(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123866
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】移動無線端末
(51)【国際特許分類】
H04W 48/18 20090101AFI20230829BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20230829BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20230829BHJP
H04M 1/72 20210101ALI20230829BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20230829BHJP
【FI】
H04W48/18
H04W88/06
H04W48/16 132
H04M1/72
H04W84/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112759
(22)【出願日】2023-07-10
(62)【分割の表示】P 2019065476の分割
【原出願日】2019-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】高橋 駿介
(57)【要約】
【課題】無線設備の数を増やすことなく、通信エリアの拡大を図る公共用無線通信エリア拡張システムを提供する。
【解決手段】公共用業務を行う業務従事者が操作する無線端末として、当該公共用業務のために独自に設置した公共用無線通信網10と無線接続する公共用無線端末11と、公衆用の無線通信サービスを行う公衆用無線通信網20と無線接続する公衆用無線端末21と、を有し、かつ、公共用無線端末11と公衆用無線端末21との双方に互いをローカル接続するローカル接続手段例えばWi-Fi通信制御部11b,21bを有し、かつ、公共用無線端末11と公衆用無線端末21とのいずれか一方に制御アプリケーション11cまたは21cとして双方の通信網からの受信電界の状況に応じて使用する通信網を選択して無線接続を行う通信網選択機能を有し、かつ、司令員が操作する統制卓30に、双方の通信網それぞれと通信を行う通信機能を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共用業務を行う業務従事者が操作する移動無線端末であって、
当該公共用業務のために独自に設置した公共用無線通信網と無線接続する公共用無線端末と、公衆用の無線通信サービスを行う公衆用無線通信網と無線接続する公衆用無線端末と、の双方の無線端末が有する実施手段を、一つの筐体内に一体化して実装しており、
一方の面に前記公共用無線通信端末を有し、他方の面に公衆用通信端末を有し、
前記実施手段として、
前記公共用無線通信網との間の無線通信を行う公共用通信制御手段と、
前記公衆用無線通信網との間の無線通信を行う公衆用通信制御手段と、
前記公共用無線通信網および前記公衆用無線通信網の双方の通信網から受信する受信電界の状況に応じて前記公共用無線通信網または前記公衆用無線通信網のいずれか一方の通信網を選択して、選択した前記通信網と無線接続して前記公共用業務のための無線通信を行う状態に設定する通信網選択手段と、
を有していることを特徴とする、移動無線端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共用無線通信エリア拡張システム、移動無線端末および公共用無線通信エリア拡張プログラムに関し、特に、公共用業務を行うために使用する無線通信において、無線設備の数を安易に増やすことなく、無線通信エリアの拡大を図ることを可能にする公共用無線通信エリア拡張システム、移動無線端末および公共用無線通信エリア拡張プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
消防、防災、交通や防衛などのパブリックセーフティ(公共安全)の分野においては、例えば、特許文献1の特開2013-48323号公報「無線通信システム」等にも記載されているように、各公共団体が独自に自営インフラ用の無線設備を公共用無線通信網として設備化して運用している。しかし、設置することができる無線設備数(基地局/中継局)には、設置場所やコスト等の関係から限りがあり、公共用無線通信網としての通信エリア(例えば、通話可能エリア)も制限されてしまっている。
【0003】
このため、実際の現場で公共用の業務を行う業務従事者が使用する公共用無線端末が、通信エリアの状況如何によっては、通信圏外になってしまうために、通信不可(例えば通話不可)となる事態が発生してしまい、緊急時に対処することができない場合も生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、消防、防災、交通や防衛などの公共団体が独自に運営する公共用無線通信網においては、実際の現場で公共用の業務を行う業務従事者が使用する公共用無線端末が、通信エリアの状況如何によっては、通信不可(例えば通話不可)となる事態が発生してしまう場合が生じてしまう。
【0006】
