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特開2023-123842PCSK9阻害剤の投与による糖尿病患者における高脂血症を治療する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123842
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】PCSK9阻害剤の投与による糖尿病患者における高脂血症を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20230829BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230829BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 38/28 20060101ALI20230829BHJP
   C07K 16/40 20060101ALN20230829BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P3/10 ZNA
A61P3/06
A61K39/395 D
A61K38/28
C07K16/40
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023111915
(22)【出願日】2023-07-07
(62)【分割の表示】P 2019567608の分割
【原出願日】2018-06-09
(31)【優先権主張番号】62/517,672
(32)【優先日】2017-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/532,162
(32)【優先日】2017-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18305565.6
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】515337475
【氏名又は名称】サノフィ・バイオテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マーヤ・ブーヤス-ボバノヴィッチ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】インスリン療法を受けている、高コレステロール血症および1型または2型真性糖尿病を有する心血管リスクの高い患者を治療する方法を提供する。
【解決手段】(a)(i)1型真性糖尿病(T1DM)、および(ii)最大耐性のスタチン療法によっては適切に制御されない高コレステロール血症を有する、インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択する工程;ならびに(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を75mg、150mgもしくは300mg投与する工程を含み、患者は付随するインスリン療法を受ける、1型真性糖尿病(T1DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1型真性糖尿病(T1DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法であって、該方法は、
(a)(i)T1DM、および(ii)最大耐性のスタチン療法によっては適切に制御されない高コレステロール血症を有する、インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択する工程;ならびに
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を75mg、150mgもしくは300mg投与する工程
を含み、患者は付随するインスリン療法を受ける前記方法。
【請求項2】
75mgの抗体または抗原結合断片が2週間ごとに患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
150mgの抗体または抗原結合断片が2週間ごとに患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
300mgの抗体または抗原結合断片が4週間ごとに患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
抗体またはその抗原結合断片が、配列番号2、3、および4に記載の3つの重鎖CDR、ならびに配列番号7、8、および10に記載の3つの軽鎖CDRを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
抗体またはその抗原結合断片が、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)および配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
抗体またはその抗原結合断片が、アリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ロデルシズマブ、ラルパンシズマブおよびLY3015014からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
抗体またはその抗原結合断片がアリロクマブである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約4週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の300mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
閾値レベルが70mg/dLである、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
抗体またはその抗原結合断片が皮下投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
患者が、付随する脂質修飾療法(LMT)をさらに受ける、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
LMTが、スタチン、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、オメガ-3脂肪酸、および胆汁酸封鎖剤からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
LMTがスタチン療法である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
スタチンが、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、およびセリバスタチンからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
スタチン療法が最大耐性のスタチン療法である、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
患者がスタチンに対して不耐性である、請求項1~14および18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
インスリン療法が、ヒトインスリン、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリンデテミル、インスリンリスプロ、インスリンデグルデック、インスリンアスパルト、および基礎インスリンからなる群から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
患者が、インスリン療法に加えて付随する抗糖尿病療法を受ける、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
追加の付随する抗糖尿病療法が、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)療法、胃腸ペプチド、グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グレリンアンタゴニストまたは逆アゴニスト、キセニン、キセニン類似体、ビグアナイド、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT-2)阻害剤、SGLT-1阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR-)(アルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレータ、アミリン、アミリンアナログ、Gタンパク質共役受容体119(GPR119)アゴニスト、GPR40アゴニスト、GPR120アゴニスト、GPR142アゴニスト、全身または低吸収性TGR5アゴニスト、糖尿病免疫療法薬、メタボリックシンドロームおよび糖尿病を治療するための抗炎症薬、アデノシンモノプリン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)刺激薬、11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の阻害剤、グルコキナーゼの活性化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ(DGAT)の阻害剤、グルコーストランスポータ-4のモジュレータ、ソマトスタチン受容体3アゴニスト、脂質減少剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
抗体またはその抗原結合断片が、患者のLDL-Cレベルを少なくとも40%減少させ
る、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
抗体またはその抗原結合断片が、患者の非HDL-Cレベルを少なくとも35%減少させる、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
抗体またはその抗原結合断片が、患者のアポリポタンパク質C3(ApoC3)レベルを減少させる、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
抗体またはその抗原結合断片が、患者におけるリポタンパク質粒子の数および/またはサイズを減少させる、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
抗体またはその抗原結合断片が:
(a)患者のヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルに影響を及ぼさない;および/または
(b)患者の空腹時血漿グルコース(FPG)レベルに影響を及ぼさない
請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
1型真性糖尿病(T1DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法であって、該方法は、
(a)(i)T1DM、および(ii)最大耐性のスタチン療法によっては適切に制御されていない高コレステロール血症を有する、インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択する工程;
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を75mg、2週間ごとに投与する工程;ならびに
(c)患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dLより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dL以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
を含み、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含み、患者は付随するインスリン療法を受ける前記方法。
【請求項29】
2型真性糖尿病(T2DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法であって、該方法は、
(a)(i)T2DM、および(ii)最大耐性のスタチン療法によって適切に制御されていない高コレステロール血症を有する、インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択する工程;ならびに
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の75mg、150mgもしくは300mgを投与する工程
を含み、患者は付随するインスリン療法を受ける前記方法。
【請求項30】
75mgの抗体または抗原結合断片が2週間ごとに患者に投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
150mgの抗体または抗原結合断片が2週間ごとに患者に投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
300mgの抗体または抗原結合断片が4週間ごとに患者に投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
抗体またはその抗原結合断片が、配列番号2、3、および4に記載の3つの重鎖CDR、ならびに配列番号7、8、および10に記載の3つの軽鎖CDRを含む、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
抗体またはその抗原結合断片が、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)、および配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含む、請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
抗体またはその抗原結合断片が、アリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ロデルシズマブ、ラルパンシズマブ、およびLY3015014からなる群から選択される、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
抗体またはその抗原結合断片がアリロクマブである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
をさらに含む、請求項29~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約4週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の300mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
をさらに含む、請求項29~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
閾値レベルが70mg/dLである、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
抗体またはその抗原結合断片が皮下投与される、請求項29~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
患者が、付随する脂質修飾療法(LMT)をさらに受ける、請求項29~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
LMTが、スタチン、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、オメガ-3脂肪酸、および胆汁酸封鎖剤からなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
LMTがスタチン療法である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
スタチンが、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、およびセリバスタチンからなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
スタチン療法が最大耐性のスタチン療法である、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
患者がスタチンに対して不耐性である、請求項29~42および46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
インスリン療法が、ヒトインスリン、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリンデテミル、インスリンリスプロ、インスリンデグルデック、インスリンアスパルト、および基礎インスリンからなる群から選択される、請求項29~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
患者が、インスリン療法に加えて付随する抗糖尿病療法を受ける、請求項29~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
追加の付随する抗糖尿病療法が、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)療法、胃腸ペプチド、グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グレリンアンタゴニストまたは逆アゴニスト、キセニン、キセニン類似体、ビグアナイド、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT-2)阻害剤、SGLT-1阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR-)(アルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレータ、アミリン、アミリンアナログ、Gタンパク質共役受容体119(GPR119)アゴニスト、GPR40アゴニスト、GPR120アゴニスト、GPR142アゴニスト、全身または低吸収性TGR5アゴニスト、糖尿病免疫療法薬、メタボリックシンドロームおよび糖尿病を治療するための抗炎症薬、アデノシンモノプリン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)刺激薬、11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の阻害剤、グルコキナーゼの活性化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ(DGAT)の阻害剤、グルコーストランスポータ-4のモジュレータ、ソマトスタチン受容体3アゴニスト、脂質減少剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
抗体またはその抗原結合断片が、患者のLDL-Cレベルを少なくとも40%減少させる、請求項29~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
抗体またはその抗原結合断片が、患者の非HDL-Cレベルを少なくとも35%減少させる、請求項29~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
抗体またはその抗原結合断片が、患者のApoC3レベルを減少させる、請求項29~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
抗体またはその抗原結合断片が、患者におけるリポタンパク質粒子の数および/またはサイズを減少させる、請求29~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
抗体またはその抗原結合断片が:
(a)患者のヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルに影響を及ぼさない;および/または
(b)患者の空腹時血漿グルコース(FPG)レベルに影響を及ぼさない
請求項29~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
2型真性糖尿病(T2DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方
法であって、該方法は、
(a)(i)T2DM、および(ii)最大耐性のスタチン療法によっては適切に制御されない高コレステロール血症を有する、インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択する工程;
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を75mg、2週間ごとに投与する工程;ならびに
(c)患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dLより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dL以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
を含み、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含み、患者は付随するインスリン療法を受ける前記方法。
【請求項57】
T2DMおよびアテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法であって、該方法は、
(a)(i)T2DM、(ii)ASCVD、および(iii)最大耐性のスタチン療法によって適切に制御されていない高コレステロール血症のインスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択する工程;ならびに
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の75mg、150mgもしくは300mgを投与する工程
を含み、患者は付随するインスリン療法を受ける前記方法。
【請求項58】
ASCVDが、冠状動脈性心疾患(CHD)、虚血性脳卒中、または末梢動脈疾患として定義される、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
CHDが、急性心筋梗塞、無症候性心筋梗塞、および不安定狭心症を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
75mgの抗体または抗原結合断片が2週間ごとに患者に投与される、請求項57~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
150mgの抗体または抗原結合断片が2週間ごとに患者に投与される、請求項57~59のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
300mgの抗体または抗原結合断片が4週間ごとに患者に投与される、請求項57~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
抗体またはその抗原結合断片が、配列番号2、3、および4に記載の3つの重鎖CDR、ならびに配列番号7、8、および10に記載の3つの軽鎖CDRを含む、請求項57~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
抗体またはその抗原結合断片が、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)、および配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含む、請求項57~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
抗体またはその抗原結合断片が、アリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ロデル
シズマブ、ラルパンシズマブ、およびLY3015014からなる群から選択される、請求項57~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
抗体またはその抗原結合断片がアリロクマブである、請求項65記載の方法。
【請求項67】
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
をさらに含む、請求項57~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約4週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の300mgの抗体またはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体またはその抗原結合断片を投与する工程
をさらに含む、請求項57~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
閾値レベルが70mg/dLである、請求項67または68に記載の方法。
【請求項70】
抗体またはその抗原結合断片が皮下投与される、請求項57~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
患者が、付随する脂質修飾療法(LMT)をさらに受ける、請求項57~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
LMTが、スタチン、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、オメガ-3脂肪酸、および胆汁酸封鎖剤からなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
LMTがスタチン療法である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
スタチンが、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、およびセリバスタチンからなる群から選択される、請求項73記載の方法。
【請求項75】
スタチン療法が最大耐性量のスタチン療法である、請求項72~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、請求項72に記載の方法。
【請求項77】
患者がスタチンに対して不耐性である、請求項57~72および76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
インスリン療法が、ヒトインスリン、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリンデテミル、インスリンリスプロ、インスリンデグルデック、インスリンアスパルト、および基礎インスリンからなる群から選択される、請求項57~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
患者が、インスリン療法に加えて付随する抗糖尿病療法を受ける、請求項57~78の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
追加の付随する抗糖尿病療法が、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)療法、胃腸ペプチド、グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グレリンアンタゴニストまたは逆アゴニスト、キセニン、キセニン類似体、ビグアナイド、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT-2)阻害剤、SGLT-1阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR-)(アルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレータ、アミリン、アミリンアナログ、Gタンパク質共役受容体119(GPR119)アゴニスト、GPR40アゴニスト、GPR120アゴニスト、GPR142アゴニスト、全身または低吸収性TGR5アゴニスト、糖尿病免疫療法薬、メタボリックシンドロームおよび糖尿病を治療するための抗炎症薬、アデノシンモノプリン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)刺激薬、11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の阻害剤、グルコキナーゼの活性化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ(DGAT)の阻害剤、グルコーストランスポータ-4のモジュレータ、ソマトスタチン受容体3アゴニスト、脂質減少剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
抗体またはその抗原結合断片が、患者のLDL-Cレベルを少なくとも40%減少させる、請求項57~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
抗体またはその抗原結合断片が、患者の非HDL-Cレベルを少なくとも35%減少させる、請求項57~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
抗体またはその抗原結合断片が、患者のApoC3レベルを減少させる、請求項57~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
抗体またはその抗原結合断片が、患者におけるリポタンパク質粒子の数および/またはサイズを減少させる、請求57~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
抗体またはその抗原結合断片が:
(a)患者のヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルに影響を及ぼさない;および/または
(b)患者の空腹時血漿グルコース(FPG)レベルに影響を及ぼさない
請求項57~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
T2DMおよびASCVDを有する患者における高コレステロール血症を治療する方法であって、該方法は、
(a)(i)T2DM、(ii)ASCVD、および(iii)最大耐性のスタチン療法によって適切に制御されない高コレステロール血症を有する、インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択する工程;
(b)患者に2週間ごとに、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を75mg、2週間ごとに投与する工程;ならびに
(c)患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dLより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dL以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
を含み、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含み、患者は付随するインスリン療法を受ける前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2017年6月9日に出願された米国仮特許出願第62/517,672号、2017年7月13日に出願された米国仮特許出願第62/532,162号、および2018年5月4日に出願された欧州特許出願第18305565.6号に対する優先権の利益を主張する。これらの関連出願のそれぞれの内容は、参照によりそれらの全体を本明細書に組み入れる。
【0002】
発明の分野
本発明は、脂質およびリポタンパク質のレベル上昇に関連付けられる疾患および障害の治療的処置の分野に関する。より具体的には、本発明は、高コレステロール血症を含む高脂血症を有する糖尿病患者を治療するためのPCSK9阻害剤の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
高脂血症は、血中の脂質および/もしくはリポタンパク質のレベル上昇によって特徴付けられ、またはそれに関連付けられる疾患および障害を包含する一般的な用語である。高脂血症には、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、複合型高脂血症、および上昇したリポタンパク質a(Lp(a))が含まれる。多数の集団における高脂血症の特定の形態は、高コレステロール血症である。
【0004】
