(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123721
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】吸入装置
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105738
(22)【出願日】2023-06-28
(62)【分割の表示】P 2021505808の分割
【原出願日】2019-08-02
(31)【優先権主張番号】1812671.4
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】305008042
【氏名又は名称】サンド・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・グレゴリー・エイハーン
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・クレイグ・コッカー
(72)【発明者】
【氏名】ユエン・ハンフリー・クリスティー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・イアン・デイヴィッドソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・アンソニー・ティーベッツ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・クリストファー・エドワード・ムッティ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・テレンス・コリンズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】標準的なブリスターストリップのような従来の薬剤担体と共に使用するのに適している吸入装置を提供する。
【解決手段】吸入器701に関し、蓋箔のような蓋シートによって覆われる粉末薬剤の個々のポケット又はブリスターを収容する薬剤担体が設けられる装置であって、用量を前進/割り出しする割り出しシステムの移動を制御する、共通アクチュエータであるマウスピースカバー710を提供し、及び開封システムである剥離嘴部構成要素790、791の進行が共通アクチュエータが移動している間の割り出しシステムの進行に対して不均衡であるような、用量を開封する開封システム。
【選択図】
図66
【特許請求の範囲】
【請求項1】
割り出しシステムと、開封システムと、前記割り出しシステム及び前記開封システムの共通アクチュエータと、を有する作動機構を備える吸入装置であり、
前記割り出しシステムは薬剤担体を前進させ、
前記薬剤担体は、複数の薬剤ポケット又はブリスターを有するベースと、前記ブリスターを覆う剥離可能な蓋シートと、を備え、
前記開封システムは、前記薬剤担体から前記蓋シートを剥離してブリスターを開封し、
前記共通アクチュエータが、中間位置を介して第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記開封システムの進行が、前記共通アクチュエータが移動している間の前記割り出しシステムの進行に対して不均衡である、吸入装置。
【請求項2】
前記共通アクチュエータの第1の運動範囲を通る移動により、前記割り出しシステムが動作し、
前記共通アクチュエータの第2の運動範囲を通る移動により、前記開封システムが動作し、
前記割り出しシステムが前記開封システムから引き離されて、前記第1の運動範囲が前記第2の運動範囲と同じではない、請求項1に記載の吸入装置。
【請求項3】
前記共通アクチュエータの定められた移動により、前記割り出しシステム及び前記開封システムの両方が動作し、
前記アクチュエータの移動速度に対する前記開封システムの移動速度が、前記アクチュエータの前記定められた移動中に変化する、請求項1に記載の吸入装置。
【請求項4】
前記共通アクチュエータの定められた移動により、
前記割り出しシステムを動作させて薬剤の1用量を前進させ、
ブリスター内の薬剤を露出させることなく前記剥離が生じる第1の動作段階と、前記剥離によってブリスター内の薬剤が露出する第2の動作段階と、を通して前記開封システムが移動して、これにより吸入準備ができた薬剤の用量が提供され、
前記開封システムの前記第2の動作段階が、前記割り出しシステムの前記動作が30%完了するまで遅延する、請求項1に記載の吸入装置。
【請求項5】
前記定められた移動が、前記第1の位置から前記第2の位置への移動を含む、請求項3又は4に記載の吸入装置。
【請求項6】
前記定められた移動が、前記第2の位置から前記第1の位置への移動、及び前記第2の位置に戻る移動を含む、請求項3又は4に記載の吸入装置。
【請求項7】
前記共通アクチュエータの前記第1の位置からの移動により、前記割り出しシステムが前進し、
前記共通アクチュエータの前記中間位置を越える移動のみにより、前記開封システムが作動する、請求項1又は2に記載の吸入装置。
【請求項8】
前記第1の位置と前記中間位置との間の位置から前記第1の位置に戻る前記アクチュエータの反転移動により、前記割り出しシステムの前記前進が反転する、請求項7に記載の吸入装置。
【請求項9】
前記第2の位置と前記第1の位置との間の前記アクチュエータの移動により、前記割り出しシステムが前進する、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項10】
前記共通アクチュエータによって駆動される中央ハブを更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項11】
歯車リンク機構を更に備えて、前記中央ハブから前記割り出しシステムに駆動を伝達する、請求項10に記載の吸入装置。
【請求項12】
カムシステムを更に備えて、前記中央ハブから前記割り出しシステムに駆動を伝達する、請求項10に記載の吸入装置。
【請求項13】
前記作動機構がトリガー構成要素を更に含み、前記トリガー構成要素の移動により前記開封システムが始動する、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項14】
前記共通アクチュエータの前記中間位置を越える移動により、前記トリガー構成要素が移動する、請求項13に記載の吸入装置。
【請求項15】
前記作動機構が、前記開封システムを制御するカムを更に備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項16】
前記作動機構が、薬剤担体から剥離される使用済み蓋シートを受け入れる蓋シート巻き取り構成要素と、
前記共通アクチュエータ及び前記蓋シート巻き取り構成要素の間の駆動系と、を更に備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項17】
前記作動機構が、前記割り出しシステムの前進中に蓋シートに発生する張力を調節する手段を備える、請求項16に記載の吸入装置。
【請求項18】
前記駆動系の共通中心上に設けられる2つの回転構成要素の間にねじりバネが設けられている、請求項16又は17に記載の吸入装置。
【請求項19】
前記割り出しシステムの前進中に、前記使用済み蓋シートの張力によって前記ねじりバネが蓄勢される、請求項18に記載の吸入装置。
【請求項20】
前記割り出しシステムの前進前又は前進中に、前記駆動系が前記蓋シート巻き取り構成要素を移動させて、前記蓋シートの張力を調節する、請求項16~18のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項21】
前記割り出しシステムの前進中に、剥離した蓋シートの少なくとも一部が、薬剤担体の未開封部分の上に折り返される、請求項20に記載の吸入装置。
【請求項22】
薬剤担体からの蓋シートの分離を調節する剥離嘴部構成要素を更に含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項23】
前記剥離嘴部構成要素が、前記割り出しシステムの前進中又は前進前に移動可能である、請求項22に記載の吸入装置。
【請求項24】
前記剥離嘴部構成要素が、薬剤担体の経路と実質的に一致する経路、又は前記薬剤担体の経路からオフセットされた経路をたどる、請求項23に記載の吸入装置。
【請求項25】
前記剥離嘴部構成要素が、前記割り出しシステムの構成要素に選択的に係合する、請求項23又は24に記載の吸入装置。
【請求項26】
前記剥離嘴部構成要素が、前記割り出しシステムの前記構成要素に選択的に係合する爪又はラチェットを備える、請求項25に記載の吸入装置。
【請求項27】
前記割り出しシステムが、第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体を割り出しする手段を備え、
前記第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体の各々が、複数の薬剤ポケット又はブリスターを有するベースと、前記ブリスターを覆う剥離可能な蓋シートと、を備える、請求項1~26のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項28】
前記開封システムが、前記第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体の各々から前記蓋シートを剥離するように構成され、
前記共通アクチュエータの前記第1の位置からの移動により、前記割り出しシステムが動作して前記第1の薬剤担体を前進させ、
前記共通アクチュエータの前記中間位置を越える移動のみにより、前記開封システムが作動して前記第2の薬剤担体のブリスターから前記蓋シートを剥離する、請求項27に記載の吸入装置。
【請求項29】
前記割り出しシステムが、前記第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体を割り出しする、別個の第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置を備える、請求項27又は28に記載の吸入装置。
【請求項30】
前記割り出しシステムが、前記第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置を前進させて、前記第1の割り出し装置の進行が前記第2の割り出し装置の進行に対して不均衡である、請求項29に記載の吸入装置。
【請求項31】
第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体を前進させる第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置を備える割り出しシステムと、
前記第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置の共通アクチュエータと、
を有する作動機構を備え、
前記共通アクチュエータが、中間位置を介して第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記第1の割り出し装置の進行が、前記第2の割り出し装置の進行に対して不均衡である、吸入装置。
【請求項32】
前記第1の割り出し装置及び前記第2の割り出し装置が、前記共通アクチュエータの移動中に同時に前進しない、請求項29~31のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項33】
前記共通アクチュエータの第1の運動範囲を通る移動により、前記第1の割り出し装置が動作し、
前記共通アクチュエータの第2の運動範囲を通る移動により、前記第2の割り出し装置が動作し、
前記第1の割り出し装置が前記第2の割り出し装置から引き離されて、前記第1の運動範囲が前記第2の運動範囲と同じでない、請求項29~32のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項34】
前記共通アクチュエータが前記第2の位置から前記第1の位置に移動するときに、前記割り出しシステムが前記第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置のうちの1つを前進させる、請求項29~33のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項35】
前記第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置の少なくとも一方が、割り出し車輪を備える、請求項29~34のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項36】
前記割り出しシステムが、単一の割り出し装置を備える、請求項27又は28に記載の吸入装置。
【請求項37】
前記割り出し装置が、割り出し車輪を備える、請求項36に記載の吸入装置。
【請求項38】
開封システムが、前記第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体の各々の上のブリスターを同時に剥離して開封するように構成される、請求項27~37のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項39】
前記共通アクチュエータの前記中間位置が、前記共通アクチュエータの前記第1の位置よりも前記共通アクチュエータの前記第2の位置に近い、請求項1~38のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項40】
前記共通アクチュエータの前記中間位置が、前記共通アクチュエータの前記第2の位置に近接する、請求項39に記載の吸入装置。
【請求項41】
前記割り出しシステムが、間欠駆動面及び/又は係止面を有する1つ以上の歯車を備える、請求項1~40のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項42】
前記割り出しシステムが、前記割り出しシステムの1つ以上の構成要素の移動を選択的に防止する係止手段を備える、請求項1~41のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項43】
前記係止手段が、係止面を有する1つ以上の歯車を備える、請求項42に記載の吸入装置。
【請求項44】
前記係止手段が1つ以上の爪を備える、請求項42又は43に記載の吸入装置。
【請求項45】
前記共通アクチュエータがマウスピースカバーを備える、請求項1~44のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項46】
前記第1の位置が、前記マウスピースカバーの全閉位置である、請求項45に記載の吸入装置。
【請求項47】
前記第2の位置が、前記マウスピースカバーの全開位置である、請求項45又は46に記載の吸入装置。
【請求項48】
可動空気路構成要素を更に備える、請求項1~47のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項49】
前記可動空気路構成要素が、一体可動空気路を備える、請求項48に記載の吸入装置。
【請求項50】
前記吸入装置が、静止空気路構成要素及び前記可動空気路構成要素を備える分割空気路を備える、請求項48に記載の吸入装置。
【請求項51】
前記可動空気路構成要素が、薬剤担体からの蓋シートの分離を調節する剥離嘴部構成要素を提供する、請求項48~50のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項52】
前記可動空気路構成要素が、薬剤担体の経路と実質的に一致しない経路、又は前記薬剤担体の経路から単にオフセットされた経路をたどる、請求項48~51のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項53】
前記可動空気路構成要素が、実質的に直線の経路をたどる、請求項48~52のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項54】
前記開封システムが、前記薬剤担体から前記蓋シートを剥離して、ブリスターを完全に
開封する、請求項1~30のいずれか一項に記載の吸入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸入装置に関し、特に、蓋箔のような蓋シートで覆われる粉末薬剤の、個々のポケット又はブリスターを収容する薬剤担体が設けられる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入装置を使用して空気路にエアロゾル形態の薬を送達することは、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような疾患を治療するための既知の有効な方法である。エアロゾルは、液体又は粉末の形態があり得る。
【0003】
乾燥粉末装置は、しばしば患者の吸入空気流を用いて、乾燥粉末薬をエアロゾル化して送達する。この1つの利点は、使用者が例えばキャニスタを押し下げたり、ボタンを押して推進剤を放出したりするような、別の作用と吸気を調整する必要がないことである。
【0004】
様々な異なる種類の乾燥粉末吸入器が知られている。
【0005】
第1の装置群は、粉末薬を貯蔵容器内に保持し、送達前に用量を計量する。これらの装置は用量計量の精度が悪いことが多く、バルク粉末を湿気から保護することが困難であり得る。
【0006】
また、事前計量乾燥粉末装置も知られており、これは製造工程の一部として正確な用量計量が行われ、各用量が独立して湿気から保護される。
【0007】
事前計量装置で使用される個々の用量は、典型的にはゼラチンカプセル又は箔ブリスターのいずれかに保持される。カプセルベースの吸入装置は単純かつ低コストであり得るが、典型的には各使用の前に患者が吸入器にカプセルを装填する必要がある。また、カプセルも環境保護には特に効果的ではない。これは一般に二次的な箔ベースの包装を使用する必要があり、使用順序におけるステップの数及び厄介さを増加させる。
【0008】
ブリスター装置は、ブリスター装置の構造にアルミニウム箔を使用することで、環境保護により良い傾向がある。ブリスターパックは、数回分、理想的には1ヶ月間十分に使用できる回数分の用量を収容し得るため、利用者にとってもより便利であり得る。
【0009】
現在の喘息又はCOPD治療薬のほとんどは1日に1~2回使用されているため、吸入器には30回又は60回分の用量が収容できるようにすべきである。これらの用量を都合のよい大きさの装置に包装することを可能にするために、ブリスターをディスク形態又は細長いストリップ形態で構成することができる。吸入を行う前に個々のブリスターを開封する必要があり、患者が粉末薬を吸入するとき、粉末薬は患者の吸気気流に巻き込まれて装置から患者の肺に運び出される。各吸入前後又は吸入間に、あるブリスターによってパックを割り出し、先に空になったブリスターを未使用のブリスターと交換しなければならない。
【0010】
ブリスターを開封して割り出しを行う様々な手段が先行技術から知られている。
【0011】
特許文献1には、ディスク形態のブリスターパックを使用する吸入装置が開示されている。用量は円形パターンで配置され、各ディスクは8つのブリスターを収容する。プランジャを使用して各ブリスターを穿孔し、ブリスター内の薬を吸入することを可能にする。別個の割り出し機構がディスクを回転させて、未使用のブリスターを所定の位置に移動させる。
【0012】
機械的には単純であるが、この装置の課題は、装置の大きさを小さくして動作を簡単にするために、投与回数が8回に制限されることである。ディスクベースの装置が30又は60回分の用量を収容し、なお許容可能な大きさであるように構成するには、ポケット形状の変更が必要であり、又は複数のディスク若しくは(例えば)同心円状若しくは螺旋パターンで形成される用量空洞のいずれかを有するより著しく複雑な装置が必要である。
【0013】
この課題は、細長いストリップ形態のブリスターを有する類似の装置を提供することによって部分的に対処し得る。細長いストリップを吸入装置内でコイル状に巻いて、必要な包装空間を最小限に抑えることができる。別個の割り出し機構及び穿孔機構を設けることができ、又は単一の作動レバーを設けて、最初にブリスターストリップを割り出し、次にブリスターを穿孔して、吸入準備をすることができる。
【0014】
これまでに説明したようなブリスターストリップ装置に適用される欠点は、ブリスターを穿孔する作用には、ブリスターを占有して部分的に閉塞する穿孔要素を伴う傾向があることである。その結果穿孔可能なブリスターは、穿孔器に対して空間を提供し、薬が自由に移動して気流に巻き込まれることを可能にするために、典型的には必要な用量の体積の2倍又は3倍の大きさが必要である。
【0015】
代替手法は、剥離可能な蓋を有するブリスターストリップを使用することであり、吸入装置は、各吸入の前に各ブリスターの蓋を順次剥離する。このような吸入器の機構は、使用済みのベースシート/箔と、使用済みの蓋シート又は蓋箔の両方を管理する必要があるため、典型的にはより複雑である。しかし、ブリスターに穿孔器が入らず、また蓋が完全に取り外されるため、ブリスターは粉末薬を収容するのに十分な大きさであればよい。したがって、所与の用量サイズに対してより小さなブリスターを使用し得る。
【0016】
特許文献2には、周知の剥離可能ストリップ装置が開示されている。この装置は、密封ブリスターのコイルと、使用済みベースシートのコイルと、使用済み蓋シートの別個のコイルと、を収容する。ベースシート及び蓋シートは開封ステーションで分離され、ここではストリップが割り出されるときに蓋がベースから引き剥がされる。したがって、3つのコイルは全て同時に移動する。主要ストリップ駆動装置はベースシートのブリスターに係合する凹部を組み込んだドラムであり、一方でベース及び蓋シートコイルもまた駆動されて、使用後に使用済みストリップが確実にコイル状に巻かれるようにする。使用済みのベースシート/箔は緩く巻かれ、一方で使用済みの蓋シートはしっかりと巻かれて、ベースシートから確実に分離するために必要な張力が維持される。
【0017】
