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特開2023-123906車両検知器、車両検知器の調整方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123906
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】車両検知器、車両検知器の調整方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/04 20060101AFI20230830BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20230830BHJP
【FI】
G08G1/04 A
G07B15/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027377
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】上岡 進治
【テーマコード(参考)】
3E127
5H181
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127BA38
3E127CA16
3E127FA18
3E127FA25
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC02
5H181CC07
5H181DD02
(57)【要約】
【課題】投光器および受光器の光軸が最適な向きとなるように自動的に調整することができる車両検知器を提供する。
【解決手段】車両検知器は、検査光を投光する投光器を有する投光器ユニットと、前記投光器と車線を挟んで対向し、前記検査光を受光する受光器を有する受光器ユニットと、前記受光器による前記検査光の受光状態を計測する計測部と、前記投光器ユニットおよび前記受光器ユニットの一方である第1ユニットを車線幅方向に傾斜させる第1駆動部と、前記第1駆動部が前記第1ユニットの傾斜角度を第1角度から第2角度まで変更する間に前記計測部が計測した前記受光器の受光状態から、前記受光器の前記検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも当該範囲の中央に近い傾斜角度を、前記第1ユニットの通常運転モード時の傾斜角度として決定する決定部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる第1支持部材の車線を向く側に固定され、検査光を投光する投光器を有する投光器ユニットと、
前記投光器と車線を挟んで対向する受光器であって、上下方向に延びる第2支持部材の前記車線を向く側に固定され、前記検査光を受光する受光器を有する受光器ユニットと、
前記受光器による前記検査光の受光状態を計測する計測部と、
前記投光器ユニットおよび前記受光器ユニットの一方である第1ユニットを車線幅方向に傾斜させる第1駆動部と、
前記第1駆動部が前記第1ユニットの傾斜角度を第1角度から第2角度まで変更する間に前記計測部が計測した前記受光器の受光状態から、前記受光器の前記検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも当該範囲の中央に近い傾斜角度を、前記第1ユニットの通常運転モード時の傾斜角度として決定する決定部と、
を備える車両検知器。
【請求項2】
前記投光器ユニットおよび前記受光器ユニットの他方である第2ユニットを前記車線の幅方向に傾斜させる第2駆動部をさらに備え、
前記決定部は、前記第1ユニットを決定した前記通常運転モード時の傾斜角度に固定した状態で、前記第2駆動部が前記第2ユニットの傾斜角度を第3角度から第4角度まで変更する間に前記計測部が計測した受光状態から、前記受光器の前記検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも当該範囲の中央に近い傾斜角度を、前記第2ユニットの通常運転モード時の傾斜角度として決定する、
請求項1に記載の車両検知器。
【請求項3】
前記決定部は、前記受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち前記受光量が最大となる傾斜角度を、前記通常運転モード時の傾斜角度として決定する、
請求項1または2に記載の車両検知器。
【請求項4】
前記決定部は、前記受光量が最大値となる傾斜角度を、前記通常運転モード時の傾斜角度として決定する、
請求項1または2に記載の車両検知器。
【請求項5】
第1の調整モードおよび第2の調整モードのいずれかの選択を受け付ける動作モード受付部をさらに備え、
前記決定部は、
前記第1の調整モードの選択を受け付けた場合に、前記受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち前記受光量が最大となる傾斜角度を、前記通常運転モード時の傾斜角度として決定し、
前記第2の調整モードの選択を受け付けた場合に、前記受光量が最大となる傾斜角度から所定量オフセットした傾斜角度を、前記通常運転モード時の傾斜角度として決定する、
請求項1または2に記載の車両検知器。
【請求項6】
第1の調整モードおよび第2の調整モードのいずれかの選択を受け付ける動作モード受付部をさらに備え、
前記決定部は、
前記第1の調整モードの選択を受け付けた場合に、前記受光量が最大値となる傾斜角度を、前記通常運転モード時の傾斜角度として決定し、
前記第2の調整モードの選択を受け付けた場合に、前記受光量が最大値となる傾斜角度から所定量オフセットした傾斜角度を、前記通常運転モード時の傾斜角度として決定する、
請求項1または2に記載の車両検知器。
【請求項7】
上下方向に延びる第1支持部材の車線を向く側に固定され、検査光を投光する投光器を有する投光器ユニットと、
前記投光器と車線を挟んで対向する受光器であって、上下方向に延びる第2支持部材の前記車線を向く側に固定され、前記検査光を受光する受光器を有する受光器ユニットと、
前記投光器ユニットおよび前記受光器ユニットの一方である第1ユニットを車線幅方向に傾斜させる第1駆動部と、
を備える車両検知器の調整方法であって、
前記受光器による前記検査光の受光状態を計測するステップと、
前記第1駆動部が前記第1ユニットの傾斜角度を第1角度から第2角度まで変更する間に計測した前記受光器の受光状態から、前記受光器の前記検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも当該範囲の中央に近い傾斜角度を、前記第1ユニットの通常運転モード時の傾斜角度として決定するステップと、
を有する車両検知器の調整方法。
【請求項8】
上下方向に延びる第1支持部材の車線を向く側に固定され、検査光を投光する投光器を有する投光器ユニットと、
前記投光器と車線を挟んで対向する受光器であって、上下方向に延びる第2支持部材の前記車線を向く側に固定され、前記検査光を受光する受光器を有する受光器ユニットと、
前記投光器ユニットおよび前記受光器ユニットの一方である第1ユニットを車線幅方向に傾斜させる第1駆動部と、
を備える車両検知器に、
前記受光器による前記検査光の受光状態を計測するステップと、
前記第1駆動部が前記第1ユニットの傾斜角度を第1角度から第2角度まで変更する間に計測した前記受光器の受光状態から、前記受光器の前記検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも当該範囲の中央に近い傾斜角度を、前記第1ユニットの通常運転モード時の傾斜角度として決定するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両検知器、車両検知器の調整方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所には、料金所に進入してきた車両の存在を検知する車両検知器が設けられている場合がある。車両検知器として、例えば、車線を挟んで互いに対応する投光塔および受光塔からなる透過型車両検知器が用いられている。投光塔は、上下方向に並べて配置された複数の投光器を備え、また、受光塔は、上下方向に並べて配置された複数の受光器を備えている。各投光器は、各受光器に向けて光を投光し、受光器は投光器から到来する光を検知する。投光器と受光器との間に車両が存在する場合、投光器が投光する光が車両によって遮蔽され、受光器にて検知されなくなる。車両検知器は、このような仕組みにより、車線上における車両の存在の有無を検知可能とする。
【0003】