かかる事態を回避し、常に、公共用業務のための無線通信を可能にするためには、公共用無線通信網としての無線設備(基地局や中継局)の数を安易に増やすことなく、通信エリア(例えば通話が可能なエリア)を拡大することを可能にする何らかの対応策が必要であり、現状の技術には解決するべき課題がある。
【0007】
(本開発の目的)
本開発の目的は、かかる課題に鑑み、無線設備の数を安易に増やすことなく、公共用業務を行うために使用する無線通信に関する無線通信エリアの拡大を図ることを可能にする公共用無線通信エリア拡張システム、移動無線端末および公共用無線通信エリア拡張プログラムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明による公共用無線通信エリア拡張システム、移動無線端末および公共用無線通信エリア拡張プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0009】
(1)本発明による公共用無線通信エリア拡張システムは、
公共用業務を行うための無線通信エリアを拡張する公共用無線通信エリア拡張システムであって、
前記公共用業務を行う業務従事者が操作する無線端末として、当該公共用業務のために独自に設置した公共用無線通信網と無線接続する公共用無線端末と、公衆用の無線通信サービスを行う公衆用無線通信網と無線接続する公衆用無線端末と、の2つの無線端末を有し、
かつ、前記公共用無線端末および前記公衆用無線端末の双方に、
該公共用無線端末と該公衆用無線端末との間をローカルに接続するローカル接続手段を有し、
かつ、前記公共用無線端末または前記公衆用無線端末のいずれか一方に、
前記公共用無線通信網および前記公衆用無線通信網の双方の通信網から受信する受信電界の状況に応じて前記公共用無線通信網または前記公衆用無線通信網のいずれか一方の通信網を選択して、前記公共用無線端末および前記公衆用無線端末の2つの無線端末のうち、選択した前記通信網と無線接続するいずれか一方の無線端末を使用して前記公共用業務のための無線通信を行う状態に設定する通信網選択手段を有し、
かつ、前記公共用業務に関する司令を発出する司令員が操作する統制卓に、前記公共用無線通信網および前記公衆用無線通信網の双方の通信網それぞれと通信を行う通信手段を有している、
ことを特徴とする。
【0010】
(2)本発明による移動無線端末は、
公共用業務を行う業務従事者が操作する移動無線端末であって、
当該公共用業務のために独自に設置した公共用無線通信網と無線接続する公共用無線端末と、公衆用の無線通信サービスを行う公衆用無線通信網と無線接続する公衆用無線端末と、の双方の無線端末が有する実施手段を、一つの筐体内に一体化して実装している、
ことを特徴とする。
【0011】
(3)本発明による公共用無線通信エリア拡張プログラムは、
公共用業務を行うための無線通信エリアを拡張する処理をコンピュータによって実行する公共用無線通信エリア拡張プログラムであって、
前記公共用業務を行う業務従事者が操作する無線端末として、当該公共用業務のために独自に設置した公共用無線通信網と無線接続する公共用無線端末と、公衆用の無線通信サービスを行う公衆用無線通信網と無線接続する公衆用無線端末と、の2つの無線端末を有し、
かつ、前記公共用無線端末および前記公衆用無線端末の双方に、
該公共用無線端末と該公衆用無線端末との間をローカルに接続するローカル接続機能を有し、
かつ、前記公共用無線端末または前記公衆用無線端末のいずれか一方に、
前記公共用無線通信網および前記公衆用無線通信網の双方の通信網から受信する受信電界の状況に応じて前記公共用無線通信網または前記公衆用無線通信網のいずれか一方の通信網を選択して、前記公共用無線端末および前記公衆用無線端末の2つの無線端末のうち、選択した前記通信網と無線接続するいずれか一方の無線端末を使用して前記公共用業務のための無線通信を行う状態に設定する通信網選択機能を有し、
かつ、前記公共用業務に関する司令を発出する司令員が操作する統制卓に、前記公共用無線通信網および前記公衆用無線通信網の双方の通信網それぞれと通信を行う通信機能を有している、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の公共用無線通信エリア拡張システム、移動無線端末および公共用無線通信エリア拡張プログラムによれば、主に、以下のような効果を奏することができる。
【0013】
すなわち、消防、防災、交通や防衛などのパブリックセーフティ(公共安全)の分野において、現状の技術のように公共団体が独自に自営インフラ用の無線設備として運営する公共用無線通信網のみを利用する場合には、通信圏外になって無線通信が不可能なエリアに業務従事者が移動した場合であっても、公衆用無線通信網の通信圏内に存在していれば、公共用の業務に関する無線通信を行うことが可能になるという効果を奏することができる。したがって、公共用無線通信網として無線基地局や無線中継局等の無線設備を増設することなく、公共用の業務に関する無線通信エリアを拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る公共用無線通信エリア拡張システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【