特許文献3にはこの装置の変形例が開示されており、同じ方法で割り出し及び開封する2つのブリスターストリップを組み込んでいる。2つのストリップは、開封するときに2つの未使用のブリスターが単一の空気路マニホールドの両側に置かれるように配置される。したがって、両方のブリスターの内容物を同時に吸入することができる。この方法の潜在的な利点は、2つの別個の薬又は薬の組み合わせを別個のブリスターに収納しつつも、一緒に吸入できることである。
【0018】
剥離可能なストリップ装置で起こり得る1つの重大な使用誤りは、ブリスターの開封が、ほとんどの穿孔可能なブリスター装置のように別個の作用ではなく、ストリップが割り出されるときに行われることから発生し得る。典型的には、このような装置におけるユーザ入力は構成要素のセットに直接連結され、構成要素はストリップを同時に割り出し及び剥離して、使用者が吸入する空気路まで開封ブリスターポケットを提示する。その結果、作動機構が部分的にしか移動してないときにブリスターが開封され得る。これは、作動機構が、別個の作動レバーではなく、装置のマウスピースカバーによって駆動される装置において特に問題である。患者の一部がカバーを開いて、例えばマウスピースを点検又は清掃する場合、ブリスターは部分的に又は完全に開封され、したがってブリスターの内容物が環境の湿気に曝され得る。次いで使用者は、現在露出している製剤の潜在的な劣化に気付かずに、マウスピースカバーを未開放位置に戻すおそれがある。その後カバーを完全に開けて吸入すると、感染した用量を吸入するリスクがある。使用者がブリスターを早期に開封していることに気付いて関連する用量を使用しない場合でも、その用量が無駄になる。
【0019】
この課題は、吸入器に呼吸作動機構を設けて、レバー又はマウスピースカバーの作動によりブリスターストリップを割り出すが、個々のブリスターは使用者の吸入時にのみ開封されるようにすることで軽減することができる。例えば特許文献4は、互いに永久的に封止されるベースシート及び蓋シートを備えるストリップと、各ブリスター空洞の上方で局所的に蓋シートに接着されて、蓋シートの一部分をブリスターの残りの部分から離して引き裂くことができる更なる引き裂きシートと、を有する装置を開示している。装置が作動するとき、ブリスターストリップは割り出されるが、呼気作動トリガーが蓋引き裂きシート巻取機構を駆動するバネを解放するまでは蓋引き裂きシートに張力が加えられない。効果的ではあるが、呼吸作動機構を含めることは吸入装置を著しく複雑にし、引き裂きストリップの構成はブリスターストリップの製造において標準的ではない。
【0020】
特許文献5で議論されているように、1つの代替手法は、遅延作動機構、すなわちマウスピースカバーの最初の移動では割り出し機構及び開封機構を作動させない機構を提供することである。作動を遅延させることによって、誤作動のおそれが低減される。しかしながら、カバーが不完全に開くと装置が部分的に作動するおそれは依然としてある。
【0021】
したがって、1つ以上の薬剤担体と共に使用するのに適した改良された吸入装置が必要とされており、これは患者がブリスターを誤って開封して薬剤を露出させることなく作動レバー又はカバーを動かすことを可能にする簡単な手段を有する。理想的には、レバー又はカバーは行程の大部分にわたって可逆的に移動可能であり、ブリスターを開封する点は作動移動の端部に近く、患者によって明確に識別可能であるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第4627432号明細書
【特許文献2】米国特許第5590645号明細書
【特許文献3】米国特許第8511304号明細書
【特許文献4】米国特許第7434579号明細書
【特許文献5】米国特許第8746242号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、上述の課題の一部又は全てを軽減又は克服する一方、理想的には標準的なブリスターストリップのような従来の薬剤担体と共に使用するのに適している吸入装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の第1の態様によれば、特許請求の範囲の請求項1に定義された吸入装置を提供する。更なる任意の構成は、関連する従属請求項に記載されている。
【0025】
本発明の更なる態様は、特許請求の範囲の請求項31に定義された吸入装置を提供する。更なる任意の構成は、関連する従属請求項に記載されている。
【0026】
本発明は、吸入装置の使用中に、割り出し動作及び剥離動作を切断するか、又は少なくとも部分的に分離する。例えばこれにより、割り出し及び剥離が異なる時間に開始されることを可能にし、及び/又は、1つ以上の剥離動作における1つ以上の特定の点(例えば、1つ以上の用量ポケットを開封し始める点のような、1つ以上の用量が損傷すると考えられる点)を、装置の作動においてより所望の点まで遅延させるが、1つ以上の割り出し動作を必ずしも同様に遅延させないことを可能にする。
【0027】
装置へのユーザ入力、例えばキャップの開閉又はレバー/ボタンの動作を用いて、最初に1つ以上の薬剤担体の割り出しを開始し、次いで1つ以上の個々のブリスターからの1つ以上の蓋シート/箔の剥離を開始して、製剤を空気路に提示することができる。
【0028】
したがって、本発明は、使用者が1つ以上の蓋シート/箔の剥離を開始することなく、又は少なくとも製剤のブリスターポケットを露出させることなく、所望の「確定(commitment)」点で装置を開けることを可能にする。これは、用量を浪費する機会を少なくし、また劣化した製剤を吸入する機会を少なくすることを意味する。
【0029】
確定点は、一般に、アクチュエータの動作の端部又はその付近に、例えばマウスピースが開く運動の端部又はそれに近接して配置されることになる。ただし、割り出し動作が開始された後の任意の点で提供されてもよい。例えば、薬剤担体の個々のブリスターを剥離して開封する動作は、割り出し動作の一部と一致してもよく、又は重なり合ってもよい。
【0030】
一連の歯車付き構成要素を使用して、2つの別のブリスターストリップから活性医薬有効成分(API)を送達する装置が知られている。
【0031】
この種類のストリップベースの装置を設計するときの簡単な機械的解決策は、ユーザ入力(通常はレバー/ボタン又は装置のキャップのいずれか)を、ブリスターストリップを同時に割り出し及び剥離する構成要素のセットに直接連結させることである。1つ以上のブリスターストリップ内の個々の用量又はブリスターはこれによって剥離され、使用者が吸入する単一の/共通の空気路に提示される。
【0032】
このシステムに共通する1つの欠点は、キャップを部分的に開くこと(又はレバー/ボタンを部分的に押し下げること)で用量が部分的に前進し、関連するブリスターポケットを部分的に又は完全に開封することである。次いでアクチュエータの解放又は戻りにより、現在露出している製剤の劣化を使用者に知らせることなく、ブリスターは「未剥離」位置に戻されるか、又はブリスターが到達した位置に残されたままとなり得る。
【0033】
この課題は、バネを蓄勢し、バネをキャップ開放又はレバー動作の端部で解放し、ストリップの割り出し及び剥離を同時に行うことによって解決し得る。しかし、これは非常に強いバネを必要とする。とりわけ、ストリップが装置内で引っ掛かった場合に、ストリップを割り出すのに必要な力が潜在的に変化することになるからである。これにより入力に必要な力が増大し、装置を使用中の使用者の「感触」又はフィードバックに悪影響を与える。
【0034】
別の既知の解決策は、(割り出し及び剥離)動作の開始を、キャップ開放/作動順序の途中まで遅延させることである。しかし、これにより使用者が必要なエネルギーをシステムに入力することができる運動範囲が減少し(使用者はキャップ開放又はレバー動作の単一部分で必要なエネルギーの全てを入力しなければならず)、これにより上述したような強力なバネの取り込みと同様の課題が生じる。
【0035】
本発明によるシステムでは、剥離動作の関連部分、例えば吸入準備が整った用量を露出させる動作の部分又は段階を、割り出し動作の開始に対して遅延させることができる。より一般的に言えば、剥離動作の少なくとも一部を割り出し動作の同等の部分に対して遅延させる。例えば、剥離の開始を割り出しの開始に対して遅延させることができ、及び/又は剥離動作が30%進行した点を、割り出し動作が30%進行した点に対して遅延させることができる等である。用量を露出させる点を、キャップ開放又は代替アクチュエータの動作の間の可能な限り最も遅い瞬間まで遅延させることができる。
【0036】
従来のシステムでは、割り出し及び剥離は同時にしか達成できない。剥離動作及び割り出し動作は機械的に連結されて、これらの進行が実質的に均衡となっており、上述のように一方を他方に対して遅延させることは不可能である。2つの作用を引き離す又は分離することにより、割り出し及び剥離構成要素/システムが単一のアクチュエータから不均衡に移動する可能性がある。したがって剥離動作を遅延させる利点は、より円滑な使用者体験及び改善されたフィードバックと組み合わされ得る。なぜなら、装置の割り出しは、依然としてアクチュエータの全動作にわたって行われ得るからである。
【0037】
吸入用量を開封又は露出させる「剥離」動作の少なくとも一部を遅延させ、これを吸入装置の割り出しから切り離す又は引き離すという課題に対する解決策を提供するために、かなりの開発作業が必要であった。この解決策は、大きく分けて2つの主要な手法のうちの1つに分類することができる。すなわち、剥離前部における剥離に必要な張力レベル未満の蓋シートの張力調節-すなわち張力の欠如若しくはある程度までの低減-、又は移動「剥離嘴部」の使用による薬剤担体に対する剥離前部位置の維持のいずれかである。
【0038】
<蓋シートの張力調節>
これは、吸入中に空気路が占める位置の下で薬剤担体を最初に割り出すことを含み、剥離前部(すなわち蓋シート又は箔が薬剤担体から取り外される位置)は、薬剤担体の次の未開封ブリスターと共に実質的に移動する。例えば剥離した蓋シートは、最初の割り出し中に薬剤担体内の1つ以上の未開封ブリスターの上に折り返すことができる。次いで、蓋シート巻き取りシステムは、アクチュエータの作動中の特定点に張力を加えるように作動するか、又は加えることを可能にすることができ、蓋シートを空気路の下で剥がし、開封したブリスターを空気路に露出させる。
【0039】
この実施形態では、剥離前部(剥離分離線)の位置を能動的に維持するものは何もないので、割り出し動作中に蓋シート上に張力を加えないか、又は蓋シート上の張力を解放するか、若しくは「後退」させて、所望の瞬間まで剥離が起こらないことを確実にするべきである。
【0040】
<移動剥離嘴部>
この選択肢は、薬剤担体と共に実質的に進む(薬剤担体ごとの)特定の構成要素の使用を含み、この構成要素は、割り出し中に剥離前部を薬剤担体に対して実質的に静止状態に保つ。次いで、この移動/可動剥離嘴部は所望の点で薬剤担体に対して移動し、所望の数のブリスター/ポケットを剥離/開封することを可能にする。例えば剥離嘴部が解放され、蓋シートの張力が剥離嘴部を引き戻し、したがって剥離を行うことができる。
【0041】
いくつかの例では、移動剥離嘴部を含むことは、対処が必要であり得る関連する課題を生じさせ得る。剥離嘴部が通過しなければならない空間には、新たに剥離したブリスターと空気路との間に隙間が存在する結果となり得る。これは空気路の一部又は全部の移動、薬剤担体の移動、を含む様々な方法で解決することができるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
・空気路の一部又は全部の移動-空気路は、空気路と薬剤担体との間の(先に剥離嘴部によって占有又は通過された)隙間に移動することができ、これは以下を含む多くの方法で達成することができる。
・・剥離嘴部と空気路部分を結びつける-移動剥離嘴部構成要素は、剥離嘴部と共に移動(例えば回転又は平行移動)する、(おそらく真っすぐの)空気路の一部分(例えば空気路の余分な部分又は空気路全体)を含むか、又は空気路の一部分に取り付けられ、剥離嘴部によって先に占有又は通過された隙間を埋めることができる。
・・移動空気路の分離-空気路の一部分(例えば空気路の余分な部分又は空気路全体)は、剥離嘴部が剥離を行う/剥離を可能にした後に/可能にするときに、薬剤担体に向かって移動(例えば回転又は平行移動、又は他のより複雑な移動)して、剥離嘴部が先に占有又は通過した隙間を閉じることができる。
【0043】
・薬剤担体の移動-薬剤担体は、剥離嘴部の回転後/回転のとき、例えば割り出し構成要素又は別の構成要素によって、空気路に向かって移動(例えば平行移動)し、剥離嘴部が先に占有又は通過した隙間を閉じることができる。
【0044】
剥離嘴部の移動及び割り出し構成要素の移動は、単一の構成要素又は機構によって連結することができ、又は同時に駆動することができる。
【0045】
空気路の吸入位置の下で剥離する選択肢及び移動剥離嘴部を使用する選択肢の両方は、一般に、蓋シート巻き取りシステムが薬剤担体と共に剥離前部を実質的に移動させることができる必要がある。
【0046】
これを達成する一つの方法は、(剥離中の)巻き取りシステムと剥離前部の開始位置及び端位置との間の距離が実質的に同じ場所に、蓋シート巻き取りシステムを位置させることである。例えば巻き取りシステムは、剥離前部の移動の垂直二等分線上(又はその近傍)に位置し得る。同様に、巻き取りシステムと剥離前部の開始位置(剥離開始時)との距離が巻き取りシステムと剥離前部の端位置(剥離終結時)との距離よりも大きい場所に蓋シート巻き取りシステムを位置させることによって、この効果を達成することができる。例えば巻き取りシステムは、剥離前部の開始位置及び端位置を通って打たれる線並びに剥離前部の端位置を通って打たれる線の両方に対する垂直な直線を越えて(すなわち剥離前部の開始位置とは反対側に)位置し得るため、一方向に動作する(すなわち蓋シート/箔を巻き取る)ことだけを必要とすることになる。
【0047】
代替手法は、いくつかの蓋シート、例えば蓋シートの1割り出し長さ(単一の割り出しステップ又は用量に関連する蓋シート/箔の長さ)を「解放」することができるように、蓋シート巻き取りシステムを構成することである。これは、剥離する事象が起こるときに、この解放された長さの蓋シート、例えば合計で2割り出し長さに等しい長さの蓋シートを余分に巻き取る必要がある。従来の巻き取りシステムは一方向的であり、張力を解放する及び/又は反対方向に走行する必要性を想定していない。この機能の提供は様々な方法で達成し得る。以下にいくつかの例を示す。
【0048】
<バネ張力>
移動剥離嘴部が設けられている場合には、バネ要素を巻き取りシステムの駆動系に組み込むことができる。次いでシステムは、いくつかの蓋シートを十分な張力下で割り出しシステムから自動的に解放することを可能にする。この強制開放により余分なバネポテンシャルエネルギーが発生し、次にバネポテンシャルエネルギーにより剥離中に必要とされる余分な巻き取りが行われることになる。例えば以下を含む様々な方法でバネ付勢を提供することができる。
・バネ式巻き取りドラム又は他の巻き取りシステム(巻き取りドラム又はハブに組み込まれるコイルバネ等)
・駆動系の他の場所にあるバネ式複合歯車又は他のバネ式要素
・弾性変形してエネルギーを蓄え得る蓋シート材料、又は、
・蓋シートのバネ誘起張力、例えば、
・・蓋シートに作用する1つ以上のバネ式テンショナ
・・剥離嘴部から跳ね上がる巻き取りシステム、例えばバネ式アームに取り付けられる巻き取りドラム。
【0049】
蓋シートのバネ誘起張力を張力構成要素の能動的な移動と組み合わせて、1つ以上の蓋シート/バネが受ける最大力をシステムが低減することを可能にできる。
【0050】
既知のシステムでは、巻き取りシステムの駆動系にバネを含めることは、使用中に使用済みシートが巻き取られるときに巻き取りドラムの直径が成長することを単に補正するためであった。バネはこれまで、割り出し中に巻き取りシステムを反対方向に走行させる手段として考えられていなかった。
【0051】
<制御張力>
この手法は、十分な量の蓋シートの張力を能動的に制御(例えば低減又は解放)して、剥離前部が必要な量の薬剤担体と共に実質的に移動して、実質的な又は望ましくない剥離を回避することを含む。これを達成することができる方法はいくつかあり、巻き取りシステムの移動、巻き取りシステムの反転、テンショナ解放、割り出し中にストリップ及び剥離前部を実質的に静止状態に保つこと、を含む。
【0052】
・巻き取りシステムの移動-巻き取りシステム(通常は巻き取りドラム)を移動させ、例えば巻き取りシステムを剥離前部に向かって1割り出し距離だけ平行移動させ、剥離前部が同じ距離だけ移動するのに十分な量の蓋シートを解放又は移動させることを可能にする。
【0053】
・巻き取りシステムの反転-クラッチ又は類似の機構を解放すること、例えば巻き取りシステムのラチェットセットを係合解除すること、又は必要な量だけ巻き取りシステムを能動的に反転させること(例えば、巻き取りドラムを適切な角度で回るラチェット車輪に取り付けて、蓋シートを十分に弛ませることを可能にし、次いで剥離中に反対方向に回すこと)。
【0054】
・テンショナ解放-張力部材を蓋シート張力経路から取り除く又は移動させ、シートのある距離(例えば1割り出し距離)を解放して、剥離前部がストリップと共に実質的に移動することを可能にする程度まで、シートを部分的に又は完全に真っ直ぐにすることを可能にすること。
【0055】
・割り出し中にストリップ及び剥離前部を実質的に静止状態に保つこと-ストリップ又は剥離前部を移動させることなく割り出しを行い、例えば割り出し車輪でストリップを必要な距離だけ回転させて割り出しを行い、一方で割り出し車輪を巻き取りシステムに向かって同じ距離だけ移動させ、ストリップ及び剥離前部を効果的に静止状態に保つこと。
【0056】
割り出しと剥離を分離する別の利点は、二重ストリップ装置における一方又は両方の車輪を割り出しするような装置の動作の一部を、キャップ閉鎖(又はアクチュエータの別の類似の反転動作)中に実行することを可能にすることである。次いで、必要なユーザ入力を更に大きな運動範囲にわたって、すなわちアクチュエータ動作の1つ以上の部分にわたって分散させ、必要な力を更に低減し、更に円滑に動作させることができる。
【0057】
第1の態様による吸入装置は、割り出しシステムと、開封システムと、割り出しシステム及び開封システムに対する共通アクチュエータと、を有する作動機構を備え、割り出しシステムは薬剤担体を前進させ、薬剤担体は複数の薬剤ポケット又はブリスター及びブリスターを覆う蓋箔のような剥離可能な蓋シートを有するベースを備え、開封システムは、薬剤担体から蓋シートを剥離してブリスターを開封し、共通アクチュエータは、中間位置を介して第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、開封システムの進行は、共通アクチュエータが移動している間の割り出しシステムの進行に対して不均衡である。
【0058】
使用中、単一の定義された運動範囲を通る共通アクチュエータの移動により、割り出しシステムが十分に移動又は進行して薬剤担体を単一用量だけ前進させ、及び開封システムが十分に移動又は進行して薬剤担体の対応する長さから蓋シートを完全に取り外すが、開封システムと割り出しシステムの移動は均衡していない。言い換えれば、開封システム及び割り出しシステムの全移動/全進行の速度比又は割合は、吸入装置の動作中に一定ではない。
【0059】
共通アクチュエータの第1の運動範囲を通る移動により、割り出しシステムが動作することができ、共通アクチュエータの第2の運動範囲を通る移動により、開封システムが動作することができ、割り出しシステムが開封システムから引き離されて(例えば分断又は分離されて)、前記第1の運動範囲が前記第2の運動範囲と同じでないようにすることができる。開封システムと割り出しシステムとを引き離すことにより、従来技術のように、一方が他方から大きく独立して移動することができ、これらの移動が均衡をとる必要がない。
【0060】
共通アクチュエータの定められた移動により、割り出しスシステム及び開封システムの両方が動作することができ、アクチュエータの移動速度に対する開封システムの移動速度は、アクチュエータの定められた移動中に変化することができる。
【0061】
代替的に、共通アクチュエータの定められた移動により、割り出しシステムが動作して薬剤の1用量を前進させ、及びブリスター内の薬剤を露出させることなく剥離が起こる第1の動作段階と、前記剥離によってブリスター内の薬剤が露出する第2の動作段階とを通して開封システムが移動し、これにより吸入準備ができた薬剤の用量が提供され、剥離システムの前記第2の動作段階は、割り出しシステムの前記動作が30%完了するまで遅延することができる。蓋シートのいくつかの剥離が装置の動作の初期に起こり得るが、ブリスターポケットの縁部上でシートを剥離して薬剤を実際に露出させるときの動作の重要な部分は、動作の後半まで遅延する。
【0062】
開封システムの第2の、又は重要な動作段階は、割り出しシステムの前記動作が50%完了するまで、又は60%、70%、80%、90%、95%若しくは100%完了するまで遅延させることができる。
【0063】
薬剤の用量は、特定の投与計画に従って吸入装置によって送達される用量として定義することができる。これは必要に応じて、単一のブリスター若しくはブリスターのペア、又はそれ以上の内容物を含むことができる。
【0064】
定められた移動は、例えば第1の位置から第2の位置への移動、又は第2の位置から第1の位置への移動及び第2の位置に戻る移動であり得る。
【0065】
共通アクチュエータの前記第1の位置からの移動、例えば第1の位置から離れる任意の移動により、割り出しシステムが前進することができ、共通アクチュエータの中間位置を越える移動のみにより、開封システムが作動することができる。
【0066】
前記第1の位置と前記中間位置との間の位置から前記第1の位置に戻る前記アクチュエータの反転移動により、割り出しシステムの前記前進が反転し得る。これは、吸入装置が不正確又は不完全に作動する間、用量が部分的に前進及び/又は露出することを回避するのに役立つ。アクチュエータは、ある点、例えば用量を剥離又は露出する点まで移動し、次いで、用量を部分的に前進又は露出させることなくその初期位置に戻ることができる。したがって、吸入装置の次の「正しい」又は完全な動作は、不正確な又は不完全な作動によって損なわれない。これは、アクチュエータの移動時に直ちに割り出しが始まる場合に特に関連する。
