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特開2023-123729予測方向の決定方法、デコーダ及びコンピュータ記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123729
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】予測方向の決定方法、デコーダ及びコンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/11 20140101AFI20230829BHJP
   H04N 19/136 20140101ALI20230829BHJP
   H04N 19/176 20140101ALI20230829BHJP
   H04N 19/186 20140101ALI20230829BHJP
   H04N 19/463 20140101ALI20230829BHJP
【FI】
H04N19/11
H04N19/136
H04N19/176
H04N19/186
H04N19/463
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106058
(22)【出願日】2023-06-28
(62)【分割の表示】P 2021538790の分割
【原出願日】2019-01-02
(71)【出願人】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】フオ、チュンイェン
(72)【発明者】
【氏名】マー、イェンチュオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チアンリン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シューアイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、フーチョン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】復号化の精度を向上させることができ、画像ビデオデータの伝送品質をさらに向上させる予測方向の決定方法、デコーダ及びコンピュータ記憶媒体を提供する。
【解決手段】デコーダに適用される復号化されるブロックのクロマイントラ予測モードを決定する方法は、復号化されるブロックのクロマイントラ予測モードのダイレクトモード(DM)モードを取得することと、DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたオフセットNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、DM導出モードを決定することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デコーダに適用される予測方向の決定方法であって、
復号化されるブロックのクロマイントラ予測モードを決定することと、
前記クロマイントラ予測モードのダイレクトモード(DM)を取得することと、
前記DMモードに対応する予測方向のインデックス番号MとオフセットNに従って、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することと、を含み、
Nは2より大きいか等しい正の整数であり、Mは正の整数であり、
前記DM導出モードの復号化プロセスは、クロスコンポーネント線形モデル予測(CCLM)モードの復号化プロセスの後に行われる、前記予測方向の決定方法。
【請求項2】
前記DMモードに対応する予測方向のインデックス番号MとオフセットNに従って、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することは、
MとNとの合計値、MとNとの差値、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最小値K1及び前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最大値K2に従って、前記DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することを含む、
請求項1に記載の予測方向の決定方法。
【請求項3】
前記合計値及び前記差値に従って、前記DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することは、
前記合計値がK2より大きく、且つ前記差値がK1より小さい場合、前記DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれK1とK2であると決定することを含む、
請求項2に記載の予測方向の決定方法。
【請求項4】
前記合計値及び前記差値に従って、前記DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することは、
前記合計値がK2より小さいか等しく、且つ前記差値がK1より大きいか等しい場合、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値と前記差値であると決定することと、
前記差値がK1より小さい場合、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値とK1であると決定することと、
前記合計値がK2より大きい場合、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記差値とK2であると決定することと、を含む、
請求項2に記載の予測方向の決定方法。
【請求項5】
エンコーダに適用される予測方向の決定方法であって、
符号化されるブロックのクロマイントラ予測モードを決定することと、
前記クロマイントラ予測モードのダイレクトモード(DM)を取得することと、
前記DMモードに対応する予測方向のインデックス番号MとオフセットNに従って、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することと、を含み、
Nは2より大きいか等しい正の整数であり、Mは正の整数であり、
前記DM導出モードの符号化プロセスは、クロスコンポーネント線形モデル予測(CCLM)モードの符号化プロセスの後に行われる、前記予測方向の決定方法。
【請求項6】
前記DMモードに対応する予測方向のインデックス番号MとオフセットNに従って、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することは、
MとNとの合計値、MとNとの差値、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最小値K1及び前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最大値K2に従って、前記DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することを含む、
請求項5に記載の予測方向の決定方法。
【請求項7】
前記合計値及び前記差値に従って、前記DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することは、
前記合計値がK2より大きく、且つ前記差値がK1より小さい場合、前記DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれK1とK2であると決定することを含む、
請求項6に記載の予測方向の決定方法。
【請求項8】
前記合計値及び前記差値に従って、前記DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することは、
前記合計値がK2より小さいか等しく、且つ前記差値がK1より大きいか等しい場合、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値と前記差値であると決定することと、
前記差値がK1より小さい場合、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値とK1であると決定することと、
前記合計値がK2より大きい場合、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記差値とK2であると決定することと、を含む、
請求項6に記載の予測方向の決定方法。
【請求項9】
デコーダであって、
復号化されるブロックのクロマイントラ予測モードを決定し、前記クロマイントラ予測モードのダイレクトモード(DM)を取得するように構成される第1取得モジュールと、
前記DMモードに対応する予測方向のインデックス番号MとオフセットNに従って、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定するように構成される第1決定モジュールと、を備え、
Nは2より大きいか等しい正の整数であり、Mは正の整数であり、
前記DM導出モードの復号化プロセスは、クロスコンポーネント線形モデル予測(CCLM)モードの復号化プロセスの後に行われる、前記デコーダ。
【請求項10】
前記第1決定モジュールは、
MとNとの合計値、MとNとの差値、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最小値K1及び前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最大値K2に従って、前記DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定するように構成される第1決定サブモジュールを備える、
請求項9に記載のデコーダ。
【請求項11】
前記第1決定サブモジュールは、具体的に、
前記合計値がK2より大きく、且つ前記差値がK1より小さい場合、前記DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれK1とK2であると決定するように構成される、
請求項10に記載のデコーダ。
【請求項12】
前記第1決定サブモジュールは、具体的に、
前記合計値がK2より小さいか等しく、且つ前記差値がK1より大きいか等しい場合、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値と前記差値であると決定し、
前記差値がK1より小さい場合、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値とK1であると決定し、
前記合計値がK2より大きい場合、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記差値とK2であると決定するように構成される、