図2】
図1に示した公共用無線通信エリア拡張システムにおける無線通信の様子を模式的に示した説明図である。
【
図3】
図1に示した公共用無線通信エリア拡張システムの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図1の公共用無線通信エリア拡張システムにおいて公共用無線通信網を利用して業務従事者が無線通信を行う場合を示す説明図である。
【
図5】
図1の公共用無線通信エリア拡張システムにおいて公衆用無線通信網を利用して業務従事者が無線通信を行う場合を示す説明図である。
【
図6】
図1に示した公共用無線端末と公衆用無線端末とを同一筐体内に収納した一体型の移動無線端末の構成例を示す端末構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による公共用無線通信エリア拡張システム、移動無線端末および公共用無線通信エリア拡張プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下には、本発明による公共用無線通信エリア拡張システム、移動無線端末について説明するが、かかる公共用無線通信エリア拡張システムおよび移動無線端末が有する機能を、コンピュータによって実行する公共用無線通信エリア拡張プログラムとして実施するようにしても良い。また、以下の各図面に付した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではないことは言うまでもない。
【0016】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、公共用無線通信網(消防/防災/交通/防衛等の公共用に専用の無線通信網)において通信することが可能な公共用無線端末(すなわち移動無線通信装置:携帯/車載通信装置)と、通信事業者が公衆用無線通信サービスとして提供する公衆用無線通信網(例えばLTE(Long Term Evolution)通信網等)において通信することが可能な公衆用無線端末(すなわち携帯無線端末:スマートフォン、携帯電話端末、タブレット端末等)と、の間をローカルに接続した構成(例えばWi-Fi(Wireless Fidelity)規格に準拠の無線接続等を用いたローカル接続構成)とする。
【0017】
そして、公衆用無線端末あるいは公共用無線端末のいずれか一方の無線端末に、公共用無線通信網と公衆用無線通信網とから受信した受信電界状況(圏外/圏内)に応じ、公共用無線通信網と公衆用無線通信網とのいずれの通信網を使用した無線通信を行うかを選択する通信網選択機能(すなわち通信種別選択制御機能)を有する制御アプリケーションを実装することを、主要な特徴としている。
【0018】
ここで、該制御アプリケーションにより選択対象とする通信種別は、前述したように、
(1)公共用無線通信網(消防/防災/交通/防衛等の公共用に専用の無線通信網)を使用する無線通信と
(2) 通信事業者が公衆用無線通信サービスとして提供する公衆用無線通信網(例えばLTE通信網等)を使用する無線通信(LTE通信網の場合はIP(Internet Protocol)無線通信)と、
のいずれかである。
【0019】
そして、前記制御アプリケーションは、公共用無線通信網と公衆用無線通信網とからの無線電波の受信電界の状況を監視し、公共用無線端末と公衆用無線端末とが、それぞれが無線接続する公共用無線通信網と公衆用無線通信網とのそれぞれの無線通信圏内にいずれも存在している場合には、公共用無線端末と公共用無線通信網とを優先して使用する通信種別を選択する。また、公共用無線通信網と公衆用無線通信網とのいずれか一方の通信網が通信圏外になった場合には、通信圏内にある他方の通信網を使用する通信種別に切り替えて使用することも、主要な特徴としている。
【0020】
(本発明の実施形態)
次に、本発明に係る公共用無線通信エリア拡張システムの実施形態について、その一例を説明する。なお、本実施形態においては、公共用無線通信網(すなわち公共用の自営無線通信網)としては、例えば、SCPC(Single Channel Per Carrier)通信網(業務用デジタル無線網:周波数多重分割多元接続(FDMA:Frequency Division Multiple Access)の一つであって、1チャネル当たり1搬送波を割り当てる伝送方式を用いる無線通信網)を用いる。一方、通信事業者が公衆用無線通信サービスとして提供する公衆用無線通信網としては、例えば、LTE(Long Term Evolution)規格に準拠したLTE通信網を用いる。
【0021】
そして、公共用無線通信網に無線接続することができる公共用無線端末と公衆用無線通信網に無線接続することができる公衆用無線端末との間を接続するためのローカル通信規格として、例えば、Wi-Fi通信方式を採用する。すなわち、本実施形態においては、公共用無線通信の通信エリアを拡張するために、Wi-Fi通信を利用して、公共用無線端末と公衆用無線端末との2つの無線端末間で情報の送受信を行い、公共用無線通信網の一例であるSCPC通信網、公衆用無線通信網の一例であるLTE通信網の双方の通信網の受信電界の状況に応じて、いずれか一方の通信網を選択して、選択した通信網に無線接続することができる無線端末を使用することにより、公共用業務のための無線通信を行うことを可能としている。
