IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プージン ケミカル インダストリー カンパニー リミテッドの特許一覧

特開2023-123769ポリグリコール酸コポリマー組成物及びその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123769
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】ポリグリコール酸コポリマー組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20230829BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230829BHJP
   C08G 63/60 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
C08L67/04
C08K3/013
C08G63/60
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108416
(22)【出願日】2023-06-30
(62)【分割の表示】P 2021523962の分割
【原出願日】2018-10-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWARON
(71)【出願人】
【識別番号】521186328
【氏名又は名称】プージン ケミカル インダストリー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PUJING CHEMICAL INDUSTRY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Room615-618, T1, Lane166, Minhong Road, Minhang District, Shanghai 201102 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン, シンチョウ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い剛性を有する新型ポリグリコール酸コポリマー組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマーと充填剤とを含む新型組成物に関する。前記ポリグリコール酸は、グリコール酸メチルから重縮合によって製造される。前記組成物の引張係数は5,800MPaを超えてもいい。前記ポリグリコール酸コポリマーは10,000-1,000,000の重量平均分子量(Mw)を有してもいい。前記ポリグリコール酸コポリマーの重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.0-10.0の範囲にあってもいい。前記ポリグリコール酸コポリマーのメルトフローインデックス(MFR)は0.1-1000g/10minの範囲にあってもいい。さらに、グリコール酸メチルの直接重合を含む前記組成物の製造方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の総重量に基づき、20-99.9wt%のポリグリコール酸コポリマーと、0.1-80wt%の充填剤とを含む組成物であって、前記組成物の引張係数は5,800MPaを超え、前記ポリグリコール酸コポリマーは一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含み、
Aは
【化1】
またはその組み合わせであり、
BはG-R1-Wであり、
GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-、及び-NHからなる群より選ばれ、
1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせであり、
2はアルキル基、芳香族基、またはオレフィン基であり、
xは1-1500の間にあり、
yは1-1500の間にあり、
nは1-10000の間にあり、
CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、芳香族基、エーテル基、アルケニル基、ハロゲン化炭化水素基、及びその組み合わせからなる群より選ばれる末端基であり、
AとBは違う構造であり、かつ
前記ポリグリコール酸コポリマーは、グリコール酸メチルから重縮合によって生産されるポリグリコール酸を用いて製造される、組成物。
【請求項2】
前記充填剤は、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク、炭酸カルシウム、ナノクレイ、ハイドロタルサイト、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン、二酸化チタン、シリカ、モンモリロナイト、鋼繊維、麻繊維、竹繊維、木質繊維、木粉、木片、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、黒鉛、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、セラミックウィスカー、無機塩ウィスカー、金属ウィスカー、及びその組み合わせからなる群より選ばれる無機充填剤であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記充填剤は、セルロースウィスカー、ポリ(アクリル酸ブチル-スチレン)、ポリ(4-ヒドロキシベンジルエステル)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリ(p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)繊維、ポリアミド繊維、及びその組み合わせからなる群より選ばれる有機充填剤であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、さらに、EとFからなる群より選ばれる添加剤を含み、
Eは一つ以上のi-R1-j単位であり、iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、酸塩化物(acid chloride)基、オキサゾール基、オキサゾリン基、無水物(anhydride)、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせからなる群より選ばれ、R1は脂肪族基、芳香族基、またはその組み合わせであり、かつ
Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリグリコール酸コポリマーの重量平均分子量は10,000-1,000,000であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリグリコール酸コポリマーの重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.0-4.0であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリグリコール酸コポリマーのメルトフローレート(MFR)は0.1-1000g/10minであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の製造方法であって、前記組成物は、前記組成物の総重量に基づき、20-99.9wt%のポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマーと、0.1-80wt%の充填剤とを含み、前記ポリグリコール酸コポリマーはグリコール酸メチルから重縮合によって生産されるポリグリコール酸を用いて製造され、前記組成物の引張係数は5,800MPaを超え、前記方法は、ポリグリコール酸コポリマーと充填剤とを圧出、造粒することを含み、前記ポリグリコール酸コポリマーは一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含み、
Aは
【化2】
またはその組み合わせであり、
BはG-R1-Wであり、
GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-、及び-NHからなる群より選ばれ、
1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせであり、
2はアルキル基、芳香族基、またはオレフィン基であり、
xは1-1500の間にあり、
yは1-1500の間にあり、
nは1-10000の間にあり、
CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、芳香族基、エーテル基、アルケニル基、ハロゲン化炭化水素基、及びその組み合わせからなる群より選ばれる末端基であり、かつ
AとBは違う構造であり、
従って前記組成物を製造する、組成物の製造方法。
【請求項9】
前記充填剤は、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク、炭酸カルシウム、ナノクレイ、ハイドロタルサイト、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン、二酸化チタン、シリカ、モンモリロナイト、鋼繊維、麻繊維、竹繊維、木質繊維、木粉、木片、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、黒鉛、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、セラミックウィスカー、無機塩ウィスカー、金属ウィスカー、及びその組み合わせからなる群より選ばれる無機充填剤であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記充填剤は、セルロースウィスカー、ポリ(アクリル酸ブチル-スチレン)、ポリ(4-ヒドロキシベンジルエステル)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリ(p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)繊維、ポリアミド繊維、及びその組み合わせからなる群より選ばれる有機充填剤であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、さらに、前記ポリグリコール酸と前記充填剤とを圧出、造粒する前に、前記ポリグリコール酸を圧出、造粒することを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、さらに、前記ポリグリコール酸と前記充填剤とを圧出、造粒する前に、前記ポリグリコール酸と添加剤とを圧出、造粒することを含み、
前記添加剤は、E、F、またはその組み合わせからなる群より選ばれ、
Eは一つ以上のi-R1-j単位であり、iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、酸塩化物(acid chloride)基、オキサゾール基、オキサゾリン基、無水物(anhydride)、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせからなる群より選ばれ、R1は脂肪族基、芳香族基、またはその組み合わせであり、かつ
Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、さらに、グリコール酸メチルの重縮合によって前記ポリグリコール酸を形成することを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
請求項8-13の何れか一項に記載の方法によって製造される、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高い剛性を有する新型ポリグリコール酸コポリマー組成物及びその製造方法を提供する。上記組成物は良好な溶融熱安定性、並びに、室温および高温における高い引張係数を有する。
【背景技術】
【0002】
ポリグリコール酸、もしくはポリ(グリコール酸)(PGA)は、生分解性を備えた環境に優しい高分子材料であり、近年大きな注目を集めている。他の生分解性プラスチック(ポリ乳酸など)と比べると、ポリグリコール酸は、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性係数、硬度、柔軟性、および耐熱性などで有利である。ポリ乳酸とは異なり、ポリグリコール酸はガスバリア性が高く、繊維、ダウンホールツール、包装、薄膜、医薬品担体、医療用インプラント、水中防汚材料などに適用できる。
【0003】
しかし、従来のポリグリコール酸では、引張係数が高温で急激に低下することが(CN1827686B)、ポリグリコール酸の高温環境での適用を制限してしまう。ポリグリコール酸と無機充填剤との混合物が報告されているが(CN104684997B)、このような無機充填剤の添加も、ポリグリコール酸の分解を引き起こし、その熱安定性や機械的特性を損なう。
【0004】
良好な溶融熱安定性及び高い引張係数を有するポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマーは依然として求められる。
【発明の概要】
【0005】
本発明はポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマーを含む組成物及びその製造方法を提供する。
【0006】
組成物を提供する。上記組成物は、上記組成物の総重量に基づき、20-99.9wt%のポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマーと、0.1-80wt%の充填剤とを含む。上記ポリグリコール酸は、グリコール酸メチルから重縮合によって製造される。上記組成物の引張係数は5,800MPaを超える。上記ポリグリコール酸コポリマーは一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含む。Aは
