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特開2023-123679N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形
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  • 特開-N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123679
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/06 20060101AFI20230829BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
C07D401/06 CSP
A61K31/4439
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/10
A61P9/12
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/08
A61P25/16
A61P25/18
A61P25/20
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/30
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104050
(22)【出願日】2023-06-26
(62)【分割の表示】P 2019572102の分割
【原出願日】2018-07-04
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2017/066806
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517248845
【氏名又は名称】イドーシア ファーマシューティカルズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IDORSIA PHARMACEUTICALS LTD
【住所又は居所原語表記】HEGENHEIMERMATTWEG 91, 4123 ALLSCHWIL, SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ビビア ハイドマン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス フォン ラウマー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの新規な結晶形を提供する。
【解決手段】a.粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、14.1°及び20.1°におけるピークの存在;又は、b.粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:12.8°、18.0°及び18.3°におけるピークの存在;により特徴づけられる、N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、14.1°及び20.1°におけるピークの存在;又は、
b. 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:12.8°、18.0°及び18.3°におけるピークの存在;
により特徴づけられる、N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形。
【請求項2】
a. 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、9.3°、14.1°、20.1°及び24.7°におけるピークの存在;又は、
b. 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:12.4°、12.8°、15.7°、18.0°及び18.3°におけるピークの存在;
により特徴づけられる、請求項1に記載のN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形。
【請求項3】
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、14.1°及び20.1°におけるピークの存在により特徴づけられる、請求項1に記載のN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形。
【請求項4】
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、9.3°、12.0°、14.1°、16.3°、18.4°、20.1°、21.8°、24.7°及び28.6°におけるピークの存在により特徴づけられる、請求項1に記載のN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形。
【請求項5】
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:12.8°、18.0°及び18.3°におけるピークの存在により特徴づけられる、請求項1に記載のN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形。
【請求項6】
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:10.9°、12.4°、12.8°、13.2°、15.7°、16.3°、18.0°、18.3°、21.1°及び29.3°におけるピークの存在により特徴づけられる、請求項1に記載のN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形。
【請求項7】
a. 約5vol.のトルエン中にN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドを有する懸濁液を、還流下で溶解するまで加熱する工程;
