(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123848
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】PD-1阻害剤を投与することによって皮膚がんを処置する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230829BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230829BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20230829BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230829BHJP
A61K 38/04 20060101ALI20230829BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20230829BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230829BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P35/00 ZNA
A61P35/04
A61K45/00
A61K38/04
C07K16/28
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023112057
(22)【出願日】2023-07-07
(62)【分割の表示】P 2022004089の分割
【原出願日】2017-05-12
(31)【優先権主張番号】62/335,743
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/340,142
(32)【優先日】2016-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/348,546
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/451,274
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/374,020
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/364,920
(32)【優先日】2016-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/350,305
(32)【優先日】2016-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジー・フュリー
(72)【発明者】
【氏名】イザレル・ロウィ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】対象におけるがんを処置する、がんの少なくとも1つの症状もしくは適応を改善する、またはがんの成長を阻害するための医薬組成物を提供する。
【解決手段】腫瘍を処置または腫瘍の成長を阻害する方法で使用するための、プログラム細胞死1(PD-1)に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物であって、前記方法は:(a)脳がんを有する患者を選択する工程;および(b)PD-1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の治療上有効量を患者に投与する工程;を含む、前記医薬組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍を処置または腫瘍の成長を阻害する方法であって:
(a)皮膚がんを有する患者を選択する工程;および
(b)PD-1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の治療上有効量を、それを必要とする対象に投与する工程であって、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)と、配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)とを含む、該工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
抗PD-1抗体は単剤療法として投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記皮膚がんはUV関連皮膚がんである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記皮膚がんは、皮膚扁平上皮癌(CSCC)、基底細胞癌(BCC)、メルケル細胞癌、および黒色腫からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
但し、前記皮膚がんは頭頸部の扁平上皮癌ではない、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記皮膚がんは、転移性、切除不能、および/または局所進行がんである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記皮膚がんはBCCであり、前記患者はヘッジホッグ経路阻害剤による処置に不耐性であるか、または処置後に進行している、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記皮膚がんはCSCCであり、前記患者は、抗がん治療による過去の処置に不耐性であるか、または処置後に進行している、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記皮膚がんは転移性CSCCであり、前記患者は、手術、放射線、化学療法、および別の抗PD-1抗体からなる群より選択される少なくとも1つの過去の全身抗がん治療によって治療されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記皮膚がんは局所進行CSCCであり、前記患者は治癒的手術を受け入れられない、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体またはその抗原結合断片は、1つまたはそれ以上の用量として投与され、各用量は直前の用量の0.5~4週間後に投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
各用量は、直前の用量の2週間後に投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各用量は、直前の用量の3週間後に投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
各用量は、患者の体重1kgあたり1、3、または10mgを含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
各用量は、患者の体重1kgあたり3mgを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
各用量は、抗PD-1抗体の50~600mgを含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
各用量は、抗PD-1抗体の200、250、または350mgを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
対象は、過去の治療に抵抗性であるかもしくは不適切に反応し、または治療後に再燃している、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
投与によって、腫瘍の成長の阻害、腫瘍の退縮、腫瘍サイズの低減、腫瘍細胞数の低減、腫瘍の成長の遅延、アブスコパル効果、腫瘍転移の阻害、転移病変の経時的な低減、化学療法剤または細胞傷害剤の使用の低減、腫瘍負荷の低減、無増悪生存の延長、全生存の延長、完全奏効、部分奏効、および安定からなる群より選択される少なくとも1つの効果が得られる、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
追加の治療剤または治療を、対象に投与することをさらに含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法であって、該追加の治療剤または治療は、手術、放射線、化学療法剤、がんワクチン、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)阻害剤、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)阻害剤、グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)阻害剤、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有タンパク質3(TIM3)阻害剤、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)阻害剤、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)阻害剤、CD47阻害剤、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、二重特異性CD3/CD20抗体、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、アンジオポエチン-2(Ang2)阻害剤、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)阻害剤、CD38阻害剤、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、シクロホスファミド、腫瘍特異抗原に対する抗体、カルメットゲラン桿菌ワクチン、細胞毒素、インターロイキン6受容体(IL-6R)阻害剤、インターロイキン4受容体(IL-4R)阻害剤、IL-10阻害剤、IL-2、IL-7、IL-21、IL-15、抗体-薬物コンジュゲート、抗炎症薬、ならびに栄養補助食品からなる群より選択される、前記方法。
【請求項21】
抗PD-1抗体は、静脈内、皮下、または腹腔内に投与される、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)と、3つのLCDR(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)とを含み、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;およびLCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
HCVRは配列番号1のアミノ酸配列を含み、LCVRは配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
抗PD-1抗体は、配列番号1と90%の配列同一性を有するHCVRを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
抗PD-1抗体は、配列番号2と90%の配列同一性を有するLCVRを含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
抗PD-1抗体は、配列番号1と90%の配列同一性を有するHCVRと、配列番号2と90%の配列同一性を有するLCVRとを含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
抗PD-1抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、PCT国際特許出願として2017年5月12日に提出されており、各開示の全体が参照によって本明細書に組み入れられる、2016年5月13日に提出された米国特許仮出願第62/335,743号;2016年5月23日に提出された第62/340,142号;2016年6月10日に提出された第62/348,546号;2016年6月15日に提出された第62/350,305号;2016年7月21日に提出された第62/364,920号;2016年8月12日に提出された第62/374,020号;および2017年1月27日に提出された第62/451,274号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
配列表
本出願は、2017年5月12日に作成され、8.63キロバイト(KB)のサイズを有する「配列表」と題するテキストファイルとしての電子フォーマットでの配列表を含む。テキストファイル「配列表」の内容物は、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0003】
本発明は、プログラム細胞死1(PD-1)受容体に特異的に結合する抗体の治療上有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、皮膚がんを処置する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
皮膚がんは、米国における最も一般的ながんである(非特許文献1)。2012年に米国において診断された基底細胞癌および扁平上皮癌を含む非黒色腫皮膚がんの症例は、推定で540万例であった(非特許文献2)。皮膚扁平上皮癌(CSCC)は、基底細胞癌(BCC)に次いで米国において最も一般的な悪性腫瘍である(非特許文献3)。CSCCの危険因子には、UVの曝露、高齢、および免疫抑制が挙げられる(非特許文献4;非特許文献5)。CSCCまたはBCCの診断を有する大多数の人は非常に好ましい予後を有するが、CSCCは、BCCより侵襲性で再発する傾向がより高い。CSCCと診断された人は、BCCと診断された人とは異なり、年齢をマッチさせた対照と比較して死亡率が増加している(非特許文献6)。
【0005】
外科的切除は、CSCCの臨床での管理の中心である。主な目標は、がんの完全切除であり、許容できる美容上のアウトカムが二次目標である。CSCCの予後不良に関連する要因には、2cm超の腫瘍サイズ、2mm超の腫瘍の深さ、神経周囲の浸潤、宿主の免疫抑制、および再発病変が挙げられる。切除不能の局所再発または転移性の疾患を発症した少数の患者に関して、治療の選択肢は限られている。患者に、術後の放射線療法を投与してもよい。化学療法は、安全性および忍容性の懸念により、多くの患者にとって魅力的な選択肢ではない。
【0006】
最も一般的な臨床サブタイプは結節型BCCである。次いで一般的な臨床サブタイプは表在型、硬化(線維)型、および線維上皮型である。ほとんどの患者は手術によって治癒するが、少数の患者は、切除不能な局所進行または転移性疾患を発症する。実質的に全てのBCCは、最も一般的には、腫瘍抑制因子であるパッチドホモログタンパク質(protein patched homologue)(PTCH)をコードする遺伝子における散発性の機能喪失変異によるヘッジホッグシグナリング経路の異常なシグナリングによって特徴付けられる。PTCH変異によって、Gタンパク質共役受容体スムーズンド(SMO)のパッチド媒介阻害が失われ、それによって、下流のシグナリングが増強され、制御されない細胞増殖が起こる(非特許文献7)。BCCにおけるSMOの発がん性の役割
が認識されたことによって、一般的にヘッジホッグ阻害剤(HHI)と呼ばれる経口で利用可能なSMO阻害剤であるビスモデギブおよびソニデジブが開発された。HHIの有害な副作用に加えて、1つのHHI(ビスモデギブ)で進行した患者は、別のHHI(ソニデジブ)によるその後の処置でも腫瘍の阻害が起こらないことが見出された(非特許文献8)。HHI治療中に疾患の進行を経験した患者、または過去のHHI治療に不耐性である患者におけるBCCに関して承認された作用物質はない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Guyら、2015年、Am.J.Prev.Med.48:183~7頁
【非特許文献2】Rogersら、2015年、JAMA Dermatol.、電子出版、4月30日、2015年
【非特許文献3】Kariaら、2013年、J.Am.Acad.Dermatol.68:957~966頁
【非特許文献4】Alamら、2001年、New Engl.J.Med.344(975~983頁)
【非特許文献5】Madan 2010年、Lancet 375:673~685頁
【非特許文献6】Reesら、2015年、Int.J.Cancer 137:878~84頁
【非特許文献7】Sekulicら、2016年、Cell 164:831頁
【非特許文献8】Danialら、2016年、Clin.Cancer Res.22:1325~29頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、CSCCおよびBCCを含む皮膚がんの安全かつ有効な全身治療が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある特定の実施形態において、本発明は、対象におけるがんを処置する、がんの少なくとも1つの症状もしくは適応を改善する、またはがんの成長を阻害する方法を提供する。本発明のこの態様に従う方法は、プログラム細胞死1(PD-1)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の治療上有効量を、場合により放射線療法と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0010】
ある特定の実施形態において、本発明は、がんを有する対象を選択することと、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、放射線療法の1つまたはそれ以上の線量と組み合わせて投与することとを含む、固形腫瘍を含むがんを処置する方法を含む。ある特定の実施形態において、組合せの投与によって、抗体または放射線単独のいずれかの投与と比較して、治療効能または抗腫瘍効能の増強が得られる。
【0011】
本発明のある特定の実施形態において、対象におけるがんを処置する、がんの少なくとも1つの症状もしくは適応を軽減する、またはがんの成長を阻害する方法を提供する。本発明のある特定の実施形態において、腫瘍の成長を遅らせるまたは腫瘍の再発を予防する方法を提供する。本発明のある特定の実施形態において、がん患者の全生存または無増悪生存を延長させる方法を提供する。本発明のこの態様に従う方法は、PD-1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の治療上有効量の1つまたはそれ以上の用量を連続的に投与することを含む。一実施形態において、抗PD-1抗体は、放射線療法と組み合
わせて投与される。
【0012】
ある特定の実施形態において、がんまたは腫瘍は、固形腫瘍または悪性腫瘍である。ある特定の実施形態において、固形腫瘍は、結腸直腸がん、卵巣がん、前立腺がん、乳がん、脳がん、子宮頸がん、膀胱がん、肛門がん、子宮がん、結腸がん、肝臓がん、膵臓がん、肺がん、子宮内膜がん、骨がん、精巣がん、皮膚がん、腎臓がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、唾液腺がん、および骨髄腫からなる群より選択される。
【0013】
ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、過去にがんの全身処置を受けていないがん患者に、「ファーストライン」処置として投与される。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、化学療法、手術、および放射線を含むがこれらに限定されない「標準治療」によって過去に処置がん(例えば、転移性がん)患者に、「セカンドライン」処置として投与される。
