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特開2023-123841通信制御装置、通信システム、及び通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123841
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信システム、及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/22 20090101AFI20230829BHJP
   H04W 16/18 20090101ALI20230829BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20230829BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20230829BHJP
   H04W 84/12 20090101ALN20230829BHJP
【FI】
H04W52/22
H04W16/18 110
H04W24/10
H04W64/00
H04W84/12
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111850
(22)【出願日】2023-07-07
(62)【分割の表示】P 2021043618の分割
【原出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真浩
(57)【要約】
【課題】無線通信ネットワークが構築される空間の外部の要因が関与する電波干渉や無断接続を抑制する。
【解決手段】 通信制御装置2Aが、無線通信を行う無線通信部210Aと、無線通信部が電波を出力する対象空間に関する空間情報に基づいて、無線通信部が出力する電波の方向及び強度を制御する出力制御処理を行う通信制御部220Aと、を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間を移動して位置情報を測定する位置測定装置との間で無線通信を行う無線通信部と、
前記位置測定装置の位置情報と当該位置情報に対応する位置での前記無線通信の電波強度の測定値から得られる空間情報であって、前記無線通信部から前記位置への方向に前記無線通信部から前記位置までの距離までの無線通信に用いられる電波強度を前記測定値にすることにより、前記無線通信部と前記位置に存在する無線通信端末との間での無線通信が可能であることを示す前記空間情報を取得する空間情報取得部と、
前記空間情報に基づいて、前記無線通信部が前記無線通信端末との無線通信において出力する電波の方向及び強度を制御する出力制御処理を行う通信制御部と、を備える、
通信制御装置。
【請求項2】
前記通信制御部は、
前記空間情報に基づいて、前記無線通信部が受信する電波の方向及び強度を制御する受信制御処理を行う、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記無線通信部は、複数の無線アクセスネットワークを介して無線通信を行い、
前記複数の無線アクセスネットワークは、第1ネットワーク識別子によって識別される第1無線ネットワークと、前記第1ネットワーク識別子とは異なる第2ネットワーク識別子によって識別される第2無線ネットワークとを含み、
前記通信制御部は、前記出力制御処理において、
前記無線通信部が出力する電波の方向を、前記第1無線ネットワークにおいては第1方向にし、前記第2無線ネットワークにおいては前記第1方向とは異なる第2方向にする、
請求項1又は2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、
前記出力制御処理において、前記無線通信部がマネジメントフレームを出力する方向及び強度を制御する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記無線通信部は、前記位置測定装置から前記空間情報を受信し、
前記空間情報取得部は、前記無線通信部から前記空間情報を取得する、請求項1から4のうちいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の通信制御装置と、
前記位置測定装置と、を備える、
通信システム。
【請求項7】
前記位置測定装置は、前記対象空間を移動した履歴に基づいて前記空間情報を生成する空間情報生成部と、
前記空間情報を前記通信制御装置に送信する空間情報送信部を備える、
請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
無線通信部を用いて、対象空間を移動して位置情報を測定する位置測定装置との間で無線通信を行うことと、
前記位置測定装置の位置情報と当該位置情報に対応する位置での前記無線通信の電波強度の測定値から得られる空間情報であって、前記無線通信部から前記位置への方向に前記無線通信部から前記位置までの距離までの無線通信に用いられる電波強度を前記測定値にすることにより、前記無線通信部と前記位置に存在する無線通信端末との間での無線通信が可能であることを示す前記空間情報を取得することと、
前記空間情報に基づいて、前記無線通信部が前記無線通信端末との無線通信において出力する電波の方向及び強度を制御する出力制御処理を行うこと、を含む、
通信制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、通信システム、及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信技術の発展に伴い、自宅やオフィス、店舗等の建物内における無線LAN環境の整備が進められている。例えば、特許文献1には、無線LANのアクセスポイントとクライアントとの配置を設計する技術が開示されている。特許文献1では、アクセスポイントとクライアントとの配置に基づいてアクセスポイントからの電波強度を計算する。このようにすることにより、電波強度が所定の強度に満たない領域や、電波が干渉する領域のシミュレーションを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-304255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物内において無線LAN環境を構築した場合、建物の外部にまで電波が送信されることにより、建物の外部からの無線LANへの無断接続や、隣の建物の無線LANとの電波干渉が生じるといった問題がある。このような問題に対して、特許文献1は、アクセスポイントとクライアントとの配置に基づいて電波状況をシミュレーションする技術であるため、建物の外部の要因が関与する問題を解決することができない。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、無線通信ネットワークが構築される空間の外部の要因が関与する電波干渉や無断接続を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通信制御装置は、無線通信を行う無線通信部と、前記無線通信部が電波を出力する対象空間に関する空間情報に基づいて、前記無線通信部が出力する電波の方向及び強度を制御する出力制御処理を行う通信制御部と、を備える。