b. 上記溶液を1~5時間以内に約25℃に冷却する工程;
c. 0℃に冷却する工程;及び
d. 得られた固体残渣を単離する工程;
により得ることができる、N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形。
【請求項8】
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、14.1°及び20.1°におけるピークの存在により特徴づけられる、請求項7に記載のN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形。
【請求項9】
医薬として使用するための、請求項1~8のいずれか1項に記載のN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形。
【請求項10】
活性成分としての請求項1~8のいずれか1項に記載のN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミド及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
てんかん;睡眠障害;睡眠失調;炎症性疼痛、神経因性疼痛、末梢性疼痛及び抹消性軸索損傷に関連する慢性痛から選択される疼痛;本態性振戦、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、不安症、精神病、神経変性障害、自閉症及び薬物依存から選択される神経性障害;高血圧、不整脈、心房細動、うっ血性心不全及び心臓ブロックから選択される心血管障害;癌;糖尿病;並びに糖尿病性ニューロパシーから選択される疾患又は障害の予防及び/又は治療において使用するための、請求項1~8のいずれか1項に記載のN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形。
【請求項12】
てんかんの予防及び/又は治療において使用するための、請求項1~8のいずれか1項に記載のN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミド(N-[1-(5-cyano-pyridin-2-ylmethyl)-1H-pyrazol-3-yl]-2-[4-(1-trifluoromethyl-cyclopropyl)-phenyl]-acetamide)(以下、「化合物」とも記載する。)の結晶形、当該結晶形を有する医薬組成物及びT型カルシウムチャンネルが関与する疾患又は障害の治療又は予防における、特に、てんかん;睡眠障害;睡眠失調;疼痛;本態性振戦、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、不安症、精神病、神経変性障害、自閉症及び薬物依存から選択される神経性障害;高血圧、不整脈、心房細動、うっ血性心不全及び心臓ブロックから選択される心血管障害;癌;糖尿病;又は糖尿病性ニューロパシーの治療又は予防におけるT型カルシウムチャンネルブロッカーとしてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
「化合物」及びT型カルシウムチャンネルブロッカーとしてのその活性はWO2015/186056中に既に記載されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の詳細な記述
1) 本発明の第1の態様は、
a. 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、14.1°及び20.1°(結晶形1)におけるピークの存在;又は、
b. 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:12.8°、18.0°及び18.3°(結晶形2)におけるピークの存在;
により特徴づけられる、N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミド(「化合物」)の結晶形に関する。
【0004】
態様1)に従う結晶形は、遊離塩基(すなわち、塩の形態ではない)結晶形の「化合物」を含むことが理解されるべきである。さらに、当該結晶形は非配位及び/又は配位溶媒を有してもよい。配位溶媒は、本明細書において、結晶性溶媒和物についての用語として使用される。同様に、非配位溶媒は、本明細書において、物理吸着又は物理補足溶媒についての用語として使用される(Polymorphism in the Pharmaceutical Industry(Ed.R.Hilfiker、VCH、2006)、Chapter 8:U.J.Griesser:The Importance of Solvatesによる定義)。両結晶形(結晶形1及び結晶形2)は、配位水を有さないが、非配位又は別の非配位溶媒を有してもよい。
【0005】
結晶形1の「化合物」は、DSCにより決定されるT=147±2℃の融点を有する。結晶形1の「化合物」はPh.Eur.によれば吸湿性ではない。
【0006】
2) 別の態様は、
a. 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、9.3°、14.1°、20.1°及び24.7°(結晶形1)におけるピークの存在;又は、
b. 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:12.4°、12.8°、15.7°、18.0°及び18.3°(結晶形2)におけるピークの存在;
により特徴づけられる、態様1)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0007】
3) 別の態様は、
a. 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、9.3°、12.0°、14.1°、16.3°、18.4°、20.1°、21.8°、24.7°及び28.6°(結晶形1)におけるピークの存在;又は、
b. 粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:10.9°、12.4°、12.8°、13.2°、15.7°、16.3°、18.0°、18.3°、21.1°及び29.3°(結晶形2)におけるピークの存在;
