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特開2023-123701エチレングリコールの生物生産のための微生物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123701
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】エチレングリコールの生物生産のための微生物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/21 20060101AFI20230829BHJP
   C12N 15/53 20060101ALI20230829BHJP
   C12N 15/54 20060101ALI20230829BHJP
   C12N 15/60 20060101ALI20230829BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20230829BHJP
   C12N 15/61 20060101ALI20230829BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20230829BHJP
   C12P 7/18 20060101ALI20230829BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20230829BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20230829BHJP
   C12N 15/52 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
C12N1/21 ZNA
C12N15/53
C12N15/54
C12N15/60
C12N15/31
C12N15/61
C12N15/55
C12P7/18
C12N1/00 Q
C12N1/00 R
C12N1/20 D
C12N1/20 F
C12N1/20 Z
C12N15/52 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023105168
(22)【出願日】2023-06-27
(62)【分割の表示】P 2020532013の分割
【原出願日】2018-12-19
(31)【優先権主張番号】62/607,446
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/683,454
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518403425
【氏名又は名称】ランザテク,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】ケプケ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン,ラスムス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガス状基質から高収量のエチレングリコールおよびエチレングリコール前駆体を生成することができる、遺伝子操作された微生物、ならびに前記前駆体の生成方法を提供する。
【解決手段】ガス状基質からエチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を生成できる遺伝子操作されたC1固定微生物であって、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、ラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、2,5-ジオキソ吉草酸デヒドロゲナーゼ、ベタイン-アルデヒドデヒドロゲナーゼ、またはアルデヒドフェレドキシンオキシドレダクターゼから選択される異種酵素をコードする核酸を含む、微生物を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状基質からエチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を生成できる遺
伝子操作された微生物。
【請求項2】
前記微生物が、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸、オキサロ酢酸、クエン酸、リン
ゴ酸、およびグリシンからなる群から選択される1つ以上の中間体を介してエチレングリ
コールまたはエチレングリコールの前駆体を生成する、請求項1に記載の微生物。
【請求項3】
前記微生物が、
a.オキサロ酢酸をクエン酸に変換できる異種酵素、
b.グリシンをグリオキシル酸に変換できる異種酵素、
c.イソクエン酸をグリオキシル酸に変換できる異種酵素、および
d.グリコール酸をグリコアルデヒドに変換できる異種酵素、のうちの1つ以上を含む
、請求項1に記載の微生物。
【請求項4】
a.オキサロ酢酸をクエン酸に変換できる前記異種酵素が、クエン酸[Si]-シンタ
ーゼ[2.3.3.1]、ATPクエン酸シンターゼ[2.3.3.8]またはクエン酸
(Re)-シンターゼ[2.3.3.3]であり、
b.グリシンをグリオキシル酸に変換できる前記異種酵素が、アラニン-グリオキシル
酸トランスアミナーゼ[2.6.1.44]、セリン-グリオキシル酸トランスアミナー
ゼ[2.6.1.45]、セリン-ピルビン酸トランスアミナーゼ[2.6.1.51]
、グリシン-オキサロ酢酸トランスアミナーゼ[2.6.1.35]、グリシントランス
アミナーゼ[2.6.1.4]、グリシンデヒドロゲナーゼ[1.4.1.10]、アラ
ニンデヒドロゲナーゼ[1.4.1.1]、またはグリシンデヒドロゲナーゼ[1.4.
2.1]であり、
c.イソクエン酸をグリオキシル酸に変換できる前記異種酵素が、イソクエン酸リアー
ゼ[4.1.3.1]であり、かつ/または
d.グリコール酸をグリコールアルデヒドに変換できる前記異種酵素が、グリコールア
ルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.21]、ラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ[
1.2.1.22]、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.24]、
2,5-ジオキソ吉草酸デヒドロゲナーゼ[1.2.1.26]、アルデヒドデヒドロゲ
ナーゼ[1.2.1.3/4/5]、ベタイン-アルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.
1.8]、またはアルデヒドフェレドキシンオキシドレダクターゼ[1.2.7.5]で
ある、請求項3に記載の微生物。
【請求項5】
前記異種酵素のうちの1つ以上が、Bacillus、Clostridium、Es
cherichia、Gluconobacter、Hyphomicrobium、L
ysinibacillus、Paenibacillus、Pseudomonas、
Sedimenticola、Sporosarcina、Streptomyces、
Thermithiobacillus、Thermotoga、およびZeaからなる
群から選択される属に由来する、請求項3に記載の微生物。
【請求項6】
前記異種酵素のうちの1つ以上が、前記微生物における発現のためにコドン最適化され
ている、請求項3に記載の微生物。
【請求項7】
前記微生物は、アセチル-CoAをピルビン酸に変換できる酵素、ピルビン酸をオキサ
ロ酢酸に変換できる酵素、ピルビン酸をリンゴ酸に変換できる酵素、ピルビン酸をホスフ
ェノールピルビン酸に変換できる酵素、オキサロ酢酸をシトリル-CoAに変換できる酵
素、シトリル-CoAをクエン酸に変換できる酵素、クエン酸をアコニット酸に、および
アコニット酸をイソクエン酸に変換できる酵素、ホスホエノールピルビン酸をオキサロ酢
酸に変換きる酵素、ホスホエノールピルビン酸を2-ホスホ-D-グリセリン酸に変換で
きる酵素、2-ホスホ-D-グリセリン酸を3-ホスホ-D-グリセリン酸に変換できる
酵素、3-ホスホ-D-グリセリン酸を3-ホスホノオキシピルビン酸に変換できる酵素
、3-ホスホノオキシピルビン酸を3-ホスホ-L-セリンに変換できる酵素、3-ホス
ホ-L-セリンをセリンに変換できる酵素、セリンをグリシンに変換できる酵素、5,1
0-メチレンテトラヒドロ葉酸をグリシンに変換できる酵素、セリンをヒドロキシピルビ
ン酸に変換できる酵素、D-グリセリン酸をヒドロキシピルビン酸に変換できる酵素、リ
ンゴ酸をグリオキシル酸に変換できる酵素、グリオキシル酸をグリコール酸に変換できる
酵素、ヒドロキシピルビン酸をグリコアルデヒドに変換できる酵素、およびグリコアルデ
ヒドをエチレングリコールに変換できる酵素、のうちの1つ以上をさらに含む、請求項3
に記載の微生物。
【請求項8】
前記微生物が、
a.前記オキサロ酢酸をクエン酸に変換できる異種酵素、
b.前記グリシンをグリオキシル酸に変換できる異種酵素および/または
c.前記グリコール酸をグリコアルデヒドに変換できる異種酵素、を過剰発現する、請
求項3に記載の微生物。
【請求項9】
前記微生物が、
a.前記ピルビン酸をオキサロ酢酸に変換できる酵素、
b.前記クエン酸をアコニット酸に、およびアコニット酸をイソクエン酸に変換できる
酵素、
c.前記ホスホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸に変換できる酵素、
d.前記セリンをグリシンに変換できる酵素、
e.前記5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸をグリシンに変換できる酵素、
f.前記グリオキシル酸をグリコール酸に変換できる酵素、および/または
g.前記グリコアルデヒドをエチレングリコールに変換できる酵素、を過剰発現する、
請求項7に記載の微生物。
【請求項10】
前記微生物が、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、グリセリン酸デヒドロゲナーゼ、グリ
コール酸デヒドロゲナーゼ、グリセリン酸デヒドロゲナーゼ、グリコール酸デヒドロゲナ
ーゼ、アルデヒドフェレドキシンオキシドレダクターゼ、およびアルデヒドデヒドロゲナ
ーゼのうちの1つ以上に破壊的変異を含む、請求項1に記載の微生物。
【請求項11】
前記微生物が、Acetobacterium、Alkalibaculum、Bla
utia、Butyribacterium、Clostridium、Eubacte
rium、Moorella、Oxobacter、Sporomusa、およびThe
rmoanaerobacterからなる群から選択される属のメンバーである、請求項
1に記載の微生物。
【請求項12】
前記微生物が、Acetobacterium woodii、Alkalibacu
lum bacchii、Blautia producta、Butyribacte
rium methylotrophicum、Clostridium acetic
um、Clostridium autoethanogenum、Clostridi
um carboxidivorans、Clostridium coskatii、
Clostridium drakei、Clostridium formicoac
eticum、Clostridium ljungdahlii、Clostridi
um magnum、Clostridium ragsdalei、Clostrid
ium scatologenes、Eubacterium limosum、Moo
rella thermautotrophica、Moorella thermoa
cetica、Oxobacter pfennigii、Sporomusa ova
ta、Sporomusa silvacetica、Sporomusa sphae
roides、およびThermoanaerobacter kiuviからなる群か
ら選択される親微生物に由来する、請求項1に記載の微生物。
【請求項13】
前記微生物が、Clostridium autoethanogenum、Clos
tridium ljungdahlii、およびClostridium ragsd
aleiからなる群から選択される親細菌に由来する、請求項12に記載の微生物。
【請求項14】
前記微生物が、天然または異種のWood-Ljungdahl経路を含む、請求項1
に記載の微生物。
【請求項15】
前記エチレングリコールの前駆体がグリオキシル酸またはグリコール酸である、請求項
1に記載の微生物。
【請求項16】
前記ガス状基質の存在下、栄養培地中で請求項1に記載の微生物を培養し、それによっ
て前記微生物がエチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を生成することを
含む、エチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体の生成方法。
【請求項17】
前記ガス状基質が、CO、CO、およびHのうちの1つ以上を含む、請求項16に
記載の方法。
【請求項18】
前記エチレングリコールの前駆体がグリオキシル酸またはグリコール酸である、請求項
16に記載の方法。
【請求項19】
前記栄養培地からエチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を分離するこ
とをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記微生物がエタノール、2,3-ブタンジオール、およびコハク酸うちの1つ以上を
さらに生成する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本発明は、遺伝子操作された微生物と、微生物発酵による、具体的には、ガス状基質の
微生物発酵によるにエチレングリコールおよびエチレングリコール前駆体の生産のための
方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
モノエチレングリコール(MEG)としても知られるエチレングリコールの現在の市場
価値は330億ドルを超え、多種多様な産業、医療、消費者製品の重要な構成要素である
。エチレングリコールは現在、大量のエネルギーと水を必要とし、多くの望ましくない副
産物を生成し、石油化学原料に依存する化学触媒プロセスを使用して生産されている。持
続可能な材料の需要は、サトウキビ由来のエタノールからのエチレングリコールの触媒的
な生産など、いくつかの技術進歩をもたらしている。
【0003】
エチレングリコール前駆体も商業的に価値がある。例えば、グリコール酸はスキンケア
、パーソナルケア、染色、日焼け、および洗浄剤として使用される。グリオキシル酸は、
バニリン、農薬、抗生物質、アラントイン、および錯化剤の中間体である。
【0004】
しかしながら、エチレングリコールを生物学的に生産できる微生物は知られておらず、
エチレングリコールの生産への完全な生物学的経路は十分に確立されていない。糖からの
エチレングリコールへのいくつかの生物学的経路が文献に記載されている。例えば、Al
kim et al.,Microb Cell Fact,14:127,2015は
、E.coliでの(D)-キシロースからのエチレングリコールの生成を実証したが、
高収量を達成するには好気性条件が必要であることに着目した。同様に、Pereira
et al.,Metab Eng,34:80-87,2016では、E.coli
でのペントースからのエチレングリコール生成を達成した。S.cerevisiaeで
のペントースからのエチレングリコール生成に関するいくつかの研究も行われているが、
一貫性のない結果が示されている。例えば、Uranukul et al.,Meta
b Eng,51:20-31,2018を参照されたい。
【0005】
ガス発酵は、産業廃棄ガス、合成ガス、化学薬品や燃料に改質されたメタンなど、すぐ
に入手できる低コストのC1原料を幅広く使用するための経路を提供する。ガス発酵代謝
は糖発酵代謝とは大きく異なるので、上記の経路の使用は、これらの経路がエネルギーネ
ガティブプロセスである糖新生を介してガスから糖前駆体を生成する必要があるため、実
用的ではない。今日まで、ガス状基質からエチレングリコールを製造する方法は得られて
いない。
【0006】
Islam et al.,Metab Eng,41:173-181,2017は
、探索的演習で、ケモインフォマティクスツールを使用してM.thermoaceti
aで合成ガスからエチレングリコールを生成するための数百の仮説的な経路を予測した。
しかしながら、経路の多くは熱力学的または他の制約のために実行不可能であるため、当
業者でさえこれらの経路をガス発酵生物に組み込むことは不可能である。例えば、Isl
am et al.には、ほぼ2,000の酸素または酸素ラジカルに依存する反応が含
まれており、厳密な嫌気性システムでは実行できない。既知の反応を有するIslam
et al.による唯一確認された仮説の経路は、中間体として糖新生またはエタノール
を必要とする。したがって、ガス状基質から高収量のエチレングリコールおよびエチレン
グリコール前駆体を生成することができる、有効な、エネルギー的に好ましい組換え生成
システムが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明が従来技術に勝る特定の利点および進歩を提供するのは、上記の背景においてで
ある。
【0008】
本明細書に開示される本発明は、特定の利点または機能に限定されないが、本発明は、
ガス状基質からエチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を生成できる遺伝
子操作された微生物を提供する。
【0009】
本明細書に開示される微生物のいくつかの態様において、微生物は、5,10-メチレ
ンテトラヒドロ葉酸、オキサロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、およびグリシンからなる群か
ら選択される1つ以上の中間体を介してエチレングリコールまたはエチレングリコールの
前駆体を生成する。
【0010】
本明細書に開示される微生物のいくつかの態様では、微生物は、オキサロ酢酸をクエン
酸に変換できる異種酵素、グリシンをグリオキシル酸に変換できる異種酵素、イソクエン
酸をグリオキシル酸に変換できる異種酵素、およびグリコール酸をグリコアルデヒドに変
換できる異種酵素のうちの1つ以上を含む。
【0011】
本明細書に開示される微生物のいくつかの態様において、オキサロ酢酸をクエン酸に変
換できる前記異種酵素が、クエン酸[Si]-シンターゼ[2.3.3.1]、ATPク
エン酸シンターゼ[2.3.3.8]またはクエン酸(Re)-シンターゼ[2.3.3
.3]であり、グリシンをグリオキシル酸に変換できる前記異種酵素が、アラニン-グリ
オキシル酸トランスアミナーゼ[2.6.1.44]、セリン-グリオキシル酸トランス
アミナーゼ[2.6.1.45]、セリン-ピルビン酸トランスアミナーゼ[2.6.1
.51]、グリシン-オキサロ酢酸トランスアミナーゼ[2.6.1.35]、グリシン
トランスアミナーゼ[2.6.1.4]、グリシンデヒドロゲナーゼ[1.4.1.10
]、アラニンデヒドロゲナーゼ[1.4.1.1]、またはグリシンデヒドロゲナーゼ[
1.4.2.1]であり、イソクエン酸をグリオキシル酸に変換できる前記異種酵素が、
イソクエン酸リアーゼ[4.1.3.1]であり、かつ/またはグリコール酸をグリコア
ルデヒドに変換できる前記異種酵素が、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2
.1.21]、ラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.22]、コハク酸セミ
アルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.24]、2,5-ジオキソ吉草酸デヒドロゲ
ナーゼ[1.2.1.26]、アルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.3/4/5]
、ベタイン-アルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.8]、またはアルデヒドフェレ
ドキシンオキシドレダクターゼ[1.2.7.5]である。