【0014】
本発明の一実施形態は、皮膚がんの処置に使用するための抗PD-1抗体に関する。ある特定の実施形態において、皮膚がんは、皮膚扁平上皮癌および基底細胞癌を含むがこれらに限定されない非黒色腫皮膚がんである。抗PD-1抗体を、本明細書に記載されるように、転移性または局所進行皮膚扁平上皮癌患者に投与してもよい。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、本明細書に記載されるように、ヘッジホッグ経路阻害剤(例えば、ビスモデギブ、ソニデジブ)に対して不耐性であるか、またはヘッジホッグ経路阻害剤によって処置したが進行を示す、進行基底細胞癌患者に投与される。
【0015】
ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~20mgを含む。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、対象の体重1kgあたり0.3、1、3、5、または10mgを含む。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、20~600mgを含む。一実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、約200mgを含む。一実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、約250mgを含む。一実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、約350mgを含む。
【0016】
ある特定の実施形態において、放射線療法は、1つまたはそれ以上の線量で投与される。ある特定の実施形態において、放射線療法の各線量は、2~100グレイ(Gy)を含む。ある特定の実施形態において、放射線療法は、少分割放射線療法である。ある特定の実施形態において、放射線療法は2~12分割を含む。
【0017】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、放射線療法の前、同時、または後に抗PD-1抗体の治療上有効量を投与することを含む。一実施形態において、本発明の方法は、放射線療法の線量の前に抗PD-1抗体を投与することを含む。
【0018】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、抗PD-1抗体の各々0~50治療用量を投与することを含み、各用量は、直前の用量の0.5~12週間後に投与される。一実施形態において、各用量は、直前の用量の1週間後に投与される。一実施形態において、各用量は、直前の用量の2週間後に投与される。一実施形態において、各用量は、直前の用量の3週間後に投与される。
【0019】
ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量、および場合により放射線療法は、処置サイクルに含まれる。本発明のこの態様に従う方法は、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を含む少なくとも1つの処置サイクルを、それを必要とする対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、最大12処置サイクルが、それを必要とする対象に投与される。ある特定の実施形態において、少なくとも
1つの処置サイクルは、放射線療法の1つまたはそれ以上の線量をさらに含む。ある特定の実施形態において、放射線療法は、1つのみの処置サイクルで投与される。ある特定の実施形態において、放射線療法は、少分割放射線療法である。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、放射線療法の前に投与される。
【0020】
ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体および放射線療法は、追加の治療剤または治療(例えば、シクロホスファミド、または本明細書に開示される任意の薬剤もしくは治療)と組み合わせて投与される。
【0021】
ある特定の実施形態において、処置は、腫瘍の退縮、アブスコパル効果、腫瘍転移の阻害、経時的な転移病変の低減、化学療法または細胞傷害剤の使用の低減、腫瘍負荷の低減、無増悪生存の延長、全生存の延長、完全奏効、部分奏効、および安定からなる群より選択される1つまたはそれ以上の治療効果を生じる。
【0022】
ある特定の実施形態に従って、抗PD-1抗体または抗原結合タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR)と、配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の軽鎖CDRとを含む。本発明の方法の文脈において使用することができる1つのそのようなタイプの抗原結合タンパク質は、REGN2810のような抗PD-1抗体である。
【0023】
ある特定の実施形態において、本発明は、ヒトを含む対象におけるがんを処置またはがんの成長を阻害するための薬剤の製造における抗PD-1抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。ある特定の実施形態において、がんは固形腫瘍である。ある特定の実施形態において、がんは、結腸直腸がん、卵巣がん、前立腺がん、乳がん、脳がん、子宮頸がん、膀胱がん、肛門がん、子宮がん、結腸がん、肝臓がん、膵臓がん、肺がん、子宮内膜がん、骨がん、精巣がん、皮膚がん、腎臓がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、唾液腺がん、または骨髄腫である。
【0024】
ある特定の実施形態において、本発明は、放射線療法と組み合わせた、ヒトを含む対象におけるがんを処置またはがんの成長を阻害するための薬剤の製造における抗PD-1抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。ある特定の実施形態において、がんは固形腫瘍である。ある特定の実施形態において、がんは、結腸直腸がん、卵巣がん、前立腺がん、乳がん、脳がん、子宮頸がん、膀胱がん、肛門がん、子宮がん、結腸がん、肝臓がん、膵臓がん、肺がん、子宮内膜がん、骨がん、精巣がん、皮膚がん、腎臓がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、唾液腺がん、または骨髄腫である。
【0025】
1つの態様において、本発明は、がんに罹患した対象を処置するためのキットであって、(a)PD-1に特異的に結合して阻害する抗体またはその抗原結合断片の用量と、(b)本明細書に開示の方法に従って対象を処置するために抗PD-1抗体を使用するための説明書とを含むキットを提供する。ある特定の実施形態において、がんは、結腸直腸がん、卵巣がん、前立腺がん、乳がん、脳がん、子宮頸がん、膀胱がん、肛門がん、子宮がん、結腸がん、肝臓がん、膵臓がん、肺がん、子宮内膜がん、骨がん、精巣がん、皮膚がん、腎臓がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、唾液腺がん、および骨髄腫からなる群より選択される。
【0026】
本発明の他の実施形態は、以下の詳細な説明を再検討することにより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】MC38腫瘍を移植したマウスにおける抗PD-1抗体および放射線(XRT)の投与を含む試験デザインを示す(本明細書の実施例1に記載の試験)図である。
【
図2】本明細書の実施例1に記載の試験における、アイソタイプ対照抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプ対照+放射線(XRT)(▲)、または抗PD-1抗体+XRT(▼)によって処置したマウスにおける腫瘍の成長の平均値を示す図である。
【
図3】本明細書の実施例1に記載の試験における、アイソタイプ対照抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプ対照+放射線(XRT)(▲)、または抗PD-1抗体+XRT(▼)によって処置したマウスの全生存を示す図である。
【
図4】B16F10.9腫瘍を移植したマウスにおける抗PD-1抗体および放射線(XRT)の投与を含む試験デザインを示す(本明細書の実施例2に記載の試験)図である。
【
図5】本明細書の実施例2に記載の試験における、アイソタイプ対照抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプ対照+放射線(XRT)(◆)、または抗PD-1抗体+XRT(○)によって処置したマウスにおける腫瘍の成長の平均値を示す図である。
【
図6】本明細書の実施例2に記載の試験における、アイソタイプ対照抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプ対照+放射線(XRT)(◆)、または抗PD-1抗体+XRT(○)によって処置したマウスの全生存を示す図である。
【
図7】MC38腫瘍を移植したマウスにおける抗PD-1抗体および放射線(XRT)の投与を含む試験デザインを示す(本明細書の実施例4に記載の試験)図である。
【
図8】本明細書の実施例4に記載の試験における、アイソタイプ対照抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプ対照+放射線(XRT)(▲)、または抗PD-1抗体+XRT(▼)によって処置したマウスにおける第1の腫瘍の成長の平均値を示す図である。
【
図9】本明細書の実施例4に記載の試験における、アイソタイプ対照抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプ対照+放射線(XRT)(▲)、または抗PD-1抗体+XRT(▼)によって処置したマウスの全生存を示す図である。
【
図10】本明細書の実施例4に記載の試験における、アイソタイプ対照抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、アイソタイプ対照+放射線(XRT)(▲)、または抗PD-1抗体+XRT(▼)によって処置したマウスにおける第2の腫瘍の成長を示す図である。
【
図11】MC38腫瘍を移植したマウスにおける抗PD-1抗体、抗GITR抗体および放射線(XRT)の投与を含む試験デザインを示す(本明細書の実施例5に記載の試験)図である。
【
図12】本明細書の実施例5に記載の試験における、アイソタイプ対照抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、抗GITR抗体(▲)、抗PD-1抗体と抗GITR抗体の組合せ(▼)、アイソタイプ対照+放射線(XRT)(◆)、抗PD-1抗体+XRT(○)、抗GITR抗体+XRT(□)、または抗PD-1抗体、抗GITR抗体+XRTの組合せ(△)によって処置したマウスにおける腫瘍の成長の平均値を示す図である。
【
図13】本明細書の実施例5に記載の試験における、アイソタイプ対照抗体(●)、抗PD-1抗体(■)、抗GITR抗体(▲)、抗PD-1抗体と抗GITR抗体の組合せ(▼)、アイソタイプ対照+放射線(XRT)(◆)、抗PD-1抗体+XRT(○)、抗GITR抗体+XRT(□)、または抗PD-1抗体、抗GITR抗体+XRTの組合せ(△)によって処置したマウスの全生存を示す図である。
【
図14A】ベースライン、左、および24週目、右に矢印によって示した基底細胞癌(BCC)患者における肺転移のX線画像を示す図である。
【
図14B】ベースライン、左、および16週目、右の皮膚扁平上皮癌(CSCC)患者における頸部腫瘍塊のX線画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を説明する前に、本発明は、記載の特定の方法および実験条件が変化し得ることから、そのような方法および条件に限定されないと理解すべきである。同様に、本明細書において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることから、制限的ではないと意図されると理解すべきである。
【0029】
特に定義していなければ、本明細書において使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書において使用される、特定の列挙された数値を参照して使用する場合の用語「約」は、その値が列挙された値から1%以下変動してもよいことを意味する。例えば、本明細書において使用されるように、「約100」という表現は、99および101、ならびにその間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4等)を含む。
【0030】
本明細書に記載の方法および材料と類似または同等の任意の方法および材料を、本発明の実践に使用することができるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。本明細書において言及した全ての刊行物は、その全体を記載するために参照によって本明細書に組み入れられる。
【0031】
がんを処置またはがんの成長を阻害する方法
本発明は、対象におけるがんを処置する、がんの少なくとも1つの症状もしくは適応を改善もしくはその重症度を低減する、またはがんの成長を阻害する方法を含む。本発明のこの態様に従う方法は、PD-1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の治療上有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、抗腫瘍治療(本明細書において他所で記述されている)と組み合わせて投与される。一実施形態において、抗腫瘍治療は放射線療法である。本明細書において使用される「処置する」、「処置している」等の用語は、症状を軽減する、一時的または永続的に症状の原因を除去する、腫瘍の成長を遅らせるもしくは阻害する、腫瘍細胞量もしくは腫瘍負荷を低減する、腫瘍の退縮を促進する、腫瘍の縮小、壊死、および/もしくは消失を引き起こす、腫瘍の再発を防止する、転移を予防もしくは阻害する、転移性の腫瘍の成長を阻害する、ならびに/または対象の生存期間を延長させることを意味する。
【0032】
本明細書において使用される、「それを必要とする対象」という表現は、がんの1つまたはそれ以上の症状または適応を示す、ならびに/または固形腫瘍を含むがんと診断されている、およびがんの処置を必要とするヒトまたは非ヒト哺乳動物を意味する。多くの実施形態において、用語「対象」は、用語「患者」と互換的に使用することができる。例えば、ヒト対象は、原発または転移性腫瘍を有すると診断されていてもよく、および/または説明できない体重減少、全身虚弱、持続性の疲労、食欲減退、発熱、寝汗、骨痛、息切れ、腹部膨満、胸痛/圧痛、脾臓肥大、およびがん関連バイオマーカー(例えば、CA125)のレベルの上昇を含むがこれらに限定されない1つまたはそれ以上の症状または適応を有すると診断されていてもよい。この表現は、原発または確立された腫瘍を有する対象を含む。特定の実施形態において、表現は、固形腫瘍、例えば、結腸がん、乳がん、肺がん、前立腺がん、皮膚がん、肝臓がん、骨がん、卵巣がん、子宮頸がん、膵臓がん、頭頸部がん、および脳がんを有するおよび/またはそれらの処置を必要とするヒト対象を含む。用語は、原発または転移性腫瘍(進行悪性腫瘍)を有する対象を含む。ある特定の実施形態において、「それを必要とする対象」という表現は、過去の治療(例えば、抗がん剤による処置)に耐性もしくは抵抗性である、または制御が不適切である固形腫瘍を有する患者を含む。例えば、表現は、化学療法(例えば、カルボプラチンまたはドセタキセル)による処置のような過去の治療の1つまたはそれ以上によって処置されている対象を含む。ある特定の実施形態において、「それを必要とする対象」という表現は、過去の治療の1つまたはそれ以上によって処置されているが、その後再燃または転移した、固形腫瘍
を有する患者を含む。例えば、腫瘍の退縮に至る1つまたはそれ以上の抗がん剤による処置を受けているが、その後1つまたはそれ以上の抗がん剤に対して耐性である(例えば、化学療法耐性がん)がんが再燃している、固形腫瘍を有する患者を、本発明の方法によって処置する。表現はまた、従来の抗がん治療が、例えば毒性の副作用により勧められない固形腫瘍を有する対象も含む。例えば、表現は、毒性の副作用を有する化学療法の1つまたはそれ以上のサイクルを受けている患者を含む。
【0033】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、1つまたはそれ以上のがん関連バイオマーカー[例えば、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、CA125、CA19-9、前立腺特異抗原(PSA)、乳酸デヒドロゲナーゼ、KIT、癌胎児性抗原、上皮成長因子受容体(EGFR)、ALK遺伝子再構成]のレベルの上昇を示す患者を処置するために使用してもよい。例えば、本発明の方法は、抗PD-1抗体の治療上有効量を、放射線療法と組み合わせて、PD-L1および/またはEGFRのレベルが上昇した患者に投与することを含む。好ましい実施形態において、本発明の方法は、がん組織におけるPD-L1発現に基づいて選択したがん患者に使用される。ある特定の実施形態において、本発明の方法は、がん組織および/または免疫細胞における少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%のPD-L1発現に基づいて選択したがん患者を処置するために使用される。がん組織および/または免疫細胞におけるPD-L1発現を決定する方法は、当技術分野で周知である。ある特定の実施形態において、腫瘍組織におけるPD-L1の発現は、PCT出願国際公開第2016124558号または国際公開第2016191751号または米国特許出願公開第20160305947号に記述される、当技術分野で公知の任意のアッセイ、例えばELISAアッセイまたは免疫組織化学(IHC)アッセイによって決定される。ある特定の実施形態において、PD-L1の発現は、RNA発現を定量することによって、例えばインサイチューハイブリダイゼーション、またはRT-PCRによって決定される。ある特定の実施形態において、PD-L1の発現は、例えば免疫ポジトロン放射断層撮影またはiPETによる標識抗PD-L1抗体によるイメージングによって決定される[例えば、The Oncologist,12:1379頁(2007);Journal of Nuclear Medicine,52(8):1171頁(2011);2016年12月1日に提出された米国特許仮出願第62/428,672号を参照されたい]。
【0034】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、固形腫瘍を有する対象において使用される。用語「腫瘍」、「がん」、および「悪性腫瘍」は、本明細書において互換的に使用される。
【0035】
本明細書において使用される用語「固形腫瘍」は、通常、嚢胞または液体領域を含まない異常な組織塊を指す。固形腫瘍は、良性(がんではない)または悪性(がん)であり得る。本発明の目的に関して、用語「固形腫瘍」は、悪性の固形腫瘍を意味する。用語は、それらを形成する細胞タイプから名付けられた様々なタイプの固形腫瘍、すなわち肉腫、癌腫、およびリンパ腫を含む。しかし、用語は白血病を含まない。様々な実施形態において、用語「固形腫瘍」は、結合または支持組織(例えば、骨または筋肉)から生じるがん(肉腫と呼ばれる)、体の腺細胞および体組織の内側に沿って並ぶ上皮細胞から生じるがん(癌腫と呼ばれる)、ならびにリンパ節、脾臓、および胸腺のようなリンパ系臓器のがん(リンパ腫と呼ばれる)を含む。リンパ系の細胞は体のほぼ全ての組織に存在し、したがってリンパ腫は広く多様な臓器に発症し得る。ある特定の実施形態において、用語「固形腫瘍」は、結腸直腸がん、卵巣がん、前立腺がん、乳がん、脳がん、子宮頸がん、膀胱がん、肛門がん、子宮がん、結腸がん、肝臓がん、膵臓がん、肺がん、子宮内膜がん、骨がん、精巣がん、皮膚がん、腎臓がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、唾液腺がん、および骨髄腫を含むがこれらに限定されないがんを含む。ある特定の実施形態において、用