により特徴づけられる、態様1)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0008】
4) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、14.1°及び20.1°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様1)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0009】
5) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、9.3°、14.1°、20.1°及び24.7°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様1)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0010】
6) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、9.3°、12.0°、14.1°、16.3°、18.4°、20.1°、21.8°、24.7°及び28.6°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様1)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0011】
7) 別の態様は、図1に示す粉末X線回折パターンを本質的に示す、態様1)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0012】
8) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:12.8°、18.0°及び18.3°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様1)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0013】
9) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:12.4°、12.8°、15.7°、18.0°及び18.3°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様1)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0014】
10) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:10.9°、12.4°、12.8°、13.2°、15.7°、16.3°、18.0°、18.3°、21.1°及び29.3°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様1)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0015】
11) 別の態様は、図2に示す粉末X線回折パターンを本質的に示す、態様1)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0016】
12) 別の態様は、
a. 約5vol.のトルエン中にN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドを有する懸濁液を、還流下で溶解するまで加熱する工程;
b. 上記溶液を1~5時間以内に約25℃に冷却する工程;
c. 0℃に冷却する工程;及び
d. 得られた固体残渣を単離する工程;
により得ることができる、N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミド(「化合物」)の結晶形、例えば本質的に純粋な結晶形に関する。
【0017】
前記単離工程は、固体沈殿物を液体から分離するための、当該技術分野において公知のいかなる方法により行ってもよく、好ましくはろ過により行う。単離後、任意で固体残渣を、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン又はメチルシクロヘキサン等の炭化水素(特にn-ヘプタン)で洗浄してもよい。
【0018】
上記の方法は「化合物」の再結晶化である。従って、「N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドを有する懸濁液」は、N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミド及び種々の量の不純物を含有する懸濁液を意味するものと理解されるべきであり;不純物の量は、好ましくは「化合物」の量の30重量%未満(より好ましくは15%未満、最も好ましくは3%未満)である。
【0019】
13) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、14.1°及び20.1°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様12)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0020】
14) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、9.3°、14.1°、20.1°及び24.7°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様12)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0021】
15) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、9.3°、12.0°、14.1°、16.3°、18.4°、20.1°、21.8°、24.7°及び28.6°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様12)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0022】