【0007】
【化1】
【0008】
またはその組み合わせであり、BはG-R1-Wであり、GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-、及び-NHからなる群より選ばれ、R1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせであり、R2はアルキル基、芳香族基、またはオレフィン基であり、xは1-1500の間にあり、yは1-1500の間にあり、nは1-10000の間にあり、CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、芳香族基、エーテル基、アルケニル基、ハロゲン化炭化水素基、及びその組み合わせからなる群より選ばれる末端基であり、かつ、AとBは違う構造をしている。
【0009】
上記充填剤は、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク、炭酸カルシウム、ナノクレイ、ハイドロタルサイト、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン、二酸化チタン、シリカ、モンモリロナイト、鋼繊維、麻繊維、竹繊維、木質繊維、木粉、木片、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、黒鉛、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、セラミックウィスカー、無機塩ウィスカー、金属ウィスカー、及びその組み合わせからなる群より選ばれる無機充填剤であってもいい。
【0010】
上記充填剤は、セルロースウィスカー、ポリ(アクリル酸ブチル-スチレン)、ポリ(4-ヒドロキシベンジルエステル)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリ(p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)繊維、ポリアミド繊維、及びその組み合わせからなる群より選ばれる有機充填剤であってもいい。
【0011】
上記組成物は、さらに、一つ以上のi-R1-j単位を含んでいてもよく、iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、酸塩化物(acid chloride)基、オキサゾール基、オキサゾリン基、無水物(anhydride)、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせからなる群より選ばれ、R1は脂肪族基、芳香族基、またはその組み合わせである。
【0012】
上記組成物は、さらに、抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせからなる群より選ばれる剤を含んでもいい。
【0013】
上記ポリグリコール酸または上記ポリグリコール酸コポリマーは、10,000-1,000,000の重量平均分子量を有してもいい。上記ポリグリコール酸または上記ポリグリコール酸コポリマーの重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.0-4.0であってもいい。
【0014】
上記組成物中のポリグリコール酸は、グリコール酸メチルの直接重合によって製造されてもいい。
上記組成物中のポリグリコール酸コポリマーは、(a)グリコール酸メチルの直接重合によってポリグリコール酸を形成すること、及び(b)ポリグリコール酸、E、及びFを粒子になるよう圧出すること、を含む方法によって製造されてもいい。上記組成物は、上記コポリマーの総重量に基づき、EとFの組み合わせを0.01-5wt%含む。Eは一つ以上のi-R1-j単位であってもよく、iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、酸塩化物(acid chloride)基、オキサゾール基、オキサゾリン基、無水物(anhydride)、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせからなる群より選ばれ、R1は脂肪族基、芳香族基、またはその組み合わせである。Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせからなる群より選んでもいい。
【0015】
上記組成物中のポリグリコール酸コポリマーは、上記ポリグリコール酸コポリマーと上記充填剤とを粒子になるよう圧出すること、を含む方法によって製造されてもいい。上記粒子は、上記粒子の総重量に基づき、0.1-80wt%の上記充填剤を含んでもいい。
【0016】
上記ポリグリコール酸または上記ポリグリコール酸コポリマーのメルトフローレート(MFR)は、0.1-1000g/10minであってもいい。
【0017】
本発明における各組成物に対し、その組成物を製造する方法を提供する。上記組成物は、上記組成物の総重量に基づき、20-99.9wt%のポリグリコール酸コポリマーと、0.1-80wt%の充填剤とを含む。上記ポリグリコール酸コポリマーは、グリコール酸メチルから重縮合によって生産されるポリグリコール酸を用いて製造される。上記組成物の引張係数は5,800MPaを超える。上記方法は、ポリグリコール酸コポリマーと充填剤とを圧出、造粒することを含む。上記ポリグリコール酸コポリマーは一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含む。Aは
【0018】
【化2】
【0019】
またはその組み合わせであり、BはG-R1-Wであり、GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-、及び-NHからなる群より選ばれ、R1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせであり、R2はアルキル基、芳香族基、またはオレフィン基であり、xは1-1500の間にあり、yは1-1500の間にあり、nは1-10000の間にあり、CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、芳香族基、エーテル基、アルケニル基、ハロゲン化炭化水素基、及びその組み合わせからなる群より選ばれる末端基であり、かつ、AとBは違う構造をしている。従って、組成物を製造する。
【0020】