このような車両検知器は、各投光器から投光される光が各受光器にて正しく検知されるように、互いの光軸を略一致させる必要がある。例えば、特許文献1には、作業者が投光器から投光された光が受光器で受光されているか否かを報知可能な報知表示器(発光装置)を確認しながら、投光塔および受光塔の設置位置および向きを調整する手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-9058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
投光器および受光器の光軸の上下方向のずれが許容範囲内であれば、受光器は投光器の光を受光可能である。しかしながら、光軸のずれが大きい(許容範囲の上限または下限に近い)と、車両検知器の運用時の泥水や汚れの付着などの外的要因に対する余裕度が小さくなり、動作不良(誤検知)が生じやすくなってしまう可能性がある。このため、投光器および受光器の光軸の向きを、外的要因に対する余裕度が最大となるように合わせる必要がある。
【0006】
従来技術では、受光器が受光したことのみを確認して光軸の調整を行っているので、作業者が外的要因に対する余裕度の大小を知る方法がなかった。このため、調整を行う作業者の技量によっては、光軸を余裕度が最大となる向きに調整することが困難であった。
【0007】
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであって、投光器および受光器の光軸が最適な向きとなるように自動的に調整することができる車両検知器、車両検知器の調整方法、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様によれば、車両検知器は、上下方向に延びる第1支持部材の車線を向く側に固定され、検査光を投光する投光器を有する投光器ユニットと、前記投光器と車線を挟んで対向する受光器であって、上下方向に延びる第2支持部材の前記車線を向く側に固定され、前記検査光を受光する受光器を有する受光器ユニットと、前記受光器による前記検査光の受光状態を計測する計測部と、前記投光器ユニットおよび前記受光器ユニットの一方である第1ユニットを車線幅方向に傾斜させる第1駆動部と、前記第1駆動部が前記第1ユニットの傾斜角度を第1角度から第2角度まで変更する間に前記計測部が計測した前記受光器の受光状態から、前記受光器の前記検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも当該範囲の中央に近い傾斜角度を、前記第1ユニットの通常運転モード時の傾斜角度として決定する決定部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様によれば、車両検知器の調整方法は、上下方向に延びる第1支持部材の車線を向く側に固定され、検査光を投光する投光器を有する投光器ユニットと、前記投光器と車線を挟んで対向する受光器であって、上下方向に延びる第2支持部材の前記車線を向く側に固定され、前記検査光を受光する受光器を有する受光器ユニットと、前記投光器ユニットおよび前記受光器ユニットの一方である第1ユニットを車線幅方向に傾斜させる第1駆動部と、を備える車両検知器の調整方法であって、前記受光器による前記検査光の受光状態を計測するステップと、前記第1駆動部が前記第1ユニットの傾斜角度を第1角度から第2角度まで変更する間に計測した前記受光器の受光状態から、前記受光器の前記検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも当該範囲の中央に近い傾斜角度を、前記第1ユニットの通常運転モード時の傾斜角度として決定するステップと、を有する。
【0010】
本開示の一態様によれば、プログラムは、上下方向に延びる第1支持部材の車線を向く側に固定され、検査光を投光する投光器を有する投光器ユニットと、前記投光器と車線を挟んで対向する受光器であって、上下方向に延びる第2支持部材の前記車線を向く側に固定され、前記検査光を受光する受光器を有する受光器ユニットと、前記投光器ユニットおよび前記受光器ユニットの一方である第1ユニットを車線幅方向に傾斜させる第1駆動部と、を備える車両検知器に、前記受光器による前記検査光の受光状態を計測するステップと、前記第1駆動部が前記第1ユニットの傾斜角度を第1角度から第2角度まで変更する間に計測した前記受光器の受光状態から、前記受光器の前記検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも当該範囲の中央に近い傾斜角度を、前記第1ユニットの通常運転モード時の傾斜角度として決定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る車両検知器、車両検知器の調整方法、およびプログラムによれば、投光器および受光器の光軸が最適な向きとなるように自動的に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る料金所の全体構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る車両検知器の構造を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る投光器ユニットおよび受光器ユニットの模式図である。
図4】第1の実施形態に係る車両検知器の機能構成を示すブロック図である。
図5】第1の実施形態に係る車両検知器の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図6】第1の実施形態に係る車両検知器の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
図7】第1の実施形態に係る計測部の計測結果の一例を示す図である。
図8】第2の実施形態に係る計測部の計測結果の一例を示す図である。
図9】第3の実施形態に係る車両検知器の処理の一例を示すフローチャートである。
図10】第3の実施形態に係る計測部の計測結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
以下、本開示の第1の実施形態に係る車両検知器について、図1図7を参照しながら説明する。
【0014】
(料金所の全体構成)
図1は、本開示の第1の実施形態に係る料金所の全体構成を示す図である。
図1に示すように、有料道路の料金所には、料金収受設備1が設けられている。この料金収受設備1は、例えば、有料道路の入口料金所、出口料金所等に設けられる。本実施形態では、料金収受設備1が出口料金所に設けられる例について説明する。
【0015】
有料道路の利用者が搭乗する車両Aは、有料道路側から一般道路側へと通じる車線Lを走行する。車線Lの幅方向両側には、右側アイランドIR及び左側アイランドILが敷設されている。料金収受設備1を構成する各種装置は、右側アイランドIR、左側アイランドIL上に設置されている。本実施形態においては、車線Lの幅方向右側(-Y方向側)に右側アイランドIRが設けられ、車線Lの幅方向左側(+Y方向側)に左側アイランドILが設けられている。
【0016】
本実施形態における右側アイランドIRおよび左側アイランドILは、車線Lを挟んでそれぞれ対称に形成され、車線Lに沿って延びている場合を例示している。
【0017】
料金収受設備1は、車両Aに搭乗する利用者に対して無線通信に基づく料金収受処理を行う。図1に示すように、料金収受設備1は、進入側車両検知器10と、通信停止用車両検知器20と、通信アンテナ30とを備えている。
【0018】
進入側車両検知器10は、車線Lを車線幅方向(±Y方向)に挟んで対向する投光塔11及び受光塔12を備えている。また、通信停止用車両検知器20は、車線Lを車線幅方向(±Y方向)に挟んで対向する投光塔21及び受光塔22を備えている。
【0019】
進入側車両検知器10及び通信停止用車両検知器20は、それぞれの設置位置における車両Aの存在を検知可能とする。本実施形態に係る料金収受設備1では、例えば、進入側車両検知器10が車両Aの進入を検知すると、通信アンテナ30から電波が発信され、車両Aに搭載された車載器との間で料金収受処理(無線通信)が開始される。また、通信停止用車両検知器20が車両Aの“車尾抜け”(車両Aの後端部が通信停止用車両検知器20の設置位置を通り過ぎること)を検知すると、通信アンテナ30から発信されていた電波が停止するように制御される。
【0020】
このように、料金収受設備1は、進入側車両検知器10及び通信停止用車両検知器20による車両の検知結果に応じて各種装置の動作を適切に制御する。