高コレステロール血症、特に低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール(LDL-C)レベルの増加は、アテローム性動脈硬化症および冠状動脈性心疾患(CHD)の発症の主要なリスクを構成する(非特許文献1)。低密度リポタンパク質コレステロールは、コレステロール低下療法の主要な標的として特定されており、有効な代替治療評価項目として受け入れられている。多数の研究は、LDL-Cレベルの低下が、LDL-CレベルとCHD事象の間に強い直接的な関係があるCHDのリスクを減少させることを実証している;LDL-Cにおける1mmol/L(約40mg/dL)ごとの減少では、心血管疾患(CVD)の死亡率および罹患率が22%低下する。LDL-Cの大幅な減少は、CHD事象の大幅な減少をもたらし、集中的対標準的なスタチン治療の比較データは、LDL-Cレベルが低いほど、心血管(CV)リスクが非常に高い患者における利益がより大きいことを示唆する。
【0005】
心血管疾患(CVD)は、1型(T1)または2型(T2)真性糖尿病(DM)を有する患者の罹患率および死亡率の主要な原因であり、インスリン治療された糖尿病患者は、さらに高いCVリスクを有する。さらに、アテローム性動脈硬化症(ASCVD)を有する者の間に共存するDMが存在すると、CV事象のリスクが有意に増加する。一部の研究とメタ分析は、スタチンを使用したLDL-Cの低下は、DM患者におけるCV事象の有意な減少をもたらし、付随するエゼチミブを使用した追加のLDL-Cの低下と関連付けられたさらなるCVリスクが減少することを示している。しかしながら、現在利用可能な治療法を用いても、DMを有する多数の患者は、持続的な脂質異常を継続的に有し、したがって、CV事象の残ったリスクにさらされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Sharrettら、2001年、Circulation 104巻:1108~1113頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在のLDL-C低下医薬には、抗PCSK9抗体などのプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤が含まれる。抗PCSK9抗体は広範な臨床研究を受けているが、糖尿病患者におけるアリロクマブの有効性および安全性は十分に理解されていない。したがって、当該技術分野では、CVリスクが高いインスリン療法を受けている糖尿病患者における高コレステロール血症の治療に最適な有効性および安全性を提供する抗PCSK9抗体の治療レジメンを特定する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、インスリン療法を受けている真性糖尿病(DM)患者における高コレステロール血症を治療する方法を提供する。特定の実施形態では、本方法は、ヒトPCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の1回またはそれ以上の用量を、高コレステロール血症および糖尿病を有する患者に投与することを含む。特定の実施形態では、患者は心血管リスクが高い。特定の実施形態では、患者は、インスリン療法に加えて、付随する抗糖尿病療法を受ける。
【0009】
一態様によれば、本方法は、1型真性糖尿病(T1DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法を含み、本方法は、
(a)(i)T1DM、および(ii)最大耐容性スタチン療法によって適切に制御されていない高コレステロール血症のインスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択すること;ならびに
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の75mg、150mgもしくは300mgを投与すること
を含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。
【0010】
特定の実施形態では、75mgの抗体または抗原結合断片が2週間ごとに患者に投与される。他の実施形態では、150mgの抗体または抗原結合断片が2週間ごとに患者に投与される。他の実施形態では、300mgの抗体または抗原結合断片が4週間ごとに患者に投与される。
【0011】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1/6を含むHCVR/LCVRアミノ酸配列対の重鎖および軽鎖CDRを含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2、3、および4に記載の3つの重鎖CDR、ならびに配列番号7、8、および10に記載の3つの軽鎖CDRを含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)、および配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含む抗体またはその抗原結合断片との結合について競合する。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含む抗体と同じ、PCSK9上のエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含む抗体のエピトープと重複するPCSK9上のエピトープに結合する。
【0012】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号86、87、88、90、91、および92を有する重鎖ならびに軽鎖CDRアミノ酸配列を含む。特定の実施
形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号85に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号89に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を有するLCVRを含む。
【0013】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、アリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ロデルシズマブ、ラルパンシズマブ、およびLY3015014からなる群から選択される。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片はアリロクマブである。
【0014】
特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、(c)例えば8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の75mgの抗体またはその抗原結合断片を患者に投与するか、または、例えば8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の150mgの抗体またはその抗原結合断片を投与することをさらに含む。特定の実施形態では、閾値レベルは70mg/dLである。
【0015】
特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、(c)例えば8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約4週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の300mgの抗体またはその抗原結合断片を患者に投与するか、または、例えば8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の150mgの抗体またはその抗原結合断片を投与することをさらに含む。特定の実施形態では、閾値レベルは70mg/dLである。
【0016】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は皮下投与される。
【0017】
特定の実施形態では、患者は、付随する脂質修飾療法(LMT)をさらに受ける。特定の実施形態では、LMTは、スタチン、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、オメガ-3脂肪酸、および胆汁酸封鎖剤からなる群から選択される。特定の実施形態では、LMTはスタチン療法である。特定の実施形態では、スタチンは、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、およびセリバスタチンからなる群から選択される。特定の実施形態では、スタチン療法は、最大耐性量のスタチン療法である。特定の実施形態では、コレステロール吸収阻害剤はエゼチミブである。特定の実施形態では、患者は、スタチンに対して不耐性である。
【0018】
特定の実施形態では、インスリン療法は、ヒトインスリン、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリンデテミル、インスリンリスプロ、インスリンデグルデック、インスリンアスパルト、および基礎インスリンからなる群から選択される。特定の実施形態では、患者は、インスリン療法に加えてさらなる付随する抗糖尿病療法を受ける。特定の実施形態では、追加の付随する抗糖尿病療法は、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)療法、胃腸ペプチド、グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体アゴニストまたはアンタゴニストアンタゴニスト、グレリンアンタゴニストまたは逆アゴニスト、キセニン、キセニン類似体、ビグアナイド、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT-2)阻害剤、SGLT-1阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR-)(アルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレータ、アミリン、アミリンアナログ、Gタンパク質共役受容体119(GPR119)アゴニスト、GPR40アゴニスト、GPR120アゴニスト、GPR142アゴニスト、全身
または低吸収性TGR5アゴニスト、糖尿病免疫療法薬、メタボリックシンドロームおよび糖尿病を治療するための抗炎症薬、アデノシンモノプリン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)刺激薬、11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の阻害剤、グルコキナーゼの活性化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ(DGAT)の阻害剤、グルコーストランスポータ-4のモジュレータ、ソマトスタチン受容体3アゴニスト、脂質減少剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0019】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のLDL-Cレベルを、例えば、少なくとも30%、35%、40%、もしくは45%減少させる。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者の非HDL-Cレベルを、例えば、少なくとも25%、30%、35%、もしくは40減少させる。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のアポリポタンパク質C3(ApoC3)レベルを(例えば、治療の12週間または24週間後に少なくとも約6.0%、約6.5%、約7.0%または約7.5%)減少させる。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のリポタンパク質粒子の数を(例えば、治療の12週間または24週間後に少なくとも約20%、約30%、約40%または約50%)減少させる。他の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のリポタンパク質粒子のサイズを(例えば、治療の12週間または24週間後に少なくとも約1.5%、約2%、約2.5%、または約3%)減少させる。
【0020】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、(a)患者のヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルに影響を及ぼさない;および/または(b)患者の空腹時血漿グルコース(FPG)レベルに影響を及ぼさない
【0021】
別の態様によれば、本方法は、1型真性糖尿病(T1DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法を含み、本方法は、
(a)(i)T1DM、および(ii)最大耐容スタチン療法によっては適切に制御されない高コレステロール血症を有する、インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択すること;
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を75mg、2週間ごとに投与すること;ならびに
(c)例えば8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dLより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の75mgの抗体またはその抗原結合断片を患者に投与するか、または、例えば8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dL以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の150mgの抗体またはその抗原結合断片を投与すること
を含み、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。
【0022】
別の態様によれば、本方法は、1型真性糖尿病(T1DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法を含み、本方法は、
(a)(i)T1DM、および(ii)最大耐容スタチン療法によっては適切に制御されない高コレステロール血症を有する、インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択すること;
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を300mg、4週間ごとに投与すること;ならびに
(c)8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより高い場合、約4週
間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の300mgの抗体またはその抗原結合断片を患者に投与するか、または、8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以下の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体またはその抗原結合断片を投与すること
を含み、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。一実施形態では、閾値レベルは15mg/dLである。別の実施形態では、閾値レベルは25mg/dLである。
【0023】
別の態様によれば、本方法は、2型真性糖尿病(T2DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法を含み、本方法は、
(a)(i)T2DM、および(ii)最大耐容性スタチン療法によって適切に制御されていない高コレステロール血症のインスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択すること;ならびに
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の75mg、150mgもしくは300mgを投与すること
を含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。
【0024】
特定の実施形態では、75mgの抗体または抗原結合断片が2週間ごとに患者に投与される。他の実施形態では、150mgの抗体または抗原結合断片が2週間ごとに患者に投与される。他の実施形態では、300mgの抗体または抗原結合断片が4週間ごとに患者に投与される。
【0025】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1/6を含むHCVR/LCVRアミノ酸配列対の重鎖および軽鎖CDRを含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2、3、および4に記載の3つの重鎖CDR、ならびに配列番号7、8、および10に記載の3つの軽鎖CDRを含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)、および配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含む抗体またはその抗原結合断片との結合について競合する。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含む抗体と同じ、PCK9上のエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含む抗体のエピトープと重複するPCSK9上のエピトープに結合する。
【0026】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号85および89で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)ならびに軽鎖可変領域(LCVR)の相補性決定領域(CDR)を含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号86、87、88、90、91、および92を有する重鎖ならびに軽鎖CDRアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号85に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号89に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するLCVRを含む。
【0027】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、アリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ロデルシズマブ、ラルパンシズマブ、およびLY3015014からなる
群から選択される。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片はアリロクマブである。
【0028】
特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与することをさらに含む。特定の実施形態では、閾値レベルは70mg/dLである。
【0029】
特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、(c)例えば8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約4週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の300mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または、例えば8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与することをさらに含む。特定の実施形態では、閾値レベルは70mg/dLである。
【0030】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は皮下投与される。
【0031】
特定の実施形態では、患者は、付随する脂質修飾療法(LMT)をさらに受ける。特定の実施形態では、LMTは、スタチン、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、オメガ-3脂肪酸、および胆汁酸封鎖剤からなる群から選択される。特定の実施形態では、LMTはスタチン療法である。特定の実施形態では、スタチンは、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、およびセリバスタチンからなる群から選択される。特定の実施形態では、スタチン療法は、最大耐性量のスタチン療法である。特定の実施形態では、コレステロール吸収阻害剤はエゼチミブである。
【0032】
特定の実施形態では、患者は、スタチンにして不耐性である。
【0033】
特定の実施形態では、インスリン療法は、ヒトインスリン、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリンデテミル、インスリンリスプロ、インスリンデグルデック、インスリンアスパルト、および基礎インスリンからなる群から選択される。
【0034】
特定の実施形態では、患者は、インスリン療法に加えて付随する抗糖尿病療法をさらに受ける。特定の実施形態では、追加の付随する抗糖尿病療法は、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)療法、胃腸ペプチド、グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グレリンアンタゴニストまたは逆アゴニスト、キセニン、キセニン類似体、ビグアナイド、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT-2)阻害剤、SGLT-1阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR-)(アルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレータ、アミリン、アミリンアナログ、Gタンパク質共役受容体119(GPR119)アゴニスト、GPR40アゴニスト、GPR120アゴニスト、GPR142アゴニスト、全身または低吸収性TGR5アゴニスト、糖尿病免疫療法薬、メタボリックシンドロームおよび糖尿病を治療するための抗炎症薬、アデノシンモノプリン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)刺激薬、11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の阻害剤、グルコキナーゼの活性化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ(DGAT)の阻害剤、グルコーストランスポータ-4のモジュレータ、ソマトスタチン受容体3ア
ゴニスト、脂質減少剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0035】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のLDL-Cレベルを、例えば、少なくとも30%、35%、40%、もしくは45%減少させる。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者の非HDL-Cレベルを、例えば、少なくとも20%、25%、30%、もしくは35%減少させる。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のアポリポタンパク質C3(ApoC3)レベルを(例えば、治療の12週間または24週間後に少なくとも約6.0%、約6.5%、約7.0%または約7.5%)減少させる。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のリポタンパク質粒子の数を(例えば、治療の12週間または24週間後に少なくとも約20%、約30%、約40%または約50%)減少させる。他の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のリポタンパク質粒子のサイズを(例えば、治療の12週間または24週間後に少なくとも約1.5%、約2%、約2.5%、または約3%)減少させる。
【0036】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、(a)患者のヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルに影響を及ぼさない;および/または(b)患者の空腹時血漿グルコース(FPG)レベルに影響を及ぼさない。
【0037】
別の態様によれば、本方法は、2型真性糖尿病(T2DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法を含み、本方法は、
(a)(i)T2DM、および(ii)最大耐性量のスタチン療法によっては適切に制御されない高コレステロール血症を有する、インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択すること;
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を75mg、2週間ごとに投与すること;ならびに
(c)例えば8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dLより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または、例えば8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dL以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与すること
を含み、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。
【0038】
別の態様によれば、本方法は、2型真性糖尿病(T2DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法を含み、本方法は、
(a)(i)T2DM、および(ii)最大耐性量のスタチン療法によっては適切に制御されない高コレステロール血症を有する、インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択すること;
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を300mg、4週間ごとに投与すること;ならびに
(c)8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより高い場合、約4週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の300mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または、8週間後に、患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以下の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与すること
を含み、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、
および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。一実施形態では、閾値レベルは15mg/dLである。別の実施形態では、閾値レベルは25mg/dLである。
【0039】
別の態様によれば、本方法は、T2DMおよびアテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法を含み、本方法は、
(a)(i)T2DM、(ii)ASCVD、および(iii)最大耐性量のスタチン療法によって適切に制御されていない高コレステロール血症のインスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択すること;ならびに
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の75mg、150mgもしくは300mgを投与すること
を含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。
【0040】
特定の実施形態では、ASCVDは、冠状動脈性心疾患(CHD)、虚血性脳卒中、または末梢動脈疾患として定義される。特定の実施形態では、CHDは、急性心筋梗塞、無症候性心筋梗塞、および不安定狭心症を含む。
【0041】
特定の実施形態では、75mgの抗体または抗原結合断片が2週間ごとに患者に投与される。特定の実施形態では、150mgの抗体または抗原結合断片が2週間ごとに患者に投与される。特定の実施形態では、300mgの抗体または抗原結合断片が4週間ごとに患者に投与される。
【0042】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1/6を含むHCVR/LCVRアミノ酸配列対の重鎖および軽鎖CDRを含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2、3、および4に記載の3つの重鎖CDR、ならびに配列番号7、8、および10に記載の3つの軽鎖CDRを含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)、および配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含む抗体と同じ、PCSK9上のエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含む抗体のエピトープと重複するPCSK9上のエピトープに結合する。
【0043】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号85および89で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)ならびに軽鎖可変領域(LCVR)の相補性決定領域(CDR)を含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号86、87、88、90、91、および92を有する重鎖ならびに軽鎖CDRアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号85に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号89に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するLCVRを含む。
【0044】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、アリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ロデルシズマブ、ラルパンシズマブ、およびLY3015014からなる群から選択される。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片はアリロクマブである。
【0045】
特定の実施形態では、本方法は、
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与すること
をさらに含む。
【0046】
特定の実施形態では、本方法は、
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約4週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の300mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与すること
をさらに含む。
【0047】
特定の実施形態では、閾値レベルは70mg/dLである。
【0048】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は皮下投与される。
【0049】
特定の実施形態では、患者は、付随する脂質修飾療法(LMT)をさらに受ける。特定の実施形態では、LMTは、スタチン、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、オメガ-3脂肪酸、および胆汁酸封鎖剤からなる群から選択される。特定の実施形態では、LMTはスタチン療法である。特定の実施形態では、スタチンは、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、およびセリバスタチンからなる群から選択される。特定の実施形態では、スタチン療法は、最大耐性量のスタチン療法である。特定の実施形態では、コレステロール吸収阻害剤はエゼチミブである。
【0050】
特定の実施形態では、患者はスタチンに対して不耐性である。
【0051】