【0022】
(本発明の実施形態の構成例)
次に、本発明に係る公共用無線通信エリア拡張システムの構成例について、
図1を用いて説明する。
図1は、本発明に係る公共用無線通信エリア拡張システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【0023】
図1に示す公共用無線通信エリア拡張システム100は、実際の現場において公共用の業務を行う業務従事者と公共用の業務に関する司令を発出する司令員との間の無線通信に関する無線通信エリアを拡張するためのシステム構成例を示しており、公共用無線通信網10(すなわち業務用デジタル無線網例えばSCPC通信網)と公衆用無線通信網20(すなわち公衆用無線通信サービスを提供する無線通信網例えばLTE通信網)との2つの通信網を利用する構成としている。なお、公共用無線通信網10は、1ないし複数の無線基地局15や無線中継局により構成され、公衆用無線通信網20は、1ないし複数の無線基地局25(通常、無線中継機能付きの無線基地局25)により構成されている。
【0024】
そして、公共用業務に関する司令を発出する司令員が使用する統制卓30は、公共用無線通信網10と公衆用無線通信網20との双方の通信網それぞれと通信を行う通信手段を有していて、いずれの通信網との間であっても、無線通信用の情報を送受信することが可能な構成となっている。なお、統制卓30と双方の通信網それぞれの無線基地局15および無線基地局25との間は、
図1には、有線接続している例を示しているが、無線接続するようにしても構わない。一方、業務従事者が使用する移動無線通信端末として、公共用無線通信網10を利用するための公共用無線端末11(例えば業務用デジタル無線端末:携帯/車載無線通信装置)と公衆用無線通信網20を利用するための公衆用無線端末21(例えばスマートフォン)との2つの無線端末を用いる。
【0025】
ここで、公共用無線端末11と公衆用無線端末21との間はローカル接続(例えばWi-Fi接続)されている。つまり、公共用無線端末11と公衆用無線端末21とは、それぞれ、公共用無線通信網10と公衆用無線通信網20との無線接続用のアンテナの他に、互いをローカルに無線接続(例えばWi-Fi接続)するためのアンテナも実装している。
【0026】
また、公共用無線通信網10としてSCPC通信網を使用し、公衆用無線通信網20としてLTE通信網を使用し、かつ、公共用無線端末11と公衆用無線端末21との間のローカル接続としてWi-Fi接続を用いる場合には、
図2に示すように、公共用無線端末11は、内部に、SCPC通信制御部11a、Wi-Fi通信制御部11b、公共用無線端末制御アプリケーション11cを搭載している。一方、公衆用無線端末21は、内部に、LTE通信制御部21a、Wi-Fi通信制御部21b、公衆用無線端末制御アプリケーション21cを搭載している。
【0027】
図2は、
図1に示した公共用無線通信エリア拡張システム100における無線通信の様子を模式的に示した説明図である。
図2に示すように、業務従事者が,公共用無線端末11を用いて、司令員の統制卓30との間の無線通信を行う場合には、公共用無線端末11の公共用無線端末制御アプリケーション11cの動作に従って、SCPC通信制御部11aを動作させて、公共用無線通信網10(SCPC通信網)の無線基地局15や無線中継局を介して、統制卓30との間で無線通信を行う。
【0028】
一方、業務従事者が、公衆用無線端末21を用いて、司令員の統制卓30との間の無線通信を行う場合には、公衆用無線端末21の公衆用無線端末制御アプリケーション21cの動作に従って、LTE通信制御部21aを動作させて、公衆用無線通信網20(LTE通信網)の無線基地局25を介して、統制卓30との間で無線通信を行う。
【0029】
ここで、公共用無線端末11と公衆用無線端末21との間は、Wi-Fi通信によりローカル接続されていて、公共用無線端末制御アプリケーション11cと公衆用無線端末制御アプリケーション21cとの動作により公共用無線端末11のWi-Fi通信制御部11bと公衆用無線端末21のWi-Fi通信制御部21bとの間で、互いの動作状態に関する情報を送受信している。
【0030】
なお、公共用無線端末11と公衆用無線端末21との間でWi-Fi通信を確実に行うことができるように、公共用無線端末11と公衆用無線端末21とは、常に、Wi-Fi通信エリア内の互いに近接した位置に配置されているものとする。例えば、公共用無線端末11が、車載用ではなく、携帯用無線通信装置であった場合には、
図1に示すように、業務従事者が、公衆用無線端末21を手に持って保持している場合には、公共用無線端末11は、当該業務従事者の身体の一部例えば腰の位置に装着する形で保持される。
【0031】
