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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123690
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】温度制御ユニット及び電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6557 20140101AFI20230829BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230829BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20230829BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20230829BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20230829BHJP
【FI】
H01M10/6557
H01M10/613
H01M10/6563
H01M10/651
H01M10/617
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104619
(22)【出願日】2023-06-27
(62)【分割の表示】P 2021558705の分割
【原出願日】2020-06-16
(31)【優先権主張番号】201910528792.2
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910528260.9
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910528787.1
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宿永強
(72)【発明者】
【氏名】王増忠
(72)【発明者】
【氏名】孫占宇
(72)【発明者】
【氏名】鄭陳鈴
(72)【発明者】
【氏名】駱兵団
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼慶元
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電池が膨張力の作用下で生成した変形を低減し、電池の耐用年数を大幅に向上させる温度制御ユニット及び電池パックを提供する。
【解決手段】空冷方式を採用して放熱を行う電池パックにおいて、隣接する2つの電池の間に設けられる温度制御ユニット1は、第1の側面板11、第2の側面板12及び第1の緩衝板13を含む。第2の側面板が第1の側面板と共にキャビティを形成し、第1の緩衝板は、第2の側面板と第1の側面板との間に設けられ、それによりキャビティを複数の通路に区画し、かつ、第1の緩衝板の少なくとも一部は、第1の側面板から第2の側面板に向かって傾斜し延伸する。電池パックは、温度制御ユニットを含み、外気が温度制御ユニットの通路を流れる時に、電池に対する放熱処理を実現する。
【効果】温度制御ユニット1は、電池の膨張力要求を満たすことを保証し、電池の耐用年数を向上させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側面板と、
縦方向に沿って第1の側面板と対向して設けられ、かつ第1の側面板に接続されて、第1の側面板と共にキャビティを形成する第2の側面板と、
第2の側面板と第1の側面板との間に設けられて、第2の側面板と第1の側面板に接続され、それにより前記キャビティを複数の通路に区画し、かつ少なくとも一部は第1の側面板から第2の側面板に向かって傾斜し延伸する第1の緩衝板と、を含み、
第1の緩衝板の全体は第1の側面板から第2の側面板に向かって斜め上向きに延伸して形成され、
第2の側面板と第1の側面板との間に設けられて、第2の側面板と第1の側面板に接続されて、かつ第1の側面板から第2の側面板に向かって斜め下向きに延伸して形成される第2の緩衝板をさらに含み、
第2の緩衝板は上下方向に沿って第1の緩衝板と間隔を隔てて設けられる、
ことを特徴とする温度制御ユニット。
【請求項2】
第1の緩衝板は波状構造に形成され、又は平板状構造又は円弧状板状構造に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の温度制御ユニット。
【請求項3】
第1の緩衝板の全体は第1の側面板から第2の側面板に向かって傾斜し延伸して形成される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の温度制御ユニット。
【請求項4】
第2の緩衝板と第1の緩衝板はアーチ状構造として形成され、又は、
第2の緩衝板、第1の緩衝板、及び第1の側面板の対応する部分は三角形の構造として形成され、又は、
第2の緩衝板、第1の緩衝板、及び第2の側面板の対応する部分は三角形の構造として形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の温度制御ユニット。
【請求項5】
第1の側面板には、縦方向に沿って第2の側面板に向かって延伸して対応する通路内に位置し、かつ第1の緩衝板の第1の側面板での投影領域内にある第1の位置決め突起が設けられ、
第2の側面板には、縦方向に沿って第1の側面板に向かって延伸して対応する通路内に位置し、かつ第1の緩衝板の第2の側面板での投影領域内にある第2の位置決め突起が設けられる、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の温度制御ユニット。
【請求項6】
第1の緩衝板の延伸方向と第1の側面板とのなす鋭角θ1は45°以下である、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の温度制御ユニット。
【請求項7】
第1の緩衝板の長さはLであり、かつ第1の緩衝板は第1の端部を有し、前記第1の端部は第1の側面板に接続され、
第1の位置決め突起の数は1つであり、第1の位置決め突起と第1の端部との上下方向での距離はa1であり、かつ0<a1≦L/2であり、又は、
第1の位置決め突起の数は複数であり、前記複数の第1の位置決め突起のうち第1の端部に近接する第1の位置決め突起と第1の端部との上下方向での距離はa2であり、かつ0<a2≦L/2である、
ことを特徴とする請求項5に記載の温度制御ユニット。
【請求項8】
第1の緩衝板の長さはLであり、かつ第1の緩衝板は第2の端部を有し、前記第2の端部は第2の側面板に接続され、
