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特開2023-123732ポンプ動作測定を使用した閉塞検出のためのシステム、装置、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123732
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】ポンプ動作測定を使用した閉塞検出のためのシステム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
A61M5/142 530
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106189
(22)【出願日】2023-06-28
(62)【分割の表示】P 2020542431の分割
【原出願日】2019-01-29
(31)【優先権主張番号】62/626,909
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/663,682
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】モジタバ カシェフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ イスカンダル
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス グリン
(72)【発明者】
【氏名】ウザイア シディキ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ポンプ動作測定を使用した閉塞検出のためのシステムを提供する。
【解決手段】流体をリザーバからチャンバへと受け入れ、チャンバから流体が流出するための少なくとも1つのポートとともに構成されたチャンバと、吸引ストローク中のチャンバへの所定量の流体の吸引を制御し、分注ストローク中のチャンバからの所定量の流体の分注を制御するように構成されたポンピング機構とを備えるポンプと、ポンプによって実行される各分注ストロークとポンプによって実行される各吸引ストロークのうちの少なくとも1つのポンプ測定値を生成するように構成されたポンプ測定デバイス78と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体をリザーバからチャンバへと受け入れ、前記チャンバから流体が流出するための少なくとも1つのポートとともに構成されたチャンバと、吸引ストローク中の前記チャンバへの所定量の前記流体の吸引を制御し、分注ストローク中の前記チャンバからの所定量の流体の分注を制御するように構成されたポンピング機構とを備えるポンプと、
前記ポンプによって実行される各分注ストロークと前記ポンプによって実行される各吸引ストロークのうちの少なくとも1つのポンプ測定値を生成するように構成されたポンプ測定デバイスと、
前記吸引ストロークと前記分注ストロークの前記少なくとも1つのうちの複数の各々に対する前記ポンプ測定値を含むポンプ測定値を分析し、いつ前記ポンプ測定値が、閉塞の標識として指定される既定のメトリックを満足させる複数の前記ポンプ測定値を含むかを決定するように構成された処理デバイスと
を備え、
前記ポンプ測定値は、前記吸引ストロークと前記分注ストロークのうちの前記少なくとも1つの持続時間に対応し、
前記既定のメトリックは、前記ポンプ内で閉塞が発生していないとき前記ポンプ測定値の平均値よりも長い選択された持続時間である、
一体化された閉塞センシングをもつ注入デバイス。
【請求項2】
インジケータをさらに備え、前記処理デバイスは、複数の前記ポンプ測定値が前記既定のメトリックを満足させるという決定に応じて閉塞アラートとして前記インジケータを動作させるように構成される請求項1に記載の一体化された閉塞センシングをもつ注入デバイス。
【請求項3】
前記処理デバイスは、複数の前記ポンプ測定値が前記既定のメトリックを満足させるという決定に応じて前記ポンピング機構の動作を自動的に終了させるように構成される請求項1に記載の一体化された閉塞センシングをもつ注入デバイス。
【請求項4】
前記ポンプ測定値は、複数の前記分注ストロークにおける当該分注ストロークの持続時間に対応する請求項1に記載の一体化された閉塞センシングをもつ注入デバイス。
【請求項5】
前記ポンプ測定値は、前記吸引ストロークと前記分注ストロークのうちの前記少なくとも1つの持続時間に対応し、
前記既定のメトリックは、前記ポンプ内で閉塞が発生していないとき前記ポンプ測定値の平均値よりも短い選択された持続時間である請求項1に記載の一体化された閉塞センシングをもつ注入デバイス。
【請求項6】
前記ポンプ測定デバイスは、前記ポンピング機構が前記吸引ストロークと前記分注ストロークのうちの前記少なくとも1つを完了するときに作動されるように構成された、前記ポンプ上のエンドストップスイッチであり、前記エンドストップスイッチは、前記吸引ストロークと前記分注ストロークのうちの前記少なくとも1つの各々の持続時間を決定するために前記処理デバイスに接続される請求項1に記載の一体化された閉塞センシングをもつ注入デバイス。
【請求項7】
前記ポンプ測定値はエンドストップスイッチ作動の持続時間に対応し、前記既定のメトリックは、前記ポンプ内で閉塞が発生していないとき前記ポンプ測定値の平均値よりも長い、エンドストップスイッチ作動のための選択された持続時間である請求項6に記載の一体化された閉塞センシングをもつ注入デバイス。
【請求項8】
前記ポンプ測定値は、前記エンドストップスイッチ作動持続時間、前記吸引ストロークと前記分注ストロークのうちの前記少なくとも1つの持続時間、および前記吸引ストロークと前記分注ストロークとの間の時間差のうちの少なくとも2つを含み、ストローク持続時間に対応する前記既定のメトリックは、前記ポンプ内の閉塞が発生しないときに前記ストローク持続時間の平均値よりも短い選択された持続時間であり、吸引ストローク持続時間に対する分注ストローク持続時間差に対応する前記既定のメトリックは、前記ポンプ内で閉塞が発生していないときに前記ストローク持続時間差の平均値よりも大きい選択された持続時間であり、前記処理デバイスは、前記ポンプ測定値を分析し、いつ前記ポンプ測定値が、前記既定のメトリックの対応するものを満足させる複数の前記ポンプ測定値を含むかを決定するように構成される
請求項7に記載の一体化された閉塞センシングをもつ注入デバイス。
【請求項9】
前記ポンプ測定値は、前記吸引ストロークと前記分注ストロークとの間の時間差に対応し、吸引ストローク持続時間に対する分注ストローク持続時間差に対応する前記既定のメトリックは、前記ポンプ内で閉塞が発生していないとき前記ストローク持続時間差の平均値よりも大きい選択された持続時間である請求項1に記載の一体化された閉塞センシングをもつ注入デバイス。
【請求項10】
前記ポンプ測定値は、前記吸引ストロークと前記分注ストロークのうちの前記少なくとも1つの持続時間も含み、前記ストローク持続時間に対応する前記既定のメトリックは、前記ポンプ内で閉塞が発生していないとき前記ストローク持続時間の平均値よりも短い選択された持続時間であり、前記処理デバイスは、前記ポンプ測定値を分析し、いつ前記ポンプ測定値が、前記既定のメトリックの対応するものを満足させる複数の前記ポンプ測定値を含むかを決定するように構成される請求項9に記載の一体化された閉塞センシングをもつ注入デバイス。
【請求項11】
流体をリザーバからチャンバへと受け入れ、前記チャンバから流体が流出するための少なくとも1つのポートとともに構成された前記チャンバと、吸引ストローク中の前記チャンバへの所定量の前記流体の吸入を制御し、分注ストローク中の前記チャンバからの所定量の流体の分注を制御するように構成されたポンピング機構とを備えるポンプを動作させるステップと、
前記ポンプによって実行される各吸引ストロークと前記ポンプによって実行される各分注ストロークのうちの少なくとも1つのポンプ測定値を生成するようにポンプ測定デバイスを動作させるステップと、
いつ前記ポンプ測定値は、閉塞の標識として指定される既定のメトリックを満足させる複数の前記ポンプ測定値を含むかを決定するために、前記吸引ストロークと前記分注ストロークの前記少なくとも1つのうちの複数の各々に対する前記ポンプ測定値を含むポンプ測定値を分析するステップと
を含み、
前記吸引ストロークと前記分注ストロークのうちの前記少なくとも1つの持続時間に対応するポンプ測定値を生成するように前記ポンプ測定デバイスを動作させるステップをさらに含み、
前記ポンプ内で閉塞が発生していないとき前記ポンプ測定値の平均値よりも長い選択された持続時間として前記既定のメトリックを使用するステップをさらに含む
注入ポンプ内の閉塞センシングの方法。
【請求項12】
複数の前記ポンプ測定値が前記既定のメトリックを満足させるという決定に応じてインジケータ閉塞アラートを作動するステップをさらに含む請求項11に記載の閉塞センシングの方法。
【請求項13】
複数の前記ポンプ測定値が前記既定のメトリックを満足させるという決定に応じて前記ポンピング機構の動作を自動的に終了させるステップをさらに含む請求項11に記載の閉塞センシングの方法。
【請求項14】
複数の前記分注ストロークにおける当該分注ストロークの持続時間に対応するポンプ測定値を生成するように前記ポンプ測定デバイスを動作させるステップをさらに含む請求項11に記載の閉塞センシングの方法。
【請求項15】
前記ポンプ内で閉塞が発生していないとき前記ポンプ測定値の平均値よりも短い選択された持続時間として前記既定のメトリックを使用するステップをさらに含む請求項14に記載の閉塞センシングの方法。
【請求項16】
前記ポンピング機構が前記吸引ストロークと前記分注ストロークのうちの前記少なくとも1つを完了するとき作動される前記ポンプ上のエンドストップスイッチとして前記ポンプ測定デバイスを構成するステップと、
前記吸引ストロークと前記分注ストロークのうちの前記少なくとも1つの各々の持続時間を決定するために前記エンドストップスイッチからの信号を分析するように構成された処理デバイスに前記エンドストップスイッチを接続するステップと
をさらに含む請求項11に記載の閉塞センシングの方法。
【請求項17】
前記ポンプ測定値はエンドストップスイッチ作動の持続時間に対応し、前記既定のメトリックは、前記ポンプ内で閉塞が発生していないとき前記ポンプ測定値の平均値よりも長い、エンドストップスイッチ作動のための選択された持続時間である請求項16に記載の閉塞センシングの方法。
【請求項18】
