(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123847
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】構造化要素および使用方法
(51)【国際特許分類】
B01J 19/30 20060101AFI20230829BHJP
B01D 24/00 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B01J19/30
B01D29/08 520Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023112045
(22)【出願日】2023-07-07
(62)【分割の表示】P 2021116861の分割
【原出願日】2016-12-30
(31)【優先権主張番号】62/273,590
(32)【優先日】2015-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/294,718
(32)【優先日】2016-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518232630
【氏名又は名称】クリスタフェーズ・プロダクツ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グローバー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハム,ピーター・グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,オースティン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】流れの分割および分配に適しかつ望ましくない種の軽減に適する能力を有する構造化要素を提供する。
【解決手段】プロセス流れに含まれる望ましくない種を表面に引き付け、保持しそして癒着させる好適な状況を増加させるものであって、構造化要素の機能的接触表面には、セルの面、セルを繋ぐ支柱の表面、支柱を繋ぐ結節の表面、および構造化要素の中または上に存在するチャネル、フルート、スパイク、フィブリルまたはフィラメントによる凹凸または不規則さを有する表面のうち1つ以上が含まれ得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス装置への流れをフロー分割および分配する方法であって、該流れを前記装置内の構造化要素の中に通すことを含み、該構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり200ないし800,000平方メートルの範囲の接触表面を有しかつ前記構造化要素は前記流れのフロー分割および分配を促すに充分な量が存在する、方法。
【請求項2】
前記構造化要素の接触表面は、100ナノメートルないし11ミリメートルのサイズの流れの望ましくない種の濾過および軽減を促す、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり少なくとも10,000平方メートルの接触表面を有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり800,000平方メートルまでの接触表面を有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記構造化要素は、相互に接続された1個以上のユニットセルを含み、各ユニットセルは骨組みおよび複数の面を有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記骨組みおよび複数の面は三次元構造を形成する、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記相互に連結されたユニットセルは三次元構造を形成する、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記構造化要素は、複数の凹凸が形成された接触表面を有する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記凹凸は、チャネル、フルート、スパイク、フィブリルおよびフィラメントの中の1つ以上を含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記接触表面は、前記枠組みの表面と、前記凹凸の表面と、前記面の表面とを含む、請求項8記載の方法。
【請求項11】
装置への流れから望ましくない種を軽減させる方法であって、
前記流れを前記装置内の構造化要素の中に通すこと、および
前記流れを前記構造化要素の接触表面に接触させることで前記流れに入っている望ましくない種を軽減させることを含み、
前記構造化要素は前記流れの中の前記望ましくない種を軽減させるに充分な量で存在し、
前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり200ないし800,000平方メートルの範囲の接触表面を有する、
方法。
【請求項12】
前記表面は望ましくない種を引き付け、保持しかつ軽減させる能力を提供する幾何学的特性を有する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
装置への流れのフロー分割および分配を促す方法であって、該流れを前記装置内の構造化要素の中に通すこと、および