【0007】
本発明の通信システムは、無線通信を行う無線通信部と、前記無線通信部が電波を出力する対象空間に関する空間情報に基づいて、前記無線通信部が出力する電波の方向及び強度を制御する出力制御処理を行う通信制御部と、を備える通信制御装置と、前記通信制御装置と無線通信可能な情報処理装置と、を備える。
【0008】
本発明の通信制御方法は、無線通信を行う無線通信部が電波を出力する対象空間に関する空間情報に基づいて、前記無線通信部が出力する電波の方向及び強度を制御する出力制御処理を行うこと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無線通信ネットワークが構築される空間の外部の要因が関与する電波干渉や無断接続を抑制することができる。なお、本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果とともに、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る通信システムの運用形態を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るアクセスポイントのハードウェア構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るアクセスポイントの機能構成を示す機能ブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る間取測定装置のハードウェア構成を示す機能ブロック図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る間取測定装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る間取測定装置における測定処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、第1の実施形態に係るアクセスポイントにおける出力制御処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、第1の実施形態に係るアクセスポイントが設置されている居住空間を間取測定装置が移動する様子を例示した図である。
図9図9は、第1の実施形態に係るアクセスポイントが間取測定装置から受信した情報を例示した図である。
図10図10は、第1の実施形態に係る居住空間に対してアクセスポイントから出力される電波の様子を例示した図である。
図11図11は、参考例に係る建物の外部に無線LANが及ぼす影響を説明する説明図である。
図12図12は、第2の実施形態に係る居住空間における無線通信端末の設置状況を例示した図である。
図13図13は、第2の実施形態に係るアクセスポイントが無線通信端末から受信した情報を例示した図である。
図14図14は、第2の実施形態に係る受信制御処理の流れを示すフローチャートである。
図15図15は、第3の実施形態に係る通信制御装置の概略的な構成を例示するブロック図である。
図16図16は、第3の実施形態に係る通信システムの概略的な構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の又は対応する符号を付することにより重複した説明が省略され得る。
【0012】
以下に説明される各実施形態は、本発明を実現可能な構成の一例に過ぎない。以下の各実施形態は、本発明が適用される装置の構成や各種の条件に応じて適宜に修正又は変更することが可能である。以下の各実施形態に含まれる要素の組合せの全てが本発明を実現するに必須であるとは限られず、要素の一部を適宜に省略することが可能である。したがって、本発明の範囲は、以下の各実施形態に記載される構成によって限定されるものではない。相互に矛盾のない限りにおいて、実施形態内に記載された複数の構成を組み合わせた構成も採用可能である。
【0013】
説明は、以下の順序で行われる。
1.本発明の実施形態の概要
2.第1の実施形態
2.1.通信システムの運用形態
2.2.通信制御装置の構成
2.3.間取測定装置の構成
2.4.通信システムにおける処理の流れ
2.4.1.測定処理の流れ
2.4.2.出力制御処理の流れ
3.第2の実施形態
3.1.対象空間における無線通信端末との通信状況
3.2.受信制御処理の流れ
4.第3の実施形態
5.その他の実施形態
【0014】
<1.本発明の実施形態の概要>
まず、本発明の実施形態の概要を説明する。
【0015】
(1)技術的課題
近年、無線通信技術の発展に伴い、自宅やオフィス、店舗等の建物内における無線LAN環境の整備が進められている。例えば、無線LANのアクセスポイントとクライアントとの配置を設計する技術が開示されている。この技術では、アクセスポイントとクライアントとの配置に基づいてアクセスポイントからの電波強度を計算する。このようにすることにより、電波強度が所定の強度に満たない領域や、電波が干渉する領域のシミュレーションを行うことができる。
【0016】
ところで、建物内において無線LAN環境を構築した場合、建物の外部にまで電波が送信されることにより、建物の外部からの無線LANへの無断接続や、隣の建物の無線LANとの電波干渉が生じるといった問題がある。このような問題に対して、上記の技術は、アクセスポイントとクライアントとの配置に基づいて電波状況をシミュレーションする技術であるため、建物の外部の要因が関与する問題を解決することができない。
【0017】
以上の事情に鑑み、無線通信ネットワークが構築される空間の外部の要因が関与する電波干渉や無断接続を抑制することを目的とする。
【0018】
(2)技術的特徴
本発明の実施形態では、例えば、通信制御装置が、無線通信を行う無線通信部と、無線通信部が電波を出力する対象空間に関する空間情報に基づいて、無線通信部が出力する電波の方向及び強度を制御する出力制御処理を行う通信制御部と、を備える。
【0019】
これにより、無線通信ネットワークが構築される空間の外部の要因が関与する電波干渉や無断接続を抑制することが可能となる。なお、上述した技術的特徴は本発明の実施形態の具体的な一例であり、当然ながら、本発明の実施形態は上述した技術的特徴に限定されない。
