放音させる)場合におけるその音量の制御に対して、本願を適用した場合の実施例である。
【0018】
また、図2は実施例の車載機の外観図であり、図3は当該車載機の概要構成を示すブロック図であり、図4は実施例の端末装置の外観図であり、図5は当該端末装置の概要構成を示すブロック図であり、図6は実施例の操作子の構造を示す図である。このとき図2(b)では、車載機をダッシュボードに据え付けた際に隠れる部分の記載を省略している。また図2乃至図6では、図1に示した実施形態の端末装置T及び被装着装置Mそれぞれにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該端末装置T及び被装着装置Mにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0019】
実施例の車載システムは、図1及び図2を用いて詳説する車載機Mと、図3乃至図5を用いて詳説する携帯型の端末装置Tと、を含んで構成されている。
【0020】
図2に示すように、実施例の車載機Mは、上記ダッシュボード内に据え付けられる基部20から運転室側に突出するように備えられており、その正面から見て、装着部BSと、音量調整部V1及び音量調整部V2と、接続部13と、爪部14及び爪部15と、係合レバー16及びロック解除ボタン17と、を備えて構成されている。このとき、音量調整部V1及び音量調整部V2が、実施形態の調整部Vにそれぞれ相当する。この構成において、装着部BSには端末装置Tが装着される。また接続部13は、端末装置Tが装着部BSに装着された際に当該端末装置Tとの間の電気的な接続を行うための接続部である。更に音量調整部V1及び音量調整部V2は、端末装置Tにおいて再生されたコンテンツの音を後述する車両スピーカSPから放音する際の音量の調整に用いられる押圧式の音量調整部である。このとき、音量調整部V1は当該音量を下げる際に操作される音量調整部であり、音量調整部V2は当該音量を上げる際に操作される音量調整部である。このため、音量調整部V1の表面には「-」マークが例えば印刷されており、音量調整部V2の表面には「+」マークが印刷されている。なお音量調整部V1及び音量調整部V2は、いわゆる感圧式の音量調整部であってもよい。一方、爪部14及び爪部15は、端末装置Tが車載機Mに装着される際に端末装置Tの後述する取付孔に挿入される爪部である。係合レバー16は、先端がカギ形状の爪部を有するスライド可能なレバー部がばね等により付勢されて構成されており、このカギ形状の爪部が、端末装置Tが車載機Mに装着される際に端末装置Tの後述する取付孔9に係合することで、装着部BSと端末装置Tを固定する。ロック解除ボタン17は、図2の図面上で上方向に押し込まれると、係合レバー16をロック解除位置までスライドさせることで装着部BSと端末装置Tの固定状態を解除する。
【0021】
そして、例えば音量調整部V1及び音量調整部V2には、ランプL1及びランプL2がそれぞれ内蔵されており、音量調整部V1及び音量調整部V2は、ランプL1及びランプL2から発せられた光が車室側に透過する構成とされている。このとき、ランプL1及びランプL2が実施形態の照明手段Lにそれぞれ相当する。
【0022】
次に、車載機Mを機能的に見た場合、図3に示すように、当該車載機Mは、例えば実施例の車載システムが搭載されている車両に据え付けられている車両スピーカSPに接続されており、上記音量調整部V1及び上記音量調整部V2並びに上記ランプL1及び上記ランプL2を備えた装着部BSと、無線通信部10と、CPU(Central Processing Unit
)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる制御部11と、上記車両スピーカSPに接続されたアンプ部12と、上記接続部13と、により構成されている。このとき、車両スピーカSPが実施形態の音出力部SPの一例に相当する。
【0023】
以上の構成において無線通信部10は、制御部11の制御の下、端末装置Tにおいて再生されたコンテンツの音を示す音信号を含む端末装置Tとの間のデータの授受を制御する。またアンプ部12は、制御部11の制御の下、上記音信号を車両スピーカSPに出力して放音させる。これらの動作において、制御部11は、無線通信部10を介して端末装置Tから上記音信号を含むデータを授受すると共に、音量調整部V1及び音量調整部V2における操作に基づいて車両スピーカSPからの放音における音量を制御する。この場合の音量調整部V1及び音量調整部V2それぞれの操作には、端末装置Tが車載機Mに装着されていない場合における当該音量調整部V1及び音量調整部V2それぞれに対する直接の操作に加えて、端末装置Tが車載機Mに装着されている場合における後述の操作子を介した音量調整の操作が含まれる。これらに加えて制御部11は、端末装置Tが装着されている場合においては、ランプL1及びランプL2を点灯させると共に、接続部13を介して端末装置Tとの間で授受される各種データに基づき、アンプ部12等を制御する。
