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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123881
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】撮像装置及び撮像方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/772 20230101AFI20230830BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20230830BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
H04N5/3745 500
H04N5/374
H01L27/146 A
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118639
(22)【出願日】2020-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】北野 伸
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA14
4M118BA19
4M118CA03
4M118DD04
4M118DD09
4M118FA06
4M118FA33
4M118FA38
4M118GD03
4M118HA22
4M118HA25
4M118HA31
5C024CX32
5C024CY26
5C024GX02
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY39
5C024GY41
5C024HX23
5C024HX29
5C024HX51
(57)【要約】

【課題】デバイス構造を複雑化せずに暗時の特性を向上させる。
【解決手段】撮像装置は、受光量に応じた電荷を生成する光電変換部と、基板表面に露出されない基板内部の前記光電変換部に接する場所に配置され、前記光電変換部で生成された前記電荷が転送される電荷転送領域と、前記電荷転送領域から基板面方向に離隔して配置され、前記電荷転送領域から転送された前記電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域に前記電荷を転送する制御を行うトランジスタと、前記トランジスタで転送する前記電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する検出部と、を備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光量に応じた電荷を生成する光電変換部と、
基板表面に露出されない基板内部の前記光電変換部に接する場所に配置され、前記光電変換部で生成された前記電荷が転送される電荷転送領域と、
前記電荷転送領域から基板面方向に離隔して配置され、前記電荷転送領域から転送された前記電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、
前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域に前記電荷を転送する制御を行うトランジスタと、
前記トランジスタで転送する前記電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する検出部と、を備える、撮像装置。
【請求項2】
前記電荷転送領域は、コンタクトが接続されていないフローティングの拡散領域である、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記トランジスタは、前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域に前記電荷を転送する際には弱反転領域で動作する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記トランジスタは、前記電荷転送領域と前記電荷蓄積領域との間に配置される第1トランジスタ及び第2トランジスタを有し、
前記電荷蓄積領域は、第1電荷蓄積領域及び第2電荷蓄積領域を有し、
前記第1トランジスタは、前記電荷転送領域から前記第1電荷蓄積領域に前記電荷を転送する制御を行い、
前記第2トランジスタは、前記第1電荷蓄積領域から前記第2電荷蓄積領域に前記電荷を転送する制御を行う、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1トランジスタは、前記電荷転送領域から前記第1電荷蓄積領域に前記電荷を転送する際には弱反転領域で動作し、
前記第2トランジスタは、前記第1電荷蓄積領域から前記第2電荷蓄積領域に前記電荷を転送する際には弱反転領域で動作する、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が前記閾値を超えたか否かを示す前記検出信号を出力する、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域に前記電荷を転送するための電位勾配を生成する、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2トランジスタのチャネルにおける電位は、前記第1トランジスタのチャネルにおける電位よりも高い、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記検出部は、
前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷に応じた電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換部と、
前記電圧信号のレベル調整を行う減算器と、
前記減算器の出力信号を閾値電圧と比較することにより前記検出信号を生成する量子化器と、
前記電流電圧変換部で変換された前記電圧信号を前記減算器に供給するか否かを選択する選択器と、を有し、
前記減算器及び前記量子化器は、それぞれが前記光電変換部を有する複数の画素で共有される、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項10】
複数の画素ごとに配置され、前記光電変換部で生成された前記電荷に応じた輝度信号をデジタル信号に変換するADCと、
前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷を前記ADCに供給するか、前記検出部に供給するか否かを選択する選択器と、を備え、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、前記選択器が前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷を前記ADCに供給する場合には飽和領域で動作し、前記選択器が前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷を前記検出部に供給する場合には弱反転領域で動作する、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項11】
積層されて互いに信号の送受を行う第1半導体チップ及び第2半導体チップを備え、
前記第1半導体チップは、画素ごとに前記光電変換部を有し、
前記第2半導体チップは、画素ごとに前記検出部及び前記ADCを有する、請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
受光量に応じた電荷を生成する光電変換部と、
基板表面に露出されない基板内部の前記光電変換部に接する場所に配置され、前記光電変換部で生成された前記電荷が転送される電荷転送領域と、
前記電荷転送領域から基板面方向に離隔して配置され、前記電荷転送領域から転送された前記電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、
前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域にかけて電位が一方向に変化する電位勾配領域と、
前記電位勾配領域を通過する前記電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する検出部と、を備える、撮像装置。
【請求項13】
前記電位勾配領域は、不純物イオンの濃度が調整された領域である、請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
基板表面に露出されない基板内部であって受光量に応じた電荷を生成する光電変換部に接する場所に配置される電荷転送領域に対して、前記光電変換部で生成された前記電荷を転送し、
前記電荷転送領域から基板面方向に離隔して配置される電荷蓄積領域にて、前記光電変換部から前記電荷転送領域に転送された前記電荷を蓄積し、
トランジスタにて、前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域に前記電荷を転送する制御を行い、