【0012】
本明細書に開示される微生物のいくつかの態様では、異種酵素は、Bacillus、
Clostridium、Escherichia、Gluconobacter、Hy
phomicrobium、Lysinibacillus、Paenibacillu
s、Pseudomonas、Sedimenticola、Sporosarcina
、Streptomyces、Thermithiobacillus、Thermot
oga、およびZeaからなる群から選択される属に由来する。
【0013】
本明細書に開示される微生物のいくつかの態様では、異種酵素のうちの1つ以上は、微
生物における発現のためにコドン最適化されている。
【0014】
本明細書に開示される微生物のいくつかの態様では、微生物は、アセチル-CoAをピ
ルビン酸に変換できる酵素、ピルビン酸をオキサロ酢酸に変換できる酵素、ピルビン酸を
リンゴ酸に変換できる酵素、ピルビン酸をホスフェノールピルビン酸に変換できる酵素、
オキサロ酢酸をシトリル-CoAに変換できる酵素、シトリル-CoAをクエン酸に変換
できる酵素、クエン酸をアコニット酸に、およびアコニット酸をイソクエン酸に変換でき
る酵素、ホスホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸に変換きる酵素、ホスホエノールピル
ビン酸を2-ホスホ-D-グリセリン酸に変換できる酵素、2-ホスホ-D-グリセリン
酸を3-ホスホ-D-グリセリン酸に変換できる酵素、3-ホスホ-D-グリセリン酸を
3-ホスホノオキシピルビン酸に変換できる酵素、3-ホスホノオキシピルビン酸を3-
ホスホ-L-セリンに変換できる酵素、3-ホスホ-L-セリンをセリンに変換できる酵
素、セリンをグリシンに変換できる酵素、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸をグリシ
ンに変換できる酵素、セリンをヒドロキシピルビン酸に変換できる酵素、D-グリセリン
酸をヒドロキシピルビン酸に変換できる酵素、リンゴ酸をグリオキシル酸に変換できる酵
素、グリオキシル酸をグリコール酸に変換できる酵素、ヒドロキシピルビン酸をグリコア
ルデヒドに変換できる酵素、かつ/またはグリコアルデヒドをエチレングリコールに変換
できる酵素、のうちの1つ以上をさらに含む。
【0015】
本明細書に開示される微生物のいくつかの態様では、微生物は、オキサロ酢酸をクエン
酸に変換できる異種酵素、グリシンをグリオキシル酸に変換できる異種酵素、および/ま
たはグリコール酸をグリコアルデヒドに変換できる異種酵素を過剰発現する。
【0016】
本明細書に開示される微生物のいくつかの態様において、微生物は、ピルビン酸をオキ
サロ酢酸に変換できる酵素、クエン酸をアコニット酸に、アコニット酸をイソクエン酸に
変換できる酵素、ホスホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸に変換できる酵素、セリンを
グリシンに変換できる酵素、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸をグリシンに変換でき
る酵素、グリオキシル酸をグリコール酸に変換できる酵素および/またはグリコアルデヒ
ドをエチレングリコールに変換できる酵素、を過剰発現する。
【0017】
本明細書に開示される微生物のいくつかの態様では、微生物は、イソクエン酸デヒドロ
ゲナーゼ、グリセリン酸デヒドロゲナーゼ、グリコール酸デヒドロゲナーゼ、グリセリン
酸デヒドロゲナーゼ、グリコール酸デヒドロゲナーゼ、アルデヒドフェレドキシンオキシ
ドレダクターゼ、およびアルデヒドデヒドロゲナーゼからなる群から選択される1つ以上
の酵素の破壊的変異を含む。
【0018】
本明細書に開示される微生物のいくつかの態様では、微生物が、Acetobacte
rium、Alkalibaculum、Blautia、Butyribacteri
um、Clostridium、Eubacterium、Moorella、Oxob
acter、Sporomusa、およびThermoanaerobacterからな
る群から選択される属のメンバーである。
【0019】
本明細書に開示される微生物のいくつかの態様では、微生物が、Acetobacte
rium woodii、Alkalibaculum bacchii、Blauti
a producta、Butyribacterium methylotrophi
cum、Clostridium aceticum、Clostridium aut
oethanogenum、Clostridium carboxidivorans
、Clostridium coskatii、Clostridium drakei
、Clostridium formicoaceticum、Clostridium
ljungdahlii、Clostridium magnum、Clostrid
ium ragsdalei、Clostridium scatologenes、E
ubacterium limosum、Moorella thermautotro
phica、Moorella thermoacetica、Oxobacter p
fennigii、Sporomusa ovata、Sporomusa silva
cetica、Sporomusa sphaeroides、およびThermoan
aerobacter kiuviからなる群から選択される親微生物に由来する。
【0020】
本明細書に開示される微生物のいくつかの態様では、微生物が、Clostridiu
m autoethanogenum、Clostridium ljungdahli
i、およびClostridium ragsdaleiからなる群から選択される親細
菌に由来する。
【0021】
本明細書に開示されている微生物のいくつかの態様では、微生物は、天然または異種の
Wood-Ljungdahl経路を含む。
【0022】
本明細書に開示される微生物のいくつかの態様では、微生物は、エチレングリコールの
前駆体としてグリオキシル酸またはグリコール酸を生成する。
【0023】
本発明はさらに、本明細書に開示される微生物を栄養培地中および基質の存在下で培養
することを含み、それにより微生物はエチレングリコールまたはエチレングリコールの前
駆体を生成する、エチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を生成する方法
を提供する。
【0024】
本明細書に開示される方法のいくつかの態様では、基質は、CO、COおよびH
うちの1つ以上を含む。
【0025】
本明細書に開示される方法のいくつかの態様では、基質の少なくとも一部は、産業廃棄
ガス、産業オフガス、または合成ガスである。
【0026】
本明細書に開示される方法のいくつかの態様では、微生物は、エチレングリコールの前
駆体としてグリオキシル酸またはグリコール酸を生成する。
【0027】
本明細書に開示される方法のいくつかの態様では、方法は、栄養培地からエチレングリ
コールまたはエチレングリコール前駆体を分離することをさらに含む。
【0028】
本明細書に開示される方法のいくつかの態様では、微生物は、エタノール、2,3-ブ
タンジオール、およびコハク酸のうちの1つ以上をさらに生成する。
【0029】
本発明はさらに、本明細書に記載されている方法によって生成されたエチレングリコー
ルを含む組成物を提供する。いくつかの態様では、組成物は、不凍液、防腐剤、脱水剤、
または掘削流体である。
【0030】
本発明はさらに、本明細書に記載されている方法により生成されたエチレングリコール
を含むポリマーを提供する。いくつかの態様では、ポリマーはホモポリマーまたはコポリ
マーである。いくつかの態様では、ポリマーは、ポリエチレングリコールまたはポリエチ
レンテレフタレートである。
【0031】
本発明はさらに、本明細書に記載されるポリマーを含む組成物を提供する。一部の態様
では、組成物は、繊維、樹脂、フィルム、またはプラスチックである。
【0032】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲とともに以下の詳
細な説明からより完全に理解されるであろう。特許請求の範囲の範囲が、その中の記述に
よって定義され、本明細書に記載された特徴および利点の具体的な議論によって定義され
ないことに留意されたい。
【0033】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示されている
以下の図面と併せて読むと最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】CO、CO、および/またはHを含むガス状基質からのエチレングリコール、グリコール酸、グリオキシル酸の生成の経路を示す模式図である。
図2A】実施例1~4で使用したプラスミドのマップである。図2Aは、実施例1に記載される発現シャトルベクター、pIPL12のマップである。
図2B】実施例1~4で使用したプラスミドのマップである。図2Bは、実施例1に記載される、B.subtilisクエン酸シンターゼ、E.coliイソクエン酸リアーゼ、およびG.oxydansグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼを含むプラスミドpMEG042のマップである。
図2C】実施例1~4で使用したプラスミドのマップである。図2Cは、実施例2に記載される、S.thiotauriniアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼおよびP.fluorescensアルデヒドデヒドロゲナーゼを含むプラスミドpMEG058のマップである。
図2D】実施例1~4で使用したプラスミドのマップである。図2Dは、実施例3に記載される、S.thiotauriniアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼおよびG.oxydansアルデヒドデヒドロゲナーゼを含むプラスミドpMEG059のマップである。
図2E】実施例1~4で使用したプラスミドのマップである。図2Eは、実施例4に記載される、C.acidurici class VアミノトランスフェラーゼおよびP.fluorescensアルデヒドデヒドロゲナーゼを含むプラスミドpMEG061のマップである。
図3A】pMEG042を発現するC.autoethanogenum(クローン1~3)または空のベクターを含むC.autoethanogenum(陰性対照)のバイオマスレベル(g乾燥細胞重量/L)を示す。
図3B】陰性対照(空ベクター)と比較する、独立栄養的に増殖し、発現ベクターpMEG042を保有するC.autoethanogenumで経時的に生成される、エチレングリコールを示す。
図3C】独立栄養的に成長し、発現ベクターpMEG042を保有するC.autoethanogenumで経時的に生成される、グリコール酸を示す。実施例1を参照されたい。
図4A】pMEG058を発現するC.autoethanogenum(クローン1~2)または空のベクターを含むC.autoethanogenum(陰性対照)のバイオマスレベル(g乾燥細胞重量/L)を示す。
図4B】陰性対照(空ベクター)と比較する、独立栄養的に増殖し、発現ベクターpMEG058を保有するC.autoethanogenumで経時的に生成される、エチレングリコールを示す。実施例2を参照されたい。
図5A】pMEG059を発現するC.autoethanogenum(クローン1~3)または空のベクターを含むC.autoethanogenum(陰性対照)のバイオマスレベル(g乾燥細胞重量/L)を示す。
図5B】陰性対照(空ベクター)と比較する、独立栄養的に増殖し、発現ベクターpMEG059を保有するC.autoethanogenumで経時的に生成される、エチレングリコールを示す。実施例3を参照されたい。
図6A】pMEG061を発現するC.autoethanogenum(クローン1)または空のベクターを含むC.autoethanogenum(陰性対照)のバイオマスレベル(g乾燥細胞重量/L)を示す。
図6B】陰性対照(空ベクター)と比較する、独立栄養的に増殖し、発現ベクターpMEG061を保有するC.autoethanogenumで経時的に生成される、エチレングリコールを示す。実施例4を参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、エチレングリコールの生物学的生産のための微生物を提供する。「微生物」
は、微小な生物、特に細菌、古細菌、ウイルス、または真菌である。好ましい実施形態で
は、本発明の微生物は細菌である。
【0036】
微生物に関して使用される場合の「非自然発生型」という用語は、参照種の野生型株を
含む参照種の自然発生型の株には見られない少なくとも1つの遺伝子改変を微生物が有す
ることを意味するように意図される。非自然発生型の微生物は、典型的には、実験室また
は研究施設で開発される。本発明の微生物は、非自然発生型である。
【0037】
「遺伝子改変」、「遺伝子変化」、または「遺伝子操作」という用語は、広範には、人
間の手による微生物のゲノムまたは核酸の操作を指す。同様に、「遺伝子修飾された」、
「遺伝子改変された」、または「遺伝子操作された」という用語は、そのような遺伝子修
飾、遺伝子改変、または遺伝子操作を含む微生物を指す。これらの用語は、実験室で生成
された微生物と自然発生の微生物を区別するために使用され得る。遺伝子改変の方法は、
例えば、異種遺伝子発現、遺伝子またはプロモータの挿入または欠失、核酸変異、改変遺
伝子発現または不活性化、酵素操作、指向性進化、知識ベース設計、ランダム変異導入法
、遺伝子シャフリング、およびコドン最適化を含む。本発明の微生物は、遺伝子操作され
ている。
【0038】
「組換え」は、核酸、タンパク質、または微生物が、遺伝子改変、操作、または組換え
の生成物であることを示す。一般に、「組換え」という用語は、微生物の2つ以上の異な
る株または種など、複数の源から誘導される遺伝物質を含有するか、またはそれによって
コードされる核酸、タンパク質、または微生物を指す。本発明の微生物は一般に組換えで
ある。
【0039】
「野生型」は、変異体または変異形とは区別されるように天然に存在する、生物、株、
遺伝子、または特性の典型的な形態を指す。
【0040】
「内在性」は、本発明の微生物が誘導される野生型または親微生物に存在または発現す
る核酸またはタンパク質を指す。例えば、内在性遺伝子は、本発明の微生物が誘導される
野生型または親微生物に天然に存在する遺伝子である。一実施形態では、内在性遺伝子の
発現は、外因性プロモータ等の外因性調節エレメントによって制御され得る。
【0041】
「外因性」は、本発明の微生物の外側から生じる核酸またはタンパク質を指す。例えば
、外因性遺伝子または酵素は、本発明の微生物に人工的または組換え的に作成され、導入
または発現され得る。外因性遺伝子または酵素は、異種微生物から単離され、本発明の微
生物に導入または発現され得る。外因性核酸は、本発明の微生物のゲノムに組み込まれる
ように、または本発明の微生物、例えばプラスミド中で染色体外の状態にとどまるように
適合され得る。
【0042】
「異種」は、本発明の微生物が由来する野生型または親微生物に存在しない核酸または
タンパク質を指す。例えば、異種遺伝子または酵素は、異なる株または種に由来し、本発
明の微生物に導入または発現され得る。異種遺伝子または酵素は、それが異なる株または
種で発生する形態で本発明の微生物で導入または発現させることができる。あるいは、異
種遺伝子または酵素は、例えば、本発明の微生物における発現のためにコドン最適化する
ことによって、または酵素活性の方向を逆転させるため、または基質特異性を変更するた
めなど、機能を変更するように操作することによって、何らかの方法で修飾することがで
きる。
【0043】
特に、本明細書に記載される微生物で発現される異種核酸またはタンパク質は、Bac
illus、Clostridium、Escherichia、Gluconobac
ter、Hyphomicrobium、Lysinibacillus、Paenib
acillus、Pseudomonas、Sedimenticola、Sporos
arcina、Streptomyces、Thermithiobacillus、T
hermotoga、Zea、Klebsiella、Mycobacterium、S
almonella、Mycobacteroides、Staphylococcus
、Burkholderia、Listeria、Acinetobacter、Shi
gella、Neisseria、Bordetella、Streptococcus
、Enterobacter、Vibrio、Legionella、Xanthomo
nas、Serratia、Cronobacter、Cupriavidus、Hel
icobacter、Yersinia、Cutibacterium、Francis
ella、Pectobacterium、Arcobacter、Lactobaci
llus、Shewanella、Erwinia、Sulfurospirillum
、Peptococcaceae、Thermococcus、Saccharomyc
es、Pyrococcus、Glycine、Homo、Ralstonia、Bre
vibacterium、Methylobacterium、Geobacillus
、bos、gallus、Anaerococcus、Xenopus、Amblyrh
ynchus、rattus、mus、sus、Rhodococcus、Rhizob
ium、Megasphaera、Mesorhizobium、Peptococcu
s、Agrobacterium、Campylobacter、Acetobacte
rium、Alkalibaculum、Blautia、Butyribacteri
um、Eubacterium、Moorella、Oxobacter、Sporom
usa、Thermoanaerobacter、Schizosaccharomyc
es、Paenibacillus、Fictibacillus、Lysinibac
illus、Ornithinibacillus、Halobacillus、Kur
thia、Lentibacillus、Anoxybacillus、Solibac
illus、Virgibacillus、Alicyclobacillus、Spo
rosarcina、Salimicrobium、Sporosarcina、Pla
nococcus、Corynebacterium、Thermaerobacter
、Sulfobacillus、またはSymbiobacterium属由来であって
よい。
【0044】
「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、および
「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用される。それらは、任意の長さのポ
リマー形態のヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのいず
れか、またはそれらの類似体を指す。ポリヌクレオチドは、任意の3次元構造を有し得て
、既知または未知の任意の機能を果たし得る。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例
である:遺伝子または遺伝子断片のコード領域または非コード領域、連鎖解析から定義さ
れる遺伝子座(複数可)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、
トランスファーRNA、リボソームRNA、短干渉RNA(siRNA)、短ヘアピンR
NA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポ
リヌクレオチド、分枝鎖ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離さ
れたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌ
クレオチドは、メチル化ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体などの1つ以上の修飾さ
れたヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造の修飾は、ポリマーの組