第2の位置決め突起の数は1つであり、第2の位置決め突起と第2の端部との上下方向での距離はb1であり、かつ0<b1≦L/2であり、又は、
第2の位置決め突起の数は複数であり、前記複数の第2の位置決め突起のうち第2の端部に近接する第2の位置決め突起と第2の端部との上下方向での距離はb2であり、かつ0<b2≦L/2である、
ことを特徴とする請求項5に記載の温度制御ユニット。
【請求項9】
温度制御ユニットの縦方向での厚さはHであり、
第1の位置決め突起の縦方向での高さはh1であり、かつ0<h1≦H/2であり、
第2の位置決め突起の縦方向での高さはh2であり、かつ0<h2≦H/2である、
ことを特徴とする請求項5~8のいずれか一項に記載の温度制御ユニット。
【請求項10】
第1の位置決め突起の数は1つであり、H/8≦h1≦H/2であり、又は、
第1の位置決め突起の数は複数であり、H/20≦h1≦H/8である、
ことを特徴とする請求項9に記載の温度制御ユニット。
【請求項11】
第2の位置決め突起の数は1つであり、H/8≦h2≦H/2であり、又は、
第2の位置決め突起の数は複数であり、H/20≦h2≦H/8である、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の温度制御ユニット。
【請求項12】
第1の緩衝板は第1の側面板から第2の側面板に向かって斜め上向きに延伸し、
第2の側面板と第1の側面板との間に設けられて、第1の側面板から第2の側面板に向かって斜め下向きに延伸し、かつ第2の側面板と第1の側面板に接続されて、第1の緩衝板と共に前記キャビティを複数の通路に区画する第2の緩衝板をさらに含み、
第1の側面板には、縦方向に沿って第2の側面板に向かって延伸し、かつ第2の緩衝板の第1の側面板での投影領域内にある第3の位置決め突起がさらに設けられ、
第2の側面板には、縦方向に沿って第1の側面板に向かって延伸し、かつ第2の緩衝板の第2の側面板での投影領域内にある第4の位置決め突起が設けられる、
ことを特徴とする請求項5~11のいずれか一項に記載の温度制御ユニット。
【請求項13】
第2の緩衝板と、第1の緩衝板と、第1の側面板と、第2の側面板とは共に通路として囲まれ、
前記通路は、広い表面、狭い表面及び位置決め突起を有し、狭い表面は縦方向に沿って広い表面に対向して設けられ、位置決め突起は縦方向に沿って広い表面から突出して、狭い表面と間隔を隔てて設けられ、かつ位置決め突起の少なくとも一部は狭い表面の広い表面での投影領域内にある、
ことを特徴とする請求項1に記載の温度制御ユニット。
【請求項14】
第1の緩衝板は第2の緩衝板の下方に位置し、前記通路の広い表面は第1の側面板の第2の側面板に向く表面である、
ことを特徴とする請求項13に記載の温度制御ユニット。
【請求項15】
第1の側面板の縦方向での肉厚はc1であり、
位置決め突起の狭い表面に向く表面の上下方向での寸法はbであり、かつc1<bである、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の温度制御ユニット。
【請求項16】
狭い表面の上下方向での寸法はlであり、かつ2.5c1≦b≦lである、
ことを特徴とする請求項15に記載の温度制御ユニット。
【請求項17】
第1の緩衝板は第2の緩衝板の上方に位置し、前記通路の広い表面は第2の側面板の第1の側面板に向く表面である、
ことを特徴とする請求項13~16のいずれか一項に記載の温度制御ユニット。
【請求項18】
第2の側面板の縦方向での肉厚はc2であり、
位置決め突起の狭い表面に向く表面の上下方向での寸法はbであり、かつc2<bである、
ことを特徴とする請求項13~17のいずれか一項に記載の温度制御ユニット。
【請求項19】
狭い表面の上下方向での寸法はlであり、かつ2.5c2≦b≦lである、
ことを特徴とする請求項18に記載の温度制御ユニット。
【請求項20】
温度制御ユニットの縦方向での厚さはHであり、
位置決め突起の縦方向での高さはaであり、かつ1.5H≦a<Hある、
ことを特徴とする請求項13~19のいずれか一項に記載の温度制御ユニット。
【請求項21】
1/3H≦a≦1/2Hである、
ことを特徴とする請求項20に記載の温度制御ユニット。
【請求項22】
位置決め突起は、広い表面から狭い表面に向かって延伸する本体部、及び本体部の狭い表面に接近する一端に設けられて、周方向に沿って本体部から突出する突出部を有し、
突出部の少なくとも一部が狭い表面の広い表面での投影領域内にある、
ことを特徴とする請求項13~21のいずれか一項に記載の温度制御ユニット。
【請求項23】
複数の電池、及び請求項1~22のいずれか一項に記載の温度制御ユニットを含み、前記複数の電池は第1の電池及び第2の電池を含み、温度制御ユニットは第1の電池と第2の電池との間に設けられる、ことを特徴とする電池パック。
【請求項24】
前記複数の電池は横方向には少なくとも2列の電池列に配列され、各電池列のうち隣接する2つの電池の間にはいずれも温度制御ユニットが設けられ、
電池パックは、前記少なくとも2列の電池列を支持する下部筐体と、2列の電池列の間に設けられて下部筐体に固定され、かつ対応する電池列とともにダクトを形成するダクトユニットであって、前記ダクトが対応する温度制御ユニットの複数の通路に連通されるダクトユニットと、前記ダクトに連通されるファンと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の電池パック。
【請求項25】
ダクトユニットは、前記ダクト内に設けられて、前記ダクトを縦方向に沿ってファンに接近する側からファンから離れる側に拡張させる風量調整板を含む、
ことを特徴とする請求項24に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池の技術分野に関し、特に温度制御ユニット及び電池パックに関する。
【0002】