特定の実施形態では、インスリン療法は、ヒトインスリン、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリンデテミル、インスリンリスプロ、インスリンデグルデック、インスリンアスパルト、および基礎インスリンからなる群から選択される。特定の実施形態では、患者は、インスリン療法に加えて付随する抗糖尿病療法を受ける。特定の実施形態では、追加の抗糖尿病療法は、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)療法、胃腸ペプチド、グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グレリンアンタゴニストまたは逆アゴニスト、キセニン、キセニン類似体、ビグアナイド、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT-2)阻害剤、SGLT-1阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR-)(アルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレータ、アミリン、アミリンアナログ、Gタンパク質共役受容体119(GPR119)アゴニスト、GPR40アゴニスト、GPR120アゴニスト、GPR142アゴニスト、全身または低吸収性TGR5アゴニスト、糖尿病免疫療法薬、メタボリックシンドロームおよび糖尿病を治療するための抗炎症薬、アデノシンモノプリン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)刺激薬、11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の阻害剤、グルコキナーゼの活性化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ(DGAT)の阻害剤、グルコーストランスポータ-4のモジュレータ、ソマトスタチン受容体3アゴニスト、脂質減少剤、な
らびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0052】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のLDL-Cレベルを、例えば、少なくとも30%、35%、40%、もしくは45%減少させる。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者の非HDL-Cレベルを、例えば、少なくとも20%、25%、30%、35%減少させる。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のApoC3レベルを減少させる。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のリポタンパク質粒子の数および/またはサイズを減少させる。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は:
(a)患者のヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルに影響を及ぼさず;および/または
(b)患者の空腹時血漿グルコース(FPG)レベルに影響を及ぼさない。
【0053】
別の態様によれば、本方法は、T2DMおよびASCVDを有する患者における高コレステロール血症を治療する方法を含み、本方法は、
(a)(i)T2DM、(ii)ASCVD、および(iii)最大耐性量のスタチン療法によって適切に制御されない高コレステロール血症を有する、インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択すること;
(b)患者に2週間ごとに、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を75mg投与すること;および
(c)患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dLより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dL以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与すること
を含み、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。
【0054】
他の実施形態は、以下の詳細な説明の検討から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本明細書の実施例2に記載される研究の主な段階の全体的な設計を示す図である。本研究には、スクリーニング期間、二重盲検治療期間、安全観察期間が含まれる。
図2】IVRSによる1型糖尿病を有する患者のITT集団におけるベースラインからの計算されたLDL-Cレベルの変化パーセントのLS平均(+/-SE)を示すグラフである。最小二乗(LS)平均および標準誤差(SE)は、反復測定(MMRM)分析による混合効果モデルから取得された。このモデルには、治療群の固定されたカテゴリ効果、IVRSによるランダム化層、時間点、および相互作用の治療群ごとの時間点、層ごとの時間点、治療群ごとの層、および治療群ごとの層ごとの時間点、ならびにベースラインで計算されたLDL-C値の連続した固定された共変量、およびベースラインごとの時間点相互作用が含まれる。MMRMモデルは、ITT集団におけるすべての患者(すなわち、1型および2型糖尿病患者)で実行された。
図3】IVRSによる2型糖尿病を有する患者のITT集団におけるベースラインからの計算されたLDL-Cレベルの変化パーセントのLS平均(+/-SE)を示すグラフである。最小二乗(LS)平均および標準誤差(SE)は、反復測定(MMRM)分析による混合効果モデルから取得された。このモデルには、治療群の固定されたカテゴリ効果、IVRSによるランダム化層、時間点、および相互作用の治療群ごとの時間点、層ごとの時間点、治療群ごとの層、および治療群ごとの層ごとの時間点、ならびにベースラインで計算されたLDL-C値の連続した固定された共変量、およびベースラインごとの時間点相互作用が含まれる。MMRMモデルは、ITT集団におけるすべての患者(すなわち、1型および2型糖尿病患者)で実行された。
図4】2型糖尿病およびASCVDを有するITT集団における非HDL-C、LDL-C、ApoB、およびLDL-PNにおけるベースラインから24週目までの変化パーセンテージを示すグラフである。
図5】2型糖尿病およびASCVDを有するITT集団において、24週で非HDL-C<100mg/dL、LDL-C<70mg/dL、およびApoB<80mg/dLを達成する個体のパーセンテージを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本方法は、記載される特定の方法および実験条件に限定されない。これは、このような方法および条件は変化する可能性があるためである。また、本方法の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないこともまた理解されたい。
【0057】
別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用するとき、用語「約」は、特定の列挙された数値に関して使用される場合、その値が列挙された値から1%以下しか変化し得ないことを意味する。例えば、本明細書で使用するとき、「約100」という表現は、99および101、ならびにその間のすべての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
【0058】
本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料が使用されるが、好ましい方法および材料をここに記載する。本明細書で言及されるすべての刊行物は、それらの全体を記載するために参照により本明細書に組み入れる。
【0059】
インスリン療法中の高コレステロール血症および糖尿病を有する患者を治療する方法
インスリン療法中の高コレステロール血症の糖尿病患者を治療するための方法および組成物が提供される。特定の実施形態によれば、これらの方法は、このような患者の血清中のリポタンパク質レベル(例えば、LDL-Cおよび/またはLp(a))の減少をもたらす。
【0060】
本開示はまた、インスリン療法中に高コレステロール血症を有する糖尿病患者の治療に使用するための、PCSK9阻害剤(例えば、PCSK9(例えば、ヒトPCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片)、またはPCSK9阻害剤を含む組成物を提供する。特定の実施形態では、PCSK9阻害剤または組成物は、このような患者の血清中のリポタンパク質(例えば、LDL-Cおよび/またはLp(a))のレベルを減少させるのに有用である。
【0061】
本明細書で使用するとき、用語「リポタンパク質」とは、タンパク質と脂質の両方を含む生体分子粒子を意味する。リポタンパク質の例には、例えば、低密度リポタンパク質(LDL)、超低密度リポタンパク質(VLDL)、中密度リポタンパク質(IDL)、およびリポタンパク質(a)(Lp(a))が含まれる。
【0062】
しばしば単に糖尿病と呼ばれる真性糖尿病は、身体が十分なインスリンを産生しないため、または産生されるインスリンに細胞が応答しないために、ヒトが高い血糖値を有する一群の代謝疾患である。最も一般的な糖尿病のタイプは次の通りである:(1)身体がインスリンを産生できない1型糖尿病;(2)経時的なインスリン欠乏症の増加を併発する
、身体がインスリンを適切に使用できない2型糖尿病;および(3)女性が妊娠により糖尿病を発症する場合の妊娠糖尿病。糖尿病のすべての形態は、典型的には、多年後に発症する長期合併症のリスクを高める。これらの長期合併症のほとんどは、血管の損傷に基づいており、より大きな血管のアテローム性動脈硬化症から生じる「大血管」疾患と、小血管の損傷から生じる「微小血管」疾患の2つのカテゴリに分割される。大血管疾患の状態の例は、虚血性心疾患、心筋梗塞、脳卒中および末梢血管疾患である。微小血管疾患の例は、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、および糖尿病性神経障害である。
【0063】
特定の実施形態によれば、治療される患者は、1型真性糖尿病(T1DM)または2型真性糖尿病(T2DM)を有し、インスリン療法を受けている。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1年間、T1DMまたはT2DMと診断されている。特定の実施形態では、患者は、30歳前にT1DMと診断された。特定の実施形態では、T1DM患者は、0.2pmol/mLより低いCペプチドレベルを有する。特定の実施形態では、患者は、10%より低いグリコシル化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを有する。
【0064】
特定の実施形態によれば、治療される患者は、脂質修飾療法(LMT)によって適切に制御されない高コレステロール血症を有する。患者の血清LDL-C濃度が、認識された医学的に許容されるレベル、例えば、LMTで少なくとも4週間後、(患者の冠状動脈心疾患の相対的リスクを考慮して)70mg/dL未満に減少しない場合、高コレステロール血症はLMTによって適切に制御されないと見なされる。特定の実施形態では、LMTは最大限に許容されるスタチン療法である。本明細書で使用するとき、「最大耐性量のスタチン療法」とは、患者に許容できない有害な副作用を引き起こすことなく、患者に投与されるスタチンの最高用量を意味する。例えば、本明細書に開示される方法は、アトルバスタチン(アトルバスタチン+エゼチミブを含む)、ロスバスタチン、セリバスタチン、ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン(シンバスタチン+エゼチミブを含む)、プラバスタチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるスタチンの1日用量によって適切に制御されない高コレステロール血症を有するT1DMまたはT2DMを有する患者を治療することを含む。特定の実施形態では、患者はこの療法にして不耐性である場合、患者は付随するスタチン療法を受けない。スタチン不耐症の患者は、例えば、疼痛、痛み、脱力感、またはけいれん、スタチン療法中に開始または増加し、スタチン療法を中止すると停止するものなどの緊張または外傷によるもの以外の骨格筋関連の症状があり得る。
【0065】
患者の選択
本発明の方法および組成物は、高コレステロール血症および糖尿病を有し、インスリン療法を受けている患者の治療に有用である。治療される患者はまた、1つまたはそれ以上の追加の選択基準を示し得る。例えば、患者の計算されたLDL-Cレベルが70mg/dL、100mg/dL、または130mg/dL以上である場合、患者は治療のために選択される。患者は、場合により、少なくとも4週間、少なくとも1つの他の脂質修飾療法(LMT)と組み合わせて、最大耐性量のスタチンで治療され、または患者がスタチン不耐性の場合、患者は、少なくとも1つの非スタチンLMTの最大耐性量で、少なくとも4週間治療されている。スタチンの最大耐性量は、例えば、地域の慣行または地方のガイドラインに基づいて処方された用量、または小児患者の地方の処方情報で指定されている高用量への悪影響により最大耐性量のとして定義できます。スタチン不耐性は、例えば、少なくとも2つのスタチンに耐えられないこととして定義される:1つのスタチンは最低の1日の開始用量であり、もう1つは任意の用量であり、骨格筋関連の症状によるものである。疼痛、痛み、脱力感、またはけいれん、スタチン療法中に開始もしくは増加し、スタチン療法が中止される場合に停止したものなどの緊張または外傷によるものを除く。スタチンの毎日のレジメンを受けていない患者(例えば、週に1~3回)はまた、毎日の用量に耐えられないとみなされる。
【0066】
さらに、患者が心血管(CV)リスクが高い場合、患者は治療のために選択される。特定の実施形態では、高CVリスク患者は、心血管疾患(CVD)および/または少なくとも1つのう追加のCVリスク因子の文書化された病歴を有する。CVDには、限定されないが、冠状動脈性心疾患(CHD)およびCHDのリスク同等物が含まれる。CHDには、限定されないが、急性心筋梗塞(MI)、サイレントMI、不安定狭心症、冠動脈血行再建術(例えば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または冠動脈バイパス術(CABG))、および臨床的に重要なCHD(例えば、侵襲性診断または冠動脈造影、トレッドミルを使用したストレステスト、ストレス心エコー検査、または核イメージングなどの非侵襲的テスト)が含まれる。CHDリスク同等物には、限定されないが、末梢動脈疾患(例えば、実施例2の試験対象患者基準に記載されているもの)、およびアテローム血栓性起源の24時間を超えて持続する局所虚血性神経学的欠損を伴う以前の虚血性脳卒中が含まれる。CVリスク因子には、限定されないが、高血圧、現在の喫煙、男性で45歳以上、女性で55歳以上、ミクロ/マクロアルブミン尿症の病歴、糖尿病性網膜症の病歴、早発性CHDの家族歴(55歳未満の父親または兄弟;65歳未満の母親または姉妹)、低HDL-C(男性<40mg/dL[1.0mmol/L]および女性<50mg/dL[1.3mmol/L])、ならびに文書化された慢性腎疾患(CKD)(例えば、実施例2の試験対象患者基準で定義されているもの)が含まれる。
【0067】
特定の実施形態では、高CVリスク患者は、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有する。特定の実施形態では、ASCVDは、冠状動脈性心疾患(CHD)、虚血性脳卒中、または末梢動脈疾患として定義される。特定の実施形態では、CHDは、急性心筋梗塞、無症候性心筋梗塞、および不安定狭心症を含む。特定の実施形態では、CHDは、急性心筋梗塞、無症候性心筋梗塞、または不安定狭心症として定義される。
【0068】
インスリン療法
本明細書に示されるように、本発明の方法による治療のために選択される糖尿病患者は、インスリンまたはその誘導体を含むインスリン療法を受けており、継続して受けている。市場にあるインスリンは、インスリンの起源(例えば、ウシ、ブタ、ヒトのインスリン)、およびさらにはそれらの組成が異なるため、作用のプロファイル(作用の開始および作用の持続時間)に影響を与える。異なるインスリン製品を組み合わせることにより、多種多様な作用プロファイルを取得し、可能な限り生理学に近い血糖値を設定することができる。例示的なインスリン療法には、ヒトインスリンなどの天然に存在するインスリン、ならびにインスリングラルギン(Gly(A21)-Arg(B31)-Arg(B32)ヒトインスリン、例えば、Lantus(登録商標))などの、作用持続時間が延長された修飾インスリンが含まれ得る。インスリングラルギンは、酸性の透明な溶液として注入され、皮下組織の生理的pH範囲における溶液特性のため、安定した六量体アソシエートとして沈殿される。インスリングラルギンは1日1回注射され、その平坦な血清プロファイル、および夜間低血糖リスクの関連した減少により、他の長時間活性インスリンよりも注目に値する(Schubert-Zsilaveczら、2巻:125~130頁(2001年))。インスリングラルギンは、100U/mLより高い濃度、例えば、270~330U/mLのインスリングラルギンまたは300U/mLのインスリングラルギン(欧州特許第2387989号に開示される)で投与される。他の例示的なインスリン療法には、インスリングルリジン(例えば、Apidra(登録商標))、インスリンデテミル(例えば、Levemir(登録商標))、インスリンリスプロ(例えば、Humalog(登録商標)、Liprolog(登録商標))、インスリンデグルデック(例えば、DegludecPlus(登録商標)、IdegLira(NN9068))、インスリンアスパルトおよびアスパルト製剤(例えば、NovoLog(登録商標))、基礎インスリンおよび類似体(例えばmLY2605541、LY2963016、NN1436)、PEG化インスリンリスプロ(例えば、LY-275585)、長時間作用
型インスリン(例えば、NN1436、Insumera(PE0139)、AB-101、AB-102、Sensulin LLC)、中間作用型インスリン(例えば、Humulin(登録商標)N、Novolin(登録商標)N)、速効型および短時間作用型インスリン(例えば、Humulin(登録商標)R、Novolin(登録商標)R、Linjeta(登録商標)(VIAject(登録商標))、PH20インスリン、NN1218、HinsBet(登録商標))、予混合インスリン、SuliXen(登録商標)、NN1045、インスリン+Symlin(登録商標)、PE-0139、ACP-002ハイドロゲルインスリン、経口、吸入、経皮および口腔または舌下インスリン(例えば、Exubera(登録商標)、Nasulin(登録商標)、Afrezza(登録商標)、インスリントレゴピル、TPM-02インスリン、Capsulin(登録商標)、Oral-lyn(登録商標)、Cobalamin(登録商標)経口インスリン、ORMD-0801、Oshadi経口インスリン、NN1953、NN1954、NN1956、VIAtab(登録商標))が含まれる。また、二官能性リンカーによってアルブミンまたは別のタンパク質に結合しているインスリン誘導体も適している。
【0069】
PCSK9阻害剤
本方法は、PCSK9阻害剤を含む治療組成物を患者に投与することを含む。本明細書で使用するとき、「PCSK9阻害剤」は、ヒトPCSK9に結合または相互作用し、インビトロまたはインビボでPCSK9の正常な生物学的機能を阻害する任意の薬剤である。PCSK9阻害剤のカテゴリの非限定的な例には、小分子PCSK9アンタゴニスト、PCSK9発現または活性の核酸ベースの阻害剤(例えば、siRNAまたはアンチセンス)、PCSK9と特異的に相互作用するペプチドベースの分子(例えば、ペプチボディ)、PCSK9と特異的に相互作用する受容体分子、LDL受容体のリガンド結合部分を含むタンパク質、PCSK9結合足場分子(例、DARPins、HEATリピートタンパク質、ARMリピートタンパク質、テトラトリコペプチドリピートタンパク質、フィブロネクチンベースの足場構築物、および天然に存在するリピートタンパク質に基づく他の足場など[例えば、BoersmaおよびPluckthun、2011年、Curr.Opin.Biotechnol.22巻:849~857頁、およびそこで引用された文献を参照])、および抗PCSK9アプタマーまたはその一部が含まれる。特定の実施形態によれば、本方法との関連で使用されるPCSK9阻害剤は、ヒトPCSK9に特異的に結合する抗PCSK9抗体または抗体の抗原結合断片である。
【0070】
「ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型」または「ヒトPCSK9」または「hPCSK9」という用語は、本明細書で使用するとき、配列番号197に示される核酸配列および配列番号198のアミノ酸配列を有するPCSK9、またはその生物学的に活性な断片を指す。
【0071】
用語「抗体」とは、本明細書で使用するとき、ジスルフィド結合によって相互接続された4つのポリペプチド鎖、2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖、ならびにその多量体(例、IgM)を含む免疫グロブリン分子を指すことが意図される。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてはHCVRまたはVと略記される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、C1、C2およびC3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてはLCVRまたはVと略記される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(C1)を含む。VおよびV領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分化される。各VおよびVは、3つのCDRと4つのFRで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置される。異なる実施形態では、抗PCSK9抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であり、または天然もしくは人工的に改変される。アミノ酸コンセンサス配列
は、2つ以上のCDRの並列分析に基づいて定義される。
【0072】
用語「抗体」とは、本明細書で使用するとき、完全な抗体分子の抗原結合断片も含む。抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」等という用語は、本明細書で使用するとき、抗原に特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然に存在する、酵素的に得られる、合成の、または遺伝子的に操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合断片は、例えば、タンパク質消化、または抗体可変ドメインおよび場合により定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を伴う組換え遺伝子操作技法などの任意の適した標準技法を使用して完全抗体分子から誘導される。このようなDNAは公知であり、および/または、例えば、商業的供給源、DNAライブラリ(例えば、ファージ抗体ライブラリを含む)から容易に入手可能であるか、もしくは合成される。DNAを配列決定し、化学的にまたは分子生物学技術を使用することによって操作して、例えば、1つまたはそれ以上の可変ドメインおよび/もしくは定常ドメインを適切な構成に配置するか、またはコドンを導入する、システイン残基を作製する、アミノ酸を修飾、付加もしくは欠失させる等が可能である。
【0073】
「抗原結合断片」の非限定的な例としては、(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体の超可変領域を模倣するアミノ酸残基(例えば、CDR3ペプチドなどの単離された相補性決定領域(CDR))、または制約させたFR3-CDR3-FR4ペプチドからなる最小認識単位が挙げられる。ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失した抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディ等)、小モジュラー免疫薬(SMIP)、およびサメ可変IgNARドメインなどの他の操作された分子もまた、本明細書で使用するとき、「抗原結合断片」という表現に包含される。
【0074】
抗体の抗原結合断片は、典型的には、少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、任意のサイズまたはアミノ酸組成であり、一般的に、1つまたはそれ以上のフレームワーク配列に隣接するか、またはそれを有するフレーム内に少なくとも1つのCDRを含む。Vと関連付けられたVドメインを有する抗原結合断片において、VおよびVドメインは、任意の適切な配置において互いに相対的に位置される。例えば、可変領域は、二量体であってよく、V-V、V-V、またはV-V二量体を含有し得る。あるいは、抗体の抗原結合断片は、モノマーVまたはVドメインを含有し得る。
【0075】
特定の実施形態では、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合された少なくとも1つの可変ドメインを含み得る。抗体の抗原結合断片内で見出される可変ドメインおよび定常ドメインの非限定的な例示的構成としては、(i)V-C1;(ii)V-C2;(iii)V-C3;(iv)V-C1-C2;(v)V-C1-C2-C3;(vi)V-C2-C3;(vii)V-C;(viii)V-C1;(ix)V-C2;(x)V-C3;(xi)V-C1-C2;(xii)V-C1-C2-C3;(xiii)V-C2-C3;および(xiv)V-Cが挙げられる。上に列挙される例示的な構成のうちのいずれかを含む可変ドメインおよび定常ドメインのいずれの構成において、可変ドメインおよび定常ドメインは、互いに直接連結されか、または完全もしくは部分的ヒンジもしくはリンカー領域によって連結される。ヒンジ領域は、少なくとも2つ(例えば、5、10、15、20、40、60以上)のアミノ酸からなり得、これが単一ポリペプチド分子中の隣接する可変ドメインおよび/または定常ドメイン間の可撓性または半可撓性連結をもたらす。さらに、本発明の抗体の抗原結合断片は、互いにおよび/または1
つもしくはそれ以上のモノマーVもしくはVドメインとの(例えば、ジスルフィド結合による)非共有会合で上に列挙される可変ドメイン構成および定常ドメイン構成のいずれかのホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)を含み得る。
【0076】
完全抗体分子と同様に、抗原結合断片は、単一特異性または多重特異性(例えば、二重特異性)である。抗体の多重特異性抗原結合断片は、典型的には、少なくとも2つの異なる可変ドメインを含み、各可変ドメインは、別個の抗原または同じ抗原上の異なるエピトープに特異的に結合することができる。本明細書に開示される例示的な二重特異性抗体形式を含む任意の多重特異性抗体形式は、当該技術分野において利用可能なルーチン技法を使用して、本方法の抗体の抗原結合断片との関連での使用のために適合される。
【0077】
抗体の定常領域は、補体を固定し、細胞依存性の細胞毒性を媒介する抗体の能力において重要である。したがって、抗体のアイソタイプは、抗体が細胞毒性を媒介することが望ましいかどうかに基づいて選択される。
【0078】
用語「ヒト抗体」とは、本明細書で使用するとき、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を含むことが意図される。ヒト抗体は、それにもかかわらず、例えば、CDRにおいて、および特定のCDR3において、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発によるか、またはインビボでの体細胞突然変異によって誘導された突然変異)を含み得る。しかしながら、用語「ヒト抗体」とは、本明細書で使用するとき、マウスなどの別の哺乳類動物の生殖細胞系に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を含むことを意図しない。
【0079】
用語「組換えヒト抗体」は、本明細書で使用するとき、宿主細胞に形質転換された組換え発現ベクターを使用して発現された抗体などの、組換え手段によって調製、発現、作製、または単離されたすべてのヒト抗体(以下にさらに記載される)、組換え、複合ヒト抗体ライブラリから単離された抗体(下でさらに記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子にトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylorら、(1992年)Nucl.Acids Res.20巻:6287~6295頁を参照されたい)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の、他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作製、または単離された抗体を含むことが意図される。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する。しかしながら、特定の実施形態では、このような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異誘発(または、ヒトIg配列にトランスジェニックな動物が使用される場合は、インビボでの体細胞突然変異誘発)に供され、したがって、組換え抗体のVおよびV領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VおよびV配列に由来する一方で、インビボではヒト抗体生殖細胞系レパートリー内に天然に存在しない配列であり得る。
【0080】
ヒト抗体は、ヒンジ不均一性に関連する2つの形態で存在することができる。一形態において、免疫グロブリン分子は、二量体が鎖間重鎖ジスルフィド結合によって一緒に保持されている約150~160kDaの安定な4本鎖構築物を含む。第2の形態では、二量体は鎖間ジスルフィド結合を介して連結されておらず、共有結合した軽鎖と重鎖(半抗体)から構成される約75~80kDaの分子が形成される。これらの形態は、アフィニティ精製後でさえも分離するのが非常に困難であった。
【0081】
様々な無傷のIgGアイソタイプにおける第2の形態の出現頻度は、限定されないが、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造の違いによる。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域の単一アミノ酸置換は、ヒトIgG1ヒンジを使用して通常観察されるレベルまで
、第2の形態(Angalら、(1993年)Molecular Immunology 30巻:105頁)の出現を有意に減らすことができる。本方法は、所望の抗体形態の収率を改善するために、例えば、生産において望ましいヒンジ、C2またはC3領域に1つまたはそれ以上の突然変異を有する抗体を包含する。
【0082】
「単離抗体」とは、本明細書で使用するとき、その天然環境の少なくとも1つの成分から同定および分離され、ならびに/または回収された抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1つの成分から、または抗体が天然に存在するか、もしくは天然に産生される組織または細胞から分離または除去された抗体は、本方法の目的で「単離された抗体」である。単離された抗体はまた、組換え細胞内のインサイチュの抗体も含む。単離された抗体は、少なくとも1つの精製または単離工程に供された抗体である。特定の実施形態によれば、単離された抗体は、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に含まない。
【0083】
「特異的に結合する」等の用語は、抗体またはその抗原結合断片が、生理的条件下で比較的安定している抗原と複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するかどうかを決定するための方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴等が挙げられる。例えば、本方法との関連で使用される場合、PCSK9に「特異的に結合する」抗体は、表面プラズモン共鳴アッセイにおいて測定した場合、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満、もしくは約0.5nM未満のKを有するPCSK9またはその一部分に結合する抗体を含む。しかしながら、ヒトPCSK9に特異的に結合する単離された抗体は、他(非ヒト)種由来のPCSK9分子などの他の抗原に対する交差反応性を有する。
【0084】