請求項10に記載のデコーダ。
【請求項13】
エンコーダであって、
符号化されるブロックのクロマイントラ予測モードを決定し、前記クロマイントラ予測モードのダイレクトモード(DM)を取得するように構成される第2取得モジュールと、
前記DMモードに対応する予測方向のインデックス番号MとオフセットNに従って、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定するように構成される第2決定モジュールと、を備え、
Nは2より大きいか等しい正の整数であり、Mは正の整数であり、
前記DM導出モードの符号化プロセスは、クロスコンポーネント線形モデル予測(CCLM)モードの符号化プロセスの後に行われる、前記エンコーダ。
【請求項14】
前記第2決定モジュールは、
MとNとの合計値、MとNとの差値、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最小値K1及び前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最大値K2に従って、前記DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定するように構成される第2決定サブモジュールを備える、
請求項13に記載のエンコーダ。
【請求項15】
前記第2決定サブモジュールは、具体的に、
前記合計値がK2より大きく、且つ前記差値がK1より小さい場合、前記DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれK1とK2であると決定するように構成される、
請求項14に記載のエンコーダ。
【請求項16】
前記第2決定サブモジュールは、具体的に、
前記合計値がK2より小さいか等しく、且つ前記差値がK1より大きいか等しい場合、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値と前記差値であると決定し、
前記差値がK1より小さい場合、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値とK1であると決定し、
前記合計値がK2より大きい場合、DM導出モードに対応する予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記差値とK2であると決定するように構成される、
請求項14に記載のエンコーダ。
【請求項17】
デコーダであって、
プロセッサと、前記プロセッサによって実行可能な命令が記憶されている記憶媒体と、を備え、前記記憶媒体は、通信バスを介して前記プロセッサと通信することにより操作を実行し、前記命令が前記プロセッサによって実行されるときに、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の予測方向の決定方法を実行する、前記デコーダ。
【請求項18】
エンコーダであって、
プロセッサと、前記プロセッサによって実行可能な命令が記憶されている記憶媒体と、を備え、前記記憶媒体は、通信バスを介して前記プロセッサと通信することにより操作を実行し、前記命令が前記プロセッサによって実行されるときに、請求項5ないし8のいずれか一項に記載の予測方向の決定方法を実行する、前記エンコーダ。
【請求項19】
コンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ可読記憶媒体には、プロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、前記命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の予測方向の決定方法または請求項5ないし8のいずれか一項に記載の予測方向の決定方法を実行させる、前記コンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願実施例は、ビデオ復号化におけるダイレクトモード(DM:Direct Mode)の予測方向の決定の技術分野に関し、特に、予測方向の決定方法、デコーダ及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
多機能ビデオ符号化(VVC:Versatile Video Coding)において、クロマイントラ予測モードの候補モードは、DMモード、線形モデル予測(LM:Linear Model Prediction)、上行の線形モデル予測(LM_T)モード、左列の線形モデル予測(LM_L)モード、直流(DC)モード、段階的PLANARモード、垂直(VER)モード、水平(HOR)モードを含み得る。
【0003】
現在、VVCクロマイントラ予測モードの候補リストは、マルチダイレクトモードシグナリング(MDMS:Multiple Direct Mode Signalling)によって構成でき、ここで、17個の候補技術案を比較する必要があり、比較回数が膨大であり、隣接ブロックへの依存度が高く、復号化の複雑さが比較的高い。さらに、VVCにおけるクロマイントラ予測モードの候補リストの構造において、DMモードが角度モードである場合、デフォルトの角度候補モードとして、固定のHORモード、VERモード及び66モードを使用するが、3つの固定のモードには高いシーケンス依存性があり、適合角度特徴は通常DMで表されるため、実際の応用では選択される可能性が低い。さらに、既存のDMモードは、クロマブロックの部分的なテクスチャ特徴のみを反映することができ、クロマブロックが複数の同位置輝度ブロックに対応する場合、単一のDMモード予測を直接使用して予測することは不合理である。ここから分かるように、既存のクロマイントラ予測モードの候補モードで復号化するとき、予測が不正解であるという技術的課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記事情に鑑みて、本願実施例は、デコーダのクロマイントラ予測の精度を向上させることができる、予測方向の決定方法、デコーダ及びコンピュータ記憶媒体を提供することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願実施例の技術的解決策は、以下のように実現することができる。
【0006】
第1態様によれば、本願実施例は方法を提供し、前記方法デコーダに適用され、前記方法は、
復号化されるブロックのクロマイントラ予測モードのダイレクトモード(DM)を取得することと、前記DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたオフセットNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することとを含み、ここで、Nは2より大きいか等しい正の整数であり、Mは正の整数である。
【0007】
上記の技術的解決策において、前記DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたオフセットNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することは、
MとNとの合計値を取得し、MとNとの差値を取得することと、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最小値K1と、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最大値K2を取得することと、前記合計値、前記差値、K1及びK2に従って、前記DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することと、を含む。
【0008】
上記の技術的解決策において、前記合計値及び前記差値に従って、前記DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することは、
前記合計値がK2より小さいか等しく、且つ前記差値がK1より大きいか等しい場合、前記DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値と前記差値であると決定することと、前記差値がK1より小さいか等しい場合、前記DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値と第1出力値であると決定することであって、前記第1出力値は、M及びNをプリセットされた第1プリセット式に入力することによって取得された値であることと、前記合計値がK2より大きいか等しい場合、前記DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ第2出力値と前記差値であると決定することであって、前記第2出力値は、M及びNをプリセットされた第2プリセット式に入力することによって取得された値であることと、を含む。
【0009】
上記の技術的解決策において、前記合計値及び前記差値に従って、前記DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することは、
前記合計値がK2より小さいか等しく、且つ前記差値がK1より大きいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値と前記差値であると決定することと、前記差値がK1より小さいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値とK1であると決定することと、前記合計値がK2より大きいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記差値とK2であると決定することと、を含む。
【0010】
上記の技術的解決策において、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号が前記復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号と異なる場合、これに対応して、前記合計値及び前記差値に従って、前記DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定することは、