【0021】
(車両検知器の構造)
次に、料金収受設備1が具備する各車両検知器(進入側車両検知器10、通信停止用車両検知器20)の構造について詳しく説明する。なお、以下の説明では、進入側車両検知器10を例に説明するが、通信停止用車両検知器20及び図示しない他の車両検知器についても同様に適用される。なお、以降の説明において、進入側車両検知器10を単に「車両検知器」とも記載する。
【0022】
図2は、第1の実施形態に係る車両検知器の構造を示す図である。
図2は、車両検知器10の構造を模式的に示している。以下、図2を参照しながら、車両検知器10の構造について詳しく説明する。
【0023】
まず、投光塔11の構造について詳しく説明する。
【0024】
投光塔11は、投光器ユニット110と、筐体111と、駆動部112と、制御部113とを備えている。
【0025】
投光器ユニット110は、投光器110aおよび支持部材110bからなる。投光器110aは、例えば赤外線LED(Light Emitting Diode)等の発光素子と、当該発光素子からの光(検査光)の拡散を抑えるレンズ等とを含む。この構成により、投光器110aは、その光軸Eの方向に最も大きい光量を出射するような指向性を有する。支持部材110bは、上下方向(±Z方向)に延びる板状または柱状の部材である。支持部材110bの車線Lを向く面(-Y方向側の面)には、投光器110aが固定される。
【0026】
本実施形態に係る投光器ユニット110は、図2に示すように複数の投光器110aを有する。複数の投光器110aは、上下方向(±Z方向)に一列に並べて配置されている。複数の投光器110aは、いずれも、受光塔12が設置されている方向(-Y方向)に光軸Eが向くように、即ち、受光器120aが設置されている方向に最も大きい光量が出射されるように、支持部材110bに固定されている。各投光器110aは、それぞれの光軸Eが互いに平行となるように取り付けられている。
【0027】
筐体111は、投光器ユニット110、駆動部112、および制御部113を覆うように形成されている。筐体111の車線Lを向く面には、各投光器110aによって投光される検査光が筐体111の内部から外部へと光軸Eに沿う方向に進行可能なように開口部111aが設けられている。なお、外部から筐体111の内部への雨水等の浸入を抑制するため、各開口部111aは透明な板によって遮蔽されている。
【0028】
駆動部112は、投光器ユニット110を車線幅方向(±Y方向)に傾斜させる。
【0029】
図3は、第1の実施形態に係る投光器ユニットおよび受光器ユニットの模式図である。
図3に示すように、本実施形態に係る駆動部112は、投光器ユニット110の上下方向の略中央に設けられたモータである。駆動部112は、回転軸112a回りに投光器ユニット110を回転させることにより、投光器110aの光軸Eが上方向(+Z方向)または下方向(-Z方向)を向くように投光器ユニット110を傾斜させる。
【0030】
図3に示すように、投光器ユニット110は、各投光器110aが垂直に並ぶ位置P5をデフォルト位置とする。また、デフォルト位置P5における投光器ユニット110の傾斜角度を0度とする。投光器ユニット110は、車線Lの幅方向左側(+Y方向側)に角度θ1(例えば、-10度)傾けた第1位置P1まで、幅方向右側(-Y方向側)に角度θ2(例えば、+10度)傾けた第2位置P2まで、傾斜可能となっている。第1位置P1は、投光器110aの光軸Eを上側に向けるときの上方向限度位置である。第2位置P2は、投光器110aの光軸Eを下側に向けるときの下方向限度位置である。
【0031】
角度θ1および角度θ2の値は、投光器ユニット110が筐体111内の他の機器に干渉することがないように、または、投光器110aの光軸Eが筐体111に遮られることがないように、筐体111内の寸法、機器配置などに応じて設定される。
【0032】
制御部113は、投光塔11の動作を制御するコンピュータである。制御部113の機能構成の詳細については後述する。
【0033】
次に、受光塔12の構造について詳しく説明する。
【0034】
図2に示すように、受光塔12は、受光器ユニット120と、筐体121と、駆動部122と、制御部123とを備えている。
【0035】
受光器ユニット120は、受光器120aおよび支持部材120bからなる。受光器120aは、例えば赤外線受光PD(Photo Diode)等の受光素子と、当該受光素子へ光(検査光)を集光させるレンズ等とを含む。この構成により、受光器120aは、その光軸Rの方向から最も大きい光量を入射するような指向性を有する。支持部材120bは、上下方向(±Z方向)に延びる板状または柱状の部材である。支持部材120bの車線Lを向く面(+Y方向側の面)には、受光器120aが固定される。
【0036】
本実施形態に係る受光器ユニット120は、図2に示すように複数の受光器120aを有する。複数の受光器120aは、上下方向(±Z方向)に一列に並べて配置される。複数の受光器120aは、いずれも、投光塔11が設置されている方向(+Y方向)から光を入射可能なように、支持部材120bに固定されている。各受光器120aは、それぞれの光軸Rが互いに平行となるように取り付けられている。各受光器120aは、投光塔11の各投光器110aと対向するように配置され、各投光器110aが投光する光(検査光)を受光する。
【0037】
筐体121は、受光器ユニット120、駆動部122、および制御部123を覆うように形成されている。筐体121には、各投光器110aによって投光される検査光が筐体121の外部から内部へと進行可能なように開口部121aが設けられている。なお、外部から筐体121の内部への雨水等の浸入を抑制するため、各開口部121aは透明な板によって遮蔽されている。
【0038】
駆動部122は、受光器ユニット120を車線幅方向(±Y方向)に傾斜させる。
【0039】
図3に示すように、駆動部122は、受光器ユニット120の上下方向の略中央に設けられたモータである。駆動部122は、回転軸122a回りに受光器ユニット120を回転させることにより、受光器120aの光軸Rが上方向(+Z方向)または下方向(-Z方向)を向くように受光器ユニット120を傾斜させる。
【0040】
図3に示すように、受光器ユニット120は、各受光器120aが垂直に並ぶ位置P6をデフォルト位置とする。また、デフォルト位置P6における受光器ユニット120の傾斜角度を0度とする。受光器ユニット120は、車線Lの幅方向右側(-Y方向側)に角度θ3(例えば、-10度)傾けた第3位置P3まで、幅方向左側(+Y方向側)に角度θ4(例えば、+10度)傾けた第4位置P4まで、傾斜可能となっている。第3位置P3は、受光器120aの光軸Rを上側に向けるときの上方向限度位置である。第4位置P4は、受光器120aの光軸Rを下側に向けるときの下方向限度位置である。
【0041】
角度θ3および角度θ4の値は、受光器ユニット120が筐体121内の他の機器に干渉することがないように、または、受光器120aの光軸Rが筐体121に遮られることがないように、筐体121内の寸法、機器配置などに応じて設定される。
【0042】
なお、投光塔11の駆動部112を設ける位置は、図3に例示する位置に限られることはない。例えば、駆動部112は、投光器ユニット110の下端部(-Z側端部)、上端部(+Z側端部)等の部位に設けられていてもよい。受光塔12の駆動部122についても同様である。
【0043】
また、投光塔11の駆動部112は、モータが故障した場合等に備えて、作業者が手動で投光器ユニット110の傾斜角度を変更可能なハンドル機構をさらに有していてもよい。受光塔12の駆動部122についても同様である。
【0044】
制御部123は、受光塔12の動作を制御するコンピュータである。制御部123の機能構成の詳細については後述する。
【0045】
(車両検知器の機能構成)
図4は、第1の実施形態に係る車両検知器の機能構成を示すブロック図である。
まず、図4を参照しながら、投光塔11の制御部113の機能構成について説明する。図4に示すように、制御部113は、プロセッサ113Aと、メモリ113Bと、ストレージ113Cと、インタフェース113Dとを有している。
【0046】
プロセッサ113Aは、所定のプログラムに従って動作することにより、動作モード受付部1130、角度制御部1131、および発光制御部1132としての機能を発揮する。
【0047】
動作モード受付部1130は、「通常運転モード」と「調整モード」とのうちの一方の選択を受け付ける。
【0048】