織化の前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素によ
って割り込まれ得る。ポリヌクレオチドは、重合の後、例えば標識構成要素との接合によ
り、さらに修飾され得る。
【0045】
本明細書で使用する場合、「発現」は、ポリヌクレオチドがDNA鋳型から(例えば、
mRNAまたは他のRNA転写物へ)転写される過程、および/または転写されたmRN
Aが、続いて、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質へ翻訳される過程を指す。転
写物およびコードされたポリペプチドは、集合的に「遺伝子産物」と呼ばれ得る。
【0046】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、任意の長さの
アミノ酸のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用される。ポリマーは、直鎖であ
っても分枝鎖であってもよく、修飾アミノ酸を含んでいてもよく、非アミノ酸によって割
り込まれていてもよい。これらの用語は、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化
、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識構成要素との接合などの任意の他の操作に
より、修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。本明細書で使用される場合、「アミノ酸
」という用語は、グリシン、DまたはL光学異性体の両方、ならびにアミノ酸類似体およ
びペプチド模倣体を含む天然および/または非天然もしくは合成アミノ酸を含む。
【0047】
「酵素活性」または単に「活性」は、広範には、酵素の活性、酵素の量、または反応に
触媒作用を及ぼすための酵素の可用性を含むがこれらに限定されない、酵素的活性を指す
。したがって、酵素活性を「増加させること」は、酵素の活性を増大させること、酵素の
量を増加させること、または反応に触媒作用を及ぼすための酵素の可用性を増加させるこ
とを含む。同様に、酵素活性を「減少させること」は、酵素の活性を減少させること、酵
素の量を減少させること、または反応に触媒作用を及ぼすための酵素の可用性を減少させ
ることを含む。
【0048】
「変異した」は、本発明の微生物が誘導される野生型または親微生物と比較して、本発
明の微生物において修飾されている核酸またはタンパク質を指す。一実施形態において、
変異は、酵素をコードする遺伝子中の欠失、挿入、または置換であってもよい。別の実施
形態では、変異は、酵素中の1つ以上のアミノ酸の欠失、挿入、または置換であってもよ
い。
【0049】
「親微生物」は、本発明の微生物を生成するために使用される微生物である。親微生物
は、天然に存在する微生物(即ち、野生型微生物)または以前に修飾されたことのある微
生物(即ち、変異体または組換え微生物)であり得る。本発明の微生物は、親微生物にお
いて発現または過剰発現されていなかった1つ以上の酵素を発現または過剰発現させるよ
うに修飾され得る。同様に、本発明の微生物は、親微生物が含有しなかった1つ以上の遺
伝子を含有するように修飾され得る。本発明の微生物は、また、親微生物において発現し
た1つ以上の酵素を発現しないか、またはより少ない量を発現するように修飾され得る。
【0050】
本発明の微生物は、本質的に任意の親微生物に由来し得る。一実施形態では、本発明の
微生物は、Clostridium acetobutylicum、Clostrid
ium beijerinckii、Escherichia coli、およびSac
charomyces cerevisiaeからなる群から選択される親微生物に由来
し得る。他の実施形態では、微生物は、Acetobacterium woodii、
Alkalibaculum bacchii、Blautia product、Bu
tyribacterium methylotrophicum、Clostridi
um aceticum、Clostridium autoethanogenum、
Clostridium carboxidivorans、Clostridium
coskatii、Clostridium drakei、Clostridium
formicoaceticum、Clostridium ljungdahlii、
Clostridium magnum、Clostridium ragsdalei
、Clostridium scatologenes、Eubacterium li
mosum、Moorella thermautotrophica、Moorell
a thermoacetica、Oxobacter pfennigii、Spor
omusa ovata、Sporomusa silvacetica、Sporom
usa sphaeroides、およびThermoanaerobacter ki
uviからなる群から選択される親微生物に由来する。好ましい実施形態において、親細
菌は、Clostridium autoethanogenum、Clostridi
um ljungdahlii、またはClostridium ragsdaleiで
ある。好ましい実施形態において、親微生物は、2010年6月7日にドイツ、D-38
124 Braunschwieg、Inhoffenstraβ 7Bに位置するDe
utsche Sammlung von Mikroorganismen und
Zellkulturen GmbH(DSMZ)に、ブダペスト条約の条項下で201
0年6月7日に寄託され、受託番号DSM23693を付与されたClostridiu
m autoethanogenum LZ1561である。この株については、国際特
許出願第PCT/NZ2011/000144号に記載されており、WO2012/01
5317として公開されている。
【0051】
「~由来する」という用語は、核酸、タンパク質、または微生物が異なる(例えば、親
または野生型)核酸、タンパク質、または微生物から修飾または適合されて、新しい核酸
、タンパク質、または微生物を生成することを示す。そのような修飾または適合は、典型
的には、核酸または遺伝子の挿入、欠失、変異、または置換を含む。一般に、本発明の微
生物は、親微生物に由来する。一実施形態では、本発明の親微生物は、クロストリジウム
オートエタノゲヌム(Clostridium autoethanogenum)、ク
ロストリジウムユングダーリー(Clostridium ljungdahlii)、
またはクロストリジウムラグスダレイ(Clostridium ragsdalei)
に由来する。好ましい実施形態において、本発明の微生物は、DSMZ受託番号DSM2
3693の下で寄託される、クロストリジウムオートエタノゲヌム(Clostridi
um autoethanogenum)LZ1561に由来する。
【0052】
本発明の微生物は、機能特徴に基づいてさらに分類され得る。例えば、本発明の微生物
は、C1固定微生物、嫌気性細菌、アセトゲン、エタノロゲン、カルボキシド栄養生物、
および/もしくはメタン資化性菌であり得るか、またはそれらから誘導され得る。
【0053】
【表1】
【0054】
「Wood-Ljungdahl」は、例えば、Ragsdale,Biochim
Biophys Acta,1784:1873-1898,2008に記載されている
炭素固定のWood-Ljungdahl経路を指す。「Wood-Ljungdahl
微生物」は、予想通り、Wood-Ljungdahl経路を含む微生物を指す。多くの
場合、本発明の微生物は天然のWood-Ljungdahl経路を含有する。本明細書
では、Wood-Ljungdahl経路は、天然の未修飾のWood-Ljungda
hl経路であってもよく、またはCO、CO、および/もしくはHをアセチル-Co
Aに変換するように依然として機能する限り、ある程度の遺伝子修飾(例えば、過剰発現
、異種発現、遺伝子欠損など)を有するWood-Ljungdahl経路であってもよ
い。
【0055】
「C1」は、1炭素分子、例えば、CO、CO、CH、またはCHOHを指す。
「C1酸素化物」は、少なくとも1つの酸素原子も含む1炭素分子、例えば、CO、CO
、またはCHOHを指す。「C1炭素源」は、本発明の微生物のための部分的または
唯一の炭素源として機能する1炭素分子を指す。例えば、C1炭素源は、CO、CO
CH、CHOH、またはCHのうちの1つ以上を含み得る。好ましくは、C1
炭素源は、COおよびCOのうちの1つまたは両方を含む。「C1固定微生物」は、C
1炭素源から1つ以上の生成物を生成する能力を有する微生物である。多くの場合、本発
明の微生物はC1固定細菌である。好ましい実施形態では、本発明の微生物は、表1で同
定されるC1固定微生物に由来する。
【0056】
「嫌気性細菌」は、増殖のために酸素を必要としない微生物である。嫌気性細菌は、酸
素が特定の閾値を超えて存在する場合、負の反応を示し得るか、または死滅し得る。しか
し、一部の嫌気性菌は、「微小酸素(microoxic)状態」と呼ばれることもある
低レベルの酸素(例えば、0.000001~5%の酸素)に耐えることができる。多く
の場合、本発明の微生物は嫌気性菌である。好ましい実施形態では、本発明の微生物は、
表1で同定される嫌気性菌に由来する。
【0057】
「アセトゲン」は、エネルギー節約のため、およびアセテート等のアセチル-CoAお
よびアセチル-CoA由来生成物の合成のためのその主要機構としてWood-Ljun
gdahl経路を使用する、偏性嫌気性細菌である(Ragsdale,Biochim
Biophys Acta,1784:1873-1898,2008)。特に、アセ
トゲンは、Wood-Ljungdahl経路を、(1)COからのアセチル-CoA
の還元合成のための機構、(2)最終電子を受容する、エネルギー節約プロセス、(3)
細胞炭素の合成におけるCOの固定(同化)のための機構として使用する(Drake
,Acetogenic Prokaryotes,In:The Prokaryot
es,3rd edition,p.354,New York,NY,2006)。天
然に存在する全てのアセトゲンは、C1固定、嫌気性、独立栄養性、および非メタン資化
性である。多くの場合、本発明の微生物はアセトゲンである。好ましい実施形態では、本
発明の微生物は、表1で同定されるアセトゲンに由来する。
【0058】
「エタノロゲン」は、エタノールを生成する、または生成することができる微生物である
。多くの場合、本発明の微生物はエタノロゲンである。好ましい実施形態では、本発明の
微生物は、表1で同定されるエタノロゲンに由来する。
【0059】
「独立栄養生物」は、有機炭素の不在下で増殖することができる微生物である。代わり
に、独立栄養生物は、COおよび/またはCOなどの無機炭素源を使用する。多くの場
合、本発明の微生物は独立栄養生物である。好ましい実施形態では、本発明の微生物は、
表1で同定される独立栄養生物に由来する。
【0060】
「カルボキシド栄養生物」は、炭素およびエネルギーの唯一の供給源としてCOを利用
することができる微生物である。多くの場合、本発明の微生物はカルボキシド栄養生物で
ある。好ましい実施形態では、本発明の微生物は、表1で同定されるカルボキシド栄養生
物に由来する。
【0061】
「メタン資化性菌」は、炭素とエネルギーの唯一の供給源としてメタンを利用することが
可能な微生物である。特定の実施形態では、本発明の微生物は、メタン資化性菌であるか
、またはメタン資化性菌から誘導される。他の実施形態では、本発明の微生物は、メタン
資化性菌ではないか、メタン資化性菌から誘導されない。
【0062】
好ましい実施形態において、本発明の微生物は、Clostridium autoe
thanogenum種、Clostridium ljungdahlii種、および
Clostridium ragsdalei種を含むClostridiaのクラスタ
ーから得られる。これらの種は、Abrini,Arch Microbiol,161
:345-351,1994(Clostridium autoethanogenu
m)、Tanner,Int J System Bacteriol,43:232-
236,1993(Clostridium ljungdahlii)、およびHuh
nke,WO2008/028055(Clostridium ragsdalei)
によって初めて報告され、かつ特徴付けられた。
【0063】
これらの3つの種は、多くの類似点を有する。特に、これらの種は全て、C1固定、嫌
気性、アセトゲン系、エタノロゲン系、およびカルボキシド栄養性のClostridi
um属メンバーである。これらの種は、同様の遺伝子型および表現型ならびにエネルギー
節約および発酵代謝のモードを有する。さらに、これらの種は、99%を超えて同一であ
る16S rRNA DNAを有するクロストリジウムrRNAホモロジー群I内に群生
し、約22~30mol%の含有量でDNA G+Cを有し、グラム陽性であり、同様の
形態およびサイズを有し(0.5~0.7×3~5μmの対数増殖細胞)、中温性であり
(30~37℃で最適に増殖する)、約4~7.5の同様のpH範囲を有し(約5.5~
6の最適pH)、シトクロムを欠いており、Rnf複合体を介してエネルギーを節約する
。また、カルボン酸のそれらの対応するアルコールへの還元が、これらの種において示さ
れている(Perez,Biotechnol Bioeng,110:1066-10
77,2012)。重要なことに、これらの種はまた、全て、CO含有ガスで強い独立栄
養性増殖を示し、主要な発酵生成物としてエタノールおよびアセテート(または酢酸)を
生成し、特定の条件下で少量の2,3-ブタンジオールおよび乳酸を生成する。
【0064】
しかしながら、これら3つの種は、いくつかの違いも有する。これらの種は、Clos
tridium autoethanogenumはウサギの腸から、Clostrid
ium ljungdahliiは養鶏場の廃棄物から、およびClostridium
ragsdaleiは淡水堆積物からというように、異なる供給源から単離された。こ
れらの種は、様々な糖(例えば、ラムノース、アラビノース)、酸(例えば、グルコン酸
、クエン酸)、アミノ酸(例えば、アルギニン、ヒスチジン)、および他の基質(例えば
、べタイン、ブタノール)の利用において異なる。さらに、これらの種は、特定のビタミ
ン(例えば、チアミン、ビオチン)に対する栄養要求性において異なる。これらの種は、
Wood-Ljungdahl経路遺伝子およびタンパク質の核酸およびアミノ酸配列に
おいて違いを有するが、これらの遺伝子およびタンパク質の一般的構成および数は、全て
の種において同じであることが分かっている(Kopke,Curr Opin Bio
technol,22:320-325,2011)。
【0065】
したがって、要約すると、Clostridium autoethanogenum
、Clostridium ljungdahlii、またはClostridium
ragsdaleiの特性の多くは、その種に特有なのではなく、むしろC1固定、嫌気
性、アセトゲン系、エタノロゲン系、およびカルボキシド栄養性のClostridiu
m属メンバーのこのクラスターの一般的な特性である。しかしながら、これらの種は、実
際は、全く異なるため、これらの種のうちの1つの遺伝子修飾または操作は、これらの種
のうちの別のものにおいては同一の効果を有しない場合がある。例えば、増殖、性能、ま
たは生成物生成における違いが観察され得る。
【0066】
本発明の微生物は、Clostridium autoethanogenum、Cl
ostridium ljungdahlii、またはClostridium rag
sdaleiの分離株または変異体から得ることもできる。Clostridium a
utoethanogenumの単離物および突然変異体には、JA1-1(DSM10
061)(Abrini,Arch Microbiol,161:345-351,1
994)、LBS1560(DSM19630)(WO2009/064200)、およ
びLZ1561(DSM23693)(WO2012/015317)が含まれる。Cl
ostridium ljungdahliiの単離物および突然変異体には、ATCC
49587(Tanner,Int J Syst Bacteriol,43:232
-236,1993)、PETCT(DSM13528、ATCC 55383)、ER
I-2(ATCC55380)(US5,593,886)、C-01(ATCC559
88)(US6,368,819)、O-52(ATCC55989)(US6,368
,819)、およびOTA-1(Tirado-Acevedo,Production
of bioethanol from synthesis gas using
Clostridium ljungdahlii,PhD thesis,North
Carolina State University,2010)が含まれる。Cl
ostridium ragsdaleiの単離物および突然変異体には、PI 1(A
TCC BAA-622、ATCC PTA-7826)(WO2008/028055
)が含まれる。
【0067】
しかしながら、上記のように、本発明の微生物はまた、本質的に任意の親微生物、例えば
、Clostridium acetobutylicum 、Clostridium
beijerinckii、Escherichia coli、およびSaccha
romyces cerevisiaeからなる群から選択される親微生物に由来し得る
【0068】
本発明は、エチレングリコール、グリオキシル酸、およびグリコール酸を生成できる微
生物、ならびに本発明の微生物を基質の存在下で培養し、それによって微生物がエチレン
グリコールを生成することを含む、エチレングリコール、グリオキシル酸、およびグリコ
ール酸を生成する方法を提供する。
【0069】
本発明の微生物はアセチル-CoA、例えば、Wood-Ljungdahl経路によ
って生成されるアセチル-CoAをピルビン酸に変換する(図1の反応1)酵素を含むこ
とができる。この酵素は、ピルビン酸シンターゼ(PFOR)[1.2.7.1]または
ATP:ピルビン酸、オルトリン酸ホスホトランスフェラーゼ[1.2.7.1]であり
得る。いくつかの実施形態では、アセチル-CoAをピルビン酸に変換する酵素は、内在
性酵素である。
【0070】
本発明の微生物は、ピルビン酸をオキサロ酢酸に変換する(図1の反応2)酵素を含む
ことができる。この酵素はピルビン酸:二酸化炭素リガーゼ[ADP形成][6.4.1
.1]であり得る。いくつかの実施形態では、ピルビン酸をオキサロ酢酸に変換する酵素
は、内在性酵素である。いくつかの実施形態では、ピルビン酸をオキサロ酢酸に変換する
酵素が過剰発現される。
【0071】
本発明の微生物は、オキサロ酢酸をシトリル-CoAに変換する(図1の反応3)酵素
を含むことができる。この酵素はシトリル-CoAリアーゼ[4.1.3.34]であり
得る。いくつかの実施形態では、オキサロ酢酸をシトリル-CoAに変換する酵素は、内
在性酵素である。
【0072】
本発明の微生物は、シトリル-CoAをクエン酸に変換する(図1の反応4)酵素を含
むことができる。この酵素は、クエン酸-CoAトランスフェラーゼ[2.8.3.10
]であり得る。いくつかの実施形態では、シトリル-CoAをクエン酸に変換する酵素は
、内在性酵素である。
【0073】
本発明の微生物は、オキサロ酢酸をクエン酸に変換する(図1の反応5)酵素を含むこ
とができる。この酵素は、クエン酸[Si]-シンターゼ[2.3.3.1]、ATPク
エン酸シンターゼ[2.3.3.8]、またはクエン酸(Re)-シンターゼ[2.3.
3.3]であってよい。いくつかの実施形態では、オキサロ酢酸をクエン酸に変換する酵
素は、内在性酵素である。他の実施形態では、オキサロ酢酸をクエン酸に変換する酵素は
、異種酵素である。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列
番号2に示されるアミノ酸配列をコードする配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含
むように、B.subtilis由来のクエン酸シンターゼ1 [EC 2.3.3.1
6]を含む。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号4に示され
るアミノ酸配列をコードする配列番号3に示されるヌクレオチド配列を含むように、C.