前記流れを前記構造化要素の接触表面に接触させることで前記流のフロー分割および分配を促すことを含み、
前記構造化要素を前記流れのフロー分割および分配を促すに充分な量で存在させ、
前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり200ないし800,00
0平方メートルの範囲の接触表面を有する、
方法。
【請求項14】
前記構造化要素は、濾過能力を有し、大きさ100ナノメートルないし11ミリメートルの微粒子を有効に除去し得る濾過能力を有する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記流れは工業的プロセス流れであり、前記装置は工業用プロセス装置である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記工業的プロセス流れは炭化水素または無機物を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記工業用プロセス装置は水素化処理装置、蒸留装置または抽出装置を含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記三次元構造は、複数のユニットセルを含む多面体であり、前記ユニットセルの面は開放、部分的開放または閉鎖されており、前記凹凸は前記ユニットセルの骨組みの上に形成されている、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示主題は、プロセス装置への、からのおよび/または内の流れの処理を向上させる材料および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2015年12月31日に出願した米国仮特許出願連続番号62/273,590および2016年2月12日に出願した米国仮特許出願連続番号62/294,718(これらの内容は各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の利益および優先権の利益を主張するものである。
【0003】
工業施設内に備わっているプロセス装置の効率および経済性を向上させる目的でその施設内のプロセス装置へ、からおよび/またはの中を流れる様々な流れを調整することが行われていることは本技術分野で公知である。例えば、流れに入っている望ましくない種は装置内容物を汚すか、詰まらせるか、汚染させるか、毒するかまたは劣化させる可能性がある。そのような望ましくない種はまたそのような装置に隣接するか、それの下流にあるかまたはそれと一体になっている装置の性能に否定的な影響を与える可能性もある。加うるに、プロセス装置の性能は、このプロセス装置に入って来る流れおよびそれの中に入っている流れとこの装置内の内容物との最適な接触が促されるように、その流れが有効に分割されかつ分配されるかに依存する。この技術分野における改善が望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本開示主題は、プロセス装置への、からのおよび/または内の流れの処理を向上させる材料および方法に関する。
【0005】
特定の例示態様において、フロー分割および分割そして装置への流れからの望ましくない種の濾過および軽減方法を提供する。その流れを当該装置内に配置した構造化要素の中に通すことでそれらの表面と接触させることができ、その構造化要素を前記流れのフロー分割と分配を促しかつその中に入っている望ましくない種を軽減させるに充分な量で存在させる。前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり200ないし800,000平方メートルの範囲の接触表面を有する場合がある。この構造化要素はまた大きさが100ナノメートルないし11ミリメートルの微粒子を有効に除去し得る濾過能力を有する場合がある。
【0006】
特定の面において、前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり少なくとも10,000平方メートルの接触表面を有する場合がある。また、前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり800,000平方メートルに及ぶ接触表面を有する場合がある。また、前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり10,000ないし800,000平方メートルの範囲の接触表面を有する場合がある。
【0007】
特定の面において、前記構造化要素は相互接続した1個以上のユニットセルを含む場合があり、各ユニットセルは骨組みと複数の面を有する場合がある。個々の面は開放、部分的開放または完全に閉鎖される場合がある。各ユニットセルの骨組みと複数の面が三次元構造を形成する場合がある。その三次元構造は多面体の場合があり、その例はWeaire-Phelanフォーム様構造である。その多面体は規則的多面体または不規則な多面体の場合がある。その三次元構造はモノリスであってもよい。そのモノリスは平行で交差しないチャネルを持つ場合がある。そのモノリスは交差しない不規則なチャネルを持つ場合がある。当該ユニットセルが有する面の総面積の少なくとも10%はある程度または全
体的に閉鎖される場合がある。当該ユニットセルの各々に持たせる直径は0.5ないし50ミリメートルの範囲の場合がある。当該構造化要素に複数の相互連結したユニットセルを持つ場合があり、そのユニットセルは当該構造化要素の中を貫く曲がりくねったフロー通路を複数含む場合があり、当該流れは前記複数の曲がりくねったフロー通路の中を通ることでそれらの表面と接触する場合がある。