本願は、2019年6月18日に中国特許局に出願され、出願番号は201910528792.2であり、出願名称は「温度制御ユニット及び電池パック」の中国特許出願の優先権と、2019年6月18日に中国特許局に出願され、出願番号は201910528260.9であり、出願名称は「温度制御ユニット及び電池パック」の中国特許出願の優先権と、及び2019年6月18日に中国特許局に出願され、出願番号は201910528787.1であり、出願名称は「温度制御ユニット及び電池パック」の中国特許出願の優先権とを主張するものであり、そのすべての内容は引用により本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電池パックは、通常、グループ化された複数の電池を含む。グループ化技術において、構造自体の強度及び性能を保証するだけでなく、構造の電池寿命に対する影響を考慮する必要があり、ここで温度及び膨張力は電池寿命に対する影響が大きいため、設計する時に熱管理及び膨張力の設計を考慮する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の目的は温度制御ユニット及び電池パックを提供することであり、温度制御ユニットが電池パックに応用される場合に、温度制御ユニットは電池を熱管理するだけでなく、電池が生成した膨張力を吸収することができ、それにより電池が膨張力の作用下で生成した変形を低減し、電池の耐用年数を大幅に向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を実現するために、第1の態様において、本願の1つの実施例は温度制御ユニットを提供し、前記温度制御ユニットは、第1の側面板と、縦方向に沿って第1の側面板と対向して設けられ、かつ第1の側面板に接続されて、第1の側面板と共にキャビティを形成する第2の側面板と、第2の側面板と第1の側面板との間に設けられて、第2の側面板と第1の側面板に接続され、それにより前記キャビティを複数の通路に区画し、かつ少なくとも一部は第1の側面板から第2の側面板に向かって傾斜し延伸する第1の緩衝板と、を含む。
【0006】
第2の態様において、本願の1つの実施例は電池パックを提供し、前記電池パックは複数の電池及び上記に記載の温度制御ユニットを含み、前記複数の電池は第1の電池及び第2の電池を含み、温度制御ユニットは第1の電池と第2の電池との間に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本願の有益な効果は以下のとおりである。本願の電池パックにおいて、外気が温度制御ユニットの通路を流れる時に、電池に対する放熱処理を実現することができる。かつ、電池パックの使用過程において、電池は膨張力が生成し、このときに隣接する2つの電池の膨張力はそれぞれ第1の側面板と第2の側面板を押圧し、第1の側面板と第2の側面板は膨張力を第1の緩衝板に伝達する。第1の緩衝板の少なくとも一部は第1の側面板から第2の側面板に向かって傾斜し延伸し、それにより第1の側面板及び第2の側面板を介して第1の緩衝板に伝達された膨張力を大幅に減少させ、それにより温度制御ユニットの耐用年数を延長する。かつ、第1の緩衝板が傾斜し延伸する前記少なくとも一部は膨張力の作用で曲げ変形を生成しやすく、それにより温度制御ユニットは電池の膨張力をタイムリーに吸収させることができ、それにより電池の耐用年数を大幅に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本願の電池パックの1つの実施例における分解斜視図である。
図2】本願の電池パックの他の実施例における斜視図である。
図3図2における温度制御ユニットの斜視図である。
図4図3における丸部分の拡大図である。
図5図1における温度制御ユニットの斜視図である。
図6図5の1つの変形例である。
図7図5の他の1つの変形例である。
図8図5の正面図である。
図9】本願の電池パックの1つの実施例における斜視図である。
図10図9における隣接する2つの電池と対応する温度制御ユニットとの位置関係の模式図である。
図11図9における温度制御ユニットの斜視図である。
図12図11における丸部分の拡大図である。
図13図11の正面図であり、ここで温度制御ユニットは変形された前の状態にある。
図14図13における温度制御ユニットは変形された後の状態である。
図15図13における丸部分の拡大図であり、ここで複数の第1の位置決め突起と第1の緩衝板の第1の端部の上下方向における距離a2を示す。
図16図14における丸部分の拡大図である。
図17図13における丸部分の拡大図であり、ここで複数の第2の位置決め突起と第1の緩衝板の第2の端部の上下方向における距離b2を示す。
図18図13の変形例であり、ここで温度制御ユニットは変形された前の状態にある。
図19図18における温度制御ユニットは変形された後の状態である。
図20図18における丸部分の拡大図であり、ここで第1の位置決め突起と第1の緩衝板の第1の端部との上下方向における距離a1を示す。
図21図19における丸部分の拡大図である。
図22図18における丸部分の拡大図であり、ここで第2の位置決め突起と第1の緩衝板の第2の端部との上下方向における距離b1を示す。
図23】本願のダクトユニットと下部筐体は1つの実施例における組立図である。
図24】本願の電池パックは1つの実施例における斜視図である。
図25図24における隣接する2つの電池と対応する温度制御ユニットとの位置関係の模式図である。
図26】本願の温度制御ユニットは1つの実施例における斜視図である。
図27図26における丸部分の拡大図である。
図28図26の正面図であり、ここで温度制御ユニットは変形された前の状態にある。
図29図28における温度制御ユニットは変形された後の状態である。
図30図28における丸部分の拡大図である。
図31図29における丸部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に図面及び実施例を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。理解されるように、ここで説明する具体的な実施例は、本願を解釈することのみに用いられ、本願に限定されるものではない。
【0010】
本願の記載において、他の明確な規定と限定がない限り、用語「第1」、「第2」は説明の目的のみに用いられ、相対的な重要性を指示するか又は暗示することを理解することができない。用語「複数」は2つ以上(2つを含む)を指す。別に規定又は説明がない限り、用語「接続」は広義に理解すべきであり、例えば、「接続」は固定的な接続であってもよく、着脱可能な接続であってもよく、一体的な接続であってもよく、又は電気的な接続であってもよく、信号による接続であってもよい。「接続」は直接的な接続であってもよく、中間媒体による間接的な接続であってもよい。当業者であれば、上述する用語は、具体的な状況によって本願における具体的な意味を理解することができる。
【0011】
本明細書の説明において、理解すべきことは、本願の実施例に説明された「上」、「下」、等の方位語は図面に示された角度で説明され、本願の実施例を限定するものと理解すべきではない。以下は具体的な実施例によって、図面を参照ながら、本願をさらに詳細に説明する。
【0012】