すなわち、実際の現場で公共用業務を行う業務従事者が使用する無線端末として、当該公共用業務のために独自に設置した公共用無線通信網10と無線接続する公共用無線端末11と、公衆用の無線通信サービスを行う公衆用無線通信網20と無線接続する公衆用無線端末21と、の2つの無線端末を有している。そして、公共用無線端末11と公衆用無線端末21とには、互いの間をローカルに接続するローカル接続手段として、例えばWi-Fi通信を行うWi-Fi通信制御部11bとWi-Fi通信制御部21bとをそれぞれ有している。
【0032】
ここで、業務従事者の発着信操作は、公共用無線通信網10、公衆用無線通信網20のいずれの通信網を利用する場合であっても、公衆用無線端末21(例えばスマートフォン)を用いて操作することを可能にしても良い。すなわち、公衆用無線通信網20を利用しようとする場合には、公衆用無線端末21の発着信操作結果に基づいて、公衆用無線端末制御アプリケーション21cの動作により、LTE通信制御部21aを経由して、公衆用無線通信網20(LTE通信網)との間の発着信動作が実施される。
【0033】
一方、公共用無線通信網10を利用しようとする場合は、公衆用無線端末21の発着信操作結果が、公衆用無線端末制御アプリケーション21cの動作により、Wi-Fi通信制御部21bを介して、公共用無線端末11のWi-Fi通信制御部11bに伝達され、公共用無線端末11の公共用無線端末制御アプリケーション11cの動作により、SCPC通信制御部11aを経由して、公共用無線通信網10(SCPC通信網)との間の発着信動作が実施される。
【0034】
つまり、公共用無線端末11と公衆用無線端末21とのいずれか一方の無線端末には、公共用無線端末制御アプリケーション11cまたは公衆用無線端末制御アプリケーション21cとして(本実施形態においては、公衆用無線端末21の公衆用無線端末制御アプリケーション21cとして)、次のような通信網選択手段(すなわち通信種別選択制御手段)を有している。すなわち、公共用無線通信網10および公衆用無線通信網20の双方の通信網から受信する受信電界の状況に応じて、公共用無線通信網10、公衆用無線通信網20のいずれか一方の通信網を選択して、公共用無線端末11、公衆用無線端末21の2つの無線端末のうち、選択した前記通信網と無線接続するいずれか一方の無線端末を使用して、公共用業務のための無線通信を行う状態に設定する通信網選択手段を有している。
【0035】
(本発明の実施形態の動作の説明)
次に、本発明の一実施形態として
図1に示した公共用無線通信エリア拡張システム100の動作について、その一例を、
図3のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
図3は、
図1に示した公共用無線通信エリア拡張システム100の動作の一例を説明するためのフローチャートであり、
図1に示した公衆用無線端末21(例、スマートフォン)において通信網を選択して使用する動作の一例を示している。なお、
図3のフローチャートは、公衆用無線端末21に、前述した通信網選択手段を公衆用無線端末制御アプリケーション21cとして有している場合について説明している。
【0036】
図3のフローチャートにおいて、公衆用無線端末21(例、スマートフォン)は、あらかじめ定めた起動周期に達すると、まず、公衆用無線通信網20(LTE通信網)の無線基地局25からの無線電波を受信するために、LTE通信制御部21aを起動するとともに、公共用無線端末11との間のローカル接続(Wi-Fi接続)を行うために、Wi-Fi通信制御部21bを起動する(ステップS1)。
【0037】
ここで、公衆用無線端末21は、公衆用無線端末制御アプリケーション21cの動作により、LTE通信制御部21aにおいて公衆用無線通信網20の無線基地局25からの受信電界をあらかじめ定めた周期で定期的に測定している。一方、公共用無線端末11は、公共用無線端末制御アプリケーション11cの動作により、SCPC通信制御部11aにおいて公共用無線通信網10の無線基地局15からの受信電界をあらかじめ定めた周期で定期的に測定している。そして、公共用無線端末11は、測定した公共用無線通信網10の無線基地局15からの受信電界に関する情報を、Wi-Fi通信制御部11bを介して、公衆用無線端末21に対して、定期的に通知している。
【0038】
図3のフローチャートの説明に戻って、公衆用無線端末21は、公衆用無線端末制御アプリケーション21cの動作により、Wi-Fi通信制御部21bを介して、公共用無線端末11から送信されてきた公共用無線通信網10の無線基地局15からの受信電界に関する情報を受信する(ステップS2)。この結果、公衆用無線端末21は、公衆用無線通信網20の無線基地局25および公共用無線通信網10の無線基地局15のそれぞれから受信した受信電界に関する情報を取得する。
【0039】
しかる後、公衆用無線端末21は、自端末からの発信操作が行われたか、または、他の無線端末からの着信があったか否かを確認する(ステップS3)。発信操作や着信が発生していなかった場合には(ステップS3のNO)、無線通信を行う状態にはなっていない待機状態であるので、
図3の処理は終了し、次の起動周期まで待ち合わせる。
【0040】