語「固形腫瘍」は、肝細胞癌、非小細胞肺がん、頭頸部扁平上皮がん、基底細胞癌、乳癌、皮膚扁平上皮癌、軟骨肉腫、血管肉腫、胆管癌、軟部組織肉腫、結腸直腸がん、黒色腫、メルケル細胞癌、および多形膠芽腫を含むがこれらに限定されないがんを含む。ある特定の実施形態において、用語「固形腫瘍」は、処置を必要とする対象において、互いに離れて存在する1つ超の固形腫瘍病変、例えば2個、2個超、5個超、10個超、15個超、20個超、または25個超の病変を含む。ある特定の実施形態において、1つ超の病変は、同じ臓器において互いに遠位に存在する。ある特定の他の実施形態において、腫瘍病変は、異なる臓器に存在し得る。
【0036】
ある特定の実施形態において、本発明は、結腸直腸がん、卵巣がん、前立腺がん、乳がん、脳がん、子宮頸がん、膀胱がん、肛門がん、子宮がん、結腸がん、肝臓がん、膵臓がん、肺がん、子宮内膜がん、骨がん、精巣がん、皮膚がん、腎臓がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、唾液腺がん、および骨髄腫を含むがこれらに限定されないがんを処置またはがんの成長を阻害する方法を含む。ある特定の実施形態において、本発明は、肝細胞癌、非小細胞肺がん、頭頸部扁平上皮がん、基底細胞癌、皮膚扁平上皮癌、軟骨肉腫、血管肉腫、胆管癌、軟部組織肉腫、結腸直腸がん、黒色腫、メルケル細胞癌、および多形膠芽腫を含むがこれらに限定されないがんを処置またはがんの成長を阻害する方法を含む。ある特定の実施形態において、本発明は、転移性皮膚扁平上皮癌(CSCC)、切除不能局所進行CSCC、転移性結腸直腸がん、進行または転移性肝細胞がん、進行非小細胞肺がん、基底細胞癌、再発性多形膠芽腫、去勢後再発前立腺がん、およびファーストライン治療に抵抗性である任意の進行固形腫瘍を含むがこれらに限定されない進行固形腫瘍を処置する方法を含む。この態様に従う方法は、抗PD-1抗体の治療上有効量を投与することを含む。ある特定の実施形態において、方法は、抗PD-1抗体の治療上有効量を、抗腫瘍治療と組み合わせて投与することを含む。抗腫瘍治療は、化学療法、放射線、手術のような従来の抗腫瘍治療を含むがこれらに限定されない。他の抗腫瘍治療は、本明細書において他所で記述されている。一実施形態において、抗腫瘍治療は放射線療法を含む。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、それを必要とする対象に投与し、各用量は、直前の用量の0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10週間後に投与される。ある特定の実施形態において、各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~10mg(例えば、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、または10mg/kg)を含む。ある特定の他の実施形態において、各用量は、抗PD-1抗体の20~600mg、例えば、抗PD-1抗体の50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、または500mgを含む。
【0037】
ある特定の実施形態において、本発明は、マイクロサテライト不安定性(MSI)を有するがんを処置するまたはがんの成長を阻害する方法を含む。本明細書において使用される用語「マイクロサテライト不安定性」は、「MSI」としても知られ、腫瘍細胞におけるマイクロサテライト反復配列の変化またはDNAミスマッチ修復の欠損によって引き起こされる遺伝的高変異性を指す。単純反復配列としても知られるマイクロサテライトは、長さが1~6塩基対の反復単位を含むDNAの反復配列である。マイクロサテライトの長さは、人によって非常に多様であり、DNAフィンガープリントに寄与するが、各個体は一定の長さのマイクロサテライトを有する。MSIは、ミスマッチ修復(MMR)タンパク質がDNA複製エラーを修復することができないことに起因する。MSIは、複製エラーが配列ではなくて長さが異なるDNA多型を含む。MSIは、挿入もしくは欠失、または高度メチル化のいずれかを通してのフレームシフト変異を含み、それによって遺伝子の沈黙化が起こる。マイクロサテライト不安定性によって、結腸がん、胃がん、子宮内膜がん、卵巣がん、肝胆管がん、尿路がん、脳がん、および皮膚がんが起こり得ることは当技術分野で公知である。本発明は、抗PD-1抗体の治療上有効量を、場合により放射線療法と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することを含む、MSIを有するがんを
処置する方法を含む。
【0038】
本発明の一実施形態は、MSIを有する転移性結腸直腸がん、MSIを有する転移性子宮内膜がん、およびMSIを有する去勢後再発前立腺がんを含むがこれらに限定されない、MSIを有する進行固形腫瘍の処置に使用するための抗PD-1抗体(例えば、REGN2810)に関する。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、MSIを有する進行固形腫瘍を有する対象に投与し、各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~20mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、MSIを有する進行固形腫瘍を有する対象に投与し、各用量は、抗PD-1抗体の20~600mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。
【0039】
本明細書において使用される用語「放射線療法」は、「XRT」とも呼ばれ、一般的に抗がん治療の一部として、がん細胞を殺滅するために電離放射線を使用することを意味する。X線、ガンマ線、または荷電粒子(例えば、陽子または電子)を使用して、電離放射線を生成する。放射線療法は、患者の体外に配置される機器(体外照射療法)もしくは患者の体内に配置される発生源(体内照射療法または小線源療法)によって送達してもよく、または静脈内もしくは経口に送達された全身の放射性同位元素(全身放射性同位元素療法)によって送達してもよい。放射線療法は、投与すべき放射線の線量および位置を正確に決定するために、コンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)のようなイメージングに基づく技術と共に計画および投与してもよい。様々な実施形態において、放射線療法は、全身照射療法、従来の体外照射療法、定位放射線手術、定位放射線療法、三次元原体照射療法、強度変調放射線療法、画像誘導放射線療法、トモセラピー、小線源療法、および全身放射線療法からなる群より選択される。ある特定の実施形態において、その意図に応じて、放射線療法は、治癒的、補助的、または緩和的である。特定の実施形態において、用語「放射線療法」は、少分割放射線療法を指す。少分割放射線療法は、放射線線量が2つ以上の分割に含まれる放射線療法を指す。様々な実施形態において、各分割は、2~20Gyを含む。例えば、50Gyの放射線線量を、各々が5Gyを含む10分割に分割してもよい。ある特定の実施形態において、2回以上の分割を連続してまたは連続する日に投与する。ある特定の他の実施形態において、2つ以上の分割を、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、7日に1回、またはその組合せで投与する。
【0040】
ある特定の実施形態に従って、本発明は、腫瘍を処置する、または腫瘍の成長を遅らせるもしくは阻害する方法を含む。ある特定の実施形態において、本発明は、腫瘍の退縮を促進する方法を含む。ある特定の実施形態において、本発明は、腫瘍細胞量を低減する、または腫瘍負荷を低減する方法を含む。ある特定の実施形態において、本発明は、腫瘍の再発を予防する方法を含む。本発明のこの態様に従う方法は、抗PD-1抗体の治療上有効量を、放射線療法と組み合わせて、それを必要とする対象に連続的に投与することを含み、抗体は、例えば特異的治療投与レジメンの一部として複数用量で対象に投与される。例えば、治療投与レジメンは、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、対象に約1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回またはそれより少ない回数で投与することを含んでもよい。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、放射線療法の1つまたはそれ以上の線量と組み合わせて投与し、放射線の1つまたはそれ以上の線量は、対象に約1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回またはそれより少ない回数で投与される。
【0041】
ある特定の実施形態において、1つまたはそれ以上の用量は、処置サイクルに含まれる。本態様に従う方法は、少なくとも1つの処置サイクルを、それを必要とする対象に投与することを含み、少なくとも1つの処置サイクルは、抗PD-1抗体の1~10用量を含み、場合により放射線療法の1つまたはそれ以上の線量を含む。ある特定の実施形態において、2~12処置サイクルを、それを必要とする対象に投与する。
【0042】
特定の実施形態において、本発明は、抗腫瘍効能を増加させるまたは腫瘍の阻害を増加させる方法を提供する。本発明のこの態様に従う方法は、放射線の線量を投与する前に抗PD-1抗体の治療上有効量を、固形腫瘍を有する対象に投与することを含み、抗PD-1抗体は、放射線療法の、約1日、1日超、2日超、3日超、4日超、5日超、6日超、7日超、または8日超前に投与してもよい。ある特定の実施形態において、方法は、抗PD-1抗体の前に放射線の線量を投与した対象と比較して、例えば約20%、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、または80%超の腫瘍の阻害の増加を提供する。ある特定の実施形態において、放射線療法は、少分割放射線療法を含む。
【0043】
ある特定の実施形態において、本発明は、がんを処置する方法であって、第1の腫瘍病変と少なくとも第2の腫瘍病変とを有する対象を選択する工程、および両方の病変が処置されるように、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を放射線療法と組み合わせて投与する工程を含む、方法を提供する。特定の実施形態において、方法は、第1の腫瘍病変に放射線療法を投与するが、第2の腫瘍病変には投与せず、投与によって、両方の腫瘍病変に腫瘍の退縮が起こる(アブスコパル効果)ことを含む。ある特定の実施形態において、方法は、第1の腫瘍病変と少なくとも第2の腫瘍病変とを有する対象を選択する工程、および抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を少分割放射線療法と組み合わせて投与する工程を含み、少分割放射線療法は、第1の病変に投与されるが、第2の病変には投与されず、両方の病変がそのような投与によって処置される。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、放射線療法の前に投与される。
【0044】
ある特定の実施形態において、本発明は、がんを処置する方法であって、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の治療下用量を、1つまたはそれ以上の抗腫瘍治療、例えば放射線療法と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を含む。本明細書において他所で定義するように、用語「治療下用量」は、治療用量より低い用量を指し、投与される治療の毒性を低減するために使用することができる。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の治療下用量を放射線療法と組み合わせて投与することによって、抗PD-1抗体単独の治療下用量の投与と比較して治療的抗腫瘍効能が得られる。ある特定の他の実施形態において、本発明の方法は、抗PD-1抗体の治療上有効量を、化学療法または放射線のような抗腫瘍治療の治療下用量と組み合わせて投与することを含む。例えば、抗PD-1抗体の治療上有効量を、いずれかの単剤療法と比較して効能を増加させるために、シクロホスファミドの治療下用量と組み合わせて投与してもよい。
【0045】
ある特定の実施形態において、本発明は、末梢臓器への腫瘍の転移または腫瘍の浸潤を阻害する、遅らせる、または停止させる方法を含む。この態様に従う方法は、抗PD-1抗体の治療上有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、放射線と組み合わせて投与される。一実施形態において、放射線は、少分割放射線である。一実施形態において、放射線は、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の線量の投与後に投与される。
【0046】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、抗PD-1抗体の治療上有効量を、進行固形腫瘍を有する対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、進行固形腫瘍は、転移性肺がん、頭頸部がん、肝細胞がん、または乳がんである。ある特定の他の実施形態において、進行固形腫瘍は、皮膚扁平上皮がんである。ある特定の実施形態にお
いて、進行固形腫瘍は、緩慢性または侵襲性である。ある特定の実施形態において、対象は、過去の治療に反応しない、または過去の治療(例えば、カルボプラチンによる)後に再燃している。ある特定の実施形態において、対象は、ファーストライン化学療法に対して抵抗性である進行固形腫瘍を有する。ある特定のさらなる実施形態において、本発明の方法は、放射線および/またはシクロホスファミドを、進行固形腫瘍を有する対象に投与することをさらに含む。
【0047】
ある特定の実施形態において、本発明は、結腸直腸がん、卵巣がん、前立腺がん、乳がん、脳がん、子宮頸がん、膀胱がん、肛門がん、子宮がん、結腸がん、肝臓がん、膵臓がん、肺がん、子宮内膜がん、骨がん、精巣がん、皮膚がん、腎臓がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、唾液腺がん、および骨髄腫を含むがこれらに限定されないがんを処置する、またはがんの成長を阻害する方法を含む。ある特定の実施形態において、本発明は、肝細胞癌、非小細胞肺がん、頭頸部扁平上皮がん、基底細胞癌、皮膚扁平上皮癌、軟骨肉腫、血管肉腫、胆管癌、軟部組織肉腫、結腸直腸がん、黒色腫、メルケル細胞癌、および多形膠芽腫を含むがこれらに限定されないがんを処置するまたはがんの成長を阻害する方法を含む。ある特定の実施形態において、本発明は、転移性皮膚扁平上皮癌(CSCC)、切除不能局所進行CSCC、転移性結腸直腸がん、進行または転移性肝細胞がん、進行非小細胞肺がん、再発性多形膠芽腫、新たに診断された多形膠芽腫、去勢後再発前立腺がん、およびファーストライン治療に対して抵抗性である任意の進行固形腫瘍を含むがこれらに限定されない進行固形腫瘍を処置する方法を含む。
【0048】
一態様に従って、本発明は、腫瘍を処置または腫瘍の成長を阻害する方法であって、(a)(i)患者が局所進行CSCCを有する;(ii)患者が転移性CSCCを有する;(iii)腫瘍が切除不能である;(iv)患者が少なくとも1つの抗腫瘍治療によって過去に処置されている;(v)患者が手術不能であると考えられる疾患を有する;(vi)手術および/または放射線が禁忌である;(vii)患者が過去に放射線によって処置されており、腫瘍が放射線に対して抵抗性であるかまたは非反応性である;(viii)患者が局所進行CSCCを有し、治癒的手術の対象ではない;(ix)腫瘍がuv誘発DNA損傷を含む;ならびに(x)患者が腫瘍細胞において1%以上、5%以上、または10%以上のPD-L1発現を示す、ことからなる群より選択される属性に基づいて選択される、皮膚扁平上皮癌(CSCC)を有する患者を選択する工程;ならびに(b)抗PD-1抗体の治療上有効量を、それを必要とする患者に投与する工程を含む、方法を含む。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量は、直前の用量の1~12週間後に、例えば、直前の用量の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間後に投与される。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、患者の体重1kgあたり0.1、1、0.3、3、4、5、6、7、8、9、または10mgを含む。ある特定の実施形態において、各用量は、抗PD-1抗体の50~500mg、例えば抗PD-1抗体の200mg、250mg、または350mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5、1、2、3または4週間後に投与される。一実施形態において、抗PD-1抗体は、REGN2810である。
【0049】
一態様に従って、本発明は、腫瘍を処置する、または腫瘍の成長を阻害する方法であって、(a)(i)患者が局所進行BCCを有する;(ii)患者が転移性BCCを有する;(iii)腫瘍が切除不能である;(iv)患者が少なくとも1つの抗腫瘍治療によって過去に処置されている;(v)患者がヘッジホッグ経路阻害剤(例えば、ビスモデギブ、ソニデジブ)によって過去に処置されており、処置中に進行している;(vi)患者がヘッジホッグ経路阻害剤に対して不耐性である;(vii)患者が手術不能であると考えられるか、または治癒的手術の対象ではない疾患を有する;(viii)手術および/または放射線が禁忌である;(ix)患者が放射線によって過去に処置されており、腫瘍が放射線に対して抵抗性であるか、または非反応性である;(x)患者が腫瘍細胞において
1%以上、5%以上、または10%以上のPD-L1発現を示す;および(xi)腫瘍がuv誘発DNA損傷を含む、ことからなる群より選択される属性に基づいて選択される、基底細胞癌(BCC)を有する患者を選択する工程;ならびに(b)抗PD-1抗体の治療上有効量を、それを必要とする患者に投与する工程を含む、方法を含む。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量は、直前の用量の1~12週間後に、例えば、直前の用量の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間後に投与される。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、患者の体重1kgあたり0.1、1、0.3、3、4、5、6、7、8、9、または10mgを含む。ある特定の実施形態において、各用量は、抗PD-1抗体の50~500mg、例えば抗PD-1抗体の200mg、250mg、または350mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5、1、2、3または4週間後に投与される。一実施形態において、抗PD-1抗体は、REGN2810である。
【0050】
ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の各用量を、直前の用量の1週間、2週間、3週間、または4週間後に投与し、各用量は、抗PD-1抗体の50~600mgを含む。一実施形態において、各用量は、抗PD-1抗体の200、250、300、または350mgを含む。