前記復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号の最小値L1と、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最大値L2を取得することと、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号と前記復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号との間の対応関係を取得することと、前記合計値、前記差値、L1及びL2に従って、前記復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号からインデックス番号を決定することと、前記対応関係に従って、決定されたインデックス番号に対応する前記DMモードの予測方向のインデックス番号を前記DM導出モードの予測方向のインデックス番号として決定することにより、前記DM導出モードを決定することと、を含む。
【0011】
上記の技術的解決策において、前記合計値、前記差値、L1及びL2に従って、前記復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号からインデックス番号を決定することは、
前記合計値がL2より小さいか等しく、且つ前記差値がL1より大きいか等しい場合、前記決定されたインデックス番号がそれぞれ前記合計値と前記差値であると決定することと、前記差値がL1より小さいか等しい場合、前記決定されたインデックス番号がそれぞれ前記合計値と第3出力値であると決定することであって、前記第3出力値は、M及びNをプリセットされた第3プリセット式に入力することによって取得された値であることと、前記合計値がL2より大きいか等しい場合、前記決定されたインデックス番号がそれぞれ第4出力値と前記差値であると決定することであって、前記第4出力値は、M及びNをプリセットされた第4プリセット式に入力することによって取得された値であることと、を含む。
【0012】
上記の技術的解決策において、前記合計値、前記差値、L1及びL2に従って、前記復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号からインデックス番号を決定することは、
前記合計値がL2より小さいか等しく、且つ前記差値がL1より大きいか等しい場合、前記決定されたインデックス番号がそれぞれ前記合計値と前記差値であると決定することと、前記差値がL1より小さいか等しい場合、前記決定されたインデックス番号がそれぞれ前記合計値とL1であると決定することと、前記合計値がL2より大きいか等しい場合、前記決定されたインデックス番号がそれぞれ前記差値とL2であると決定することと、を含む。
【0013】
上記の技術的解決策において、前記DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたオフセットNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定した後、前記方法は、
前記DM導出モードの復号化優先度が、前記DMモードの優先度より低く、且つクロスコンポーネント線形モデル予測CCLMモードの復号化優先度より低いと決定することを更に含む。
【0014】
上記の技術的解決策において、前記DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたオフセットNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定した後、前記方法は、
前記DM導出モードの復号化優先度が、前記DMモードの復号化優先度より低く、且つ前記CCLMモードの復号化優先度より低く、且つ垂直(VER)モードの復号化優先度より高く、且つ水平(HOR)モードの復号化優先度より高いと決定することを更に含む。
【0015】
上記の技術的解決策において、前記DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたオフセットNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定した後、前記方法は、
前記DM導出モードの復号化優先度が、前記DMモードの復号化優先度より低く、且つ前記CCLMモードの復号化優先度より低く、且つ直流(DC)モードの復号化優先度より低く、且つ段階的平面(PLANAR)モードの復号化優先度より低いと決定することを更に含む。
【0016】
上記の技術的解決策において、前記DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたオフセットNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定した後、前記方法は、
前記DM導出モードの復号化優先度が、前記DMモードの復号化優先度より低く、且つ前記CCLMモードの復号化優先度より低く、且つ前記DCモードの復号化優先度より低く、且つ前記PLANARモードの復号化優先度より低く、且つ前記VERモードの復号化優先度より高く、且つ前記HORモードの復号化優先度より高いと決定することを更に含む。
【0017】
第2態様によれば、本願実施例はデコーダを提供し、前記デコーダは、
復号化されるブロックのクロマイントラ予測モードのダイレクトモード(DM)を取得するように構成される取得モジュールと、前記DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたオフセットNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定するように構成される第1決定モジュールと、を備え、ここで、Nは2より大きいか等しい正の整数であり、Mは正の整数である。
【0018】
上記の技術的解決策において、前記第1決定モジュールは、
MとNとの合計値を取得し、MとNとの差値を取得するように構成される計算サブモジュールと、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最小値K1と、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最大値K2を取得するように構成される第1取得サブモジュールと、前記合計値、前記差値、K1及びK2に従って、前記DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定するように構成される第1決定サブモジュールと、を備える。
【0019】
上記の技術的解決策において、前記第1決定サブモジュールは、具体的に、
前記合計値がK2より小さいか等しく、且つ前記差値がK1より大きいか等しい場合、前記DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値と前記差値であると決定し、前記差値がK1より小さいか等しい場合、前記DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値と第1出力値であると決定し、ここで、前記第1出力値は、M及びNをプリセットされた第1プリセット式に入力することによって取得された値であり、前記合計値がK2より大きいか等しい場合、前記DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ第2出力値と前記差値であると決定するように構成され、ここで、前記第2出力値は、M及びNをプリセットされた第2プリセット式に入力することによって取得された値である。
【0020】
上記の技術的解決策において、前記第1決定サブモジュールは、具体的に、
前記合計値がK2より小さいか等しく、且つ前記差値がK1より大きいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値と前記差値であると決定し、前記差値がK1より小さいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記合計値とK1であると決定し、前記合計値がK2より大きいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ前記差値とK2であると決定するように構成される。
【0021】
上記の技術的解決策において、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号が前記復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号と異なる場合、これに対応して、前記第1決定サブモジュールは、
前記復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号の最小値L1と、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最大値L2を取得するように構成される第2取得サブモジュールと、前記DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号と前記復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号との間の対応関係を取得するように構成される第3取得サブモジュールと、前記合計値、前記差値、L1及びL2に従って、前記復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号からインデックス番号を決定するように構成される第2決定サブモジュールと、前記対応関係に従って、決定されたインデックス番号に対応する前記DMモードの予測方向のインデックス番号を前記DM導出モードの予測方向のインデックス番号として決定することにより、前記DM導出モードを決定するように構成される第3決定サブモジュールと、を備える。
【0022】
上記の技術的解決策において、前記第2決定サブモジュールは、具体的に、
前記合計値がL2より小さいか等しく、且つ前記差値がL1より大きいか等しい場合、前記決定されたインデックス番号がそれぞれ前記合計値と前記差値であると決定し、前記差値がL1より小さいか等しい場合、前記決定されたインデックス番号がそれぞれ前記合計値と第3出力値であると決定し、ここで、前記第3出力値は、M及びNをプリセットされた第3プリセット式に入力することによって取得された値であり、前記合計値がL2より大きいか等しい場合、前記決定されたインデックス番号がそれぞれ第4出力値と前記差値であると決定するように構成され、ここで、前記第4出力値は、M及びNをプリセットされた第4プリセット式に入力することによって取得された値である。
【0023】
上記の技術的解決策において、前記第2決定サブモジュールは、具体的に、
前記合計値がL2より小さいか等しく、且つ前記差値がL1より大きいか等しい場合、前記決定されたインデックス番号がそれぞれ前記合計値と前記差値であると決定し、前記差値がL1より小さいか等しい場合、前記決定されたインデックス番号がそれぞれ前記合計値とL1であると決定し、前記合計値がL2より大きいか等しい場合、前記決定されたインデックス番号がそれぞれ前記差値とL2であると決定するように構成される。
【0024】
上記の技術的解決策において、前記デコーダは更に、