【0067】
また、第2の位置と第1の位置との間、すなわち第2の位置から第1の位置に向かって移動する方向へのアクチュエータの移動により、割り出しシステムが前進することができる。
【0068】
吸入装置は、共通アクチュエータによって駆動される中央ハブを更に備えることができる。
【0069】
吸入装置は、歯車リンク機構又は例えばカムプレートのようなカムシステムを更に備えて、中央ハブから割り出しシステムに駆動を伝達することができる。
【0070】
作動機構は、トリガー構成要素を更に備えることができ、トリガー構成要素の移動により開封システムが始動する。トリガー構成要素は、プッシュロッド又はスライダのような直線移動構成要素とすることができ、直線移動構成要素は、開封システム内のバネ付勢構成要素を解放する。
【0071】
共通アクチュエータの中間位置を越える移動により、トリガー構成要素が移動することができる。
【0072】
作動機構は、開封システムを制御するカムを更に備えることができる。
【0073】
作動機構は、薬剤担体から剥離される使用済み蓋シートを受け入れる蓋シート巻き取り構成要素と、共通アクチュエータ及び蓋シート巻き取り構成要素の間の駆動系と、を更に備えることができる。駆動系は、中央ハブを備えることができる。
【0074】
作動機構は、割り出しシステムの前進中に蓋シートに発生する張力を調節する手段を備えることができる。システムは、能動的(例えば駆動される)であってもよく、又は受動的であってもよく、アクチュエータが第1の位置にある状態で装置が放置又は収納されているときに、蓋シートの張力を最小限に抑えることができる。
【0075】
駆動系の共通中心上に設けられる2つの回転構成要素の間に、ねじりバネを設けることができる。例えば、歯車付き駆動系内の2つの積み重ねられた歯車の間にねじりバネを設けることができる。2つの回転構成要素は、中央論理ハブ内にあってもよいし、又は駆動系内の更なる駆動要素内にあってもよいし、又はバネ式遊動部(idler)を形成してもよい。
【0076】
割り出しシステムの前進中に、使用済み蓋シートの張力によってねじりバネが蓄勢(charged)される。これにより、蓋シートの受動的な張力調節を形成することができる。
【0077】
割り出しシステムの前進前又は前進中に、駆動系が蓋シート巻き取り構成要素を能動的に移動させ、例えば回転させて、蓋シートの張力を調節する、例えば蓋シートの張力を低減する又は蓋シートに弛みを生じさせることができる。
【0078】
割り出しシステムの前進中に、剥離した蓋シート、例えば能動的な張力調節によって弛みが発生した蓋シートの少なくとも一部は、薬剤担体の未開封部分の上に折り返すことができる。
【0079】
吸入装置は、薬剤担体からの蓋シートの分離を調節する剥離嘴部構成要素を更に備えることができる。剥離嘴部構成要素は、特に、使用中の剥離嘴部に近接する薬剤担体上の位置における蓋シートの剥離/分離に抵抗することができる。
【0080】
剥離嘴部構成要素は、割り出しシステムの前進中又は前進前に移動可能である。例えば剥離嘴部は、割り出し中に割り出しシステムの構成要素と共に移動することができる。
【0081】
剥離嘴部構成要素は、薬剤担体の経路と実質的に一致する経路、又は薬剤担体の経路からオフセットされた経路をたどることができる。
【0082】
剥離嘴部構成要素は、割り出しシステムの構成要素、例えば割り出し車輪のような移動割り出し装置に選択的に係合することができる。
【0083】
剥離嘴部構成要素は、割り出しシステムの前記構成要素に選択的に係合する爪又はラチェットを備えることができる。
【0084】
割り出しシステムは、第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体を割り出しする手段を備えることができ、第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体の各々は、複数の薬剤ポケット又はブリスターを有するベースと、ブリスターを覆う剥離可能な蓋シートと、を備える。3つ以上の薬剤担体を前進させる手段を提供することができる。
【0085】
開封システムは、第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体の各々から蓋シートを剥離するように構成することができ、共通アクチュエータの前記第1の位置からの移動により、割り出しシステムが動作して第1の薬剤担体を前進させることができ、共通アクチュエータの中間位置を越える移動のみにより、開封システムが動作して第2の薬剤担体のブリスターから蓋シートを剥離することができる。
【0086】
割り出しシステムは、前記第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体を割り出しする、別個の第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置を備えることができる。
【0087】
割り出しシステムは、第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置を不均衡に前進させることができ、すなわち、第1の割り出し装置の進行は第2の割り出し装置の進行に対して不均衡である。
【0088】
第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体を前進させる第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置を備える割り出しシステムと、第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置の共通アクチュエータと、を有する作動機構を備える吸入装置が提供され、共通アクチュエータは、中間位置を介して第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、第1の割り出し装置の進行は、第2の割り出し装置の進行に対して不均衡である。進行は、共通アクチュエータの移動中又は移動後に行うことができ、例えば進行は、アクチュエータの移動が完了した後にバネ力を解放することによって駆動することができる。
【0089】
第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置は、特に、共通アクチュエータの移動中に同時に前進しなくてもよく、すなわちこれらの移動が相互に排他的であってもよい。
【0090】
第1の運動範囲を通る共通アクチュエータの移動により、第1の割り出し装置が動作し、第2の運動範囲を通る共通アクチュエータの移動により、第2の割り出し装置が動作し、第1の割り出し装置は第2の割り出し装置から引き離されて、前記第1の運動範囲が前記第2の運動範囲と同じでないようにすることができる。
【0091】
共通アクチュエータが前記第2の位置から前記第1の位置に移動するときに、割り出しシステムは、第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置のうちの1つを前進させることができる。
【0092】
第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置のうちの少なくとも1つ、場合によっては両方が、割り出し車輪を備えることができる。
【0093】
割り出しシステムは代替的に単一の割り出し装置を備えることができ、割り出し装置は割り出し車輪を備えることができる。
【0094】
割り出し車輪又は各割り出し車輪は、回転可能であり、ブリスターストリップの形態の薬剤担体を前進させ、ブリスターストリップの個々のブリスターを受け入れる空洞を備えることができる。
【0095】
開封システムは、前記第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体の各々の上のブリスターを同時に剥離して開封するように構成することができる。
【0096】
共通アクチュエータの前記中間位置は、共通アクチュエータの前記第1の位置よりも前記共通アクチュエータの前記第2の位置に近くてもよい。例えば中間位置は、共通アクチュエータの前記第1の位置と第2の位置との間の全移動の最後の45%、35%、25%、20%若しくは15%以内、又は全移動範囲内であってもよい。
【0097】
共通アクチュエータの前記中間位置は、共通アクチュエータの前記第2の位置に近接し、例えば共通アクチュエータの前記移動の0~10%以内、及び/又はアクチュエータが円弧状に移動する10°以内であってもよい。
【0098】
作動機構は、間欠駆動面及び/又は係止面を有する1つ以上の歯車を備えることができる。これにより、使用中に作動システムの要素(例えば、蓋シート巻き取り構成要素、個々の割り出し装置、移動剥離嘴部等)を間欠的に駆動及び/又は係止することが可能になる。
【0099】
割り出しシステムは係止手段を備えることができ、係止手段は、割り出しシステムの1つ以上の構成要素、例えば1つ以上の割り出し装置/割り出し車輪の移動を選択的に防止する。
【0100】
係止手段は、係止面を有する1つ以上の歯車を備えてジュネーブ係止を提供することができ、及び/又は1つ以上の爪を備えることができる。
【0101】
共通アクチュエータは、マウスピースカバーを備えることができ、第1の位置は、マウスピースカバーの全閉位置、すなわち吸入器のマウスピースが完全に覆われているマウスピースカバーの位置とすることができる。第2の位置は、マウスピースカバーの全開位置、すなわち装置のマウスピースが完全に覆われていないマウスピースカバーの位置とすることができる。
【0102】
あるいは、アクチュエータは、別個のレバー、ボタン又は他のアクチュエータを備えることができ、第1の位置及び/又は第2の位置は、アクチュエータの定義された停止位置とすることができる。
【0103】
吸入装置は、一体の可動空気路として、又は静止空気路構成要素及び可動空気路構成要素を備える分割空気路の一部として、可動空気路構成要素を更に備えることができる。可動空気路構成要素は、薬剤担体からの蓋シートの分離を調節する剥離嘴部構成要素を提供する。
【0104】
可動空気路構成要素は、薬剤担体の経路と実質的に一致しない経路、又は薬剤担体の経路から単にオフセットされた経路をたどることができる。例えば可動空気路構成要素は、実質的に直線の経路をたどることができる。薬剤担体は、例えば湾曲経路又は円形経路をたどることができる。
【0105】
本発明は、1つ以上の薬剤担体を収容する装置において用いられ、意図しない剥離によって製剤が環境に偶発的に露出するリスクを最小限にしながら、使用者が吸入する製剤を機械的に有利な方法で放出することができる。
【0106】
実施可能な限りにおいて、本発明の任意の1つの態様に関して定義された必須の又は好ましい構成のいずれかを、任意の更なる態様に適用することができる。したがって本発明は、上記で定義された構成の様々な代替構成を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【
図1】本発明の第1実施形態による吸入装置の内部の斜視図である。
【
図2】
図1と同様の図であるが、構成要素がいくつか取り除かれている。
【
図4】吸入装置の中央ハブからの第1の構成要素を示す。
【
図5】吸入装置の中央ハブからの第2の構成要素を示す。
【
図6】吸入装置の中央ハブからの第2の構成要素を示す。
【
図7】中央ハブを吸入装置の第1の駆動系組立体に連結する歯車構成要素を示す。
【
図9】中央ハブを吸入装置の第2の駆動系組立体に連結する歯車構成要素を示す。
【
図11】中央ハブを吸入装置の第3の駆動系組立体に連結する歯車構成要素を示す。
【
図16】
図1の吸入装置の全体機構の背面図である。
【
図23】ブリスターストリップ、蓋箔及びベース箔の経路を例示する、機構の正面図である。
【
図25】
図24の代替剥離機構を組み込んだ、本発明の第2の実施形態による吸入器の分解図である。
【
図28】
図25の吸入器からの剥離アクチュエータ構成要素を示す。
【
図29】
図25の吸入器からの剥離アクチュエータ構成要素を示す。
【
図31】本発明の第3の実施形態による吸入器の背面分解図である。
【
図36】本発明の第4の実施形態による吸入器の正面分解図である。
【
図41】
図36の吸入器の組み立てられた機構の正面図である。
【
図47】本発明の第5の実施形態による吸入器の分解図である。
【
図48】第1の構成における
図47の吸入器の一部の断面図である。
【
図50】第1の構成における
図47の吸入器の更なる断面図である。
【
図52】
図47の吸入器を通るブリスターストリップのペアによって取られる経路を示す。
【
図61】本発明の第6の実施形態による吸入器の分解図である。
【
図66】本発明の第7の実施形態による吸入器の分解図である。
【
図70】マウスピースカバーが開く間の機構の一部の移動を示す。
【
図71】マウスピースカバーが開く間の機構の一部の移動を示す。
【
図72】マウスピースカバーが開く間の機構の一部の移動を示す。
【
図73】マウスピースカバーが開く間の機構の一部の移動を示す。
【
図74】マウスピースカバーが開く間の機構の一部の移動を示す。
【
図75】マウスピースカバーが開く間の機構の一部の移動を示す。
【
図76】マウスピースカバーが開く間の機構の更なる部分の移動を示す。
【
図77】マウスピースカバーが開く間の機構の更なる部分の移動を示す。
【
図80】本発明の第8の実施形態による吸入器の分解図である。
【
図82】
図80の吸入器からの剥離嘴部の第1の部分の斜視図である。
【
図83】
図80の吸入器からの剥離嘴部の第2の部分の斜視図である。
【
図87】
図80の吸入器からの入力ラチェットの斜視図である。
【
図90】本発明の第9の実施形態による吸入器の背面分解図である。
【
図92】
図90の吸入器からの移動空気路構成要素の斜視図である。
【
図93】
図90の吸入器からのマウスピースカバーの斜視図である。
【
図94】マウスピースカバーが開く間のマウスピースの移動を示す。
【
図95】マウスピースカバーが閉じる間のマウスピースの移動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0108】
本発明の実施可能な実施形態は、添付の図面を参照して、単なる例として、以下に更に詳細に説明される。
【0109】
図1は、本発明の第1の実施形態による吸入装置2の内部を示す。吸入装置2は、薬剤の細長いブリスターストリップを使用するように構成される。薬剤の細長いブリスターストリップは、薬剤の個々のブリスターポケットを画定するベースシート/箔と、蓋箔の形態の蓋シートと、を備える。蓋箔の形態の蓋シートは、ベース箔から剥離されてポケットが開放され、吸入する薬剤が露出する。
【0110】
中間シャーシ4は、ブリスターストリップを受け入れ及び誘導する、装置の内部室及び経路を画定し、後部シャーシ6は、装置内の様々な回転構成要素12、14、22、24、30の取付ポストを提供する。空気路マニホールド8は、マウスピースとのインターフェースを可能にする構成を備え、中間シャーシ4の頂部の開封部において受け入れられ、可動マウスピースカバー10(明確にするため後半部のみ示す)も設けられている。
【0111】
第1の割り出し車輪12及び第2の割り出し車輪14はそれぞれ、凹部13、15を提供し、凹部13、15は、第1の割り出し車輪12及び第2の割り出し車輪14が回転するときに、2つの別個のブリスターストリップのブリスターポケットを受け入れ、ブリスターポケットを空気路マニホールド8の開封部16の下の適所に前進させる。未開封の複数のブリスターストリップは、中間シャーシ4によって画定される収納室18内に一緒にコイル状に巻かれて収納されている。ここから、2つのブリスターストリップのうちの第1のブリスターストリップは、中間シャーシ4内の第1の通路20を通って第1の割り出し車輪12の周りを時計回りに供給され、その後、ベース箔が第1のスプール車輪22と係合する。同様に、第2のブリスターストリップは、収納室18から第2の通路26を通って第2の割り出し車輪14の周りを反時計回りに供給され、その後、ベース箔が第2のスプール車輪24に取り付けられる。
【0112】
使用時には、第1のブリスターストリップ及び第2のブリスターストリップの各々からの蓋箔が、それぞれ第1の割り出し車輪12及び第2の割り出し車輪14においてベース箔から分離される。第1のスプール車輪22及び第2のスプール車輪24は、第1の割り出し車輪12及び第2の割り出し車輪14と共に回転して、使用済みベース箔をコイル状に巻く。2つの蓋箔は、ピボット29で中間シャーシ4に取り付けられる張力バランサ28の両側を通過してから、共通の巻き取りドラム30に係合する。第1のブリスターストリップ及び第2のブリスターストリップ内のブリスターを剥離して開封する必要があるとき、巻き取りドラム30の回転により蓋箔に張力が発生する。両方の蓋箔が同じドラム30上に巻かれるので、第1の蓋箔及び第2の蓋箔の張力にわずかな不均衡が生じることがある。しかし、張力バランサ28の両側に沿って蓋箔により大きな張力がかかることにより、ピボット29を中心として張力バランサ28が他方の箔に向かって付勢する役割を果たすことになる。これは、2つの蓋箔の張力が均衡するまで、高張力箔に続く経路を効果的に短くし、低張力箔に続く経路を効果的に長くする。このように、蓋箔の張力を許容可能な張力範囲内に維持することができる。
【0113】
図2は、吸入装置内部の同様の図であり、中間シャーシ4及び空気路マニホールド8が取り除かれて吸入装置2の様々な構成要素間の歯車装置が露出している。使用時には、マウスピースカバー10が矢印32及び矢印34で示すように開閉することにより、機構が作動して、割り出し車輪12、14、スプール車輪22、24及び巻き取りドラム30が所定の順序で駆動して、吸入用量を割り出し及び剥離する。この順序は中央論理ハブ36によって制御され、この中央論理ハブ36は、後部シャーシ6から延在するスピンドル38上に取り付けられ、マウスピースカバー10の移動によって直接駆動される。
【0114】
中心論理ハブ36は、3つの駆動歯車40、42、44と同心円状に取り付けられ、3つの駆動歯車40、42、44は、中心論理ハブ36を取り囲んで選択的に係合している。巻き取りドラム駆動歯車40は、巻き取りドラム30の基部に係合する歯車装置と見ることができ、第1の割り出し車輪駆動歯車42は、第1の割り出し車輪12及び第1のスプール車輪22に係合する歯車装置と見ることができる。
図2ではよく見えないが、第2の割り出し車輪駆動歯車44もまた、第2の割り出し車輪14及び第2のスプール車輪24上の歯車装置に係合するように設けられている。
【0115】
図3は、
図1の吸入装置2の分解図であり、中央論理ハブ36を構成する構成要素を見ることができる。中央論理ハブ36の2つの主要構成要素は、第1の割り出し車輪駆動歯車42及び第2の割り出し車輪駆動歯車44に係合する割り出し駆動ラチェット車輪46と、巻き取りドラム駆動歯車40及び巻き取りドラムラチェット車輪50に係合する剥離駆動ラチェット車輪48であり、巻き取りドラムラチェット車輪50は、巻き取りドラム30及び巻き取りドラム駆動歯車40と共に巻き取りドラム駆動系60を形成する。
図3はまた、より詳細に後述するように、第1の割り出し車輪駆動系52及び第2の割り出し車輪駆動系54を構成する構成要素を示す。中央論理ハブ36内の割り出し駆動ラチェット車輪46と剥離駆動ラチェット車輪48との間にねじりバネ56が配置され、並びに、スライダ58が設けられて、割り出し駆動ラチェット車輪46及び剥離駆動ラチェット車輪48の一方又は他方の回転に選択的に抵抗する。
【0116】
また、後部シャーシ6には、スライダ58を受け入れるチャネル62と、略三日月形状の開口部64と、が設けられている。マウスピースカバー10上に形成される内側凸部66及び外側凸部68は、開口部64を通って延びている。また、開口部64は、割り出し駆動ラチェット車輪46の後部にある突出部及び剥離駆動ラチェット車輪48を受け入れて、これらの構成要素がマウスピースカバー10の回転運動によって駆動され得る。より具体的には、マウスピースカバーが開く(
図1に示す位置から時計回りに移動する)と、内側凸部66が割り出し駆動ラチェット車輪46に係合して時計回りに駆動し、一方、マウスピースカバー10が閉じると、外側凸部68が剥離駆動ラチェット車輪48に係合して反時計回りに駆動することになる。
【0117】
スライダ58は、割り出し駆動ラチェット車輪46及び剥離駆動ラチェット車輪48の一方を「係止」することを可能にし、一方で、マウスピースカバー10の回転により他方を回転させる。これにより、ねじりバネ56に付勢力が構築され、次いで、スライダ58を移動させて先に係止されていた構成要素を解放することによって、この付勢力を解放することができる。
【0118】
後部シャーシ6はまた、第1のラチェット爪72及び第2のラチェット爪74を提供し、第1の割り出し車輪12及び第2の割り出し車輪14をそれぞれ選択的に係止する。
【0119】
図4は、中央論理ハブ36からの割り出し駆動ラチェット車輪46の後部を示す。車輪46は、後面から延在するリング形状ボス78を有する略円形プレート76を備えている。フランジ78内のプレート76の後面には凹部80が設けられ、ねじりバネ56のアームを受け入れる。プレート76の円周周りには、2つの円周方向ラチェット爪82と、2つの軸線方向ラチェット爪84と、が設けられている。円周方向ラチェット爪82及び軸線方向ラチェット爪84は、互いに反対の回転方向に駆動力を与えるように配向されている。
図4はまた、ボス78の端部から延在する突出部86と、ボス78の外周に形成される凹部88と、を示す。突出部86はマウスピースカバーの内側凸部66に係合するものであり、凹部88はスライダ58を受け入れて、割り出し駆動ラチェット車輪46を回転に対して係止する。
【0120】
図5及び
図6は、剥離駆動ラチェット車輪48をより詳細に示す。
図5には背面図が提供され、略円形プレート90を示し、略円形プレート90は、片側に大きな切り抜き部分92を有し、他方の側に略三日月形状スロット94及び2つの小さな切り抜き部分96を有する。突出部98は、スロット94の縁部に近接してプレートの後面から延在し、マウスピースカバー10上に形成される外側凸部68に係合する。