本方法に有用な抗PCSK9抗体は、抗体が由来した対応する生殖系列配列と比較して、重鎖および軽鎖可変ドメインのフレームワークならびに/またはCDR領域において1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、挿入および/もしくは欠失を含み得る。このような突然変異は、本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば、公開の抗体配列データベースから入手可能な生殖系列配列と比較することにより、容易に確認することができる。本方法は、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体およびその抗原結合断片の使用を含み、1つまたはそれ以上のフレームワークおよび/もしくはCDR領域内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が、抗体が由来する生殖系列配列の対応する残基に対して、または別のヒト生殖系列配列の対応する残基に対して、もしくは対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換に対して突然変異される(このような配列変化は、本明細書において総称して「生殖細胞系列突然変異」と称される)。当業者は、本明細書に開示される重鎖および軽鎖可変領域配列から開始して、1つまたはそれ以上の個々の生殖系列突然変異またはそれらの組み合わせを含む多数の抗体および抗原結合断片を容易に産生することができる。特定の実施形態では、Vおよび/またはVドメイン内のフレームワークならびに/またはCDR残基のすべては、抗体が由来する元の生殖系列配列に見られる残基に突然変異して戻される。他の実施形態では、特定の残基のみが、元の生殖系列配列に突然変異して戻され、例えば、FR1の最初の8アミノ酸内またはFR4の最後の8アミノ酸内に見られる突然変異残基のみ、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3内に見られる変異残基のみである。他の実施形態では、1つまたはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR残基は、異なる生殖系列配列(すなわち、抗体が元々由来した生殖系列配列とは異なる生殖系列配列)の対応する残基に突然変異される。さらに、抗体は、フレームワークおよび/またはCDR領域内に2つ以上の生殖細胞系列変異の任意の組み合わせを含み得、例えば、特定の個々の残基が特定の生殖細胞系列配列の対応する残基に突然変異し、一方、元の生殖細胞系列とは異なる特定の他の残基が維持されるか、または異な
る生殖系列配列の対応する残基に突然変異する。一度取得されると、1つまたはそれ以上の生殖細胞系突然変異を含む抗体および抗原結合断片は、結合特異性の改善、結合親和性の増加、拮抗性もしくは作動性の生物学的特性の改善または増大(場合に応じて)、免疫原性の減少などの1つまたはそれ以上の望ましい特性について簡単に試験することができる。この一般的な方法で得られた抗体および抗原結合断片の使用は、本方法に包含される。
【0085】
本方法は、1つまたはそれ以上の保存的置換を有する、本明細書に開示されるHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列のいずれかの変異体を含む抗PCSK9抗体の使用を含む。例えば、本方法は、本明細書に開示されるHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列のいずれかに対して、例えば、10以下、8以下、6以下、4以下などの保存的アミノ酸置換を有する、HCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列を有する抗PCSK9抗体の使用を含む。
【0086】
用語「表面プラズモン共鳴」とは、本明細書で使用するとき、例えば、BIAcore(商標)システム(Biacore Life Sciences division of GE Healthcare、Piscataway、NJ)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによって、リアルタイム相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。
【0087】
用語「K」とは、本明細書で使用するとき、特定の抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指すことが意図される。
【0088】
用語「エピトープ」とは、パラトープとして公知である抗体分子の可変領域における特定の抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原が1を超えるエピトープを有し得る。したがって、異なる抗体は抗原上の異なる領域に結合し得、異なる生物学的効果を有する場合がある。エピトープは、立体的または線状であり得る。立体構造エピトープは、線状ポリペプチド鎖の異なるセグメントからの空間的に並置されたアミノ酸によって生成される。線状エピトープは、ポリペプチド鎖の隣接するアミノ酸残基によって生成されるエピトープである。特定の状況において、エピトープは、抗原上の糖、ホスホリル基、またはスルホニル基の部分を含み得る。
【0089】
特定の実施形態によれば、本方法において使用される抗PCSK9抗体は、pH依存性の結合特性を有する抗体である。本明細書で使用するとき、「pH依存性結合」という表現は、抗体またはその抗原結合断片が「中性pHと比較して酸性pHでPCSK9への結合の減少」を示すことを意味する(本開示の目的のために、両方の表現が互換的に使用される)。例えば、「pH依存性結合特性を有する抗体」には、酸性pHよりも中性pHで高い親和性でPCSK9に結合する抗体およびその抗原結合断片が含まれる。特定の実施形態では、抗体および抗原結合断片は、産生pHより中性pHで少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100倍、またはそれ以上の親和性でPCSK9に結合する。
【0090】
この態様によれば、pH依存性結合特性を有する抗PCSK9抗体は、親の抗PCSK9抗体と比較して1つまたはそれ以上のアミノ酸変異を保有し得る。例えば、pH依存性結合特性を有する抗PCSK9抗体は、例えば、親抗PCSK9抗体の1つまたはそれ以上のCDRに1つまたはそれ以上のヒスチジン置換または挿入を含み得る。したがって、特定の実施形態によれば、親抗体の1つまたはそれ以上のCDRの1つまたはそれ以上のアミノ酸に対するヒスチジン残基の置換を除いて、親抗PCSK9抗体のCDRアミノ酸配列と同一であるCDRアミノ酸配列(例えば、重鎖および軽鎖CDR)を含む抗PCSK9抗体を投与することを含む方法が提供される。pH依存性結合を有する抗PCSK9
抗体は、例えば、親抗体の単一のCDR、または親抗PCSK9抗体の複数の(例えば、2、3、4、5、または6個の)CDR全体に分布して、1、2、3、4、5、6、7、8、9個、またはそれ以上のヒスチジン置換を保有し得る。例えば、本方法は、親抗PCSK9抗体のHCDR1の1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、HCDR2の1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、HCDR3の1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、LCDR1の1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、LCDR2の1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、および/またはLCDR3の1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換を含むpH依存性結合を有する抗PCSK9抗体の使用を含む。
【0091】
本明細書で使用するとき、「酸性pH」という表現は、6.0以下(例えば、約6.0未満、約5.5未満、約5.0未満など)のpHを意味する。「酸性pH」という表現には、約6.0、5.95、5.90、5.85、5.8、5.75、5.7、5.65、5.6、5.55、5.5、5.45、5.4、5.35、5.3、5.25、5.2、5.15、5.1、5.05、5.0、またはそれ以下のpH値が含まれる。本明細書で使用するとき、「中性pH」という表現は、約7.0から約7.4のpHを意味する。「中性pH」という表現には、約7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、および7.4のpH値が含まれる。
【0092】
本方法との関連で使用される抗PCSK9抗体の非限定的な例には、例えば、アリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ロデルシズマブ、ラルパンシズマブ、LY3015014、または前述の抗体のいずれかの抗原結合部分が含まれる。
【0093】
ヒト抗体の調製
トランスジェニックマウスにおいてヒト抗体を生成する方法は、当該技術分野において公知である。このような既知の方法はいずれも、本方法との関連で使用して、ヒトPCSK9に特異的に結合するヒト抗体を作製する。
【0094】
VELOCIMMUNE(商標)技術(例えば、米国特許第6,596,541号、Regeneron Pharmaceuticalsを参照)またはモノクローナル抗体を生成する他の任意の既知の方法を使用して、ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する、PCSK9に対する高親和性キメラ抗体が最初に単離される。VELOCIMMUNE(登録商標)技術は、内因性マウス定常領域遺伝子座に機能的に連結されたヒト重鎖および軽鎖可変領域を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスの生成を含み、それにより、マウスは、抗原刺激に応答してヒト可変領域およびマウス定常領域を含む抗体を産生する。抗体の重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAは単離され、ヒト重鎖および軽鎖定常領域をコードするDNAに機能的に連結される。次に、DNAは、完全なヒト抗体を発現することができる細胞において発現される。
【0095】
一般的に、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、目的の抗原で攻撃され、抗体を発現するマウスからリンパ細胞(B細胞など)が回収される。リンパ細胞を骨髄腫細胞株と融合させて不死のハイブリドーマ細胞株を調製し、このようなハイブリドーマ細胞株をスクリーニングおよび選択して、目的の抗原に特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定する。重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、重鎖および軽鎖の望ましいアイソタイプ定常領域に連結する。このような抗体タンパク質は、CHO細胞などの細胞で産生される。あるいは、抗原特異的キメラ抗体または軽鎖および重鎖の可変ドメインをコードするDNAは、抗原特異的リンパ球から直接単離される。
【0096】
最初に、ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する高親和性キメラ抗体が単離される。抗体は、当業者に公知である標準的な手順を使用して、親和性、選択性、エピトープなどを含む望ましい特性について特徴付けられ、選択される。マウス定常領域は、完全なヒ
ト抗体、例えば、野生型もしくは修飾IgG1またはIgG4を生成するために、所望のヒト定常領域に置換される。選択された定常領域は特定の用途に応じて変化し得るが、高親和性抗原結合および標的特異性の特徴は可変領域にある。
【0097】
一般的に、固相上または溶液相中のいずれかに固定化された抗原に結合することにより測定される場合、使用される抗体は上記のように高親和性を保有する。マウス定常領域は、完全なヒト抗体を生成するために、所望のヒト定常領域に置換される。選択された定常領域は特定の用途に応じて変化し得るが、高親和性抗原結合および標的特異性の特徴は可変領域にある。
【0098】
本方法との関連で使用されるPCSK9に特異的に結合するヒト抗体または抗体の抗原結合断片の具体例には、配列番号1および11からなる群から選択されるアミノ酸配列、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する実施的に類似したその配列を有する重鎖可変領域(HCVR)内に含まれる3つの重鎖CDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)を含む任意の抗体または抗原結合断片が含まれる。あるいは、本方法との関連で使用されるPCSK9に特異的に結合するヒト抗体または抗体の抗原結合断片の具体例には、配列番号37、45、53、61、69、77、85、93、101、109、117、125、133、141、149、157、165、173、181、および189からなる群から選択されるアミノ酸配列、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する実施的に類似したその配列を有する重鎖可変領域(HCVR)内に含まれる3つの重鎖CDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)を含む任意の抗体または抗原結合断片が含まれる。抗体または抗原結合断片は、配列番号6および15からなる群から選択されるアミノ酸配列、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する実施的に類似したその配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)内に含まれる3つの軽鎖CDR(LCVR1、LCVR2、LCVR3)を含み得る。あるいは、抗体または抗原結合断片は、配列番号41、49、57、65、73、81、89、97、105、113、121、129、137、145、153、161、169、177、185、および193からなる群から選択されるアミノ酸配列、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する実施的に類似したその配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)内に含まれる3つの軽鎖CDR(LCVR1、LCVR2、LCVR3)を含み得る。
【0099】
2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、参照アミノ酸配列、すなわち、配列番号で識別されるアミノ酸配列の全長にわたって、2つのアミノ酸配列間に最良の配列アライメントを使用して、および/または配列間の最良の配列アライメントの領域を用いて決定され、最良の配列アラインメントは、公知のツール、例えば、標準設定を使用するAlign、好ましくはEMBOSS::針、Matrix:Blosum62、Gap Open 10.0、Gap Extend 0.5を用いて得られる。
【0100】
特定の実施形態において、抗体または抗原結合タンパク質は、配列番号1/6および11/15からなる群から選択される重鎖ならびに軽鎖可変領域アミノ酸配列対(HCVR/LCVR)からの6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む。あるいは、特定の実施形態では、抗体または抗原結合タンパク質は、配列番号37/41、45/49、53/57、61/65、69/73、77/81、85/89、93/97、101/105、109/113、117/121、125/129、133/137、141/145、149/153、157/161、165/169、173/177、181/185、and 189/193からなる群から選択される重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列対(HCVR/LCVR
)からの6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む。
【0101】
特定の実施形態において、本方法において使用される抗PCSK9抗体または抗原結合タンパク質は、配列番号2/3/4/7/8/10(mAb316P[「REGN727」または「アリロクマブ」とも呼ばれる))および12/13/14/16/17/18(mAb300N)(米国特許出願公開番号2010/0166768を参照)および12/13/14/16/17/18から選択されるHCDR1/HCDR2/HCDR3/LCDR1/LCDR2/LCDR3アミノ酸配列を有し、配列番号16は、アミノ酸残基30でロイシンに対するヒスチジンの置換(L30H)を含む。
【0102】
特定の実施形態では、抗体または抗原結合タンパク質は、配列番号1/6および11/15からなる群から選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む。特定の例示的な実施形態では、抗体または抗原結合タンパク質は、配列番号1のHCVRアミノ酸配列および配列番号6のLCVRアミノ酸配列を含む。特定の例示的な実施形態では、抗体または抗原結合タンパク質は、配列番号11のHCVRアミノ酸配列および配列番号15のLCVRアミノ酸配列を含む。特定の例示的な実施形態では、抗体または抗原結合タンパク質は、配列番号11のHCVRアミノ酸配列、およびアミノ酸残基30でロイシンに対するヒスチジンの置換を含む配列番号15のLCVRアミノ酸配列(L30H)を含む。
【0103】
医薬組成物および投与方法
本方法は、PCSK9阻害剤を患者に投与することを含み、PCSK9阻害剤は医薬組成物内に含まれる。医薬組成物は、適切な担体、賦形剤、および適切な移動、送達、耐性などを提供する他の薬剤とともに製剤化される。多数の適切な製剤は、すべての製薬化学者に公知である処方に見出される:Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company、Easton、PA。これらの製剤には、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)含有ベシクル(LIPOFECTIN(商標)など)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油および油中水エマルジョン、エマルジョンカーボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、ならびにカーボワックスを含む半固体混合物が含まれる。Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA(1998年)J Pharm Sci Technol 52巻:238~311頁を参照されたい。
【0104】
本方法との関連で使用される抗PCSK9抗体を含む例示的な医薬製剤には、米国特許第8,795,669号(とりわけ、アリロクマブを含む例示的な製剤)または国際公開第2013/166448号または国際公開第2012/168491号に記載されている製剤のいずれかが含まれる。
【0105】
様々な送達システムが公知であり、医薬組成物を投与するために使用され、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、変異体ウイルスを発現できる組換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシスへのカプセル化が挙げられる(例えば、Wuら、1987年、J.Biol.Chem.262巻:4429~4432頁を参照されたい)。投与方法には、限定されないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、および経口経路が含まれる。組成物は、任意の便利な経路、例えば、注入またはボーラス注射、上皮もしくは粘膜の内層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を介した吸収により投与され、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与される。
【0106】
医薬組成物は、標準の針と注射器で皮下または静脈内に送達される。加えて、皮下送達
に関して、ペン送達デバイスは、容易に医薬組成物を送達することにおいて用途を有する。このようなペン送達デバイスは、再利用可能または使い捨てであり得る。再利用可能なペン送達装置は、一般的に、医薬組成物を含む交換可能なカートリッジを利用する。カートリッジ内のすべての医薬組成物が投与され、カートリッジが空になったら、空のカートリッジを容易に廃棄し、医薬組成物を含む新しいカートリッジと交換する。次に、ペン配送デバイスを再利用する。使い捨てペンデリバリーデバイスには、交換可能なカートリッジはない。むしろ、使い捨てペン送達装置は、装置内のリザーバーに保持された医薬組成物で事前充填されている。リザーバーから医薬組成物が空になると、デバイス全体が廃棄される。
【0107】
多数の再利用可能なペンおよび自動注射器送達装置は、医薬組成物の皮下送達に用途がある。例としては、限定されないが、ほんの数例を挙げると、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN(商標)I、IIおよびIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、ならびにOPTICLIK(商標)(sanofi-aventis、Frankfurt、Germany)が含まれる。本方法の医薬組成物の皮下送達における用途を有する使い捨てペン送達装置の例には、限定されないが、ほんの数例を挙げると、SOLOSTAR(商標)ペン(sanofi-aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)、およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)オートインジェクタ(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey,L.P.)、およびHUMIRA(商標)ペン(Abbott Labs、Abbott Park I)が含まれる。
【0108】
特定の状況では、医薬組成物は、制御放出システムで送達される。一実施形態では、ポンプが使用される(Langer(前掲);Sefton、1987年、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14巻:201頁を参照されたい)。別の実施形態では、ポリマー材料が使用される;Medical Applications of Controlled Release、LangerおよびWise(編集)、1974年、CRC Pres.、Boca Raton、Floridaを参照されたい。さらに別の実施形態では、制御放出システムは、組成物の標的の近くに配置され、したがって、全身用量の一部のみを必要とする(例えば、Goodson、1984年、Medical Applications of Controlled Release、前掲、2巻、115~138頁を参照されたい)。他の制御放出システムについては、Langer、1990年、Science 249巻:1527~1533頁で検討されている。
【0109】
注射用製剤は、静脈内、皮下、皮内および筋肉内注射、点滴などのための剤形を含み得る。これらの注射用製剤は、公知の方法によって調製される。例えば、注射用製剤は、例えば、注射に従来使用されている滅菌水性媒体または油性媒体に上記の抗体またはその塩を溶解、懸濁もしくは乳化することにより調製される。注射用の水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコースおよび他の補助剤を含む等張液などがあり、これらは、適切
な可溶化剤、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]などと組み合わせて使用される。油性媒体として、例えば、ゴマ油、大豆油などがあり、これらは、可溶化剤、例えば、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと組み合わせて使用される。こうして調製された注射液は、適切なアンプルに充填することが好ましい。
【0110】
有利には、上記の経口または非経口使用のための医薬組成物は、活性成分の用量に適合するのに適した単位用量の剤形に調製される。単位用量のこのような剤形には、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが含まれる。
【0111】
投薬量
患者に投与されるPCSK9阻害剤(例えば、抗PCSK9抗体)の量は、一般的に、治療有効量である。本明細書で使用するとき、「治療有効量」という語句は、LDL-C、ApoB、ApoB100、非HDL-C、総コレステロール、VLDL-C、トリグリセリド、ApoC3、TRL粒子、Lp(a)および残存コレステロールからなる群から選択される1つまたはそれ以上のパラメータにおいて、検出可能な減少(ベースラインから少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、またはそれ以上)をもたらすPCSK9阻害剤の用量を意味する。
【0112】
抗PCSK9抗体の場合、治療有効量は、約0.05mgから約600mg、例えば、約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、または約600mgの抗PCSK9抗体である。特定の例示的な実施形態によれば、抗PCSK9抗体の治療有効量は、30mg、40mgもしくは75mg(例えば、体重が50kg未満、および/または17歳以下の患者のアリロクマブの場合)、50mg、75mgもしくは150mg(例えば、体重が50kg以上、および/または17歳以下の患者のアリロクマブの場合)、または140mgもしくは420mg(例えば、エボロクマブの場合)である。PCSK9阻害剤の他の投薬量は、当業者には明らかである。
【0113】
個々の用量内に含まれる抗PCSK9抗体の量は、患者の体重1キログラムあたりの抗体のミリグラム数(すなわち、mg/kg)で表される。例えば、抗PCSK9抗体は、体重1kgあたり約0.0001から約10mg/kgの用量で患者に投与される。
【0114】
投与レジメン
特定の実施形態によれば、複数回用量のPCSK9阻害剤(すなわち、PCSK9阻害剤を含む医薬組成物)は、定義された時間経過にわたって(例えば、毎日の治療用スタチンレジメンまたは他のバックグランドLMTに加えて)対象に投与され得る。この態様による方法は、複数回用量のPCSK9阻害剤を対象に連続的に投与することを含む。本明
細書で使用するとき、「連続的に投与する」とは、PCSK9阻害剤の各用量が、異なる時間点、例えば、所定の間隔(例えば、時間、日、週または月)で区切られた異なる日に対象に投与されることを意味する。本方法は、PCSK9阻害剤の単一の初期用量、続いてPCSK9阻害剤の1回またはそれ以上の二次用量、および場合によりPCSK9阻害剤の1回またはそれ以上の三次用量を患者に連続的に投与することを含む。
【0115】
「一次投薬」、「二次投薬」、および「三次投薬」という用語は、PCSK9阻害剤を含む医薬組成物の個々の投薬の投与の時間的順序を指す。したがって、「初回投薬」は、治療レジメンの開始時に投与される投薬である(「ベースライン投薬」とも呼ばれる);「二次投薬」は、初回投薬後に投与される投薬である;「三次投薬」は、二次投薬後に投与される投薬である。初回、二次、および三次投薬は、すべて同じ量のPCSK9阻害剤を含み得るが、一般的には投与頻度に関連して互いに異なる可能性がある。しかしながら、特定の実施形態では、初回、二次、および/または三次投薬に含まれるPCSK9阻害剤の量は、治療の過程で互いに異なる(例えば、適宜、上下に調整される)。特定の実施形態では、2回以上(例えば、2、3、4、または5回)の用薬は、治療レジメンの開始時に「負荷用量」として投与され、その後、より低頻度基準(例えば、「維持用量」)で投与される後続の用量が投与される。
【0116】
例示的な実施形態によれば、各二次用量および/または三次用量は、直前の投薬から1~26(例えば、1、1、1と1/2、2、2と1/2、3、3と1/2、4、4と1/2、5、5と1/2、6、6と1/2、7、7と1/2、8、8と1/2、9、9と1/2、10、10と1/2、11、11と1/2、12、12と1/2、13、13と1/2、14、14と1/2、15、15と1/2、16、16と1/2、17、17と1/2、18、18と1/2、19、19と1/2、20、20と1/2、21、21と1/2、22、22と1/2、23、23と1/2、24、24と1/2、25、25と1/2、26、26と1/2、またはそれ以上)週後に投与される。「直前の用量」という語句は、本明細書で使用するとき、一連の複数回投与において、用量を介入することなく、その次の用量を投与する前に、患者に投与される抗原結合分子の用量を意味する。
【0117】
この態様による方法は、PCSK9阻害剤の任意の数の二次用量および/または三次用量を患者に投与することを含み得る。例えば、特定の実施形態では、単一の二次用量のみが患者に投与される。他の実施形態では、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の二次用量が患者に投与される。同様に、特定の実施形態では、単一の三次用量のみが患者に投与される。他の実施形態では、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の三次用量が患者に投与される。
【0118】
複数の二次用量を伴う実施形態では、各二次用量は、他の二次用量と同じ頻度で投与される。例えば、各二次用量は、直前の用量の1~2、4、6、8またはそれ以上の週の後に患者に投与される。同様に、複数の三次用量を伴う実施形態では、各三次用量は、他の三次用量と同じ頻度で投与される。例えば、各三次用量は、直前の用量の1~2、4、6、8またはそれ以上の週の後に患者に投与される。あるいは、二次および/または三次用量が患者に投与される頻度は、治療レジメンの過程にわたって変更することができる。投与の頻度はまた、臨床検査後の個々の患者のニーズに応じて、医師が治療の過程で調整される。
【0119】
本方法は、漸増オプション(本明細書では「用量変更」とも呼ばれる)を含む投与レジメンを含む。本明細書で使用するとき、「漸増オプション」とは、PCSK9阻害剤の特定数の投薬を受けた後、患者が1つまたはそれ以上の定義された治療パラメータの特定の減少を達成していない場合、PCSK9阻害剤の投薬量がその後増加する。例えば、2週間ごとに1回の頻度で患者に75mg用量の抗PCSK9抗体を投与することを含む治療
レジメンの場合では、8週間後(すなわち、0週目、2週目、4週目、6週目、8週目で5回投薬が投与された)、患者が70mg/dL未満の血清LDL-C濃度に達していない場合、抗PCSK9抗体の用量は、その後、例えば、2週間ごとに1回投与される150mgに増加される(例えば、10週目または12週目以降に開始する)。
【0120】
特定の実施形態において、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、2週間ごとに1回の頻度で約75mgの用量で患者に投与される。特定の実施形態では、1回またはそれ以上、2回またはそれ以上、3回またはそれ以上、4回またはそれ以上、または5回またはそれ以上の投薬後に測定された患者のLDL-Cが<70mg/dLである場合、約75mgの用量が維持される。特定の実施形態では、1回またはそれ以上、2回またはそれ以上、3回またはそれ以上、4回またはそれ以上、または5回またはそれ以上の投薬後に測定された患者のLDL-Cが≧70mg/dLのままである場合、約75mgの用量は中止され、その後、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、2週間ごとに1回の頻度で約150mgの用量で患者に投与される。
【0121】
特定の実施形態では、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、4週間ごとに1回の頻度で約300mgの用量で患者に投与される。特定の実施形態では、1回またはそれ以上、2回またはそれ以上、3回またはそれ以上、4回またはそれ以上、または5回またはそれ以上の投薬後に測定された患者のLDL-Cが<70mg/dLである場合、約300mgの用量が維持される。特定の実施形態では、1回またはそれ以上、2回またはそれ以上、3回またはそれ以上、4回またはそれ以上、または5回またはそれ以上の投薬後に測定された患者のLDL-Cが≧70mg/dLのままである場合、約300mgの用量は中止され、その後、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、2週間ごとに1回の頻度で約150mgの用量で患者に投与される。
【0122】
特定の実施形態では、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、2週間ごとに1回の頻度で約150mgの用量で患者に投与される。
【0123】