【0020】
<2.第1の実施形態>
<2.1.通信システムの運用形態>
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る通信システム1000の運用形態について説明する。図1は、通信システム1000の運用形態を示す図である。通信システム1000は、アクセスポイント2と、間取測定装置3とを含む。
【0021】
アクセスポイント2は、有線通信によってネットワーク6(図1では図示しない)に接続されており、自宅やオフィス、店舗等の建物内に設けられている。また、アクセスポイント2は、ネットワーク6を介して送受信する信号を変換して、インターネットへの接続及び建物の内部空間において無線LAN環境を実現する要素である。本実施形態のアクセスポイント2は、通信制御装置の一例である。アクセスポイント2として、例えば、ホームゲートウェイ等を用いてもよい。
【0022】
間取測定装置3は、アクセスポイント2が設定される建物の内部空間の形状や内部空間における自身の位置、アクセスポイント2との間の距離等を測定可能である。間取測定装置3として、例えば、建物の内部空間を自律移動可能な掃除ロボット等を用いてもよい。間取測定装置3は、アクセスポイント2によって実現される無線LANを介してアクセスポイント2と通信する。間取測定装置3は、アクセスポイント2と無線通信を行う情報処理装置の一例である。
【0023】
<2.2.通信制御装置の構成>
続いて、図2及び図3を参照して、アクセスポイント2の構成について説明する。図2は、アクセスポイント2のハードウェア構成を示す機能ブロック図である。図3は、アクセスポイント2の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0024】
図2に示すように、アクセスポイント2は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、記憶媒体14、及びインタフェース(I/F)15がバス16を介して相互に接続されている。また、I/F15には、アンテナ部17と、ネットワーク6とが接続されている。なお、図2に示す以外に、アクセスポイント2が入力装置や表示装置を含んでいてもよい。
【0025】
CPU11は、演算手段であり、アクセスポイント2全体の動作を制御する。RAM13は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU11が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。記憶媒体14は、HDD(Hard Disk Drive)等の情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OSや各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
【0026】
I/F15は、バス16と各種のハードウェア、アンテナ部17やネットワーク6等とを接続し制御する。ネットワーク6は、光通信回線や電話回線等の広域回線を介して接続可能な通信ネットワーク(例えば、TCP/IPプロトコルによって通信するインターネット)である。アンテナ部17は、無線電波の送信機能と受信機能を備えるトランシーバ回路を有し、無線通信端末(例えば、間取測定装置3)との間で電波を送受信する。
【0027】
このようなハードウェア構成において、ROM12に格納されたプログラムや、記憶媒体14からRAM13にロードされたプログラムに従ってCPU11が演算を行うことにより、アクセスポイント2のソフトウェア制御部が構成される。そして、以上のようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、コントローラ200(図3参照)の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0028】
続いて、図3を参照して、アクセスポイント2の機能構成について説明する。図3に示すように、アクセスポイント2は、アクセスポイント2における情報の送受信を制御するコントローラ200を備える。
【0029】
コントローラ200は、無線通信部210、通信制御部220、及び記憶部230を有する。無線通信部210は、アンテナ部17を介して電波を出力する電波出力部211と、アンテナ部17を介して電波を受信する電波受信部212とを有し、無線通信可能な情報処理装置(例えば、間取測定装置3)との間で無線通信を行う。
【0030】
通信制御部220は、無線通信部210が送受信する電波を制御する。具体的に、通信制御部220は、無線通信部210が送受信する電波強度を制御する電波強度制御部221と、無線通信部210が送受信する電波の角度を制御する角度制御部222と、無線通信部210が電波を出力する対象空間に関する空間情報を生成する空間情報生成部223と、を有する。通信制御部220は、無線通信部210が出力する電波の方向及び強度を制御する出力制御処理を行う。なお、通信制御部220は、無線通信部210が受信する電波の方向及び強度を制御する受信制御処理を行うようにしてもよい。
【0031】
空間情報生成部223は、例えば、間取測定装置3から受信した位置情報に基づいて間取測定装置3が移動した移動面積を算出する。続いて、空間情報生成部223は、算出した間取測定装置3の移動面積と所定の高さとの積を空間情報として生成する。また、これ以外に、空間情報生成部223は、間取測定装置3から受信した位置情報と、間取測定装置3以外の無線通信端末から受信した位置情報とに基づいて空間情報を生成する。この場合、空間情報生成部223は、空間情報として、間取測定装置3及び間取測定装置3以外の無線通信端末の設置場所を結んだ内部空間の容積を含む情報を生成する。
【0032】
記憶部230は、アクセスポイント2が電波を発信することにより実現される無線LANを識別するSSID(Service Set IDentifier)231と、SSID232と、を記憶する。SSID231、232は、アクセスポイント2によって実現される無線LANを識別するネットワーク識別子である。なお、記憶部230は、SSID231、232以外のSSIDを記憶してもよい。
【0033】
<2.3.間取測定装置の構成>
続いて、図4及び図5を参照して、間取測定装置3の構成について説明する。図4は、間取測定装置3のハードウェア構成を示す機能ブロック図である。図5は、間取測定装置3の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0034】