これに対して、自端末からの発信操作または他の無線端末からの着信が発生した場合には(ステップS3のYES)、LTE通信制御部21aにおいて測定した公衆用無線通信網20の無線基地局25からの受信電界と、Wi-Fi通信制御部21bを介して受信した公共用無線通信網10の無線基地局15からの受信電界と、に基づいて、公衆用無線端末21および公共用無線端末11が、それぞれの無線通信用として使用する通信網に関し、通信可能なエリア内(通信圏内)に存在しているか、あるいは、通信不可能なエリア(通信圏外)に存在しているかを判定する動作を行う。
【0041】
すなわち、まず、Wi-Fi通信制御部21bを介して受信した公共用無線通信網10の無線基地局15からの受信電界に基づいて、公共用無線端末11が、公共用無線通信網10(SCPC通信網)の通信圏内に存在しているか否かを確認する(ステップS4)。
【0042】
公共用無線端末11が、公共用無線通信網10(SCPC通信網)の通信圏内に存在していた場合には(ステップS4のYES)、公衆用無線端末21は、自端末が公衆用無線通信網20(LTE通信網)の通信圏内に存在しているか否かには関係なく、優先的に、公共用無線端末11を使用して公共用無線通信網10に対して発着信動作を行うことを選択する。つまり、公衆用無線端末21は、公衆用無線端末制御アプリケーション21cの動作により、Wi-Fi通信制御部21bを介して、公共用無線通信網10に対する発着信が発生している旨を、公共用無線端末11に対して通知する。
【0043】
その結果、
図4に示すように、公衆用無線端末21からの該通知を受け取った公共用無線端末11は、公共用無線端末制御アプリケーション11cの動作により、SCPC通信制御部11aを経由して、公共用無線通信網10との間の発着信処理を行う。つまり、業務従事者は、公共用無線端末11を使用して、公共用無線通信網10を利用することにより、発信先の無線端末や統制卓30に対する発信接続動作を行ったり、発信元の無線端末や統制卓30からの着信接続動作を行ったりする(ステップS5)。
【0044】
なお、かかる場合において、当該着信が、公共用無線通信網10を経由して発生していた場合ではなく、公衆用無線通信網20を経由して公衆用無線端末21に対して直接着信していた場合には、公共用無線端末11に対して着信の発生を通知することなく、そのまま、公衆用無線端末21において着信処理を行うようにする。あるいは、場合によっては、該着信呼の発信元の無線端末に対して公共用無線通信網10を指定した再発信処理を行うことを促すことにし、公衆用無線端末21が、公衆用無線通信網20ではなく公共用無線通信網10を経由した着信呼を再度受け取るようにしても良い。
【0045】
図4は、
図1の公共用無線通信エリア拡張システム100において公共用無線通信網10を利用して業務従事者が無線通信を行う場合を示す説明図である。
図4に示すように、公共用無線端末11が公共用無線通信網10の通信圏内に存在している場合には、公衆用無線端末21が公衆用無線通信網20の通信圏内に存在しているか否かには関係なく、公共用無線通信網10を優先して利用して、業務従事者は、公共用無線端末11を用いて、例えば統制卓30との間の無線通信を行う。
【0046】
また、ステップS4において、公共用無線端末11が、公共用無線通信網10(SCPC通信網)の通信圏内ではなく通信圏外に存在していた場合には(ステップS4のNO)、次に、公衆用無線端末21は、LTE通信制御部21aにおいて測定した公衆用無線通信網20の無線基地局25からの受信電界に基づいて、自端末が公衆用無線通信網20(LTE通信網)の通信圏内に存在しているか否かを確認する(ステップS6)。
【0047】
公衆用無線端末21が、公衆用無線通信網20(LTE通信網)の通信圏内ではなく通信圏外に存在していた場合には(ステップS6のNO)、公共用無線端末11のみならず、公衆用無線端末21に関しても、無線通信が不可能な状態にある。したがって、公衆用無線端末21は、発信処理または着信処理に失敗したものと判定して、その旨を業務従事者に通知して、発着信動作を行うことなく、処理を終了する(ステップS7)。
【0048】
これに対して、ステップS6において、公衆用無線端末21が、公衆用無線通信網20(LTE通信網)の通信圏内に存在していた場合には(ステップS6のYES)、公衆用無線端末21は、公共用の業務に関する無線通信が可能な状態にある。したがって、公共用無線端末11に関しては、公共用無線通信網10の通信圏外に存在していて、無線通信を行うことができない状態にあるので、公衆用無線端末21は、発生した発着信処理用の通信方式を、公共用無線通信網10(SCPC通信網)を利用するSCPC通信方式から公衆用無線通信網20(LTE通信網)を利用するLTE通信方式に切り替える(ステップS8)。
【0049】
その結果、
図5に示すように、公衆用無線端末21は、公衆用無線端末制御アプリケーション21cの動作により、LTE通信制御部21aを経由して、公衆用無線通信網20との間の発着信処理を行う。つまり、業務従事者は、公衆用無線端末21を使用して、公衆用無線通信網20を利用することにより、発信先の無線端末や統制卓30に対する発信接続動作を行ったり、発信元の無線端末や統制卓30からの着信接続動作を行ったりする(ステップS9)。
【0050】
図5は、
図1の公共用無線通信エリア拡張システム100において公衆用無線通信網20を利用して業務従事者が無線通信を行う場合を示す説明図である。