角度制御部1131は、調整モードにおいて、投光器ユニット110の傾斜角度を、角度θ1から角度θ2まで一定の速度で連続的に変更するように、駆動部112を制御する。
【0049】
発光制御部1132は、各投光器110aによる投光の開始および停止を制御する。調整モードにおいて、発光制御部1132は、駆動部112が投光器ユニット110の傾斜角度を変更している間、投光器110aが検査光を投光するように制御する。
【0050】
なお、プロセッサ113Aが実行する所定のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶される。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。さらに、このプログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0051】
メモリ113Bは、プロセッサ113Aの動作に必要なメモリ領域を有する。
【0052】
ストレージ113Cは、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。
【0053】
インタフェース113Dは、受光塔12の制御部123、および保守用コンピュータ50と情報の送受信を行うためのインタフェースである。
【0054】
次に、図4を参照しながら、受光塔12の制御部123の機能構成について説明する。図4に示すように、制御部123は、プロセッサ123Aと、メモリ123Bと、ストレージ123Cと、インタフェース123Dとを有している。
【0055】
プロセッサ123Aは、所定のプログラムに従って動作することにより、動作モード受付部1230、角度制御部1231、決定部1232、および計測部1233としての機能を発揮する。
【0056】
動作モード受付部1230は、作業者から、「通常運転モード」と「調整モード」とのうちの一方の選択を受け付ける。例えば、作業者は、車両検知器10の光軸調整を行うとき、保守用コンピュータ50を受光塔12の制御部123と接続して、保守用コンピュータ50を介して「調整モード」を選択する操作を行う。また、光軸調整が完了すると、作業者は、保守用コンピュータ50を介して「通常運転モード」を選択する操作を行う。保守用コンピュータ50は、作業者の操作に応じて、何れかのモードを指定する信号を制御部123に送信する。制御部123の動作モード受付部1230は、保守用コンピュータ50から受信した信号に基づいて、受光塔12のモードを切り替える。
【0057】
また、受光塔12の動作モード受付部1230は、動作モードの選択を受け付けたときに、投光塔11の動作モードが連動して切り替わるように、選択された動作モードを投光塔11に通知する。そうすると、投光塔11の動作モード受付部1130は、受光塔12の通知に基づいて、投光塔11の動作モードを受光塔12と同じモードに切り替える。
【0058】
角度制御部1231は、受光器ユニット120の傾斜角度を角度θ3から角度θ4まで一定の速度で連続的に変更するように、駆動部122を制御する。
【0059】
決定部1232は、投光器ユニット110および受光器ユニット120それぞれの通常運転モード時の傾斜角度を決定する。
【0060】
具体的には、決定部1232は、投光器ユニット110の傾斜角度を変更する間に計測部1233(後述)が計測した受光器120aの受光状態から、受光器120aの検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも当該範囲の中央に近い傾斜角度を、投光器ユニット110の通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0061】
また、決定部1232は、受光器ユニット120の傾斜角度を変更する間に計測部1233が計測した受光器120aの受光状態から、受光器120aの検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも当該範囲の中央に近い傾斜角度を、受光器ユニット120の通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0062】
より具体的には、決定部1232は、投光器ユニット110および受光器ユニット120の傾斜角度を、受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、受光量が最大となる傾斜角度を採用する。受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲の端部は、投光器110a及び受光器120aの光軸のずれの許容範囲の上限または下限に近く、外的要因に対する余裕度が最も低い位置となる。したがって、決定部1232は、投光器ユニット110および受光器ユニット120の傾斜角度を、なるべくこの範囲の中央に近付けることにより、外的要因に対する余裕度を向上させる。
【0063】
計測部1233は、受光器120aによる検査光の受光状態を計測する。また、計測部1233は、投光器ユニット110および受光器ユニット120の傾斜角度と、受光状態とを対応付けた計測結果を保守用コンピュータ50に送信する。
【0064】
メモリ123Bは、プロセッサ123Aの動作に必要なメモリ領域を有する。
【0065】
ストレージ123Cは、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。
【0066】
インタフェース123Dは、投光塔11の制御部113、および保守用コンピュータ50と情報の送受信を行うためのインタフェースである。
【0067】
車両検知器10が設置される料金所では、車線Lの路面を車線Lの幅方向(±Y方向)に傾斜させた水勾配が設けられる場合があり、投光塔11および受光塔12の高さ(上下方向における位置)にずれが生じる。このとき、投光器110aおよび受光器120aそれぞれの光軸の向きを単に水平に合わせてしまうと、互いの光軸が十分に一致せず、外的要因に対する余裕度が低下して動作不良が生じやすくなる可能性がある。このため、本実施形態に係る車両検知器10は、投光器ユニット110および受光器ユニット120の車線Lの幅方向に対する傾斜角度を変更し、投光器110aおよび受光器120aそれぞれの光軸が略一致するように自動的に調整可能としたものである。次に、この調整方法について詳細に説明する。
【0068】
(車両検知器の処理フロー)
図5は、第1の実施形態に係る車両検知器の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図6は、第1の実施形態に係る車両検知器の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
以下、図5図6を参照しながら、車両検知器10の調整モードにおける処理の流れについて説明する。
【0069】
作業者は、車両検知器10の光軸調整を行う際、例えば図2に示すように受光塔12の制御部123に接続した保守用コンピュータ50を介して、「調整モード」を選択する操作を行う。そうすると、受光塔12の動作モード受付部1230は、保守用コンピュータ50から受信した信号に基づいて、受光塔12を「調整モード」に切り替えるとともに、投光塔11の制御部113に「調整モード」への切り替えを通知する。また、投光塔11の動作モード受付部1130は、受光塔12からの通知に基づいて、投光塔11を「調整モード」に切り替える(ステップS10)。
【0070】
調整モードに切り替わると、投光塔11の角度制御部1131は、駆動部112を制御して、投光器ユニット110をデフォルト位置P5に戻す。同様に、受光塔12の角度制御部1231は、駆動部122を制御して、受光器ユニット120をデフォルト位置P6に戻す(ステップS11)。
【0071】
また、調整モードでは、最初に投光器ユニット110および受光器ユニット120のうち一方である第1ユニットの傾斜角度を決定する処理を行う(ステップS12)。その後、第1ユニットを決定した傾斜角度に固定し(ステップS13)、投光器ユニット110および受光器ユニット120のうち他方である第2ユニットの傾斜角度を決定する処理を行う(ステップS14)。ここでは、最初に投光器ユニット110を調整し、次に受光器ユニット120の順に調整を行う例について説明する。すなわち、本実施形態では、投光塔11の投光器ユニット110および駆動部112が「第1ユニット」および「第1駆動部」に相当し、受光塔12の受光器ユニット120および駆動部122が「第2ユニット」および「第2駆動部」に相当する。
【0072】
まず、投光器ユニット110(第1ユニット)の傾斜角度を決定する処理S12の流れについて、図6を参照しながら説明する。