前記ポンプ測定値は、前記エンドストップスイッチ作動持続時間、前記吸引ストロークと前記分注ストロークのうちの前記少なくとも1つの持続時間、および前記吸引ストロークと前記分注ストロークとの間の時間差のうちの少なくとも2つを含み、ストローク持続時間に対応する前記既定のメトリックは、前記ポンプ内の閉塞が発生しないときに前記ストローク持続時間の平均値よりも短い選択された持続時間であり、吸引ストローク持続時間に対する分注ストローク持続時間差に対応する前記既定のメトリックは、前記ポンプ内で閉塞が発生していないときに前記ストローク持続時間差の平均値よりも大きい選択された持続時間であり、前記ポンプ測定値を分析するステップは、いつ前記ポンプ測定値が前記既定のメトリックの対応するものを満足させる複数の前記ポンプ測定値を含むかを決定するステップを含む請求項17に記載の閉塞センシングの方法。
【請求項19】
前記ポンプ測定値は、前記吸引ストロークと前記分注ストロークとの間の時間差に対応し、吸引ストローク持続時間に対する分注ストローク持続時間差に対応する前記既定のメトリックは、前記ポンプ内で閉塞が発生していないとき前記ストローク持続時間差の平均値よりも大きい選択された持続時間である請求項11に記載の閉塞センシングの方法。
【請求項20】
前記ポンプ測定値は、前記吸引ストロークと前記分注ストロークのうちの前記少なくとも1つの持続時間も含み、前記ストローク持続時間に対応する前記既定のメトリックは、前記ポンプ内で閉塞が発生していないとき前記ストローク持続時間の平均値よりも短い選択された持続時間であり、前記ポンプ測定値を分析するステップは、いつ前記ポンプ測定値が、前記既定のメトリックの対応するものを満足させる複数の前記ポンプ測定値を含むかを決定するステップを含む請求項19に記載の閉塞センシングの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉塞検出のためのシステム、方法、および装置に関する。本発明の例示的な実施形態は、追加の圧力センシング構成要素を加えることを不要にするために、回転式定量ポンプもしくは往復ポンプにおけるポンプ持続時間(たとえば、吸引ストローク持続時間または分注ストローク持続時間)、またはポンプ動作モニタリングスイッチ作動などのポンプ動作パラメータを使用した閉塞検出に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、必要とされるときに糖尿病患者が適切なレベルのインスリン産生を維持できないことから生じる高いレベルの血糖によって特徴づけられる疾患のグループである。糖尿病は、それが治療されない場合、罹患した患者にとって危険な場合があり、それは、重篤な健康合併症および早期死亡に至ることがある。しかしながら、そのような合併症は、1つまたは複数の治療オプションを利用して糖尿病を制御し、合併症のリスクを減少させる助けとなることによって、最小にされ得る。
【0003】
糖尿病患者の治療オプションとしては、特殊な食事、経口薬、および/またはインスリン療法がある。インスリン療法および糖尿病の管理に効果的な方法は、注入療法またはインスリンポンプが使用される注入ポンプ療法である。インスリンポンプは、必要とされるインスリンを産生する、糖尿病にかかっていない人の適切に動作する膵臓の機能および挙動によりぴったり合致するために、さまざまな速度での糖尿病患者へのインスリンの持続注入を提供することができ、インスリンポンプは、糖尿病患者の個々のニーズに基づいて糖尿病患者がその血糖レベルを目標範囲内で維持する助けとなることができる。注入ポンプ療法は、糖尿病患者の皮膚を穿刺し、それを通してインスリンの注入が行われる、一般的には注入針または可撓性カテーテルの形をとる注入カニューレを必要とする。注入ポンプ療法は、インスリンの持続注入、正確な投与、およびプログラム可能な送達スケジュールという利点を提供する。
【0004】
流体経路内の漏れ、閉塞、または気泡の存在などの異常または障害が、注入ポンプ内で発生することがあり、必ずしも使用者に感じとれるとは限らない。注入ポンプ内の流体経路に沿った部分的または完全な閉塞などの障害の検出は、正確に制御された薬物送達を維持し、正しく作動しない注入デバイスの使用を中止するように使用者に勧めることが望ましいことがある。閉塞検出の一般的な解決策は、注入ポンプシステム内に圧力センサを置き、圧力が一定のしきい値を上回るときに閉塞を報告することである。しかしながら、圧力センサを追加することは、システムの複雑さを増加させ(たとえば、機械的な複雑さ、電気的な複雑さ、および/またはソフトウェア複雑さを増加させる)、システム電力消費量を増加させ、注入ポンプのコストを増加させる。
【0005】
ウェアラブルな薬物送達ポンプなどの医用デバイスに対して、構成要素のいくつかまたはすべてが使用の容易さおよびコスト効果のために使い捨てである場合、圧力センサなどの別の構成要素ならびに関連する増加したコストおよび複雑さを医用デバイスに追加することは、望ましくない。したがって、注入ポンプ構成要素を追加し、それによって、注入ポンプ複雑さおよびコストを増加させることのない、正確な閉塞検出の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2015/157174号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記および他の問題は克服され、追加の利点は、本発明の例示的な実施形態によって実現される。
【0008】
流体をリザーバからチャンバへと受け入れ、それを通って流体がチャンバから流出するための少なくとも1つのポートとともに構成されたチャンバと、吸引ストローク中のチャンバへの所定量の流体の吸入を制御し、分注ストローク中のチャンバからの所定量の流体の分注を制御するように構成されたポンピング機構とを備えるポンプと、ポンプによって実行される各吸引ストロークとポンプによって実行される各分注ストロークのうちの少なくとも1つのポンプ測定値を生成するように構成されたポンプ測定デバイスと、吸引ストロークと分注ストロークの少なくとも1つのうちの複数の各々に対するポンプ測定値を含むポンプ測定値を分析し、いつポンプ測定値が、閉塞の標識として指定される既定のメトリック(predetermined metric)を満足させる複数のポンプ測定値を含むかを決定するように構成された処理デバイスとを備える、一体化された閉塞センシングをもつ注入デバイスを提供することは、例示的な実施形態の態様である。
【0009】
例示的な実施形態の態様によれば、一体化された閉塞センシングをもつ注入ポンプはインジケータをさらに備え、この処理デバイスは、複数のポンプ測定値が既定のメトリックを満足させるという決定に応じて閉塞アラートとしてインジケータを動作させるように構成される。
【0010】
例示的な実施形態の態様によれば、処理デバイスは、複数のポンプ測定値が既定のメトリックを満足させるという決定に応じてポンピング機構の動作を自動的に終了させるように構成される。
【0011】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプ測定値は、吸引ストロークと分注ストロークのうちの少なくとも1つの持続時間に対応し、既定のメトリックは、ポンプ内で閉塞が発生していないときポンプ測定値の平均値よりも短い選択された持続時間である。
【0012】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプ測定デバイスは、ポンピング機構が吸引ストロークと分注ストロークのうちの少なくとも1つを完了するとき作動されるように構成された、ポンプ上のエンドストップスイッチである。エンドストップスイッチは、吸引ストロークと分注ストロークのうちの少なくとも1つの各々の持続時間を決定するために処理デバイスに接続される。
【0013】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプ測定値はエンドストップスイッチ作動の持続時間に対応し、既定のメトリックが、ポンプ内で閉塞が発生していないときポンプ測定値の平均値よりも長い、エンドストップスイッチ作動のための選択された持続時間である。
【0014】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプ測定値は、エンドストップスイッチ作動持続時間、吸引ストロークと分注ストロークのうちの少なくとも1つの持続時間、および吸引ストロークと分注ストロークとの間の時間差のうちの少なくとも2つを含む。ストローク持続時間に対応する既定のメトリックは、ポンプ内で閉塞が発生していないときストローク持続時間の平均値よりも短い選択された持続時間である。吸引ストローク持続時間に対する分注ストローク持続時間差に対応する既定のメトリックは、ポンプ内で閉塞が発生していないときストローク持続時間差の平均値よりも大きい選択された持続時間である。処理デバイスは、いつポンプ測定値が、既定のメトリックの対応するものを満足させる複数のポンプ測定値を含むか、を含むポンプ測定値を分析し、これを決定するように構成される。
【0015】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプ測定値は、吸引ストロークと分注ストロークとの間の時間差に対応し、吸引ストローク持続時間に対する分注ストローク持続時間差に対応する既定のメトリックは、ポンプ内で閉塞が発生していないときストローク持続時間差の平均値よりも大きい選択された持続時間である。本発明の例示的な実施形態の態様によれば、ポンプ測定値は、吸引ストロークと分注ストロークのうちの少なくとも1つの持続時間も含むことができ、ストローク持続時間に対応する既定のメトリックは、ポンプ内で閉塞が発生していないときストローク持続時間の平均値よりも短い選択された持続時間である。処理デバイスは、ポンプ測定値を分析し、いつポンプ測定値が、既定のメトリックの対応するものを満足させる複数のポンプ測定値を含むかを決定するように構成される。
【0016】
流体をリザーバからチャンバへと受け入れ、それを通って流体がチャンバから流出するための少なくとも1つのポートとともに構成されたチャンバと、吸引ストローク中のチャンバへの所定量の流体の吸入を制御し、分注ストローク中のチャンバからの所定量の流体の分注を制御するように構成されたポンピング機構とを備えるポンプを動作させることと、ポンプによって実行される各吸引ストロークとポンプによって実行される各分注ストロークのうちの少なくとも1つのポンプ測定値を生成するようにポンプ測定デバイスを動作させることと、いつポンプ測定値が、閉塞の標識として指定される既定のメトリックを満足させる複数のポンプ測定値を含むかを決定するために、吸引ストロークと分注ストロークの少なくとも1つのうちの複数の各々に対するポンプ測定値を含むポンプ測定値を分析することとを含む、注入ポンプ内の閉塞センシングの方法を提供することは、例示的な実施形態の態様である。
【0017】
例示的な実施形態の態様によれば、閉塞センシングの方法は、複数のポンプ測定値が既定のメトリックを満足させるという決定に応じてインジケータ閉塞アラートを作動することをさらに含む。