特定の実施形態では、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が、2週間ごとに1回の頻度で約150mgの用量で患者に投与される場合、約150mgの用量は、少なくとも1回の投薬または少なくとも2、3、4、もしくは5回の連続投薬後に測定された患者のLDL-Cが<10、15、20、または25mg/dLである場合に中断され、その後、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、2週間ごとに1回の頻度で約75mgの用量で患者に投与される。理論に拘束されることを望まないが、非常に低いLDL-Cレベル(例えば、<10、15、20、または25mg/dL)が糖尿病を悪化させるという仮説が立てられる。特定の実施形態では、約150mgの用量が一定用量として患者に投与される。特定の実施形態では、約150mgの用量は、本明細書に開示される用量調整後に患者に投与される(例えば、2週間ごとに約75mg、または4週間ごとに約300mg)。
【0124】
併用療法
本明細書の他の箇所に記載されるように、本方法は、患者の以前に処方された脂質修飾療法(LMT)と組み合わせて(「に加えて」)PCSK9阻害剤を患者に投与することを含み得る。LMTには、限定されないが、スタチン、フィブラート、ナイアシン(例えば、ニコチン酸およびその誘導体)、胆汁酸封鎖剤、エゼチミブ、ロミタピド、フィトステロール、オルリスタットなどが含まれる。例えば、PCSK9阻害剤は、安定した毎日の治療用スタチンレジメンと組み合わせて患者に投与される。PCSK9阻害剤が本方法との関連で組み合わせて投与される例示的な毎日の治療用スタチンレジメンには、例えば、アトルバスタチン(毎日10、20、40または80mg)、(アトルバスタチン/エゼチミブ毎日10/10または40/10)、ロスバスタチン(毎日5、10または20
mg)、セリバスタチン(毎日0.4または0.8mg)、ピタバスタチン(毎日1、2または4mg)、フルバスタチン(毎日20、40または80mg)、シンバスタチン(毎日5、10、20、40または80mg)、シンバスタチン/エゼチミブ(毎日10/10、20/10、40/10または80/10mg)、ロバスタチン(毎日10、20、40または80mg)、プラバスタチン(毎日10、20、40または80mg)、およびそれらの組み合わせが含まれる。特定の実施形態では、スタチン療法は、患者に対する最大耐性のスタチン療法である。PCSK9阻害剤が本方法との関連で組み合わせて投与される他のLMTには、例えば、(1)コレステロールの取り込みおよび/または胆汁酸の再吸収を阻害する薬剤(例えば、エゼチミブ);(2)リポタンパク質の異化を増加させる薬剤(例えば、ナイアシン);ならびに/または(3)22-ヒドロキシコレステロールなどのコレステロール除去に役割を果たすLXR転写因子のアクチベーターが含まれる。
【0125】
特定の実施形態によれば、PCSK9阻害剤(例えば、抗PCSK9抗体、例えばアリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ロデルシズマブ、ラルパンシズマブまたはLY3015014)をアンジオポエチン様タンパク質3の阻害剤(例えば、抗ANGPTL3抗体、例えば、REGN1500)、アンジオポエチン様タンパク質4の阻害剤(例えば、抗ANGPTL4抗体、例えば、米国特許第9,120,851号において「H1H268P」または「H4H284P」と呼ばれる抗ANGPTL4抗体)、またはアンジオポエチン様タンパク質8の阻害剤(例えば、抗ANGPTL8抗体)と組み合わせて、患者に投与することを含む方法が提供される。
【0126】
特定の実施形態によれば、インスリン療法に加えて、PCSK9阻害剤(例えば、抗PCSK9抗体、例えばアリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ロデルシズマブ、ラルパンシズマブまたはLY3015014)をさらなる抗糖尿病療法と組み合わせて患者に投与することを含む方法が提供される。例示的な追加の抗糖尿病療法には、限定されないが、以下が含まれる:
(a)Rote Liste 2016に記載されているすべての薬剤(例えば、Rote Liste 2014年、12章に記載されているすべての抗糖尿病薬)、Rote Liste 2016年、06章に記載されているすべての減量剤または食欲抑制薬、Rote Liste 2016年、58章に記載されているすべての脂質減少薬、Rote Liste 2016年、17章に記載されているすべての降圧薬、Rote Listeに記載されているすべての腎保護薬、またはRote Liste 2016年、36章に記載されているすべての利尿薬;
(b)GLP-1、GLP-1類似体、およびGLP-1受容体アゴニストを含むグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)療法、例えば:GLP-1(7-37)、GLP-1(7-36)アミド、リキシセナチド(例えば、Lyxumia(登録商標))、エキセナチド(例えば、Exendin-4、rExendin-4、Byetta(登録商標)、Bydureon(登録商標)、エキセナチドNexP)、エキセナチド-LAR、リラグルチド(例えば、Victoza(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド、デュラグルチド、アルブゴン、オキシントモデュリン、ゲニプロシド、ACP-003、CJC-1131、CJC-1134-PC、GSK-2374697、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド(HM-11260C)、CM-3、GLP-1 Eligen、AB-201、ORMD-0901、NN9924、NN9926、NN9927、Nodexen、Viador-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、ZP-3022、CAM-2036、DA-3091、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTEN(VRS-859)、エキセナチド-XTEN+グルカゴン-XTEN(VRS-859+AMX-808)ならびにポリマー結合GLP-1およびGLP-1類似体;
(c)デュアルGLP-1/GIPアゴニスト(例えば、RG-7697(MAR-7
01)、MAR-709、BHM081、BHM089、BHM098);デュアルGLP-1/グルカゴン受容体アゴニスト(例えば、BHM-034、OAP-189(PF-05212389、TKS-1225)、TT-401/402、ZP2929、LAPS-HMOXM25、MOD-6030);
(d)デュアルGLP-1/ガストリンアゴニスト(例えば、ZP-3022);
(e)胃腸ペプチド、例えば、ペプチドYY3-36(PYY3-36)またはその類似体および膵臓ポリペプチド(PP)またはその類似体;
(f)グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グレリンアンタゴニストまたは逆アゴニスト、キセニンおよびその類似体。
(g)ジペプチジルペプチダーゼ-IV(DPP-4)阻害剤、例えば:アログリプチン(例えば、Nesina(登録商標)、Kazano(登録商標))、リナグリプチン(例えば、Ondero(登録商標)、Trajenta(登録商標)、Trajenta(登録商標)、Trayenta(登録商標))、サキサグリプチン(例えば、Onglyza(登録商標)、Komboglyze XR(登録商標))、シタグリプチン(例えば、Januvia(登録商標)、Xelevia(登録商標)、Tesavel(登録商標)、Janumet(登録商標)、Velmetia(登録商標)、Juvisync(登録商標)、JanumetXR(登録商標))、アナグリプチン、テネリグリプチン(例えば、Tenelia(登録商標))、トレラグリプチン、ビルダグリプチン(例えば、Galvus(登録商標)、Galvumet(登録商標))、ゲミグリプチン、オマリグリプチン、エボグリプチン、デュトグリプチン、DA-1229、MK-3102、KM-223、KRP-104、PBL-1427、塩酸ピノキサシン、およびAri-2243;
(h)ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT-2)阻害剤、例えば:カナグリフロジン、ダパグリフロジン、レモグリフロジン、レモグリフロジンエタボネート、セルグリフロジン、エンパグリフロジン、イプラグリフロジン、トフォグリフロジン、ルセオグリフロジン、エルツグリフロジン、EGT-0001442、LIK-066、SBM-TFC-039、およびKGA-3235(DSP-3235);
(i)SGLT-2およびSGLT-1の二重阻害剤(例えば、LX-4211、LIK066);
(j)SGLT-1阻害剤(例えば、LX-2761、KGA-3235など)または回腸胆汁酸転移(IBAT)阻害剤(例えば、GSK-1614235+GSK-2330672など)などの抗肥満薬と組み合わせたSGLT-1阻害剤;
(k)ビグアナイド(例えば、メトホルミン、ブホルミン、フェンホルミン);
(l)チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン)、グリタゾン類似体(例えば、ロベグリタゾン);
(m)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR-)(アルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレータ(例えば、サログリタザール(例えば、リパグリン(登録商標))、GFT-505)、またはPPARガンマ部分アゴニスト(例えば、Int-131);
(n)スルホニル尿素(例えば、トルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリド、アマリル(登録商標)、グリピジド)およびメグリチニド(例、ナテグリニド、レパグリニド、ミチグリニド);
(o)アルファ-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ミグリトール、ボグリボース);
(q)アミリンおよびアミリン類似体(例えば、プラムリンチド、Symlin(登録商標));
(p)Gタンパク質共役受容体119(GPR119)アゴニスト(例えば、GSK-1292263、PSN-821、MBX-2982、APD-597、ARRY-981、ZYG-19、DS-8500、HM-47000、YH-Chem1);
(q)GPR40アゴニスト(例えば、TUG-424、P-1736、P-11187、JTT-851、GW9508、CNX-011-67、AM-1638、AM-5262);
(r)GPR120アゴニストおよびGPR142アゴニスト;
(s)全身性または低吸収性TGR5(GPBAR1=Gタンパク質共役胆汁酸受容体1)アゴニスト(例えば、INT-777、XL-475、SB756050);
(t)糖尿病免疫療法薬、例えば:経口CCケモカイン受容体2型(CCR-2)アンタゴニスト(例えば、CCX-140、JNJ-41443532)、インターロイキン1ベータ(IL-1β)アンタゴニスト(例えば、AC-201)、または経口モノクローナル抗体(MoA)(例えば、メタロザミド、VVP808、PAZ-320、P-1736、PF-05175157、PF-04937319);
(v)メタボリックシンドロームおよび糖尿病の治療のための抗炎症剤、例えば:核因子カッパB阻害剤(例えば、Triolex(登録商標));
(w)アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)刺激剤、例えば:イメグリミン(PXL-008)、デビオ-0930(MT-63-78)、R-118;
(x)11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1(11-ベータ-HSD-1)の阻害剤(例えば、LY2523199、BMS770767、RG-4929、BMS816336、AZD-8329、HSD-016、BI-135585);
(y)グルコキナーゼの活性化剤(例えば、PF-04991532、TTP-399(GK1-399)、GKM-001(ADV-1002401)、ARRY-403(AMG-151)、TAK-329、TMG-123、ZYGK1);
(z)ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ(DGAT)の阻害剤(例えば、プラジガスタット(LCQ-908))、タンパク質チロシンホスファターゼ1の阻害剤(例えば、トロデュスクミン)、グルコース-6-ホスファターゼの阻害剤、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼの阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼの阻害剤、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの阻害剤、グリコーゲンシンターゼキナーゼの阻害剤、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼの阻害剤;
(aa)グルコーストランスポータ-4のモジュレータ、ソマトスタチン受容体3アゴニスト(例えば、MK-4256);
(bb)1つまたはそれ以上の脂質減少薬もまた組み合わせパートナーとして適している、例えば、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-コエンザイム-A-レダクターゼ(HMG-CoA-レダクターゼ)阻害剤、例えば、シンバスタチン(例えば、Zocor(登録商標)、Inegy(登録商標))、Simcor(登録商標))、アトルバスタチン(例えば、Sortis(登録商標)、Caduet(登録商標))、ロスバスタチン(例えば、Crestor(登録商標))、プラバスタチン(例えば、Lipostat(登録商標)、Selipran(登録商標))、フルバスタチン(例えば、Lescol(登録商標))、ピタバスタチン(例えば、Livazo(登録商標)、Livalo(登録商標))、ロバスタチン(例えば、Mevacor(登録商標)、Advicor(登録商標))、メバスタチン(例えば、Compactin(登録商標))、リバスタチン、セリバスタチン(Lipobay(登録商標))、フィブラート、例えば、ベザフィブラート(例えば、Cedur(登録商標)遅延)、シプロフィブラート(例えば、Hyperlipen(登録商標))、フェノフィブラート(例えば、Antara(登録商標)、Lipofen(登録商標)、リパンチル(登録商標))、ゲムフィブロジル(例えば、Lopid(登録商標)、Gevilon(登録商標))、エトフィブラート、シンフィブラート、ロニフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブリド、ニコチン酸およびその誘導体(例えば、ナイアシンの徐放性製剤を含むナイアシンなど)、ニコチン酸受容体1アゴニスト(例えば、GSK-256073)、PPAR-deltaアゴニスト、アセチルCoA-アセチルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤(例えば、avasimibe)、コレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブ、Ezetrol(登録商標)、Zetia(登録商標)、Liptruzet(登録商標)、Vyt
orin(登録商標)、S-556971)、胆汁酸結合物質(例えば、コレスチラミン、コレセベラム)、回腸胆汁酸輸送(IBAT)阻害剤(例えば、GSK-2330672、LUM-002)、ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(MTP)阻害剤(例えば、ロミタピド(AEGR-733)、SLx-4090、グラノタピド)、プロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)のモジュレータ(例えば、アリロクマブ(REGN727/SAR236553)、AMG-145、LGT-209、PF-04950615、MPSK3169A、LY3015014、ALD-306、ALN-PCS、BMS-962476、SPC5001、ISIS-394814、1B20、LGT-210、1D05、BMS-PCSK9Rx-2、SX-PCK9、RG7652)、LDL受容体アップレギュレーター、例えば、肝臓選択的甲状腺ホルモン受容体ベータアゴニスト(例えば、エピロチローム(KB-2115)、MB07811、ソベチロメム(QRX-431)、VIA-3196、ZYT1)、HDL上昇化合物タンパク質、例えば、コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)阻害剤(例えば、アナセトラピブ(MK0859)、ダルセトラピブ、エバセトラピブ、JTT-302、DRL-17822、TA-8995、R-1658、LY-2484595、DS-1442)、またはデュアルCETP/PCSK9阻害剤(例えば、K-312)、ATP結合カセット(ABC1)レギュレーター、脂質代謝モジュレータ(例えば、BMS-823778、TAP-301、DRL-21994、DRL-21995)、ホスホリパーゼA2(PLA2)阻害剤(例えば、ダラプラディブ、Tyrisa(登録商標)、バレスプラディブ、リラプラディブ)、ApoA-Iエンハンサ(例えば、RVX-208、CER-001、MDCO-216、CSL-112)、コレステロール合成阻害剤(例えば、ETC-1002)、脂質代謝調節剤(例えば、BMS-823778、TAP-301、DRL-21994、DRL-21995)ならびにオメガ3脂肪酸およびその誘導体(例えば、イコサペントエチル(AMR101)、Epanova(登録商標)、AKR-063、NKPL-66、PRC-4016、CAT-2003);
(cc)ブロモクリプチン(例えば、Cycloset(登録商標)、Parlodel(登録商標))、フェンテルミンおよびフェンテルミン製剤または組み合わせ(例えば、Adipex-P、Ionamin、Qsymia(登録商標))、ベンズフェタミン(例えば、Didrex(登録商標))、ジエチルプロピオン(例えば、Tenuate(登録商標))、フェンジメトラジン(例えば、Adipost(登録商標))、Bontril(登録商標))、ブプロピオンおよび組み合わせ(例えば、Zyban(登録商標)、Wellbutrin XL(登録商標)、Contrave(登録商標)、Empatic(登録商標))、シブトラミン(例えば、Reductil(登録商標)、Meridia(登録商標))、トピラマート(例えば、Topamax(登録商標))、ゾニサミド(例えば、Zonegran(登録商標))、テソフェンシン、オピオイドアンタゴニスト、例えば、ナルトレキソン(例えば、Naltrexin(登録商標)、ナルトレキソン+ブプロピオン)、カンナビノイド受容体1(CB1)アンタゴニスト(例えば、TM-38837)、メラニン濃縮ホルモン(MCH-1)アンタゴニスト(例えば、BMS-830216、ALB-127158(a))、MC4受容体アゴニストおよび部分アゴニスト(例えば、AZD-2820、RM-493)、神経ペプチドY5(NPY5)またはNPY2アンタゴニスト(例えば、ベルネペリト、S-234462)、NPY4アゴニスト(例えば、PP-1420)、ベータ-3-アドレナリン受容体アゴニスト、レプチンまたはレプチン模倣薬、5-ヒドロキシトリプタミン2c(5HT2c)受容体のアゴニスト(例えば、ロカゼリン、Belviq(登録商標))、プラムリンチド/メトレレプチン、リパーゼ阻害剤、例えば、セチリスタット(例えば、Cametor(登録商標))、オルリスタット(例えば、Xenical(登録商標)、Calobalin(登録商標))、血管新生阻害剤(例えば、ALS-L1023)、ベタヒスチジンおよびヒスタミンH3アンタゴニスト(例えば、HPP-404)、AgRP(アグーチ関連タンパク質)阻害剤(例えば、TTP-435)、セロトニン再取り込み阻害剤、例えば、フルオキセチン(例えば、Fluctine(登録商標))、デュロキセ
チン(例えば、Cymbalta(登録商標))、デュアルまたはトリプルモノアミン取り込み阻害剤(ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニン再取り込み)、例えば、セルトラリン(例えば、Zoloft(登録商標))、テソフェンシン、メチオニンアミノペプチダーゼ2)(MetAP2)阻害剤(例えば、ベララニブ)、および線維芽細胞増殖因子受容体4(FGFR4)の産生に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、ISIS-FGFR4Rx)または禁止標的化ペプチド-1(例えば、Adipotide(登録商標));ならびに
(dd)酸化窒素ドナー、AT1アンタゴニストまたはアンギオテンシンII(AT2)受容体アンタゴニスト、例えば、テルミサルタン(例えば、Kinzal(登録商標)、Micardis(登録商標))、カンデサルタン(例えば、Atacand(登録商標)、Blopress(登録商標))、バルサルタン(例えば、Diovan(登録商標)、Co-Diovan(登録商標))、ロサルタン(例えば、Cosaar(登録商標))、エプロサルタン(例えば、Teveten(登録商標))、イルベサルタン(例えば、Aprovel(登録商標)、CoAprovel(登録商標))、オルメサルタン(例えば、Votum(登録商標)、Olmetec(登録商標))、タソサルタン、アジルサルタン(例えば、Edarbi(登録商標))、デュアルアンジオテンシン受容体遮断薬(デュアルARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ACE-2活性剤、レニン阻害剤、プロレニン阻害剤、エンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤、エンドセリン受容体(ET1/ETA)遮断薬、エンドセリンアンタゴニスト、利尿薬、アルドステロンアンタゴニスト、アルドステロン合成酵素阻害薬、アルファ遮断薬、アルファ-2アドレナリン受容体のアンタゴニスト、ベータ遮断薬、混合アルファ/ベータ遮断薬、カルシウムアンタゴニスト、カルシウムチャネル遮断薬(CCB)、カルシウムチャネル遮断薬ジルチアゼムの鼻製剤(例えば、CP-404)、デュアルミネラルコルチコイド/CCB、中央作用性降圧剤、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、アミノペプチダーゼ-A阻害剤、バソペプチド阻害剤、二重血管ペプチド阻害剤、例えばネプリライシン-ACE阻害剤またはネプリライシン-ECE阻害剤、二重作用性AT受容体-ネプリライシン阻害剤、二重AT1/ETAアンタゴニスト、高度糖化末端-製品(AGE)ブレーカー、組換えレナラーゼ、血圧ワクチン、例えば抗RAAS(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)ワクチン、AT1-またはAT2-ワクチン、高血圧薬理ゲノミクスに基づく薬物、例えば高血圧反応を伴う遺伝的多型のモジュレータ、血小板凝集阻害剤、およびその他;ならびに
(ee)適切なそれらの組み合わせ。
【0127】
特定の実施形態では、追加の抗糖尿病療法は、GLP-1療法(例えば、リキシセナチド)である。特定の実施形態では、GLP-1療法は、メチオニン(例えば、L-メチオニンまたはD-メチオニン)とともに製剤化される。特定の実施形態では、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80)、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)、塩化ベンザルコニウム、ヒスチジン、リジン、および/またはEDTAは、GLP-1療法の製剤に存在しないか、または実質的に存在しない。特定の実施形態では、GLP-1療法の製剤は、界面活性剤、例えば、ポリオール(例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、プルロニック、テトロニクス)、部分的および脂肪酸エステルならびに多価アルコールのエステル、例えば、グリセロールおよびソルビトールのエステル(例えば、Span(登録商標)、Tween(登録商標)、Myrj(登録商標)、Brij(登録商標)、Cremophor(登録商標))を含まないか、または実質的に含まない。GLP-1療法の製剤は、適切な防腐剤(例えば、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、および/またはp-ヒドロキシ安息香酸エステル)および適切な張度調整剤(例えば、グリセロール、デキストロース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、グルコース、NaCl、カルシウムまたはマグネシウム化合物、例えば、CaCl)を含むことができる。グリセロール、デキストロース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、およびグルコースの濃度は通
常、100~250mMの範囲であり、NaClは最大150mMの濃度である。
【0128】
特定の実施形態では、患者が受けるインスリン療法は、追加の抗糖尿病療法(例えば、インスリン療法ではない前述の抗糖尿病療法のいずれか)と組み合わされる。例えば、特定の実施形態では、抗糖尿病療法は、インスリン療法(例えば、インスリングラルギン)とGLP-1療法(例えば、リキシセナチド)の組み合わせを含む。これらの療法は、個別に、または単一の医薬組成物で提供することができる。例えば、インスリングラルギンおよびリキシセナチドは、毎日の注射用に単一の医薬組成物(例えば、Soliqua(登録商標)100/33)に製剤化することができる。
【0129】
本方法との関連では、追加の治療活性成分、例えば、上記に列挙された薬剤またはその誘導体のいずれかは、PCSK9阻害剤の投与の直前、同時、または直後に投与される;(本開示の目的のために、このような投与レジメンは、追加の治療活性成分と「組み合わせた」PCSK9阻害剤の投与とみなされる)。本方法は、PCSK9阻害剤が本明細書の他の場所に記載される追加の治療活性成分の1つまたはそれ以上と同時に製剤化される医薬組成物およびその使用方法を含む。
【0130】
アドオン療法としてのPCSK9阻害剤の投与
本治療方法は、高コレステロール血症および糖尿病を有する患者を、PCKS9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片などのPCSK9阻害剤で治療することを含み、PCSK9阻害剤は、患者の既存の毎日の治療用インスリンおよび/またはスタチンレジメンへのアドオンなどの、患者の既存のインスリン療法および/またはLMT(該当する場合)へのアドオンとして投与することができる。
【0131】
例えば、本方法は、アドオン療法レジメンを含み、PCSK9阻害剤は、同じ安定した複数の毎日のインスリンレジメンおよび/または毎日の治療用スタチンレジメン(すなわち、スタチンと同じ投薬量)へのアドオン療法として投与され、患者はPCSK9阻害剤を受ける前であった。他の実施形態では、PCSK9阻害剤は、インスリンおよび/またはスタチンの投薬量より多いまたは少ない量のインスリンおよび/またはスタチンを含む治療用インスリンおよび/またはスタチンレジメンへの追加療法として投与され、患者はPCSK9阻害剤を投与する前であった。例えば、特定の投薬頻度および投薬量で投与されるPCSK9阻害剤を含む治療レジメンを開始した後、患者に投与または処方されるインスリンおよび/またはスタチンの1日用量は、PCSK9阻害剤治療レジメンを開始する前に患者が服用していた1日のスタチン用量と比較して、患者の治療ニーズに応じて、(a)同じままである、(b)増加する、または(c)減少する(例えば、漸増または漸減する)可能性がある。
【0132】
治療効果
本方法は、LDL-C、ApoB、ApoB100、非HDL-C、総コレステロール、VLDL-C、トリグリセリド、Lp(a)、HDL-C、LDL粒子数、LDL粒子サイズ、ApoC3、ApoA-1、トリグリセリドに富むリポタンパク質コレステロール(TRL-C)、および残留コレステロールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の脂質成分の血清レベルの減少をもたらす。特定の実施形態によれば、PCSK9阻害剤を含む医薬組成物の患者への投与は、少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、またはそれ以上の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)のベースラインからの平均パーセントの減少;少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、またはそれ以上のApoBのベースラインからの平均パーセントの減少;少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、またはそれ以上のApoB100のベースラインからの平均パーセントの減少;少なくとも約25%、30%、35%、40%、4
5%、50%、55%、60%、またはそれ以上の非HDL-Cのベースラインからの平均パーセントの減少;少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、またはそれ以上の総コレステロールのベースラインからの平均パーセントの減少;少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、またはそれ以上のVLDL-Cのベースラインからの平均パーセントの減少;少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、またはそれ以上のトリグリセリドのベースラインからの平均パーセントの減少;少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれ以上のLDL粒子の数のベースラインからの平均パーセントの減少;少なくとも約1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%もしくは4%、またはそれ以上のLDL粒子のサイズのベースラインからの平均パーセントの減少;少なくとも約5%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、9.0%、10%、またはそれ以上のアポリポタンパク質C3(ApoC3)のベースラインからの平均パーセントの減少;少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、またはそれ以上のHDL-Cのベースラインからの平均パーセントの増加;少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、またはそれ以上のApoA-1のベースラインからの平均パーセントの増加;少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、またはそれ以上のTRL-Cのベースラインからの平均パーセントの減少;および/または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、またはそれ以上のLp(a)のベースラインからの平均パーセントの減少をもたらす。
【0133】
本方法は、インスリン療法を受けている高コレステロール血症およびT1DMを有する患者を治療することを含み、本方法は、約75~150mg/用量の投薬量、約2週間ごともしくは4週間ごとに約1回の投薬頻度、または本明細書に開示される漸増投薬レジメンに従った投薬レジメンで、患者に複数用量の抗PCSK9抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む。抗PCSK9抗体による治療の約8、10、12、14、16、18、20、22、24週間以上の後、患者は、ベースラインから少なくとも35%、50%、または60%のLDL-Cレベルの減少を示し得る。特定の実施形態では、抗PCSK9抗体による1週間またはそれ以上の治療の後、患者は、ベースラインから約35%、50%、または60%以上のLDL-Cレベルの減少を示す。
【0134】
本方法はまた、インスリン療法を受けている高コレステロール血症およびT2DMを有する患者を治療することを含み、本方法は、約75~150mg/用量の投薬量、約2週間ごともしくは4週間ごとに約1回の投薬頻度、または本明細書に開示される漸増投薬レジメンに従った投薬レジメンで、患者に複数用量の抗PCSK9抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む。抗PCSK9抗体による治療の約8、10、12、14、16、18、20、22、24週間以上の後、患者は、ベースラインから少なくとも40%、48%、または54%のLDL-Cレベルの減少を示し得る。特定の実施形態では、抗PCSK9抗体による1週間またはそれ以上の治療の後、患者は、ベースラインから約40%、48%、または54%以上のLDL-Cレベルの減少を示す。
【0135】
本明細書に開示されるように、本方法は、患者の糖尿病パラメータを変更しない。例えば、特定の実施形態では、本方法は、患者のヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルに影響を及ぼさない(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%を超えて変化しない)。特定の実施形態では、本方法は、患者の空腹時血漿グルコース(FPG)レベルに影響を及ぼさない(例えば、2%、4%、6%、8%、10%、12%、15%、18%、または20%を超えて変化しない)。
【0136】