前記DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたオフセットNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、前記DM導出モードを決定した後、前記DM導出モードの復号化優先度が、前記DMモードの優先度より低く、且つクロスコンポーネント線形モデル予測CCLMモードの復号化優先度より低いと決定するように構成される第2決定モジュールを備える。
【0025】
上記の技術的解決策において、前記第2決定モジュールは、具体的に、
前記DM導出モードの復号化優先度が、前記DMモードの復号化優先度より低く、且つ前記CCLMモードの復号化優先度より低く、且つ垂直(VER)モードの復号化優先度より高く、且つ水平(HOR)モードの復号化優先度より高いと決定するように構成される。
【0026】
上記の技術的解決策において、前記第2決定モジュールは、具体的に、
前記DM導出モードの復号化優先度が、前記DMモードの復号化優先度より低く、且つ前記CCLMモードの復号化優先度より低く、且つ直流(DC)モードの復号化優先度より低く、且つ段階的平面(PLANAR)モードの復号化優先度より低いと決定するように構成される。
【0027】
上記の技術的解決策において、前記第2決定モジュールは、具体的に、
前記DM導出モードの復号化優先度が、前記DMモードの復号化優先度より低く、且つ前記CCLMモードの復号化優先度より低く、且つ前記DCモードの復号化優先度より低く、且つ前記PLANARモードの復号化優先度より低く、且つ前記VERモードの復号化優先度より高く、且つ前記HORモードの復号化優先度より高いと決定するように構成される。
【0028】
第3態様によれば、本願実施例はデコーダを提供し、前記デコーダは、
プロセッサと、前記プロセッサによって実行可能な命令が記憶されている記憶媒体とを備え、前記記憶媒体は、通信バスを介して前記プロセッサと通信することにより操作を実行し、前記命令が前記プロセッサによって実行されるときに、上記の第1態様に記載の予測方向の決定方法を実行する。
【0029】
第4態様によれば、本願実施例は、実行可能な命令が記憶されているコンピュータ記憶媒体を提供し、前記実行可能な命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、前記第1態様に記載の予測方向の決定方法を実行させる。
【発明の効果】
【0030】
本願実施例は、予測方向の決定方法、デコーダ及びコンピュータ記憶媒体を提供し、当該方法はデコーダに適用され、当該方法は、復号化されるブロックのクロマイントラ予測モードのDMモードを取得し、DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、DM導出モードを決定することを含む。つまり、本願実施例において、取得されたクロマイントラ予測モードの候補モードのうちのDMモードの予測方向のインデックス番号、及びN値に従ってDM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、DM導出モードを決定でき、決定されたDM導出モードをクロマイントラ予測モードの候補モードとして使用して、復号化されるブロックのクロマフレームに対してイントラ予測を実行することができる。このように、クロマイントラ予測モードの候補モードにDM導出モードを追加して、復号化されるブロックに対してイントラ予測を実行することにより、復号化の精度を向上させることができ、画像ビデオデータの伝送品質をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本願実施例に係る予測方向の決定方法の例示的なフローチャートである。
図2】現在の処理ブロックの配置の概略図である。
図3】予測方向の配置の概略図及び予測値で充填された配置の概略図である。
図4】VERモードで予測を実行するときの配置の概略図及びHORモードで予測を実行するときの配置の概略図である。
図5】現在の処理ブロックに対応する輝度ブロックの配置の概略図である。
図6】表2のDMモード及びクロマ隣接ブロックモードでそれぞれ採用されたクロマブロックの配置の概略図である。
図7】MDMSにおけるイントラ予測方向のトラバーサル順序の概略図である。
図8】本願実施例に係るビデオ符号化システムの構成を示すブロック図である。
図9】本願実施例に係るビデオ復号化システムの構成を示すブロック図である。
図10】本願実施例に係る別の予測方向の決定方法の例示的なフローチャートである。
図11】本願実施例に係る更に別の予測方向の決定方法の例示的なフローチャートである。
図12】本願実施例に係るデコーダの第1の概略構造図である。
図13】本願実施例に係るデコーダの第2の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本願実施例の特徴および技術内容をより詳細に理解するために、以下、図面を参照して本願実施例の具現を詳細に説明し、添付の図面は、例示のみを目的として、本願実施例を限定することを意図するものではない。
【0033】
本願実施例は予測方向の決定方法を提供し、当該方法はデコーダに適用され、図1は、本願実施例に係る予測方向の決定方法の例示的なフローチャートであり、図1に示されたように、当該予測方向の決定方法は、次のステップを含み得る。
【0034】
ステップS101において、復号化されるブロックのクロマイントラ予測モードのDMモードを取得する。
【0035】
現在、電子機器の迅速な発展に伴い、ビデオ符号化・復号化技術も迅速に発展しており、具体的には、ビデオ符号化・復号化において、空間又は時間における既存の再構成画像を使用して、現在の処理ブロックの予測値を構築し、真の値と予測値との差値のみを伝送することにより、伝送データ量を削減する目的を達成し、これは予測符号化・復号化と呼ばれる。
【0036】
図2は、現在の処理ブロックの配置の概略図であり、図2に示されたように、図2のいくつかの小さな正方形で構成される最大の正方形は、現在の処理ブロックであり、現在の処理ブロックの上方にある円の行は、現在の処理ブロックの1行目の画素であり、現在の処理ブロックの左側にある円の列は、現在の処理ブロックの1列目の画素である。イントラ予測とは、現在の処理ブロックの1行目の画素及び1列目の画素を使用して、現在の処理ブロックの予測値を構築することを指す。図2を参照すると、図2の円、即ち、回復された隣接画素を使用して、現在の処理ブロックの各画素を予測する。
【0037】
ここで、隣接画素を使用して現在の処理ブロックの予測値を構築する場合、複数の予測方向が採用される。図3は、予測方向の配置の概略図及び予測値で充填された配置の概略図であり、図3(a)に示されたように、現在VVCによってサポートされる67個の輝度のイントラ予測モードが示されている。DMなどの導入により、クロマブロックも、これらのイントラ予測モードを使用することができる。ここで、各予測モードは、インデックス番号で表され、DMモードによって表される値は、角度と相関している場合と、角度と相関していない場合がある。例えば、DMモードが角度と相関していない場合、インデックス番号0はPLANARモードを表し、インデックス番号1はDCモードを表し、DMモードが角度モードである場合、インデックス番号2~66は、65個の予測方向を表す。
【0038】
上記のDCモード及びPLANARモードは、2つの比較的平坦な構造を有する予測モードであることに留意されたい。ここで、DCモードでは、1行目及び1列目の参照画素の平均値を使用して、輝度ブロック又はクロマブロック全体を充填する。PLANARモードでは、段階的方式で輝度又はクロマブロックを充填する。
【0039】
図3(b)に示されたように、構築された画素の予測値で充填された後の配置の概略図であり、DMモードが角度モードであり、予測方向のインデックス番号が66である場合での、各画素の予測値を構築する方法を提供する。0~16の番号付けられた画素は、現在の処理ブロックの1行目のデータであり、現在の処理ブロックの各画素は、右上隅の画素に基づいて充填され、充填された現在の処理ブロックは、図3(b)に示されるとおりである。
【0040】
DMモードが角度モードである場合、インデックス番号2~66は、65個の予測方向が2つの特別な方向モードも含むことを表す。例えば、インデックス番号18はHORモードを表し、インデックス番号50はVERモードを表し、それぞれ水平予測及び垂直予測を実行することができる。
【0041】
図4は、VERモードで予測を実行するときの配置の概略図及びHORモードで予測を実行するときの配置の概略図であり、図4(a)に示されたように、1行目の画素は、それぞれ、0、1、2、3、4、5、6、7で表され、1行目の画素を使用してVERモードの予測を実行する。図4(a)に示されたように、列は1行目の画素で充填される。図4(b)に示されたように、1列目の画素は、それぞれ、0、1、2、3、4、5、6、7で表され、1列目の画素を使用してHORモードの予測を実行し、図4(b)に示されたように、行は1列目の画素で充填される。
【0042】
実際の応用では、輝度モードの場合、図3(a)の0~66個の予測方向に従って順次に予測を実行し、現在の処理ブロックに最も一致する(又はレート歪みコスト差値が最も小さい)予測方向を選択して、予測値を構築し、符号化側は、差値及び予測方向をビットストリームに導入し、復号化側は、ビットストリームを取得して解析することにより、予測方向のインデックス番号を取得し、次に、輝度予測値を計算することができ、当該輝度予測値と、ビットストリームから解析された差値信号とを加算して、再構築された輝度値を取得することができる。
【0043】
クロマイントラ予測の場合、輝度イントラ予測モードとは異なり、クロマイントラ予測方向については、予測方向の一部のみが抽出されるため、複雑さを低減することができる。例えば、VVCのクロマイントラ予測モードの候補リストの構築方法は、以下の表1に示されるとおりである。
【表1】
【0044】
図5は、現在の処理ブロックに対応する輝度ブロックの配置の概略図であり、図5に示されたように、左側のグレースケールブロックは、現在のクロマブロックに対応する輝度ブロックであり、右側のグレースケールブロックは、現在のクロマブロックであり、現在のクロマブロックに対してイントラ予測を実行するとき、輝度ブロックの中央ブロックの予測方向を使用し、中央ブロックは、図5の左側のグレースケールブロックのCRで表された輝度ブロックである。
【0045】
上記の表1から分かるように、DMモードで取得された予測方向が最後の4つのモードと同じである場合、最後の4つのモードを予測方向のインデックス番号が66であるモードに置き換える。
【0046】