図6は、剥離駆動ラチェット車輪48の正面図である。プレート90の前部から延在するリング形状ボス102の外周の周りには、4つの半径方向ラチェット爪100が設けられている。プレート90がラチェット爪100の移動を妨げないように、半径方向ラチェット爪100のうち2つは車輪48の大きな切り抜き部分92が設けられている領域に位置し、他の2つはより小さな切り抜き部分96の位置に対応する。プレート90の外周には、切欠き106のペアと共に、小さな歯付き部分104が設けられている。
【0121】
リング形状ボス102の内径は、中央論理ハブ36が組み立てるときに、割り出し駆動ラチェット車輪46のボス78を受け入れるのに十分な大きさである。組み立てるとき、割り出し駆動ラチェット車輪46上のボス78の端部から延在する突出部86は、スロット94を通過して、剥離駆動ラチェット車輪48のプレート90の後面から、剥離駆動ラチェット車輪48のプレート90上に直接形成される突出部98と同じ程度まで延在する。
【0122】
図7は、第1の割り出し車輪駆動歯車42の後面を示す。駆動歯車42の後面には内部空洞110が示されており、空洞110の内周壁114の周りには4つの半径方向に延びる切欠き112が設けられている。空洞110の直径は、
図4に示す割り出し駆動ラチェット車輪46の略円形プレート76を受け入れるのに十分であり、円周方向ラチェット爪82が4つの切欠き112のうちの2つに受け入れられる。
【0123】
図8には、第1の割り出し車輪駆動系52の残りと共に、組立体が示されている。円周方向ラチェット爪82の切欠き112への係合により、割り出し駆動ラチェット車輪46から第1の割り出し車輪駆動歯車42への駆動を、反時計回りの方向116(
図8は組立体の背面図)にのみ伝達する。突出部86がマウスピースカバーの内側凸部66に係合することによってマウスピースが開く間に発生する、割り出し駆動ラチェット車輪46の時計回りの移動中に、円周方向ラチェット爪82は切欠き112から撓むことができ、切欠き112は、割り出し駆動ラチェット車輪46と第1の割り出し車輪駆動歯車42との間の相対回転を可能にする。第1の割り出し車輪12の後面に設けられるボス118は、後部シャーシ6上の第1のラチェット爪72に係合する切欠き122を提供して、第1の割り出し車輪12の対応する方向への回転に抵抗する。従って、第1の割り出し車輪駆動系52は、マウスピースカバーが閉じる間にのみ、第1の割り出し車輪12及び第1のスプール車輪22を駆動する。
【0124】
図9は、リング形状の第2の割り出し車輪駆動歯車44をより詳細に示す。駆動歯車44の前面には4つの傾斜凹部又は切欠き124が設けられ、4つの傾斜凹部又は切欠き124は、割り出し駆動ラチェット車輪46のボス78がリング内に受け入れられるとき、割り出し駆動ラチェット車輪46に設けられる軸線方向ラチェット爪84に係合する。割り出し車輪駆動歯車44の内径120は、剥離駆動ラチェット車輪48のリング形状ボス102の内径と同じであり、割り出し駆動ラチェット車輪46のボス78を受け入れる。
【0125】
図10は、上述した第2の割り出し車輪駆動歯車44及び割り出し駆動ラチェット車輪46の組立体を組み込んだ、第2の割り出し車輪駆動系54の正面図である。軸線方向ラチェット爪84は、切欠き124のうちの2つに係合して示されており、割り出し駆動ラチェット車輪46からの時計回り駆動126が、第2の割り出し車輪駆動歯車44に伝達される。上述したように、割り出し駆動ラチェット車輪46は、マウスピースカバー10が開く間に割り出し駆動ラチェット車輪46の後面上の突出部86がマウスピースカバーの内側凸部66に係合することによって、時計回り126に駆動される。それゆえ、マウスピース10が開くときには、第2の割り出し車輪14及び第2のスプール車輪24が共に駆動される。対照的に、割り出し駆動ラチェット車輪46の反時計回りの回転により、軸線方向ラチェット爪84が切欠き124から撓み、切欠き124は、割り出し駆動ラチェット車輪46と第2の割り出し車輪駆動歯車44との間の相対的回転を可能にする。
【0126】
図11は、リング形状巻き取りドラム駆動歯車40をより詳細に示す。駆動歯車40の内周壁132には、ラチェット歯として機能する多数の切欠き130が設けられている。内周壁132によって画定される開口は直径136を有し、この直径136は、剥離駆動ラチェット車輪48のボス102を受け入れる大きさである。
【0127】
図12は、巻き取りドラム駆動系60の正面図である。剥離駆動ラチェット車輪48のボス102は、巻き取りドラム駆動歯車40の背後から挿入され、剥離駆動ラチェット車輪48の半径方向ラチェット爪100が切り切欠き130に係合して、剥離駆動ラチェット車輪48の時計回りの回転138を巻き取りドラム駆動歯車40に伝達する。巻き取りドラム駆動歯車40は、巻き取りドラム30の基部の周りに設けられる歯車歯140に係合して、巻き取りドラム30に回転を伝達する。巻き取りドラム30の片側の保持機構のペア142は、蓋箔のペアの自由端部を保持して、使用時には巻き取りドラム30の反時計回りの回転144により蓋箔に張力を加えて、蓋箔を巻き取りドラム30の本体周りに巻き付ける。
【0128】
剥離駆動ラチェット車輪48のプレート90は、巻き取りドラム駆動歯車40の後面に対し支持され、巻き取りドラム駆動歯車40の歯車歯の間にはプレート90の略円形輪郭を見ることができる。巻き取りドラムラチェット車輪50の一部も、
図12の正面図において、巻き取りドラム30の背後に見える。
【0129】
図13は、巻き取りドラム30の背面図である。巻き取りドラム30の基部の周りの歯車歯140は、後面に設けられるラチェット歯のリング146のリングと共に明瞭に見ることができる。使用時には、ラチェット歯146はラチェット爪のペア148に係合し、ラチェット爪のペア148は、巻き取りドラムラチェット車輪50の両側に設けられて、
図14に示す巻き取りドラムラチェット車輪50の前面から延在している。歯車歯150は、内向き湾曲部分152に近接して、巻き取りドラムラチェット車輪50の外縁部分に設けられている。
【0130】
図15は、巻き取りドラム駆動系60の背面図である。この背面図では、巻き取りドラムラチェット車輪50上のラチェット爪148及び歯車歯150が、巻き取りドラム30上のラチェット歯146及び剥離駆動ラチェット車輪48上の歯付き部分104にそれぞれ係合している様子を示している。歯車歯150が歯付き部分104に係合したまま、剥離駆動ラチェット車輪48の時計回りの回転138が巻き取りドラムラチェット車輪50に伝達され、この結果生じる反時計回りの回転144が、ラチェット爪148及びラチェット歯146を介して巻き取りドラム30に伝達されることになると理解されるだろう。歯車歯150が歯付き部分104の端部に到達するとき、巻き取りドラムラチェット車輪50の内向き湾曲部分152は、剥離駆動ラチェット車輪48の湾曲外縁部を受け入れ、ジュネーブ様式係止を提供して巻き取りドラムラチェット車輪50を更なる回転に対して保持する。前述したように、ラチェット爪148は、ラチェット歯146を越えて撓み、剥離駆動ラチェット車輪48及び巻き取りドラム駆動歯車40によって駆動される巻き取りドラム30の更なる反時計回りの回転144を可能にする。しかしラチェット爪148は、ラチェット歯146に係合して、巻き取りドラムラチェット車輪50が静止している間に巻き取りドラム30の任意の時計回りの回転に抵抗することができる。
【0131】
図16は、吸入装置2の全機構の背面図であり、吸入装置2は、中央論理ハブ36と、巻き取りドラム駆動系60と、第1の割り出し車輪駆動系52及び第2の割り出し車輪駆動系54と、を含む。また、背面図は、第1の割り出し車輪12の後面に設けられるボス118及び切欠き122と同様に、第2の割り出し車輪14の後面にあるボス128の切欠き134を示す。第2の割り出し車輪14の切欠き134は、後部シャーシ6に設けられる第2のラチェット爪74に係合するように構成され、これは第1の割り出し車輪12の切欠き122が第1ラチェット爪72に係合するのと同様である。しかし、反対方向への回転に抵抗する。
【0132】
マウスピースカバー10も断面図で示され、マウスピースカバー10上に形成される内側凸部66及び外側凸部68を含んでいる。内側凸部66は、剥離駆動ラチェット車輪48内の略三日月形状スロット94を通って延在する、割り出し駆動ラチェット車輪46の突出部86に当接して示されている。外側凸部68は、剥離駆動ラチェット車輪48上の突出部98に当接して示されている。スライダ58も、破線で図示されるスライダ58の不明瞭な前面に設けられるタブ154と共に示されている。タブ154は、割り出し駆動ラチェット車輪46の凹部88(図示せず)又は剥離駆動ラチェット車輪48に設けられる同様の凹部156のいずれかに係合して、一方又は他方の構成要素を回転に対して選択的に係止する。
【0133】
図16に図示するように、マウスピースカバー10は完全に開いており、用量は吸入装置2から吸入されたばかりである。この位置からの装置2の動作を以下の図面で説明する。
【0134】
図17は、マウスピースカバーが閉じる初期段階を示す。マウスピース10は、矢印の方向32に約45°回転している。外側凸部68が剥離駆動ラチェット車輪48上の突出部98に係合して、剥離駆動ラチェット車輪48を直接駆動し、吸入装置2を正面から見たときの反時計回りである、マウスピースカバー10と同じ方向158に回転させる。他の構成要素はいずれも
図16に示す位置から回転しない。ラチェット爪100は、剥離駆動ラチェット車輪48が巻き取りドラム駆動歯車40内で反時計回りに回転することを可能にする。剥離駆動ラチェット車輪48の湾曲外縁部は、巻き取りドラムラチェット車輪50上の歯車歯150が剥離駆動ラチェット車輪48の歯付き部分104への係合に近づくとき、
図17に示す点の直後まで、巻き取りドラムラチェット車輪50の内側湾曲部分152を越えて走行する。スライダ58のタブ154は、割り出し駆動ラチェット車輪46の凹部88に係合して割り出し駆動ラチェット車輪46の回転を防止し、これにより割り出し車輪12、14のいずれも割り出しを行わない。剥離駆動ラチェット車輪48と割り出し駆動ラチェット車輪46との間の相対回転によって、ねじりバネ56が蓄勢される。
【0135】
図18は、次の動作段階を示す。マウスピースカバー10が閉鎖32を続けると、剥離駆動ラチェット車輪48の更なる反時計回りの回転158が生じ、歯付き部分104が巻き取りドラムラチェット車輪50上の歯車歯150に係合する。これにより巻き取りドラムラチェット車輪50及び関連する巻き取りドラム30が、(正面から見たときに)時計回り160に回転し、これによりマウスピースカバー10が閉じるときに両蓋箔の張力が低減する。タブ154は、依然として割り出し駆動ラチェット車輪46の回転を防止しているが、ここでは剥離駆動ラチェット車輪48に設けられる凹部156の縁部に近接して
いる。剥離駆動ラチェット車輪48上の半径方向突出部153も、スライダ58の半径方向内側端部に近接している。
【0136】
図19は、マウスピースカバー10が全閉位置にあることを示す。マウスピースカバー10が移動32し続けると、巻き取りドラム30が時計回り160に更に回転して、蓋箔への張力が更に低減し、巻き取りドラム30と第1の割り出し車輪12及び第2の割り出し車輪14との間の蓋箔が弛む。
【0137】
剥離駆動ラチェット車輪48も更に回転して確定点を越えており、確定点では、割り出し駆動ラチェット車輪46の凹部88に設けられる半径方向凸部153及び傾斜面と、剥離駆動ラチェット車輪48に設けられる凹部156とが、スライダ58を半径方向外向きに誘導/付勢して、タブ154が凹部88から凹部156内に移動する。ここで自由である割り出し駆動ラチェット車輪46は、割り出し駆動ラチェット車輪46の突出部86がマウスピースカバー10の内側凸部66に当接するまで反時計回りの方向に回転することによって、ねじりバネで駆動され、剥離駆動ラチェット車輪48に「追いつく」。
図8に関連して上述したように、割り出し駆動ラチェット車輪46のこの反時計回りの回転116は、第1の割り出し車輪駆動系52を介して伝達されて、第1の割り出し車輪12を時計回りの方向162に1つの凹部13又は1用量だけ前進させ又は割り出して、同様に第1のスプール車輪22を駆動してベース箔を巻き取る。剥離駆動ラチェット車輪48の切欠きのペア106は、後部シャーシ6上のラチェット爪72、74と整列するように位置し、ラチェット爪72、74が撓むことを可能にして、第1のラチェット爪72が第1の割り出し車輪の回転を妨げないようにする。
【0138】
割り出し動作は最初の使用済み蓋箔にも張力を加えるが、これは巻き取りドラム30の時計回りの回転160によって生じる弛みを巻き取るのに役立つだけである。この結果、蓋箔はブリスターストリップから剥離せず、代わりに第1の割り出し車輪12と空気路マニホールド8の開封部16との間に設けられる空間内の未開封ブリスターストリップの上に折り返される。これは、
図23Aにより詳細に示されている。
【0139】
図20は、マウスピースカバー10が開く初期段階を示す。マウスピースカバー10が開移動34することにより、マウスピースカバー10の内側凸部66と割り出し駆動ラチェット車輪46の突出部86との係合を介して、割り出し駆動ラチェット車輪46が時計回り126に回転する。
図9及び
図10で上述したように、この時計回りの回転126により第2の割り出し車輪14及び第2のスプール車輪24が駆動され、両方が反時計回りの方向164に回転して、第2のブリスターストリップが前進/割り出しを開始する。剥離駆動ラチェット車輪48は回転に対して係止されたままであり、巻き取りドラム30は駆動せず、切欠き106はラチェット爪72、74の移動を可能にし続けて、第2のラチェット爪74は第2の割り出し車輪14の反時計回りの回転164を妨げない。
【0140】
図21は、マウスピースカバーの更なる開放34と、結果として生じる割り出し駆動ラチェット車輪46の更なる時計回りの回転126と、結果として生じる第2の割り出し車輪14及び第2のスプール車輪24の反時計回りの回転164と、を図示する。ここで第2の割り出し車輪14は、
図19に示す位置から、1つの凹部15又は1用量だけ前進又は割り出ししている。以前と同様に、マウスピースが閉じる間に蓋箔に生じる弛みは、割り出し中に蓋箔が第2のブリスターストリップから剥離することを回避する。タブ154は
図21の割り出し駆動ラチェット車輪46の凹部88に近接しており、任意の更なる移動により、タブ154を剥離駆動ラチェット車輪48の凹部156から割り出し駆動ラチェット車輪46の凹部88へと付勢することになる。
【0141】
図22では、マウスピースカバーは、更なる確定点を通って/越えて、マウスピースカバーの全開位置まで移動34している。割り出し駆動ラチェット車輪46の最終的な時計回りの回転126により、タブ154が剥離駆動ラチェット車輪48の凹部156から割り出し駆動ラチェット車輪46の凹部88に半径方向内向きに移動することを可能にする。これにより、剥離駆動ラチェット車輪48が自由になり、ねじりバネ56の駆動下で時計回りに回転138し、この回転が巻き取りドラムラチェット車輪50及び巻き取りドラム30の両方に伝達される。
【0142】
巻き取りドラムの突然の回転144bによって、両方の蓋箔に同時に張力が加わり、各ブリスターストリップ内の次の吸入用量が露出する。
図12~
図15に関連して上述したように、巻き取りドラム30の反時計回りの回転144bは、巻き取りドラムラチェット車輪50の反時計回りの回転144aよりも大きくなる。これにより、巻き取りドラム30は用量の投与後にマウスピースが閉じる時に蓋箔の張力を解放する一方、マウスピースが開く時に次の用量から蓋箔を効果的に剥離することを可能にする。また、剥離駆動ラチェット車輪48の突然の回転によって、切欠き106が移動して後部シャーシ6上のラチェット爪72、74と整列しなくなり、第1の割り出し車輪12及び第2の割り出し車輪14を回転に対して効果的に係止する。
【0143】
使用者が露出した用量を吸入すると、吸入器は、
図16に示して説明した構成に戻る。
【0144】
図23は吸入機構の一部の概略的な正面図であり、吸入装置2を通る第1のブリスターストリップ166及び第2のブリスターストリップ168の経路を図示する。
図19に関連して説明したように、吸入器のマウスピースカバー10は完全に閉じているので、巻き取りドラム30は時計回り160に回転して、分離した第1の蓋箔170及び第2の蓋箔172の張力を能動的に解放する。しかし、第1の割り出し車輪12の時計回りの回転162により、第1のブリスターストリップ166のベース箔174が前進し、第1の割り出し車輪の周りで第1の蓋箔170が引きずられる。前述したように、巻き取りドラム30の時計回りの回転160によって各蓋箔170、172に1割り出し距離に相当する弛みが生じるので、第1の割り出し車輪12を前進/割り出ししても、第1の蓋箔170には張力がほとんど又はまったくない。
【0145】
この段階では第2の割り出し車輪14は回転していないので、第2の蓋箔172は弛んだままである。このように、第1の割り出し車輪12の急激な移動によって第1の蓋箔170に発生し得る任意の過剰な張力176は、第2の蓋箔172に向かう張力バランサ28の移動178によって受け入れることができる。したがって、張力バランサ28は張力を解放又は管理する更なる手段として作用することができ、第1の割り出し車輪12が既にこの位置に前進/割り出ししていても、マウスピースカバー10を閉じた状態で両方の蓋箔170、172の張力が最小限に維持される。
【0146】
図23Aは、
図23に「A」と記された部分の拡大図である。第1のブリスターストリップ166は、第1の割り出し車輪12の周りを通過するように示されており、第1の充填ブリスターポケット180及び第2の充填ブリスターポケット182、並びに空のブリスターポケット184が図示されている。第2の充填ブリスターポケット182は、空気路マニホールド8の開封部16の下の位置まで前進している。第1の蓋箔174は、第1の割り出し車輪12と空気路マニホールド8との間の空間において、第2の充填ブリスターポケット182の上に折り返し186されている。巻き取りドラム30の反時計回りの回転144bによって蓋箔170、172に張力188が加えられるとき、第1の蓋箔170は、中間シャーシ4に設けられる静的な剥離嘴部又は端停止部190の周りに引っ張られて、第2の充填ブリスターポケット182から剥離されることになる。
【0147】
前述の説明から、吸入装置2の機構の動作は、機構の単一の作動(マウスピースカバー10の移動)から生じるいくつかの別個の作用を含み、これらの作用は多数の確定点を包含することが理解されるだろう。いくつかの確定点を越え、一方で他の確定点に未到達のままである場合に発生する可能性のある問題としては、例えば以下のものが挙げられる。
・バネの過蓄勢及び過少蓄勢
・装置の強制的な同期解除
・ブリスターの剥離失敗、又は吸入製剤の適切な提示の失敗
・不正確な用量計量
・失敗をもたらす構成要素の過大張力。
【0148】
したがって、このような作用は互いに結び付けられ又は連結されることが有益であり、もはや分離可能ではなく、十分な同期を伴うことでこれらの課題を回避しなければならない。
【0149】
上述のこの吸入装置2は、「追いつき」機構を使用する。マウスピースカバー10が開くときに、マウスピースカバー10は割り出し駆動ラチェット車輪46を駆動し、割り出し駆動ラチェット車輪46は開放角度だけ回転してからスライダ58を解放する。スライダ58は、剥離が完了するまで剥離駆動ラチェット車輪48を解放して回転する。マウスピースカバー10が閉じる間、剥離駆動ラチェット車輪48は、スライダ58をリセットするまで後退駆動される。これにより割り出し駆動ラチェット車輪46は解放されて、第1の割り出し車輪12が割り出しするまで後退回転する。
【0150】
ラチェット/爪は、割り出し駆動ラチェット車輪46を第1の割り出し車輪12及び第2の割り出し車輪14の両方に連結するとともに、割り出し車輪12、14の両方を後部シャーシ6に連結し、巻き取りドラム30を巻き取りドラムラチェット車輪50に連結する。吸入装置2は、これらのラチェットリセット点の全てが、スライダ58が解放される確定点に「スレーブ」であることを確実にすることを目的とする。
【0151】
マウスピースが開く時の確定点において、スライダ58は、凹部88、156上に設けられる傾斜面によって、剥離駆動ラチェット車輪48により割り出し駆動ラチェット車輪46に強制的に押し下げられるか、又は半径方向内向きに押し込まれる。これにより、スライダ58が解放されて剥離駆動ラチェット車輪48が回転可能なときに、割り出し駆動ラチェット車輪46の最終的な回転は小さくなる。この最終的な回転は、ラチェットをリセットする窓、具体的には、第2の割り出し車輪14の移動及び第1の割り出し車輪駆動歯車42に対する割り出し駆動ラチェット車輪46の移動に関連するラチェットをリセットする窓を提供する。これらは割り出し駆動ラチェット車輪46の移動の最終部分で起こるので、剥離駆動ラチェット車輪48の移動に結び付くことになり、別々に作動することが不可能となる。
【0152】
戻りストローク時、マウスピースカバー10が閉じるときに、剥離駆動ラチェット車輪48がスライダ58を割り出し駆動ラチェット車輪46との係合から押し戻すのに十分なほど回転するとき確定点が生じ、これに関連するラチェット爪リセットと共に、割り出し駆動ラチェット車輪46を回転させて第1の割り出し車輪12に割り出しさせる。したがってこの割り出しは確定点に結び付けられ、どちらも別々に作動することができない。
【0153】
全体的な発明概念の範囲から逸脱することなく、記載された吸入装置に対する様々な変更が可能である。例えば第1の割り出し車輪12及び第2の割り出し車輪14の回転は、上述のように第1の爪72及び第2の爪74によってではなく、第1の割り出し車輪12及び第2の割り出し車輪14上に設けられる湾曲ジュネーブ係止面と、剥離駆動ラチェット車輪48上に設けられる湾曲ジュネーブ係止面とを相互作用させることによって、選択的に防止することができる。
【0154】