さらなる実施形態では、本発明は、1型真性糖尿病(T1DM)を有する患者の高コレステロール血症を治療するための、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の使用に関する。
【0137】
なおさらなる実施形態では、本発明は、1型真性糖尿病(T1DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法に関する。
【0138】
一実施形態では、上記使用および/または方法は、
(a)インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者であって、
(i)T1DM、および
(ii)最大耐性のスタチン療法によっては適切に制御されない高コレステロール血症
を有する患者を選択する工程;ならびに
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を75mg、150mgもしくは300mg投与する工程
を含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。
【0139】
上記使用および/または方法の一実施形態では、75mgの抗体または抗原結合断片は2週間ごとに患者に投与される。
【0140】
上記使用および/または方法の一実施形態では、150mgの抗体または抗原結合断片は2週間ごとに患者に投与される。
【0141】
上記使用および/または方法の一実施形態では、300mgの抗体または抗原結合断片は4週間ごとに患者に投与される。
【0142】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2、3、および4に記載の3つの重鎖CDR、ならびに配列番号7、8、および10に記載の3つの軽鎖CDRを含む。
【0143】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)および配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含む。
【0144】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、アリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ロデルシズマブ、ラルパンシズマブおよびLY3015014からなる群から選択される
【0145】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片はアリロクマブである。
【0146】
一実施形態では、上記使用および/または方法は、
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
をさらに含む。
【0147】
一実施形態では、上記使用および/または方法は、
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約4週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の300mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与
するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
をさらに含む。
【0148】
上記使用および/または方法の一実施形態では、閾値レベルは70mg/dLである。
【0149】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は皮下投与される。
【0150】
上記使用および/または方法の一実施形態では、患者は、付随する脂質修飾療法(LMT)をさらに受ける。
【0151】
上記使用および/または方法の一実施形態では、LMTは、スタチン、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、オメガ-3脂肪酸、および胆汁酸封鎖剤からなる群から選択される。
【0152】
上記使用および/または方法の一実施形態では、LMTはスタチン療法である。
【0153】
上記使用および/または方法の一実施形態では、スタチンは、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、およびセリバスタチンからなる群から選択される。
【0154】
上記使用および/または方法の一実施形態では、スタチン療法が最大耐性のスタチン療法である。
【0155】
上記使用および/または方法の一実施形態では、コレステロール吸収阻害剤はエゼチミブである。
【0156】
上記使用および/または方法の一実施形態では、患者はスタチンにして不耐性である。
【0157】
上記使用および/または方法の一実施形態では、インスリン療法は、ヒトインスリン、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリンデテミル、インスリンリスプロ、インスリンデグルデック、インスリンアスパルト、および基礎インスリンからなる群から選択される。
【0158】
上記使用および/または方法の一実施形態では、患者は、インスリン療法に加えて付随する抗糖尿病療法を受ける。
【0159】
上記使用および/または方法の一実施形態では、追加の付随する抗糖尿病療法は、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)療法、胃腸ペプチド、グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グレリンアンタゴニストまたは逆アゴニスト、キセニン、キセニン類似体、ビグアナイド、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT-2)阻害剤、SGLT-1阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR-)(アルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレータ、アミリン、アミリンアナログ、Gタンパク質共役受容体119(GPR119)アゴニスト、GPR40アゴニスト、GPR120アゴニスト、GPR142アゴニスト、全身または低吸収性TGR5アゴニスト、糖尿病免疫療法薬、メタボリックシン
ドロームおよび糖尿病を治療するための抗炎症薬、アデノシンモノプリン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)刺激薬、11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の阻害剤、グルコキナーゼの活性化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ(DGAT)の阻害剤、グルコーストランスポータ-4のモジュレータ、ソマトスタチン受容体3アゴニスト、脂質減少剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0160】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のLDL-Cレベルを少なくとも30%、35%、40%、または45%減少させる。
【0161】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者の非HDL-Cレベルを少なくとも25%、30%、35%、もしくは40%減少させる。
【0162】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のアポリポタンパク質C3(ApoC3)レベルを減少させる。
【0163】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者におけるリポタンパク質粒子の数および/またはサイズを減少させる。
【0164】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は:
(a)患者のヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルに影響を及ぼさない;および/または
(b)患者の空腹時血漿グルコース(FPG)レベルに影響を及ぼさない。
【0165】
さらなる実施形態では、本発明は、1型真性糖尿病(T1DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療するための使用および/または方法に関し、本方法は、
(a)インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者であって、
(i)T1DM、および
(ii)最大耐性のスタチン療法によっては適切に制御されない高コレステロール血症
を有する患者を選択する工程;
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を75mg、2週間ごとに投与する工程;ならびに
(c)患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dLより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dL以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
を含み、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。
【0166】
さらなる実施形態では、本発明は、2型真性糖尿病(T2DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療するための使用および/または方法に関し、本方法は、
(a)インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者であって、
(i)T2DM、および
(ii)最大耐性のスタチン療法によって適切に制御されていない高コレステロール血症を有する患者を選択する工程;ならびに
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の75mg、150mgもしくは300mgを投与する工程と
を含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。
【0167】
上記使用および/または方法の一実施形態では、75mgの抗体または抗原結合断片は2週間ごとに患者に投与される。
【0168】
上記使用および/または方法の一実施形態では、150mgの抗体または抗原結合断片は2週間ごとに患者に投与される。
【0169】
上記使用および/または方法の一実施形態では、300mgの抗体または抗原結合断片は4週間ごとに患者に投与される。
【0170】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2、3、および4に記載の3つの重鎖CDR、ならびに配列番号7、8、および10に記載の3つの軽鎖CDRを含む。
【0171】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)、および配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含む。
【0172】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、アリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ロデルシズマブ、ラルパンシズマブ、およびLY3015014からなる群から選択される。
【0173】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片はアリロクマブである。
【0174】
上記使用および/または方法の一実施形態では、
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
をさらに含む。
【0175】
上記使用および/または方法の一実施形態では、
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約4週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の300mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
をさらに含む。
【0176】
上記使用および/または方法の一実施形態では、閾値レベルは70mg/dLである。
【0177】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は皮下投与される。
【0178】
上記使用および/または方法の一実施形態では、患者は、付随する脂質修飾療法(LMT)をさらに受ける。
【0179】
上記使用および/または方法の一実施形態では、LMTは、スタチン、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、オメガ-3脂肪酸、および胆汁酸封鎖剤からなる群から選択される。
【0180】
上記使用および/または方法の一実施形態では、LMTはスタチン療法である。
【0181】
上記使用および/または方法の一実施形態では、スタチンは、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、およびセリバスタチンからなる群から選択される。
【0182】
上記使用および/または方法の一実施形態では、スタチン療法は最大耐性量のスタチン療法である。
【0183】
上記使用および/または方法の一実施形態では、コレステロール吸収阻害剤はエゼチミブである。
【0184】
上記使用および/または方法の一実施形態では、患者はスタチンにして不耐性である。
【0185】
上記使用および/または方法の一実施形態では、インスリン療法は、ヒトインスリン、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリンデテミル、インスリンリスプロ、インスリンデグルデック、インスリンアスパルト、および基礎インスリンからなる群から選択される。
【0186】
上記使用および/または方法の一実施形態では、患者は、インスリン療法に加えて付随する抗糖尿病療法を受ける。
【0187】
上記使用および/または方法の一実施形態では、追加の付随する抗糖尿病療法は、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)療法、胃腸ペプチド、グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グレリンアンタゴニストまたは逆アゴニスト、キセニン、キセニン類似体、ビグアナイド、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT-2)阻害剤、SGLT-1阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR-)(アルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレータ、アミリン、アミリンアナログ、Gタンパク質共役受容体119(GPR119)アゴニスト、GPR40アゴニスト、GPR120アゴニスト、GPR142アゴニスト、全身または低吸収性TGR5アゴニスト、糖尿病免疫療法薬、メタボリックシンドロームおよび糖尿病を治療するための抗炎症薬、アデノシンモノプリン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)刺激薬、11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の阻害剤、グルコキナーゼの活性化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ(DGAT)の阻害剤、グルコーストランスポータ-4のモジュレータ、ソマトスタチン受容体3アゴニスト、脂質減少剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0188】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のLDL-Cレベルを少なくとも30%、35%、40%、もしくは45%減少させる。
【0189】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者の非HDL-Cレベルを少なくとも20%、25%、30%、もしくは35%減少させる。
【0190】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のApoC3レベルを減少させる。
【0191】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者におけるリポタンパク質粒子の数および/またはサイズを減少させる。
【0192】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は:
(a)患者のヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルに影響を及ぼさない;および/または
(b)患者の空腹時血漿グルコース(FPG)レベルに影響を及ぼさない。
【0193】
さらなる実施形態では、本発明は、2型真性糖尿病(T2DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療するための使用および/または方法に関し、本方法は、
(a)インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者であって、
(i)T2DM、および
(ii)最大耐性のスタチン療法によっては適切に制御されない高コレステロール血症
を有する患者を選択する工程;
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を75mg、2週間ごとに投与する工程;ならびに
(c)患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dLより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dL以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
を含み、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。
【0194】
さらなる実施形態では、本発明は、2型真性糖尿病(T2DM)およびアテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有する患者における高コレステロール血症を治療するための、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の使用に関する。
【0195】
なおさらなる実施形態では、本発明は、T2DMおよびASCVDを有する患者における高コレステロール血症を治療する方法に関する。
【0196】
一実施形態では、上記使用および/または方法は、
(a)インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者であって、
(i)T2DM、
(ii)ASCVD、および
(iii)最大耐性のスタチン療法によって適切に制御されていない高コレステロール血症を有する患者を選択する工程;ならびに
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の75mg、150mgもしくは30
0mgを投与する工程
を含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。
【0197】
上記使用および/または方法の一実施形態では、ASCVDは、冠状動脈性心疾患(CHD)、虚血性脳卒中、または末梢動脈疾患として定義される。
【0198】
上記使用および/または方法の一実施形態では、CHDは、急性心筋梗塞、無症候性心筋梗塞、および不安定狭心症を含む。
【0199】
上記使用および/または方法の一実施形態では、75mgの抗体または抗原結合断片は2週間ごとに患者に投与される。
【0200】
上記使用および/または方法の一実施形態では、150mgの抗体または抗原結合断片は2週間ごとに患者に投与される。
【0201】
上記使用および/または方法の一実施形態では、300mgの抗体または抗原結合断片は4週間ごとに患者に投与される。
【0202】
上記使用および/または方法の一実施形態では、配列番号2、3、および4に記載の3つの重鎖CDR、ならびに配列番号7、8、および10に記載の3つの軽鎖CDRを含む。
【0203】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)、および配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含む。
【0204】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、アリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ロデルシズマブ、ラルパンシズマブ、およびLY3015014からなる群から選択される。
【0205】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片がアリロクマブである。
【0206】
一実施形態では、上記使用および/または方法は、
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与する工程
をさらに含む。
【0207】
一実施形態では、上記使用および/または方法は、
(c)患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベルより低い場合、約4週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の300mgの抗体またはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが閾値レベル以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の投薬量の150mgの抗体またはその抗原結合断片を投与する工程
を含む。
【0208】
上記使用および/または方法の一実施形態では、閾値レベルは70mg/dLである。
【0209】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は皮下投与される。
【0210】
上記使用および/または方法の一実施形態では、患者は、付随する脂質修飾療法(LMT)をさらに受ける。
【0211】
上記使用および/または方法の一実施形態では、LMTは、スタチン、コレステロール吸収阻害剤、フィブラート、ナイアシン、オメガ-3脂肪酸、および胆汁酸封鎖剤からなる群から選択される。
【0212】
上記使用および/または方法の一実施形態では、LMTはスタチン療法である。
【0213】
上記使用および/または方法の一実施形態では、スタチンは、アトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、およびセリバスタチンからなる群から選択される。
【0214】
上記使用および/または方法の一実施形態では、スタチン療法が最大耐性量のスタチン療法である。
【0215】
上記使用および/または方法の一実施形態では、コレステロール吸収阻害剤はエゼチミブである。
【0216】
上記使用および/または方法の一実施形態では、患者はスタチンにして不耐性である。
【0217】
上記使用および/または方法の一実施形態では、インスリン療法は、ヒトインスリン、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリンデテミル、インスリンリスプロ、インスリンデグルデック、インスリンアスパルト、および基礎インスリンからなる群から選択される。
【0218】
上記使用および/または方法の一実施形態では、患者は、インスリン療法に加えて付随する抗糖尿病療法を受ける。
【0219】
上記使用および/または方法の一実施形態では、追加の付随する抗糖尿病療法は、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)療法、胃腸ペプチド、グルカゴン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、グレリンアンタゴニストまたは逆アゴニスト、キセニン、キセニン類似体、ビグアナイド、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、DPP-4阻害剤、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、ナトリウム依存性グルコース輸送体2(SGLT-2)阻害剤、SGLT-1阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR-)(アルファ、ガンマまたはアルファ/ガンマ)アゴニストまたはモジュレータ、アミリン、アミリンアナログ、Gタンパク質共役受容体119(GPR119)アゴニスト、GPR40アゴニスト、GPR120アゴニスト、GPR142アゴニスト、全身または低吸収性TGR5アゴニスト、糖尿病免疫療法薬、メタボリックシンドロームおよび糖尿病を治療するための抗炎症薬、アデノシンモノプリン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)刺激薬、11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の阻害剤、グルコキナーゼの活性化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ(DGAT)の阻害剤、グルコーストランスポータ-4のモジュレータ、ソマトスタチン受容体3アゴニスト、脂質減少剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0220】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のLDL-Cレベルを少なくとも30%、35%、40%、もしくは45%減少させる。
【0221】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者の非HDL-Cレベルを少なくとも20%、25%、30%、もしくは35%減少させる。
【0222】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者のApoC3レベルを減少させる。
【0223】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、患者におけるリポタンパク質粒子の数および/またはサイズを減少させる。
【0224】
上記使用および/または方法の一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は:
(a)患者のヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルに影響を及ぼさない;および/または
(b)患者の空腹時血漿グルコース(FPG)レベルに影響を及ぼさない。
【0225】
さらなる実施形態では、本発明は、T2DMおよびASCVDを有する患者における高コレステロール血症を治療するための使用および/または方法に関し、本方法は、
(a)インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者であって、
(i)T2DM、
(ii)ASCVD、および
(iii)最大耐性のスタチン療法によって適切に制御されない高コレステロール血症
を有する患者を選択すること;
(b)2週間ごとに患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する、75mgの抗体またはその抗原結合断片を投与すること;ならびに
(c)患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dLより低い場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の75mgの抗体もしくはその抗原結合断片を患者に投与するか、または患者におけるLDL-Cレベルが70mg/dL以上の場合、約2週間ごとに1回またはそれ以上の次の用量の150mgの抗体もしくはその抗原結合断片を投与すること
を含み、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含み、患者は付随するインスリン療法を受ける。
【実施例0226】
以下の実施例は、本発明の方法および組成物を作製および使用する方法の完全な開示および説明を当業者に提供するために提示されており、発明者がそれらの発明としてみなす範囲を限定することを意図するものではない。使用された数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力が行われたが、いくつかの実験誤差および偏差を考慮する必要がある。別段の指示がない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。
【実施例0227】
ヒトPCSK9に対するヒト抗体の生成
ヒト抗PCSK9抗体は、米国特許第8,062,640号に記載されているように生
成された。以下の実施例で使用される例示的なPCSK9阻害剤は、「mAb316P」と呼ばれるヒト抗PCSK9抗体であり、「REGN727」または「アリロクマブ」としても知られている。mAb316Pは、以下のアミノ酸配列特性を有する:配列番号5を含む重鎖および配列番号9を含む軽鎖;配列番号1を含む重鎖可変領域(HCVR)および配列番号6を含む軽鎖可変ドメイン(LCVR);配列番号2を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号3を含むHCDR2、配列番号4を含むHCDR3、配列番号7を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号8を含むLCDR2、および配列番号10を含むLCDR3。
【実施例0228】
1型または2型糖尿病を有し、最大耐性のLDL-C減少療法で適切に制御されない心血管リスクが高い高コレステロール血症を有するインスリン治療患者におけるアリロクマブの有効性および安全性を評価するためのランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間研究導入
世界中で3億8千万人を超える人々が糖尿病を患っており、そのほとんどは心血管疾患(CVD)で死亡する。糖尿病のない人々と比較して、糖尿病を有する人々は、CVDを発症するリスクが高く、関連する臨床的合併症を早期の年齢で発症し、平均寿命が約6~7年短くなっている。疾患の人件費が高いことに加えて、CVDはこれらの患者の全体的な医療費に大きく関わる。
【0229】
オデッセイDM-インスリンと名付けられたこの研究は、高心血管(CV)リスクの高コレステロール血症を伴うインスリン療法中の1型または2型真性糖尿病を有し、他の脂質修飾療法(LMT)の有無にかかわらず、スタチンの最大耐性量で十分に制御されていない成人患者を含んだ。
【0230】
研究の目的
本研究の主要な目的は:(a)インスリンで治療された糖尿病を有し、最大耐性のLDL-C減少療法で適切に制御されない高コレステロール血症を有する、心血管リスクの高い患者における24週間の治療後の計算された低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)の減少におけるアリロクマブの有効性をプラセボと比較して評価すること;ならびに(b)インスリンで治療された糖尿病を有する患者におけるアリロクマブの安全性および耐性を評価することである。
【0231】
研究の二次目的は、12週目および24週目での他の脂質パラメータ(例えば、測定されたLDL-C、非高密度リポタンパク質コレステロール(非HDL-C)、アポリポタンパク質B(Apo B)、総コレステロール(TC)、リポタンパク質a(Lp(a))、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)、トリグリセリド(TG)レベル、トリグリセリドに富んだリポタンパク質(TGRL)、アポリポタンパク質A-1(Apo A-1)、アポリポタンパク質C3(ApoC3)、およびLDL粒子の数およびサイズ)に対するプラセボと比較したアリロクマブの有効性を評価することであった。
【0232】
研究設計
これは、1型または2型真性糖尿病のCVリスクが高く、最大耐性のLDL-C低下療法で高コレステロール血症が適切に制御されていない、インスリン治療患者に皮下(SC)注射により投与されるアリロクマブの有効性および安全性を評価するための第3b相のランダム化された二重盲検プラセボ対照多国籍および多施設研究であった。この研究は、最大3週間のスクリーニング期間、24週間の二重盲検治療期間、および二重盲検治療期間の終了後8週間の安全観察期間から構成されていた。
【0233】
患者は、スタチン不耐性でない限り、他の脂質修飾療法(LMT)の有無にかかわらず