図4に示すように、間取測定装置3は、CPU31、ROM32、RAM33、記憶媒体34、及びI/F35がバス36を介して相互に接続されている。また、I/F35には、アンテナ部39と、移動機構40とが接続されている。なお、図4に示す以外に、間取測定装置3が入力装置や表示装置を含んでいてもよい。
【0035】
CPU31は、演算手段であり、間取測定装置3全体の動作を制御する。RAM33は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU31が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM32は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。記憶媒体34は、HDD等の情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OSや各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
【0036】
I/F35は、バス36と各種のハードウェア、アンテナ部39や移動機構40等とを接続し制御する。アンテナ部39は、無線電波の送信機能と受信機能を備えるトランシーバ回路を有し、アクセスポイント2や、間取測定装置3以外の情報処理装置との間で電波を送受信する。移動機構40は、モータ等の動力源を有し、間取測定装置3が自律移動するための機構に相当する。移動機構40としては、例えば、建物内の床面を移動するためのモータ機構や、建物内の空間を飛行するロータ機構等を用いることができる。
【0037】
このようなハードウェア構成において、ROM32に格納されたプログラムや、記憶媒体34からRAM33にロードされたプログラムに従ってCPU31が演算を行うことにより、間取測定装置3のソフトウェア制御部が構成される。そして、以上のようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、コントローラ300(図5参照)の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0038】
続いて、図5を参照して、間取測定装置3の機能構成について説明する。図5に示すように、間取測定装置3は、間取測定装置3の動作を制御するコントローラ200を備える。
【0039】
コントローラ300は、無線通信部310、位置情報生成部320、移動制御部330、空間情報生成部340、及び記憶部350を有する。無線通信部310は、アンテナ部39を介して電波を送受信し、無線通信端末(例えば、アクセスポイント2)との間で無線通信を行う。
【0040】
位置情報生成部320は、間取測定装置3本体の位置に関する位置情報を生成する。具体的に、位置情報生成部320は、移動機構40に含まれるモータやロータの回転数に基づいて間取測定装置3本体の移動距離を算出し、移動距離に基づいて間取測定装置3本体の位置に関する位置情報を生成する。また、これ以外に、位置情報生成部320は、通信中の他の無線通信端末(例えば、アクセスポイント2)との通信速度に基づいて間取測定装置3本体の位置に関する位置情報を生成する。位置情報生成部320は、アクセスポイント2に対する間取測定装置3本体の位置、又は建物内における間取測定装置3本体の位置を位置情報として生成してもよい。
【0041】
移動制御部330は、移動機構40を制御して、間取測定装置3本体を移動させる。
【0042】
空間情報生成部340は、位置情報生成部320が生成した位置情報に基づいて、間取測定装置3が存在する空間に関する空間情報を生成する。空間情報生成部340は、例えば、位置情報に基づいて間取測定装置3が移動した移動面積を算出する。続いて、空間情報生成部340は、算出した間取測定装置3の移動面積と所定の高さとの積を空間情報として生成する。また、これ以外に、空間情報生成部340は、位置情報と、間取測定装置3と通信する他の無線通信端末の位置とに基づいて空間情報を生成する。この場合、空間情報生成部340は、空間情報として、間取測定装置3及び間取測定装置3以外の無線通信端末の設置場所を結んだ内部空間の容積を含む情報を生成する。
【0043】
記憶部350は、間取測定装置3の動作に関する情報を記憶する記憶領域に相当する。記憶部350が、位置情報や空間情報を記憶するようにしてもよい。このような構成により、間取測定装置3は、アクセスポイント2との間で無線通信を行う。
【0044】
ところで、参考例のように、建物内において無線LAN環境を構築した場合、建物の外部にまで電波が送信されることにより、建物の外部からの無線LANへの無断接続や、隣の建物の無線LANとの電波干渉が生じるという問題がある。図11は、参考例に係る建物の外部に無線LANが及ぼす影響を説明する説明図である。図11は、無線ルータ4を建物内の居住空間RM2に設置した図であり、無線ルータ4から出力される電波を破線で示している。
【0045】
参考例のように無線ルータ4等の中継装置によって電波を送受信して無線LAN環境を構築する場合、図11に示すように、無線ルータ4を中心として、同心円状に電波が送信される。居住空間RM2において、洋室で無線LAN環境を使用できる程度の電波強度で同心円状に電波を出力すると、図11に示すように、無線ルータ4の電波は、居住空間RM2の外部にまで到達する。このような場合、居住空間RM2の外部に存在する装置による無線LANへの無断接続や、居住空間RM2の外部への電波干渉が発生するという問題がある。一方で、居住空間RM2の外部に届かない程度の電波強度で無線ルータ4から電波を出力した場合、洋室やダイニング、和室では無線LAN環境に接続することができないことがある。
【0046】
このような問題に対して、本実施形態の通信システム1000は、無線LANが構築される空間の外部の要因が関与する電波干渉や無断接続を抑制するために、アクセスポイント2が設置される空間の大きさや方向等の空間に関する空間情報に基づいて、アクセスポイント2から出力する電波の強度や方向を制御する。
【0047】
<2.4.通信システムにおける処理の流れ>
続いて、図6から図7を参照して、通信システム1000における処理の流れについて説明する。図6は、間取測定装置3における測定処理の流れを示すフローチャートである。図7は、アクセスポイント2における出力制御処理の流れを示すフローチャートである。図8は、アクセスポイント2が設置されている居住空間RMを間取測定装置3が移動する様子を例示した図である。図9は、アクセスポイント2が間取測定装置3から受信した情報を例示した図である。図10は、居住空間RMに対してアクセスポイント2から出力される電波の様子を例示した図である。
【0048】