16) 別の態様は、図1に示す粉末X線回折パターンを本質的に示す、態様12)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0023】
17) 別の態様は、態様12)の方法により得ることができる、態様4)~7)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関する。
【0024】
18) 別の態様は、
a) 約8~10vol.の(C3-6)アルカノン(特に、アセトン又はブタノン)中に「化合物」を溶解する工程;及び
b) 周囲条件にて上記溶媒を蒸発させる工程;
により得ることができる、N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミド(「化合物」)の結晶形、例えば本質的に純粋な結晶形に関する。
【0025】
好ましくは、溶解は、「化合物」約4~10mgの小スケールでガラスバイアル内で行う。蒸発は、好ましくは、蓋を開けたガラスバイアル内で行う。
【0026】
19) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:12.8°、18.0°及び18.3°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様18)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0027】
20) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:12.4°、12.8°、15.7°、18.0°及び18.3°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様18)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0028】
21) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:10.9°、12.4°、12.8°、13.2°、15.7°、16.3°、18.0°、18.3°、21.1°及び29.3°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様18)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0029】
22) 別の態様は、図2に示す粉末X線回折パターンを本質的に示す、態様18)に従う「化合物」の結晶形に関する。
【0030】
23) 別の態様は、態様18)の方法により得ることができる、態様8)~11)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関する。
【0031】
従って、上記部分で開示した種々の態様1)~23)の従属関係に基づいて、下記の態様が可能であり、意図されており、そして個々の形態としてここに具体的に開示される:
1、2+1、3+1、4+1、5+1、6+1、7+1、8+1、9+1、10+1、11+1、12、13+12、14+12、15+12、16+12、17+4+1、17+5+1、17+6+1、17+7+1、18、19+18、20+18、21+18、22+18、23+8+1、23+9+1、23+10+1、23+11+1;
上記のリスト中、数字は上記の番号に応じた態様を意味し、「+」は他の態様への従属関係を表す。種々の態様は読点により個々に分けられている。換言すると、例えば「17+4+1」は、態様17)であって、態様4)に従属し、態様1)に従属することを意味し、すなわち、態様「17+4+1」は、態様4)及び17)の特徴によりさらに特徴づけられる態様1)に相当する。
【0032】
いかなる疑義をも避けるために、上記態様の1つが、「粉末X線回折ダイアグラムにおける、以下の屈折角2θにおけるピーク」に言及する場合は常に、当該粉末X線回折ダイアグラムは、Kα2を除去することなく、結合Cu Kα1及びKα2照射(combined Cu Kα1 and Kα2 radiation)を用いて得られたものであり;そして本明細書で提供される2θ値の精度は+/-0.1~0.2°の範囲内であることが理解されるべきである。特に、本発明の態様及び請求項中でピークに対する屈折角2シータ(2θ)を特定する場合、記載された当該2θ値は、当該値-0.2°から当該値+0.2°(2θ+/-0.2°)の間;そして好ましくは当該値-0.1°から当該値+0.1°(2θ+/-0.1°)の間と理解されるべきである。
【0033】
化合物、固体、医薬組成物、疾患等について複数形が使用される場合は、単数の化合物、固体、医薬組成物、疾患等をも意味することが意図されている。
【0034】
ここに記載される定義は、態様1)~23)のいずれか1つに定義されるような主題に対して一律に適用されることが意図されており、特段の定義によってより広い又はより狭い定義が与えられない限り本明細書及び請求項を通じて準用される。当然ながら、ある用
語又は表現の定義又は好ましい定義が、ここに定義されるいずれか又は他のすべての用語又は表現のいずれか又は好ましい定義におけるそれぞれの用語又は表現を、独立して(及びそれらと共に)定義し置き換えるものであってよい。
【0035】
「C3-6)アルカノン」という用語は、1個のメチレン基「-CH2-」がカルボニル基「-C(O)-」で置き換えられた、3~6個の炭素原子を有するアルカン基を意味する。(C3-6)アルカノン基の例は、プロパノン(アセトン)、ブタノン、3-メチル-ブタン-2-オン、3,3-ジメチル-ブタン-2-オン、ペンタン-2-オン、3-メチル-ペンタン-2-オン、4-メチル-ペンタン-2-オン、ペンタン-3-オン、2-メチル-ペンタン-3-オン、ヘキサン-2-オン及びヘキサン-3-オンである。好ましくは、プロパノン(アセトン)及びブタノンである。
【0036】