【0008】
特定の面において、当該構造化要素に追加的に複数の凹凸を含める場合があり、その凹凸を当該構造化要素を構成するユニットセル上に形成させる場合がある。そのような凹凸にはチャネル、フルート、スパイク、フィブリルおよびフィラメントの中の1つ以上が含まれる場合がある。その構造化要素の接触表面には複数の曲がりくねった通路ばかりでなく相互連結したユニットセル(これらの骨組み、面および凹凸を包含)の表面が含まれる場合がある。
【0009】
特定の例示態様において、プロセス装置への流れから望ましくない種を軽減させる方法を提供する。その流れを当該装置内の1個以上の構造化要素の中に通す場合があり、その構造化要素を前記流れに入っている望ましくない種を軽減させるに充分な量で存在させる。前記流れを前記構造化要素の表面と接触させることで、前記流れに入っている望ましくない種を軽減させる場合がある。前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり200ないし800,000平方メートルの範囲の接触表面を有しかつ大きさ100ナノメートルないし11ミリメートルの微粒子を有効に除去し得る濾過能力を有する場合がある。特定の面において、また、前記構造化要素に表面積が構造化要素1立方メートル当たり少なくとも10,000平方メートルの接触表面を有する場合がある。また、前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり800,000平方メートルに及ぶ接触表面を有する場合がある。また、前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり10,000ないし800,000平方メートルの範囲の接触表面を有する場合がある。
【0010】
特定の例示態様において、プロセス装置への流れのフロー分割および分配を促す方法を提供する。その流れを当該装置内の構造化要素の中に通してもよく、その構造化要素を前記流れのフロー分割および分配を促すに充分な量で存在させる。前記流れを前記構造化要素と接触させることで、前記流れのフロー分割および分配を促すことができる。前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり200ないし800,000平方メートルの範囲の接触表面を有し、かつ、大きさ100ナノメートルないし11ミリメートルの微粒子を有効に除去し得る濾過能力を有する場合がある。特定の面において、また、前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり少なくとも10,000平方メートルの接触表面を有する場合がある。また、前記構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり800,000平方メートルに及ぶ接触表面を有する場合がある。また、前記構造化要素に表面積が構造化要素1立方メートル当たり10,000ないし800,000平方メートルの範囲の接触表面を持たせことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示主題の例示態様に従う構造化要素用ユニットセルを示す透視図であり、そのユニットセルは12面体形状を有する。
【
図2】
図2は、本開示主題の例示態様に従う構造化要素用ユニットセルを示す透視図であり、そのユニットセルは複数の封鎖開口部を伴う12面体形状を有する。
【
図3】
図3は、本開示主題の例示態様に従う構造化要素用ユニットセルを示す透視図であり、そのユニットセルは凹凸および不規則さによって表面が粗くなっている12面体形状を有する。
【
図4】
図4は、
図3に示したユニットセルの拡大透視図である。
【
図5】
図5は、本開示主題の例示態様に従う構造化要素用ユニットセルを示す透視図であり、そのユニットセルは表面に突っ張りまたはフィブリルを伴う12面体形状を有する。
【
図6】
図6は、本開示主題の例示態様に従う構造化要素を示す透視図であり、その構造化要素はユニットセルで構成されておりかつモノリス形状を有する。
【
図7】
図7は、本開示主題の例示態様に従う構造化要素を示す透視図であり、その構造化要素はユニットセルで構成されておりかつモノリス形状を有しかつ複数の閉鎖開口部を有する。
【
図8】
図8は、本開示主題の例示態様に従う構造化要素を示す透視図であり、その構造化要素はユニットセルで構成されておりかつ表面が粗いモノリス形状を有する。
【
図9】
図9は、本開示主題の例示態様に従う構造化要素を示す透視図であり、その構造化要素はユニットセルで構成されておりかつ表面に突っ張りまたはフィブリルを伴うモノリス形状を有する。
【
図10】
図10は、通常の材料および本開示主題の例示態様に従う本開示材料が有する濾過能力を比較するグラフである。
【
図11A-D】
図11A-Dは、様々な大きさの開口部を有する通常の多孔質濾過媒体の画像である。
【
図12A-D】
図12A-Dは、本開示主題の例示態様に従う様々な大きさの開口部を有する本開示構造化要素の画像である。
【0012】
本開示主題を好適な態様に関連させて説明するが、本開示主題をそのような態様に限定することを意図するものでないことは理解されるであろう。それとは逆に、添付する特許請求の範囲に定める如き本開示主題の趣旨および範囲内に含まれる可能性のある如きあらゆる代替、改変および均等物を保護することを意図する。
【0013】
詳細な説明