【0018】
例示的な実施形態の態様によれば、閉塞センシングの方法は、複数のポンプ測定値が既定のメトリックを満足させるという決定に応じてポンピング機構の動作を自動的に終了させることをさらに含む。
【0019】
例示的な実施形態の態様によれば、閉塞センシングの方法は、吸引ストロークと分注ストロークのうちの少なくとも1つの持続時間に対応するポンプ測定値を生成するようにポンプ測定デバイスを動作させることをさらに含む。たとえば、閉塞センシングの方法は、ポンプ内で閉塞が発生していないときポンプ測定値の平均値よりも短い選択された持続時間として既定のメトリックを使用することができる。
【0020】
例示的な実施形態の態様によれば、閉塞センシングの方法は、ポンピング機構が吸引ストロークと分注ストロークのうちの少なくとも1つを完了するとき作動される、ポンプ上のエンドストップスイッチとして、ポンプ測定デバイスを構成することと、吸引ストロークと分注ストロークのうちの少なくとも1つの各々の持続時間を決定するためにエンドストップスイッチからの信号を分析するように構成された処理デバイスにエンドストップスイッチを接続することとをさらに含む。
【0021】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプ測定値はエンドストップスイッチ作動の持続時間に対応し、既定のメトリックは、ポンプ内で閉塞が発生していないときポンプ測定値の平均値よりも長い、エンドストップスイッチ作動のための選択された持続時間である。
【0022】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプ測定値は、エンドストップスイッチ作動持続時間、吸引ストロークと分注ストロークのうちの少なくとも1つの持続時間、および吸引ストロークと分注ストロークとの間の時間差のうちの少なくとも2つを含む。ストローク持続時間に対応する既定のメトリックは、ポンプ内で閉塞が発生していないときストローク持続時間の平均値よりも短い選択された持続時間であり、吸引ストローク持続時間に対する分注ストローク持続時間差に対応する既定のメトリックは、ポンプ内で閉塞が発生していないときストローク持続時間差の平均値よりも大きい選択された持続時間である。ポンプ測定値を分析することは、いつポンプ測定値が、既定のメトリックの対応するものを満足させる複数のポンプ測定値を含むかを決定することを含む。
【0023】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプ測定値は、吸引ストロークと分注ストロークとの間の時間差に対応し、吸引ストローク持続時間に対する分注ストローク持続時間差に対応する既定のメトリックは、ポンプ内で閉塞が発生していないときストローク持続時間差の平均値よりも大きい選択された持続時間である。ポンプ測定値は、吸引ストロークと分注ストロークのうちの少なくとも1つの持続時間も含むことができ、ストローク持続時間に対応する既定のメトリックは、ポンプ内で閉塞が発生していないときストローク持続時間の平均値よりも短い選択された持続時間である。ポンプ測定値を分析することは、いつポンプ測定値が、既定のメトリックの対応するものを満足させる複数のポンプ測定値を含むかを決定することを含む。
【0024】
本発明の追加のおよび/または他の態様および利点は、以下の説明に記載され、またはその説明から明らかになるであろう、または本発明の実施により学ばれ得る。本発明は、上記の態様のうちの1つもしくは複数、および/または特徴のうちの1つもしくは複数、およびそれらの組み合わせを有する、デバイスおよびそれを動作させるための方法を備え得る。本発明は、たとえば添付の特許請求の範囲に記載される特徴のうちの1つもしくは複数および/または上記の態様の組み合わせを備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の実施形態の上記および/または他の態様および利点は、添付の図面と併せて取り上げられる以下の詳細な説明からより容易に諒解されるであろう。
【0026】
図1】例示的な実施形態による閉塞検出アルゴリズムに従って動作する例示的な薬物送達デバイス内の例示的なポンプ構成要素の部分的な斜視図である。
図2】例示的な実施形態による閉塞検出アルゴリズムに従って動作する例示的な薬物送達デバイス内の例示的なポンプ構成要素の部分的な斜視図である。
図3A】動作のすぐに分注可能なステージに従って配置された例示的な薬物送達デバイス内の図1および図2のポンプ構成要素の斜視図である。
図3B】動作のすぐに吸引可能なステージに従って配置された例示的な薬物送達デバイス内の図1および図2のポンプ構成要素の斜視図である。
図3C図1および図2の例示的なポンプ構成要素とプリント回路基板上の関連づけられた電子回路とを備える例示的な薬物送達デバイス内の構成要素の斜視図である。
図4】例示的な薬物送達デバイス内の構成要素のブロック図である。
図5A】通常の動作条件下での例示的な薬物送達デバイスの複数の吸引動作に対するポンプ持続時間時間を示す図である。
図5B】通常の動作条件下での例示的な薬物送達デバイスの複数の分注動作に対するポンプ持続時間時間を示す図である。
図6A図5Aおよび図5Bを生成するために使用されるが閉塞した動作条件下での同じタイプの薬物送達デバイスの複数の吸引動作に対するポンプ持続時間時間を示す図である。
図6B図5Aおよび図5Bを生成するために使用されるが閉塞した動作条件下での同じタイプの薬物送達デバイスの複数の分注動作に対するポンプ持続時間時間を示す図である。
図7】例示的な実施形態によりストローク持続時間基準を用いる閉塞検出アルゴリズムに従って動作する例示的な薬物送達デバイスの例示的な動作の流れ図である。
図8A】例示的なポンプの通常の動作中の例示的なエンドストップまたは制限スイッチ作動データを示すグラフである。
図8B】例示的なポンプの閉塞した動作中の例示的なエンドストップまたは制限スイッチ作動データを示すグラフである。
図9】例示的な実施形態によりエンドストップまたは制限スイッチ作動持続時間基準を用いる閉塞検出アルゴリズムに従って動作する例示的な薬物送達デバイスの例示的な動作の流れ図である。
図10】短い分注ストーク持続時間(たとえば、閉塞中にポンプピストンが動くことができないときなど)を示す例示的なポンプ測定データを示すグラフである。
図11】延長されたエンドストップまたは制限スイッチ作動持続時間(たとえば、閉塞によりポンプリザーバに戻るポンピングが発生するときなど)を示す例示的なポンプ測定データを示すグラフである。
図12A】吸引ストローク持続時間に対する長い分注ストローク持続時間(たとえば、閉塞により漏洩が発生するときなど)を示す、それぞれのポンプからのポンプ測定データを示すグラフである。
図12B】吸引ストローク持続時間に対する長い分注ストローク持続時間(たとえば、閉塞により漏洩が発生するときなど)を示す、それぞれのポンプからのポンプ測定データを示すグラフである。
図12C】吸引ストローク持続時間に対する長い分注ストローク持続時間(たとえば、閉塞により漏洩が発生するときなど)を示す、それぞれのポンプからのポンプ測定データを示すグラフである。
図12D】吸引ストローク持続時間に対する長い分注ストローク持続時間(たとえば、閉塞により漏洩が発生するときなど)を示す、それぞれのポンプからのポンプ測定データを示すグラフである。
図13】例示的な実施形態により漏れ検出基準を用いる閉塞検出に従って動作する例示的な薬物送達デバイスの例示的な動作の流れ図である。
図14】例示的な実施形態により基準の組み合わせを用いる閉塞検出アルゴリズムに従って動作する例示的な薬物送達デバイスの例示的な動作の流れ図である。
【0027】
図面図全体を通して、同様の参照番号は、同様の要素、特徴、および構造を指すと理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、添付の図面に示される、本発明の例示的な実施形態に対する参照が詳細になされる。本明細書について説明する例示的な実施形態は、図面を参照することによって、本発明を制限するのではなく、例示する。
【0029】
例示的な実施形態は、あるステージでチャンバを(たとえば、リザーバからの液体薬物で)充填し、次いで、別のステージで流体をチャンバから(たとえば、患者の中に展開されたカニューレなどの送達デバイスに)あける原理に基づいて機能する任意のタイプの注入ポンプとともに用いられ得る。たとえば、往復プランジャタイプポンプまたは回転式定量タイプポンプが使用可能である。いずれの場合にも、ピストンまたはプランジャは、薬物をチャンバへと吸引または引き込み、チャンバが(たとえば、薬物のリザーバまたはカートリッジから入口ポートへと)所定量の薬物で充填されるのを許可するために、チャンバから後退される。次いで、ピストンまたはプランジャは、所定量の薬物をチャンバから(たとえば、出口ポートを介して)ポンプと患者内のカニューレとの間に延びる流体路に分注または放出するために、チャンバに再挿入される。
【0030】
例示の目的で、本願の権利者が所有する特許文献1に記載される回転式定量タイプポンプに対する参照がなされ、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。図1図2図3A図3B、および図3Cを参照すると、例示的な注入ポンプ(たとえば、インスリンパッチポンプなどのウェアラブルな薬物送達デバイス)は、ポンプマニホルド22内でスリーブ24を回転させるためにDCモータおよびギアボックスアセンブリ(図示せず)に接続可能であるポンプアセンブリ20を備える。スリーブ上には、らせん状溝26が設けられる。ピストン30に接続された結合ピン28は、スリーブ24が一方向に回転し、次いで反対方向に回転すると、スリーブ24内でのピストン30の後退および挿入をそれぞれ案内するために、らせん状溝に沿って並進する。スリーブは、エンドプラグ34を有する。スリーブ24の内部にあるピストンおよびエンドプラグのそれぞれの端上の2つのシール32、36は、ピストン30が図3Aに示されるように、吸引ストロークに続いて後退され、したがって、すぐに分注可能であるとき、空洞またはチャンバ38を画定する。したがって、チャンバ38の容積は、ピストン30の後退の程度に応じて変化する。図3Bに示されるように、ピストン30が完全に挿入され、シール32、36が、分注ストロークに続いて互いと実質的に接触し、したがってすぐに吸引可能であるとき、チャンバ38の容積は無視できるまたは本質的にゼロである。薬物がポンプ64(図4)のためのリザーバ70(図4)から流れることができる入口ポート44と、チャンバ38へと(たとえば、動作の吸引ステージ中のピストン30の後退によって)引き込まれた薬物がチャンバ38へのピストン30の再挿入によってチャンバ38からたとえば流体経路から患者内のカニューレ72(図4)に分注可能である出口ポート46とを含む2つのポート44、46が、ポンプマニホルド22に対して設けられる。