本発明の方法によれば、上記充填剤は、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク、炭酸カルシウム、ナノクレイ、ハイドロタルサイト、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン、二酸化チタン、シリカ、モンモリロナイト、鋼繊維、麻繊維、竹繊維、木質繊維、木粉、木片、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、黒鉛、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、セラミックウィスカー、無機塩ウィスカー、金属ウィスカー、及びその組み合わせからなる群より選ばれる無機充填剤であってもよい。上記充填剤は、セルロースウィスカー、ポリ(アクリル酸ブチル-スチレン)、ポリ(4-ヒドロキシベンジルエステル)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリ(p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)繊維、ポリアミド繊維、及びその組み合わせからなる群より選ばれる有機充填剤であってもいい。
【0021】
上記方法は、さらに、上記ポリグリコール酸と上記充填剤とを圧出、造粒する前に、上記ポリグリコール酸を圧出、造粒することを含んでもいい。
【0022】
上記方法は、さらに、上記ポリグリコール酸と上記充填剤とを圧出、造粒する前に、上記ポリグリコール酸と添加剤とを圧出、造粒することを含んでもいい。
【0023】
上記添加剤は、E、F、またはその組み合わせからなる群より選んでもいい。Eは一つ以上のi-R1-j単位であってもよく、iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、酸塩化物(acid chloride)基、オキサゾール基、オキサゾリン基、無水物(anhydride)、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせからなる群より選ばれ、R1は脂肪族基、芳香族基、またはその組み合わせである。Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせからなる群より選んでもいい。
【0024】
上記方法は、さらに、溶融状態下でのグリコリドを開環重合させることによって、上記ポリグリコール酸を形成することを含んでもいい。
本発明の方法によって製造される組成物。
【0025】
本発明における各組成物に対し、その組成物を製造する方法を提供する。上記組成物は、上記組成物の総重量に基づき、20-99.9wt%のポリグリコール酸コポリマーと、0.1-80wt%の充填剤とを含む。上記ポリグリコール酸コポリマーは、グリコール酸メチルから重縮合によって生産されるポリグリコール酸を用いて製造される。上記組成物の引張係数は5,800MPaを超える。上記方法は、ポリグリコール酸コポリマーと充填剤とを圧出、造粒することを含む。上記ポリグリコール酸コポリマーは一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含む。Aは
【0026】
【化3】
【0027】
またはその組み合わせであり、BはG-R1-Wであり、GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-、及び-NHからなる群より選ばれ、R1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせであり、R2はアルキル基、芳香族基、またはオレフィン基であり、xは1-1500の間にあり、yは1-1500の間にあり、nは1-10000の間にあり、CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、芳香族基、エーテル基、アルケニル基、ハロゲン化炭化水素基、及びその組み合わせからなる群より選ばれる末端基であり、かつ、AとBは違う構造をしている。従って、組成物を製造する。
【0028】
本発明の方法によれば、上記充填剤は、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク、炭酸カルシウム、ナノクレイ、ハイドロタルサイト、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン、二酸化チタン、シリカ、モンモリロナイト、鋼繊維、麻繊維、竹繊維、木質繊維、木粉、木片、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、黒鉛、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、セラミックウィスカー、無機塩ウィスカー、金属ウィスカー、及びその組み合わせからなる群より選ばれる無機充填剤であってもよい。上記充填剤は、セルロースウィスカー、ポリ(アクリル酸ブチル-スチレン)、ポリ(4-ヒドロキシベンジルエステル)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリ(p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)繊維、ポリアミド繊維、及びその組み合わせからなる群より選ばれる有機充填剤であってもいい。
【0029】
上記方法は、さらに、上記ポリグリコール酸と上記充填剤とを圧出、造粒する前に、上記ポリグリコール酸を圧出、造粒することを含んでもいい。
【0030】
上記方法は、さらに、上記ポリグリコール酸と上記充填剤とを圧出、造粒する前に、上記ポリグリコール酸と添加剤とを圧出、造粒することを含んでもいい。
【0031】
上記添加剤は、E、F、またはその組み合わせからなる群より選んでもいい。Eは一つ以上のi-R1-j単位であってもよく、iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、酸塩化物(acid chloride)基、オキサゾール基、オキサゾリン基、無水物(anhydride)、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせからなる群より選ばれ、R1は脂肪族基、芳香族基、またはその組み合わせである。Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせからなる群より選んでもいい。
【0032】
上記方法は、さらに、溶融状態下でのグリコリドを開環重合させることによって、上記ポリグリコール酸を形成することを含んでもいい。