kluyveri由来のクエン酸(Re)-シンターゼを含む。いくつかの実施形態では
、本発明の微生物は、微生物が配列番号6に示されるアミノ酸配列をコードする配列番号
5に示されるヌクレオチド配列を含むように、Clostridium種属由来のクエン
酸(Si)-シンターゼを含む。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が
配列番号8に示されるアミノ酸配列をコードする配列番号7に示されるヌクレオチド配列
を含むように、B.subtilis由来のクエン酸シンターゼ2を含む。いくつかの実
施形態では、オキサロ酢酸をクエン酸に変換する酵素が過剰発現される。
【0074】
本発明の微生物は、クエン酸をアコニット酸に、およびアコニット酸をイソクエン酸に
変換する(図1の反応6)酵素を含むことができる。この酵素は、アコニット酸ヒドラタ
ーゼ[4.2.1.3]であり得る。いくつかの実施形態では、クエン酸をアコニット酸
に、アコニット酸をイソクエン酸に変換する酵素は、内在性酵素である。いくつかの実施
形態では、クエン酸をアコニット酸に、およびアコニット酸をイソクエン酸に変換する酵
素が過剰発現される。
【0075】
本発明の微生物は、イソクエン酸をグリオキシル酸に変換する(図1の反応7)酵素を
含むことができる。この酵素はイソクエン酸リアーゼ[4.1.3.1]であり得る。い
くつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号10に示されるアミノ酸配
列をコードする配列番号9に示されるヌクレオチド配列を含むように、Z.mays由来
のイソクエン酸リアーゼを含む。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が
配列番号12に示されるアミノ酸配列をコードする配列番号11に示されるヌクレオチド
配列を含むように、E.coli由来のイソクエン酸リアーゼを含む。いくつかの実施形
態では、
【0076】
本発明の微生物は、グリオキシル酸をグリコール酸に変換する(図1の反応8)酵素を
含むことができる。この酵素は、グリセリン酸デヒドロゲナーゼ[1.1.1.29]、
グリオキシル酸レダクターゼ[1.1.1.26/79]、またはグリコール酸デヒドロ
ゲナーゼ[1.1.99.14]であリ得る。いくつかの実施形態では、グリオキシル酸
をグリコール酸に変換する酵素は、内在性酵素である。いくつかの実施形態では、グリオ
キシル酸をグリコール酸に変換する酵素が過剰発現される。
【0077】
本発明の微生物は、グリコール酸をグリコアルデヒドに変換する(図1の反応9)酵素
を含むことができる。この酵素は、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1
.21]、ラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.22]、コハク酸セミアル
デヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.24]、2,5-ジオキソ吉草酸デヒドロゲナー
ゼ[1.2.1.26]、アルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.3/4/5]、ベ
タイン-アルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.8]、またはアルデヒドフェレドキ
シンオキシドレダクターゼ[1.2.7.5]であり得る。いくつかの実施形態では、グ
リコール酸をグリコアルデヒドに変換する酵素は、内在性酵素である。他の実施形態では
、グリコール酸をグリコアルデヒドに変換する酵素は、異種酵素である。例えば、いくつ
かの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号50に示されるアミノ酸配列を
コードする配列番号49に示されるヌクレオチド配列を含むように、E.coli由来の
γ-アミノブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼを含む。いくつかの実施形態において、本
発明の微生物は、微生物が配列番号52に示されるアミノ酸配列をコードする配列番号5
1に示されるヌクレオチド配列を含むように、E.coli由来のアルデヒドデヒドロゲ
ナーゼを含む。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号54に示
されるアミノ酸配列をコードする配列番号53に示されるヌクレオチド配列を含むように
、E.coli由来のNADP-依存コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼIを含む
。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号56に示されるアミノ
酸配列をコードする配列番号55に示されるヌクレオチド配列を含むように、G.oxy
dans由来のラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ/グリコールアルデヒドデヒドロゲナ
ーゼを含む。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物がそれぞれ、配列番号
58または配列番号60で示されるアミノ酸配列をコードする配列番号57または配列番
号59に示されるヌクレオチド配列を含むように、P.fluorescens由来のア
ルデヒドデヒドロゲナーゼAを含む。グリコール酸をグリコアルデヒドに変換する酵素の
追加の非限定的な例は、GenBank受入番号WP_003202098、WP_00
3182567、ACT39044、ACT39074、WP_041112005、お
よびACT40170に見出すことができる。いくつかの実施形態では、グリコール酸を
グリコアルデヒドに変換する酵素が過剰発現される。
【0078】
本発明の微生物は、グリコアルデヒドをエチレングリコールに変換する(図1の反応1
0)酵素を含んでいてもよい。この酵素は、ラクトアルデヒドレダクターゼ[1.1.1
.77]、アルコールデヒドロゲナーゼ[1.1.1.1]、アルコールデヒドロゲナー
ゼ(NADP+)[1.1.1.2]、グリセロールデヒドロゲナーゼ[1.1.1.7
2]、グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ[1.1.1.8]、またはアルデヒ
ドレダクターゼ[1.1.1.21]であり得る。いくつかの実施形態では、グリコアル
デヒドをエチレングリコールに変換する酵素は、内在性酵素である。いくつかの実施形態
では、グリコアルデヒドをエチレングリコールに変換する内在性酵素が過剰発現される。
他の実施形態では、グリコアルデヒドをエチレングリコールに変換する酵素は、異種酵素
である。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号62に示される
アミノ酸配列をコードする配列番号61に示されるヌクレオチド配列を含むように、C.
saccharoperbutylacetonicum由来のラクトアルデヒドレダク
ターゼを含む。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号64に示
されるアミノ酸配列をコードする配列番号63に示されるヌクレオチド配列を含むように
、C.ljungdahlii由来のラクトアルデヒドレダクターゼを含む。いくつかの
実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号66に示されるアミノ酸配列をコー
ドする配列番号65に示されるヌクレオチド配列を含むように、E.coli由来のラク
トアルデヒドレダクターゼを含む。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物
が配列番号68に示されるアミノ酸配列をコードする配列番号67に示されるヌクレオチ
ド配列を含むように、C.beijerinckii由来のラクトアルデヒドレダクター
ゼを含む。いくつかの実施形態では、グリコアルデヒドをエチレングリコールに変換する
異種酵素が過剰発現される。
【0079】
本発明の微生物は、ピルビン酸をリンゴ酸に変換する(図1の反応11)を含むことが
できる。この酵素は、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ[1.1.1.37]、リンゴ酸デヒド
ロゲナーゼ(オキサロ酢酸脱炭酸)[1.1.1.38]、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(
脱炭酸)[1.1.1.39]、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(オキサロ酢酸脱炭酸)(N
ADP+)[1.1.1.40]、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(NADP+)[1.1.
1.82]、D-リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(脱炭酸)[1.1.1.83]、ジメチル
リンゴ酸デヒドロゲナーゼ[1.1.1.84]、3-イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲ
ナーゼ[1.1.1.85]、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ[NAD(P)+][1.1.
1.299]、またはリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(キノン)[1.1.5.4]であり得
る。いくつかの実施形態では、ピルビン酸をリンゴ酸に変換する酵素は、内在性酵素であ
る。他の実施形態では、ピルビン酸をリンゴ酸に変換する酵素は、異種酵素である。例え
ば、いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号24に示されるアミ
ノ酸配列をコードする配列番号23に示されるヌクレオチド配列を含むように、C.au
toethanogenum由来のリンゴ酸デヒドロゲナーゼを含む。いくつかの実施形
態において、本発明の微生物は、微生物が配列番号26に示されるアミノ酸配列をコード
する配列番号25に示されるヌクレオチド配列を含むように、C.autoethano
genum由来のNAD依存リンゴ酸酵素を含む。
【0080】
本発明の微生物は、リンゴ酸をグリオキシル酸に変換する(図1の反応12)酵素を含
むことができる。この酵素は、リンゴ酸シンターゼ[2.3.3.9]またはイソクエン
酸リアーゼ[4.1.3.1]であり得る。いくつかの実施形態では、リンゴ酸をグリオ
キシル酸に変換する酵素は、異種酵素である。例えば、いくつかの実施形態では、本発明
の微生物は、微生物がそれぞれ配列番号28または配列番号34に示されるアミノ酸をコ
ードする配列番号27または配列番号33に示されるヌクレオチド配列を含むように、S
porosarcina種属からのリンゴ酸シンターゼGを含む。いくつかの実施形態で
は、本発明の微生物は、微生物がそれぞれ配列番号30または配列番号36に示されるア
ミノ酸配列をコードする配列番号29または配列番号35に示されるヌクレオチド配列を
含むように、Bacillus種由来のリンゴ酸シンターゼGを含む。いくつかの実施形
態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号32に示されるアミノ酸配列をコードする
配列番号31に示されるヌクレオチド配列を含むように、S.coelicolor由来
のリンゴ酸シンターゼを含む。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配
列番号38に示されるアミノ酸配列をコードする配列番号37に示されるヌクレオチド配
列を含むように、B.infantis由来のリンゴ酸シンターゼGを含む。いくつかの
実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号40に示されるアミノ酸配列をコー
ドする配列番号39に示されるヌクレオチド配列を含むように、C.cochleari
um由来のリンゴ酸シンターゼを含む。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微
生物が配列番号42に示されるアミノ酸配列をコードする配列番号41に示されるヌクレ
オチド配列を含むように、B.megateriumからのリンゴ酸シンターゼGを含む
。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号44に示されるアミノ
酸配列をコードする配列番号43に示されるヌクレオチド配列を含むように、Paeni
bacillus種由来のリンゴ酸シンターゼを含む。いくつかの実施形態において、本
発明の微生物は、微生物が配列番号46に示されるアミノ酸配列をコードする配列番号4
5に示されるヌクレオチド配列を含むように、Lysinibacillus種由来のリ
ンゴ酸シンターゼを含む。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番
号48に示されるアミノ酸配列をコードする配列番号47に示されるヌクレオチド配列を
含むように、B.cereus由来のリンゴ酸シンターゼを含む。
【0081】
本発明の微生物は、ピルビン酸をホスホエノールピルビン酸に変換する(図1の反応1
3)酵素を含むことができる。この酵素は、ピルビン酸キナーゼ[2.7.1.40]、
ピルビン酸リン酸ジキナーゼ[2.7.9.1]、またはピルビン酸水ジキナーゼ[2.
7.9.2]であり得る。いくつかの実施形態では、ピルビン酸をホスホエノールピルビ
ン酸に変換する酵素は、内在性酵素である。
【0082】
本発明の微生物は、ホスホエノールピルビン酸を2-ホスホ-D-グリセリン酸に変換
する(図1の反応14)酵素を含むことができる。この酵素は、ホスホピルビン酸ヒドラ
ターゼ[4.2.1.11]であり得る。いくつかの実施形態では、ホスホエノールピル
ビン酸を2-ホスホ-D-グリセリン酸に変換する酵素は、内在性酵素である。
【0083】
本発明の微生物は、2-ホスホ-D-グリセリン酸を3-ホスホ-D-グリセリン酸に
変換する(図1の反応15)酵素を含むことができる。この酵素は、ホスホグリセリン酸
ムターゼ[5.4.2.11/12]であり得る。いくつかの実施形態では、2-ホスホ
-D-グリセリン酸を3-ホスホ-D-グリセリン酸に変換する酵素は、内在性酵素であ
る。
【0084】
本発明の微生物は、3-ホスホ-D-グリセリン酸を3-ホスホノオキシピルビン酸に
変換する(図1の反応16)酵素を含むことができる。この酵素は、ホスホグリセリン酸
デヒドロゲナーゼ[1.1.1.95]であり得る。いくつかの実施形態では、3-ホス
ホ-D-グリセリン酸を3-ホスホノオキシピルビン酸に変換する酵素は、内在性酵素で
ある。
【0085】
本発明の微生物は、3-ホスホノオキシピルビン酸を3-ホスホ-L-セリンに変換(
図1の反応17)する酵素を含むことができる。この酵素は、ホスホセリントランスアミ
ナーゼ[2.6.1.52]であり得る。いくつかの実施形態では、3-ホスホノオキシ
ピルビン酸を3-ホスホ-L-セリンに変換する酵素は、内在性酵素である。
【0086】
本発明の微生物は3-ホスホ-L-セリンをセリンに変換する(図1の反応18)酵素
を含むことができる。この酵素はホスホセリンホスファターゼ[3.1.3.3]であり
得る。いくつかの実施形態では、3-ホスホ-L-セリンをセリンに変換する酵素は、内
在性酵素である。
【0087】
本発明の微生物はセリンをグリシンに変換する(図1の反応19)酵素を含むことがで
きる。この酵素はグリシンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ[2.1.2.1]であ
り得る。いくつかの実施形態では、セリンをグリシンに変換する酵素は内在性酵素である
。いくつかの実施形態では、セリンをグリシンに変換する酵素が過剰発現される。
【0088】
本発明の微生物は、グリシンをグリオキシル酸に変換する酵素(図1の反応20)を含
むことができる。この酵素は、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ/ト
ランスアミナーゼ[2.6.1.44]、セリン-グリオキシル酸アミノトランスフェラ
ーゼ/トランスアミナーゼ[2.6.1.45]、セリン-ピルビン酸アミノトランスフ
ェラーゼ/トランスアミナーゼ[2.6.1.51]、グリシン-オキサロ酢酸アミノト
ランスフェラーゼ/トランスアミナーゼ[2.6.1.35]、グリシントランスアミナ
ーゼ[2.6.1.4]、グリシンデヒドロゲナーゼ[1.4.1.10]、アラニンデ
ヒドロゲナーゼ[1.4.1.1]、またはグリシンデヒドロゲナーゼ[1.4.2.1
]であり得る。いくつかの実施形態では、グリシンをグリオキシル酸に変換する酵素は、
内在性酵素である。他の実施形態では、グリシンをグリオキシル酸に変換する酵素は、異
種酵素である。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号
14に示されるアミノ酸配列をコードする配列番号13に示されるヌクレオチド配列を含
むように、H.methylovorum由来のセリン-グリオキシル酸アミノトランス
フェラーゼを含む。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号16
に示されるアミノ酸配列をコードする配列番号15に示されるヌクレオチド配列を含むよ
うに、S.thiotaurini由来のアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェ
ラーゼを含む。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が、配列番号18に
示されるアミノ酸配列をコードする配列番号17に示されるヌクレオチド配列を含むよう
に、T.Tepidarius由来のアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラー
ゼを含む。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、微生物が、配列番号20に示さ
れるアミノ酸配列をコードする配列番号19に示されるヌクレオチド配列を含むように、
C.acidurici由来のクラスVアミノトランスフェラーゼを含む。いくつかの実
施形態では、本発明の微生物は、微生物が配列番号22に示されるアミノ酸配列をコード
する配列番号21に示されるヌクレオチド配列を含むように、T.maritima由来
のセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼを含む。いくつかの実施形態では、グリ
シンをグリオキシル酸に変換する酵素が過剰発現される。
【0089】
本発明の微生物はセリンをヒドロキシピルビン酸に変換する(図1の反応21)酵素を
含むことができる。この酵素は、セリン-ピルビン酸トランスアミナーゼ[2.6.1.
51]、セリン-グリオキシル酸トランスアミナーゼ[2.6.1.45]、アラニンデ
ヒドロゲナーゼ[1.4.1.1]、L-アミノ酸デヒドロゲナーゼ[1.4.1.5]
、セリン2-デヒドロゲナーゼ[1.4.1.7]、アラニントランスアミナーゼ[2.
6.1.2]、グルタミン-ピルビン酸トランスアミナーゼ[2.6.1.15]、D-
アミノ酸トランスアミナーゼ[2.6.1.21]、アラニン-グリオキシル酸トランス
アミナーゼ[2.6.1.44]、またはセリン-ピルビン酸トランスアミナーゼ[2.
6.1.51]であり得る。いくつかの実施形態では、セリンをヒドロキシピルビン酸に
変換する酵素は、内在性酵素である。他の実施形態では、セリンをヒドロキシピルビン酸
に変換する酵素は、異種酵素である。セリンをヒドロキシピルビン酸に変換することがで
きる酵素の非限定的な例は、GenBank受入番号WP_009989311およびN
P_511062.1に見出すことができる。いくつかの実施形態では、セリンをヒドロ
キシピルビン酸に変換する酵素が過剰発現される。
【0090】
本発明の微生物は、ヒドロキシピルビン酸をグリコアルデヒドに変換する(図1の反応
22)酵素を含むことができる。この酵素は、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ
[4.1.1.40]またはピルビン酸デカルボキシラーゼ[4.1.1.1]であり得
る。この酵素は、他のデカルボキシラーゼでもよい[4.1.1.-]。いくつかの実施
形態では、ヒドロキシピルビン酸をグリコアルデヒドに変換する酵素は、異種酵素である
。ヒドロキシピルビン酸をグリコアルデヒドに変換できる酵素の非限定的な例は、Gen
Bank受入番号CCG28866、SVF98953、PA0096、CAA5452
2、KRU13460、およびKLA26356に見出すことができる。
【0091】
本発明の微生物はD-グリセリン酸をヒドロキシピルビン酸に変換する(図1の反応2
3)酵素を含むことができる。この酵素は、グリオキシル酸レダクターゼ[EC1.1.