図1図31を参照し、本願の1つの実施例における電池パックは温度制御ユニット1、複数の電池2、下部筐体3、ダクトユニット4、ファン5、ケーブルタイ6、上部筐体カバー7、端板8、取付パネル9及びワイヤハーネス隔離板10を含む。
【0013】
図2図9図10図24及び図25を参照し、前記複数の電池2は第1の電池2A及び第2の電池2Bを含み、温度制御ユニット1は第1の電池2Aと第2の電池2Bとの間に設けられる。さらに、第1の電池2Aと第2の電池2Bの数はいずれも複数であってもよく、複数の第1の電池2Aと複数の第2の電池2Bは縦方向Yにおいて交互に配列され、かつ各隣接する第1の電池2Aと第2の電池2Bとの間にいずれも温度制御ユニット1が設けられてもよい。
【0014】
温度制御ユニット1の強度及び熱伝導性を保証するために、温度制御ユニット1は金属材料例えばアルミニウム型材で製造されてもよい。
【0015】
熱管理設計の面では、現在主に水冷と空冷の2つの方式がある。ここで、水冷方式のコストが高いため、電池パックは一般的に空冷方式を採用して放熱を行う。
【0016】
膨張力設計の面では、電池パックは充放電過程において、電池が徐々に膨張し、かつ固定構造と相互作用力(つまり膨張力)を生成する。ここで、適切な膨張力は電池自体の反応に有利であるが、過大な膨張力により電池の受けた圧力が大きすぎて、リチウムの析出現象が発生し、ひいては不可逆的な容量損失が発生し、それにより、電池の寿命を大幅に低減させる。
【0017】
膨張力を緩和するために、現在主に以下のいくつかの方式を有する。(1)電池の間に直接に密着し、外部構造を補強することによって、膨張力を直接的に抵抗し、このような方式の欠点は以下のとおりであり、電池容量と電池のグループ化された直列数が徐々に向上する場合に、電池のグループ化された後の膨張力がますます大きくなり、それにより電池の耐用年数を低減させる。(2)電池の間にクッションパッド等の構造を増加し、それは材料自体の伸縮特性によって膨張力を吸収し、それによりグループ化された後の膨張力を低下させ、このような方式の欠点は以下のとおりであり、電池の面積が大きい面がクッションパッドに密着し、電池の側面及び底部のみを採用して放熱することができ、それによって、放熱効率を低減させる。(3)電池と電池を離間させ、その間に隙間を空けて、それにより電池を自由に膨張させ、このような方式の欠点は以下のとおりであり、電池が初期に自由に膨張し、無圧力で反応が不十分になりやすく、耐用年数を低減させ、同時に電池の膨張量が大きく、予め保留する隙間が大きすぎる時に、グループ化された体積に影響を与える。
【0018】
図3図8図11図15図17図20図22図26図30を参照して、温度制御ユニット1は第1の側面板11、第2の側面板12、第1の緩衝板13、第1の接続板15及び第2の接続板16を含んでもよい。ここで、第1の側面板11、第2の側面板12、第1の緩衝板13、第1の接続板15及び第2の接続板16は、アルミニウム押出プロセスを採用して一体成形されてもよい。
【0019】
第1の側面板11は縦方向Yに沿って第2の側面板12に対向して設けられ、かつ第2の側面板12は第1の接続板15及び第2の接続板16を介して第1の側面板11に接続される。ここで、第1の側面板11及び第2の側面板12は対応する電池2の大きい面に直接に面して設けられ、外気が温度制御ユニット1を流れる時に、電池2に対する放熱処理を実現することができる。
【0020】
第1の接続板15は第1の側面板11の一端と、第2の側面板12の一端に接続され、第2の接続板16は第1の側面板11の他端と第2の側面板12の他端に接続され、これによって、第1の側面板11、第2の側面板12、第1の接続板15及び第2の接続板16は共にキャビティ付きの枠状構造を形成する。
【0021】
第1の緩衝板13は第2の側面板12と第1の側面板11との間に設けられて、第2の側面板12と第1の側面板11に接続され、それにより前記キャビティを複数の通路Fに区画し、かつ第1の緩衝板13の少なくとも一部は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって傾斜し延伸する。ここで、第1の緩衝板13の数は複数であってもよく、前記複数の第1の緩衝板13は上下方向Zに沿って間隔を隔てて設けられ、それにより前記キャビティを複数の通路Fに区画する。
【0022】
電池パックの使用過程において、電池2は膨張力が生成し、この時に隣接する2つの電池2(つまり第1の電池2Aと第2の電池2B)の膨張力はそれぞれ第1の側面板11と第2の側面板12を押圧し、第1の側面板11と第2の側面板12は膨張力を第1の緩衝板13に伝達する。第1の緩衝板13の少なくとも一部は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって傾斜し延伸し、それにより第1の側面板11及び第2の側面板12を介して第1の緩衝板13に伝達された膨張力を大幅に減少させ、それにより温度制御ユニット1の耐用年数を延長する。かつ、第1の緩衝板13が傾斜し延伸する前記少なくとも一部は膨張力の作用で曲げ変形を生成しやすく、それにより温度制御ユニット1は電池2の膨張力をタイムリーに吸収させることができ、それにより電池2の耐用年数を大幅に向上させる。
【0023】
第1の緩衝板13の延伸方向(つまり第1の緩衝板13の前記少なくとも部分の延伸方向)と第1の側面板11で形成された夾角の大きさ及び第2の側面板12と形成された夾角の大きさによって、第1の側面板11及び第2の側面板12を介して第1の緩衝板13に伝達された膨張力の大きさを決定し、第1の緩衝板13の受けた膨張力が大きすぎると、第1の緩衝板13を押し潰す。そこで、第1の緩衝板13が大きすぎる膨張力で押し潰されることを防止するために、1つの実施案において、図8図15図20を参照し、第1の緩衝板13の延伸方向と第1の側面板11とのなす鋭角θ1は45°以下である(第1の緩衝板13と第2の側面板12とのなす鋭角は第1の緩衝板13と第1の側面板11とのなす鋭角に等しい)。
【0024】
以下に第1の緩衝板13の設置方式に基づいて、温度制御ユニット1のいくつかの具体的な構造を詳細に説明する。
【0025】
第1の実施例において(図示せず)、温度制御ユニット1の第1の側面板11と第2の側面板12との間に第1の緩衝板13のみが設けられ、第1の緩衝板13の全体は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって傾斜し延伸して形成される。具体的には、第1の緩衝板13の全体は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって斜め上向きの方向に沿って延伸することができる。又は、第1の緩衝板13の全体は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって斜め下向きの方向に沿って延伸することができる。