【0051】
本発明の一実施形態は、胆管癌の処置に使用するための抗PD-1抗体(例えば、REGN2810)に関する。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、胆管癌を有する対象に投与し、各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~20mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。ある特定の実施形態において、各用量は、抗PD-1抗体の50~500mg、例えば抗PD-1抗体の200mg、250mg、または350mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5、1、2、3、または4週間後に投与される。
【0052】
本発明の一実施形態は、進行肝細胞がん(HCC)の処置に使用するための抗PD-1抗体(例えば、REGN2810)に関する。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、HCCを有する対象に投与し、各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~20mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。ある特定の実施形態において、各用量は、抗PD-1抗体の50~500mg、例えば抗PD-1抗体の200mg、250mg、または350mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5、1、2、3、または4週間後に投与される。
【0053】
本発明の一実施形態は、軟部組織肉腫の処置に使用するための抗PD-1抗体(例えば、REGN2810)に関する。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、軟部組織肉腫を有する対象に投与し、各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~20mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。ある特定の実施形態において、各用量は、抗PD-1抗体の50~500mg、例えば抗PD-1抗体の200mg、250mg、または350mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5、1、2、3、または4週間後に投与される。
【0054】
本発明の一実施形態は、非小細胞肺がん(NSCLC)の処置に使用するための抗PD-1抗体(例えば、REGN2810)に関する。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、NSCLCを有する対象に投与し、各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~20mg/kgを含み、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、NSCLCを有する対象に投与し、各用量は、抗PD-1抗体の50~600mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。
【0055】
一態様に従って、本発明は、腫瘍を処置する、または腫瘍の成長を阻害する方法であって、脳がんを有する対象を選択する工程と、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片の治療上有効量を、それを必要とする対象に投与する工程とを含む方法を含む。ある特定の実施形態において、脳がんは、多形膠芽腫である。一実施形態において、対象は、新たに診断された多形膠芽腫を有する。一実施形態において、対象は年齢65歳以上である。一実施形態において、抗PD-1抗体は、1つまたはそれ以上の用量として投与され、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。一実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、対象の体重1kgあたり1、3、または10mgを含む。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、放射線療法と組み合わせて投与される。一実施形態において、放射線療法は、少分割放射線療法である。一実施形態において、対象は20~60Gyを2~20分割で投与される。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量は、1つまたはそれ以上の処置サイクルに含まれ、各処置サイクルは、抗PD-1抗体の1~6用量を含む。一実施形態において、少なくとも1つの処置サイクルは、放射線療法をさらに含む。さらなる実施形態において、放射線療法は、少分割放射線療法である。ある特定の実施形態において、対象は、第1の処置サイクルにおいて少分割放射線療法を投与され、少分割放射線療法は、20~60Gyの2~20分割を含む。一実施形態において、対象は、第1の処置サイクルにおいて抗PD-1抗体投与の1週間後に少分割放射線療法を投与される。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の投与後に対象が頭蓋内浮腫を発症する場合、本発明の方法は、抗血管新生剤を対象に投与することをさらに含む。一実施形態において、抗血管新生剤は、血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤である。一実施形態において、抗血管新生剤は、アンジオポエチン-2(Ang-2)阻害剤(例えば、ネスバクマブのような抗Ang-2抗体)である。ある特定の実施形態において、VEGF阻害剤は、VEGF阻害融合タンパク質(例えば、米国特許第7,087,411号に記載のアフリベルセプトのような「VEGF-Trap」または他のVEGF阻害融合タンパク質)、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)、およびVEGF受容体の低分子キナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブ、またはパゾパニブ)からなる群より選択される。
【0056】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、「ファーストライン」処置(例えば、初回処置)として、抗PD-1抗体を放射線療法と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む。他の実施形態において、放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体は、「セカンドライン」処置(例えば、過去の治療後)として投与される。例えば、放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体は、例えば化学療法による過去の治療後に再燃した対象に「セカンドライン」処置として投与される。
【0057】
ある特定の実施形態に従って、本発明の方法は、抗PD-1抗体の治療上有効量および放射線を、追加の治療剤または治療レジメンもしくは手順と組み合わせて対象に投与することを含む。追加の治療剤または治療レジメンもしくは手順は、抗腫瘍効能を増加させるため、1つまたはそれ以上の治療の毒性作用を低減するため、および/または1つまたはそれ以上の治療の用量を低減するために投与してもよい。様々な実施形態において、追加の治療剤または治療レジメンもしくは手順は、例えば、化学療法、シクロホスファミド、手術、がんワクチン、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)阻害剤(例えば、抗PD-L1抗体)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)阻害剤(例えば、抗LAG3抗体)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)阻害剤(例えば、イピリムマブ)、グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)阻害剤(例えば、抗GITR抗体)、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有タンパク質3(TIM3)阻害剤、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)阻害剤、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)阻害剤、CD47阻害剤、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、アンジオポエチン-2(Ang2)阻害剤、トランスフォーミング増殖因
子ベータ(TGFβ)阻害剤、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、腫瘍特異抗原[例えば、CA9、CA125、黒色腫関連抗原3(MAGE3)、癌胎児性抗原(CEA)、ビメンチン、腫瘍-M2-PK、前立腺特異抗原(PSA)、ムチン-1、MART-1、およびCA19-9]に対する抗体、抗CD3/抗CD20二重特異性抗体、ワクチン(例えば、カルメットゲラン桿菌)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、細胞毒素、化学療法剤、IL-6R阻害剤、IL-4R阻害剤、IL-10阻害剤、IL-2、IL-7、IL-21、およびIL-15のようなサイトカイン、コルチコステロイドおよび非ステロイド性抗炎症剤のような抗炎症剤、ならびに抗酸化剤のような栄養補助食品からなる群より選択される。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、化学療法剤を含む治療および手術と組み合わせて投与してもよい。本明細書において使用される「組み合わせる」という語句は、抗PD-1抗体が放射線療法および追加の治療剤の投与と同時、直前、または直後に対象に投与されることを意味する。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、抗PD-1抗体と同一製剤として投与される。
【0058】
本発明の一実施形態は、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)の処置に使用するための抗PD-1抗体(例えば、REGN2810)、放射線療法、シクロホスファミド、およびGM-CSFの組合せに関する。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、HNSCCを有する対象に投与し、各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~20mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。ある特定の実施形態において、各用量は、抗PD-1抗体の50~500mg、例えば抗PD-1抗体の200mg、250mg、または350mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5、1、2、3、または4週間後に投与される。
【0059】
本発明の一実施形態は、乳がんの処置に使用するための抗PD-1抗体(例えば、REGN2810)、放射線療法、およびシクロホスファミドの組合せに関する。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、乳がんを有する対象に投与し、各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~20mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。
【0060】
本発明の一実施形態は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体によって過去に処置されている患者における進行固形腫瘍の処置に使用するための抗PD-1抗体(例えば、REGN2810)、放射線療法、シクロホスファミド、およびGM-CSFの組合せに関する。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、それを必要とする患者に投与し、各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~20mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。
【0061】
本発明の一実施形態は、ファーストライン化学療法に対して抵抗性である進行固形腫瘍の処置に使用するための抗PD-1抗体(例えば、REGN2810)、ドセタキセル、および場合によりカルボプラチンの組合せに関する。ある特定の実施形態において、ドセタキセルは低用量で投与される。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、それを必要とする対象に投与し、各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~20mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。
【0062】
本発明の一実施形態は、新たに診断されたまたは再発性の多形膠芽腫(GBM)の処置に使用するための抗PD-1抗体(例えば、REGN2810)および放射線療法の組合せに関する。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、それを必要とする対象に投与し、各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~20mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。ある特定の実施形態において、放射線は、本明細書に記載される少分割放射線療法である。
【0063】
本発明のある特定の実施形態は、子宮頸部扁平上皮癌、肛門扁平上皮癌、メルケル細胞癌、小腸腺癌、または卵巣漿液性癌の処置に使用するための抗PD-1抗体(例えば、REGN2810)および放射線療法の組合せに関する。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、それを必要とする対象に投与し、各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~20mgを含み、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。ある特定の実施形態において、放射線は、本明細書に記載の少分割放射線療法である。
【0064】
ある特定の実施形態において、本発明は、大きい腫瘍または進行した悪性腫瘍を処置する方法であって、放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体および追加の治療剤を、それを必要とする対象に投与することを含み、調節性T細胞(Treg)媒介免疫抑制を克服するために追加の治療剤が投与される、方法を含む。ある特定の実施形態において、追加の治療剤は、抗GITR抗体、抗LAG3抗体、シクロホスファミド、およびGM-CSFからなる群より選択される。
【0065】
本明細書において使用される用語「大きい腫瘍」は、腫瘍のサイズを指す。これは典型的に高い腫瘍負荷または腫瘍量に相関する。ある特定の実施形態において、これは疾患、例えば進行した悪性腫瘍の病期に相関する。ある特定の実施形態において、これは転移の可能性の増加に相関する。
【0066】
ある特定の実施形態において、本発明は、放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量およびシクロホスファミドの治療下用量を投与することを含む方法を含む。本明細書において使用される、シクロホスファミドの治療下用量(本明細書において「低用量シクロホスファミド」とも呼ばれる)は、それ自身治療効果を付与しないが、好ましくは毒性を引き起こさないシクロホスファミドの量を意味する。本発明の文脈において「治療下」であると考えられるシクロホスファミドの例示的な用量には、100mg/m2、90mg/m2、80mg/m2、またはそれ未満が挙げられる。
【0067】
一態様において、本発明は、放射線と組み合わせた抗PD-1抗体の治療上有効量を、背景治療の抗がん治療レジメンを受けている対象に投与することを含む方法を含む。背景治療の抗がん治療レジメンは、例えば化学療法剤の一連の投与を含んでもよい。放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体は、背景治療の抗がん治療レジメンの外に追加してもよい。一部の実施形態において、背景治療の抗がん治療を経時的に対象から徐々に減少させる(段階的に)が、抗PD-1抗体を、一定用量で、または経時的に漸増用量もしくは漸減用量で対象に投与する、「背景治療のステップダウン」スキームの一部として、抗PD-1抗体を追加する。例えば、背景治療の抗がん治療は、低用量または治療下用量で投与される化学療法剤を含んでもよい。ある特定の実施形態において、本発明は、放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量、および化学療法剤の1つまたはそれ以上の用量を投与することを含む、がんを治療する方法を含み、化学療法剤は治療下用量で投与される。
【0068】
ある特定の実施形態において、放射線療法は、第1の腫瘍病変に投与されるが、第2の腫瘍病変には投与されず、抗PD-1抗体との組合せ投与によって、第1および第2の腫瘍病変の両方に腫瘍の退縮が起こる(アブスコパル効果)。ある特定の実施形態において、本発明の方法は、持続的なアブスコパル効果を生じるために、放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体の投与を含む。
【0069】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、抗PD-1抗体の治療上有効量を、場合により放射線療法と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含み、組合せの投与によって、腫瘍の成長の阻害が増加する。ある特定の実施形態において、腫瘍の