前記トランジスタで転送する前記電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する、撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示による実施形態は、撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像シーンの中で何らかのイベントが発生したときだけ、当該イベントによって生じる輝度レベルの変化した部分のデータを取得する撮像装置が知られている。この種の撮像装置は、EVS(Event base Vision Sensor)と呼ばれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-088724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のEVSは、フォトダイオード(以下、PDと呼ぶ)で発生した電子を画素回路に効率よく転送するために、PDのN領域にコンタクトを接続している。PDのN領域にコンタクトを接続すると、コンタクトを介して電子又は正孔がPD側に流入するため、PDを完全空乏化することが困難である。また、コンタクトを打つためにN領域を界面に露出する必要もあり、暗電流の発生源となる。また、空乏化できていないPDでは電子がPD内にとどまるため、量子効果が下がると考えられる。従って、暗時のEVS特性を向上させることが困難である。
【0005】
そこで、本開示では、デバイス構造を複雑化せずに暗時の特性を向上させることができる撮像装置及び撮像方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、
受光量に応じた電荷を生成する光電変換部と、
基板表面に露出されない基板内部の前記光電変換部に接する場所に配置され、前記光電変換部で生成された前記電荷が転送される電荷転送領域と、
前記電荷転送領域から基板面方向に離隔して配置され、前記電荷転送領域から転送された前記電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、
前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域に前記電荷を転送する制御を行うトランジスタと、
前記トランジスタで転送する前記電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する検出部と、を備える、撮像装置が提供される。
【0007】
前記電荷転送領域は、コンタクトが接続されていないフローティングの拡散領域であってもよい。
【0008】
前記トランジスタは、前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域に前記電荷を転送する際には弱反転領域で動作してもよい。
【0009】
前記トランジスタは、前記電荷転送領域と前記電荷蓄積領域との間に配置される第1トランジスタ及び第2トランジスタを有し、
前記電荷蓄積領域は、第1電荷蓄積領域及び第2電荷蓄積領域を有し、
前記第1トランジスタは、前記電荷転送領域から前記第1電荷蓄積領域に前記電荷を転送する制御を行い、
前記第2トランジスタは、前記第1電荷蓄積領域から前記第2電荷蓄積領域に前記電荷を転送する制御を行ってもよい。
【0010】
前記第1トランジスタは、前記電荷転送領域から前記第1電荷蓄積領域に前記電荷を転送する際には弱反転領域で動作し、
前記第2トランジスタは、前記第1電荷蓄積領域から前記第2電荷蓄積領域に前記電荷を転送する際には弱反転領域で動作してもよい。
【0011】
前記検出部は、前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が前記閾値を超えたか否かを示す前記検出信号を出力してもよい。
【0012】
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域に前記電荷を転送するための電位勾配を生成してもよい。
【0013】
前記第2トランジスタのチャネルにおける電位は、前記第1トランジスタのチャネルにおける電位よりも高くてもよい。
【0014】
前記検出部は、
前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷に応じた電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換部と、
前記電圧信号のレベル調整を行う減算器と、
前記減算器の出力信号を閾値電圧と比較することにより前記検出信号を生成する量子化器と、
前記電流電圧変換部で変換された前記電圧信号を前記減算器に供給するか否かを選択する選択器と、を有し、
前記減算器及び前記量子化器は、それぞれが前記光電変換部を有する複数の画素で共有されてもよい。
【0015】
複数の画素ごとに配置され、前記光電変換部で生成された前記電荷に応じた輝度信号をデジタル信号に変換するADCと、
前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷を前記ADCに供給するか、前記検出部に供給するか否かを選択する選択器と、を備え、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、前記選択器が前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷を前記ADCに供給する場合には飽和領域で動作し、前記選択器が前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷を前記検出部に供給する場合には弱反転領域で動作してもよい。
【0016】
積層されて互いに信号の送受を行う第1半導体チップ及び第2半導体チップを備え、
前記第1半導体チップは、画素ごとに前記光電変換部を有し、
前記第2半導体チップは、画素ごとに前記検出部及び前記ADCを有してもよい。
【0017】
本開示によれば、受光量に応じた電荷を生成する光電変換部と、
基板表面に露出されない基板内部の前記光電変換部に接する場所に配置され、前記光電変換部で生成された前記電荷が転送される電荷転送領域と、
前記電荷転送領域から基板面方向に離隔して配置され、前記電荷転送領域から転送された前記電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、
前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域にかけて電位が一方向に変化する電位勾配領域と、
前記電位勾配領域を通過する前記電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する検出部と、を備える、撮像装置が提供される。
【0018】
前記電位勾配領域は、不純物イオンの濃度が調整された領域であってもよい。
【0019】
本開示によれば、基板表面に露出されない基板内部であって受光量に応じた電荷を生成する光電変換部に接する場所に配置される電荷転送領域に対して、前記光電変換部で生成された前記電荷を転送し、
前記電荷転送領域から基板面方向に離隔して配置される電荷蓄積領域にて、前記光電変換部から前記電荷転送領域に転送された前記電荷を蓄積し、
トランジスタにて、前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域に前記電荷を転送する制御を行い、
前記トランジスタで転送する前記電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する、撮像方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示に係る技術が適用される撮像システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。
図2】本開示の第1構成例に係る撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】画素アレイ部の構成の一例を示すブロック図である。
図4】画素の回路構成の一例を示す回路図である。
図5】アドレスイベント検出部の第1構成例を示すブロック図である。
図6】アドレスイベント検出部における電流電圧変換部の構成の一例を示す回路図である。
図7】アドレスイベント検出部における減算器及び量子化器の構成の一例を示す回路図である。
図8】アドレスイベント検出部の第2構成例を示すブロック図である。
図9】本開示の第2構成例に係る撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。
図10】撮像装置の積層型のチップ構造の概略を示す分解斜視図である。
図11】第1構成例に係る撮像装置のカラム処理部の構成の一例を示すブロック図である。
図12】受光部及びアドレスイベント検出部の内部構成の一例を示す回路図である。
図13】受光素子周辺の断面構造の一例を示す断面図である。
図14】受光素子周辺の断面構造の一比較例を示す断面図である。
図15】受光素子周辺の電位の一例を示す模式図である。
図16】受光素子周辺の断面構造の第1変形例を示す断面図である。
図17A】受光部及びアドレスイベント検出部の内部構成の第1変形例を示す回路図である。
図17B】受光部及びアドレスイベント検出部の内部構成の第2変形例を示す回路図である。
図18】受光部及びアドレスイベント検出部の内部構成の第3変形例を示す回路図である。
図19】受光部及びアドレスイベント検出部の内部構成の第4変形例を示す回路図である。
図20】受光部及びアドレスイベント検出部の内部構成の第5変形例を示す回路図である。
図21図20の回路構成における第1半導体チップと第2半導体チップとの接続関係を示す図である。
図22】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図23】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、撮像装置及び撮像方法の実施形態について説明する。以下では、撮像装置の主要な構成部分を中心に説明するが、撮像装置には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0022】
図1は、本開示に係る技術が適用される撮像システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