本発明の方法によって製造される組成物。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、新規な硬質ポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマー組成物、及びその製造方法を提供する。驚くことに、本発明者は、ポリグリコール酸は、圧出によってポリグリコール酸組成物を製造する際に分解するが、圧出によってポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマー組成物を製造する際に、タルク、ガラス繊維、炭素繊維、およびアラミド繊維などの充填剤をポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマーに添加することで、ポリマーの溶融熱安定性、並びに/または、室温および高温における引張係数が向上することを見出した。上記製造方法は、グリコール酸メチルからポリグリコール酸への合成を除外することにより、その工程で形成される不純物や、触媒の使用による残余物を回避できる。そのため、得られる製品は、不純物が少なく、熱安定性がより高く、溶融熱安定性が優れている。また、ポリグリコール酸から製造されるポリグリコール酸コポリマーは、組成物中で金属不活性化剤や充填剤と組み合わせされたときに、優れた溶融熱安定性を保っている。本発明のポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマー組成物は、改善された熱安定性、加水分解安定性、及び機械的特性を有し、例えば、繊維、ダウンホールツール、包装、薄膜、医薬品担体、研磨剤、医療用インプラント、水中防汚材料などの様々な用途に適している。
【0034】
ここで、互換的に使用される用語「ポリグリコライド」、「ポリ(グリコール酸)(PGA)」、及び「ポリグリコール酸」とは、グリコール酸モノマーから構成される生分解性熱可塑性ポリマーである。ポリグリコール酸は、グリコール酸から重縮合反応により、またはグリコリドから開環重合反応によって製造できる。ポリグリコール酸に添加剤を添加することによって、所望な特性を得られる。
【0035】
用語「ポリグリコール酸コポリマー」とは、グリコリドまたはグリコール酸モノマー及び異なるポリマーのモノマーから誘導されるポリマーである。例えば、ポリグリコール酸コポリマーは、ポリグリコール酸とADR4368(市販のBASFスチレンアクリルエポキシ樹脂)から圧出によって製造できる。
【0036】
ここで使用される用語「充填剤」とは、ポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマーを含む組成物中の空間に充填される化合物である。
【0037】
組成物を提供する。上記組成物は、(a)ポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマーと、(b)無機または有機充填剤とを含む。上記ポリグリコール酸は、グリコール酸メチルから重縮合によって製造される。上記組成物の引張係数は、約5,000、5,500、5,600、5,700、5,800、5,900、または6,000MPaを超えてもいい。
【0038】
上記組成物は、上記組成物の総重量に基づき、約20-99.9wt%、20-99wt%、30-95wt%、40-90wt%、50-80wt%、または60-70wt%の上記ポリグリコール酸または上記ポリグリコール酸コポリマーを含んでもいい。
【0039】
上記組成物は、上記組成物の総重量に基づき、約0.1-80wt%、1-70wt%、5-60wt%、10-50wt%、または20-40wt%の上記充填剤を含んでもいい。上記充填剤は無機物であってもいい。上記充填剤は有機物であってもいい。上記無機充填剤は、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク、炭酸カルシウム、ナノクレイ、ハイドロタルサイト、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン、二酸化チタン、シリカ、モンモリロナイト、鋼繊維、麻繊維、竹繊維、木質繊維、木粉、木片、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、黒鉛、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、セラミックウィスカー、無機塩ウィスカー、金属ウィスカー、及びその組み合わせからなる群より選んでもいい。上記有機充填剤は、セルロースウィスカー、ポリ(アクリル酸ブチル-スチレン)、ポリ(4-ヒドロキシベンジルエステル)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、一つ以上のポリ(p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)繊維、ポリアミド繊維、及びその組み合わせからなる群より選んでもいい。
【0040】
上記組成物は、さらに、一つ以上のi-R1-j単位を含んでもいい。iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、酸塩化物(acid chloride)基、オキサゾール基、オキサゾリン基、無水物(anhydride)、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせからなる群より選ばれる。R1は脂肪族基、芳香族基、またはその組み合わせであってもいい。
【0041】
上記組成物は、さらに、抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせからなる群より選んだ剤を含んでもいい。
【0042】
上記ポリグリコール酸コポリマーは、一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含んでもいい。Aは
【0043】
【化4】
【0044】
及びその組み合わせからなる群より選ばれる。BはG-R1-Wであり、GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-および-NHからなる群より選ばれ、R1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせであり、R2はアルキル基、芳香族基、またはオレフィン基である。xは1-1500の間にある。yは1-1500の間にある。
nは1-10000の間にある。CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、芳香族基、エーテル基、アルケニル基、ハロゲン化炭化水素基、及びその組み合わせから選ばれる末端基である。AとBは違う構造をしている。
【0045】
上記コポリマーは、さらに、Eを含んでもいい。Eは一つ以上のi-R1-j単位であってもいい。iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、酸塩化物(acid chloride)基、オキサゾール基、オキサゾリン基、無水物(anhydride)、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせから選ばれる。R1は脂肪族基、芳香族基、またはその組み合わせであってもいい。
【0046】
上記コポリマーは、さらに、Fを含んでもいい。Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせからなる群より選んでもいい。
【0047】