「本質的に純粋な」という用語は、本発明の文脈において、特に、「化合物」の結晶の少なくとも90、好ましくは少なくとも95、そして最も好ましくは少なくとも99重量パーセントが、本発明の結晶形で存在することを意味するものと理解される。
【0037】
例えば、粉末X線回折ダイアグラムにおけるピークの存在を定義する場合、通常の方法は、S/N比(S=シグナル、N=ノイズ)の点からこれを行うことである。この定義に従えば、粉末X線回折ダイアグラムにピークが存在しなければならないと述べる場合、粉末X線回折ダイアグラムのピークは、x(xは1より大きい数値である。)より大きい、通常は2より大きい、特に3より大きいS/N比(S=シグナル、N=ノイズ)を持つことにより定義されるものと理解されるべきである。
【0038】
結晶形が、それぞれ図1又は2に表される粉末X線回折パターンを本質的に示す、という記載の文脈において、「本質的に」という用語は、少なくとも当該図に表されるダイアグラムの主要なピーク、すなわち、ダイアグラムにおいて最も強いピークと比べ、20%を超える、特に10%を超える相対強度を有するピークが存在しなければならないことを意味する。しかしながら、粉末X線回折の当業者は、粉末X線回折ダイアグラムの相対強度が、好ましい配向効果に起因する強い強度変動を受け得ることを認識しているはずである。特に、結晶形1の「化合物」の結晶は板状形態(form of plates)で得られたため、XRPD分析は配向効果を受けやすく、それは、ピークの消失又は単一ピークの強度変動を引き起こすかもしれない。
【0039】
温度に関して使用されていない場合には、数値「X」の前に置かれる「約」という用語は、本出願において、X-Xの10%からX+Xの10%の間、好ましくはX-Xの5%からX+Xの5%の間を表し;最も好ましくはXである。温度の特定の場合には、温度「Y」の前に置かれる「約」の用語は、この出願において、Y-10℃からY+10℃にわたる間、好ましくはY-5℃からY+5℃にわたる間を表す。室温は、約25℃の温度を意味する。
【0040】
数値範囲を記述するために「間」又は「から(~)」の語が使用される場合は常に、示された範囲の末端の点は明示的にその範囲に含まれると解される。これは、例えば、温度範囲が40℃から80℃の間(又は40℃から(~)80℃)であると記述される場合、末端の点である40℃と80℃はその範囲に含まれることを意味し、あるいは、可変数が1から4の間(又は1から(~)4)の整数であると定義される場合、可変数は整数の1、2、3又は4であることを意味する。
【0041】
態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形、特に本質的に純粋な結晶形は、医薬として、例えば、(特に経口等の)経腸又は(局所的適用又は吸入を含む)非経口投与のための医薬組成物の形態で使用することができる。
【0042】
24) 従って、別の態様は、医薬として使用するための、態様1)~23)のいずれか1つに従うN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶形に関する。
【0043】
態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶固体、特に本質的に純粋な結晶固体は、単一成分として、又は「化合物」の他の結晶形若しくは非晶質形との混合物として使用してもよい。
【0044】
25) 本発明のさらなる態様は、活性成分としての態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体材料を含む医薬組成物に関する。
【0045】
医薬組成物の製造は、いずれの当業者にもよく知られた方法で(例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、21st Edition(2005)、Part 5、「Pharmaceutical Manufacturing」[published by Lippincott Williams & Wilkins]を見よ。)、本発明の結晶形を、任意にその他の治療的に有益な物質と組み合わせて、適切な無毒の不活性な薬学的に許容される固体又は液体の担体材料及び必要に応じて、通常の薬学的アジュバントと共に、製剤投与形態とすることにより遂行することができる。
【0046】
26) 本発明のさらなる態様は、医薬組成物の製造における使用のための、態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関し、当該医薬組成物は、活性成分としての「化合物」及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体材料を含む。
【0047】
27) 本発明のさらなる態様は、T型カルシウムチャンネルの機能不全に関連する疾患又は障害(特に、T型カルシウムチャンネルサブタイプ、Cav3.1、Cav3.2及び/又はCav3.3の遮断が必要とされる疾患又は障害)の予防(prevention/prophylaxis)及び/又は治療において使用するための、態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関する。
【0048】
28) 本発明のさらなる態様は、T型カルシウムチャンネルサブタイプ、Cav3.1、Cav3.2及び/又はCav3.3の遮断による、神経細胞におけるバースト発火放電(burst firing discharges)の減少が必要とされる疾患又は障害の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関する。
【0049】
態様1)~23)のいずれか1つに定義する「化合物」の結晶形は、カルシウムTチャンネルが関与する疾患又は障害の予防又は治療に有用である。カルシウムTチャンネルが関与するそのような疾患又は障害は、特に、下記の疾患又は障害を含むものと定義してもよい:
- てんかん(特に、欠神てんかん、小児欠神及び他の形態の特発性全般てんかん、側頭葉てんかん);
- 睡眠障害及び睡眠失調;
- 疼痛(特に、炎症性疼痛、神経因性疼痛、末梢性疼痛、抹消性軸索損傷に関連する慢性痛);
- 神経性疾患及び障害(特に、本態性振戦、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、不安症、精神病、神経変性障害、自閉症、薬物依存);
