(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123897
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】スクイズボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
B65D83/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027360
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】前田 梨香
(72)【発明者】
【氏名】三浦 瑛亮
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC04
3E014PC16
3E014PD15
3E014PF10
(57)【要約】
【課題】吐出量の段階的な大まかな調整と、吐出量の連続した微量の細やかな調整とを両立させ、かつスクイズ部が減圧吸収機能を併せ持つスクイズボトルを提供する。
【解決手段】容器本体23が容器本体内の内容物を分配する分配手段24として、複数のスクイズ部25、26を容器本体の軸心方向で異なる位置に有し、各スクイズ部25、26はスクイズ時に容器本体に加える押し圧力に対する抗力が異なり、押し圧力に伴う容器本体23の変形量に応じて吐出量が変化し、少量スクイズ部25の抗力を大量スクイズ部26の抗力よりも大きく設定して、少量スクイズ部25のスクイズ時に吐出する吐出量が、大量スクイズ部26のスクイズ時に吐出する吐出量より少なくなる分配手段24を構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の容器口部にキャップを有し、
キャップは、容器口部に連通する吐出孔を有し、
容器本体は、容器本体内の内容物を分配する分配手段をなす複数のスクイズ部を有し、複数のスクイズ部を容器本体の軸心方向で異なる位置に配置し、
各スクイズ部は、スクイズ時に容器本体の径方向に加える押し圧力に対する抗力が異なり、押し圧力に伴う容器本体の変形量に応じて吐出量が変化し、
容器本体の軸心方向の一側にある少量スクイズ部の抗力を、他側にある大量スクイズ部の抗力よりも大きく設定して、少量スクイズ部のスクイズ時に吐出する吐出量が、大量スクイズ部のスクイズ時に吐出する吐出量より少なくなる分配手段を構成することを特徴とするスクイズボトル。
【請求項2】
各スクイズ部は、スクイズ時の容器本体の変形量に応じて吐出量が変化する吐出量調整手段をなし、少量スクイズ部は大量スクイズ部の吐出量調整範囲よりも小さい吐出量調整範囲内で稼働する吐出量調整手段をなすことを特徴とする請求項1に記載のスクイズボトル。
【請求項3】
各スクイズ部は、剛性の違いによって異なる抗力を有することを特徴とする請求項1または2に記載のスクイズボトル。
【請求項4】
各スクイズ部は、容器本体の径方向内側に窪むパネルの形状をなし、少量スクイズ部は、大量スクイズ部のパネルに比べて容器本体の軸心方向において短いスパンのパネルからなり、容器本体の軸心方向のスパンの長短によって異なる抗力のパネルを形成することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のスクイズボトル。
【請求項5】
少量スクイズ部のパネルと大量スクイズ部のパネルは、容器本体の径方向内側に向く窪み量が同じであることを特徴とする請求項4に記載のスクイズボトル。
【請求項6】
各スクイズ部は、容器本体の径方向内側に窪むパネルの形状をなし、少量スクイズ部は、大量スクイズ部のパネルより厚肉のパネルからなり、パネルの肉厚の違いにより抗力の異なるパネルを形成することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のスクイズボトル。
【請求項7】
少量スクイズ部のパネルと大量スクイズ部のパネルはパネル面積が相違し、少量スクイズ部は大量スクイズ部のパネル面積より狭いパネル面積を有することを特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載のスクイズボトル。
【請求項8】
容器本体は、各スクイズ部のパネルが容器本体の軸心に対して対称の位置にあり、各パネルが減圧吸収のパネルを兼ねることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のスクイズボトル。