図1に示すように、本開示に係る技術が適用される撮像システム10は、撮像レンズ11、撮像装置20、記録部12、及び、制御部13を備える構成となっている。この撮像システム10は、本開示の電子機器の一例であり、当該電子機器としては、産業用ロボットに搭載されるカメラシステムや、車載カメラシステムなどを例示することができる。
【0024】
上記の構成の撮像システム10において、撮像レンズ11は、被写体からの入射光を取り込んで撮像装置20の撮像面上に結像する。撮像装置20は、撮像レンズ11によって取り込まれた入射光を画素単位で光電変換して撮像データを取得する。この撮像装置20として、後述する本開示の撮像装置が用いられる。
【0025】
撮像装置20は、撮像した画像データに対して、画像認識処理等の所定の信号処理を実行し、その処理結果と、後述するアドレスイベントの検出信号(以下、単に「検出信号」と記述する場合がある)とを示すデータを記録部12に出力する。アドレスイベントの検出信号の生成方法については後述する。記録部12は、信号線14を介して撮像装置20から供給されるデータを記憶する。制御部13は、例えば、マイクロコンピュータによって構成され、撮像装置20における撮像動作の制御を行う。
【0026】
[第1構成例に係る撮像装置(アービタ方式)]
図2は、本開示に係る技術が適用される撮像システム10における撮像装置20として用いられる、第1構成例に係る撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
図2に示すように、本開示の撮像装置としての第1構成例に係る撮像装置20は、DVSと呼ばれる非同期型の撮像装置であり、画素アレイ部21、駆動部22、アービタ部(調停部)23、カラム処理部24、及び、信号処理部25を備える構成となっている。
【0028】
上記の構成の撮像装置20において、画素アレイ部21には、複数の画素30が行列状(アレイ状)に2次元配列されている。この行列状の画素配列に対して、画素列毎に、後述する垂直信号線VSLが配線される。
【0029】
複数の画素30のそれぞれは、光電流に応じた電圧のアナログ信号を画素信号として生成する。また、複数の画素30のそれぞれは、光電流の変化量が所定の閾値を超えたか否かにより、アドレスイベントの有無を検出する。そして、アドレスイベントが生じた際に画素30は、リクエストをアービタ部23に出力する。
【0030】
駆動部22は、複数の画素30のそれぞれを駆動して、各画素30で生成された画素信号をカラム処理部24に出力させる。
【0031】
アービタ部23は、複数の画素30のそれぞれからのリクエストを調停し、調停結果に基づく応答を画素30に送信する。アービタ部23からの応答を受け取った画素30は、検出結果を示す検出信号(アドレスイベントの検出信号)を駆動部22及び信号処理部25に供給する。画素30からの検出信号の読出しについては、複数行読出しとすることも可能である。
【0032】
カラム処理部24は、例えば、アナログ-デジタル変換器から成り、画素アレイ部21の画素列毎に、その列の画素30から出力されるアナログの画素信号をデジタル信号に変換する処理を行う。そして、カラム処理部24は、アナログ-デジタル変換後のデジタル信号を信号処理部25に供給する。
【0033】
信号処理部25は、カラム処理部24から供給されるデジタル信号に対して、CDS(Correlated Double Sampling)処理や画像認識処理などの所定の信号処理を実行する。そして、信号処理部25は、処理結果を示すデータと、アービタ部23から供給される検出信号とを信号線14を介して記録部12(図1参照)に供給する。
【0034】
[画素アレイ部の構成例]
図3は、画素アレイ部21の構成の一例を示すブロック図である。
【0035】
複数の画素30が行列状に2次元配列されて成る画素アレイ部21において、複数の画素30のそれぞれは、受光部31、画素信号生成部32、及び、アドレスイベント検出部33を有する構成となっている。
【0036】
上記の構成の画素30において、受光部31は、入射光を光電変換して光電流を生成する。そして、受光部31は、駆動部22(図2参照)の制御に従って、画素信号生成部32及びアドレスイベント検出部33のいずれかに、光電変換して生成した光電流を供給する。
【0037】
画素信号生成部32は、受光部31から供給される光電流に応じた電圧の信号を画素信号SIGとして生成し、この生成した画素信号SIGを垂直信号線VSLを介してカラム処理部24(図2参照)に供給する。
【0038】
アドレスイベント検出部33は、受光部31のそれぞれからの光電流の変化量が所定の閾値を超えたか否かにより、アドレスイベントの有無を検出する。アドレスイベントは、例えば、光電流の変化量が上限の閾値を超えた旨を示すオンイベント、及び、その変化量が下限の閾値を下回った旨を示すオフイベントから成る。また、アドレスイベントの検出信号は、例えば、オンイベントの検出結果を示す1ビット、及び、オフイベントの検出結果を示す1ビットから成る。なお、アドレスイベント検出部33については、オンイベントのみを検出する構成とすることもできる。
【0039】
アドレスイベントが発生した際に、アドレスイベント検出部33は、アドレスイベントの検出信号の送信を要求するリクエストをアービタ部23(図2参照)に供給する。そして、アドレスイベント検出部33は、リクエストに対する応答をアービタ部23から受け取ると、アドレスイベントの検出信号を駆動部22及び信号処理部25に供給する。
【0040】
[画素の回路構成例]
図4は、画素30の回路構成の一例を示す回路図である。上述したように、複数の画素30のそれぞれは、受光部31、画素信号生成部32、及び、アドレスイベント検出部33を有する構成となっている。
【0041】
上記の構成の画素30において、受光部31は、受光素子(光電変換素子)311、転送トランジスタ312、及び、OFG(Over Flow Gate)トランジスタ313を有する構成となっている。転送トランジスタ312及びOFGトランジスタ313としては、例えば、N型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが用いられる。転送トランジスタ312及びOFGトランジスタ313は、互いに直列に接続されている。
【0042】
受光素子311は、転送トランジスタ312とOFGトランジスタ313との共通接続ノードN1とグランドとの間に接続されており、入射光を光電変換して入射光の光量に応じた電荷量の電荷を生成する。
【0043】
転送トランジスタ312のゲート電極には、図2に示す駆動部22から転送信号TRGが供給される。転送トランジスタ312は、転送信号TRGに応答して、受光素子311で光電変換された電荷を画素信号生成部32に供給する。
【0044】
OFGトランジスタ313のゲート電極には、駆動部22から制御信号OFGが供給される。OFGトランジスタ313は、制御信号OFGに応答して、受光素子311で生成された電気信号をアドレスイベント検出部33に供給する。アドレスイベント検出部33に供給される電気信号は、電荷からなる光電流である。
【0045】
画素信号生成部32は、リセットトランジスタ321、増幅トランジスタ322、選択トランジスタ323、及び、浮遊拡散層324を有する構成となっている。リセットトランジスタ321、増幅トランジスタ322、及び、選択トランジスタ323としては、例えば、N型のMOSトランジスタが用いられる。
【0046】
画素信号生成部32には、受光部31から転送トランジスタ312によって、受光素子311で光電変換された電荷が供給される。受光部31から供給される電荷は、浮遊拡散層324に蓄積される。浮遊拡散層324は、蓄積した電荷の量に応じた電圧値の電圧信号を生成する。すなわち、浮遊拡散層324は、電荷を電圧に変換する。
【0047】
リセットトランジスタ321は、電源電圧VDDの電源ラインと浮遊拡散層324との間に接続されている。リセットトランジスタ321のゲート電極には、駆動部22からリセット信号RSTが供給される。リセットトランジスタ321は、リセット信号RSTに応答して、浮遊拡散層324の電荷量を初期化(リセット)する。
【0048】
増幅トランジスタ322は、電源電圧VDDの電源ラインと垂直信号線VSLとの間に、選択トランジスタ323と直列に接続されている。増幅トランジスタ322は、浮遊拡散層324で電荷電圧変換された電圧信号を増幅する。
【0049】
選択トランジスタ323のゲート電極には、駆動部22から選択信号SELが供給される。選択トランジスタ323は、選択信号SELに応答して、増幅トランジスタ322によって増幅された電圧信号を画素信号SIGとして垂直信号線VSLを介してカラム処理部24(図2参照)へ出力する。
【0050】
上記の構成の画素30が2次元配置されて成る画素アレイ部21を有する撮像装置20において、駆動部22は、図1に示す制御部13によりアドレスイベントの検出開始が指示されると、受光部31のOFGトランジスタ313に制御信号OFGを供給することによって当該OFGトランジスタ313を駆動してアドレスイベント検出部33に光電流を供給させる。
【0051】
そして、ある画素30においてアドレスイベントが検出されると、駆動部22は、その画素30のOFGトランジスタ313をオフ状態にしてアドレスイベント検出部33への光電流の供給を停止させる。次いで、駆動部22は、転送トランジスタ312に転送信号TRGを供給することによって当該転送トランジスタ312を駆動して、受光素子311で光電変換された電荷を浮遊拡散層324に転送させる。
【0052】
このようにして、上記の構成の画素30が2次元配置されて成る画素アレイ部21を有する撮像装置20は、アドレスイベントが検出された画素30の画素信号のみをカラム処理部24に出力する。これにより、アドレスイベントの有無に関わらず、全画素の画素信号を出力する場合と比較して、撮像装置20の消費電力や、画像処理の処理量を低減することができる。
【0053】
尚、ここで例示した画素30の構成は一例であって、この構成例に限定されるものではない。例えば、画素信号生成部32を備えない画素構成とすることもできる。この画素構成の場合は、受光部31において、OFGトランジスタ313を省略し、当該OFGトランジスタ313の機能を転送トランジスタ312に持たせるようにすればよい。