上記の構築方法に加えて、別の方法、すなわち、MDMSモードがあり、これは、クロマイントラ予測モードの候補リストのより複雑な構築方法であり、VVCと比較すると、この方法は、ビットレートが0.2%低くなるが、複雑さが過度に高くなる。当該技術案の構築方法は、以下の表2に示されるとおりである。
【表2】
【0047】
図6は、それぞれ表2のDMモード及びクロマ隣接ブロックモードで採用されたクロマブロックの配置の概略図であり、図6(a)の小さな正方形で示されるように、表2のDMモードは、採用された現在のクロマブロックが輝度ブロック領域の中央CR、左上TL、右上TR、左下BL、右下BRの5つの位置に対応するイントラ予測モードであり、図6(b)の小さな正方形で示されるように、表2のクロマ隣接ブロックモードは、採用されたクロマブロックが、左、左上、左下、上、及び右上のブロックに空間的に隣接するイントラ予測モードである。
【0048】
図7は、MDMSにおけるイントラ予測方向のトラバーサル順序の概略図であり、図7に示されたように、イントラ予測の順序は、次の通りである。1、中央の輝度(luma)ブロックC。2、左上の輝度ブロックTL。3、右上の輝度ブロックTR。4、左下の輝度ブロックBL。5、右下の輝度ブロックBR。6、左クロマ(chroma)ブロックL。7、上クロマブロック。8、左下のクロマブロックLB。9、右上のクロマブロックAR。10、左上のクロマブロックAL。11、PLANAR。12、DC。13、既存の予測方向のインデックス番号に1を加算又は減算する(+1 derived angular modesに相当)。14、予測方向のインデックス番号50(VER_IDXに相当)。15、予測方向のインデックス番号18(HOR_IDXに相当)。16、予測方向のインデックス番号2。17、予測方向のインデックス番号34(DIA_IDXに相当)。
【0049】
ここから分かるように、VVCにおけるクロマイントラ予測方向の構築方法は簡単であるが、採用される固定HOR、VER及び66モードはシーケンス依存性が高く、すべてのシーケンスにうまく適応できず、統計では、これらのモードが選択される確率は比較的低いことが示される。
【0050】
MDMSは17個の候補技術案を比較する必要があり、これは、-0.2%のゲインをもたらすが、比較回数が多いほど、隣接ブロックへの依存度が高いため、実際に実現するのに困難である。現在、MDMSの複雑さを低減するいくつかの方法(例えば、図7の予測方向2、3、4、5を削除したり、図7の右上の輝度ブロックAR、PLANAR、DCを削除し、既存の予測方向インデックス番号に1を加算又は減算したりする)がある。
【0051】
候補予測方向の精度を向上させるために、図8は、本願実施例に係るビデオ符号化システムの構成のブロック図であり、図8に示されたように、当該ビデオ符号化システム800は、変換及び量子化801、イントラ推定802、イントラ予測803、動き補償804、動き推定805、逆変換及び逆量子化806、フィルタ制御分析807、デブロッキングフィルタリング及びサンプル適応オフセット(SAO:Sample Adaptive 0ffset)フィルタリング808、ヘッダ情報符号化及びコンテキスト適応型二値算術復号化(CABAC:Context-based Adaptive Binary Arithmatic Coding)809並びに復号化された画像キャッシュ810などのコンポーネントを備える。入力された元のビデオ信号について、符号化ツリーユニット(CTU:Coding Tree Unit)を分割することにより、1つのビデオ符号化ブロックを取得することができ、その後、イントラ又はインター予測を実行することによって取得された残差画素情報に基づいて、変換及び量子化801によって当該ビデオ符号化ブロックを変換することができる。当該変換及び量子化801によるビデオ符号化ブロックを変換は、残差情報を画素ドメインから変換ドメインに変換し、取得された変換係数を量子化することにより、ビットレートを更に低減することを含み得る。イントラ推定802及びイントラ予測803は、当該ビデオ符号化ブロックに対してイントラ予測を実行するように構成され、具体的には、イントラ推定802及びイントラ予測803は、当該ビデオ符号化ブロックを符号化するために使用されるイントラ予測モードを決定するように構成される。動き補償804及び動き推定805は、1つ又は複数の参照フレーム内の1つ又は複数のブロックに対する、受信したビデオ符号化ブロックに対してインター予測符号化を実行することにより、時間予測情報を提供するように構成される。動き推定805によって実行される動き推定は、動きベクトルを生成するプロセスであり、前記動きベクトルに基づいて、当該ビデオ符号化ブロックの動きを推定することができ、その後、動き補償804は、動き推定805によって決定された動きベクトルに基づいて動き補償を実行することができる。イントラ予測モードを決定した後、イントラ予測803は更に、選択したイントラ予測データをヘッダ情報符号化及びCABAC 809に提供するように構成される。また、動き推定805はまた、計算によって決定された動きベクトルデータをヘッダ情報符号化及びCABAC 809に送信することができる。当該逆変換及び逆量子化806は、当該ビデオ符号化ブロックを再構築するように、すなわち、画素ドメインで残差ブロックを再構築するように構成される。当該再構築された残差ブロックのブロックアーチファクトは、フィルタ制御分析807及びデブロッキングフィルタリング及びSAOフィルタリング808によって除去され得、その後、当該再構築された残差ブロックを復号化画像キャッシュ810のフレーム内の1つの予測性ブロックに追加することにより、再構築されたビデオ符号化ブロックを生成する。ヘッダ情報符号化及びCABAC 809は、様々な符号化パラメータ及び量子化された変換係数を符号化するように構成され、CABACに基づく符号化アルゴリズムにおいて、コンテキストコンテンツは、隣接する符号化ブロックに基づくことができ、決定されたイントラ予測モードを指示する情報を符号化し、当該ビデオ信号のビットストリームを出力するために使用されることができる。復号化画像キャッシュ810は、再構築されたビデオ符号化ブロックを予測参照として格納するように構成される。ビデオ画像の符号化につれて、新しい再構築されたビデオ符号化ブロックが継続的に生成され、これらの再構築されたビデオ符号化ブロックは、復号化された画像キャッシュ810に格納される。
【0052】
図9は、本願実施例に係るビデオ復号化システムの構成を示すブロック図である。図9に示されたように、当該ビデオ復号化システム900は、ヘッダ情報復号化及びCABAC復号化901、逆変換及び逆量子化902、イントラ予測903、動き補償904、デブロッキングフィルタリング及びSAOフィルタリング905並びに復号化画像キャッシュ906などのコンポーネントを備える。入力したビデオ信号に対して図8に示す符号化処理が実行された後、当該ビデオ信号のビットストリームが出力される。当該ビットストリームをビデオ復号化システム900に入力し、まず、ヘッダ情報復号化及びCABAC復号化901を介して処理して、復号化された変換係数を取得することができる。逆変換及び逆量子化902により当該変換係数を処理することにより、画素ドメインで残差ブロックを生成することができる。イントラ予測903は、決定されたイントラ予測モード及び現在のフレーム又は画像からの以前の復号化されたブロックのデータに基づいて、現在のビデオ復号化ブロックの予測データを生成するように構成されることができる。動き補償904は、動きベクトル及び他の関連する構文要素を分析することにより、ビデオ復号化ブロックの予測情報を決定し、当該予測情報に基づいて、現在復号化されているビデオ復号化ブロックの予測ブロックを生成することができる。逆変換及び逆量子化902からの残差ブロックと、イントラ予測903又は動き補償904によって生成された対応する予測ブロックとを加算することにより、復号化されたビデオブロックを形成する。当該復号化されたビデオ信号のブロックアーチファクトは、デブロッキングフィルタリング及びSAOフィルタリング905によって除去され、これにより、ビデオ品質を改善することができる。復号化されたビデオブロックを復号化された画像キャッシュ906に記憶し、復号化された画像キャッシュ906は、後続のイントラ予測又は動き補償のために使用される参照画像を記憶し、ビデオ信号を出力するように構成され、すなわち、回復された元のビデオ信号を取得することができる。
【0053】
本願実施例は、主に、図8に示されたイントラ予測803及び図9に示されたイントラ予測903に適用される。本願実施例は、符号化システムに適用されてもよいし、復号化システムに適用されてもよいが、本願実施例は、これらに対して特に限定しない。
【0054】
図1を参照すると、DM導出モードを取得するために、まず、DMモードを取得し、このようにして、DMモードの予測方向のインデックス番号を知ることができる。
【0055】
ステップS102において、DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたオフセットNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、DM導出モードを決定する。
【0056】
ここで、Nは2より大きいか等しい正の整数であり、Mは正の整数である。
【0057】
ここで、DMモードに含まれるインデックス番号で表された予測方向と復号化されるブロックに含まれるインデックス番号で表された予測方向は同じでも、異なってもよく、これは、復号化されるブロックの形状及び/又はサイズに関連する。例えば、復号化されるブロックの幅と高さの比率が参照領域のブロック形状の幅と高さの比率と同じである場合、DMモードに含まれるすべての予測方向のインデックス番号は復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号と同じであり、そうでない場合、復号化されるブロックの幅と高さの比率が参照領域のブロック形状の幅と高さの比率と異なる場合、広角モードでは、拡張モード番号に対応する予測方向は異なる可能性がある。
【0058】
実際の応用では、Nは一般に3、5又は7であり、ここで、本願実施例はこれを特に限定しない。
【0059】
DM導出モードにおける予測方向のインデックス番号を決定するために、一例示的な実施例において、図10は、本願実施例に係る別の例示的な予測方向の決定方法の例示的なフローチャートであり、図10に示されたように、ステップS102は、次のステップを含み得る。
【0060】
ステップS1001において、MとNとの合計値を取得し、MとNとの差値を取得する。
【0061】
ステップS1002において、DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最小値K1と、DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最大値K2を取得する。