<2.4.1.測定処理の流れ>
まず、図6を参照して、間取測定装置3における測定処理の流れを説明する。ステップS11において、無線通信部310(間取測定装置3)は、アクセスポイント2との間の通信を確立する。
【0049】
続いて、ステップS12において、移動制御部330は、移動機構40を制御して間取測定装置3の移動を開始する。ここでは、居住空間RMにおいて、アクセスポイント2から最も遠い洋室の壁面(北側の壁面、位置P1)から移動を開始し、アクセスポイント2の近傍を経由して、アクセスポイント2から最も遠い洗面所の壁面(東側の壁面、位置P2)まで移動し、再びアクセスポイント2の近傍まで戻るルートで間取測定装置3が移動すると仮定する。居住空間RMにおいて、アクセスポイント2から最も遠い洋室の壁面(位置P1)において、位置情報生成部320は、間取測定装置3本体の位置情報を生成する。
【0050】
続いて、ステップS13において、無線通信部310は、位置情報生成部320が生成した間取測定装置3本体の位置情報をアクセスポイント2に送信する。アクセスポイント2が、アクセスポイント2から最も遠い洋室の壁面に相当する位置P1に位置する間取測定装置3から取得した位置情報には、間取測定装置3が、アクセスポイント2に対して北の方向の距離20mに位置することを示す情報が含まれている(図9参照)。アクセスポイント2の無線通信部210は、間取測定装置3から受信した位置情報と、位置情報を受信したときの間取測定装置3との通信における電波強度に関する情報とを記憶部230に記憶する。図9では、アクセスポイント2に対して北の方向の距離20m(位置P1)に位置する間取測定装置3との通信における電波強度が“58dBm”であったことを示している。
【0051】
また、アクセスポイント2から最も遠い洗面所の壁面に到達すると、位置情報生成部320は、間取測定装置3本体の位置情報を生成する。アクセスポイント2から最も遠い洗面所の壁面に相当する位置P2に位置する間取測定装置3から取得した位置情報には、間取測定装置3が、アクセスポイント2に対して東の方向の距離30mに位置することを示す情報が含まれている(図9参照)。アクセスポイント2の無線通信部210は、間取測定装置3から受信した位置情報と、位置情報を受信したときの間取測定装置3との通信における電波強度に関する情報とを記憶部230に記憶する。図9では、アクセスポイント2に対して東の方向の距離30m(位置P2)に位置する間取測定装置3との通信における電波強度が“40dBm”であったことを示している。
【0052】
位置情報をアクセスポイント2に送信すると、移動制御部330は、ステップS14において、移動機構40を制御して間取測定装置3の移動を終了する。続いて、無線通信部310は、ステップS15において、居住空間RMの間取を測定する測定処理が終了したことの通知を、アクセスポイント2へ送信する。なお、空間情報生成部340は、位置情報生成部320が生成した位置情報に基づいて居住空間RMを特定した空間情報を生成してもよい。空間情報生成部340が生成した空間情報を、ステップS15において、居住空間RMの間取を測定する測定処理が終了したことの通知と共に、アクセスポイント2へ送信するようにしてもよい。
【0053】
<2.4.2.出力制御処理の流れ>
続いて、図7を参照して、アクセスポイント2における出力制御処理の流れについて説明する。間取測定装置3から測定処理が終了したことの通知を受信すると、ステップS21において、空間情報生成部223(アクセスポイント2)は、ステップS13により間取測定装置3から受信した情報に基づいて、居住空間RMに関する空間情報を生成する。なお、間取測定装置3から測定処理が終了したことの通知と共に空間情報生成部340が生成した空間情報を受信している場合、ステップS21の工程は、省略するようにしてもよい。本実施形態の居住空間RMは、アクセスポイント2の無線通信部210から電波が出力される対象空間の一例である。
【0054】
ここで、空間情報生成部223が生成する空間情報について説明する。空間情報生成部223は、アクセスポイント2が間取測定装置3から受信した情報(図9参照)に基づいて、居住空間RMに関する空間情報を生成する。図9に示すように、アクセスポイント2が間取測定装置3から受信した情報には、間取測定装置3が、アクセスポイント2に対して北の方向の距離20m(位置P1)に位置することを示す位置情報と、間取測定装置3との通信における電波強度が“58dBm”であったことを示す情報とが記憶されている。また、アクセスポイント2が間取測定装置3から受信した情報には、間取測定装置3が、アクセスポイント2に対して東の方向の距離30m(位置P2)に位置することを示す位置情報と、間取測定装置3との通信における電波強度が“40dBm”であったことを示す情報とが含まれている。
【0055】
これらの情報に基づいて、空間情報生成部223は、空間情報として、位置P1に対しては、アクセスポイント2から北側の向きに20mの範囲において、電波強度を58dBmにすることで無線通信端末との通信が可能であることを示す情報を生成する。また、空間情報生成部223は、空間情報として、位置P2に対しては、アクセスポイント2から東側の向きに30mの範囲において、電波強度を40dBmにすることで無線通信端末との通信が可能であることを示す情報を生成する。このように、空間情報は、間取測定装置3の位置情報に基づいて無線通信部210が電波を出力する対象空間を特定した情報に相当する。また、空間情報は、対象空間に存在する無線通端末との通信において、アクセスポイント2(無線通信部210)が受信した電波の方向と強度とを示す情報を含む。なお、空間情報生成部340(間取測定装置3)も、空間情報生成部223と同様にして空間情報を生成することができる。
【0056】
続いて、ステップS22において、角度制御部222は、空間情報に基づいて無線通信部210が出力する電波の出力角を決定する。具体的に、角度制御部222は、アクセスポイント2の北側及び東側にアンテナ部17から電波が出力されるように、無線通信部210の電波の出力角を定める。
【0057】
続いて、ステップS23において、電波強度制御部221は、空間情報に基づいて無線通信部210が出力する電波の電波強度を決定する。具体的に、電波強度制御部221は、アクセスポイント2の北側に対してアンテナ部17が出力する電波の電波強度の最大値を58dBmとする。また、電波強度制御部221は、アクセスポイント2の東側に対してアンテナ部17が出力する電波の電波強度の最大値を40dBmとする。
【0058】