【0073】
投光塔11の角度制御部1131は、駆動部112を制御して、投光器ユニット110を上方向限度位置P1(図3)に移動させる(ステップS101)。すなわち、投光器ユニット110の傾斜角度を、車線Lの幅方向左側(+Y方向側)の最大角度である角度θ1(第1角度)にする。
【0074】
次に、投光塔11の角度制御部1131は、駆動部112を制御して、投光器ユニット110を下方向限度位置P2(図3)に到達するまで、一定の速度で移動させる。すなわち、投光器ユニット110の傾斜角度を、車線Lの幅方向右側(-Y方向側)の最大角度である角度θ2(第2角度)になるまで、一定の速度で変化させる。この間、投光器110aは、発光制御部1132の制御により、検査光を投光している。また、受光塔12の計測部1233は、投光器ユニット110が上方向限度位置P1から下方向限度位置P2に移動するまでの間、受光器120aの受光状態を計測し、投光器ユニット110の傾斜角度と対応付けてストレージ123Cに記録する(ステップS101)。
【0075】
図7は、第1の実施形態に係る計測部の計測結果の一例を示す図である。
計測部1233は、ステップS101において、図7に示すように、投光器ユニット110の傾斜角度と、受光器120aの受光状態とを対応付けた計測結果を記録している。本実施形態では、受光状態は、受光器120aの検査光の受光量が所定値以上である「受光オン」と、受光器120aの検査光の受光量が所定値未満である「受光オフ」の二つの状態で表される。なお、計測部1233は、インタフェース123Dを介して、保守用コンピュータ50にこの計測結果を送信してもよい。保守用コンピュータ50は、図7に示す計測結果のグラフを表示して、作業者が各傾斜角度における受光状態(受光オンまたは受光オフ)を確認可能とする。
【0076】
次に、決定部1232は、計測部1233の計測結果に基づいて、受光器120aが受光オンとなる投光器ユニット110の傾斜角度の範囲を特定する(ステップS103)。
【0077】
決定部1232は、図7に例示する計測結果を参照して、受光器120aが「受光オン」となる傾斜角度の範囲、すなわち、受光オン範囲を特定する。図7の例では、投光器ユニット110の傾斜角度がθ10からθ12までのときに受光オンとなっている。このため、決定部1232は、このθ10からθ12までの範囲を受光オン範囲であると特定する(ステップS103)。
【0078】
次に、決定部1232は、受光オン範囲のうち、中央に最も近い傾斜角度を、投光器ユニット110の通常運転モード時の傾斜角度として決定する(ステップS103)。受光オン範囲は、投光器110aおよび受光器120aの光軸のずれの許容範囲を表す。受光オン範囲の端部(図7のθ10またはθ12)に近付くほど外的要因に対する余裕度が小さくなり、動作不良が生じやすくなる。例えば、受光オン範囲の端部に光軸をあわせてしまった場合、車両が存在していないにもかかわらず受光器120aが検査光を十分な光量で受光できず、車両が存在すると誤検知する等の動作不良が生じる可能性がある。一方で、受光オン範囲の中央部(図7の角度θ11)において外的要因に対する余裕度が最大となり、動作不良が生じる可能性が最小となる。このため、本実施形態に係る決定部1232は、受光オン範囲の中央値となる角度θ11を、投光器ユニット110の最適な傾斜角度として決定する(ステップS103)。なお、決定部1232は、例えば駆動部112がステッピングモータのような一定角度毎に傾斜角度を変更可能なものである場合、駆動部112により変更可能な傾斜角度のうち、中央値に最も近い傾斜角度を採用してもよい。決定部1232が投光器ユニット110(第1ユニット)の傾斜角度を決定する処理S12(図6の一連の処理)を終了すると、図5のステップS13に進む。
【0079】
投光塔11の角度制御部1131は、駆動部112を制御して、投光器ユニット110の姿勢を図6のステップS103で決定した傾斜角度で固定する(ステップS13)。この状態で、受光器ユニット120(第2ユニット)の傾斜角度を決定する処理を実行する(ステップS14)。
【0080】
受光器ユニット120(第2ユニット)の傾斜角度を決定する処理S14の流れについて、図6を参照しながら説明する。
【0081】
受光塔12の角度制御部1231は、駆動部122を制御して、受光器ユニット120を上方向限度位置P3(図3)に移動させる(ステップS101)。すなわち、受光器ユニット120の傾斜角度を、車線Lの幅方向右側(-Y方向側)の最大角度である角度θ3(第3角度)にする。
【0082】
次に、受光塔12の角度制御部1231は、駆動部122を制御して、受光器ユニット120を下方向限度位置P4(図3)に到達するまで、一定の速度で移動させる。すなわち、受光器ユニット120の傾斜角度を、車線Lの幅方向左側(+Y方向側)の最大角度である角度θ4(第4角度)になるまで、一定の速度で変化させる。この間、投光器110aは、発光制御部1132の制御により、検査光を投光している。また、受光塔12の計測部1233は、受光器ユニット120が上方向限度位置P3から下方向限度位置P4に移動するまでの間、受光器120aの受光状態を計測し、受光器ユニット120の傾斜角度と対応付けてストレージ123Cに記録する(ステップS101)。
【0083】
次に、決定部1232は、計測部1233の計測結果に基づいて、受光器120aが受光オンとなる受光器ユニット120の傾斜角度の範囲(受光オン範囲)を特定する(ステップS103)。当該処理は、上記した投光器ユニット110の受光オン範囲を特定する処理と同じである。すなわち、決定部1232は、受光オン範囲のうち、中央に最も近い傾斜角度を、受光器ユニット120の通常運転モード時の傾斜角度として決定する(ステップS103)。そうすると、受光器ユニット120(第2ユニット)の傾斜角度を決定する処理S14を終了し、図5のステップS15に進む。
【0084】
受光塔12の角度制御部1231は、駆動部122を制御して、受光器ユニット120の姿勢を図6のステップS103で決定した傾斜角度で固定する(ステップS15)。
【0085】
次に、決定部1232は、投光器ユニット110および受光器ユニット120の傾斜角度の調整結果について問題がないか判定する(ステップS16)。
【0086】
例えば、作業者は、保守用コンピュータ50に表示される投光器ユニット110および受光器ユニット120の計測結果を確認して、これら傾斜角度の調整結果に問題がないか確認する。作業者は、投光塔11の駆動部112または受光塔12の駆動部122が正常に動作していなかった場合や、投光塔11または受光塔12に汚れなどが付着して計測結果にエラーがあると思われる場合には、保守用コンピュータ50を介して再調整を指示する操作を行う。決定部1232は、保守用コンピュータ50から再調整を指示する信号を受信すると、調整結果に問題があると判定し(ステップS16;NO)、ステップS12に戻る。このとき、投光器ユニット110および受光器ユニット120の傾斜角度は、デフォルト位置に戻さず、1回目の調整処理で決定した位置のままとする。
【0087】
なお、2回目の調整処理では、1回目の計測部1233による計測結果を参考に、投光器ユニット110および受光器ユニット120の移動範囲を狭めてもよい。図7に示す計測結果の例では、1回目の調整処理で投光器ユニット110の傾斜角度をθ1からθ2までの全範囲で変化させたが、2回目の調整処理では、受光オン範囲±αの範囲で変化させるようにしてもよい。すなわち、θ10よりも車線幅方向の左側にα度傾けた傾斜角度を2回目の第1角度として設定し、θ12よりも車線幅方向の右側にα度傾けた傾斜角度を2回目の第2角度として設定する。受光器ユニット120についても同様である。このように移動範囲を狭くした分、2回目以降の調整処理の実行時間を短縮することができる。
【0088】
一方、作業者は、調整結果に問題がないと判断した場合に、保守用コンピュータ50を介して「通常運転モード」を選択する操作を行う。決定部1232は、保守用コンピュータ50から「通常運転モード」を指定する信号を受信すると、調整結果に問題がないと判定する(ステップS16;YES)。また、投光塔11の動作モード受付部1130および受光塔12の動作モード受付部1230は、それぞれ自身の動作モードを「通常運転モード」に切り替える(ステップS17)。以降、車両検知器10は、投光器ユニット110および受光器ユニット120それぞれを、決定された傾斜角度で傾けた状態で運転を行う。
【0089】