【0054】
[アドレスイベント検出部の第1構成例]
図5は、アドレスイベント検出部33の第1構成例を示すブロック図である。図5に示すように、本構成例に係るアドレスイベント検出部33は、電流電圧変換部331、バッファ332、減算器333、量子化器334、及び、転送部335を有する構成となっている。
【0055】
電流電圧変換部331は、画素30の受光部31からの光電流を、その対数の電圧信号に変換する。電流電圧変換部331は、変換した電圧信号をバッファ332に供給する。バッファ332は、電流電圧変換部331から供給される電圧信号をバッファリングし、減算器333に供給する。
【0056】
減算器333には、駆動部22から行駆動信号が供給される。減算器333は、行駆動信号に従って、バッファ332から供給される電圧信号のレベルを低下させる。そして、減算器333は、レベル低下後の電圧信号を量子化器334に供給する。量子化器334は、減算器333から供給される電圧信号をデジタル信号に量子化してアドレスイベントの検出信号として転送部335に出力する。
【0057】
転送部335は、量子化器334から供給されるアドレスイベントの検出信号をアービタ部23等に転送する。この転送部335は、アドレスイベントが検出された際に、アドレスイベントの検出信号の送信を要求するリクエストをアービタ部23に供給する。そして、転送部335は、リクエストに対する応答をアービタ部23から受け取ると、アドレスイベントの検出信号を駆動部22及び信号処理部25に供給する。
【0058】
続いて、アドレスイベント検出部33における電流電圧変換部331、減算器333、及び、量子化器334の構成例について説明する。
【0059】
(電流電圧変換部の構成例)
図6は、アドレスイベント検出部33における電流電圧変換部331の構成の一例を示す回路図である。図6に示すように、本例に係る電流電圧変換部331は、N型トランジスタ3311、P型トランジスタ3312、及び、N型トランジスタ3313を有する回路構成となっている。これらのトランジスタ3311~3313としては、例えば、MOSトランジスタが用いられる。
【0060】
N型トランジスタ3311は、電源電圧VDDの電源ラインと信号入力線3314との間に接続されている。P型トランジスタ3312及びN型トランジスタ3313は、電源電圧VDDの電源ラインとグランドとの間に直列に接続されている。そして、P型トランジスタ3312及びN型トランジスタ3313の共通接続ノードN2には、N型トランジスタ3311のゲート電極と、図5に示すバッファ332の入力端子とが接続されている。
【0061】
P型トランジスタ3312のゲート電極には、所定のバイアス電圧Vbiasが印加される。これにより、P型トランジスタ3312は、一定の電流をN型トランジスタ3313に供給する。N型トランジスタ3313のゲート電極には、信号入力線3314を通して、受光部31から光電流が入力される。
【0062】
N型トランジスタ3311及びN型トランジスタ3313のドレイン電極は電源側に接続されており、このような回路はソースフォロワと呼ばれる。これらのループ状に接続された2つのソースフォロワにより、受光部31からの光電流は、その対数の電圧信号に変換される。
【0063】
(減算器及び量子化器の構成例)
図7は、アドレスイベント検出部33における減算器333及び量子化器334の構成の一例を示す回路図である。
【0064】
本例に係る減算器333は、容量素子3331、インバータ回路3332、容量素子3333、及び、スイッチ素子3334を有する構成となっている。
【0065】
容量素子3331の一端は、図5に示すバッファ332の出力端子に接続され、その他端は、インバータ回路3332の入力端子に接続されている。容量素子3333は、インバータ回路3332に対して並列に接続されている。スイッチ素子3334は、容量素子3333の両端間に接続されている。スイッチ素子3334にはその開閉制御信号として、駆動部22から行駆動信号が供給される。スイッチ素子3334は、行駆動信号に応じて、容量素子3333の両端を接続する経路を開閉する。インバータ回路3332は、容量素子3331を介して入力される電圧信号の極性を反転する。
【0066】
上記の構成の減算器333において、スイッチ素子3334をオン(閉)状態とした際に、容量素子3331のバッファ332側の端子に電圧信号Vinitが入力され、その逆側の端子は仮想接地端子となる。この仮想接地端子の電位を、便宜上、ゼロとする。このとき、容量素子3331に蓄積されている電荷Qinitは、容量素子3331の容量値をC1とすると、次式(1)により表される。一方、容量素子3333の両端は、短絡されているため、その蓄積電荷はゼロとなる。
Qinit=C1×Vinit ・・・(1)
【0067】
次に、スイッチ素子3334がオフ(開)状態となり、容量素子3331のバッファ332側の端子の電圧が変化してVafterになった場合を考えると、容量素子3331に蓄積される電荷Qafterは、次式(2)により表される。
Qafter=C1×Vafter ・・・(2)
【0068】
一方、容量素子3333に蓄積される電荷Q2は、容量素子3333の容量値をC2とし、出力電圧をVoutとすると、次式(3)により表される。
Q2=-C2×Vout ・・・(3)
【0069】
このとき、容量素子3331及び容量素子3333の総電荷量は変化しないため、次の式(4)が成立する。
Qinit=Qafter+Q2 ・・・(4)
【0070】
式(4)に式(1)乃至式(3)を代入して変形すると、次式(5)が得られる。
Vout=-(C1/C2)×(Vafter-Vinit) ・・・(5)
【0071】
式(5)は、電圧信号の減算動作を表し、減算結果の利得はC1/C2となる。通常、利得を最大化することが望まれるため、C1を大きく、C2を小さく設計することが好ましい。一方、C2が小さすぎると、kTCノイズが増大し、ノイズ特性が悪化するおそれがあるため、C2の容量削減は、ノイズを許容することができる範囲に制限される。また、画素30毎に減算器333を含むアドレスイベント検出部33が搭載されるため、容量素子3331や容量素子3333には、面積上の制約がある。これらを考慮して、容量素子3331,3333の容量値C1,C2が決定される。
【0072】
図7において、量子化器334は、コンパレータ3341を有する構成となっている。コンパレータ3341は、インバータ回路3332の出力信号、即ち、減算器430からの電圧信号を非反転(+)入力とし、所定の閾値電圧Vthを反転(-)入力としている。そして、コンパレータ3341は、減算器430からの電圧信号と所定の閾値電圧Vthとを比較し、比較結果を示す信号をアドレスイベントの検出信号として転送部335に出力する。
【0073】
[アドレスイベント検出部の第2構成例]
図8は、アドレスイベント検出部33の第2構成例を示すブロック図である。図8に示すように、本構成例に係るアドレスイベント検出部33は、電流電圧変換部331、バッファ332、減算器333、量子化器334、及び、転送部335の他に、記憶部336及び制御部337を有する構成となっている。
【0074】
記憶部336は、量子化器334と転送部335との間に設けられており、制御部337から供給されるサンプル信号に基づいて、量子化器334の出力、即ち、コンパレータ3341の比較結果を蓄積する。記憶部336は、スイッチ、プラスチック、容量などのサンプリング回路であってもよいし、ラッチやフリップフロップなどのデジタルメモリ回路でもあってもよい。
【0075】
制御部337は、コンパレータ3341の反転(-)入力端子に対して所定の閾値電圧Vthを供給する。制御部337からコンパレータ3341に供給される閾値電圧Vthは、時分割で異なる電圧値であってもよい。例えば、制御部337は、光電流の変化量が上限の閾値を超えた旨を示すオンイベントに対応する閾値電圧Vth1、及び、その変化量が下限の閾値を下回った旨を示すオフイベントに対応する閾値電圧Vth2を異なるタイミングで供給することで、1つのコンパレータ3341で複数種類のアドレスイベントの検出が可能になる。
【0076】
記憶部336は、例えば、制御部337からコンパレータ3341の反転(-)入力端子に、オフイベントに対応する閾値電圧Vth2が供給されている期間に、オンイベントに対応する閾値電圧Vth1を用いたコンパレータ3341の比較結果を蓄積するようにしてもよい。尚、記憶部336は、画素30の内部にあってもよいし、画素30の外部にあってもよい。また、記憶部336は、アドレスイベント検出部33の必須の構成要素ではない。すなわち、記憶部336は、無くてもよい。
【0077】
[第2構成例に係る撮像装置(スキャン方式)]
上述した第1構成例に係る撮像装置20は、非同期型の読出し方式にてイベントを読み出す非同期型の撮像装置である。但し、イベントの読出し方式としては、非同期型の読出し方式に限られるものではなく、同期型の読出し方式であってもよい。同期型の読出し方式が適用される撮像装置は、所定のフレームレートで撮像を行う通常の撮像装置と同じ、スキャン方式の撮像装置である。
【0078】
図9は、本開示に係る技術が適用される撮像システム10における撮像装置20として用いられる、第2構成例に係る撮像装置、即ち、スキャン方式の撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0079】
図9に示すように、本開示の撮像装置としての第2構成例に係る撮像装置20は、画素アレイ部21、駆動部22、信号処理部25、読出し領域選択部27、及び、信号生成部28を備える構成となっている。
【0080】