成長は、未処置の対象、または抗体もしくは放射線のいずれかを単剤療法として投与した対象と比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、または約80%阻害される。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の投与および/または放射線療法によって、腫瘍の退縮、腫瘍の縮小および/または消失の増加が起こる。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の投与および/または放射線療法によって、腫瘍の成長および発達の遅延が起こり、例えば腫瘍の成長は、未処置の対象または抗体もしくは放射線のいずれかの単剤療法によって治療した対象と比較して、約3日、3日超、約7日、7日超、15日超、1ヶ月超、3ヶ月超、6ヶ月超、1年超、2年超、または3年超遅延し得る。ある特定の実施形態において、放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体の投与は、腫瘍の再発を予防し、および/または対象の生存期間を延長させ、例えば未処置の対象または抗体もしくは放射線のいずれかを単剤療法として投与した対象と比較して、15日超、1ヶ月超、3ヶ月超、6ヶ月超、12ヶ月超、18ヶ月超、24ヶ月超、36ヶ月超、または48ヶ月超、生存期間を延長させる。ある特定の実施形態において、放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体の投与は、無増悪生存または全生存を延長させる。ある特定の実施形態において、放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体の投与は、未処置の対象または抗体もしくは放射線のいずれかを単剤療法として受けた対象と比較して、対象における反応および奏効期間を、例えば2%超、3%超、4%超、5%超、6%超、7%超、8%超、9%超、10%超、20%超、30%超、40%超、または50%超増加させる。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体および/または放射線療法の、がんを有する対象への投与によって、腫瘍細胞の全ての証拠の完全な消失(「完全奏効」)が起こる。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体および/または放射線療法の、がんを有する対象への投与によって、腫瘍細胞または腫瘍サイズの少なくとも30%または30%超の減少が起こる(「部分奏効」)。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体および/または放射線療法の、がんを有する対象への投与によって、新規の測定可能な病変を含む腫瘍細胞/病変の完全または部分的な消失が起こる。腫瘍の低減は、当技術分野で公知の方法のいずれか、例えばX線、ポジトロン断層撮影(PET)、コンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、細胞学、組織学、または分子遺伝子解析によって測定することができる。
【0070】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、抗PD-1抗体の治療上有効量を、それを必要とする対象に投与することを含み、抗PD-1抗体の投与によって、標準治療(SOC)療法(例えば、化学療法、手術、または放射線)を投与された患者と比較して患者の全生存(OS)または無増悪生存(PFS)の延長が起こる。ある特定の実施形態において、PFSは、任意の1つまたはそれ以上のSOC治療を投与された患者と比較して少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、または少なくとも3年延長する。ある特定の実施形態において、OSは、任意の1つまたはそれ以上のSOC治療を投与された患者と比較して少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、または少なくとも3年延長する。
【0071】
本発明はまた、治療的使用のための抗PD-1抗体を含むキットも提供する。キットは典型的に、キットの内容の意図される使用を示すラベルと、使用説明書とを含む。用語ラベルは、キットと共に供給されるまたはキットに付属の、またはそうでなければキットに添付される任意の書面のまたは記録された材料を含む。したがって、本開示は、がんに罹患した対象を処置するためのキットであって、(a)PD-1に特異的に結合して、PD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分の用量と、(b)本明細書に開示の治療方法のいずれかにおいて抗PD-1抗体を使用するための説明書とを含むキットを提供す
る。ヒト患者を治療するためのある特定の実施形態において、キットは、本明細書に開示の抗ヒトPD-1抗体、例えばREGN2810を含む。他の実施形態において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、または本明細書において開示される抗PD-1抗体のいずれかのうちのいずれか1つであり得る。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の用量は、0.1~10mg/kg体重の範囲である。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の用量は、50~600mgを含む。
【0072】
調節性T細胞を抑制する方法
ある特定の態様に従って、本発明は、調節性T(Treg)細胞の活性化および/または増殖を抑制または阻害する方法を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、Treg細胞の活性を抑制する方法を提供する。これらの態様に従う方法は、固形腫瘍を有する対象を選択する工程、ならびに抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を、(i)放射線療法、および(ii)グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)アンタゴニストのうちの少なくとも1つと組み合わせて対象に投与する工程を含む。ある特定の実施形態において、方法は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を、放射線療法およびGITRアンタゴニストと組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0073】
ある特定の実施形態において、GITRアンタゴニストは、抗GITR抗体またはその抗原結合断片である。本発明のある特定の例示的な実施形態に従って、抗GITR抗体またはその抗原結合断片は、その内容の全体が本明細書に組み入れられる、米国特許出願第62/256,922号(2015年11月18日提出)に記載の抗GITR抗体のいずれかのアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)、および/または相補性決定領域(CDR)を含む。本発明の方法の文脈において使用することができる他の抗GITR抗体は、例えば米国特許第9228016号、第8709424号、第8591886号、第7812135号、または米国特許出願公開第20150368349号に記載される抗GITR抗体のいずれかを含む。
【0074】
ある特定の実施形態において、本発明は、Treg活性を抑制または除去する方法であって、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を、放射線の1つまたはそれ以上の線量、および細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA)アンタゴニストと組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態において、CTLAアンタゴニストは、抗CTLA抗体(例えば、イピリムマブ)である。
【0075】
ある特定の実施形態において、本発明は、Treg活性を抑制または除去する方法であって、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を、放射線の1つまたはそれ以上の線量およびリンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)アンタゴニストと組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態において、LAG-3アンタゴニストは、抗LAG-3抗体である。本発明の方法の文脈において使用することができる抗LAG-3抗体は、その内容の全体が本明細書に組み入れられている、米国特許出願第15/289,032号(2016年10月7日提出)に開示されている。
【0076】
ある特定の実施形態において、本発明は、Treg活性を抑制または除去する方法であって、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を、放射線の1つまたはそれ以上の線量およびシクロホスファミドと組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0077】
一態様において、本発明の方法は、抗PD-1抗体を、放射線療法、ならびにGITRアンタゴニスト、抗LAG-3抗体、およびシクロホスファミドからなる群より選択される追加の治療剤と組み合わせて、固形腫瘍を有する対象に投与することを含み、投与によ
って、腫瘍の成長の阻害、腫瘍サイズの低減、腫瘍の成長の遅延、腫瘍転移の阻害、転移性病変の経時的な低減、化学療法剤または細胞傷害剤の使用の低減、生存の延長、完全奏効、部分奏効、および安定からなる群より選択される効果が得られる。ある特定の実施形態において、投与によって、対象における腫瘍負荷の低減が起こる。ある特定の実施形態において、対象は大きい腫瘍を有する。本明細書において他所で定義されているように、用語「大きい腫瘍」は、腫瘍のサイズを指し、腫瘍負荷の増加および転移の発生の可能性の増加に相関している。ある特定の実施形態において、用語は進行した悪性腫瘍を指す。
【0078】
抗PD-1抗体およびその抗原結合断片
本発明のある特定の例示的な実施形態に従って、方法は、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片の治療上有効量を投与することを含む。本明細書において使用される用語「抗体」は、4つのポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合によって相互接続された2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子、ならびにその多量体(例えば、IgM)を含む。典型的な抗体において、各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてHCVRまたはVHと省略する)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてLCVRまたはVLと省略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域はさらに、より保存されたフレームワーク領域(FR)と呼ばれる領域の間に介在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域に細分することができる。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で整列する3つのCDRと4つのFRで構成される。本発明の異なる実施形態において、抗IL-4R抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であってもよく、または天然もしくは人為的に改変されてもよい。アミノ酸コンセンサス配列は、2つ以上のCDRの並列解析に基づいて定義してもよい。
【0079】
本明細書において使用される用語「抗体」はまた、完全な抗体分子の抗原結合断片も含む。本明細書において使用される、抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」等という用語は、抗原に特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然に存在する、酵素によって得ることができる、合成の、または遺伝子操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合断片は、例えば、タンパク質分解消化のような任意の適した標準的な技術、または抗体の可変および場合により定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を伴う組み換え遺伝子操作技術を使用して、例えば完全な抗体分子から誘導してもよい。そのようなDNAは、公知であり、および/または例えば販売元、DNAライブラリ(例えば、ファージ-抗体ライブラリを含む)から容易に入手可能であるか、または合成することができる。例えば、1つまたはそれ以上の可変および/または定常ドメインを適した形状に整列させるため、またはコドンを導入するため、システイン残基を作製するため、アミノ酸を改変、付加、または欠失させるために、DNAをシークエンシングして化学的にまたは分子生物学技術を使用して操作してもよい。
【0080】
抗原結合断片の非制限的な例には、(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体の超可変領域(例えば、CDR3ペプチドなどの単離された相補性決定領域(CDR))を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位、または限定的なFR3-CDR4-FR4ペプチドが挙げられる。ドメイン特異性抗体、シングルドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価のナノボディ、二価のナノボディ等)、低分子モジュール免疫薬剤(SMIP)、およびサメ可変IgNARドメインのような他の操作された分子も同様に、本明細書において使用される表現「抗原結合断片」内に包含される。
【0081】
抗体の抗原結合断片は、典型的に、少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、任意のサイズまたはアミノ酸組成のドメインであってもよく、一般的に1つまたはそれ以上のフレームワーク配列に隣接するまたはインフレームである少なくとも1つのCDRを含む。VLドメインに会合したVHドメインを有する抗原結合断片において、VHおよびVLドメインは、互いに、任意の適した配置で存在し得る。例えば、可変領域は二量体であってもよく、VH-VH、VH-VL、またはVL-VL二量体を含んでもよい。あるいは、抗体の抗原結合断片は、単量体のVHまたはVLドメインを含んでもよい。
【0082】
ある特定の実施形態において、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合した少なくとも1つの可変ドメインを含み得る。本発明の抗体の抗原結合断片内に見出すことができる可変および定常ドメインの非制限的な例示的な構成には、(i)VH-CH1;(ii)VH-CH2;(iii)VH-CH3;(iv)VH-CH1-CH2;(v)VH-CH1-CH2-CH3;(vi)VH-CH2-CH3;(vii)VH-CL;(viii)VL-CH1;(ix)VL-CH2;(x)VL-CH3;(xi)VL-CH1-CH2;(xii)VL-CH1-CH2-CH3;(xiii)VL-CH2-CH3;および(xiv)VL-CLが挙げられる。上記の例示的な構成のいずれかを含む可変および定常ドメインの任意の構成において、可変および定常ドメインを、互いに直接連結してもよく、または完全なもしくは部分的なヒンジもしくはリンカー領域によって連結してもよい。ヒンジ領域は、単一のポリペプチド分子において隣接する可変および/または定常ドメイン間で可動性または半可動性の結合が起こるように、少なくとも2つ(例えば、5、10、15、20、40、60個または60個超)のアミノ酸からなり得る。その上、本発明の抗体の抗原結合断片は、互いにおよび/または1つまたはそれ以上の一価のVHまたはVLドメインに非共有結合した(例えば、ジスルフィド結合によって)上記の可変および定常ドメイン構成のいずれかのホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)を含み得る。
【0083】
本明細書において使用される用語「抗体」はまた、多重特異性(例えば、二重特異性)抗体も含む。多重特異性抗体または抗体の抗原結合断片は、典型的に少なくとも2つの異なる可変ドメインを含み、各可変ドメインは、個別の抗原または同じ抗原上の異なるエピトープに特異的に結合することができる。任意の多重特異性抗体フォーマットを、当技術分野で利用可能な通例の技術を使用して、本発明の抗体または抗体の抗原結合断片の状況において使用するために適合させてもよい。例えば、本発明は、免疫グロブリンの1つのアームがPD-1またはその断片に対して特異的であり、免疫グロブリンの他方のアームが第2の治療標的に対して特異的であるかまたは治療部分にコンジュゲートされている、二重特異性抗体の使用を含む方法を含む。本発明の文脈において使用することができる例示的な二重特異性フォーマットには、例えばscFvベースのまたはダイアボディ型二重特異性フォーマット、IgG-scFv融合体、二重可変ドメイン(DVD)-Ig、クアドローマ、ノブ・イントゥ・ホール(knobs-into-holes)、共通の軽鎖(例えば、ノブ・イントゥ・ホールを有する共通の軽鎖)、CrossMab、CrossFab、(SEED)抗体、ロイシンジッパー、Duobody、IgG1/IgG2、二作用Fab(DAF)-IgG、およびMab2二重特異性フォーマット(例えば、前述のフォーマットの総説に関して、Kleinら、2012年、mAbs 4:6、1~11頁、およびその中で引用される参考文献を参照されたい)が挙げられるがこれらに限定されない。二重特異性抗体はまた、例えば直交の化学反応性を有する非天然アミノ酸を使用して、部位特異的抗体オリゴヌクレオチドコンジュゲートを生成し、次にこれが規定の組成、価数、および形状を有する多量体複合体へと自己アセンブルする(例えば、Kazane et al.,J.Am.Chem.Soc.[Epub:12月4日、2012]を参照されたい)、ペプチド/核酸コンジュゲーションを使用して構築することもできる。
【0084】
本発明の方法に使用される抗体は、ヒト抗体であり得る。本明細書において使用される用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体を含むと意図される。本発明のヒト抗体は、それにもかかわらず、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異誘発、またはインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を、例えばCDRおよび特にCDR3に含んでもよい。しかし、本明細書において使用される用語「ヒト抗体」は、マウスのような別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を含まないと意図される。
【0085】
本発明の方法に使用される抗体は、組み換えヒト抗体であってもよい。本明細書において使用される用語「組み換えヒト抗体」は、宿主細胞にトランスフェクトした組み換え発現ベクターを使用して発現させた抗体(以下に詳細に説明する)、組み換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離した抗体(以下に詳細に説明する)、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックである動物(例えばマウス)から単離した抗体[例えば、Taylor et al.(1992)Nucl.Acids Res.20:6287~6295頁を参照されたい]、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作製、もしくは単離された抗体のような、組み換え手段によって調製、発現、作製、または単離された全てのヒト抗体を含むと意図される。そのような組み換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する。しかし、ある特定の実施形態において、そのような組み換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発(またはヒトIg配列に関してトランスジェニックである動物を使用する場合は、インビボ体細胞変異誘発)を受け、このため、組み換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列に由来して関連するが、インビボでのヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然には存在しない配列である。