そして、ステップS24において、通信制御部220は、ステップS22及びステップS23にて決定した出力角と電波強度に基づいて、電波出力部211から電波を出力する。電波出力部211は、例えば、図10に示すように、SSID231によって識別される第1ネットワークNT231について、アクセスポイント2から北側の向きに20mの範囲において電波強度の最大値が58dBmとなるように電波を出力する。また、例えば、電波出力部211は、例えば、SSID232によって識別される第2ネットワークNT232について、アクセスポイント2から東側の向きに30mの範囲において電波強度の最大値が40dBmとなるように電波を出力する(図10参照)。
【0059】
このように、通信制御部220は、無線通信部210が、SSID231、232によってそれぞれが識別される第1ネットワークNT231と、第2ネットワークNT232とを介して無線通信を行うに際し、それぞれのネットワークについて出力制御処理を行う。具体的に、通信制御部220は、第1ネットワークNT231において無線通信部210が出力する電波の方向を北向きにし、第2ネットワークNT232において無線通信部210が出力する電波の方向を東向きにする。
【0060】
また、通信制御部220は、第1ネットワークNT231において無線通信部210が出力する電波の強度の最大値を58dBmとし、第2ネットワークNT232において無線通信部210が出力する電波の強度の最大値を40dBmとする。本実施形態のSSID231、232のいずれか一方が第1ネットワーク識別子であり、他方が第2ネットワーク識別子である。
【0061】
無線通信部210は、第1ネットワークNT231及び第2ネットワークNT232とは異なる無線通信ネットワークを介して無線通信を行うことができる。通信制御部220は、第1ネットワークNT231及び第2ネットワークNT232とは異なる無線通信ネットワークが出力する電波の方向を、第1ネットワークNT231及び第2ネットワークNT232のいずれか一方と同じ方向、又は、第1ネットワークNT231及び第2ネットワークNT232とは異なる方向に制御することができる。また、第1ネットワークNT231及び第2ネットワークNT232とは異なる無線通信ネットワークのSSIDは、第1ネットワークNT231及び第2ネットワークNT232のいずれか一方と同じSSIDでも、第1ネットワークNT231及び第2ネットワークNT232とは異なるSSIDを用いてもよい。
【0062】
なお、通信制御部220は、ステップS24において、電波出力部211がマネジメントフレームを送信するときの電波の方向と電波強度とを制御するようにしてもよい。マネジメントフレームとは、例えば、『Beaconフレーム:ネットワーク情報を報知するフレーム』、『Probe Requestフレーム:ネットワーク情報を要求するフレーム』、『Probe Responseフレーム:Probe Requestに対する応答』、『Association Requestフレーム:接続を要求するフレーム』、『Association Responseフレーム:Association Requestに対する応答』、『Authenticationフレーム:相手を認証するフレーム』、『Actionフレーム:追加の機能全般用のフレーム』等の情報要素に相当する。
【0063】
さらに、予め測定した居住空間RMの間取りや容積、電波強度の測定状況等の情報を含む空間情報をアクセスポイント2に入力して、図7で説明したような出力制御処理を行うようにしてもよい。
【0064】
以上説明したように、本実施形態では、アクセスポイント2が居住空間RMに対して出力する電波を、居住空間RMに含まれる部屋の向きや広さに応じて変更することができる。また、間取測定装置3から位置情報を受信し、位置情報を受信したときの電波強度に基づいてアクセスポイント2から出力する電波の方向や強度を制御することにより、居住空間RMの内壁を境界として、アクセスポイント2による無線LAN環境を構築することが可能となる。
【0065】
このようにすることにより、本実施形態では、アクセスポイント2による無線LANに対して、居住空間RMの外部の要因(例えば、居住空間RMの外部の無線通信装置や無線LAN環境等)が関与する無断接続や電波干渉等の影響を抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、マネジメントフレームを送信するときの電波の方向と電波強度とを制御することにより、アクセスポイント2から出力されるBeacon等のマネジメントフレームを居住空間RMの外部から見えない状態にすることができる。このようにすることで、アクセスポイント2への無断接続に関してよりセキュリティ性を向上させることが可能となる。
【0067】
<3.第2の実施形態>
第1の実施形態では、アクセスポイント2が設置される居住空間RMに対して出力する電波の向きや強度を変更する形態について説明を行った。これに対して、第2の実施形態では、アクセスポイント2が設置される居住空間RMに設けられた無線通信端末の位置情報に基づいて、アクセスポイント2が受信する電波の向きや強度を制御する形態について説明する。なお、アクセスポイント2及び間取測定装置3の構成は、第1の実施形態と同じであるため、重複する説明を省略する。
【0068】
<3.1.対象空間における無線通信端末との通信状況>
まず、図12及び図13を参照して、居住空間RMに設置されている無線通信端末との通信状況について説明する。図12は、居住空間RMにおける無線通信端末51、52、53、54、55、56、57、58、59の設置状況を例示した図である。図13は、アクセスポイント2が無線通信端末51、52、57、58、59から受信した情報を例示した図である。
【0069】
図12に示すように、居住空間RMには、アクセスポイント2及び間取測定装置3以外に、無線通信端末51、52、53、54、55、56、57、58、59が設置されている。無線通信端末51、52、53、54、55、56は、アクセスポイント2と無線通信可能な、いわゆるスマート電球等の照明家電である。無線通信端末57は、アクセスポイント2と無線通信可能であり、無線通信を介して受信する信号に基づいた動作を行うことができる洗濯機である。無線通信端末58は、アクセスポイント2と無線通信可能であり、無線通信を介して受信する信号に基づいた動作を行うスピーカである。無線通信端末59は、アクセスポイント2と無線通信可能であり、無線通信を介して受信する信号に基づいた動作を行う、いわゆるスマートロックである。無線通信端末51、52、53、54、55、56、57、58、59は、アクセスポイント2と無線通信を行うことにより、それぞれの位置情報をアクセスポイント2に送信する。
【0070】