【0062】
ステップS1003において、合計値、差値、K1及びK2に従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、DM導出モードを決定する。
【0063】
つまり、まずMとNとの合計値と、MとNとの差値を計算し、K1及びK2を取得し、ここでは、2つのケースがあり、ケース1において、DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号と復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号が同じであり、ケース2において、DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号が復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号と異なる。
【0064】
DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号と復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号が同じである場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定するために、一例示的な実施例において、ステップS1003は、
合計値がK2より小さいか等しく、且つ差値がK1より大きいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ合計値と差値であると決定することと、 差値がK1より小さいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ合計値と第1出力値であると決定ことであって、第1出力値は、M及びNをプリセットされた第1プリセット式に入力することによって取得された値であることと、
合計値がK2より大きいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ第2出力値と差値であると決定することであって、第2出力値は、M及びNをプリセットされた第2プリセット式に入力することによって取得された値であることと、を含み得る。
【0065】
上記の第1プリセット式及び第2プリセット式は、K1及びK2に従って取得されたものであり、変数M及びNは、事前に設定されたものである。
【0066】
例えば、DMモードが角度モードである場合、DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最小値は2であり、最大値は66であり、それらにNを加算又は減算し、有効角度範囲にマッピングして、DM導出モードを取得する。Nは2より大きく、好ましくは、Nは3、5又は7である。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
ここで、上記の記号「%」は、剰余演算を表す。例えば、DMモードが40であり、オフセットNを5に設定した場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号は35及び45である。DMが62である場合、導出モードは57及び3であり(62+5=67、67は[2,66]の範囲を超えるため、モジュラス計算によって3に限定される(広角モード除外))、広角モードを考慮すると、実際の角度範囲に従ってマッピングすることができる。そうすると、本具現例のクロマイントラ予測方向の構築方法は、以下の表3に示されるとおりである。
【表3】
【0072】
DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号と復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号が同じである場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定するために、一例示的な実施例において、ステップS1003は
合計値がK2より小さいか等しく、且つ差値がK1より大きいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ合計値と差値であると決定することと、 差値がK1より小さいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ合計値とK1であると決定することと、
合計値がK2より大きいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ差値とK2であると決定することと、を含み得る。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
例えば、DMモードが40であり、オフセットN値を5に設定した場合、DM導出モードは35及び45であり、DMが62である場合、導出モードは57及び2(62+5=67、67は[2,66]の範囲を超えるため、66に限定される)である。
【0077】
DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定するために、一例示的な実施例において、DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号と復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号が異なる場合、これに対応して、図11は、本願実施例に係る更に別の予測方向の決定方法の例示的なフローチャートであり、図11に示されたように、ステップS102は、次のステップを含み得る。
【0078】
ステップS1101において、復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号の最小値L1と、DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最大値L2を取得する。
【0079】
ステップS1102において、DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号と復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号との間の対応関係を取得する。
【0080】
ステップS1103において、合計値、差値、L1及びL2に従って、復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号からインデックス番号を決定する。
【0081】
ステップS1104において、対応関係に従って、決定されたインデックス番号に対応するDMモードの予測方向のインデックス番号をDM導出モードの予測方向のインデックス番号として決定することにより、DM導出モードを決定する。
【0082】
具体的には、復号化されるブロックが長方形である場合、復号化されるブロックに含まれるインデックス番号で表される予測方向は、DMモードに含まれるインデックス値で表された予測方向とは異なるが、対応関係を有する。例えば、復号化されるブロックが長方形である場合、復号化されるブロックに含まれる予測方向は、DMモードに含まれる予測方向に対して特定の程度だけ時計回り又は反時計回りに回転した方向に相当し、異なる予測方向のインデックス番号は互いに対応することができ、最終的に得られたDM導出モードの予測方向のインデックス番号は、DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の範囲内にある。
【0083】
復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号からインデックス番号を決定するために、一例示的な実施例において、ステップS1103は、
合計値がL2より小さいか等しく、且つ差値がL1より大きいか等しい場合、決定されたインデックス番号がそれぞれ合計値と差値であると決定することと、
差値がL1より小さいか等しい場合、決定されたインデックス番号がそれぞれ合計値と第3出力値であると決定することであって、第3出力値は、M及びNをプリセットされた第3プリセット式に入力することによって取得された値であることと、
合計値がL2より大きいか等しい場合、決定されたインデックス番号がそれぞれ第4出力値と差値であると決定することであって、第4出力値は、M及びNをプリセットされた第4プリセット式に入力することによって取得された値であることと、を含み得る。
【0084】
上記の第3プリセット式及び第4プリセット式は、L1及びL2に従って取得されたものであり、ここで、変数M及びNは、事前に設定されたものである。
【0085】
【表4】
【0086】
DM導出モードのプロセスは、次の通りである。
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
取得された結果が67~72である場合、表4の対応関係に従って2~66にマッピングする。
【0091】
復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号からインデックス番号を決定するために、一例示的な実施例において、ステップS1103は、
合計値がL2より小さいか等しく、且つ差値がL1より大きいか等しい場合、決定されたインデックス番号がそれぞれ合計値と差値であると決定することと、
差値がL1より小さいか等しい場合、決定されたインデックス番号がそれぞれ合計値とL1であると決定することと、
合計値がL2より大きいか等しい場合、決定されたインデックス番号がそれぞれ差値とL2であると決定することと、を含み得る。
【0092】
例えば、本技術は、DM導出モードへの列の追加を提案し、広角モードでの導出方法は、具体的には、次の通りである。
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
取得された結果が67~72である場合、表1の対応関係に従って2~66にマッピングする。
【0098】
一例示的な実施例において、ステップS102の後、当該方法は、
DM導出モードの復号化優先度がDMモードの復号化優先度より低く、且つCCLMモードの復号化優先度より低いと決定することを更に含む。
【0099】
つまり、DMモード及びCCLMモードの後にDM導出モードを設定し、このようにして、復号化プロセスにおいて、優先度が高いほど、受信ビットレートが低くなる。
【0100】
一例示的な実施例において、ステップS102の後、当該方法は、
DM導出モードの復号化優先度が、DMモードの復号化優先度より低く、且つCCLMモードの復号化優先度より低く、且つVERモードの復号化優先度より高く、且つHORモードの復号化優先度より高いと決定することを更に含む。