【0024】
次に図4に示すように、実施例の端末装置Tは、その外観上、ディスプレイ1と、上記操作子O1及び操作子O2と、上記取付孔3、取付孔4及び取付孔9と、接続部5と、複数の接続端子6と、音量調整部7と、を備えて構成されている。このとき、操作子O1及び操作子O2が、実施形態の操作子Oにそれぞれ相当する。この構成において、接続端子6のそれぞれは、端末装置Tと他の機器等とを接続する際に用いられる接続端子であり、音量調整部7は、端末装置Tにおいて再生されているコンテンツの音量を端末装置Tのみで調整する際に操作される音量調整部である。一方、ディスプレイ1には、端末装置Tにおいて再生されたコンテンツの画像が表示される。また、取付孔3及び取付孔4には、車載機Mの装着部BSへの装着時において車載機Mの上記爪部14及び爪部15が差し込まれることで、当該装着時における端末装置Tの車載機Mに対する位置が決定される。更に接続部5は、端末装置Tが装着部BSに装着された際に車載機Mとの間の電気的な接続を行うための接続部である。そして、取付孔9に車載機Mの上記係合レバー16のカギ形状の爪部が差し込まれることで、装着部BSと端末装置Tが固定される。また、操作子O1及び操作子O2は、それら自体は、全体として、例えばパーソナルコンピュータ用のキーボードにおけるいわゆるキートップに類似する形状を有しており、車載機Mの装着部BSに装着された端末装置Tにおいて再生されたコンテンツの音を車両スピーカSPから放音する際の音量の調整の際に操作される。
【0025】
より具体的に、操作子O1及び操作子O2は、端末装置Tが装着部BSに装着された際に、当該装着部BSの音量調整部V1及び音量調整V2それぞれの真上となる端末装置Tの位置に設けられており、後述するガイドに沿って、ディスプレイ1の表示面に略垂直な方向(即ち、図4(a)及び図4(d)における奥行き方向)に移動可能とされている。これに加えて、操作子O1及び操作子O2は、端末装置Tの正面からは視認できないように、端末装置Tの下辺部に貼られた柔軟性を有し且つ不透明のシート8に対して、端末装置Tの背面(裏面)側から貼り付けられている。そして、当該シート8の操作子O1に対応する位置には、操作子O1が音量を下げる際に操作される端末装置音量調整部であることを示す「-」形のマークG1が、透明化されたマークとして形成されている。同様に、シート8の操作子O2に対応する位置には、車載機Mの音量調整部V2の機能に対応して、当該操作子O2が音量を上げる際に操作される端末装置音量調整部であることを示す「+」形のマークG2が、透明化されたマークとして形成されている。このとき、上記マークG1及びマークG2のそれぞれが、実施形態の図形Gの一例に相当する。そして、端末装置Tが装着部BSに装着された状態で上記ランプL1及び上記ランプL2により当該端末装置Tの裏面(背面)から照らされると、上記各マークGが視認可能に浮かび上がる。このため、操作子O1及び操作子O2は、ランプL1及びランプL2からの光が通るように、その内側が中空とされているか、又は操作子O1及び操作子O2自体が透明な材料により形成されている。また、シート8の色等は、端末装置Tが車載機Mに装着されていない場合には、当該装着されている場合に比して各マークGの視認性が低下するように、又は各マークGが視認できなくなるように構成されている。
【0026】
次に、端末装置Tを機能的に見た場合、図5に示すように、当該端末装置Tは、上記ディスプレイ1と、上記操作子O1及び上記操作子O2と、無線通信部20と、CPU、ROM及びRAM等からなる制御部21と、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記録媒体からなる記録部22と、により構成されている。このとき、制御部21が本願の「再生手段」の一例に相当し、無線通信部20が本願の「送信手段」の一例に相当し、ディスプレイ1が本願の「表示手段」の一例に相当する。
【0027】
以上の構成において無線通信部20は、制御部21の制御の下、端末装置Tにおいて再生されたコンテンツの音を示す音信号を含む車載機Mとの間のデータの授受を制御する。また記録部22には、上記コンテンツを再生するための画像データ及び音データが、例えば予め不揮発性に記録されている。そして記録部22は、制御部21の制御の下、必要に応じて当該画像データ等を制御部21に出力する。これらの動作において、制御部21は、無線通信部20を介して車載機Mに対する上記音信号を含むデータの授受を行うと共に、音量調整部7における操作に基づいて端末装置Tのみにおける音量の調整を制御する。これらに加えて制御部21は、車載機Mに端末装置Tが装着されている場合においては、接続部5を介して車載機Mとの間での各種データの授受を行うと共に、車載機Mに端末装置Tが装着されていない場合においては、端末装置T独自の画像表示や放音を制御する。