【0026】
第1の実施例において、第1の緩衝板13は平板状構造又は円弧状板状構造に形成されてもよい。第1の緩衝板13は厚さが均一な構造に形成されてもよい。又は、第1の緩衝板13は中央が厚く、両端が薄い構造に形成されてもよい。又は、第1の緩衝板13は中央が薄く、両端が厚い構造に形成されてもよい。
【0027】
第2の実施例において、図3及び図4を参照し、温度制御ユニット1の第1の側面板11と第2の側面板12との間には第1の緩衝板13のみが設けられ、この時に第1の緩衝板13は波状構造(段ボール板状構造とも呼ばれる)に形成されてもよい。換言すれば、第1の緩衝板13は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって斜め上向きの方向及び第1の側面板11から第2の側面板12に向かって斜め下向きの方向に沿って交互に延びて形成される。
【0028】
このような構造の第1の緩衝板13は個別の突起が形成され、かつ各突起は円弧状構造に形成される。各突起の形状構造に基づいて、第1の緩衝板13を十分な曲げ変形空間を有させ、それにより温度制御ユニット1は電池2の膨張力をタイムリーに吸収させることができ、電池2の耐用年数を大幅に向上させる。
【0029】
第3の実施例において、図5図8図11図13図14図18図19図26図28図29を参照し、第1の緩衝板13の全体は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって斜め上向きに延伸して形成され、温度制御ユニット1は第2の緩衝板14をさらに含む。第2の緩衝板14は第2の側面板12と第1の側面板11との間に設けられて、第2の側面板12と第1の側面板11に接続され、かつ第2の緩衝板14は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって斜め下向きに延伸して形成される。第2の緩衝板14は第1の緩衝板13と共に電池2の膨張力を吸収するために用いられ、それにより電池2の耐用年数を大幅に向上させる。
【0030】
第2の緩衝板14の数は複数であってもよいし、前記複数の第2の緩衝板14は上下方向Zに沿って間隔を隔てて設けられ、それにより第1の緩衝板13と共に前記キャビティを複数の通路Fに区画される。
【0031】
第2の緩衝板14の延伸方向と第1の側面板11で形成された夾角の大きさ及び第2の側面板12と形成された夾角の大きさによって、第1の側面板11及び第2の側面板12を介して第2の緩衝板14に伝達された膨張力の大きさを決定し、第2の緩衝板14の受けた膨張力が大きすぎると、第2の緩衝板14を押し潰す。そこで、第2の緩衝板14が大きすぎる膨張力で押し潰されることを防止するために、1つの実施案において、図8図20図30を参照し、第2の緩衝板14の延伸方向と第1の側面板11とのなす鋭角θ2は45°以下である(第2の緩衝板14と第2の側面板12とのなす鋭角は第2の緩衝板14と第1の側面板11とのなす鋭角に等しい)。
【0032】
図5図8図11図13図14図18図19図26図28図29を参照し、第2の緩衝板14は上下方向Zに沿って第1の緩衝板13と間隔を隔てて設けられ、かつ第1の緩衝板13と第2の緩衝板14が交互に設けられ、この時に第1の緩衝板13と第2の緩衝板14は「八」字状構造に形成される。このような「八」字状構造は、温度制御ユニット1の構造の安定性を保証し、温度制御ユニット1の構造強度を向上させる。
【0033】
図6図11を参照し、第2の緩衝板14は第1の緩衝板13に直接接続され、かつ第1の緩衝板13と第2の緩衝板14と第1の側面板11の対応する部分とは三角状構造を形成し、第1の緩衝板13と第2の緩衝板14と第2の側面板12の対応する部分とも三角状構造を形成する。このような三角状構造は、温度制御ユニット1の構造の安定性を保証し、温度制御ユニット1の構造強度を向上させる。
【0034】
図7を参照し、第2の緩衝板14は第1の緩衝板13に直接接続され、かつ第1の緩衝板13と第2の緩衝板14はアーチ状構造に形成される。このようなアーチ状構造は、温度制御ユニット1の構造の安定性を保証し、温度制御ユニット1の構造強度を向上させる。
【0035】
第3の実施例において、第1の緩衝板13と第2の緩衝板14は厚さが均一な構造(図6及び図7に示すように)に形成してもよい。又は、第1の緩衝板13と第2の緩衝板14は中央が厚く、両端が薄い構造に形成されてもよい。又は、第1の緩衝板13と第2の緩衝板14は中央が薄く、両端が厚い構造(図5及び図8に示すように)に形成されてもよい。第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14は平板状構造(図6に示すように)又は円弧状板状構造(図7に示すように)に形成されてもよい。
【0036】
図12図15図16図17図20図21図22を参照し、本願の電池パックにおいて、第1の側面板11には、縦方向Yに沿って第2の側面板12に向かって延伸して対応する通路F内に位置し、かつ第1の位置決め突起111が第1の緩衝板13の第1の側面板11での投影領域内にある第1の位置決め突起111が設けられてもよい。第2の側面板12には、縦方向Yに沿って第1の側面板11に向かって延伸して対応する通路F内に位置し、かつ第2の位置決め突起121が第1の緩衝板13の第2の側面板12での投影領域内にある第2の位置決め突起121が設けられてもよい。
【0037】
第1の緩衝板13の曲げ変形過程において、第1の位置決め突起111及び第2の位置決め突起121の設置によって、第1の緩衝板13は最終的に第1の位置決め突起111及び第2の位置決め突起121に当接し(図16及び図21に示すように)、それにより第1の緩衝板13の曲げ変形が制限され、ひいては対応する通路Fは依然として熱管理要求を満たす通風空間を有し、それにより温度制御ユニット1の電池2に対する熱管理性能を向上させ、それにより電池2の耐用年数を大幅に向上させる。
【0038】
第1の位置決め突起111と第2の位置決め突起121は対向して設けられる。具体的には、第1の位置決め突起111と第2の位置決め突起121は縦方向Yに面一に設けられる。又は、第1の位置決め突起111と第2の位置決め突起121は上下方向Zにずれて設けられる。
【0039】