抗酸化剤は、BASF Irganox 168、101、245、1024、1076、1098、3114、MD 1024、1025;ADEKA AO-60、80;STAB PEP-36、8T;Albemarle AT-10、245、330、626、702、733、816、1135;及びその組み合わせからなる群より選んでもいい。
【0048】
金属不活性化剤は、BASF Chel-180;Eastman OABH;Naugard XL-1;MD24;ADEKA STAB CDA-1、6;シュウ酸誘導体;
ヒドラジン;サリチル酸誘導体;ベンゾトリアゾール;グアニジン化合物;及びその組み合わせからなる群より選んでもいい。
【0049】
上記組成物中のポリグリコール酸は、グリコール酸メチルの直接重合によって製造されてもいい。例えば、グリコール酸メチルは、120-200℃で、エステル化反応器の中でエステル化触媒と0.5-4時間反応してもいい。上記エステル化触媒の量は、グリコール酸メチルの重量の約0-0.01部であってもいい。そして、エステル化反応器中の材料を重縮合反応器に移して、重縮合を行ってもいい。反応器に重縮合触媒を入れることで、反応を触媒してもいい。重縮合触媒は、希土類触媒であってもいい。上記重縮合触媒の量は、グリコール酸メチルの重量に対し、10-7-10-4部であってもいい。上記重縮合反応は、約1000Pa以下の絶対圧力及び約190-240℃で約2-10時間行ってもいい。重縮合反応器中の材料を脱揮反応器に移し、1000Pa以下の絶対圧力及び約200-250℃で約10分間-2時間反応させてもいい。
【0050】
上記エステル化触媒は、スズ塩、亜鉛塩、チタン塩、スルホニウム塩、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スルホニウム、またはその組み合わせを含んでもいい。
【0051】
上記重縮合触媒は、希土類元素の酸化物、化合物または錯体、またはその組成物を含んでもいい。上記希土類元素は、セリウム(Ce)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ホルミウム(Ho)、ランタン(La)、ルテチウム(Lu)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、スカンジウム(Sc)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、およびイットリウム(Y)からなる群より選んでもいい。
【0052】
上記組成物中のポリグリコール酸は、グリコール酸メチルの直接重合によってポリグリコール酸を製造すること、及びポリグリコール酸、E及びFを粒子になるよう圧出すること、を含む方法によって製造されてもいい。上記方法は、さらに、ポリグリコール酸をEとFが添加されている圧出機に供給することを含んでもいい。
【0053】
本発明のコポリマーは、コポリマーの総重量に基づき、EとFの組み合わせを約0.01-5wt%、好ましくは約0.01-3wt%、より好ましくは約0.01-1wt%含んでもいい。
【0054】
上記ポリグリコール酸または上記ポリグリコール酸コポリマーは、10,000-1,000,000の重量平均分子量を有してもいい。上記ポリグリコール酸または上記ポリグリコール酸コポリマーの重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.0-4.0であってもよく、好ましくは1.1-3.0であり、より好ましくは1.2-2.5である。
【0055】
上記コポリマーは、約0.1-1000g/10min、好ましくは約0.15-500g/10min、より好ましくは約0.2-100g/10minのメルトフローインデックス(MFR)を有してもいい。コポリマーのMFRは、MFR法によって測定できる。上記MFR法は、約100-110℃(例えば約105℃)の真空下でコポリマーを乾燥すること、乾燥コポリマーをロッドになるよう圧着すること、220-240℃(例えば約230℃)の温度でロッドを0.5-1.5分間(例えば約1.0分間)保持すること、15-45秒ごとに(例えば約30秒ごとに)ロッドから一つの段を切り落とすこと、MFR=600W/t(g/10min)により各段のMFRを確定すること、を含む。Wは各段の平均質量である。tは各段の切断時間間隔である。約3-5g(例えば4g)の乾燥コポリマーをバレルに装填してもよく、ピストンをバレルに挿入することで、乾燥コポリマーをロッドになるよう圧着してもよく、2-3kg(例えば2.16kg)の重りをピストンの最上部に置いてもいい。
【0056】
熱可塑性ポリマーに対し、以下の試験にて測定を行う:1)105℃で、ポリマーを真空乾燥機の中で乾燥させる、2)試験機械を230℃まで改めて加熱する、3)4gの乾燥ポリマーサンプルを漏斗でバレルに装填し、ピストンをバレルに挿入することで、バレルの中で乾燥ポリマーサンプルを圧密する、4)230℃のバレルの中で、圧密された乾燥ポリマーサンプルを1分間保持する、5)ピストンの最上部に2.16kgの重りを設け、サンプルをバレルに対して圧し通す、6)30秒ごとに、圧着されたサンプルを一段切り落とし、合計五つの段を得る、及び7)各段の質量を量り、10分間あたりの段の平均質量の600倍をポリマーのMFRとして算出する(すなわち、MFR=600W/t(g/10min)、Wは各段ポリマーの平均質量であり、tは切断時間間隔である)。
【0057】
上記組成物中のポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマーは、上記ポリグリコール酸コポリマーと上記充填剤とを粒子になるよう圧出すること、を含む方法によって製造されてもいい。上記粒子は、上記粒子の総重量に基づき、0.1-80wt%、好ましくは0.1-50wt%、より好ましくは0.1-30wt%の充填剤を含んでもいい。上記組成物中のポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマーのメルトフローレート(MFR)は、0.1-1000g/10min、好ましくは0.15-500g/10min、より好ましくは0.2-100g/10minであってもいい。
【0058】
本発明における各組成物に対し、その組成物を製造する方法を提供する。上記組成物は、上記組成物の総重量に基づき、20-99.9wt%のポリグリコール酸コポリマーと、0.1-80wt%の充填剤とを含む。上記ポリグリコール酸コポリマーは、グリコール酸メチルから重縮合によって生産されるポリグリコール酸を用いて製造される。上記組成物の引張係数は5,800MPaを超える。上記方法は、ポリグリコール酸コポリマーと充填剤とを圧出、造粒することを含む。上記ポリグリコール酸コポリマーは一つ以上のC-(Ax-Byn-D繰り返し単位を含む。Aは
【0059】
【化5】
【0060】