、安定した最大耐性量のスタチン療法を受けていた。スタチン用量および投薬レジメン、ならびに他の脂質修飾治療の用量および投薬レジメン(該当する場合)は、スクリーニング期間前の4週間、スクリーニング期間中、およびスクリーニングからランダム化までを含む全研究期間を通じて安定であった。患者は、スクリーニングから24週目の来院までの全研究期間を通じて、グルコースおよび脂質管理のために安定した食事を摂っていた。患者は、地方/地域のケア基準に従って糖尿病の治療を受けていた。
【0234】
患者は、糖尿病の種類(すなわち、1型糖尿病対2型糖尿病)によって層別化された。約400人の患者がランダム化されたときに、2型糖尿病患者の募集が完了した。1型糖尿病患者の募集は、対象募集期間の終わりに完了した。
【0235】
アリロクマブは、75mg Q2Wの開始用量で12週間皮下投与され、8週目での来院時にLDL-Cが≧70mg/dL(1.81mmol/L)である場合、12週目にアリロクマブ150mg Q2Wへと盲検法で漸増させた。8週目の来院時にLDL-C<70mg/dL(1.81mmol/L)の患者は、治療期間が終了するまでアリロクマブ75mg Q2Wを継続した。
【0236】
血液サンプルからの脂質パラメータに関するデータは、ランダム化後にマスクされた。治験責任医師または患者は、治験責任医師の判断による患者の安全性を除き、ランダム化後24週目の来院まで患者の脂質値を独立して評価する試みは行われなかった。
【0237】
患者は、-3、0、8、12、20、および24週目に研究現場を訪れ、各来院時に検査作業を行った。さらに、4週目と32週目に電話回答が行われた。
【0238】
調査医薬品(IMP)の最終投与から70日以内に発生した有害事象(AE)が文書化された。重篤な有害事象(SAE)または特に注目すべき有害事象(AESI)のある患者は、消散、安定化、または死亡するまで追跡された。
【0239】
患者の選択
本研究は、T1DMを有する76人の患者およびT2DMを有する441人の患者を含む合計517人の患者を登録した。
【0240】
試験対象患者基準
この研究に登録した患者は、以下の基準のすべてを満たした:
【0241】
(1)インスリンで治療された1型または2型糖尿病を有し、LDL-Cレベルが70mg/dL(1.81mmol/L)以上であり、他のLMTの有無にかかわらず、スクリーニング来院前(-3週)の少なくとも4週間、患者に耐性であるスタチンの安定した最大用量/レジメンによって適切に制御されていない患者。患者が耐性であるスタチンの最大用量/レジメンは、治験責任医師の判断または懸念に基づいて患者が耐性である最高の登録用量/レジメンであった。スタチン投与量が少ない患者が許容できる理由のいくつかの例には、限定されないが、高用量への悪影響、高齢、低体格指数(BMI)、地域の慣習、地方の処方情報、または併用薬が含まれた。患者は、用量が一貫して摂取されている限り、スタチンの隔日投与を受けていた可能性があった(例えば、毎週月曜日、水曜日、金曜日など)。1種を超えるスタチンによる併用治療は許可されていなかった。治験責任医師が判断したように、スタチン不耐制を文書化した患者、および結果としてスタチン療法を中止した患者もまた研究の対象となった。スタチンの最大用量/レジメンではない理由(スタチン不耐性を含む)は、症例報告書に文書化された。
【0242】
(2)スクリーニング来院時の18歳以上または成年の法定年齢のいずれかの患者。
【0243】
(3)スクリーニング来院前の少なくとも1年に1型または2型糖尿病と診断された患者(-3週)。1型糖尿病と診断された患者は、以下の基準をすべて満たす必要があった:
(a)30歳前に診断。
(b)診断後6か月以内に、毎日複数回の注射レジメン/基礎-食事インスリンレジメンまたはインスリンポンプレジメンで治療された;ならびに
(c)スクリーニング来院時にC-ペプチド<0.2pmol/mL。
【0244】
(4)スクリーニング来院時のグリコシル化ヘモグロビン(HbA1c)<10%(-3週)。治験責任医師の判断に基づいて、研究中にHbA1cの減少を標的とする計画がなかったという条件で、HbA1cが上昇した患者(最大10%)が適格であった。
【0245】
(5)CVDの文書化された病歴(CHDおよび/またはCHDリスク同等物を含む)ならびに/または少なくとも1つの追加のCVリスク因子を有する患者。
【0246】
CHDの病歴には、以下のうちの少なくとも1つが含まれた:
(a)急性心筋梗塞(MI);
(b)サイレントMI;
(c)不安定狭心症;
(d)冠動脈血行再建術(例えば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または冠動脈バイパス移植手術(CABG));および
(e)侵襲的または非侵襲的検査(例えば、冠動脈造影、トレッドミルを使用したストレス検査、ストレス心エコー検査、または核イメージング)によって診断された臨床的に重要なCHD。
【0247】
同等のCHDリスクには、次の少なくとも1つが含まれる:
(a)以下の基準の少なくとも1つを満たす末梢動脈疾患の文書化:
(i)安静時のいずれかの脚の足首上腕インデックス≦0.90とともに、推定されるアテローム性動脈硬化症の現在の間欠性跛行(再現性があり、運動によって生じ、10分以内に安静によって緩和される下肢の筋肉の不快感);
(ii)アテローム性動脈硬化症による片足または両足の血管内処置または外科的介入を伴う、間欠性跛行(再現性があり、運動によって生じ、10分以内に安静によって緩和される下肢の筋肉の不快感)の病歴;および
(iii)アテローム性動脈硬化症による血栓溶解、血管内処置または片足または両足の外科的介入を伴う重症肢虚血の病歴;ならびに
(b)アテローム血栓性の原因であると見なされる、24時間を超えて持続する局所虚血性神経学的欠損を伴う以前の虚血性脳卒中の文書化。出血および非虚血性神経疾患を除外するために、コンピューター断層撮影または磁気ラジオイメージングを行う必要がある。
【0248】
心血管リスク因子には、以下の少なくとも1つが含まれた:
(a)高血圧(降圧薬で確立);
(b)現在の喫煙者;
(c)男性は45歳以上、女性は55歳以上;
(d)ミクロ/マクロアルブミン尿の病歴;
(e)糖尿病性網膜症の病歴(前増殖性または増殖性);
(f)未熟なCHDの家族歴(55歳未満の父親または兄弟;65歳未満の母親または姉妹);
(g)低HDL-C(男性<40mg/dL(1.0mmol/L)および女性<50
mg/dL(1.3mmol/L));ならびに
(h)スクリーニング来院を含む、3か月以上、15≦eGFR<60mL/分/1.73mによって定義される文書化された慢性腎疾患(CKD)。
【0249】
(6)署名された書面によるインフォームドコンセント
除外基準
上記の試験対象患者基準をすべて満たした患者を以下の除外基準についてスクリーニングした:
【0250】
(1)研究方法論に関連する除外基準:
(a)研究中に新しいLMTを開始するか、または現在のLMTの用量を変更するように計画する;
(b)スタチン不耐性でない限り、スクリーニング来院前(-3週)またはスクリーニングからランダム化までの少なくとも4週間、LMT(スタチンまたは他のLMTを含む)の安定した用量ではなく、この症例では、スクリーニング来院前の4週間/スクリーニング期間中にスタチンはない;
(c)スクリーニング来院前(-3週)またはスクリーニングとランダム化来院の間の少なくとも4週間、安定した用量でなかった脂質に影響を与える可能性のある栄養補助食品または市販薬の使用;
(d)スクリーニング来院前(-3週)、またはスクリーニングとランダム化来院の間の4週間以内、酵母米製品の使用;
(e)ランダム化前の少なくとも6週間に安定したレジメンで下垂体/副腎疾患の代替療法として使用しない限り、全身性コルチコステロイドの使用。局所、関節内、鼻、吸入および眼のステロイド療法は「全身」とは見なされず、許可された;
(f)スクリーニング来院前の過去6週間(3週目)にレジメンが安定しており、研究中にレジメンを変更する計画がない場合を除き、継続的なホルモン補充療法の使用;
(g)最近(スクリーニング来院前の3か月以内(-3週)またはスクリーニングとランダム化来院の間)のMI、入院につながる不安定狭心症、制御不能な心不整脈、CABG、PCI、頸動脈手術またはステント留置、脳卒中、一過性虚血発作(TIA)、末梢血管疾患に対する血管内処置または外科的介入;
(h)研究中に予定されたPCI、CABG、頸動脈または末梢血行再建を受ける予定;
(i)過去12か月以内のニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIIまたはIV心不全(表1を参照)の病歴;
(j)スクリーニング時またはランダム化来院時の収縮期血圧>180mmHgまたは拡張期血圧>110mmHg;
(k)スクリーニング来院前の2か月以内(-3週)、スクリーニングとランダム化の間に血漿失調症治療を受けた患者、またはそれを受ける計画がある患者。
(l)出血性脳卒中の病歴;
(m)PCSK9の機能喪失の病歴(すなわち、遺伝的突然変異または配列変異)またはホモ接合型家族性高コレステロール血症の病歴;
(n)適切に治療された基底細胞皮膚がん、扁平上皮細胞がん、もしくは上皮内子宮頸がんを除く、過去5年以内の新しいがんまたはがんの活発な進行;
(o)陽性HIV検査の病歴;
(p)1か月または5半減期のいずれか長い期間内に任意の有効な治験薬を服用した患者;
(q)スクリーニング来院前(-3週目)にコレステロール減少食を以前に指示されていない患者;
(r)スクリーニング中に同意を取り下げた患者(署名済みICFから開始);
(s)治験責任医師が判断した、スクリーニング来院前の2か月以内に5kgを超える
変動として定義された不安定な体重;
(t)BMI>45kg/m、または肥満手術、減量プログラム、または研究中に減量薬を開始する計画;
(u)減量薬の最近の開始(すなわち、スクリーニング来院前の3か月以内、もしくはスクリーニングとランダム化の間)または最近の肥満手術(過去6か月以内)および治験責任医師によって判断された積極的な減量段階にある;
(v)スクリーニング来院前の少なくとも6か月間にインスリンで治療されていない患者、またはスクリーニング来院前の少なくとも3か月間に、安定したインスリンレジメンで治療されていない患者(すなわち、インスリンの種類、注射の一般的な時期/頻度、基礎のみなどの投与モードもしくはパターン(2型糖尿病)、基礎の食事の変化など)、または研究期間中にインスリンの種類/頻度または注射方法の変更が必要になる可能性がある患者;
(w)スクリーニング前の少なくとも3か月間、安定したインスリン投薬量ではない(すなわち、治験責任医師が判断した場合、1日のインスリン投薬量の合計が30%を超える変動)、または治験責任医師が判断した、研究の過程でインスリン/抗高血糖レジメンの強化を必要とする可能性(例えば、新しい薬剤の追加、インスリン投薬量の漸増計画など);
(x)患者が摂取した他の血糖降下薬は、スクリーニング来院前の少なくとも3か月は安定していない;
(y)スクリーニング来院前の2か月以内の最近の糖尿病の代償不全の病歴(すなわち、糖尿病性ケトアシドーシスまたは高浸透圧性高血糖状態(HHS));
(z)研究中に腎代替療法を受けている、または受けようと計画している(例えば、血液透析、腎移植など);
(aa)血清脂質またはリポタンパク質に影響を与えることが知られている、臨床的に重要な未管理の内分泌疾患の存在。甲状腺置換療法を受けている患者は、サイロキシンの投薬量がスクリーニング前の少なくとも3か月間安定しており、患者の感受性甲状腺刺激ホルモン(s-TSH)レベルが、スクリーニング来院時に、検査室の正常範囲の±10%以内であった場合に含めることができる;
(bb)スクリーニング期間中の検査所見(妊娠検査を除き、ランダム化検査を含まない):
(i)血清TG>400mg/dL(4.52mmol/L)(1回の反復検査が許可される);
(ii)出産可能性のある女性の陽性の血清または尿妊娠検査;
(iii)B型肝炎表面抗原またはC型肝炎抗体の陽性検査;
(iv)腎疾患の食事における4変数の変更によるeGFR<15mL/分/1.73m
(MDRD)式;
(v)ALTまたはAST>3×ULN(1回の反復検査が許可される);もしくは
(vi)クレアチンホスホキナーゼ(CPK)>3×ULN(1回の反復検査が許可される);または
(cc)次のような条件/状況:
(i)平均余命の短い患者;
(ii)一次評価にバイアスをかける可能性のある併用治療の要件;
(iii)特定のプロトコル要件を満たすことが不可能(例えば、入院の必要性、研究への来院能力など);
(iv)患者は、治験責任医師または副治験責任医師、研究助手、薬剤師、治験コーディネーター、他のスタッフもしくはプロトコルの実施に直接関与したその血縁者であった;
(v)非協力的、または患者が研究手順に適合しない可能性がある状態;
(vi)研究において患者をランダム化することを不可能にする何らかの技術的/管
理上の理由;または
(vii)治験責任医師または副治験責任医師の判断により、治験の安全な完了が妨げられたり、主要な全身疾患、平均余命の短い患者などの評価項目の評価が制限される、スクリーニング時に特定された臨床的に重大な異常。
【0251】
【表1】
【0252】
(2)実対照薬および/または必須のバックグラウンド療法に関する除外基準:バックグラウンド療法に対するすべての禁忌またはそれぞれの国産品表示に示される使用(適切な場合)の警告/警戒
【0253】
(3)アリロクマブの現在の知識に関連する除外基準:
(a)アリロクマブまたはアリロクマブのいずれかの成分に対する過敏症;
(b)妊娠中または授乳中の女性;
(c)避妊の非常に効果的な方法によって保護されていない出産の可能性のある女性(ICF、および/または特定の地方の要件の場合は地方のプロトコル補遺で定義される)および/または妊娠検査を受ける意思がないもしくは受けることができない女性。出産の可能性がある女性は、スクリーニングおよび組み入れ来院時に妊娠検査が陰性であることを確認する必要がある。彼女らは、研究治療の全期間を通して、IMPの最後の注射後少なくとも10週間、効果的な避妊法を使用しなければならない。適用された避妊法は、「人による使用のための医薬品の登録について技術的要件の調和に関する国際会議。M3(R2):人の臨床試験および医薬品の製造承認の実施のための非臨床安全性試験に関するガイダンス。ICH。2009年6月:1-25」による避妊の非常に効果的な方法のための基準を満たさなければならなかった。閉経後の女性は、少なくとも12か月間は無月経でなければならない。
【0254】
研究治療
調査医薬品
滅菌アリロクマブ製剤は、自動注射器(事前充填ペンとしても知られている)で、ショ糖、ヒスチジン、およびポリソルベート20をともに1mLの体積で含む水性緩衝液pH6.0中に75mg/mLおよび150mg/mLの濃度で供給された。アリロクマブの無菌プラセボは、患者が注射トレーニングを行うため、およびプラセボ治療群の患者のために、タンパク質を1mL容量の事前充填ペンとして添加することなく、アリロクマブと
同じ製剤で調製された。スクリーニング期間中、患者(または別の指定された者)は、IMPの最初の投与前に、事前充填ペンを使用してプラセボ自己注射トレーニングを実行する必要があった。
【0255】
アリロクマブにランダム化された患者の場合、初期用量は75mgであり、Q2Wに1回皮下投与された。8週目のLDL-C値が≧70mg/dL(1.81mmol/L)である場合、アリロクマブにランダム化された患者について、12週目で用量を盲検法で150mg Q2Wに増加させた。プラセボにランダム化された患者には、24週間の治療期間中、Q2Wで皮下注射が行われた。
【0256】
投与経路および投与方法
事前充填されたペントレーニングガイド(自動注射器トレーニングガイド)が現場に提供され、使用説明書(使用のための自動注射器)が患者に提供された。IMPの各投与は、腹部、大腿部、または上腕の外側領域(三角筋領域)への1mLの皮下注射からなった。別の併用薬がIMP注射と同じ部位に注射されている場合、患者はIMPの投与に別の部位を使用するように勧められた。
【0257】
IMPは、自己注射によって、または別の指定された者(例えば、配偶者、血縁者など)によって投与することができる。研究中に指定された者がアリロクマブを患者に注射することになった場合、注射を投与する前にこの者が適切に訓練されていることが確認された。IMPの管理を計画している者は、研究スタッフによって訓練された。
【0258】
訓練中および研究の過程で必要に応じて、患者(または注射を投与する別の指定された者(例えば、配偶者、血縁者など))に指示が与えられた。最初の来院時、および必要に応じて他の来院時に綿密な監督およびフィードバックが行われた。
【0259】
使用済みの事前充填ペンは、患者に提供された鋭利物容器に廃棄された。皮下IMP注射は、解剖学的領域(例えば、右大腿部、次に左大腿部または右腹部、次いで左腹部)内で回転させることが推奨された。また、患者には、研究中に別の解剖学的領域(例えば、大腿部、腹部、または上腕の外側領域など)に注射する選択肢があった。
【0260】
患者はIMPを冷蔵庫に保存するように求められた。投与前に、IMPを室温の安全な場所に約30~40分間置く。その後、IMPはできるだけ早く投与する必要がある。
【0261】
投与の時期
スクリーニング期間中、患者または指定された者は、最初のIMP注射前に、事前に充填されたペンを使用してプラセボ自己注射トレーニングを実施しなければならなかった。
【0262】
ランダム化来院時に、最初のIMP注射は、直接の現場スタッフの監督下で、患者または別の指定された物(例えば、配偶者、血縁者など)によって現場で行われた。この研究では、この最初の注射後少なくとも30分間、患者を調査現場で監視した。指定された者が研究の過程で変更した場合、新しい指定された者はプラセボで訓練された。
【0263】
次に、IMP皮下注射は、Q2Wから最後の注射まで、臨床外で実施された。現場来院と同日に注射が予定されている場合は、採血が完了した後にIMPが投与された。例外的な症例では、患者が研究現場で注射を行うことを望み、その現場で注射の投与に対応する準備ができた場合、それも許可された。
【0264】
IMPは、理想的にはほぼ同じ時刻に、Q2Wの皮下に投与されるべきである。しかしながら、ウィンドウ期間が±3日間であっても許可された。時刻は、患者の好みに基づい
ていた。
【0265】
誤って、または他の状況により、注射を逃した日から7日を超えて遅れるか、または完全に逃した場合、患者は、遅れた注射を投与せずにIMP投与の元のスケジュールに戻るように要求された。誤って、または他の状況により、注射を逃した日から7日以下で遅れた場合、患者は遅れて注射を行い、次に、IMP投与の元のスケジュールを再開するように要求された。
【0266】
非治験薬
薬物はバックグラウンド療法または潜在的な救助薬物のいずれかであるため、以下のクラスの薬物が非IMPとして特定された:
(a)スタチン;
(b)コレステロール吸収阻害剤(エゼチミブ);
(c)胆汁酸結合性金属イオン封鎖剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム);
(d)ニコチン酸;
(e)フィブラート(例えば、フェノフィブラート);
(f)オメガ3脂肪酸(毎日≧1000mg);および
(g)インスリン。
【0267】
スタチンを含むバックグラウンドLMTについて、現場は、患者の安全性監視および管理のための国産品ラベルに従った。患者は、研究中に他のLMTの有無にかかわらず、患者が耐性であるスタチン療法の安定した最大用量/レジメンを受けた。脂質プロファイル値は、ランダム化後に得られたサンプルから盲検化された。それでも、安全上の理由から、患者のバックグラウンドLMTを決定するために、現場はTG警告を認識した。
【0268】
スクリーニング来院(3週目)から24週目の来院まで、バックグラウンドLMTは変更されなかった。この期間中、治験責任医師の判断によると、重要な懸念(限定されないが、中央研究所によって投稿されたTG警告を含む)がそのような変更を保証した例外的な状況にない限り、他のスタチンもしくは他のLMTの用量調整、中止、または開始は行われなかった。反復テストによって確認されたTG警告について、治験責任医師は調査を行い、患者を管理し、医学的判断に従ってバックグラウンドLMTを変えた。
【0269】
患者が薬物療法に耐性であり、安定した用量を維持した場合、すべてのフィブラートがエントリー時に許可された。患者が研究の過程でフィブラートの導入を必要とした場合(すなわち、TG警告に対応する救助治療として)、フェノフィブラートのみを追加することが許可された。バックグランドLMTおよびインスリンはスポンサーから提供された。患者は、地域の規制に準拠してこれらの薬を入手した。
【0270】
盲検化手順
アリロクマブおよびアリロクマブ用のプラセボは、同じように適合した事前充填ペンで提供され、同じように包装され、盲検者を保護するためのラベル付けが含まれた。各治療キットには、スポンサーからのコンピュータープログラムによって生成された番号でラベルされた。治療キットの番号は、患者のランダム化時と、1日24時間、週7日間利用可能なIVRS/IWRSを介してスケジュールされた患者の来院時に、治験責任医師によって取得された。
【0271】
二重盲検設計によれば、研究患者、治験責任医師および研究現場の職員は、研究治療について盲検のままであり、以下に説明する状況を除き、ランダム化(治療コード)へのアクセスはなかった。
【0272】
有害事象
治療コードは、任意の疑わしい予期しない重篤な副作用(SUSAR)、すなわち、任意の予期しない(CIBの特定のセクションによる)、および治験責任医師および/またはスポンサーの判断に従ったIMPの使用に合理的に関連した、重大な有害事象を保健当局に報告するために医薬品安全性監視部門によって盲検化されなかった。
【0273】
脂質パラメータ
中央研究所によって実施されたランダム化来院後に得られた血液サンプルからの脂質パラメータ値は、達成されたLDL-Cレベルに基づいて患者の治療群を推測することができなかったため、現場に伝達されなかった。スポンサーの運用チームは、最終的なデータベースロックが発生するまで、患者の識別に関連する脂質パラメータへのアクセスはなかった。安全の目的で、ランダム化が治験責任医師に送信された後はいつでも、TG値≧500mg/dLの場合にTGが警告を出す。
【0274】
二重盲検治療期間の終わり(24週目の来院)に、治験責任医師は、標準的な慣行に従って患者の脂質を管理し続けた。ランダム化後の脂質値は、原資料で編集され、スポンサーと共有されなかった。
【0275】
抗アリロクマブ抗体
患者の抗アリロクマブ抗体の結果は、研究の進行中に現場に伝達されなかった。スポンサーの運用チームは、最終的なデータベースロックが発生するまで、患者識別番号に関連付けられた抗アリロクマブ抗体の結果へのアクセスはなかった。患者の抗アリロクマブ抗体価の決定に関与する検査技師は、運用チームから除外され、いずれもの潜在的な非盲検化を防ぐためのプロセスが設定された。
【0276】
研究中のランダム化コードの破壊
AEの場合、患者を治療するためにIMPの知識が必要とされる状況でコードが破壊された。可能であれば、コードを破壊する前にモニタリングチーム/研究医との連絡が開始された。すべての呼び出しは、呼び出しの日時、監視チーム内で連絡した者の名前、患者ID、リクエストの文書、および非盲検化の有無の決定を含むように、監視チームによって適切に文書化された。
【0277】
現地でどのシステムが使用されたかに応じて、および/またはその目的のためにスポンサーから提供された任意の他の電話番号を呼び出すことにより、音声自動応答システム(IVRS)/ウェブ自動音声応答システム(IWRS)の適切なモジュールを使用することにより、いつでもコードブレイキングを実行することができる。しかしながら、症例の非盲検化をする前に、治験担当医師に連絡して症例について検討することが好ましかった。ブラインドが破壊された場合、治験責任医師は、日付、時刻、およびコードが破損した理由を文書化し、この情報をe-CRFの適切なページに報告するように要求された。非盲検化の理由を文書化する場合、治験責任医師は、IMPの性質に関するいずれの詳細も提供しなかった。治験責任医師は、データベースを閉鎖するまで、IMPの詳細をスポンサーの代表者または任意のスタッフメンバーに漏らさなかった。さらに、フォーム(例:AE、SAE)に記入する場合、フォームの研究治療は開示されなかった。
【0278】
暗号解読資料はまた、「24時間警報システム」を担当するエンティティにも保存されたが、このシステムは非常に例外的な場合にのみ使用する必要がある(すなわち、IVR/IWRシステムが利用できない、または治験責任医師および/もしくは現場スタッフに連絡できないなど)。しかしながら、IVRSを使用して非盲検化することが好ましい選択肢である。治験責任医師は、臨床監視チームから、地方の暗号解読資料の入手可能性に
ついて通知を受けた。関連する「24時間警報システム」電話番号を含む患者カードが、研究に参加するすべての患者に提供された。規制当局の報告要件に準拠するために、SAEの一部に対して(つまり、関連性があり予期しないSAEの一部に対して)スポンサーによる非盲検化も許可された。
【0279】
コードが破壊された場合、患者はIMP投与を永久に中止した。
【0280】
治療群に患者を割り当てる方法
治療キット番号のランダム化リストは、スポンサーによって中央で生成された。IMP(アリロクマブ75または150mgキット、またはプラセボキット)は、このリストに従って包装された。
【0281】
試験供給運用管理者は、治療キット番号のランダム化リストを提供し、研究生物統計学者は、集中治療配分システム提供者にランダム化スキームを提供した。次に、この集中治療配分システム提供者は、患者に治療を配分する患者ランダム化リストを生成した。
【0282】
患者は、二重盲検治療期間中にプラセボまたはアリロクマブのいずれかを受けるようにランダム化された。ランダム化アリロクマブ:プラセボ比は2:1であった。ランダム化された各患者には、対応する治療キット番号(再補給来院)がいくつかあり、これらは集中治療配分システムによって配分された。ランダム化は、糖尿病の種類(つまり、1型対2型)によって層別化された。
【0283】
治療キット番号は、ランダム化来院(1目日、0週目)時に集中治療配分システムを使用して配分され、次に、12週目に再補給来院として、必要に応じて予定外の来院時に配分された。
【0284】
アリロクマブ治療群の患者については、12週目に配分された治療キットは、漸増規則に従う8週目のLDL-Cレベルに基づいていた。研究現場およびスポンサーに対して盲目的な方法で進めるために、中央検査室と集中治療配分システムの提供者との間で定期的なデータ転送が計画された。
【0285】
患者をランダム化する前に、治験責任医師または被指名人は、集中治療配分システムに連絡しなければならなかった。
【0286】
ランダム化された患者は、そのログファイルから文書化されるように、集中治療配分システムからの治療キット番号で登録および割り当てられた患者として定義された。この研究では、患者を複数回ランダム化することはできなかった。集中治療配分システムに連絡せずに治療が使用された場合、患者はランダム化されていないとみなされ、研究から外された。
【0287】
現場の選択に応じて、IVRSおよびIWRSという2種類の集中治療配分システムが使用された。
【0288】
包装およびラベリング
二重盲検治療期間の間、アリロクマブまたはアリロクマブ用のプラセボのいずれかの二重盲検治療キットは、子供に耐性のあるパッケージに6つの事前充填ペンを含むように調製された。ブラインドを保護するために、注射用のすべての二重盲検治療キットの箱は同じ外観と感触を有していたため、二重盲検ラベルでラベリングされる。
【0289】
注射のための二重盲検治療キットに加えて、スクリーニングの来院でのランダム化前に
行われる注射投与について患者に指示する目的で、アリロクマブ充填済みペン用のプラセボを1つ含むトレーニングキットを調製した(3週目、来院1)。必要と思われる場合は、ランダム化前に追加のトレーニングキットを使用して、アリロクマブのプラセボによる2回目の注射トレーニングを実施した。プラセボによる注射トレーニングが実施され、CRFに文書化された。これには、患者にIMPを投与した指定者が研究中に変更されたかどうかも含まれる。
【0290】
包装は投与スケジュールに従った。ラベリングの内容は、現地の規制仕様および要件に準拠していた。
【0291】
保存条件および保存期間
治験責任医師または他の許可された人(例えば、薬剤師)は、現地の規制、ラベル付け仕様、ポリシー、および手順に従って、IMPを堅牢安全な場所に保存する責任があった。IMPの保存条件の調節、特に温度の調節(冷蔵保存など)および使用中の安定性に関する情報とIMPの取り扱いに関する指示は、スポンサーが提供する規則に従って管理された。
【0292】
IMPは、現場で+2℃から+8℃(36°Fから46°F)の冷蔵庫に保存された。現場の冷蔵庫の温度を毎日チェックし、ログシートに記録した。調査現場に保存されていたIMPは、ラベルに示された保存条件に従って、治験責任医師または被指名人または他の権限のある人の責任の下、適切な鍵のかかった部屋に保存された。
【0293】
研究現場来院での患者へのIMPキットの提供後、研究現場から患者の冷蔵庫へのIMPキットの輸送のための適切な準備は整っていた。
【0294】
研究の評価項目
ベースライン特性には、標準的な人口統計学(例えば、年齢、人種、体重、身長など)、病歴を含む疾患特性、および各患者の投薬歴が含まれた。
【0295】
主要な有効性評価項目
主要な有効性評価項目は、治療順守に関係なくすべてのLDL-C値(ITT推定値)を使用して、包括解析(ITT)集団のベースラインから24週までのLDL-Cの変化率であった。変化率は、100×(24週で計算されたLDL-C値-ベースラインで計算されたLDL-C値)/ベースラインで計算されたLDL-C値、として定義された。
【0296】
ベースラインで計算されたLDL-C値は、最初の二重盲検IMP注射前に得られた最後のLDL-Cレベルであった。24週目に計算されたLDL-Cは、24週目の分析ウィンドウ内で得られたLDL-Cレベルであった。8~24週のすべての計算されたLDL-C値(予定または予定外、絶食または絶食なし)は、上記の定義に従って、適切な場合、主要な有効性評価項目の値を提供するために使用することができた。
【0297】
主要な安全性評価項目
安全パラメータ(AE、検査室パラメータ、バイタルサイン)は、研究を通じて評価された。安全性データの観察は、次の通りであった:
(a)事前治療期間は、署名されたインフォームドコンセントから二重盲検IMP注射の最初の投与までとして定義された。
(b)治療緊急有害事象(TEAE)期間は、二重盲検IMP注射の最初の投薬からIMP注射の最終投与までの時間+70日(10週間)として定義された。これは、二重盲検IMPの停止後10週間まで、治療の残存効果が期待されるためである。
(c)治療後期間は、TEAE期間の終了日の翌日から、すべてのSAEおよびAES
Iのいずれか最後の来訪者の消散/安定化までの時間として定義された。
【0298】
AEは、医薬品を投与した患者または臨床調査患者での任意の不都合な医学的出来事であり、必ずしもこの治療と因果関係を有する必要はなかった。
【0299】
SAEは、任意の用量で以下のような任意の不都合な医学的出来事であった:
(a)死に至った;
(b)生命を脅かすものであった。「重篤」の定義における「生命を脅かす」という用語は、患者が事象の時点で死のリスクにさらされている事象を指した;それがより深刻な場合に、仮説的に死を引き起こし得た事象については言及しなかった;
(c)入院を必要とするか、または既存の入院期間を延長する;
(d)永続的または重大な障害/無能力をもたらした;
(e)先天異常/出生時欠損であった;または
(f)医学的に重要な事象であった。
【0300】
迅速な報告が他の状況、例えば、即座に命にかかわる重大な出来事ではなく、死亡または入院をもたらさないが、患者を危険にさらす可能性があり、または医療もしくは上記の定義にリストされている他の結果の1つを防ぐための外科的介入(具体的な手段または矯正治療)を必要とする重大な医学的事象において適切であるかどうかの決定において、医学的および科学的判断を用いるべきである。
【0301】
医学的に重要な事象の以下のリストは、医学的に重要な事象とみなすべき状態を決定するためのガイドラインとして役立つことが意図された。リストは、網羅的であることを意図していなかった:
(a)アレルギー性気管支けいれん、血液疾患(すなわち、無顆粒球症、再生不良性貧血、骨髄形成不全、骨髄異形成、汎血球減少症など)、またはけいれん(発作、てんかん、てんかん発作、欠勤など)の緊急治療室または自宅での集中治療;
(b)薬物依存または薬物乱用の発生;
(c)ALT>3×ULN+総ビリルビン>2×ULNまたは無症状のALT増加>10×ULN;
(d)自殺未遂または自殺を示唆する何らかの事象。
(e)失神、意識喪失(採血の結果として記録された場合を除く);
(f)水疱性皮膚発疹;
(g)研究中に診断されたまたは研究中に悪化したがん;
(h)慢性神経変性疾患(新たに診断された)または研究中に悪化;ならびに
(i)医薬品を介した感染性病原体の伝播の疑いがある場合(例えば、製品汚染)、感染性病原体の伝播が疑われる。
【0302】
特に注目すべき有害事象(AESI)は、事前に指定された方法で監視、文書化、および管理する必要があるAE(重大または非重大)である。この研究では、AESIは、次の通りであった:
(a)ALTの増加:ALT≧3×ULN(ベースラインALT<ULNの場合)またはALT≧2倍のベースライン値(ベースラインALT≧ULNの場合);
(b)アレルギー事象:治験責任医師がアレルギーとみなす(またはアレルギー成分を含む)アレルギー性薬物反応および/または局所注射部位反応。これは、治験責任医師の医学的判断に従って、過敏症/アレルギーのさらなる評価のために他の医師と相談する必要があったAESIとして報告する必要がある;