図13には、アクセスポイント2が無線通信端末51、52、57、58、59から受信した位置情報と、位置情報を受信したときの電波強度とを例示している。アクセスポイント2が無線通信端末51から受信した情報には、無線通信端末51が、アクセスポイント2に対して北の方向の距離20mに位置することを示す位置情報と、無線通信端末51との通信における電波強度が“58dBm”であったことを示す情報とが含まれている。また、アクセスポイント2が無線通信端末52から受信した情報には、無線通信端末52が、アクセスポイント2に対して北東の方向の距離5mに位置することを示す位置情報と、無線通信端末52との通信における電波強度が“30dBm”であったことを示す情報とが含まれている。
【0071】
また、アクセスポイント2が無線通信端末57から受信した情報には、無線通信端末57が、アクセスポイント2に対して東の方向の距離30mに位置することを示す位置情報と、無線通信端末57との通信における電波強度が“50dBm”であったことを示す情報とが含まれている。また、アクセスポイント2が無線通信端末58から受信した情報には、無線通信端末58が、アクセスポイント2に対して北西の方向の距離5mに位置することを示す位置情報と、無線通信端末58との通信における電波強度が“25dBm”であったことを示す情報とが含まれている。また、アクセスポイント2が無線通信端末59から受信した情報には、無線通信端末59が、アクセスポイント2に対して南西の方向の距離5mに位置することを示す位置情報と、無線通信端末59との通信における電波強度が“20dBm”であったことを示す情報とが含まれている。
【0072】
アクセスポイント2では、無線通信端末51、52、57、58、59から受信した位置情報と、位置情報を受信したときの電波強度とに基づいて、無線通信部210が受信する電波の方向と電波強度とを制御する受信制御処理が行われる。
【0073】
<3.2.受信制御処理の流れ>
続いて、図14を参照して、アクセスポイント2が行う受信制御処理の流れについて説明する。図14は、受信制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0074】
無線通信端末51~59から位置情報を受信すると、ステップS21において、空間情報生成部223(アクセスポイント2)は、無線通信端末51~59から受信した位置情報に基づいて、居住空間RMに関する空間情報を生成する。空間情報生成部223は、アクセスポイント2が間取測定装置3(図9参照)や無線通信端末51~59から受信した位置情報(図13参照)に基づいて、居住空間RMに関する空間情報を生成する。
【0075】
これらの情報に基づいて、空間情報生成部223は、空間情報として、居住空間RMの洋室に対しては、アクセスポイント2から北側の向きに20mの範囲において、電波強度を58dBmにすることで無線通信端末51との通信が可能であることを示す情報を生成する。また、空間情報生成部223は、空間情報として、居住空間RMのダイニングに対しては、アクセスポイント2から北東側の向きに5mの範囲において、電波強度を30dBmにすることで無線通信端末52との通信が可能であることを示す情報を生成する。また、空間情報生成部223は、空間情報として、居住空間RMの洗濯スペースに対しては、アクセスポイント2から東側の向きに30mの範囲において、電波強度を50dBmにすることで無線通信端末57との通信が可能であることを示す情報を生成する。
【0076】
さらに、空間情報生成部223は、空間情報として、居住空間RMのリビングに対しては、アクセスポイント2から北西側の向きに5mの範囲において、電波強度を25dBmにすることで無線通信端末58との通信が可能であることを示す情報を生成する。さらに、空間情報生成部223は、空間情報として、居住空間RMの玄関に対しては、アクセスポイント2から南西側の向きに5mの範囲において、電波強度を20dBmにすることで無線通信端末59との通信が可能であることを示す情報を生成する。なお、無線通信端末51~59の製品情報や設置位置に基づいて、これらの空間情報を予め生成しておき、アクセスポイント2に記憶するようにしてもよい。
【0077】
続いて、ステップS32において、角度制御部222は、空間情報に基づいて無線通信部210が受信する電波の受信角度を決定する。具体的に、角度制御部222は、アクセスポイント2の北側、北東側、東側、北西側及び南西側からアンテナ部17が電波を受信するように、電波受信部212が電波を受信するときの受信角度を定める。
【0078】
続いて、ステップS33において、電波強度制御部221は、空間情報に基づいて無線通信部210が受信する電波の電波強度を決定する。具体的に、電波強度制御部221は、アクセスポイント2の北側に対してアンテナ部17が受信する電波の電波強度の最大値を58dBmとする。また、電波強度制御部221は、アクセスポイント2の北東側に対してアンテナ部17が受信する電波の電波強度の最大値を30dBmとする。また、電波強度制御部221は、アクセスポイント2の東側に対してアンテナ部17が受信する電波の電波強度の最大値を50dBmとする。また、電波強度制御部221は、アクセスポイント2の北西側に対してアンテナ部17が受信する電波の電波強度の最大値を25dBmとする。また、電波強度制御部221は、アクセスポイント2の南西側に対してアンテナ部17が受信する電波の電波強度の最大値を20dBmとする。
【0079】
以上説明したように、本実施形態では、アクセスポイント2が受信することができる電波の方向及び強度は、居住空間RMに設置されている無線通信端末51~59との通信状況に応じて制御することができる。なお、無線通信端末51~59との通信における電波強度に基づいて、アクセスポイント2が受信することができる電波の電波強度に閾値を設けてもよい。このようにすることで、無線通信端末51~59が設置されている方向と同じ方向から居住空間RMの外部の端末からのアクセス要求をより確実に遮断することができる。また、通信制御部220は、マネジメントフレームを受信するときの電波の方向と電波強度とを制御するようにしてもよい。
【0080】
<4.第3の実施形態>
次いで、図15及び図16を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。上述した第1及び第2の実施形態は具体的な実施形態であるが、第2の実施形態はより一般化された実施形態である。以下の第3の実施形態によれば、第1及び第2の実施形態と同様の技術的効果が奏される。
【0081】
図15は、本発明の第3の実施形態に係る通信制御装置2Aの概略的な構成を例示するブロック図である。通信制御装置2Aは、無線通信部210A及び通信制御部220Aを含む。無線通信部210Aは、無線通信を行う。通信制御部220Aは、無線通信部210Aが電波を出力する対象空間の空間情報に基づいて、無線通信部210Aが出力する電波の方向及び強度を制御する出力制御処理を実行する。