蓋シート/箔の剥離は、代替手段によって達成することもできる。例えば割り出し車輪は、ストリップを回して割り出しする間に直線的に移動するように配置され、割り出し車輪をストリップに沿って1つのブリスターポケット分だけ効果的に転がしてから、割り出し車輪の回転を係止して割り出し車輪の軸線を元の位置に後退するように平行移動させることができる。これにより蓋箔巻き取りシステムは、割り出し車輪が平行移動するときに蓋箔を剥離することを可能にするだろう。代替的に、割り出し中に第1の割り出し車輪12及び第2の割り出し車輪14の両方のうち一方と共に回転する移動剥離嘴部を設けてから、解放して蓋箔の剥離を可能にすることができる。これらの配置はいずれも移動剥離前部位置を本質的に提供し、これにより蓋箔の張力を能動的に後退させて弛ませ、その後張力を再度加えて剥離動作を行う必要性を回避する。これは、より複雑でない全体的な機構を提供することを潜在的に可能にする。
【0155】
図24は、移動剥離嘴部配置の例を示す。簡単に説明すると、この図は、単一の割り出し車輪214が見える、代替吸入装置の機構の片側を示す。図示の機構は、中央入力ハブ歯車236と、使用済み蓋シート又は箔の巻き取りドラム/ハブ230と、使用済みベース/ベース箔を受け入れるスプール車輪224と、も含む。
【0156】
割り出し車輪214の周りには、移動剥離嘴部構成要素290が設けられている。移動剥離嘴部構成要素290は、剥離前部を画定し、ラチェット爪292を備え、このラチェット爪292は、割り出し車輪214上に設けられるか、又は割り出し車輪214に関連して設けられる、ラチェット歯296に係合するように示されている。ラチェット爪292上にはピン294が設けられており、バネ式剥離アクチュエータ(図示せず)が必要に応じてラチェット爪292をラチェット歯296から係合解除することができる。
【0157】
未使用のブリスターストリップを収納する収納ハブ218も示されている。収納ハブ218は、前部歯車又は内側歯車218Aと、後部歯車又は外側歯車218Bとを備え、これらの歯車の間にはねじりバネが配置されている。内側歯車218Aは、図示のように入力ハブ歯車236の回転によって駆動され、この駆動は割り出し車輪214及びスプール車輪224に直接伝達されて、ブリスターストリップを前進させる。巻き取りドラム/ハブ230は、その代わりに外側歯車218Bに係合する。移動剥離嘴部290が割り出し車輪214と共に回転するときに、蓋箔に発生する張力が巻き取りドラム/ハブ230を巻き取り方向に対して回転させ、外側歯車218Bを内側歯車218Aとは反対方向に駆動し、収納ハブ218内のねじりバネを蓄勢する。
【0158】
用量を開封するとき、剥離アクチュエータ(図示せず)はピン294に係合して、ラチェット爪292をラチェット歯296から解放する。これにより移動剥離嘴部構成要素290が自由になり、割り出し車輪214に対して回転する。次いで、蓄勢されたねじりバネは、後部/外側歯車218Bを駆動して蓋箔を巻き取り、割り出し車輪214が静止状態で保持されているときに用量を剥離して開封する。
【0159】
移動剥離嘴部構成要素290はまた、空気路の余分部分(図示せず)を含み、割り出し車輪214上の剥離した用量/ブリスターと吸入装置のマウスピースとの間に通路を提供する。
【0160】
図24に示される機構は吸入器の後部プレート206に対して組み立てて示され、完全な機構の左側を構成する。入力ハブ歯車236は、後部プレート206を通してマウスピースカバー(図示せず)に接続される後部ラチェットリング240によって取り囲まれて、機構が矢印の方向234にのみ駆動される。この駆動は、マウスピースを閉位置から開位置に移動するときに起こる。
【0161】
図25は、移動剥離嘴部構成要素290を組み込んだ完全な吸入器202の分解図である。後部プレート206は分解図から省略されているが、
図24で論じた残りの構成要素は、収納ハブ218の前部歯車218A及び後部歯車218Bとの間に設けられるねじりバネ256と共に示されている。マウスピース及び空気路マニホールド208と、マウスピースカバー210と、直線的に移動する剥離アクチュエータ258と、も示されている。
【0162】
図25には、機構の右側を構成する同等の構成要素も示されている。機構の右側は、前部入力ハブ歯車236′によって駆動され、前部入力ハブ歯車236′は、前部ラチェットリング240′によって取り囲まれている。右側の割り出し車輪には符号212が付され、右側のスプール車輪には符号222が付され、他の構成要素には左側の構成要素と同等の符号が付されてプライム記号で区別されている。機構の左半部及び右半部は一般的に類似しているが、組立体の後部に向かって追加歯車228が設けられて、右側収納ハブ218′の一部を形成する。
【0163】
簡単に説明すると、本発明による吸入器のこの第2の実施形態は、中央ハブに接続される移動マウスピースカバーを備え、中央ハブは、それぞれ別個の歯車系に関連付けられる一方向ラチェット車輪のペアを備える。これにより、マウスピースカバーを閉じる作用で第1の割り出し車輪が前進し、一方マウスピースカバーが開く作用で第2の割り出し車輪が前進することが可能になる。中央ハブには、バネ剥離アクチュエータの移動を制御するカムトラックも組み込まれている。マウスピースカバーが中間位置又は確定点を越えて開くとき、上述のように剥離アクチュエータが解放されて剥離嘴部構成要素のペアが自由になり、マウスピースが閉じる時にリセットされる。剥離アクチュエータは、直線運動に拘束される。
【0164】
用量吸入後、機構の右側が最初に前進するので、以下、右側の構成要素を第1の割り出し車輪212、第1のスプール車輪222等と呼ぶこととする。
【0165】
図26は、組み立てられた機構の正面図である。図示のように、マウスピースカバーは用量吸入後に閉じている。前部ラチェットリング240′は、マウスピースが閉じるときに前部入力歯車236′を矢印の方向232に回転させ、機構の右側を前進させて第1の割り出し車輪212を1ステップ/用量だけ回転させ、第1の剥離嘴部構成要素290′を図示の位置まで回転させる。
【0166】
マウスピースカバー210が閉じる間、入力歯車236′は収納ハブ218′の内側歯車218A′を直接駆動し、この直接駆動は、第1の割り出し車輪212(追加歯車228を介して-
図27参照)及び第1のスプール車輪222に伝達されて、ブリスターストリップを前進させる。第1の巻き取りドラム/ハブ230′は、外側歯車218B′に係合される。移動剥離嘴部290′が割り出し車輪214と共に回転するとき、蓋シート/車輪に発生する張力が巻き取りドラム/ハブ230を巻き取り方向に対して回転させ、外側歯車218B′を内側歯車218A′とは反対方向に駆動し、第1の収納ハブ218内のねじりバネ256′を蓄勢する。また、前部ラチェットリング240′に設けられる剥離アクチュエータカムトラック241は、付勢バネの力に抗して剥離アクチュエータ258を図示の位置まで垂直下方に移動させて、第1の剥離嘴部290′は回転中に第1の割り出し車輪から係合解除されない。
【0167】
マウスピースカバー210が開くとき、前部ラチェットリング240′は矢印の方向234に回転する。これによりラチェット爪250′を撓ませ、マウスピースが開く間には駆動が機構に伝達されない。
【0168】
図27は、組み立てられた機構の背面図である。
図25に示されている構成要素の後面が、第1の割り出し車輪212に係合されている追加歯車228と共に見える。追加歯車228は、第1の収納ハブ218′の内側車輪218A′に直接接続されており、マウスピースカバーが閉じるときに追加歯車228が回転すると、
図26に示すように第1の割り出し車輪212を直接駆動する。マウスピースカバーが開くことによって後部ラチェットリング240が方向234に回転すると、
図25に示すように第2の割り出し車輪214、第2のスプール車輪224等を駆動する。ラチェット爪250は撓み、マウスピースが閉じる間に機構を前進させることなく、後部ラチェットリング240が矢印の方向234に回転することを可能にする。追加歯車228は後部入力歯車236に係合していないため、後部ラチェットリング240のいかなる移動によっても駆動されない。
【0169】
したがって、2つの一方向ラチェットリング240、240′は、マウスピースの開閉時に機構の異なる半部側を駆動することが理解されるだろう。特に、第1の割り出し車輪212はマウスピース210が閉じる間にのみ駆動され、第2の割り出し車輪214はマウスピースが開く間にのみ駆動される。
【0170】
図28及び29は、剥離アクチュエータ258を隔離して示している。
図28の正面図は、前部ラチェットリング240′内のカムトラック241に係合する、剥離アクチュエータ258の下端部におけるピン260を示す。
図29は、剥離アクチュエータ258の後部上の先端部(prong)のペア262を示す。使用時には、先端部262が両方の剥離嘴部290、290′のラチェット爪292のピン294に同時に係合して剥離嘴部290、290′を解放し、巻き取りドラム/ハブ230、230′が回転して2つのブリスターストリップの各々から蓋箔を引き出し、吸入用量を露出させることを可能にする。
【0171】
図30は、前部ラチェットリング240′の後側を示し、剥離アクチュエータ258のピン260を誘導するカムトラック241の詳細を提供する。カムトラックを通るピン260の経路が矢印で図示されている。用量が吸入器から放出されるとき、外側トラック242は、マウスピースカバー210を閉じることによって回転232が生じる間に、ピン260を前ラチェットリング240′に対して内向きに付勢する。これにより、マウスピースカバー210が完全に閉じるまで、バネの力に抗して剥離アクチュエータ258を下方に移動させる。マウスピースカバー210が開く234間に、ピン260は内側トラック244によって代わりに拘束され、内側トラック244は、剥離アクチュエータ258を退避位置に保持する。外側トラック242と内側トラック244との間に弾性仕切板(divider)246が設けられて、内側トラック244の外壁を提供する。仕切板246は、マウスピースカバーが閉じる間にピン260がカムトラック241の(図示の)左端部に近づくときに撓み、ピン260が外側トラック242から内側トラック244に移動することを可能にする。これは
図26の正面図に示す位置である。次いで、仕切板246は
図30に示す位置に戻り、その後マウスピースカバーが開く間にピン260が外側トラック242に戻ることを防止する。
【0172】
マウスピースカバー210が完全に開くとき、ピン260はカムトラック241の(図示の)右端部に到達し、次いでカムトラック241の直線部248内に移動することができ、直線部248は、全開位置における吸入器本体に対して実質的に垂直に配置される。これにより、第2の割り出し車輪214が1ステップ/用量だけ前進した直後に確定点が生じ、確定点において剥離アクチュエータ258はそのバネの力の下で自由に垂直に移動し、剥離嘴部290、290′を解放して、患者による吸入用量の覆いをとる。
【0173】
本発明の更なる実施形態を
図31~
図35に図示する。この実施形態は2つのブリスターストリップを受け入れる単一の二重高さ割り出し車輪を備えるが、この機構は、所望であれば、単一のブリスターストリップに対して提供され得ることは明らかである。マウスピースカバーが開くときに、一方向ラチェット車輪が割り出しシステムを駆動する。ねじりバネを備える、
図24に記載された収納ハブ218と同様の構造を有するバネ式遊動部が、マウスピースカバーと蓋シート巻き取り構成要素との間の駆動系内に設けられ、上述したものと同様の移動剥離嘴部構成要素が含まれる。割り出し車輪及び剥離嘴部構成要素が、マウスピースカバーが開く間の中間位置に対応する確定点を越えて回転するとき、吸入器のシャーシに設けられるカムトラックは、移動剥離嘴部構成要素のラチェット爪上のピンに係合して、移動剥離嘴部構成要素を自由にする。
【0174】
図31は、この第3の実施形態の分解図である。この分解図は後部から見たものであり、したがって、外側収容部内に配置されている吸入装置302の様々な構成要素の後側を示す。
【0175】
この機構は、いくつかの歯車付き構成要素から形成され、中間シャーシ304及び後部プレート306によって所定の位置に保持される。
【0176】
2つのブリスターストリップ366、368もまた並んで示されており、各ストリップ内の薬剤の個々のポケットが、吸入器の頂部に向かって配置される二重高さ割り出し車輪の形態で、割り出し装置312内の凹部内に並んで位置している。移動剥離嘴部構成要素390も提供される。
【0177】
また、ブリスターストリップ366、368の使用済みベースシート/箔を前進させて受け入れるスプール車輪322と、使用済み蓋シート/箔を受け入れる巻き取りドラム330と、が示されている。バネ式遊動部318は、第1の遊動歯車352及び第2の遊動歯車354と共に、前部歯車318A及び後部歯車318Bから形成され、前部歯車318A及び後部歯車318Bの間にねじりバネ356が配置される。
【0178】
後部ラチェット構成要素340は、マウスピースカバー310へ接続し、中央入力ハブ歯車336の後部の空洞内に適合して、入力ハブ歯車336を一方向にのみ駆動させる。
【0179】
図32は、吸入装置302内の機構の組立体を示す。入力ハブ歯車336は、マウスピースカバー310が開くときに時計回りの方向334に駆動され、割り出し車輪312並びに第1の遊動歯車352及び第2の遊動歯車354を直接駆動する。第1の遊動歯車352はスプール車輪322に駆動を伝達し、第2の遊動歯車354はバネ式遊動部の前部歯車318Aに駆動を伝達する。
【0180】
図33は、吸入機構の背面図である。移動剥離嘴部構成要素390は、割り出し車輪312の一部を取り囲み、割り出し車輪312とマウスピース及び空気路マニホールド308との間の空間を占めていることが分かる。バネ式遊動部318の後部歯車318Bは、巻き取りハブ330に係合するように示されており、ねじりバネ356は、巻き取りハブ330及び機構内の他の構成要素の所要の回転差に対応することができる。
【0181】
後部ラチェット構成要素340の入力ハブ歯車336への係合を見ることができ、ラチェット構成要素340は、マウスピースカバーが開く間に矢印の方向334に回転するときはハブ歯車336を駆動するが、マウスピースカバー310が閉じるときに反対方向に回転するときはハブ歯車336に対して回転できることが理解されるだろう。
【0182】
また、マウスピースが開くことによって生じる入力ハブ歯車336の(吸入器の正面から見たときの)時計回りの回転334は、図示のように、割り出し車輪312の反時計回りの回転364に伝達されることが理解されるだろう。フック又は爪392も剥離嘴部構成要素390の後部に見ることができ、ピン394が爪392の残りの部分から隆起して示されている。
【0183】
図34は、
図33に示す機構からの割り出し車輪312及び移動剥離嘴部構成要素390の背面平面図である。剥離嘴部構成要素390上の爪392は、割り出し車輪312の後側に設けられる一連の半径方向内向きに延在するラチェット歯316のうちの1つに係合して示されており、剥離嘴部390は、キャップが開く間に割り出し車輪312と共に矢印の方向364に回転する。割り出し車輪312及び剥離嘴部構成要素390が一緒に回転するときに、ブリスターストリップ366、368の剥離前部が割り出し車輪と共に移動する。これにより蓋シート/箔に張力が発生し、巻き取りハブ330が反対回転し、バネ式遊動部318内のねじりバネ356が蓄勢される。
【0184】
図35は、後部プレート306と、後部プレート306に設けられて剥離アクチュエータとして作用するカムトラック358と、を示す。剥離嘴部390が割り出し車輪312と共に方向364に回転するときに、爪392のピン394は、矢印344及び348によって示されるようにカムトラック358を通過する。矢印344で示される円弧は、割り出し車輪312を1用量/1ステップ未満だけ前進させるのに必要な回転に対応する。マウスピースカバー310がこの確定点を越えて更に回転すると、カムトラック358の第2の傾斜部分348がピン394を誘導して、剥離嘴部構成要素390上の爪392が、
図34の矢印378で示されるように半径方向内向きに移動する。割り出し車輪312は、爪392が退避するときに反時計回りの方向364に回転し続けて、割り出し車輪312上の先に係合していたラチェット歯316が爪392を越えて移動する。これにより、ピンがカムトラック358を通過して戻る状態で、剥離嘴部構成要素390が自由になり、割り出し車輪312に対して時計回りに回転する。次いで、バネ式遊動部318内の蓄勢されたねじりバネ356が、巻き取りハブ330を回転させて蓋箔を巻き取り、剥離嘴部構成要素390が回転するときに用量を剥離する。
【0185】
割り出し動作中に前部歯車318A及び後部歯車318Bが逆回転するため、ねじりバネ356は、巻き取りハブ330を2ステップ又は用量に相当する分だけ駆動するのに十分なほど蓄勢される。これにより、巻き取りハブは、(剥離嘴部構成要素390の移動を可能にするのに必要な)「解放された」蓋シートを巻き戻すこと、及び新しい用量を剥離して開封することを確実にする。
【0186】
剥離嘴部構成要素390上の爪392は、この移動中に、割り出し車輪の次のラチェット歯316に自動的に係合する。後部プレート306はまた、割り出し車輪312の後部上で軸線方向ラチェット歯320に係合する爪372を提供して、用量が剥離される間の割り出し車輪312の反対回転を防止し、マウスピースが次の使用の準備で閉じるときにラチェット構成要素340に抵抗を提供する。
【0187】
図36~46は、本発明の別の実施形態を示す。この第4の実施形態では、ジュネーブ係止及び間欠歯車装置を使用して所望の時間調整(timing)を実現し、マウスピースカバーが開くことによって同心の調時歯車車輪のペアを回転させて、割り出し車輪のペアを連続的に駆動する。カム従動子は、ねじりバネでバネ付けられて双安定性をもたらし、マウスピースカバーからの回転を調時歯車車輪に伝達し、この回転によって吸入器シャーシ内のカムトラックに沿って前進する。マウスピースカバーが中間位置又は確定点まで開くと、カムトラックが従動子を「反転(flip)」させてプッシュロッドを作動させる。このプッシュロッドは直線的に移動して、上述のものと同様の移動剥離嘴部構成要素のペア上に設けられるラチェット爪を解放する。この「反転」により、調時歯車車輪が係合解除される。マウスピースカバーが閉じると、カム従動子が完全にリセットされ、調時歯車車輪に再係合する。一方、一方向ラチェットは、カム従動子が係合解除される間、割り出し車輪が反対回転するのを防止する。割り出し車輪のペアの一方には更なるカムトラックが設けられて、マウスピースが開く間にプッシュロッドをリセットする。マウスピースカバーからの駆動は、
図24のバネ付勢収納ハブ218と同様に、バネ付勢収納ハブを介して蓋シート巻き取り構成要素に伝達される。
【0188】
図36は、最も外側の収容部/本体構成要素が省略された吸入器402の分解図である。前部プレート405及び後部プレート406と共に中間シャーシ404が示されている。後部プレート406に示された凹部407によって示されるように、後部プレート406と中間シャーシ404との間に様々な歯車付き構成要素が組み立てられて、別個の左側駆動系及び右側駆動系を構成している。
【0189】
明確にするために、右側駆動系を構成する構成要素のみが
図36にラベル付けされている。簡単に説明すると、これらは、ブリスターストリップ466の未使用部分の収納ハブとして機能するバネ式遊動部418と、ブリスターストリップを前進させて使用済みベースシートをコイル状に巻く第1の遊動歯車452及びスプール車輪422と、使用済み蓋シート/箔を受け入れる巻き取りドラム430と、を備える。バネ式遊動部418は、第2の実施形態及び第3の実施形態の同等の構成要素218、318と同様に、前部歯車418A及び後部歯車418Bから形成され、前部歯車418A及び後部歯車418Bの間にねじりバネ456が配置される。また、第1の割り出し装置412の一部を形成する前部割り出し出力歯車412A及び後部割り出し出力歯車412Bも示されている。
【0190】
ブリスターストリップ466の個々のブリスターを受け入れるポケットを有する第1の割り出し車輪412Cと、第1の割り出し駆動歯車412Dとが、第1の割り出し装置412の残りを構成し、分解図の正面に示されている。組み立てるとき、後部割り出し出力歯車412Bは前部割り出し出力歯車412A内に受け入れられるが、前部割り出し出力歯車412Aに対して自由に関係している。前部割り出し出力歯車412Aは、第1の割り出し車輪412Cに堅固に接続され、第1の割り出し駆動歯車412Dは、第1の割り出し車輪412Cから延在するピン413に堅固に接続される。
【0191】
吸入器402の左側の同様の配置により、第2のブリスターストリップ368に係合する第2の割り出し装置414を構成する。
図36に図示するように、1つの相違点は、第2の割り出し駆動歯車414Dが単純な歯付き歯車であるのに対し、第1の割り出し駆動歯車412Dは後述するようにジュネーブ係止を提供することである。第2の遊動部454は、第2の割り出し駆動歯車414Dにも関連している。
【0192】
第1の割り出し車輪412Cの周りには、第1の移動剥離嘴部構成要素490が配置されている。剥離嘴部構成要素490は、第1の割り出し車輪412Cの前面の凹部416に選択的に係合するラチェット爪492を含む。組み立てるとき、剥離嘴部構成要素490の前面は、前部プレート405の前面と実質的に面一になっている。
【0193】
前部プレート405の前には、中央入力ハブ歯車436が設けられている。中央ハブ歯車436はカム従動子480によって駆動され、カム従動子480は、マウスピースカバー410に接続されるアーム440によって移動する。前部プレート405内に湾曲カムトラック461が設けられて、アーム440に対するカム従動子480の移動を制御し、後述するように、カム従動子480とアーム440の更なる部分との間に設けられる安定化バネ482の力に抵抗する。
【0194】
前部プレート405内の更なる誘導溝459は、プッシュロッドの形態の剥離アクチュエータ458を受け入れ、剥離アクチュエータ458が直線移動するよう拘束する。剥離アクチュエータ458は、下端部に駆動ピン460を有し、上端部に先端部のペア462を有する。先端部462は、組み立てられた吸入器402の前部プレート405の前面にちょうど隆起して位置決めされ、剥離アクチュエータ458が垂直に移動するとき、各先端部462が剥離嘴部構成要素490のラチェット爪492に係合することができる。また、剥離アクチュエータ458は、ハブ歯車436の後面に設けられる略円形カムトラック441に係合する誘導ピン463を有する。