【0031】
引き続き図1図2図3A図3B、および図3Cを参照すると、スリーブ24は、ポート44、46のうちの対応するポートを通ってチャンバ38内の薬物が流れることを可能にするために(すなわち、スリーブ24の回転の程度およびしたがってピストン30の並進の程度に応じて)出口ポート46または入口ポート44と位置合わせするアパーチャ(図示せず)を備えることができる。たとえば、インターロック42と、インターロック42と協働する、スリーブ24上の1つもしくは複数の戻り止め40またはそのエンドプラグ34とを有する、スリーブ回転式制限スイッチなどのポンプ測定デバイス78(図4)が、設けられ得る。インターロック42は、マニホルド22に、その各端において取り付けられ得る。ポンプ64が第1の位置にあり、それによって、流体をリザーバ70からチャンバ38へと受け入れるためにスリーブ24内の側孔が入口ポート44と位置合わせされるとき、スリーブ24の端面における戻り止め40は、インターロック42の隆起48に隣接する。背圧などの一定の条件下で、ピストン30とスリーブ24との間の摩擦が、ピストン30および結合ピン28がらせん状溝26の両端に到達する前にスリーブ24を回転させるのに十分であることが可能である。これは、不完全な量の液体がストロークごとにポンプ圧送されることをもたらし得る。この状況を防止するために、インターロック42は、図3Aに示されるように、トルクが既定のしきい値にパスするまでスリーブ24が回転するのを防止する。これは、結合ピンがらせん状溝26の端に到達するまでピストン30がスリーブ内で完全に回転することを保証する。結合ピン28がらせん状溝26の端に当たると、DCモータおよびギアボックスアセンブリまたは他のタイプのポンプおよび弁アクチュエータ66(図4)によるさらなる動きが、スリーブ24上のトルクを、しきい値を超えて増加させ、インターロック42を屈曲させ、戻り止め40を隆起48によって通過させる。その側孔がカニューレ72または出口ポート46とともに向けられたようなスリーブ24の回転の完了時、戻り止め40は、図3Bに示されるように、インターロック42内の隆起48を越えて動く。別のスリーブ特徴が、電気スイッチ(たとえば、図3Cに示されるように、プリント回路基板92上に設けられ、ポンプ測定デバイス78と協働するようにスリーブおよび/またはエンドプラグ34に対して配設されたエンドストップスイッチ90)と係合するために設けられ得る。
【0032】
図4は、図1図2図3A図3B、および図3Cのポンプなどの注入ポンプを有する例示的な薬物送達デバイス10内の例示的な構成要素を示す例示的なシステム図である。薬物送達デバイス10は、ポンプ64および患者の皮膚上の注入部位への挿入のためのカニューレ72を展開するための挿入機構74などの流体工学サブシステム54内の構成要素の動作を制御するための電子機器サブシステム52を含むことができる。電力貯蔵サブシステム50は、たとえば、電子機器サブシステム52および流体工学サブシステム54内の構成要素に電力を提供するためのバッテリ56を含むことができる。流体工学サブシステム54は、リザーバ70を(たとえば、薬物で)充填するためのたとえば、任意選択の充填ポート68を備えることができるが、そのリザーバがすでに充填された薬物送達デバイス10は、任意選択で、製造から出荷可能である。流体工学サブシステム54は、ポンプ64とポンプアクチュエータ66とを備える定量サブシステム62も有する。上記で説明されたように、ポンプ64は、2つのポート44、46と、いつ流体がそれぞれのポート44、46を介してポンプチャンバ38に入って出るかを制御する関連するバルブサブアセンブリとを有することができる。ポートの1つは、たとえばポンププランジャまたはピストン30上でのポンプ吸い込みまたは引っ張りストロークの結果として液体薬物などの流体がリザーバ70からポンプ64へと流れる入口ポート44である。他方のポートは、ポンププランジャまたはピストン30上でのポンプ放出またはプッシュストロークの結果として患者ポンプへの投与のために流体がポンプのチャンバ38から出てカニューレ72の方へ流れる出口ポート46である。ポンプアクチュエータ66は、プランジャまたはピストン30およびポンプピストン30の並進移動に対して回転し得るスリーブ24などの他の関連ポンプ部品を制御するためのDCモータおよびギアボックスアセンブリまたは他のポンプ駆動機構とすることができる。マイクロコントローラ58は、たとえば、選択された方向におけるスリーブ24の回転、吸引ストロークまたは分注ストロークのためのスリーブ24内のピストン30の並進移動または軸方向移動、ならびに任意選択で、上記で参照された特許文献1において説明された、バルブ状態変更中のスリーブ24およびピストン30の一緒の回転を作動させるためのコンピュータソフトウェア命令を有する統合されたまたは別個のメモリデバイスを備えることができる。以下で説明されるように、例示的な実施形態による閉塞検出アルゴリズムが、ポンプ測定値を監視し、いつ閉塞動作条件が注入ポンプに対して発生するかを検出するために、マイクロコントローラ58に提供可能である。
【0033】
制御された量の薬物をポンプチャンバ38へと吸引し、制御された量の薬物をポンプチャンバから分注するために使用されるポンプ機構64のタイプに関係なく、ポンプ64は、ポンプ特性に起因し得る吸引および分注ステージまたはストロークの一方または両方に対して、予想ポンプ持続時間をそれと関連づけている。たとえば、図1図2図3A図3B、および図3Cに示される例示的なポンプアセンブリ20内で、薬物をチャンバへと吸引するための、および薬物をチャンバ38から分注するためのポンプの持続時間は、ポンプチャンバ38の内部容積、ポンプピストンストロークの長さまたは距離、入口ポートおよび出力ポート44、46において提供されるポートシールの特性などのようなポンプ特性によって影響される。ポンプ圧力が動作のための指定された相対的な通常の範囲内であるとき、チャンバ38を指定された量の流体(たとえば、所望された投与量)で充填し、指定された量の流体をチャンバから放出するためのポンプ持続時間は、通常の動作条件の場合はポンプ64を監視し、ポンプチャンバからの流体の漏洩またはそれによりどちらのシナリオでも指定された量の流体(たとえば、所望された投与量)がチャンバから分注ストロークを介して送達不可能であるポンプ流体経路内の閉塞などにより異常動作条件がいつ生じるかを決定するためのベースラインとして、決定および使用可能である。これは、患者が所望された投与量を受けないので、望ましくないことがある。
【0034】
上記で述べられたように、閉塞検出のための一般的な解決策は、ポンプ制御システム内に追加の圧力センサを置き、圧力が一定のしきい値を上回るときに閉塞を報告することである。しかしながら、圧力センサを追加することは、システムの複雑さ(たとえば、機械的な複雑さ、電気的な複雑さ、および/またはソフトウェア複雑さ)を増加させる、システム電力消費量を増加させる、および/またはポンプコストを増加させるという欠点を有する。これらの欠点は、リザーバ70が空にされるまたはポンプ64が選択された量の時間のためにおよび/もしくは選択された量の薬物を送達するために使用されるとポンプのすべてまたは一部が使い捨てであることが意図されているウェアラブルなポンプ設計に特に不利であり得る。
【0035】
例示的な実施形態によれば、閉塞検出は、ポンプ64の上流または下流に展開された閉塞センサなどの追加の構成要素なしで達成される。マイクロコントローラ58またはポンプ動作を制御するための他の処理デバイスが、吸引ストロークと分注ストロークの一方または両方などに対して通常の動作に対してポンプ持続時間測定をすでに実行するとき、マイクロコントローラ58は、いつポンプ持続時間測定がいつ通常の動作条件の指定範囲外になり、したがって閉塞を示すかを決定し、検出された閉塞の標識を生成するようにさらに制御可能である。したがって、ポンプ64および/または薬物送達デバイス10全体は、次に、交換または修理され、それによって、患者が、通常の動作条件下で提供される十分に意図された投与量を受けていることを保証することができる。
【0036】
ポンプ持続時間測定がポンプ動作のために実施されるとき、閉塞検出は、ポンプ持続時間を監視することおよび通常のポンプ動作条件のための指定されたポンプ持続時間しきい値または他の基準がいつ満たされないかを決定することなどの動作を、マイクロコントローラ58、または薬物送達デバイス10を制御するリモートデバイスのコンピュータソフトウェア命令に追加することによって、達成可能である。したがって、閉塞検出は、ソフトウェアソリューションを介して実施され、ポンプに対するハードウェア変更は必要とされない。以下で説明されるように、ポンプ持続時間の明らかな差異が、通常のポンプと閉塞したポンプとの間に存在する。したがって、フォールスアラーム率および誤り率は極めて低い。したがって、例示的な実施形態の態様により構成される閉塞検出アルゴリズムは、信頼性の高い閉塞検出結果を提供することが可能である。
【0037】
ポンプ持続時間しきい値または値もしくは閉塞を示す他のメトリックの範囲を決定することは、たとえば、選択されたタイプのポンプ64のために経験的に実行可能である。選択されたタイプのポンプが通常の動作圧力を経験するためのメトリックは、それが少なくとも部分的閉塞または完全な閉塞を経験していることを除いて、同じタイプのポンプのためのメトリックと比較可能である。たとえば、閉塞したポンプ64からそのカニューレ72への下流経路内の閉塞は、ポンプ64の流体経路内の圧力を経時的に増加させる。閉塞したポンプ内の圧力がしきい値を超えるとき、閉塞したポンプは、最終的に漏れ始める。通常ポンプおよび閉塞したポンプのログファイルは、吸引ストロークおよび/または分注ストロークのためのそれらそれぞれのポンプ持続時間情報の履歴を取得するために生成可能である。しかしながら、ポンプ持続時間(すなわち、吸引ストロークまたは分注ストロークの持続時間)以外の異なるポンプ測定値は、通常の動作条件および閉塞した動作条件中のポンプ動作の差を決定するため、ならびにポンプ動作を監視し、通常の動作条件と閉塞した動作条件を区別するためのしきい値を決定するために使用可能であることが理解されるべきである。たとえば、以下で説明されるように、長期ストロークスイッチ作動終了または吸引ストロークおよび分注ストロークのそれぞれの持続時間における有意差は、閉塞の発生を検出するために使用可能である。
【0038】