【0086】
ある特定の実施形態に従って、本発明の方法に使用される抗体は、PD-1に特異的に結合する。用語「特異的に結合する」等は、抗体またはその抗原結合断片が、生理的条件下で比較的安定である、抗原との複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するか否かを決定する方法は、当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴等が挙げられる。例えば、本発明の文脈において使用されるPD-1に「特異的に結合する」抗体は、表面プラズモン共鳴アッセイにおいて測定した場合に、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満、または約0.5nM未満のKDで、PD-1またはその一部に結合する抗体を含む。しかし、ヒトPD-1に特異的に結合する単離抗体は、他の(非ヒト)種からのPD-1分子のような他の抗原に対して交差反応性を有してもよい。
【0087】
本発明のある特定の例示的な実施形態に従って、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、全体が本明細書に組み入れられている、米国特許出願公開第20150203579号に記載の抗PD-1抗体のいずれかのアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)、および/または相補性決定領域(CDR)を含む。ある特定の例示的な実施形態において、本発明の方法の文脈において使用することができる抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR)と、配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)と、3つのLCDR(LCDR1、LCDR2、および
LCDR3)とを含み、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;およびLCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含む。なお他の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1を含むHCVRと配列番号2を含むLCVRとを含む。ある特定の実施形態において、本発明の方法は、抗PD-1抗体の使用を含み、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一部の実施形態において、抗PD-1抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む例示的な抗体は、REGN2810として知られ、エムプルマブ(emplumab)としても知られる完全なヒト抗PD-1抗体である。ある特定の例示的な実施形態に従って、本発明の方法は、REGN2810またはその生物学的同等物の使用を含む。本明細書において使用される用語「生物学的同等物」は、単回用量または複数用量のいずれかで、類似の実験条件で同じモル用量で投与した場合に、その吸収の速度および/または程度がREGN2810の吸収の速度および/または程度と有意差を示さない薬学的同等物または薬学的代替物である抗PD-1抗体もしくはPD-1結合タンパク質、またはその断片を指す。本発明の文脈において、用語は、その安全性、純度、および/または効力においてREGN2810と臨床的に意味がある差を有しない、PD-1に結合する抗原結合タンパク質を指す。
【0088】
本発明のある特定の実施形態に従って、抗ヒトPD-1またはその抗原結合断片は、配列番号1と90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有するHCVRを含む。
【0089】
本発明のある特定の実施形態に従って、抗ヒトPD-1またはその抗原結合断片は、配列番号2と90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有するLCVRを含む。
【0090】
本発明のある特定の実施形態に従って、抗ヒトPD-1またはその抗原結合断片は、5個以下のアミノ酸置換を有する配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRを含む。本発明のある特定の実施形態に従って、抗ヒトPD-1またはその抗原結合断片は、2個以下のアミノ酸置換を有する配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。
【0091】
配列同一性は、当技術分野で公知の任意の方法(例えば、GAP、BESTFIT、およびBLAST)によって測定することができる。
【0092】
本発明はまた、がんを処置するための方法における抗PD-1抗体の使用を含み、抗PD-1抗体は、1つまたはそれ以上の保存的アミノ酸置換を有する、本明細書において開示されるHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列のいずれかの変種を含む。例えば、本発明は、本明細書に開示のHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列のいずれかと比較して、例えば10個または10個未満、8個または8個未満、6個または6個未満、4個または4個未満等の保存的アミノ酸置換を有するHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列を有する抗PD-1抗体の使用を含む。
【0093】
本発明の方法の文脈において使用することができる他の抗PD-1抗体は、例えば、当技術分野でニボルマブ(米国特許第8008449号)およびペンブロリズマブ(米国特許第8354509号)、MEDI0608(米国特許第8609089号)、ピジリズマブ(米国特許第8686119号)と呼ばれ、公知である抗体、または米国特許第6808710号、第7488802号、第8168757号、第8354509号、第8779105号、もしくは第8900587号に記載の抗PD-1抗体のいずれかを含む。
【0094】
本発明の方法の文脈において使用される抗PD-1抗体は、pH依存的結合特徴を有し得る。例えば、本発明の方法において使用するための抗PD-1抗体は、中性pHと比較して酸性pHではPD-1に対する結合の低減を示し得る。あるいは、本発明の抗PD-1抗体は、中性pHと比較して酸性pHでその抗原に対する結合の増強を示し得る。表現「酸性pH」は、約6.2未満のpH値、例えば約6.0、5.95、5.9、5.85、5.8、5.75、5.7、5.65、5.6、5.55、5.5、5.45、5.4、5.35、5.3、5.25、5.2、5.15、5.1、5.05、5.0、またはそれ未満を含む。本明細書において使用される表現「中性pH」は、約7.0から約7.4のpHを意味する。表現「中性pH」は、約7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、および7.4のpH値を含む。
【0095】
ある特定の例において、「中性pHと比較して酸性pHでPD-1に対する結合の低減」は、酸性pHでのPD-1に結合する抗体のKD値の、中性pHでのPD-1に結合する抗体のKD値に対する比率(またはその逆)に関して表記される。例えば、抗体またはその抗原結合断片は、抗体またはその抗原結合断片が、約3.0または3.0超の酸性/中性KD比を示す場合、本発明の目的に関して「中性pHと比較して酸性pHでPD-1に対する結合の低減」を示すと考えることができる。ある特定の例示的な実施形態において、本発明の抗体または抗原結合断片の酸性/中性KD比は、約3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、20.0、25.0、30.0、40.0、50.0、60.0、70.0、100.0、または100.0超であり得る。
【0096】
pH依存的結合特徴を有する抗体は、例えば、中性pHと比較して酸性pHで特定の抗原に対する結合の低減(または増強)に関して抗体集団をスクリーニングすることによって得ることができる。加えて、アミノ酸レベルでの抗原結合ドメインの改変は、pH依存的特徴を有する抗体を生じ得る。例えば、抗原結合ドメイン(例えば、CDR内)の1つまたはそれ以上のアミノ酸を、ヒスチジン残基に置換することによって、中性pHと比較して酸性pHで抗原結合が低減された抗体を得てもよい。本明細書において使用されるように、表現「酸性pH」は、pH6.0または6.0未満を意味する。
【0097】
組合せ療法
ある特定の実施形態に従う本発明の方法は、抗PD-1抗体の治療上有効量を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態において、本発明の方法は、がんを治療するための相加的または相乗的活性のために、放射線療法を、抗PD-1抗体と組み合わせて投与することを含む。本明細書において使用される表現「と組み合わせる」は、放射線療法が、抗PD-1抗体の前、後、または同時に投与されることを意味する。用語「と組み合わせる」はまた、抗PD-1抗体と放射線療法の連続的または同時投与も含む。例えば、放射線療法の「前に」投与する場合、抗PD-1抗体は、放射線療法の投与の150時間超前、約150時間前、約100時間前、約72時間前、約60時間前、約48時間前、約36時間前、約24時間前、約12時間前、約10時間前、約8時間前、約6時間前、約4時間前、約2時間前、約1時間前、または約30分前、約15分前、もしくは約10分前に投与してもよい。放射線療法の「後に」投与する場合、抗PD-1抗体は、放射線療法の投与の約10分後、約15分後、約30分後、約1時間後、約2時間後、約4時間後、約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約60時間後、約72時間後、または72時間超後に投与してもよい。放射線療法と「同時の」投与は、放射線療法の投与の10分未満以内に(前、後、または同時に)抗PD-1抗体が対象に投与されることを意味する。
【0098】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、抗がん剤である追加の治療剤の投与を含む。本明細書において使用される「抗がん剤」は、細胞毒素、ならびに抗代謝剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、抗分裂剤、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、コルチコステロイド、ミトタン(O,P’-(DDD))、バイオ医薬品(例えば、抗体およびインターフェロン)、および放射活性剤のような作用物質を含むがこれらに限定されない、がんを治療するために有用である任意の作用物質を意味する。本明細書において使用される「細胞毒素または細胞傷害剤」はまた、化学療法剤を指し、細胞に対して有害である任意の作用物質を意味する。例には、Taxol(登録商標)(パクリタキセル)、テモゾロミド、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロミド、エメチン、シスプラチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにそのアナログまたはホモログが挙げられるがこれらに限定されない。
【0099】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、手術、放射線、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)阻害剤(例えば、米国特許出願公開第2015/0203580号に開示の抗PD-L1抗体またはアテゾリズマブ)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)阻害剤(例えば、イピリムマブ)、グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)阻害剤(例えば、抗GITR抗体)、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有タンパク質3(TIM3)阻害剤、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)阻害剤、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)阻害剤、CD47阻害剤、別のT細胞同時阻害剤またはリガンドのアンタゴニスト(例えば、CD28、2B4、LY108、LAIR1、ICOS、CD160、またはVISTAに対する抗体)、CD20阻害剤(例えば、抗CD20抗体、または二重特異性CD3/CD20抗体)、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト[例えば、米国特許第7,087,411号に記載のアフリベルセプトのような「VEGF-Trap」もしくは他のVEGF阻害融合タンパク質、または抗VEGF抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、ベバシズマブまたはラニビズマブ)、またはVEGF受容体の低分子キナーゼ阻害剤(例えばスニチニブ、ソラフェニブ、もしくはパゾパニブ)]、アンジオポエチン-2(Ang2)阻害剤(例えば、ネスバクマブ)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)阻害剤、CD38阻害剤、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤(例えば、エルロチニブ、セツキシマブ)、共刺激受容体に対するアゴニスト(例えば、グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質に対するアゴニスト)、腫瘍特異抗原[例えば、CA9、CA125、黒色腫関連抗原3(MAGE3)、癌胎児性抗原(CEA)、ビメンチン、腫瘍-M2-PK、前立腺特異抗原(PSA)、ムチン-1、MART-1、およびCA19-9]に対する抗体、ワクチン(例えば、カルメットゲラン桿菌、がんワクチン)、シクロホスファミド、抗原提示を増加させるためのアジュバント(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、細胞毒素、化学療法剤(例えば、ダカルバジン、テモゾロミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、およびビンクリスチン)、インターロイキン-6受容体(IL-6R)阻害剤(例えば、サリルマブ)、IL-4R阻害剤(例えば、デュピルマブ)、IL-10阻害剤、IL-2、IL-7、IL-21、およびIL-15などのサイトカイン、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)(例えば、抗CD19-DAM4 ADC、および抗DS6-DM4 ADC)、キメラ抗原受容体T細胞(例えば、CD19標的化T細胞)、抗炎症薬(例えば、コルチコステロイドおよび非ステロイド性抗炎症薬)、ならびに抗酸化剤などの栄養補
助食品からなる群より選択される、追加の治療剤の投与、または治療レジメンもしくは手順を含む。
【0100】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、長期の持続可能な抗腫瘍反応を生じるため、および/またはがん患者の生存を延長するために、抗PD-1抗体を、放射線療法および場合により抗GITR抗体と組み合わせて投与することを含む。一部の実施形態において、本発明の方法は、抗PD-1抗体および抗GITR抗体をがん患者に投与する前、同時、または後に放射線療法を投与することを含む。例えば、放射線療法を、抗体の1つまたはそれ以上の用量の投与後に、腫瘍病変に1つまたはそれ以上の線量で投与してもよい。一部の実施形態において、放射線療法は、抗PD-1抗体および/または抗GITR抗体の全身投与後に、患者の腫瘍の局所免疫原性を増強するために(補助的放射線)および/または腫瘍細胞を殺滅するために(焼灼放射線)、腫瘍病変に局所投与してもよい。ある特定の実施形態において、放射線療法は、第1の腫瘍病変に投与されるが、第2の腫瘍病変には投与されず、抗PD-1抗体と組み合わせた投与によって、第1および第2の腫瘍病変の両方に腫瘍の退縮が起こる(アブスコパル効果)。ある特定の実施形態において、本発明の方法は、持続的なアブスコパル効果を生じるように、抗PD-1抗体を、放射線療法および場合により抗GITR抗体と組み合わせて投与することを含む。
【0101】
ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、放射線療法および化学療法剤(例えば、テモゾロミドまたはシクロホスファミド)、VEGFアンタゴニスト(例えば、アフリベルセプト)、または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子と組み合わせて投与してもよい。
【0102】
医薬組成物および投与
本発明は、対象に、放射線と組み合わせて抗PD-1抗体を投与することを含む方法であって、抗PD-1抗体が医薬組成物内に含まれる方法を含む。本発明の医薬組成物は、適した輸送、送達、忍容性などを提供する、適した担体、賦形剤、および他の作用物質と共に製剤化してもよい。多数の適切な製剤を、全ての創薬化学者に公知の処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PAにおいて見出すことができる。これらの製剤には、例えば散剤、ペースト、軟膏、ゼリー、ロウ、油、脂質、脂質(陽イオンまたは陰イオン)含有小胞(LIPOFECTIN(商標)のような)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルジョン、エマルジョン・カーボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカーボワックスを含む半固体混合物が挙げられる。同様に、Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA(1998) J Pharm Sci Technol 52:238~311頁も参照されたい。
【0103】
様々な送達システム、例えばリポソームへのカプセル化、マイクロ粒子、マイクロカプセル、変異体ウイルスを発現することができる組み換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシスが公知であり、本発明の医薬組成物を投与するために使用することができる(例えば、Wu et al.,1987,J.Biol.Chem.262:4429~4432頁を参照されたい)。投与方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻孔内、硬膜外、および経口経路が挙げられるがこれらに限定されない。組成物は、任意の簡便な経路、例えば注入もしくはボーラス注射、上皮もしくは皮膚粘膜内層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜等)を通しての吸収によって投与してもよく、他の生物活性剤と共に投与してもよい。
【0104】
本発明の医薬組成物は、標準的な針とシリンジによって皮下または静脈内送達すること
ができる。加えて、皮下送達に関して、本発明の医薬組成物を送達するために、ペン型送達デバイスが容易に適用される。そのようなペン型送達デバイスは再使用可能であり、または使い捨てであってもよい。再使用可能なペン型送達デバイスは一般的に、医薬組成物を含む交換可能なカートリッジを利用する。カートリッジ内の全ての医薬組成物が投与されてカートリッジが空になると、空のカートリッジを容易に廃棄し、医薬組成物を含む新しいカートリッジと交換することができる。このようにして、ペン型送達デバイスを再使用することができる。使い捨てペン型送達デバイスでは交換可能なカートリッジがない。むしろ、使い捨てペン型送達デバイスは、デバイス内のリザーバ中に収容される医薬組成物が予め充填されている。リザーバの医薬組成物が空になると、デバイス全体が廃棄される