【0195】
図37は、中央ハブ歯車436の背面図であり、中央ハブ歯車436は、各々が略円形プレートの形態の前半部及び後半部を備えると考えることができる。前半部の円周周りには、4つの歯のペア416が90度の間隔で設けられ、後半部の円周周りには、4つの三つ歯の群420が90度の間隔で設けられる。したがって、ハブ歯車436の各半部は、平滑半径方向部分417、421によって分離される4つの隔離された歯車部分416、420を提供する。前半部及び後半部上の歯車歯の群416、420は、互いに円周方向にオフセットされている。
【0196】
また、中央ハブ歯車436の後部上には、略円形カムトラック441が設けられている。カムトラック441は閉ループを形成し、4つの四分の一の各々が、直線傾斜部分442と、一定半径部分444と、直線半径方向外向き延伸部分448と、を有する。各半径方向外向き延伸部分448は、中央ハブ歯車436の前半部及び後半部上の歯のオフセット群416、420の間に位置している。
【0197】
図38は、カム従動子480の詳細を示す。歯のペア484が設けられて、ハブ歯車436の後半部上の三つ歯の群420に係合する。また、湾曲カムトラック461に係合するピン486、及び剥離アクチュエータ458に係合する凹部485が設けられている。
【0198】
図39及び
図40はそれぞれ、第1の割り出し駆動歯車412D及び第2の遊動部454を示す。第1の割り出し駆動歯車412Dは6つの隔離歯車歯473を有し、隔離歯車歯473は、ハブ歯車436の前半部に設けられる歯車歯のペア416に係合し、第1の割り出し駆動歯車412Dの円周周りの内向き湾曲部分472によって分離されている。各湾曲部分472の半径は、ハブ歯車436の平滑部分417の半径と一致する。使用時には、構成要素の歯416、473が係合しているときには中央ハブ歯車436の回転が第1の割り出し駆動歯車412Dを前進させることになるが、湾曲部分417、472が係合しているときには第1の割り出し駆動歯車412Dが回転に対して保持されることになる。したがって、駆動歯車412Dは、ハブ歯車436とのジュネーブ係止を提供する。
【0199】
第2の遊動部454は、縮径中央部分によって分離される前部歯車車輪及び後部歯車車輪を備え、
図40に後部から示されている。後部歯車車輪は、中央ハブの後部上にある三つ歯の群420に係合する3つの歯車歯のペア475と、中央ハブ歯車436の湾曲部分421と等しい半径を各々有する3つの内向き湾曲部分474と、を有する。前部歯車車輪は、第2の割り出し駆動歯車414Dに係合する歯を有する標準歯車476である。したがって第2の遊動歯車454は、第1の割り出し駆動歯車412Dによって提供されるものと同様の間欠駆動及び係止機能を第1の割り出し駆動歯車414Dに提供する。
【0200】
図41は、組み立てられた機構の正面図である。図示のように、第1の割り出し駆動車輪412D、すなわち第1の割り出し装置は、中央駆動ハブによって回転に対して保持されている。第2の遊動歯車454の前部歯車476は、中央ハブ歯車436に隆起して位置しており、第2の割り出し駆動車輪414Dに係合する一方、後部歯車車輪(図示せず)は中央ハブ歯車436の後半部に係合する。第2の遊動歯車454の縮径中央部分は、前部歯車と後部歯車との間隔を空けて、第2の遊動歯車454のいかなる部分も中央ハブ歯車436の前半部に係合しない。
【0201】
剥離アクチュエータ458は、誘導溝459の頂部にあり、第1の割り出し駆動車輪412D及び第2の割り出し駆動車輪414Dと、第1の移動剥離嘴部構成要素490及び第2の移動剥離嘴部構成要素490′との間に先端部462が挟まれている。カム従動子480及びバネ482はアーム440と共に組み立てられ、マウスピースカバーが開くとき、アーム440は時計回りの方向434に移動し、湾曲カムトラック461に沿ってカム従動子480が移動する。この移動については、機構の隠れた部分を破線で示す以下の図で説明する。
【0202】
図42は、マウスピースカバーが
図41に示す位置からわずかに開いた状態の機構を示す図である。アーム440は時計回り434に回転し、これによりカム従動子480上の歯のペア484と中央ハブ歯車436の後半部上の三つ歯の群420との係合によって中央ハブ歯車436が回転する。この回転中の、略円形カムトラック441の角度傾斜部分442に沿った剥離アクチュエータ458の誘導ピン463の経路が示されており、その結果、剥離アクチュエータ458が下方へ移動して、誘導溝459の頂部から離れる。第1の割り出し駆動車輪412Dの歯車歯473は、ハブ歯車436上の歯のペア416に係合して、更なる回転が第1の割り出し装置412を駆動する。
【0203】
図43は、更なる回転後の機構を示す。カム従動子480の誘導ピン486は、示されているように湾曲カムトラック461の内側部分461Aを通って移動し、ハブ歯車436を駆動し続ける。この回転の結果、第1の割り出し駆動車輪412Dが1ステップ前進している。ハブ歯車436の前半部上の三つ歯のセット420は、第2の遊動部454上の歯のペア475に係合して及び係合から外れて移動し、第2の遊動部454を回転させて第2の割り出し駆動車輪414D、ひいてはしたがって第2の割り出し装置414を1ステップ駆動する。第1の剥離嘴部構成要素490及び第2の剥離嘴部構成要素490′は、前述のように、それぞれの割り出し装置412、414と共に回転して、使用中に移動剥離前部を提供する。
【0204】
中央ハブ歯車436上の歯の群416、420の間隔を空けることで、第1の割り出し駆動車輪412Dが1ステップ前進した後にのみ、第2の割り出し駆動車輪414Dが前進することを確実にする。剥離アクチュエータ458は、剥離アクチュエータ458の誘導ピン463が略円形カムトラック441の一定半径部分444に係合することにより、回転中に退避位置に維持される。
【0205】
図43に示すように、第1の割り出し駆動車輪412D及び第2の割り出し駆動車輪414Dは両方とも、
図42に示す位置から1ステップ前進している。両方とも、第1の割り出し駆動車輪412D及び第2の遊動部454のそれぞれの内向き湾曲部分472、474が、ハブ歯車436の湾曲外面に係合することによって、回転に対して保持される。剥離アクチュエータ458のピン463は、略円形誘導トラック441の半径方向延伸部分448に当接して、ハブ歯車436の更なる回転に抵抗する。
【0206】
マウスピースが完全に開くときに、アーム440は
図43に示す位置から更に回転し、したがってカム従動子480と中央ハブ歯車436とが相対移動する。
図44に示すように、湾曲誘導トラック461の傾斜部分461Bは、この移動中にカム従動子480の誘導ピン486を半径方向外向きに付勢する。これによりカム従動子480は、
図41~
図43に示すように、第1の安定状態から、歯のペア484を中央ハブ歯車436の後半部上の三つ歯の群420から係合解除する第2の安定状態に反転する。この反転作用によりカム従動子がハブ歯車436を越えて移動することを可能にし、また、凹部485が剥離アクチュエータ458の駆動ピン460に係合し、駆動ピン460を誘導溝459の頂部まで垂直に付勢する。これにより、各剥離嘴部構成要素490のラチェット爪492が解放され、吸入準備が整った前進した用量の薬剤の両方を剥離する。したがって、
図43に示す位置は確定点と考えることができ、確定点を超えて剥離動作が行われる。
【0207】
図45は、マウスピースカバー410が閉じるように移動432して、機構がリセットされる様子を示し、この間にカム従動子480はアーム440の移動によって駆動される。カム従動子480の誘導ピン486は、湾曲誘導トラック461の外側部分461Cに沿って通過し、中央ハブ歯車436のいかなる反対駆動も回避する。安定化バネ482は、この移動中にカム従動子480を第2の係合解除状態に維持するのに役立つ。
【0208】
図45に示すように、カム従動子上の歯のペア484は、中央ハブ歯車436の後半部上の異なる三つ歯の群420に近接している。マウスピースカバー410を完全に閉じるときにアーム440が更に移動すると、カム従動子480の誘導ピン486は、湾曲誘導トラック461の最終直線部分461Dを通って移動することになる。これは、カム従動子480を第1の状態に戻し、歯のペア484を中央ハブ歯車436の後半部上の三つ歯の群420に係合させる役割を果たす。このようにして、機構は
図41に示す位置に戻され、次の作動準備が整う。
【0209】
図46は、吸入装置402の後部の歯車装置を示しており、すなわち後部プレート406を取り除いた装置の後部から見た図である。第1の割り出し装置412は、第1の巻き取りドラム430及び第1のバネ式遊動部418に係合している。第1の遊動歯車452はまた、第1のバネ式遊動部418及び第1のスプール車輪422に係合して、吸入装置401の片側の第1の駆動系を完成させる。第2の割り出し装置414を組み込んだ第2の別個の駆動系も設けられている。
図46に駆動系の移動を図示する矢印が追加されている。明確にするために、全移動/駆動の一部が第1の駆動系及び第2の駆動系の各々に図示されており、破線の矢印は、不明瞭な構成要素の係合及び移動を示している。
【0210】
前述のように、第1の割り出し駆動歯車412Dは、マウスピースカバー410が開く間に中央ハブ歯車436の回転によって駆動される。これにより前部割り出し出力歯車412Aが指示回転し、この回転は図示のようにバネ式遊動部418の前部歯車418Aを駆動する。バネ歯車遊動部418の前部歯車418Aは第1の遊動歯車452に係合し、第1の遊動歯車452は第1のスプール車輪422に係合して、使用済みベースシートを駆動し及びコイル状に巻く。第2の駆動系は、第2の割り出し装置414及び第2のスプール車輪422′に対して同様に動作することが理解されるだろう。
【0211】
第1の割り出し装置412及び第2の割り出し装置414が前進するときに、移動剥離嘴部構成要素490、490′により使用済み蓋シートに歪みが加えられ、これにより第1の巻き取りドラム430及び第2の巻き取りドラム430′が回転する。第2の駆動系に図示されるように、第2の巻き取りドラム430′は第2の割り出し装置の後部割り出し出力歯車414Bに係合し、後部割り出し出力歯車414Bは、第2のバネ式遊動部418′の後部歯車418B′への遊動伝達駆動として作用する。前部歯車418A′及び後部歯車418B′の逆回転により、割り出し中にねじりバネ456にエネルギーが蓄積する。このエネルギーは、剥離アクチュエータ458が剥離嘴部構成要素490、490′を解放するときに解放され、第2の巻き取りドラム430′を回転させて用量を剥離するのに十分である。
【0212】
図47~
図60は、割り出し動作及び剥離動作の両方がカムプレートによって制御される、本発明の第5の実施形態を示す。カムプレート上に設けられるカムトラックは、割り出し車輪のペア上のピンに係合し、カムプレート上に設けられるピンは、割り出し車輪に関連する移動剥離嘴部構成要素のペア上のカムトラックに係合する。移動剥離嘴部構成要素と割り出し車輪との間にねじりバネが設けられている。移動剥離嘴部は、マウスピースカバーの移動中にカムプレートによって割り出し車輪が前進する間、最初は回転に対して保持され、マウスピースカバーが中間位置又は確定点を越えて開くときにのみ解除される。第5の実施形態では、ラチェット構成要素はどこにも使用されない。
【0213】
図47は、第5の実施形態による吸入器501の内部構成要素の分解図である。先の実施形態と同様に、中間シャーシ504及び前部プレート505が吸入器501の本体の一部として設けられ、第1の割り出し車輪512及び第2の割り出し車輪514がそれぞれ第1のブリスターストリップ566及び第2のブリスターストリップ568の割り出し装置として設けられている。第1の割り出し装置512及び第2の割り出し装置514の各々は、固定前部歯車518A、518A′と、前部歯車518A、518A′に対して回転可能な後部歯車518B、518B′と、を備える。後部歯車518B、518B′と割り出し装置512、514の残りの部分との間には、ねじりバネ556が接続されている。他の実施形態で説明したように、第1の割り出し装置512及び第2の割り出し装置514の各々を取り囲む移動剥離嘴部構成要素590、590′が設けられて、剥離前部の位置を変化させる。
【0214】
中間シャーシ504の後側には、第1の歯車付き駆動系及び第2の歯車付き駆動系を構成する様々な歯車付き構成要素が示されている。第1の駆動系を構成する構成要素、すなわち第1のスプール車輪522と、第1の巻き取りドラム530と、第1の遊動部552及び第2の遊動部554と、のみが示されている。第1の割り出し装置512及び第2の割り出し装置514の各々の歯車付き部品は、中間シャーシ504の後部を越えて延在して、第1の歯車付き駆動系及び第2の歯車付き駆動系にそれぞれ係合する。第1の割り出し装置512及び第2の割り出し装置514の前面は、前部プレート505内の切り抜き部分を通って延在し、それぞれの移動剥離嘴部構成要素590、590′の前面は、前部プレート505の前に位置してカムプレート536に露出する。ハブ構成要素538は、カムプレート536を可動マウスピースカバー(図示せず)に接続する。
【0215】
図48は、カムプレート536に設けられる複雑な(convoluted)カムトラック541を通る断面図であり、カムプレート536の、第1の割り出し装置512及び第2の割り出し装置514への係合を図示する。第1の割り出し装置512の前面の縁部の周りには第1の6つのピンのリング553が設けられ、第2の割り出し装置514の前面の縁部の周りには第2の6つのピンのリング563が設けられている。
図48に示す構成は、吸入装置501のマウスピースカバーが完全に閉じられ、矢印532で示すようにカムプレートがほぼ反時計回りの方向に移動している。各6つのピンの群553、563のうちの3つは、カムトラック541に係合し、第1の割り出し装置512及び第2の割り出し装置514の両方を回転に対して保持する。
【0216】
図49は、吸入装置501の使用中に、第2の割り出し装置514のピン563がカムトラック541を通って取る経路543を示す。実線の矢印は、マウスピースカバーが開く534間に、カムプレート536が
図48に示す位置から移動する間に取られる経路を示す。これは、マウスピースカバーが開く間に第2の割り出し装置514を駆動する役割を果たす。破線の矢印は、マウスピースカバーが閉じる532ときに同じピン563が取る経路を示し、第2の割り出し装置514を回転に対して保持する。各矢印のペアは、マウスピースカバーの単一の開閉に関連する。
【0217】
また、カムプレート536の後面は、第1の割り出し装置512の前面に設けられる6つのスロット542のうちの1つに係合する駆動ピン540を備えて、マウスピースカバーが閉じる532間に第1の割り出し装置512の回転を駆動する。また、剥離嘴部ピンのペア562が設けられて、吸入装置501の使用中に移動剥離嘴部構成要素590、590′の移動を制御する。
【0218】
図50は、第1の割り出し装置512の6つのスロット542と交差する平面を通る、
図48と同様の装置の更なる断面図である。また、第1の移動剥離嘴部構成要素590及び第2の移動剥離嘴部構成要素590′内の第1の剥離嘴部カムトラック551及び第2の剥離嘴部カムトラック561もそれぞれ示される。駆動ピン540及び剥離嘴部ピン562の断面も見ることができる。
【0219】
第1の移動剥離嘴部構成要素590及び第2の移動剥離嘴部構成要素590′は、第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置に対して自由に回転し、係合ラッチ又はラチェット爪は設けられない。代わりに、これらの移動は、剥離嘴部ピン562が第1の剥離嘴部カムトラック551又は第2の剥離嘴部カムトラック561に係合することによって調節される。移動剥離嘴部構成要素590、590′の各々に設けられる噛合歯車歯596は、これらの移動が結合されることを確実にして、剥離嘴部ピン562が剥離嘴部カムトラック551、561のいずれかに係合することにより、両方の剥離嘴部構成要素590、590′の移動を制御することになる。
【0220】
例えば
図50に示すように、一方の剥離嘴部ピン562は第1の剥離嘴部カムトラック551から係合解除しているが、両方の剥離嘴部構成要素590、590′の移動は、他方の剥離嘴部ピン562が第2の剥離嘴部カムトラック561に係合することによって依然として制御される。実際にカムプレート536のほとんどの位置において、剥離嘴部ピン562の一方又は両方が、剥離嘴部構成要素590、590′を駆動するか又は剥離嘴部構成要素590、590′を回転に対して保持するような方法で、剥離嘴部カムトラック551、561に係合している。例外は、移動剥離嘴部構成要素590、590′が矢印593及び矢印594によって示されるように自由に回転し、用量の剥離を可能にするときであり、剥離嘴部ピン562がマークされた作動位置592にある場合である。
【0221】
図51は、マウスピースカバーが全開位置にあるときのカムプレート536の位置を示す。剥離嘴部ピン562が
図50に示す作動位置592にあるので、移動剥離嘴部構成要素590、590′は、上述のように自由に回転する。カムプレート536の複雑なカムトラック541は、第1の割り出し装置512及び第2の割り出し装置514の様々な構成がカムプレート536の背後で不明瞭になっているのと同様に、破線で示されている。駆動ピン540は、第1の割り出し装置512の前面の6つのスロット542の一方の端部に位置決めされて、マウスピースカバーが閉じる間にカムプレート536が矢印の方向532に移動すると、まず駆動ピン540がスロット542内に最初に移動し、次いで第1の割り出し装置512が前進することになる。
【0222】
図52は、吸入装置を通る2つのブリスターストリップ566、568の経路を示す。第1のブリスターストリップ566が第1の割り出し装置512の周りを走行してから、ベース使用済みベースシートが第1のスプール車輪522によって巻き取られ、使用済み蓋シートが第1の巻き取りドラム530によって巻き取られ、第1の可動剥離嘴部構成要素590内の剥離嘴部の周りを最初に通過する。第2のブリスターストリップ568は、第2の割り出し装置514と、第2のスプール車輪524と、第2の移動剥離嘴部構成要素590′と、巻き取りドラム530′と、の周りで同様の経路を通る。
【0223】
図53は、吸入装置後部の歯車を示す。第1の駆動系では、第1の割り出し装置512の前部歯車518Aが第1の遊動部552を介して第1のスプール車輪522を駆動する。前部歯車518Aが第1の割り出し装置512と共に回転するので、第1のスプール車輪522は、第1の割り出し装置がカムプレート536によって前進するときに駆動される。第1の巻き取りドラム530は、第2の遊動部554を介して、第1の割り出し装置512の後部歯車518Bによって駆動される。前部歯車518A及び後部歯車518Bの間のねじりバネ556は、前述の実施形態で説明したように、動作中の蓋シートの張力の変化に対応し、剥離前部の移動を可能にして剥離動作を制御する。
【0224】
第2の割り出し装置514の後部歯車518B′と第2の巻き取りドラム530′との間に第2の遊動部のペア554′が設けられているが、第2の割り出し装置514に対して第2の同様の駆動系が設けられている。
【0225】
図54~
図60は、様々な構成要素の移動を図示する。
図54は、用量が放出された直後の吸入器501を示す。カムプレート536は、ハブ構成要素538の回転軸線からオフセットされたピン537によってハブ構成要素538に接続されている。マウスピースカバー(図示せず)はこの時点で完全に開いており、第1の剥離嘴部構成要素590及び第2の剥離嘴部構成要素590′は、外向きに回転した位置にある。残りの
図55~
図60は、マウスピースカバーが開く532及び閉じる534間に中央ハブ構成要素538が回転するときのカムプレート536の移動を示す。
【0226】
マウスピースカバーが閉じる初期段階では、
図54から
図55まで、剥離嘴部構成要素590、590′が内向きに回転し始め、第1の割り出し装置512が
図55から
図56に前進する間、回転が継続する。マウスピースカバーが
図57に示す位置まで閉じる最終部分では、剥離嘴部ピン562が第2の剥離嘴部590′内のカムトラック561の最下部を通って移動するときに、蓄勢されたねじりバネ556によって蓋シートに発生する張力が剥離嘴部構成要素590、590′を付勢して、
図50の矢印593、594の方向にわずかに外向き回転させる。
【0227】
図58及び59に示すように、続いてマウスピースカバーが開くと、ハブ構成要素538が534に示すように回転するときに、第2の割り出し装置514が前進する。
図59に示す位置では、両方の割り出し装置512、514及び両方の移動剥離嘴部構成要素590、590′は、カムプレート536によって所定の位置に保持される。
図60に示すように、最終的に開移動する間、カムプレート536内の複雑なカムトラック541は、割り出し装置512、514を静止したまま保持し続け、一方、剥離嘴部ピン562は
図50に示す位置作動位置592に移動し、剥離嘴部構成要素590、590′の外向き回転を可能にする。
【0228】
剥離嘴部構成要素590、590′は吸入装置501の作動後に最初に移動し、これにより剥離前部は吸入装置から剥離される次の用量よりも常に先行していることが理解されるだろう。次いで、剥離嘴部ピン562が第1の剥離嘴部構成要素590及び第2の剥離嘴部構成要素590′のカムトラック551、561内の作動位置592にあるとき、剥離作用は設定された確定点まで行われない。
【0229】
図61~