1.26]、グリセリン酸デヒドロゲナーゼ[EC1.1.1.29]、またはヒドロキ
シピルビン酸レダクターゼ[EC1.1.1.81]であり得る。いくつかの実施形態で
は、D-グリセリン酸をヒドロキシピルビン酸に変換する酵素は、異種酵素である。D-
グリセリン酸をヒドロキシピルビン酸に変換できる酵素の非限定的な例は、GenBan
k受入番号SUK16841、RPK22618、KPA02240、AGW90762
、CAC11987、Q9CA90、およびQ9UBQ7に見出すことができる。
【0092】
本発明の微生物は、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸をグリシンに変換する(図1
の反応24)複合体の酵素を含むことができる。5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸は
、Wood-Ljungdahl経路の還元的分岐における補因子であり、アセチル-C
oAの生成における足場として機能する。この複合体は、グリシンデヒドロゲナーゼ[1
.4.4.2]、ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ[1.8.1.4]、およびアミノ
メチルトランスフェラーゼ(グリシンシンターゼ)[2.1.2.10]を含むグリシン
開裂系であり得る。いくつかの実施形態では、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸をグ
リシンに変換する複合体の酵素は、内在性酵素である。いくつかの実施形態では、グリシ
ン開裂系の酵素が過剰発現される。
【0093】
本発明の微生物は、ホスホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸に変換する(図1の反応
25)酵素を含むことができる。この酵素は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナ
ーゼ(ATP)[4.1.1.49]または(GTP)[4.1.1.32]であり得る
。いくつかの実施形態では、ホスホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸に変換する酵素は
、内在性酵素である。他の実施形態では、ホスホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸に変
換する酵素は、異種酵素である。いくつかの実施形態では、ホスホエノールピルビン酸を
オキサロ酢酸に変換する酵素が過剰発現される。
【0094】
いくつかの実施形態では、アセチル-CoAをピルビン酸に変換する(図1の反応1)
酵素、ピルビン酸をオキサロ酢酸に変換する(図1の反応2)酵素、オキサロ酢酸をクエ
ン酸に変換する(図1の反応5)酵素、クエン酸をアコニット酸に、アコニット酸をイソ
クエン酸に変換する(図1の反応6)酵素、イソクエン酸をグリオキシル酸に変換する(
図1の反応7)酵素、グリオキシル酸をグリコール酸に変換する(図1の反応8)酵素、
グリコール酸をグリコアルデヒドに変換する(図1の反応9)酵素、およびグリコアルデ
ヒドをエチレングリコールに変換する(図1の反応10)酵素、を含む微生物は、エチレ
ングリコールを生成する。非限定的な例において、オキサロ酢酸をクエン酸に変換する酵
素は、B.subtilis由来のクエン酸シンターゼ(配列番号1~2)であり得る。
非限定的な例において、イソクエン酸をグリオキシル酸に変換する酵素は、E.coli
由来のイソクエン酸リアーゼ(配列番号11~12)であり得る。非限定的な例において
、グリコール酸をグリコアルデヒドに変換する酵素は、G.oxydans由来のグリコ
ールアルデヒドデヒドロゲナーゼ(配列番号55~56)またはP.fluoresce
ns由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(配列番号57~58)であり得る。図1に示す
ように、反応2、5、6、8、9、および10を触媒する酵素の1つ以上が過剰発現され
得る。例えば、実施例1および図3Bを参照されたい。
【0095】
いくつかの実施形態では、アセチル-CoAをピルビン酸に変換する(図1の反応1)
酵素、ピルビン酸をホスホエノールピルビン酸に変換する(図1の反応13)酵素、ホス
ホエノールピルビン酸を2-ホスホ-D-グリセリン酸に変換する(図1の反応14)酵
素、2-ホスホ-D-グリセリン酸を3-ホスホ-D-グリセリン酸に変換する(図1
反応15)酵素、3-ホスホ-D-グリセリン酸を3-ホスホノオキシピルビン酸に変換
する(図1の反応16)酵素、3-ホスホノオキシピルビン酸を3-ホスホ-L-セリン
に変換する(図1の反応17)酵素、3-ホスホ-L-セリンをセリンに変換する(図1
の反応18)酵素、セリンをグリシンに変換する(図1の反応19)酵素、グリシンをグ
リオキシル酸に変換する(図1の反応20)酵素、グリオキシル酸をグリコール酸に変換
する(図1の反応8)酵素、グリコール酸をグリコアルデヒドに変換する(図1の反応9
)酵素、およびグリコアルデヒドをエチレングリコールに変換する(図1の反応10)酵
素、を含む微生物はエチレングリコールを生成する。非限定的な例において、グリシンを
グリオキシル酸に変換する酵素は、S.thiotaurini由来のアラニン-グリオ
キシル酸アミノトランスフェラーゼ(配列番号15~16)またはC.aciduric
i由来のクラスVアミノトランスフェラーゼ(配列番号19~20)であり得る。非限定
的な例において、グリコール酸をグリコアルデヒドに変換する酵素は、G.oxydan
s由来のグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ(配列番号55~56)またはP.fl
uorescens由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(配列番号57~58)であり得
る。図1に示すように、ステップ19、20、8、9、および10の反応を触媒する酵素
の1つ以上が過剰発現され得る。例えば、実施例2~4および図4B、5B、および6B
を参照されたい。
【0096】
いくつかの実施形態では、アセチル-CoAをピルビン酸に変換する(図1の反応1)
酵素、ピルビン酸をオキサロ酢酸に変換する(図1の反応2)酵素、オキサロ酢酸をシト
リル-CoAに変換する(図1の反応3)酵素、シトリル-CoAをクエン酸に変換する
図1の反応4)酵素、クエン酸をアコニット酸に、およびアコニット酸をイソクエン酸
に変換する(図1の反応6)酵素、イソクエン酸をグリオキシル酸に変換する(図1の反
応7)酵素、グリオキシル酸をグリコール酸に変換する(図1の反応8)酵素、グリコー
ル酸をグリコアルデヒドに変換する(図1の反応9)酵素、およびグリコアルデヒドをエ
チレングリコールに変換する(図1の反応10)酵素、を含む微生物は、エチレングリコ
ールを生成する。非限定的な例において、イソクエン酸をグリオキシル酸に変換する酵素
は、E.coli由来のイソクエン酸リアーゼ(配列番号11~12)であり得る。非限
定的な例において、イソクエン酸をグリオキシル酸に変換する酵素は、E.coli由来
のイソクエン酸リアーゼ(配列番号11~12)であり得る。非限定的な例において、グ
リコール酸をグリコアルデヒドに変換する酵素は、G.oxydans由来のグリコール
アルデヒドデヒドロゲナーゼ(配列番号55~56)またはP.fluorescens
由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(配列番号57~58)であり得る。図1に示すよう
に、反応2、6、8、9、および10を触媒する酵素の1つ以上が過剰発現され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、アセチル-CoAをピルビン酸に変換する(図1の反応1)
酵素、ピルビン酸をリンゴ酸に変換する(図1の反応11)酵素、リンゴ酸をグリオキシ
ル酸に変換する(図1の反応12)酵素、グリオキシル酸をグリコール酸に変換する(図
1の反応8)酵素、グリコール酸をグリコアルデヒドに変換する(図1の反応9)酵素、
およびグリコアルデヒドをエチレングリコールに変換する(図1の反応10)酵素、を含
む微生物は、エチレングリコールを生成する。非限定的な例において、グリコール酸をグ
リコアルデヒドに変換する酵素は、G.oxydans由来のグリコールアルデヒドデヒ
ドロゲナーゼ(配列番号55~56)またはP.fluorescens由来のアルデヒ
ドデヒドロゲナーゼ(配列番号57~58)であり得る。図1に示すように、ステップ8
、9、および10の反応を触媒する酵素の1つ以上が過剰発現され得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸をグリシンに変換する
図1の反応24)酵素、グリシンをグリオキシル酸に変換する(図1の反応20)酵素
、グリオキシル酸をグリコール酸に変換する(図1の反応8)酵素、グリコール酸をグリ
コアルデヒドに変換する(図1の反応9)酵素、およびグリコアルデヒドをエチレングリ
コールに変換する(図1の反応10)酵素、の複合体を含む微生物は、エチレングリコー
ルを生成する。非限定的な例において、グリシンをグリオキシル酸に変換する酵素は、S
.thiotaurini由来のアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ(
配列番号15~16)またはC.acidurici由来のクラスVアミノトランスフェ
ラーゼ(配列番号19~20)であり得る。非限定的な例において、グリコール酸をグリ
コアルデヒドに変換する酵素は、G.oxydans由来のグリコールアルデヒドデヒド
ロゲナーゼ(配列番号55~56)またはP.fluorescens由来のアルデヒド
デヒドロゲナーゼ(配列番号57~58)であり得る。ステップ8、9、10、20、お
よび24の反応を触媒する酵素の1つ以上が過剰発現され得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、アセチル-CoAをピルビン酸に変換する(図1の反応1)
酵素、ピルビン酸をホスホエノールピルビン酸に変換する(図1の反応13)酵素、ホス
ホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸に変換する(図1の反応25)酵素、オキサロ酢酸
をシトリル-CoAに変換する(図1の反応3)酵素、シトリル-CoAをクエン酸に変
換する(図1の反応4)酵素、クエン酸をアコニット酸に、およびアコニット酸をイソク
エン酸に変換する(図1の反応6)酵素、イソクエン酸をグリオキシル酸に変換する(図
1の反応7)酵素、グリオキシル酸をグリコール酸に変換する(図1の反応8)酵素、グ
リコール酸をグリコアルデヒドに変換する(図1の反応9)酵素、およびグリコアルデヒ
ドをエチレングリコールに変換する(図1の反応10)酵素、を含む微生物は、エチレン
グリコールを生成する。非限定的な例において、イソクエン酸をグリオキシル酸に変換す
る酵素は、E.coli由来のイソクエン酸リアーゼ(配列番号11~12)であり得る
。非限定的な例において、グリコール酸をグリコアルデヒドに変換する酵素は、G.ox
ydans由来のグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ(配列番号55~56)または
P.fluorescens由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(配列番号57~58)
であり得る。図1に示すように、反応2、6、8、9、10、および25を触媒する酵素
の1つ以上が過剰発現され得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、アセチル-CoAをピルビン酸に変換する(図1の反応1)
酵素、ピルビン酸をホスホエノールピルビン酸に変換する(図1の反応13)酵素、ホス
ホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸に変換する(図1の反応25)酵素、オキサロ酢酸
をクエン酸に変換する(図1の反応5)酵素、クエン酸をアコニット酸に、アコニット酸
をイソクエン酸に変換する(図1の反応6)酵素、イソクエン酸をグリオキシル酸に変換
する(図1の反応7)酵素、グリオキシル酸をグリコール酸に変換する(図1の反応8)
酵素、グリコール酸をグリコアルデヒドに変換する(図1の反応9)酵素、およびグリコ
アルデヒドをエチレングリコールに変換する(図1の反応10)酵素、を含む微生物は、
エチレングリコールを生成する。非限定的な例において、オキサロ酢酸をクエン酸に変換
する酵素は、B.subtilis由来のクエン酸シンターゼ(配列番号1~2)であり
得る。非限定的な例において、イソクエン酸をグリオキシル酸に変換する酵素は、E.c
oli由来のイソクエン酸リアーゼ(配列番号11~12)であり得る。非限定的な例に
おいて、グリコール酸をグリコアルデヒドに変換する酵素は、G.oxydans由来の
グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ(配列番号55~56)またはP.fluore
scens由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(配列番号57~58)であり得る。図1
に示すように、反応5、6、8、9、10、および25を触媒する酵素の1つ以上が過剰
発現され得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、アセチル-CoAをピルビン酸に変換する(図1の反応1)
酵素、ピルビン酸をホスホエノールピルビン酸に変換する(図1の反応13)酵素、ホス
ホエノールピルビン酸を2-ホスホ-D-グリセリン酸に変換する(図1の反応14)酵
素、2-ホスホ-D-グリセリン酸を3-ホスホ-D-グリセリン酸に変換する酵素(図
1の反応15)、3-ホスホ-D-グリセリン酸を3-ホスホノオキシピルビン酸に変換
する(図1の反応16)酵素、3-ホスホノオキシピルビン酸を3-ホスホ-L-セリン
に変換する(図1の反応17)酵素、3-ホスホ-L-セリンをセリンに変換する(図1
の反応18)酵素、セリンをヒドロキシピルビン酸に変換する(図1の反応21)酵素、
ヒドロキシピルビン酸をグリコアルデヒドに変換する(図1の反応22)酵素、およびグ
リコアルデヒドをエチレングリコールに変換する(図1の反応10)酵素、を含む微生物
はエチレングリコールを生成する。グリコアルデヒドからエチレングリコールへの変換を
触媒する酵素は過剰発現可能である。
【0102】
いくつかの実施形態では、D-グリセリン酸をヒドロキシピルビン酸に変換する(図1
の反応23)酵素、ヒドロキシピルビン酸をグリコアルデヒドに変換する(図1の反応2
2)酵素、およびグリコアルデヒドをエチレングリコールに変換する(図1の反応10)
酵素は、エチレングリコールを生成する。グリコアルデヒドからエチレングリコールへの
変換を触媒する酵素は過剰発現可能である。
【0103】
本発明の酵素は、本発明の微生物における発現のために最適化されたコドンであり得る
。「コドン最適化」は、特定の株または種における核酸の最適化または改善された翻訳の
ための、遺伝子等の核酸の変異を指す。コドン最適化により、翻訳速度の高速化または翻
訳精度の向上がもたらされ得る。好ましい実施形態では、本発明の遺伝子は、本発明の微
生物における発現のために最適化されたコドンである。コドン最適化は基礎となる遺伝子
配列を指すが、コドン最適化はしばしば翻訳の改善をもたらし、したがって酵素発現の改
善をもたらす。したがって、本発明の酵素はまた、コドンが最適化されていると説明する
こともできる。
【0104】
本発明の酵素のうちの1つ以上は、過剰発現され得る。「過剰発現した」とは、本発明
の微生物が由来する野生型または親微生物と比較して、本発明の微生物における核酸また
はタンパク質の発現の増加を指す。過剰発現は、遺伝子コピー数、遺伝子転写速度、遺伝
子翻訳速度、または酵素分解速度の変更を含む、当該技術分野において既知の任意の手段
によって達成することができる。上記のように、図1の反応2、5、6、8、9、10、
19、20、24、または25を触媒する1つ以上の酵素が過剰発現され得る。
【0105】
本発明の酵素は破壊的変異を含み得る。「破壊的変異」は、遺伝子または酵素の発現ま
たは活性を低下または排除する(すなわち、「破壊する」)変異を指す。破壊的変異は、
遺伝子または酵素を、部分的に不活性化し得るか、完全に不活性化し得るか、または欠失
し得る。破壊的変異は、ノックアウト(KO)変異であり得る。破壊的変異は、酵素によ
って生成される生成物の生合成を低減、防止、または阻害する任意の変異であり得る。破
壊的変異は、例えば、酵素をコードする遺伝子における変異、酵素をコードする遺伝子の
発現に関与する遺伝子調節エレメントにおける変異、酵素の活性を低下または阻害するタ
ンパク質を生成する核酸の導入、または酵素の発現を阻害する核酸(例えば、アンチセン
スRNA、siRNA、CRISPR)もしくはタンパク質の導入を含み得る。破壊的変
異は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して導入されてもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ[1.1
.1.41]に破壊的変異を含む。イソクエン酸デヒドロゲナーゼはイソクエン酸を2-
オキソグルタル酸に変換する。イソクエン酸デヒドロゲナーゼの欠失などによるイソクエ
ン酸デヒドロゲナーゼの破壊により、イソクエン酸のレベルが増加する。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、グリセリン酸デヒドロゲナーゼ[1.1
.1.29]に破壊的変異を含む。グリセリン酸デヒドロゲナーゼはグリオキシル酸をグ
リコール酸に変換する。イソクエン酸デヒドロゲナーゼの欠失などによるグリセリン酸デ
ヒドロゲナーゼの破壊により、グリオキシル酸のレベルが増加する。
【0108】
いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、グリコール酸デヒドロゲナーゼ [1.
1.99.14]に破壊的変異を含む。グリコール酸デヒドロゲナーゼはグリオキシル酸
をグリコール酸に変換する。グリコール酸デヒドロゲナーゼの欠失などによるグリコール
酸デヒドロゲナーゼの破壊により、グリオキシル酸のレベルが増加する。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、アルデヒドフェレドキシンオキシドレダ
クターゼ[1.2.7.5]に破壊的変異を含む。アルデヒドフェレドキシンオキシドレ
ダクターゼは、グリコール酸をグリコアルデヒドに変換する。アルデヒドフェレドキシン
オキシドレダクターゼの欠失などによるアルデヒドフェレドキシンオキシドレダクターゼ
の破壊により、グリコール酸のレベルが増加する。
【0110】
いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.