【0101】
DMが角度モードである場合、本具現例のクロマイントラ予測方向構築方法は、以下の表5に示されるとおりである。
【表5】
【0102】
一例示的な実施例において、ステップS102の後、当該方法は、
DM導出モードの復号化優先度が、DMモードの復号化優先度より低く、且つCCLMモードの復号化優先度より低く、且つ直流(DC)モードの復号化優先度より低く、且つPLANARモードの復号化優先度より低いと決定することを更に含む。
【0103】
DMが角度モードである場合、本具現例のクロマイントラ予測方向構築方法は、以下の表6に示されるとおりである。
【表6】
【0104】
一例示的な実施例において、ステップS102の後、当該方法は、
DM導出モードの復号化優先度が、DMモードの復号化優先度より低く、且つCCLMモードの復号化優先度より低く、且つDCモードの復号化優先度より低く、且つPLANARモードの復号化優先度より低く、且つ垂直(VER)モードの復号化優先度より高く、且つ水平(HOR)モードの復号化優先度より高いと決定することを更に含む。
【0105】
DMが角度モードである場合、本具現例のクロマイントラ予測方向構築方法は、以下の表7に示されるとおりである。
【表7】
【0106】
ここから分かるように、本願実施例によれば、決定されたDM導出モードは、2.2.1 VVCのクロマイントラ予測方向構築方法に基づき、HOR、VER及び66個の固定されたモードよりも優先的に、DMモードに従って拡張することにより、候補予測方向の品質を向上させることができ、DM導出モードをCCLMモードの後、且つ他の角度モードの前に置く。
【0107】
本願実施例は、予測方向の決定方法を提供し、当該方法はデコーダに適用され、当該方法は、復号化されるブロックのクロマイントラ予測モードのDMモードを取得し、DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、DM導出モードを決定することを含む。つまり、本願実施例において、取得されたクロマイントラ予測モードの候補モードのうちのDMモードの予測方向のインデックス番号、及びN値に従ってDM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、DM導出モードを決定でき、決定されたDM導出モードをクロマイントラ予測モードの候補モードとして使用して、復号化されるブロックのクロマフレームに対してイントラ予測を実行することができる。このように、クロマイントラ予測モードの候補モードにDM導出モードを追加して、復号化されるブロックに対してイントラ予測を実行することにより、復号化の精度を向上させることができ、画像ビデオデータの伝送品質をさらに向上させることができる。
【0108】
上記の実施例と同じ発明構想に基づき、図12を参照すると、図12は、本願実施例に係るデコーダの第1の概略構造図であり、デコーダは、
復号化されるブロックのクロマイントラ予測モードのDMモードを取得するように構成される取得モジュール121と、DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたオフセットNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、DM導出モードを決定するように構成される第1決定モジュール122と、を備えることができ、ここで、Nは2より大きいか等しい正の整数であり、Mは正の整数である。
【0109】
上記の技術的解決策において、第1決定モジュール122は、
MとNとの合計値を取得し、MとNとの差値を取得するように構成される計算サブモジュールと、
DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最小値K1と、DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最大値K2を取得するように構成される第1取得サブモジュールと、
合計値、差値、K1及びK2に従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、DM導出モードを決定するように構成される第1決定サブモジュールと、を備える。
【0110】
上記の技術的解決策において、第1決定サブモジュールは、具体的に、
合計値がK2より小さいか等しく、且つ差値がK1より大きいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ合計値と差値であると決定し、
差値がK1より小さいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ合計値と第1出力値であると決定し、ここで、第1出力値は、M及びNをプリセットされた第1プリセット式に入力することによって取得された値であり、
合計値がK2より大きいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ第2出力値と差値であると決定するように構成され、ここで、第2出力値は、M及びNをプリセットされた第2プリセット式に入力することによって取得された値である。
【0111】
上記の技術的解決策において、第1決定サブモジュールは、具体的に、
合計値がK2より小さいか等しく、且つ差値がK1より大きいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ合計値と差値であると決定し、
差値がK1より小さいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ合計値とK1であると決定し、
合計値がK2より大きいか等しい場合、DM導出モードの予測方向のインデックス番号がそれぞれ差値とK2であると決定するように構成される。
【0112】
上記の技術的解決策において、DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号が復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号と異なる場合、これに対応して、第1決定サブモジュールは、
復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号の最小値L1と、DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号の最大値L2を取得するように構成される第2取得サブモジュールと、
DMモードに含まれる予測方向のインデックス番号と復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号との間の対応関係を取得するように構成される第3取得サブモジュールと、
合計値、差値、L1及びL2に従って、復号化されるブロックに含まれる予測方向のインデックス番号からインデックス番号を決定するように構成される第2決定サブモジュールと、
対応関係に従って、決定されたインデックス番号に対応するDMモードの予測方向のインデックス番号をDM導出モードの予測方向のインデックス番号として決定することにより、DM導出モードを決定するように構成される第3決定サブモジュールと、を備える。
【0113】
上記の技術的解決策において、第2決定サブモジュールは、具体的に、
合計値がL2より小さいか等しく、且つ差値がL1より大きいか等しい場合、決定されたインデックス番号がそれぞれ合計値と差値であると決定し、
差値がL1より小さいか等しい場合、決定されたインデックス番号がそれぞれ合計値と第3出力値であると決定し、ここで、第3出力値は、M及びNをプリセットされた第3プリセット式に入力することによって取得された値であり、
合計値がL2より大きいか等しい場合、決定されたインデックス番号がそれぞれ第4出力値と差値であると決定するように構成され、ここで、第4出力値は、M及びNをプリセットされた第4プリセット式に入力することによって取得された値である。
【0114】
上記の技術的解決策において、第2決定サブモジュールは、具体的に、
合計値がL2より小さいか等しく、且つ差値がL1より大きいか等しい場合、決定されたインデックス番号がそれぞれ合計値と差値であると決定し、
差値がL1より小さいか等しい場合、決定されたインデックス番号がそれぞれ合計値とL1であると決定し、
合計値がL2より大きいか等しい場合、決定されたインデックス番号がそれぞれ差値とL2であると決定するように構成される。
【0115】
上記の技術的解決策において、デコーダは更に、
DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたオフセットNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、DM導出モードを決定した後、DM導出モードの復号化優先度が、DMモードの優先度より低く、且つクロスコンポーネント線形モデル予測CCLMモードの復号化優先度より低いと決定するように構成される第2決定モジュールを備える。
【0116】
上記の技術的解決策において、第2決定モジュールは、具体的に、
DM導出モードの復号化優先度が、DMモードの復号化優先度より低く、且つCCLMモードの復号化優先度より低く、且つ垂直(VER)モードの復号化優先度より高く、且つ水平(HOR)モードの復号化優先度より高いと決定するように構成される。
【0117】
上記の技術的解決策において、第2決定モジュールは、具体的に、
DM導出モードの復号化優先度が、DMモードの復号化優先度より低く、且つCCLMモードの復号化優先度より低く、且つ直流(DC)モードの復号化優先度より低く、且つPLANARモードの復号化優先度より低いと決定するように構成される。
【0118】
上記の技術的解決策において、第2決定モジュールは、具体的に、
DM導出モードの復号化優先度が、DMモードの復号化優先度より低く、且つCCLMモードの復号化優先度より低く、且つDCモードの復号化優先度より低く、且つPLANARモードの復号化優先度より低く、且つVERモードの復号化優先度より高く、且つHORモードの復号化優先度より高いを決定するように構成される。
【0119】
理解できることとして、本実施例において、「ユニット」は、回路の一部、プロセッサの一部、プログラム又はソフトウェアの一部などであってもよく、もちろん、モジュール式であってもよいし、非モジュール式であってもよい。
【0120】
また、本実施例における各構成ユニットを1つの処理ユニットに統合してもよく、各ユニットを別々に1つのユニットとして使用してもよいし、2つ以上のユニットを1つのユニットに統合してもよい。前記統合されたユニットは、ハードウェアの形で実装されてもよいし、ソフトウェア機能モジュールの形で実装されてもよい。
【0121】