図65は本発明の実施形態を示し、ここではカムトラックが切り込まれた間欠リング歯車によって割り出し及び剥離動作が制御される。この実施形態はまた分割空気路を構成し、この空気路の半部は上下に往復運動することができ(また移動剥離嘴部としても機能し)、一方で他の半部は静止したままである。巻き取りドラム駆動歯車と巻き取りドラムとの間には、ねじりバネが設けられている。間欠リング歯車を(入力ラチェット車輪を駆動する爪付きキャップ入力車輪を介して)回すと、第1の割り出し車輪が回転し、これにより第1のストリップを割り出す。同時に、空気路/移動剥離嘴部の移動半部も平行移動して、ストリップに対する剥離前部の位置を維持する。これにより、対応する巻き取りドラムがねじりバネに抗して引っ張られて蓋シートを解放し、剥離前部の移動を可能にする。間欠リング歯車を回し続けると、次いで第2の割り出し車輪と第2の巻き取りドラムが回り、第2のストリップを剥離する。第2の巻き取りドラムは第1の巻き取りドラムと連動しており、これにより第2の巻き取りドラムのねじりバネが更に蓄勢される。次いで、カムトラックは移動空気路/移動剥離嘴部を解放し、これにより移動空気路/移動剥離嘴部が第1のストリップの剥離をもたらす第1の蓋シートの張力によって引き戻されることを可能にする。キャップが再度閉じると、ラチェット駆動歯車がリセットされる。移動空気路/移動剥離嘴部上のピンの位置によって、間欠リング歯車、ひいては入力ラチェット車輪が後方に回転するのを防止する。
【0230】
図61は、第6の実施形態による吸入器601の分解図である。吸入器601の本体の一部として、中間シャーシ604と、前部プレート605と、後部シャーシ606と、が設けられている。第1の割り出し車輪612及び第2の割り出し車輪614は、中間シャーシ604の後部に設けられ、第1のブリスターストリップ及び第2のブリスターストリップ(図示せず)の割り出し装置として中間シャーシ604を通って延在する。第1のスプール車輪622及び第2のスプール車輪624と、第1の巻き取りドラム630及び第2の巻き取りドラム630′と、第1の遊動部652及び第2の遊動部654と、も設けられている。駆動歯車618、618′は、第1の巻き取りドラム630及び第2の巻き取りドラム630′の各々に対して設けられて、各駆動歯車618、618′がそれぞれの巻き取りドラム630、630′に対して回転可能である。各駆動歯車618、618′とそれぞれの巻き取りドラム630、630′との間には、ねじりバネ(図示せず)が接続されている。
【0231】
マウスピース及び空気路マニホールド608は、中間シャーシ604の前に設けられ、分割空気路を備え、分割空気路は、使用中に垂直に往復運動することができる第1の半体690と、一方で静止したままの第2の半体691と、を有する。
【0232】
吸入装置601の全ての構成要素の移動を制御/駆動する手段としてリング歯車/カムプレート636が設けられ、これはしたがって、中心論理ハブと考えることができる。リング歯車上の内向きに延在する歯車歯616は、割り出し装置612、614と、スプール車輪622、624と、巻き取りドラム630、630′と、を駆動する。カムトラック651も設けられて、ピン662を空気路の第1の半体690に係合して、空気路の第1の半体690の垂直移動を制御する。
【0233】
一方向ラチェット構成要素640は、マウスピースカバー(図示せず)に接続し、中央入力ハブ歯車638の後部の空洞内に適合して、入力ハブ歯車638を一方向にのみ駆動する。ハブ歯車638は次に、リング歯車/カムプレート636の後部に係合して、マウスピースカバーの移動がリング歯車/カムプレート636に伝達される。
【0234】
図62は、組み立てられた構成要素の正面図である。第1の収納室619及び第2の収納室620は、中間シャーシ604の下端部に設けられて、薬剤(図示せず)の第1の剥離可能なブリスターストリップ及び第2の剥離可能なブリスターストリップ(図示せず)を収容する。各ブリスターストリップは、収納室619及び収納室620から割り出し装置612及び割り出し装置614上に供給され、その後蓋シートは、空気路の半体690及び空気路の半体691を通過して巻き取りドラム630及び巻き取りドラム630′に送られ、ベースシートは、スプール車輪622及びスプール車輪624の周りにコイル状に巻かれる。
【0235】
空気路の第1の半体690の垂直移動が矢印642及び矢印648で示されている。後の図面を参照してより十分に説明するように、第1の割り出し装置612及び第2の割り出し装置614は、使用中に示される方向に順次回転する。第1の割り出し装置612が前進すると、分割空気路の第1の半体690が上方へ移動642し、剥離前部がブリスターストリップと同じ方向に移動して、剥離動作が遅延する。その後下方へ移動648すると、蓋シートをベースシートから剥離し、薬剤の用量を剥離する役割を果たす。したがって分割空気路の第1の半体690の直線移動は、他の実施形態におけるように、移動剥離嘴部構成要素690を提供して剥離動作を調節する。
【0236】
図63の背面図は、ラチェット構成要素640と、中央入力ハブ歯車638と、リング歯車/カムプレート636と、の相互作用を示す。マウスピースカバーが開くことで生じるであろう矢印の方向634の回転駆動はリング歯車/カムプレート636に伝達されることになるが、マウスピースカバーが閉じるときに生じる反対方向632への駆動は伝達されないであろうことが明らかである。
【0237】
図64は、後側から見た吸入装置の第1の断面図である。この断面図は、内向きに延在する歯車歯616を通過し、これらの歯616が係合する構成要素、すなわち第1の遊動部652と、第2の巻き取りドラム630′の駆動歯車618′と、第2の割り出し装置614と、を通過する。
図64に示すように、これらの構成要素の各々の曲面672、673、674はリング歯車/カムプレート636の平滑部分617に係合してジュネーブ係止を提供し、各構成要素を回転に対して保持する。第1の遊動部652は、第1の割り出し装置612及び第1のスプール車輪622に係合し、第2の遊動部654は、第2の割り出し装置と第2のスプール車輪624との間で係合し、第2の巻き取りドラム駆動歯車618′は、第1の巻き取りドラム駆動歯車618に係合している。このように、説明したジュネーブ係止は、
図64に示すように、これら全ての構成要素を回転に対して保持する。
【0238】
図65は、再び吸入装置601の後部からの更なる断面図であり、リング歯車/カムプレート636内のカムトラック651を通り、分割空気路の第1の半体690のピン662を通っている。
【0239】
【0240】
リング歯車/カムプレート636が矢印の方向634に回転するときに、マウスピースカバーが開く間に、内向きに延在する歯616が第1の遊動部652に最初に係合して、第1の割り出し装置612及び第1のスプール車輪622を駆動して回転させる。カムトラック651は、ピン662が矢印642で示すように移動するように同時に誘導し、これにより、回転中に分割空気路の第1の半体690を垂直上方に移動させる。したがって、第1の割り出し装置512が用量を前進させ、一方、分割空気路690の上方移動で剥離前部位置を調整して、用量が剥離されない。これにより第1のブリスターストリップの蓋シートに張力が生じ、次に第1の巻き取りドラム630が駆動歯車618に対して回転し、蓋ストリップの必要な長さが解放されるときに、これらの間に設けられるねじりバネにエネルギーが蓄積する。
【0241】
第1の割り出し装置612が1ステップ/用量だけ前進するとき、第1の遊動部652の曲面672は、リング歯車/カムプレート636の平滑部分617に再び係合して、リング歯車/カムプレート636の回転634が継続している間、第1の割り出し装置を静止状態に保持する。更なる内向きに延在する歯616は、次いで第2の割り出し装置514に最初に係合し、次いで第2の巻き取りドラム630′の駆動歯車618′に係合して、これらの構成要素を前進させ、マウスピースカバーが開き続ける間に第2のブリスターストリップを割り出し及び剥離する。第2の割り出し装置614が前進する間、ピン662がカムトラック651の矢印644で示す部分を通って移動するときに、分割空気路690は上昇位置に維持される。第2の巻き取りドラム630′の駆動歯車618′と第1の巻き取りドラム630の駆動歯車618との間の連動により、第1の巻き取りドラム630のねじりバネが更に蓄勢される。
【0242】
両方の割り出し装置が1ステップ/1用量だけ前進するとき、曲面672、673、674はリング歯車/カムプレート636の平滑部分617に再び係合して、両方の割り出し装置612、614が回転に対して保持される。次いでピン662は、カムトラック内の作動位置又は確定点692にある。この時点で、カムトラック651及び作動位置692は、矢印の方向648へのピン662の移動によって分割空気路690の先に示した下方移動を提供する位置まで回転することになる。第1の巻き取りドラム630内のねじりバネは、第1の蓋シート及び分割空気路部分690を下方に引っ張り、第1のブリスターストリップから用量を剥離する。このように、キャップが完全に開くと両方のストリップから吸入用量が露出するが、第2のストリップは開封動作が半分完了した後にのみ剥離され、第1のストリップは開封動作の端部に近い定義された確定点の後にのみ剥離される。
【0243】
その後マウスピースカバーが閉じても、ラチェット構成要素640により、機構を駆動しない。ピン662のカムトラック651への係合及び先に説明したジュネーブ係止は、いかなる構成要素も反対回転させず、次の作動を確実に行うのに役立つ。
【0244】
図66~
図79は、本発明による吸入器701の第7の実施形態を図示する。簡単に言えば、
図66の吸入器701は割り出し及び剥離の作用を分離し、ジュネーブ機構と同様に機能するように構成される歯車付きシステムを使用して割り出し及び剥離を制御し、第1の割り出しシステム及び第2の割り出しシステムが別々に前進することを可能にする。
【0245】
図66の分解図に示すように、吸入器701の本体の一部として、中間シャーシ704と、前部プレート705と、後部シャーシ706と、が設けられている。中間シャーシ704の後部の構成要素は、移動空気路708と移動剥離嘴部790及び移動剥離嘴部790′とを含み、剥離嘴部機構によって駆動される空気路708の移動を伴う割り出し及び剥離制御機構を形成し、したがって、吸入装置701の剥離機能に厳密に連結されている。中間シャーシ704の前の構成要素は、ブリスターストリップの管理を担当する。
【0246】
吸入器701の機構は、マウスピースカバー710の移動により駆動され、マウスピースカバー710は、ハブ歯車738の後側の凹部に位置する一方向ラチェット構成要素740に接続されている。ハブ歯車738は第1の入力歯車736を駆動し、次に、これにより第2の入力歯車736′を駆動する。第1の入力歯車736及び第2の入力歯車736′は、それぞれ、第1の割り出し装置712及び第2の割り出し装置714と、第1の剥離嘴部構成要素790及び第2の剥離嘴部構成要素790′と、を間欠的に駆動する。第1の割り出し装置712及び第2の割り出し装置714の各々は、それぞれの剥離嘴部構成要素790、790′の周りに組み立てられる割り出し歯車712A及び割り出し歯車714Aと、割り出しドラム712B及び割り出しドラム714Bと、を備える。吸入器701はまた、後述するように、第1の剥離嘴部構成要素790及び第2の剥離嘴部構成要素790′と相互作用する第1のスレーブ嘴部構成要素791及び第2のスレーブ嘴部構成要素791′を含む。
【0247】
残りの構成要素は、前の実施形態で説明したものとほぼ同様である。使用済みベース箔には、第1のスプール車輪722及び第2のスプール車輪724が設けられ、ブリスターストリップのペアの使用済み蓋シート/箔には、ねじりバネ756、756′を介して駆動歯車718、718′に各々接続される第1の巻き取りドラム730及び第2の巻き取りドラム730′が設けられる。
【0248】
図67は、第1の入力歯車736をより詳細に示す。ボス772は、入力歯車736の前面から延在し、ボス772の全高にわたって延在する歯付き部分773を有する。歯付き部分773の一端部には切り抜き部774が近接し、切り抜き部774は、ボス772の自由端部から半分だけ下方に延びる。第2の歯車歯のリング716は、ボス772に対向して第1の入力歯車736の後部に設けられて、使用中のハブ歯車738に係合する。これは、切り抜き部774が再び示される
図68の上面図で見ることができる。
【0249】
図69は、第1の入力歯車736及び第2の入力歯車736′と、可動空気路708と、第1の剥離嘴部構成要素790及び第2の剥離嘴部構成要素790′と、を含む機構の一部を示す。第2の入力歯車736′の構成は第1の入力歯車736の構成と同様であるが、第2の歯車歯のリング716がないため、第1の入力歯車736への係合によってのみ駆動される点が異なる。第2の入力歯車736′はまた、幅が第2の入力歯車736′上のボスの高さの半分しかないが、わずかに長い切り抜き部774′を有する。
【0250】
第1の剥離嘴部構成要素790及び第2の剥離嘴部構成要素790′は両方とも、歯付き入力部分775、775′を有し、歯付き入力部分775、775′は、ボス772、772′の端部に近接する第1の入力歯車736及び第2の入力歯車736′の歯付き部分773、773′に係合する。また、歯付き入力部分775、775′の両側の各剥離嘴部構成要素790、790′の外縁部には小凹部776、776′が設けられ、空気路708の後部に設けられるスロット751に係合する駆動ピン762、762′が設けられている。矢印は使用中の構成要素の回転方向を示し、第1の入力歯車736上の歯付き部分内の第1の歯773Aが彫られることで、第1の入力歯車736が第1の剥離嘴部構成要素790を最初に駆動し始めるときの初期係合時の効率を高めることに留意されたい。ラベル付けされていないが、同じ理由で第2の入力歯車上の第1の歯773A′が同様に彫られている。
【0251】
図70~75は、
図69に示される機構の使用中の前進を示す。マウスピースカバー710が開くと、
図70に示すように、第1の入力歯車736及び第2の入力歯車736′の両方が同時に反対方向に前進する。この回転により、第1の入力歯車736の歯付き部分773が第1の剥離嘴部構成要素790の歯付き入力部分775に最初に係合し、
図71に示すように回転駆動を伝達する。第1の剥離嘴部構成要素790は、対応する歯付き部分773、775が端部に来るまで回転し、この時点で、図示のように、凹部776がボス772の外面に係合する。この回転の間、駆動ピン762は示すように空気路708を下方に駆動して、剥離前部の位置をブリスターストリップに対して維持する。
【0252】
第1の剥離嘴部構成要素790が上述のように前進すると、次いで、マウスピースカバー710が継続的に移動して、次いで第2の入力歯車736′の歯付き部分773′が第2の剥離嘴部構成要素790′の歯付き入力部分775′に係合する。第2の剥離嘴部構成要素790′は、このように更なる開移動によって前進し、一方、凹部776は、ボス772の外面に係合するジュネーブ保持面を提供し、
図73に示すように、第1の剥離嘴部構成要素790を更なる回転に対して保持する。
【0253】
図74は、第2の剥離嘴部構成要素790′がこのようにして対応する歯付き部分773′、775′の端部まで前進することを示す。第2の駆動ピン762′は、空気路708のスロット751に係合して、両方の剥離嘴部構成要素790、790′が可動マウスピース708を介して連結される。機構の確定点と考えられ得る
図74に示す位置から更に回転すると、第1の入力歯車736及び第2の入力歯車736′の切り抜き部774、774′が、第1の剥離嘴部構成要素790及び第2の剥離嘴部構成要素790′より上の位置に移動する。次いで、切り抜き部774、774′は、各剥離嘴部構成要素790、790′の外周が、それぞれの入力歯車736、736′のボス772、772′を通過して回転する空間を提供する。後述するように、この機構が前進すると、ブリスターストリップを通してバネ付勢も発生し、これにより第1の剥離嘴部構成要素790及び第2の剥離嘴部構成要素790′が駆動して、回転して初期位置に戻る。
図75に示すように、空気路708も垂直上方に移動する。この解放は剥離動作を行い、ブリスターストリップのペアの各々からの薬剤用量を開封する。
【0254】
図74はまた、駆動ピン762、762′に近接する第1の剥離嘴部構成要素790及び第2の剥離嘴部構成要素790′の剥離嘴部790A、790A′を示す。第1のスレーブ嘴部構成要素791及び第2のスレーブ嘴部構成要素791′(図示せず)は、回転中に剥離嘴部790A、790A′によって駆動され、現在は駆動ピン762、762′の上にある。これにより、駆動ピン762、762′又はスロット751を提供するマウスピース708の後部と干渉することなく、より大きな物理的な剥離嘴部を提供することが可能になる。
【0255】
図66に関連して上述したように、第1の割り出し歯車712A及び第1の割り出しハブ712Bは、第1の剥離嘴部構成要素790の周りに組み立てられ、第2の割り出し歯車712A及び割り出しハブ714Bは、第1の剥離嘴部構成要素790の周りに組み立てられる。したがって、第1の割り出し歯車712A及び第2の割り出し歯車714Aは、
図69~75に示される組立体において、第1の剥離嘴部構成要素790及び第2の剥離嘴部構成要素790′の背後に位置する。
【0256】
図76及び
図77は、それぞれ
図74及び
図75に示す機構位置に対応し、第1の割り出し歯車712A及び第2の割り出し歯車714Aを破線で示す。両方の割り出し歯車712A、714Aは類似の形態を有しており、第1の割り出し歯車712Aを参照して一度だけ説明することとする。第1の割り出し歯車712Aの周りには4つの歯付き駆動部分777が設けられており、歯付き駆動部分777の各々は第1の剥離嘴部構成要素790の歯付き入力部分775に類似している。歯付き駆動部分777の間には、第1の剥離嘴部構成要素790の凹部776と同様の係止凹部778が設けられている。
【0257】
第1の割り出し歯車712A及び第2の割り出し歯車714Aは、
図70~73に関連して説明したように、第1の剥離嘴部構成要素790及び第2の剥離嘴部構成要素790′と共に、第1の入力歯車736及び第2の入力歯車736′によって最初に前進する。しかし、第1の割り出し歯車712A及び第2の割り出し歯車714Aは、第1の剥離嘴部構成要素790及び第2の剥離嘴部構成要素790′の背後に位置するので、これらの周縁部は、切り抜き部774、774′の下方の各ボス772、772′の下部に係合する。このようにボス722、722′は、第1の割り出し歯車712A及び第2の割り出し歯車714Aの凹部778、778′に係合したままであり、マウスピースの開端部に向かう回転に対してこれらを保持する。言い換えれば、一旦用量が割り出されると、剥離動作が行われている間、第1の割り出し装置712及び第2の割り出し装置714は静止状態に保持される。
【0258】
記載されるような機構は、第1の剥離嘴部構成要素790及び第2の剥離嘴部構成要素790′の振動又は往復運動と、共通駆動からの第1の割り出し装置712及び第2の割り出し装置714の間欠的な回転と、を提供する。構成要素の移動及び移動空気路708の移動を確実に同期させることができる。第1の割り出し装置712及び第2の割り出し装置714は、一度に1/4回転前進し、ブリスターストリップのペアの薬ポケットを受け入れる4つの提供される用量ポケットに対応する。
【0259】
ピンジュネーブ機構を使用して同様の機能性を達成することができ、機構全体の両半部は、2つのジュネーブ車輪のスタックを駆動する単一のピンを有し、ジュネーブ車輪は、嘴部の反対駆動を可能にする層(剥離嘴部層)のうちの1つに対する解放領域を有する。しかし、記載されるような歯車駆動を使用することにより、力プロファイルの変動が少なくなり、弱くてスナップに対して脆弱であり得る支持されていないピンの必要性を回避する。
【0260】
機構は、第1の側を割り出し、剥離前部と共に空気路708を下方に駆動し、次いで、その剥離前部をマウスピース708の開封部に移動させる第2の側を割り出してから、両方を解放する。剥離嘴部構成要素790、790′が元の位置に回転して戻ると、これらは空気路708を介して連結される。これにより同時移動を確実にし、空気路708を各ブリスターストリップの現れた薬ポケットに沿った位置に駆動する。
【0261】
機構への入力駆動が
図78の背面図に図示されている。ラチェット構成要素740は、ハブ歯車738の中央凹部に受け入れられて示されており、マウスピースカバー(図示せず)が開くときに生じる回転734の間はハブ歯車738を駆動するが、閉じる732間は駆動しないように配置されている。ハブ歯車738は、第1の入力歯車736上の第2の歯車歯のリング716に係合して示されており、第1の割り出し歯車712Aは、第1の割り出し歯車712Aによって後部から大きく隠れる第1の剥離嘴部構成要素790と共にラベル付けされている。既に説明したように、マウスピースカバー710が開く間に割り出し及び剥離動作全体が完了するので、マウスピースカバー710が閉じる732間の運動を吸入器701の機構に伝達する必要はない。逆止ラチェットは、歯車系と相互作用して、マウスピースカバーが閉じる間にラチェット構成要素740がハブ歯車738内で回転するときに、駆動歯車装置が後方に駆動されないことを確実にする。
【0262】
図79は、ストリップ管理に関わる吸入器701の構成要素を示す。
図79の図は、
図78の中間シャーシ704の反対側から見た正面図である。第1の出力歯車752及び第2の出力歯車754は、第1の割り出しハブ712B及び第2の割り出しハブ714Bに接続されて、第1の割り出し装置712及び第2の割り出し装置714から、第1のスプール車輪722及び第2のスプール車輪724へ、及び第1の巻き取りドラム730及び第2の巻き取りドラム730′の駆動歯車718、718′へ、回転駆動を伝達する。
【0263】