図5に示すように、公共用無線端末11が公共用無線通信網10の通信圏外に存在していて、かつ、公衆用無線端末21が公衆用無線通信網20の通信圏内に存在している場合には、業務従事者は、公衆用無線端末21を用いて、公衆用無線通信網20を利用して、例えば統制卓30との間の無線通信を行う。
【0051】
したがって、公共用無線端末11が公共用無線通信網10の通信圏外に存在しているような場合であっても、消防、防災、交通や防衛などの公共用の業務を行う業務従事者は、公衆用無線端末21を用いて、無線通信エリアを拡大して無線通信を行うことが可能になる。
【0052】
以上のように、公衆用無線端末21は、公衆用無線端末制御アプリケーション21cの通信網選択手段としての動作を行った結果として、次のいずれかの通信網との無線接続を行うように設定することにより、公共用業務に関する無線通信エリアをさらに拡大して無線通信を行うことができる。
【0053】
(1)公共用無線通信網10および公衆用無線通信網20から受信する受信電界のうち、いずれか一方の通信網からの受信電界が通信圏外を示している場合には、通信圏内の受信電界を示している他方の通信網を利用することを選択し、選択した前記他方の通信網と無線接続を行うように設定する。
【0054】
例えば、公共用無線通信網10が通信圏外であり、公衆用無線通信網20が通信圏内であった場合には、公衆用無線通信網20と無線接続する公衆用無線端末21を使用して発着信処理を行い、公共用業務に関する無線通信を行うように設定する。逆に、公共用無線通信網10が通信圏内であり、公衆用無線通信網20が通信圏外であった場合には、公共用無線通信網10と無線接続する公共用無線端末11を使用して発着信処理を行い、公共用業務に関する無線通信を行うように設定する。
【0055】
(2)公共用無線通信網10および公衆用無線通信網20から受信する受信電界の双方とも通信圏内の受信電界を示している場合には、公共用無線通信網10を優先して利用することを選択し、選択した公共用無線通信網10と無線接続する公共用無線端末11を使用して発着信処理を行い、公共用業務に関する無線通信を行うように設定する。
【0056】
(3)公共用無線通信網10および公衆用無線通信網20から受信する受信電界の双方とも通信圏外の受信電界を示している場合には、公共用無線通信網10および公衆用無線通信網20のいずれも利用することができない旨を、公衆用無線端末21を操作している業務従事者に対して通知して、発着信処理を行わないように設定する。
【0057】
なお、本実施形態の公共用無線通信エリア拡張システム100においては、通信事業者が提供する公衆用無線通信網20は、前述したように、例えば、LTE通信網であり、IP(Internet Protocol)プロトコルを使用した無線通信をサポートしている通信網であって、かつ、消防、防災、交通や防衛などの公共用の業務に関する司令を発出する司令員が操作する統制卓30においても、IPプロトコルの通信をサポートしている。したがって、司令員と業務従事者との間の無線通信により送受信される公共用業務に関する情報として、音声データのみならず、静止画像、動画、文書、SMS(Short Message Service)等を含む非音声データの情報に関してもIPプロトコルを用いて送受信することが可能である。
【0058】
また、前述した実施形態においては、公衆用無線端末21に実装した公衆用無線端末制御アプリケーション21cに、公共用無線通信網10と公衆用無線通信網20との2つの通信網を使い分ける通信網選択手段(すなわち通信種別選択制御手段)を有している場合について説明したが、本発明は、かかる場合に限るものではない。すなわち、公衆用無線端末21、公共用無線端末11のいずれか一方の無線端末に、該通信網選択手段(すなわち通信種別選択制御手段)を有するように構成すれば良い。つまり、場合によっては、公衆用無線端末21ではなく、公共用無線端末11に実装した公共用無線端末制御アプリケーション11cに、公共用無線通信網10と公衆用無線通信網20との2つの通信網を使い分ける通信網選択手段(すなわち通信種別選択制御手段)を有するようにしても良い。
【0059】
かかる場合には、業務従事者の発着信操作は、公共用無線通信網10、公衆用無線通信網20のいずれの通信網を利用する場合であっても、前述の実施形態の公衆用無線端末21とは異なり、公共用無線端末11(例えば携帯移動無線通信装置)を用いて通信網を選択する選択操作を可能にすれば良い。すなわち、公共用無線通信網10を利用しようとする場合は、公共用無線端末11の発着信操作結果に基づいて、公共用無線端末制御アプリケーション11cの動作により、SCPC通信制御部11aを経由して、公共用無線通信網10(SCPC通信網)との間の発着信動作が実施される。
【0060】
一方、公衆用無線通信網20を利用しようとする場合は、公共用無線端末11の発着信操作結果が、公共用無線端末制御アプリケーション11cの動作により、Wi-Fi通信制御部11bを介して、公衆用無線端末21のWi-Fi通信制御部21bに伝達され、公衆用無線端末21の公衆用無線端末制御アプリケーション21cの動作により、LTE通信制御部21aを経由して、公衆用無線通信網20(LTE通信網)との間の発着信動作が実施される。