【0105】
ある特定の状況では、医薬組成物は、徐放システムで送達することができる。一実施形態において、ポンプを使用してもよい。別の実施形態において、ポリマー材料を使用することができる;Medical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.),1974,CRC
Pres.,Boca Raton,Floridaを参照されたい。なお別の実施形態において、徐放システムは、組成物の標的の近位に配置することができ、このため、全身用量の一部のみを必要とするに過ぎない(例えば、Goodson,1984、「Medical Applications of Controlled Release」、上記、vol.2、115~138頁を参照されたい)。他の徐放システムは、Langer,1990,Science 249:1527~1533頁による総説において考察されている。
【0106】
注射可能調製物は、静脈内、皮下、皮内、および筋肉内注射、点滴注入等のための投与剤形を含んでもよい。これらの注射可能調製物は、公知の方法によって調製してもよい。例えば、注射可能調製物は、例えば上記の抗体またはその塩を、注射のために通常使用される滅菌水性媒体または油性媒体中で、溶解、懸濁、または乳化させることによって調製してもよい。注射用の水性媒体として、例えば、生理食塩水、グルコースおよび他の補助剤を含む等張溶液等があり、これらは、アルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50モル)付加物)]等のような適切な溶解剤と組み合わせて使用してもよい。油性媒体として、例えばゴマ油、ダイズ油等が使用され、これらを安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等のような溶解剤と組み合わせて使用してもよい。このように調製された注射剤は、好ましくは適切なアンプルに充填される。
【0107】
上記の経口または非経口で使用するための医薬組成物は、活性成分の用量に適合させるために適した単位用量の投与剤形で調製することが有利である。そのような単位用量での投与剤形には、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤等が挙げられる。
【0108】
ある特定の実施形態において、本発明は、抗PD-1抗体の治療量と薬学的担体とを含む医薬製剤を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、静脈内投与に使用するための医薬組成物に製剤化された抗PD-1抗体を提供する。
【0109】
投与レジメン
本発明は、治療反応が達成される限り、抗PD-1抗体を、約1週間に4回、1週間に2回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回。6週間に1回、8週間に1回、12週間に1回の投与回数、またはそれより少ない回数で対象に投与することを含む方法を含む。ある特定の実施形態において、本発明は、治療反応が
達成される限り、放射線療法を、約1週間に7回、約1週間に4回、1週間に2回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、8週間に1回、12週間に1回の投与回数、またはそれより少ない回数で対象に投与することを含む方法を含む。ある特定の実施形態において、方法は、治療反応が達成される限り、約1週間に7回、約1週間に4回、1週間に2回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、12週間に1回の投与回数、またはそれより少ない回数の放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体の投与を含む。
【0110】
ある特定の実施形態において、本発明の方法は、少分割放射線療法である放射線療法を投与することを含む。ある特定の実施形態において、少分割放射線療法は、2~12分割を含む。ある特定の実施形態において、2~12分割は、連続する日に投与される。ある特定の実施形態において、放射線療法は、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量の投与後に投与される。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、放射線療法の1つまたはそれ以上の分割の投与の0.5~2週間前に投与される。
【0111】
本発明のある特定の実施形態に従って、放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体の複数用量を、規定の時間経過で対象に投与してもよい。本発明のこの態様に従う方法は、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、放射線の1つまたはそれ以上の線量と組み合わせて対象に連続的に投与することを含む。本明細書において使用される「連続的に投与する」とは、抗体の各用量が、異なる時点で、例えば既定の間隔(例えば、数時間、数日、数週間、または数ヶ月)をあけた異なる日に対象に投与されることを意味する。ある特定の実施形態において、本発明の方法は、各用量が直前の用量の0.5~12週間後に投与される、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を連続的に投与することを含む。ある特定のさらなる実施形態において、方法は、放射線療法を投与することをさらに含む。放射線療法は、少分割放射線療法であってもよい。ある特定の実施形態において、放射線療法は、2~12分割を含む。一部の実施形態において、放射線の分割は、連続する日または交互の日に投与される。ある特定の実施形態において、放射線の分割は、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、7日に1回またはその組合せで投与される。
【0112】
ある特定の実施形態において、本発明は、抗PD-1抗体の単一の初回用量の後に、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の2回目の用量、および場合により、その後に抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の3回目の用量を患者に連続的に投与することを含む方法を含む。ある特定の実施形態において、方法は、放射線療法の単一の初回線量の後に、放射線療法の1つまたはそれ以上の2回目の線量、および場合により放射線療法の1つまたはそれ以上の3回目の線量を患者に連続的に投与することをさらに含む。代替の実施形態において、方法は、少分割放射線療法の1つまたはそれ以上の分割を連続的に投与することをさらに含む。
【0113】
本発明のある特定の実施形態に従って、抗PD-1抗体および放射線療法の複数の用量を、規定の時間経過で対象に投与してもよい。本発明のこの態様に従う方法は、抗PD-1抗体および放射線の複数用量を対象に連続的に投与することを含む。本明細書において使用される「連続的に投与する」は、放射線療法と組み合わせた抗PD-1抗体の各用量が、異なる時点、例えば既定の間隔(例えば、時間、日、週、または月)をあけた異なる日に対象に投与されることを意味する。
【0114】
用語「初回用量」、「2回目の用量」、および「3回目の用量」は、投与の時間的順序を指す。このため、「初回用量」は、処置レジメンの開始時に投与される用量(「ベースライン用量」とも呼ばれる)であり;「2回目の用量」は、初回用量後に投与される用量
であり;および「3回目の用量」は、2回目の用量後に投与される用量である。初回、2回目、および3回目の用量は全て、抗体(抗PD-1抗体)の同じ量を含んでもよい。しかし、ある特定の実施形態において、初回、2回目および/または3回目の用量に含まれる量は、処置過程の間に互いに異なる(例えば、必要に応じて上または下に調節する)。ある特定の実施形態において、1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、または5つ)の用量を、処置レジメンの開始時に「負荷用量」として投与した後に、より少ない回数でその後の用量を投与する(例えば、「維持用量」)。例えば、抗PD-1抗体は、患者の体重1kgあたり約1~3mgの負荷用量の後に約0.1~約20mg/kgの1つまたはそれ以上の維持用量でがん患者に投与することができる。
【0115】
本発明の1つの例示的な実施形態において、各2回目および/または3回目の用量は、直前の用量の1/2から14週間(例えば、1/2、1、1と1/2、2、2と1/2、3、3と1/2、4、4と1/2、5、5と1/2、6、6と1/2、7、7と1/2、8、8と1/2、9、9と1/2、10、10と1/2、11、11と1/2、12、12と1/2、13、13と1/2、14、14と1/2、または14と1/2週間超)後に投与される。本明細書において使用される「直前の用量」という語句は、一連の複数の投与において、用量が介在することなく、順序がまさに次の用量の投与の前に患者に投与される抗PD-1抗体(および/または放射線)の用量を意味する。
【0116】
本発明のこの態様に従う方法は、抗PD-1抗体(および/または放射線療法)の2回目および/または3回目の用量のいずれかの数を患者に投与することを含み得る。例えば、ある特定の実施形態において、単一の2回目の用量のみを患者に投与する。他の実施形態において、2つまたは2つ超(例えば、2、3、4、5、6、7、8つまたは8つ超)の2回目の用量を患者に投与する。同様に、ある特定の実施形態において、単一の3回目の用量のみを患者に投与する。他の実施形態において、2つまたは2つ超(例えば、2、3、4、5、6、7、8つ、または8つ超)の3回目の用量を患者に投与する。
【0117】
複数の2回目の用量を伴う実施形態において、各2回目の用量を、他の2回目の用量と同じ回数で投与してもよい。例えば、各2回目の用量を、直前の用量の1~2週間後に患者に投与してもよい。同様に、複数の3回目の用量を伴う実施形態において、各3回目の用量を、他の3回目の用量と同じ回数で投与してもよい。例えば、各3回目の用量を、直前の用量の2~4週間後に患者に投与してもよい。あるいは、2回目および/または3回目の用量を患者に投与する回数は、処置レジメンの経過の中で変化させることができる。投与回数は、診察後の個々の患者の必要性に応じて医師が処置過程の間に調節してもよい。
【0118】
ある特定の実施形態において、抗PD-1l抗体および/または放射線の1つまたはそれ以上の用量は、より頻繁な「導入用量」として治療レジメンの開始に投与され(1週間に2回、1週間に1回、または2週間に1回)、その後により少ない回数でその後の用量(「地固め用量」または「維持用量」)を投与する(例えば、2~12週間に1回)。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体および/または放射線の1つまたはそれ以上の用量を、より多くの回数で(1週間に2回、1週間に1回、または2週間に1回)「誘導用量」として処置レジメンの開始時に投与し、その後抗PD-1抗体の次の用量を投与する。
【0119】
本発明は、1つまたはそれ以上の用量が1つまたはそれ以上の処置サイクルに含まれる、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を、放射線療法の1つまたはそれ以上の線量と組み合わせて連続的に投与することを含む方法を含む。
【0120】
本発明のある特定の実施形態に従って、方法は、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上
の用量、および場合により放射線療法の1つまたはそれ以上の線量の投与を含む、少なくとも1つの処置サイクルを投与することを含む。ある特定の実施形態において、処置サイクルは、抗PD-1抗体の1~10用量を含み、抗PD-1抗体の各用量は、直前の用量の0.5~8週間後に投与される。ある特定の実施形態において、本発明の方法は、最大6または8処置サイクルの投与を含む。ある特定の他の実施形態において、本発明の方法は、治療効果に応じて、最大12または12超の処置サイクルの投与を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも1つの処置サイクルは、放射線療法をさらに含む。一部の実施形態において、放射線療法は、少分割放射線療法であり、少分割放射線療法は、2~12分割を含む。ある特定の実施形態において、2~12分割は、連続する日に投与される。
【0121】
本発明は、がん(例えば、固形腫瘍)を処置するために、放射線療法と組み合わせて抗PD-1抗体の患者への連続的投与を含む方法を含む。一部の実施形態において、本発明の方法は、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を投与した後に放射線療法を行うことを含む。ある特定のさらなる実施形態において、放射線療法は、分割して投与される(少分割放射線療法)。ある特定の実施形態において、本発明の方法は、抗PD-1抗体の単回用量の後に、放射線療法の2~10分割を行い、その後抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量の投与を含む。一部の実施形態において、がん(例えば、固形腫瘍)を有する対象における腫瘍の成長を阻害するために、および/または腫瘍の再発を予防するために、抗PD-1抗体の約0.1mg/kg~約20mg/kgの1つまたはそれ以上の用量を投与した後に、放射線療法を行ってもよい。一部の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量を投与した後、放射線療法を行い、それによって抗腫瘍効能の増加(例えば、未治療の対象または単剤療法としての抗体もしくは放射線のいずれかを投与した対象と比較して腫瘍の成長のより大きい阻害、腫瘍の再発の予防の増加)が起こる。本発明の代替の実施形態は、抗PD-1抗体と比較して類似または異なる回数で投与される、抗PD-1抗体と放射線の同時投与に関する。一部の実施形態において、放射線療法は、抗PD-1抗体の前、後、または同時に投与される。
【0122】
投薬
本発明の方法に従って対象に投与される抗PD-1抗体の量は一般的に、治療上有効量である。本明細書において使用される用語「治療上有効量」は、(a)がん、例えば固形腫瘍の症状または適応の重症度または期間の低減;(b)腫瘍の成長の阻害または腫瘍壊死、腫瘍縮小および/または腫瘍消失の増加;(c)腫瘍の成長および発達の遅延;(d)腫瘍転移の阻害;(e)腫瘍の成長の再発の予防;(f)がんを有する対象の生存の延長;および/または(g)未処置の対象または単剤療法の抗体を投与された対象と比較して、従来の抗がん治療の使用の低減(例えば、化学療法剤または細胞傷害剤の使用の低減または消失)の1つまたはそれ以上が起こる抗体(抗PD-1抗体)の量を意味する。
【0123】
抗PD-1抗体の場合、治療上有効量は、抗体の約0.05mg~約600mg、約1mg~約500mg、約10mg~約450mg、約50mg~約400mg、約75mg~約350mg、または約100mg~約300mgであり得る。例えば、様々な実施形態において、抗PD-1抗体の量は、抗PD-1抗体の約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg
、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、または約600mgである。一実施形態において、本発明の方法に従って抗PD-1抗体の250mgが投与される。一実施形態において、本発明の方法に従って抗PD-1抗体の200mgが投与される。一実施形態において、本発明の方法に従って抗PD-1抗体の350mgが投与される。
【0124】
個々の用量に含まれるいずれかの抗PD-1抗体の量は、対象の体重1キログラムあたりの抗体のミリグラム(すなわち、mg/kg)に関して表記することができる。ある特定の実施形態において、本発明の方法において使用される抗PD-1抗体は、対象の体重1キログラムあたり約0.0001~約100mgの用量で対象に投与することができる。ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体は、対象の体重1キログラムあたり約0.1mg~約20mgの用量で投与することができる。ある特定の実施形態において、本発明の方法は、患者の体重1キログラムあたり約1mg、3mg、5mg、または10mgの用量の抗PD-1抗体の投与を含む。
【0125】
ある特定の実施形態において、患者に投与される抗PD-1抗体の量は、治療上有効量未満、すなわち治療下用量であってもよい。例えば、抗PD-1抗体の治療上有効量が3mg/kgを含む場合、治療下用量は、3mg/kg未満の量、例えば2mg/kg、1.5mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kg、または0.3mg/kgを含む。本明細書において定義される「治療下用量」は、単独では治療効果に至らない抗PD-1抗体の量を指す。しかし、ある特定の実施形態において、抗PD-1抗体の治療下用量は、治療効果を促進するために第2の治療剤および場合により第3の治療剤と共に投与される。
【0126】
ある特定の実施形態において、それを必要とする対象に投与される放射線療法は、2~100Gray(Gy)を含む。ある特定の実施形態において、放射線療法は、5、7、8、9、10、11、12、15、20、23、25、27、30、35、40、または45Gyを含む。ある特定の他の実施形態において、放射線療法は、50~100、60~90、または70~80Gyを含む。ある特定の実施形態において、放射線療法は、2~12分割で投与され(少分割放射線療法)、各分割は2~10Gyを含む。例えば、各分割が6Gyを含む5分割に含まれる30Gyの放射線を投与する。
【0127】
選択される実施形態
本発明の選択される実施形態には、以下が挙げられる:
【0128】
一部の実施形態において、本開示は、対象における腫瘍を処置または腫瘍の成長を阻害する方法であって:
(a)がんを有する対象を選択する工程;および
(b)放射線療法の1つまたはそれ以上の線量を、プログラム細胞死1(PD-1)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の治療上有効量の1つまたはそれ以上の用量と組み合わせて、それを必要とする対象に投与する工程であって、組合せの投与によって、抗体または放射線単独の投与と比較して治療効能の増強が得られる工程、
を含む方法を提供する。
【0129】
一実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、対象の体重1kgあたり0.1~20mgを含む。
【0130】
別の実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、対象の体重1kgあたり0.3、1、3、5、または10mgを含む。
【0131】
他の実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、20~400mgを含む。
【0132】
一部の実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は200mgを含む。
【0133】
一実施形態において、放射線の各線量は、2~80グレイ(Gy)を含む。
【0134】
別の実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、対象の体重1kgあたり1、3、または10mgを含み、放射線療法の各線量は、20~50Gyを含む。