【請求項9】
少量スクイズ部と大量スクイズ部は、容器本体の軸心方向で直列の位置に配置し、または容器本体の軸心周りで異なる位置に配置することを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のスクイズボトル。
【請求項10】
容器本体は、容器本体の軸心方向において少量スクイズ部と大量スクイズ部を隔てる位置に、容器本体の軸心周りに沿って環状をなすリブを有することを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載のスクイズボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の内容物を搾り出すスクイズボトルに関し、吐出量の調整に貢献する技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のボトルには、特許文献1に記載するものがある。これは、ジュース等を充填するための多面パネル型プラスチック容器で、温度変化による変形を防止するものである。このプラスチック容器は、側壁にスクイズ可能なパネルと真空パネルを形成している。スクイズ可能なパネルは、容器の軸心を介して対称位置の2面に形成したもので、湾曲面から成る凹部を有している。真空パネルは、容器の軸心を介して対称位置の2面に形成したもので、柔軟性のあるパネルであり、温度変化に対して対応し、容器の捩れ等の発生を防止する構造となっている。
【0003】
特許文献2に記載するものは、容器本体をスクイズ変形させて吐出口から内容液を所定量吐出させる定量吐出スクイズ容器である。容器本体には、スクイズ操作を行うスクイズ操作部が少なくとも2箇所に設けられている。スクイズ操作部は、圧搾面部と圧搾支持部からなる。容器本体の横断面形状において、圧搾面部は山形状断面なし、一対の斜面部が鈍角の交差角度で交差して配置されている。圧搾支持部は、円弧断面形状部分を含み、円弧断面形状部分が圧搾面部の山形状断面の裾部と稜線部を介して一体として接合されている。
【0004】
スクイズ操作部は、圧搾面部の頂部を圧搾した際に、圧搾面部の一対の斜面部が交差角度を拡げるように変形しながら、両側の山形状断面の裾部の間隔を圧搾支持部の稜線部において押し拡げる。さらに、押し拡げる力が無くなるまで斜面部が変形した後、圧搾面部は谷形状に反転しないように規制される。このため、スクイズ操作による容器本体のスクイズ変形量にバラツキが生じない定量吐出スクイズ容器となっている。また、2箇所のスクイズ操作部は、スクイズ操作によるスクイズ変形量が異なる変形量となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US2007/0090083
【特許文献2】特許第5624838
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のスクイズボトルでは、スクイズ時に加える押し圧力を加減することで、少量の吐出と大量の吐出を使い分けており、使用者による力加減の調整に依拠して吐出量の調整を行っている。吐出量が少量から大量まで連続的に変化するので、使用者が意図する吐出量に正確に調整することが難しかった。
【0007】
また、少なくとも二か所にスクイズ操作部を設け、スクイズ操作による容器本体のスクイズ変形量にバラツキが生じない定量吐出スクイズ容器では、吐出量が段階的に変化し、吐出量の微調整が困難であった。
【0008】
さらに、スクイズボトルにおいて、使用時の内容物の吐出に最適なスクイズ性と製造時の内容物の充填に必要な減圧強度とは相反する関係にある。スクイズ性を優先すると減圧強度が小さくなり、内容物を熱充填すると減圧変形が発生し易くなる。このため、内容物の充填温度に制限が生じる問題があった。
【0009】