なお、他の実施形態では、投光器ユニット110および受光器ユニット120を調整する順番を入れ替えてもよい。この場合、投光塔11の投光器ユニット110および駆動部112が「第2ユニット」および「第2駆動部」に相当し、受光塔12の受光器ユニット120および駆動部122が「第1ユニット」および「第1駆動部」に相当する。
【0090】
また、他の実施形態では、図6のステップS100において投光器ユニット110および受光器ユニット120を下方向限度位置に移動し、ステップS101において投光器ユニット110および受光器ユニット120を上方向限度位置に移動させながら受光状態を計測するようにしてもよい。
【0091】
(作用、効果)
以上のように、本実施形態に係る車両検知器10は、例えば投光器ユニット110を第1ユニットとした場合、投光器ユニット110(第1ユニット)を第1角度から第2角度まで変更する間に計測した受光器120aの受光状態から、受光器120aの検査光の受光量が所定値以上となる(受光オンとなる)傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも当該範囲の中央に近い傾斜角度を、投光器ユニット110の通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0092】
このようにすることで、車両検知器10は、外的要因に対する余裕度が最大に近づくように、投光器110aの光軸Eの向きを自動調整することができる。これにより、作業者の熟練度合いによって、調整結果にばらつきが生じてしまうことを抑制することができる。
【0093】
また、車両検知器10は、例えば受光器ユニット120を第2ユニットとした場合、投光器ユニット110(第1ユニット)を決定した通常運転モード時の傾斜角度に固定した状態で、受光器ユニット120(第2ユニット)を第3角度から第4角度まで変更する間に計測した受光器120aの受光状態から、受光器120aの検査光の受光量が所定値以上となる(受光オンとなる)傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも当該範囲の中央に近い傾斜角度を、受光器ユニット120の通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0094】
このようにすることで、車両検知器10は、投光器110aの調整後の光軸Eの向きに合わせて、受光器120aの光軸Rの向きを自動的に調整することができる。
【0095】
また、車両検知器10は、受光器120aが受光オンとなる傾斜角度の範囲(受光オン範囲)のうち、受光量が最大となる傾斜角度を、通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0096】
上記したとおり、投光器110aおよび受光器120aは、受光オン範囲の中央に光軸を向けたとき、外的要因に対する余裕度が最大となる。このため、車両検知器10は、このように受光オン範囲のうち、受光量が最大となる傾斜角度を採用することにより、外的要因に対する余裕度が最大となるように、投光器110aの光軸Eおよび受光器120aの光軸Rの向きを自動調整することができる。
【0097】
<第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態に係る車両検知器10について、図8を参照しながら説明する。
第1の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0098】
図8は、第2の実施形態に係る計測部の計測結果の一例を示す図である。
図8は、本実施形態に係る計測部1233の計測結果の一例を表したものである。第1の実施形態に係る受光状態は、「受光オン」および「受光オフ」の2値で表されたが、本実施形態に係る受光状態は、図8に例示するように、受光量の実際の計測値(センサ値)で表される。
【0099】
以下、図6のフローチャートと、図8の計測結果の例とを参照しながら、本実施形態に係る車両検知器10の処理の流れについて説明する。
【0100】
本実施形態に係る計測部1233は、図6のステップS101において、投光器ユニット110の各傾斜角度に対する、受光器120aの検査光の受光量の計測値を記録する。
【0101】
また、決定部1232は、図6のステップS102において、計測部1233による計測結果を参照して、受光器120aの受光量が受光オン下限値以上となる傾斜角度の範囲、すなわち、受光オン範囲を特定する。図8の例では、投光器ユニット110の傾斜角度がθ20からθ22までのときに受光オンとなっている。このため、決定部1232は、このθ20からθ21までの範囲を受光オン範囲であると特定する。
【0102】
次に、決定部1232は、図6のステップS103において、受光量が最大値となる傾斜角度を投光器ユニット110の通常運転モード時の傾斜角度として決定する。図8の例では、決定部1232は、受光量が最大値となる傾斜角度θ21を採用する。
【0103】
また、計測部1233および決定部1232は、受光器ユニット120についても同様の処理を行い、受光量が最大値となる傾斜角度を受光器ユニット120の通常運転モード時の傾斜角度として設定する。その他の処理については、第1の実施形態と同様である。
【0104】
以上のように、本実施形態に係る車両検知器10は、受光器120aの受光量が最大値となる傾斜角度を、投光器ユニット110および受光器ユニット120の通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0105】
このようにすることで、車両検知器10は、受光器120aの受光量が最大値となる向き、すなわち、投光器110aの光軸Eおよび受光器120aの光軸Rが略一致する向きに自動調整することができる。
【0106】
<第3の実施形態>
次に、本開示の第3の実施形態に係る車両検知器10について、図9図10を参照しながら説明する。
第1および第2の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0107】
本実施形態では、投光塔11の動作モード受付部1130および受光塔12の動作モード受付部1230が、作業者による第1の調整モードまたは第2の調整モードの選択をさらに受け付ける点において、第1および第2の実施形態と異なっている。
【0108】
第1の調整モードは、受光状態に基づいて、複数の傾斜角度のうち最適な傾斜角度を通常運転モード時の傾斜角度として決定する調整モードである。第2の調整モードは、最適な傾斜角度から所定量オフセットさせた傾斜角度を、通常運転モード時の傾斜角度として決定するモードである。また、車両検知器10の機能構成に応じて、第1の調整モードおよび第2の調整モードは以下の2のケースに分けられる。
【0109】
(ケース1)
ケース1は、第1の実施形態に係る車両検知器10に、動作モード受付部1130、1230の機能を追加する態様である。このとき、第1の調整モードは、受光オン範囲のうち当該範囲の中央に近い傾斜角度を、通常運転モード時の傾斜角度として決定する調整モードを示す。第2の調整モードは、受光オン範囲のうち中央に近い傾斜角度から所定量オフセットした傾斜角度を、通常運転モード時の傾斜角度として決定する調整モードを示す。
【0110】
(ケース2)
ケース2は、第2の実施形態に係る車両検知器10に動作モード受付部1130、1230の機能を追加する態様である。このとき、第1の調整モードは、受光量が最大値となる傾斜角度を、通常運転モード時の傾斜角度として決定する調整モードを示す。第2の調整モードは、受光量が最大値となる傾斜角度から所定量オフセットした傾斜角度を、通常運転モード時の傾斜角度として決定する調整モードを示す。
【0111】
第2の調整モードは、さらに第1から第4のサブモードを有している。
【0112】
第1のサブモードは、受光オン範囲の中央に近い傾斜角度(ケース1)、または、受光量が最大値となる傾斜角度(ケース2)を基準角度とし、この基準角度における投光器110aの光軸Eの向きよりも、上方向(+Z方向)を向くように、傾斜角度をオフセットするモードである。
【0113】
第2のサブモードは、基準角度における投光器110aの光軸Eの向きよりも、下方向(-Z方向)を向くように、傾斜角度をオフセットするモードである。
【0114】
第3のサブモードは、基準角度における受光器120aの光軸Rの向きよりも、上方向(+Z方向)を向くように、傾斜角度をオフセットするモードである。
【0115】
第4のサブモードは、基準角度における受光器120aの光軸Rの向きよりも、下方向(-Z方向)を向くように、傾斜角度をオフセットするモードである。