画素アレイ部21は、複数の画素30を含む。複数の画素30は、読出し領域選択部27の選択信号に応答して出力信号を出力する。複数の画素30のそれぞれについては、例えば図7に示すように、画素内に量子化器を持つ構成とすることもできる。複数の画素30は、光の強度の変化量に対応する出力信号を出力する。複数の画素30は、図9に示すように、行列状に2次元配置されていてもよい。
【0081】
駆動部22は、複数の画素30のそれぞれを駆動して、各画素30で生成された画素信号を信号処理部25に出力させる。尚、駆動部22及び信号処理部25については、階調情報を取得するための回路部である。従って、イベント情報のみを取得する場合は、駆動部22及び信号処理部25は無くてもよい。
【0082】
読出し領域選択部27は、画素アレイ部21に含まれる複数の画素30のうちの一部を選択する。例えば、読出し領域選択部27は、画素アレイ部21に対応する2次元行列の構造に含まれる行のうちのいずれか1つもしくは複数の行を選択する。読出し領域選択部27は、予め設定された周期に応じて1つもしくは複数の行を順次選択する。また、読出し領域選択部27は、画素アレイ部21の各画素30からのリクエストに応じて選択領域を決定してもよい。
【0083】
信号生成部28は、読出し領域選択部27によって選択された画素の出力信号に基づいて、選択された画素のうちのイベントを検出した活性画素に対応するイベント信号を生成する。イベントは、光の強度が変化するイベントである。活性画素は、出力信号に対応する光の強度の変化量が予め設定された閾値を超える、又は、下回る画素である。例えば、信号生成部28は、画素の出力信号を基準信号と比較し、基準信号よりも大きい又は小さい場合に出力信号を出力する活性画素を検出し、当該活性画素に対応するイベント信号を生成する。
【0084】
信号生成部28については、例えば、信号生成部28に入ってくる信号を調停するような列選択回路を含む構成とすることができる。また、信号生成部28については、イベントを検出した活性画素の情報の出力のみならず、イベントを検出しない非活性画素の情報も出力する構成とすることができる。
【0085】
信号生成部28からは、出力線15を通して、イベントを検出した活性画素のアドレス情報及びタイムスタンプ情報(例えば、(X,Y,T))が出力される。但し、信号生成部28から出力されるデータについては、アドレス情報及びタイムスタンプ情報だけでなく、フレーム形式の情報(例えば、(0,0,1,0,・・・))であってもよい。
【0086】
[チップ構造の構成例]
上述した第1構成例又は第2構成例に係る撮像装置20のチップ(半導体集積回路)構造としては、例えば、積層型のチップ構造を採ることができる。図10は、撮像装置20の積層型のチップ構造の概略を示す分解斜視図である。
【0087】
図10に示すように、積層型のチップ構造、所謂、積層構造は、第1のチップである受光チップ201、及び、第2のチップである検出チップ202の少なくとも2つのチップが積層された構造となっている。そして、図4に示す画素30の回路構成において、受光素子311のそれぞれが受光チップ201上に配置され、受光素子311以外の素子の全てや、画素30の他の回路部分の素子などが検出チップ202上に配置される。受光チップ201と検出チップ202とは、ビア(VIA)、Cu-Cu接合、バンプなどの接続部を介して電気的に接続される。
【0088】
尚、ここでは、受光素子311を受光チップ201に配置し、受光素子311以外の素子や画素30の他の回路部分の素子などを検出チップ202に配置する構成例を例示したが、この構成例に限られるものではない。
【0089】
例えば、図4に示す画素30の回路構成において、受光部31の各素子を受光チップ201に配置し、受光部31以外の素子や画素30の他の回路部分の素子などを検出チップ202に配置する構成とすることができる。また、受光部31の各素子、及び、画素信号生成部32のリセットトランジスタ321、浮遊拡散層324を受光チップ201に配置し、それ以外の素子を検出チップ202に配置する構成とすることができる。更には、アドレスイベント検出部33を構成する素子の一部を、受光部31の各素子などと共に受光チップ201に配置する構成とすることができる。
【0090】
[カラム処理部の構成例]
図11は、第1構成例に係る撮像装置20のカラム処理部24の構成の一例を示すブロック図である。図11に示すように、本例に係るカラム処理部24は、画素アレイ部21の画素列毎に配置された複数のアナログ-デジタル変換器(ADC)241を有する構成となっている。
【0091】
尚、ここでは、画素アレイ部21の画素列に対して、1対1の対応関係でアナログ-デジタル変換器241を配置する構成例を例示したが、この構成例に限定されるものではない。例えば、複数の画素列を単位としてアナログ-デジタル変換器241を配置し、当該アナログ-デジタル変換器241を複数の画素列間で時分割で用いる構成とすることもできる。
【0092】
アナログ-デジタル変換器241は、垂直信号線VSLを介して供給されるアナログの画素信号SIGを、先述したアドレスイベントの検出信号よりもビット数の多いデジタル信号に変換する。例えば、アドレスイベントの検出信号を2ビットとすると、画素信号は、3ビット以上(16ビットなど)のデジタル信号に変換される。アナログ-デジタル変換器241は、アナログ-デジタル変換で生成したデジタル信号を信号処理部25に供給する。
【0093】
[画素の構成例]
図12は、受光部31及びアドレスイベント検出部33の内部構成の一例を示す回路図である。受光部31は、受光素子311と、トランジスタ314と、フローティング・ディフュージョン(以下、FD1と呼ぶ)とを有する。アドレスイベント検出部33は、バッファ332と、減算器333と、量子化器334とを有する。図13は、撮像装置20の要部、すなわち受光素子311周辺の断面構造の一例を示す断面図である。尚、トランジスタ314は、例えばカスコード接続された2つのN型トランジスタ314a、314bを有し、バッファ332は、例えばカスコード接続されたP型トランジスタ3321、3322を備える。
【0094】
図13に示すように、撮像装置20は、基板S上に配置された受光素子311と、電荷転送領域CTと、電荷蓄積領域FDと、トランジスタ314と、アドレスイベント検出部33と、を備える。
【0095】
基板Sは、例えば、シリコン(Si)基板などの半導体基板である。また、基板Sは、例えば、P型のシリコン基板である。受光素子311、電荷転送領域CT及び電荷蓄積領域FDは、基板S内に設けられている。S1は、図13に示す基板Sの上面を示す。なお、基板Sは、他の半導体基板と積層されて、ビア(VIA)、Cu-Cu接合、バンプなどを介して両基板同士で信号の送受を行ってもよい。
【0096】
光電変換部としての受光素子311は、受光量に応じた電荷を生成する。受光素子311は、p+型半導体領域311aと、n-型半導体領域311bと、を含む。p+型半導体領域311a及びn-型半導体領域311bは、pn接合するように設けられ、受光した光を電荷に変換して電荷を生成する光電変換部として機能する。
【0097】
電荷転送領域CTは、基板表面S1に露出されない基板S内部の受光素子311に接する場所に配置される。また、電荷転送領域CTは、受光素子311で生成された電荷を第2電荷蓄積領域FD2に転送する領域として機能する。電荷転送領域CTは、第1電荷転送領域CT1と、第2電荷転送領域CT2と、を含む。第1電荷転送領域CT1は、例えば、p-型半導体領域である。第2電荷転送領域CT2は、例えば、n-型半導体領域である。図13に示すように、受光素子311はp+型半導体領域311aとn-型半導体領域311bを有し、n-型半導体領域311bは、基板Sのp-well領域Spとp+型半導体領域311aとに囲まれている。従って、n-型半導体領域311bは基板表面S1に露出されていない。また、第1電荷転送領域CT1は、受光素子311に接するように設けられ、受光素子311及び第1電荷転送領域CT1にはコンタクトが設けられていない。
【0098】
図14は、受光素子311周辺の断面構造の一比較例を示す断面図である。図14は、図6に示す電流電圧変換部331周辺の断面構造を示している。なお、電圧Vssは、例えば、図6に示すN型トランジスタ3313のソース電圧である。
【0099】
図14に示す例では、回路の容易性のため、コンタクトCが受光素子311のn-型半導体領域311bと接触する場所に設けられている。この場合、コンタクトCを介して電子又は正孔が受光素子311側に流入するため、受光素子311の空乏層が狭くなるとともに、空乏層を完全空乏化することが困難になる。この場合、電子と正孔との再結合が発生しやすくなり、光電流が流れづらくなることから、量子効率が低下してしまう。また、コンタクトCを設けることで、n-型半導体領域311bが界面に露出してしまい、暗電流の発生源となる。暗電流の発生源となり得る界面は、例えば、酸化物等の絶縁体との界面及び金属との界面を含む。暗電流は、例えば、半導体の接続欠陥により発生する。コンタクトCは、半導体と金属のオーミック接触により受光素子311と接続されるが、界面では結晶欠陥等により接続が不完全になってしまう。接続が不完全な部分で自由電子が発生し、その電子が受光素子311に入ることにより、暗電流が生じる。コンタクトC以外に、n-型半導体領域311bが半導体でないところに触れていれば、暗電流の発生の要因になる。従って、n-型半導体領域311bが表面S1に出ていると、暗電流が発生する可能性がある。
【0100】
これに対して、図13に示す例では、受光素子311内のn-型半導体領域311bは基板表面S1に露出していない。受光素子311に接する電荷転送領域CTは、コンタクトが接続されていないフローティングの拡散領域である。n-型半導体領域311bは、基板表面S1に露出されずに(p型)半導体領域に囲まれている。これにより、結晶欠陥が抑制されるため、暗電流を抑制することができる。さらに、n-型半導体領域311bには、コンタクトが設けられない。これにより、受光素子311を完全空乏化することができ、量子効率を向上させることができる。
【0101】