- 心血管疾患及び障害(特に、高血圧、不整脈、心房細動、うっ血性心不全、心臓ブロック);
- 癌;
- 糖尿病及び糖尿病性ニューロパシー;並びに
- 不妊症及び性機能障害。
【0050】
特に、カルシウムTチャンネルが関与するそのような疾患又は障害は、てんかん、神経性障害及び疼痛を意味する。好ましくは、そのような疾患又は障害は、てんかん及び疼痛を意味する。
【0051】
「疼痛」という用語は、好ましくは、炎症性疼痛、神経因性疼痛、末梢性疼痛及び抹消性軸索損傷に関連する慢性痛を意味する。
【0052】
「神経性疾患及び障害」という用語は、好ましくは、本態性振戦、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、不安症、精神病、神経変性障害、自閉症及び薬物依存を意味する。
【0053】
「心血管疾患及び障害」という用語は、好ましくは、高血圧、不整脈、心房細動、うっ血性心不全及び心臓ブロックを意味する。
【0054】
29) 本発明のさらなる態様は、てんかん;睡眠障害;睡眠失調;炎症性疼痛、神経因性疼痛、末梢性疼痛及び抹消性軸索損傷に関連する慢性痛から選択される疼痛;本態性振戦、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、不安症、精神病、神経変性障害、自閉症及び薬物依存から選択される神経性障害;高血圧、不整脈、心房細動、うっ血性心不全及び心臓ブロックから選択される心血管障害;癌;糖尿病;並びに糖尿病性ニューロパシーから選択される疾患又は障害の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関する。
【0055】
30) 本発明のさらなる態様は、てんかん;睡眠障害;睡眠失調;炎症性疼痛、神経因性疼痛、末梢性疼痛及び抹消性軸索損傷に関連する慢性痛から選択される疼痛;本態性振戦;パーキンソン病;統合失調症並びに薬物依存から選択される疾患又は障害の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関する。
【0056】
31) 本発明のさらなる態様は、てんかん(特に特発性全般てんかん)の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関する。
【0057】
32) 本発明のさらなる態様は、焦点性及び/又は全般発作の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関する。
【0058】
33) 本発明のさらなる態様は、焦点性、強直性、間代性、強直間代性、欠神、ミオクロニー及び/又は脱力発作の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関する。
【0059】
34) 本発明のさらなる態様は、強直間代性、欠神、ミオクロニー及び/又は脱力発作の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関する。
【0060】
35) 本発明のさらなる態様は、強直間代性及び/又は欠神発作の予防及び/又は治
療において使用するための、態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関する。
【0061】
36) 本発明のさらなる態様は、強直間代性発作の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関する。
【0062】
37) 本発明のさらなる態様は、欠神発作の予防及び/又は治療において使用するための、態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形に関する。
【0063】
「てんかん」という用語は、反復非誘発発作を記述し、「発作」という用語は、過剰及び/又は過同期性電気的神経細胞活性を意味する。異なるタイプの「てんかん」が、例えば、Bergら、Epilepsia.2010;51(4):676-685に開示されており、これは、参照により本明細書に取り込まれる。
【0064】
いかなる疑義をも避けるために、「化合物」の結晶形がある疾患の予防及び/又は治療について有用であると記載されている場合には、そのような「化合物」の結晶形は、同様に当該疾患の予防又は治療のための医薬の製造における使用に適している。
【0065】
38) 本発明のさらなる態様は、T型カルシウムチャンネルの機能不全に関連する疾患又は障害(特に、T型カルシウムチャンネルサブタイプ、Cav3.1、Cav3.2及び/又はCav3.3の遮断が必要とされる疾患又は障害)の予防及び/又は治療において使用するための、態様25)に従う医薬組成物に関する。
【0066】
39) 本発明のさらなる態様は、T型カルシウムチャンネルサブタイプ、Cav3.1、Cav3.2及び/又はCav3.3の遮断による、神経細胞におけるバースト発火放電の減少が必要とされる疾患又は障害の予防及び/又は治療において使用するための、態様25)に従う医薬組成物に関する。
【0067】
40) 本発明のさらなる態様は、てんかん;睡眠障害;睡眠失調;炎症性疼痛、神経因性疼痛、末梢性疼痛及び抹消性軸索損傷に関連する慢性痛から選択される疼痛;本態性振戦、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、不安症、精神病、神経変性障害、自閉症及び薬物依存から選択される神経性障害;高血圧、不整脈、心房細動、うっ血性心不全及び心臓ブロックから選択される心血管障害;癌;糖尿病;並びに糖尿病性ニューロパシーから選択される疾患又は障害の予防及び/又は治療において使用するための、態様25)に従う医薬組成物に関する。
【0068】
41) 本発明のさらなる態様は、てんかん;睡眠障害;睡眠失調;炎症性疼痛、神経因性疼痛、末梢性疼痛及び抹消性軸索損傷に関連する慢性痛から選択される疼痛;本態性振戦;パーキンソン病;統合失調症並びに薬物依存から選択される疾患又は障害の予防及び/又は治療において使用するための、態様25)に従う医薬組成物に関する。
【0069】