本開示主題は、プロセス装置への、からのおよび/または内の流れの処理を向上させる材料および方法に関する。前記装置はこの装置の中に入りそして/またはその中に存在する流れを調整するための内容物を有するのが典型的である。装置にはまた所望の装置操作、例えば触媒反応および/または質量移動などを起こさせるための内容物も含む。流れ処理機能は、望ましくない種を引き付け、保持しそして/または他の方法で軽減させそして/または有効な流れフロー分割および分配を確保することが含まる場合がある。望ましくない種は、固体状微粒子、分子種および同伴流体を含むが、これらに限られない場合がある。
【0014】
装置は、該装置の中に供給材料として入って来る流れ、前記装置内の内部の流れ(例えば再循環流れ)および前記装置から生成物として出て行く流れを有する場合がある。これら流れの取り扱いは様々な活動を伴う場合があり、(i)望ましくない種の軽減、(ii)有効な流れ分割および分配の確保、(iii)化学反応および質量移動(成分の分離を包含)の遂行のような所望の装置操作、および(iv)完成品または他の装置への供給材料としての流れの発生および回収を含むが、これらに限られない。これらの活動は装置内の個別のゾーン内でかあるいは適宜組み合わせて実施可能である。
【0015】
工業的に頻繁に利用される簡単な構造配置の一例として、数多くの装置には、流れ加工ゾーンの上流に位置する流れ処理ゾーン(両方とも同じ装置内に含まれる)が備わっている。そのような構造配置および産業的に利用される構造配置の大部分において、処理ゾーンの役割は加工ゾーンに流れを供給することにあり、その流れのフローは有効に分割および分配されそして/または望ましくない種が実質的に除去される。しかしながら、これらの機能および機能の組み合わせを有する他の多くの構造配置を装置内に入れるように設計される可能性もある。
【0016】
ある場合には、流れフローを分割および分配するだけのため、または望ましくない種を軽減させるだけのために処理ゾーンを設ける場合がある。処理ゾーンは、そのような目的を達成するように特殊に設計された材料で作られた個別の層で構成される場合がある。例えば、異なる大きさまたは形状または構造または組成などを含む様々な形状の媒体の層を設置する場合があり、各層は特定の組の望ましくない種を軽減させることを目標とした層の場合がある。層は望ましくない種の軽減と流れの分割および分配の助長の両方の目的を有する媒体で構成される場合がある。層は実施すべき機能で決定される如き如何なる順または如何なる場所にも設置可能である。装置は処理ゾーンまたは加工ゾーンが1つのみか、各々1つずつか、各々一方を1つで他方を複数か、両方を複数か、両方の組み合わせかを有する場合がある。組み合わせは処理機能と加工機能の両方を有するゾーンを含むことを意味する。
【0017】
処理ゾーンは有用な寿命を有する場合があり、その寿命は望ましくない種を引き付け、保持しそして/または他の方法で軽減させる能力および/またはその中を通る流れフローを有効に分割および分配する能力によって主に決まる。処理ゾーンは時とともに塞がれまたは詰まりそして望ましくない種を引き付け、保持しそして軽減させる能力および/または流れフローを有効に分割および分配する能力が最終的に枯渇する場合がある。これらの能力が枯渇するにつれて、加工が不充分な流れが下流のゾーンに入り込んでしまう可能性がある。処理ゾーンに枯渇が起こると結果として装置自身の圧力降下が増大することで処理ゾーンの内容物そして恐らくは下流ゾーンの内容物を回復(例えば、再生または部分的もしくは完全な取り替えによって)させる目的で装置を停止させる必要があり得る。
【0018】
加工ゾーンの機能は、処理ゾーンから出てきた適切に調整された流れを加工することにある。そのような加工の例には、(i)熱、圧力および/または触媒手段による分子変換および(ii)分配、抽出などによる成分分離が含まれる。そのよう加工ゾーンで用いられるある材料および媒体は有用な「オンオイル(on-oil)」寿命を有する場合がある。例えば、加工ゾーンに入れる媒体が触媒であるプロセス装置の場合、その触媒作用を有する媒体の能力は、例えばコークス化または触媒種の凝集または変化などで引き起こされる触媒失活が原因で経時的に劣化する可能性がある。加工ゾーンの触媒失活に対する典型的な応答は、触媒の性能を維持させる目的で装置の温度を高くすることである。最大許容温度に到達したならば装置を停止させる必要があるであろう。[i]分散および分配の度合がより高い流れフローを供給することによって触媒の寿命を長引かせること、[ii]望ましくない種の含有量が低い流れフローを供給することによって触媒の寿命を長引かせること、および[iii]より生産性の高い触媒である媒体、即ち活性がより高い媒体またはより長く持続する媒体の使用を有利に可能にすることで、処理ゾーンの改善によって触媒作用による加工ゾーンの性能向上を促すことができる。
【0019】
処理ゾーンを通る流れに入っている望ましくない種を引き付け、保持しそして/または他の方法で軽減させるための様々な従来技術の手段が存在する。例えば、望ましくない化学種を不活性にするか、流出する流れに入っている望ましくない種を装置から排出させるか、あるいは伝統的な濾過解決法を用いて有効に除去可能なより大きな粒状物に変化させるかのために、吸収剤または他の様式で作用する材料を用いる場合がある。反応生成物、例えば硫化鉄などを包含する望ましくない化学種は小さい微粒子を形成する可能性がある。現存する濾過技術には除去可能な粒径に関して限界があり、かつ望ましくない化学種を取り扱う能力にも限界がある。
【0020】