【0116】
第2の調整モードにおけるオフセット量は、予め設定された固定値、または、作業者が保守用コンピュータ50を介して入力した固定値に基づいて設定される。なお、作業者は、任意の固定値を指定してもよいし、複数の固定値のうち何れか一の固定値を選択してもよい。
【0117】
例えば、ケース1において、基準角度からX1度(例えば、5度)をオフセットするように、固定値X1が設定される。また、基準角度から、受光オン範囲のX2%(例えば、5%、10%等)の角度をオフセットするように、固定値X2が設定される。
【0118】
また、ケース2において、最大値のX3%(例えば、90%、80%、70%等)の受光量に対応する傾斜角度にオフセットするように、固定値X3が設定される。
【0119】
車両検知器10の設置場所、時期、時間帯などの環境条件によっては、車両検知器10の受光器120aが太陽光や、他の照明機器等の影響を受けてしまう(太陽光や照明機器の光を受光してしまう)場合がある。例えば、山間部の料金所では、朝日や夕日の光が車両検知器10の横方向から入射してしまうケースがあり、そうした場合、受光器120aが太陽光を受光したことにより、車両が存在しないと誤検知してしまう可能性がある。このため、本実施形態に係る車両検知器10は、このように車両検知器10に干渉する光源のある環境において、投光器110aの光軸Eおよび受光器120aの光軸Rを光源からの影響を受けにくい向きにずらす(オフセットする)ことができるように、第2の調整モードを有している。
【0120】
図9は、第3の実施形態に係る車両検知器の処理の一例を示すフローチャートである。
図10は、第3の実施形態に係る計測部の計測結果の一例を示す図である。
以下、図9のフローチャートと、図10の計測結果の例とを参照しながら、本実施形態に係る車両検知器10の処理の流れについて説明する。なお、ここでは、説明の簡略化のため、ケース2の態様を例として説明する。
【0121】
図9に示すように、本実施形態では、図5のステップS10がステップS10AおよびS10Bに分割される点において、上述の各実施形態と異なっている。
【0122】
受光塔12の動作モード受付部1230は、保守用コンピュータ50を介して、作業者による「第1の調整モード」または「第2の調整モード」の選択を受け付ける(ステップS10A)。なお、作業者が「第2の調整モード」を選択した場合、動作モード受付部1230は、さらに第1から第4のサブモードのうち何れか一の選択を受け付ける。また、作業者が「第2の調整モード」を選択した場合、動作モード受付部1230は、作業者によるオフセット量の選択をさらに受け付けてもよい。
【0123】
そうすると、受光塔12の動作モード受付部1230は、保守用コンピュータ50から受信した信号に基づいて、受光塔12を「第1の調整モード」または「第2の調整モード(第1~第4のサブモードの何れか)」に切り替えるとともに、投光塔11の制御部113に調整モードへの切り替えを通知する。また、投光塔11の動作モード受付部1130は、受光塔12からの通知に基づいて、投光塔11を受光塔12と同じ調整モードに切り替える(ステップS10B)。
【0124】
また、図10のステップS12およびS14において、車両検知器10は、図6に示すフローチャートに従い、投光器ユニット110および受光器ユニット120それぞれの傾斜角度を決定する処理を行う。ここで、決定部1232は、図6のステップS103において、図10のステップS10Aで設定された条件に基づいて、投光器ユニット110および受光器ユニット120それぞれの傾斜角度を決定する。ここでは、各調整モードにおける、決定部1232の処理(図6のステップS103)の詳細について説明する。
【0125】
第1の調整モードが選択された場合、決定部1232は、受光量が最大値となる傾斜角度を、投光器ユニット110および受光器ユニット120それぞれの通常運転モード時の傾斜角度として決定する。図10の例では、投光器ユニット110は、傾斜角度がθ32のとき、受光量が最大値となっている。したがって、決定部1232は、θ32を投光器ユニット110の通常運転モード時の傾斜角度として決定する。決定部1232は、受光器ユニット120についても同様の処理を行う。
【0126】
第2の調整モードのうち、第1のサブモードが設定されている場合、決定部1232は、受光量が最大値となる傾斜角度を基準角度とし、この基準角度における投光器110aの光軸Eの向きよりも、上方向(+Z方向)を向くように、傾斜角度をオフセットする。例えば、図10の例では、受光量が最大値の90%となる傾斜角度にオフセットするように設定されているとする。また、受光量が最大値の90%となる傾斜角度は、θ31またはθ33である。これらのうち、投光器110aの光軸Eが上向きとなる傾斜角度は、θ31である。したがって、図10の例では、決定部1232は、θ31を投光器ユニット110の通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0127】
第2の調整モードのうち、第2のサブモードが設定されている場合、決定部1232は、受光量が最大値となる傾斜角度を基準角度とし、この基準角度における投光器110aの光軸Eの向きよりも、下方向(-Z方向)を向くように、傾斜角度をオフセットする。例えば、図10の例では、受光量が最大値の90%となる傾斜角度にオフセットするように設定されているとする。また、受光量が最大値の90%となる傾斜角度は、θ31またはθ33である。これらのうち、投光器110aの光軸Eが下向きとなる傾斜角度は、θ32である。したがって、図10の例では、決定部1232は、θ32を投光器ユニット110の通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0128】
第2の調整モードのうち、第3のサブモードが設定されている場合、決定部1232は、受光量が最大値となる傾斜角度を基準角度とし、この基準角度における受光器120aの光軸Eの向きよりも、上方向(+Z方向)を向くように、傾斜角度をオフセットする。当該処理は、投光器110aの光軸Eを上向きにオフセットする処理と同じである。
【0129】
第2の調整モードのうち、第4のサブモードが設定されている場合、決定部1232は、受光量が最大値となる傾斜角度を基準角度とし、この基準角度における受光器120aの光軸Eの向きよりも、下方向(-Z方向)を向くように、傾斜角度をオフセットする。当該処理は、投光器110aの光軸Eを下向きオフセットする処理と同じである。
【0130】
以上のように、本実施形態に係る車両検知器10は、受光オン範囲の中央に近い傾斜角度、または受光量が最大値となる傾斜角度を基準角度とし、第1の調整モードの選択を受け付けた場合に基準角度を通常運転モード時の傾斜角度として決定し、第2の調整モードの選択を受け付けた場合に基準角度から所定量オフセットした傾斜角度を通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0131】
このようにすることで、車両検知器10は、選択された調整モードに応じて、投光器ユニット110および受光器ユニット120を適切な傾斜角度に調整することができる。また、車両検知器10は、第1の調整モードで調整すると他の光源の影響を受けてしまうような設置環境においては、第2の調整モードによって傾斜角度をオフセットすることにより、他の光源による影響を低減することができる。
【0132】
また、第2の調整モードは、さらに複数のサブモード(第1~第4のサブモード)に分割され、サブモード毎に投光器ユニット110または受光器ユニット120のオフセット方向およびオフセット量が設定される。
【0133】
このようにすることで、車両検知器10は、選択されたサブモードに応じて、自動的に光源の影響を受けにくい方向へ、投光器110aの光軸Eまたは受光器120aの光軸Rの向きを自動的に調整することができる。また、作業者は、投光塔11および受光塔12の配置、他の光源の位置などに応じていずれかのサブモードを選択するのみの簡易な操作で、投光器110aの光軸Eまたは受光器120aの光軸Rを適切な向きに調整することができる。
【0134】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0135】
<付記>
上述の実施形態に記載の車両検知器、車両検知器の調整方法、およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0136】