1.3/1.2.3.4/1.2.3.5]に破壊的変異を含む。アルデヒドデヒドロゲ
ナーゼはグリコール酸をグリコアルデヒドに変換する。アルデヒドデヒドロゲナーゼの欠
失などによるアルデヒドデヒドロゲナーゼの破壊により、グリコール酸のレベルが増加す
る。
【0111】
破壊的変異の導入は、本発明の微生物が誘導される親微生物と比較して、標的生成物を
生成しないかもしくは実質的に標的生成物を生成しないか、または低減された量の標的生
成物を生成する、本発明の微生物をもたらす。例えば、本発明の微生物は、標的生成物を
生成しないか、または親微生物よりも、少なくとも約1%、3%、5%、10%、20%
、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%少ない標
的生成物を生成し得る。例えば、本発明の微生物は、約0.001、0.01、0.10
、0.30、0.50、または1.0g/L未満の標的生成物を生成することができる。
【0112】
例示的な配列および酵素の供給源は、本明細書において提供されるが、本発明は、これ
らの配列と供給源に限定されるものではなく-それはまた、変異体を包含する。「変異体
」という用語は、核酸およびタンパク質の配列が、従来技術において開示されるかまたは
本明細書に例示される参照核酸およびタンパク質の配列等の、参照核酸およびタンパク質
の配列とは異なる、核酸およびタンパク質を含む。本発明は、参照核酸またはタンパク質
と実質的に同じ機能を実行する変異体核酸またはタンパク質を使用して実施され得る。例
えば、変異体タンパク質は、参照タンパク質と実質的に同じ機能を実行するか、または実
質的に同じ反応に触媒作用を及ぼし得る。変異体遺伝子は、参照遺伝子と同じ、または実
質的に同じタンパク質をコードし得る。変異体プロモータは、参照プロモータと実質的に
同じ、1つ以上の遺伝子の発現を促進するための能力を有し得る。
【0113】
このような核酸またはタンパク質は、本明細書において「機能的に同等な変異体」と呼ば
れ得る。例として、核酸の機能的に同等な変異体には、対立遺伝子変異体、遺伝子の断片
、突然変異遺伝子、多型等が含まれ得る。他の微生物からの相同遺伝子も、機能的に同等
な変異体の例である。これらとしては、Clostridium acetobutyl
icum、Clostridium beijerinckii、またはClostri
dium ljungdahliiなどの種の相同遺伝子が挙げられ、それらの詳細は、
GenbankまたはNCBIなどのウェブサイトで公開されており入手可能である。機
能的に同等な変異形としてはまた、特定の微生物のコドン最適化の結果として配列が変化
している核酸が挙げられる。核酸の機能的に同等な変異体は、好ましくは、参照核酸と少
なくとも約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、またはそれを
超える核酸配列同一性(相同性割合)を有する。タンパク質の機能的に同等な変異体は、
好ましくは、参照タンパク質と少なくとも約70%、約80%、約85%、約90%、約
95%、約98%、またはそれを超えるアミノ酸同一性(相同性割合)を有する。変異体
核酸またはタンパク質の機能的同等性は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して評
価され得る。
【0114】
核酸は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して、本発明の微生物に送達され得る
。例えば、核酸は裸の核酸として送達されてもよく、リポソーム等の1つ以上の薬剤とと
もに配合されてもよい。核酸は、必要に応じて、DNA、RNA、cDNA、またはそれ
らの組み合わせであってもよい。ある特定の実施形態では、制限阻害剤を使用してもよい
。追加のベクターには、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、コスミド、および
人工染色体が含まれ得る。好ましい実施形態では、核酸は、プラスミドを使用して本発明
の微生物に送達される。例として、形質転換(形質導入またはトランスフェクションを含
む)は、エレクトロポレーション、超音波処理、ポリエチレングリコール媒介形質転換、
化学的または自然の能力、プロトプラスト形質転換、プロファージ誘発、または接合によ
って達成され得る。活性制限酵素系を有するある特定の実施形態では、核酸を微生物に導
入する前に核酸をメチル化する必要があり得る。
【0115】
さらに、特定の核酸の発現を増加または制御するために、プロモータ等の調節エレメン
トを含むように核酸を設計してもよい。プロモータは、構成的プロモータまたは誘導性プ
ロモータであり得る。理想的には、プロモータは、Wood-Ljungdahl経路プ
ロモータ、フェレドキシンプロモータ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼ
プロモータ、Rnf複合オペロンプロモータ、ATPシンターゼオペロンプロモータ、ま
たはホスホトランスアセチラーゼ/アセテートキナーゼオペロンプロモータである。
【0116】
「基質」は、本発明の微生物のための炭素源および/またはエネルギー源を指す。多く
の場合、基質は、ガス状であり、C1炭素源、例えば、CO、CO、および/またはC
を含む。好ましくは、基質は、COまたはCO+COのC1炭素源を含む。基質は
、H、N、または電子等の他の非炭素成分をさらに含み得る。しかしながら、他の実
施形態では、基質は、糖、デンプン、繊維、リグニン、セルロース、またはヘミセルロー
スまたはそれらの組み合わせなどの炭水化物であってもよい。例えば、炭水化物は、フル
クトース、ガラクトース、グルコース、ラクトース、マルトース、スクロース、キシロー
ス、またはそれらのいくつかの組み合わせであり得る。一部の実施形態では、基質は(D
)-キシロースを含まない(Alkim,Microb Cell Fact,14:1
27,2015)。いくつかの実施形態では、基質はキシロースなどのペントースを含ま
ない(Pereira,Metab Eng,34:80-87,2016)。いくつか
の実施形態では、基質は、ガス状基質および炭水化物基質の両方を含み得る(混合栄養発
酵)。
【0117】
ガス状基質は、概して、約1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、
80、90、または100mol%のCOなどの少なくともいくらかの量のCOを含む。
ガス状基質は、約20~80、30~70、または40~60mol%のCOなど、ある
範囲のCOを含み得る。好ましくは、ガス状基質は、約40~70mol%のCO(例え
ば、製鋼または高炉ガス)、約20~30mol%のCO(例えば、塩基性酸素転炉ガス
)、または約15~45mol%のCO(例えば、合成ガス)を含む。いくつかの実施形
態では、ガス状基質は、約1~10または1~20mol%のCOなどの比較的低量のC
Oを含み得る。本発明の微生物は、典型的には、ガス状基質中のCOの少なくとも一部分
を生成物に変換する。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、COを含まないか、また
は実質的に含まない(1mol%未満)。
【0118】
ガス状基質は、いくらかの量のHを含み得る。例えば、ガス状基質は、約1、2、5
、10、15、20、または30mol%のHを含み得る。いくつかの実施形態では、
ガス状基質は、約60、70、80、または90mol%のHなど、比較的多量のH
を含み得る。さらなる実施形態では、ガス状基質は、Hを含まないか、または実質的に
含まない(1mol%未満)。
【0119】
ガス状基質は、いくらかの量のCOを含み得る。例えば、ガス状基質は、約1~80
または1~30mol%のCOを含み得る。いくつかの実施形態において、ガス状基質
は、約20、15、10、または5mol%未満のCOを含み得る。別の実施形態にお
いて、ガス状基質は、COを含まないか、または実質的に含まない(1mol%未満)
【0120】
ガス状基質は、代替形態で提供することもできる。例えば、ガス状基質は、液体に溶解
され得るか、または固体支持体上に吸着され得る。
【0121】
ガス状基質および/またはC1炭素源は、自動車の排出ガスまたはバイオマスガス化か
らなど、産業プロセスの副産物として、または何らかの他の源から得られる、廃ガスまた
はオフガスであってもよい。ある特定の実施形態では、産業過程は、製鋼所製造等の鉄金
属生成物製造、非鉄金属生成物製造、石油精製、石炭ガス化、電力生成、カーボンブラッ
ク生成、アンモニア生成、メタノール生成、およびコークス製造からなる群から選択され
る。これらの実施形態では、ガス状基質および/またはC1炭素源は、任意の従来の方法
を使用して、それが大気中に放出される前に産業プロセスから捕捉されてもよい。
【0122】
ガス状基質および/またはC1炭素源は、石炭もしくは精錬残渣のガス化、バイオマス
もしくはリグノセルロース物質のガス化、または天然ガスの改質によって得られる合成ガ
スなどの、合成ガスであってもよい。別の実施形態では、合成ガスは、都市固形廃棄物ま
たは産業固形廃棄物のガス化から得られてもよい。
【0123】
ガス状基質の組成は、反応の効率および/または費用に著しい影響を及ぼし得る。例え
ば、酸素(O)の存在は、嫌気性発酵過程の効率を低減し得る。基質の組成に応じて、
基質を処理、スクラブ、または濾過して、毒素、望ましくない成分、またはちり粒子等の
いかなる望ましくない不純物も除去すること、および/または所望の成分の濃度を増加さ
せることが望ましくあり得る。
【0124】
特定の実施形態において、発酵は、糖、デンプン、繊維、リグニン、セルロース、また
はヘミセルロースなどの炭水化物基質の不在下で実施される。
【0125】
いくつかの実施形態において、以下に示すように、COおよびHからエチレングリコ
ール(MEG)への全体的なエネルギー論は、グルコースからエチレングリコールへのエ
ネルギー論よりも好ましく、COおよびHの、より負のギブス自由エネルギー、ΔrG
´m値は、エチレングリコールへのより大きな推進力を示している。基質としてのグルコ
ースとCOの比較のための全体的な反応デルタGの計算を、生物学的システムにおける経
路または経路の個々のステップの全体的な実現可能性を評価するための標準的な方法であ
る、equilibrator(http://equilibrator.weizm
ann.ac.il/)を使用して実行した(Flamholz,E.Noor,A.B
ar-Even,R.Milo(2012)eQuilibrator-the bio
chemical thermodynamics calculator Nucle
ic Acids Res 40:D770-5;Noor,A.Bar-Even,A
.Flamholz,Y.Lubling,D.Davidi,R.Milo(2012
)An integrated open framework for thermo
dynamics of reactions that combines accu
racy and coverageBioinformatics 28:2037-
2044;Noor,H.S.Haraldsdottir,R.Milo,R.M.T
.Fleming(2013)Consistent Estimation of G
ibbs Energy Using Component Contribution
s PLoS Comput Biol 9(7):e1003098;Noor,A.
Bar-Even,A.Flamholz,E.Reznik,W.Liebermei
ster,R.Milo(2014)Pathway Thermodynamics
Highlights Kinetic Obstacles in Central
Metabolism PLoS Comput Biol 10(2):e10034
83)。計算は次のとおりである。
【0126】
グルコース(aq)+3NADH(aq)
3MEG(aq)+3NAD(aq)ΔrG´m-104kJ/mol
【0127】
6CO(aq)+3H(aq)+6NADH(aq)
3MEG(aq)+6NAD(aq)ΔrG´m-192kJ/mol
【0128】
生理学的状態:
【0129】
グルコース(aq)+3NADH(aq)
3MEG(aq)+3NAD(aq)ΔrG´m-70kJ/mol
【0130】
6CO(aq)+3H(aq)+6NADH(aq)
3MEG(aq)+6NAD(aq)ΔrG´m-295kJ/mol
【0131】
エチレングリコール、グリオキシル酸、および/またはグリコール酸に加えて、本発明
の微生物は、1つ以上の副産物を生成するために培養されてもよい。例えば、本発明の微
生物は、エタノール(WO2007/117157)、アセテート(WO2007/11
7157)、ブタノール(WO2008/115080およびWO2012/05390
5)、ブチレート(WO2008/115080)、2,3-ブタンジオール(WO20
09/151342およびWO2016/094334)、ラクテート(WO2011/
112103)、ブテン(WO2012/024522)、ブタジエン(WO2012/
024522)、メチルエチルケトン(2-ブタノン)(WO2012/024522お
よびWO2013/185123)、エチレン(WO2012/026833)、アセト
ン(WO2012/115527)、イソプロパノール(WO2012/115527)
、脂質(WO2013/036147)、3-ヒドロキシプロピオネート(3-HP)(
WO2013/180581)、イソプレン(WO2013/180584)、脂肪酸(
WO2013/191567)、2-ブタノール(WO2013/185123)、1,
2-プロパンジオール(WO2014/036152)、1-プロパノール(WO201
4/0369152)、コリスメート由来生成物(WO2016/191625)、3-
ヒドロキシブチレート(WO2017/066498)、および1,3-ブタンジオール
(WO2017/0066498)を生成することができるか、または生成するように操
作することができる。いくつかの実施形態では、本発明の微生物は、エチレングリコール
に加えて、エタノール、2,3-ブタンジオール、および/またはコハク酸も生成する。
特定の実施形態において、微生物バイオマス自体が生成物と見なされ得る。
【0132】
「天然生成物」は、遺伝子組換えされていない微生物によって生成される生成物である
。例えば、エタノール、アセテート、および2,3-ブタンジオールは、クロストリジウ
ムオートエタノゲヌム(Clostridium autoethanogenum)、
クロストリジウムユングダーリー(Clostridium ljungdahlii)
、およびクロストリジウムラグスダレイ(Clostridium ragsdalei
)の天然生成物である。「非天然生成物」は、遺伝子組換えされた微生物によって生成さ
れるが、遺伝子組換えされた微生物が由来する遺伝子組換えされていない微生物によって
生成されない生成物である。エチレングリコールは、自然界に存在する微生物によって生
成されることは知られていないため、すべての微生物の非天然生成物である。
【0133】
「選択性」は、微生物によって生成される全発酵生成物の生成に対する標的生成物の生
成の比率を指す。本発明の微生物は、特定の選択性で、または最小の選択性で生成物を生
成するように操作され得る。一実施形態では、標的生成物は、本発明の微生物によって生
成される全発酵生成物の少なくとも約5%、10%、15%、20%、30%、50%、
または75%を占める。一実施形態では、本発明の微生物によって生成される全発酵生成
物の少なくとも10%を占め、その結果エチレングリコールは、本発明の微生物が少なく
とも10%のエチレングリコールに対する選択性を有する。一実施形態では、本発明の微
生物によって生成される全発酵生成物の少なくとも30%を占め、その結果エチレングリ
コールは、本発明の微生物が少なくとも30%のエチレングリコールに対する選択性を有
する。
【0134】
典型的には、培養は、バイオリアクタ中で実行される。「バイオリアクタ」という用語
は、連続撹拌槽反応器(CSTR)、固定化細胞反応器(ICR)、トリクルベッド反応
器(TBR)、気泡塔、ガスリフト発酵槽、静的ミキサ、またはガス-液体接触に好適な
他の容器もしくは他のデバイス等の1つ以上の容器、塔、または配管からなる培養/発酵
デバイスを含む。いくつかの実施形態では、バイオリアクタは、第1の増殖反応器および
第2の培養/発酵反応器を含み得る。基質は、これらの反応器のうちの1つまたは両方に
提供され得る。本明細書で使用する場合、「培養」および「発酵」という用語は、同じ意
味で使用される。これらの用語は、培養/発酵過程の増殖期および生成物生合成期の両方
を包含する。
【0135】
培養物は概して、微生物の増殖を可能にするのに十分な栄養素、ビタミン、および/ま
たは無機物を含有する水性培地中で維持される。好ましくは、水性培地は、最小嫌気性微
生物増殖培地などの嫌気性微生物培地である。好適な培地は、当該技術分野において周知
である。
【0136】
培養/発酵は、望ましくは、エチレングリコールの生成のために適切な条件下で実施さ
れるべきである。必要に応じて、培養/発酵は、嫌気性条件下で実施される。考慮する反
応条件は、圧力(または分圧)、温度、ガス流量、液体流量、培地pH、培地酸化還元電
位、撹拌速度(連続撹拌槽反応器を使用する場合)、接種レベル、液相中のガスが制限さ
れないことを確実にするための最大ガス基質濃度、および生成物阻害を回避するための最
大生成物濃度を含む。特に、基質の導入速度は、液相中のガスの濃度が制限的にならない
ことを確実にするように制御されてもよい。
【0137】
上昇した圧力でバイオリアクタを操作することにより、気相から液相へのガス物質移動
の速度を速めることができる。したがって、概して、大気圧よりも高い圧力で培養/発酵
を実施することが好ましい。また、所与のガス変換速度が部分的に基質保持時間の関数で
あり、かつ保持時間がバイオリアクタの必要な容積を示すため、加圧システムの使用は、
必要なバイオリアクタの容積、およびその結果として培養/発酵装置の資本コストを大幅
に削減することができる。これはさらに、バイオリアクタ中の液体体積を入力ガス流量で
除算したものとして定義される保持時間が、バイオリアクタが大気圧よりも上昇した圧力
に維持されるときに減少され得ることを意味する。最適反応条件は、使用される特定の微
生物に部分的に依存する。しかしながら、一般的には、大気圧より高い圧力で発酵を行う
ことが好ましい。また、所与のガス変換速度が部分的に基質保持時間の関数であり、かつ
所望の保持時間を達成することがバイオリアクタの必要な体積をさらに示すため、加圧シ
ステムの使用は、必要なバイオリアクタの体積、およびその結果として発酵装置の資本コ
ストを大幅に低減することができる。
【0138】
特定の実施形態において、発酵は、光の不在下で、または光合成微生物のエネルギー要
求を満たすには不十分な量の光の存在下で行われる。特定の実施形態において、本発明の
微生物は、非光合成微生物である。
【0139】
本発明の方法は、発酵ブロスからエチレングリコールを分離することをさらに含み得る
。エチレングリコールは、例えば、蒸留、模擬移動床プロセス、膜処理、蒸発、パーベー
パレーション、ガスストリッピング、相分離、イオン交換、または、例えば液-液抽出を
含む抽出発酵を含む、当技術分野で既知の任意の方法または方法の組み合わせを使用して
、発酵ブロスから分離または精製することができる。一実施形態では、エチレングリコー
ルは、逆浸透および/またはパーベーパレーションを使用して発酵ブロスから濃縮するこ
とができる(US5,552,023)。蒸留により水を除去し、次いで、(高比率のエ
チレングリコールを含有する)底部を、蒸留または真空蒸留を使用して回収して、高純度
エチレングリコール流を生成することができる。あるいは、逆浸透および/またはパーベ
ーパレーションによる濃縮の有無にかかわらず、エチレングリコールは、アルデヒドとの
反応蒸留(Atul,Chem Eng Sci,59:2881-2890,2004
)または炭化水素を使用する共沸蒸留(US2,218,234)によってさらに精製で
きる。別のアプローチでは、エチレングリコールを水溶液から活性炭またはポリマー吸収
剤に補足させ(逆浸透および/またはパーベーパレーションありまたはなしで)、低沸点
有機溶媒を使用して回収できる(Chinn,Recovery of Glycols
,Sugars,and Related Multiple-OH Compound
s from Dilute-Aqueous Solution by Regene
rable Adsorption onto Activated Carbons,
University of California Berkeley,1999)。
次に、エチレングリコールを蒸留により有機溶媒から回収することができる。特定の実施
形態では、エチレングリコールは、発酵ブロスの一部分をバイオリアクタから連続除去し
、微生物細胞をブロスから分離し(濾過により簡便に)、かつエチレングリコールをブロ
スから回収することによって、発酵ブロスから回収される。アルコールや酸などの副産物
も、ブロスから分離または精製することができる。アルコールは、例えば、蒸留によって
回収され得る。酸は、例えば、活性炭上での吸着によって回収され得る。特定の実施形態
では、分離された微生物細胞をバイオリアクタに戻すことができる。標的生成物が取り出
された後に残っている無細胞透過液も、好ましくは、全体または部分的にバイオリアクタ
に戻される。追加の栄養素(ビタミンBなど)が、無細胞透過液に添加されて、培地を補
充した後に、バイオリアクタに戻され得る。
【0140】
水性媒体からのジオールの回収は、いくつかの方法で実証されている。疑似移動床(S
MB)技術は、エタノールと関連する含酸素化合物の水性混合物から2,3-ブタエンジ
オールを回収するために使用されている(米国特許第8,658.845号)。反応性分
離は、効果的なジオール回収のためにも実証されている。いくつかの実施形態では、エチ
レングリコールの回収は、ジオール含有流とアルデヒドとの反応、ジオールの分別および
再生、濃縮されたジオール流を回収するための最終分別によって行われる。例えば、米国
特許第7,951,980号を参照されたい。
【0141】
本発明は、微生物によって、および本明細書に記載の方法に従って生成されたエチレン
グリコールを含む組成物を提供する。例えば、エチレングリコールを含む組成物は、不凍
液、防腐剤、脱水剤、または掘削流体であり得る。
【0142】
本発明はまた、微生物によって、および本明細書に記載される方法に従って生成された
エチレングリコールを含むポリマーを提供する。このようなポリマーは、例えば、ポリエ
チレングリコールなどのホモポリマーまたはポリエチレンテレフタレートなどのコポリマ
ーであり得る。これらのポリマーの合成方法は、当技術分野でよく知られている。例えば
、Herzberger et al.,Chem Rev.,116(4):2170
-2243(2016)およびXiao et al.,Ind Eng Chem R
es.54(22):5862-5869(2015)を参照されたい。
【0143】
本発明はさらに、微生物によって、および本明細書に記載される方法に従って生成され
るエチレングリコールを含むポリマーを含む組成物を提供する。例えば、組成物は、繊維
、樹脂、フィルム、またはプラスチックであり得る。
【実施例0144】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、当然のことながら、いかなる方法によっ
てもその範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0145】
実施例1:C.autoethanogenumにおけるCOおよび/またはCO
からのエチレングリコールの生成のための、B.subtilisクエン酸シンター
ゼ、E.coliイソクエン酸リアーゼ、およびG.oxydansグリコールアルデヒ
ドデヒドロゲナーゼを含む異種発現ベクターの構築
【0146】
B.subtilis由来のクエン酸シンターゼ(citZ;配列番号1~2)、E.