図5Aおよび図5Bを参照すると、閉塞を経験したポンプのポンプ持続時間(たとえば、平均して約1.5秒)は、それが通常の条件下で動作しているとき、ポンプ64のポンプ持続時間(たとえば、3~3.5秒程度)よりもかなり短く、より短いポンピング持続時間の現象は、上記で図1図2図3A図3B、および図3Cに関連して説明される、ピストン30、スリーブ24、インターロック42、および入口ポートおよび出口ポート44、46上のシリコンシールなどのポンピング機構に関連する。上記で説明されたように、異なるタイプのポンプ64は、例示的な実施形態による閉塞センシングを実施することによって改善可能であり、異なるポンプ構成要素は、閉塞条件中の短くされたポンプに寄与することができる。ポンプ64は、回転式定量タイプポンプもしくは往復タイプポンプ、または流体を上流リザーバから引き入れるまたは吸引し、次いで、その流体を、患者につながる別個の下流流体経路に放出または分注することを用いる他のタイプのポンプとすることができる。
【0039】
上記で図1図2図3A図3B、および図3Cに関連して説明される例示的な注入ポンプ64を参照すると、外側プラスチックスリーブ24内のピストン30並進によって駆動されるポンプの吸引ストロークおよび分注ストロークは、上流流体経路と下流流体経路との間のポンプ64の切り換えに関連する。ピストン30が(たとえば、図示されないDCモータおよびギアボックスアセンブリによって)回転されると、ピストン30は、スリーブ24内のらせん状スロット26を通るピストン上でのピン28の進行によって案内されるスリーブ24を通って並進する。ピストン30がスリーブ24を通って完全に並進し、流体のその吸入ステージまたは分注ステージを完了すると、それが、スロット26の中のピン28を介して直接的にスリーブ24と係合し、ピストン30とスリーブ24の回転が結合される。これは、スリーブ24が、上流流体経路と下流流体経路との間で回転し、ポンプ測定デバイス78(図4)と関連づけられ、ポンプ64上および/もしくは薬物送達デバイス10内に設けられたストローク電気スイッチ90の端または他の構成要素を作動させることを可能にする。通常の動作中、インターロック42の存在は、ピストン30がスリーブ24を通るその並進を完了する前にピストン30およびスリーブ24回転が結合するのを防止する。しかしながら、下流流体経路内の圧力がしきい値を超えて増加する場合、ピストン30およびスリーブ24回転は結合し、スリーブ24がインターロック42の下を通過し、ピストン30がスリーブを通るその並進を完了する前に(たとえば、ポンプ測定デバイス78と関連づけられたスリーブ特徴41を介して)スイッチ90を作動させることを可能にする。これは、ポンプ持続時間をかなり(たとえば、通常条件中の3から3.5秒の間から、閉塞条件中の2秒未満に)短縮させる。
【0040】
次に、複数のポンプサイクルにわたる複数の類似したタイプポンプ64からのポンプ持続時間データを示す図6Aおよび図6Bに対する参照がなされる。たとえば、ポンプのうちの10個が通常の条件下で動作し、ポンプのうちの9個が閉塞条件下で動作した、完結した600サイクルを完了した19のポンプからのログデータが示されている。閉塞したポンプのすべてが2秒未満のポンプ持続時間のセクションを有することが、図6Aおよび図6Bからわかる。いくつかのポンプ持続時間は通常に戻ったが、それは、マニホルドエリアで漏れることからの圧力の解除によることがある。通常の動作ポンプと閉塞を経験したポンプとの間のポンプ持続時間の明らかな差異は、ポンプ持続時間に基づいた閉塞検出アルゴリズムの使用を可能にする。
【0041】
図7を参照すると、例示的な閉塞検出プロセスは、ストローク持続時間しきい値などのポンプ測定値しきい値またはメトリックを設定すること(ブロック80)を含み、しきい値を上回るストローク持続時間は通常のポンプ動作を示し、しきい値を下回るストローク持続時間は閉塞を示す。しきい値を設定するために、ポンプ測定データが分析される。たとえば、吸引ストローク持続時間および分注ストローク持続時間は、制限スイッチまたはポンプに提供される他のポンプ測定デバイス78(図4)によって検出可能である。図1図2図3A図3B、および図3Cを参照して説明される例示的なポンプでは、ストロークまたはポンプ持続時間は、スリーブ回転制限スイッチまたは他のポンプ測定デバイス78を使用して決定される。たとえば、マイクロコントローラ58およびスリーブ特徴41と協働するエンドストップスイッチ90などの他の電子の構成要素は、一般にポンプ64または送達デバイス10と関連づけられたプリント回路基板(PCB)92上で展開可能である。エンドストップスイッチ作動データは、(たとえば、マイクロコントローラ58に対して一体化したまたはPCB92上の別個の構成要素として実施されるメモリデバイスを介して)収集および保存可能である。マイクロコントローラ58は、閉塞が発生したかどうかを決定するためにエンドストップスイッチ作動データを処理するための閉塞検出アルゴリズムを備えることができる。別の例示的な実施形態によれば、エンドストップスイッチ作動データは、ポンプ64から、閉塞検出アルゴリズムを備える、ソフトウェアまたはアプリを備える、ポンプ64のためのハンドヘルドリモートコントローラまたは非専用コンピューティングデバイス(たとえば、携帯電話、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップコンピューティングデバイス、または他のポータブルコンピューティングデバイス)などの閉塞検出アルゴリズムを有する別のデバイスに(たとえば、ワイヤレスで、またはワイヤライン接続を介して)提供可能である。
【0042】
ポンプ測定データは、上記で図5Aおよび図5Bならびに図6Aおよび図6Bに示されるように、通常の条件下で動作する同じタイプのポンプのうちの1つまたは複数に対して、および閉塞条件下で動作する同じタイプのポンプのうちの1つまたは複数に対して、取得される。これらの2つのグループのポンプに対するポンプ測定データは、平均化または要約もしくはカテゴリ化され、次いで、通常の動作するポンプのためのポンプ測定値と閉塞したポンプのためのポンプ測定値との間の差の程度を決定するために分析可能である。しきい値または他のメトリックは、通常のポンプ測定値が入らないマージン内の値または値の範囲を上回るおよび/または下回るように決定される。値もしくは値の範囲、および/またはマージンは、使用者によって指定可能である、またはポンプから取得されたポンプ測定データに基づいて自動的に決定可能である。上記で説明されたように、ポンプ測定データは、通常のポンプ活動の経過中に生成および監視され、したがって、追加された動作ではなく、ポンプの複雑さを増加させる追加の構成要素を必要としないデータである。
【0043】
引き続き図7を参照すると、ポンプ測定メトリック(たとえば、ストローク持続時間しきい値)が設定されると、薬物送達デバイス10内のマイクロコントローラ58は、ポンプのためのポンプ測定データ(たとえば、ストローク持続時間データ)を取得し(ブロック81)、各ポンプサイクルなどのためにさまざまなポンプステージまたは動作のサイクル中にストローク持続時間データをポンプ測定メトリックと比較する(ブロック82)ように、閉塞検出アルゴリズムによって制御される。ストローク持続時間データがポンプ測定メトリックを満たす(たとえば、ポンプ64のための2秒というThstrokeよりも大きいまたはこれに等しい)とき、ポンプは、正常に動作する(ブロック84)と決定される。ストローク持続時間データが、ポンプ測定メトリックを満足させるのに失敗した(たとえば、閉塞検出しきい値を下回る(たとえば、ポンプ64のための2秒というThstrokeよりも小さい))とき、ポンプは、閉塞条件を経験していると決定される。カウンタは、通常動作のためのしきい値Thstrokeが満たされないとき、増分される(ブロック83)。ブロック85を参照すると、カウンタが、選択された値(たとえば、通常動作のためのしきい値Thstrokeが満たされない8のポンプサイクルに対応する8のカウンタ値)に到達するとき、閉塞が検出される。閉塞が示される前に選択された数のサイクルが到達されるサイクルの総数は、8つのサイクルの8つの連続したサイクル、または指定された数のサイクル(たとえば、20サイクル)以内など、指定可能である。マイクロコントローラ58は、検出された閉塞エラーの任意選択の標識を生成し(ブロック86)、ポンプおよび/もしくは薬物送達デバイス10の動作を自動的に中止する、および/またはポンプを使用するのをやめるために使用者に対する任意選択の標識を生成する(ブロック88)ように閉塞検出アルゴリズムによって構成可能である。カウンタが、ブロック83当たり増分された後で、選択されたカウンタ値にまだ到達していない場合、ポンプ測定データは、ブロック81当たり引き続き収集される。閉塞検出アルゴリズムは、ポンプ持続時間またはポンプ内ですでに実施された他のポンプ測定データに基づくので、閉塞検出は、ポンプ持続時間またはソフトウェア内の他の測定データを選択されたしきい値またはメトリックとチェックすることによって達成される。したがって、ソフトウェアのみのソリューションは、検出された閉塞のために提供され、ハードウェア変更の必要性を不要にする。
【0044】
図1図2図3A図3B、および図3Cに関連して説明される例示的なポンプ64は、1つまたは複数のオン/オフ制限スイッチを使用して、回転進行の制限におけるシステムの状態を決定する。たとえば、多段ポンプ(すなわち、ある段の間にチャンバを充填するために流体を吸引し、次いで、次の段においてポンプチャンバを放出するポンプ)は、各段に対して何らかのタイプのエンドストップスイッチを用いて、ピストンおよび/またはスリーブまたは他のポンプ構成要素がいつ完全な吸引位置または分注位置に対応する既定の位置に到達するかを検出することができる。しかしながら、異なる機構または他のポンプ測定デバイス78は、インターロック42およびスリーブ回転制限スイッチ(たとえば、エンドストップスイッチ)90以外にポンプ測定値(たとえば、ポンプ持続時間)を決定するために使用可能であることが理解されるべきである。あるいは、ポンプ64は、1つもしくは複数の光センサ、または光学スイッチをもつエンコーダを用いて、ポンプ構成要素の位置を完全な吸入および/または分注のためのそれらそれぞれのエンドストップ位置で決定することができる。
【0045】
したがって、図7を参照し、本発明の例示的な実施形態により、説明されるように、チャンバを充填するために必要とされる時間および所望の量の流体をチャンバから放出するために必要とされる時間の決定が実行される、少なくとも各ストロークの放出時間が測定される、さらに、選択された数の放出時間が指定の量を超えるのに失敗した(たとえば、ストローク持続時間が指定の数のポンプサイクルにわたって短縮する)とき、標識が、閉塞が検出されたことを示すために生成される。
【0046】