前記統合されたユニットが、ソフトウェア機能モジュールの形で実装され、独立した製品として販売または使用されていない場合、1つのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができる。このような理解に基づいて、本実施例の技術的解決策の本質的な部分、すなわち、先行技術に貢献のある部分、又は前記技術的解決策の一部は、ソフトウェア製品の形で具現されることができ、当該コンピュータソフトウェア製品は、1つの記憶媒体に記憶され、コンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク機器等であり得る)又はプロセッサ(processor)に、本実施例に記載の方法のステップの全部または一部を実行させるためのいくつかの命令を含む。前述した記憶媒体は、Uディスク、モバイルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスクなどのプログラムコードを記憶することができる様々な媒体を含む。
【0122】
図13は、本願実施例に係るデコーダの第2の概略構造図であり、図13に示されたように、本願実施例は、デコーダ130を提供する。
【0123】
前記デコーダは、プロセッサ131と、プロセッサ131によって実行可能な命令が記憶されている記憶媒体132とを備え、記憶媒体132は、通信バス133を介してプロセッサ131と通信することにより操作を実行し、命令がプロセッサ131によって実行されるときに、上記の実施例による予測方向の決定方法を実行する。
【0124】
実際の応用では、端末の各コンポーネントは、通信バス133を介して結合されることに留意されたい。通信バス133は、これらのコンポーネント間の接続通信を具現するために使用されることを理解されたい。データバスに加えて、通信バス133は更に、電力バス、制御バスおよび状態信号バスを備える。しかしながら、説明を明確にするために、図13では様々なバスをすべて通信バス133として表記する。
【0125】
本願実施例は、実行可能な命令が記憶されているコンピュータ記憶媒体を提供し、前記実行可能な命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、上記の1つ又は複数の実施例に記載の予測方向の決定方法を実行させる。
【0126】
本願実施例におけるメモリは、揮発性メモリまたは不揮発性メモリであってもよいし、または揮発性および不揮発性メモリの両方を含んでもよいことを理解されたい。ここで、不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、プログラム可能な読み取り専用メモリ(PROM:Programmable ROM)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM:Erasable PROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM:Electrically EPROM)またはフラッシュメモリであってもよい。揮発性メモリは、外部キャッシュとして使用されるランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)であってもよい。例示的であるが制限的ではない説明を通じて、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:Static RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:Dynamic RAM)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM:Synchronous DRAM)、ダブルデータレートの同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR SDRAM:Double Data Rate SDRAM)、拡張型同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(ESDRAM:Enhanced SDRAM)、同期接続ダイナミックランダムアクセスメモリ(SLDRAM:Synchlink DRAM)およびダイレクトメモリバスランダムアクセスメモリ(DR RAM:Direct Rambus RAM)など、多くの形のRAMを使用することができる。本明細書で説明するシステムおよび方法のメモリは、これらおよび任意の他の適切なタイプのメモリを含むが、これらに限定されないことを意図する。
【0127】
プロセッサは、信号処理機能を備えた集積回路チップであってもよい。実装では、上記した方法の各ステップは、プロセッサにおけるハードウェアの集積論理回路またはソフトウェアの形の命令を介して完了されることができる。上述のプロセッサは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)または他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントなどであってもよい。本願実施例で開示された各方法、ステップおよび論理ブロック図を実現または実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいし、任意の従来のプロセッサなどであってもよい。本願実施例を組み合たせて開示された方法のステップは、ハードウェア復号化プロセッサによって実行されて完了すると直接に具現されることができ、または復号化プロセッサにおけるハードウェアおよびソフトウェアモジュールの組み合わせによって実行されて完了してもよい。ソフトウェアモジュールは、ランダムメモリ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、プログラマブル読み取り専用メモリまたは電気的に消去可能なプログラマブルメモリ、レジスタなど当技術分野の熟知する記憶媒体に配置されてもよい。当該記憶媒体はメモリに配置され、プロセッサはメモリの情報を読み取り、そのハードウェアと組み合わせて前記方法のステップを完了する。
【0128】
本明細書に記載のこれらの実施例は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはそれらの組み合わせで実現されることができることを理解できる。ハードウェアの実現に対して、処理ユニットは、1つの或複数の特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuits)、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processing)、デジタル信号処理機器(DSPD:DSP Device)、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)、汎用プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、本出願に記載の機能を実行するように構成される他の電子ユニットまたはその組み合わせで実現される。
【0129】
ソフトウェアの実現について、本明細書に記載の機能を実行するモジュール(プロセス、関数など)を介して明細書に記載の技術を実現することができる。ソフトウェアコードは、メモリに記憶され、プロセッサによって実行されることができる。メモリは、プロセッサ内またはプロセッサの外部に実装することができる。
【0130】
本明細書では、「含む」、「備える」又はそれらの他の変形という用語は、非排他的な包含をカバーすることを意図しているため、一連の要素を含むプロセス、方法、物品又は装置はそれらの要素を含むだけでなく、明示的にリストされていない他の要素も含み、又はこれらのプロセス、方法、物品又は装置に固有の要素も含むことに留意されたい。特に限定しない限り、「~を含む」という用語で限定された要素は、その要素を含むプロセス、方法、物品又は装置に他の同じ要素が存在することを除外できない。
【0131】
上述の本願実施例の番号は、実施例の優劣を表すものではなく、説明の便宜を図るためのものである。
【0132】
以上の実施形態による説明を通じて、当業者は、上記の実施例に係る方法が、ソフトウェアと必要な汎用ハードウェアプラットフォームの形で実現できることはもちろん、ハードウェアによっても実現することもできるを明確に理解できるが、多くの場合、前者がより好ましい実施形態である。このような理解に基づいて、本願の技術的解決策の本質的な部分、すなわち、先行技術に貢献のある部分は、ソフトウェア製品の形で具現されることができ、当該コンピュータソフトウェア製品は、1つの記憶媒体(例えば、ROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク)に記憶され、端末(携帯電話、コンピュータ、サーバ、又はネットワーク機器等であり得る)に、本願の各実施例に記載の方法を実行させるためのいくつかの命令を含む。
【0133】
上記では、添付の図面を参照して本願実施例を説明したが、本願は、上記の特定の実施形態に限定されない。上記の特定の実施形態は例示的なものに過ぎず、本願を限定するためのものではない。当業者は、本願の啓発下で、本願の目的および特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの実施形態を作成することもでき、これらはすべて本願の保護範囲に含まれるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本願実施例において、本願実施例は、予測方向の決定方法、デコーダ及びコンピュータ記憶媒体を提供し、当該方法はデコーダに適用され、当該方法は、復号化されるブロックのクロマイントラ予測モードのDMモードを取得し、DMモードの予測方向のインデックス番号M及びプリセットされたNに従って、DM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、DM導出モードを決定することを含む。つまり、本願実施例において、取得されたクロマイントラ予測モードの候補モードのうちのDMモードの予測方向のインデックス番号、及びN値に従ってDM導出モードの予測方向のインデックス番号を決定することにより、DM導出モードを決定でき、決定されたDM導出モードをクロマイントラ予測モードの候補モードとして使用して、復号化されるブロックのクロマフレームに対してイントラ予測を実行することができる。このように、クロマイントラ予測モードの候補モードにDM導出モードを追加して、復号化されるブロックに対してイントラ予測を実行することにより、復号化の精度を向上させることができ、画像ビデオデータの伝送品質をさらに向上させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13