第1の側面板11及び第2の側面板12の耐押圧強度を保証するために、第1の位置決め突起111及び第2の位置決め突起121の数は強度要求に応じて選択的に設けられてもよい。具体的には、図18図22を参照し、第1の側面板11の第1の位置決め突起111の数は1つであってもよい。図12図17を参照し、第1の位置決め突起111の数は複数であってもよい。同様に、第2の位置決め突起121の数は1つ(図18図22に示すように)又は複数(図12図17に示すように)であってもよい。
【0040】
第1の緩衝板13の長さはLであって、第1の端部131及び第2の端部132を有し、かつ前記第1の端部131は第1の側面板11に接続され、前記第2の端部132は第2の側面板12に接続される。
【0041】
第1の位置決め突起111の数は1つである場合(図20に示すように)、第1の位置決め突起111と第1の端部131との上下方向Zでの距離はa1(つまり第1の端部131が第1の位置決め突起111に近接するエッジと第1の位置決め突起111が第1の端部131に近接するエッジとの間の距離)であり、かつ0<a1≦L/2である。第1の位置決め突起111の数は複数である場合(図15に示すように)、前記複数の第1の位置決め突起111と第1の端部131との上下方向Zでの距離はa2(つまり第1の端部131が第1の位置決め突起111に近接するエッジと第1の端部131に最も近い第1の位置決め突起111のエッジとの間の距離)であり、かつ0<a2≦L/2である。
【0042】
ここで、パラメータa1(又はa2)の大きさは第1の位置決め突起111の第1の側面板11での設置位置を決定し、第1の位置決め突起111の第1の緩衝板13に対する位置決め作用を保証するために、第1の位置決め突起111は、第1の緩衝板13の最大自由変形円弧と第1の側面板11との相接位置と、第1の端部131との間に設けられる必要があり、つまり0<a1≦L/2(又は0<a2≦L/2)とする。a1>L/2(又はa2>L/2)である場合、第1の緩衝板13の曲げ変形の程度が限られるため、第1の位置決め突起111は第1の緩衝板13の曲げ変形に対して制限作用を果たすことが難しい又は不可能である。
【0043】
第2の位置決め突起121の数は1つである場合(図22に示すように)、第2の位置決め突起121と第2の端部132との上下方向Zでの距離はb1(つまり第2の端部132が第1の位置決め突起121に近接するエッジと第2の位置決め突起121が第2の端部132に近接するエッジとの間の距離)であり、かつ0<b1≦L/2である。第2の位置決め突起121の数は複数である場合(図17に示すように)、前記複数の第2の位置決め突起121と第2の端部132との上下方向Zでの距離はb2(つまり第2の端部132が第2の位置決め突起121に近接するエッジと第2の端部132に最も近い第2の位置決め突起121のエッジとの間の距離)であり、かつ0<b2≦L/2である。
【0044】
ここで、パラメータb1(又はb2)の大きさは第2の位置決め突起121の第2の側面板12での設置位置を決定し、第2の位置決め突起121の第1の緩衝板13に対する位置決め作用を保証するために、第2の位置決め突起121は第1の緩衝板13の最大自由変形円弧と第2の側面板12との相接位置と、第2の端部132との間に設けられる必要があり、つまり、0<b1≦L/2(又は0<b2≦L/2)とする。b1>L/2(又はb2>L/2)である場合、第1の緩衝板13の曲げ変形の程度が限られるため、第2の位置決め突起121は第1の緩衝板13の曲げ変形に対して制限作用を果たすことが難しい又は不可能である。
【0045】
図15及び図20を参照し、温度制御ユニット1の縦方向Yでの厚さはHであり、第1の位置決め突起111の縦方向Yでの高さはh1であり、かつ0<h1≦H/2である。第2の位置決め突起121の縦方向Yでの高さはh2であり、かつ0<h2≦H/2である。これは、h1>H/2(又はh2>H/2)であると、電池2が膨張変形を生成する過程において、第1の緩衝板13が生成した曲げ変形程度が小さく、それが電池2の膨張変形をタイムリーに吸収することができず、それにより温度制御ユニット1が電池2の膨張力要求を満たすことができないからである。
【0046】
さらに、第1の位置決め突起111の数は1つである場合、H/8≦h1≦H/2である。第1の位置決め突起111の数は複数である場合、前記複数の第1の位置決め突起111の高さが同じであり、かつH/20≦h1≦H/8である。
【0047】
なお、1つの第1の位置決め突起111のみがある場合、第1の緩衝板13が曲げ変形した後に当該第1の位置決め突起111との間の接触は点接触に相当し、この時に第1の緩衝板13の曲げ変形の程度が小さく、当該第1の位置決め突起111が第1の緩衝板13に対して位置決め作用を果たしようとすると、その縦方向Yでの高さh1は過小ではなく、即ちH/8≦h1≦H/2である。第1の位置決め突起111は複数である場合、第1の緩衝板13が曲げ変形した後に複数の第1の位置決め突起111との間の接触は面接触に相当し、この時に第1の緩衝板13の曲げ変形の程度が大きく、前記複数の第1の位置決め突起111が縦方向Yでの高さh1は適切に減らしてもよく、即ちH/20≦h1≦H/8である。
【0048】
同様に、第2の位置決め突起121の数は1つである場合、H/8≦h2≦H/2である。第2の位置決め突起121の数は複数である場合、前記複数の第2の位置決め突起121の高さが同じであり、かつH/20≦h2≦H/8である。ここで、第2の位置決め突起121の数とその縦方向Yでの高さh2が上記の設置方式を採用する理由は第1の位置決め突起111と一致し、ここで詳細な説明を省略する。
【0049】
いくつかの実施例(図示せず)において、第1の位置決め突起111及び第2の位置決め突起121は第1の緩衝板13のみが設けられた実施例に設けられてもよく、例えば、前述の第1の実施例のように、当然のことながら、第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14を同時に設ける実施例に設けられてもよく、例えば、前述の第3実施例のように、ここで、第2の緩衝板14は平板状構造又は円弧状構造に形成されてもよく、第2の緩衝板14は第1の緩衝板13と共に電池2の膨張変形を吸収するために用いられ、それにより温度制御ユニット1は電池2の膨張力要求を満たすことを保証し、電池2の耐用年数を向上させる。
【0050】
図13及び図19を参照し、第2の緩衝板14は上下方向Zに沿って第1の緩衝板13と間隔を隔てて設けられ、この時に第2の緩衝板14、第1の緩衝板13、第1の側面板11及び第2の側面板12は台形の通路Fとして囲まれる。
【0051】