【0061】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、次のような効果を得ることができる。
【0062】
すなわち、消防、防災、交通や防衛などのパブリックセーフティ(公共安全)の分野において、現状の技術のように、公共団体が独自に自営インフラ用の無線設備として運営する公共用無線通信網10のみを利用する場合には通信圏外になって無線通信が不可能なエリアに業務従事者が移動した場合であっても、公衆用無線通信網20の通信圏内に存在していれば、公共用の業務に関する無線通信を行うことが可能になるという効果を得ることができる。したがって、公共用無線通信網10として無線基地局や無線中継局等の無線設備を増設することなく、公共用の業務に関する無線通信エリアを拡張することができる。
【0063】
さらに、公共用無線通信網10、公衆用無線通信網20のいずれの通信網を使用して無線通信を行うかという通信網選択に関する判断は、公共用無線通信網10、公衆用無線通信網20それぞれの無線基地局15、無線基地局25からの受信電界情報を受け取って、通信圏内か通信圏外かを判定した判定結果に基づいて、自動的に実施する仕組みを採用している。したがって、業務従事者は、通信網選択に関する判断のための一切の操作を行う必要がないので、公共用無線通信網10、公衆用無線通信網20の2種類の通信網を使い分けることによる利便性が損なわれることなく、無線通信エリアの拡大を実現することができる。
【0064】
(本発明の他の実施形態)
前述した実施形態においては、実際の現場で公共用の業務に従事する業務従事者が無線通信を行うための無線端末として、公共用無線端末11(携帯/車載移動無線通信装置)と公衆用無線端末21(スマートフォン、携帯電話端末、タブレット端末等)との2種類の無線端末を有し、かつ、公共用無線端末11と公衆用無線端末21との間を、Wi-Fiの無線通信によりローカル接続している場合について説明し、公衆用無線通信網20はLTE網を用いて説明したが、本発明は、かかる場合に限るものではない。
【0065】
例えば、ローカル接続を行う手段として、Wi-Fiの代わりにBluetooth(登録商標)でも良く、また、Wi-Fi等の無線通信の代わりに、公共用無線端末11と公衆用無線端末21との間をUSBケーブルやLANケーブル等の有線ケーブルを用いて有線接続するように構成しても良い。さらに、公衆用無線通信網20は、LTE網の代わりに、第5世代移動通信システム(5G)を用いても良い。
【0066】
さらには、
図6に示すように、公共用無線端末11と公衆用無線端末21とを同一筐体内に収納した一体型の移動無線端末40として構成するようにしても良い。
図6は、
図1に示した公共用無線端末11と公衆用無線端末21とを同一筐体内に収納した一体型の移動無線端末40の構成例を示す端末構成図である。
【0067】
図6に示す移動無線端末40は、筐体の表面側に公共用無線通信に関する操作を行うための公共用無線通信パネル41を実装し、筐体の裏面側に公衆用無線通信に関する操作を行う公衆用無線通信パネル42を実装している例を示している。公共用無線通信パネル41には、例えば現状の携帯型無線通信装置と同様の液晶パネル41aと操作キー41bとが配置され、公衆用無線通信パネル42には、例えばスマートフォンと同様の液晶パネル42aと操作ボタン42bとが配置される。
【0068】
そして、筐体内には、公共用業務のために独自に設置した公共用無線通信網10と無線接続する公共用無線端末11と、公衆用の無線通信サービスを行う公衆用無線通信網20と無線接続する公衆用無線端末21と、の双方の無線端末が有している実施手段を一体化して実装している。
【0069】
前記実施手段として、具体的には、公共用無線通信網10との間の無線通信を行う公共用通信制御部例えばSCPC通信制御部、公衆用無線通信網20との間の無線通信を行う公衆用通信制御部例えばLTE通信制御部、および、公共用無線通信網10と公衆用無線通信網20との2つの通信網のいずれかを選択して、選択した通信網と接続する通信網選択部を少なくとも搭載している。すなわち、該通信網選択部は、公共用無線通信網10および公衆用無線通信網20の双方の通信網から受信する受信電界の状況に応じて、公共用無線通信網10、公衆用無線通信網20のいずれか一方の通信網を選択して、選択した該通信網と無線接続することにより公共用の業務のための無線通信を行う状態に設定する。
【0070】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0071】
10 公共用無線通信網
11 公共用無線端末
11a SCPC通信制御部
11b Wi-Fi通信制御部
11c 公共用無線端末制御アプリケーション
15 無線基地局
20 公衆用無線通信網
21 公衆用無線端末
21a LTE通信制御部
21b Wi-Fi通信制御部
21c 公衆用無線端末制御アプリケーション
25 無線基地局
30 統制卓
40 移動無線端末
41 公共用無線通信パネル
41a 液晶パネル
41b 操作キー
42 公衆用無線通信パネル
42a 液晶パネル
42b 操作ボタン
100 公共用無線通信エリア拡張システム