【0082】
図16は、第3の実施形態に係る通信システム1000Aの概略的な構成を例示するブロック図である。通信システム1000Aは、通信制御装置2Aと、通信制御装置2Aと無線通信可能な情報処理装置3Aを含む。
【0083】
-第1及び第2の実施形態との関係
一例として、第3の実施形態に係る通信制御装置2Aが、第1及び第2の実施形態に係るアクセスポイント2の動作を実行してもよい。同様に、一例として、第3の実施形態に係る通信システム1000Aが、第1及び第2の実施形態に係る通信システムと同様に構成されてもよい。以上の場合、第1及び第2の実施形態についての説明が第3の実施形態にも適用可能である。なお、第3の実施形態は以上の例に限定されるものではない。第3の実施形態において、通信システム1000Aは、複数の情報処理装置3Aを含んでいてもよい。
【0084】
<5.その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。
【0085】
例えば、本明細書に記載されている処理におけるステップは、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、処理におけるステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、処理におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。
【0086】
また、本明細書において説明したアクセスポイント2の構成要素(例えば、無線通信部210や通信制御部220に相当する要素)を備える装置が提供されてもよい。また、上記構成要素の処理を含む方法が提供されてもよく、上記構成要素の処理をプロセッサに実行させるためのプログラムが提供されてもよい。また、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体(Non-transitory computer readable medium)が提供されてもよい。当然ながら、このような装置、モジュール、方法、プログラム、及びコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体も本発明に含まれる。
【0087】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0088】
(付記1)
無線通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部が電波を出力する対象空間に関する空間情報に基づいて、前記無線通信部が出力する電波の方向及び強度を制御する出力制御処理を行う通信制御部と、を備える、
通信制御装置。
【0089】
(付記2)
前記通信制御部は、
前記空間情報に基づいて、前記無線通信部が受信する電波の方向及び強度を制御する受信制御処理を行う、
付記1に記載の通信制御装置。
【0090】
(付記3)
前記空間情報は、
前記対象空間に存在する無線通信端末の位置情報に基づいて前記対象空間を特定した情報である、
付記1又は2に記載の通信制御装置。
【0091】
(付記4)
前記位置情報は、
前記無線通信端末から受信した信号の受信方向を示す情報を含み、
前記空間情報は、
前記無線通信部と前記無線通信端末との通信における信号の強度を示す情報を含み、
前記通信制御部は、
前記出力制御処理において、前記無線通信部が前記受信方向に向けて出力する電波の強度の最大値を、前記無線通信端末との通信における信号の強度にする、
付記3に記載の通信制御装置。
【0092】
(付記5)
前記位置情報は、
前記無線通信端末から受信した信号の受信方向を示す情報を含み、
前記空間情報は、
前記無線通信端末との通信における信号の強度を示す情報を含み、
前記通信制御部は、
前記受信制御処理において、前記無線通信部が前記受信方向から受信する電波の強度の最大値を、前記無線通信端末との通信における信号の強度にする、
付記3に記載の通信制御装置。
【0093】
(付記6)
前記無線通信部は、複数の無線アクセスネットワークを介して無線通信を行い、
前記複数の無線アクセスネットワークは、第1ネットワーク識別子によって識別される第1無線ネットワークと、前記第1ネットワーク識別子とは異なる第2ネットワーク識別子によって識別される第2無線ネットワークとを含み、
前記通信制御部は、前記出力制御処理において、
前記第1無線ネットワークにおいて前記無線通信部が出力する電波の方向を、前記第2無線ネットワークとは異なる方向にする、
付記1から5のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【0094】
(付記7)
前記通信制御部は、
前記出力制御処理において、前記無線通信部がマネジメントフレームを出力する方向及び強度を制御する、
付記1から6のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【0095】
(付記8)
付記1から7のいずれか1項に記載の通信制御装置と、
前記通信制御装置と無線通信可能な情報処理装置と、を備える、
通信システム。
【0096】
(付記9)
前記情報処理装置は、
移動機構と、
前記対象空間を移動した履歴に基づいて前記空間情報を生成する空間情報生成部と、を備え、
前記通信制御部は、
前記情報処理装置が生成した前記空間情報に基づいて前記出力制御処理を行う、
付記8に記載の通信システム。
【0097】
(付記10)
無線通信を行う無線通信部が電波を出力する対象空間に関する空間情報に基づいて、前記無線通信部が出力する電波の方向及び強度を制御する出力制御処理を行うこと、を備える、
通信制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0098】
無線通信ネットワークが構築される空間の外部の要因が関与する電波干渉や無断接続を抑制することができる。
【符号の説明】
【0099】
2 アクセスポイント
2A 通信制御装置
3 間取測定装置
3A 情報処理装置
6 ネットワーク
17 アンテナ部
40 移動機構
51~59 無線通信端末
200 コントローラ
210、210A 無線通信部
211 電波出力部
212 電波受信部
220、220A 通信制御部
221 電波強度制御部
222 角度制御部
223 空間情報生成部
230 記憶部
300 コントローラ
310 無線通信部
320 位置情報生成部
330 移動制御部
340 空間情報生成部
1000、1000A 通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16