coli由来のイソクエン酸リアーゼ(icl;配列番号11~12)、およびG.ox
ydans由来のグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ(aldA1;配列番号55~
56)をコードする遺伝子は、C.autoethanogenumでの発現のためにコ
ドンに適合され(codon-adapted)、合成された。適応遺伝子は、標準のB
saIゴールデンゲートクローニングキット(New England Biolabs
,Ipswich,MA)を使用して、発現シャトルベクターpIPL12にクローニン
グされた。pIPL12は、E.coliとC.autoethanogenumの両方
の複製起点を含み、複製して両方の種で維持できるようにし、また pIPL12は、ほ
とんどのClostridiaでも機能する。pIPL12はさらに、ポジティブ選択の
ためにエリスロマイシン/クラリスロマイシン耐性を付与する23S rRNA(アデニ
ン(2058)-N(6))-メチルトランスフェラーゼErm(B)、大腸菌からの接
合伝達のためのTraJ、異種遺伝子の発現のためのプロモータを含む。図2Aを参照さ
れたい。citZ、icl、およびaldA1をpIPL12にクローニングしたときに
作成された発現ベクターを、本明細書ではpMEG042と呼ぶ(図2B)。
【0147】
【表2】
【0148】
pMEG042構築物は、接合によりC.autoethanogenumに形質転換
された。発現ベクターは、標準的な熱ショック形質転換を使用して、接合体ドナー株であ
るE.coliHB101+R702(CA434)(Williams et al.
1990)(ドナー)に最初に導入された。ドナー細胞を37℃で1時間SOC培地で回
収した後、100μg/mLのスペクチノマイシンおよび500μg/mLのエリスロマ
イシンを含むLB培地プレートにプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。
翌日、100μg/mLのスペクチノマイシンと500μg/mLのエリスロマイシンを
含む5mLのLBアリコートにいくつかのドナーコロニーを接種し、37℃で約4時間、
または培養液が目に見えて密度が高くなるまで、まだ静止期に入っていない状態で培養し
た。1.5mLのドナー培養物を4000rpmおよび20~25℃で2分間の遠心分離
によって収集し、上清を廃棄した。ドナー細胞を500μLの滅菌PBS緩衝液に穏やか
に再懸濁し、4000rpmで2分間遠心分離し、PBS上清を廃棄した。
【0149】
ペレットを嫌気性チャンバーに導入し、C.autoethanogenum培養(レ
シピエント)の指数関数期の後期に200μLで穏やかに再懸濁した。C.autoet
hanogenum DSM10061およびDSM23693(DSM10061の派
生物)は、DSMZ(The German Collection of Micro
organisms and Cell Cultures,Inhoffenstra
βe 7B,38124 Braunschweig,Germany)から取得した。
菌株は、標準的な嫌気性技術(Hungate 1969;Wolfe 1971)を使
用して、pH5.6でPETC培地(米国特許第9,738,875号を参照)中、37
℃で増殖させた。
【0150】
接合混合物(ドナー細胞とレシピエント細胞の混合物)をPETC-MES+フルクト
ース寒天プレートにスポットし、放置して乾燥させた。スポットが、もはや目に見えて濡
れなくなったときに、プレートを、圧力ジャーに導入し、合成ガス(50%CO、10%
、30%CO、10%H)で25~30psiに加圧し、37℃で約24時間イ
ンキュベートした。次に、10μLの白金耳を使用して穏やかに掻き取ることにより、接
合混合物をプレートから取り出した。取り出した混合物を200~300μLのPETC
培地に懸濁した。接合混合物の100μLアリコートを、5μg/mLのクラリスロマイ
シンを補充したPETC培地寒天プレートにプレーティングし、プラスミドを担持する形
質転換体を選択した。
【0151】
pMEG042プラスミドを担持するC.autoethanogenumの3つの異
なるコロニーを5μg/mLのクラリスロマイシンを含む2mLのPETC-MES培地
に接種し、50%CO、10%N、30%CO、10%Hとともにおよび100r
pmのオービタル振とうを用いて3日間、37℃で独立栄養的に増殖させた。培養物を、
血清ボトル内で5μg/mLのクラリスロマイシンを含む10mLのPETC-MES培
地でOD600が0.05になるように希釈し、50%CO、10%N、30%CO
、10%Hおよび100rpmのオービタル振とうを用いて37℃で独立栄養的に最大
20日間増殖させ、毎日サンプリングしてバイオマスと代謝産物を測定した(図3Aおよ
び3B)。エチレングリコールの生成を、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS
)を使用して測定し、他の代謝産物を、下記のように高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)を使用して測定した。
【0152】
エチレングリコール濃度は、Agilent VF-WAXmsカラム(15m×0.
25μm×0.25μm)およびRSHオートサンプラーを装備したThermo Sc
ientific ISQ LT GCMSで測定した。200μLのブロスを200μ
Lのメタノールで希釈して試料を調製した。試料をボルテックスした後、14,000r
pmで3分間遠心分離し、200μLの上澄みをインサート付きガラスバイアルに移した
。1.0μLの注入、5対1のスプリット比、240℃の注入口温度を使用して、試料を
分析のためにオートサンプラーに移した。クロマトグラフィーは、80℃、0.5分保持
、10℃/分で150℃まで昇温、25℃/分で220℃まで昇温、3分最終保持のオー
ブンプログラムを使用して、実行した。カラムの流量は4.0mL/分で、0.5分間保
持した後、キャリアガスとしてヘリウムを使用して、100ml/分/分の速度で1.5
ml/分に低下させた。MSイオン源は、トランスファーラインを240℃に設定して2
60℃に維持した。定量は、33.0m/zを定量ピークとして、31.0+62.0m
/zを確認ピークとして使用して、線形外部標準キャリブレーションを使用して行った。
【0153】
エタノール、アセテート、2,3-ブタンジオール、グリオキシル酸、およびグリコー
ル酸の濃度は、屈折率(RI)検出を備えたAgilent 1260 Infinit
y LCのHPLCにより35℃で測定した。試料は、80℃で5分間加熱した後、14
,000rpmで3分間遠心分離して調製し、上清を分析のためにガラスバイアルに移し
た。分離は、Phenomenex Rezex(商標)ROA-有機酸H+(8%)カ
ラム(300mm×7.8mm×8μm)への10μL注入で、0.7mL/分および3
5℃で、アイソクラティック条件下、5mM硫酸移動相を使用して行われた。
【0154】
独立栄養増殖の約3日後、エチレングリコール前駆体のグリコール酸が観察され、10
日後、エチレングリコールの生成が観察された(図3B)。
【0155】
実施例2:C.autoethanogenumにおけるCOおよび/またはCO
よびHからのエチレングリコールの生成のためのS.thiotauriniアラニン
-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼおよびP.fluorescensアルデヒ
ドデヒドロゲナーゼを含む異種発現ベクターの構築。
【0156】
S.thiotaurini由来のアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラー
ゼ(pucG;配列番号15~16)およびP.fluorescens Q8r1-9
6由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(aldA1;配列番号57~58)をコードする
遺伝子は、C.autoethanogenumでの発現のためコドンに適合され、合成
された。コドンに適合した遺伝子をpIPL12(図2A)にクローニングし、得られた
発現ベクター、pMEG058を、実施例1に記載されているように、C.autoet
hanogenumに導入した。図2Cを参照されたい。
【0157】
【表3】
【0158】
実施例1に記載されるように、pMEG058プラスミドを担持するC.autoet
hanogenumの2つの異なるコロニーを、5μg/mLのクラリスロマイシンを含
む2mLのPETC-MES培地に接種し、独立栄養的に増殖させた。図4Aを参照され
たい。独立栄養増殖の約3日後、グリコール酸が観察され、8日後、エチレングリコール
の生成が観察された(図4B)。
【0159】
実施例3:C.autoethanogenumにおけるCOおよび/またはCO
よびHからのエチレングリコールの生成のための、S.thiotauriniアラニ
ン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼおよびG.oxydansグリコールアル
デヒドデヒドロゲナーゼを含む異種発現ベクターの構築
【0160】
S.thiotaurini由来のアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラー
ゼ(pucG;配列番号15~16)およびG.oxydans由来のグリコールアルデ
ヒドデヒドロゲナーゼ(aldA1;配列番号55~56)をコードする遺伝子は、C.
autoethanogenumでの発現のためにコドンに適合され、合成された。コド
ンに適合した遺伝子をpIPL12(図2A)にクローニングし、得られた発現ベクター
、pMEG059を、実施例1に記載されているように、C.autoethanoge
numに導入した。図2Dを参照されたい。
【0161】
【表4】
【0162】
実施例1に記載されるように、pMEG059プラスミドを担持するC.autoet
hanogenumの2つの異なるコロニーを、5μg/mLのクラリスロマイシンを含
む2mLのPETC-MES培地に接種し、独立栄養的に増殖させた。図5Aを参照され
たい。独立栄養増殖の約3日後、グリコール酸が観察され、10日後、エチレングリコー
ルの生成が観察された(図5B)。
【0163】
実施例4:C.autoethanogenumにおけるCOおよび/またはCO
よびHからのエチレングリコールの生成のためのアラニン-グリオキシル酸アミノトラ
ンスフェラーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼを含む異種発現ベクターの構築。
【0164】
C.acidurici由来のクラスVアミノトランスフェラーゼ(SgA;配列番号
19、20)およびP.fluorescens Q8r1-96由来のアルデヒドデヒ
ドロゲナーゼ(aldA1;配列番号57~58)をコードする遺伝子は、C.auto
ethanogenumでの発現のためコドンに適合され、合成された。コドンに適合し
た遺伝子をpIPL12(図2A)にクローニングし、得られた発現ベクター、pMEG
061を、実施例1に記載されているように、C.autoethanogenumに導
入した。図2Eを参照されたい。
【0165】
【表5】
【0166】
実施例1に記載されるように、pMEG061プラスミドを担持するC.autoet
hanogenumの3つの異なるコロニーを、5μg/mLのクラリスロマイシンを含
む2mLのPETC-MES培地に接種し、独立栄養的に増殖させた。図6Aを参照され
たい。独立栄養増殖の約3日後、グリコール酸が観察され、16日後、エチレングリコー
ルの生成が観察された(図6B)。
【0167】
実施例5:エチレングリコールへのさまざまなルートの最大収量のモデリング
Marcellin,Green Chem,18:3020-3028,2016に
記載されているようなClostridium autoethanogenumのゲノ
ムスケールの代謝モデルを利用して、エチレングリコールへの異なるルートの最大収量を
予測した。異種代謝反応を野生型Clostridium autoethanogen
umモデル構造に追加して、非天然化合物生成経路の組み込みを示した。本明細書に記載
の実験作業に使用されるモデルは、Clostridium autoethanoge
numに基づくが、代謝の類似性を考慮すると、結果は、他のWood-Ljungda
hl微生物にも当てはまると期待することは当然であり得る。
【0168】
エチレングリコールの生成は、cobrapyバージョン0.8.2(Ebrahim
.,COBRApy:COnstraints-Based Reconstructi
on and Analysis for Python,BMC Syst Biol
,7:74,2013)を使用し、ソルバーインターフェイスとしてoptlangバー
ジョン1.2.3(Jensen,Optlang:An Algebraic Mod
eling Language for Mathematical Optimiza
tion,”The Journal of Open Source Softwar
e,2,doi:10.21105/joss.00139,2017)を、最適化ソル
バーとしてGurobi Optimizerバージョン7.0.2を使用する、制約ベ
ースの計算モデリング技術フラックスバランス分析(FBA)および代謝調整の線形最小
化(LMOMA)を使用してシミュレートされた(Maia,Proceedings
of the Genetic and Evolutionary Computat
ion Conference Companion on-GECCO´17,New
York,New York,ACM Press,1661-1668,2017)
【0169】
モデル化により、実施例1~4で本明細書に記載された経路により、0.37molの
エチレングリコール/molCOの予測収量が明らかになった。これは、糖新生を必要と
し、予測される最高の収量が、約0.18molのエチレングリコール/mol COに
相当する、約0.44gのエチレングリコール/g COであることが見出された、Is
lam et al.Metab Eng,41:173-181,2017によって記
述された仮説的経路による予測収量の2倍以上である。
【0170】
本明細書に列挙される公表文献、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、各参
考文献があたかも参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示され、かつその全
体が本明細書中に記載された場合と同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書における任意の先行技術への言及は、その先行技術が任意の国における努力傾注
分野の共通の一般的知識の一部をなすという承認ではなく、かつそのように解釈されるべ
きではない。
【0171】
本発明の記載との関連で(特に、以下の特許請求の範囲との関連で)、用語「a」およ
び「an」および「the」ならびに同様の指示語の使用は、本明細書に別段の指示がな
い限り、または文脈によって明らかに相反することがない限り、単数および複数の両方を
包含すると解釈されるものとする。用語「含むこと(comprising)」、「有す
ること」、「含むこと(including)」、および「含有すること」は、特に断り
のない限り、非限定的な用語(すなわち、「~を含むがこれらに限定されないこと」を意
味する)と解釈されるものとする。「から本質的になる」という用語は、組成物、プロセ
ス、または方法の範囲を、特定の材料もしくは工程、または組成物、プロセス、もしくは
方法の基本的かつ新規の特性に実質的に影響しないものに限定する。選択詞の使用(例え
ば「または」)は、選択詞の一方、両方、またはこれらの任意の組み合わせを意味すると
理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、別段の指示が
ない限り、指示された範囲、値、または構造の±20%を意味する。
【0172】
本明細書の値の範囲の記述は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲内に入る各個々
の値を個々に言及する省略法としての役割を果たすことを単に意図し、各個々の値は、あ
たかも本明細書に個々に列挙されたかのように、本明細書中に組み込まれる。例えば、任
意の濃度範囲、パーセント範囲、比率範囲、整数範囲、サイズ範囲、または厚さ範囲は、
別段の指示がない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切な場合、その分
数(整数の10分の1、および100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0173】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と
明らかに相反することがない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供さ
れるありとあらゆる例または例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、本発明をより
よく解明することを単に意図し、別段の請求がない限り、本発明の範囲を制限しない。本
明細書におけるいかなる言葉も、本発明の実施に不可欠な任意の非請求要素を示すものと
解釈されるべきではない。
【0174】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載される。それらの好ましい実施形態の変化
形は、上記の説明を読むことによって当業者に明らかとなり得る。本発明者らは、当業者
が必要に応じてそのような変化形を採用することを予想し、本発明者らは、本発明が本明
細書に具体的に記載されるものとは別の方法で実施されることを意図する。したがって、
本発明は、適用法によって許可された通り、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載
される主題の全ての修正物および均等物を含む。さらに、好ましい実施形態の全ての考え
られる変化形における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段の指示がない限
り、または文脈と明らかに相反することがない限り、本発明によって包含される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
【配列表】
2023123701000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-07-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状基質からエチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を生成できる遺伝子操作されたC1固定微生物であって、EC番号1.2.1.21を有するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、EC番号1.2.1.22を有するラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、EC番号1.2.1.24を有するコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、EC番号1.2.1.26を有する2,5-ジオキソ吉草酸デヒドロゲナーゼ、EC番号1.2.1.8を有するベタイン-アルデヒドデヒドロゲナーゼ、またはEC番号1.2.7.5を有するアルデヒドフェレドキシンオキシドレダクターゼから選択される異種酵素をコードする核酸を含む、微生物。
【請求項2】
前記微生物が、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸、オキサロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、およびグリシンからなる群から選択される1つ以上の中間体を介してエチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を生成する、請求項1に記載の微生物。
【請求項3】
前記微生物が、
i)オキサロ酢酸をクエン酸に変換できる異種酵素をコードする核酸
ii)グリシンをグリオキシル酸に変換できる異種酵素をコードする核酸
iii)イソクエン酸をグリオキシル酸に変換できる異種酵素をコードする核酸、および