また、従来技術の濾過媒体が装置内の処理ゾーン内で用いられることもある。しかしながら、そのような媒体は詰まって遮られてくる可能性があることで、濾過システムのみならず装置自体にわたっての圧力降下が増大し、使用済み濾過媒体およびシステムを除去し
て置き換える目的で装置全体をオフラインにする必要があり得る。
【0021】
また、濾過した微粒子を除去する目的で濾過システムの逆洗も利用されてきた。これらの交換および/または洗浄は、装置の休止時間、濾過システムの出費および保守管理努力による費用を伴う費用のかかる休止を必要とする。そのような交換および/または洗浄はまた装置の停止、始動および保守管理に関連した操作のリスクも発生させる。
【0022】
流れに存在する望ましくない種を引き付けて保持する目的で多孔質の濾過媒体が用いられてきた。通常の多孔質濾過媒体は典型的に工業用装置における過酷な操作条件に耐え得るセラミックまたは金属で構成される。そのような媒体の主な濾過機構はその媒体が有する孔の中で起こると考えられてきた。そのような媒体がそのような種を有効に軽減させる能力は今まで孔径分布と相互に関係付けられてきており、それの測定は典型的に「ppi」、即ち「1インチ当たりの孔数」を用いて行われる。従来技術の多孔質濾過媒体はppiが約10ないし100の範囲になるように商業的に製造できる。そのような媒体が望ましくない種を引き付けて保持する能力は、それのppiばかりでなくまたその媒体の内部表面積にも依存する。例えば、10ppiの通常の多孔質媒体の内部表面積は媒体1立方メートル当たり約300平方メートルであり、それは大きさが約650ないし2000ミクロンの望ましくない種を引き付けて保持する能力を有する。100ppiの従来技術の多孔質媒体の内部表面積は媒体1立方メートル当たり約2400平方メートルであり、それは大きさが約40ないし500ミクロンの望ましくない種を引き付けて保持する能力を有する。通常の媒体を用いたのでは大きさが40ミクロン未満の望ましくない種の軽減は商業的に実行不可能である。また、大きさが例えば40ないし2000ミクロンの範囲の望ましくない種の軽減では、各々が自身のppi構造と関連した内部表面積を有する複数のグレードの通常媒体を用いる必要があるであろう。可能な最大(10ppiの媒体の場合には2000ミクロン、そして100ppiの媒体の場合には500ミクロン)よりも大きい種を軽減させる試みを行うと結果として従来技術の媒体の完全な性能衰弱が起ってしまう。
【0023】
同じ装置内の下流にある加工ゾーンへのフロー分割および分配を達成する目的でしばしば多孔質媒体が装置の処理ゾーン内で用いられる。この主題に関して広く行き渡っている考えは、孔径を小さくすると分割および分配能力が高くなることから処理ゾーンのフロー分割および分配が向上するといった考えであった。本開示主題によって、流れフロー分割および分配の効力ばかりでなく望ましくない種の軽減を決めるのは処理ゾーンの媒体が有する接触表領域の量および構造であることを立証する。
【0024】
最適な流れ処理システムをもたらすには、そのようなシステムの適切な選択、デザイン、製造、設置、操作および保守管理が必要である。考慮すべき鍵となる性能パラメーターには、望ましくない種を引き付け、保持しそして/または他の方法で軽減させる目的で選択する材料の構造安定性および/または有効な流れ分割および分配がもたらされるようにそのような材料の配置および組み立てが含まれる。
【0025】
加工ゾーンを処理ゾーンと同じ装置内にかあるいは処理ゾーンが入っている槽の下流にある槽の中に位置させる場合がある。装置内のゾーンを流れの処理および/または加工で用いる。いくつかのゾーンで流れの処理および加工を同時に行う。より典型的には、処理ゾーンを通ってきた流れを後で加工ゾーンに通す。
【0026】
特定の例示態様では、本開示主題を流れの処理と加工を同時に行うゾーンまたは独立した処理ゾーン内で用いてもよい。具体的には、本開示主題は、(i)望ましくない種を引き付け、保持しそして/または他の方法で軽減させる装置内容物の能力をより完璧に利用し、(ii)装置内の加工ゾーンへの流れの分割および分配をより有効に行い、(iii
)そのような装置の加工ゾーンの能力を最大限に利用しながらまたそのような処理ゾーンの解決法の費用を低くしそして(iv)結果として装置の利益率を実質的に向上させる能力を有する。
【0027】
特定の例示態様において、本開示主題は、流れフロー分割および分配を行いかつ望ましくない種の軽減を行う能力有していてその能力が通常に入手可能な材料が有する能力を超えている構造化要素を含む。本明細書に説明する構造化要素を装置内で用いると、従来技術の材料に比べて数多くの利点を示す。装置内の処理ゾーンで用いる場合の利点には、(i)要求される処理ゾーンの深さを浅くすることができること、(ii)従来技術の材料用いたのでは取り扱うことができない望ましくない種の引き付け、保持および/または他の方法で軽減を行うことができること、および(iii)加工ゾーンへのフロー分割および分配を従来技術の材料よりも有効に行うことができることが含まれる。加工ゾーンで用いる場合の利点には、(i)処理ゾーンから出て来た流れがより奇麗かつ良好に分割および/または分配されるといった利点を有すること、(ii)より有効な加工ゾーン内容物、例えば活性がより高い種類または形態の触媒の利用を可能にすること、および(iii)触媒、吸収剤または他の内容物の充填量が増えるように追加的加工ゾーンを作り出すことができることが含まれる。装置全体としての利点には、(i)休止時間を包含する装置中断が必要なことに付随する装置生産性の損失が軽減されること、(ii)そのような中断に伴う操作危険性が軽減されること、および(iii)装置の信頼性および利益率が高まることが含まれる。
【0028】