別の例示的な実施形態によれば、閉塞検出は、以下で図9を参照して説明されるように、ポンプエンドストップまたは制限スイッチの作動またはトリガリングの持続時間を監視することによって実行される。ポンプ64内の閉塞が発生したかどうかを決定するためにポンプエンドストップまたは制限スイッチの作動またはトリガリングの検出された持続時間に関連する監視されたデータを処理することは、単独で、または上記で図7に関連して説明されたように短いポンプストローク持続時間に関して監視することと組み合わせて、実行可能である。
【0047】
上記で説明されたように、通常の動作中、インターロック42の存在は、ピストン30がスリーブ24を通るその並進を完了する前にピストン30およびスリーブ24回転が結合するのを防止する。しかしながら、下流流体経路内の圧力が(すなわち、閉塞中に)増えると、ピストン30およびスリーブ24回転は、早期に結合することができる。すなわち、スリーブ24は、バルブ状態変更中に意図された回転の前に早期に、たとえば、スリーブ24が完全なピストンストロークの終了時に、ポンプの通常動作中にその側方ポートをポート44、46のうちの対応するポートと位置合わせするために軸方向運動なしに回転するとき)、回転する。次に、このピストン30とスリーブ24の早期回転結合は、スリーブ24がインターロック42の下を通過し、ピストン30がスリーブを通るその軸方向並進を完了する前にスイッチ78をトリガすることを可能にする。これは、上記で図7に関連して説明されたように、(たとえば、ポンプモータ起動とエンドストップスイッチ信号との間の時間期間または持続時間として測定される)ポンプ持続時間をかなり短縮させる。さらに、閉塞検出に関して監視可能である別のポンプ動作特性は、ポンプ測定デバイス78およびその関連づけられたスイッチ90が動作の作動モードもしくはトリガモードであるまたは作動の状態の開始を示す持続時間である。
【0048】
いくつかの例では、閉塞したポンプシステム内のポンプ持続時間は、通常のままであることができ、予想通りに減少することはできない。したがって、別のポンプ測定パラメータまたは特性に関するモニタリングは、閉塞検出精度を増加させる。たとえば、ポンプスリーブ24が、ポンプシステム内の閉塞により予期されるように早期に回転する間、およびポンプスリーブが上流流体経路に開くとすぐに(および、スイッチ90からのストローク終了信号の前に)、ピストンは、前進し始め、流体ペイロードを上流流体経路へと分注し始めることができる。ピストン30とスリーブ24の両方は、それらの角位置の全範囲を通して回転することができるので、合計ポンプ動作時間は、閉塞ありと閉塞なしの両方で一定のままである。一方、次に、ピストン30は、スリーブが上流チャネル上で回転した後、回転中であり、スリーブ24を通って並進中であるので、今度は、エンドストップスイッチ90が、延長された時間の期間にわたってトリガされている。したがって、閉塞検出は、例示的な実施形態による短縮されたポンプストローク持続時間に関して監視することと別個に、またはこれに加えて、制限スイッチ作動の長期エンドストップもしくは延長されたエンドストップに関して監視することもしくはトリガすることを含むことができる。
【0049】
閉塞の結果としてポンプ測定デバイスの作動またはトリガリングがどれくらい延ばされ得るかをさらに示すために、図1図2図3A図3B、および図3Cに示される例示的な実施形態により説明される例示的なポンプ64に対する参照がなされる。通常のポンプ64動作中に、エンドストップスイッチ90が最初に(たとえば、エンドストップスイッチ90と係合するスリーブ特徴41を介して)ポンプスリーブ24によって当たられ、捕らえられ(dragged)、したがってトリガされるとき、エンドストップスイッチ90は、マイクロコントローラ58に提供される、1.8Vから0Vへのそのエンドストップスイッチ電圧信号の低下を生じさせる。スイッチ90が(たとえば、スリーブ特徴41の係合解除によって)解除され、中心にばね戻りする場合のみ、エンドストップスイッチ電圧を1.8Vに戻る。いくつかの例では、スリーブ24の側方ポートが(たとえば、入力ポート44と位置合わせされる)上流流体経路に開くとき、ピストン30がその軸方向並進を完了する前、およびエンドストップスイッチ90がスリーブ特徴41によって係合解除される前、および上流流体経路内の圧力が低いとき、ピストン30は、スリーブ24を介して前進し始め、および並進し、エンドストップスイッチ90がトリガ中間状態である間にポンプ内容を上流流体経路へとあけることができる。正味の結果は、延長された時間の期間にわたってエンドストップスイッチ90作動信号(たとえば、電圧低下)が発生することである。このポンプ閉塞特性は、0.5秒未満のスイッチ90作動(たとえば、0ボルト)の通常の持続時間と、ほぼ1.5秒の延長されたエンドストップまたは制限スイッチ90作動(たとえば、0ボルト)をそれぞれ示す図8Aおよび図8Bに示されている。
【0050】
いくつかのポンプ64は、(たとえば、ピストン30が前進するのに失敗する)より短い全体的なポンプ持続時間を示すことがあるが、いくつかのポンプ64は、エンドストップスイッチ90作動信号持続時間(たとえば、ピストン30が上流流体経路上で前進するとき)の増加を示すことがあるいくつかの理由がある。たとえば、関連ポンプ構成要素(たとえば、インターロック42、戻り止め40、およびスリーブ特徴41)とのPCB92上のスイッチ90の位置合わせは、どのスリーブ角位置がエンドストップスイッチ90を解除するか、およびしたがってエンドストップスイッチ作動信号がいつ生成されてマイクロコントローラ58に提供されるかのいくらかの変動性を可能にすることがある。追加的に、より大きいインスリンリザーバ充填体積からの上流流体経路内の高圧は、ピストン30が上流流体経路上で前進する(たとえば、より短いポンプ持続時間をもたらす)のを防止し得るが、より低いインスリンリザーバ充填容積からの上流流体経路内のより低い圧力は、ピストン30が上流流体経路上で前進する(たとえば、より長いまたは延長されたエンドストップまたは制限スイッチ作動または「トリガ」持続時間をもたらす)ことを可能にし得る。
【0051】
図9を参照すると、例示的な閉塞検出プロセスは、スイッチ作動持続時間しきい値などのポンプ測定値しきい値またはメトリックを設定すること(ブロック96)を含み、しきい値を下回るスイッチ作動持続時間は通常のポンプ動作を示し、しきい値を上回るスイッチ作動持続時間は閉塞を示す。しきい値を設定するために、ポンプ測定データが分析可能である。たとえば、いくつかの同じポンプ64は、ポンプが閉塞しているときエンドストップスイッチ信号電圧低下などのポンプ測定パラメータの持続時間の示された著しい増加に関連するポンプ測定データを収集するために、類似の閉塞条件とともに検査可能である。図1図2図3A図3B、および図3Cにおけるポンプ64に関する例示的な経験的測定の場合では、閉塞中のスイッチ作動持続時間は約1.5秒と測定され、これは、ピストン30がスリーブ24を通って完全に並進するための時間の予想量に相応する。したがって、閉塞検出アルゴリズムは、(たとえば、マイクロコントローラ58内の)ソフトウェア命令に従ってエンドストップスイッチ90信号持続時間をログ記録し、ログ記録されたスイッチ90作動持続時間をしきい値(たとえば、Thswitch>1.0秒)と比較して、図9のブロック98内に示されるように、閉塞が存在するか存在しないのかを決定するように構成可能である。エンドストップスイッチ作動データまたはポンプ制限スイッチ作動データは、(たとえば、マイクロコントローラ58に対して一体化したまたはPCB92上の別個の構成要素として実施されるメモリデバイスを介して)収集および保存可能である。マイクロコントローラ58は、閉塞が発生したかどうかを決定するためにエンドストップスイッチ作動データを処理するための閉塞検出アルゴリズムを備えることができる。別の例示的な実施形態によれば、エンドストップスイッチ作動データは、ポンプ64から、閉塞センシングアルゴリズムを備えるソフトウェアまたはアプリを備える、ポンプ64のためのハンドヘルドリモートコントローラまたは非専用コンピューティングデバイス(たとえば、携帯電話、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップコンピューティングデバイス、または他のポータブルコンピューティングデバイス)などの閉塞検出アルゴリズムを有する別のデバイスに(たとえば、ワイヤレスで、またはワイヤライン接続を介して)提供可能である。閉塞したポンプに関するスイッチ作動持続時間データは、平均化または要約もしくはカテゴリ化され、次いで、通常の動作するポンプのための同様のポンプ測定値と閉塞したポンプのためのポンプ測定値との間の差の程度を決定するために分析可能である。しきい値(たとえばThswitch、)または他のメトリックは、通常のポンプ測定値が入らないマージン内の値または値の範囲を上回るおよび/または下回るように決定される。値もしくは値の範囲、および/またはマージンは、使用者によって指定可能である、またはポンプから取得されたポンプ測定データに基づいて自動的に決定可能である。上記で説明されたように、スイッチ作動持続時間などのポンプ測定データは、通常のポンプ活動の経過中に生成および監視され、したがって、ポンプの複雑さを増加させる追加の構成要素を必要としないデータである。
【0052】
引き続き図9を参照すると、ポンプ測定メトリック(たとえば、スイッチ作動持続時間しきい値)が設定されると、薬物送達デバイス10内のマイクロコントローラ58は、ポンプ64のためのポンプ測定データ(たとえば、スイッチ作動持続時間データ)を取得し(ブロック97)、各ポンプサイクルなどのためにさまざまなポンプステージまたは動作のサイクル中にスイッチ作動持続時間データをポンプ測定メトリックと比較する(ブロック98)ように、閉塞検出アルゴリズムによって制御される。スイッチ作動持続時間データがポンプ測定メトリックを満たす(たとえば、1.0秒というThswitchよりも小さいまたはこれに等しい)とき、ポンプは、正常に動作する(ブロック100)と決定される。スイッチ作動持続時間データがポンプ測定メトリックを満足させるのに失敗した(たとえば、1.0秒という閉塞検出しきい値Thswitchよりも大きい)とき、ポンプは、閉塞条件を経験していると決定される。カウンタは、通常動作のためのしきい値Thswitchが満たされないとき、増分される(ブロック99)。ブロック101を参照すると、カウンタが、選択された値(たとえば、通常動作のためのThswitchが満たされない8のポンプサイクルに対応する8のカウンタ値)に到達するとき、次いで、閉塞が検出される。閉塞が示される前に選択された数のサイクルが到達されるサイクルの総数は、8つのサイクルの8つの連続したサイクル、または指定された数のサイクル(たとえば、20サイクル)以内など、指定可能である。マイクロコントローラ58は、検出された閉塞エラーの任意選択の標識を生成し(ブロック102)、ポンプ64および/もしくは薬物送達デバイス10の動作を自動的に中止する、および/または薬物送達デバイス10を使用するのをやめるために使用者に対する任意選択の標識を生成する(ブロック104)ように閉塞検出アルゴリズムによって構成可能である。カウンタが、ブロック99当たり増分された後で、選択されたカウンタ値にまだ到達していない場合、ポンプ測定データは、ブロック97当たり引き続き収集される。閉塞検出アルゴリズムは、ポンプ持続時間データまたはポンプ内ですでに実施された他のポンプ測定データに基づくので、閉塞検出は、ポンプ持続時間またはソフトウェア内の他の測定データを選択されたしきい値またはメトリックとチェックすることによって達成される。したがって、ソフトウェアのみのソリューションは、検出された閉塞のために提供され、ハードウェア変更の必要性を不要にする。