また、内容物の熱充填に起因する減圧変形を防止する手段として減圧吸収パネルを設ける場合には、容器側面の限られた面積内にスクイズ部とは別途に減圧吸収パネルを配置するので、スクイズ部に必要とする面積を確保することと、減圧吸収パネルに必要とする面積を確保することとが相反する関係となり、設計上の制約要件となる問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するものであり、吐出量の段階的な大まかな調整と、吐出量の連続した微量の細やかな調整とを両立させ、かつスクイズ部が減圧吸収機能を併せ持つスクイズボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るスクイズボトルは、容器本体の容器口部にキャップを有し、キャップは、容器口部に連通する吐出孔を有し、容器本体は、容器本体内の内容物を分配する分配手段をなす複数のスクイズ部を有し、複数のスクイズ部を容器本体の軸心方向で異なる位置に配置し、各スクイズ部は、スクイズ時に容器本体の径方向に加える押し圧力に対する抗力が異なり、押し圧力に伴う容器本体の変形量に応じて吐出量が変化し、容器本体の軸心方向の一側にある少量スクイズ部の抗力を、他側にある大量スクイズ部の抗力よりも大きく設定して、少量スクイズ部のスクイズ時に吐出する吐出量が、大量スクイズ部のスクイズ時に吐出する吐出量より少なくなる分配手段を構成することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るスクイズボトルにおいて、各スクイズ部は、スクイズ時の容器本体の変形量に応じて吐出量が変化する吐出量調整手段をなし、少量スクイズ部は大量スクイズ部の吐出量調整範囲よりも小さい吐出量調整範囲内で稼働する吐出量調整手段をなすことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るスクイズボトルにおいて、各スクイズ部は、剛性の違いによって異なる抗力を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るスクイズボトルにおいて、各スクイズ部は、容器本体の径方向内側に窪むパネルの形状をなし、少量スクイズ部は、大量スクイズ部のパネルに比べて容器本体の軸心方向において短いスパンのパネルからなり、容器本体の軸心方向のスパンの長短によって異なる抗力のパネルを形成することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るスクイズボトルにおいて、少量スクイズ部のパネルと大量スクイズ部のパネルは、容器本体の径方向内側に向く窪み量が同じであることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るスクイズボトルにおいて、各スクイズ部は、容器本体の径方向内側に窪むパネルの形状をなし、少量スクイズ部は、大量スクイズ部のパネルより厚肉のパネルからなり、パネルの肉厚の違いにより抗力の異なるパネルを形成することを特徴とする。
【0017】
本発明に係るスクイズボトルにおいて、少量スクイズ部のパネルと大量スクイズ部のパネルはパネル面積が相違し、少量スクイズ部は大量スクイズ部のパネル面積より狭いパネル面積を有することを特徴とする。
【0018】
本発明に係るスクイズボトルにおいて、容器本体は、各スクイズ部のパネルが容器本体の軸心に対して対称の位置にあり、各パネルが減圧吸収のパネルを兼ねることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るスクイズボトルにおいて、少量スクイズ部と大量スクイズ部は、容器本体の軸心方向で直列の位置に配置し、または容器本体の軸心周りで異なる位置に配置することを特徴とする。
【0020】
本発明に係るスクイズボトルにおいて、容器本体は、容器本体の軸心方向において少量スクイズ部と大量スクイズ部を隔てる位置に、容器本体の軸心周りに沿って環状をなすリブを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
上記の構成により、少量スクイズ部の抗力が大量スクイズ部の抗力よりも大きく、少量スクイズ部のスクイズ時に吐出する吐出量が、大量スクイズ部のスクイズ時に吐出する吐出量より少なくなる分配手段を備え、かつ各スクイズ部は、容器本体の変形量に応じて吐出量が変化するので、吐出量の段階的な大まかな調整と、吐出量の連続した微量の細やかな調整とが両立できる。
【0022】
すなわち、使用者の力加減に依らずとも、スクイズ部を選択することで、吐出量が用途に応じて段階的に変化し、かつ少量スクイズ部、大量スクイズ部の何れにおいても吐出量が連続的に変化するので、使用者が意図する吐出量に容易に調整することができ、さらに、少量スクイズ部が大量スクイズ部の吐出量調整範囲よりも小さい吐出量調整範囲内で稼働する吐出量調整手段をなすことで、精度の高い微量な吐出量の調整が可能となる。
【0023】
また、各スクイズ部のパネルが容器本体の軸心に対して対称の位置にあり、各パネルが減圧吸収のパネルを兼ねることで、スクイズ部が減圧吸収機能を併せ持つスクイズボトルを実現できる。