第2の緩衝板14は第1の緩衝板13に直接接続されてもよく、このときには第2の緩衝板14、第1の緩衝板13及び第1の側面板11は三角形の通路Fとして囲まれ、第2の緩衝板14、第1の緩衝板13及び第2の側面板12も三角形の通路Fとして囲まれる。
【0052】
第1の側面板11には、縦方向Yに沿って第2の側面板12に向かって延伸し、かつ第2の緩衝板14の第1の側面板11での投影領域内にある第3の位置決め突起112がさらに設けられてもよい。第2の側面板12には、縦方向Yに沿って第1の側面板11に向かって延伸し、かつ第2の緩衝板14の第2の側面板12での投影領域内にある第4の位置決め突起122がさらに設けられてもよい。
【0053】
第2の緩衝板14の曲げ変形過程において、第3の位置決め突起112及び第4の位置決め突起122の設置によって、第2の緩衝板14は最終的に第3の位置決め突起112及び第4の位置決め突起122に当接し(図16及び図21に示すように)、それにより第2の緩衝板14の曲げ変形が制限され、ひいては対応する通路Fは依然として熱管理要求を満たす通風空間を有し、それにより温度制御ユニット1の電池2に対する熱管理性能を向上させ、それにより電池2の耐用年数を大幅に向上させる。
【0054】
第2の緩衝板14は第3の端部141及び第4の端部142を有し、かつ前記第3の端部141は第1の側面板11に接続され、前記第4の端部142は第2の側面板12に接続される。ここで、第3の位置決め突起112と第3の端部141との間の位置関係は第1の位置決め突起111と第1の端部131との間の位置関係に一致し、第4の位置決め突起122と第4の端部142との間の位置関係は第2の位置決め突起121と第2の端部132との間の位置関係に一致し、ここで詳細な説明を省略する。
【0055】
第3の位置決め突起112と第4の位置決め突起122は対向して設けられる。具体的には、第3の位置決め突起112と第4の位置決め突起122は縦方向Yに面一に設けられる。又は、第3の位置決め突起112と第4の位置決め突起122は上下方向Zにずれて設けられる。
【0056】
第1の側面板11及び第2の側面板12の耐押圧強度を保証するために、第3の位置決め突起112及び第4の位置決め突起122の数は強度要求に応じて選択的に設けられてもよい。
【0057】
前述の第3実施例において、第1の側面板11、第2の側面板12、第1の緩衝板13、第2の緩衝板14、第1の接続板15及び第2の接続板16は、アルミニウム押出プロセスを採用して一体成形されてもよい。第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14の数はいずれも複数であってもよく、第2の緩衝板14と第1の緩衝板13は順に千鳥配列され、かつ上下方向Zに各隣接する第2の緩衝板14と第1の緩衝板13と第1の側面板11の対応する部分、第2の側面板12の対応する部分とはそれぞれ1つの通路Fとして囲まれる。換言すれば、第1の側面板11、第2の側面板12、第1の接続板15及び第2の接続板16で共に形成されたキャビティは第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14によって複数の通路Fに区画される。
【0058】
図27図30及び図31を参照し、通路Fは、広い表面F1、狭い表面F2及び位置決め突起F3を有してもよく、狭い表面F2は縦方向Yに沿って広い表面F1に対向して設けられ、位置決め突起F3は縦方向Yに沿って広い表面F1から突出して、狭い表面F2と間隔を隔てて設けられ、かつ位置決め突起F3の少なくとも一部は狭い表面F2の広い表面F1での投影領域内にある。ここで、通路F内の位置決め突起F3の数は1つ又は複数であってもよい。
【0059】
電池パックの作動過程において、電池2は膨張力を生成し、隣接する2つの電池2(つまり第1の電池2Aと第2の電池2B)の膨張力はそれぞれ第1の側面板11と第2の側面板12を押圧し、第1の側面板11と第2の側面板12は膨張力を第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14に伝達する。第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14の傾斜設置により、第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14は膨張力の作用で曲げ変形を生成しやすいことによって、電池2の膨張力をタイムリーに吸収し、それにより温度制御ユニット1が電池2の膨張力要求を満たすことを保証する。同時に、第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14の曲げ変形過程において、位置決め突起F3は最終的に通路Fの狭い表面F2に当接し、それにより通路Fは依然として十分な通風空間を有し、それにより温度制御ユニット1の電池2に対する熱管理性能を向上させ、それにより電池2の耐用年数を大幅に向上させる。
【0060】
いくつかの可能な実施例において、上下方向Zに隣接する第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14に対して、第1の緩衝板13は第2の緩衝板14の下方に位置し、通路Fの広い表面F1は第1の側面板11の第2の側面板12に向く表面、狭い表面F2は第2の側面板12の第1の側面板11に向く表面であり、つまり通路F内の位置決め突起F3は第1の側面板11に設けられる。
【0061】
図27図30及び図31を参照し、第1の緩衝板13は、第1の側面板11に接続される第1の端部131と、第2の側面板12に接続される第2の端部132とを有してもよい。第2の緩衝板14は、第1の側面板11に接続される第3の端部141と、第2の側面板12に接続される第4の端部142とを有してもよい。通路Fの広い表面F1は、第1の側面板11が第1の端部131と第3の端部141との間にある表面部分であり、狭い表面F2は、第2の側面板12が第2の端部132と第4の端部142との間にある表面部分である。
【0062】
第1の側面板11の縦方向Yでの肉厚はc1であり、位置決め突起F3の狭い表面F2に向く表面の上下方向Zでの寸法はbであり、図30に示すとおりである。第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14の曲げ変形過程において、位置決め突起F3は第2の側面板12上の狭い表面F2を介して対応する電池2の大きい面を押圧し、電池2が位置決め突起F3によって印加された大きすぎる押圧力によって、リチウムの析出現象が発生することを防止するために、c1<bである。対応する電池2に対する位置決め突起F3の押圧力を効果的に減少させ、位置決め突起F3が対応する電池2の大きい面に対する応力集中を軽減するために、1つの実施案において、2.5c1≦b≦lであり、ここで、狭い表面F2の上下方向Zでの寸法はlであり、図30に示すとおりである。