多孔質媒体が用いられている従来技術の濾過システムを処理ゾーンで用いる場合、濾過は濾過媒体の孔の中で起こると考えられていたことから孔が中心になっていた。最近の研究によって、そのような媒体における主要な濾過機構は当該媒体内の接触表面上で起こる望ましくない種の引き付け、保持および/または他の方法による軽減であることが明らかになった。特定の例示態様において、本開示主題は、通常の濾過媒体に存在する接触表面構造より優れた構造を有する構造化要素を含む。その接触表面構造は、望ましくない種の引き付け、保持および/または他の方法による軽減および/または流れフローの分割および分配の助長により適する。
【0029】
特定の例示態様における構造化要素は面が多数存在する三次元幾何構造を有することで、通常材料の構造に比べて接触表面積が有意に大きい。構造化要素は相互連結したユニットセルを含む場合があり、各ユニットセルは骨組みと複数の面を有する。個々の面は開放、部分的開放または閉鎖されている場合がある。ユニットセルが有する面の総面積の少なくとも10%が閉鎖されている場合がある。当該構造化要素は追加的にユニットセル上に形成されている凹凸を多数含有している場合がある。凹凸にはチャネル、フルート、スパイク、フィブリルおよびフィラメントの中の1つ以上が含まれる場合がある。この構造化要素は相互連結したユニットセルが有する面の中の開口部によって構造の中を貫く曲がりくねった通路を複数有する場合がある。
【0030】
構造化要素のユニットセルの代表的三次元構造には規則的および不規則な多面体およびモノリスが含まれる場合がある。
【0031】
当該構造化要素の接触表面には曲がりくねった通路とユニットセルの両方の表面が含まれる場合があり、前記ユニットセルにはユニットセルの骨組み、面および凹凸が含まれる場合がある。本開示主題の材料が有する接触表面は従来技術の材料が有するそれを超えている。
【0032】
これらの接触表面は、引き付け、保持、吸着、融着、凝集、毛細管作用などによる望ましくない種の軽減を起こさせための主要な手段を提供する。その結果として処理ゾーン内
の望ましくない種がより軽減されることで直接的に装置の性能が向上する。
【0033】
特定の例示態様では、構造化要素は、曲がりくねった状態および境界層状態を有することから、この材料は、微粒子および分子種を引き付け、保持しそして/または他の方法で軽減させる能力が向上する。例えば、特定の例示態様における本開示材料は、大きさが200ナノメートルの如く小さい種を、特定の例示態様では100ナノメートルの如く小さい種を引き付けて保持する能力を有する。
【0034】
特定の例示態様における構造化要素は、従来技術の多孔質媒体の成形で用いられる発泡体、ゲルおよび押出し加工品の自然な構成によって決まる幾何学的限界を超えた構造的特徴を持たせるように設計可能である。この構造化要素は、引き付け、保持および/または他の方法による低減の能力が向上しかつフロー分割および分配が向上している「活性のある」表面特徴を持たせることができる。
【0035】
例えば、特定の例示態様において、前記活性のある表面特徴には、(i)ユニットセル面の設計された閉鎖または部分的閉鎖、(ii)表面の設計された粗さに加えて、チャネル、フルート、スパイク、フィブリル、フィラメントなど設計された表面凹凸および不規則さ、(iii)通路の表面が曲がりくねっている度合が高くかつ表面積が大きいこと、(iv)液体を溜めて沈降させる領域があること、および(v)層状フローおよび境界層ゾーンが増加していることでファンデルワールス吸着力が増大していることが含まれる。
【0036】
溜めて沈降させる領域の活性のある表面特徴には、小さい粒子の捕捉の向上が含まれ、ストークス法則によると、溜めて沈降させるのに要する時間は大きな粒子のそれよりも長い。
【0037】
更に、非常に小さい(即ち250ミクロン以下の)粒子を集めようとする場合にはファンデルワールス吸着力が主流になることも知られている。ファンデルワールス吸着力は表面の立体形状に依存し、もし表面に凹凸があるかあるいは表面が曲がりくねっていると、結果として、粒子間の接触または粒子と壁の間の接触面積、引き付けのファンデルワールス力がより大きくなるばかりでなく、機械的に噛み合う傾向も大きくなる。
【0038】
特定の例示態様において、構造化要素は、表面構造および状態が改良されるために既存の多孔質または通気性材料よりも性能の向上が引き出されるように設計された構造を有する。該構造化要素は、中に分子を引き付けて保持することに加えてファンデルワールス吸着力も増大している薄膜境界層を含む大きな接触表面領域を有する場合がある。
【0039】
特定の例示態様においては、構造化要素の表面特徴は、望ましくない種の軽減を向上させる材料で全体または部分的に構成されているかあるいは被覆されている表面が含まれる場合がある。例示的な例は、両方とも強力な触媒失活剤または毒であるヒ素およびバナジウムのような金属分子種、の引き付けおよび保持を助長する材料が用いられるウオッシュコーティングである。
【0040】
前記構造化要素は、望ましくない種の表面引き付け、保持および合体の機会を増大させる。特定の例示態様において、前記構造化要素の機能的接触表面には、(i)セルの面、(ii)セルを連結している支柱の表面、(iii)支柱を連結している結節の表面、および(iv)前記表面全部の中または上に存在するチャネル、フルート、スパイク、フィブリルまたはフィラメントによる凹凸または不規則さを有する表面の中の1つ以上が含まれる場合がある。前記構造化要素の機能的接触表面は、プロセス装置における合体、化学反応、より大きな種への原子凝集、抽出、吸着などが増強されるように製造または改質可能である。