【0053】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、以下で図13に関連して説明されるように、第3のポンプ特性が、薬物送達デバイス10内の閉塞を検出するために監視される。たとえば、選択されたポンプ64を閉塞条件下で検査することは、薬物送達デバイス10が新しかったときに閉塞が起こる場合、ポンプ64は、上記で図7および図9に関連して説明されたように、短いストローク持続時間または長いエンドストップ持続時間をそれぞれ有する傾向があることを明らかにした。しかしながら、ポンプが多くのサイクルを経験した後、検査データは、図3Bに示されるように、それがマニホルドシール47とスリーブ24との間の関節エリア49で漏れる傾向があったことを示した。一定のポンプサイクルの後で過剰な漏洩があった理由は、おそらく、反復的なポンピング運動によって引き起こされるシールの摩耗および引き裂きと、閉塞によって引き起こされる高い内圧の組み合わせであった。言い換えれば、ポンプ64が新しく、シール47が、閉塞によってもたらされる高い圧力を許容するのに十分に強いとき、ポンプは、おそらく、閉塞中の短いストローク持続時間または長いエンドストップ持続時間(たとえば、長期制限スイッチ作動持続時間)を示す。しかしながら、いくつかのポンプサイクルの後、シールは、閉塞によってもたらされる高い圧力を許容するのに十分なほど強くなく、ポンプ64は、下流流体経路の最も弱い連結を通って漏れることがあり、この最も弱い連結は、マニホルド47とスリーブ24との間のシール49であることがある。ポンプチャンバ38内の流体は、閉塞によってもたらされる高い内圧によって漏洩経路を強制的に通らされるので、ポンプモータ(図示せず)は、流体を押し出すためにより多くのエネルギーを提供することが必要である。その結果、閉塞中の分注ストローク持続時間は、通常の動作においてよりも長い。
【0054】
図12A図12B図12C、および図12Dは、図1図2図3A図3B、および図3Cを参照しながら説明される、ポンプ64などの選択されたタイプのポンプのベンチ閉塞検査からのいくつかの例を示す。図12A図12B図12C、および図12Dは、閉塞によって引き起こされた漏洩に関連する長い分注持続時間を示す。4つの薬物送達デバイス10に対して、図12A図12B図12C、および図12Dにおける各プロットは、1つの薬物送達デバイス10に対応する。各薬物送達デバイス10は、たとえば、300U流体で充填され、50U開放、2Uクランプ、および2U開放で送達された。これらのプロットから、薬物送達デバイス10が閉塞しているとき、分注ストローク持続時間は増加するが、吸引ストローク持続時間は比較的同じままであることがわかる。したがって、このポンプ特性は、閉塞によって引き起こされた漏洩を検出するために使用可能である。
【0055】
本発明の例示的な実施形態の態様によれば、上記で説明された閉塞検出アルゴリズムは、分注ストロークと吸引ストロークとの間のポンプ持続時間差を用いることができる。たとえば、図13のブロック108を参照すると、ストローク差しきい値(Thdelta)は、次のように決定可能である。
【0056】
ステップ1:装填の終了時に、
【0057】
【数1】
【0058】
と定義される、吸引ストロークと分注ストロークとの間の平均持続時間差を計算する。
【0059】
ここで、nは、平均差を得るために使用されるストロークの数である。例として、例示的な実施形態のためにn=3が使用されるが、この数は具体的なポンプ設計に応じて変化してよいことが理解されるべきである。
【0060】
ステップ2:装填後の各ポンプサイクルに対して、ポンプ64のためにポンプ測定データ(たとえば、吸引ストロークと分注ストロークとの間の持続時間差)を収集し(ブロック109)、たとえば、次のように、持続時間差データをポンプ測定メトリックと比較する(ブロック110)。
【0061】
1)持続時間差を計算する:Di=Dispense-Aspirate
【0062】
2)D0をDiから減算する:D’i=Di-D0
【0063】
3)図13のブロック110において示されるように、D’i、D’i-1、およびD’i-2が所与のしきい値(たとえば、0.13秒)よりも小さいかどうかをチェックする。「はい」である場合、通常のポンプ動作は、図13のブロック112当たり継続することができる。そうでない場合は、漏洩が検出され、ポンプは、閉塞条件を経験していると決定されることがある。カウンタは、通常動作のためのしきい値Thdeltaが満たされないとき、増分される(ブロック111)。ブロック113を参照すると、カウンタが、選択された値(たとえば、通常動作のためのThdeltaが満たされない8のポンプサイクルに対応する8のカウンタ値)に到達するとき、閉塞が検出され、閉塞標識はブロック114当たり生成可能であり、ポンプ動作はブロック116当たり終了可能である。カウンタが、ブロック111当たり増分された後で、選択されたカウンタ値にまだ到達していない場合、ポンプ測定データは、ブロック109当たり引き続き収集される。閉塞が示される前に選択された数のサイクルが到達されるサイクルの総数は、8つのサイクルの8つの連続したサイクル、または指定された数のサイクル(たとえば、20サイクル)以内など、指定可能である。例示的な実施形態では、3つの連続した分注ストロークが使用されているが、この数は、ポンプ持続時間の変動に応じて経時的に変化してよい。持続時間差D0,1,…,xは、平均化または要約もしくはカテゴリ化され、次いで、通常の動作するポンプのためのポンプ測定値と閉塞したポンプのためのポンプ測定値との間の、および/またはしきい値もしくは他のメトリックThdeltaに関する、差(たとえば、吸引ストロークおよび分注ストローク持続時間差)の程度を決定するために分析可能である。
【0064】
閉塞検出アルゴリズムは、他の例示的な実施形態によれば、図7とともに説明されるストローク持続時間基準および/または図9とともに説明されるエンドストップもしくは制限スイッチ作動持続時間基準と組み合わせて、図13とともに説明される漏れ検出基準を含むことができる。たとえば、基準のうちの3つすべてまたは単一の基準のみまたはこれら3つの基準のサブセットを使用する検出は、マイクロコントローラ58にまたは薬物送達デバイス10と関連づけられた別個のデバイスのコントローラに提供された閉塞検出ソフトウェアを使用して並列でまたは連続して実施可能である。ストローク持続時間基準のための追加の例示的なデータは図10に示され、スイッチ作動持続時間基準のための追加の例示的なデータは図11に示される。図14を参照すると、例示的な実施形態による例示的な閉塞検出アルゴリズムは、図7とともに説明されるストローク持続時間基準、図9とともに説明されるエンドストップまたは制限スイッチ作動持続時間基準、および図13とともに説明される漏れ検出基準の組み合わせを用いる。検出された閉塞条件のためのカウンタは、クリアされるまたは0値に設定される(ブロック120)。ブロック122において示されるように、ポンプサイクルが検出される(すなわち、吸引ストロークおよび分注ストロークが、たとえば、エンドストップスイッチ作動データを使用して検出される)。図9を参照して説明されるストローク持続時間、エンドストップ持続時間、装填中の吸引ストロークと分注ストロークとの間の平均持続時間差などのポンプ測定データが収集される(ブロック124)。ストローク持続時間差が決定される(すなわち、吸引ストローク持続時間よりも短い分注ストローク持続時間に対応する持続時間から装填中の平均持続時間差を減算する(ブロック126)。ブロック128当たりの分注ストローク持続時間短縮(たとえば、2秒のThstrokeよりも短い)、またはブロック132当たりのエンドストップスイッチ作動持続時間延長(たとえば、1秒のThswitchよりも大きい)、またはブロック134当たりのストローク持続時間差(たとえば、0.13マイクロ秒のThdeltaよりも大きい差)などの異常なポンプ動作条件が検出された場合、カウンタは増分される(ブロック136)。カウンタが、ブロック138当たり選択された値(たとえば、通常動作のためのしきい値が満たされない8のポンプサイクルに対応する8のカウンタ値)に到達するとき、たとえば、ブロック114当たり閉塞が検出され、閉塞標識は生成可能である、および/またはポンプ動作は終了可能である。これらの閉塞条件のいずれも満たされない場合、カウンタは、ブロック134当たりクリアされたままであり(たとえば、0値)、次のポンプサイクルが検出され、関連ポンプタイミングまたは測定データがブロック122当たり収集される。
【0065】
たとえば、上記で図13に関連して閉塞検出アルゴリズムとともに説明される漏れ検出基準は、(たとえば、上記で図7のブロック80および82に関して説明された)短いストローク持続時間アルゴリズムおよび(たとえば、上記で図9のブロック96および98に関して説明された)長いエンドストップ持続時間アルゴリズムと組み合わせて、280の薬物送達デバイス10から収集されたベンチ閉塞データに適用された。表1は、図13のブロック108および110に関して説明された漏れ検出アルゴリズムのない場合とある場合との比較を示す。漏れ検出アルゴリズム(たとえば、図13のブロック108および110)は、本発明の例示的な実施形態による閉塞検出アルゴリズムによって適切な閉塞の検出率を著しく改善したことがわかる。しかしながら、それは、偽陽性率をわずかに増加させる。
【0066】
【表1】
【0067】
280個の薬物送達デバイス10のうち、クランピングの前に10Uボーラス(bolus)を送達した120個の薬物送達デバイス10があった。これらの薬物送達デバイス10内のマニホルドシール49が、最小限に使用された。表2は、この薬物送達デバイス10グループに関して漏れ検出アルゴリズムのない場合とある場合との比較を示す。表2から、マニホルドシール49が最小限に使用された場合、ストローク持続時間測定および/または長いエンドストップ持続時間ポンプ測定値の分析を用いる閉塞検出アルゴリズムに追加された漏れ検出アルゴリズムのない場合でも、閉塞検出率は極めて高く、88%であることがわかる。これらの結果は、漏れは、大部分は、反復的なポンピング運動の後のマニホルドシールの摩耗および引き裂きによって引き起こされるということと一致する。