42) 本発明のさらなる態様は、てんかん(特に特発性全般てんかん)の予防及び/又は治療において使用するための、態様25)に従う医薬組成物に関する。
【0070】
43) 本発明のさらなる態様は、焦点性及び/又は全般発作の予防及び/又は治療において使用するための、態様25)に従う医薬組成物に関する。
【0071】
44) 本発明のさらなる態様は、焦点性、強直性、間代性、強直間代性、欠神、ミオクロニー及び/又は脱力発作の予防及び/又は治療において使用するための、態様25)に従う医薬組成物に関する。
【0072】
45) 本発明のさらなる態様は、強直間代性、欠神、ミオクロニー及び/又は脱力発作の予防及び/又は治療において使用するための、態様25)に従う医薬組成物に関する。
【0073】
46) 本発明のさらなる態様は、強直間代性及び/又は欠神発作の予防及び/又は治療において使用するための、態様25)に従う医薬組成物に関する。
【0074】
47) 本発明のさらなる態様は、強直間代性発作の予防及び/又は治療において使用するための、態様25)に従う医薬組成物に関する。
【0075】
48) 本発明のさらなる態様は、欠神発作の予防及び/又は治療において使用するための、態様25)に従う医薬組成物に関する。
【0076】
本発明はまた、薬学的に活性な量の態様1)~23)のいずれか1つに従う「化合物」の結晶形又は態様25)に従う医薬組成物を対象に投与することを有する、本明細書において言及する疾患又は障害の予防又は治療方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1図1は、結晶形1における「化合物」の粉末X線回折ダイアグラムを示し、粉末X線回折ダイアグラムはCu Kα照射に対して示す。上記X線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータにおける、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(3-30°の範囲の2シータからの、10%又はそれより大きな相対強度を有する選択したピークを報告する。):4.7°(26%)、9.3°(17%)、12.0°(17%)、14.1°(60%)、16.3°(32%)、18.4°(36%)、20.1°(100%)、21.8°(22%)、24.7°(49%)及び28.6°(21%)。
図2図2は、結晶形2における「化合物」の粉末X線回折ダイアグラムを示し、粉末X線回折ダイアグラムはCu Kα照射に対して示す。上記X線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータにおける、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(3-30°の範囲の2シータからの、10%又はそれより大きな相対強度を有する選択したピークを報告する。):10.9°(17%)、12.4°(32%)、12.8°(71%)、13.2°(12%)、15.7°(28%)、16.3°(25%)、18.0°(65%)、18.3°(100%)、21.1°(30%)及び29.3°(21%)。
【0078】
図1及び図2のX線回折ダイアグラムにおいては、屈折角2シータ(2θ)を横軸に、カウントを縦軸にプロットする。
【0079】
いかなる疑義をも避けるために、上記のピークは、図1及び図2に示す粉末X線回折の実験結果を記述する。上記のピークのリストとは対照的に、本発明の各結晶形の「化合物」を完全に及び明確に特徴づけるためには、選択された特徴的なピークのみが必要であることが理解されるべきである。
【実施例0080】
実験手順
(前記の部分及びこの項において使用される)略語:
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DSC 示差走査熱量測定
eq 当量
EtOAc 酢酸エチル
Fig 図
h 時間
1H-NMR プロトン核磁気共鳴
HATU O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LC-MS 液体クロマトグラフィー-質量分析
min 分
MS 質量分析
NMR 核磁気共鳴
Ph.Eur. European Pharmacopeia
RT 室温
sat. 飽和
TFA トリフルオロ酢酸
tR 保持時間
vol. 出発物質1kg当たりの溶媒(L)
XRPD 粉末X線回折
全ての溶媒及び試薬は、特に断らない限り、商業的供給元から得られたままで使用される。
【0081】
温度は、摂氏温度(℃)で示す。特に断らない限り、反応は、室温(RT)で行われる。
【0082】
下記の実施例で使用する分析LC-MS条件:
カラム:40.0℃に加熱したZorbax SB-Aq、3.5μm、4.6x50mm;勾配:1.0minにわたって、0.04%のTFAを含む5%CH3CN/95%H2Oから0.04%のTFAを含む95%CH3CN/5%H2Oへ、流速4.5mL/min;MS:ESI+イオン化モードでのThermo MSQ Plus。
【0083】
粉末X線回折分析(XRPD)
粉末X線回折パターンは、反射モード(結合2シータ/シータ)においてCuKα-照射で作動するLynxeye検出器を備えたBruker D8 AdvanceX線回折計上で収集した。典型的には、X-線チューブを40kV/40mAで走査させた。3~50°の2θの走査範囲にわたって、0.02°(2θ)のステップサイズ及び76.8秒のステップタイムを適用した。発散スリットは固定的に0.3°に設定した。粉末を、0.5mmの深さのシリコン単結晶サンプルホルダー内にわずかにプレスし、測定の間、サンプルをそれ自体のプレイン中で回転させた。回折データはKα2除去を適用することなくレポートされる。これまでに記録された粉末X線回折パターンが一般的にそうであるように、本明細書で提供される2θ値の精度は、+/-0.1~0.2°の範囲内である。
【0084】
重量測定蒸気吸着(GVS)分析
測定は、25℃においてステッピングモードで作動するIGASORP Model HAS-036-080吸湿装置(moisture sorption instrument)(Hiden Isochema、ウォリントン、UK)で行った。5%のΔRHステップで、ステップ毎の最大平衡化時間が24時間である、予め既定された湿度プログラムを開始する前に、試料を開始相対湿度(RH)で平衡化した。各試料を約20~3