【0041】
特定の例示態様において構造化要素は、装置内のフロー分割および分配を促進することができる。フロー分割および分配の増強は蛇行混合に起因するばかりでなくまた特定の例示態様では構造化要素の表面に薄膜が生じることにも起因し得ることが知られている。そのような膜および表面によって分割およびフロー分配のための手段を提供することができる。このように、フロー分割および分配性能の焦点は、孔径および孔体積から、接触表面と、表面積と重要なことには表面の凹凸および不規則さに移る。
【0042】
特定の例示態様において、構造化要素は従来技術材料よりも幅広い範囲の望ましくない種を引き付け、保持しそして/または他の方法で軽減させるように適切に設計した構造を有する場合がある。それによって装置の処理ゾーン1つまたは2つ以上の中の媒体層の「グレード」の数(およびそれらを含有させるに必要な空間)を減少させかつ装置の加工ゾーン1つまたは2つ以上の中の追加装置内容物(例えば触媒)のための価値ある空間を自由に使えるようにするといった重要な経済的利益がもたらされる。特定の例示態様において、構造化要素は、内部空間分率が60%以上の材料を含む。特定の例示態様において構造化要素は、大きさ0.5ないし50ミリメートルのセルから始めてもよい。
【0043】
特定の例示態様において、構造化要素は多面体形状の材料を含む場合がある。多面体形状には、例えば四面体、立方体、八面体、12面体および20面体が含まれる場合がある。前記多面体形状は、一緒に配置させることで多面体を形成する多角形材料を含む複数の相互に連結したユニットセルから形成される場合がある。その上、前記構造化要素は網状セラミックと、モノリス構造を包む他のいずれかの多孔性セラミックを含む場合がある。
【0044】
構造化要素のユニットセルの様々な例示態様を
図1-5に示す。
図1に標準的な12面形状のユニットセルを示すが、これは例えば網状セラミック用構成要素であってもよい。
図2に、開口部の約50%が閉鎖されている12面体形状のユニットセルを示す。
図3に、粗い表面を有する12面体形状のユニットセルを示す。
図4に、その粗い表面を更に例示する目的で、
図3に示した12面体形状ユニットセルの拡大図を示す。
図5に、フィブリル状表面を有する12面体形状ユニットセルを示す。
図12A-12Dは、複数のユニットセルで構成されている構造化要素の代表的な図であり、これらのユニットセルは様々な大きさを有する(1インチ当たりの孔数で測定)。
図13は、特定の例示態様で従来技術の材料に比べて接触表面積が有意に大きくなっている構造化要素の表面特徴を例示する
図12Aの拡大部分である。
図6に、標準的モノリス構造を有する構造化要素を示す。
図7に、開口部の約50%が閉鎖されているモノリス構造物を示す。
図8に、粗い表面を有するモノリス構造物を示す。
図9に、スパイクまたはフィブリル表面を有するモノリス構造を示す。
【0045】
特定の例示態様において、構造化要素は、構造化要素1立方メートル当たり200ないし800,000平方メートルの範囲の幾何学的接触表面積を有する材料を含む。特定の面において、構造化要素は、表面積が構造化要素1立方メートル当たり少なくとも10,000平方メートルの接触表面を有する場合がある。また、構造化要素は表面積が構造化要素1立方メートル当たり800,000平方メートルに及ぶ接触表面を有する場合がある。また、構造化要素に表面積が構造化要素1立方メートル当たり10,000ないし800,000平方メートルの範囲の接触表面を有する場合がある。
【0046】
特定の例示態様において、本開示主題の構造化要素の接触表面積の範囲は、従来技術の材料の接触表面積の範囲よりも有意に広い。その上、特定グレードの構造化要素は望ましくない種を引き付けて保持する能力の範囲も有意により広い。例として、10ppiの通常媒体に相当する構造化要素は大きさが20ないし2000ミクロンの範囲の種を引き付けて保持する能力を有しそして100ppiに相当する構造化要素は大きさが0.1ない
し500ミクロンの範囲の種を引き付けて保持する能力を有する。
【0047】
従来技術の材料および本開示材料が有する濾過能力を比較するグラフを
図10に示す。該グラフは、例えば本明細書のパラグラフ28([0016])に説明した通りの従来技術の材料と、本開示材料との両方が示す濾過範囲を示し、粒径をx軸にミクロンで示す。標準的構造物Aの線は従来技術10ppi媒体が有する濾過能力に相当する。この媒体は大きさが650ないし2000ミクロンの微粒子物を濾過する能力を有する。標準的構造物Bの線は従来技術100ppi媒体が有する濾過能力に相当する。この媒体は大きさが40ないし500ミクロンの微粒子物を濾過する能力を有する。これら2つは商業的に製造および使用可能な通常材料のppi上限および下限に相当する。
図10に示すように、B線の上方末端(500ミクロン)とA線の下方末端(650ミクロン)との間に隔たりがある。特定のプロセス用途において40ないし2000ミクロンの範囲全体にわたる微粒子を濾過する必要がある場合、AおよびB両方の構造物に加えて500ないし650ミクロンに隔たりを橋渡しする(約50ppiの)別の構造物が必要になるであろう。このことは装置内の異なる3種類の層に異なる3つのグレードの媒体を用いなければならないことを意味するであろう。
【0048】
比較として、