【0028】
次に、端末装置Tが車載機Mに装着された場合における、実施例の操作子O1及び操作子O2の押下による車載機Mの音量調整部V1及び音量調整部V2の操作について、具体的に図6を用いて説明する。
【0029】
図6(c)にシート8を除去した状態の内部構造正面図を示すように、上述した実施例の操作子O1及び操作子O2は、シート8が貼られている状態の端末装置Tの正面(図6(a)参照)からは見えないように備えられている。そして、図6(b)及び図6(d)にその断面図を示すように、上記ガイド30及びガイド31により、ディスプレイ1の表示面に略垂直な方向(即ち、図6(b)、図6(d)及び図6(e)における上下方向)に移動可能とされている。このとき、操作子O1及び操作子O2の頭部(即ち、図6(b)、図6(d)及び図6(e)における上端部)は、シート8の裏面に例えば両面粘着テープ等により固定されている。これにより、操作子O1及び操作子O2が端末装置Tの裏面(背面)側に脱落することはない。そして、シート8が上述したように柔軟性を有することから、当該シート8の表面から例えばマークG2の位置が押圧(押下)されると、図6(e)に示すように、当該押下の分だけ操作子O2の底部が端末装置Tの裏面(背面)側に突出することとなり(図6(e)白抜き矢印参照)、これにより、当該底部により、対向する位置にある車載機Mの音量調整部V2が押圧されることになる。以上の機能により、端末装置Tが車載機Mに装着された状態で例えばシート8表面のマークG2の位置が押圧(押下)された場合には、操作子O2を介して車載機Mの音量調整部V2が間接的に操作されることになり、これにより、車載機Mに接続された車両スピーカSPからの放音における音量が調整される。このとき、ランプL1及びランプL2の点灯により、車載機Mに装着されない状態では視認性が低いか又は視認できないマークG1及びマークG2が、それぞれに視認できるようにされている。
【0030】
以上説明したように、実施例の操作子O1及び操作子O2を含む端末装置T及び車載機Mの機能によれば、車載機Mと反対側の端末装置Tの面から車載機Mに向けて押圧操作されることで車載機M上の音量調整部V1又は音量調整部V2を操作可能な操作子O1及び操作子O2を端末装置Tに備えると共に、音量調整部V1又は音量調整部V2に対応して備えられたランプL1及びランプL2により照らされることで、操作子O1及び操作子O2の当該面側にある図形が視認可能となる。よって、例えば端末装置Tの装着により車載機M上の音量調整部V1又は音量調整部V2が隠されてしまう場合であっても、音量調整部V1又は音量調整部V2の位置を認識しつつ、端末装置Tから当該音量調整部V1又は音量調整部V2を操作することができる。
【0031】
また、端末装置Tにおいて再生されたコンテンツの音を車載機Mに接続された車両スピーカSPから放音させる場合に、車載機M上の音量調整部V1又は音量調整部V2が隠れるときであっても、音量調整部V1又は音量調整部V2の位置を認識して端末装置Tから音量調整部V1又は音量調整部V2を操作して、その音量を制御することができる。
【0032】
更に、操作子O1及び操作子O2の前面にあるマークG1及びマークG2がそれぞれに音量制御用のマークであるので、車載機M上の音量調整部V1又は音量調整部V2が隠れていても、コンテンツの音の音量を容易に制御することができる。
【0033】
更にまた、車載機Mに端末装置Tが装着されていない場合におけるマークG1及びマークG2の視認性を、端末装置Tが車載機Mに装着されてランプL1及びランプL2により照らされている場合よりも低下するように構成する場合には、端末装置Tとしての美感を向上させることができる。
【0034】
また、車載機Mに端末装置Tが装着されていない場合におけるマークG1及びマークG2が視認不可となるように構成する場合には、端末装置Tとしての美感を更に向上させることができる。
【0035】
なお、上述した実施例では、ランプL1及びランプL2は、それぞれに車載機Mの音量調整部V1及び音量調整部V2に内蔵されていたが、これ以外に、端末装置Tが装着された際に、車載機Mの側から操作子O1及び操作子O2を照らせる位置であれば、いずれの位置に備えられていてもよい。
【符号の説明】
【0036】
M 被装着装置(車載機)
T 端末装置
V 調整部
G 図形
F 前面部
L 照明手段
V1、V2 音量調整部
L1、L2 ランプ
O、O1、O2 操作子
G1、G2 マーク
BS 装着部
SP 車両スピーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6