【0068】
【表2】
【0069】
したがって、漏れ検出基準は、閉塞検出アルゴリズム内で実施可能である。このアルゴリズムは、漏れ検出基準を分析するためにポンプ持続時間情報のみを必要とするので、必要とされるハードウェア変更はない。漏れ検出基準を用いる閉塞検出アルゴリズムは、閉塞中のすべての著しいポンプ挙動をより完全に捕捉するためにストローク持続時間基準および/またはエンドストップスイッチ作動持続時間基準とともに実施されるとき、改善される。
【0070】
本開示は、その適用に関して、以下の説明において記載されるまたは図面に示される構成要素の構造および配置の詳細に限定されないことが、当業者には理解されよう。本明細書における実施形態は、他の実施形態が可能であり、さまざまな形で実施されるまたは行われることが可能である。また、本明細書において使用される語法および用語は、説明を目的としたものであり、限定すると見なされるべきでないことが理解されるであろう。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」およびそれらの変形の使用は、その後ろに列挙された項目およびそれらの等価物ならびに追加の項目を包含することを意味する。別途限定されない限り、本明細書における「接続された」、「結合された」、および「取り付けられた」という用語ならびにそれらの変形は、幅広く使用され、直接的および間接的な接続、結合、および取り付けを包含する。さらに、「接続される」および「結合される」という用語ならびにそれらの変形は、物理的または機械的な接続または結合に制限されない。さらに、上に、下に、下部、および上部などの用語は相対的であり、説明を助けるために用いられ、限定するものではない。
【0071】
本発明の示される実施形態により用いられる例示的なデバイス、システム、および方法の構成要素は、少なくとも部分的に、デジタル電子回路内、アナログ電子回路内で、またはコンピュータハードウェア内、ファームウェア内、ソフトウェア内、またはこれらの組み合わせで実施可能である。これらの構成要素は、たとえば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、もしくは複数のコンピュータなどのデータ処理装置による実行のために、またはその動作を制御するために、情報担体内、もしくは機械可読記憶デバイス内で有形に具現化された、コンピュータプログラム、プログラムコード、もしくはコンピュータ命令などの、コンピュータプログラム製品として実施可能である。
【0072】
コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語またはインタープリタ型言語を含むプログラミング言語の任意の型式で記述可能であり、それは、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、構成要素、サブルーチン、またはコンピューティング環境において使用に適した他のユニットとして含む、任意の型式で展開可能である。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、もしくは1つのサイトにおける複数のコンピュータ上で実行されるために展開可能である、または複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続可能である。また、本発明の例示的な実施形態を達成するための関数型プログラム、コード、およびコードセグメントは、本発明が関係する当技術分野で熟練したプログラマによって本発明の範囲内であると容易に解釈可能である。本発明の例示的な実施形態と関連づけられた方法ステップは、(たとえば、入力データに作用することおよび/または出力を生成することによって)機能を実行するためにコンピュータプログラム、コード、または命令を実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサによって実行可能である。たとえば、方法ステップは、特殊目的論理回路、たとえば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によっても実行可能であり、これらとして、本発明の例示的な実施形態の装置は実施可能である。
【0073】
本明細書において開示される実施形態に関連して説明されるさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、または他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェア構成要素、または本明細書において説明される機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせとともに実施または実行されてよい。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってよいが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であってよい。プロセッサは、コンピューティングデバイスの組み合わせ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに関連する1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、または他の任意のそのような構成として実施されてもよい。
【0074】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサとしては、例として、汎用マイクロプロセッサと特殊目的マイクロプロセッサの両方、および任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサがある。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたはその両方から、命令およびデータを受け取るであろう。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータは、データを記憶するための1つもしくは複数の大容量記憶デバイス、たとえば、磁気ディスク、光磁気ディスク、もしくは光ディスクも含むであろう、またはこれからデータを受け取るもしくはこれにデータを転送するために動作可能に結合されるであろう、またはその両方であろう。コンピュータプログラム命令およびデータを具現化するに適した情報担体としては、例として、半導体メモリデバイス、たとえば、電気的プログラマブル読み出し専用メモリすなわちROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリデバイス、およびデータ記憶ディスク(たとえば、磁気ディスク、内部ハードディスク、またはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、およびCD-ROMディスク、およびDVD-ROMディスク)を含む、あらゆる形式の不揮発性メモリがある。プロセッサおよびメモリは、特殊目的論理回路によって補足可能である、またはその中に組み込み可能である。
【0075】
当業者は、さまざまな異なる技術および技法のいずれかを使用して情報および信号が表され得ることを理解するであろう。たとえば、上記の説明全体を通じて言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁性粒子、光場もしくは光学粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表され得る。
【0076】
当業者は、本明細書において開示される実施形態に関連して説明されたさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組み合わせとして実施されてよいことをさらに諒解するであろう。ハードウェアおよびソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、さまざまな例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、上記でそれらの機能に関して概括的に説明されてきた。そのような機能がハードウェアとして実施されるか、ソフトウェアとして実施されるかは、特定の適用例および全体的なシステムに課せられた設計制約に依存する。当業者は、説明された機能を各特定の適用例のためにさまざまな形で実施し得るが、そのような実装判断は、本発明の範囲から逸脱を引き起こすとして解釈されるべきでない。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ROM、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野で知られている他の任意の形式の記憶媒体内に存在してよい。例示的な記憶媒体は、プロセッサに結合され、そのようなプロセッサは、記憶媒体から情報を読み出し、これに情報を書き込むことができる。代替として、記憶媒体は、プロセッサと一体であることがある。言い換えれば、プロセッサおよび記憶媒体は、集積回路内に存在してもよいし、ディスクリート(discrete)構成要素として実施されてもよい。
【0077】
コンピュータ可読な非一時的な媒体としては、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュ媒体、およびソリッドステート記憶媒体を含む、あらゆるタイプのコンピュータ可読媒体がある。ソフトウェアは、中央処理ユニット(CPU)デバイス内にインストールされ、これとともに販売可能であることが理解されるべきである。あるいは、ソフトウェアは、たとえば、ソフトウェア作成者によって所有されるサーバから、またはソフトウェア作成者によって所有されずに使用されるサーバから、を含む、物理媒体または分散システムを通してソフトウェアを取得することを含めて、CPUデバイスへと取得およびロード可能である。ソフトウェアは、たとえば、インターネット上での分散のためにサーバ上に記憶可能である。
【0078】
上記で提示された説明および図は、例として意図されているにすぎず、以下の特許請求の範囲に記載されているものを除いて任意の手段で本発明を限定することを意図したものではない。当業者は、そのすべては本発明の範囲内であると考えられる、上記で数多くの他の形で説明されてきたさまざまな例示的な実施形態のさまざまな要素のさまざまな技術的態様を容易に組み合わせることができることが、特に留意される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14