図10の構造化要素の線は、特定例示態様において、1つのグレードのみの本開示材料が有する能力を示している。このグレードは、単独で用いるとき、大きさが20ないし2000ミクロンの範囲の微粒子を濾過する能力を有するので標準的構造物Aの線と標準的構造物Bとの線の両方の範囲全体およびそれを超える範囲に相当する。従って、本明細書の上で説明したように、本構造化要素は、従来技術の媒体で実行可能な濾過特性よりも小さい特性および大きい特性の両方を有する。例えば、本構造化要素は、特定例示態様において、0.1ミクロン(100ナノメートル)まで小さい微粒子と、11ミリメートルまで大きな微粒子とを濾過する能力を有する。
【0049】
図11A-11Dおよび12A-12Dは、従来技術の材料と特定の例示態様に従う本開示構造化要素とを比較する図である。
図11A-11Dに示した通常材料の大きはそれぞれ約10(
図11A)、30(
図11B)、50(
図11C)および80(
図11D)ppiである。
図12A-12Dに示した構造化要素は、(12Aの拡大部分である
図13に例示するように)面の閉鎖および表面の粗さおよび凹凸が存在することから
図11A-11Dに示したそれらとは構造的に異なりかつ区別可能であり、それによって有利なことには従来技術の材料に比べて接触表面積が有意に測定可能なほど大きくなっている。特定の例示態様に従い、
図13に示すように、構造化要素を構成するユニットセルは、例えば様々な種類の凹凸および/または1つ以上の閉鎖開口部を有する個々のユニットセルのランダムミックスを含む場合がある。
【0050】
特定の例示態様において、
図12A-12Dに示した画像の構造化要素は、各々が様々な閉鎖、表面粗さおよび凹凸を含む場合がある。表面積の相対的増大を推定する目的で、これらの異なる組み合わせを生成可能な幾何学的モデルを作成した。例えば、特定の例示態様において、
図12Aに示した構造化要素は1立方メートル当たり260平方メートルまでの小さい表面積と、1立方メートル当たり131,700平方メートルまでの大きな表面積とを有するかもしれない。特定の例示態様において、
図12Bに示した構造化要素は1立方メートル当たり625平方メートルまでの小さい表面積と、1立方メートル当たり305,000平方メートルまでの大きな表面積と、を有するかもしれない。特定の例示態様において、
図12Cに示した構造化要素は1立方メートル当たり1223平方メートルまでの小さい表面積と、1立方メートル当たり556,500平方メートルまでの大きな表面積とを有するかもしれない。特定の例示態様において、
図12Dに示した構造化要素は1立方メートル当たり1697平方メートルまでの小さい表面積と、1立方メートル当たり834,600までの大きな表面積とを有するかもしれない。構造が充分であり
かつ閉鎖、粗さおよび凹凸を好適に組み合わせることを条件として、1立方メートル当たり1,000,000平方メートルを超える表面積を示すより詳細なモデル化を実施した。
図12Aに示した構造物では、濾過システムのサイズを非常に小さくし、かつ、層の数を妥当な機能に必要な数にすることによって
図11A-11Dと同じ機能を果たすのに十分なばらつきを提供するかもしれない。
図12B、CおよびDについても同様な比較を行うことができるが、また、特定の例示態様において、
図12A-12Dに示した構造物の表面積は
図11A-11Dが物理的に達成することができなかった表面積を2桁以上の規模で上回るということも可能である。
【0051】
本明細書では構造化要素を装置内または装置と連結させて用いる様々な方法を開示する。例えば、特定の例示態様では、1つ以上の流体流れの中の望ましくない種を軽減させそしてそれの有効なフロー分割および分配をもたらす方法を提供する。軽減は保持、捕捉、閉じ込め、隔離、中和、除去、凝集、合体、変換または別の方法で前記望ましくない種を無力にすることを含む場合がある。望ましくない種には小さな微粒子、混入物、望ましくない化学品、外来混入物などが含まれる場合がある。構造化要素が(i)充分な空隙、表面積および通路の蛇行を有し、(ii)望ましくない種の軽減と有効なフロー分割および分配との両方を促すに充分な複数の表面を前記要素内に有し、そして(iii)構造化要素の表面で起こる望ましくない種の軽減と処理ゾーンを通る流れの邪魔されない通過との両方を促す蛇行したフロー通路を複数有するように構造化要素含有処理ゾーンを設けることができる。前記処理ゾーンから出る流出液を同じ装置内の下流に位置する加工ゾーンに送ってもよい。前記構造化要素の表面に凹凸および不規則さ、例えばスパイクおよびフィブリルなどを作り出すことができる。また、前記構造化要素の面を閉鎖または部分的に閉鎖することも可能である。別の面において、混入物が入っている供給流れから混入物を除去する方法を提供する。その構造化要素の層を前記混入物を前記供給流れから実質的に濾過で除去するに充分な量で存在させてその混入物が入っている供給流れを構造化要素の層の中に通してもよい。前記混入物が入っている供給流れから混入物を除去するために混入物が入っている前記供給流れを前記構造化要素の表面に接触させる場合がある。
【0052】
特定の例示態様において、前記構造化要素で処理する流れは工業的プロセス流れであり、装置は工業用プロセス装置である。例えば、工業的プロセス流れは炭化水素または無機の流れの場合がありそして工業用プロセス装置は水素化処理装置、蒸留装置または抽出装置の場合があるが、これらに限られない。
【0053】
本開示主題は、図示したり説明したりした構造、操作、正確な材料または態様の正確な詳細に限定するものでないと理解されるべきである、と言うのは、自明な改変および均等物が当業者には明らかであろうからである。従って、本開示主題は添付する特許請求の範囲によってのみ限定される。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。
【外国語明細書】