またはその組み合わせであり、BはG-R1-Wであり、GとWはそれぞれ-CO-NH-、-CO-R2-CO-OH、-CO-、-(CH22NH-CO-、-CH2-CH(OH)-CH2-、及び-NHからなる群より選ばれ、R1は脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、またはその組み合わせであり、R2はアルキル基、芳香族基、またはオレフィン基であり、xは1-1500の間にあり、yは1-1500の間にあり、nは1-10000の間にあり、CとDはそれぞれヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、芳香族基、エーテル基、アルケニル基、ハロゲン化炭化水素基、及びその組み合わせからなる群より選ばれる末端基であり、かつ、AとBは違う構造をしている。従って、組成物を製造する。
【0061】
本発明の方法によれば、上記充填剤は、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク、炭酸カルシウム、ナノクレイ、ハイドロタルサイト、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン、二酸化チタン、シリカ、モンモリロナイト、鋼繊維、麻繊維、竹繊維、木質繊維、木粉、木片、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、黒鉛、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、セラミックウィスカー、無機塩ウィスカー、金属ウィスカー、及びその組み合わせからなる群より選ばれる無機充填剤であってもよい。上記充填剤は、セルロースウィスカー、ポリ(アクリル酸ブチル-スチレン)、ポリ(4-ヒドロキシベンジルエステル)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリ(p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)繊維、ポリアミド繊維、及びその組み合わせからなる群より選ばれる有機充填剤であってもいい。
【0062】
上記方法は、さらに、上記ポリグリコール酸と上記充填剤とを圧出、造粒する前に、上記ポリグリコール酸を圧出、造粒することを含んでもいい。
【0063】
上記方法は、さらに、上記ポリグリコール酸と上記充填剤とを圧出、造粒する前に、上記ポリグリコール酸と添加剤とを圧出、造粒することを含んでもいい。
【0064】
上記添加剤は、E、F、またはその組み合わせからなる群より選んでもいい。Eは一つ以上のi-R1-j単位であってもよく、iとjはそれぞれイソシアネート基(-N=C=O)、酸塩化物(acid chloride)基、オキサゾール基、オキサゾリン基、無水物(anhydride)、エポキシ基、アミノ基、及びその組み合わせからなる群より選ばれ、R1は脂肪族基、芳香族基、またはその組み合わせである。Fは抗酸化剤、金属不活性化剤、末端封止剤、核生成剤、除酸剤、熱安定剤、UV安定剤、潤滑可塑剤、架橋剤、及びその組み合わせからなる群より選んでもいい。
【0065】
本発明の方法によって製造される組成物。
ここで、数量、パーセントなどの測定可能な値に関する場合、規定値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらに好ましくは±1%、最も好ましくは±0.1%の変化は合理的であるため、使用される用語「約」とは、このような変化が含まれることを意味する。
【実施例0066】
実施例1.ポリマーの製造方法
1.ポリグリコライドA
ポリグリコライドAは、グリコリドから開環重合によって製造される。
【0067】
120℃で、グリコリドと、グリコリドに対し0.01重量部の開環重合触媒である二塩化スズ二水和物とを予備タンク反応器の中で60分間均一に混合した。
【0068】
そして、予備タンク反応器中の材料を重合反応器に導入し、200℃で、かつ絶対圧力が0.1MPaで、300分間反応させた。上記重合反応器はプラグフロー反応器であり、それは静止型混合器、二軸スクリュー装置、または水平型ディスクリアクターであってもいい。
【0069】
そして、200RPMの混合速度において、220℃で、かつ絶対圧力が50Paで、重合反応器中の材料を最適化反応器に導入した。反応時間は30分間であった。結果としては、ポリグリコール酸が製造された。
【0070】
2.ポリ(グリコール酸)MG
ポリ(グリコール酸)MGは、ポリグリコール酸から重縮合によって製造される。
グリコール酸メチルと、グリコール酸メチルの重量に対し、0.01wt%のエステル化触媒である塩化第一スズ二水和物とを、エステル化反応器の中で、30rpm、0.1MPa(ゲージ圧)、及び180℃の条件下で90分間混合した。
【0071】
そして、エステル化反応器中の材料を重縮合反応器に移し、80 rpm、100Paの絶対圧力、215℃の条件下で、グリコール酸メチルの重量に対して5×10-5部の希土類重縮合触媒と240分間反応させた。
【0072】
重縮合反応器中の材料を最適化反応器に移し、225℃、50kPaの絶対圧力の条件下で、45分間反応させた。
【0073】
実施例2.特性評価
1.重量平均分子量及びその分布
5mmol/Lトリフルオロ酢酸ナトリウムのヘキサフルオロイソプロパノール溶液中にサンプルを溶かし、0.05-0.3wt%(質量分率)の溶液を作製した。そして、0.4μmの孔径を有するポリテトラフルオロエチレンフィルターで、この溶液をろ過した。ろ過後の溶液20μLをゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)インジェクターに添加し、サンプルの分子量を測定した。分子量の補正には、分子量の異なる5つのメタクリル酸メチルの標準分子量を用いた。
【0074】
2.引張強度の測定
引張強度はGB/T1040 1-2006に基づいて測定し、引張速度は50mm/minであった。
【0075】
3.メルトフローレート(MFR)の測定
以下の測定で、熱可塑性ポリマーのメルトフローレート(MFR)(もしくはメルトフローインデックス(MFI))を測定した:1)105℃で、ポリマーを真空乾燥機の中で乾燥させる、2)試験機械を230℃まで改めて加熱する、3)4gの乾燥ポリマーサンプルを漏斗でバレルに装填し、ピストンをバレルに挿入することで、バレルの中で乾燥ポリマーサンプルを圧密する、4)230℃のバレルの中で、圧密された乾燥ポリマーサンプルを1分間保持する、5)ピストンの最上部に2.16kgの重りを設け、サンプルをバレルに対して圧し通す、6)30秒ごとに、圧着されたサンプルを一段切り落とし、合計五つの段を得る、及び7)各段の質量を量り、10分間あたりの段の平均質量の600倍をポリマーのMFRとして算出する(すなわち、MFR=600W/t(g/10min)、Wは各段ポリマーの平均質量であり、tは切断時間間隔である)。
【0076】
実施例3.PGAとPGAコポリマーサンプル