(c)妊娠:治験中または治験薬の最終投薬後の70日以内に、女性患者または男性患者のパートナー(女性パートナーおよび現地の規制当局により許可されている場合)で発生する妊娠。妊娠は、すべてのケースでAESIとして記録された。妊娠は、1つまたは
それ以上のSAE基準を満たしている場合にのみ、SAEとして認定された。研究に含まれる女性患者の妊娠の場合、研究製品は中止された。妊娠の追跡調査は、結果が決定されるまで必須であった;
(d)IMPによる症候性の過剰投薬。過量投薬(偶発的または意図的)は、治験責任医師が疑う事象または患者が自発的に通知する事象(体系的な注射回数に基づくものではない)であり、意図された治療間隔内の意図された用量の少なくとも2回(つまり、2回以上の注射が7暦日未満に投与される)として定義され、「症候性過剰投薬(偶発的または意図的)」という用語を使用して報告され、これは、括弧内の状況(例えば、「症候性過剰投薬(偶発的)」または「症候性過剰投薬(意図的)」)を示した;患者を監視し、適切な対症療法を開始した。過剰投薬の状況は、個別のAE/SAEフォームに入力された逐語的および症状(ある場合)で明確に特定された。無症候性の過剰投薬は、標準的なAEとして報告するよう要求された;
(e)神経学的事象:追加の検査/手順および/または専門医への紹介を必要とする神経学的事象は、AESIとして報告するよう要求された。事象に追加の検査/手順および/または専門家への紹介が必要なかった場合、標準AEとして報告することが要求された;ならびに
(f)神経認知事象:すべての神経認知事象はAESIとみなされた。
【0303】
二次的有効性評価項目
本研究の主要な二次的評価項目は、以下の通りであった:
(a)有効性治療期間中のすべてのLDL-C値を使用した、ベースラインから24週目までの計算されたLDL-Cの変化率(治療時推定値);
(b)ベースラインから24週目までの測定されたLDL-Cの変化率(ITT推定値);
(c)ベースラインから12週目までの計算されたLDL-Cの変化率(ITT推定値);
(d)ベースラインから12週目までの測定されたLDL-Cの変化率(ITT推定値);
(e)ベースラインから24週目までの非HDL-Cの変化率(ITT推定値);
(f)ベースラインから24週目までのApo Bの変化率(ITT推定値);
(g)ベースラインから24週目までの総コレステロールの変化率(ITT推定値);
(h)24週でLDL-C<70mg/dLに達した患者の割合(治療中の推定値);
(i)24週でLDL-C<50mg/dLに達した患者の割合(治療中の推定値);
(j)24週で非HDL-C<100mg/dLに達する患者の割合(治療時推定値);
(k)24週で非HDL-C<80mg/dLに達した患者の割合(治療時推定値);
(l)ベースラインから24週目までのLp(a)の変化率(ITT推定値);
(m)ベースラインから24週目までのHDL-Cの変化率(ITT推定値);
(n)ベースラインから24週目までのTGの変化率(ITT推定値);
(o)ベースラインから24週目までのLDL-C粒子数の変化率(ITT推定値);ならびに
(p)ベースラインから24週目までのLDL-C粒子サイズの変化率(ITT推定値)。
【0304】
以下の糖尿病関連評価項目もまた研究で測定された:
(a)ベースラインから12週目および24週目までのHbA1cの絶対変化(ITTおよび治療中の推定値);
(b)ベースラインから12週目および24週目までのFPGの絶対変化(ITTおよび治療中の推定値);
(c)ベースラインから12週目および24週目までの1日のインスリン総投与量の絶
対変化(ITTおよび治療中の推定値);ならびに
(d)ベースラインから12週目および24週目までのグルコース減少治療の数の絶対変化(ITTおよび治療推定値)。
【0305】
この研究の他の有効性評価項目には、以下が含まれる:
(a)ベースラインから12週目までの計算されたLDL-Cの変化率(治療時推定値);
(b)ベースラインから第12週および第24週までの測定されたLDL-Cの変化率(治療時推定値);
(c)ベースラインから12週目(ITTおよび治療中の推定量)および24週目(治療中の推定量)までの非HDL、Apo B、総コレステロール、Lp(a)、HDL-C、およびTGの変化率;
(d)12週目(ITTおよび治療中の推定値)および24週目(ITT推定値)で計算されたLDL-C<50およびさらに<70mg/dLに達する患者の割合;
(e)12週目および24週目に計算されたLDL-Cのベースラインから50%以上減少した患者の割合(ITT推定値);
(f)12週目(ITTおよび治療中の推定値)および24週目(ITTの推定値)で非HDL-C<80mg/dL、およびさらには<100mg/dLに達した者の割合;
(g)12週目および24週目でApo B<80mg/dLに達した患者の割合(ITTおよび治療中の推定値);
(h)ベースラインから12週(ITTおよび治療中の推定値)および24週(治療中の推定値)までのLDL-C粒子数およびサイズの変化率;
(i)ベースラインから12週目および24週目までのTGRL、Apo A-1、およびApo C-IIIの変化率(ITTおよび治療推定値);
(j)ベースラインから12週目および24週目までの比率Apo B/Apo A-1およびTC/HDL-Cの絶対変化(ITTおよび治療中の推定値);
(k)<8%または≧8%のベースラインA1cによると、12週目および24週目で計算されたLDL-C<70および<50mg/dLに達した患者の割合(ITTおよび治療中の推定値);ならびに
(l)<中央値A1cまたは≧中央値A1cのベースラインA1cに従って、12週目および24週目に計算されたLDL-C<70mg/dLおよび<50mg/dLに達した患者の割合(ITTおよび治療中の推定値)。
【0306】
研究手順
週0のウィンドウ期間は+3日であった。8、12、および24週のウィンドウ期間は±3日であった。4、20、および32週のウィンドウ期間は±7日であった。1日目/組み入れ来院後のすべての来院について、1回の来院日が変更された場合、次の来院は図1に概説されている元のスケジュールに従って行われた。
【0307】
採血
脂質パラメータ(例えば、TC、LDL-C、HDL-C、TG、非HDL-C、Apo A、Apo B、Apo C-III、Lp(a)、LDL粒子サイズおよび数)ならびにさらに血漿グルコース関する採血を含むすべての採血が、午前中、絶食状態(すなわち、一晩、少なくとも10から12時間速く喫煙を控える)で、研究を通じて、すべての現場来院のためのIMP注射の前に行われた。採血前の48時間以内のアルコール摂取および24時間以内の激しい運動は勧められなかった。患者が空腹状態ではなかった場合、血液サンプルは収集されず、翌日(またはこの日付にできるだけ近い日)に患者に新しい予約が、絶食の指示(上記の条件を参照)とともに与えられた。
【0308】
臨床検査
図1に概説された研究スケジュールおよび以下のガイドラインに従って、検査室データを収集した:
(a)血液学:4週目と20週目を除くすべての来院;必要に応じて、治験責任医師の臨床的判断に基づいて、0週目に実施することができる;
(b)化学:来院3および6を除くすべての来院;すべての患者に対して0週目に実施すべき血漿グルコースを除き、治験責任医師の臨床的判断に基づいて、必要に応じて、0週目に実施することができる;
(c)HbA1c:スクリーニング時ならびに0、12、および24週目;
(d)脂質パネル:スクリーニング時ならびに0、8、12、20、および24週目;
(e)ベータ定量化によるLDL-Cの測定:0、12、および24週目;
(f)他の脂質評価(Apo B、Apo A-1、Apo C-III、LDL粒子サイズと数、Lp[a]):0、12、および24週目;
(g)肝臓パネル:来院3および6を除くすべての来院;必要に応じて、治験責任医師の臨床的判断に基づいて、0週目に実施することができる。総ビリルビン値が正常範囲を超える場合、共役ビリルビンと非共役ビリルビンへの分化が自動的に行われる;
(h)クレアチンホスホキナーゼ(CPK):来院3および6を除くすべての来院;必要に応じて、治験責任医師の臨床的判断に基づいて、0週目に実施することができる;
(i)B型肝炎表面抗原:スクリーニングのみ;
(j)C型肝炎抗体:スクリーニング時および24週目;研究中にALTが増加した場合、C型肝炎抗体を測定する必要がある;研究中にC型肝炎抗体が陽性であった場合、反射テストが実施された;
(k)妊娠検査(妊娠の可能性がある女性のみ):スクリーニング時のみの血清妊娠検査、0週目と24週目の尿妊娠検査;
(l)甲状腺刺激ホルモン:甲状腺ホルモン補充療法を受けている患者のみのスクリーニング;
(m)C-ペプチド:スクリーニングのみ;
(n)0週目のみのPCSK9レベル;ならびに
(o)抗アリロクマブ抗体(0週目、12週目、および24週目)。
【0309】
尿サンプリング
尿検査は、スクリーニングおよび24週目の来院時に実施された。ディップスティックを実施し、pH、比重、および血液、タンパク質、グルコース、ケトン、硝酸塩、白血球エステラーゼ、ウロビリノーゲン、およびビリルビンの存在を評価した。ディップスティックが異常な場合、標準顕微鏡検査が実施された。顕微鏡検査により、赤血球(RBC)、RBC塊、白血球(WBC)、WBC塊、上皮細胞(移行、腎尿細管、および扁平上皮)、円柱(硝子、上皮、WBC、RBC、顆粒、脂肪、細胞、幅広い、ろう状)、結晶(リン酸三、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、尿酸、無定形、ビウリン酸アンモニウム、ビリルビン、ロイシン、チロシン、シスチン)、細菌、酵母出芽、酵母菌糸、トリコモナス、卵型脂肪体、脂肪、粘液、および精子)の存在について評価した。
【0310】
スクリーニングおよび24週目の来院時に、アルブミン:クレアチニン比を計算するために、アルブミンおよびクレアチニンについてスポット尿検査を実施した。何らかの臨床的に関連する異常な検査値は、関係する患者に対して何らかの決定を下す前に確認のためにすぐに再チェックされた。
【0311】
身体検査
一般的な身体検査が実施された。新しい臨床的に重大な異常またはベースラインからの悪化が組み入れ後に検出された場合、AEが報告され、患者はさらなる治験および/または治験責任医師の医学的判断に従って専門家の診察を考慮された。
【0312】
血圧と心拍数
血圧(BP)は、標準化された条件下で座位で、同日のおよそ同時間に、同じ腕で、同じ装置を用いて(患者が少なくとも5分間、座位で快適に休んだ後)測定された。値は、e-CRFに記録された;収縮期血圧と拡張期血圧の両方が記録された。最初のスクリーニング来院で、BPは両腕で測定された。この来院時に拡張期血圧が最も高い腕が決定され、研究中、この腕で血圧が測定された。この最高値はe-CRFに記録された。
【0313】
心拍数は、BPの測定時に測定された。
【0314】
体重および身長
患者は、下着または非常に軽い衣服を着用し、靴は着用せず、膀胱を空にして、体重を測定した。同じスケールが研究全体で使用された。
【0315】
自己報告された身長は許容できないため、身長を測定した。
【0316】
iTAQ問診
iTAQは、問診表を完了する前の4週間にわたる治療の受容性を評価するための患者報告結果(PRO)尺度であった。患者は8週目および24週目の来院時に完了するように要求された。
【0317】
インスリンログ
患者は、各来院の少なくとも7日前に(該当する場合、基礎インスリンおよび食事時インスリンについて)患者の毎日のインスリン用量を記録し、この情報を次の研究来院に持参すために、インスリンログを完了するように指示された。患者は、研究来院の7日よりも前に1日のインスリン用量を記録することができるが、しかしながら、各来院前の最後の7日間に収集された情報のみがCRFに入力された。
【0318】
結果
計76人のT1DMを有する患者および441人のT2DMを有する患者が登録された。
【0319】
T1DMでランダム化された76人の患者全員が治療され、したがって、安全集団に含まれた。T1DMを有する2人のランダム化された患者(両方ともアリロクマブ群)は、包括解析(ITT)集団に含まれなかった。
【0320】
441人のT2DMを有する患者のうち、3人は治療されず(1人はアリロクマブ群および2人はプラセボ群)、したがって、安全集団には含まれなかった。12人のランダム化されたT2DMを有する患者(7人はアリロクマブ群および5人はプラセボ群)はITT集団に含まれなかった。
【0321】
ベースラインまたは24週目までの分析ウィンドウのいずれかで利用可能な計算されたLDL-C値がない場合、患者はITT集団に含まれなかった。
【0322】
研究患者
T1DMを有する6人(7.9%)の患者は、研究治療を早々に中止した(3人[5.9%]はアリロクマブ群(2人の患者はAEにより中止した)および3人[12.0%]はプラセボ群(2人の患者はAEにより中止した)。アリロクマブ群の3人の患者全員もまた研究期間を完了しなかったが、プラセボ群では2人の患者もまた研究期間を完了せず、1人の患者が研究期間の完了まで研究に残った。
【0323】
【表2】
【0324】
T2DMを有する39人(8.8%)の患者が研究治療を早期に中止した(アリロクマブ群で29人(9.9%)、プラセボ群で10人(6.8%))。アリロクマブ群の29人の患者のうち、18人の患者も研究を中止し、11人の患者が、研究期間が完了するまで研究に残った。プラセボ群では、10人の患者のうち、7人の患者も研究期間を完了せず、3人の患者が、研究期間が完了するまで残った。
【0325】
【表3】
【0326】
人口統計およびベースライン特性
ベースライン特性は、一般的に、アリロクマブおよびプラセボ群で類似していた。T1DMを有するランダム化患者の60.5%は男性であり、T2DMを有する患者のランダム化患者の54.2%は男性であった。平均年齢が56.1(SD=9.5)であるT1DMを有する患者は、平均年齢が64.0(SD=9.1)であるT2DMを有する患者よりも若かった。T1DMを有する患者の平均BMIは30.0kg/m(SD=5.9)であり、T2DMを有する患者の平均BMIは32.6kg/m(SD=5.06)であった。
【0327】
【表4】
【0328】
【表5】
【0329】
ベースラインで計算されたLDL-Cは、T2DMを有する患者(平均=110.4mg/dL、SD=37.3)よりもT1DMを有する患者(平均=121.0mg/dL、SD=51.2)で高かった。ベースライン時のトリグリセリドは、T1DM中央値(Q1:Q3)=102.0mg/dL(76.5:135.0)の患者では、T2DM中央値(Q1:Q3)=147.0mg/dL(105.0:212.0)の患者よりも低かった。
【0330】
【表6】
【0331】
他の脂質パラメータに関して、T1DM患者は、ベースラインからのLDL-C粒子数(LS平均)の減少率が12週目で40.7%、および24週目で44.4%であり、LDL-C粒子サイズの減少率が12週目で2.3%、および24週目で2.3%であった。ApoC3は、これらの患者では12週目で6.9%、および24週目で7.5%減少した。
【0332】
【表7】
【0333】
他の脂質パラメータに関して、T2DM患者は12週で37.6%、24週で38.3%のLDL-C粒子数(LS平均)のベースラインからの減少率、ならびに12週で2.6%、および24週で2.8%のLDL-C粒子サイズの減少率を示した。これらの患者のApoC3は、12週で6.3%、24週で5.8%減少した。
【0334】
T1DMの患者では、糖尿病およびインスリン使用の平均期間は治療群間で類似していた。糖尿病の平均期間は34.92年(SD=12.67)であり、インスリン使用の平均期間は34.81年(SD=12.77)であった。T2DM患者では、治療群間で糖尿病およびインスリン使用の平均期間は類似していた。T2DMにおける糖尿病の平均期間は16.75年(SD=8.13)であり、インスリン使用の平均期間は8.01年(SD=6.90)であった。
【0335】
高コレステロール血症の期間は、一般的に、治療群間ならびにT1DMおよびT2DMの患者間で類似していた。
【0336】
研究者によって報告されたように、スタチン不耐性の患者の割合は、T1DMの患者で
31.6%、T2DMの患者で23.8%であった。
【0337】
ランダム化時にフィブラートを投与された患者の割合は、T1DMの患者で2.6%、T2DMの患者で8.8%であった。
【0338】
ランダム化時のコレステロール吸収阻害剤(エゼチミブを含む)の患者の割合は、プラセボ群(7.6%)よりもアリロクマブ群(13.6%)、特にT2DMを有する患者において高く、患者45人(15.3%)対10人の患者(6.8%)であった。
【0339】
心血管の病歴およびリスク因子は、一般的に治療群間で類似していた。T1DMとT2DMの患者の間で次の相違が観察された。
(1)ASCVDは、T2DM対T1DM患者において、冠動脈心疾患(34.7%対15.8%)および脳卒中(8.2%対2.6%)の頻度が高く、PAD(4.3%対9.2%)の頻度が低いT1DM患者よりもT2DM患者の方が頻度が高かった(40.1%対21.1%)。
(2)ASCVDのない患者のうち、T1DMを有する患者の56.7%が標的臓器損傷(微量アルブミン尿、マクロアルブミン尿)および/またはCKDおよび/または網膜症を有していたのに対し、T2DMを有する患者では39.4%であった。ASCVDのない患者の間でも、以下の追加の心血管リスク因子が観察された:
(a)T2DM患者よりもT1DMでより頻繁である:現在喫煙者(20.0%対14.0%)、前増殖性糖尿病性網膜症(36.7%対12.9%)および増殖性糖尿病性網膜症(20.0%対5.7%)。
(b)T1DMの頻度はT2DM患者よりも低い:高血圧(55.0%対84.8%)、微量アルブミン尿(10.0%対19.7%)、低HDL-C(16.7%対28.0%)
(3)ASCVDのない患者における3つ以上の追加のCVリスク因子の存在は、T1DM患者の45%およびT2DM患者の55.7%で観察された。
【0340】
全体として、T1DMおよびT2DM患者は、両方の治療群で高強度および中程度の強度のスタチンで治療され、患者の割合が高いほど中強度のスタチンで治療された(58.9%)。全体として、T1DMおよびT2DM患者の59.0%はスタチンのみで治療された。
【0341】
【表8】
【0342】
調査医薬品への安全集団の曝露を表10に要約する。
【0343】
【表9】
【0344】
有効性
一次有効性評価項目
アリロクマブは、T1DMおよびT2DMを有する患者のITT集団において、ベースラインから24週目までの計算されたLDL-Cの変化のパーセンテージにおいてプラセボよりも優れていた(表11および12、ならびに図2および3に示す)。T1DM患者のうち、LDL-C<70mg/dL(<1.8mmol/L)を達成する個体の割合は、アリロクマブ群で70.2%、プラセボ群で5.1%(P<0.0001)であり、LDL-C<50mg/dL(1.3mmol/L)を達成した個体の割合は、アリロクマブ群で55.1%、プラセボ群で0%であった(P値は計算不能)。T2DM患者のうち、LDL-C<70mg/dL(<1.8mmol/L)を達成した個体の割合は、アリロクマブ群で76.4%、プラセボ群で7.4%(P<0.0001)であり、LDL-C<50mg/dL(1.3mmol/L)を達成した個体の割合は、アリロクマブ群で50.7%、プラセボ群で2.4%であった(P<0.0001)。有効性の主要評価項目の感度分析では、両方の集団で同様の結果が示された(データを示さず)。
【0345】
【表10】
【0346】
【表11】
【0347】
二次有効性評価項目
アリロクマブは、非HDL-C、ApoB、総コレステロール、およびLp(a)のレベルのベースラインから24週目までの有意な減少(プラセボとの差)、ならびにT1DMおよびT2DMを有する患者のITT集団におけるHDL-Cの増加をもたらした(それぞれ、表13および14に示す)。
【0348】
【表12】
【0349】
【表13】
【0350】
糖尿病関連の評価項目
全体として、FPGおよびHbA1c、およびグルコース減少治療は、両方の治療群のT1DMおよびT2DMを有する患者において経時的に安定したままであった。
【0351】
HbA1cに関して、T1DMコホートでは、アリロクマブ群において、平均HbA1c%は、ベースラインで7.84%(SD=0.94)、平均絶対変化=-0.03%(0.6)であったが、一方、プラセボ群において、平均HbA1cは、ベースラインで7.68%(0.78)、平均絶対変化=-0.23%(0.36)であった。T2DMコホートでは、アリロクマブ群において、平均HbA1cは、ベースラインで7.52%(
0.96)、平均絶対変化=0.18%(0.74)であったが、一方、プラセボ群において、平均HbA1cは、ベースラインで7.54%(1.02)、平均絶対変化=0.06%(0.66)であった。
【0352】
FPGに関して、T1DMコホートでは、アリロクマブ群において、平均FPGは、ベースラインで173mg/dL(SD=70.6)、平均絶対変化=-0.03mg/dL(0.6)であり、一方、プラセボ群において、平均FPGは、ベースラインで166.5mg/dL(75.6)、平均絶対変化=14.6mg/dL(75.9)であった。T2DMコホートでは、アリロクマブ群において、平均FPGは、ベースラインで154.1mg/dL(50.1)、平均絶対変化=9.5mg/dL(61.8)であり、一方、プラセボ群において、平均FPGは、ベースラインで153.5mg/dL(52.5)、平均絶対変化=10.0mg/dL(47.0)であった。
【0353】
安全性
合計で344人の患者(51人のT1DMおよび293人のT2DM)がアリロクマブに曝露され、170人の患者(25人のT1DMおよび145人のT2DM)がプラセボに曝露された。
【0354】
全体として、T1DMまたはT2DMを有する患者の安全集団において、治療中に発生した有害事象(TEAE)を有する患者の割合は、治療群全体で類似していた(表15を参照されたい)。
【0355】
【表14】
【0356】
TEAEは、以下の器官分類(SOC)でより頻繁に(≧10%)報告された:
(a)感染症および侵入(アリロクマブで21.8%対プラセボで21.8%);
(b)胃腸障害(アリロクマブで13.1%対プラセボで12.4%);
(c)筋骨格および結合組織障害(アリロクマブで21.5%対プラセボで15.9%);ならびに
(d)一般的な障害および投与部位の状態(アリロクマブで11.0%対プラセボで8.8%)
【0357】
PTレベルで、アリロクマブ群で最も頻繁に報告されたTEAE(≧2%)と、プラセボ群との差が≧0.5%であったのは、アリロクマブ群の頻度の減少によった:筋肉痛(4.4%対1.8%)、関節痛(2.9%対1.8%)、気管支炎(2.6%対0.6%)、めまい(2.6%対1.2%)、および末梢浮腫(2.0%対0.6%)。対照的に、プラセボ群で最も頻繁に報告されたTEAE(≧2%)と、アリロクマブ群との差が≧
0.5%であったのは、インフルエンザ(2.3%対2.9%)、四肢の痛み(1.7%対2.9%)、低血糖(1.7%対2.4%)、咳(1.5%対2.9%)、筋骨格痛(1.2%対2.4%)、上気道感染(0.9%対2.4%)、高血糖(0.9%対2.4%)、および肺炎(0.6%対2.4%)であった。
【0358】
全体として、アリロクマブ群の25人の患者(7.3%)およびプラセボ群の14人の患者(8.2%)の患者で治療中に発生したSAEが報告された。いずれかの治療群の2人以上の患者で報告されたSAE(PTレベル)は、肺炎(アリロクマブ群の1人の患者(0.3%)対プラセボ群の2人の患者(1.2%))、椎骨孔狭窄(アリロクマブ群の2人の患者(0.6%)対プラセボ群の患者なし)、および尿路感染症(2人の患者(0.6%)対プラセボ群の患者なし)であった。最初のIMP投与(来院3)の1か月後、プラセボ群のT2DM患者で、心筋梗塞による1人の死亡が報告された。全体として、アリロクマブ群の17人の患者(4.9%)とプラセボ群の4人の患者(2.4%)がTEAEを経験し、永続的な治療中止をもたらした。PTレベルで、治療群の2人以上の患者で永続的な治療中止につながるTEAE患者の割合は次の通りであった:頭痛(アリロクマブ群で2人の患者(0.6%)対プラセボ群で患者なし)、認知障害(2人の患者(0.6%)対患者なし)、アレルギー性皮膚炎(2人の患者(0.6%)対患者なし)および筋肉痛(3人の患者(0.9%)対2人の患者(1.2%))。
【0359】
特別な関心の有害事象(AESI)に関して、AESI基準を満たすALTの増加は、ALT≧3×ULN(ベースラインALT<ULNの場合)またはALT≧ベースライン値の2倍(ベースラインALT≧ULNの場合)として定義された。これらの事象は、アリロクマブ群の2人の患者(0.6%)とプラセボ群の1人の患者(0.6%)で報告された。
【0360】
AESI基準を満たすアレルギー薬物反応は、さらなる評価のために別の医師との協議を必要とするアレルギー事象として定義された。これらの事象は、アリロクマブ群の5人の患者(1.5%)に対して、プラセボ群の4人の患者(2.4%)で報告された。これらの反応は、主に皮膚および皮下組織の障害であり、アリロクマブ群の患者3人(0.9%)(アレルギー性皮膚炎1、湿疹1、光線過敏反応1)、およびプラセボ群の患者2人(1.2%)(皮膚炎1、薬疹1)で報告された。アリロクマブ群の他の2つのAESIアレルギー性薬物反応は、薬物過敏症と好酸球増加症であった。
【0361】
AESI基準を満たす神経学的事象は、追加の検査/手順および/または専門家への紹介を必要とする神経学的事象として定義された。このような事象は、アリロクマブ群の1人の患者(0.3%)(感覚異常)とプラセボ群の1人の患者(0.6%)(嚥下障害)で報告された。両方の事象は、T2DM患者で報告された。
【0362】
すべての神経認知事象はAESIとみなされた。スポンサーまたはFDA群ごとの神経認知事象が、アリロクマブ群の4人の患者(1.2%)とプラセボ群の患者なしで報告された。すべての事象はT2DM患者で報告された:認知障害は2人の患者(0.6%)で、記憶障害と記憶喪失はそれぞれ1人の患者(0.3%)で報告された。注目すべきは、2つの認知障害も永続的な治療中止をもたらした。
【0363】
AESI基準を満たす局所注射部位反応は、アレルギー性であり、別の医師との協議を必要とする局所注射部位反応、または臨床的に重要な非アレルギー性局所注射部位反応(例えば、径>2.5cmを有する腫れまたは紅斑の反応;活動を妨げる反応)のいずれかとして定義された。IMPに関連する研究者ごとに確認された(「eCRFあたり」)LISRは、アリロクマブ群の6人の患者(1.7%)対プラセボ群の8人の患者(4.7%)で報告された(アリロクマブに対してプラセボの注射部位反応)。さらなる評価のた
めに他の医師と相談する必要がある反応として定義されたAESI基準を満たす局所注射部位反応(LISR)は報告されなかった。
【0364】
症候性の過剰投薬または妊娠の報告はなかった。
【0365】
肝機能検査(ALT、AST、ALP、総ビリルビン)、CPKおよび腎機能検査(クレアチニン、eGFR、BUN)の分析は、研究されたパラメータのいずれかに対する経時変化の治療群間の差異を明らかにしなかった。PCSA分析では、研究中にどの治療群でもALT増加のPCSAは特定されなかった。ベースライン時のCPK値が正常な患者では、アリロクマブ群の患者7人(2.1%)に対してプラセボ群の患者1人(0.6%)で>3ULN(および≦10ULN)の増加が報告された。すべての患者はT2DMであった。10ULNを超えるCPKの増加は報告されなかった。
【0366】
ベースラインの状態に関係なく、治療期間中に糸球体濾過率(GFR)が軽度、中度、または重度に減少した患者の割合において、数値的に小さな差が観察された:アリロクマブ群においてそれぞれ49.7%、28.1%および3.8%の患者において、ならびにプラセボ群においてそれぞれ50.6%、24.4%と3.6%の患者において、GFRの軽度、中度、重度の減少。同様に、血中クレアチニンの増加(≧30%および<100%)は、アリロクマブ群の13人(3.8%)の患者とプラセボ群の5人の患者(3.0%)で測定された。血中クレアチニンが100%以上増加した患者はいなかった。腎機能に有意な差はなかった。
【0367】
バイタルサインについて有意な差は、治療群間で観察されなかった。
【実施例0368】
2型真性糖尿病およびオデッセイDM-インスリン臨床試験からのASCVDを有する個体の分析
糖尿病を有する個体は、高レベルのアテローム生成リポタンパク質およびコレステロールを有し、これは、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)、非高密度リポタンパク質コレステロール(非HDL-C)、アポリポタンパク質B(ApoB)、および低密度リポタンパク質粒子数(LDL-PN)の上昇によって反映される。動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の存在は、将来の心血管事象のリスクを高める。
【0369】
この分析では、本発明者らは、T2DM、高LDL-C、または非HDL-Cを有する個体間でのアリロクマブの有効性および安全性を評価し、DM-インスリン研究において最大耐性のスタチンを受けるASCVDを確立した。ASCVDおよびT1DMのDM-インスリン研究参加者は、この群の個体数が少ないため、この分析には含まれなかった(アリロクマブ:n=11;プラセボ:n=5)。この実施例で使用されるように、ASCVDは冠状動脈性心疾患(CHD;急性および無症候性心筋梗塞(MI)、および不安定狭心症)、虚血性脳卒中、または末梢動脈疾患として定義された。
【0370】
ベースラインおよび有効性データは、研究に従って分析された。有効性分析には、非HDL-C、LDL-C、ApoB、およびLDL-PNのベースラインからの24週目のパーセンテージ減少、および24週目で非HDL-C<100mg/dL(<2.59mmol/L)、LDL-C<70mg/dL(<1.81mmol/L)、およびApoB<80mg/dLを達成する個体のパーセンテージが含まれる。包括解析(ITT)の分析には、ベースラインLDL-C値および最大24週までの少なくとも1つのLDL-C値を有するランダム化された全個体を含んだ。
【0371】
この分析は、確立されたASCVDおよびT2DMを有する177人のDM-インスリ
ン個体を含んだ(表16)。
【0372】
【表15】
【表16】
【0373】
ASCVDに加えて、治療配分に関係なく、分析した個体の89.3%に高血圧の病歴があり、28.2%に慢性腎疾患(CKD)があった。合計で、20.3%が虚血性脳卒中の病歴を示し、10.7%が末梢動脈疾患(PAD)を患っていた。ベースラインでは、平均(標準偏差[SD])非HDL-Cレベルは144.2(46.2)mg/dL[3.73(1.20)mmol/L]であった;平均LDL-Cレベルは、治療配分に関係なく、108.7(39.1)mg/dL[2.82(1.01)mmol/L]であった。
【0374】
効能
アリロクマブは、対照に対して、24週目でベースラインから非HDL-C、ApoB、LDL-PN、およびLDL-Cを減少させた(図4)。24週目で、対照に対して、非HDL-C<100mg/dL(<2.59mmol/L)、LDL-C<70mg/dL(<1.81mmol/L)、およびApoB<80mg/dLを達成した個体の割合が大幅に増加した(すべてP<0.0001;図5)。
【0375】
安全性
安全性分析は、T2DM、高LDL-Cまたは非HDL-C、DM-インスリン研究で最大耐性のスタチンを受けて確立されたASCVDを有する個体、ならびにT1DMまたはT2DM、高LDL-Cまたは非HDL-C、およびDM-脂質異常症研究で最大耐性のスタチンを受けて確立されたASCVDを有する個体、プールされた個体群で実施された(全体として参照により本明細書に組み入れる、Chan et al. (2017) Ann Transl Med. 5(23):477を参照されたい)。合計で、個体の66.4%(アリロクマブ)および67.0%(対照)が治療により発現した有害事象を報告した(TEAE;表17)。有害事象のパターンは、両方の群で類似していた。HbA1cの平均(SD)レベルは、ベースライン(アリロクマブ:7.3[0.9]%;対照:7.3[0.9]%)および24週目(アリロクマブ:7.6[1.2]%;対照:7.5[1.2]%;安全性分析)で各治療群において類似していた。FPGレベルはまた、ベースライン(アリロクマブ:154.2[47.9]mg/dL、8.6[2.7]mmol/L;対照:149.5[43.7]mg/dL、8.3[2.4]mmol/L)および24週目(アリロクマブ:164.7[54.9]mg/dL、9.1[3.0]mmol/L;対照:159.4[48.4]mg/dL、8.9[2.7]mmol/L;安全性分析)で治療配分に関係なく類似していた。
【0376】
【表17】
【0377】
結論
最大耐性のスタチンにもかかわらず高いLDL-Cレベルを有したT2DMおよびASCVDを有する個体において、アリロクマブは、アテローム性コレステロール含有量およびLDL-PNを対照に対して有意に減少させた。
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
2023123842000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1型真性糖尿病(T1DM)を有する患者における高コレステロール血症を治療する方法であって、該方法は、
(a)(i)T1DM、および(ii)最大耐性のスタチン療法によっては適切に制御されない高コレステロール血症を有する、インスリン療法を受けている心血管リスクの高い患者を選択する工程;ならびに
(b)患者に、ヒトプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を75mg、150mgもしくは300mg投与する工程
を含み、患者は付随するインスリン療法を受ける前記方法。
【外国語明細書】