図13に示すように、受光素子311からの電子を転送する第1電荷転送領域CT1及び第2電荷転送領域CT2と、電子を蓄積する第1電荷蓄積領域FD1及び第2電荷蓄積領域FD2が設けられている。本明細書では、第1電荷転送領域CT1及び第2電荷転送領域CT2を総称して電荷転送領域CTと呼び、第1電荷蓄積領域FD1及び第2電荷蓄積領域FD2を総称して電荷蓄積領域FDと呼ぶ。
【0102】
図13に示すように、電荷蓄積領域FDは、電荷転送領域CTから基板面S1方向に離隔して配置される。電荷蓄積領域FDは、電荷転送領域CTから転送された電荷を蓄積する。電荷蓄積領域FDは、電荷を蓄積する電荷蓄積部として機能し、電荷を電気信号に変換して出力する電流電圧変換部331の一部としても機能する。
【0103】
電荷蓄積領域FDを構成する第1電荷蓄積領域FD1及び第2電荷蓄積領域FD2は、例えば、n+型半導体領域である。
【0104】
図13には、第1電荷転送領域CT1から第1電荷蓄積領域FD1に電子を転送する制御を行う第1トランジスタ314aと、第2電荷転送領域CT2から第2電荷蓄積領域FD2に電子を転送する制御を行う第2トランジスタ314bとが設けられている。本明細書では、第1トランジスタ314aと第2トランジスタ314bを総称してトランジスタ314と呼ぶ。
【0105】
トランジスタ314は、電荷転送領域CTから電荷蓄積領域FDに電荷を転送する制御を行う。より詳細には、トランジスタ314は、電荷転送領域CTから電荷蓄積領域FDに電荷を転送する際には弱反転領域で動作する。弱反転領域は、トランジスタのサブスレッショルド領域である。
【0106】
トランジスタ314を構成する第1トランジスタ314aのゲートは第1電荷転送領域CT1の上方に配置され、第2トランジスタ314bのゲートは第2電荷転送領域CT2の上方に配置されている。より詳細には、第1トランジスタ314aのゲートと第1電荷転送領域CT1の間にはゲート絶縁膜(図示せず)が配置され、同様に第2トランジスタ314bのゲートと第2電荷転送領域CT2の間にはゲート絶縁膜(図示せず)が配置されている。
【0107】
また、より詳細には、第1トランジスタ314aは、電荷転送領域CTから第1電荷蓄積領域FD1に電荷を転送する際には弱反転領域で動作する。第2トランジスタ314bは、第1電荷蓄積領域FD1から第2電荷蓄積領域FD2に電荷を転送する際には弱反転領域で動作する。これにより、図12に示すように、第1電荷蓄積領域FD1の電圧を対数電圧(VLog)に変換することができる。TRG1及びTRG2は、それぞれ第1トランジスタ314a及び第2トランジスタ314bを弱反転領域で動作させるためのゲート電圧を示している。TRG1は、例えば、基板Sのボディ(接地電圧)に対して約1V高い電圧である。なお、TRG1及びTRG2は、トランジスタの種類等によって変更されうる固定電圧である。
【0108】
図15は、受光素子311周辺の電位の一例を示す模式図である。
【0109】
Eは、電子を示す。なお、電位VNEGは、基板Sのp-well領域Spの電位である。基板Sのp-well領域Spを負電位(VNEG)にすることにより、受光素子311で生成される電子が基板Sのp-well領域Spに流れることを抑制することができる。
【0110】
図15に示すように、第1トランジスタ314a及び第2トランジスタ314bは、電荷転送領域CTから電荷蓄積領域FDに電荷を転送するための電位勾配を生成する。従って、光が受光素子311に入射すると、受光素子311で生成されて、あふれた電子が電位勾配に沿って第1電荷蓄積領域FD1に転送される。また、電位が固定されているため、電子は、第1電荷転送領域CT1を常時通過可能である。
【0111】
より詳細には、電荷転送領域CTから電荷蓄積領域FDにかけて電位が一方向に変化する。より詳細には、第1電荷転送領域CT1から第1電荷蓄積領域FD1及び第2電荷転送領域CT2を通って第2電荷蓄積領域FD2にかけて電位が一方向に変化する。ゲート電圧(TRG1、TRG2)の調整により、電荷転送領域CT(第1電荷転送領域CT1)から電荷蓄積領域FD(第2電荷蓄積領域FD2)にかけて電位が調整される。TRG1の電圧は、例えば、受光素子311における最も高い電位に合わせるように設定される。これにより、電荷転送領域CT(第1電荷転送領域CT1)から電荷蓄積領域FD(第2電荷蓄積領域FD2)にかけて電位がなだらかに変化するため、電子が詰まること無く電荷蓄積領域FD(第2電荷蓄積領域FD2)に転送されやすくすることができる。なお、ゲート電圧(TRG1、TRG2)は、電荷転送領域CT(第1電荷転送領域CT1及び第2電荷転送領域CT2)の不純物濃度に応じて調整されてもよい。
【0112】
また、第1電荷転送領域CT1を流れる電子の量によって、第1電荷蓄積領域FD1の電位が変化する。第1電荷蓄積領域FD1の電位は、アドレスイベント検出部33によるアドレスイベントの有無の検出に用いられる。
【0113】
また、第2トランジスタ314bのチャネルにおける電位は、第1トランジスタ314aのチャネルにおける電位よりも高くしている。これにより、第1電荷蓄積領域FD1から第2電荷蓄積領域FD2に電子を流しやすくすることができる。
【0114】
また、図13に示す第2電荷蓄積領域FD2におけるDRNは、VDDに近い電圧に設定される。DRNの直下に電子をためる必要があるため、DRNは、VDDよりも若干低い電圧に設定される。DRNは、例えば、約2Vである。なお、第2電荷蓄積領域FD2の電圧であるDRNも固定電圧であるが、一時的には約0V等の低い電圧に変更されてもよい。通常、動作初期時において、電荷が第1電荷蓄積領域FD1に蓄積されるまで待つ必要がある。また、暗時では、受光素子311で電子が生成されづらい。そこで、DRNを低い電圧にすると、画素30内に電荷が注入され、電荷蓄積の待ち時間を削減することができる。
【0115】
図13に示すように、検出部としてのアドレスイベント検出部33は、トランジスタ314で転送する電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する。より詳細には、アドレスイベント検出部33は、第1電荷蓄積領域FD1に蓄積された電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する。
【0116】
アドレスイベント検出部33は、図13の電荷転送領域CT及び電荷蓄積領域FDにより構成される電流電圧変換部と、バッファ332と、減算器333と、量子化器334と、を有する。なお、アドレスイベント検出部33の処理動作は、例えば、図5に示されたアドレスイベント検出部33とほぼ同様である。
【0117】
電流電圧変換部は、第1電荷蓄積領域FD1に蓄積された電荷に応じた電流信号を電圧信号に変換する。減算器333は、電圧信号のレベル調整を行う。量子化器334は、減算器333の出力信号を閾値電圧と比較することにより検出信号を生成する。
【0118】
次に、撮像装置20の動作について説明する。
【0119】
まず、基板表面S1に露出されない基板S内部であって受光量に応じた電荷を生成する受光素子311に接する場所に配置される電荷転送領域CTに対して、受光素子311で生成された電荷を転送する。
【0120】
次に、電荷転送領域CTから基板面S1方向に離隔して配置される電荷蓄積領域FDにて、受光素子311から電荷転送領域CTに転送された電荷を蓄積する。
【0121】
次に、トランジスタ314にて、電荷転送領域CTから電荷蓄積領域FDに電荷を転送する制御を行う。
【0122】
次に、アドレスイベント検出部33は、トランジスタ314で転送する電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する。
【0123】
このように、本実施形態による撮像装置20では、受光素子311のn-型半導体領域311bが基板表面S1に露出させないようにしている。具体的には、受光素子311にはコンタクトを接続しない。これにより、暗電流を抑制することができる。また、受光素子311にコンタクトを接続しないことで、受光素子311を完全空乏化することができる。完全空乏化により、光によって生成される電子とホールとの再結合を抑制でき、量子効率を向上させることができる。従って、受光感度を向上させることができる。受光感度の向上により、微弱な光信号の輝度変化を検出でき、高感度のEVS(Event base Vision Sensor)を実現できる。
【0124】
なお、本実施形態による撮像装置20は、図2に示す非同期方式と図9に示す同期(スキャン)方式のいずれにも適用可能である。
【0125】
図12及び図13では、電荷転送領域CTとして第1電荷転送領域CT1及び第2電荷転送領域CT2を設けるとともに、電荷蓄積領域FDとして第1電荷蓄積領域FD1及び第2電荷蓄積領域FD2を設ける例を示したが、電荷転送領域CTは一つだけでもよいし、三つ以上設けてもよい。同様に、電荷蓄積領域FDは一つだけでもよいし、三つ以上設けてもよい。また、図12及び図13では、トランジスタ314(第1トランジスタ314aと第2トランジスタ314b)を設けて、電荷転送領域CTから電荷蓄積領域FDへの電位勾配を形成しているが、電位勾配を形成するのにトランジスタ314は必ずしも必須ではない。例えば、p-well領域Sp内の不純物イオンの濃度を調整することによっても、電荷転送領域CTから電荷蓄積領域FDへの電位勾配を形成することができる。よって、トランジスタ314(第1トランジスタ314aと第2トランジスタ314b)は省略可能である。
【0126】
図16は、受光素子311周辺の断面構造の第1変形例を示す断面図である。図16では、トランジスタ314が設けられず、イオン注入による不純物濃度で電位が制御されている。
【0127】
撮像装置20は、電位勾配領域をさらに備える。
【0128】
より詳細には、電位勾配領域は、不純物イオンの濃度が調整された領域である。電位勾配領域は、電荷転送領域CTにおける不純物濃度の調整により得られる。従って、図16では、トランジスタ314が設けられていない。