iv)グリコール酸をグリコールアルデヒドに変換できる異種酵素をコードする核酸、のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の微生物。
【請求項4】
a.オキサロ酢酸をクエン酸に変換できる前記異種酵素が、クエン酸[Si]-シンターゼ[2.3.3.1]、ATPクエン酸シンターゼ[2.3.3.8]またはクエン酸(Re)-シンターゼ[2.3.3.3]であり、
b.グリシンをグリオキシル酸に変換できる前記異種酵素が、アラニン-グリオキシル酸トランスアミナーゼ[2.6.1.44]、セリン-グリオキシル酸トランスアミナーゼ[2.6.1.45]、セリン-ピルビン酸トランスアミナーゼ[2.6.1.51]、グリシン-オキサロ酢酸トランスアミナーゼ[2.6.1.35]、グリシントランスアミナーゼ[2.6.1.4]、グリシンデヒドロゲナーゼ[1.4.1.10]、アラニンデヒドロゲナーゼ[1.4.1.1]、またはグリシンデヒドロゲナーゼ[1.4.2.1]であり、かつ/または
c.イソクエン酸をグリオキシル酸に変換できる前記異種酵素が、イソクエン酸リアーゼ[4.1.3.1]である、請求項3に記載の微生物。
【請求項5】
前記異種酵素のうちの1つ以上が、Bacillus、Clostridium、Escherichia、Gluconobacter、Hyphomicrobium、Lysinibacillus、Paenibacillus、Pseudomonas、Sedimenticola、Sporosarcina、Streptomyces、Thermithiobacillus、Thermotoga、およびZeaからなる群から選択される属に由来する、請求項3に記載の微生物。
【請求項6】
前記異種酵素のうちの1つ以上が、前記微生物における発現のためにコドン最適化されている、請求項3に記載の微生物。
【請求項7】
前記微生物は、EC番号1.2.7.1を有するアセチル-CoAをピルビン酸に変換できる酵素、EC番号6.4.1.1を有するピルビン酸をオキサロ酢酸に変換できる酵素、EC番号1.1.1.37、1.1.1.38、1.1.1.39、1.1.1.40、1.1.1.82、1.1.1.83、1.1.1.84、1.1.1.85、1.1.1.299、または1.1.5.4を有するピルビン酸をリンゴ酸に変換できる酵素、EC番号2.7.1.40または2.7.9.2を有するピルビン酸をホスフェノールピルビン酸に変換できる酵素、EC番号4.1.3.34を有するオキサロ酢酸をシトリル-CoAに変換できる酵素、EC番号2.8.3.10を有するシトリル-CoAをクエン酸に変換できる酵素、EC番号4.2.1.3を有するクエン酸をアコニット酸に、およびアコニット酸をイソクエン酸に変換できる酵素、EC番号4.1.1.49または4.1.1.32を有するホスホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸に変換できる酵素、EC番号4.2.1.11を有するホスホエノールピルビン酸を2-ホスホ-D-グリセリン酸に変換できる酵素、EC番号5.4.2.11/12を有する2-ホスホ-D-グリセリン酸を3-ホスホ-D-グリセリン酸に変換できる酵素、EC番号1.1.1.95を有する3-ホスホ-D-グリセリン酸を3-ホスホノオキシピルビン酸に変換できる酵素、EC番号2.6.1.52を有する3-ホスホノオキシピルビン酸を3-ホスホ-L-セリンに変換できる酵素、EC番号3.1.3.3を有する3-ホスホ-L-セリンをセリンに変換できる酵素、EC番号2.1.2.1を有するセリンをグリシンに変換できる酵素、EC番号1.4.4.2、1.81.4、または2.1.2.10を有する5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸をグリシンに変換できる酵素、EC番号2.6.1.51、2.6.1.45、1.4.1.1、1.4.1.5、1.4.1.7、2.6.1.2、2.6.1.15. 2.6.1.21、または2.6.1.44を有するセリンをヒドロキシピルビン酸に変換できる酵素、EC番号1.1.1.29または1.1.1.81を有するD-グリセリン酸をヒドロキシピルビン酸に変換できる酵素、EC番号2.3.3.9または4.1.3.1を有するリンゴ酸をグリオキシル酸に変換できる酵素、EC番号1.1.1.29、1.1.1.26/79、または1.1.99.14を有するグリオキシル酸をグリコール酸に変換できる酵素、EC番号4.1.1.40または4.1.1.1を有するヒドロキシピルビン酸をグリコールアルデヒドに変換できる酵素、およびEC番号1.1.1.77、1.1.1.1、1.1.1.2、1.1.1.72、1.1.1.8、または1.1.1.21.を有するグリコールアルデヒドをエチレングリコールに変換できる酵素、をコードする核酸のうちの1つ以上をさらに含む、請求項に記載の微生物。
【請求項8】
前記微生物が、
i)前記オキサロ酢酸をクエン酸に変換できる異種酵素、
ii)前記グリシンをグリオキシル酸に変換できる異種酵素および/または
iii)前記グリコール酸をグリコールアルデヒドに変換できる異種酵素、を過剰発現する、請求項に記載の微生物。
【請求項9】
前記微生物が、
i)EC番号6.4.1.1を有する前記ピルビン酸をオキサロ酢酸に変換できる酵素、
ii)EC番号4.2.1.3を有する前記クエン酸をアコニット酸に、およびアコニット酸をイソクエン酸に変換できる酵素、
iii)EC番号4.1.1.49または4.1.1.32を有する前記ホスホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸に変換できる酵素、
iv)EC番号2.1.2.1を有する前記セリンをグリシンに変換できる酵素、
v)EC番号1.4.4.2、1.81.4、または2.1.2.10を有する前記5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸をグリシンに変換できる酵素、
vi)EC番号2.3.3.9を有する前記グリオキシル酸をグリコール酸に変換できる酵素、および/または
vii)EC番号1.1.1.77、1.1.1.1、1.1.1.2、1.1.1.72、1.1.1.8、または1.1.1.21を有する前記グリコールアルデヒドをエチレングリコールに変換できる酵素、を過剰発現する、請求項に記載の微生物。
【請求項10】
前記微生物が、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、グリセリン酸デヒドロゲナーゼ、グリコール酸デヒドロゲナーゼ、グリセリン酸デヒドロゲナーゼ、グリコール酸デヒドロゲナーゼ、アルデヒドフェレドキシンオキシドレダクターゼ、およびアルデヒドデヒドロゲナーゼのうちの1つ以上に破壊的変異を含む、請求項1に記載の微生物。
【請求項11】
前記微生物が、Acetobacterium、Alkalibaculum、Blautia、Butyribacterium、Clostridium、Eubacterium、Moorella、Oxobacter、Sporomusa、およびThermoanaerobacterからなる群から選択される属のメンバーである、請求項1に記載の微生物。
【請求項12】
前記微生物が、Acetobacterium woodii、Alkalibaculum bacchii、Blautia producta、Butyribacterium methylotrophicum、Clostridium aceticum、Clostridium autoethanogenum、Clostridium carboxidivorans、Clostridium coskatii、Clostridium drakei、Clostridium formicoaceticum、Clostridium ljungdahlii、Clostridium magnum、Clostridium ragsdalei、Clostridium scatologenes、Eubacterium limosum、Moorella thermautotrophica、Moorella thermoacetica、Oxobacter pfennigii、Sporomusa ovata、Sporomusa silvacetica、Sporomusa sphaeroides、およびThermoanaerobacter kiuviからなる群から選択される親微生物に由来する、請求項1に記載の微生物。
【請求項13】
前記微生物が、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、およびClostridium ragsdaleiからなる群から選択される親細菌に由来する、請求項12に記載の微生物。
【請求項14】
前記微生物が、天然または異種のWood-Ljungdahl経路を含む、請求項1に記載の微生物。
【請求項15】
前記エチレングリコールの前駆体がグリオキシル酸またはグリコール酸である、請求項1に記載の微生物。
【請求項16】
前記ガス状基質の存在下、栄養培地中で請求項1に記載の微生物を培養し、それによって前記微生物がエチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を生成することを含む、エチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体の生成方法。
【請求項17】
前記ガス状基質が、CO、CO、およびHのうちの1つ以上を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記エチレングリコールの前駆体がグリオキシル酸またはグリコール酸である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記栄養培地からエチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を分離することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記微生物がエタノール、2,3-ブタンジオール、およびコハク酸うちの1つ以上をさらに生成する、請求項16に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0174
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0174】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載される。それらの好ましい実施形態の変化形は、上記の説明を読むことによって当業者に明らかとなり得る。本発明者らは、当業者が必要に応じてそのような変化形を採用することを予想し、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されるものとは別の方法で実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許可された通り、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての修正物および均等物を含む。さらに、好ましい実施形態の全ての考えられる変化形における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈と明らかに相反することがない限り、本発明によって包含される。

本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.ガス状基質からエチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を生成できる遺伝子操作された微生物。
2.前記微生物が、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸、オキサロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、およびグリシンからなる群から選択される1つ以上の中間体を介してエチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を生成する、上記1に記載の微生物。
3.前記微生物が、
a.オキサロ酢酸をクエン酸に変換できる異種酵素、
b.グリシンをグリオキシル酸に変換できる異種酵素、
c.イソクエン酸をグリオキシル酸に変換できる異種酵素、および
d.グリコール酸をグリコアルデヒドに変換できる異種酵素、のうちの1つ以上を含む、上記1に記載の微生物。
4.a.オキサロ酢酸をクエン酸に変換できる前記異種酵素が、クエン酸[Si]-シンターゼ[2.3.3.1]、ATPクエン酸シンターゼ[2.3.3.8]またはクエン酸(Re)-シンターゼ[2.3.3.3]であり、
b.グリシンをグリオキシル酸に変換できる前記異種酵素が、アラニン-グリオキシル酸トランスアミナーゼ[2.6.1.44]、セリン-グリオキシル酸トランスアミナーゼ[2.6.1.45]、セリン-ピルビン酸トランスアミナーゼ[2.6.1.51]、グリシン-オキサロ酢酸トランスアミナーゼ[2.6.1.35]、グリシントランスアミナーゼ[2.6.1.4]、グリシンデヒドロゲナーゼ[1.4.1.10]、アラニンデヒドロゲナーゼ[1.4.1.1]、またはグリシンデヒドロゲナーゼ[1.4.2.1]であり、
c.イソクエン酸をグリオキシル酸に変換できる前記異種酵素が、イソクエン酸リアーゼ[4.1.3.1]であり、かつ/または
d.グリコール酸をグリコールアルデヒドに変換できる前記異種酵素が、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.21]、ラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.22]、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.24]、2,5-ジオキソ吉草酸デヒドロゲナーゼ[1.2.1.26]、アルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.3/4/5]、ベタイン-アルデヒドデヒドロゲナーゼ[1.2.1.8]、またはアルデヒドフェレドキシンオキシドレダクターゼ[1.2.7.5]である、上記3に記載の微生物。
5.前記異種酵素のうちの1つ以上が、Bacillus、Clostridium、Escherichia、Gluconobacter、Hyphomicrobium、Lysinibacillus、Paenibacillus、Pseudomonas、Sedimenticola、Sporosarcina、Streptomyces、Thermithiobacillus、Thermotoga、およびZeaからなる群から選択される属に由来する、上記3に記載の微生物。
6.前記異種酵素のうちの1つ以上が、前記微生物における発現のためにコドン最適化されている、上記3に記載の微生物。
7.前記微生物は、アセチル-CoAをピルビン酸に変換できる酵素、ピルビン酸をオキサロ酢酸に変換できる酵素、ピルビン酸をリンゴ酸に変換できる酵素、ピルビン酸をホスフェノールピルビン酸に変換できる酵素、オキサロ酢酸をシトリル-CoAに変換できる酵素、シトリル-CoAをクエン酸に変換できる酵素、クエン酸をアコニット酸に、およびアコニット酸をイソクエン酸に変換できる酵素、ホスホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸に変換できる酵素、ホスホエノールピルビン酸を2-ホスホ-D-グリセリン酸に変換できる酵素、2-ホスホ-D-グリセリン酸を3-ホスホ-D-グリセリン酸に変換できる酵素、3-ホスホ-D-グリセリン酸を3-ホスホノオキシピルビン酸に変換できる酵素、3-ホスホノオキシピルビン酸を3-ホスホ-L-セリンに変換できる酵素、3-ホスホ-L-セリンをセリンに変換できる酵素、セリンをグリシンに変換できる酵素、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸をグリシンに変換できる酵素、セリンをヒドロキシピルビン酸に変換できる酵素、D-グリセリン酸をヒドロキシピルビン酸に変換できる酵素、リンゴ酸をグリオキシル酸に変換できる酵素、グリオキシル酸をグリコール酸に変換できる酵素、ヒドロキシピルビン酸をグリコアルデヒドに変換できる酵素、およびグリコアルデヒドをエチレングリコールに変換できる酵素、のうちの1つ以上をさらに含む、上記3に記載の微生物。
8.前記微生物が、
a.前記オキサロ酢酸をクエン酸に変換できる異種酵素、
b.前記グリシンをグリオキシル酸に変換できる異種酵素および/または
c.前記グリコール酸をグリコアルデヒドに変換できる異種酵素、を過剰発現する、上記3に記載の微生物。
9.前記微生物が、
a.前記ピルビン酸をオキサロ酢酸に変換できる酵素、
b.前記クエン酸をアコニット酸に、およびアコニット酸をイソクエン酸に変換できる酵素、
c.前記ホスホエノールピルビン酸をオキサロ酢酸に変換できる酵素、
d.前記セリンをグリシンに変換できる酵素、
e.前記5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸をグリシンに変換できる酵素、
f.前記グリオキシル酸をグリコール酸に変換できる酵素、および/または
g.前記グリコアルデヒドをエチレングリコールに変換できる酵素、を過剰発現する、上記7に記載の微生物。
10.前記微生物が、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、グリセリン酸デヒドロゲナーゼ、グリコール酸デヒドロゲナーゼ、グリセリン酸デヒドロゲナーゼ、グリコール酸デヒドロゲナーゼ、アルデヒドフェレドキシンオキシドレダクターゼ、およびアルデヒドデヒドロゲナーゼのうちの1つ以上に破壊的変異を含む、上記1に記載の微生物。
11.前記微生物が、Acetobacterium、Alkalibaculum、Blautia、Butyribacterium、Clostridium、Eubacterium、Moorella、Oxobacter、Sporomusa、およびThermoanaerobacterからなる群から選択される属のメンバーである、上記1に記載の微生物。
12.前記微生物が、Acetobacterium woodii、Alkalibaculum bacchii、Blautia producta、Butyribacterium methylotrophicum、Clostridium aceticum、Clostridium autoethanogenum、Clostridium carboxidivorans、Clostridium coskatii、Clostridium drakei、Clostridium formicoaceticum、Clostridium ljungdahlii、Clostridium magnum、Clostridium ragsdalei、Clostridium scatologenes、Eubacterium limosum、Moorella thermautotrophica、Moorella thermoacetica、Oxobacter pfennigii、Sporomusa ovata、Sporomusa silvacetica、Sporomusa sphaeroides、およびThermoanaerobacter kiuviからなる群から選択される親微生物に由来する、上記1に記載の微生物。
13.前記微生物が、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、およびClostridium ragsdaleiからなる群から選択される親細菌に由来する、上記12に記載の微生物。
14.前記微生物が、天然または異種のWood-Ljungdahl経路を含む、上記1に記載の微生物。
15.前記エチレングリコールの前駆体がグリオキシル酸またはグリコール酸である、上記1に記載の微生物。
16.前記ガス状基質の存在下、栄養培地中で上記1に記載の微生物を培養し、それによって前記微生物がエチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を生成することを含む、エチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体の生成方法。
17.前記ガス状基質が、CO、CO 、およびH のうちの1つ以上を含む、上記16に記載の方法。
18.前記エチレングリコールの前駆体がグリオキシル酸またはグリコール酸である、上記16に記載の方法。
19.前記栄養培地からエチレングリコールまたはエチレングリコールの前駆体を分離することをさらに含む、上記16に記載の方法。
20.前記微生物がエタノール、2,3-ブタンジオール、およびコハク酸うちの1つ以上をさらに生成する、上記16に記載の方法。
【外国語明細書】