【0135】
他の実施形態において、放射線療法は、分割放射線療法である。
【0136】
一部の実施形態において、分割放射線療法は、2~10分割を含む。
【0137】
一実施形態において、分割放射線療法は、30Gyの5分割を含む。
【0138】
別の実施形態において、分割放射線療法は、27Gyの3分割を含む。
【0139】
他の実施形態において、抗PD-1抗体の4~50用量が投与され、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。
【0140】
一部の実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、直前の用量の2週間後に投与される。
【0141】
一実施形態において、抗PD-1抗体は、放射線療法の前、同時、または後に投与される。
【0142】
別の実施形態において、抗PD-1抗体は、放射線療法の前に投与される。
【0143】
他の実施形態において、抗PD-1抗体は、放射線療法の1週間前に投与される。
【0144】
一部の実施形態において、治療効能の増強は、腫瘍の退縮、アブスコパル効果、腫瘍転移の阻害、経時的な転移病変の低減、化学療法剤または細胞傷害剤の使用の低減、腫瘍負荷の低減、無増悪生存の延長、全生存の延長、完全奏効、部分奏効、および安定からなる群より選択される効果を含む。
【0145】
一実施形態において、治療効能の増強は、放射線を照射した腫瘍に対して遠位の腫瘍における腫瘍の退縮を含む。
【0146】
別の実施形態において、腫瘍の成長は、抗体または放射線単独のいずれかを投与された対象と比較して少なくとも50%阻害される。
【0147】
他の実施形態において、腫瘍の成長は、抗PD-1抗体の前に放射線の線量を投与された対象と比較して少なくとも50%阻害される。
【0148】
一部の実施形態において、本開示は、(a)がんを有する対象を選択する工程;および(b)少なくとも1つの処置サイクルを対象に投与する工程であって、少なくとも1つの処置サイクルが抗PD-1抗体の1~6用量を含み、各用量が直前の用量の2週間後に投与される工程を含む、腫瘍を治療する方法を提供する。
【0149】
一実施形態において、抗PD-1抗体の各用量は、対象の体重1kgあたり1、3、5または10mgを含む。
【0150】
別の実施形態において、少なくとも1つの処置サイクルは放射線療法をさらに含む。
【0151】
他の実施形態において、放射線療法は約20~50Gyを含む。
【0152】
一部の実施形態において、放射線療法は約27Gyを含む。
【0153】
一実施形態において、放射線療法は約30Gyを含む。
【0154】
別の実施形態において、放射線療法は分割放射線療法である。
【0155】
他の実施形態において、分割放射線療法は2~6分割を含む。
【0156】
一部の実施形態において、分割放射線療法は3分割を含む。
【0157】
一実施形態において、分割放射線療法は5分割を含む。
【0158】
別の実施形態において、放射線療法は約27Gyの3分割を含む。
【0159】
他の実施形態において、放射線療法は約30Gyの5分割を含む。
【0160】
一部の実施形態において、分割は、連続した日で投与される。
【0161】
一実施形態において、抗PD-1抗体は、放射線療法の1週間前に投与される。
【0162】
別の実施形態において、最大10の処置サイクルが、それを必要とする対象に投与される。
【0163】
他の実施形態において、6処置サイクルが、それを必要とする対象に投与される。
【0164】
一部の実施形態において、放射線療法は、第1の処置サイクルで投与される。
【0165】
一実施形態において、放射線療法は約20~50Gyを含む。
【0166】
別の実施形態において、放射線療法は少分割放射線療法を含む。
【0167】
他の実施形態において、分割放射線療法は2~6分割を含む。
【0168】
一部の実施形態において、放射線療法は約27Gyの3分割を含む。
【0169】
一実施形態において、放射線療法は約30Gyの5分割を含む。
【0170】
別の実施形態において、分割は、連続した日に投与される。
【0171】
他の実施形態において、抗PD-1抗体は、放射線療法の1週間前に投与される。
【0172】
一部の実施形態において、各処置サイクルは、抗PD-1抗体の4用量を含む。
【0173】
一実施形態において、処置は、腫瘍の成長の阻害、腫瘍の退縮、腫瘍サイズの低減、腫瘍細胞数の低減、腫瘍の成長の遅延、アブスコパル効果、腫瘍転移の阻害、経時的な転移病変の低減、化学療法剤または細胞傷害剤の使用の低減、腫瘍負荷の低減、無増悪生存の延長、全生存の延長、完全奏効、部分奏効、および安定な疾患からなる群より選択される治療効果を生じる。
【0174】
別の実施形態において、処置効果は、対象において放射線を照射した腫瘍に対して遠位の腫瘍における腫瘍の退縮を含む。
【0175】
別の実施形態において、腫瘍の成長は、未処置の対象と比較して少なくとも10日間遅れる。
【0176】
一部の実施形態において、腫瘍の成長は、未処置の対象と比較して少なくとも50%阻害される。
【0177】
一実施形態において、腫瘍の成長は、抗体または放射線単独のいずれかを投与した対象と比較して少なくとも50%阻害される。
【0178】
一部の実施形態において、本開示は、(a)第1の固形腫瘍病変および第2の固形腫瘍病変を有する対象を選択する工程であって、第2の固形腫瘍病変が第1の固形腫瘍病変から遠位に位置する工程;ならびに(b)抗PD-1抗体またはその抗原結合断片を、放射線療法と組み合わせて投与する工程を含む、腫瘍を処置する方法を提供する。
【0179】
他の実施形態において、放射線療法は、第1の腫瘍病変に投与されるが、第2の腫瘍病変には投与されず、投与によって第1および第2の腫瘍病変の両方に腫瘍の退縮が起こる。
【0180】
一実施形態において、抗PD-1抗体は、放射線療法の前に投与される。
【0181】
別の実施形態において、対象は、治療に抵抗性であるかもしくは不適切に反応し、または過去の治療後に再燃している。
【0182】
他の実施形態において、がんは再発または転移性がんである。
【0183】
一部の実施形態において、方法は、追加の治療剤または治療を対象に投与することをさらに含み、追加の治療剤または治療は、手術、化学療法剤、がんワクチン、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)阻害剤、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)阻害剤、グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)阻害剤、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有タンパク質3(TIM3)阻害剤、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)阻害剤、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)阻害剤、CD47阻害剤、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、二重特異性抗CD3/抗CD20抗体、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、アンジオポエチン-2(Ang2)阻害剤、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)阻害剤、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、シクロホスファミド、腫瘍特異抗原に対する抗体、カルメットゲラン桿菌ワクチン、細胞毒素、インターロイキン6受容体(IL-6R)阻害剤、インターロイキン4受容体(IL-4R)阻害剤、IL-10阻害剤、IL-2、IL-7、IL-21、IL-15、抗体-薬物コンジュゲート、抗炎症薬、ならびに栄養補助食品からなる群より選択される。
【0184】
一実施形態において、追加の治療剤は、抗GITR抗体である。
【0185】
別の実施形態において、追加の治療剤はシクロホスファミドである。
【0186】
他の実施形態において、追加の治療剤はGM-CSFである。
【0187】
一部の実施形態において、追加の治療剤は、ドセタキセル、カルボプラチン、パクリタキセル、シスプラチン、ゲムシタビン、およびペメトレキセドからなる群より選択される。
【0188】
一実施形態において、抗PD-1抗体は、静脈内、皮下または腹腔内に投与される。
【0189】
別の実施形態において、がんは固形腫瘍を含む。
【0190】
他の実施形態において、固形腫瘍は、結腸直腸がん、卵巣がん、前立腺がん、乳がん、脳がん、子宮頸がん、膀胱がん、肛門がん、子宮がん、結腸がん、肝臓がん、膵臓がん、肺がん、子宮内膜がん、骨がん、精巣がん、皮膚がん、腎臓がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、唾液腺がん、および骨髄腫からなる群より選択される。
【0191】
一部の実施形態において、固形腫瘍は、肝細胞癌、非小細胞肺がん、頭頸部扁平上皮がん、基底細胞癌、乳癌、皮膚扁平上皮癌、軟骨肉腫、血管肉腫、胆管癌、軟部組織肉腫、結腸直腸がん、黒色腫、メルケル細胞癌、および多形膠芽腫からなる群より選択される。
【0192】
一実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)と、配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)とを含む。
【0193】
別の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)と、3つのLCDR(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)とを含み、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;およびLCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0194】
他の実施形態において、HCVRは、配列番号1のアミノ酸配列を含み、LCVRは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0195】
別の実施形態において、抗PD-1抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0196】
一部の実施形態において、本開示は、調節性T(Treg)細胞の活性化および/または増殖を阻害する方法であって、(a)固形腫瘍を有する対象を選択する工程、ならびに(b)(i)抗PD-1抗体またはその抗原結合断片、(ii)放射線療法、および(iii)グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)に特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合断片、シクロホスファミド、GM-CSF、抗LAG3抗体、ドセタキセル、またはカルボプラチンのうちの少なくとも1つを、対象に投与する工程を含む方法を提供する。
【0197】
一実施形態において、対象は大きい腫瘍を有する。
【0198】
別の実施形態において、放射線の線量は2~50Gyである。
【0199】
他の実施形態において、投与によって、腫瘍の成長の阻害、腫瘍の退縮、腫瘍サイズの低減、腫瘍細胞数の低減、腫瘍の成長の遅延、アブスコパル効果、腫瘍転移の阻害、経時的な転移病変の低減、化学療法剤または細胞傷害剤の使用の低減、腫瘍負荷の低減、無増悪生存の延長、全生存の延長、完全奏効、部分奏効、および安定からなる群より選択される少なくとも1つの効果が得られる。
【0200】
一部の実施形態において、固形腫瘍は、結腸直腸がん、卵巣がん、前立腺がん、乳がん、脳がん、子宮頸がん、膀胱がん、肛門がん、子宮がん、結腸がん、肝臓がん、膵臓がん、肺がん、子宮内膜がん、骨がん、精巣がん、皮膚がん、腎臓がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、唾液腺がん、および骨髄腫からなる群より選択される。
【0201】
一実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)と、配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)とを含む。
【0202】
別の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)と、3つのLCDR(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)とを含み、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;およびLCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0203】
他の実施形態において、HCVRは、配列番号1のアミノ酸配列を含み、LCVRは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0204】
一実施形態において、抗PD-1抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0205】
一部の実施形態において、本開示は、腫瘍を処置するまたは腫瘍の成長を阻害する方法であって:
(a)皮膚がんを有する対象を選択する工程;および
(b)PD-1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の治療上有効量を、それを必要とする対象に投与する工程、
を含む方法を提供する。
【0206】
一実施形態において、PD-1に特異的に結合する前記抗体またはその抗原結合断片は、単剤療法として投与される。
【0207】
別の実施形態において、前記皮膚がんは、UV関連皮膚がんである。
【0208】
他の実施形態において、前記皮膚がんは、皮膚扁平上皮癌(CSCC)、基底細胞癌(BCC)、メルケル細胞癌および黒色腫からなる群より選択される。
【0209】
一部の実施形態において、但し、前記皮膚がんは頭頸部扁平上皮癌ではない。
【0210】
一実施形態において、前記皮膚がんは、転移性、切除不能、および/または局所進行がんである。
【0211】
別の実施形態において、前記皮膚がんはBCCであり、前記患者は、ヘッジホッグ経路阻害剤による処置に不耐性であるか、または処置後に進行している。
【0212】
他の実施形態において、前記抗体またはその抗原結合断片は、1つまたはそれ以上の用量として投与され、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。
【0213】
一部の実施形態において、各用量は直前の用量の2週間後に投与される。
【0214】
一実施形態において、各用量は、対象の体重1kgあたり1、3、または10mgを含む。
【0215】
別の実施形態において、PD-1に特異的に結合する前記抗体またはその抗原結合断片は、先行実施形態のいずれか1つに定義した抗体である。
【0216】
一部の実施形態において、本開示は、対象における腫瘍を処置するまたは腫瘍の成長を阻害する方法であって、脳がんを有する対象を選択する工程;およびPD-1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の治療上有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法を提供する。
【0217】
一実施形態において、対象は、多形膠芽腫(GBM)を有する。
【0218】
別の実施形態において、対象は、新たに診断されたGBMを有する。
【0219】
他の実施形態において、対象は年齢65歳以上である。
【0220】
一実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片は、1つまたはそれ以上の用量として投与され、各用量は、直前の用量の0.5~4週間後に投与される。
【0221】
一実施形態において、各用量は、直前の用量の2週間後に投与される。
【0222】
別の実施形態において、各用量は、対象の体重1kgあたり1、3、または10mgを含む。
【0223】
他の実施形態において、方法は、放射線療法を、それを必要とする対象に投与することをさらに含む。
【0224】
一部の実施形態において、放射線療法は、少分割放射線療法である。
【0225】
一実施形態において、対象は、放射線の20~50Gyを2~20分割で投与される。
【0226】
別の実施形態において、対象は、抗PD-1抗体の初回用量の1週間後に放射線療法を投与される。
【0227】
他の実施形態において、抗PD-1抗体の1つまたはそれ以上の用量は、1つまたはそれ以上の処置サイクルに含まれ、各サイクルは抗PD-1抗体の1~6用量を含む。
【0228】
一部の実施形態において、各処置サイクルは、抗PD-1抗体の4用量を含み、各用量
は直前の用量の2週間後に投与される。
【0229】
一実施形態において、各用量は、対象の体重1kgあたり1、3、または10mgを含む。
【0230】
別の実施形態において、第1の処置サイクルは放射線療法をさらに含む。
【0231】
他の実施形態において、放射線療法は少分割放射線療法である。
【0232】
一部の実施形態において、対象は、放射線の20~50Gyを2~20分割で投与される。
【0233】
一実施形態において、対象は30Gyを5分割で毎日投与される。
【0234】
別の実施形態において、放射線療法は、抗PD-1抗体の投与の1週間後に投与される。
【0235】
他の実施形態において、対象が、抗PD-1抗体の投与後に頭蓋内浮腫を発症する場合、方法は、抗血管新生剤を対象に投与することをさらに含む。
【0236】
一部の実施形態において、抗血管新生剤は、血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤およびアンジオポエチン-2(Ang-2)阻害剤からなる群より選択される。
【0237】
一実施形態において、抗血管新生剤は、ベバシズマブまたはアフリベルセプトである。
【0238】
他の実施形態において、PD-1に特異的に結合する前記抗体またはその抗原結合断片は、先行実施形態のいずれか1つに定義した抗体である。
【実施例0239】
以下の実施例は、当業者に完全な開示、ならびに本発明の方法および組成物を作製および使用する方法の説明を提供するために述べており、本発明者らが本発明であると見なすものの範囲を制限すると意図されない。使用した数値(例えば、量、温度等)に関しては正確を期すように努力しているが、何らかの実験誤差および逸脱を斟酌すべきである。特に示していなければ、分量は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度はセ氏であり、圧力は、大気圧またはほぼ大気圧である。
PD-1(RMP1-14)の遮断は、局所放射線照射(XRT)と相乗効果を示し、XRT+アイソタイプ対照処置マウス(マウス6匹中2匹)と比較すると、MC38腫瘍を有するマウスにおいて腫瘍の退縮を有意に誘導した(マウス6匹中4匹)。腫瘍の成長は、放射線と組み合わせた抗PD-1抗体によって処置したマウスでは阻害または遅延した。抗PD-1抗体および放射線によって処置したマウスは、500mm3の腫瘍体積に達するのに要した日数が20日未満であった単剤療法のマウスと比較して、500mm3に達するのに40日超を要した。腫瘍の退縮は、XRT+アイソタイプ処置群(腫瘍を拒絶した2匹中1匹が再燃した)での1.5週間と比較して、コンボ(XRT+抗PD-1抗体)処置群(腫瘍を拒絶した4匹中1匹がこの時点で再燃した)では最大4週間持続した。この腫瘍モデルでは、単剤療法としてのPD-1の遮断は、第1の腫瘍の成長に対して効果を有しなかった。