(1)本開示の第1の態様によれば、車両検知器(10)は、上下方向に延びる第1支持部材(110b)の車線を向く側に固定され、検査光を投光する投光器(110a)を有する投光器ユニット(110)と、投光器(110a)と車線を挟んで対向する受光器(120a)であって、上下方向に延びる第2支持部材(120b)の車線を向く側に固定され、検査光を受光する受光器(120a)を有する受光器ユニット(120)と、受光器(120a)による検査光の受光状態を計測する計測部(1233)と、投光器ユニット(110)および受光器ユニット(120)の一方である第1ユニットを車線幅方向に傾斜させる第1駆動部(112、122)と、第1駆動部(112、122)が第1ユニットの傾斜角度を第1角度から第2角度まで変更する間に計測部(1233)が計測した受光器(120a)の受光状態から、受光器(120a)の検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも当該範囲の中央に近い傾斜角度を、第1ユニットの通常運転モード時の傾斜角度として決定する決定部(1232)と、を備える。
【0137】
このようにすることで、車両検知器は、外的要因に対する余裕度が最大に近づくように、第1ユニットの光軸の向きを自動調整することができる。これにより、作業者の熟練度合いによって、調整結果にばらつきが生じてしまうことを抑制することができる。
【0138】
(2)本開示の第2の態様によれば、第1の態様に係る車両検知器(10)は、投光器ユニット(110)および受光器ユニット(120)の他方である第2ユニットを車線の幅方向に傾斜させる第2駆動部をさらに備え、決定部は、第1ユニットを決定した通常運転モード時の傾斜角度に固定した状態で、第2駆動部が第2ユニットの傾斜角度を第3角度から第4角度まで変更する間に計測部が計測した受光状態から、受光器(120a)の検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも中央に近い傾斜角度を、第2ユニットの通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0139】
このようにすることで、車両検知器は、第1ユニットの調整後の光軸の向きに合わせて、第2ユニットの光軸の向きを自動的に調整することができる。
【0140】
(3)本開示の第3の態様によれば、第1または第2の態様に係る車両検知器(10)において、決定部は、受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち受光量が最大となる傾斜角度を、通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0141】
このようにすることで、車両検知器は、外的要因に対する余裕度が最大となるように、投光器および受光器の光軸の向きを自動調整することができる。
【0142】
(4)本開示の第4の態様によれば、第1または第2の態様に係る車両検知器(10)において、決定部は、受光量が最大値となる傾斜角度を、通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0143】
このようにすることで、車両検知器は、受光器の受光量が最大値となる向き、すなわち、投光器および受光器の光軸が略一致する向きに自動調整することができる。
【0144】
(5)本開示の第5の態様によれば、第1または第2の態様に係る車両検知器(10)は、第1の調整モードおよび第2の調整モードのいずれかの選択を受け付ける動作モード受付部をさらに備え、決定部は、第1の調整モードの選択を受け付けた場合に、受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち受光量が最大となる傾斜角度を、通常運転モード時の傾斜角度として決定し、第2の調整モードの選択を受け付けた場合に、受光量が最大となる傾斜角度から所定量オフセットした傾斜角度を、通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0145】
このようにすることで、車両検知器は、選択された調整モードに応じて、投光器ユニットおよび受光器ユニットを適切な傾斜角度に調整することができる。また、車両検知器は、第1の調整モードで調整すると他の光源の影響を受けてしまうような設置環境においては、第2の調整モードによって傾斜角度をオフセットすることにより、他の光源による影響を低減することができる。
【0146】
(6)本開示の第6の態様によれば、第1または第2の態様に係る車両検知器(10)は、第1の調整モードおよび第2の調整モードのいずれかの選択を受け付ける動作モード受付部をさらに備え、決定部は、第1の調整モードの選択を受け付けた場合に、受光量が最大値となる傾斜角度を、通常運転モード時の傾斜角度として決定し、第2の調整モードの選択を受け付けた場合に、受光量が最大値となる傾斜角度から所定量オフセットした傾斜角度を、通常運転モード時の傾斜角度として決定する。
【0147】
このようにすることで、車両検知器は、選択された調整モードに応じて、投光器ユニットおよび受光器ユニットを適切な傾斜角度に調整することができる。また、車両検知器は、第1の調整モードで調整すると他の光源の影響を受けてしまうような設置環境においては、第2の調整モードによって傾斜角度をオフセットすることにより、他の光源による影響を低減することができる。
【0148】
(7)本開示の第7の態様によれば、車両検知器(10)の調整方法は、上下方向に延びる第1支持部材(110b)の車線を向く側に固定され、検査光を投光する投光器(110a)を有する投光器ユニット(110)と、投光器(110a)と車線を挟んで対向する受光器(120a)であって、上下方向に延びる第2支持部材(120b)の車線を向く側に固定され、検査光を受光する受光器(120a)を有する受光器ユニット(120)と、投光器ユニット(110)および受光器ユニット(120)の一方である第1ユニットを車線幅方向に傾斜させる第1駆動部(112、122)と、を備える車両検知器の調整方法であって、受光器(120a)による検査光の受光状態を計測するステップと、第1駆動部(112、122)が第1ユニットの傾斜角度を第1角度から第2角度まで変更する間に計測した受光器(120a)の受光状態から、受光器(120a)の検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも中央に近い傾斜角度を、第1ユニットの通常運転モード時の傾斜角度として決定するステップと、を備える。
【0149】
(8)本開示の第8の態様によれば、プログラムは、上下方向に延びる第1支持部材(110b)の車線を向く側に固定され、検査光を投光する投光器(110a)を有する投光器ユニット(110)と、投光器(110a)と車線を挟んで対向する受光器(120a)であって、上下方向に延びる第2支持部材(120b)の車線を向く側に固定され、検査光を受光する受光器(120a)を有する受光器ユニット(120)と、投光器ユニット(110)および受光器ユニット(120)の一方である第1ユニットを車線幅方向に傾斜させる第1駆動部(112、122)と、を備える車両検知器に、受光器(120a)による検査光の受光状態を計測するステップと、第1駆動部(112、122)が第1ユニットの傾斜角度を第1角度から第2角度まで変更する間に計測した受光器(120a)の受光状態から、受光器(120a)の検査光の受光量が所定値以上となる傾斜角度の範囲のうち、当該範囲の端部となる傾斜角度よりも中央に近い傾斜角度を、第1ユニットの通常運転モード時の傾斜角度として決定するステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0150】
10 車両検知器(進入側車両検知器)
11 投光塔
110 投光器ユニット
110a 投光器
110b 支持部材
111 筐体
112 駆動部
113 制御部
113A プロセッサ
1130 動作モード受付部
1131 角度制御部
1132 発光制御部
113B メモリ
113C ストレージ
113D インタフェース
12 受光塔
120 受光器ユニット
120a 受光器
120b 支持部材
121 筐体
122 駆動部
123 制御部
123A プロセッサ
1230 動作モード受付部
1231 角度制御部
1232 決定部
1233 計測部
123B メモリ
123C ストレージ
123D インタフェース
20 通信停止用車両検知器
21 投光塔
22 受光塔
30 通信アンテナ
50 保守用コンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10