【0024】
よって、スクイズボトルにおいて、内容物の熱充填に起因する減圧変形を防止するのに必要な減圧強度と最適なスクイズ性とを同時に実現でき、設計上の制約要件を緩和できる。
【0025】
また、容器本体が少量スクイズ部と大量スクイズ部を隔てる環状のリブを有することで、一方のスクイズ部のスクイズ時に生じる容器の変形が他方のスクイズ部に及ぶことを抑制でき、各スクイズ部における容器の変形の独立性が向上し、各スクイズ部による吐出量の調整の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施の形態に係るスクイズボトルの容器本体とキャップを示す斜め上方視の斜視図
【
図2】同実施の形態に係る開栓状態のスクイズボトルを示し、斜め上方視の斜視図
【
図3】同実施の形態に係る閉栓状態のスクイズボトルを示し、斜め上方視の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るスクイズボトルの実施の形態を
図1から
図5を参照して説明する。
図1から
図5において、ヒンジキャップ1は、容器2の口部21に装着するキャップ本体3と、センターヒンジ4およびサイドヒンジ5を介してキャップ本体3と一体をなす上蓋部6を一体的に射出成形している。
【0028】
キャップ本体3は、容器2の口部21を容器の軸心周りに囲む本体部7と、口部21の開口22を覆う天面部8を有している。天面部8は筒状の吐出部9を有し、吐出部9はキャップ本体3の内外を連通する吐出孔10を有している。また、吐出部9は吐出孔10の開口縁にキャップ本体3の軸心周りに環状をなす水切り11を有している。
【0029】
上蓋部6は、外周面に上蓋部6の半径方向外側に延びる鍔部12を有し、鍔部12は上蓋部6の半径方向においてセンターヒンジ4に対向する部位にある。また、上蓋部6は、内側面に吐出部9の吐出孔10に挿し込む栓体13を有している。
【0030】
キャップ本体3は、上蓋部6の鍔部12に対応する位置の外周面に指掛け用の窪み部14を有している。
【0031】
容器2の容器本体23は、容器本体23の内部の内容物を分配する分配手段24を有している。分配手段24は複数のスクイズ部25、26を有し、ここでは少量スクイズ部25、大量スクイズ部26の2つを例示するが、3つ以上のスクイズ部であってもよい。
【0032】
少量スクイズ部25、大量スクイズ部26は、容器本体23の軸心方向で異なる位置に配置しており、ここでは少量スクイズ部25を容器本体23の一側の口部21に近い側に、大量スクイズ部26を容器本体23の他側の底部に近い側に配置している。
【0033】
容器本体23は、容器本体23の軸心方向において少量スクイズ部25と大量スクイズ部25を隔てる位置に、容器本体23の軸心周りに沿って環状のリブ27を有しており、リブ27は容器本体23の径方向内側に窪んだ溝によって形成している。
【0034】
各スクイズ部25、26は、スクイズ時に使用者の指で容器本体23の径方向に加える押し圧力に対する抗力が異なり、各スクイズ部25、26のそれぞれが押し圧力に伴う容器本体23の変形量に応じて吐出量が変化する吐出量調整手段をなす。各スクイズ部25、26は、ここでは、剛性の違いによって異なる抗力を形成している。
【0035】
すなわち、容器本体23の軸心方向の一側にある少量スクイズ部25の抗力を、他側にある大量スクイズ部26の抗力よりも大きく設定しており、少量スクイズ部25のスクイズ時に吐出する吐出量が、大量スクイズ部26のスクイズ時に吐出する吐出量より少なくなる分配手段24を構成している。
【0036】
各スクイズ部25、26は、スクイズ時の容器本体23の変形量に応じて吐出量が変化する吐出量調整手段をなし、少量スクイズ部25は大量スクイズ部26の吐出量調整範囲よりも小さい吐出量調整範囲内で稼働する吐出量調整手段をなす。
【0037】
各スクイズ部25、26は、容器本体23の径方向内側に窪むパネル25a、26aの形状をなし、少量スクイズ部25は、容器本体23の軸心方向において大量スクイズ部26のパネル26aのスパンS1に比べて短いスパンS2のパネル25aからなり、容器本体23の軸心方向のスパンS1、S2の長短によって異なる剛性のパネル25a、26aを形成している。本実施の形態では、少量スクイズ部25のパネル25aと大量スクイズ部26のパネル26aは、容器本体23の径方向内側に向く窪み量Lが同じである。
【0038】