【0129】
電位勾配領域は、電荷転送領域CTから電荷蓄積領域FDにかけて電位が一方向に変化する。この電位勾配は、図15に示す状態と同様である。従って、受光素子311で生成された電子は、電位勾配によって電荷蓄積領域FDに転送される。
【0130】
アドレスイベント検出部33は、電位勾配領域を通過する電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する。
【0131】
このように、トランジスタ314を設けることなく、不純物濃度の調整により電位勾配が得られてもよい。これにより、回路構成をより単純化することができる。
【0132】
図12に示す受光部31及びアドレスイベント検出部33の構成には、種々の変形例が考えられる。以下、代表的ないくつかの変形例を順に説明する。
【0133】
図17Aは、受光部31及びアドレスイベント検出部33の内部構成の第1変形例を示す回路図である。なお、図17Aでは、図12に示す第2トランジスタ314bを省略している。
【0134】
図17Aは、ゲイン型と呼ばれる回路構成を示す。アドレスイベント検出部33は、第1電荷蓄積領域FD1(電荷蓄積領域FD)に蓄積された電荷に応じた電流信号を対数の電圧信号に変換する対数変換回路L(対数変換部)を備える。対数変換回路Lは、電流電圧変換部331の一部を構成しており、図6に示すN型トランジスタ3311のソースをN型トランジスタ3313のゲートに接続し、トランジスタ3313のドレインをトランジスタ3311のゲートに接続した回路である。対数変換回路L内のトランジスタ3311のソースは第1トランジスタ314aのドレインに接続され、トランジスタ3313のソースは接地ノードに接続され、トランジスタ3311のゲートから対数変換された電圧が出力される。
【0135】
図17Bは、受光部31及びアドレスイベント検出部33の内部構成の第2変形例を示す回路図である。第2変形例は、対数変換回路Lが2つ設けられている点で、第1変形例と異なる。
【0136】
図17Bは、2段ゲイン型と呼ばれる回路構成を示す。アドレスイベント検出部33は、直列に接続された2つの対数変換回路Lを備える。2つの対数変換回路Lを直列に接続していることから、2段ゲイン型と呼ばれる。2段ゲイン型で得られる対数電圧VLogは、ゲイン型で得られる対数電圧VLogよりも電位変化が2倍になる。これにより、後段の回路の反応がよくなる。従って、アドレスイベント検出部33は、小さい電位変化も大きく読み出すことができる。この結果、入射光の微弱な変化を精度よく検出することできる。
【0137】
図18は、受光部31及びアドレスイベント検出部33の内部構成の第3変形例を示す回路図である。
【0138】
アドレスイベント検出部33は、選択器Se1をさらに有する。選択器Se1は、電流電圧変換部331で変換された電圧信号を減算器333に供給するか否かを選択する。選択器Se1は、例えば、選択信号SELの信号論理でオン又はオフする選択トランジスタ338を含む。
【0139】
また、減算器333及び量子化器334は、複数の画素30で共有される。より具体的には、減算器333及び量子化器334は、複数の画素を含む列(カラム)ごとに設けられる。選択器Se1によって、同一カラム内の任意の画素で光電変換された信号(対数電圧)を切り替えて減算器333に入力することができる。これにより、カラムごとに減算器333と量子化器334を設ければよくなり、アドレスイベント検出部33の構成を簡略化できる。
【0140】
図19は、受光部31及びアドレスイベント検出部33の内部構成の第4変形例を示す回路図である。
【0141】
撮像装置20は、ADC241と、選択器Se2と、をさらに備える。
【0142】
ADC241は、複数の画素30ごとに配置され、受光素子311で生成された電荷に応じた輝度信号をデジタル信号に変換する。ADC241は、図11に示すADC241と同様である。
【0143】
選択器Se2は、第1電荷蓄積領域FD1に蓄積された電荷をADC241に供給するか、アドレスイベント検出部33に供給するか否かを選択する。選択器Se2は、例えば、選択トランジスタ338及びスイッチSW1を含む。スイッチSW1は、選択トランジスタ338と減算器333との間に設けられている。減算器333及び量子化器334は、カラムごとに設けられる。
【0144】
また、第1トランジスタ314a及び第2トランジスタ314bは、選択器Se2が第1電荷蓄積領域FD1に蓄積された電荷をADC241に供給する場合には飽和領域で動作し、選択器Se2が第1電荷蓄積領域FD1に蓄積された電荷をアドレスイベント検出部33に供給する場合には弱反転領域で動作する。すなわち、撮像装置20は、通常のイメージセンサ及びEVSのいずれか一方として機能する。これは、撮像装置20が、通常のイメージセンサとほぼ同様の回路構成を有し、トランジスタ314a、314bの動作モードの切り替えにより通常のイメージセンサ及びEVSの動作を実行することができるためである。撮像装置20が通常のイメージセンサとして機能する場合、第1トランジスタ314a、第1電荷蓄積領域FD1、P型トランジスタ3321及び選択トランジスタ338は、それぞれ、図4に示す転送トランジスタ312、浮遊拡散層324、増幅トランジスタ322及び選択トランジスタ323と同様に機能する。なお、撮像装置20が通常のイメージセンサとして動作する場合、図13に示すDRNは、例えば、VDDの固定電圧であってもよい。
【0145】
このように、選択器Se2の切替により、同じセンサを用いて通常のイメージセンサとEVSとを使い分けてそれぞれ動作させることができる。
【0146】
なお、図19に示す例では、bias信号に応じて一定の電流を供給するトランジスタ339が設けられている。また、トランジスタ339は、電流源として機能する。
【0147】
図20は、受光部31及びアドレスイベント検出部33の内部構成の第5変形例を示す回路図である。第5変形例は、積層型の構造により、減算器333及び量子化器334が画素30ごとに設けられる点で、第4変形例と異なる。
【0148】
選択器Se3は、例えば、選択トランジスタ338及びスイッチSW2を含む。スイッチSW2は、選択トランジスタ338と減算器333との間に設けられている。また、CC1は、選択トランジスタ338とADC241との間に設けられる接続部を示す。CC2は、選択トランジスタ338(スイッチSW2)と減算器333との間に設けられる接続部を示す。Bは、接続部CC1、CC2による境界線を示す。
【0149】
撮像装置20は、積層されて互いに信号の送受を行う第1半導体チップCH1及び第2半導体チップCH2をさらに備える。
【0150】
第1半導体チップCH1は、画素30ごとに受光素子311を有する。第1半導体チップCH1は、例えば、図10に示す受光チップ201である。また、第1半導体チップCH1は、例えば、図20に示す上チップである。
【0151】
第2半導体チップCH2は、画素30ごとにアドレスイベント検出部33を有するとともに、カラムごとにADC241を有する。第2半導体チップCH2は、例えば、図10に示す検出チップ202である。また、第2半導体チップCH2は、例えば、図20に示す下チップである。
【0152】
接続部CC1および接続部CC2は、第1半導体チップCH1と第2半導体チップCH2との間で各種の信号の送受を行う。接続部CC1は、例えば、画素30ごとに設けられるのに対し、接続部CC2は、例えば、カラムごとに設けられる。接続部CC1、CC2は、ビア(VIA)、Cu-Cu接合、バンプなどを介して第1半導体チップと第2半導体チップ間で各種の信号の送受を行う。
【0153】
このように、減算器333及び量子化器334を第2半導体チップCH2に配置することで、全画素30に対して減算器333及び量子化器334(EVS回路)を設けることができる。この結果、イベント検出をより迅速に行うことができる。
【0154】
図21は、図20の回路構成における第1半導体チップCH1と第2半導体チップCH2との接続関係を示す図である。
【0155】
接続部CC1は、画素アレイ部21において、画素30ごとに複数設けられる。なお、図21に示す接続部CC1は、模式的に示され、実際の接続部CC1の数とは異なっていてもよい。
【0156】
接続部CC2は、画素アレイ部21とカラム処理部24との間に複数設けられる。なお、図21に示す接続部CC2は、模式的に示され、実際の接続部CC2の数とは異なっていてもよい。
【0157】
[移動体への応用例]
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0158】
図22は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0159】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図22に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0160】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0161】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0162】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0163】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0164】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0165】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0166】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0167】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0168】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図22の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0169】