他の実施形態と同様に、第1のスプール車輪722及び第2のスプール車輪724は、第1のブリスターストリップ及び第2のブリスターストリップの使用済みベースシート/箔を単に受け入れて巻き付け、一方、第1の巻き取りドラム730及び第2の巻き取りドラム730′は、使用済み蓋箔/シートを受け入れる。駆動歯車718、718′と巻き取りドラム730、730′との間に設けられるねじりバネ756、756′は、先の実施形態と同様に作用して、最初にバネエネルギーを蓄積しながら割り出し装置712、714及び嘴部構成要素790、790′と共に蓋箔の移動を可能にして、続いて剥離動作を駆動し、ブリスターストリップが使用されるときに使用済み蓋箔/シートの直径が増大するのを補正する。第1の巻き取りドラム730及び第2の巻き取りドラム730′は、対応する割り出し装置712、714と反対方向に回転するように連動し、これは割り出し中にねじりバネ756、756′を更に蓄勢する。これにより、剥離嘴部構成要素790、790′が解放されるときに、蓋シート/箔が剥離前部を越えて後退するのに十分な張力を提供し、ストリップ上の次の用量を開封する。
【0264】
第7の実施形態による吸入器701は、レイアウト、タイミング、配列、力、トルク、変位等の点で構成に自由度が生じる。移動空気路は、その移動が回転ではなく直線的であるため、使用中にブリスターと同じ経路上を移動しない(又はブリスターストリップからオフセットされる)。これは、剥離動作中、移動空気路708と第1の割り出し車輪712及び/又は第2の割り出し車輪714とが、これらの行程の端部でのみ互いに近接しているため、蓋箔がこれらの間に挟まれる可能性が少ないことを意味する。
【0265】
第6の実施形態の吸入器601とは異なり、2つの部分間に隙間(clearance gap)を必要とするであろう別個の移動及び部分はなく、単一の移動空気路708のみがあるだけである。したがって、空気路708と吸入器701のマウスピースとの間に、より単純なピストン型シールを使用することができる。
【0266】
次に、
図80~
図89を参照して、本発明の第8の実施形態について説明する。ここでも第8の実施形態の吸入器801は、レイアウト、タイミング、配列、力、トルク、変位等に関して構成の自由度を提供し、マウスピースカバーを使用して機能し、ラチェット駆動を介してバネ(伸張又はねじり)に抗してハブ歯車を回転させて、割り出し動作を完了させる。シャーシ上の構成により、ラチェットをハブ歯車から解放し、バネがラチェットを開始位置に戻す。このようにして、マウスピースカバーの一方向120°移動は、機構入力の往復運動に変換される。
【0267】
図80の分解図は、吸入器801の構成要素を示す。構成要素の多くは先の実施形態で説明したものと類似しており、第1のスプール車輪822及び第2のスプール車輪824と、第1の割り出し装置812及び第2の割り出し装置814と、それぞれ駆動歯車818、818′を有する第1の巻き取りハブ830及び第2の巻き取りハブ830′と、を含む。第1の遊動歯車852及び第2の遊動歯車854が設けられて、ストリップを管理する歯車機構内に、これらの構成要素のいくつかを連結させる。
図80には示されていないが、第1の巻き取りハブ830及び第2の巻き取りハブ830′の各々と、このそれぞれの駆動歯車818、818′との間にねじりバネが設けられて、前述のようにバネ付きハブを提供する。
【0268】
吸入器801の機構は、マウスピースカバー810を介して駆動され、マウスピースカバー810は、ハブ歯車838内のラチェット構成要素840に直接結合されている。ハブ歯車838は、前部プレート805を通って延在する第1の入力歯車836に永久的に係合し、第1の入力歯車836を駆動する。第1の入力歯車836は、第2の入力歯車836′に係合し、第2の入力歯車836′を駆動する。
【0269】
第1の入力歯車836及び第2の入力歯車836′は、第1の剥離嘴部構成要素890及び第2の剥離嘴部構成要素890′を駆動する。機構の剥離嘴部構成要素890、890′は2部品から形成され、第1の剥離嘴部構成要素890は、中間シャーシ804の両側から組み立てられる前部品890A及び後部品890Bを備える。同様に、第2の剥離嘴部構成要素890′は、中間シャーシ804の両側から組み立てられる前部品890A′及び後部品890B′を備える。吸入器801の後部プレートの背後には、突出部868を有する係止アーム866も設けられている。
【0270】
図81~83は、第1の割り出し装置812と、第1の剥離嘴部890の前部品890A及び後部品890Bと、の詳細図である。
図81に示す第1の割り出し装置812の一端部には凹部897が設けられており、
図82に示すように、第1の剥離嘴部構成要素の前部品890Aの面上に設けられるラチェット歯896を受け入れる。第1の剥離嘴部構成要素の前部品890Aはまた、駆動スロット851と凹部899とを提供し、組み立て中に
図83に示す剥離嘴部構成要素の後部品890B上に設けられるタブ898を受け入れる。第2の割り出し装置814と、第2の剥離嘴部構成要素890′の前部品890A′及び後部品890B′と、は同等の構成を備える。
【0271】
マウスピースが開く間の機構の前進を、
図84及び
図85の正面図に図示している。第1の入力歯車836及び第2の入力歯車836′の回転方向が示されている。
【0272】
図84は、マウスピースカバーが開く初期段階を示し、第1の入力歯車836の後面上に設けられる駆動ピン862が、第1の剥離嘴部構成要素890の駆動スロット851に係合している。第1の剥離嘴部構成要素890は、第1の剥離嘴部構成要素890と第1の入力歯車836の後部上のボス872との間のジュネーブ様式係止によって最初に回転が防止され、その後、ボス872の片側の切り抜き874によって
図85に示す位置まで回転することが可能になる。第1の剥離嘴部構成要素890のラチェット歯896は、第1の割り出し装置の凹部897に係合して、第1の割り出し装置が第1の剥離嘴部と共に駆動されて第1のブリスターストリップを前進させる。第1の剥離嘴部構成要素890の記載された移動中、第2の剥離嘴部構成要素890′は、第2の入力歯車836′の後部上に設けられるボス872′の外面に係合することによって静止状態に保持される。
【0273】
第1の剥離嘴部構成要素890の回転が完了すると、
図85に示すように、ボス872の外面に係合することによって再び所定の位置に保持される。次いで、第2の入力歯車836′の後面上の駆動ピン862′は駆動スロット851′に係合して、第2の剥離嘴部構成要素890′を駆動して、第2の入力歯車のボス872′内の切り抜き874′を介して同様の方法で回転させる。第2の割り出し装置814は、第1の割り出し装置812について上述したように、この移動中に駆動されて、第2のブリスターストリップを前進させる。駆動ピン862、862′及び切欠き874、874′を互い違いに位置決めすることで、2つのストリップが同時にではなく順次割り出されることを確実にする。
【0274】
図85はまた、第1の入力歯車836の片側のスロット855を示し、スロット855は引張バネ(図示せず)の一端部を取り付ける。引張バネの他端部は、
図86に示す前部プレート805上の取付点857に接続される。前部プレート805はまた、カムスロットのペア861を備え、カムスロットのペア861は、
図87に図示するように、ラチェット構成要素840のアーム上に設けられる突出部850を受け入れる。各カムスロットの一端部861Aは角度付けされて、キャップが開く間に突出部850がラチェット構成要素840の回転端部834に向かって内向きに付勢される。これにより、ハブ歯車838がラチェット構成要素840を越えて回転し、システム内の、例えばバネ式巻き取りドラム830、830′からの引張バネ及び他のバネ力によって駆動されて、元の位置にリセットされることが可能になる。第1の剥離嘴部構成要素890及び第2の剥離嘴部構成要素890′もまた、このリセット動作中に初期位置に戻るように回転するが、ラチェット歯896及び凹部897は、この反対駆動が第1の割り出し装置812及び第2の割り出し装置814に伝達されないことを確実にする。したがって、マウスピースが開く間に確定点(カムスロット861の傾斜端部861Aに対応する)に到達すると、剥離動作が達成される。ラチェット構成要素840は、マウスピースカバー810が閉じるとき、回転832中に駆動を伝達しないことが理解されるだろう。
【0275】
図88及び
図89は、係止機構を図示し、係止機構は、剥離動作中に第1の割り出し装置812及び第2の割り出し装置814が前進位置に留まることを確実にする。係止機構は、吸入器801の後部から示されており、明確化のために後部プレート806の大部分が省略されている。マウスピースカバーカバー808には係止アーム866が接続されており、マウスピースカバーカバーと共に回転する。マウスピースカバーが開位置まで回転834すると、係止アームも回転する。この開移動の端部に向かって、係止アーム866上の凸部886(
図80参照)がラッチ構成要素819に係合して、
図89に示すように、第1の割り出し装置812及び第2の割り出し装置814の後端部に設けられる係止凹部820、820′内にラッチ構成要素819を下方駆動する。第1の割り出し装置812及び第2の割り出し装置814は、マウスピースカバーが閉じるときに再び解放される。
【0276】
図89はまた、第1の割り出し装置830に対する第1の割り出し装置812と駆動歯車818との係合、及び第1の遊動部852を介した第1の割り出し装置812と第1のスプール車輪822との係合を示す。機構の第2の側も同様に配置され、第2の割り出し装置814を介して駆動される。他の実施形態と同様に、第1のバネ式巻き取りドラム830及び第2のバネ式巻き取りドラム830′は、割り出し中に蓋箔によってそれぞれの駆動歯車818、818′とは反対方向に駆動される。
【0277】
図90~96は、本発明の第9の実施形態による別の吸入器901を図示する。吸入器901は、マウスピースカバーを使用してラチェット構成要素を介してハブ歯車を回し、これによりカバーの往復運動を入力駆動機構の単一方向駆動に変換する。ハブ歯車の駆動により、歯車付きジュネーブ様式機構を通して2つの割り出し装置、従って2つのブリスターストリップが間欠的で連続的に非同時運動し、歯車付きジュネーブ様式機構は、割り出し車輪を駆動して位置決めする。剥離嘴部は、一体化された単一の直線移動空気路であり、分割デスモドロミックカムを使用して制御され、分割デスモドロミックカムは、第1のストリップの運動と同期して剥離を防止する。これにより、第2のストリップの蓋箔が重なり合う。
【0278】
図90は、いくつかの構成要素を省略した第9の実施形態の吸入器901の背面分解図である。ラチェット構成要素940が設けられて、マウスピースカバー(図示せず)からの駆動を吸入器本体の後部プレート906を通してハブ歯車936に伝達する。また、後部プレート906の後部にはリング歯車938が設けられている。
【0279】
第1の割り出し装置912及び第2の割り出し装置914と、スプール車輪922、924と、遊動歯車952、954とは、第1の巻き取りドラム930及び第2の巻き取りドラム930′(及び関連する入力歯車918、918′)と共に、後部プレート606と中間シャーシ904との間に位置する。他の実施形態と同様に、ねじりバネ(図示せず)が設けられてバネ式巻き取りドラム930、930′を形成し、前述の利益をもたらす。移動剥離嘴部構成要素990は中間シャーシ904の前に図示されており、駆動ピン962を備え、駆動ピン962は、中間シャーシのスロットを通って延在して剥離嘴部構成要素990を直線運動に拘束する。
【0280】
図91は、ハブ歯車936の正面斜視図である。ハブ歯車936は、前部駆動歯車936Aと、中央カムプレート936Bと、後部間欠駆動歯車936Cと、を備え、吸入器901の中央論理ハブを効果的に提供し、吸入器901の様々な構成要素を所定の順序で前進させる。ラチェット構成要素940はハブ歯車936の後側の凹部内に受け入れられ、マウスピースカバーが開移動する間に、ハブ歯車936が矢印の方向934に駆動される。この回転の間、カムプレート936Bの縁部上のカムトラック951は、剥離嘴部構成要素990の駆動ピン962に係合して、剥離嘴部構成要素990を垂直上方に駆動する。同一の駆動ピン962がカムトラック951の下部に係合し、剥離嘴部構成要素が下降位置にあると、マウスピースカバーが閉じる間にハブ歯車が逆回転することに抵抗する。
【0281】
図92は移動空気路908を示し、移動空気路908は移動剥離嘴部構成要素990と組み合わされて、吸入器901の使用中に移動剥離嘴部構成要素990と共に移動する。空気路908は更なる駆動ピン963を備え、駆動ピン963は、剥離嘴部構成要素990の駆動ピン962とは反対方向に延在し、使用時に、
図93に示すマウスピースカバー910の内面に設けられる更なるカムトラック961に係合する。更なるカムトラック961は拡大領域961Aを含み、拡大領域961Aでは、マウスピースカバー910が閉位置にあるときに更なる駆動ピン963が受け入れられる。
【0282】
図94及び
図95は、マウスピースカバー910の移動中の剥離嘴部構成要素990及び空気路908の移動を更に図示する。
図94は開移動934中のある点を示しており、前述のように、剥離嘴部構成要素990(及び接続される空気路908)がハブ歯車936上のカムトラック951によって垂直上方に移動している。マウスピースカバー910が開く間に更に回転934すると、更なるカムトラック961内の更なる駆動ピン963が図示のように移動する。これにより空気路908が付加的に上方移動するよう駆動され、空気路908は、マウスピースカバー910が完全に開くときに上昇位置に保持される。
【0283】
図95は、マウスピースカバー910が全開位置にあり、吸入装置901の確定点にあることを示している。この位置から、更なる駆動ピン963は、マウスピースカバー910が閉じる間の回転932中に示されるように移動する。空気路908及び剥離嘴部構成要素990は、開く間にハブ歯車936の回転によって蓄勢されるバネ式巻き取りドラム930、930′によって与えられるバネ付勢力の下で、最初は垂直下方に自由に移動して、剥離動作を行う。次いで、剥離嘴部構成要素990は低位置に保持され、ハブ歯車のカムトラック551と剥離嘴部構成要素990の駆動ピン962との係合を通して、ハブ歯車を反対回転に対して係止する。
【0284】
図96は、吸入器901の歯車装置の背面図である。ラチェット構成要素940が示され、マウスピースカバーが開く間の駆動方向934が示されている。
【0285】
間欠駆動歯車936Cの歯付き部分916が、第1の割り出し装置912を(第1の遊動歯車952を介して)最初に前進させ、続いて第2の割り出し装置914を前進させることは明らかである。第1の割り出し装置912及び第2の割り出し装置914が前進していないときには、これらは間欠駆動歯車936Cの平滑部分917と第1の遊動部952又は第2の割り出し装置914との間のジュネーブ式係止によって静止した状態で保持される。これは
図64の第6の実施形態について説明した動作と同様である。リング歯車938(
図90参照)は、第1の割り出し装置912及び第2の割り出し装置914から、リング歯車938の内部に設けられる歯車歯を介して、第1のスプール車輪922及び第2のスプール車輪924にそれぞれ駆動を伝達する。リング歯車938は作動毎に10分の1回転割り出しされ、したがって、用量カウンタとして、又は更なる発展により、より複雑な用量カウンタ機構のユニット車輪として使用することができる。第1の巻き取りハブ930及び第2の巻き取りハブ930′の駆動歯車918、918′は、前部駆動歯車936A及び第2の遊動歯車954を介して常時駆動される。これにより、マウスピースカバー910の開端部における蓋車輪/シートに必要な張力を与え、確定点の前で剥離の準備をし、使用者によって行われる作業を開動作全体に広げる。
【0286】
空気路908及び剥離嘴部構成要素990の前述の運動は、第1の割り出し装置912の前進中に生じて、第2のブリスターストリップが割り出し位置にある前の第1のブリスターストリップの剥離を防止する。これにより、第2のブリスターストリップの蓋箔/シートが重なり合い(この運動に先立って第2の巻き取りドラム930′からスプール解除され、ベース箔/シートの上に戻される)、次いで、割り出されるときに再回収される。
【0287】
カムトラック951、961の構成により、空気路908は、第1のブリスターストリップの運動と同期して移動し、第2のブリスターストリップが所定の位置に割り出されるまで前方位置に保持され、その後、
図95に示される確定点で同時剥離動作が行われることを確実にする。
【0288】
上記の実施形態は概して、少ない構成要素数で複雑なタイミング及び順序付けすることを可能にし、呼気作動機構を必要とせずに、使用者による誤用に耐性がある/抵抗できる吸入器を提供する。多くの場合、予想される使用順序からの逸脱から装置が回復することを妨げるかもしれない複雑な又は交絡するラチェット調時の問題を最小限に抑えるために、機構内でのラチェットの使用は大幅に回避され、(使用される場合)2つの薬剤ストリップの同時割り出しが回避される。機構に組み込まれた確定点を使用することは、過剰コンプライアンス問題への対処に役立つ。
【0289】
上述の様々な実施形態はそれ自身の個々の構成及び利点を提供するが、これらは全て同じ全体的な目的、すなわち単一装置の共通アクチュエータの移動中の、開封システム及び割り出しシステムの不均衡な進行を達成することを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入装置であって、
第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体を前進させる第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置を備える割り出しシステムであって、各々が複数の薬剤ポケット又はブリスターを有するベースと、前記ブリスターを覆う剥離可能な蓋シートとを備える、割り出しシステムと、
前記割り出しシステムが前記第1の薬剤担体又は前記第2の薬剤担体を前進させた後に、前記第1の薬剤担体又は前記第2の薬剤担体から前記蓋シートを剥離してブリスターを開封する開封システムと、
前記第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置の共通アクチュエータと、
を有する作動機構を備え、
前記共通アクチュエータが、中間位置を介して第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記第1の割り出し装置の進行が、前記第2の割り出し装置の進行に対して不均衡である、吸入装置。
【請求項2】
前記第1の割り出し装置及び前記第2の割り出し装置が、前記共通アクチュエータの移動中に同時に前進しない、請求項1に記載の吸入装置。
【請求項3】
前記共通アクチュエータの第1の運動範囲を通る移動により、前記第1の割り出し装置が動作し、
前記共通アクチュエータの第2の運動範囲を通る移動により、前記第2の割り出し装置が動作し、
前記第1の割り出し装置が前記第2の割り出し装置から引き離されて、前記第1の運動範囲が前記第2の運動範囲と同じでない、請求項1~2のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項4】
前記共通アクチュエータが前記第2の位置から前記第1の位置に移動するときに、前記割り出しシステムが前記第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置のうちの1つを前進させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項5】
前記第1の割り出し装置及び第2の割り出し装置の少なくとも一方が、割り出し車輪を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項6】
開封システムが、前記第1の薬剤担体及び第2の薬剤担体の各々の上のブリスターを同時に剥離して開封するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項7】
前記共通アクチュエータの前記中間位置が、前記共通アクチュエータの前記第1の位置よりも前記共通アクチュエータの前記第2の位置に近い、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項8】
前記共通アクチュエータの前記中間位置が、前記共通アクチュエータの前記第2の位置に近接する、請求項7に記載の吸入装置。
【請求項9】
前記割り出しシステムが、間欠駆動面及び/又は係止面を有する1つ以上の歯車を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項10】
前記割り出しシステムが、前記割り出しシステムの1つ以上の構成要素の移動を選択的に防止する係止手段を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項11】
前記係止手段が、係止面を有する1つ以上の歯車を備える、請求項10に記載の吸入装置。
【請求項12】
前記係止手段が1つ以上の爪を備える、請求項10又は11に記載の吸入装置。
【請求項13】
前記共通アクチュエータがマウスピースカバーを備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項14】
前記第1の位置が、前記マウスピースカバーの全閉位置である、請求項13に記載の吸入装置。
【請求項15】
前記第2の位置が、前記マウスピースカバーの全開位置である、請求項13又は14に記載の吸入装置。
【請求項16】
可動空気路構成要素を更に備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項17】
前記可動空気路構成要素が、一体可動空気路を備える、請求項16に記載の吸入装置。
【請求項18】
前記吸入装置が、静止空気路構成要素及び前記可動空気路構成要素を備える分割空気路を備える、請求項16に記載の吸入装置。
【請求項19】
前記可動空気路構成要素が、薬剤担体からの蓋シートの分離を調節する剥離嘴部構成要素を提供する、請求項16~18のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項20】
前記可動空気路構成要素が、薬剤担体の経路と実質的に一致しない経路、又は前記薬剤担体の経路から単にオフセットされた経路をたどる、請求項16~19のいずれか一項に記載の吸入装置。
【請求項21】
前記可動空気路構成要素が、実質的に直線の経路をたどる、請求項16~20のいずれか一項に記載の吸入装置。