また、少量スクイズ部25のパネル25aの肉厚を、大量スクイズ部26のパネル26aの肉厚より大きくして、パネル25a、26aの肉厚の違いにより剛性の異なるパネル25a、26aを形成することも可能である。
【0039】
さらに、各スクイズ部25、26のスクイズ性を決める他の要因には、容器本体23の径方向におけるパネル25a、26aの長さがあり、ここでは、両者の長さの調整によりスクイズ性に差を設けている。
【0040】
すなわち、少量スクイズ部25のパネル25aと大量スクイズ部26のパネル26aはパネル面積が相違し、少量スクイズ部25は大量スクイズ部26のパネル面積より狭いパネル面積を有し、面積差によってスクイズ性の差を実現することも可能であり、大量スクイズ部26が広い面積を有することで、少ない押し圧力でスクイズすることが可能となり、大量吐出と少量吐出が実現できる。
【0041】
また、容器本体23は、各スクイズ部25、26のパネル25a、26aを容器本体23の軸心に対して対称の位置に有しており、各パネル25a、26aが減圧吸収のパネルを兼ねている。
【0042】
本実施の形態のスクイズボトルでは、少量スクイズ部25と大量スクイズ部26を、容器本体23の軸心方向で直列の位置に配置しているが、両者を容器本体23の軸心周りで異なる位置、例えば90度ねじれた位置に配置することも可能である。
【0043】
以下に上記の構成における作用を説明する。本実施の形態に係るスクイズボトルでは、内容物を吐出させるスクイズ時に、各スクイズ部25、26に使用者の指で容器本体23の径方向に押し圧力を加えて容器本体23を圧搾し、内容物を吐出孔10から吐出する。使用者は少量吐出を意図する場合には、少量スクイズ部25を選択し、大量吐出を意図する場合には、大量スクイズ部26を選択する。
【0044】
本実施の形態のスクイズボトルが備える分配手段24は、少量スクイズ部25の抗力が大量スクイズ部26の抗力よりも大きく、少量スクイズ部25のスクイズ時に吐出する吐出量が、大量スクイズ部26のスクイズ時に吐出する吐出量より少なくなる分配機能を発揮する。また、各スクイズ部25、26は、容器本体23の変形量に応じて吐出量が変化するので、吐出量の段階的な大まかな調整と、吐出量の連続した微量の細やかな調整とが両立できる。
【0045】
すなわち、使用者の力加減に依らずとも、スクイズ部25、26を選択することで、吐出量が用途に応じて段階的に変化し、ここでは、大量吐出は少量吐出に比べて2-5倍の吐出量となっている。この吐出量の差の調整は、抗力の差の調整によって制御することができ、すなわち剛性の差、肉厚分布、面積差等を調整することで実現できる。
【0046】
しかも、少量スクイズ部25、大量スクイズ部26の何れにおいても吐出量が連続的に変化するので、使用者が意図する吐出量に容易に調整することができる。さらに、少量スクイズ部25が大量スクイズ部26の吐出量調整範囲よりも小さい吐出量調整範囲内で稼働する吐出量調整手段をなすので、精度の高い微量な吐出量の調整が可能となる。
【0047】
また、各スクイズ部25、26のパネル25a、26aが容器本体23の軸心に対して対称の位置にあり、各パネル25a、26aが減圧吸収のパネルを兼ねることで、スクイズ部25、26が減圧吸収機能を併せ持つスクイズボトルを実現できる。
【0048】
すなわち、熱充填した内容物の温度降下の際に生じる減圧変形を各パネル25a、26aにおいて吸収し、開栓時に容器本体23の内部の負圧を解消することで各パネル25a、26aが復元する。
【0049】
よって、スクイズボトルにおいて、内容物の熱充填に起因する減圧変形を防止するのに必要な減圧強度と最適なスクイズ性とを同時に実現でき、設計上の制約要件を緩和できる。
【0050】
また、容器本体23が少量スクイズ部25と大量スクイズ部26を隔てる環状のリブ27を有することで、一方の例えば少量スクイズ部25のスクイズ時に生じる容器本体23の変形が他方の大量スクイズ部26に及ぶことを抑制でき、各スクイズ部25、26における容器本体23の変形の独立性が向上し、各スクイズ部25、26による吐出量の調整の精度が向上する。
【符号の説明】
【0051】
1 キャップ
2 容器
3 キャップ本体
4 センターヒンジ
5 サイドヒンジ
6 上蓋部
7 本体部
8 天面部
9 吐出部
10 吐出孔
11 水切り
12 鍔部
13 栓体
14 窪み部
21 口部
22 開口
23 容器本体
24 分配手段
25 少量スクイズ部
26 大量スクイズ部
25a、26a パネル
27 リブ
S1、S2 スパン