0mg使用した。
【0085】
示差走査熱量測定(DSC)
DSCデータは、34ポジションのオートサンプラーを備えたMettler Toledo STARe System(DSC822eモジュール、セラミックセンサー付きの測定用セル及びSTAR ソフトウェア version 13.00)上で収集した。装置は、インジウム標品を用いてエネルギー及び温度について平衡化した。典型的には、2mgの各サンプルを、自動的に削孔される40μLのMettlerアルミニウムパン内で、特に断らない限り、-20℃から280℃に、10℃ min-1で加熱した。サンプル上で窒素パージを20ml min-1で維持した。融点についてピーク温度をレポートする。
【0086】
I-化学
出発物質、6-((3-アミノ-1H-ピラゾール-1-イル)メチル)ニコチノニトリル及び2-(4-(1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル)フェニル)酢酸は、それぞれWO2015/186056、54頁、24~27行及び109頁、27~30行に記載の手順に従って製造することができる。
【0087】
II. 「化合物」の結晶形の製造
実施例1: 結晶形1の「化合物」の製造及び特性分析
2-(4-(1-(トリフルオロメチル)シクロプロピル)フェニル)酢酸(41mmol、1.0eq.)のアセトニトリル(280mL)中の溶液に、DIPEA(90mmol、2.2eq.)及びHATU(43mmol、1.05eq.)をそれぞれ添加し、溶液を、窒素雰囲気下でRTにて5min撹拌した。6-((3-アミノ-1H-ピラゾール-1-イル)メチル)ニコチノニトリル(43mmol、1.05eq.)を添加し、溶液をRTにて約18h撹拌し、溶媒を真空下で除いた。残渣をEtOAc中に溶解し、塩酸(0.1M)、飽和NaHCO3水溶液及び水で連続的に洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、真空濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(勾配:n-ヘプタンからEtOAcへ)。結晶化:トルエン(70mL)を得られた固体(14g)に添加し、完全に溶解するまで、懸濁液を加熱還流した。溶液を約90min以内にRTに到達するようにした。さらに0℃に冷却した後、懸濁液をろ過し、残渣をn-ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥して、結晶形1の結晶固体(10g)を得た。
【0088】
【表1】
実施例2: 結晶形2の「化合物」の製造及び特性分析
結晶形1の「化合物」(5mg)を、4mLのガラスバイアル内でアセトン(40μL)又はブタノン(50μL)中に溶解し、溶媒を、周囲条件下で開蓋したバイアルから蒸発
させ、両溶媒から結晶形2の結晶固体を得た。
【0089】
【表2】
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、14.1°及び20.1°におけるピークの存在
より特徴づけられる、N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶を活性成分として含む、T型カルシウムチャンネルの機能不全に関連する疾患又は障害の予防用及び/又は治療用の医薬
【請求項2】
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、9.3°、14.1°、20.1°及び24.7°におけるピークの存在
より特徴づけられる、請求項1に記載の医薬
【請求項3】
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:4.7°、9.3°、12.0°、14.1°、16.3°、18.4°、20.1°、21.8°、24.7°及び28.6°におけるピークの存在により特徴づけられる、請求項1に記載の医薬
【請求項4】
前記N-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドの結晶が、示唆走査熱量測定(DSC)サーモグラムの147±2℃における吸熱ピークの存在により特徴づけられる、請求項1に記載の医薬。
【請求項5】
a. vol.のトルエン中にN-[1-(5-シアノ-ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-2-[4-(1-トリフルオロメチル-シクロプロピル)-フェニル]-アセタミドを有する懸濁液を、還流下で溶解するまで加熱する工程;b. 上記溶液を1~5時間以内に約25℃に冷却する工程;
c. 0℃に冷却する工程;及び
d. 得られた固体残渣を単離する工程;
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬の製造方法
【請求項6】
活性成分としての請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬及び少なくとも1種の薬学的
に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項7】
てんかん;睡眠障害;睡眠失調;炎症性疼痛、神経因性疼痛、末梢性疼痛及び抹消性軸索損傷に関連する慢性痛から選択される疼痛;本態性振戦、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、不安症、精神病、神経変性障害、自閉症及び薬物依存から選択される神経性障害;高血圧、不整脈、心房細動、うっ血性心不全及び心臓ブロックから選択される心血管障害;癌;糖尿病;並びに糖尿病性ニューロパシーから選択される疾患又は障害の予防及び/又は治療の、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬
【請求項8】
てんかんの予防及び/又は治療の、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