図23は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0170】
図23では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0171】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0172】
なお、図23には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0173】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0174】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0175】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0176】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0177】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031,12101,12102,12103,12104,12105や、運転者状態検出部12041等に適用され得る。具体的には、これらの撮像部や検出部に対して、例えば、本開示の撮像装置を有する図1の撮像システム10を適用することができる。そして、本開示に係る技術を適用することにより、暗電流の抑制および量子効率の向上によって受光感度を向上させることができるため、より安全な車両走行を実現することが可能になる。
【0178】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)受光量に応じた電荷を生成する光電変換部と、
基板表面に露出されない基板内部の前記光電変換部に接する場所に配置され、前記光電変換部で生成された前記電荷が転送される電荷転送領域と、
前記電荷転送領域から基板面方向に離隔して配置され、前記電荷転送領域から転送された前記電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、
前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域に前記電荷を転送する制御を行うトランジスタと、
前記トランジスタで転送する前記電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する検出部と、を備える、撮像装置。
(2)前記電荷転送領域は、コンタクトが接続されていないフローティングの拡散領域である、(1)に記載の撮像装置。
(3)前記トランジスタは、前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域に前記電荷を転送する際には弱反転領域で動作する、(1)又は(2)に記載の撮像装置。
(4)前記トランジスタは、前記電荷転送領域と前記電荷蓄積領域との間に配置される第1トランジスタ及び第2トランジスタを有し、
前記電荷蓄積領域は、第1電荷蓄積領域及び第2電荷蓄積領域を有し、
前記第1トランジスタは、前記電荷転送領域から前記第1電荷蓄積領域に前記電荷を転送する制御を行い、
前記第2トランジスタは、前記第1電荷蓄積領域から前記第2電荷蓄積領域に前記電荷を転送する制御を行う、(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(5)前記第1トランジスタは、前記電荷転送領域から前記第1電荷蓄積領域に前記電荷を転送する際には弱反転領域で動作し、
前記第2トランジスタは、前記第1電荷蓄積領域から前記第2電荷蓄積領域に前記電荷を転送する際には弱反転領域で動作する、(4)に記載の撮像装置。
(6)前記検出部は、前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が前記閾値を超えたか否かを示す前記検出信号を出力する、(4)又は(5)に記載の撮像装置。
(7)前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域に前記電荷を転送するための電位勾配を生成する、(4)乃至(6)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(8)前記第2トランジスタのチャネルにおける電位は、前記第1トランジスタのチャネルにおける電位よりも高い、(4)乃至(7)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(9) 前記検出部は、
前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷に応じた電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換部と、
前記電圧信号のレベル調整を行う減算器と、
前記減算器の出力信号を閾値電圧と比較することにより前記検出信号を生成する量子化器と、
前記電流電圧変換部で変換された前記電圧信号を前記減算器に供給するか否かを選択する選択器と、を有し、
前記減算器及び前記量子化器は、それぞれが前記光電変換部を有する複数の画素で共有される、(4)乃至(8)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(10)複数の画素ごとに配置され、前記光電変換部で生成された前記電荷に応じた輝度信号をデジタル信号に変換するADCと、
前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷を前記ADCに供給するか、前記検出部に供給するか否かを選択する選択器と、を備え、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、前記選択器が前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷を前記ADCに供給する場合には飽和領域で動作し、前記選択器が前記第1電荷蓄積領域に蓄積された前記電荷を前記検出部に供給する場合には弱反転領域で動作する、(4)乃至(8)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(11)積層されて互いに信号の送受を行う第1半導体チップ及び第2半導体チップを備え、
前記第1半導体チップは、画素ごとに前記光電変換部を有し、
前記第2半導体チップは、画素ごとに前記検出部及び前記ADCを有する、(10)に記載の撮像装置。
(12)受光量に応じた電荷を生成する光電変換部と、
基板表面に露出されない基板内部の前記光電変換部に接する場所に配置され、前記光電変換部で生成された前記電荷が転送される電荷転送領域と、
前記電荷転送領域から基板面方向に離隔して配置され、前記電荷転送領域から転送された前記電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、
前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域にかけて電位が一方向に変化する電位勾配領域と、
前記電位勾配領域を通過する前記電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する検出部と、を備える、撮像装置。
(13)前記電位勾配領域は、不純物イオンの濃度が調整された領域である、(12)に記載の撮像装置。
(14)基板表面に露出されない基板内部であって受光量に応じた電荷を生成する光電変換部に接する場所に配置される電荷転送領域に対して、前記光電変換部で生成された前記電荷を転送し、
前記電荷転送領域から基板面方向に離隔して配置される電荷蓄積領域にて、前記光電変換部から前記電荷転送領域に転送された前記電荷を蓄積し、
トランジスタにて、前記電荷転送領域から前記電荷蓄積領域に前記電荷を転送する制御を行い、
前記トランジスタで転送する前記電荷の量に応じた電気信号の変化量の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを示す検出信号を出力する、撮像方法。
【0179】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0180】
10 撮像システム、11 撮像レンズ、12 記録部、13 制御部、20 撮像装置、21 画素アレイ部、22 駆動部、23 アービタ部、24 カラム処理部、25 信号処理部、27 読出し領域選択部、28 信号生成部、30 画素、31 受光部、32 画素信号生成部、33 アドレスイベント検出部、40 制御部、41(411,412) 演算回路、42 遅延回路、43 論理積回路、44 マルチプレクサ、51 第1検出部、52 フリッカ判定部、53 第2検出部、54 フリッカ検波部、55 イベントカウンタ、56 シフトレジスタ、57 出力レート変換部、58 画素制御回路、59 カウンタマップ、59a カウンタ、60 メモリ、61 イベント選択部、241 ADC、311 受光素子、314 トランジスタ、314a 第1トランジスタ、314b 第2トランジスタ、333 減算器、334 量子化器、CH1 第1半導体チップ、CH2 第2半導体チップ、CT 電荷転送領域、CT1 第1電荷転送領域、CT2 第2電荷転送領域、FD 電荷蓄積領域、FD1 第1電荷蓄積領域、FD2 第2電荷蓄積領域、S 基板、S1 基板表面、Se1~Se3 選択器
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