実施例1のポリグリコライドAまたはポリ(グリコール酸)MGと、抗酸化剤Irganox 168、金属不活性化剤Naugard XL-1及び/または構成調整剤ADR4368などの一つ以上の添加剤を用いて、五つのサンプルを作った:PGA 1、PGA 2、PGA 3、PGAコポリマー1、及びPGAコポリマー2。ポリグリコライドAまたはポリ(グリコール酸)MGは、添加剤と共に二軸スクリュー圧出機に入れ、そして250℃の圧出温度で圧出し、粒子に造粒した。粒子は、120℃で4時間乾燥し、そして射出成形機を使用し、250℃の射出温度及び100℃の成形温度で、測定用のストリップ状サンプルに成形した。これら五つのサンプルの組成及び測定結果は表1に示される。
【0077】
【表1】
【0078】
一般的に、ポリグリコール酸は、圧出で処理された後でも分解する。圧出造粒後の粒子のMFRは、ポリマーの溶融熱安定性を反映する。造粒後の粒子のMFRが高いほど、ポリマーの溶融熱安定性が悪い。PGA 1との比較から、後者のサンプルに、より純度の高いポリ(ポリグリコール酸)MGの使用及び/または金属不活性化剤Naugard XL-1または構成調整剤ADR4368の添加は、MFR値を低減させ、溶融熱安定性が向上していることがわかった。
【0079】
実施例4.PGAまたはPGAコポリマー組成物
量の異なる実施例3のPGAまたはPGAコポリマーと、ガラス繊維、炭素繊維、及びアラミド繊維(TWARON繊維)などの量の異なる無機充填剤とを含む15種の組成物。これらの成分を二軸スクリュー圧出機に入れ、そして250℃の圧出温度で圧出し、粒子に造粒した。粒子は、120℃で4時間乾燥し、そして射出成形機を使用し、250℃の射出温度及び100℃の成形温度で、測定用のストリップ状サンプルに成形した。これらの組成物の組成及び測定結果は表2に示される。
【0080】
一般的に、ポリグリコール酸は、二回目の圧出工程において、必然的にある程度分解する。圧出機を用いて処理された後、組成物1-5のMFRが増加した。
【0081】
組成物1と2との比較、及び組成物4と5との比較から、新しい方法で生産されるポリグリコール酸またはポリグリコール酸コポリマー組成物は、溶融熱安定性が改善されていることがわかった。組成物3、4と組成物2との比較から、金属不活性化剤とADR4368を用いて生産されたコポリマーは、より高い溶融熱安定性を示していることがわかった。
【0082】
組成物6-9に示されるように、30wt%のガラス繊維を含むPGAコポリマー組成物は、PGA組成物よりも優れた溶融熱安定性と機械的特性を有している。新しい方法により、ポリ(グリコール酸)から製造されたPGAコポリマーに金属不活性化剤を添加した後、30wt%のガラス繊維を含むPGAコポリマーは、最も優れた溶融熱安定性と機械的特性を現している。組成物10、11では、10wt%のガラス繊維を含む組成物についても同様である。
【0083】
同様に、組成物12-15に示されるように、ガラス繊維以外に、新しい方法により得られるポリ(グリコール酸)を使用すれば、炭素繊維またはTwaron繊維を含むPGA組成物は、依然としてより優れた溶融熱安定性と機械的性能を有する。
【0084】
無機充填剤の添加はポリグリコール酸を分解させる。組成物2と5、及び組成物7と9の比較から、Naugard XL-1とADR4368とを含むPGAまたはPGAコポリマー組成物は、より低いMFRを有し、材料の溶融熱安定性が向上し、分解が減少していることがわかった。また、23℃及び150℃での引張係数が著しく増加していることから、PGAコポリマーの製造方法は、溶融熱安定性と機械的特性の向上に重要な役割を果たしていることがわかった。
【0085】
【表2-1】
【0086】
【表2-2】
【手続補正書】
【提出日】2023-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の製造方法であって、前記組成物は、前記組成物の総重量に基づき、20-99.9wt%のリグリコール酸コポリマーと、0.1-80wt%の充填剤とを含み、前記ポリグリコール酸コポリマーはグリコール酸メチルから重縮合によって生産されるポリグリコール酸を用いて製造され
前記方法は、ポリグリコール酸コポリマーと充填剤とを圧出、造粒することを含み、且つ、
前記ポリグリコール酸コポリマーと前記充填剤とを圧出、造粒する前に、ポリグリコール酸と添加剤とを圧出、造粒して前記ポリグリコール酸コポリマーを得ることを含み、
前記添加剤は、抗酸化剤、金属不活性化剤、および、スチレンアクリルエポキシ樹脂であるADR4368の組み合わせであり、
前記抗酸化剤、前記金属不活性化剤、および、前記スチレンアクリルエポキシ樹脂であるADR4368の量は、前記ポリグリコール酸と前記添加剤との合計の重量に対してそれぞれ0.06wt%、0.06wt%、および、0.1wt%であり、
従って前記組成物を製造する、組成物の製造方法。
【請求項2】
前記充填剤は、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク、炭酸カルシウム、ナノクレイ、ハイドロタルサイト、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン、二酸化チタン、シリカ、モンモリロナイト、鋼繊維、麻繊維、竹繊維、木質繊維、木粉、木片、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、黒鉛、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、セラミックウィスカー、無機塩ウィスカー、金属ウィスカー、及びその組み合わせからなる群より選ばれる無機充填剤であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記充填剤は、セルロースウィスカー、ポリ(アクリル酸ブチル-スチレン)、ポリ(4-ヒドロキシベンジルエステル)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリ(p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)繊維、ポリアミド繊維、及びその組み合わせからなる群より選ばれる有機充填剤であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、さらに、グリコール酸メチルの重縮合によって前記ポリグリコール酸を形成することを含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリグリコール酸コポリマーの重量平均分子量は10,000-1,000,000であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリグリコール酸コポリマーの重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.0-4.0であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリグリコール酸コポリマーのメルトフローレート(MFR)は0.1-1000g/10minであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。