【0063】
他のいくつかの可能な実施例において、上下方向Zに隣接する第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14に対して、第1の緩衝板13は第2の緩衝板14の上方に位置し、通路Fの広い表面F1は第2の側面板12の第1の側面板11に向く表面、狭い表面F2は第1の側面板11の第2の側面板12に向く表面であり、つまり通路F内の位置決め突起F3は第2の側面板12に設けられる。
【0064】
図27図30及び図31を参照し、第1の緩衝板13は、第1の側面板11に接続される第1の端部131と、第2の側面板12に接続される第2の端部132とを有してもよい。第2の緩衝板14は、第1の側面板11に接続される第3の端部141と、第2の側面板12に接続される第4の端部142とを有してもよい。通路Fの広い表面F1は、第2の側面板12が第2の端部132と第4の端部142との間にある表面部分であり、狭い表面F2は、第1の側面板11が第1の端部131と第3の端部141との間にある表面部分である。
【0065】
上述の実施例において、第2の側面板12の縦方向Yでの肉厚はc2であり、位置決め突起F3の狭い表面F2に向く表面の上下方向Zでの寸法はbであり、図30に示すとおりである。第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14の曲げ変形過程において、位置決め突起F3は第1の側面板11上の狭い表面F2を介して対応する電池2の大きい面を押圧し、電池2が位置決め突起F3によって印加された大きすぎる押圧力によって、リチウムの析出現象が発生することを防止するために、c2<bである。対応する電池2に対する位置決め突起F3の押圧力を効果的に減少させ、位置決め突起F3が対応する電池2の大きい面に対する応力集中を軽減するために、1つの実施案において、2.5c2≦b≦lであり、ここで、狭い表面F2の上下方向Zでの寸法はlであり、図30に示すとおりである。
【0066】
図30を参照し、温度制御ユニット1の縦方向Yでの厚さはHであり、位置決め突起F3の縦方向Yでの高さはaである。第1の緩衝板13と第2の緩衝板14の曲げ変形過程において、位置決め突起F3の高さaは変形した後の通路Fの通風空間の大きさを決定し、温度制御ユニット1の電池2に対する熱管理性能を保証するために、1/5H≦a<Hである。1つの実施案において、1/3H≦a≦1/2Hである。
【0067】
図30図31を参照し、位置決め突起F3は、広い表面F1から狭い表面F2に向かって延伸する本体部F31、及び本体部F31の狭い表面F2に接近する一端に設けられて、周方向に沿って本体部F31(即ち突出部F32の周方向での寸法が本体部F31の周方向での寸法よりも大きい)から突出する突出部F32を有してもよく、かつ突出部F32の少なくとも一部が狭い表面F2の広い表面F1での投影領域内にある。
【0068】
第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14の曲げ変形過程において、位置決め突起F3の突出部F32は狭い表面F2を介して対応する電池2の大きい面を押圧し、突出部F32の周方向での寸法は本体部F31の周方向での寸法より大きく、それは変形した後の通路Fの通風空間をできるだけ減少させず、さらに突出部F32と狭い表面F2との間の接触面積を保証することにより、位置決め突起F3が対応する電池2に対する押圧力を減少させる。
【0069】
図1図2図9及び図24を参照し、下部筐体3は前記複数の電池2を支持するために用いられる。前記複数の電池2は横方向Xには少なくとも2列の電池列Sに配列されてもよく、ダクトユニット4は2列の電池列Sの間に設けられかつ下部筐体3に固定される。温度制御ユニット1は複数の通路Fを有し、ダクトユニット4及び対応する電池列Sはダクトが形成され、かつ前記ダクトは対応する温度制御ユニット1の複数の通路F及びファン5に連通される。具体的には、図23を参照し、ダクトユニット4は風量調整板41、第1の支持板42、第2の支持板43、取付板44及びシーリングストリップ45を含んでもよい。
【0070】
風量調整板41は前記ダクト内に設けられ、第1の支持板42と第2の支持板43は縦方向Yに間隔を隔てて設けられ、かつ第1の支持板42はファン5に近接する。ここで、風量調整板41の高さは第1の支持板42に沿って第2の支持板43の方向に向かって順に減少し、それにより前記ダクトを縦方向Yに沿ってファン5に接近する側からファン5から離れる側に拡張させる。
【0071】
取付板44は縦方向Yに沿って延伸して第1の支持板42と第2の支持板43に接続され、かつ風量調整板41は取付板44に固定的に取り付けられる。シーリングストリップ45は、第1の支持板42、第2の支持板43及び取付板44には設けられる。ダクトユニット4と複数の電池2が組み立てられた後、シーリングストリップ45は対応する電池列Sに接着し、それにより当該電池列Sにシール接続される。
【0072】
電池パックは使用過程において、ファン5の作用で、外気が温度制御ユニット1の複数の通路F内に入ることができ、それにより電池2に対する放熱を実現する。同時に、風量調整板41の設置に基づいて、外気が異なる温度制御ユニット1に入る量が異なり、それにより全ての電池2に対する均一な放熱を実現する。
【0073】
図1図2図9及び図24を参照し、端板8は縦方向Yにおいて各電池列Sの両端に設けられる。ケーブルタイ6は周方向に沿って対応する1つの電池列Sにおける全ての電池2、対応する温度制御ユニット1及び対応する2つの端板8を締め付ける。取付パネル9は縦方向Yにおいて対応する端板8の外側に位置し、下部筐体3及び対応する端板8に固定的に接続されて、ファン5を固定して取り付ける。
【0074】
図1図2を参照し、ワイヤハーネス隔離板10は前記複数の電池2の上方に設けられて、端板8に直接固定され、それにより電池パックのグループ化効率及び一体化程度を向上させることに有利である。上部筐体カバー7は、ワイヤハーネス隔離板10の上方に設けられて、ファスナ(例えばリベット)を介してワイヤハーネス隔離板10に固定的に接続されている。ここで、上部筐体カバー7の周側にはスナップフィットなどの複雑な構造が設けられないため、それはブリスタープロセスを採用して、直接に加工することができ、それにより加工コストを低減する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31